◆−新連載〜v−龍崎星海 (2002/2/16 03:50:42) No.8112
 ┣欲望の行き着く先 1−龍崎星海 (2002/2/16 03:57:28) No.8113
 ┃┣し、しまった、補足説明忘れてるっ!−龍崎星海 (2002/2/18 20:08:11) No.8126
 ┃┗Re:欲望の行き着く先 1−藤原清貫(清川〜からH・N変更過渡期) (2002/2/20 18:22:05) No.8132
 ┃ ┗どうも、こんばんは!−龍崎星海 (2002/2/20 20:09:58) No.8134
 ┣欲望の行き着く先 2−龍崎星海 (2002/2/22 21:36:19) No.8154
 ┣欲望の行き着く先 3−龍崎星海 (2002/3/1 22:39:22) No.8178
 ┣欲望の行き着く先 4−龍崎星海 (2002/3/8 20:37:33) No.8190
 ┗欲望の行き着く先5−龍崎星海 (2002/3/15 23:48:16) No.8206


トップに戻る
8112新連載〜v龍崎星海 2002/2/16 03:50:42


どうも、こんばんは。いつもは投稿1に投稿させて戴いている、龍崎です。
予告しておりました、新連載、とりあえず第1話が出来上がりましたので、お送りします。
一応、原作風のシリアスを目指そう、と思ったのですが‥第1話、はっきし言って、ギャグでしかない(笑)
しかも、全っ然本題に入っていない(笑)
困ったものです。
とりあえず、週1の連載を目指しております‥が。
書けるかどうかは、また別問題(笑)だったりして。

そうそう、この話は、カップリングなし、で行きます。‥行けると思います。
それでは、どうぞ。

トップに戻る
8113欲望の行き着く先 1龍崎星海 2002/2/16 03:57:28
記事番号8112へのコメント

〜欲望の行き着く先〜
第1話 発端


あたし達は、街道を次の町目指して歩いていた。
「もうすぐ、カリメテの町に着くわね。着いたら、さっそく名物を食べに行きましょ!」
「おうっ!そうだなっ!」
そうそう、あたしの名前は、リナ=インバース。
こう見えても、ちょっと‥‥いや、かなり名前の知られた、天才魔道士よ。
え?悪名を轟かせている、の間違いじゃないのか、って?
‥‥‥‥フッフッフッ‥‥‥‥‥‥
どうやら、あんた、呪文であたしに吹っ飛ばされたいみたいね?
‥‥‥‥え?すみません、もう言いません、って?
うん、分かればいーのよ、分かれば。
あたしの、この、かわい〜い外見に惑わされて、あたしを甘く見たヤツは、1人残らず痛い目に遭ってる、って事を忘れないでもらいたいわね。
ンで、あたしの後ろを歩いている、金髪碧眼のハンサムにして、すらりとした長身の、見た目は超1級、でも頭の中身はスライム以下、のこの男は、ガウリイ=ガブリエフ。
こー見えても、剣の腕と勘の良さは、天下一品だったりする。
ちょっと前までは、光の剣、って言う、小さな子供でも知ってるよーな伝説の剣を持ってたんだけど‥‥ちょっとした事件で、その剣をなくしちゃって。
それで今、代わりの剣を探す旅の途中なのよね。
こないだ、なかなか良さそうな魔力剣を入手したんだけど‥‥ちょ〜っといまいち、だったので、それ以上の剣を探してる真っ最中、って訳。
ああ‥‥次の町に、いい剣の噂が転がってるといーんだけどなあ。

「なあ、リナ。次の町‥‥何て言ったっけ」
後ろから、いきなりガウリイが話しかけてきた。
「‥‥あのねえ。ガウリイ。ついさっき、言ったばっかりでしょ!だから、カリメテよ、カリメテ!も〜忘れたの、あんたはっ!!
ったく、ホントにクラゲなんだからっ!!」
「そうそう、そのカリ‥なんとか、って町、何が名物なんだ?」
‥‥‥ヲイ‥‥
「あんたねぇ‥‥まさかとは思うけど、たったの4文字が覚えらんないの?‥‥‥まーいーけど。そうね、小さな町で、有名でもなんでもないから、どんな名物があるのかは分かんないけど、山間の町だかんね。きっと‥‥山の幸なんかが豊富なはずよ!」
「山の幸、ってーと‥‥キノコとか、木の実とか‥‥後は山に棲む獣、ってとこか」
「そーそー。特にキノコは、美味しい物が多いからねえ‥‥じゅるっ‥‥ああ、考えただけでよだれが‥ガウリイ、急ぐわよっ!!」
「おうっ!!」

カリメテに着いたあたし達は、早速食堂を探すのだった。
‥‥それにしても、小さな町だからある程度は仕方ないものの‥‥な〜んか活気がないのよねえ‥‥‥
町を行く人の姿も少ないし、その顔にも気のせいか、活気がない。
‥‥こりゃ、ひょっとして何か訳ありかな?
‥‥‥まーいーや。それより、ご飯よご飯!!
おっ!町の大通り(ったって、小さな町だから大した事ないんだけど)沿いに、食堂発見!
見た所、他に食堂らしき物はない。
ってか‥‥あれ、宿屋も兼ねてるみたいね。
って事は、今夜の宿はあそこで決定!って事ね。
‥‥ううう‥‥こーいう、『町にたった1つの食堂』って、あんまり美味しくない場合が多いんだけど‥‥仕方ないか。
背に腹は変えられないもんね。
「ガウリイ、あそこで食事にしましょ。ンで、今夜は、あそこに泊まるわよ」
「おう、そうだな。それはいーけど、何か、この町、イヤな雰囲気だな‥‥」
「‥‥‥そーね‥‥気になるけど‥今は、食事が先よっ!!」
あたし達は、その食堂兼、宿屋の扉をくぐった。
「いらっりゃいませー」
中に居た、おばちゃん(ここの女将だろうか?)が声を掛けてきた。
昼食にはやや遅い‥かといって、夕食には早い時間帯のせいか、他にお客の姿はない。
「おばちゃーん、何でもいーから、メニューの上から順番に1つずつ、持って来てくれない?」
早速、注文をする。
「あ、オレも同じの頼む!」
続いて、ガウリイが注文する。
「‥‥‥ああ、じゃ上から2つずつ、持って来ればいーんだね」
おばちゃんは、額に汗を掻きながらも、厨房へと消えて言った。
しかし‥この男、いつもおんなじ注文の仕方するけど‥やっぱり、何も考えてないんだろーなー。
‥一度、とんでもない注文、してやろーか。
ンで、『オレも同じの頼む!』と言ったガウリイを指さし笑ってやって‥あ、ダメだ。
それだと、あたしもとんでもない物、食べるハメになっちゃうや。
ちぇっ‥いい考えだと思ったんだけどな。
などと、考えながら待つうちに、いー匂いがして来て‥‥
「はい、お待ちどう」
おばちゃんが、両手に持てるだけの皿を持って現れた。
ドン!とテーブルの上に置く。
「んー‥いー匂い‥‥‥おいしそー!」
「おほっ!いっただっきまーすっ!」
早速、ガウリイが料理に飛びつく。
あ!よく見たら、一皿に2人分ずつ、盛ってあるじゃないのっ!!
これは、ウカウカしてらんないわっ!!
「こぅらーっ!ガウリイ!それ、半分はあたしのだかんねっ!全部、食べたら、承知しないんだからっ!!」
一喝してやると。
「もぐもぐ‥‥そんなの早い者勝ちだっ!!」
言いつつ、皿を抱え込むガウリイ。
そーなの‥‥そっちが、そのつもりならっ!!
「こっちの皿は、あたしが貰ったっ!!」
「あーっ!それ、オレもねらってたのにっ!こーなったら‥‥‥」
言うや、皿を傾けて、その中身をザカザカザカ!と口の中に放り込むガウリイ。
そして、次の皿を抱え込む!
「ほへはほへはほはっは!」
‥‥‥今の、『これはオレが貰った!』って言ったのよね。
んだあーっ!!そーゆー事するかっ!!
「おにょれ、ガウリイッ!だったら、あたしもっ!!」
ザカザカザカッ!!
皿の中身を口の中に放り込む!
「ほへはははひほ!」
‥ちなみに、今のは『これはあたしの!』って言ったのよ。
バチバチバチッ!!
あたしとガウリイの視線がぶつかり合い、2人の間で目に見えない火花が飛び散るっ!!
「あのー‥‥‥そんな事しなくっても、まだまだ料理はあるんだけどねえ‥」
おばちゃんが呆れ顔で言うけど‥そんなの、無視よっ!
よそ事に気を取られてちゃ、ガウリイに負けちゃうわっ!!
もぎゅもぎゅもぎゅ‥‥‥‥‥‥
あたしは大急ぎで口の中の物を噛むと、ゴックン‥と飲み込む。
そして、次の皿に取りかかる。
ふと見ると、ガウリイも、すでに抱え込んでいる皿を平らげにかかっている。
おにょれ、ガウリイ!
あたしに先んじるとはっ!やるなっ!
負けるもんですかっ!
ガツガツガツ!
あたしとガウリイは、大急ぎで皿の中身を口の中に放り込んだ!
そして、次の皿に手を伸ばす!
テーブルの上に乗っているのは、あと2皿!
1つは、肉料理。もう1つは、魚料理ね!
「あたしは、魚料理を戴くわ!」
「じゃ、オレは肉料理だっ!」
それぞれ皿を選ぶと、同時に平らげにかかる!
「‥‥‥次の料理、持って来るわね‥‥」
あたし達に無視されたおばちゃんは、少し寂しそうに、トボトボと厨房へと戻って行った。
あたし達は、それすらも無視して、食べる事に集中していた。
バクバクバクバクッ!!
大急ぎで皿の中身を口の中に放り込む!と。
「よっしゃー!終わったぞ!」
そう言って、ガウリイが皿から顔を上げた。
あたしの皿の中には、まだ料理が残っている。
く、くっそう!負けたぁ〜〜〜っ!!
「くやしい〜〜っ!!!」
「ハッハッハ、まだまだだな、リナ!」

‥‥あれ?そー言えば、いつの間に早食い競争になったんだろ。
ま、いーけど。なんて考えてると。
「へい、お待ち!」
次のお料理達がやって来た。
「よ〜し、今度こそ、負けないわよっ!!」
「ふっ‥‥その勝負、受けて立った!」
またぞろ、競争して料理を平らげにかかるあたし達。
「ねえ、あんたら。ここいらじゃ見かけない顔だけど、旅の人だろ?」
バクバクバク‥‥
カラ〜ン‥‥‥
「よ〜し、1皿終わった!」
「しまった、リナに先を越されたっ!!」
「見たとこ、旅の魔道士と剣士みたいだけど‥‥あんたら、ここいらの事、知ってて来たのかい?」
バクバクバク‥‥
カラ〜ン‥‥‥
「よ〜っし、今度はオレの方が早かったぞ!」
「おにょれっ!次でリベンジよっ!!」
「‥‥‥後にした方がいいようだね‥‥‥」
は〜〜っと、深いため息をつくと、おばちゃんは諦めて戻って行った。
もちろん、あたし達はその間も食事をし続けていたのだけど。

タンッ!!
最後のデザートを、テーブルの上に同時に置くあたし達。
同着とは‥‥‥ガウリイも、なかなかやるわね。
「う〜ん、くったくった‥‥‥」
満足そーなガウリイ。
「そーよね。1件しかない食堂だから、心配したけど思ったより美味しかったわね。これなら十分に合格点が付けられるわ!」
「そりゃありがとよ」
そう声をかけて、現れたのは、おばちゃんだった。
手に香茶の載ったトレーを持っている。
「お客さん達、旅の人かい?」
あたし達の前に、香茶を起きながら尋ねてくる。
「そーよ。あ、今日はここに泊めてもらうからね」
「そりゃありがとね。ところで、あんた達、見た所魔道士と剣士みたいだけど、ここいらで起こってる事件を知ってて来たのかい?」
事件?‥‥‥やっぱり、訳ありだったか‥‥
でも、あたしは素知らぬ顔でこう答えた。
「ううん、知らないけど‥何かあったの?」
すると、おばちゃんは顔を曇らせると、こう言った。
「そーかい‥だったら、悪い事は言わないから、元来た道を引き返しな。この先に何の用があるのか、知らないけど、命あっての物だねだよ」
「‥‥命あっての物だね、って、そんな物騒な事件が起こってるの!?」
驚いて聞き返すと。
「ああ、この町から先に行った所に、山があるんだけどね。その山へ行って、生きて帰って来た人は居ないんだよ」
「生きて帰って来た人って、それ‥‥あ、でも旅人なんでしょ?だったら次の町へ行っちゃっただけなんじゃないの?」
そう聞き返すと、おばちゃんは悲しそーな顔をした。
「‥‥そうだとよかったんだけどねぇ‥‥不思議な事に、今んところ襲われるのは、よそから来た旅人だけでね。地元の人間や町の間を行き来している商人なんかは襲われてないんだよ。で、隣町へ行って、戻って来た人の話によると、事件が起こりだしてから、と言うもの‥‥この町を旅立って行った人で、隣町へ無事着けた人はいないんだよ。隣町から旅立った人達も、この町へは誰1人として辿り着いていないしねえ‥‥んで、山に捜索隊が入って行ったんだけど‥‥‥」
「‥どうなったの。まさか、全滅した、とか‥‥‥」
「いいや、全員無事に帰って来たけどね。山の中で沢山の死体を見つけたらしいんだ。それも‥‥みんな、そりゃ非道い殺され方をしてたそうだ‥‥」
なんとも言えない、恐怖と悲しみとがない交ぜになった表情をするおばちゃん。
‥‥‥‥そりゃそーだろう。
このままじゃ、この町を訪れる人なんて、居なくなってしまう。
そうなったら‥町は成り立っていかなくなってしまう。
いや。それ以前に‥‥たとえ、今は『よその人』しか襲われていないとしても。
いつ‥‥自分達も襲われるか、分かった物ではないのだ。
いつ‥‥‥山ではなく、町中で‥‥自分達が襲われるのか、分かった物ではないのだ。
恐らく‥‥生きた心地などしやしないだろう。
それで、か。この町になんとなく活気がないのは。
そー言えば‥‥道で遊んでいる子供を1人も見かけなかったっけ。
きっと、みんな、家の中で息を潜めて、暮らしているんだろーなー‥‥
「大変ねー‥‥何か、手は打たなかったの?」
そう聞いて見るが。おばちゃんは、さらに表情を曇らせて、こう答えただけだった。
「それがねえ‥町長さんに呼ばれて、今までに何人もの腕に自信のある人達がやって来て、山に入って行ったけど‥‥誰1人として、戻って来ないんだよ‥‥‥」
そっか‥みんな、失敗してるんだ‥‥‥あ、でも待ってよ。
今、『町長さんに呼ばれて』って言ってたわよね。
「ってコトは、町長さんは、今度の事件を解決してくれる人を探しているのね」
「ああ、そうだよ。だから、てっきりあんた達もその為に来たのかと思ったんだけど」
なるほど、そっかー。
‥‥‥ふっふっふ‥‥‥これは儲け話になりそうねー!
なにしろ、何人もの人が失敗してるんだもの。
かなり、吹っ掛けられると見た!
「ねえ、町長さんちってどこ?」
おばちゃんに聞いてみると、おばちゃんは心底驚いたような顔をした。
「え?まさか‥‥‥あんたら、行く気かい?やめときなよ!見るからに強そーな人達だって、やられちまってんだよ!それなのに‥あんたみたいなお嬢ちゃんや、そこで寝てる優男じゃ無理だって!悪い事は言わないから、やめときなって!」
「だ〜いじょーぶだって!こう見えても、あたし達、腕は立つんだから‥‥‥って、今、『そこで寝てる』って言った!?」
慌てて向かいの席を見てみると‥‥‥
んなあ〜〜っ!!ガウリイのやつぅ〜〜〜っっ!!
ま〜た寝てやがるっ!!
「起きんか、このクラゲ〜〜〜ッ!!」
パコカァ〜〜ンッ!!
「いってーっ!!」
うん、こないだ泊まった宿屋からパクッて来たこのスリッパ、使い心地がいーのよねー。
音はいーし、ガウリイは1発で起きるし。
って、そーじゃなかった。
「こら、ガウリイ!人が話をしてる途中で寝るな、ってなんべん言ったら分かんのよ!いーかげん、覚えなさいっ!!」
ガウリイを怒鳴りつけてやる。
と、叩かれた所を撫でていた、ガウリイがさも不満そーに言った。
「だ〜ってよー。何の話、してんのか分かんないんだから、しょーがないだろ?リナだって、訳の分からない話を聞いてたら、眠くなるだろーがっ!!」
「あんたの場合は、『分からない』んじゃなくって、『分かろうとしない』んでしょーがっ!!少しは頭を使いなさいっ!!しまいに、頭が退化してなくなっちゃうわよっ!!」
怒鳴りつけてやるのだが、ガウリイと来たら、ニパッと笑いながら、
「あ、それなら大丈夫だ。いっつもリナにスリッパでぶん殴られてるから。ちゃんと使ってるんだから、なくなったりしないって」
などとぬかしてくれる。
‥‥‥‥‥‥あ〜ん〜た〜は〜ね〜‥‥‥‥‥‥
「そーゆー意味の『使う』じゃないわーっ!!!」
スパパパパーンッ!!
スリッパ往復、4連発がキレイに決まるっ!!
ふ、目にも留まらないスピードで相手を4回殴る、この荒技は、なかなか成功しないのよっ!!
これが決まるなんて、今日は絶好調よねっ!!
見ると、ガウリイは物も言わずに、テーブルに突っ伏している。
ふんっ!ふざけた事をぬかしたバツよっ!!
「あの〜〜‥‥‥」
その時、横からおばちゃんが声を掛けて来た。
ハッ!いっけない、忘れてたわ!
メシの元、メシの元!
「それで、おばちゃん、町長さんちはどこにあんの?」
まるで、何もなかったのように話しかけると、おばちゃんは額にひと筋汗をかきながらも、答えてくれた。
「それなら、街道沿いに行けば、町の中心に大きなお屋敷が建っているからね。そこが町長さんちだよ。ま、行けばすぐに分かるさ」
「ありがとうございます‥ガウリイ、行くわよ!」
あたしは、まだつんのめっているガウリイを引きずるようにして、教えられた道を行くのだった。



『カリメテの町に着いたあたし達。どうやら、この町では事件が起こってるらしい。う〜ん、儲け話の匂いがするわね!ガウリイ!町長さんちに急ぐわよ!
次回、「帰らずの山」 読んでくんないと、ま〜た暴れちゃうぞ!』

トップに戻る
8126し、しまった、補足説明忘れてるっ!龍崎星海 2002/2/18 20:08:11
記事番号8113へのコメント

こんばんは。龍崎です。
題にもあります通り、補足説明をコロッと忘れていたので、ここに書きます。
この「欲望の行き着く先」なんですが、時間的には、原作10巻終了〜13巻の間です。
だから、リナ達は剣がブラストソードだと気がついていません。
そこの所を、頭に置いて、この話をお読みくだい。
それでは、短いですが、これにて。

トップに戻る
8132Re:欲望の行き着く先 1藤原清貫(清川〜からH・N変更過渡期) E-mail 2002/2/20 18:22:05
記事番号8113へのコメント

>どうも、こんばんは。いつもは投稿1に投稿させて戴いている、龍崎です。

こんばんわぁ。龍崎さんの小説にははじめてレスさせていただきます。藤原です。

>予告しておりました、新連載、とりあえず第1話が出来上がりましたので、お送りします。
>一応、原作風のシリアスを目指そう、と思ったのですが‥第1話、はっきし言って、ギャグでしかない(笑)
>しかも、全っ然本題に入っていない(笑)
>困ったものです。

ふっ・・・かく言う私も、アイディア出して、プロット考えて・・・でも、いざ書くとなると全然筆が進まなかったり、最初のコンセプトと全然違う方向に話が進んでいったり・・・(汗)
・・・みんなそんな感じなのかもしれないですね。(汗)

>そうそう、この話は、カップリングなし、で行きます。‥行けると思います。
>それでは、どうぞ。

う〜ん。私もお話書く時は、カップリングよりはストーリーを大事にしているんですよね。あとキャラクターの描写だとか。
カップリングが嫌いだというわけではないのですが、あまりこだわりすぎて作品のテーマとか見失ってしまうのもそれがそれで困りものですしね。


>〜欲望の行き着く先〜
>第1話 発端
>
>
>あたし達は、街道を次の町目指して歩いていた。
>「もうすぐ、カリメテの町に着くわね。着いたら、さっそく名物を食べに行きましょ!」
>「おうっ!そうだなっ!」
>そうそう、あたしの名前は、リナ=インバース。
>こう見えても、ちょっと‥‥いや、かなり名前の知られた、天才魔道士よ。

・・・・・ま、いろんな意味で有名ですからね。リナは。

>え?悪名を轟かせている、の間違いじゃないのか、って?

ぎぎくぅっ!何故私の考えが読めるっ!?(滝汗)

>‥‥‥‥フッフッフッ‥‥‥‥‥‥
>どうやら、あんた、呪文であたしに吹っ飛ばされたいみたいね?

あああああああっ!ごめんなさいごめんなさいもう言いませんから許してぇぇぇぇぇっ!

>‥‥‥‥え?すみません、もう言いません、って?
>うん、分かればいーのよ、分かれば。

・・・ほっ。助かったぁ・・・(爆)

>あたしの、この、かわい〜い外見に惑わされて、あたしを甘く見たヤツは、1人残らず痛い目に遭ってる、って事を忘れないでもらいたいわね。

そーかな・・・かわいいのはわかるとして、甘く見られるのは単に幼児体系なだけなんぢゃあ・・・・・いえ、なんでもないです・・・(怖かったらしい)

>ンで、あたしの後ろを歩いている、金髪碧眼のハンサムにして、すらりとした長身の、見た目は超1級、でも頭の中身はスライム以下、のこの男は、ガウリイ=ガブリエフ。
>こー見えても、剣の腕と勘の良さは、天下一品だったりする。
>ちょっと前までは、光の剣、って言う、小さな子供でも知ってるよーな伝説の剣を持ってたんだけど‥‥ちょっとした事件で、その剣をなくしちゃって。
>それで今、代わりの剣を探す旅の途中なのよね。
>こないだ、なかなか良さそうな魔力剣を入手したんだけど‥‥ちょ〜っといまいち、だったので、それ以上の剣を探してる真っ最中、って訳。
>ああ‥‥次の町に、いい剣の噂が転がってるといーんだけどなあ。
>
>「なあ、リナ。次の町‥‥何て言ったっけ」
>後ろから、いきなりガウリイが話しかけてきた。
>「‥‥あのねえ。ガウリイ。ついさっき、言ったばっかりでしょ!だから、カリメテよ、カリメテ!も〜忘れたの、あんたはっ!!
>ったく、ホントにクラゲなんだからっ!!」
>「そうそう、そのカリ‥なんとか、って町、何が名物なんだ?」
>‥‥‥ヲイ‥‥
>「あんたねぇ‥‥まさかとは思うけど、たったの4文字が覚えらんないの?‥‥‥まーいーけど。そうね、小さな町で、有名でもなんでもないから、どんな名物があるのかは分かんないけど、山間の町だかんね。きっと‥‥山の幸なんかが豊富なはずよ!」

やっぱりというか・・・ガウリイの記憶力、忘却ぶりは健在・・どころか、今はさらに加速中?(爆)

>「山の幸、ってーと‥‥キノコとか、木の実とか‥‥後は山に棲む獣、ってとこか」
>「そーそー。特にキノコは、美味しい物が多いからねえ‥‥じゅるっ‥‥ああ、考えただけでよだれが‥ガウリイ、急ぐわよっ!!」
>「おうっ!!」
>
>カリメテに着いたあたし達は、早速食堂を探すのだった。
>‥‥それにしても、小さな町だからある程度は仕方ないものの‥‥な〜んか活気がないのよねえ‥‥‥
>町を行く人の姿も少ないし、その顔にも気のせいか、活気がない。
>‥‥こりゃ、ひょっとして何か訳ありかな?
>‥‥‥まーいーや。それより、ご飯よご飯!!
>おっ!町の大通り(ったって、小さな町だから大した事ないんだけど)沿いに、食堂発見!
>見た所、他に食堂らしき物はない。
>ってか‥‥あれ、宿屋も兼ねてるみたいね。
>って事は、今夜の宿はあそこで決定!って事ね。
>‥‥ううう‥‥こーいう、『町にたった1つの食堂』って、あんまり美味しくない場合が多いんだけど‥‥仕方ないか。
>背に腹は変えられないもんね。
>「ガウリイ、あそこで食事にしましょ。ンで、今夜は、あそこに泊まるわよ」
>「おう、そうだな。それはいーけど、何か、この町、イヤな雰囲気だな‥‥」
>「‥‥‥そーね‥‥気になるけど‥今は、食事が先よっ!!」
>あたし達は、その食堂兼、宿屋の扉をくぐった。
>「いらっりゃいませー」
>中に居た、おばちゃん(ここの女将だろうか?)が声を掛けてきた。
>昼食にはやや遅い‥かといって、夕食には早い時間帯のせいか、他にお客の姿はない。
>「おばちゃーん、何でもいーから、メニューの上から順番に1つずつ、持って来てくれない?」
>早速、注文をする。
>「あ、オレも同じの頼む!」
>続いて、ガウリイが注文する。
>「‥‥‥ああ、じゃ上から2つずつ、持って来ればいーんだね」
>おばちゃんは、額に汗を掻きながらも、厨房へと消えて言った。
>しかし‥この男、いつもおんなじ注文の仕方するけど‥やっぱり、何も考えてないんだろーなー。
>‥一度、とんでもない注文、してやろーか。
>ンで、『オレも同じの頼む!』と言ったガウリイを指さし笑ってやって‥あ、ダメだ。
>それだと、あたしもとんでもない物、食べるハメになっちゃうや。
>ちぇっ‥いい考えだと思ったんだけどな。
>などと、考えながら待つうちに、いー匂いがして来て‥‥
>「はい、お待ちどう」
>おばちゃんが、両手に持てるだけの皿を持って現れた。
>ドン!とテーブルの上に置く。
>「んー‥いー匂い‥‥‥おいしそー!」
>「おほっ!いっただっきまーすっ!」
>早速、ガウリイが料理に飛びつく。
>あ!よく見たら、一皿に2人分ずつ、盛ってあるじゃないのっ!!
>これは、ウカウカしてらんないわっ!!

ああ・・・波乱の予感が(爆)

>「こぅらーっ!ガウリイ!それ、半分はあたしのだかんねっ!全部、食べたら、承知しないんだからっ!!」
>一喝してやると。
>「もぐもぐ‥‥そんなの早い者勝ちだっ!!」
>言いつつ、皿を抱え込むガウリイ。
>そーなの‥‥そっちが、そのつもりならっ!!
>「こっちの皿は、あたしが貰ったっ!!」
>「あーっ!それ、オレもねらってたのにっ!こーなったら‥‥‥」
>言うや、皿を傾けて、その中身をザカザカザカ!と口の中に放り込むガウリイ。
>そして、次の皿を抱え込む!
>「ほへはほへはほはっは!」
>‥‥‥今の、『これはオレが貰った!』って言ったのよね。
>んだあーっ!!そーゆー事するかっ!!
>「おにょれ、ガウリイッ!だったら、あたしもっ!!」
>ザカザカザカッ!!
>皿の中身を口の中に放り込む!
>「ほへはははひほ!」
>‥ちなみに、今のは『これはあたしの!』って言ったのよ。
>バチバチバチッ!!
>あたしとガウリイの視線がぶつかり合い、2人の間で目に見えない火花が飛び散るっ!!
>「あのー‥‥‥そんな事しなくっても、まだまだ料理はあるんだけどねえ‥」
>おばちゃんが呆れ顔で言うけど‥そんなの、無視よっ!
>よそ事に気を取られてちゃ、ガウリイに負けちゃうわっ!!
>もぎゅもぎゅもぎゅ‥‥‥‥‥‥
>あたしは大急ぎで口の中の物を噛むと、ゴックン‥と飲み込む。
>そして、次の皿に取りかかる。
>ふと見ると、ガウリイも、すでに抱え込んでいる皿を平らげにかかっている。
>おにょれ、ガウリイ!
>あたしに先んじるとはっ!やるなっ!
>負けるもんですかっ!
>ガツガツガツ!
>あたしとガウリイは、大急ぎで皿の中身を口の中に放り込んだ!
>そして、次の皿に手を伸ばす!
>テーブルの上に乗っているのは、あと2皿!
>1つは、肉料理。もう1つは、魚料理ね!
>「あたしは、魚料理を戴くわ!」
>「じゃ、オレは肉料理だっ!」
>それぞれ皿を選ぶと、同時に平らげにかかる!
>「‥‥‥次の料理、持って来るわね‥‥」
>あたし達に無視されたおばちゃんは、少し寂しそうに、トボトボと厨房へと戻って行った。
>あたし達は、それすらも無視して、食べる事に集中していた。
>バクバクバクバクッ!!
>大急ぎで皿の中身を口の中に放り込む!と。
>「よっしゃー!終わったぞ!」
>そう言って、ガウリイが皿から顔を上げた。
>あたしの皿の中には、まだ料理が残っている。
>く、くっそう!負けたぁ〜〜〜っ!!
>「くやしい〜〜っ!!!」
>「ハッハッハ、まだまだだな、リナ!」
>
>‥‥あれ?そー言えば、いつの間に早食い競争になったんだろ。

料理が一皿に二人分来た時からです。(笑)そうでなくても、自然にはじまったかもしれないですけど。(汗)

>ま、いーけど。なんて考えてると。
>「へい、お待ち!」
>次のお料理達がやって来た。
>「よ〜し、今度こそ、負けないわよっ!!」
>「ふっ‥‥その勝負、受けて立った!」
>またぞろ、競争して料理を平らげにかかるあたし達。
>「ねえ、あんたら。ここいらじゃ見かけない顔だけど、旅の人だろ?」
>バクバクバク‥‥
>カラ〜ン‥‥‥
>「よ〜し、1皿終わった!」
>「しまった、リナに先を越されたっ!!」
>「見たとこ、旅の魔道士と剣士みたいだけど‥‥あんたら、ここいらの事、知ってて来たのかい?」
>バクバクバク‥‥
>カラ〜ン‥‥‥
>「よ〜っし、今度はオレの方が早かったぞ!」
>「おにょれっ!次でリベンジよっ!!」
>「‥‥‥後にした方がいいようだね‥‥‥」
>は〜〜っと、深いため息をつくと、おばちゃんは諦めて戻って行った。
>もちろん、あたし達はその間も食事をし続けていたのだけど。

いや・・・おばちゃんの背中、なんか寂しそうですよね・・・なんとなく。(汗)

>タンッ!!
>最後のデザートを、テーブルの上に同時に置くあたし達。
>同着とは‥‥‥ガウリイも、なかなかやるわね。
>「う〜ん、くったくった‥‥‥」
>満足そーなガウリイ。
>「そーよね。1件しかない食堂だから、心配したけど思ったより美味しかったわね。これなら十分に合格点が付けられるわ!」
>「そりゃありがとよ」
>そう声をかけて、現れたのは、おばちゃんだった。
>手に香茶の載ったトレーを持っている。
>「お客さん達、旅の人かい?」
>あたし達の前に、香茶を起きながら尋ねてくる。
>「そーよ。あ、今日はここに泊めてもらうからね」
>「そりゃありがとね。ところで、あんた達、見た所魔道士と剣士みたいだけど、ここいらで起こってる事件を知ってて来たのかい?」
>事件?‥‥‥やっぱり、訳ありだったか‥‥
>でも、あたしは素知らぬ顔でこう答えた。
>「ううん、知らないけど‥何かあったの?」
>すると、おばちゃんは顔を曇らせると、こう言った。
>「そーかい‥だったら、悪い事は言わないから、元来た道を引き返しな。この先に何の用があるのか、知らないけど、命あっての物だねだよ」
>「‥‥命あっての物だね、って、そんな物騒な事件が起こってるの!?」
>驚いて聞き返すと。
>「ああ、この町から先に行った所に、山があるんだけどね。その山へ行って、生きて帰って来た人は居ないんだよ」
>「生きて帰って来た人って、それ‥‥あ、でも旅人なんでしょ?だったら次の町へ行っちゃっただけなんじゃないの?」
>そう聞き返すと、おばちゃんは悲しそーな顔をした。
>「‥‥そうだとよかったんだけどねぇ‥‥不思議な事に、今んところ襲われるのは、よそから来た旅人だけでね。地元の人間や町の間を行き来している商人なんかは襲われてないんだよ。で、隣町へ行って、戻って来た人の話によると、事件が起こりだしてから、と言うもの‥‥この町を旅立って行った人で、隣町へ無事着けた人はいないんだよ。隣町から旅立った人達も、この町へは誰1人として辿り着いていないしねえ‥‥んで、山に捜索隊が入って行ったんだけど‥‥‥」
>「‥どうなったの。まさか、全滅した、とか‥‥‥」
>「いいや、全員無事に帰って来たけどね。山の中で沢山の死体を見つけたらしいんだ。それも‥‥みんな、そりゃ非道い殺され方をしてたそうだ‥‥」
>なんとも言えない、恐怖と悲しみとがない交ぜになった表情をするおばちゃん。
>‥‥‥‥そりゃそーだろう。
>このままじゃ、この町を訪れる人なんて、居なくなってしまう。
>そうなったら‥町は成り立っていかなくなってしまう。
>いや。それ以前に‥‥たとえ、今は『よその人』しか襲われていないとしても。
>いつ‥‥自分達も襲われるか、分かった物ではないのだ。
>いつ‥‥‥山ではなく、町中で‥‥自分達が襲われるのか、分かった物ではないのだ。
>恐らく‥‥生きた心地などしやしないだろう。
>それで、か。この町になんとなく活気がないのは。
>そー言えば‥‥道で遊んでいる子供を1人も見かけなかったっけ。
>きっと、みんな、家の中で息を潜めて、暮らしているんだろーなー‥‥
>「大変ねー‥‥何か、手は打たなかったの?」
>そう聞いて見るが。おばちゃんは、さらに表情を曇らせて、こう答えただけだった。
>「それがねえ‥町長さんに呼ばれて、今までに何人もの腕に自信のある人達がやって来て、山に入って行ったけど‥‥誰1人として、戻って来ないんだよ‥‥‥」
>そっか‥みんな、失敗してるんだ‥‥‥あ、でも待ってよ。
>今、『町長さんに呼ばれて』って言ってたわよね。
>「ってコトは、町長さんは、今度の事件を解決してくれる人を探しているのね」
>「ああ、そうだよ。だから、てっきりあんた達もその為に来たのかと思ったんだけど」
>なるほど、そっかー。
>‥‥‥ふっふっふ‥‥‥これは儲け話になりそうねー!
>なにしろ、何人もの人が失敗してるんだもの。
>かなり、吹っ掛けられると見た!

やはり吹っ掛けますか(汗)

>「ねえ、町長さんちってどこ?」
>おばちゃんに聞いてみると、おばちゃんは心底驚いたような顔をした。
>「え?まさか‥‥‥あんたら、行く気かい?やめときなよ!見るからに強そーな人達だって、やられちまってんだよ!それなのに‥あんたみたいなお嬢ちゃんや、そこで寝てる優男じゃ無理だって!悪い事は言わないから、やめときなって!」
>「だ〜いじょーぶだって!こう見えても、あたし達、腕は立つんだから‥‥‥って、今、『そこで寝てる』って言った!?」
>慌てて向かいの席を見てみると‥‥‥
>んなあ〜〜っ!!ガウリイのやつぅ〜〜〜っっ!!
>ま〜た寝てやがるっ!!
>「起きんか、このクラゲ〜〜〜ッ!!」
>パコカァ〜〜ンッ!!
>「いってーっ!!」
>うん、こないだ泊まった宿屋からパクッて来たこのスリッパ、使い心地がいーのよねー。
>音はいーし、ガウリイは1発で起きるし。

さ・・・さいですか・・・(汗)

>って、そーじゃなかった。
>「こら、ガウリイ!人が話をしてる途中で寝るな、ってなんべん言ったら分かんのよ!いーかげん、覚えなさいっ!!」
>ガウリイを怒鳴りつけてやる。
>と、叩かれた所を撫でていた、ガウリイがさも不満そーに言った。
>「だ〜ってよー。何の話、してんのか分かんないんだから、しょーがないだろ?リナだって、訳の分からない話を聞いてたら、眠くなるだろーがっ!!」
>「あんたの場合は、『分からない』んじゃなくって、『分かろうとしない』んでしょーがっ!!少しは頭を使いなさいっ!!しまいに、頭が退化してなくなっちゃうわよっ!!」
>怒鳴りつけてやるのだが、ガウリイと来たら、ニパッと笑いながら、
>「あ、それなら大丈夫だ。いっつもリナにスリッパでぶん殴られてるから。ちゃんと使ってるんだから、なくなったりしないって」
>などとぬかしてくれる。
>‥‥‥‥‥‥あ〜ん〜た〜は〜ね〜‥‥‥‥‥‥
>「そーゆー意味の『使う』じゃないわーっ!!!」
>スパパパパーンッ!!
>スリッパ往復、4連発がキレイに決まるっ!!
>ふ、目にも留まらないスピードで相手を4回殴る、この荒技は、なかなか成功しないのよっ!!
>これが決まるなんて、今日は絶好調よねっ!!
>見ると、ガウリイは物も言わずに、テーブルに突っ伏している。
>ふんっ!ふざけた事をぬかしたバツよっ!!
>「あの〜〜‥‥‥」
>その時、横からおばちゃんが声を掛けて来た。
>ハッ!いっけない、忘れてたわ!
>メシの元、メシの元!

メ・・・メシの元って・・・?(汗)
まぁ・・・リナらしい発想ですけど(汗)

>「それで、おばちゃん、町長さんちはどこにあんの?」
>まるで、何もなかったのように話しかけると、おばちゃんは額にひと筋汗をかきながらも、答えてくれた。
>「それなら、街道沿いに行けば、町の中心に大きなお屋敷が建っているからね。そこが町長さんちだよ。ま、行けばすぐに分かるさ」
>「ありがとうございます‥ガウリイ、行くわよ!」
>あたしは、まだつんのめっているガウリイを引きずるようにして、教えられた道を行くのだった。
>
>
>
>『カリメテの町に着いたあたし達。どうやら、この町では事件が起こってるらしい。う〜ん、儲け話の匂いがするわね!ガウリイ!町長さんちに急ぐわよ!
>次回、「帰らずの山」 読んでくんないと、ま〜た暴れちゃうぞ!』
>
ををっ!ここの部分はアニメ版の林原さんのナレーションですねっ!これ、毎回楽しみにしていたんですよ。毎回いろんなバージョンがあって面白かったです。
・・・とは言っても、生では一度も見てなくて、全てビデオだったんですけどね(汗)

とても面白かったです!現作風のリナの一人称+アニメっぽいノリ、という手法が素敵ですね。
ではでは、続きを楽しみにしておりますぅ〜

トップに戻る
8134どうも、こんばんは!龍崎星海 2002/2/20 20:09:58
記事番号8132へのコメント

どうも、こんばんは。レス、ありがとうございます。

> こんばんわぁ。龍崎さんの小説にははじめてレスさせていただきます。藤原です。

そう言えば、初めてですね。

> ふっ・・・かく言う私も、アイディア出して、プロット考えて・・・でも、いざ書くとなると全然筆が進まなかったり、最初のコンセプトと全然違う方向に話が進んでいったり・・・(汗)
> ・・・みんなそんな感じなのかもしれないですね。(汗)

そうですね。最初に思った通りに話が書けた試しがなかったりして(汗)
って言うか、いつもあらすじ程度のプロットしか決めてなかったりするんですが(笑)
それが、書き出すとどんどこ長くなる(笑)のが不思議なんですけどね。


>>『カリメテの町に着いたあたし達。どうやら、この町では事件が起こってるらしい。う〜ん、儲け話の匂いがするわね!ガウリイ!町長さんちに急ぐわよ!
>>次回、「帰らずの山」 読んでくんないと、ま〜た暴れちゃうぞ!』
>>
> ををっ!ここの部分はアニメ版の林原さんのナレーションですねっ!これ、毎回楽しみにしていたんですよ。毎回いろんなバージョンがあって面白かったです。

この予告、前作の「選択の時」の時、やって、好評だったので、またやってみたんですよ。
で、今回は、ってか次の話から、アニメ風のあらすじを入れようかな、とか思ってたりします。

> ・・・とは言っても、生では一度も見てなくて、全てビデオだったんですけどね(汗)

私も、実はリアルタイムで見たのは、NEXTからで、最初のシリーズはビデオで見ました。

>
> とても面白かったです!現作風のリナの一人称+アニメっぽいノリ、という手法が素敵ですね。

私は元々は原作のファンなんですが、アニメの影響も大きくって、両方ごたまぜの作風になっちゃっています(笑)
まあ、原作者さんご本人がアニメの影響を受けてるくらいですから、仕方がないのかもしれませんけどね。

> ではでは、続きを楽しみにしておりますぅ〜

ありがとうございます。
第2話、出来れば(笑)金曜日あたりにアップしたいなあ、とか思っております。
‥実は、書き上がってはいるのですが、打ち込みがしてないので、アップ出来ないんですよ。
それでは、また第2話でお会いしましょう。
龍崎でした!

トップに戻る
8154欲望の行き着く先 2龍崎星海 2002/2/22 21:36:19
記事番号8112へのコメント

『あたし、リナ=インバース。
カリメテの町に着いたあたし達は、町の様子を不審に思いながらも、お食事バトルを繰り広げていた。
その食堂のおばちゃんの話からすると、どうやら、この町では事件が起こってるらしい。
え?旅人が襲われてるって?儲け話見っけ!
さあ、町長さんちに急ぐわよ!』


〜欲望の行き着く先〜
第2話 帰らずの山


宿屋のおばちゃんに教えられた道を歩いて行くと‥‥大きなお屋敷が建っていた。
あれね?町長さんの家って。
‥‥‥しかし、それにしても‥‥‥
「おっきな家だなー」
ガウリイが感心したようにつぶやく。
いや、ガウリイがそう言うのも、無理はないのだ。
セイルーン・シティみたいな、大きな街ならいざ知らず‥こんな小さな町の、たかが町長さんの家にしては、あまりにも大き過ぎる。
‥‥っても、他の家が小さいから大きく見える、ってのもあるんだけどね。
それにしても、不自然な大きさだ。
まさかとは思うけど‥‥この町長さん、裏で何かやってんじゃないでしょうね。
まあ、いいわ。
その辺の事も、会うってみれば分かるでしょ。

「行くわよ、ガウリイ!」
「おう!って、リナ、この家に何か用なのか?言っとくけど、強盗、空き巣の類には手を貸さないからな」
‥‥‥‥‥‥こンの男は〜〜〜‥‥言うに事かいて、何て事をっ!!
「このスカタンッ!!誰がこの家に押し入る、って言ったのよっ!!」
スパコ〜‥‥ンッ!
ジャンプ1発、ガウリイの頭にスリッパの1撃が決まる!

「だああ〜っ!お前なあ!そう、パコパコ殴るなよっ!!いくら叩くのがスリッパ、とは言え、少しは痛いんだぞっ!!」
「少しくらいの事で、文句を言うんじゃないわよ!叩かれたくなかったら、人の言った事くらい、ちゃんと覚えときなさいっ!『町長さんちに行く』って、ついさっき、言ったばっかでしょーがっ!!!」
すると、ガウリイは、へ?と言う顔をした。
「‥‥言ったっけ?そんな事。リナ、さっき確か、『行く』って言ってただけで、『どこへ』とは言てなかったけど」
‥‥‥はうっ!!しまったあっ!!
そーいえば‥‥確か町長さんの事が話題にのぼっていた時、こいつは寝てたんだった‥‥
そりゃ、覚えてないわなー‥‥‥
‥いや‥話の途中で寝る、ガウリイが悪い!
うん、だから、ガウリイを叩いたあたしの行為は当然の行為なのよ!

‥‥‥それにしても‥‥‥ガウリイが、さっきの事を覚えているとはっ!!
ひょっとして、こいつ、脳味噌が少しずつ、復活してきてないか!?
少しずつだけど、頭も使うようになってるみたいだし。
‥それもこれも、きっとあたしの叩き方がよかったからよ!
だから、脳味噌が復活してきたのに、違いないわっ!!
偉いぞ、あたしっ!!
「‥‥‥そんな訳、ないだろーが‥‥‥」
ジト目であたしを見ながら、呆れたように言うガウリイ。
「へ‥な、なんであんた、あたしの考えてた事が分かるのよっ!さては‥人の考えが読める、新しい能力でも身に付けたのっ!?」
「‥‥‥ンな訳、ないだろーが‥‥お前さん、さっきから考えてた事を全部ブツブツと独り言でしゃべってたぞ」
‥‥へ?口に出して、言ってたの?あたし。
じゃー、分かるに決まってるわね‥‥
じとー‥‥‥‥‥‥
視線を感じて、そちらを見てみると、ガウリイがまーだあたしをジト目で見ている。

「あによ。何か言いたい訳?」
「いーや。呆れてるだけ」
‥‥‥‥ぐっぞー!なによっ!ちょっと間違えただけじゃないっ!!
あんたなんか、しょっちゅう間違えまくってるくせにっ!!
あんたにだけは、『呆れてる』だなんて、言われたくないわよっ!!
「と!とにかくっ!町長さんに、会いに行くわよっ!!」
「‥‥ごまかしたな‥‥」
うっさいっ!!

あたしは、町長さんちのドアを叩いた。
コンコン!
「すみませ〜ん!ちょっとお話を伺いたいんですが!」
少しすると、ドアが開き、中から執事とおぼしき男性が現れた。
その男は、あたしの顔を見るやいなや、
「押し売りなら、お断りです」
そう言って、バタン!とドアを閉めたのだった。
‥‥‥‥え〜っと‥‥し、しまった〜〜っ!
あまりの素早さに、声を掛けそびれてしまったっ!

ドンドンドン!
「押し売りじゃないんです!ここを開けて下さいっ!」
もう1度、ドアを叩く。
すると、もう1度ドアが開いて、執事さんが顔を見せたかと思うと、
「宗教の勧誘なら、お断りです」
と言うやいなや、またもやドアを閉めてしまう。
‥‥‥‥‥‥うにゃ〜っ!!
こ〜なったら、ヤケよっ!!
何が何でも、話を聞いて貰うわっ!!

ドンドンドンドン!
「宗教の勧誘でもないし、新聞の勧誘でもないんです!とにかく、話を聞いて下さいっ!!」
しつっこくドアを叩いていると、少しの間を置いて、ドアがギイィ‥‥と音を立てて開いた。
「何のご用ですか」
執事さんが聞いてくる。
ホッ‥‥やっと、話を聞いてくれる気になったらしい。
「この町で起こっている、事件についてお話を伺いたいんですが、町長さんはご在宅ですか?」
「‥‥少々お待ちください」
あたしの話を聞いた執事さんは、そう言うとドアの向こうに姿を消した。

しっかし‥‥いつも思うんだけど、どーして執事ってーと、あーしてみんな無表情なんだろう。
ひょっとして、世界のどこかには『執事養成学校』みたいなのがあって、そこでは『ポーカーフェースの作り方』なんてのを教えてんのかしらね。
なーんて考えてると。
ガチャリ‥‥とドアが再び開いた。
「旦那様がお会いになるそうです」
執事は、そう言ってあたし達を廷内に招き入れたのだった。

執事に案内されて廷内を歩いて行くけど‥‥ホントに広いわね。
一体、いくつ部屋があんのよ。
と、執事は、1つのドアの前で立ち止まった。
重厚な作りのドア。
‥‥執務室かしら。
ギイイイィ‥‥‥と両開きのドアが、重々しい音を立てて開く。
部屋の中は‥‥‥これまた、ドアの重厚さに負けず劣らず、かなり贅沢な作りになっていた。
見るからに高価そーな机に椅子、壁ぞいには、大きな書棚が設置してあり、そこは本で埋まっている。
‥‥‥ちょっと、これ、ヘタな地方のロードの執務室より、はるかに豪華じゃないのよ!
小さな町の町長さんには、あまりにも不釣り合い、ってか、こんな金の掛かる事、絶対に出来る訳、ないのに‥‥‥

あたしは、一瞬でそれだけの事を見て取ると、椅子に座っていた男の人に声を掛けた。
「この町の町長さんですね?」
年の頃なら、50過ぎ。
かなり金の掛かった服を着てるけど‥‥はっきり言って、衣装負けしている。
なんの事はない、どこにでも居る、フツーのおっさん、である。
「そうだが‥‥君は誰だね。この町で起こっている事件について聞きたいそうだが‥‥」
えらそーに、そのおっさん‥‥いや、町長さんが言った。
‥‥‥ったく。
小さな町の町長さんでしかないくせに‥服といい、部屋といい、絶対この人、勘違いしてるわね。
‥‥‥まーいーわ。あたしには関係ない事だかんね。

「あたしの名前は、リナ=インバース。こちらに居るのは相棒のガウリイ=ガブリエフです」
あたしの紹介に合わせて、ガウリイがペコリ、と頭を下げる。
「この町で起こっている事件なんですが、あたし達でお力になれるのではないか、と思いまして、こうして参上した次第です」
あたしが名乗った時、町長さんの表情がピクリ、と動いたのを、あたしは見逃さなかった。
「‥‥そうか、君がリナ=インバースか。噂はかねがね聞いている。確かに、君達ならなんとかしてくれるかもしれんな‥‥ああ、申し遅れたが、ワシの名はサントス=ガズニックと言う。‥‥まあ、そこに掛けたまえ」
彼に言われた通り、執務室に置いてあったソファーに腰掛けると、町長さん‥‥サントスさんは、あたし達の向かい側に腰を下ろすと、事件の概要を話してくれた。

「‥‥‥‥‥‥と言う訳だ」
「なるほど、分かりました。すると犯人は魔族なんですね?」
「ああ。詳しい事を書いた書類は、後でお渡しする。で、この1件、引き受けてくれるのかね、くれないのかね」
相変わらず、尊大な態度を崩さない、サントスさん。
‥‥あんたね。人に物を頼む時は、それなりの態度ってモンがあるでしょーがっ!!
ったく、フィルさんの方が、よっぽど頭が低いわよっ!!
‥‥ふっふっふっ‥‥いーわよ。
そっちがそのつもりなら、思いっきり吹っ掛けちゃるっ!!
見たトコ、お金はあるみたいだから、遠慮はいらないわよねっ!!
「‥‥そうですね。金貨1000枚、出していただけるなら、引き受けましょう」
‥‥どーだっ!!相場無視のこの値段っ!!
少しは慌てればいーんだわっ!!
な〜んて思ってたら。
「なるほど。では、前金として金貨1000枚、上手くいったら、もう1000枚だそう」
あっさりとそう言うサントスさん。
へ?‥‥あたしが言った、相場無視の値段の、さらに2倍出してくれるの!?
‥‥‥‥なんて、いー人だっ!!
もちろん、あたしに異存がある筈もなく、それを快諾する。
き‥‥金貨2000枚‥‥金貨2000枚っ!!
ああっ!!吹っ掛けてよかったっ!!


それにしても‥‥1つ、気になる事がある。
これは、確認しといた方がいいわよね。
「あの、サントスさん、1つ、聞きたい事があるんですけど」
後ろに控えていた執事に、金と書類を持ってくるように命じていたサントスさんに話しかける。
「詳しい事なら、書類に書いてあるから、そちらを‥‥」
「いえ、そーじゃなくって、見た所、かなりのお金を持ってらっしゃるようなんですが、そのお金、どーしたんですか?こんな小さな町の町長さんじゃ、そんなに儲からないと思うんですけど‥‥」
そう、気になっていたのは、お金の出所だ。
もし、不正をして貯めたお金なら‥‥後で吹っ飛ばして、お金を巻き上げ‥‥もとい、不正な蓄財を、没収してやらないといけないんだから。
もちろん、後で、って言うのは、事件を解決して、依頼料を貰ってから、って事だけど。

するとサントスさんは、いかにも不快げな表情を浮かべると、
「なんだね。ワシが不正な事をしている、とでも言うのかね!とんでもない!ワシほど公正な町長は居ないぞ!嘘だと思うのなら、町の住人にでも聞いてみるがいい!」
と怒りだしてしまった。
「いえ、あの、そんなつもりでは。町長さんが不正をしていないのは、分かっています。ただ、収入源はなにかなー、と思っただけで‥‥」

そうだ。
こんな小さな町で、たとえ不正をした所で、こ〜んなお屋敷、建てられる訳、ないんだから。
問題は、その他の収入源なのよ。
こんなお屋敷、裏で密売でもしてる、とか、変なクスリを作ってる、とかでもないかぎり、建てれっこないんだから。
すると、サントスさんは、あたしをしばらく睨み付けていたけど、あたしの言う事に納得してくれたのか、こう答えてくれた。
「‥‥フン、ならいい。実は、さっき話した山なのだが、あそこはワシが所有しておるのだが、あの山からはオリハルコンが採れるのでな。この屋敷は、その金で建てたのだ」
オリハルコン!!
なら、こんな屋敷の1件や2件、楽勝で建てられるわよね。
それにしても、よくもまーその山の権利、ロードにぶん取られなかったわねー。

と、そこへ、執事が金貨の入った袋と、書類を持って現れた。
「さあ!それを受け取ったら、さっさと仕事に取りかかってくれ!ワシは忙しいので、これで失礼する。おい!」
サントスさんに合図された執事によって、あたし達は屋敷から追い出されてしまった。
‥‥う‥‥怒ってるなー、サントスさん。
まあ、疑っちゃったんだから、しょーがないんだけど‥‥‥‥
仕方なく、あたし達はお金と書類を持って、宿屋へと戻って行った。


宿屋への道を歩いていると、ガウリイが話しかけて来た。
「なあ、リナ。さっきの話、結局、どーゆー事なんだ?」
「‥‥‥‥あんたねえ。聞いてなかったんかい!」
「いや、聞いてはいたけど、よく分からなかったから‥‥」
いつもの如く、頬をポリョポリョ掻いているガウリイ。
よく分からなかったって‥‥サントスさん、結構分かり易く話してたのにっ‥‥
「‥‥‥‥まーいーわ‥‥話してくれた事を整理するついでに話してあげるから、よーく聞きなさいよ。いい、この町の西にある山に、魔族が棲み着いて、通りかかる旅人を襲ってるから、そいつを退治してくれ、って依頼だったのよ。分かった!?」
あたしは、思いっきり要約して、教えてやった。
どーせ細かい事言ったって、ムダだもんね。
すると。
「おー!分かった。始めっから、そー言ってくれりゃーいーんだよな!」
手をポン!と叩いて納得するガウリイ。

「でも、そのわりにあの町長さん、困ってなかったな‥‥」
‥‥‥‥ヘェエ‥‥ガウリイも気づいてたか。
「そーなのよねー。でも、変なのは、それだけじゃないわよ」
「‥‥ああ、あの町長さん、怖がってなかった」
‥‥そう、そうなのだ。
旅人が来なくなれば、困るに決まってる。
こんな宿場町は、旅人で持ってるんだから。
まあ、それは、あの町長さんはお金持ちだから、自分さえ良ければ、って考えてるとしたら‥‥まあ、分かるとしても。
問題なのは、全く怖がってなかった事だ。
すぐ隣にある山で人が襲われて、殺されてるとなれば、怖がるのが普通だ。
ましてや、それが魔族の仕業となれば‥‥
いつ、山から町へ、標的を移すか、分かったものではない。
そうなれば、自分の命だって、危ないのだ。
普通なら‥‥怖くて怖くて仕方ないだろう。
実際、町の人達は、怖がっているんだし。
なのに‥‥あの町長さん、へーきな顔をしていた。
「‥‥これは、この事件、何かウラがあるかもしんないわね‥‥」
ポツリ、とそう漏らすと。
「何かって、何だ?」
ガウリイが聞いてくるが。
「‥‥‥‥そんなの、あたしの方が聞きたいわよ。とにかく、今日は宿へ戻って、この書類、よく読んで、美味しい物いっぱい食べて、山へ行くのは明日にしましょ!」
「おうっ!!」

よく朝。いつものお食事バトルを終わらせると。
「なあ、リナ。これからどうするんだ?」
これまたいつもの如く、ガウリイが聞いて来た。
「そうね。昨日言った通り、山へ行くわよ。どうやら、相手は下級魔族らしいけど、油断はしない方がいいわね」
「下級魔族って‥‥なんで、分かるんだ?」
ああ、そう言えば、まだガウリイには説明してなかったっけ。
「昨日もらった書類に書いてあったのよ。今回の事件の目撃者が居るんだけど、その人の話によると、犯人は人間の格好、してなかったらしいから。犯人が魔族、ってのもその人の目撃談が元になってるのよ。‥‥さて、ンじゃ行きますか!」
あたし達は、宿のおばちゃんに作ってもらったお弁当を持つと、山へと向かった。

街道を歩いていると、やがて道は森の中へと差し掛かった。
「‥‥う〜ん‥‥そろそろ、かしらねえ。ガウリイ、変な気配がしたら、教えてよ」
後ろを歩いているガウリイに声を掛けると。
「ああ、分かった。変な気配ならまだしないぞ。人間の気配なら、してるけどな」
なっ!人間って‥‥
「誰かいるのっ!?」
言うまでもないと思うが、街道にはあたし達以外に歩いている人影はない。
襲われるのが確実の道を歩くヤツなんて、居る訳ないのだ。
それなのに、気配がするって事は‥‥どこかに隠れてる、って事か!

「隠れてるのは分かっているのよ!出てらっしゃい!」
辺りに向かって、声を掛けてやる。
すると、行く手の藪が、ガサガサ!と揺れたかと思うと。
そこから現れたのは‥‥あたしのよく知っている人物だった。
「‥‥‥‥あんた‥‥ゼルガディスじゃないの!ひっさしぶりねえ!元気だったあ?もう、そんなトコで何やってたのよ!ったく、脅かさないでよね!」
久しぶりの再会に、声が弾む。
が‥‥何だか、ゼルの様子がおかしい。
ニコリともしないで、こちらを睨み付けている。

「‥‥‥‥ゼル?あんた、どーしたってのよ‥‥」
すると。
ゼルガディスは、腰の剣をスラリ!と抜きはなった。
「‥‥‥‥‥‥この先へは、行かせん」
そう言い、隙なく構える。
ちょ、ちょっとっ!!
「ゼル!どーゆー事よっ!!」


『町長さんの依頼を受け、魔族退治に山に入ったあたし達の前に立ちふさがったのは‥‥なんと、ゼル!?
ちょっとあんた!まさかとは思うけど、あたしと戦おうってんじゃないんでしょーねっ!!
次回、「ゼルガディス」読んでくんないと、ま〜た暴れちゃうぞ!』

トップに戻る
8178欲望の行き着く先 3龍崎星海 2002/3/1 22:39:22
記事番号8112へのコメント

『あたし、リナ=インバース。
カリメテの町に着いたあたし達は、町長さんの依頼で、魔族を退治するために山へと向かった。
そのあたし達の前に立ちふさがったのは、お久しぶりのゼルガディス。
ちょっとゼル!あんた、まさかとは思うけど、あたし達に喧嘩売る気じゃないでしょうね!』

〜欲望の行き着く先〜
第3話 ゼルガディス

 油断なく、剣を構える、ゼルガディス。
「ち、ちょっと待ってよ‥‥どう言う事よ、ちゃんと説明しなさいよ、ゼル!」
 慌てて声をかけるけど。
「‥‥‥‥説明する事などない。今すぐここから引き返せ」
 ゼルはぶっきらぼうに答えるだけ。

 う〜ん、取り付く島もないわねえ。でも。
「‥‥そんな事言われたってねぇ。こっちにも事情、ってのがあんのよ。
引き返す訳にはいかないわ。って言たら、あんた、どーする?」
 軽く、茶化すように答えると。
「‥‥‥‥‥‥なら、力ずくでも追い返すのみだ」
 それだけ言うと、ゼルは呪文の詠唱に入った。

 ‥‥ちょっと、ゼル!
 あんた、まさか本気であたし達とやる気じゃないでしょうね!

 あたしが戸惑っているうちに。
「ファイアー・ボールッ!!」
 ゼルがあたし達に向けて、唱えた呪文を解き放つ!
 もちろん、そんなのを喰らうあたし達ではない。
 とっさに飛び退いて、よけると、あたし達がついさっきまで立っていた場所にファイアー・ボールが着弾し、炸裂する!
 ドゥ〜〜ンッ!!
 こんのぉ〜〜っ!やったわねー!お返しよっ!
「フレア・アロー!」
 あたしは、唱えておいた呪文を、ゼルに向かって解き放つ!
 ヒュンヒュンヒュン‥‥‥‥!!
 何本もの炎の矢が、ゼル目掛けて飛んで行くが。
「ハアッ!!」
 ゼルは手に持った剣で、その炎の矢をたたき落とし、あるいはかわし‥‥結局、ゼルには1つも当たらなかった。
 ちちっ‥‥ゼルのやつ、やるじゃない。
 よく見ると、ゼルの持つ剣の刀身が赤く光っている。
 どうやら、いつの間にやらアストラル。ヴァインを唱えていたらしい。

 と。スィッ‥‥とガウリイが動き、ゼルに斬りかかる!
 カシィ‥‥‥ン!!
 2人の剣が、ぶつかり合う!
 カッ!‥‥カッ‥‥‥カシィ‥ン‥‥‥ガキッ!!
 2合、3合と刀を合わせ‥‥‥剣と剣での鍔迫り合いに入る。
 バカ力で押すガウリイ。
 が。ゼルも一歩も引かない。
 ギリギリギリ‥‥鋼と鋼が擦り合わされる、イヤな音が聞こえてくる。
 くうっ‥‥なんとか、フォローしたいんだけど‥ああ接近していたのでは、ヘタな呪文なんか使ったら、ガウリイまで巻き添えになってしまう。
 かと言って、あたしの剣の腕ではガウリイの邪魔になるだけだしっ!

 ハラハラしながら見守るうちに(もちろん、使えそうな呪文を唱えておく事も忘れてはいない)サッ!とゼルが後ろに飛びすさった。
 すかさず後を追うガウリイ!
 だが。ガウリイとの距離をあけたゼルは、手のひらをタンッ!と地面に付けた。
 あのポーズは!?‥やばいっ!!
「ガウリイッ!よけてっ!!」
 叫ぶと同時に、その場を離れるあたし。と同時に。
「ダグ・ハウト!」
 ゼルの声が響き渡る。
 大地が激しく揺れ動く。
 うわわわわっ!!
 は、走りにくいっ!!
 でも。躊躇しているヒマはない。だってこの後にはっ!!
「大地よ!我が意に従え!」
 ゼルが右手を大きく振り上げるのと同時に、無数の岩で出来た錐が地中からせり上がってくるっ!!
 や、やっぱりいっ!!
 とにかく、全力で走って、それをなんとかかわすっ!!
 だが。
 いきなり、あたしの足下から岩の錐が出現する!
 うどわだあっ!!
 だが、間一髪!
 ジャッ!!!
 岩の錐はあたしの直ぐ後ろをマントを切り裂きながら、通り過ぎる。
 ああっ!!あたしのマントがああ〜〜っ!!
 これ、高かったのよぉお〜〜っ!!
 ‥‥‥なんて、呑気な事を言ってる場合じゃないわね。
 後1歩、走るのが遅かったら。
 今頃は、串刺しになっていた筈だ。
 あ、危なかったぁ〜〜〜っ‥‥‥‥はっ!!
 そう言えば、ガウリイはっ!?ガウリイは無事なのっ!?
 慌てて辺りを見回すと。
 林立する岩の柱の向こう側に、ガウリイが立っているのが見えた。
 ほっ‥‥‥無事だったみたいね。

 それにしても‥‥‥ゼル〜〜〜っ!!
 あんた、なんて呪文使うのよっ!!
 もう少しで死ぬ所だったじゃないのっ!!
 仮にも、昔一緒に旅した仲間に、そーゆーシャレにならない呪文、使うんじゃないわよっ!!
 もー頭に来た。
 手加減なんか、してやんないかんねっ!!
「ガウリイッ!全力で行くわよっ!!」
「おうっ!!」

 ガウリイがゼル目掛けて走るっ!
「たあっ!」
 ひゅんっ!!
 斬りかかるが、それを軽いステップでかわすゼル。
 よっしゃ、ガウリイ!そのまんま、ゼルを引きつけておくのよっ!!
 このスキに、あたしは呪文の詠唱に入る。

  永久と無限をたゆたいし 全ての心の源よ
  我が意に従い閃光となり 深遠の闇を打ち払え

「ブラム・ブレイザー!!」
 青白い光がゼルと、その手前にいる、ガウリイ目掛けて伸びて行く。
 が。当たる寸前でガウリイが、さっと避ける!
 よっしゃ、このタイミングならっ!!
 だが。すんでの所で避けるゼル!
 おにょれ、ゼルッ!あれを避けるとはっ!!

 と、ゼルがガウリイの脇をすり抜け、あたし目掛けて走り出した。
 へ?‥ちょ、ちょっと待ってよ‥‥‥まさかっ!!
 あたしの目の前で剣を振りかぶるゼルッ!!
 ‥呪文を唱えている時間はない。
 あたしも剣で受けてっ!‥‥‥ま、間に合わないっ!!
 やられるっ!!!

 迫る、ゼルの剣!!
 思わず目をつぶると‥‥‥ガキッ!!と言う音がすぐ目の前でした。
 ‥‥‥‥‥‥あれ?‥何も起きない?‥‥‥‥
 恐る恐る目を開いてみると。
 あたしのすぐ鼻先でゼルの剣は止まっていた。
 ガウリイの剣によって‥‥‥

「こいつを殺したければ、まずオレを倒すんだな」
 そう言う、ガウリイの声には、明らかな怒りが含まれていた。
「ハアッ!!」
 力まかせに、ゼルの剣を押し戻すガウリイ!
 体勢が崩れたゼルに、さらに追い打ちをかける!
 ヒュンッ!ヒュヒュンッ!!
「くっ‥‥‥‥‥‥!!」
 早いスピードで繰り出されるガウリイの剣戟を、必死で受け止め、あるいはかわすゼルだが‥‥‥明らかに劣勢である。
 すっかりガウリイの発するもの凄い気迫に押されてしまっている。

 ガッ!!!
 とうとう、ゼルの剣がガウリイによって弾き飛ばされてしまった。
「し、しまったっ!!」
 だが、空手のゼルに、無慈悲に迫る、ガウリイの剣!
 と、そこへ。
「ファイアー・ボール!」
 どこからともなく、声が聞こえてきた。

「なっ!!」
 慌ててよける、ガウリイ!
 ついさっきまでガウリイが立っていた場所を、ファイアー・ボールの魔法が通り過ぎ‥‥森の中に着弾する!
 ドゥ〜〜‥‥ンッ!!

「誰なのっ!!」
 魔法が飛んで来たとおぼしき方向に声を掛けると。
 藪の中から、1人の女性が現れた。
 誰?さっきの魔法はこの人がやったの?‥‥と。
「レミールッ!!」
 ゼルが、その人に声を掛けた。
 くっ!ゼルの仲間かっ!!
 ゼル1人でも手強いってのに、仲間まで現れるなんてっ!!
 と。
「なんで出て来たっ!!」
 怒鳴りつけるゼル。

 ‥‥おい。助けてもらって置いて、それかい。
 でも、レミールとか言う女性は、めげなかった。
「すみません‥‥でも、ゼルガディスさん1人、戦わせるなんて、出来ません!
私も戦います!」
 そう言うと、呪文の詠唱に入る。

 ‥‥くっ!‥‥どうする?
 この、レミールとか言う人の実力も分からないし‥‥
 ここはひとまず‥‥
「ガウリイ!引き上げるわよっ!!」
 ガウリイに声を掛けると、元来た道を戻って行く。

 後ろから襲われる心配はないだろう。
 ゼルはあたし達を先に進めたくないだけなのだから。
 後ろも見ずに、歩いて行くあたし。
「おい、ちょっと待てよ、リナッ!」
 慌てて後から付いて来るガウリイ。

 思った通り、ゼルはあたし達を追っては来ず‥‥あたし達は、無事に町へと帰りついたのだった。

    ☆   ☆   ☆

 リナ達がいなくなった後。
「ゼルガディスさん、大丈夫ですか!?」
 レミールは、ゼルガディスに駆け寄った。
「‥‥‥‥ああ、大丈夫だ。済まなかったな‥‥‥‥」
「いえ‥‥元はと言えば、私のせいですから。
‥‥あの‥‥あの人たち、もしかしてゼルガディスさんのお知り合いの方ですか?」
 おずおずと聞くレミールに。
「‥‥‥‥ああ。以前、一緒に旅をしていた。
‥‥‥一緒に戦った事も、何度もある‥」
 ボソッと答えたゼルガディスの言葉に、その場に沈黙が落ちる。
「‥‥‥‥済みません‥‥私のせいで‥‥」
 申し訳なさそうに、そう言うレミールに。
 ゼルガディスは、
「構わん。俺は受けた依頼は完遂するだけだ」
 そう言って、森の中へと歩きだす。
 その後を追う、レミール。
 2人の姿は、森の中へと消えて行った。

『魔族退治に向かったあたし達の前に立ちふさがったゼル!
あんた、一体どうしたってのよ!本気であたし達の敵に回る気!?
次回、「真実はいずこ」読んでくんないと、ま〜た暴れちゃうぞ!』

********************************

はい、どうも。お疲れさまでした。
えー。なぜ今回は後書きがあるか、と言いますと。
言い訳があるからです(笑)。

作中にて、ゼルがガウリイの剣を自分の剣で受けております。
皆さん、ご承知の通り、ガウリイの剣はブラスト・ソードです。
ですから、普通ですと剣で受ける事なんて出来ないんですよね。
光の剣と一緒で、「構えた剣ごと真っ二つ」になっちゃいます。

でも。これまた皆さんのご承知の通り、この時点ではブラスト・ソードは本来の姿ではありません。
当然、切れ味も落ちています。

それと、ゼルの剣にはアストラル・ヴァインが掛かっています。
この魔法。切れ味を上げる力がありますが、切れ味が上がる、ってコトは、耐久性も上がるに違いない!
って訳で。受けられるだろう、と‥‥‥って、実は、いきなり真っ二つになっちゃったら、小説にならないので、無理矢理の設定です(笑)。

それと。☆の後は、3人称になっております。
神坂先生のように、「リナの見ていない所は切り捨てる」な〜んて事、出来なくって、こうなりました。
って、後書きでそれ書いてどーするんだろう(笑)

それにしても、1話まるごと戦闘シーンとは、我ながら無謀な事をするなあ(^_^;)。
おもしろくないかもしれませんが‥‥‥ご容赦を。
それと、今回、少し多めに改行してみました。
段の前も1つ明けて見ましたし。
‥‥‥いえ、その方が読みやすいかなー、とか思って。
それではこれにて。龍崎でしたっ!!

トップに戻る
8190欲望の行き着く先 4龍崎星海 2002/3/8 20:37:33
記事番号8112へのコメント

『あたし、リナ=インバース。
カリメテの町の町長さんの以来で、魔族退治に行ったあたし達の前に立ちふさがったのいは、なんとゼルガディス!
ゼル、あんた一体、どーしたってのよ!
さらに、ゼルとの戦いの途中で加わった謎の女性、レミール。
この事件の裏に、一体何があるってのよ!』

〜欲望の行き着く先〜
第4話 真実はいずこ

 町へと戻る途中で。
「なあ、リナ。ゼルのやつ、本気だったな」
 ガウリイがポツリともらした。
「‥‥‥‥‥‥‥‥」

 そう、あの時。
 確かにゼルは本気だった。
 ゼルは本気で‥‥‥あたしを殺すつもりで、斬りかかってきた。
 あの時、ガウリイが止めてくんなかったら‥今頃、あたしは死んでいただろう。

「‥‥‥ゼル‥‥‥一体、どうしちまったんだろうな‥‥」
「‥‥んなの、あたしの方が聞きたいわよ。
見たトコ、魔族に操られてる、って感じでもなかったし、ゼルが女の色香に惑わされるとも思えないし」

 きっと、訳があるんだろう。
 あいつ、『思いこんだら命がけ』ってトコあるし。
「とりあえず、町へ戻って、出直しましょ。作戦も立て直さないといけないし」
「作戦って、そんなモン、あったのか?」
 ‥‥う。
 ガウリイにしては、鋭いつっこみ。

 ええ、ええ!
 確かに、作戦なんて立ててませんでしたよ!
 行けば、なんとかなると思ってたモン!
「だって、まさかゼルを敵に回す、なんて思ってなかったんだから、今回の失敗は仕方がないのよっ!!」
 そーよ!全部、あいつが悪いっ!!

「ハイハイ、分かった分かった」
 苦笑しつつ、あたしの髪をワシャワシャかき回すガウリイ。
「‥‥だ〜か〜ら〜、それやめろ、っていつも言ってるでしょーがっ!
髪が傷む! ってか、髪型がぐちゃぐちゃになるでしょーがっ!
後で直すの、大変なのよっ!!」
 そう言って睨み付けてやると。
「どーせリナの髪は、あっちにはね、こっちにはね、してるから、少々グチャグチャになっても変わらんと思うぞ」
 ノホホ〜ンと言うガウリイ。

「うっさいよっ!!」
 げしっ!!
 思いっきり、ガウリイの向こうずねを蹴っ飛ばしてやる。
「いって〜〜っ!! 何すんだ、リナ!!」
「うっさい! 人が気にしてる事を言う、あんたが悪いっ!!」
「えーっ!! リナが気にしてたのって、胸が小さい事と身長が小さい事だけじゃなかったのか!?」
 こ・い・つ・は〜〜〜‥‥‥‥‥‥

「ディル・ブランドッ!!」
 ドヴァ〜〜ッ!!
「うわ〜〜〜‥‥‥‥‥‥」
 あたしの呪文で吹っ飛ばされる、ガウリイ。
「フン! 空のお散歩で頭を冷やして、少しは反省しなさいっ!!」

 町へ戻ってみると。
 ‥‥‥何かあったのかしらね。
 なんだか、町がざわついてるんだけど。
「‥‥‥何かしらね? 一体」
「なあ、リナ。あっちの方で人が集まっているぞ」
 いつの間にやら、あたしの後ろに来ていたガウリイがそう言う。
 うどわだっ!!びっくりした!!

「あんたね〜‥‥気配殺して、人の後ろに立つな!
ってか、その状態でいきなり話しかけるんじゃないの!
心臓に悪いでしょーがっ!!
ショック死でもしたら、どーしてくれんのよっ!!」
「‥‥お前がそんな事でショック死するよーなタマか〜〜?
‥‥‥‥いえ、なんでもありません」
 殺気を込めたあたしの視線に気が付いたのか、急に態度が殊勝になるガウリイ。
 ‥‥分かればいーのよ、分かれば。
 それにしても、その集まってる、ってのが気になるわね。
「ガウリイ、その人が集まってる、って方に案内してくれる?」

 ガウリイに案内されて、行ってみれば。
 なるほど、なにやら、みんなで集まっている。
 何かしらね。
「はい、ごめんなさいよ!
ごめんねー、通してくれる?」
 集まっている人をかき分けて、集まりの中心に行ってみると。

「皆さんっ!! ご安心くださいっ!
この私、アメリア=ウィル=テスラ=セイルーンが来たからには、皆さんには指一本触れさせませんっ!!」
 お〜〜‥‥‥‥パチパチパチ
 辺りに集まった人達から、歓声と、そして拍手がわき起こる。

「ア、アメリア!? あんた、なんでここにいんのよ!」
「え?‥‥リナさん! リナさんじゃないですか!
お久しぶりですっ!!」
 アメリアは、そう叫ぶと、あたしに抱きついて来たのだった。

「いやー、久しぶりねー。元気だった?」
 あの後、『こんな所ではなんだから』と言う事で、あたし達は、泊まっている宿の食堂へと移動したのだった。
「はいっ! リナさんもガウリイさんも、お元気そうでなによりですっ!!」
 元気な返事を返すアメリア。
 ‥相変わらずそうねー。
「で?あんた、何でこんなトコにいんのよ。
さっきの演説からすると、ここで起こっている事件がらみみたいだけど」
「はいっ! ここの事件の報告を聞いて、これは何とかしなければ、と思い、やって来ました!
領民の安全を守るのも、私達王族の責務ですからっ!!」
 領民って‥‥あ、そう言えば、この町もセイルーンの領内だったっけ。
 国境越えてすぐなんで、気づかなかったわ。

 ‥‥‥‥って、あれ?セイルーンシティからこの町へ来るには、問題の山を越えないと来れないんじゃなかったっけ。
「アメリア。あんた、ここにはどうやって来たのよ」
「はい、山向こうの町で話を聞きまして、山越えは危険、と判断し、レイ・ウイングで空を飛んで来ました!」
 ‥‥‥‥なるほど。それなら、問題なくこの町に来れるわね。
「お供の者達は、空を飛べないので、向こうの町に残ってもらいましたっ!!
時間がなかったので、何の説明もせずに来てしまいましたけどっ!!」
 ‥‥‥‥‥‥ヲイ。

「‥‥それって、普通、『置いてけぼりにした』とか、『1人でこっそり抜け出した』とか言わない?」
呆れ返るあたしに。
「大丈夫ですっ! 心に燃える正義の火がありさえすれば、きっと分かってくれます!」
 無意味に力説するアメリア。
 ‥‥‥‥ンな訳、あるかい。
 きっと今頃、向こうの町じゃあ大騒ぎになってるんだろーなー‥‥‥‥
 こりゃ、早いトコ、事件解決して、アメリア帰さないと。

「そ、そう‥‥‥‥それはそうと、あんたも大変ねー。
こんな辺境までわざわざ来るなんてさ」
「辺境なればこそ、です!どーしても、目が届きにくいですからっ!!」
 ‥‥まあ、確かにそうなんだけどね。
 盗賊の類も、辺境の方が多いんだし。

 それにしても‥‥‥‥ガウリイのヤツ、さっきから静かねえ。
 ま〜た寝てる、なんて事は、ないでしょーね。
「ちょっとガウリイ。起きてる!?
寝てたりしないでしょーねっ!!」
 横でポヘッとしていたガウリイに声をかけると。
「‥‥‥‥あ? ああ、起きてるぞ。ちょっと考え事をしてただけだ」
 との答え。

 な、なぬっ!!
「考え事っ!! ガウリイがっ!!」
「すごいですっ!! ガウリイさん、どうしちゃったんですかっ!!
何か、変な物でも食べたとかっ!!」
 それを聞いたガウリイが、肩をがっくりと落とした。

「‥‥‥‥お前さん達なあ‥‥人をどーゆー目で見てんだよ‥‥‥‥」
「こーゆー目」
 即答するあたし。
「‥‥‥‥‥‥あのなあ‥‥‥‥‥‥」
「と、まあ、冗談は置いといて」
「冗談に聞こえなかったんだが」
「ええい! 細かい事は気にしないのっ!!
それより、ガウリイ、一体、何考えてたのよ」
「あ、それ、私も聞きたいですー。
ぜひ、聞かせてくださいっ!!」
 2人して、ガウリイに詰め寄ると。
 ガウリイは、少しの間、頬をポリョポリョ掻いていたかと思うと。

「いや、何を考えてたかって‥‥こいつ、だれだったかなー、とか思ってさ」
 と、アメリアを指さしながら、のたまった。
 どがしゃっ!!!
 思わずずっこける、あたしとアメリア。

「うわあー、ハデなリアクションするなー‥‥冗談だよ、冗談!
ちゃんと覚えてるって!!」
 あ・ん・た・ねー!
「ウソじゃないでしょーね!」
「おう!アメリアだろ?いくらオレでも、一緒に旅をした仲間を忘れる訳ないだろ?」
ニッコリ笑ってそう言うけど。

「‥‥んじゃ、アメリアのフルネーム、答えてごらんなさいよ」
 あたしの言葉に、ガウリイはまともに表情を変えた。
「へ? ‥‥フ、フルネーム? ‥‥‥‥フルネーム〜〜‥‥アメリア、じゃないのか?」
ンな訳あるかいっ!!

「忘れたのね。大事な仲間の名前‥‥忘れたのねっ!!」
「えええええっ!!
ガウリイさん、私の名前、ほんっ気で忘れてたんですかっ!!
ガウリイさんのハクジョウ者〜〜っ!!」
 無意味に拳を握りしめるあたし。
 さめざめと涙を流すアメリア。

修羅場のど真ン中でガウリイは、
「え〜っと‥‥いや、その、ホラ‥‥‥‥そ、そうだ。
今は、オレが何を考えてたか、って話だったろ?
聞きたくないのか、オレが何を考えてたのか」
 ガウリイは額に一筋、汗を浮かべつつ、こう言った。
 ‥‥ごまかされたか。ちちっ!!
 付き合いの悪いヤツ!

 まあ、確かに、ガウリイが何考えてたか知りたいけど。
「んで? 何考えてたのよ、ガウリイ」
 所が。ガウリイときたら、何だか言いにくそうにしている。
「ちょっとっ!! あんたが言い出したんでしょーがっ!!
ちゃっちゃと白状する!!」
「そうですよ、ガウリイさん!
素直に白状すれば、お上にもお慈悲はありますよっ!!」
「お慈悲って‥‥まあ、いーけど。その、な‥‥‥‥」
 ポリョポリョ頬を掻きながら、ガウリイは
「‥‥‥‥ゼルの事をどう説明したらいいかな、と思って‥‥さ」
 と言った。

‥‥‥‥‥‥あ。
‥‥そうか‥‥アメリアがこの事件に関わるんなら、言わない訳には‥‥いかないわよねえ‥‥‥‥

ちろり、とアメリアの方を見ると。
「ゼルガディスさんがどうかしたんですか?
リナさんっ!! 話して下さいっ!
秘密にするなんて、水くさいですよっ!!!」
 詰め寄ってくる。
 ‥‥別に秘密にするつもりはないわよ。
 ‥‥‥‥言いにくいから、言いたくないだけで。

 でも‥‥‥‥だからって、逃げてたって、事態は変わらないわよね‥‥‥‥
「いい、アメリア。落ち着いて、聞いてちょうだい」
 そう前置きをすると、あたしは今日、山で見た事をアメリアに話したのだった。

「‥‥‥‥信じられません‥‥ゼルガディスさんが‥‥‥‥」
 呆然とするアメリア。
「でも、事実よ。間違いなく、ね」
「き、きっと、誰に操られてっ!!」
「そんな感じじゃなかったわね。あれは」
「じ、じゃあ、その女の人に惑わされてっ!!」
「ゼルが女の色香に惑わされるよーなヤツだと思う?」
「‥‥違いますね‥‥じゃあ‥‥‥‥」
「ええ‥‥ゼルは、本気であたし達と敵対するつもりよ‥‥‥‥‥‥」
 そして‥‥‥‥本気で戦うつもり‥‥
 その場を、いやな沈黙が覆った。

「‥‥‥‥たとえ‥‥たとえ、昔の仲間だったとしても‥‥
悪の手先となるのならばっ! 全力で戦うだけですっ!!
そうですよね、リナさんっ!!」
 吹っ切れたのだろうか‥‥いや、吹っ切ったのだろう。
 アメリアが、元気良く、あたしに声をかけてきた。

 ‥‥そうね。迷えば‥‥勝てる相手にだって、勝てなくなる。
 今度は、全力で行かせてもらうわ。ゼル。
 もう‥‥迷わない。
 あたしは、いつだって、前を向いて生きるっ!!
 そうと決まったら!
「じゃ、今日の所は、美味しい物でも食べて、あしたの為に鋭気を養いましょうか!」
「おうっ!!」
「はいっ!!」

『ゼルガディスとの戦いの後、町へ戻ったあたし達を待ち受けていたのは‥アメリアとの出会いだった。
アメリアと共に、ゼルとの再戦を誓うあたし達。
待ってらっしゃいよ〜、ゼル!
次回「巡りゆく運命」
読んでくんないと、ま〜た暴れちゃうぞ!』

トップに戻る
8206欲望の行き着く先5龍崎星海 2002/3/15 23:48:16
記事番号8112へのコメント

えー、今回は、ちょっと注意事項があります。
今回の話は、ちょっとダークです。
なので、その点に注意して、お読みください。
それでは、どうぞ。

*********************

『あたし、リナ=インバース。
ゼルとの戦いから戻ったあたし達を待ち受けていたのは、アメリアとの出会いだった。
ちょっと、アメリア。久しぶりじゃないの!
でも‥‥懐かしがってばかりもいらんない。
あたし達は、ゼルと戦わなきゃいけないのよね。
‥‥え?アメリア、あんたも来るの?
よっしゃー!じゃ、みんなでゼルをボッコボコにしに行きますか!』

〜欲望の行き着く先〜
第5話 巡りゆく運命

 翌日、あたし達は、もう1度山へと向かった。
 もちろん、ゼルとの決着を付けるため、よ。
 その道すがら。
「ねえ、リナさん。ゼルガディスさんは、本当に出て来るんでしょうか」
 アメリアが話しかけて来た。
 いや、出て来る、って、あんた‥‥熊じゃないんだから‥‥

「そうね、来ると思うわよ。
あいつ、何でかは知らないけどあたし達を先に行かせたくないみたいだから」
「そうですか‥あ、リナさん!
もし、ゼルガディスさんが出て来たら、まず私と話しをさせて下さいっ!
ゼルガディスさんを、説得してみますっ!!」
 勢いこんで、アメリアは言うけど。

 う〜ん‥説得出来るとは思えないけど、昨日の様子から言って、話をする間も与えず、いきなり襲って来たりはしないだろーし、話の途中で襲って来る心配もなさそーだから‥‥
「別にいーわよ」
 ま、もし説得出来ればめっけもんだしね。

 と、その時。ガウリイのまとう雰囲気が、すっ‥と変わった。
「‥‥リナ‥‥もうすぐだぞ‥‥‥」
 そっか。森の中を歩いているので、いまいち距離感が分かんないんだけど‥
 ガウリイがそう言うんなら、間違いはないわね。
「‥‥アメリア。そろそろ、ゼルが出て来るから、油断するんじゃないわよ」
 アメリアに注意を促すと、辺りを警戒しつつ、進んで行く。

 すると。
「止まれ。ここから先へ行かせる訳にはいかん。
ここで引き返せ」
 そう言いながら、ゼルが現れた。
 今回は、正面から歩いて現れたか。
 まあ、バレてんのに隠れたって、意味ないもんね。

「ゼルガディスさんっ!! 悪の手先になるとは、何事ですかっ!!
今からでも遅くはありませんっ!!
改心して、真人間に戻って下さいっ!!」
 ビシィッ!とゼルを指さして、アメリアが声高らかに言い放った。
 ‥‥‥‥何でもいーけど、アメリア。
 あんた、『人を指さしてはいけません』って教わらなかったんかい‥‥‥‥
 あたしの心の中のツッコミは無視して(当然だけどね)ゼルがアメリアに向き直った。

「‥‥アメリアか。お前には関係ない事だ。引き返せ」
 冷たく言い放つゼル。
 だが、これで引っ込むアメリアじゃなかった。
「関係なくはないです!
領民の苦しみを取り除くのは、王族としての務めですっ!!
さあ、ゼルガディスさん、そこをどいて下さいっ!!」
「‥‥‥‥どかない、と言ったら、どうする」
 ゼルの目が、キラリと冷たい輝きを放つ。

 フ‥‥そう来ると思ってたわよ。
「なら、全力で戦うまでよ。
言っとくけど、こっちは3人なのよ。
あんた1人で戦って、勝てると思ってるの?」
 不敵な笑みを浮かべて、ゼルを挑発してみる。
 ‥‥これで引っ込んでくれるといーんだけど‥‥‥‥
 でも。残念ながら、あたしの思い通りにはなってはくれなかった。

「1人じゃありません。私も戦います」
 そう言いながら、木の陰から出て来たのは‥‥レミールだった。
「さては‥‥あなたですねっ! ゼルガディスさんを惑わしたのはっ!!
ゼルガディスさんを悪の道に誘い込むとは、言語道断っ!!
この私が成敗してくれますっ!!」
 ビシィッ!と今度はレミールを指さしながら声高らかに宣言するアメリア。

 いや。だから。それ違うって。
「‥‥‥‥俺は惑わされた覚えはないんだが‥‥」
 ほーら、ゼルだってそう言ってるじゃない。
「ええっ! 違うんですかっ!
私はまた、てっきりそうかとっ!
それじゃ、なんでゼルガディスさんはこんな事をするんですかっ!!
ゼルガディスさんは、私たち、正義の仲良し4人組の一員じゃなかったんですかっ!!」
「‥‥‥‥だから。その呼び方、やめろっつーとろーが。
大体、俺は正義、なんて物には興味がない。
俺はただ‥‥受けた依頼を遂行するのみだ」
 ‥‥依頼?‥‥

「‥‥って事は‥‥ゼル、あんたがこんな事をしてるのは、依頼されたから、なのね。
‥‥‥‥もしかして。依頼主は、そこに居る‥‥レミール?」
「その質問に答える必要はない。
それより‥‥戦うのか、戦わないのか、どっちだ」
 冷たく答えるゼル。

 う〜ん、しょうがないわねぇ。
「‥‥‥‥そりゃ、もちろん‥‥‥‥」
 あたしが答えようとしたその時。
「やっぱり、イヤですっ! 間違ってます!
昔の仲間同士が戦うなんてっ!!」
 アメリアが叫んだ。

「ゼルガディスさんがどんな依頼を受けたかは知りませんが、それって、私達よりも大事なんですかっ!!」
「‥‥‥‥アメリア‥‥‥‥」
 ゼルの顔に動揺が浮かぶ。
「‥‥‥‥‥‥俺は‥‥‥‥‥‥」
 そう、言いかけると。
「ゼルガディスさんっ!!やめて下さいっ!!」
 レミールがそれを遮った。

 それを聞いた途端、ピクリ、とゼルの身体が動いた。
「‥‥‥‥分かっている‥‥お前達と話す事は、何もない。
引き返さないのなら、戦うまでだ」
 ちちっ‥‥もー少しだったのに。

 こりゃ、戦うしかないかな。
 でも‥‥アメリアの気持ちも分かる。
 ううん、あたしだって、本当は戦いたくなんかない‥‥

 お互い、動くに動けず、にらみ合いになってしまった。と。
『ククククク‥‥なかなか面白い事をしているな』
 どこからともなく、不気味な声がした。
「だ、誰っ!!」
 誰何するあたし。

「リナッ! 気をつけろ! 魔族だっ!!」
 いきなり剣を抜き、構えるガウリイ。
 なっ!魔族ですってっ!!
 まさか、この山にすくってる、っていう、ヤツか!?

『ククククク‥‥お前らの悩み、解消してやろうか』
 そう言いながら、現れたのは。
 黒い、まるで巨大化したアメーバみたいなやつだった。

「そっちから出て来てくれるとはね。手間が省けたわ」
 こっちはフルメンバーなのよ!
 人間型を取る事も出来ない下級魔族なんて、敵じゃないわ!

「旅人を襲い、町の人達を不安に陥れ、苦しめたその所業、許すまじ!
この私、アメリア=ウィル=テスラ=セイルーンが成敗してくれますっ!!」
 ビシィッ!と魔族を指さしながら、声高らかに宣言するアメリア。

 ‥‥イヤ、だから。いちいち、指さすんじゃないってば。
 そんなあたし達とは裏腹に、ガウリイは、緊張を解こうとはしなかった。
「気をつけろ、リナ、アメリアッ! こいつ、見た目よりずっと強いぞっ!!」
 え?何ですって!

 驚くあたしが反応するより早く。
 シャッ!!
 魔族が、アメーバみたいな身体の一部を、もの凄いスピードで伸ばした。
 狙いは‥‥レミール!?
 ザシュッ!!

 誰1人動く事が出来ないでいるうちに、魔族が伸ばした身体の1部は、細長い槍状となって、レミールの身体を差し貫いた。
「‥‥‥‥‥‥あ‥‥‥‥‥‥‥‥」
「レミールッ!」
 ゼルが駆け寄ろうとするけど、その前に。

 ズッ‥‥‥‥‥‥
 レミールの身体から、魔族は自分の身体の一部を抜き去った。
 ぐらり、と傾ぐレミールの身体。
「レミールッ!!」
 駆け寄ったゼルが、倒れようとするレミールの身体を受け止める。

「このっ!!」
 ガウリイが魔族に駆け寄り、剣を一閃したが。
 ヒュンッ‥‥‥‥
 魔族は、その身体をグニャリと変形させ、いとも容易くガウリイの攻撃をかわした。

『ククククク‥‥遊んでやりたいのは山々だが、まだやらねばならん事もあるので、これで失礼する』
 そう言い残すと、魔族は土の中へ、まるでしみ込むように消え去った。

「‥‥‥‥ガウリイ。あいつ、本当に行っちゃったの?」
 万が一の事も考えてガウリイに尋ねてみるが。
「ああ。行っちまった。もう大丈夫だ」
 ガウリイは、そう太鼓判を押した。

 ガウリイがそう言うんなら、間違いはないわね。後は‥‥
「ゼルガディスさんっ!」
 アメリアが、ゼルと、レミールの元に駆け寄る。

 そう、あの2人を‥‥ってより、レミールをどうするか、よね。
「どうなの?容態は」
 あたしも、ゼルの元に駆け寄る。けど。
 ゼルは、無言でゆっくりと、首を横に振った。

 見ると‥‥これは‥‥‥‥ほとんど即死、ね。
 なるほど‥‥あの魔族が言ってた、『お前らの悩み、解消してやろうか』ってのは、こーゆー意味だったか。

 確かに、レミールが死ねば‥‥あたし達はゼルと戦う理由がなくなる。
 ってか、正確に言えば、ゼルの方にあたし達と戦う理由がなくなるんだけど。
 依頼人が死んじゃったんだから。

 ‥‥まあ、ゼルの事だから『1度受けた依頼はちゃんとこなす』な〜んて言い出しかねないけどね。
「ねえゼル、レミールは死んじゃったんだし、出来れば事情を説明して欲しいんだけど。
事と次第によっては、あんたの受けた依頼、手伝うわよ。
それとも‥‥まだ戦うの?」
 死んだレミールを抱えたまま、動こうとしないゼルに声を掛けると。
「‥‥‥‥いや‥‥事情を説明する。
レミールが死んだ今、お前達と戦う必要はないからな‥‥」
 そう答えると、ゼルは無言でレミールの墓を作り出した。

 あたし達も手伝って、レミールの墓を作って。
 彼女を丁寧に葬った後、ゼルはポツリポツリと事の次第を話し始めた。
「じゃ何!? レミールって、あのサントス町長の娘だったの!?」
「ああ、そうだ。
ひょんな事から、父親の不正を知った彼女は、俺に依頼して来たんだ。
『父親の不正を止めてくれ』とな」

 なるほど。やっぱり、あの町長、不正してたのね。あ‥‥でも。
「あんな小さな町じゃ、不正ったってたかが知れてるわ。
何やったってのよ、あの町長」
「‥‥‥‥魔族と結託したんだ」
なっ!!何ですって!!
「魔族って、さっきのヤツなの!?」
「ああ、そうだ。
旅人をヤツに差し出す代わりに、オリハルコンを貰っていたんだ。
旅人が通らなくなってからは、『魔族退治』の名目で人を雇って、行かせていた。
だから‥‥これ以上、被害を出さないために誰もあの道を通すな、と依頼されたんだ」

 なるほど。オリハルコンが貴重なのは、数が少ない事もあるけど、採掘するのが大変だから、ってのもあるからね。
 ほんの少量のオリハルコンを採掘するために、でっかい坑道を掘り、大量の土を掻き出さないといけないから‥‥
 それを、魔族に掘り出して貰う、という手段でクリアしたか。

 それにしても‥‥‥‥
「許せませんっ!!」
 話を聞いていたアメリアがいきなり立ち上がった。
「お金のために‥‥自分の欲望のために、人の命を差し出すなんてっ!!
そのために、どれほどの人が悲しんだ事かっ!!
今直ぐ町長さん‥‥いえ、その男の所へ行って、正義の鉄槌を下すべきですっ!!」
 力説するアメリア。

 あたしだって同感だ。
 今直ぐ、あのおやじをぶん殴ってやりたい。

 だって、ゼルの言う通りなら、あたし達もまた、あの魔族に差し出された、生け贄だったんだから。でも。
「待ちなさいよ、アメリア。
あんなおやじ、制裁するのなんて、いつだって出来るわ。
それより前に、あの魔族をなんとかしないと。
でないと被害はもっともっと広がるわよ」

 そう、いくら町長を制裁したって、あの魔族はまた別の人間を見つけて、同じような事を始めるだろう。
 欲の深いヤツなんて、いくらでも居るんだから。
 まずは、元凶から叩かないと!

「‥‥‥‥それにしても、ゼル。
それならそうと言ってくれればいーじゃないの。
何も力ずくで追い返そうとせずに、さ。
話してくれれば、あたし達だって協力したのに」

 そう、そうすれば‥‥レミールだって、死なずに済んだかも知れないんだし。
 それは、ゼルにも分かってるんだろう。
 彼は、少し暗い顔をすると、こう答えた。
「‥‥それも、依頼に入っていたんだ。
決して他の人間には話すな、ってな。
レミールは、父親の不正を他の人間に知られたくはなかったらしい。
本当は‥‥自分1人で何とかしたかったんだが、それが無理なので、口の堅そうな俺に頼むのだ、と言ってた」
 なるほど。そーゆー事か。でも。
「それならそれで、言いよう、ってのがあんでしょーが。この先に魔族が待ち伏せしてるぞ、とか、なんとか‥‥」
「そんな事言ったくらいで引き返すお前じゃないだろーが」

 うっ!そ、そりゃ‥‥
 元々、その魔族を退治しに来たんだから、『魔族が出る』って言われたって、引き返しゃしないけどさ‥‥
「だ、だってゼル、あたし達がそー簡単にやられると思うの?」
「思わんが、万が一、って事もある。
第一、『誰も通すな』と言う依頼なのに、顔見知りだから、って通してどーする」

 そ、そりは‥‥そーだけど‥‥‥‥‥‥
 う〜ん‥‥じゃあ、しょーがないのか‥‥あれ、でもちょっと待ってよ。
「ゼル、あんた、あの魔族を倒そうとは思わなかったの。
倒しちゃえば、全部解決するじゃないの」
「思ったさ。だが、居場所が分からないんだ。
仕方なく旅人のフリして街道を歩いてみたんだが‥‥出て来なかったしな」

 そっか‥考えてみれば、魔族はあたし達人間と違って、眠る必要なんてないし、休みたければアストラル・サイドへ戻ればいーんだから『アジト』なんて必要ない訳で。
 おまけに、空間渡ったり、アストラル・サイドと出入りしたりすれば、それこそ神出鬼没な訳で。

 ‥‥そりゃ、見つからんわな。
 そー言えば、今まであたし達が魔族と戦った時って、いつでも向こうからやって来てたもんねー。
 こちらから出向く時だって、向こうの居場所がハッキリしてたし。
 魔族を探してまで戦うのって、これが初めてかもしんない‥‥
 探し出してまで、戦いたい、とは思わないもんねー‥‥ふつー‥‥‥‥

 あれ?でも。
「だったら、ゼル、あんたはどーするつもりだったのよ。
来る人間を追い返してるだけじゃ、ラチが開かないでしょーが」
「ああ、その事か。
それなら、週に1度、ヤツと町長がこの山の中にある小屋で会うんだ。
オリハルコンを受け渡すためにな。
その現場に踏み込むつもりだったんだ」

 なーるほど。そーゆーアテがあったのね。
 現場に踏み込まれたら、あの町長だってグウの音も出ないだろうーし。
 よっしゃー!見てなさいよ!
 ギッタンギッタンにしちゃるっ!!

「で、ゼル、週に1度会うってのはいつなのよ」
 それを聞いて、フッと笑うゼル。
「やっぱり、そう来たか。お前が騒動に首を突っ込まんハズ、ないからな」
 なっ!なによっ!
 それ、どーゆー意味よっ!!

「失礼ねっ! 変な事言わないでよっ!!
あたし達はね、正式に町長から依頼受けてんのよ!
『魔族を退治してくれ』ってね。
だから、その魔族を倒すのは、りっぱな仕事なのよ。
し・ご・と!分かったっ!!」
 言いつつ、ゼルを睨み付けてやるが。
「‥‥‥‥お前さんは、金貨1000枚が欲しいだけだろーが」
 ガウリイが、ボソッと突っ込んだ。
 ‥‥ああっ!よけいな事をっ!!

「金貨1000枚って‥‥おい、リナ。お前、そんなに吹っ掛けたのか!?」
「ひどいですー!くらなんでも、それはあんまりですっ!!」
 2人してあたしを非難する。
「しかも、だぜ。前金が1000枚で、仕事が終わったら、後金にもう1000枚貰うんだぜ?信じられるか?」

 ‥‥‥‥あああっ!ガウリイッ!
 どーしてあんたって、肝心な事は覚えてないくせに、そーゆー、どーでもいー事は覚えてんのよっ!!
「‥‥合計、金貨2000枚か‥‥‥‥」
 ジト目であたしを見るゼル。

「な、何よっ! 言っとくけど、あっちから言い出したんだからね!
あたしはただ、金貨1000枚、って言っただけなのに、あっちが勝手に『後金でもう1000枚』なんて言ったんだからっ!!」
「ほう‥‥じゃ、金貨1000枚、って言ったのは本当なんだな‥‥」
 ジトー‥‥とあたしを見るゼル。

「な‥‥なによなによっ!ちょ〜っと相場の数倍、吹っ掛けただけじゃないのっ!
それだって、向こうが納得して払う、っつってんだから、問題ないのよっ!!」
「ないのか?問題‥‥第一、その金はお前達を山へおびき出すために払ったんじゃないのか?あの町長」

 ま、まあ、確かにそうなんだろーけど‥‥
「いーのよっ! 貰った以上、あれはあたしの金なんだから!
ンで、あの魔族倒したら、もう1000枚、貰えるんだからっ!!」
「貰うつもり‥‥なんですか、リナさん‥‥‥‥」
 同じく、ジト目であたしを見るアメリア。

「何よ、トーゼンでしょ?あたしはあの町長と契約したのよ。
あの魔族を倒す、その報酬として、前金1000枚、後金1000枚貰う、ってね。
だから、あたしには貰う権利があんのよ。
たとえ、あの町長が別な事を考えて契約を交わしていたとしても‥‥ね」
 言い切るあたし。

 その場に降りた沈黙を破ったのは、ガウリイが盛大についた、ため息だった。
「ハアーッ‥‥‥‥ゼル、アメリア、言うだけ無駄だぜ。
こいつ、何が何でも魔族を倒して、金貨1000枚、せしめるつもりだ」
 ふふん、ガウリイ。分かってんじゃないの。
 伊達にあたしと長い事、付き合ってないわね。

「もっちろんよ。悪いヤツをやっつけて、報酬を貰う。
当然の事よね。
あ、ゼル、アメリア。
あんたらにも、手伝って貰うんだから、少しはお金、分けてあげるわよ」
 そう言ってやると。

「ええっ!リナが親切な事、言ってるっ!!」
「な!なんと!リナが金を払うだとっ!!」
「お‥‥恐ろしい‥‥きっとこれは、天変地異の前触れですっ!!」
 あ・ん・た・ら・ねぇ‥‥‥‥
「あんたら‥‥あたしの事を、どーゆー目で見てんのよっ!!
呪文で吹っ飛ばされたいのっ!!」

 ハハハハハ‥‥と顔に乾いた笑みを張り付かせて、3人揃って手をぱたぱた振ってごまかそーとする3人。
 ったく!‥‥まーいーけどさ。‥‥それより。
「ところで、ゼル。あんた、あの時。
あたしに本気で斬りかかったわよねえ。
あれって、どーゆー事なの。説明しなさいよね」
 ズイッとゼルに迫ると。
 ゼルは一筋、額に汗を浮かべた。

「‥‥‥覚えていたのか‥‥」
「忘れるかいっ!ガウリイじゃあるまいしっ!
さあ、何だってあたしを殺そーとしたのか、そのヘン、キッチリ説明してもらおーじゃないのっ!!」
「えええええー! ゼルガディスさん、そんな事してたんですかっ!
信じられませんっ! ひどいですーっ!!」
 叫ぶ、あたしとアメリア。
「そー言えば‥‥そんな事もあったよーな‥‥」
 ポリョポリョ頬を掻いているガウリイ。

 忘れたんかい、ガウリイ‥‥‥‥
 と、とりあえず、あたしとアメリアとでズズイッ!とゼルに迫ると。
「い、いや、あれはだな‥お前の性格から言って、あーでもしないと引き返そうとはしないだろうと思ってだな‥
ちゃんと、外すつもりではいたんだぞ、し、信じてくれ、本当だっ!」
 必死で言い訳するゼル。

「ンな言い訳、通ると思ってんのかい! 喰らえ、怒りのディル・ブランドッ!!」
 ドヴァーッ!!
 吹き上がる土砂!
 それと共に吹っ飛ばされるゼル!
「うわあ〜〜っ!あの時は、仕方なかったんだ〜〜〜っ!!」
 フン!仕方なかったで済めば、警察はいらないわよっ!!

 やがて待つほどに。
 ドゴッ!!
 ゼルがおっこって来た。

「あ、ゼルガディスさん、お帰りなさい!」
 ‥‥アメリア。上半身、地面にめり込んでるゼルに、まず言う事がそれかい‥
 まあ、あのゼルがこの程度でどーにかなるとは思えないけど。

「おーい、ゼル。大丈夫か」
 言うなり、ガウリイがゼルの足を掴んで、地面から引き抜いた。
「‥‥ああ、大丈夫だ。スマン」
 地面の中から現れたゼルは、多少汚れてはいたものの、傷などはないよーだ。
 う〜ん、相変わらず頑丈なヤツ。

「で、ゼル。魔族と町長が会うのって、いつなのよ」
「ああ、それか。なら、明日だ」
 明日か〜‥‥しゃ〜ない、出直すか。

「で、ゼル、あんた、その山小屋の場所、分かってんでしょーね」
「ああ、もちろんだ。明日、そこへ案内する」
 よっしゃ〜、そ〜と決まったら‥
「じゃ、今日の所は町へ戻りましょーか。あ、夕飯はゼルの奢りね」
「何でそんな事、しにゃならんのだ!」
 抗議するゼル。
 分かってないわねー。
「あのね、あたしを本気で殺そーとした事を、それっくらいで勘弁してやろー、って言ってんのよ。
感謝しなさい、感謝!
普通なら、た〜だじゃ置かないんだからね!」
 呆然とするゼルの肩を、ガウリイがポンポンと叩いた。
「ま、諦めろやゼル。リナの言う通りにしないと、何されるか分からんぞ」
「そーですよ、ゼルガディスさん。命あっての物種ですっ!
ここは、犬にでも噛まれたと思って、諦めてくださいっ!!」
 アメリアまで‥何言ってんのよっ!
「あたしは当然の事を言ったまでよっ!!
それより、行くわよっ!
いつまでも、こんな所に居たって、しょーがないんですからねっ!!」
 あたし達は、その場を後にして、町へと戻ったのだった。

『現れた黒幕。
やっぱり今度の事件、裏があったわね。
さ〜て、魔族をやっつけたら、あの町長から礼金ふんだくってやんなくっちゃ!
次回、最終回「決着、そして‥」読んでくんないと、ま〜た暴れちゃうぞ!』

***************************

はい、ご苦労様でした。
今回、ちょっと長いです。(当社比1・5倍‥)済みません‥
で、恒例(?)の言い訳ですが。
ゼルガディスが本気でリナ達を攻撃したのは、そうでもしないと勝ち目がないからです。
自分が負けてしまっては、依頼を遂行出来ないですからね。
で、ゼルガディス自身も言っていた通り、リナに斬りかかった時、確かにゼルは本気でしたが、ちゃんとギリギリで横にそらすつもりだったんです。
まあ、本気でやっても、リナ達なら死んだりしない、と言う信頼があるからこそ、やったんですが。

それから、どーでもいい設定を1つ。
町長が依頼金として渡した金ですが、依頼した傭兵達が殺された後で、「死体の回収」と称して、ちゃっかり回収してたりします。
もちろん、リナに渡した金貨1000枚も後で回収するつもりでした。
だからこそホイホイ金を渡せてたんですね。

さて、謎も全て解けました。
後は、魔族を退治するだけ、なんですが。
今回の謎は結構予想しやすかったと思います。
あなたの予想は当たりましたか?
それでは、次回最終回でお会いしましょう。
龍崎でした。

inserted by FC2 system