◆−いまさら再掲示について−ねんねこ(6/4-12:40)No.6681
 ┣クラヴィスくん家の家庭事情 T−ねんねこ(6/4-12:41)No.6682
 ┣クラヴィスくん家の家庭事情 U−ねんねこ(6/4-12:43)No.6683
 ┣クラヴィスくん家の家庭事情 V−ねんねこ(6/4-12:43)No.6684
 ┣太陽のあたる場所−ねんねこ(6/4-12:47)No.6685
 ┣再掲示ぃぃぃぃっvvv−時貝崎 刻弥(6/4-16:22)No.6687
 ┃┗再掲示なのん♪−ねんねこ(6/7-16:46)No.6712
 ┣読むほどに味がでて、これまた美味♪−ゆえ(6/4-22:04)No.6690
 ┃┗するめが欲しくなりました(笑)−ねんねこ(6/7-18:38)No.6713
 ┣ごめんなさいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!−ブラッド(6/5-08:45)No.6693
 ┃┗さらにごめんなさいっ!(汗)−ねんねこ(6/9-12:28)No.6722
 ┣ありがとうございます。−久遠安宿(6/5-15:05)No.6694
 ┃┗読んでくださった方に感謝を込めて。−ねんねこ(6/9-12:29)No.6723
 ┣THE DAY OF JUDGMENT 番外編 『THE RAINY LABYRINTH(前編)』−ねんねこ(6/6-17:39)No.6703
 ┃┣にょにょお父様ーーーーー!!(マテ)−時貝崎 刻弥(6/6-18:37)No.6705
 ┃┃┗あああまた新しい名前が出来てるしっっ!(笑)−ねんねこ(6/9-12:34)No.6724
 ┃┣父上・・・・・・・(泣)−久遠安宿(6/7-12:30)No.6710
 ┃┃┗投稿を しようと思って 空見れば 雨なぞ降らん 真っ青な空(泣)−ねんねこ(6/9-12:39)No.6725
 ┃┣涙腺ぶっ壊れ中−むくぅ(6/7-13:30)No.6711
 ┃┃┗あああっ!クーちゃんの胸でお泣きっ!(違っ)−ねんねこ(6/9-12:44)No.6726
 ┃┗ねんねこさ〜ま〜vv★vv(泣)−安井/あしよし(6/8-12:41)No.6716
 ┃ ┗あしよしさぁぁぁぁまぁぁぁぁぁvv☆vv(さらに対抗すな自分)−ねんねこ(6/9-12:55)No.6727
 ┗THE DAY OF JUDGMENT 番外編 『THE RAINY LABYRINTH(中編)』−ねんねこ(6/9-13:27)No.6728
  ┣10分ちょっと!?Σ( ̄◇ ̄;)−時貝崎 刻弥(6/9-13:43)No.6729
  ┃┗ならば対抗してっ!(待てよ)−ねんねこ(6/9-13:50)No.6730
  ┣うぞっっ!?(汗)−久遠安宿(6/9-15:17)No.6731
  ┃┣野猿ファン発見っ!!!!−安井/あしよし(6/10-20:22)No.6749
  ┃┃┗ねんねこさまファンクラブ発足!!−久遠安宿(6/11-12:33)No.6753
  ┃┃ ┗野猿の話を語りあいましょ♪−ねんねこ(6/12-18:46)No.6755
  ┃┗ほんとなのっ!(汗)−ねんねこ(6/12-18:43)No.6754
  ┣シモンくんっ!?−九条みすず(6/10-00:14)No.6742
  ┃┗シーちょん(笑)−ねんねこ(6/12-18:48)No.6756
  ┣うにょをををををををっ!?なんってしょーげきてきなしんぢぢつっ!−早坂未森(6/10-09:24)No.6746
  ┃┗あああああっ!なんてとっぴょーしもない真実っ!?(爆)−ねんねこ(6/12-18:49)No.6757
  ┣シモンさぁぁあぁんっ!−むくぅ(6/10-13:25)No.6747
  ┃┗クローデルさぁぁぁぁぁんっ!!−ねんねこ(6/12-18:50)No.6758
  ┗ああぁぁぁっ、しまっちゃうオジさんがっ!?(違うって)−安井/あしよし(6/10-22:36)No.6750
   ┗そっちなの!?ねえ、そっちなの!?(笑)−ねんねこ(6/12-18:52)No.6759
    ┗ん〜。ほぉら、どんどんしまっちゃうよ〜♪−ゆえ(6/13-08:48)NEWNo.6763
     ┗しまうなぁぁぁぁぁぁぁぁっ!(泣)←石っころ心の叫び−ねんねこ(6/15-14:36)NEWNo.6770


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6681いまさら再掲示についてねんねこ E-mail URL6/4-12:40



最近滞る『THE DAY OF JUDGMENT(以下『審判』)』について考えてみる。
……続きが書きたいけど書けないのはお前のせいだっ!なんだようさぎ化ってぇのはっ!おかげでうさぎにしか見えなくなったわっ!パパりんなんか嫌いだいっ!(←自分のせい)
―――などと無意味にのた打ち回りながらねんねこです。
本気で『審判』の方を書き始めようとしたのですが、いろいろぺたぺた張りまくった伏線をまとめているうちに一番大事な伏線が抜けていることに気がつきまして(待て)入れようにも入れられないので、番外編として書くことにしたのですが……まあいつものごとく過去の話を最大限に利用してまして。いつもならば、『著作別から拾って下さい』の一言で終われるのですが、今回ばかりはそうも言えず。
実は、以前こちらに投稿させてもらっていたシリーズが途中で行き詰まり(汗)ちょうどその時個人的にHPを開設したこともあって、『続きはHPでね♪』などというふざけまくったことをいたしまして。しかも書き直したためにびみょーに『書き殴り』版とHP版が違ってまして。それに気づいていらっしゃらない方が結構いらっしゃって、いまいち読んでて話がわからないという指摘を頂いたので、ほとぼりも冷めた頃だし、なぜか好評な話なので再掲示してしまえ☆ということになりました。

というわけで、『クラヴィスくん家の家庭事情』再掲示いたします。時期的には『禁断の宝石』と『白の奇跡』の間です。というわけで、『あああうさぎはどこへ?』とか『親父、石っころはどうした?(笑)』などと突っ込みいれながら読むのも一興かと。
ちなみにこれの続編である『太陽の当たる場所』はHPのみの公開となっていましたので、こちらのみで私の話を読んで下さっている方は一度読んでくださると嬉しいですvv
かなりコンパクトな感じでツリーが出来上がってますが、冗談抜きで長いです。サイズで言うと……170KB……すみません……誰かのツリー道連れで落とすかもしれないでし……(滝汗)
ページ数にするとどれくらいになるかはわかりませんが、印字しないでください音読しないでくださいとある方(笑)

長くなりましたが、それではどうぞvv

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6682クラヴィスくん家の家庭事情 Tねんねこ E-mail URL6/4-12:41
記事番号6681へのコメント


 激しい雨が身体を濡らした。冷たいその雨は、彼の体温をどんどん奪っていった。
 ――このまま死んだら、楽になれるのかな……?
 ふとそんなことを考えて、彼は自嘲した。
(どうせ、怖くて死ねるわけないのにね)
 天然のシャワーに何の抵抗もせず、彼は空を見上げた。
 何もかもが嫌だった。
 家も親も自分の身分も、すべて。
 濡れた黒髪が顔に張り付く。その感触が気持ち悪くて、彼は頭を振った。
 と。
「風邪、ひくわよ? そんな所に突っ立ってると」
 声とともに自分の周りだけ、雨が止む。視界の端に見えた黄色い布で、初めて自分が傘の中に入っていると気付いた。
「まあ、病院の前だし、風邪ひいてもすぐに駆け込めば良いんでしょうけど……あ、もしかして、病院の中に目当ての素敵な看護婦さんがいるのかしら?」
(だといいんだけどね)
 心の中で独りごちながら、彼は顔だけを後ろに向け、死人のような輝きのない瞳を自分を傘の中に入れた人物に向けた。
 セミロングの黒い髪、群青色の瞳、透き通るような白い肌。まるで、昔読んだおとぎ話の挿絵に出てきた妖精のようだった。
 自分と同い年くらいのその女は、彼に向かってにっこりと微笑んだ。
「私、シルヴィア。シルヴィア=ルシオン。あなた、ヴァレンタイン家の人間よね、見たことあるから。名前、なんだっけ?」
 ――彼女との出会いはこんなものだった。


「はぁぁぁぁぁ」
 窓の外を見つめて、男はため息をついた。見た目は30代前半。実際は40代半ばだったが。執務机の上の封筒を見つめ、香茶をすする。
 そして再び、ため息。
 執務机の後ろにあるテラスへと出られる窓の方に椅子ごと向いて、空を見上げる。
 どこまでも続く青い空。この空のどこかにあの子はいるのだろう。
 家から問答無用で追い出されて、泣いてはいないだろうか。何かの事件に巻き込まれて、危険な目にあっていないだろうか。最近やたらと出没するデーモンたちに遭遇してはいないだろうか――
 あの子のことを考えただけで、無限に近い不安がこみ上げてくる。
「ああ……君はどこに行っちゃったんだい?」
 ひとり呟く。あの子の姿を思い出してしまって、男はひときわ深いため息をついて、涙混じりにうめいた。
「あぅぅぅぅぅぅぅぅ。クラヴィスくぅぅぅぅぅん。パパりん、寂しいよぉぉぉぉう」
 ――ウィルフレッド=ヴァレンタイン。
 いつまでも息子離れの出来ないこの男は、今年で45歳になる、ヴァレンタイン家の当主である。
 ウィルフレッドのうめきはさらに続いた。
「クラヴィスくぅぅぅぅぅん。早く帰ってきてぇぇぇぇぇぇぇ」
 空はどこまでも青く広がっていた。


    クラヴィスくん家の家庭事情


「へぐしっ! うう、風邪かなぁぁぁ?」
 クラヴィス=ヴァレンタインはくしゃみ一つして、ぐずる鼻をこすった。
 腰まである長い黒髪に、宝石のような翠色の瞳。首からは亡き妻との結婚指輪がついた鎖をかけている。一緒に旅する仲間の中では、最年長の22歳。
『エセ神官』から始まり、『落ち目の根性なし』『もやしなナルシスト』『女顔のプレイボーイ』『女好きな男やもめ』などと全然全くこれっぽっちも嬉しくないような呼び方を仲間達――というか十数年来の親友に言われまくっているが――あながち間違ってもいないので、なかなか反論できなかった。何しろ、親友は全くの誤解とめちゃくちゃ図星な部分を微妙なバランスでかけてくるのだ。この辺りの口の上手さ――もちろん悪い意味のだが――は、きっと亡き彼の祖父に似たのだろう。あまり喜ばしいことではないが。
「なあ、知ってるか? クラヴィス」
 少し後ろをもう一人の連れと共に歩いていたゼルガディス=グレイワーズが、クラヴィスに近づいてきた。
「何がだよ?」
「夏風邪ってバカがひくんだぜ」
 間接的に「バカ」と言われて、クラヴィスは少々むっとしかけたが、まっすぐゼルガディスの方に――正確には、彼の隣のアメリアを指差した。
「アメリアちゃんも風邪気味だって言ってたぜ」
「へ?」
 クラヴィスの言葉にゼルガディスは間の抜けた声をあげ、隣を見る。そちらからは背筋が凍るような冷たい視線。
 無表情で淡々とアメリアは言った。
「悪かったですね。『バカ』で」
 ただ一言。
 そのたった一言は、ゼルガディスを慌てさせるには十分すぎるくらいだった。彼は全身に冷や汗を流して、「うあ」とうめくと、取り繕うようにわさわさと手を動かし、言う。
「あ、いや、もう夏じゃなくて、秋だし……!」
「……お前、徹底的に弱いな……」
 自分より3歳も年下の娘に必死に言い訳をするゼルガディスに、クラヴィスは呆れた。
 その台詞にゼルガディスは、ぴたり、と止まり、呆れた顔をしているクラヴィスを見た。
「……そういうお前は違ったのかよ?」
 言われてクラヴィスは『冗談だろ』というように鼻を鳴らした。
「違うに決まってんだろ。オレはもともと亭主関白なん……だ………だだだ」
 強気だった口調がだんだんと弱くなっている。
 色々何かを思い出したようで、クラヴィスの頬には一筋の汗が流れた。
 そのうち、何かを思いついたようにぽん、と手を打つ。
「そーだな。惚れた女にゃ弱いってのが、本当の男ってもんだ」
(……絶対あれは尻に敷かれてたな……)
 乾いた笑いをしているクラヴィスを見ながら、ゼルガディスとアメリアは心の中で呟いた。
 なんだかんだ他愛のない会話をしながら、街道の緩い坂を登りきると、眼下には、特徴的な形の街が見えてきた。
 聖なる六芳星の魔方陣の形。
 その街の形と、白魔術が盛んなことからその街はこう呼ばれている。
 ――聖王都セイルーン、と。
「のひゃあ! やっと着きましたねー」
 セイルーン・シティを眺めながら、アメリアは声をあげた。
 アメリア=ウィル=テスラ=セイルーン。この国の第二王女であり、親族の相次ぐ継承権放棄のせいで、第三王位継承権をもつことになってしまった人間でもある。彼女の知り合いの多くは、彼女が王位を継がないことを強く願っていたが。
 ゼルガディスとクラヴィスも苦々しい顔で、街を眺めた。
「あーあ。ついに来ちゃったよ……」
「ヤだなー。行きたくないし」
 口々に呟く。
 ライゼール帝国に入ろうとしていた矢先に突然来た、もう一人の連れだった獣神官ゼロスの『ライゼール入国禁止令』とアメリアの父親であるフィリオネルから預かってきたと言う『アメリア一時帰城命令』のせいで、当分は行くつもりがなかったセイルーンに向かい始めてから約一ヶ月。
「ったく、なんで急にライゼールには行くなとか言ったんだ? ゼロスのやつ」
「……リナさんに会いにサイラーグに行くって言ってましたけど」
 アメリアの答えにゼルガディスが怪訝な顔をした。
「リナに会いに? 何の用だ?」
「……さあ」
 アメリアはゼルガディスから視線をそらし、肩をすくめた。
『サイラーグで魔王様が復活します。絶対に来ないでください。命の保証は出来ませんから。魔王様は……僕がこう言うのもなんなんですが、リナさんが倒してしまうでしょうね。だから、安心してセイルーンに向かってください』
 別れる間際に自分だけに言ったあのゼロスの言葉をあえて二人には言わずに内緒にしていた。
『正義なんぞ知らん』などと言いつつも、結局事件に首を突っ込み解決してしまう正義感溢れまくるゼルガディスとクラヴィスのことだから、言えばすぐにリナたちの加勢をしにサイラーグへ向かうだろう。
 自分勝手な言い分だとはわかっているが、この二人にはあまり危険なことに首を突っ込んで欲しくはなかった。
 とはいえ、ゼルガディスもアメリアのそんな様子に気付かないほどバカではない。ただ、彼女が話さないのなら聞く必要のないことなのだろうとあえて聞かないでおいた。
 嘆息して、クラヴィスに目をやる。
 自分より苦々しい顔をしている彼に声をかける。
「……で、どうするか決めたのか?」
 その台詞だけで、クラヴィスは意味を理解した。嘆息して、首を横に振る。
「決めるも何もねーだろ。最初っから言ってる。『家には戻らない』って」
「……そうか。んじゃ、二人仲良くフィルさんの説教決定だな。かなり怒ってるぞ」
「うげ」
 クラヴィスがうめく。
 ゼルガディスの悩みはフィリオネルのことだった。
 とある事件に巻き込まれたアメリアを『連れ帰す』と言う約束をしたのにも関わらず、『いつ』とは言ってないからいつでもいいだろう、と自分勝手に解釈して、数ヶ月間アメリアを引っ張りまわしたのだ。いくらアメリアが『旅してきます』との手紙を送っても、父親として、娘が男と旅するのは納得が行かないだろう。いくら信用のおける人間だったとしても。
「結局どっちも地獄じゃねぇか」
「この分だと今日の夕方には完璧着くな」
 ゼルガディスはちらり、とクラヴィスを見た。
「……帰った方がいいと思うなー……」
「やかましいっ! ぜってぇ根性でも帰んねぇかんなっ! オレはっ!!」
 ぼそりと呟いたゼルガディスの言葉にクラヴィスはありったけの力を込めて拒絶した。


『汚らわしい』
『お前にはヴァレンタイン家の名の名乗る資格などないのだよ』
『全く、父上にも困ったものだ』
『こんな汚らわしい子供を我がヴァレンタイン家の中に入れるとは』
『お前など、弟とも思わんわ』
 ――いつからだったろうか。
 きっと生まれたときからだった。
 二人の兄にそんな言葉を言われ始めたのは。
『僕、何かいけないことしたの?』
 幼かった自分は、よく父親に泣きついていた。父親はただ、自分を抱きしめただけだった。
 ただ、一言だけを繰り返す。
『ごめんね、クラヴィスくん。時が来たら――』
 ただ、その一言だけ。


 ウィルフレッドの言葉に彼の三人の息子の内の二人――長男ハージェスと次男エドワードはしばし絶句した。
 父親の言葉から数分経って、ようやくハージェスの方が口を開く。
「……なんておっしゃいましたか? 父上」
「聞こえなかったのかい? 僕は三男クラヴィス=ヴァレンタインを相続人として、僕が死んだらヴァレンタイン家のすべての財産と地位を彼に委ねる、と言ったんだよ。
 ヴァレンタインと言う地位と権力のために醜い争いをしている君たちには、悪いけれど相続してもらいたくないからね」
 言われて、ハージェスとエドワードは思わず顔を見合わせた。どちらの顔も苦々しく歪められていたが。
   先代のマードック――つまり、ウィルフレッドの父親が病気で急死してから五年余り。
 ウィルフレッドの後に誰がヴァレンタイン家を継ぐかで、兄弟で争いが起こるようになった。もっとも、三男のクラヴィスだけはそれに参加しようとはしなかったが。
「ちなみにこれは、クラヴィスが帰宅したら、正式に発表するつもりだから」
 決めた事を何の迷いもなくウィルフレッドは言い放った。
 その言葉にハージェスはエドワードも顔をしかめるしかなかった。


 セイルーン・シティを囲む外壁を抜けた頃にはもう日も落ちて、暗くなっていた。とはいえ、さすが首都と言うべきだろう。通りには、まだ人が行き交っていた。普通の街なら、日が落ちれば人の姿は見えなくなるのに。
「じゃあ、まずはお城に行きましょうね」
 にっこりと微笑むアメリアにゼルガディスとクラヴィスは半眼を向けた。
「なんか楽しそうだね、アメリアちゃん」
「しかもなんか俺の服引っ張ってるし」
 さりげなく彼女の手から自分の服の一部を取り返そうとするが、彼女もかなり力を入れているらしい。ちっとやそっとの力では、全く動じない。力を込めるゼルガディスにアメリアは、さらに力を込めて服を引っ張った。
「さあさあ、二人とも。父さんのところに参りましょう」
 アメリアはひとしきり笑った後、二人を見据えてぼそりと言う。
「父さんの説教、長い上に怖いわよ」
「いやだぁぁぁぁぁぁぁぁっ! やっぱ、お前だけおいて俺たちは宿に泊まるぅぅぅぅっ!」
「ひどいですっ! わたしだってとーさんの説教行きなのにっ! あ、クラヴィスさんっ! 逃げちゃだめですよっ!」
「ンなこと言われて誰が逃げずに行くかぁぁぁぁぁっ!」
 腕をアメリアに捕まれ、クラヴィスも絶叫した。
 大通りの真ん中で、時間も考えずに三人は騒ぎまくる。
 と。
「クラヴィスくんっ!?」
 突然した声にクラヴィスの動きがぴたりと止んだ。全身に嫌な予感が駆け巡りながらも恐る恐る声のした方に目をやる。
 そこに立っているのは二人の男。
 はたから見れば、二人の男は同い年くらいに見えただろうが――
 一人はクラヴィスにそっくりだった。唯一違うと言えば、髪の長さと服装だけだった。
 もう一人は、憎たらしい顔をした男だった。クラヴィスとは似てもにつつかなく、中肉中背で、目つきが険しい。クラヴィスを一瞥すると舌打ちして、身を翻して行った。
(くそっ、なんつータイミングの悪さだっ!?)
 クラヴィスは心の中で叫ぶ。腕にしがみついていたアメリアが尋ねてくる。
「今のはお兄様ですか?」
「……可愛げもなくどっか行った方は二番目の兄貴だ。あっちは……親父だ」
 苦々しく言った瞬間、勢いよく何かが抱きついてきた。何なのかはよくわかっている。クラヴィスは無表情に冷めた口調で言った。
「退いてくださいませんか? 父上」
「クラヴィスくん!? 本当にっ!? そっくりさんとかじゃないよねっ!? どこからか迷い込んできたコスプレさんとかじゃないよねっ!?」
 どこかで聞き覚えのある言葉を言って(いつか自分がゼルガディスと偶然再会した時に彼に向かって言った言葉そのままだった)、ウィルフレッドがぺたぺたとほっぺたを触る。それをうっとうしそうな顔で受けとめながら、クラヴィスは言う。
「違います。退いてください」
「うわぁぁぁぁんっ! 逢いたかったよぉぉぉぉっ!」
 問答無用で自分の言葉を無視し、さらに強く抱きついてきた父親――ウィルフレッドにクラヴィスは静かに蹴りを入れる。足のスネを思い切り蹴飛ばされて、さすがにウィルフレッドが離れた。
 知らないフリをしていたクラヴィスが嘆息する。
(よりにもよってこんな所でこの親父と出会うとは……絶対問答無用で家行きじゃねーか……)
 その思いを肯定するようにウィルフレッドがニコニコしながら言ってくる。
「本当に無事で良かった。ハージェスとエドに窓ガラス一枚割っただけで追い出されたと聞いた時には本当に心臓が止まっちゃうかと思ったよ。
 まあ、こんな所で立ち話もなんだからお家に帰ろうよ――と……」
 言って、ウィルフレッドは呆然と親子の会話を見ていたゼルガディスとアメリアに目をやる。
 ウィルフレッドはアメリアを見てにっこり笑って一礼する。彼女の顔はセイルーンの式典の折りに、何度も見た事がある。話した事は彼女がまだ幼かった頃、一度だけあった。
 クラヴィスもそのことは知っていたが、とりあえず、クラヴィスは二人を父親に紹介する。
「アメリアさんと……ゼルガディスくんです。一度レゾ様と一緒にお会いになられたでしょう」
 言われて、ウィルフレッドはまじまじとゼルガディスを見た。
 キメラにされて、人の目を嫌うようになったゼルガディスがそれに平然とできるわけがない。視線をはずして、小さく唇をかむ――と。
 どうせ恐怖の眼差しで見られるに決まっているというゼルガディスの予想をあっさりと裏切って、ウィルフレッドはにっこりと彼に笑いかけた。
「お久しぶり、ゼルガディスくん。大きくなったねぇ、前会った時は……えっと確か11年前だったよね?」
「うえ……あ、まあ」
 的外れな対応にゼルガディスがしどろもどろに答えて、クラヴィスに助けを求めるように視線を送る。何事にも敏感な彼のことだ。その視線にすぐに気がつくはずだが、クラヴィスはそれをあっさりと無視した。
(シカトっ!?)
 まあ、家どころか家族全員を毛嫌いしている彼だ。不必要に父親と会話をしたくないと言う気持ちがあるのだろう。その気持ちはよく分かる。とはいえ、やはり自分の事を無視した仕返しはしっかりとしておかなければならない。
 ゼルガディスはにっこりと笑った。あまりに異様な微笑み方に思わず隣にいたアメリアが恐怖で仰け反る。クラヴィスもその顔を見て、あからさまに顔を引きつらせた。
 ゼルガディスが言う。
「俺たちは城に行かなければならないので、これで失礼いたします――クー」
 ちらり、とクラヴィスの顔を見る。ふふん、と鼻で笑ったような顔をしてゼルガディスは続けた。
「楽しい家族だんらんを」
「お……おいっ、ゼ――」
 慌てて追いかけようとするクラヴィス。
 が、ゼルガディスはすっと身を翻すとアメリアの手を引きさっさと歩いていく。途中振り返り、自分と目が合うと、人を嘲るような顔をしてみせた。
『ざまあ見ろ』という風に。
(あ・い・つぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!)
「さあ、お家に帰ろうっ!」などとなぜか意気込んでいるウィルフレッドに問答無用で引きずられながら、クラヴィスは目に涙を溜めて絶叫した。


「ウィルフレッド……うーん……ウィルでいいわね。いちいちフルネームで呼ぶの、めんどくさいし」
 シルヴィアがにっこりと笑ってつい先ほどであったばかりの人間の名前を思いっきり貶した。が、ウィルフレッドはそれを無視してそっぽを向いた。その態度にシルヴィアは頬を膨らました。
「んもうっ! 折角こんな麗しい女の子と一緒にいるんだから、もう少し笑ったらどう!?」
「麗しい女の子、ね……」
 ウィルフレッドが呟いて、シルヴィアを見据えた。
「初めて会った男を自分の家に招き入れるなんて、危機管理が足りないんだね、世の中の『麗しの女の子』は。シルヴィアさん」
「あら、奥に父もいるわよ。あんまり外に出たがらないけれど」
 あっさりとシルヴィアは言葉を返してきた。
 ――正直言って。
 ウィルフレッドは後悔していた。
 なぜこうも簡単に言いくるめられて、彼女について行ったのか。
 もうすぐ、自分の二人目の子供となる子が生まれる。そんな時に。
 暗い顔をしているウィルフレッドにシルヴィアは、彼を両頬をぺしんと叩いて、両手ではさんだ。
「もうっ! ほんとに暗いんだからっ! もう少し明るく出来ないのっ!?」
「悪かったね。昔からこうなんだよ、僕は」
 彼女の手を振り払い、彼は言った。行き場を失った手を腰に当て、シルヴィアは呆れた顔をした。
「あのねぇ、生まれつき暗い人間なんていないのよ? あなたが暗いのはあなたに原因があるからじゃない」
「……説教するためにここに連れてきたのなら僕は帰るよ。もうすぐ妻が子供を産むんでね」
 ウィルフレッドの言葉にシルヴィアはかすかに驚いた顔をした。
「……ウィル、あなたって変わってるわね」
「なんで?」
「普通、自分の子供が生まれるって時にそんな顔はしないわよ。絶対に」
「…………」
「……わけありね。教えてくれない? 人生相談は好きなほうなの」
 胸に手を当て、にっこり言ってくるシルヴィアにウィルフレッドは嘆息した。
「僕は自分の人生に干渉されるほど嫌なことはないね」
「嫌なこと隠してて楽しい?」
「楽しいわけないだろっ!? 何なんだよっ、いきなりっ! 僕の生き方にいちいちケチつけないでくれっ!!」
 叫んだウィルフレッドをシルヴィアは鼻で笑うだけだった。
「『僕の生き方』? 笑っちゃうわね。どうせ、親に振り回されてるだけの人生なくせに。どうせ、『お前はヴァレンタイン家の人間なんだから〜』とかなんとか言われてきたんでしょ」
適当に当てずっぼうに言っただけだったのだが、ちらりと見たウィルフレッドの顔が変化していたところを見ると、どうやら今言った事と変わらない事を言われていたらしい。
ウィルフレッドは顔を険しくさせていた。右手を自分の胸に当て、言ってくる。
「君に何がわかるっていうんだっ!? 僕の何がっ!?」
 詰め寄ってくるウィルフレッドにシルヴィアは優しく微笑んだ。
 彼女は知っている。権力のある家に生まれてきたものの立場が。感情が。
「わかるわよ。私も偉大な父を持ってるから。偉大すぎる父親をね」


『お前と一緒だと思うだけで吐き気がしてくる』
『ここに来ずに母親のところへ行けばよかったのに』
 二人の兄に何を言われてもクラヴィスはただ黙っていた。
 この家の人間は冷たかった。
 何もしていないのに、いつも自分をなじる二人の兄。
 その兄たちの行動を見て見ぬふりをする義母。
 そして、兄たちに自分の事を悪く言う祖父。
 唯一父親だけが、自分を気にかけてくれた。
 だけど。
(全部あんたのせいじゃないか)
 二人の兄とは違う母親の子供。
 そんなことだけで彼は辛い思いをしてきた。
 何度自分に当てられた部屋で独りで泣いたか。
『この家に味方なんていやしない』
 5歳のとき、クラヴィスはそう理解した。
 そして、決めた。
 この家に味方はいない。
 何かを言われて反論したって誰も助けてはくれない。
 だったら。
 自分を殺してしまおう。
 何も言わず、何の感情も出さず、自分の心を閉じてしまおう。
 何も言わず、黙っていたら、彼らはすぐに飽きて自分に見向きもしなくなるのだから。
 自分がどうなったって、どうせ悲しむ人間などいやしないのだから。
 ――その日から。
 クラヴィスが、表情を変えることはなくなった。



 慌てて帰宅してきたエドワードの開口一番の言葉にハージェスは目眩を覚えた。
 なぜ突然帰ってきたのか。
 密かに父親と連絡を取っていたのだろうか。
(……それはさすがにないだろうな)
 クラヴィスがこの家の人間全員を毛嫌いしているのはハージェスもエドワードも知っていた。まあ、あれだけ酷い事をされ続け、まだ家族が好きだと言うのなら、よっぽどの鈍感か馬鹿だろう。
 黙り続けるハージェスにいらついたようにエドワードが口を開いた。
「どうするつもりだ? 兄上」
 このままでは、クラヴィスはこの家に戻り、ウィルフレッドは正式にクラヴィスを後継者として発表するだろう。
 そうすれば、二人がこの家を継ぐ可能性は完全になくなる。
 ハージェスは嘆息して、頭を抱える。
「お前は父上の書斎へ行って、継嗣関係の書類をすべて持ってこい。燃やしても構わん」
 正式に発表する、と言うくらいだから、それなりの書類や文書があるはずである。それを無くしてしまえば、多少だが時間稼ぎにはなる。その間に別の方法を考えればよい。
 エドワードは静かに頷くと、すばやくウィルフレッドの書斎へと向かった。


 何かにつけて掃除をしたがるきれい好きなウィルフレッドの書斎は当然の事ながらきれいに整頓されていた。どこに何があるか一目瞭然な部屋はあら捜しする時にはかなり便利だった。
 エドワードは小さく呪文を唱えて、微かな光を生み出した。
 真っ直ぐに執務机に向かっていき、いくつかの引き出しを開けては書類を捜し、閉め、開けては書類を捜し、締め、その行動を繰り返し――
 宛名も何も書かれていない封筒を見つける。目的のものだと確信し、エドワードは思わずほくそえんだ。とはいえ、これで間違っていたら笑い事にもならない。とりあえず、確認しようと封を開ける。中に入っていたのは、数枚の書類と、手紙。
 それぞれ確認し、エドワードは最後に手紙を開いた。文章を適当に流し読みしていき、ある部分でその視線が止まる。
 その内容が信じられなくて、エドワードはただ呆然と呟いた。
「どういうことだ?」


「つらかったぁぁぁぁぁぁぁぁ」
 こんなに長い説教は久しぶりだった。どれくらいだろうか。レゾがまだ存命で、魔王に意識をのっとられる前の事だったから、5年以上も前の事になるか。
 ゼルガディスは自分に当てられた部屋のベッドにうつ伏せになった。このまま寝たい気分だったが、そうもいかなかった。
 理由はただ一つ。
「ねー、ゼルガディスさん。教えてくださいよぉぉぉぉぉ」
 背中を揺さぶりしつこく尋ねてくるアメリアにゼルガディスはうつ伏せのまま、手を横に振った。
「もー今日はやだ。なんであんなに長く話してられるんだ? お前の親父さんは」
「知りませんよ。だから、教えてぇぇぇぇぇ」
「ヤだって」
「そーいうこと言うと……」
 あっさりと断ったゼルガディスにアメリアがぼそりと呟いた。
 ゼルガディスは面白そうにアメリアの言葉の続きを待った。どうせ彼女のことだ。『人生の賛歌』を歌う、などと言い出すのだろう。確かにあれは辛いが、だが堪えられないものではない。無視して寝てしまえばいいのだから。
「そういうこと言うとどうなるんだ? 教えてもらおうじゃないか?」
 先を促すと、アメリアはにやりと笑った。
「こーいうことしちゃいますっ!」
 言うと同時に、揺さぶっていた背中の上に飛び乗り、全体重を乗せて立ち上がる。いくらアメリアの体重が軽いとはいえ、さすがに気を抜いていたゼルガディスには辛い。背骨がめしめしと音を立てているのが聞こえる。思わずゼルガディスが悲鳴をあげた。
「やめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
「ほらほら言わないとジャンプしちゃいますよ♪」
 言いながら、すでに飛び上がっているアメリアにゼルガディスは涙目で訴えた。
「言うっ! 言うからっ! 頼むから静かにゆっくり下りてくれっ! 本気で背骨が折れるぞっ!」
 その言葉を聞いて、アメリアは満足そうに微笑んだ。
「もう。最初っから素直にそう言ってくれればいいのに(はぁと)」
「…………………」
 最近、リナ=インバース2号への道をハイスピードで進んでいくアメリアにゼルガディスは重く深いため息をついた。



「クラヴィスの何を知りたいんだ? 俺だってそんなに詳しく知ってるわけじゃないんだ。今度会ったら本人に聞けばいいじゃないか」
 痛む背中をさすりながらゼルガディスが言った。
 アメリアは頬を膨らます。
「だって、クラヴィスさん本人に聞けなさそうじゃないですか」
「……まあ、確かにな。あいつ、いろいろあるみたいだから」
「クラヴィスさん、なんであんなに家族に他人行儀に話すんですか?」
 アメリアの問いにゼルガディスはしばし悩んだ。
 こういうことを他人にべらべら話してもいいのだろうか。やっぱりクラヴィス本人の口から聞くべきことなのではないだろうか。
 とはいえ――
(俺たちだけが知っててアメリアは知らないってのもなんか仲間はずれにしてるみたいで気分悪いしな)
 ゼルガディスは嘆息して口を開いた。
「クラヴィスはな……妾の子なんだよ」
「妾、ですか?」
「母親のことは知らないらしいけどな。そのことで、昔から兄貴と爺さんにいろいろ言われてきたらしい」
「……そういう方には見えませんでしたけど……クラヴィスさんのお父様」
 アメリアの言葉にゼルガディスは手をぱたぱた振った。
「あのなぁ、人は見かけによらないもんだぞ。特に男はなー」
 (この頃リナの影響を受けまくって根性が悪くなりつつあるが)素直で人を疑う事をあまりしない上に、人生経験が乏しいアメリアに言い聞かせるように言う。
 ゼルガディスの言葉にアメリアは眉をひそめてゼルガディスを見た。
「ゼルガディスさんもですか?」
「あん?」
 言われた意味が理解できなくて、ゼルガディスは首をかしげた。
 アメリアが再度聞いてくる。
「ゼルガディスさんも見かけに寄らないで浮気しちゃうんですか? わたしにあーんなことやこーんなことしたのに」
 アメリアの言葉にゼルガディスはうな垂れた。
 そのために、アメリアが慌てて自分に意味ありげな視線を送った事にゼルガディスは気付かなかった。呆れたように言う。
「あのな……誤解を受けるような言い方するなよ。ただ単に抱きしめたりキスしたりしただけだろーが。別に夜中襲いに言ったとかそーいうんじゃないんだし……アメリア?」
 呆然と目を見開いているアメリアにゼルガディスは首をかしげた。アメリアが、ゼルガディスの方を指差す。厳密に言えば、彼の後ろにある部屋の入口。ゼルガディスは視線を彼女の指の先に移動させ――
 ぴしいっ!
 とりあえず、視線の先にあったものを見て、ゼルガディスは石化した。
「……とりあえずノックはしたんじゃがな……話に夢中だったようで」
 背中を向けていた入口のドアは開いており、そこから顔を出した男は、思い切り顔を引きつらせてそう言った。
「はは、はははははははははは」
 とりあえず、乾いた声をあげながらゼルガディスは身体が冷たくなっていくのを感じた。
(……本気で殺されるかもしれん……)
 ゼルガディスはとりあえず、目の前にいるフィリオネルへの言い訳を必死に探していた。
 冗談でした、などと言うオーソドックスな言い訳から始まり、死んだ自分の祖父が頭の中でそう呟いていたとか、さらには実は異世界の化け物に意識をのっとられていたなどと言うかなり苦しい言い訳まで、いくつも思い浮かび、消えていく。
 最終的に頭の中に残った案は、とりあえず笑ってごまかすくらいしかなかった。
 ゼルガディスが冷や汗をかいて自分の父親と対峙しているその間、アメリアはただただ苦笑いするしかなかった。
 ――すぐその後に、ゼルガディスがフィリオネルに引きずられてどこかに連れて行かれたことは、まあ言うまでもないことである。
 ……………合掌。


 セイルーンの街の中心地。
 王宮近くの一等地にヴァレンタイン家の屋敷はあった。
 帰宅したウィルフレッドとクラヴィスを出迎えたのは、時間で雇っている家政婦と長男ハージェスだけだった。ウィルフレッドが怪訝な顔をする。
「エドが先に帰ってきているはずだけど……?」
 ウィルフレッドの言葉にハージェスは答える。
「エドならただいま少し気分が優れないと言って自室で眠っております」
 弟の奇怪な行動はハージェスも理解できなかった。書斎から確かに書類を持ってきて、自分に処分を頼んだまま、『今日はもう休む』と言って部屋に戻っていったのだ。
 封筒の中身を見てみても、別に気分を害するものは何もなく、ただ、正式な書類が数枚入っているだけだった。
 まあ、あまり気にせず、ハージェスはウィルフレッドの後ろに立っているクラヴィスを一瞥した。
 いつの頃からか、自分たちの前で、まったく表情を変えなくなった汚点だらけの義弟。
 久しぶりに会ったにもかかわらず、お互い会話もあいさつさえもせずにただずっと立っている。これが、ヴァレンタインの日常だった。
 黙ったままのクラヴィスにさして気にも留めず、ハージェスはそのまま何も言わずに一礼すると、廊下を歩いて、部屋の奥へと引っ込んでいった。
 その後ろ姿を見つめて、ウィルフレッドは嘆息した。クラヴィスに声を掛ける。
「……いつまでそうやって家族から逃げているつもりなんだい? クラヴィスくん」
 その言葉にクラヴィスは視線をウィルフレッドに向け、そしてすぐまた戻す。
 微かに顔を顰めて、クラヴィスは言った。
「…………家族? あれが?」
「……」
 クラヴィスの声が聞こえたのか、ウィルフレッドは黙った。
 ハージェスやエドワードが、クラヴィスに対してどのように接してきたかはウィルフレッドも知っていた。それ故に、クラヴィスの言葉に何も言う事が出来ずに彼は胸を痛めた。


「報酬はそれぞれ金貨百枚だ」
 闇の中で、そんな声がした。同時にどさり、という音と金貨がはねる音がする。
「前金が入ってる。金貨二十枚。二人で合計四十枚」
「――で?」
 先を促すように言う。
「目標は二人だ。クラヴィス=ヴァレンタイン、そしてアメリア=ウィル=テスラ=セイルーン」
「あんたも人が悪いな」
 嘆息するように言ってくる。
 それを鼻で笑った。
「血が繋がってもいない人間を殺すよう頼んで何が悪い?」
 言って、その男は歯を食いしばった。何かに耐えるように。
「そう……血が繋がっていないんだ」


「辛いし、つまんねー」
 付け加えて、身体がだるい。頭ががんがんする。喉も痛い。
 クラヴィスはベッドに身を放り投げた。
 あの後、すぐにクラヴィスは自室に引っ込んだ。ウィルフレッドは二人の兄に家から放り出されてから今までの事を聞きたそうにしていたが、クラヴィスはそれを無視した。
 確かにこの家で自分を気に掛けてくれるのはあの父親しかいなかったが、自分の母親の事を話そうとしない事は許せなかった。子供の頃、通っていた学校で、母親との事を嬉しそうに話す級友たちの前で、自分がどんなに惨めな思いをしたのか、あの男は知らないのだろう。
 母親の事を話してくれるまで、そして自分に謝るまで、クラヴィスはウィルフレッドを許すつもりはなかった。
「風邪だなー、こりゃ」
(ほんとにグッドでナイスなタイミングだよっ!)
 何となく独りやけくそになって心の中で毒づいてみる。
 仰向けになって、つけた明かりをぼんやりと眺める。
 今ごろ、ゼルガディスとアメリアは何をしているのだろう。
(ま、いいとこまだ説教が続いてるんだろ)
 あながち間違いではなかった。現在、ゼルガディスは再びフィリオネルにぐちぐち言われている。娘に手を出した男の一度は通らなければならない関門である。我慢しなければいけないことなのだが……
 することもなく、身体もあまり言うことを聞かない。
 本当は何か食べて、薬を飲んだほうがいいのだろうが、そんな気も起きてこない。
(昔も風邪ひいて、あいつにぶちぶち言われたっけ)
 昔のことを思い出してクラヴィスは微笑んで――そのまま睡魔に襲われて、まぶたを閉じた。


「んだと、てめぇ! 女だから優しくしてりゃあ調子に乗りやがって!」
 街の中心の通りにそんな罵声が響き渡った。
 一人の女性の周りに二、三人の体格のいいチンピラがいた。いやらしい笑みを浮かべながら、女性の近くに寄って行く。
「どこが優しくよっ! って、ちょっ……それ以上近づいたら、殴るわよっ!?」
 女性の言葉も空しく、チンピラは彼女の手を掴んだ。彼女は悲鳴をあげて、逃げようとする。
 通りを歩いていた人間はみんな知らん顔をして通り過ぎていく。無論、関わり合いになりたくないのだ。他人のために怪我をしたくはない。
 女性が逃げられないと覚悟して、目を閉じた時だった。
「なんだっ!? てめえ!?」
「やかましい、って言ってんだよ。オレ、今ちょー機嫌悪いからな。これ以上うるさくしたら、あんたのそのうざってえ口、刺繍糸で縫いつけてやる」
(し……刺繍糸?)
 聞こえてきた言葉に何故かその言葉が異様に印象になって女性は目を開ける。チンピラの一人の前に立っているのは、どう見ても年下の少年だった。
 年の頃、17か18と言うところだろうか。腰までの長い髪と綺麗な翠色の瞳で、まるで人形のような愛らしい顔だったが、それは今かなりゆがんでいる。
 少年が自分を指差してくる。
「さっさと彼女を解放して、どっかいけよ。今ならまだ助けてやっても良いんだぜ?」
 嘲るように笑って少年が言う。それがチンピラの逆鱗に触れた。
「おいっ、やっちまえ!」
 ありきたりな掛け声を合図にチンピラたちが一斉に少年に向かっていく。そのおかげで、彼女は自由になった。彼女は少年を見る。
 少年は余裕の笑みを浮かべていた。
 まずかかってきたチンピラの鳩尾に蹴りを入れると、次に向かってきたチンピラの喉に向かって、腕を伸ばす。そのまま、喉元を殴りつけ、声をあげさせないようにすると、鳩尾を蹴られて身体を丸めた男の背中にエルボーを叩きつける。そのまま、その男に蹴りを入れて退かすと最後に飛び掛ってきたリーダー格らしき男の右腕に手を伸ばし、軽くひねって、ひじの部分に手刀を叩きつけた。
 鈍い音がして、リーダー格は悲鳴をあげた。その声に顔をしかめて、少年はリーダー格のあごを蹴り上げた。
「うるせえ、って言っただろ」
「き……貴様」
 流れるような動きで大の男を一気に3人も張り倒した少年を睨んだ。少年が、感嘆する。
「へえ、まだやられる気力があんのか? 根性あるな。すごいすごい」
 言いながら、問答無用で、蹴りを顔面に入れる。
「でももうこれで静かにできるだろ? これから世話になる病院でも静かにしろよ? 病院は静かにするもんだからな」
 言うだけ言って立ち去ろうとする少年の腕を慌てて女性が掴んだ。
 先程、彼の助けられた女性だ。
 彼女は微笑んだ。
「ありがとう、君って強いのね」
 言われて少年はにっこり微笑んだ。
「女性を守るのが男の仕事ですから」
「……ませた子供ね」
「子供言うなよ」
 半眼で少年が睨みつけてくる。
 彼女はくすりと笑った。
「ええっと、自己紹介がまだだったわね。あたし、ノエル=エレイン、20歳。ちなみに独身よ」
 手を差し出してくる。
「……女性が普通年を言うか? まあ、別に良いけど。オレは――」
 差し出された手を握り返して、微笑んだ。
「クラヴィス。クラヴィス=ヴァレンタインだ」
「ヴァレンタイン……?」
 ノエルが首をかしげてきた。思わず、クラヴィスは顔をしかめる。
「あ、いや、出来ればオレの家族関係にあまり深くは入って欲しくないんだけど……」
ノエルがきょとん、とした顔でクラヴィスを見た。
「あなたってすごい家の人なの? ヴァレンタインって聞いた事ないけど」
「あ?」
 今日日10歳でも知っている神官ヴァレンタイン家の事も知らないノエルにクラヴィスは思わず間の抜けた声をあげた。


「『ルシオン』って母方の姓なの?」
「んー、まあね」
 ウィルフレッドの言葉にシルヴィアは頷いた。
 二人が出会ってから数ヶ月。
 ウィルフレッドはしばしば彼女のところに訪れては、彼女と話をした。彼女の呼び方も『シルヴィアさん』から『シルヴィア』に変化していた。何より一番彼が変わったといえば、喜怒哀楽がはっきりし始めたことだろう。出会った時の暗い顔が嘘のように明るい顔になっていた。無論、彼女の前だけではあったが、始終暗い顔をしているよりかは全然マシだろう。
「父親の姓は何で使わないのさ?」
「なんかねー、名前と合わないのよー」
 シルヴィアが憂鬱そうに言った。
「なんかすごく名前がダサくなるの。だから嫌なのよ。それに……一応父って有名人だから、姓が同じだといろいろ言われるでしょ?」
「なるほど……」
「そーいえばさ、ウィル。あなた、自分に子供が出来たらどんな名前をつける?」
 ぶひ。
 突然と言えば突然の質問に、ウィルフレッドは思わず飲んでいた香茶を噴き出した。
「なななななななななな何言ってんだよ、シルヴィア」
 真っ赤になって慌てるウィルフレッドにシルヴィアは笑った。
「やーね。そんなに慌てることないじゃない。もしもの話よ、もしもの」
「そんなこと唐突に言われてもねぇ」
 しばしの沈黙の後、ウィルフレッドは言った。
「そーだな……男の子だったらクラヴィス、女の子だったらミライナがいいかな」
「じゃあ、双子ちゃんだったら?」
「……うーん……女の子の名前は、エレノアで……男の子はね……あ、こんなのどう?」
 ウィルフレッドはにっこり微笑んで言った。


「マードック大神官様。皆が私たちの家を変だと言うのです。『家族が厳格なものだ』と言ったら笑われました。
『家族とは、賑やかなものだ。馬鹿馬鹿しいと思うけれど、いないと寂しいものだ』と言われました。家族とはどういうものなのですか?」
 神官となるための修行の場で、ハージェスとエドワードは、祖父にそんな質問をした。
 祖父はなんでも教えてくれた。家柄の事、世の中の事。
 祖父の言う事はすべて正しい、祖父の言う事は絶対であるとさえ二人は思っていた。
 祖父――マードック=ヴァレンタインは『馬鹿馬鹿しい』と鼻で笑って、二人の頭に手を乗せた。
「家族が賑やかなものだと言うのは、愚か者の言葉だ。誰がお前達にそんな言葉を吹き込んだかは知らんが、そのような愚か者どもと付き合うのはあまり感心せぬぞ」
 ハージェスとエドワードは顔を見合わせて、一つ頷いた。
「わかりました。明日からその者と一切話を致しません」
 口々に言う二人の言葉にマードックは満足そうに頷いた。


「あー畜生。何でさらに二時間も説教食らわなきゃなんねーんだよ」
 口の悪いすぐに文句をたれる親友といたせいか、それとも自分しかいないせいか、ぐちぐち言いながら、ゼルガディスは自分に当てられた部屋で荷物の整理をしていた。荷物と言ってもあまりない。数ヶ月前、久しぶりに『迷いの森』の家に帰った時に、いらない荷物はすべて置いてきたためだ。あるのは、必要最低限の生活用具一式と愛用のハリセン(ちなみにまだ名称未定)のみ。秘密の七つ道具(何が秘密なのかはわからなかったが、レゾが名づけたのでそのままそう呼ぶことにした。ちなみに中には鍵開けの道具などが入っている)は、くそ重いので、即座に家においてきた。クラヴィスがいるので、自分がそれを使うことが限りなく少なくなったからだ。
 すべての荷物の整理を終えて、ゼルガディスは肩にその荷物をかけた。
 フィリオネルの言葉を思い出す。
『一応そうは見えんだろうが、アメリアも一応セイルーンの王族なのでな。体裁と言うのもある。悪いが、アメリアが寝てる間にここから出てってはもらえまいか?』
(……冗談じゃない)
 ゼルガディスはテラスへと出て、下を見た。昔とあまり警備の位置は変わっていない。ならば、いくらでも打つ手はある。
(絶対問答無用でアメリア連れて出てってやる)
 心に固く誓って、ゼルガディスは夜の闇へと姿を消した。


 愛用のネグリジェに着替えて、アメリアはぽんぽんと枕を叩いた。そのままぽふん、と頭を沈めると、寝っ転がって、掛け布団を自分の身体に掛ける。
「んー、大丈夫だったかなー、ゼルガディスさん」
 何となく思い出し、アメリアがぽつりと呟いた。が、きっと彼のことだ。すべての話を適当に聞き流して、別のことを考えているだろう。人の話もろくに聞かずにすぐに自分の世界に入っていくのは、彼の得意技だ。
 眠い目をこすり、明かりを消す。
 秋特有の虫の声が子守唄の役割を果たし、アメリアはすぐにうとうとしだした。
 と。
 まどろみ始めて少し経ってから、かすかな音にアメリアは一気に覚醒した。
 彼女が起きたのは、音のせいだけではなかった。
 圧倒的な威圧感――殺気を感じたのだ。
 身は起こさずに耳をそばだてる。微かにガラスの割る音が聞こえて、窓の方から軋んだ音が立つ。
 殺気はだんだんと近づいて、アメリアの目の前までやってきた。そこで、止まり――
 アメリアは勢いよく殺気とは反対に床に転がった。そのまま素早く立ち上がって、体勢を整えると、一緒に掴んだ掛け布団を殺気を放つ人物に向かって放り投げ、あらかじめ唱えていた呪文を解き放つ。
「ライティングっ!」
 部屋が明るく照らし出される。彼女は素早く状況を確認した。
 鍵の近くのガラスが割れた窓。ベッドに突き立てられた短剣。そして、床に転がった掛け布団。
 アメリアは、目の前に退治する黒ずくめを睨みつけた。
「こんな夜中に何用ですか!?」
「アメリア=ウィル=テスラ=セイルーンだな」
「人の質問に答えなさいっ! 何の用っ!?」
 アメリアの問いに黒ずくめは答えた。
「アメリア姫に死を」
「即座に返品っ! 帰ってくださいっ!!」
 叫びながら、彼女は黒ずくめとの距離を取った。室内での戦闘のため、使える呪文は限られてくる。得意の体術もネグリジェでは使う気も起きなかった。
 ベッドの上の短剣を引き抜き、一気に間合いを詰めてくる黒ずくめにアメリアは迷わず呪文を叩き込んだ。
「モノ・ヴォルトっ!」
 彼女が生み出した小さな雷は、黒ずくめの手にある短剣に向かって落ちた。

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6683クラヴィスくん家の家庭事情 Uねんねこ E-mail URL6/4-12:43
記事番号6681へのコメント


「クラヴィス=ヴァレンタイン、だな」
 言われて、クラヴィスは心底嫌そうな顔をした。
「夜中に起こしてくれるのは、美人のおねーさんか助けを求める可愛い少女の幽霊だって相場が決まってるだろ? 何で、こんなくそ可愛くもねえおっさん相手に起こされなくちゃならないんだよ?」
 一定の距離を保ちつつ、クラヴィスがうめいた。が、全身黒ずくめの男はそれを無視した。再度、問いかける。
「クラヴィス=ヴァレンタイン、だな」
 クラヴィスは嘆息した。
「……誰かさんに頼まれてオレを殺しに来た死神君、てところかな……どっちかって言うと女の子の死神ちゃんの方が良かったけど……」
 何となくうめく。
 窓の側に佇んでいる黒ずくめとは反対に、クラヴィスは出入り口側の壁に寄りかかっていた。口調とは裏腹に表情にはいつもの余裕はなく、額にはいくつもの汗の珠を張りつかせていて、呼吸する息も心なしか荒い。
(こーいうことになるんだったら、無理矢理でも薬くらい飲んどきゃあよかった)
 今さら後悔してももう遅いが。
 クラヴィスはあまりいうことの聞かない身体を無理矢理壁から引き離した。それに反応して、黒ずくめもまた動く。
 クラヴィスは口元に笑みを浮かべた。
「あんた、いくらで雇われたんだ?」
「……なぜそんなことを聞く?」
「取引しようじゃねえか。こっちはあんたを雇った依頼主が知りたい。オレを殺そうとする物好きはどーせ、この家の誰かだろーがな」
 その言葉を聞いて、黒ずくめはただ人差し指一本を天井に向けて突き立てただけだった。クラヴィスが思わず頭を抱える。
(うあ……金貨百枚だなんて……なんてやすっぽっちいオレの価値)
 思わず泣きたくなってくるのを堪え、クラヴィスは言う。
「じゃあ……オレは百一枚出そう」
 きっぱりと告げてきたその言葉に黒ずくめは殺気を膨らませる。
「……貴様、なめているのか?」
 クラヴィスは、憮然とした表情をした。
「……相当思い切ってみたんだけどなー……」
「ふざけるなっ!」
 黒ずくめは一喝すると、そのまままっすぐクラヴィスに突っ込んで来た。途中、月の光に照らされて、何かが銀色の光を微かに放った。
 素早く、黒ずくめが繰り出してきた短剣を避けると、クラヴィスはさらに息を荒くして額の汗をぬぐった。
「くそ……人が珍しく下手に出りゃあ、いきなり襲い掛かってきやがって……」
 言いながら、黒ずくめとの間合いを取る。
「だいたい三流の暗殺者がオレを相手にしようなんざ、ナンセンスなんだよっ!」
 叫んで、そのまま一気に間合いを詰める。
 短剣を振り下ろしてくる黒ずくめの攻撃をかわし、そのままその手首に手刀を叩き込んだ。小さくうめいて、短剣を落とす黒ずくめの鳩尾に、膝蹴りをまともに入れて、そのまま後方に飛び退く。
「暗殺者にとって良い事を教えてやろう」
 床にうずくまっている黒ずくめにクラヴィスは言った。
「暗殺ってのはな、よっぽどのことがない限り屋内ではやらねえもんなんだよ。いざって時にすぐに逃げられないだろ?」
 クラヴィスはそこで一旦、息を吐いた。
「んだば、教えてらおうかね? 誰に雇われ――」
 そこまで言いかけて、クラヴィスは慌てて横に身を反らした。同時に腕に襲い掛かる痛み。
「あぐぇっ!?」
 小さく悲鳴をあげて、クラヴィスは腕を押さえた。多少ふらつきながらも黒ずくめはその横をすり抜けて、全開に開いた窓の窓枠から、身を躍らせる。
 黒ずくめがうずくまって痛がっているフリをして、別に隠してあった短剣をクラヴィスに向かって投げつけたのだ。油断していたとはいえ、音もなく投げられた短剣に気付き、慌てて避けたのはさすがと言うべきだろう。避けていなかったら、短剣はまともに心臓を突き刺していた。
 短剣がかすって、血が流れる腕を押さえながら、クラヴィスは追尾の呪文を唱えた。が、その呪文が完成される前に、黒ずくめは夜の闇へと消えていった。
 それを見届けて、クラヴィスは一気に気が抜けて、床に座り込んだ。
「……死ぬかと思った……」
 一言そううめくと、腕の傷を見る。傷の深さに少々顔をしかめながら、彼はリザレクションの呪文を唱えた。


 クラヴィスの部屋から一番近い敷地の周りに張られた柵を越えれば、そこには一人の男がにっこりと笑って立っていた。
 見た感じはクラヴィスとそっくりだった。着ている服と髪の長さが違うのみで。
「貴様っ、なぜ!?」
 黒ずくめの男は思わず声をあげた。
 立っていた男――ウィルフレッドがのへら、と笑ってみせた。
「僕が自分の屋敷に不審者が侵入したことも気付かないとでも思った?
 クラヴィスくんはシャイで何でも自分で抱え込んじゃおうとするから、僕が下手に手を出すと、怒っちゃうんだよね」
 本気で困ったような顔をして、ウィルフレッドが言う。
 そのまま彼はふらついている感じの黒ずくめを見た。
「どうやらクラヴィスくんにこっぴどくやられたみたいだね。死んでないのはきっとクラヴィスくんが殺せない状況にあったからかな?
 まさかとは思うけど、クラヴィスくんに傷をつけてはいないよね?」
 笑ったまま言うが、それとは裏腹に静かに殺気を滲ませた。
 何も答えず、ただ異様な殺気に押されて、黒ずくめは後ずさった。
 その様子にウィルフレッドは諦めたように首を横に振った。
「まあ、それは後でまた尋ねるとして……聞きたいことがあるんだ」
「……我が話すとでも思うのか?」
「『思わない』って言って欲しい? そーか。じゃあ取引しよう。いくらで雇われたの? それより高い金額を支払ってあげるから色々聞かせて頂戴な」
 ニュアンスは違うが、どこかで聞いたことのある台詞に黒ずくめは微かに顔をしかめた。が、今度はあっさりと答えてくる。
「金貨百枚だ」
「あら素直」
 ウィルフレッドが多少驚いた顔をして言った。
 だが、それは当然だった。暗殺者と言っても一応プロ根性は一人前に持っている。雇い主の秘密をあっさりと売る暗殺者などあまり聞かない……無論、一流以上の暗殺者に限ってだが。二流以下になると、金次第でもう雇い主をころころ変えてしまう。そのせいで、暗殺を依頼された別の暗殺者に命を落とすことも多いのだが。
 金貨百枚と聞いて、ウィルフレッドは少し考え込む仕草を見せて、ぽん、と手を打った。
 無意味にウインクなどしながらびしっと、指差し、きっぱりと言ってくる。
「じゃあ金貨百五枚で雇おう」
「……………………」
 思わず怒りよりも呆れがこみ上げてきて、黒ずくめは額に手を当てた。
 数秒の後、黒ずくめは首を横に振る。
「……却下だ」
 その言葉にウィルフレッドは顔から笑みを消す。凍てつくような視線を黒ずくめに向けた。
「なら力ずくでも聞かせてもらおう。雇い主は誰だい? ハージェス? それもエドワードかな?」
「答える筋合いはないっ!」
 言って、黒ずくめはウィルフレッドに襲い掛かった。
 ウィルフレッドは嘆息した。
「じゃあ、こっちもあんたを見逃す筋合いはないね。クラヴィスに怪我をさせたんだろう? 悪いけど、自分の息子を傷つけられてまで笑えるほど、僕は大らかな性格してないんだよ」
 静かにそう呟くと、ウィルフレッドは黒ずくめの攻撃をほんの少し移動することでかわし、そのまま懐から取り出したダーツを黒ずくめのうなじに突き立てた。
 声もあげずに地面に倒れ伏した黒ずくめをウィルフレッドは冷ややかに見下ろしながら、鼻で笑った。
「素直に話せば長生きできたのにね。ちなみにダーツには即死性の毒が塗ってあったんだけど……ま、聞こえてないんじゃ言う必要もないよね」
 ウィルフレッドはため息をつくと、黒ずくめから生えているダーツを引っこ抜いて、呪文を唱えると、黒ずくめを一瞬にして灰にした。
 風に吹かれて飛んでいく、黒ずくめの身体だった灰を見つめて、ウィルフレッドは嘆息した。
「まったく……ちょっと気をゆるめただけで、全部書類持ってっちゃうんだから……
 誰に似たんだろうね、ハージェスとエドワードは……」
 自分で言って、すぐにそれを後悔した。思い出したくもない顔を思い出したのだ。
 忘れるように首を横に振り、ウィルフレッドはクラヴィスの部屋を眺めた。
 しばらくは彼の護衛を密かにやっているべきだ、などと考えながら――



 アメリアが生み出した雷は、黒ずくめの短剣に落ち、雷撃が一気に短剣にまとわりついた。
 だが、それより一瞬早く、黒ずくめは素早く短剣を投げ捨てた。
 その様子を見て、アメリアは思わず舌打ちした。そのまま再び、つっこんでくる暗殺者と一定の距離を保ちつつ、アメリアは次の呪文を唱え始める。
 緊迫した空気が張り詰める中、黒ずくめとアメリア、二人の小さな呪文の声が響き渡る。
 先に完成したのは、アメリアの方だった。
「フリーズ・アローっ!」
 多少のアレンジを施して、魔術を発動させる。
 通常術者の前方に出現するはずの呪文を目標の後方に出現するように呪文を少し変えたのだ。呪文の意味と構成をしっかりと理解していれば、このくらいの事はアドリブ程度で出来る。
 さすがにこれには驚いたのか、黒ずくめは呪文を中断し、自分に向かって飛来してくる数条の氷を避ける事に専念する。
 その機を逃さず、アメリアが一気に間合いを詰めた。無論、暗殺者と言う悪の権化を叩きのめすためにだ。
 が、相手は彼女の予想以上に強かった。氷の矢には多少ひるんだものの、すぐに態勢を整え直し、相手が体術では不利だと判断したのか、再び呪文を唱え始める。
 その呪文を聞いてアメリアは思わず顔を引きつらせた。慌てて黒ずくめから離れる。
「にょわわわわわわわわわっ!」
 無差別広範囲系の呪文を唱える黒ずくめから出来るだけ離れて、彼女自身もすばやく防御呪文を唱える。
 呪文が完成したのは、ほぼ同時だった。
 黒ずくめの口が開く。声は結界にはばまれて聞こえなかったが。
 とりあえず、アメリアが理解できたのは、すごい爆発音と風の結界を張ったにもかかわらず、すごい爆風のために、自分が吹き飛ばされている事だけだった。
 窓のガラスを盛大に割り、アメリアはテラスに転がる。コントロールが途切れたために同時に風の結界が消える。
「つつつ」
 転がった際に打ちつけた腰を押さえつつ、アメリアは何とか立ち上がった。目の前にいる黒ずくめを睨み付ける。
「何するんですかっ!? 痛いじゃないですかっ!」
「命を貰うと言ったはずだ。無駄に身体が頑丈な姫君よ」
「余計なお世話ですっ!」
 思わずアメリアが叫んだ。その一瞬の隙を突いて、黒ずくめが間合いを詰める。手には月に照らされ、銀色に輝く短剣。
 避けられる距離ではない。アメリアは思わずまぶたを堅く閉じて――
 ぎんっ!
 刃と刃が触れ合う音にアメリアは静かに目を開けた。黒ずくめが一歩後退する。
 その姿にアメリアのすぐ前で彼女をかばう様にして立っている男が薄く笑った。
「どうした? もう終わりか?」
 男の針金のような髪が風で少しなびいた。
 ゼルガディスの言葉に、黒ずくめは小さく舌打ちをする。
 つい先ほど、自分が放った魔術の爆発音のせいで、城の兵士たちが次々に集まってくる事はすぐに予想がついた。目標の隙を突いて心臓を一刺しにし、そのまま逃げようと考えていたのだが、目の前に現れたキメラの男は、多分剣も魔術を自分と同等――もしくは自分より上だろう。
 仕事のために自分の命を引き換えにするつもりはない。黒ずくめはすばやく闇に姿を消した。
 それを見送って、ゼルガディスはふう、吐息を吐くと、剣を鞘に戻した。
「ありがとうございます、ゼルガディスさん」
「いや、それより怪我はないか?」
「いえ、別に特には……」
 言って、足を一歩踏み出そうとして、足を上げたままの状態で止まる。下に広がる窓ガラスの破片たち。月の光が反射して、見ている分にはきれいだが、かなり危険だ。下手に足をこのまま下ろそうもんなら、もしかしなくても、輝くじゅうたんに赤い色が混じる。
 ゼルガディスもそれに気付いたらしく、困った顔をしているアメリアの腰に手を回し、ひょいと軽々持ち上げた。
「のひょうっ!?」
 意味不明な声を発するアメリアを無視して、そのまま彼女の部屋に入っていき、とりあえず、安全なベッドの上に座らせる。
「何があったんだ、と聞きたいところだが……そろそろ兵士が来る頃だな」
 ゼルガディスの言葉を肯定するように遠くから兵士のばたばたとした足音が聞こえてくる。
「いいじゃないですか。兵士が来ても」
「こっちはまずいんだよ」
「はい?」
 首をかしげてくるアメリアにゼルガディスは慌ててごまかした。
「あ、いや、なんでもない。とにかくここの兵士じゃ、またあの黒ずくめが来た時に対処できないだろ? どこかに身を隠す必要がある」
「そうですね」
 もっともらしい言い訳を即興で作ったのだが、どうやらアメリアは納得したらしい。ゼルガディスは静かに頷くと、一言だけこう言った。
「と、言うわけで今がチャンスだ」


「ねえねえ、男の子だと思う? 女の子だと思う?」
「何が?」
「やあね。私たちの子供に決まってるじゃない」
 ぶひ。
 なんだかとてつもなく重要なことをしごくあっさりと告げてきたシルヴィアにウィルフレッドは口に含んでいた香茶を思いっきり吹きだした。顔をしかめたシルヴィアにウィルフレッドはタオルで吹き出した香茶をごしごしと拭きながら問い返した。
「な……なんだって?」
「だーかーらー、『男の子だと思う? 女の子だと思う?』」
「違うっ! その次っ!」
 言われて、シルヴィアは少し考えて、ぽん、と手を打つ。
「あー、『私たちの子供に決まってるじゃない』の方?」
「何でそんなにあっさりと言うわけっ!?」
「だって……堅苦しく言ったって何かが変わるわけじゃないじゃない♪」
 この無意味なお茶目さは父親譲りなのだろう。この間、出会ってから数年経って初めて会った彼女の父親を見て、そう心の中で断言したのを何となく思い出した。
「ねえねえウィル。どっちだと思う?」
「……どっちでもいいよ……」
 痛む頭を押さえて、ぱたぱたと手を振るウィルフレッドにシルヴィアは泣く真似をしてみせた。
「あなた、私が子供産むのが嫌なのね……私のことを弄んでいたのね……」
「違う違う」
 彼女がこう言うことをするのはいつものことなので、別段慌てることもなくウィルフレッドは言った。
「どっちでもいいよ。女の子でも、男の子でもね。僕たちの子供だったら」
 ウィルフレッドが微笑んだ。
 シルヴィアもまた微笑んで、自分のお腹を優しく撫でた。
「問題は……」
 ウィルフレッドは言いかけて、シルヴィアを見た。
 シルヴィアはウィルフレッドの頬を触れて、彼の胸に頭を沈める。
「大丈夫よ……もう父には話してあるの。驚いてたけど……許してくれた。
 あなたは……あなたが自分で決めたことをして」
 ウィルフレッドはシルヴィアを静かに抱きしめた。
「今はまだ、あの男に勝てない……だからもう少し、もう少しだけ待っててくれないか?」
 シルヴィアは目を閉じて、静かにゆっくりと頷いた。


「おはよう、クラヴィスくん」
 ノックと共にウィルフレッドが部屋に入ってくる。
 その言葉を聞いて、クラヴィスはさらにベッドに潜り込んだ。
 ウィルフレッドは持ってきた二人分の朝食をテーブルの上に置くと、ベッドの前にしゃがみこむ。掛け布団を少し持ち上げながら、尋ねる。
「朝だよ? 起きないの?」
「……放っておいてください。ぼくのことなんか」
 その言葉にウィルフレッドは寂しそうな顔をした。が、そのまま静かに立ち上がると、テーブル近くの椅子に腰掛けると、持って来た朝食を食べ始めた。
「ねえ知ってる? アメリアちゃんが城から抜け出したらしいよ。ゼルガディスくんと一緒に」
 言って、さりげなく視線をベッドに向ける。頭から掛け布団をかぶったクラヴィスは丸い塊になっていた。顔を見せないので表情もわからない。丸い塊は反応らしい反応を見せなかった。が、ウィルフレッドは微笑んだ。
(聞いてる聞いてる)
 心の中でそう思いながら、ウィルフレッドは続けた。
「なんかアメリアちゃんの部屋がね、半壊してたんだって。何があったんだろうね? ゼルガディスくんと派手にケンカでもしたのかな?」
(そしたらゼル死んでるだろ……多分……)
 何となくクラヴィスはぼんやりとそんなことを思った。別に父親の話など聞くつもりもなかったが、何となく耳に入ってしまう。自分が昨日まで共にいた人間の話ならなおさら。
 ウィルフレッドは、微笑んだ。
 顔を見せなくても、息子が何を考えているのかくらいはわかる。
 と。
「クラヴィスくん。起きた方がいいよ」
 窓の外を見ながら、ウィルフレッドが言った。そのまま立ち上がると窓に近づいて、窓の鍵を開けた。
「おはよう。ゼルガディスくん」
 にっこりと微笑まれて、部屋の中からは死角になるはずの所に張りついていたゼルガディスが真っ赤な顔してあさっての方を向いた。
「お……おはようございます」
 とりあえず、挨拶を返すと、ウィルフレッドは言ってくる。
「入ってくるなら玄関から堂々と入ってくればいいのに。ダメだよ、石なんかで窓ガラス割っちゃあ」
「……………………」
 ゼルガディスは無言で見えないように隠していた石をズボンのポケットに押し込んだ。
 ウィルフレッドは、少し窓から離れると、ゼルガディスに手招きをした。お言葉に甘えて、ゼルガディスが中に入る。
「聞いたよ。アメリアちゃんを城から連れ出したんだって?」
「……情報早すぎ」
「クラヴィスくんのパパりんだもん」
「……………………………………」
 急に痛み出した頭を手で押さえてゼルガディスはこくこくと頷いた。
「あの……クラヴィスと二人で話したいんですけど……」
 何となく丁寧な口調で言うと、ウィルフレッドは頷いた。
「ああそうだね。じゃあ僕はこれで失礼するね」
 どうぞごゆっくり、と言って背を向けてウィルフレッドが扉を開けた。
 そこで、気付いたように声をあげる。振り返って、ゼルガディスに言う。
「あ、ゼルガディスくん。帰りはちゃんと玄関から出て行ってね(はぁと)」
「は、はあ」
 曖昧な返事だったのだが、ウィルフレッドは満足げな顔をして部屋を出て行った。
(なんなんだ、一体あの人はっ!?)
 心の中で絶叫しているとクラヴィスがひょっこり掛け布団から顔を出した。
「アメリアちゃんの所に暗殺者が来たんだな?」
 質問ではなく、確認の言葉。
 ゼルガディスは頷いた。
「なんだか原因が不明なんだよな。いろいろ聞いたんだが、アメリアが言うには別にお家騒動の気配もないって言うし。恨みを持つ者ったって、あの能天気娘に恨み持つような人間なんてそうそういないだろーし、帰ってきた日の夜に襲われるのもなんか納得いかないし」
 ベッドから這いずり出てきて、クラヴィスは寝癖だらけの髪をとりあえず左右に分けて三つ編みにした。
「で? お前等は今どこにいるんだ?」
「この近くに知り合いの家があるんだ。正確に言えば、知り合いの伯父の家、だが」
「……誰?」
「シルフィールって言うんだが……知らないだろ?」
「知ってる。すぐそこの角にある家だろ?」
 即答したクラヴィスにゼルガディスは脱力した。
「……お前まさかセイルーン・シティ中の女と知り合いじゃなかろーな……?」
「いや、さすがにそこまでは……とりあえず二十代は網羅したけど」
「……冗談で言ったつもりだったのに……」
 至極真面目に答えてきたクラヴィスにゼルガディスはとりあえずぼそり、と呟いてみた。
「ところで、ゼル。のど渇いてるだろ。そこのテーブルのコーヒーやる」
「……なんで?」
「いや、いーから」
 何となく納得いかないような顔をしながらもゼルガディスがコーヒーに口をつける。それをまじまじと見て、クラヴィスが尋ねてくる。
「なんか息苦しいとかどこか痛いとかそーいう事ないか?」
「……? ないけど?」
「うむ」
 満足げに頷いて、クラヴィスはテーブルに近づくと、こんがりといい色に焼けたパンに手を伸ばした。
「どうやら毒は入ってないらしいな」
「……………をい」
 ゼルガディスに半眼で睨みつけられるが、それをあっさりと無視する。
「実はオレの所にも昨日暗殺者が来てなぁ」
 とてつもなく大変なことを世間話をするような軽い口調で言ってくる。
「色々あって逃がしちまったから、毒が入ってんじゃないかと思ったんだ。毒を仕込むにゃ、飲み物が一番確実だからなー」
「俺は毒見役かっ!?」
「いいじゃん。入ってなかったんだし」
「結果論で言うなっ! って、お前のところにも?」
 数テンポ遅れてゼルガディスがやっと反応した。クラヴィスが嘆息した。
「多分、アメリアちゃんとこと同じ雇い主なんじゃないかなー」
 言って、パンをかじる。
「……雇い主のこと、知ってそうだな」
「まあとりあえずは。予想だけど」
「誰だ?」
 問われて、クラヴィスはゼルガディスを真正面から見た。
 クラヴィスはパンを皿に戻すと、静かに言ってきた。
「ゼルガディス。お前、アメリアちゃんを連れて今すぐこの街を出てけ」
 一瞬どういう意味か分からなくて、ゼルガディスは怪訝な顔をした。
「……どういう意味だ?」
 彼の問いにクラヴィスは淡々と告げてくる。
「アメリアちゃんを連れてさっさと逃げろ、って言ったんだよ。ちょうどゼロスもいないこったし、少しは仲良くラブラブ二人旅は出来んだろ」
「だから、どういう意味だ、って聞いてんだっ!」
 声を荒らげるゼルガディスにクラヴィスは鼻で笑った。
「お前だって人の言葉を理解できないようなバカじゃない。気付いてんだろ」
 静かに歩いて、部屋のドアに近づく。
「今回は暗殺者が絡んでる。お前もアメリアちゃんも暗殺者との戦い方に慣れてない。足手まといなんだよ。さっさと出てけ」
「ふざけんなっ!」
 激昂して、ゼルガディスはクラヴィスの胸倉を掴んだ。が、クラヴィスは至って無表情でゼルガディスを見ている。
「見くびるなよ――クラヴィス。俺たちだって暗殺者相手に戦うくらい出来る。だいたいここまで関わって、手を引けって言うのか?」
「過剰な自信は死を招くぞ。ゼル」
 クラヴィスは静かに言って、ゼルガディスの手を振り払った。
「悪いが何度も言わせないでくれ。今すぐセイルーンから出てけ。どうせ、フィルさんの意思を無視してアメリアちゃん連れ出してきたんだろ? さっさと出てった方がいろんな意味でいいと思うぞ。 それにもしどうしても出てかないって言い張るんだったら――」
 そこで、言葉を切る。
 ゼルガディスなら、言わなくてもわかる。
 ――張っ倒してでも、街から追い出す。
 そんなニュアンスを込めて、視線を送る。
「ああ、そーか。わかったよ。足手まといな俺たちは出てきゃいいんだろ、出てきゃ!」
 ゼルガディスの言葉にクラヴィスは鼻で笑った。
「よくわかってるじゃないか、ゼル」
「ああ。だがこれだけは言わせて貰う――クラヴィス」
 ゼルガディスはクラヴィスを見据えて、たった一言だけ告げた。
「お前とはもう絶交だ」


「あれ? ゼルガディスくん、もういいの?」
 階段をどすどすと音を立てて降りてきたゼルガディスを見て、ウィルフレッドが声をかけた。
 憮然とした面持ちでゼルガディスは玄関のドアを開くと、一言だけウィルフレッドに言った。
「クーなんか大っ嫌いだっ!」
 ばだんっ!
 言うだけ言って勢いよく扉を閉めて出て行ったゼルガディスを見送って、ウィルフレッドは戸惑いと悲しみを混ぜた表情を浮かべて、二階を見上げた。


「怒ると思考回路がまともに働かなくなるのは、相変わらずらしいな」
 言ってから深くため息をつく。
 壁に背中を預けて、クラヴィスはずるずると音を立てて座り込んだ。
 顔に手を当てて、苦笑いをする。
「絶交だってさ。まあ、あれだけ言っておいてそれだけで済めばいい方か」
『足手まとい』だなんて単なる建て前だ。
 本当は、失うのが怖くて。
 心から大切に想う二人を自分のせいで失うのが怖くて。
 もう大切な人を失う気持ちは味わいたくなくて。
 アメリアと自分が同時に狙われ、アメリアに原因が見つからないのだとすれば、原因は間違いなく自分にある。
 暗殺者達の雇い主が誰かはわからないけれど、この家の人間としか考えられなかった。
 自分には、金を出してまで殺そうとする人間がごろごろいるほど価値を持った人間ではないから。
(やっぱり帰ってこなきゃ良かった)
 クラヴィスは独りごちて、立てた両膝の中に顔をうずめた。
 頭も痛かったけれど。
 身体もだるかったけれど。
 だけど。
 一番痛かったのは、心だった。



「じゃあ、フィリオネル殿下には内緒で?」
 シルフィールの問いにアメリアは首を横に振った。
「いえ、とりあえず父さんには置き手紙をしてきました。『暗殺者に狙われているので、当分身を隠します。心配しないで下さい』って」
 アメリアの返答にシルフィールは思わず眉をひそめた。
 シルフィール=ネルス=ラーダ。
 ライゼール帝国サイラーグ・シティの神官長の娘である。であった、と言う方が正しいか。とある事件がきっかけで、住んでいたサイラーグの街ごと神官長である父親を亡くした彼女はこのセイルーンに住んでいる親戚の家に身を寄せていた。ここで神官の資格を取って、ゆくゆくはサイラーグ復興のために尽力したい、と彼女はいつも話していた。
 シルフィールがぽつり、と尋ねてくる。
「……その文面、ゼルガディスさんが考えたんですか?」
「そうですけど……なんでわかったんですか?」
 首をかしげて尋ねてくるアメリアにシルフィールは苦笑いしただけだった。
(期間が限定されてないところをみると、やっぱりそれを言い訳にまたアメリアさん連れ出そうとしてるんですね、ゼルガディスさん)
「シルフィールさん?」
 怪訝な顔をしてくるアメリアにシルフィールは取り繕うように手を振った。
「ああ、いえ、なんでもありませんわ。ところで、ゼルガディスさんはどちらに?」
 昨日の真夜中、いきなり二人がやってきて、詳しい話は明日の朝、と言っておきながら、自分が来た時には彼の姿は見えなかった。とりあえず、荷物はあるようだが、この家の中にはいない様だ。
 アメリアが答える。
「この近くにゼルガディスさんの親友の方がいらっしゃって……クラヴィスさんていう人なんですけど……」
「ああ、クラヴィスさんですか」
「知ってるんですか?」
「ええ、以前ちょっと魔術を習った事がありまして……」
 クラヴィスを知っていた事に驚いているアメリアにシルフィールは言った。実は、その魔術と言うのが黒魔術最強の呪文だったりする事はとりあえず言わないでおく事にした。
「そーなんですか……」
 納得したようにアメリアが言ってくる。
 ――と。
 どすどすどすどす、ばだんっ!
 ものすごい音が聞こえてくる。ぎょっとした顔をして、アメリアとシルフィールは顔を見合わせた。
 この音の原因がなんであるか、アメリアはなんとなく予想がついていた。
 彼女はあたふたとゼルガディスが置いていった荷物をがさごさとかき回す。目的のものが見つかり、扉のノブをひねろうとして――
 がだんっ! べしっ!
「ぶにっ!?」
「アメリアっ!」
 乱暴に扉を開ける音と何かが激突する音、さらに小さなうめき声とアメリアを呼ぶゼルガディスの声がほぼ同時に起きる。
「あれ?」
 勢いよく扉を全開したままのポーズでゼルガディスは間の抜けた声をあげた。
「シルフィール、アメリアは?」
 部屋を見回しても彼女の姿が見えない。呆然とこちらを見ているシルフィールに尋ねる。声をかけて十数秒でシルフィールははっと我に返り、答えてくる。
「あ、はい。おはようございます。ゼルガディスさん」
 頭の中が混乱しているらしく、質問とはあまり関係のない事を言ってくる。ゼルガディスは、問い直した。
「いや、そーじゃなくって。アメリアは……」
「何するんですかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
 ばべしっ!
「のわっ!?」
 開けていた扉が自分に向かって勢いよく向かってきて、ゼルガディスは慌てて、ドアノブから手を離し、回避する。勢いよく扉が閉まり、廊下に取り残されて、ゼルガディスが困ったように頬を掻いていると、すぐにアメリアがドアを開け、こちらを睨んできた。
 全体的に顔を真っ赤にしている――何故かは知らないが怒っているのだろう。だが、鼻の辺りだけは……怒っているだけでは説明しようがないほど赤くなっていた。
「何するんですかっ!? ゼルガディスさんっ!」
「な……何って?」
 片手に自分の愛用のハリセンを握り締め、すごい形相で迫ってくるアメリアにゼルガディスは思わず体の重心を後ろにずらした。いつでも逃げれるように。
「いきなり扉開けるなんて酷いじゃないですかっ!? 思いっきり鼻ぶつけちゃったんですよっ!? 鼻つぶれたらどーするんですかっ!?」
「……元からつぶれてるじゃないか……」
「なぁぁぁぁぁんですってぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
「のうわっ!? アメリア、何故にハリセンが赤くなってるんだっ!? ていうかそんな物騒なもん振り回すなぁぁぁぁっ!」
 ここが他人の家だと言う事もすっかり忘れ、ぎゃいぎゃい騒ぐ二人のところにシルフィールの伯父、グレイがやってくる。
「あら、伯父さま、どうなさったのですか?」
 シルフィールの言葉にゼルガディスとアメリアがぴたり、と止まってそちらを見る。
 グレイはゼルガディスの方を見た。
「シルフィールからいろいろ話は聞いてるよ。レゾの研究室を探し回っているらしいな」
「ああ。俺をこんな身体にしたのはあいつだからな」
 ゼルガディスの言葉にグレイは頷いた。
 懐から一枚の紙を取り出す。
「ならばここに向かってはどうだ? ほとんど知られていない場所だからもしかしたら行ってないのではないかな?」
 グレイから紙を受け取り、ゼルガディスはそれを見た。ふむ、と小さく声をあげる。
 確かに自分の知らない場所だった。
「何であんたがこれを知ってるんだ?」
 ゼルガディスの問いにグレイは肩をすくめた。
「昔、ちょっとあってな……」
 なんとなく言葉を濁すように言ってくるグレイに、ゼルガディスは敢えて無理には聞こうとはしなかった。横からアメリアが言ってくる。
「じゃあ、さっそくクラヴィスさんと一緒に行きましょう?」
 その言葉にゼルガディスは肩をすくめた。
「あんな奴の事なんかいい、ほっとけよ。俺たちだけで行くぞ」
「……なんかあったんですか?」
 尋ねてくるアメリアにゼルガディスはむすっ、とした顔を向けただけだった。


 マードック=ヴァレンタインが『その事』に気付いたのは、正当なるヴァレンタインの血をひいた妻が遺した日記を読んだときだった。全身の血がひいていくのが、自分でもわかった。
『どうか。どうか、ヴァレンタインの血を絶やさないで。どうかヴァレンタインの誇りをなくさないで』
 最後の一文と共にその日記にはすべての真実が書かれていた。
 マードックは頭の中で何かが崩れる音を聞いた。
 自分の完全なる計画が崩れる音。
(冗談じゃない。折角ここまで来たのだ!)
 邪魔されてなるものか。
 マードックは日記を暖炉に放り込むとそのまま暖炉に火を入れた。
 あっけなく燃えていく隠された真実を見つめながらマードックは笑った。
 それを廊下のドアの隙間から見つめて――
 ウィルフレッドは懐から封筒を取り出した。
『たった一人の愛する息子へ』
 あの日記にはさまれていた自分宛ての手紙を抱きしめて、ウィルフレッドは心に誓った。
 あの男に天罰を――


「家族がいるっていいことよ」
「家族なんていらない。あんな家族なんて……!」
 断固として意見を変えようとしないクラヴィスにノエルは嘆息した。
 彼に助けてもらってから一週間。
『家に帰らないと親が心配するわよ』の言葉に返ってきたのは『どうせオレが帰ったって誰も相手にしてくれないから』との素っ気無い言葉だった。
 彼の話を聞く限り、彼はあまり家族のことをよく思っていないようだった――どころか、逆に嫌悪にも似た感情を抱いているのがはっきりと読み取れた。
「あたしの家族ね――」
 ノエルの言葉にクラヴィスは静かに彼女に目を向けた。彼女は自嘲にも似た笑みを浮かべて続けた。
「あたしの家族――父と母しかいなかったんだけど、ちょっとした用があって、旅に出てね……旅の途中で盗賊に襲われて死んじゃったの」
 微かにクラヴィスが目を見開く。
「あたしは家で留守番してて……ついこの間まで両親が死んだことなんて知らなかった。知らずにずっと待ってたの。ずっとバカみたいに」
 クラヴィスは俯いた。
 つい最近知った無二の親友の両親のことを思い出した。
 十年も前に死んだ両親を狭い空間の中に閉じ込められながら待っている親友。
「あなたの家族もきっとずっと待ってると思うの」
「オレの家族は……オレを家族だと思ってないんだ……」
 ぽつりとクラヴィスは呟いた。
「オレは二人の兄貴とは違う母親から生まれてきたんだ。兄貴達と爺さんはオレをヴァレンタインの人間だと認めてくれない」
「お父さんは?」
「いつもいつも『時が来たら――』としか言ってくれないんだよ。昔から、ずっと!」
 クラヴィスは、顔を上げた。
「オレは産まれてきちゃいけなかったのか!? オレがあの家にいちゃ悪いのか!? オレだって家に帰りたいし、本当の家族がどんなもんか知りたいけどっ! だけど……!」
 認めてくれない。
 ヴァレンタイン家の一員だと。
 少しは血が繋がっているのに認めてくれない。
 自分の孫だと。
 自分たちの弟だと。
「……わかったわ」
 急に俯いたクラヴィスの頭をぽんと叩いて、ノエルが笑った。
「あなた、もう少しここに居候しなさいな。このノエルおねーさんが『家族』がどんなものか教えて差し上げましょう」
「…………」
 その言葉にクラヴィスはぽかん、とした顔をした。
「……なんかプロポーズみてぇな言葉だな」
『…………………………………………』
 クラヴィスの言葉に、二人はしばし沈黙した。


 ちなみに。
 数ヵ月後、自分が男と一緒に暮らしているらしいという噂(いや、実際に暮らしていたわけだが)を耳にしたノエルが『男と同棲したなんて噂が広まったらもう結婚できないじゃないっ! 責任とんなさいよっ!』との言葉に、クラヴィスが、何故かすでに用意してあった婚姻書を取り出して『んじゃ、サインくれ』と即座に言い返し――
 売り言葉に買い言葉で二人はあっさりと結婚した。
 そして、その一週間後――
 彼らにとって悪夢が訪れることになった。


 頭痛は時間が経てば経つほどに酷くなっていった。
 もともと色白なせいか、顔色が悪くても他人からは彼の状態があまりわからないが。
 火照った顔を冷ますために顔を洗っては見たが、あんまり効果はなかった。柄もなく泣いたせいで腫れ上がった目のしたは何とか誤魔化すことは出来たが。
 ふらふらとした足つきで、クラヴィスは自分の部屋に戻り、ベッドに寝っ転がえろうとして――窓の外にいる人影に足を止めた。
 見覚えのある巫女姿の女性。
 シルフィールだった。
 彼女は、クラヴィスにぱたぱたと手招きすると、敷地を囲む柵の間に封筒をはさんだ。そのまま彼女は会釈して、自分の家の方へ小走りしていった。
「なんじゃありゃ? あ、ラブレターだぁね。んなわけねーだろ、というツッコミを自分でしてみる。一人ツッコミは寂しいやね」
 などと独り言をもらしつつ、再び部屋を出てやはりふらふらとした足つきで一階に降りていく――途中、階段で転げ落ちそうにもなったが。
 なぜかいつも玄関で花を生けているウィルフレッドの横をすり抜け、玄関から裏庭の方へ回って手紙を取りに行く。自分の部屋の窓からとりに行くことも可能だが、あまり意識が働いていない今それをすることは自殺行為だろう。
 手紙を手にとり、封筒を見てみる。が、封筒には何もかかれてはいなかった。
 封筒から手紙を取り出してみれば、そこには、かわいらしい丁寧な字でこう書かれてある。
『全てが終わり次第、ディルス王国シグムーン・シティに来られたし。
 レゾさんの研究室があるそうです。
 追伸。何があったかは知りませんが、もう二度と彼の思考回路を麻痺させるような真似しないで下さいね。親友なら素直に本音を言うべし』
(気付かれないと思ってたんだけどな……何でわかったんだ? アメリアちゃんは)
 本音を言いたくなくて、ゼルガディスを怒らせたのに。
 クラヴィスは嘆息した。
 痛む頭を押さえてうめく。
「……いつまでそこにいるつもりですか? 父上」
「あは、バレた?」
 近くの木からひょこ、っと顔を出してウィルフレッドがにっこりと笑った。そんな父親にクラヴィスは冷めた視線を送る。
「遊んでないで、仕事したらどうなんですか?」
「この頃ずっと暇でね。部屋の掃除もあらかたやってしまったし。
 だからクラヴィスくんと一緒に遊びたいなって」
「お断りします。こちらは暇ではないので」
「……そう」
 悲しそうな顔をする父親に嘆息すると、クラヴィスは自室に戻ろうと一歩足を踏み出す。
 と。
 いきなりぐらり、とクラヴィスの身体が傾く。
「クラヴィスくんっ!?」
 倒れこんだクラヴィスを慌てて受け止めて、ウィルフレッドは息子の手から離れた手紙を拾い上げた。
 それに目を通して、呟く。
「……シグムーン……」
 ウィルフレッドは意識を失ったクラヴィスを見た。
 そろそろ彼に本当の事を話すべきなのかもしれない。
 そう思いながら、ウィルフレッドはクラヴィスを背中に乗せて、玄関に向かった


『あの人は私を愛してなどいなかった。
 あの人が愛していたのは私の地位、権力、財産。
 だから、私はあの人を裏切ったの。
 あの人の子供と偽って、別の男の子供を産んだの。
 それが――あなた。
 あの人を毛嫌いしていたあなたに『あなたはあの人の子供じゃない』と言ったら、あなたは喜ぶかしら?
 ウィルフレッド。
 ヴァレンタイン家の唯一の血を受け継いだ私のたった一人の愛する子供。
 お願い。ヴァレンタイン家を守って。あの人を――マードックを止めて』
 彼の母親が彼に当てた手紙はそんな内容だった。


「ウィルフレッド、彼女が今日から君の妻になる」
 母親が死んでから一ヵ月後。
 ウィルフレッドの18の誕生日。自分の妻だと言われて連れてこられた女性は見覚えがあった。
 家に仕えていた家政婦の一人。
 自分の母親――つまり、マードックの妻が死ぬ前から、この女性とこの男が不倫の関係にあったことはウィルフレッドも何となく感づいていた。
「よろしく、ウィルフレッド様」
 微笑んでくる彼女を無視して、ウィルフレッドは無言で自室に戻って行った。


 力が欲しい。
 何事にも屈服しない力が。
 家をめちゃくちゃにしたあの男を、自分の母親を弄んだあの男を倒せる力が欲しい。
 母親の遺言の事を何一つ出来ない自分に歯痒さを感じ、ウィルフレッドは唇を強く噛んだ。


 一度も手を触れていないどころか、会話したのも数えるほどしかない彼女が『ウィルフレッドの長男』を産んだのは、それから約7ヵ月後のことだった。
 そして、それからさらに2年後。
『ウィルフレッドの次男』を彼女が産んだ大雨の日。
 彼は彼女と出会うことになる。
 シルヴィア=ルシオンと――


「あなたって本当に間が悪いのねぇ」
 呆れた表情で言ってきたノエルにクラヴィスは真っ赤な顔をして反論した。
「いいか!? 風邪の菌っつーもんは年がら年中うにょうにょいるものなんだぞっ! つーわけで、風邪をひいたのはオレのせいじゃないっ!」
「はいはい、つまんない言い訳はいいから寝てなさいな。婚姻届はあたし一人で出してくるから」
「ううううう」
「ほーら泣かない泣かない」
「からかうなっ! だいたいオレの風邪が治るまで待とうとかそーいう気がおきないのか!?」
「おきるわけないじゃない」
 ふふん、と鼻を鳴らしてノエルはきっぱりと言った。
「別にいいじゃない、二人で出しに行かなくたって。帰りになんか買ってきてあげるからちゃんと寝てなさいな。あ、それとも何か作ってあげよっか?」
「……塩と間違えておかゆの中に砂糖入れるよーな女に作ってもらいたかないなあ」
 はっきり言って、ノエルの家事能力は最低だった。よく今まで一人で生活してこれたな、と言えるくらいに。
 クラヴィスは嫌味たっぷりで言うと、嘆息した。
「病気って一人で治すもんだと思ってたよ」
「一人で治すに決まってんじゃない。何言ってんの。他人様が治してくれると思ってたの?」
「……病気になった時は部屋に隔離されてたんだ。誰も来ないし、誰も看病してくれない。ただ、ひたすら一人で苦しむんだ。病気ってそういうもんだと思ってた」
 ノエルの顔が曇った。クラヴィスの家族――話は少しは聞いているが、そんなに酷い家族だったのだろうか……だが、彼が大げさに言っているとは思えなかった。ノエルは少し考え込んで、言った。
「……ちゃんと誰か来てたと思うわよ。何にも食べなかったわけじゃないんでしょ? 誰かご飯持ってきてくれただろうし……寝てた時にこっそりといたとかあるかもしれないし……あたしもそうだったわよ。だいたい人がいると寝れないじゃない」
「……そーなのかね。そーには思えないけど……」
 クラヴィスはぽつりと呟いた。



 気がつけば、ベッドの上だった。
 クラヴィスはゆっくりと目を開けた。
 さっきまであんなに痛かった頭からはすっかり痛みはなくなり、顔も熱くない。
 額に手を置いて、クラヴィスはなにがあったのか、しばし頭の中を整理した。
(……気が遠くなったのは覚えてるんだけど……)
 視線を移動させ、部屋を見回す。
 間違いなく自分の部屋。自分以外は誰もいない。
(当然だけどな)
 病気になっても誰も何もしてくれなかった。いつだったか、ノエルは『ちゃんと来ていたはずだ』と言ってはいたが、クラヴィスはそれを否定していた。来るわけがない。
 ――と。
 静かに扉の開く音がした。
 暗殺者だと思って、クラヴィスは飛び起きた――が、入ってきたウィルフレッドは目を見開いて彼を凝視した。
「あ、え、えー……と、大丈夫……みたいだね。とりあえず、すごい熱だったから魔法で治してみたんだけど……
 だめだよ、クラヴィスくん。倒れるまで我慢してちゃ。具合が悪いってどうして僕に言わなかったんだい?」
「言えば何かしてくれたんですか? いつもいつも病気になってもほったらかしにしていたくせに」
「それは……」
 言いかけて、ウィルフレッドは止まる。
 止むを得ない事情があったとはいえ、彼の言い分は正しい。彼が病気になった時に自分が出来た事は誰にも気付かれず、彼の側にいてやる事くらいだった。薬のせいで眠っていたクラヴィスは自分がそばにいた事なんて知らないだろうが。
 黙り込むウィルフレッドにクラヴィスは嘆息した。
「ま、一応礼は言っておきますよ。魔法を使って熱を下げてくれた事には」
 言いながらベッドから起き上がろうとするクラヴィスを見て、ウィルフレッドが慌てた。
「どこに行くのっ!? クラヴィスくんっ!」
「どこだっていいでしょう? あなたには関係のない事だ」
 自分には関係のない事。
 そう言われて、ウィルフレッドは心の中で押さえていたものがはじけるのを感じた。
「関係ないわけないでしょっ!! 全部自分で背負い込む気なのかいっ!?」
 ウィルフレッドの言葉にクラヴィスが顔をしかめた。
「……何を知ってるんだ?」
「全部っ!!」
 クラヴィスの問いにウィルフレッドは叫んだ。
 何も出来ない自分が歯痒かった。
 いろいろな理由が絡み合って、自分は昔から自分の子供を守ってやる事が出来なかった。
 そのせいで自分の子供は心に深い傷を負って、心を許した相手以外には本音を言わなくなった。すべてを自分で、背負い込むようになった。
 自分を頼りにしてくれなくなった。
 頼って欲しい。
 何かあったら、すぐに自分のところに来て欲しい。
 自分には本音で話して欲しい。
「……自分でなんでも背負い込んじゃてさ、1人で我慢して、苦しくないかい?」
「何言って……」
「苦しくないわけがないんだ。辛い事を我慢してる事ほど、苦しい事はないんだよ」
 自分もそうだった。
 頼る人間が誰もいなくて。
 1人すべてを背負い込んで。
 もし、彼女に、シルヴィアに出会わなかったら、頼れる人間に出会わなかったら、確実に自分は今ここにはいなかっただろう。
「僕を頼ってよ、苦しいって信号出してよ、我慢して苦しい事全部飲み込んじゃわないでよっ!」
 自分の気持ちを吐露して、自分の肩を揺さ振るウィルフレッドに、クラヴィスは何も言えず、ただ呆然と父親の顔を見ているだけだった。



 それはまさに悪夢と言っても良かった。
 買い物を頼まれて、ほんの少しの時間だけ彼女を一人にして――
 一週間前、正式に家族になったノエルの異変にクラヴィスが気付いたのは、彼女の悲鳴が聞こえてきた時だった。
 慌てて荷物を放り出し、駆けつけた時にはもう彼女は虫の息だった。
 彼女は自分に微笑んで、静かに息を引き取った。


 彼女を埋葬してから、数日。
 どこにも行く当てがなくて、ほんの数日前までは確かに彼女が生きていた部屋でクラヴィスはただ何もせずに時間を過ごしていた。
 ここで死んでもいい。
 そう思ったくらいだった。
 そんな時、セイルーンの自宅から一通の手紙が届いた。
 それは、祖父からの帰宅命令だった。
 クラヴィスはため息をつくと、そのまま家に帰る準備をし始めた。
 なんとなくここにはいたくなかった。
 嬉しいこともたくさんここであったけれど。楽しいこともあったけれど。
 掃除しても掃除しても微かに残る血の匂いが、彼女が死んだ、という事実を自分に突きつけてくるような気がして。
 彼はセイルーンに旅立った。
 何も知らずに。


「死んだ娘のことなど忘れてしまえ、クラヴィス」
 数年ぶりの再会の祖父の開口一番がその台詞だった。
『お帰り』でも『久しぶり』でもなくて。
 そんな言葉をかけてくれるとは思ってはいなかったが。
 だが。
 クラヴィスにとって、その祖父の言葉は聞き逃すことの出来ない言葉だった。
「……なんで……知ってんだよ? ノエルのこと……」
 祖父の部屋でクラヴィスは押し殺すように言葉を吐いた。
 祖父――マードックは嘲り交じりで笑った。
「お前の行動をわしが把握していなかったと思うか? ヴァレンタイン家の人間に得体の知れない血を入れることは許さん」
「……今まで、オレをヴァレンタインの人間どころか孫とも思わなかった人間の言う言葉か? それが!?」
「思っとったとも。お前が生まれたときからな」
 全く『思っていない』口調で言うマードックにクラヴィスは黙って、部屋を立ち去った。
(殺したんだ……あいつが殺したんだ……!!)
 拳を握り締めて、クラヴィスは自分の部屋に戻った。


 あんなに元気だったマードック=ヴァレンタインが、『病気』で『急死』したのは、それから数日後のことだった。
 祖父を失ったことで落胆している二人の兄とは別に、クラヴィスは祖父の遺品を整理することを買って出た。ウィルフレッドは何かをいいたそうだったが、結局何も言わなかった。
 クラヴィスは再び家を出た。
 マードックがノエルを殺すために雇った男達に自分と同じ思いをさせるために。


「もう絶交だ、絶交っ! 誰が何をどう言おうとあいつとはもう絶交だっ! 泣いて謝ってきたって、土下座して、崖っぷちから命綱なしバンジージャンプするまで絶対許さねぇっ!」
 どすどすと音が聞こえてきそうなくらい強く足を地面に打ちつけて、ゼルガディスはディルス王国領に向かう街道を歩いてきた。
「だいたい『足手まとい』だっ!? お前だって似たようなもんじゃねぇかっ! いかに辛い訓練から逃げ出そうかに命かけてたくせによく言いやがるっ!」
 隣では、アメリアがゆっくりとした足取りでついてきていたが、その顔には苦笑いが刻まれていた。
(命綱なしバンジージャンプって……クラヴィスさんに『死ね』って言ってるのよね……きっと……)
 セイルーン・シティから旅立って、半日。
 棚からボタモチ、かくまってもらっていたシルフィールの伯父から『レゾの研究所がシグムーンにあると聞いたことがある』と偶然にも情報を手に入れたゼルガディスとアメリアはそこに向かって旅をしていた。が、いつもは『レゾの研究所』と言うだけで自分を無視したすごい速さの足取りが、今回に限っては遅い。ゼルガディス自身は気付いていないようだったが。
(素直じゃないんだから)
 半日中、何かの鬱憤を晴らすがごとくにクラヴィスの秘密を大声で暴露しまくっているゼルガディスにアメリアはくすりと笑った。
 と。
 隣のゼルガディスが急に静かになり、ぴたりと止まった。急に止まったので、隣にいたアメリアは彼より数歩先で止まり、彼の方に振り返った。苦虫を噛み潰したような顔をして、ゼルガディスはシグムーン・シティがある方を見た。
 彼が何を言おうとしているのかはわかっている。アメリアは思わず声に出して笑って、とりあえず声をかけてみる。
「どうしたんですか? ゼルガディスさん」
「……なんかやけに嬉しそうだな、お前……」
「にゃは。出会って3年目にしてようやくゼルガディスさんの行動パターンが掴めてきました」
「……お前の行動パターンは全く掴めないがな」
 ゼルガディスは皮肉交じりに呟いた。正確には、『肝心なところの行動パターンが掴めない』だが。普段の彼女の行動パターンは異常なほどに単純だ。ゼルガディスには3日もあれば完全に網羅できた。
 深くため息をついて、ゼルガディスが言った。
「忘れ物をした」
「はいはい」
 アメリアは笑って、元来た道を引き返した。


「クラヴィス、何か悩み事があるんじゃないんですか?」
「……悩み事?」
「クー、ボール、早くちょうだいよー」
 森の屋敷の中庭で、キャッチボールをしていたクラヴィスに屋敷の主であるレゾが尋ねてきた。クラヴィスは少し考えて答える。
「……なんだか来るたびにゼルがあんたに似てやかましく育っている事は悩みのうちに入るのかな?」
 クラヴィスの言葉にレゾはしばし沈黙する。頭を横に振って否定する。
「……そうではなくて、あなたの家の方でですよ」
「…………」
 レゾの言葉にクラヴィスが顔をしかめた。
 遠くから聞こえるゼルガディスの声。
「クぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ! ボぉぉぉぉぉぉルぅぅぅぅぅぅぅっ!」
 叫んでくるゼルガディスにクラヴィスは青筋を立てた。
 腕に抱えて持っていたバスケットボールを思いっきりゼルガディスに投げつける。
「ぐげふっ!?」
 すごいスピードで飛んできたボールを顔面でしっかりと受け止めて、ゼルガディスが変な悲鳴をあげた。
 顔を押さえてうずくまり、とりあえず静かになったゼルガディスを確認して、クラヴィスはレゾの方に向き直った。
「……別にないよ」
「ないわけないでしょう。いろいろあなたのお父さんから聞いてますよ。家じゃあまり会話もしてないそうじゃないですか」
「別に。する話がないだけさ」
 そっけなく言うクラヴィスにレゾは嘆息した。
 何かあるとすぐに文句を言うこの少年がここまで意地を張るのだ。よっぽど言いたくないのだろう。これ以上聞いても無駄だと悟ったレゾは最後に一言だけ言った。
「まあ、あなたがそう言うんなら別にいいんですけどね、お父さんにはちゃんとなんでも隠さず話しなさい。彼はあなたの良き理解者になってくれますよ」
 その言葉を聞きながら、クラヴィスは心の中で独りごちた。
(だといいけどな……)
 そのすぐ後、クラヴィスの脳天にゼルガディスの投げたボールがすごい勢いで直撃した。
 鈍器で頭を殴られたような感覚を覚える。実際はただのボールだったのだが。
「お返しっ!」
 叫んでガッツポーズをするゼルガディスにクラヴィスはため息をついて、地面に転がったボールを拾い上げた。
 絶対にノックアウトにしてやる、と心の中で固く誓いながら――


「……いいのか? 自分の思ってる事、話しても……」
 クラヴィスの言葉にウィルフレッドは優しく頷いた。
「我慢して苦しい思いをしなくてもいいんだよ、クラヴィスくん。僕に全部話して?」
「……オレは……」
 言いかけて、クラヴィスは俯いた。自分の肩からウィルフレッドの手を払う。
「……クラヴィスくん……」
「……こぉんの……」
 ウィルフレッドが声をかけると、クラヴィスは彼に静かに手を伸ばし――
 「くそ親父がぁぁぁぁぁぁっ!」
「あにゅうえぇぇぇぇっ!?」
クラヴィスは絶叫すると、一気にウィルフレッドの胸倉を掴み上げた。がっくんがっくん前後に揺らしながら青筋を立てて叫ぶ。
「てぇめ、人んこと散々ほったらかしにしておいてなぁぁぁにが『僕には本音を話して』だっ!? お前のせいでオレがどんなに苦労したかわかるか!? ああ!?」
「ク……クラヴィスくん……苦し……」
 すごい勢いで振られて、息もできず真っ青になったウィルフレッドが呟く。が、あっさりとクラヴィスはそれを無視して続ける。
「だいたい後先考えずに愛人作ってオレを生みやがってっ! 愛人なんぞ作るなとは言わんっ! ただ、生まれてくるガキの事もちったぁ考えやがれってぇんだっ!
 おいっ! きーてんのかっ!? そぉぉぉんな青白い顔でごまかそーたってそうはいかねぇぞっ!?」
「……あうあああああお願い離してぇぇぇぇぇぇぇ……」
「ああ? だから人がこーやって一生懸命話してるじゃねーかっ!? 聞いてなかったのか!?」
「ちがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
 力を振り絞って、何とかウィルフレッドは胸倉を掴む息子の手を振り払った。
 ぜーはーぜーはー荒い息をつきながら、言う。
「クラヴィスくん、今僕の事本気で殺そうと思ったでしょ?」
「なぁぁに言ってやがるっ! オレがあんたをそんなに簡単に殺すわけないだろ!? 殺すんだったら、もっと残忍な殺し方してるわっ! だいたい、今までこれっぽっちも気にも掛けなかったくせに今ごろになって父親ぶりしやがって!」
「クラヴィスくんだって、僕がどんなに辛い思いしてたか知らないくせにっ! だいたい、こーいう時って、クラヴィスくんが『お父さぁぁぁぁぁんっ!』とかいって僕の胸に泣き付いてくるのがセオリーってなもんでしょっ! やってよっ!!」
「知るかっ! そんな事っ!」
 更に二人の言い合いは続く。
 しばらくの間、お互い言いたい事を言いたいだけ言って、息を整えるために深呼吸を繰り返す。
 そういう血筋なのか、単に親子だからなのか、言うだけ言うと、まったくその話題には振りなくなる。
 嘆息して、クラヴィスが尋ねた。
「で? 結局あんたは何しに来たんだ? まさか、今更『親子愛』なんつー馬鹿げたもんを取り戻しに来たとか言わないよな?」
「……実はそれちょっと考えていたんだけどなー……」
 寂しそうにウィルフレッドが呟いた。が、半眼を向けてくるクラヴィスを見て、慌てて本題を切り出す。
「え、あ、うん。そろそろクラヴィスくんが起きる頃だと思ってね、いろいろ話したい事があるから来たんだ。ちょっと油断してた隙に、とある誰かさんに先に知られちゃったおかげで、クラヴィスくん命を狙われるハメになったから」
「ほほぉぉぉぉぉう。元凶はてめえかくそ親父」
 青筋を立てて、手を鳴らすクラヴィスにウィルフレッドは頭と両手をぶんぶん横に振った。
「だ、だから僕もちゃんと責任持ってこの事件を解決しようとしてるんじゃないかっ!
 クラヴィスくんの護衛したり、昨日のマヌケくんを倒したりっ!」
 その言葉にクラヴィスは疑わしげな眼差しをウィルフレッドに向けた。
 この父親が、マヌケとはいえ暗殺者を殺せるような力量があるとは思えなかったからだ。
 もともと神官と言うものは神に仕える聖職者であるため、無意味な殺傷はしない。故に、護身術くらいは学ぶものの本格的な戦闘術を学ぶことなどないのだ。
 自分の場合、幼い頃に赤法師レゾに見初められ、それなりの訓練を彼に教わったため、だいたいの戦闘術は身につけているが――
「……本当に倒したのか?」
「……クラヴィスくん、僕の実力信じてないでしょ……」
「たかが一神官に何ができるってんだよ。戦闘術もろくに習ってなさそうだし。昨日倒した暗殺者ってのもマヌケの極みだよなー。こんな奴に負けるなんてさ」
「一応色々手ほどきは受けたんだにょ。クラヴィスくんのお爺さんに」
「マードック?」
「ううん、お母さんの方。すっごくお茶目な人なんだけど、強いんだ、これがまた。非常識なくらいに」
 言って、何かを思い出したように身体を震わせた。大方、その祖父とやらにこっぴどくやられたのだろう。
 沈痛な面持ちでウィルフレッドは嘆息し――クラヴィスを見た。
「なのに守れなかった、君の事も君の大事な人も」
 誰の事を言っているのかすぐに理解して、クラヴィスはウィルフレッドから視線をそらし、無意識に胸元にかかる鎖に繋がれた指輪を掴む。
 ウィルフレッドは真っ直ぐクラヴィスを見つめた。
「謝って許される事じゃない。けど……ごめんね、クラヴィスくん。あの男を僕は結局止められなかった」
「……何の話だ?」
 クラヴィスはとぼけてみせた。ウィルフレッドが頭を振る。
「言ったでしょ、君の事は全部知ってるって」
 ウィルフレッドは言いながら近くのベッドに腰を掛けた。隣をぽんぽん叩いて、クラヴィスに座るよう促す。クラヴィスは肩をすくめると、父親と少し離れて座る。
 ウィルフレッドは続けた。
「あの男……マードックがね、死ぬ前にすごく酔っていた日があってね」
 ウィルフレッドは何故か自分の父親――クラヴィスにとっては祖父だが――を『父さん』と呼んだ事をクラヴィスは聞いた事がなかった。マードックは、自分の息子や孫には、『大神官様』などと呼ばせていたから、と言うのもあるが、それ以前にウィルフレッドはマードックに対して嫌悪に似た感情を持っているような気がしてならなかった。
 まあ、あんなくそじじいだったら嫌うのも無理はない、などと幼かったクラヴィスは勝手に解釈していたのだが――
 とりあえず、クラヴィスは黙って耳を傾けた。
「どこからそんな情報を手に入れたんだか、クラヴィスくんに女が出来た、ってひどく怒ってた。僕は同時に『仕事』と言う名目で、ディルスの方に行かされてね」
 ウィルフレッドがため息を吐いて首を横に振った。
「彼女が亡くなったって知ったのは、僕がここに戻ってすぐ――クラヴィスくんが戻ってくる数日前だった」
「……あいつは……」
 クラヴィスがぽつりと呟いた。
「あいつはじーさんに殺されたようなもんだ。直接は手を下していないが、あいつが命令したんだ。だからオレは……」
 マードックを殺したんだ。
 そう言おうとしたクラヴィスをウィルフレッドの手が遮った。
「知ってる」
「オレのどこまで知ってるんだっ!? 全部って言っても絶対そこら辺はバレてないと思ったのにっ!」
「びっくりした? ついでに言えばその後の事も知ってるよ。すごい? ねえ、すごい!?」
「ああ、すごいすっごいっ!」
 子供のように目を輝かせて尋ねてくるウィルフレッドにクラヴィスは慌てて首を縦に振った。そして、嘆息する。
「……怒らないんだな。自分の実の父親だろ」
 クラヴィスの言葉にウィルフレッドは曖昧な笑みを浮かべた。
「実の父親なんかじゃない。あの男と僕は……赤の他人さ」
 その言葉にクラヴィスは何も言えず、ただ呆然と父親を見つめた。
 ウィルフレッドはそんなクラヴィスを見て、微笑を漏らした。
「驚いた? 僕はね、母さん――つまりクラヴィスくんのおばあさんとその愛人の間に生まれた子供なんだよ」
 いたずらっぽくウインクしてくるウィルフレッドにクラヴィスは目眩を覚えた。
「……2代そろってそんなことしてたのか? うちの家系は……」
 なんとなく思った事をうめいてみる。
「……兄貴どもは知ってるのか?」
 クラヴィスの問いにウィルフレッドは肩をすくめた。
「本当はね、この辺りの話を君が帰ってきてから全員に言おうと思ってたんだけどね、さっき言ったでしょ? 油断してたら、とある誰かさんに先に知られた、て」
「何でオレが帰ってきてからなんだ?」
「後を継いで欲しいから」
 即答したウィルフレッドをクラヴィスはすごい形相で睨みつけた。立ち上がって、シーツを引っ張る。そのシーツの上に座っていたウィルフレッドが、こてんと床に放り出された。打ったのか、はたまた見かけよりも食っている年のせいなのか、ウィルフレッドは腰の辺りを押さえてクラヴィスに非難の目をむけた。が、クラヴィスはそれを無視して、部屋の入口を指差した。
「冗談じゃないっ! 継がないっ! 絶対にっ! 用はそれだけだったらさっさと出てってくれっ!!」
 取りつく島もないクラヴィスにウィルフレッドはいじけたような顔をする。
「もう駄目だにょ。僕が遺言書にそう書いちゃったも」
「って過去形!? すでにっ!?」
 思わずクラヴィスは絶叫した。ウィルフレッドはぺろっと舌を出した。
「この間ね、暇だったから書いちゃった(はぁと)」
「……冗談きついぞ……このくそ親父……」
 脱力するクラヴィスにウィルフレッドはぷう、と頬を膨らませた。
「でもね、結構真面目に書いたんだにょ?」
「だからって何でオレが……!」
 クラヴィスの言葉にウィルフレッドは不意にまじめな顔になった。
「……クラヴィスくんはどう思ってる? 今回の暗殺者のこと」
「無視するんじゃないっ! こっちは何でオレが跡継ぎなんぞしなくちゃなんねーんだ、と尋いてるんだよっ!」
「関係ないわけじゃないんだ。クラヴィスくんはどう思ってる? 今回の事件」
 問われてクラヴィスは嘆息した。この父親は、自分の問いに対して答えるつもりがないのだろう。ならば、いつまでもこの話題を引きずっていても意味はない。
 しぶしぶながら、答える。
「……アメリアちゃんとオレが同時に狙われたと言うことは依頼主が同じである確率が高い。でもって、アメリアちゃんに狙われる理由がないとすれば、まあ原因はオレなわけだ」
「うんうん」
 ウィルフレッドの相槌にクラヴィスは先を続けた。
「まあ、オレが死んで喜ぶのはこの家の人間くらいなもんだからな。ハージェスかエドかあんたか」
「……僕は違うって」
「知ってる。もしあんたが犯人だとしたら、オレが寝てる間にとっとと殺しているだろうからな。
 だいたい、あんたがオレを殺しても、さしたるメリットがない。強いて言えば、ほんのちょっぴり食事代が減る、とか香典が手に入る、とかその程度のもんでしかない。この家が、そこまでしなくちゃ金がないとは思えないからな。
 あんたはやってないだろーよ」
 クラヴィスの言葉にさすがにウィルフレッドが半眼を向けてくる。
「……もしかして今までからかってたの?」
「まさか。ついさっきまで疑っていたのは本当だ。
 で、ハージェスとエドのどちらかに絞られるわけだが」
 クラヴィスはうめいた。どうしてもそこで推理が止まる。
 彼はどちらの兄にも疎まれている。自分を殺す理由が二人ともあるのだ。
「……だけど、何でアメリアちゃんまで狙われたのかな?」
 ウィルフレッドの呟きにクラヴィスは顔をしかめた。そんな理由がわかっていたら、こっちだって苦労はしない。
「一緒に旅してたからじゃないか?」
「だとしたら、ゼルガディスくんも狙われてるでしょ。アメリアちゃん限定なんて絶対ヘンだにょ……」
「んー……オレと仲がよさそうだったから? でも、それでもゼルも範囲に入っちゃうよな。とりあえず」
 クラヴィスはうなった。どうしても理由が思いつかない。
「……もしクラヴィスくんがアメリアちゃんと結婚したらどうなると思う?」
 ウィルフレッドの問いにクラヴィスは即答する。
「多分、て言うか絶対ゼルに殺されると思ふ」
「そーかー……ゼルガディスくんってアメリアちゃんにぞっこんさんなんだねー……って、違うっ! いや、違くないけどっ! そーいう個人的恨みじゃなくて、もっと大きい観点から一般的に見ると! 結婚したらこーなる、とかってあるでしょ!?」
「……まさか……」
 何かを思い当たったようにクラヴィスがうめくように言葉を吐き出した。
 ウィルフレッドが神妙な顔で頷いた。
「オレがセイルーンの王様になるのがいやだった、とか?」
「いやそれ全っ然違うから。だいたい一般的じゃないでしょそれは」
 誰に似たのか、肝心なところで違う方向に走る自分の息子にウィルフレッドは半眼で否定した。

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6684クラヴィスくん家の家庭事情 Vねんねこ E-mail URL6/4-12:43
記事番号6681へのコメント


 出会いがあれば、別れもある。
 誰が言ったのかは知らないが、確かにその通りだとウィルフレッドは思った。
「クラヴィスは僕が引き取る――君は別のいい人を探して幸せになるんだ」
 シルヴィアはウィルフレッドのことをただじっと見つめるだけだった。彼はその視線を逃れるように顔をそむけた。
「き……君のことが……君のことが嫌いになったんだ。顔も……見たくない」
「……ウィル……」
 彼の言葉が嘘なのはすぐにわかった。
 シルヴィアは微笑んで、彼の震える身体を抱きしめた。
「……父に言われたのね……ありがとう」
「違う……僕は……」
 言いかけて開いた口をシルヴィアは人差し指で塞いだ。
「大丈夫よ、私のことは心配しないで。ちゃんと生きていく」
 にっこりと微笑んだ。
「これでも結構強いんだから」
「シルヴィア……ごめん……」
 最後にもう一度だけ、ウィルフレッドは彼女をしっかりと抱きしめた。


『僕、何かいけないことしたの?』
 幼かったクラヴィスは、よく父親に泣きついていた。ウィルフレッドはただ、彼を抱きしめただけだった。
 ただ、一言だけを繰り返す。
『ごめんね、クラヴィスくん。時が来たら――』
 ただ、その一言だけ。


「じゃあなんだって言うんだ!? アメリアちゃんと結婚してなぁんの障害があるっ!?」
 クラヴィスの言葉にウィルフレッドは嘆息した。
「子供だよ」
「あん?」
「結婚したら……いやしてなくても出来るけど……子供が出来るでしょ? よっぽどの事がない限りさ」
 ウィルフレッドの言葉にクラヴィスはこくん、と頷いた。
「犯人はクラヴィスくんに子供を持って欲しくなかったんだよ。だから、その可能性を持っているアメリアちゃんを殺そうとした。
 だから、別にアメリアちゃんじゃなくても良かったんだ。別の誰かが、君にくっついていたら、きっとその娘が狙われていた」
「どうしてそんな事する必要があるんだ?」
「ヴァレンタインの血を絶やすために」
 きっぱりと言ってきたウィルフレッドの言葉にクラヴィスは眉をひそめた。
「……どういうことだ? 犯人はどっちかの兄貴だろ? なんで血を絶やすなんてことしなくちゃなんねーんだ?」
「まあ、話すとすごく長くなるんだけどね」
 ウィルフレッドが肩をすくめた。
「すべてを話すには30年前にさかのぼらなきゃいけない」


 もともと身体の弱かった母が病死したのは、ウィルフレッドが18の誕生日を迎える1月と少し前だった。
 永遠の眠りについた母親と最期の別れを済ませた夜、ウィルフレッドは彼女の遺品の整理をしていた。
 そこで見つけたのは、すべての真実が書かれた彼女の日記と、自分宛ての手紙だった。
「そこには、僕は母さんとマードックの子供ではないと書いてあった。マードックは、ヴァレンタイン家が欲しくて、母さんに近づいた、ともかかれてあった」
 ウィルフレッドがそれを知った直後に、マードックもそのことを知った。
「僕はね――ただの人形だったんだ――マードックのね」
 自嘲のような笑みを浮かべて、ウィルフレッドは言った。
「彼は、そのあとすぐに自分の愛人を僕の妻としてこの家に引き込んだ。ヴァレンタインの血を引いていたのは母さんの方だったから、婿養子のマードックにしてみれば、元は他人の家で、後妻を娶るなんて体裁が悪すぎたんだ」
 今まで自分の子供だと思ってきたウィルフレッドが自分の子供ではないと知ったマードックが相当焦っていたのは、ウィルフレッドも気付いていた。
 マードックにしてみれば、大きな誤算だっただろう。
 自分の血を引いた次の後継ぎがいなかったのだから。
「マードックは、ヴァレンタイン家に自分の血が流れる者を入れたかった。
 彼は自分の血を引く、自分の子供が欲しかった。ただ、後を継がせるためだけに。
 だから、彼は自分の愛人――僕の形だけの妻に子供を産ませた。
 それが――ハージェスとエドワードだ」
 その言葉にクラヴィスはしばし絶句し――しばらくしてかすれた声で言ってきた。
「じ……じゃあ、兄貴達の父親って……」
「もしかしなくてもマードックだよ」
(いやまあ確かにくそ可愛げのない顔はあのくそじじいそっくりだけどさ……)
 ウィルフレッドがため息をついて、続ける。
「……マードックがなぜ君の大切な女性を殺したか――彼にとって、新しいヴァレンタインの血を引く子供が生まれる事は自分の築きあげてきた計画の破滅を意味していたからなんだよ」
「そこまでして地位と名誉を手に入れたかったのか?」
 クラヴィスの言葉にウィルフレッドは肩をすくめた。
「彼は貧しい家で育ったらしいから。『人より高い地位』に執着していたんだ。
 ――とまあ、そういう話を読まれた手紙に克明と書いたんだけどね」
「……それで、今回の騒ぎか」
「どっちが犯人かは知らないけれど、結局父親の血を引いてたって事だね。今の生活を守るために他人を犠牲にしていくんだ。
 聖職者にしてはあるまじき行為だとは思わないのかね?」
 ウィルフレッドの呟きに、クラヴィスはゆううつそうな顔をした。
「……聖職者うんぬんに関してはオレたちも人の事言えないよーな気がするんだが……」
「僕は聖職者の自覚なんてこれっぽっちもないからいいんだもん」
 ウィルフレッドが頬を膨らました。一瞬だけ、真顔に戻って呟く。
「……しょせん、神に祈って自分たちの生活を守ってもらおうなんてナンセンスな事なのさ。
 自分の生活は自分で守るしかない。自分の居場所は自分で捜さなくちゃいけない。
 生まれてくる人間に与えられた命題はどこかにあるはずの自分の本当の居場所を探すことさ。ただ人並みの幸せを手に入れることなんかじゃない」
 それは昔の自分への蔑み。
 自分のいるべき場所も探せずに、何もせずに、ただひたすら一時の幸せを探して、泥沼の中を駆けずり回っていた――
 若気の至り、とも言うべき愚かな自分の半生にウィルフレッドは思わず口元に笑みを浮かべた。
「……真面目なことも言えるんだな。ギャグオンリーの馬鹿親父かと思ってた」
 意外だと言うような顔をして感心して言ってくるクラヴィスにウィルフレッドは怒りもせずにっこりと笑った。
「にゃははははははは。僕はいたって真面目くんさ。バカっぽいのはクラヴィスくんのパパりんだからだもーん(はぁと)」
「………………………」
 クラヴィスは無言で振り上げた拳を父親に向けて振り下ろした。


「片割れが死んだ」
「だが、二人とも死んでいない。能無しだな」
 男の言葉に黒ずくめは黙った。彼は嘆息して、続けた。
「まあいい。王女はクラヴィスをおいて出てったそうだ」
「目標はクラヴィス=ヴァレンタインのみ、ということか?」
「屋敷の中で絶叫してた話を聞く限り、あの王女はクラヴィスとは無関係だ。
 その代わりにウィルフレッド=ヴァレンタインもだ」
「ついに自分の親まで手に掛けるのか」
 黒ずくめの言葉に男は顔をしかめた。
「そんな口が叩けるんだったら、さっさと二人を殺してこい。そうすれば、すべての真実を闇の中に葬ることができるのだから」


「ううううううううう。ひどいにょ、クラヴィスくん。パパりんのこと殴るなんてぇぇぇぇ」
「やかましいっ! 一緒にするなっ! この自分の年も考えずに奇妙な言葉使う変人がっ!
 だいたいまだあんたのことを全部許したってわけじゃないんだぞっ!」
 たんこぶを頭の上につくって、めそめそ泣くウィルフレッドに、クラヴィスはびしっ、と指を突きつけた。
 その言葉にウィルフレッドは顔を上げる。
「……どうすれば許してもらえるの?」
「オレに隠してること全部話せ。あんだろ、他にもいろいろと。だいたい今の話に母親のことが一切触れていないっつーのはどーいうことだよ?」
 クラヴィスの言葉にウィルフレッドはにたりと笑う。口元に手を当てて、言う。
「あらまあクラヴィスくんったら、おかーさんに興味あるの? なんだかんだ言っても甘えんぼさんなんだ(はぁと)」
「……家、出てかせていただきます」
「のうわぁぁぁぁぁぁっ! 冗談だにょおぇぇぇぇぇぇっ!」
 即答してきたクラヴィスにウィルフレッドが絶叫して、クラヴィスにしがみついた。背後からもたれかかってきた父親にクラヴィスが何度も蹴りを入れる。
「うげっ! 何しやがるっ!? 離せっ! 離せっつーの! こぉぉら離さんかくそ親父ぃぃぃぃぃっ!」
「いやぅだぁぁぁぁっ! パパりんもクラヴィスくんのそばにいたいぃぃぃぃっ!」
「わかったから背後霊はやめぇぇぇぇっ!」
 クラヴィスは渾身の力を込めて、ウィルフレッドを背中から振り落とした。


 旅はいたって順調だった。
「……順調じゃありませんよ、全然」
 憮然としてアメリアが言った。少し先を歩いていたゼルガディスが、振り返る。
「なんか言ったか?」
「『なんか言ったか?』じゃないでしょう!? クラヴィスさんのこと迎えに行くためにセイルーンに戻ったんじゃないんですか!?」
「何であんな馬鹿を迎えに行くためにわざわざ戻らなくちゃならないんだ?」
「そんなにあっさりと言わないでくださいっ! だいたいどうしてハリセンなんか取りに戻るんですかっ!」
 クラヴィスと別行動してから約一日。いったん戻ったセイルーン・シティの城壁が見えなくなったところ。
 そこで立ち止まり、詰め寄るアメリアにゼルガディスは平然と答えた。
「いや、別に要らないかとは思ったんだが、もう1人ゼロスってのがいるだろ? いつでもどこでも安全にツッコミを入れるためにはやっぱり持ってた方がいいかな、と考えたわけだ。
 ほら、ゼロスは魔族だから、魔力込めればなんでも効くし」
「ゼルガディスさんっ!」
 咎めるような口調のアメリアにゼルガディスは嘆息した。
「――いいか、アメリア」
 言いながらアメリアの側まで寄っていく。彼女の隣で立ち止まって、ゼルガディスが続けた。
「今、お前が戻ったら、またお前の命が狙われるだろ?
 お前が狙われれば、クラヴィスはまた『自分のせいだ』って自分を責める。なんでもかんでもすぐ自分のせいだって思い込んじまうんだよ、あいつは。
 あー見えて、結構繊細で優しい奴だから……」
 ゼルガディスの言葉にアメリアはしばし黙り込んだ。
「……クラヴィスさんって……」
 やがて、ぽつりと呟く。
「……なんかゼルガディスさんに似てる……」
「――へ?」
 アメリアの言葉に、ゼルガディスはきょとん、とした顔をした。


  ウィルフレッドと別れてセイルーンを離れたシルヴィアがその男に出会ったのは、ウィルフレッドと別れてから3ヶ月経った時だった。ディルス王国領シグムーン・シティで暮らしているというその男はウィルフレッドと雰囲気が良く似ていた。
 別に彼に未練が残っているわけではなかったが。
 いつの間にか、自分が無意識にウィルフレッドを探していることに彼女は薄々気付いていた。
 ウィルフレッドとよく似たその男はアレスといった。
 シルヴィアは彼にすべてのことを話した。
 ウィルフレッドのこと――そして、子供のこと。
 アレスはすべてを聞いてくれた。
 彼についていってシグムーン・シティに住むことになった。


「結婚してくれないか? シルヴィア」
 突然のプロポーズは、彼女が彼と出会って、1ヶ月経つか経たないかの時だった。
「え?」
 突然のことで、何を言われたのか理解できず、シルヴィアはアレスを見た。彼の漆黒の瞳が真剣にこちらを見つめていた。
「愛してるんだ、君を。君さえ良かったら――一緒に暮らそう、ずっと」
 正直言って。
 その言葉は嬉しかった。
 ウィルフレッドのことは愛していた。だが、アレスのことも愛していた。ウィルフレッドと同じくらい。出会ってからは間もなかったけれど。
 だけど――
 シルヴィアはぎこちなく視線をずらした。
「……私には子供がいる。それでもいいの?」
「構わない。君のすべてを愛してる」
 アレスはシルヴィアを抱きしめた。シルヴィアはそれを受け入れた。
 しばらくして、シルヴィアは身体を離して、彼にまっすぐ視線を送った。
「1つだけ――1つだけお願いがあるの」


 ウィルフレッドが彼らの結婚のことを聞いたのは、それからまもなくのことだった。
 彼は、その事を彼女の父親から聞いて、最初は少し驚いていたものの微笑んで、心から彼女たちの幸せを祝福した。


「シルヴィア、今日はクラヴィスくんとたくさんお話できたんだよ。すごく楽しかった」
 自室のベッドに寝転がりながら、枕元においてあるロケットのペンダントに向かってウィルフレッドは話しかけていた。
 ウィルフレッドが微笑む。
「クラヴィスくん、君のことを知りたがってた。話そうと思ったんだけどね、ついつい誤魔化しちゃったよ」
 言ってぺろり、と舌を出す。
 誰も聞いていないウィルフレッドの言葉が途切れ、彼はベッドに仰向けになった。
(時は満ちた……か。ついに来ちゃったよ……)
 昨日、大事な封筒がなくなったと気づいた時から近いうちにこの時が来ると覚悟はしていたのだが……
(すべてを話したら、なんていうかな、クラヴィスは……)
 もしかしたら、軽蔑されるかもしれない。口もきいてくれないかもしれない。
 ――だけど。
(明日にでも言わなくちゃいけないよね……あの子にとってとても大事なことだから……)
 ウィルフレッドは心を決めて、掛け布団を自分の身体の上に掛けた。


 みんなが寝静まった真夜中。
 微かな物音と共に閉めていたはずの窓が開き、風でカーテンがなびいた。
 細い三日月を背景に黒ずくめが音も立てずに部屋に入り込んだ。
 闇に慣れた目で、辺りを見回す。
 世界で名の知れた神官家の当主の寝室とは思えないほど質素な部屋。
 黒ずくめは、すぐに動き出した。
 足音も立てずも気配も消して、膨らんだベッドに近づく。手にしたナイフを両手でしっかりと握り、振り上げると、一気に身じろぎ一つしないウィルフレッドにナイフを突き刺した。
 ――が。
「――っ!?」
 人間を刺した感触ではない別の感触を感じて、黒ずくめは、勢いよく掛け布団を剥ぎ取った。
 そこにあったのは、やはりウィルフレッドの死体ではなかった。布団が丸めて紐で縛られていて、頭に当たる部分には「残念賞」などと書かれた紙が、ピンで留めてある。
「くそっ!」
 黒ずくめは舌打ちし――急に素早く、突き刺したナイフを抜き取ると、半回転して、ナイフを構えた。
 きぃんっ!
 小さな金属音が響き、その後ほどなくして、床に何かが突き刺さる音が聞こえてきた。
 よく見れば、それはダーツだった。
「うーん……残念。なかなかやるもんだねぇ」
「……残念で済むもんじゃないだろ……」
 二人の男の声が聞こえてくる。
 片方の男が嘆息するのが聞こえ、同時に呪文が漏れる。
「ライティング」
 男の――クラヴィスの言葉に彼の手の中に淡い光が生まれた。
 その隣で、ウィルフレッドはにっこりと微笑んで立っていた。
「真夜中に来るのはちょっとばかし非常識なんじゃないのかな?」
「……さすがだな、我が来たのに気づいていたのか」
「……誘き出したんだよ。昼間にあれだけ大声で話していれば、絶対犯人は聞いているだろうし。
 まあ、話を盗み聞きしていて、自分が疑われていると知れば、クラヴィスくんだけじゃなく、僕のことも殺すように言うだろうと踏んでね」
 ウィルフレッドが肩をすくめた。
「まあ、この屋敷に足を踏み入れたんだ。丁重にもてなししないとね」
 ウィルフレッドは口の端を釣り上げた。
「ようこそ、ヴァレンタイン家の屋敷へ」



「『なんとなく犯人がわかった気がする』ぅ?」
 うとうとしだしたところで部屋に飛び込んできた父親を、とりあえずしこたま殴りつけて、クラヴィスは素っ頓狂な声をあげた。
 頭にたんこぶをいくつか増やしたウィルフレッドがこくん、と頷く。
「思い出してよ、昨日のこと。僕とクラヴィスくんたちが再会したとき、そばにいたのはエドだけでハージェスはいなかったじゃないか! ハージェスはアメリアちゃんのことを知らないんだ」
「……そう言えば、家に帰ったときも気分悪いとか言って姿も見せなかったな」
「部屋にいるフリして、外に出るなんてクラヴィスくんの常套手段だし、きっとエドもそれを使ったんだ」
「をい」
 クラヴィスが半眼で父親を睨みつける。が、ウィルフレッドはそれを無視して続ける。
「でも証拠がないんだよね」
 その言葉にクラヴィスが嘆息する。
「なら問答無用に力技で吐かせりゃいいじゃないか?」
「……またそういうところだけ僕に似ないで……」
 ウィルフレッドがうめいて頭を振った。
「疑わしきは罰せず、だよ。相手を追い詰めた時、『証拠は?』なんて言われるのは推理小説では十八番じゃないか」
「……いつもどういう本を読んでいるのかが一目瞭然だな……少しは真面目に仕事しろよ、親父」
「いやだな、ちゃんと仕事してるよ。それはともかく証拠だよ、証拠」
「エドワードがいない間にあいつの部屋を荒らすのか? 結構オレ得意よ? 部屋荒らし」
「クラヴィス、真面目に考えなさい」
「……真面目に考えてるんだけどなー……」
 悲しそうにクラヴィスがぽつりと呟く。それを横目で見ながらウィルフレッドが嘆息した。額に手をやり、いい方法を考える。
 いろいろな方法が浮かび上がり――
「そうか……生き証人をつれてくればいいのか……」
 ウィルフレッドの言葉にクラヴィスは顔をしかめた。
「それってもしかして、誘き出すって事か? やだよ、オレ」
「まさか、自分の息子を囮になんかしないよ」
 ウィルフレッドはウインクした。
「囮は僕がやるから、クラヴィスくんちゃんとパパりんのこと守ってね」


「1つ聞きたいんだが……昨日の奴にしろあんたにしろ、暗殺者の自覚っていうのはあるのか? ずかずかと目標の部屋に入りやがって。いざというときにどう逃げるつもりなんだ?」
 クラヴィスが呆れたように尋ねた。が、黒ずくめは答える気がないらしかった。沈黙を保ったまま、隙あらば命を狙おうとしているのだろう、鋭い眼差しをこちらに向けていた。
 一般人なら恐怖を感じるようなその視線をクラヴィスは平然として受け止め、肩をすくめる。
「黙ってないで、もう少し気の聞いた台詞を言えよ。例えば……何がいっかな……あ、そうだなー、『三途の川の向こう側で、あなたの家族がお待ちです』とかさ」
「ま、まークラヴィスくんの台詞が一流かどうかのコメントはあえて避けるけど……ちょっと聞きたいことがあるんだよね」
 ウィルフレッドが一歩前に出る。
「依頼人追い詰める生き証人になってくれるなら金貨110枚あげちゃう。ああ、優しいな。昨日よか5枚も多い」
「ふざけるなっ!」
 叫んだと思えば、黒ずくめがウィルフレッドに向かってナイフを投げた。それをあっさり避けて、ウィルフレッドはクラヴィスを見た。
「だって。どーする?」
「……無理にでも聞いとかないと証拠がないんだろ、証拠が」
「うみゅ」
 ウィルフレッドが頷いて、黒ずくめのほうに向き直る。
「どうする? もう一度だけ聞いてあげる。金貨102枚もらって生き証人になるか、問答無用で張っ倒されるか……さあ、どっち!?」
「まあ待てよ、親父。三流さんには三流さんなりのポリシーとプライドがあるんだから、そーいう物で釣るようなことしたらかわいそーだろ? って、さっきよりなんで8枚も減ってるんだ?」
「いや、どうせ後でお城に引き渡すならどんな値段でも一緒かな、て……ほら、アメリアちゃん暗殺未遂でこの人城から手配されてるから」
「……も、いい」
 結局無事では済まない、と暗に言ってしまったウィルフレッドを押しのけて、クラヴィスが前に出た。
「いいか? 今の状況を良く考えろ。2対1、どう考えてもお前が不利だ。でもって、お前さんは王女暗殺未遂で追われている。
 セイルーンは敵に回すにゃ手強いぞ。お前ももう少し人生を楽しみたいだろ?
 別に生き証人にならんでもいい。確認と証拠が必要なんだ。なんか証拠になるようなもの、持ってないか?」
「あると思うか? 依頼主を証明するようなものが?」
 その答えにクラヴィスは肩をすくめた。
「だろーなー。ま、お前の所持品見せつければ相手も動揺して何か喋ってくれるだろうし――
 なあ、暗殺者としていいことを教えてやろうか?
 一流の暗殺者ってぇのはなあ……」
 言いながら、一気に黒ずくめとの間合いを詰める。
「勝てねぇ相手にはさっさと逃げるもんなんだよ」
 黒ずくめの鳩尾を狙って、蹴りを入れようとして――
 軽い動きで黒ずくめがそれを避ける。そのまま近くに転がったウィルフレッドのダーツを拾い上げ、クラヴィスの首筋を狙って突き出す。驚きながらもクラヴィスはそれをかろうじてかわした。
 黒ずくめが嘲笑した。
「勝てない相手には逃げ出すが、勝てる相手に逃げ出したりはしないだろう?」
「昨日のアホとは違うってわけか……」
 クラヴィスがうめく。
 黒ずくめの背後からウィルフレッドも別のダーツを取り出そうとするが、素早く気づかれ、下手に身動きが取れなくなる。
 両者の睨み合いが続く中、黒ずくめはクラヴィスに尋ねた。
「アメリア姫のそばにいたあのキメラはどこにいる?」
 その問いにクラヴィスは怪訝な顔をする。
「何でそんなこと尋くんだ?」
「お前らを殺した後にあの男と姫君も殺すからだ。我の顔を見たからな」
 いけしゃあしゃあと言い放つ黒ずくめ。その言葉にかっとなり、クラヴィスは再び黒ずくめに突っ込んだ。真っ直ぐ黒ずくめに向かっていく。
「力押しかっ! 馬鹿めっ!」
 黒ずくめが鼻で笑った。が、そんな笑いをしたのはクラヴィスも同じだった。
 黒ずくめの手前で、急に横にずれて、クラヴィスは懐から細い針金を取り出す。すれ違いざまにその細い針金を黒ずくめのうなじに突き刺す! 同時にクラヴィスは叫んだ。
「親父っ!」
 声に反応して、ウィルフレッドは先ほど黒ずくめが投げたナイフを拾い上げ、黒ずくめに向かって投げ放った。ナイフは勢いよく黒ずくめの背中を突き刺す。
「がはっ!」
 黒ずくめがうめき声と共に血を吐く。クラヴィスの針金もウィルフレッドの放ったナイフも深手とはいえ、致命傷ではない。殺してしまっては、証人としての意味がなくなるからだ。
 敷かれたじゅうたんの上に倒れ伏せる黒ずくめの背中を容赦なく踏みつけて、クラヴィスは睨みつけた。
「いいか? あの2人に指1本でも触れてみろ。オレが迷わず貴様を地獄に突き落としてやる。
 もっとも今のお前じゃ無理だろうがな。
 だいたいオレにも勝てねぇのにゼルにケンカ売って生きてられると思うなよ?」
「……そんなにすごいの? ゼルガディスくんって」
 黒ずくめの血のせいで汚れたじゅうたんを気にしながら、ウィルフレッドが尋ねてくる。クラヴィスは肩をすくめて、視線を外した。
「……なんつーか、言うならばレゾ2号。あのくそガキ、本気で怒らせるとすごいことするんだ。失神するまで木の枝に宙ぶらりんことか、窒息するまで水中息止めとか……
 あー嫌なこと思い出しちまった。あいつとケンカ別れしたんだ。どーしてくれんだよ、絶対また殺されかけるぜ」
 苦虫をかみつぶしたような顔をするクラヴィスにウィルフレッドは優しく微笑んだ。


 クラヴィスが目を覚ましたのは、呼び鈴の音のせいだった。
 不機嫌な顔をして、ベッドからむくりと起き上がる。
「……誰もいないのかよ?」
 寝相が悪いせいで(最も本人に寝相が悪い、などという自覚は全くないが)寝癖だらけの髪の毛を一生懸命手櫛で直しながら、クラヴィスはため息をついた。
 ベッドから這いずり出て、青い生地に黄色の三日月がいくつも描かれている子供が着るようなパジャマの上から上着を羽織り、のそのそと部屋を出て玄関に向かう。
 何度も鳴る呼び鈴にクラヴィスはさらに不機嫌になりながら、扉を開ける。
「あーもーうるせぇな。なんだよ!?」
 とても客の応対とは思えない悪態を吐きながら、クラヴィスは来客を見た――もとい。睨みつけた。
 玄関の前にいた男はいきなりの応対に多少困惑しながらも、封筒を差し出してくる。
「こ、これをハージェスさんにお渡し下さい。一昨日の検査の追加報告です」
「……検査?」
 怪訝な顔をして尋ねるクラヴィスを無視して、男は足早に去っていく。男と封筒を交互に見て、クラヴィスは最後に家の中を見た。
 あれだけやかましかったのに誰も来ないということは、外出しているということなのだろう。ウィルフレッドの場合は何しても自分が起きようと思った時間まで起きないのだが。
 扉を閉め、糊付けされていない封筒から中身を取り出す。
 罪悪感はない――といえば嘘になるが、いちいちそんなものを感じていたら、レゾの元で諜報部員のような仕事は出来ない。
 封の中に入っていた資料をぺらぺらと見る。
 確かに検査結果だった。一瞥しただけでは何の検査かはわからなかったが。いろいろな記号と数字の羅列。魔術が発達したせいで、理学の方はいまいち発達しなかったが、医療関係に関しては、とりあえず、少しずつではあるが発達していた。人の命に関わることは、どんな方法でも確実に手にした方が自分たちにとって都合が良いからだ。
 クラヴィスは、頭を掻きながらその資料をじっくりと見る。
 ゼルガディスほどではないが、彼にもそれなりの知識はあった。簡単なものだったら、とりあえず理解することが出来る。
 それは血液型の検査報告だった。
 家族全員の血液型が、記されてあった。さらに言うなら、祖母と祖父(まあ、形だけのではあるが)のものまで。
「……血液型占いでもやろうってのか? あのくそ兄貴は……」
 言って資料をしまおうとして――その手が止まる。
 もう一度資料を見る。
 自分とウィルフレッドはA型、祖母はB型。後の残りの親子3人は、みんなで仲良くO型である。
「……まさかっ!?」
 何かを思い当たって、クラヴィスはすごい勢いでウィルフレッドの部屋へと駆け出した。


 昨日の夜捕らえた黒ずくめはそのままウィルフレッドの部屋に捕らえておくことにした。部屋を移動させて、エドワードに見つかり、処分されるのを防ぐため、というのとウィルフレッドとクラヴィス、どちらかの目の届かないところにおいておくと、脱走する可能性があるからだ。
 ちなみに、黒ずくめの傷は余りにもひどく、証人になってもらう前に死亡する恐れがあったため、一応軽くて当てはしておいた。今は魔術で眠っているはずである。
 ウィルフレッドの部屋の扉が勢いよく開いた。
「おい、親父っ!」
 ふかふかベッドの上で熟睡しきってるウィルフレッドを叫んで起こす。無論、そんなことで起きるような人間ではないが。
 クラヴィスはずかずかと部屋に入り、そのまま眠り込んでいる黒ずくめを踏みつけ、寝言を言っている父親を揺り動かす。
「おい起きろ。おい起きろって! ったくどーして自分命狙ってるやつの目の前でこうも爆睡できるんだ!? あんたは!?」
「んあまだ眠いぃぃ」
「寝ぼけてる場合じゃない。犯人が違う」
「んみゅう犯人……て、へっ!?」
 意味をようやく理解したのか、ウィルフレッドは起き上がってクラヴィスを見る。
「どういうこと?」
「これだよ」
 クラヴィスはウィルフレッドに先程の資料を渡した。
 ウィルフレッドは怪訝な顔をしながらそれを受け取り、目を通した。
「……血液型の調査? 一体何のために……? だいたいこれなんなの?」
「一昨日の検査の追加報告らしい。それはいいんだ。問題は家族全員の検査をどうしてしたかだ。自分の血液型がわからないんだったら自分のだけ調べりゃいいことだろ? それをどうして家族の――しかも死んだばーさんやじーさんにまで範囲を伸ばしているのか」
 クラヴィスの言葉を聞きながらウィルフレッドは家族の名前と血液型を眺める。
 ふと。
 顔をしかめて、ウィルフレッドは言う。
「……これ誰が頼んだの? やっぱり……」
 ウィルフレッドの問いにクラヴィスは頷いて転がっている黒ずくめに向けた。
 眠りの術が切れかかったところでクラヴィスに踏みつけられたため、意識が戻ったらしい。
「――十分に証拠が揃ったな。これで」


 朝の祈りのために神殿に行っていたハージェスとエドワードが帰ってきて、いつものように朝が始まる――が。
 今朝の食卓は異様な雰囲気に包まれていた。
 いつもは一人、自室で食事をとるクラヴィスが、朝食を共に取っているためだった。
 その不審な行動にハージェスは眉をひそめて、尋ねた。
「どういうつもりだ? クラヴィス?」
「ちょっとした理由がありまして。ぼくがいると何か不都合でも? ハージェス兄様」
 淡々とした口調で答えるクラヴィスにハージェスは押し黙った。が、長男の隣にいたエドワードは黙っていなかった。
「不愉快だな。お前と共に食事をしているというだけで吐き気がしてきて、食事がまずくなる」
「今日は一段とご機嫌斜めだね、エド」
 ウィルフレッドが持っていたナイフとフォークを皿の上において、ナプキンで口の周りを拭いた。
「少しはハージェスを見習ったら? 何にも知らないフリして、平然とした態度をとってさ」
「……どういう意味ですかな? 父上」
 ハージェスが怪訝な顔をしてウィルフレッドを見てくる。ウィルフレッドは、微笑んだ。
「またまたごまかしちゃって。 僕とクラヴィスくん、そしてアメリアちゃんを殺すように暗殺者に依頼したのが君だ、ってもうわかってるんだよ」
『なっ!?』
 あっけらかんと言ってきたウィルフレッドにハージェスとエドワードは、同時に声を上げた。
「じょ、冗談はよしてください、父上。だいたいその暗殺者ってなんですか!?」
 ハージェスが声をあげる。
 食後の香茶をすすっていたクラヴィスが、答えてくる。
「あんたにゃすっかり騙されてたよ。エドなんて上手い隠れ蓑まで使ってさ」
「……隠れ蓑?」
 顔をしかめてエドワードが尋ねてきた。
 クラヴィスは肩をすくめた。
「すべてはくそ親――父さんがあんたら2人に後継ぎのことを話した時から始まっていた。
 いつ帰ってくるかわからないオレがここに戻ってきたら、正式に後継者が決定してしまう。それを恐れたハージェスは人を雇ってオレの行動を監視するようになった。ただ、それには少々タイムラグがあったようだが」
 情報手段の発達していないこのご時世。遠く離れた人間に手紙や情報を届けるには、伝書鳩か人間の足くらいなものだった。その場所に向かうまでの時間の遅れは当然生じる。
 無論、魔術を使おうと思えば、魔道士協会に行けば遠くの人間とも話が出来るヴィジョンなどを使えるが、その使用料がくそ高い上に媒介となる人間が話を聞いているため、あまり秘密のことを伝えられないのだ。
「オレがセイルーン行きを決めたのは、ほんの一ヶ月前だ。しかも、アメリアちゃんの帰城命令のために結構急いでいたからな。情報が届いてなかったんじゃないのか?」
 ハージェスをひたり、と見る。彼は無表情にこちらを見ているだけだったが。クラヴィスは嘆息して続けた。
「セイルーンの街で騒いでいたオレたちを見たエドは、急いでこの家に戻ってきた。オレが帰ってくることは、あんたらにとって継承権の消失を意味していたから、エドはすぐさまあんたに報告したんだろ?
 悪知恵の利くあんたのことだ。後継者手続きの書類さえなくなってしまえば、一時凌ぎでも時間を稼げるとでも思ったんだろう。少しの時間さえできりゃ、変ないちゃもんくっつけてオレを追い出せるからな」
「失敗した時のために君はエドワードに書類を取りに行かせた。エドは僕の部屋で書類と手紙を見つけたんだ」
 クラヴィスに続けてウィルフレッドが言う。
「その手紙には、すべての事実がかかれてあった。僕たちが屋敷に戻ってきた時、エドが部屋に閉じこもっていたのは、その真実を知ったからでしょ。
 でも、ハージェスはそれを知らなかった。エドの様子が気になった君は書類を何度も読み返して、あることに気付いた」
「……あること?」
 エドワードの問いにウィルフレッドは頷いた。
「血液型だよ。書類に書いてあった僕の血液型がA型だった。だからO型のハージェスは疑問をもった。O型はたいていO型から生まれるからね。まあ、例外はあるんだけど。
 確認のために自分の血液型を検査依頼して、僕からは絶対に自分が生まれないと知った君はきっと絶望したんだろうね。
 何度クラヴィスくんを追い出そうと、自分には継承権がまわってこないから。いくら年上でも、実の息子に勝てるはずがない。
 だからクラヴィスくんを殺そうと暗殺者に依頼した」
「オレの行動を探っていたあんただったら、アメリアちゃんといっしょに旅していたことは知っていただろう。だから念のために彼女も始末しようと考えた」
 クラヴィスの言葉にハージェスは初めて表情の変化を見せた。
 嘲笑の笑みを浮かべて、言う。
「とんだ茶番だな。全て憶測だろう? 何の証拠があると言うんだ?」
「言うと思ったよ。もし、暗殺に失敗した場合、自分が疑われることのないように上手い具合に疑いの目を部屋に閉じこもったエドに向けようとしたあんたのことだ。証拠を残していないと思っているんだろうな」
 嘆息してクラヴィスは髪をかきあげた。ウィルフレッドに目で合図すると、彼は扉の向こうに消えていき、すぐに戻ってきた。
 引きずられてきた黒ずくめに、クラヴィスは尋ねた。
「あんたに依頼したのは誰だ?」
 黒ずくめは肩をすくめた。
「約束は守るんだろうな?」
「もちろん」
 黒ずくめとクラヴィスは一つの約束を交わしていた。
『質問に答えたら、王宮に渡さずに逃がす』と。
 黒ずくめは嘆息して、ハージェスをひたり、と見た。
「……悪いが、あんな安金で、自分の命を捨てるつもりはないんでな。ハージェスさんよ」
「裏切る気かっ!?」
 ハージェスが声をあげる。その態度にクラヴィスが嘆息した。
「……少し考えれば、この街にまともに仕事をこなす暗殺者なんてそうそういるわけがない」
(あの王族じゃあな……)
 ぽつりと言って、いつも朗らか、にゃぱと満面の微笑を浮かべる少女を思い出す。あの常に“何も考えていなさそうに”笑みを浮かべている少女が、実は一番旅しているメンツの中では大物なのではなかろーか、と最近になってクラヴィスは思い始めていた。
 なんていうか――可愛い子悪魔。まあ、可愛ければいい。
 実害があるのは、自分ではない――ほとんどゼルガディスか、ゼロスに流れていくから。最も問答無用な時も多々あるが。
 あんな少女が王族やってる国の城下町で、腕利きの暗殺者が生活するはずもない。ひょんな事から彼女が『成敗』しに来るかもしれないのに。
 クラヴィスは頭を振って、今朝の封筒をハージェスに見えるように掲げた。
「血液型の検査の証拠ならここにある。追加報告だとさ。自分の親が本当は誰なのか知りたかったのか?」
 ハージェスの喉が鳴った。
 封筒から資料を出し、そのままハージェスのところに放り投げる。
「あんたの親はマードックさ。ウィルフレッドは、AAだからな。O型はどうやっても生まれない」
 クラヴィスの言葉にハージェスはその場に立ちつくした。



「きっとあんたの詳しい血液型が知りたかったんだろうな」
 クラヴィスはぽつりと呟いた。ウィルフレッドは、クラヴィスを横目で見る。
「……まあ、A型からO型が生まれるなんてまれだからね」
 言って肩をすくめた。
 血液型というのは、厳密に言えば4種類ではない。A型1つ取ってもAA型AO型など、さらに種類が分かれる。生まれてくる人間は父親の遺伝子と母親の遺伝子を受け継ぐため、血液型は親に依存される。
 血液型の深い構造はあまり一般人には知られていないが、それでも、O型というものは劣性であり、たいていのO型人間の親はやはり0型なのだということは遺伝を少しでもかじった人間は知っている。もっとも例外というものは存在するが。
 閑話休題。
 ウィルフレッドは深くため息を吐いた。
「……僕は間違っていたのかな……?」
「何が?」
「あの2人は何も悪いことしていなかったんだ。何も知らずにマードックの手の中で躍らされていた。
 もし僕が本当のことを話していれば、あの2人はもう少しまっとうな生き方が出来てたかもしれない、と思ってさ」
 ウィルフレッドの言葉にクラヴィスは窓の外を見た。
「……関係ないだろ。そんな事」
 クラヴィスは肩をすくめた。
「いつ本当のことを知ろうが一緒だ。あいつらはあいつらなりに考えて結論出した上で、今回のことを引き起こした。
 弱かったんだよ。本当のことを知った時の自分の不安に勝てなかったんだ。現実を受け止められなくて、現実を逃避したんだ。事実を抹消することによって。
 だから――あんたのせいじゃない。悪いのは――あいつらをそんな育て方したマードックの方だ」
 クラヴィスの言葉にウィルフレッドは微笑んだ。
「強いんだね、クラヴィスくんは」
 父親の言葉に、クラヴィスは苦笑した。
「強かねぇよ。人生経験が豊富なだけさ。あいつが殺されたことを受け入れることが出来なくて、復讐なんぞくだらんことをして現実から逃避したんだ。
 だけど、良いんじゃないかな、そーいうのも。後でその分成長してればさ」
「……?」
「オレの格言、教えてやろうか?」
「格言?」
「そ。今まで誰かさんらのせいで散々苦労してきたオレの格言」
 クラヴィスはぴ、と指を立てていってきた。
「『人生、挫折の繰り返し』」
「……それってなんか一見前向きなようですごく後ろ向きだね」
「はっはっはっ、言うな」
 引きつり笑いをしながらクラヴィスは立ち上がった。
「さて、そろそろ朝飯だ。現実に目を向けさせてやろうぜ」



「ふ、ふふ、ふはははははははははは」
 床に手をついてうな垂れていたハージェスが狂ったように笑い出した。
 すごい形相でクラヴィスを睨みつける。
「言いたいことはそれだけか? クラヴィス。
 さぞや愉快な気持ちなんだろうな。心の中じゃあ笑ってるんだろう!? はっ! そうだろうなっ! 子供の頃からいろいろ言われてきて――『お前らの方が汚らわしい』などと思ってるんだろう!?」
「馬鹿かあんたは……いくらあんたが昔オレにどんなに酷いこと言ってようが、オレにとっちゃあくそ兄貴の一人なんだよ。たとえ血が繋がっていなくともな。
 突然『あなたとは血が繋がってません』言われて『はいそーですか、赤の他人ですね』なんて割り切れるほどオレは器用じゃない。オレたちはすんごく仲悪い兄弟。それでいいんじゃないか?」
「良くないに決まってるだろ!!」
 テーブルに拳を叩きつけて、ハージェスが叫んだ。ほとんど悲鳴に近い声で。
「今までの私の人生はなんだったと言うのだ!? 今まで、ヴァレンタインの人間だと思ってきたのに!!
 今さら少しもこの家の血を引いていないといわれて、今まで馬鹿にしてきた弟に慰められて!?」
「じゃあ、こう言ったほうがいいか!?」
 ハージェスの声を上回るくらいの大音量でクラヴィスも叫んだ。
「この家に何の関わりもねえくそじじいの純粋培養で育てられたいい歳こいた世間知らずがっ! どーせ、外に放り出したって銅貨一枚ほども稼げねえ無能人間なんだから、大人しくこの家で暮らせとでも言った方がいいか!?
 そういう言い方してほしいってんならいくらでもしてやるぞ!? あんたらは知らねえだろーが、オレはこういう言い方にゃ慣れまくってるからな!?」
「そうだろうなっ! あの怪しいキメラの男とつるんでるようじゃな!」
「……なんだと?」
 静かにクラヴィスが問う。ハージェスは立ち上がって、嘲笑した。
「お前が継ぐというだけでヴァレンタインの名に傷がつくのに、あんな得体の知れないキメラが次期当主と関わりがあるだなんて世間に知れたら――」
「ハージェス!」
 ウィルフレッドが強い口調で咎めた。が、実の父親でないとわかった以上、言うことを聞く必要もない。ハージェスはそのまま無視して、続ける。
「『大人しくこの家で暮らせ』だと? 笑わせるな。没落するのが目に見えている上に指名手配犯をかくまう家になど暮らせるとでも思ってるのか!?」
 その言葉にクラヴィスは歯を食いしばった。すごい形相でハージェスを睨みつけると彼の後ろの壁に彼を押し付けて、胸倉を掴み上げた。テーブルに置いてあったティーカップを手で払いのけ、そばにあった食事用のナイフを掴む。
 払いのけたティーカップが床に落ち、音を立てて割れる。
 一番近くにいたエドワードがさすがに止めに入った。
「クラヴィス!」
「やかましいっ! 黙ってろ!」
 一喝すると、ナイフをそのままハージェスの顔に向かって突き出した。
「ひっ――!」
 ハージェスの小さく悲鳴をあげ、反射的に目をつぶった。
 ナイフはハージェスの顔を掠め、壁に突き刺さる。耳元で鳴る突き刺さった音を聞いて、ハージェスはうっすらと目を開けた。
 恐怖で震えるハージェスを見据えて、クラヴィスは低い声で言う。
「いいか、今度ゼルを罵る言葉を言ってみろ。
 即座に前言撤回して、あんたを殺してやるよ。手配掛けられようがな。
 悪いが、あんたとゼル、どっちか選べ言われたらオレは迷わずあいつを選ぶからな」
 クラヴィスの威圧感に押されて、ハージェスは慌てて頷いた。クラヴィスが手を離すと、ハージェスはそのままずるずると壁にもたれながらしゃがみこんだ。竦んで動けないのだ。
 クラヴィスは無言でナイフを引き抜き、テーブルの上に戻す。そのまま部屋を出ていこうと扉のノブに手を掛けた時、名前を呼ぶ声がした。
「クラヴィスくん」
 呼ばれてクラヴィスは振り返った。
 彼を呼んだのはもちろんウィルフレッドだった。クラヴィスは嘆息して、醒めた目で父親を見た。
「……兄貴の処分はあんたに任せる。それぐらいの後始末は1人でやってくれ」
 クラヴィスの言葉にウィルフレッドは首を横に振った。
「ゼルガディスくんたちのところに行くんでしょ? その前にどうしても話しておきたいことがあるんだ。
 君にとってどうしても大切な話だから――」
「……大切……?」
 ウィルフレッドの言葉にクラヴィスは怪訝な顔をした。


「クラヴィスくんって香茶好きだよねぇぇぇ。こんなにいっぱい種類あるぅぅぅ」
「をい、くそ親父」
 クラヴィスが半眼で、棚にしまわれた香茶の缶を珍しそうに眺めるウィルフレッドを睨みつけた。
 二人きりで話したいという父親の希望で、自分の部屋に招きいれたのだが――思いっきりクラヴィスは後悔していた。
 部屋に入ってから、十分近く。ウィルフレッドは部屋をぐるぐる回って、おいてあるものをものめずらしそうに見ては感嘆の声をあげるだけで、なかなか話をしようとはしなかった。
 クラヴィスが嘆息する。
「大切な話ってなんなんだよ。だいたいどうして今さら部屋をじっくり見てるんだ!? 昨日からずっと入り浸ってたじゃねぇか!」
「だってぇ……昨日はあんまり周りを気にしていられなかったじゃない?」
 ぷう、と頬を膨らます父親に息子は頭を抱えた。
「……話す気がないんならとっとと出てくぞ。さっさとシグムーンに行かないと、あの馬鹿ガキ、そのまま目的地変更するからな」
 クラヴィスの言葉にウィルフレッドは、香茶の缶から視線を外した。
「――シグムーンはね」
「あん?」
 ウィルフレッドの言葉にクラヴィスは眉をひそめた。ウィルフレッドは続けて言ってくる。
「シグムーンは君のお母さんが僕と別れてから行った街なんだ」
「…………」
 母親のことが初めてウィルフレッドの口から出て、クラヴィスは沈黙した。黙っていると、ウィルフレッドは椅子に腰を掛けて、ため息を吐いた。
「君の母親とは、エドが生まれた日、雨の中であったんだ――なんかいろんな意味ですごい人でね。振り回されっぱなしだった」
 昔のことを思い出して、ウィルフレッドは苦笑した。
「僕と彼女はそれからちょくちょく会ってた。その頃に、彼女のお父さんからいろいろ手ほどきを受けたんだ。
 紛れもない真実を得るためにどうやって情報を集めたらいいか。
 周りに味方がいない時、どうやって自分の身を完璧に守れるか。
 どうやれば上手く人を殺せるか。
 あの男――マードックを倒すために、僕は最低限のことを彼から学んだ」
「知らなかった……そんなことしてただなんて」
 クラヴィスの言葉にウィルフレッドは微笑んだ。
「他人に知られちゃったら、マードックにも気付かれちゃうでしょ? そうしたら、彼は僕のことを警戒するだろうからね、それだけは防がなくちゃいけなかった。
 ――ま、そういうことを何年か繰り返して――クラヴィスくんが生まれた」
 クラヴィスは覚えていないだろうが――生まれて1年くらいは彼は母親のもとで育った。彼女も彼女の父親もクラヴィスをたいそう可愛がってくれた。
 ウィルフレッドも週に3、4回は彼女のもとへ行き、短い時間だったが、親子仲良く過ごした。
 だが、幸せな時は少ししか続かなかった。
 大した用事もないのに頻繁に外出するウィルフレッドを不審に思った彼の形だけの妻が、密かに後をつけたのだ。
 ――そして、全てがバレた。
『ヴァレンタインの血を引く子供がいると知ったら、あの男は絶対にクラヴィスを殺すだろう』
 そんなウィルフレッドの予想通り、マードックは彼女とクラヴィスに圧力をかけてきた。
 嫌がらせと脅迫は、日に日に激しさを増していき――
 ウィルフレッドと彼女の父親はある一つの決断を下した。
「マードックの目的はあくまでクラヴィスくんだった。
 ヴァレンタイン家の正当な血を引く君が、あいつにとっては至極じゃまな存在だった。
 だから、僕は君を連れて家に戻った。本当はね、みんなで遠くに逃げたかったんだけど……」
 確かに逃げられるのなら逃げられる方が良かった。
 だが、逃げることはマードックにとってみれば非常に都合が良いことだった。
 どこかで殺された人間が、人知れず隠され、『行方不明者』として扱われることはそうそう珍しくはない。逃げれば、マードックは迷わず暗殺者を雇い、ウィルフレッドとクラヴィスを殺し、『行方不明』だと言うだろう。ならば、逆にみんなの目に触れるところに堂々といて、簡単に手を出せないようにするべきだ――それが、彼女の父親の意見だった。
 ウィルフレッドは、しぶしぶながらもそれに従い――
 彼女からクラヴィスを預かった――いや、取りあげるに近かったか。
「僕たちがここの屋敷で暮らすようになってから、彼女への嫌がらせは全くなくなったらしいよ。結局、マードックの目的は僕たちだったてことだね。
 彼女は、逃げたシグムーン・シティで別の男の人と結婚したよ。その人、彼女のことを本当に愛してたし、彼女もいつまでも僕に囚われていたら幸せになんてなれないでしょ? だから、僕は祝福した」
 そこまで言って、ウィルフレッドは息を吐いた。
 今まで隠し通してきた自分の過去。
 いつか、クラヴィスが大きくなったら話そうと思っていた、彼の母親のこと。
 自分が知らなかった真実を聞いて、クラヴィスは黙り込んでいたが――しばしの沈黙のあと、ぽつりと尋ねてきた。
「……母さん……今どこにいるんだ? シグムーンか?」
 ウィルフレッドは首を横に振った。
「亡くなったよ。自分の息子を守るために十年以上も前に……」
「……写真とかは?」
 クラヴィスの言葉にウィルフレッドは、懐からロケット付きのペンダントを取り出して、クラヴィスに渡した。
「きれいな人だったよ。クラヴィスくんは思いっきり僕似だったけど……彼女のもう一人の子供は彼女の面影があったよ」
「……会ったことあるのか……要するにオレの義弟だろ……?」
「……そう……だね」
 ウィルフレッドの曖昧な返事を聞きながら、クラヴィスはロケットをゆっくり開いた。
 小さな枠の中で、セピア色の母親は優しく微笑んでいた。
 何故だか、懐かしい気がするのは、やはり幼い頃一緒にいたためだろうか……?
 ウィルフレッドが言ってくる。
「彼女……シルヴィアって言うんだ。シルヴィア=ルシオン。旧姓だけどね。結婚してからは――」
 そこでいったん言葉を切り、小さく深呼吸した。
 彼に一番言わなければいけない言葉。
 一体、息子はどんな顔をするだろうか――
 小さく深呼吸して、ウィルフレッドは絞り出すように声を出した。
「結婚してからは……シルヴィア=グレイワーズ、って名乗ってた」
 ――『グレイワーズ』。
 その言葉にクラヴィスは目を見開いた。


 「クラヴィス、彼がゼルガディスです――ってなに泣いてるんですか、ゼルガディス?」
 わけもわからず連れて来られた森の中の屋敷の裏庭。
 赤い法衣を着た男は目が見えないといっていたが、きっと、しゃくりあげる声を聞いたのだろう。慌てた表情で、うずくまって泣く少年に顔を向けた。
 クラヴィスは、ゼルガディスと呼ばれた少年を無表情で見つめた。
 黒い髪、藍青色の瞳。背は高くない――どちらかと言えば低い方ではないだろうか。女の子のような顔をしたこの少年は、蒼い模型飛行機を片手に泣きべそをかいていた。
 えぐえぐ言っているゼルガディスにクラヴィスは首をかしげた。
「……もしかして飛ばなくて泣いてるのか……?」
 クラヴィスの問いにゼルガディスはこくんと頷いた。
 この屋敷に来る少し前――5歳の誕生日プレゼントだといって作ってくれた父親の手本通りにプロペラ部分を一生懸命回して、手を離す――が、それは、父親がやったように大空を飛ばず、へろへろぽてり、と地面に落ちて、虚しくプロペラ部分だけが勢いよく回転した。さながら、模型飛行機が一心不乱に地面を掘っているように見えて思わずクラヴィスは吹き出して笑った。
 クラヴィスに笑われたことで、彼に馬鹿にされたと思ったゼルガディスがさらに目に涙を溜めた。
「ふびぇ……」
 クラヴィスはようやくプロペラが止まった模型飛行機を拾い上げると、情けない声をあげるゼルガディスに見えるようにプロペラ部分を回す。
「馬鹿だな、そうじゃなくってここをこうするのだよ。いいか、ほらっ!」
 ゆっくりとクラヴィスの手を離れ、模型飛行機が空を舞い上がった。
 泣いたからすがもう笑った。
ゼルガディスは、笑顔になって、クラヴィスを見る。クラヴィスも笑顔でブイサインをした。
「ぼく、ゼルガディス=グレイワーズ」
 手を差し出されて、クラヴィスは自然に握り返した。
「オレはクラヴィス。クラヴィス=ヴァレンタインだ」
 こうやって素直に自分の感情が出せたのは何年ぶりだろう。
 素直すぎるゼルガディスにつられて、クラヴィスはつい自分の感情を表に出していた。もう、二度と自分の気持ちを外へは出さないと決めていたのに。
 クラヴィスは苦笑した。
 二人は、ゆっくりと地面に引き寄せられていく飛行機に目をやり、同時にそれを追いかけた。
 その少し離れたところで、クラヴィスを連れてきた赤い法衣の男が優しい笑みを浮かべていた。
(やはり兄弟は兄弟で一緒にいる方が言いのかもしれませんね……ウィル)
 クラヴィスが数年ぶりに笑ったと聞いたら、ウィルフレッドはどんな顔をするだろう。
 レゾはそんなことを考えながら、ずっと微笑んでいた。


「……冗談だろ? なんなんだよ、それ……『グレイワーズ』っていったら……」
 呆然とクラヴィスは呟いた。
 ウィルフレッドは静かにクラヴィスを見つめて言った。
「シルヴィアの父親――赤法師レゾが何故君をあそこに連れて行ったか考えたことがあるかい?
 単にヴァレンタイン家の人間、ていう理由だったら、ハージェスでもエドでもいいわけだろう? けど、彼は君を連れて行った。それは――両親を失ったゼルガディスくんの家族だったから、レゾの孫だったから君を屋敷に連れて行ったんだ」
「……ゼルが……弟?」
 クラヴィスが腰をかけていたベッドから立ち上がり、ウィルフレッドに近づいた。すごい勢いで、父親の胸倉を掴み――
「じょぉぉぉぉぉだんだろ!? あぁの、きっと世界で一番不幸でお茶目な人は誰だコンテストってのがあったらダントツで優勝しちゃいそうなあの陰険性悪男が血のつながった弟だって言うのかっ!? ガキの頃に釣りに行こうって誘ったら『あの餌になるうにうにした虫触れないからヤダ』とかほざきまくりやがった言葉のボキャブラリーが変な所で欠如した可愛げもないよーなあの泣き虫ガキがかっ!?」
 ウィルフレッドの首をかっくんかっくん前後に揺らしながらクラヴィスが絶叫した。
 涙目になってウィルフレッドが声をあげる。
「あうあぁぁぁぁっ! またぁぁぁぁっ!? クラヴィスくんやめぇぇぇぇっ!」
「冗談だと言えぇぇぇぇぇぇぇっ!」
 さらに激しく揺さぶりながら、クラヴィスは青筋を立てて再び絶叫した。


「うう……昨日も思ったけど、クラヴィスくんってどうしてこー似なくていいところばっかりシルヴィアに似てるの?」
「知るか」
 ふてくされたクラヴィスがそっけなく言ってくる。座り込んでいたウィルフレッドはのろのろと立ち上がるとクラヴィスを抱きしめた。
 父親とはいえ男に抱きしめられて、クラヴィスは全身に鳥肌を立てる。
「なっ!? や、やめ……」
 震える声でクラヴィスが抗議するが、ウィルフレッドは無視して言ってくる。
「嬉しかったんだ」
「な、なにが?」
「さっき、ハージェスがゼルガディスくんのこと悪く言った時にクラヴィスくん本気で怒ってくれたでしょ? あの時すごく嬉しかった。ゼルガディスくんのこと大切にしてくれてるってわかったから」
 ウィルフレッドの言葉に、クラヴィスはもがくのを止めて、遠くを見つめた。
「あいつは――」
 ぽつりと呟く。
「オレの唯一の理解者だったから……」
「……そっか」
 ウィルフレッドはクラヴィスから身体を離した。自分に笑いかける父親に向かって、クラヴィスも嘆息交じりで微笑んだ。
「ねえ、これからすぐにゼルガディスくんたちのところに行っちゃうの?」
 尋ねてくるウィルフレッドフレッドにクラヴィスは首をかしげた。
「なんで?」
「いや……今までのこととかいろいろ聞きたいなぁ、なんて……」
 ぼそぼそと言ってくるウィルフレッドフレッドに、クラヴィスは苦笑いを張り付かせた。
「ま、たまにゃアメリアちゃんと2人っきりにさせとかないとあいつも怒るし? 明日出発でも良いんでないの?」
 クラヴィスの言葉にウィルフレッドは顔を輝かせた。


 ハージェスの処分は、そう重いものではなかった。やはりウィルフレッドに『本当のことを話していれば良かった』と言う後悔の念が残っていたのだろう。
 暗殺者を雇うほどのお金があるんだったら、家計に入れろ、とかなり問答無用でハージェスの貯金を半分ほどぼったくったのみで済ませた。軽いと言えば軽いその処分にハージェスは間の抜けた顔をしたが。
 ただ、暗殺者の方はそうもいかなかった。
『逃がすって約束してたのはクラヴィスくんとでしょ?』と、きっぱりと言いきり、あっさりとセイルーンの王宮に引き渡したのだ。依頼人について尋問されて、ハージェスの名前が出てきても彼が疑われないように口添えして。
 エドワードの方と言えば――はじめは自分の親のことでため息ばかり吐いていたが、とりあえず心の整理はついたらしい。クラヴィスに対してのそっけない態度は相変わらずだったが。
 そして――
「で? いくらハージェスから巻き上げたんだ?」
「んー金貨300枚ほど」
「そんなに溜め込んでたのかっ!?」
 素っ頓狂な声を上げるクラヴィスにウィルフレッドも呆れた顔をした。
「なんか、結構いろいろ家からくすねてたらしいんだよね」
「……気づかなかったのか?」
「いや、まあ、だってさ……クラヴィスくんも平気で、僕の壷とかかっぱらって売り飛ばしてるじゃない?
 そーいうことされると、なんて言うか、家計簿つけなくてもいいかなって……」
「……ま、まあ、それについてのコメントはあえて控えるけどね」
 額に冷や汗をかきながらクラヴィスが呟く。
「そう言えば……聞きたいことがあったんだよ、クラヴィスくん」
 ただ1人、玄関に見送りに来たウィルフレッドフレッドが急にぽん、と手を打った。
「何だよ?」
「お墓、どこにあるか教えてよ。自分の娘なんだから会うくらいはいいでしょ?」
 その言葉にクラヴィスは眉をひそめた。
「……娘……?」
 ウィルフレッドが不思議そうに首をかしげる。
「クラヴィスくん、結婚したんでしょ? だったら僕の娘になるでしょうに。
 だいたいクラヴィスくん、いろいろ話してくれたくせに彼女のことには一切触れずにさ、名前すら教えてくれないしぃぃぃぃ」
 しゃがみこんで、床に『の』の字を書き始める。
 ウィルフレッドとしては、ツッコミを期待していたのだが、それがない。もしかしたら無視されたと思い、上目遣いで息子を見て――
(……はれ?)
 玄関の壁に額を押しつけて、腕で顔を隠したクラヴィスを目にして、思わず頭を真っ白にする。
 ばっと立ち上がって、手をわたわた動かしてウィルフレッドが慌てた。
「あ、いや、えっと、いやなら別にいいんだけど……!」
「……違う」
「ふえ?」
 微かに聞こえた否定の言葉に、ウィルフレッドはすべての行動を止め、ぽかんとした顔をした。
 クラヴィスが、壁から顔を外し、目だけを父親に向けた。が、なんだか照れたように視線を外す。
「……ありがとう……父さん……」
 本当に小さな声。聞き取れなくてもおかしくないような声だったが――
 ウィルフレッドは小さく微笑んで、クラヴィスの頭に手を伸ばしてそのまま彼を撫でた。
 小さな子供にするように。
 一瞬、状況がわからずに呆然としたクラヴィスだったが、はっと我に返ると、慌ててその手を振り払った。顔を真っ赤にして、叫ぶ。
「何しやがるっ!? もーいい加減子供扱いすんじゃねぇっ!」
「ぶー、だって大きくなってもクラヴィスくんは僕の子供だにょ」
 頬を膨らまして、ウィルフレッドがぶーたれる。顔を引きつらせてクラヴィスは言う。
「奇妙な言葉を使うなっ! 自分の年をちったぁ考えろっ! このくそ親父っ!」
「そんなっ! なんてこと言うんだっ!」
 険しい表情をして、ウィルフレッドがばっと片腕を広げた。が、次の瞬間すぐに顔を緩ませる。
「『親父』じゃなくて『パパりん』でしょ?」
「あほくさ。もう絶対帰ってこない。この家も継がない。じゃあなくそ親父」
「いやぁぁぁぁっ! クラヴィスくぅぅぅぅんっ!」
「ぃやかましいっ! くっつくなっ! 離れろぉぉぉぉぉっ!」
 腰にしがみついてきた父親をげしげしと蹴りつけながらクラヴィスは絶叫した。


(うるさいな……)
 うんざりしながら、空になったカップにコーヒーを注ぎ――
 エドワードはふと手を止めた。
『血が繋がっていなくともオレたちはすんごく仲悪い兄弟。それでいいんじゃないか?』
『家族ってうるさいもんだよ。にぎやかでさ。馬鹿馬鹿しいと思うんだけど、いないと寂しいんだよな』
 クラヴィスの言葉と、いつか級友に言われた言葉。ふと思い出して、苦笑した。
(……これが家族と言うものか……)
 カップを置いて、部屋の入り口に向かう。
「どうなさったのですか? エドワード様?」
 家政婦に呼ばれて、エドワードは答えた。
「クソ憎たらしい弟の見送りにな」


 ゼルガディスとアメリアと別れてから2日が経過していた。
 アメリアがいるので、ゼルガディスもあまり速くは進まないだろう。もしかしたら追いつけるかもしれない。
 クラヴィスはセイルーン・シティの外壁に向かって足早に進んでいく。
 ふと、自分の屋敷のある方を見る。彼は静かに微笑んだ。
『じゃあじゃあ絶対にノエルさんに会いに行くねっ!』
『父上が墓を荒らさないように私も見張りにいくか』
『エドぉ! どーして僕が墓荒らしするのっ!?』
 先程の会話を思い出して、クラヴィスは苦笑する。胸元の指輪をぎゅっと握り締めた。
(良かったよ。みんなが君のことを認めてくれてさ)
 ウィルフレッドが彼女のことを『娘』と呼んでくれた時。
 思わず泣きそうになった。
 誰も認めてくれないと思っていたのに。
 一番近くに認めてくれる人がいたなんて。
(ま、当分はうるさいだろうけど……我慢してくれよ)
 ウィルフレッドが行けばやかましくなるのは目に見えていた。想像してみたが、ちょっぴり恐いことを思いついたため、首を横に振った。
(残る問題は……あのバカ弟か……まあ、もともと弟みたいなもんだったし、今更どーしようってもんじゃねーけどな)
 ゼルガディスに言うべきなのだろうか?
『自分は実は兄貴だったんだ』と。
 まあ、あの男のことだ。
『あああっ、こんなのと一緒の血が流れてるなんてっ!』などと勝手に嘆いて終わり、だろうが。
(ま、追いつくまでに考えとくか)
 思案に沈みながら、外壁を抜けて、街道に足を一歩踏み出し――
 どがしっ!
「むげっ!?」
 不意に後頭部を何かに殴打されて、クラヴィスは前につんのめってコケた。
「ってぇ。何しやがるっ!?」
 痛む頭をさすりながら、後ろを睨み付け――
 そのまま呆然となる。
 視界に入る一組の男女の白ずくめ。
 男はとても人間とは言えない容姿で、ハリセンを手に呆れた表情をしていた。
 女は、『大丈夫ですか?』などと言いながらも苦笑していた。
 ――ゼルガディスとアメリアである。
 ゼルガディスが呆れた感じで――だが、どこか意地悪な口調で言ってくる。
「ったく、なにそんなきつねにつままれたような顔してるんだ? クー」
 ぽかんとしていたクラヴィスだったが、はっと我に返って慌てて言い訳をする。
「え……あ? だ……だってお前ら2日前に……っ!」
 ゼルガディスとアメリアを交互に指差しながらクラヴィスが言った。アメリアが笑って答える。
「一応出てったんですけどね、『忘れ物』を取りに戻ってきたんです。ねぇ? ゼルガディスさん」
 意味ありげな視線を送ってくるアメリアにゼルガディスはそっぽを向いた。
 2日前に『忘れ物をした』と言った時にアメリアに本音を見抜かれて、思わず意地を張ってしっかりと持ってきたハリセンを忘れたと嘘をついたのだが、結局、昨日再び戻ってきたのだ。また意地を張って『忘れ物をした』などと言い訳をして。
 あっさりとアメリアに真意を見抜かれてしまったわけだが……ここまで完璧に自分を見抜かれてしまうとあまり面白くはない。
「わ……忘れ物?」
 未だ地面に座り込んでいるクラヴィスの頭を面白そうにぺこんぺこんハリセンで叩きながら、ゼルガディスは言った。
「2日も待たせやがって。この移動可能式お荷物が」
「……物か……オレは……」
 半眼になってクラヴィスがうめく。が、ふっと笑うとびしっとゼルガディスを指差すと口の端を釣り上げて言う。
「いいことを教えてやろう、ゼル。オレとお前は……オレと……お前は……」
 だんだんと声が小さくなっていく。
 怪訝さと呆れを混ぜたような顔をしている弟を見て、クラヴィスは両手を頭に当てて嘆いた。
「うわぁぁぁぁぁんっ! 現実は無慈悲だぁぁぁぁぁぁっ!」
『はあ?』
 いきなり叫び出したクラヴィスにゼルガディスとアメリアは顔を見合わせた。
 ――どうやらこの2人が真実を知るのは、まだ先のことになりそうだった。


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6685太陽のあたる場所ねんねこ E-mail URL6/4-12:47
記事番号6681へのコメント






「ウィル。あなた、自分に子供が出来たらどんな名前をつける?」
「なななななななななな何言ってんだよ、シルヴィア」
 真っ赤になって慌てるウィルフレッドにシルヴィアは笑った。
「やーね。そんなに慌てることないじゃない。もしもの話よ、もしもの」
「そんなこと唐突に言われてもねぇ」
 しばしの沈黙の後、ウィルフレッドは言った。
「そーだな……男の子だったらクラヴィス、女の子だったらミライナがいいかな」
「じゃあ、双子ちゃんだったら?」
「……うーん……女の子の名前は、エレノアで……男の子はね……あ、こんなのどう?」
 ウィルフレッドはにっこり微笑んで言った。



    太陽のあたる場所


 クラヴィスの父親、ウィルフレッドの爆弾発言とも言える、クラヴィスの出生の秘密告白から数週間。
(結局いまさらどんなこと言われたって何かが変わるわけじゃないんだけどな……)
 そんなことを上の空で考えながら、クラヴィスは少し前に歩いている弟と弟の彼女をぼんやりと眺めた。
(あのゼルに『実はオレはお前の兄だ』とか言っても『へー』とか『あああこんなのと一緒の血が流れているなんてっ!』とかで終わりそうだし。つーか多分絶対に終わるし)
 ゼルガディス=グレイワーズ。
 いったい誰に似たのか、興味のないことはどんなこと言われようがどんなことされようが無視を決め込む――まあ、自分にも似たような部分はあるからあまり言えないが。
 と。
「熱いまなざしですねー」
「のうあっ!?」
 後ろからかけられた声に、クラヴィスは思わず飛び退いた。一気に心拍数が上がった心臓を右手で押さえながら、目の前で頭に大きな疑問符を浮かべたような顔をして突っ立っている黒い神官を認めて、クラヴィスは嘆息した。
「……たく、ゼロス。驚かすなよ」
「いえ別に驚かそうと思ったわけでは……いやまあ、すみません」
 獣神官ゼロス。
 どうやら仕事も終わったらしく、数日前から再び彼らと合流していた。無論、合流した際、出会い頭にゼルガディスにラ・ティルトをぶちかまされるという洗礼も受けた。軽く避けたのは言うまでもないことだが。
 ゼロスは素直に謝ってから、前方の2人――ゼルガディスとアメリアを見る。
 突然のクラヴィスの奇怪な悲鳴にさすがに驚いたのか、2人揃って振り返っていたが、特に何もないと判断して、さっさと向き直って歩き出した。
 クラヴィスも嘆息して歩き出した。その隣にゼロスもやってくる。
「……で、熱いまなざしでしたね、クラヴィスさん」
「なにが?」
 怪訝な顔をして訊ねてくるクラヴィスにゼロスはぱたぱたと手を振った。
「またまた誤魔化しちゃって。さっきまでずっとゼルガディスさんの方見てたじゃないですか」
「別にあれを見てたわけじゃない。あんなの見るくらいだったらオレはアメリアちゃんをじっと眺めてるね……単に考え事してたんだ」
「その様子じゃあ、ようやくおわかりになったみたいですね。実の弟さんのこと」
「―――っ!?」
 あっけらかんと言ってきたゼロスにクラヴィスはぎょっとした。思わず一瞬言葉を失う。金魚のごとく、口をぱくぱくさせて、ゼロスを指差す。
「ち、ちょっと待てお前……!」
 なんとか声が出るようになって、叫びかけたクラヴィスは、はっと我に返って慌てて口を押さえる。
 変にゼルガディスたちに聞かれて、ややこしいことになるのも嫌なのだ。
 やはり少し前で怪訝な顔をしながらこちらを見ているゼルガディスとアメリアを横目で見ながら、ゼロスの腕をしっかり掴み、耳打ちするように囁く。
「なんでお前がンなこと知ってるんだよ!?」
「なんでって……」
 困ったような顔をしながらゼロスが言ってくる。口調もまた困ったような口調だった。
「僕、一応魔族ですから、そーいう事はわかっちゃいますよ。
 そうでなくってもお二人、変なところがそっくりじゃないですか……」
「そ、そうか……?」
 自分とゼルガディスのどこが似てるというのか。
 訝しげな顔をしながらクラヴィスは言った。
「ところで―――」
 腕を掴んでいるクラヴィスの手を振り解いて、ゼロスが訊ねてくる。
「どこに向かっているんですか? シグムーンにめぼしい所なんてないと思いましたけど」
 途中から来た彼には、説明するのもめんどくさかったので『シグムーンに行く』という簡単な行き先だけしか教えていなかったのだ。
 目的の場所がある方を見つめながら、クラヴィスが答えた。
「シグムーンにレゾの研究所があるんだが――」
 言いながら父親の言葉を思い出す。
『シルヴィアはね、セイルーンを追われてシグムーンの方に逃げたんだ』
 シルヴィア。記憶にすら残っていない実の母親。
 彼はいつになく真顔で呟くように言う。
「研究所、というより自宅と言った方が良いかもしれない。彼の娘が結婚してそこで暮らしていたから」



 ディルス王国領シグムーン・シティ。
 国内でも栄えている、この街に入ったのは、夕刻を少し回った頃だった。
 夕食の買い物時ということもあって、街の大通りには露店が並び、本日最後の叩き売りをしていた。そこでは、商売人と主婦との熱く壮絶な戦いが繰り広げられているわけだが。
 その光景をぼんやりと眺めながら、ゼルガディスはぽつりと呟いた。
「……何だかすごく懐かしい気がするんだが……」
「来たことがあるんじゃないですか? ほら、レゾさんに連れられて来たとか」
 アメリアの言葉にゼルガディスは考え込んだ。
 しばしの無言の後、彼女の方を見ながら首を横に振った。
「……いや、来た覚えはない……だいたい、ここにレゾの研究所があるってことすら知らなかったんだ」
「じゃあ既視感(デジャ・ヴュ)ですか……?」
「なんか非現実的だな、それはまた……」
 アメリアの言葉にゆううつそうな顔で答えるゼルガディス。そのふたりの後ろからそっけない言葉が聞こえてくる。
「五歳までここにいたんだ。無意識に覚えてんだろ」
『え?』
 後ろから突拍子もない事をあっさりと言いきったクラヴィスに、ゼルガディスとアメリアは思わず声を上げた。
「それ本当ですか?」
「というか、何でお前がそんなこと知っているんだ?」
 それぞれ訊ねてくる2人をクラヴィスは一言で一蹴する。
「それは――――――ひ・み・つ♪」
「あぁぁぁぁぁっ!? それ、僕の台詞ですよぉっ!」
「知らん。勝手に使われたくなかったら役所に行って特許でも申請しろ」
「ううううう」
 ゼロスのささやかな非難をあっさりと切り返して、クラヴィスは懐から一枚の紙を取り出す。共に取り出した方位磁石で方角を確認すると、それを無造作にズボンのポケットに押し込んだ。
 そのまま真っ直ぐ歩き出す。
「おい、ちょっ……クー!」
 慌てて声をかけるゼルガディスに彼は肩越しに振り返った。
「行くんだろ? レゾの研究所。ならこっちだ」



 ウィルフレッドと別れてセイルーンを離れたシルヴィアがその男に出会ったのは、ウィルフレッドと別れてから3ヶ月経った時だった。ディルス王国領シグムーン・シティで暮らしているというその男はウィルフレッドと雰囲気が良く似ていた。
 別に彼に未練が残っているわけではなかったが。
 いつの間にか、自分がウィルフレッドを探していることに彼女は薄々気付いていた。
 ウィルフレッドとよく似たその男はアレスといった。
 シルヴィアは彼にすべてのことを話した。
 ウィルフレッドのこと――そして、子供のこと。
 アレスはすべてを聞いてくれた。
 その上で――


「結婚してくれないか? シルヴィア」
 突然のプロポーズは、彼女が彼と出会って、1ヶ月経つか経たないかの時だった。
「え?」
 突然のことで、何を言われたのか理解できず、シルヴィアはアレスを見た。彼の漆黒の瞳が真剣にこちらを見つめていた。
「愛してるんだ、君を。君さえ良かったら――一緒に暮らそう、ずっと」
 正直言って。
 その言葉は嬉しかった。
 ウィルフレッドのことは愛していた。だが、アレスのことも愛していた。ウィルフレッドと同じくらい。出会ってからは間もなかったけれど。
 だけど――
 シルヴィアはぎこちなく視線をずらした。
「……私には子供がいる。それでもいいの?」
「構わない。君のすべてを愛してる」
 アレスはシルヴィアを抱きしめた。シルヴィアはそれを受け入れた。
 しばらくして、シルヴィアは身体を離して、彼にまっすぐ視線を送った。
「1つだけ――1つだけお願いがあるの」



「うひょわぁぁぁぁぁ」
 街の郊外のとある家の前でアメリアが奇妙な感嘆の声を上げた。
「あの『迷いの森』の中にあった屋敷も大きかったですけど、これまたかなり大きいですねぇ!」
 確かに目の前に広がっている屋敷はとてつもなく広かった。まあ、レゾの研究所としても活用されていたことを考えれば、妥当な広さではあったが。
 ぼんやりと、というかげんなりと屋敷を見つめていたゼルガディスが呟くように言う。
「……昔あのくそじじいが言ってた言葉があるんだが」
「なんですか?」
「『有名人はそのネームバリューに負けないほどの家を持つべきだ』」
「……要するに見栄を張れ、ということですか?」
 アメリアの問いにゼルガディスは頭を振った。
「似たようなことをレゾに言ったらしこたま殴られた。だから真意は聞いていないが……」
「あの根性悪じじいが言われたことに対して反撃してくる時は十中八九図星を突かれた時さ。だから、そういう意味なんだろ。きっと」
 苦い笑いを張りつかせながらクラヴィスが言う。そのままツタの絡みついた門を開き、扉に手をかける。
 無理だとはわかっていたが、とりあえず何度かドアノブを回して、扉が開くか確認してみる。とりあえず人が住んでいた家なのだから鍵がかかっているのは当然だとは思ったが、どうやら物理的鍵はかかっていないらしい。
 まあ、いくつもの屋敷を世界中に持つレゾがいちいち鍵を持っているとは思えなかったし、呪文の方が空き巣に狙われる確率は小さい――もっとも、この屋敷を呪文で封印したかったのは、愛する娘が殺されたという忌まわしい過去を封印したかったという本音もあっただろうが。
「さて……」
 クラヴィスが振り返って、こちらを固唾を飲んで見守っている二人と一匹に目をやる。
「あのレゾがかけた施錠の呪文(ロック)だ。ただの呪文じゃないぞ。
 さあ、いったいどんな言葉が封印解除命令(キーワード)として組み込まれているでしょうか!?」
「いや『でしょうか』言われても……」
 困ったようにゼルガディスが呟く。
 良い意味でも悪い意味でも思い出したくもない祖父との思い出を頭の隅から引っ張り出してくる。
 レゾが言ったありとあらゆる言葉。ほとんどろくな事を言わなかったが、それでも突然真面目な顔つきになって発言したことなどはなんとなく頭に残っていた――それほどインパクトが強かった、ということだろう。
 記憶の糸をたどるように目を閉じる。視界が閉ざされたことで敏感になった聴覚が隣にいたアメリアが真っ直ぐ歩き出す音を捉える。おそらく、何らかの言葉を思いついて試しに言ったのだろう。だが、彼女では無理だ。彼女は『赤法師レゾ』という人間にあったことなどないのだから。
 と、彼女の声がやたらと大きく響いた気がした。
「開けぇぇぇぇ、ゴマっ!」
「……をい、アメリア。いくらなんでもそんな単純でベタな言葉が……」
 かちゃ。
「あ、開いた」
「へ?」
 我ながらかなり間の抜けた声だ、などと冷静に判断する自分がいた気がした。そんなことなどどうでも良い。問題なのは――
「ちょ、ちょっと待て。なんでそんな言葉で開くんだよおい」
 嬉しそうに扉を開閉するアメリアに思わず言い募る。彼女は、むうと頬を膨らませながら言ってくる。
「そんなの知らないですぅぅぅ。レゾさんに訊いて下さいよ」
「ま、まあ。考えてみたら“あの”レゾなわけだし……」
 彼女の隣で沈痛な顔をしながらもなんとか平静を保とうと努力しているクラヴィスが言ってくる。とりあえず、長年共に過ごしてきたクラヴィスもゼルガディスと同様の思いを抱えているのだろう。
 ゼルガディスもまた落ち着こうと小さく深呼吸をした。自分を納得させるための台詞を吐く。
「まあ、あのロートル魔王(ルビーアイ)の依り代の知能だ。しょせんその程度の知能だったってことだよな」
 その言葉が、先程から何故か路地にうずくまっているゼロスに止めを刺した。
(ううう、魔王様って、魔王様って……)
 まあ、自分の上司になるはずだった人間がしょーもない人格の持ち主だったらそれはそれで悲しいだろう。
 そんなゼロスをとりあえず無視して、アメリアはゼルガディスに手招きをした。
「ゼルガディスさん早く早く!」
 奇妙な彼女の態度にゼルガディスは目を瞬かせた。
 いつもの彼女なら『危ないから側から離れるな』とこちらが言っているにも関わらず、そんなことはお構いなしにたったか1人で先走っていくのだ。
 足を前に進めながら珍しいものでも見るように彼女を見る。
「……珍しいな、いつもは人の忠告無視して先に行く奴が」
 その言葉にアメリアは苦笑いしながらゼルガディスの背後に回りこんで、背中を押す。
「だって、ここゼルガディスさんのお家じゃないですか! ゼルガディスさんのご両親がいらっしゃらない今、この屋敷の主人はゼルガディスさんです。
 ささ、ご主人様のおかえりぃぃっ!」
「わかったから押すなよアメリア」
 にこやかにというわけではなかったが、それでも優しく微笑みながらゼルガディスは彼女に背中を押されるがまま屋敷に入り―――
 突然顔をしかめた。
「ゼルガディスさん? どうかしたんですか?」
 表情が急変したゼルガディスに素早く気づき、アメリアが首を傾げた。
 中に入ろうとするアメリアを手で制し、ぽつりと呟く。
「……血の匂い……」
「え?」
 突然のことで言われた言葉が理解できずにアメリアは怪訝な顔をした。その横からクラヴィスが言ってくる。
「初めに言っておくが、お前の両親が殺されたのこの屋敷だからな」
「……その時の匂いがまだ残っているってことか……」
 微かな――本当に微かな鉄の匂い。だが、人を大量殺戮したことでその匂いを嗅ぎ慣れてしまったゼルガディスにとって嗅ぎ分けるのには十分だった。
 隣で自分のことを不安そうに見つめてくるアメリアの手をぎゅっと握りしめて言う。
「あんまり1人でうろうろするなよ」
「ゼルガディスさんと一緒に行くから大丈夫です」
 アメリアは微笑んで、彼の手を握りしめた。



「さ、さすがに広いかも……」
「と、言うかあのじじいどこに研究室を隠してんだ!?」
 などと途方に暮れるのは屋敷に入ってまもなくのことだった。
 どんな罠が仕掛けられているかわからないため、はぐれないようにしっかりと手を握っているアメリアとゼルガディスの後ろからげんなりとしたクラヴィスの声がかかる。
「ま、持ち主はあのレゾだし。覚悟するべきだったよなー」
 屋敷はまるで迷路のようだった。
 果てしなく続く一本の廊下といくつもの扉。
 最初の扉を開ければ、そこははごくごく普通の応接室だった。
 次の扉を開けてみればやはりごくごく普通の応接室。
 さらに向かいにある扉を開けてみれば――想像通りごくごく普通の応接室。
「どういうことですか? これ」
「空間をいじりまくってるんだ」
 アメリアの問いにゼルガディスは苦々しく答えた。
 空間をいじって、ある手順を踏んで行動をしなければ一生先には進むことができないのだ。空き巣などの侵入防止対策としては最高な仕掛けだが、訪問者にとって見れば最低の防犯装置である。
「こんなところで時間食っててもらちがあかんし―――おいゼロス」
「……聞くのも億劫なくらいにわかりきった発言のような気がしますけど……なんですか?」
 疲れたように訊ねてくるゼロスにゼルガディスはきっぱりと言った。
「お前一応魔族のはしくれだろ。だったらこの空間魔術、力ずくで破れるよな?」
 その言葉に黒い神官は引きつり笑いを浮かべた。
「はっはっはっ、僕が人間ごときを相手になんの代償もなくして頼みを聞くとお思いですか?」
 さりげなく『嫌だ』と言ってくるゼロスにゼルガディスは嘆息してアメリアに目で合図した。瞬時の意味を汲み取り、アメリアは両手を胸の辺りで絡ませながら上目遣いでゼロスを見つめた。
「わたしからもお願いします、ゼロスさん」
「うっ……」
 彼女のその表情にとことん弱いゼロスが思わずうめく。
 魔族としてもプライドをとるか、彼女の願いに応えるか。
 ゼロスの答えは後者だった。
「ま、まあ、アメリアさんの頼みなら……決してゼルガディスさんのためじゃあありませんからねっ!」
「はいはいもーわかってるって」
 釘をさすゼロスに適当にゼルガディスは応える。
 その返事を確認して、ゼロスは一つ嘆息すると、持っていたお気に入りの杖をすっと横に動かした。



 十五年前からもう誰も通ることのなくなった静かな廊下。
 さすがのレゾも居住区内に罠を仕掛けてはいなかった。
 だが、それでも屋敷はだだっ広く、とても一緒に固まって探していたのでは数日かかるという判断から、手分けして探そうということで収まった。
 その中で、何かに引き寄せられるように真っ直ぐゼルガディスは一つの扉の目の前で立ち止まった。
 無意識の家に手を掛けた扉のノブを捻って、ゼルガディスの目に飛び込んできたのは、かわいい絵柄のカーテンだった。
「ここは……」
 部屋のあちこちに視線を向ける。
 小さな机。絵本がたくさん詰まっている本棚。そして、ベッドの上に山積みにされたぬいぐるみたち。
「……子供部屋……」
 ぽつりと呟いてみる。
 この屋敷にある子供部屋の持ち主は間違いなく自分であろうから、この部屋は自分の部屋、ということになる。
 ゆっくりと部屋に入る。どんなに記憶をたどっても思い出すことのできないここでの思い出。もう失われてしまった両親の面影。
(自分を産んでくれた親のことも忘れちまうなんてな……)
 自嘲気味に笑みを浮かべる。
 そのまま部屋の中心まで来て、今ではもう横になることもできないほどの小さな子供用ベッドに腰をかける。
 ゆっくりと見回す。
 壁に掛けられたパッチワークのタペストリー。その横の小さなタンスの上に置かれたウサギのぬいぐるみ。
 どれも手作りのようだった。
 きっと、母親が自分のために一つ一つ丁寧に作ってくれたのだろう。
(……ここにいた時の俺は幸せだったのかな?)
 なんとなく思う。
 辛いことばかりの自分の過去。
 楽しかった過去は、真っ白な紙に黒い墨をたらした時のようにじわりじわりと悪夢に侵食されていった。
 今では心の底から楽しかったと思える思い出など数えるほどしかない。
 20年間も生きてきた中で。
 ゼルガディスは苦笑した。
(『覚えていない』ということは少なくとも『辛くはなかった』ってことだよな)
 辛いことはどんなことでも覚えているから。
 座ったまま身体を横にすると、ぬいぐるみが視界を埋め尽くした。
「…………」
 無言で起き上がる。
 視線を這わして、ベッドの上に転がるぬいぐるみを声に出さずに数える。
 5歳の子供が寝れる程度の本当に小さな子供用ベッド。
 その上に。
 カメやら河童やらブタネコやらうり坊やら全部でなんと20個。しかも、それぞれ種類が異なっていて、実にバラエティに富んだ――悪く言えばなんの脈絡もない――物と化していた。
(……母さんって暇人だったのか? おい……)
 よくこれだけのものを作ったもんだ、と半分呆れの、半分感嘆のため息を吐く。
 と、ぬいぐるみの楽園となっているベッドの上に唯一見覚えのあるようなぬいぐるみを見つける。
 かわいいくまのぬいぐるみ。青と白のシマシマのシャツを着せられていた。
 確かに見覚えのあるぬいぐるみ。ぽつりと名前を呼ぶ。
「……クマごろう……?」
 性格にはクラヴィスが勝手につけた名前だが。そんなことはまあ横に置いといて、ゼルガディスは怪訝な顔をした。
「何でこれがこんなところに……?」
 彼はこのクマとまったく同じのぬいぐるみを母親から貰った。5歳の誕生日――両親との思い出がぷっつりと途絶えた日に。
 クマごろうは、ゼルガディスと共にここから遠く離れたラルティーグの『迷いの森』の中にある屋敷の彼の部屋で今はベッドを占領しているはずである。
 手を伸ばして、クマごろう二号(仮)を手に取る。と、ぬいぐるみにしては異様にずっしりとした重さが感じられて、ゼルガディスはさらに怪訝な顔をした。
 クマごろう二号(仮)を周りから見つめる。変わった様子は何もなかった。ごくごく普通のぬいぐるみ。
 ゼルガディスは無造作にクマごろう二号(仮)の手をしっかりと掴んだ。そしてあろうことか、そのぬいぐるみをかんしゃくを起こしてぬいぐるみに八つ当たりする子供のように、ぶんぶんと上下に振り回す。
「……やっぱり……」
 やっと振り回す手を止めると、ゼルガディスは呟きながらいろんな方向からクマごろう二号(仮)を見やる。
「何か別のものが中に隠してありそうなんだが……」
 ぶつぶつと呟きながら着せられているシャツをぺろっとめくってみせる。そうして、背中に服に隠れるようにファスナーがつけられていることに気づく。
「……?」
 ファスナーをゆっくり開けてみる。中に入っていたのは、子供の握りこぶしくらいの大きさの青緑色の宝石。
 それをクマごろう(以下略)から取り出して、ゼルガディスは訝しげにその正体を呟いた。
「記録球(メモリー・オーブ)……?」



「誰かの執務室みたいですね、ここ」
 アメリアと何故か共にくっついてきたゼロスの二人が入った部屋は少しばかり暗闇が支配していた。
 それもそのはずである。部屋にある窓にはカーテンが掛けられ、周りには本棚が置いてあり、魔道書やら医学書やら様々な分野の書物が押し込められていた――どころか、入りきらずにあちこちの床に山積みにされている。
 その様子を見ながらゼロスが言ってくる。
「ゼルガディスさんやクラヴィスさんの話では、赤法師さんという方は盲目だったそうですからね。本は読まないでしょうから、彼の部屋でないことは確かです。
 かといって、家の中の様子からあまり大人数で暮らしてなかったということがわかりますから、僕の推理が当たっていれば、ここ、ゼルガディスさんのお父上の執務室じゃないですか?」
 彼の言葉にアメリアは目を輝かせた。
「……てことはもしかしたら、ゼルガディスさんの小さい頃の写真とかあるかもしれないんですね!?」
「……もしかしてアメリアさん。他人の執務室を荒らす気なんですか……?」
 呆れたような顔をしていってくるゼロスにアメリアは顔を真っ赤にした。両腕をぶんぶん振り回して、慌てて弁解する。
「ち、違いますっ! もしかしたらこの中にゼルガディスさんの身体に関することが書いてある本があるかもしれないじゃないですかっ!
 わたしはただそれを探そうとしているだけでっ! 全然! まったく! これっぽっちも! そんなゼルガディスさんの子供の頃のまだひねくれてなくてかわいい頃の姿を一目見たいなんてこと……」
「なるほど。そっちが本音ですか」
「ああっ!?」
 いつのまにか真意をぺらぺらと喋っている自分に気づき、慌てて口を押さえる。
 その様子にゼロスはにっこりと微笑みながら口元に人差し指を当て、得意のポーズをした。
「ゼルガディスさんの弱みを握るちょうど良いチャンスですし、ぜひ一緒に探しましょう、アメリアさん」
「なんなんですかぁっ! その『弱み』ってぇぇぇっ!」
 ばこばことゼロスの胸を叩きながら――といえば聞こえが良いが、さりげなくヴィスファランクをかけていたりするのでゼロス当人にとってはかなりのダメージになっているのだが――アメリアが詰め寄ってくる。
 さすがに魔力を込められた拳でそう何度も殴られては、いかに高位魔族のゼロスといえども痛くないはずがない。
「ち、ちょっとアメリアさんやめて下さいよっ!」
 慌ててアメリアから離れる。後退しかけて、床に転がる本に足を引っかけてそのままバランスを崩す。
「うわっ!?」
 慌てて、本棚に手をやって転ぶのを堪えようとしたが、運悪く手をついたのが本だったために、結局本棚の本を何冊か道連れにして尻餅をつく。
 アメリアが目を瞬かせて尋ねてくる。
「だ、大丈夫ですか?」
「な、なんとか……」
 ゼロスの言葉に彼女は彼の近くでしゃがみこんだ。もしかして自分の心配をしてくれているのかとゼロスが少しばかり心躍らせたのもほんの一瞬。すぐに彼女の視線が自分ではなく、自分が落とした本に向けられていることに気づく。
「どうしたんですか? アメリアさん」
 訊ねるとアメリアは床に転がっていた本の中に一冊にはさんであった封筒を手にして、宛名をゼロスの方に見せた。
 そこに書かれてあった宛名は―――『愛する息子たちが選んだ彼女たちへ』
「手紙、みたいです。ゼルガディスさんのお母様からの」



「ウィル。あなた、自分に子供が出来たらどんな名前をつける?」
「なななななななななな何言ってんだよ、シルヴィア」
 真っ赤になって慌てるウィルフレッドにシルヴィアは笑った。
「やーね。そんなに慌てることないじゃない。もしもの話よ、もしもの」
「そんなこと唐突に言われてもねぇ」
 しばしの沈黙の後、ウィルフレッドは言った。
「そーだな……男の子だったらクラヴィス、女の子だったらミライナがいいかな」
「じゃあ、双子ちゃんだったら?」
「……うーん……女の子の名前は、エレノアで……男の子はね……あ、こんなのどう?」
 ウィルフレッドはにっこり微笑んで言った。
「ゼルガディス」



「うーみゅ……」
 ひとり廊下に佇んで奇妙に唸っていたのはクラヴィスだった。
「ここか向こうかあっちかそこ。どれか絶対レゾの研究室の入口だとは思うんだが……絶対あのくそったれじじいのことだから罠の一つや二つや三つや四つ。絶対仕掛けられてるよなぁ……」
 ぶつぶつと呟いて、一番端の扉の前に立っては、別の扉に向かう。そんな行動を先程から何度か繰り返していたりする。
 ここぞという時の行動力がないのは、ゼルガディスとそっくりなのである。
「……クー?」
 後ろからかかった声にクラヴィスは背中を大きく震わせた。ぎこちない動きで振り返る。そこにはやはりゼルガディスが怪訝そうな顔をして立っていた。
「ゼ、ゼル……」
「なにしてるんだ? さっきからうろうろうろうろ。不審者のごとく」
「いや不審者って……まあ良いけど……てなんでクマごろうを持ってるんだ?」
 クラヴィスの言葉に、ゼルは、ああ、と小さく言って、それを彼に手渡した。
「クマごろうの兄弟で作っていたらしい。似たようなぬいぐるみ、二つも三つも要らないからお前にやる」
「……兄弟……?」
 眉をひそめるクラヴィスに何も言わず、ゼルガディスはクマごろう二号(未だ仮)を手渡した。受け取ったクラヴィスがその異様な重さにさらに不思議そうな顔をした。「なんかこれ重くない?」
「じゃ、後始末頼むわ」
「ち、ちょっ……! 後始末ってなんなんだよっ!?」
 自分の言葉をあっさり無視して立ち去っていくゼルガディスを呆然と見送って、クラヴィスは心底困った顔をする。
 変な重さのぬいぐるみ。
 クラヴィスは無言で頭を掴んで、そのままぶんぶか上下に振りまわす。しばらく振った後、何やら納得したようにふむ、と呟くと、そのまま着せられている服の上から背中をなぞる。
 微かにぬいぐるみの素材とは別の硬い金属のような物体の感触。
「さあて、クマさぶろうくん。君はいったいなにを食べているのかな?」
 なんとなく呟きながらクマさぶろう(確定)の服を少しだけめくって背中につけられたファスナーを開ける。中から出てきた記録球(メモリー・オーブ)に軽く口笛を吹いた。
 記録球(メモリー・オーブ)。
 魔術の研究を専門にしている魔道士が愛用するもので、その機能は名前が示す通り、自分で話したことをそのまま記録することが出来るという便利なシロモノである。これさえあれば、わざわざ羊皮紙やペンを用意して、文章を書かなくてもある呪文を唱えてから話すだけで、いろいろなことを記録してくれる。
 ただ、欠点といえば、値段が死ぬほど高いということか。まあ、魔道は金がかかるものだと理解している魔道士たちは必要ならば迷わず買うが、一般庶民にはあまり手が出せないシロモノであるためにいまいちこのオーブの便利さは知られていない。
 クラヴィスは興味津々にオーブを掲げた。厳重に隠されていたものである。何かきっと重大なことでも記録されているに違いない。
「さて、見せてもらおうじゃないの?」
 クラヴィスは呟いて、記録球の記録を引っ張り出す呪文を唱えた。



「ゼルガディス?」
「そう、ゼルガディス」
「……変な名前ね」
「君のお父さん(レゾ)よりはなんぼかマシだと思うけれど……気に入らない?」
 不安顔のウィルフレッドにシルヴィアは笑った。
「あなたがつけてくれた名前よ。気に入らないわけないじゃない。素敵な名前ね。
 クラヴィスにゼルガディスか。双子じゃなくても兄弟で産まれたら、絶対にこの名前つけましょうね」
「……いやあの……こ、子供を産む前にどーいうことをするのかわかって言ってる……?」
「あら、私とじゃあ不満なわけ?」
「ぬえっ!? そんなこと全然ないけど……」
 あたふたと焦るウィルフレッドにシルヴィアはくすくすと笑った。彼に抱きついて、呟くように言った。
「絶対に幸せになろうね、ウィル」
「当たり前だよ」
 彼は彼女の耳元で囁きながら、力いっぱい彼女を抱きしめた。



「愛してるんだ、君を。君さえ良かったら――一緒に暮らそう、ずっと」
 正直言って。
 その言葉は嬉しかった。
 ウィルフレッドのことは愛していた。だが、アレスのことも愛していた。ウィルフレッドと同じくらい。出会ってからは間もなかったけれど。
 だけど――
 シルヴィアはぎこちなく視線をずらした。
「……私には子供がいる。それでもいいの?」
「構わない。君のすべてを愛してる」
 アレスはシルヴィアを抱きしめた。シルヴィアはそれを受け入れた。
 しばらくして、シルヴィアは身体を離して、彼にまっすぐ視線を送った。
「1つだけ――1つだけお願いがあるの」
「なんだい?」
 アレスを見つめたまま、シルヴィアは頼んだ。自分の少し膨らんだお腹を優しく撫でながら。
「今、私のお腹にいる子がもし男の子だったら、どうしてもつけたい名前があるの。
 この子の父親と約束したの」
 その言葉にアレスは優しく微笑んで頷いた。
「誰がなんと言おうと君のお腹にいる子供は君の子だよ。君にはこの子の名前をつける義務と権利がある」
「ありがとう、アレス」
 どこまでも優しい彼に思わず彼女は涙ぐんだ。その涙を指ですくいながらアレスは訊ねてくる。
「その男の子だった時の名前って、どんなのなんだい?」
「ゼル……ゼルガディスよ」
 その返事にアレスはあごに手をやり、感慨深げにうんうんと頷いた。
「そうか、ゼルガディス=グレイワーズか。良い名前じゃないか」
 一瞬だけ、ぽかんとした表情をして、シルヴィアはくすくすと声を漏らした。
「やあね、まだ男の子って決まったわけじゃないのよ?」
「いいや、絶対に男の子だ。男の子だったらキャッチボールとかして遊べるからな」
「もう……すぐその気になるんだから……」
 シルヴィアは笑いながら蒼い空を見上げた。
 遠く離れた場所にいるもう1人の自分の息子のことを想いながら―――



「は……はは……ずるいよ、こんなの……」
 片手で顔を押さえながらクラヴィスはずるずると壁にもたれながら座り込んだ。
空いた手の方で握りしめている記録球からはもうなんの映像も流れてきてはいなかった。
「自分ひとりで言い逃げか? ふざけるなよ。オレだって言いたいことは山ほどある……」
 ぐずる鼻を鳴らして、クラヴィスは呟いた。
「やだな。どうして年取るとこうも涙もろくなるんだろうな?」
 こんな顔を他人に見せるなどとても出来ない。しばらく気分を落ち着かせて、クラヴィスは記録球を見つめて小さく言った。
「……ありがとう。さよなら、母さん」



 手紙に書いてあったのは、全ての真実だった。
 クラヴィスのこと、ゼルガディスのこと、ゼルガディスの父親のこと、どうしてこんなことになったのか、全て。
 最後に『私が注ぎきれなかった分の『愛』をあなたたちが注いであげて』と言う文章で終わっている手紙を読み終わって、アメリアは無言でそれを封筒にしまった。
 そのまま小さく何かを呟くアメリアにゼロスは慌てて止めに入った。
「ち、ち、ちょっとアメリアさん! なんで呪文なんか唱えているんですか!?」
「なんでって……もう読み終わって全部理解できたから」
「だからって勝手に燃やすのはまずいでしょう。大切な手紙でしょう、それ」
「でも……」
 アメリアは視線を落として手紙を見つめた。
「わたしが呼んだならもうこれは用済みでしょう?
 クラヴィスさんはもう二度と結婚しないと断言してましたし、ゼルガディスさんの方は―――」
 彼女はにっこり笑って、はっきりと言いきった。
「わたしが惜しみのない『愛』をゼルガディスさんに注げば良いんですから」

 そして真実は炎の中で消えた。



「ゼルガディスさん、どうしたんですか?」
 結局一晩あの屋敷で過ごし、彼らは早朝には屋敷を出発した。
 居住区へは入ることの出来ないように(無論アメリアが)ゼロスに頼んで、入口の方もゼルガディスとクラヴィスがケンカしながらもなんとかレゾの術よりはましなものをかけることに成功した。
 シグムーンの街をとりあえず出て、当てもなく歩き始めた頃、朝だというのに疲れた表情をしているゼルガディスにアメリアは首を傾げた。
「あ、もしかしてやっぱり気にしてらっしゃるんですか……? ご両親のこと」
 彼女が全てのことを知っているのはゼルガディスもクラヴィスも知っている――自分があの屋敷で何をしていたか、ちゃんとすべて報告したためである。
 アメリアの言葉にゼルガディスは首を横に振った。
「いや……そうじゃないんだが……ただゆーうつなんだよ」
 ぼんやりと前を見つめる。
(お茶目で性格極悪のじじいの娘とノー天気の極致の男の子供なんて、ロクな人間にならねーじゃねぇか……)
 ちらりと後ろを振り返る。
 ひとり遅れて歩いてくるクラヴィスを見る。その視線に気づいたか、クラヴィスは怪訝な顔をした。
「あ? なんだ?」
 間の抜けた顔をしてくる兄にゼルガディスは重いため息を吐いた。
「やだなー、あんな人間になんの……」
「? なにが嫌だって?」
「あー、いや何でもない。気にするな。
 ところでアメリア、ゼロスはどこに行ったんだ?」
 話を逸らそうとゼルガディスはアメリアに訊ねた。アメリアとクラヴィスは顔を見合わせ、にっこりと笑いあった。
「ちょっとオレから頼んだことがあってなー」
「ちょっとばかしおつかいに行ってもらいました」
「……おつかい?」
 なんとなく仲間外れにされたような気分になりながら、ゼルガディスは怪訝な顔で訊ねた。



「父上」
 ノックと共にウィルの執務室に入ってきたエドワードは小さな小包を抱えていた。
「? どしたの、エド?」
「いえ、今、ゼロスと名乗る神官が父上にこれを渡すようにと……」
「ゼロス……? ゼロスゼロスゼロスっと、あーはいはい、ゼロスくんね」
 ぽんと手を叩くウィルにエドワードが訊ねてくる。
「お知り合い、ですか?」
「クラヴィスくんがお世話してあげてるんだって」
 ウィルフレッドの答えにエドワードは眉をひそめた。
「“世話してあげてる”? “世話になってる”じゃなくて?」
「してあげてるらしいよ。人間離れした子なんだって。もう1000年以上も生き続いているらしいにょ。すごいね、魔族って」
「…………」
 エドワードは何かを言おうと口を開きかけたが、敢えて口には出さなかった。
 魔族なんだったら、そりゃぁ人間離れしてるだろ、というつっこみも敢えて言わないでおいた。
 この義父がとんでもないことを笑いながらあっけらかんと言ってくるのはいつものことだ。小包をウィルフレッドに渡し、エドワードはそうそうに立ち去ることにした。
 自分は何も聞いていない。何も知らない。
 あの黒い神官は普通の人間で、名乗った通り、ただの謎の神官だ。
 そう思うことにした。
 部屋を出てエドワードははう、とため息を吐いた。
「ヴァレンタインの人間というのは変人の集まりなのか……?」
 ここの人間でなくてよかったのかもしれんぞ、兄上。などと思いつつ、エドワードは自室に向かって歩いていった。



 包みの中身は古びた日記と記憶球だった。それと共に一通の手紙が同封されている。
 それに目を通して、ウィルフレッドは苦笑した。
『実の父親なら全ての真実を知るべし。同封のものの処分は貴殿にお任せします。燃やすなり、封印するなり、家宝にするなり、お好きにどーぞ』
 ウィルフレッドは記憶球(メモリー・オーブ)を手にとって流れる映像をぼんやりと見つめた。愛した女を懐かしそうに見て、ウィルフレッドは微笑んだ。
「クラヴィスくんは僕に似て、ゼルガディスくんは君に似たね、シルヴィア。
 ―――ずっと君にお礼を言いたかったんだ。約束を守ってくれてありがとう」
 記録球の中の彼女はいつまでも優しく微笑んでいた。



『今これを見てくれているのはどっちかしら? クラヴィス? ゼルガディス? それとも、二人仲良く見てるのかしら。
 どれにしてもこれを見ていると言うことは、もう私がいないということになるのね。ごめんね。あなたたちを置いていってしまって。
 私ね、どうしてもあなたに言いたいことがあるの。
 ゼルガディス、あなたのお父さんね、本当はアレスじゃなくて、クラヴィスのお父さん。大人の事情でごたごたがあって、一緒に暮らすことは出来なかったの。
 でもね、あなたはアレスとの大事な子供だと思っているわ。アレスの血をひいていなくても、あなたは立派なアレスの子供よ。
 クラヴィス。あなたには謝らなければならないわね。私が弱かったから、あの傍若無人な男(マードック)に敵わなかったからあなたには辛い思いをさせてしまったわ。寂しかったでしょうね。
 私のことを恨んでいるかもしれないわね。それでもいいの。でも、お父さんを責めないであげてね。ウィルはすごく頑張ってくれたの。一生懸命あなたを守ってくれていたの。
 ……ごめんなさい。もう少しで記録が切れそうなの。もっと話をしたいのだけど……最後にこれだけは言わせてちょうだい。
 クラヴィス、ゼルガディス。私の大事な子供たち―――愛してるわ、いつまでも』



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6687再掲示ぃぃぃぃっvvv時貝崎 刻弥 6/4-16:22
記事番号6681へのコメント

ねんねこさんは No.6681「いまさら再掲示について」で書きました。

 こんにちは、貝です〜。
 再掲示!?と聞いて、死ぬるほどのスピードで飛びつきましたっvvv(笑)
 リアルタイムでねんねこ姉さん(許可無し呼び方)の小説を読んでいたわけではないので、これは良いチャンスーーーvvv

>最近滞る『THE DAY OF JUDGMENT(以下『審判』)』について考えてみる。
>……続きが書きたいけど書けないのはお前のせいだっ!なんだようさぎ化ってぇのはっ!おかげでうさぎにしか見えなくなったわっ!パパりんなんか嫌いだいっ!(←自分のせい)
 ああっ!敬愛するお父様!しかし、貴方よりも敬愛し尊敬する我がねんねこお姉さまの邪魔をするなんて!許せませんわ!!
 えーい、雨傘で殴ってやるー!!(ぼかっ!ぽんっ! ←衝撃で傘が開いた音)
 ・・・というわけで、お姉さま!邪魔者は始末いたしましたわ!!(笑)

>本気で『審判』の方を書き始めようとしたのですが、いろいろぺたぺた張りまくった伏線をまとめているうちに一番大事な伏線が抜けていることに気がつきまして(待て)入れようにも入れられないので、番外編として書くことにしたのですが……まあいつものごとく過去の話を最大限に利用してまして。いつもならば、『著作別から拾って下さい』の一言で終われるのですが、今回ばかりはそうも言えず。
 あらあらまあまあ。
 大変でしたら、ゆっくりで良いのですのよ?

>実は、以前こちらに投稿させてもらっていたシリーズが途中で行き詰まり(汗)ちょうどその時個人的にHPを開設したこともあって、『続きはHPでね♪』などというふざけまくったことをいたしまして。しかも書き直したためにびみょーに『書き殴り』版とHP版が違ってまして。それに気づいていらっしゃらない方が結構いらっしゃって、いまいち読んでて話がわからないという指摘を頂いたので、ほとぼりも冷めた頃だし、なぜか好評な話なので再掲示してしまえ☆ということになりました。
 Σ( ̄◇ ̄;;;
 それは気づきませんでしたわ!今から読み直さねば!!
 あ、ねんねこ姉さんのHPのBBSにレスりましたv

>というわけで、『クラヴィスくん家の家庭事情』再掲示いたします。時期的には『禁断の宝石』と『白の奇跡』の間です。というわけで、『あああうさぎはどこへ?』とか『親父、石っころはどうした?(笑)』などと突っ込みいれながら読むのも一興かと。
 読みましたです♪
 お、お父様がまともだーーーーー!!(をひ)
 こんなのお父様じゃなーーーーいっ!!(をひをひ)
 本物のお父様は、もっとこう・・・白くてふわふわで、丸いしっぽが付いていて、耳が長いんです!!本物をどこへやったーーー!!(がくがく ←襟首つかんで首かっくん中)

>ちなみにこれの続編である『太陽の当たる場所』はHPのみの公開となっていましたので、こちらのみで私の話を読んで下さっている方は一度読んでくださると嬉しいですvv
 もちろん読みましたわv
 ああ、お母様・・・哀しいですわ・・・ほよほよ(涙)
 でも、ホント母は強し!!ですね!
 母の愛に感動しました・・・くぅっ、泣かせるねぇ、ねんねこ殿!!(←木槌か雨傘で殴ってやってください。辞書の角は禁止)
 しかも、相変わらずですが・・・文章が・・・美しすぎです。うう、やっぱり私なんて、あなたの足先くらいにしか当たらないのですわね・・・

>かなりコンパクトな感じでツリーが出来上がってますが、冗談抜きで長いです。サイズで言うと……170KB……すみません……誰かのツリー道連れで落とすかもしれないでし……(滝汗)
 ねんねこ姉さんのツリーの犠牲になるのならば、落ちた方も本望でしょう(マテ)

>ページ数にするとどれくらいになるかはわかりませんが、印字しないでください音読しないでくださいとある方(笑)
 じゃあ、とある方じゃない私が印字します音読します(笑)

>長くなりましたが、それではどうぞvv
 了解でさーvvv(もう読んだくせに)

 あ、追伸です。
 卍病院の方のレスについてですが(笑)
>えぇっと……名乗った通り(不)名誉会員なので(笑)入会案内は会長か裏番にお尋ねせねばならないのですが……また募集した時に名乗りをあげて下さると肩書き背負って入会できるかと(微笑)
 会長か裏番・・・会長はあごんさんで、裏番がゆえさんですか?(←よく分かってないらしい)
 ゆえさんの方は、ゆえさんの小説のレスの時に、「卍会の方は、後日連絡しますね」と言ってくださいました。
 入会脈あり?(笑)

>ちなみに私は『保健厚生委員』だったりします。夜中までチャットをしている会員たちの部屋に提示になると羽根うさぎを大量投入するという係でし(待て)
 どこのチャットですか?(笑)
 よろしければ、おじゃましますね(マテ)

>………更に悪乗りしているし、私……(爆)
 私なんぞの駄文に、悪のりありがとうございますvvv(感激)

>一度みてみたいなぁ……ミルフィくんとクーちゃんが街の女の子を引っかけまくる話(爆)
 やりましょう、是非(笑)
 ミルフィーユには、キックボードという武器がありますわよ?(笑)

 ではではっ、これからも頑張ってください!!!!!(多め)

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6712再掲示なのん♪ねんねこ E-mail URL6/7-16:46
記事番号6687へのコメント

時貝崎 刻弥さんは No.6687「再掲示ぃぃぃぃっvvv」で書きました。

> こんにちは、貝です〜。
> 再掲示!?と聞いて、死ぬるほどのスピードで飛びつきましたっvvv(笑)
> リアルタイムでねんねこ姉さん(許可無し呼び方)の小説を読んでいたわけではないので、これは良いチャンスーーーvvv

ねんねこ姉さんオーケイよ(笑)でもまかり間違っても『姐さん』なんて呼んじゃだめよ、貝ちょんvv(許可が下りたので勝手に呼びだす)

>>最近滞る『THE DAY OF JUDGMENT(以下『審判』)』について考えてみる。
>>……続きが書きたいけど書けないのはお前のせいだっ!なんだようさぎ化ってぇのはっ!おかげでうさぎにしか見えなくなったわっ!パパりんなんか嫌いだいっ!(←自分のせい)
> ああっ!敬愛するお父様!しかし、貴方よりも敬愛し尊敬する我がねんねこお姉さまの邪魔をするなんて!許せませんわ!!
> えーい、雨傘で殴ってやるー!!(ぼかっ!ぽんっ! ←衝撃で傘が開いた音)
> ・・・というわけで、お姉さま!邪魔者は始末いたしましたわ!!(笑)

ありがとうっ!おかげで今わたしの後ろに親父殿の怨念が……(笑)
『ぷぅぁぷぅぁりぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃん♪』てな感じでちょっぴし怖かったり(笑)
というわけで、更に本日買ってきたビニール傘で殴ってみたり☆(待て)

>>本気で『審判』の方を書き始めようとしたのですが、いろいろぺたぺた張りまくった伏線をまとめているうちに一番大事な伏線が抜けていることに気がつきまして(待て)入れようにも入れられないので、番外編として書くことにしたのですが……まあいつものごとく過去の話を最大限に利用してまして。いつもならば、『著作別から拾って下さい』の一言で終われるのですが、今回ばかりはそうも言えず。
> あらあらまあまあ。
> 大変でしたら、ゆっくりで良いのですのよ?

そーもいかなくてねぇぇぇ(遠い目)
↑実は連載開始から約4ヶ月ほど経ってたりする……(書けよさっさと)
いや、最後は見えてるんですが。最後だけ。途中はといえば……ダッシュで逃げます。

>>実は、以前こちらに投稿させてもらっていたシリーズが途中で行き詰まり(汗)ちょうどその時個人的にHPを開設したこともあって、『続きはHPでね♪』などというふざけまくったことをいたしまして。しかも書き直したためにびみょーに『書き殴り』版とHP版が違ってまして。それに気づいていらっしゃらない方が結構いらっしゃって、いまいち読んでて話がわからないという指摘を頂いたので、ほとぼりも冷めた頃だし、なぜか好評な話なので再掲示してしまえ☆ということになりました。
> Σ( ̄◇ ̄;;;
> それは気づきませんでしたわ!今から読み直さねば!!
> あ、ねんねこ姉さんのHPのBBSにレスりましたv

もうがしがしカキコして下さいな。カキコするたびうさぎが増えて更に『パパりん分化』などとねんねこさん慌てまくりですので(笑)
『書き殴り』版。大きな違いがあったかといえば別段そんなものなく、ただ犯人が違うだけで……(爆)
台詞使い回ししないでください自分(笑)

>>というわけで、『クラヴィスくん家の家庭事情』再掲示いたします。時期的には『禁断の宝石』と『白の奇跡』の間です。というわけで、『あああうさぎはどこへ?』とか『親父、石っころはどうした?(笑)』などと突っ込みいれながら読むのも一興かと。
> 読みましたです♪
> お、お父様がまともだーーーーー!!(をひ)
> こんなのお父様じゃなーーーーいっ!!(をひをひ)
> 本物のお父様は、もっとこう・・・白くてふわふわで、丸いしっぽが付いていて、耳が長いんです!!本物をどこへやったーーー!!(がくがく ←襟首つかんで首かっくん中)

「にょわわわわわわわわわわわわわっ!?パパりんはパパりんにょっ!?」
「親父。耳としっぽ出てる」
「はにゃ!? はっ! つい癖で出しちゃったにょっ……」(待て)
「ウィルフレッドさんの耳としっぽが出るのは嬉しい時なんですよね」
「まるで某マンガのバラ男みたいじゃねぇか……」
 ……などとまた速攻で設定作ってるし自分……(汗)
いえいつでもどこでも出せといわれれば出せます(違)

>>ちなみにこれの続編である『太陽の当たる場所』はHPのみの公開となっていましたので、こちらのみで私の話を読んで下さっている方は一度読んでくださると嬉しいですvv
> もちろん読みましたわv
> ああ、お母様・・・哀しいですわ・・・ほよほよ(涙)
> でも、ホント母は強し!!ですね!
> 母の愛に感動しました・・・くぅっ、泣かせるねぇ、ねんねこ殿!!(←木槌か雨傘で殴ってやってください。辞書の角は禁止)

ねんねこさんの得意技。感動させておいてキャラをおもいっきしぶち壊すことでし(待て)←ノエちょんが良い例(苦笑)
……て。殴るんですか?んだば、ノエル嬢に借りた木槌で……(待て)
ううみゅ……だが雨傘も捨て難い……(更に待て)
↑どうやら、一時の大雨で傘を購入したことをひどく後悔しているらしい。

> しかも、相変わらずですが・・・文章が・・・美しすぎです。うう、やっぱり私なんて、あなたの足先くらいにしか当たらないのですわね・・・

思いっきり脳天直撃だったんだけど……貝ちょんのお話。
というか、今泣きたくなるほど自分の文章力の無さに苦労してるでし。もうもはや親父殿は抹殺決定です。なんなんですか、あんたのその人生の送り方はっ!?(詰め込んだのは〜自分のせい〜)

>>かなりコンパクトな感じでツリーが出来上がってますが、冗談抜きで長いです。サイズで言うと……170KB……すみません……誰かのツリー道連れで落とすかもしれないでし……(滝汗)
> ねんねこ姉さんのツリーの犠牲になるのならば、落ちた方も本望でしょう(マテ)

自分のツリーともども落ちた数3つ4つ……皆様すみませぬ……(汗)
さらに言うならなぜか投稿小説2のツリーの数が少ないのもわたしのせいだったり……う、うふvv(大汗)

>>ページ数にするとどれくらいになるかはわかりませんが、印字しないでください音読しないでくださいとある方(笑)
> じゃあ、とある方じゃない私が印字します音読します(笑)

んにょあああああああ(汗)
いったいどれくらいになるんだ(大汗)

>>長くなりましたが、それではどうぞvv
> 了解でさーvvv(もう読んだくせに)

何度読んでも泣けてきます。(スレキャラの出現率の低さに・爆)

> あ、追伸です。
> 卍病院の方のレスについてですが(笑)
>>えぇっと……名乗った通り(不)名誉会員なので(笑)入会案内は会長か裏番にお尋ねせねばならないのですが……また募集した時に名乗りをあげて下さると肩書き背負って入会できるかと(微笑)
> 会長か裏番・・・会長はあごんさんで、裏番がゆえさんですか?(←よく分かってないらしい)
> ゆえさんの方は、ゆえさんの小説のレスの時に、「卍会の方は、後日連絡しますね」と言ってくださいました。
> 入会脈あり?(笑)

をををををををっ!お仲間さんになれる日を楽しみにしておりまする(笑)

>>ちなみに私は『保健厚生委員』だったりします。夜中までチャットをしている会員たちの部屋に提示になると羽根うさぎを大量投入するという係でし(待て)
> どこのチャットですか?(笑)
> よろしければ、おじゃましますね(マテ)

それはひみつ・ひみつ・ひみつ・ひみつのアッコちゃん♪(抹殺してやれ)
いや単に地下だったり某同盟のチャットだったり……あちこちふらふら転々と(爆)

>>………更に悪乗りしているし、私……(爆)
> 私なんぞの駄文に、悪のりありがとうございますvvv(感激)
>>一度みてみたいなぁ……ミルフィくんとクーちゃんが街の女の子を引っかけまくる話(爆)
> やりましょう、是非(笑)
> ミルフィーユには、キックボードという武器がありますわよ?(笑)

ををををををっ!か・ん・ぺ・きvv<武器持ち
あああ、いつか書きたいですねっ合作♪

> ではではっ、これからも頑張ってください!!!!!(多め)

頑張りますわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!(対抗心丸出し)
というわけでねんねこでした。

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6690読むほどに味がでて、これまた美味♪ゆえ E-mail URL6/4-22:04
記事番号6681へのコメント

こんにちは。激しく某氏のうさぎ化に油どころか、ダイナマイトぶち込んでいるような気がひしひしとしている、毎度です。ゆえです。(ても確信犯)

おおっ?!再掲示ですね。
実は私は「〜家庭の事情」はHP版を先に読んでまして、その後に【書き殴り】版を読んでいたりします。
ねこさんのHPの掲示板で、その様な話を聞きつけて・・・・なんですが(汗)
続編の「太陽〜」とのこの2作品。私が一番好きな話しなんですよ。
そして、私が話を書くのにとても影響された話でもあるんですよ。
このお話を読んで、くーちゃんにすっ転んで以降(笑)、話の運び方とか、語り口とか変わりましたから。
なもんで、こうして投稿版で読むと、また違った感じでいいですよねぇ♪
うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ(怪しいって)

−−で、ですので、

>ページ数にするとどれくらいになるかはわかりませんが、印字しないでください音読しないでくださいとある方(笑)

私の手元には、とうの昔に印字済みの全話が(審判もセット品)むろん、音読も終了済み♪
あとは、製本化でするだけですな♪

以上、相変わらず暴走気味のコメントに本日の羽根うさぎの餌分の甘栗を向きつつ。

地下にてお会いしませう♪

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6713するめが欲しくなりました(笑)ねんねこ E-mail URL6/7-18:38
記事番号6690へのコメント

ゆえさんは No.6690「読むほどに味がでて、これまた美味♪」で書きました。

>こんにちは。激しく某氏のうさぎ化に油どころか、ダイナマイトぶち込んでいるような気がひしひしとしている、毎度です。ゆえです。(ても確信犯)

調子に乗って自ら餌係とまで名乗っているねんねこでし(爆)
……確信犯なんですか……そんなにうさぎが好きなのねvというわけで羽根うさぎ投入決定。もはや避けられません。頑張って10000飛んで32匹。なんらかの方法で対処して下さい(待て)

>おおっ?!再掲示ですね。
>実は私は「〜家庭の事情」はHP版を先に読んでまして、その後に【書き殴り】版を読んでいたりします。
>ねこさんのHPの掲示板で、その様な話を聞きつけて・・・・なんですが(汗)

ああ、あの時……エドが犯人だと誰が親父に突っ込みいれるんだとか怒られた時ですね(笑)
確かにハージェスじゃあ突っ込み入れられないけど……エド……存在意義は義父のツッコミとか言ったら泣くよきっと……

>続編の「太陽〜」とのこの2作品。私が一番好きな話しなんですよ。
>そして、私が話を書くのにとても影響された話でもあるんですよ。
>このお話を読んで、くーちゃんにすっ転んで以降(笑)、話の運び方とか、語り口とか変わりましたから。
>なもんで、こうして投稿版で読むと、また違った感じでいいですよねぇ♪
>うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ(怪しいって)

実はHPでの人気投票でついでに聞いているアンケートでもこの2つ異様な人気なんですよ(汗)
後は『黒い翼の天使たち』と『審判』ですかね?『タマにょんのママりん』もさりげなく人気が……(汗)
……この話でクーちゃんにすっころんだんですか……(笑)
ゆえ姉さまに影響与えるなんて……恐悦至極です(汗)

>−−で、ですので、
>>ページ数にするとどれくらいになるかはわかりませんが、印字しないでください音読しないでくださいとある方(笑)
>私の手元には、とうの昔に印字済みの全話が(審判もセット品)むろん、音読も終了済み♪
>あとは、製本化でするだけですな♪

ならばせめて製本しないでください(汗)
というか……『審判』40枚ですか……目指せ100枚。(待て)

>以上、相変わらず暴走気味のコメントに本日の羽根うさぎの餌分の甘栗を向きつつ。
>地下にてお会いしませう♪

会ってます(笑)←チャット中らしいです。(待て)
羽根うさぎ 数えて増えてく 困ったな、と。
それではまた地下で(だから今話してるんだってば自分・爆)

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6693ごめんなさいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!ブラッド 6/5-08:45
記事番号6681へのコメント

おはようございます。
今日は学校休みだったりするんでこんな朝っぱらからレスしちゃいますvv

では、タイトルにもありましたように……………
ごめんなさいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!(土下座)
ねんねこさんっ!!いえっ!!ねんねこ様っ!!
まじですいません!!
再掲示でもう一回じっくり読み直してそれで気付いた大馬鹿者です………

えっとですね……なんとなぁく、(あ、当然全部じゃないですが)
うちの『微笑』とかぶるような内容があったりしました(滝汗)
あぁっ!!きっとねんねこさんの話をよく読んでいたからそれでなんですっ!!
悪意なんかないですっ!!わざとじゃないんですっ!!
無意識のうちの出来事なんですっっ!!
本当に申し訳ありませんっっっっっ!!
はぁぁぁぁぁぁぁ………………すいません。

にょうっ!!別に私ごときの作品とねんねこさんの素晴らしき作品とを一緒
にしてるわけでもないんですっ!
えぇっ!!そんな滅相もないことなどしてません!!!!


でもでもっ!!あらためてじっくり読むとやっぱり素晴らしいです。
クーちゃん好きだぁぁぁvvパパりん好きだぁぁぁvvノエル嬢大好き〜〜〜vv
ねんねこさんのアメリアも好きですvv
この話かなり好きなんで、もうにたにたしながら(をい)
音読(どこかのどなたかの影響うけまくり(笑))
してました♪
なにげに感情込めたりしてるもんだから、妹に白い目で見られました(笑)


>ページ数にするとどれくらいになるかはわかりませんが、印字しないでください音読しないでくださいとある方(笑)
えっと………しちゃいました☆

あと………これからは夜気をつけますんで……羽根うさぎを大量投入……
勘弁して下さい(笑)せめて一匹ならそのままペットとして(待て)


ではでは、ブラッドでした♪

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6722さらにごめんなさいっ!(汗)ねんねこ E-mail URL6/9-12:28
記事番号6693へのコメント

ブラッドさんは No.6693「ごめんなさいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」で書きました。

>おはようございます。
>今日は学校休みだったりするんでこんな朝っぱらからレスしちゃいますvv

―――にもかかわらずこんなにレス返し遅くてごめんなさいでし(土下座)
ああ、1日48時間欲しい……(切実)

>えっとですね……なんとなぁく、(あ、当然全部じゃないですが)
>うちの『微笑』とかぶるような内容があったりしました(滝汗)
>あぁっ!!きっとねんねこさんの話をよく読んでいたからそれでなんですっ!!
>悪意なんかないですっ!!わざとじゃないんですっ!!
>無意識のうちの出来事なんですっっ!!
>本当に申し訳ありませんっっっっっ!!
>はぁぁぁぁぁぁぁ………………すいません。

えっと……さらにすみません(汗)
ねんねこさんのパソに眠っているお話がどうも『微笑』に感じが似てて……vv(滝汗)
あのまだ書き途中なんですが、書き終わったらメールで送りつけちゃって良いですか?
確認していただいてもしそっくりだった時には混沌の海に破棄したいと思うんで……(汗)
悪意もわざとじゃないこともわかってますよぉぉっ!だからそんなに謝らないでくださいっ!(><)

>にょうっ!!別に私ごときの作品とねんねこさんの素晴らしき作品とを一緒
>にしてるわけでもないんですっ!
>えぇっ!!そんな滅相もないことなどしてません!!!!

わたし、ブラッドさんのお話大好きなんですよっっ!?
『ごとき』なんて言わないでくださいっっ!
ブラッドさんや皆さんのお話拝見するたびに自分のへぼさに思わず涙が……(−−;)

>でもでもっ!!あらためてじっくり読むとやっぱり素晴らしいです。
>クーちゃん好きだぁぁぁvvパパりん好きだぁぁぁvvノエル嬢大好き〜〜〜vv
>ねんねこさんのアメリアも好きですvv

あああああっ、そう言って下さるとねんねこ救われますっ!(特にアメリア)
おかげさまで某所の人気投票。うさぎもどきが息子の後を怒涛のように追っかけておりまして……ぬ、抜きそう(汗)←待て。
この辺りのノエちょんはまだまともだったんですよねぇ……(遠い目)←さらに待て。

>この話かなり好きなんで、もうにたにたしながら(をい)
>音読(どこかのどなたかの影響うけまくり(笑))
>してました♪
>なにげに感情込めたりしてるもんだから、妹に白い目で見られました(笑)

……したんですか……音読……(滝汗)
この話、音読するとかなり凄い状態になりそうなこと請け合いなんですが(苦笑)
まず初めの親父殿の『クーちゃんらぶこーる』はご近所にも届くぐらいの大声でやっていただかないと(抹殺)

>>ページ数にするとどれくらいになるかはわかりませんが、印字しないでください音読しないでくださいとある方(笑)
>えっと………しちゃいました☆

ゆえ姉さまに聞いたところ、15枚ほど行ったらしいです。
……資源の無駄遣いです。止めましょう。こんな誤字・脱字オンパレードの駄文の印字なんて(汗)

>あと………これからは夜気をつけますんで……羽根うさぎを大量投入……
>勘弁して下さい(笑)せめて一匹ならそのままペットとして(待て)

……だ、そうですが。パパりん、どうします?
「んとね。実はもう突入させちゃったんだよね。今日の分……てへvv」
すみません。しばいておきます。このうさぎもどき。
それでは本気で夜は程々に(苦笑)また地下で会いませう。それではねんねこでした♪



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6694ありがとうございます。久遠安宿 6/5-15:05
記事番号6681へのコメント

どうも久遠です。
一言言わせてください。
『ありがとうございます』と。
ねんねこさんの話はいつもすばらしくて、感激しっぱなしなんですが、この二つの話は読んでて泣きました。
たかがオリキャラ、されどオリキャラ。スレイヤーズのキャラクターたちがそれぞれの過去を持っているのと同じようにオリキャラたちもそれぞれの過去を持っているんですよね。それがしっかりとされていて、なおかつ文章にできるねんねこさんはやっぱりすごいです。
クラヴィス=ヴァレンタインとウィルフレッド=ヴァレンタインは、私にとって最高のオリキャラたちです。
これからも彼らの活躍を楽しみにしております。
それでは。
             久遠安宿  拝


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6723読んでくださった方に感謝を込めて。ねんねこ E-mail URL6/9-12:29
記事番号6694へのコメント

久遠安宿さんは No.6694「ありがとうございます。」で書きました。

>どうも久遠です。
>一言言わせてください。
>『ありがとうございます』と。
>ねんねこさんの話はいつもすばらしくて、感激しっぱなしなんですが、この二つの話は読んでて泣きました。

こちらこそありがとうございます(ぺこり)
書いているこちらとしましては、読んで下さってる方に『なにか』を感じ取っていただければそれで嬉しいのです。

>たかがオリキャラ、されどオリキャラ。スレイヤーズのキャラクターたちがそれぞれの過去を持っているのと同じようにオリキャラたちもそれぞれの過去を持っているんですよね。それがしっかりとされていて、なおかつ文章にできるねんねこさんはやっぱりすごいです。

わたしの中ではもうスレキャラもオリキャラもいっしょくたなんです(苦笑)
……詰め込み過ぎたオリキャラの『過去』のせいで今地獄を見ていたりしますが(汗)

>クラヴィス=ヴァレンタインとウィルフレッド=ヴァレンタインは、私にとって最高のオリキャラたちです。
>これからも彼らの活躍を楽しみにしております。

そう言って下さると凄く嬉しくて涙が出てきますっ!
実はクラヴィス、皆さんに受け入れてもらえなかったら問答無用に抹殺しようと考えていたもんで……←しかもその話まで考えていました(汗)
ここまで皆さんに知ってもらえるようになったのが未だ夢のようで……親としては嬉しい限りです。
それでは、これからも果てしなく暴走していきますのでお付き合い下さい(^^)
ねんねこでした。

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6703THE DAY OF JUDGMENT 番外編 『THE RAINY LABYRINTH(前編)』ねんねこ E-mail URL6/6-17:39
記事番号6681へのコメント

ウィルフレッド=ヴァレンタイン脱うさぎ化計画発動中(待て)
いえ。うさぎな彼も書きやすくって好きなんですが、そのまま行くと『審判』がギャグ化する恐れがあるので、それはちとまずいということで。
そのための番外編ではないんですが(汗)
とりあえず主役は誰がなんと言おうとウィルフレッド。パパりんなんて呼ばないでください。いめぇじが一気に崩れます(断言)
あと、レスくださった刻弥さま、ゆえさま、ブラッドさま、久遠さま。すみません。作業がとろいものでレス、明日にさせて下さいませませ(汗)
なんでこんなに切羽詰まってるかって、なぜに今日いきなり梅雨入り宣言するのだっ関東地方っ!(泣)
では、どうぞvv

****************************************************************


「クラヴィスは僕が引き取る――君は別のいい人を探して幸せになるんだ」
 彼女はただじっと見つめてくるだけだった。彼はその視線を逃れるように顔をそむけた。


 彼女のためだと思った。
 彼女が幸せになれる唯一の方法だと思った。
 ―――それがたとえ自分の気持ちに反していたとしても。


「き……君のことが……君のことが嫌いになったんだ。顔も……見たくない」
「……ウィル……」
 彼の言葉が嘘なのはすぐにわかった。
 彼女は微笑んで、彼の震える身体を抱きしめた。
「……父に言われたのね……ありがとう」
「違う……僕は……」
 言いかけて開いた口を彼女は人差し指で塞いだ。
「大丈夫よ、私のことは心配しないで。ちゃんと生きていく」
 にっこりと微笑んだ。
「これでも結構強いんだから」
「シルヴィア……ごめん……」
 最後にもう一度だけ、彼は彼女をしっかりと抱きしめた。



 ―――ウィルフレッド=ヴァレンタインにとって。
 それが初めて愛した女シルヴィア=ルシオンとの最後の逢瀬になった。



 世の中には自分の手におえない―――とりあえず放っておいた方が無難な人間というのが少なからず存在することは過去の経験から熟知していた。
 信念は持っているが、金と飯のことになると目の色変えて暴走する女魔道士。
 黙って剣振り回していればとりあえずまともな人間に見えるクラゲ剣士。
 その他にもいる。
 正義なんて言葉を振りかざして、他人の迷惑省みず誰彼構わず突撃していく考え無しの暴走娘は……まあ、あんまり気にもならないので横においておくとしても―――断じてえこひいきでも『あばたもえくぼ』でもない……いや、少しは入っているだろうが、単に慣れてしまっただけである―――自分の周りには一度張り倒しておいた方が今後のためにも良いような輩で溢れかえっているのは気のせいだろうか―――というか、まともな人間などいただろうか?
 はっ倒し決定な奴らだってたくさんいる。まだ歳が一桁だった時から実に楽しげに精神面からねちねちいぢめ倒して、溜まってもいないストレスを発散させていた兄貴っぽい親友―――と言うか悪友のごとき兄貴と言うか―――にしても、魔道書をちらつかせればほいほいとついていくとか思っている―――いや実際そうなのだが―――腐れ生ごみ魔族にしても。
 だがそれはまだまともな方だったのかもしれない―――いや、まともな方だったのだろう。
(もし―――)
 空を支配していたのは満天の星空ではなかった。今にも雨が降り出しそうな分厚い黒い雲。
(もし神と言う存在がいるとしたら)
 空を見上げて、ゼルガディス=グレイワーズは黙考した。
(絶対に『私を崇める巫女は世界中にこんなにいるのだ』とか精神的ハーレム状態に浸りながら毎日暇そうにのんべんだらりと暮らしてるんだ。神に命を捧げる巫女は純血じゃなくちゃならねぇって、てめえのせいで何人の野郎どもが泣いてると思ってんだよ、こんちくしょう。たまには真面目に仕事しろってんだよ。例えば……)
 心中で、いるんだかいないんだかわからないような存在に罵詈雑言吐くだけ吐いて、ゼルガディスは意を決したように前を見据えた。
 宿泊するために立ち寄った街。
 メイン・ストリートから外れているが、それなりに広い道。時間が時間なだけに辺りに誰も人が通っていないのは、せめてもの救いか。
 両脇には数メートル間隔で街灯が設置されていて―――おそらく、毎日夕方辺りに魔道士協会の人間が長時間効果が持続するように威力の弱いライティングをかけていってるのだろう―――淡い光が自然の光を分厚い雲で遮っている空を照らし出していた。
 ―――そんななんの変哲もないただの道で。
 ゼルガディスの前に連れが独り歩いていた。
 彼よりも身長は10センチほど高い。白い肌に黒い髪―――ただ、その髪はいつも見慣れている腰までの長さではなく、綺麗に短く切り揃えてあった。どう見ても20代か30代前半にしか見えないこの男は今年で確か45歳になったはずだった。
 とにかくその男はあっちにふらふらこっちにふらふら―――まるで酔っ払いのごとく―――店で一番アルコール度の高い酒を1人で1瓶空ければそりゃあ酔うのは当然だろうが―――千鳥足で歩いていた。
(あーいうのに天罰与えるとかさ)
 直視したくない現実を前にゼルガディスが心中で神とかいう存在に呟く。だがどうせ聞こえてなどいないだろう。そう思う。
 前を歩く連れ―――実は自分の父親だったりするウィルフレッド=ヴァレンタインが歩いている方を見る限り、どうやらとりあえず宿には向かっているらしい。酔っ払いを相手にするほど馬鹿馬鹿しいことはないが、とはいえこのまま見捨てていくこともできず。結局後ろから見張りながらついていくと言う何とも情けない役をしているのだ。
 そんな中。不意にウィルフレッドが右側に片寄りだした。何かに引っ張られるように道の右端に向かっててけてけと歩いていき―――
 その後の展開がある程度予想がついて―――同時にふと思い出したのは今は別行動中の黒髪の少女だった―――ゼルガディスが慌てて声をあげる。
「ウィルっ! 前っ!」
「……にょ……? ぎょっ!?」
 べごし。
 ゼルガディスの声に反応したのは良かったが、歩きながら反応したのはいただけなかった。顔面をもろに街灯にぶつけ、そのままなす術もなくその場に尻餅をつく。
「お……お約束……」
 額に手を当て、沈痛な面持ちで言ってくるゼルガディスにウィルフレッドは目の前の街灯を見つめながらきょとんとした顔をした。いつまでも座り込んだままの父親を立ち上がらせようとゼルガディスが嘆息しながら手を伸ばした瞬間。
「にゃははははははははははははははははははははははははははははっ♪」
 いきなりウィルフレッドは空に向かって大口を開けて、両手両足で地面をべこべこ叩きながら甲高い声で笑い出す。
 あまりの唐突さに思わずその場を飛び退いたゼルガディスは顔を引きつらせた。
「うーわー」
(ウィルへの天罰って言うか……俺への嫌がらせ?)
 もしかしたらささやかな願い事の前のお茶目な悪口もしっかり届いていたのかもしれない―――くどい様だがもしそんなのがいるとしたら。
 唐突に始まった笑いは唐突に終わった。急に黙り込んだウィルフレッドの顔をのぞき込んで見る。彼の藍蒼色の瞳に映ったのは、ウィルフレッドの少し潤んだ翠色の瞳。どこか物悲しそうな寂しそうな―――その目があるものを連想させて、ゼルガディスはぽつりと呟いた。
「……犬みてぇ」
「……僕、うさぎさんだにょ?」
 そう言いながら、どこから取り出してきたのか画用紙とクレヨンで作られたうさぎの耳を自分の頭の上にちょこんとのせてみる。
 動物に例えたのが悪かった、と心底後悔しながらゼルガディスはウィルフレッドの腕を引っ張った。
「そろそろ立てよ。こんなところ、クラヴィスに見られたら指差して笑われるぞ」
「クラヴィスくん……いないも……」
 度重なる予想外の事態と迫る脅威から自分たちのみを守るため、アメリアとクラヴィス、ゼルガディスとウィルフレッドは2人ずつのペアで別行動していた―――もっとも、ウィルフレッドもゼルガディスも別の場所で一緒に行動しているはずのアメリアとクラヴィスが更に各個別行動していることを知りもしないが。
「……頼むからアメリア以上に世話焼かせないでくれ」
 嘆息交じりで言ってくるゼルガディスにウィルフレッドは素直にぺこりと頭を下げた。
「ごめんなさい」
「いやいきなり馬鹿丁寧に謝られても―――」
 困った顔をして言うゼルガディスの言葉を遮って、ウィルフレッドは頭を下げたまま呟く。
「……僕ね、本当は酔ってないの……」
 その言葉にゼルガディスは沈黙した。
 この男が、“酔ったふりをしている”だけであるということは、彼の口調がはっきりしているところから薄々気づいてはいた―――あれだけ飲んで酔っていないのは半ば信じられなかったが『ビールなど水と同じ』『日本酒はやはし“八海山”に、つまみは新潟村上の鮭の酒びたし♪』など数々の名台詞―――ゼルガディスにとっては意味不明なのが多かったが―――を残しているザル男の父親であると考えてしまえばひどく納得がいった。それと同じ血が自分にも流れていると思うと少しばかり人生について考えてみたくなってしまうが。
 腕を掴むゼルガディスの手を軽く振り払って、ウィルフレッドは立ちあがる。ゆっくりと―――だが先程のような千鳥足ではなくしっかりと一歩ずつ―――歩いて1メートル程度離れたところで足を止めた。
 父親がどうして足を止めたか―――それは不意に顔に当たった冷たい水で理解した。
 空を振り仰げば、大粒の雨がぼたぼたと顔に当たる。ゼルガディスは舌打ちした。
「とうとう降ってきやがった……」
 この様子だと、どしゃ降りになるのはすぐに予想がついた。視線を前に―――動く気配のないウィルフレッドに向ける。
「ウィル、宿に戻ろう」
「……嫌だ」
「は……い?」
 はっきりと聞こえてきた拒否の声にゼルガディスが問い返す。
「『嫌だ』って……風邪ひくぞ……?」
「……ごめんね。どうしても今日は飲まずにいられなかったんだ」
 返事になっていない言葉をぽつりと呟いて、ウィルフレッドは空を見上げた。満天の星空を覆う黒い雨雲。ぽつりぽつりとこぼしていた大粒の雨粒はだんだん数を増やし、ついにバケツをひっくり返したように一気に降り出す。だが彼はその場から動かなかった。
「―――ウィル。帰ろう」
 ゼルガディスが促しても彼は動こうとはしなかった。虚ろな瞳でただ空を見上げていた。
「嫌だ。ゼルガディスくん1人で帰って」
 服と身体が雨に濡れるのも構わずにウィルフレッドは瞑目した。自分の常識的な提案に断固拒否するウィルフレッドに少しばかり顔をしかめながらゼルガディスは彼に近づいていった。
「……ウィルフレッド、ただをこねるのもいい加減に―――」
 言葉はそこで途切れた。
 ウィルフレッドの肩を掴み、彼の顔を見て、ゼルガディスは言葉を失った。
 地面を叩きつける激しい雨音が響き渡る。
「……飲まずには……いられなかったんだよ……今日だけは……」
 ウィルフレッドの頬を伝うのは、彼の顔に当たった雨粒なのか、翠の瞳から零れ落ちた涙だったのか―――
 彼の呟きは雨の音にかき消された。



 考えてみれば―――この男と雨の日を過ごすのは初めてだった。



 ++ THE DAY OF JUDGMENT ADDITION † THE RAINY LABYRINTH ++



「あーあ、ついに降ってきちゃったね」
 アリータの言葉に2人分のカップスープを片手に部屋に入ってきたリオンはアリータから窓の外に視線を移動させた。
 まるで嵐のようだった。激しく窓を叩く雨にリオンは小さくため息を吐いた。カップをのせたトレイを備え付けのテーブルにおき、カップだけを手に取る。窓枠に肘をついて外を眺めるアリータに片方のカップを手渡してぽつりと呟く。
「明日の朝までに止めばいいですが……」
「明日の朝までに止まなくても出発するつもりだけどね」
 その言葉にリオンは意外そうな顔で隣にいたアリータを眺めた。
 いつもは『雨の中、出かけるなんて言語道断っ! 服が濡れるっ!』とわがままぬかすピースランド王子の台詞とは思えなかった。本人も自覚はしていたのだろう―――冷えた身体には嬉しい温かいスープに息を吹きかけて冷ましながら小さく笑ってみせる。
「アメリアが捕まってる。助けにいかないと。わがまま言わない理由はそれだけで十分だろ?」
「そうですね」
 普段はわがままで嫌なことやめんどくさいことからすぐに逃げ出すアリータが、根は優しいことは―――5年の付き合いだ、よく知っている。リオンは珍しく小さく微笑んだ。
 ―――と。
 ノックの音と同時に扉が開く。顔をのぞかせたのは行動を共にしている魔道士だった。
「なあ、バカ王子にお付きくん」
「君はいったいどんな教育を受けたわけっ!?」
 バカ王子呼ばわりされて―――まあ、普段の様子を見ていればそれ呼ばれるのも致し方ない気もするが―――憮然とアリータが訊ねた。魔道士―――シモン=クローデルは謝罪のつもりなのかぱたぱたと手を振ってきた。部屋にずかずかと入り込み、部屋の中に目的のものがないことを確認して、用件を告げる。
「クララ、知らないか? どこにもいないんだが……」
「あーあーあのザル!」
 呆れたようにアリータが声をあげた。隣にいたリオンが自分のカップ片手に床を指差した。
「クラヴィスさんでしたら、一階のカウンター席を陣取られておいででしたが……」
 言われてシモンは床を見た。どこにでもある宿はたいてい二階が宿、一階が食堂兼酒場と言う造りになっていて―――この宿もそのどこにでもあるような宿の一つだった。
「……いなかったと思ったが……」
 クラヴィスが部屋にいないとわかった時点で彼は一度酒場に顔を出してみた。店は大して広くはないが、近所の親父どもが大軍を成して宴会しているため、人口密度は高かった。あの男が、女だったらともかく見知らぬ野郎と肩を並べて酒を飲むはずなどないだろうから―――実際その通りなのだが―――カウンター席と独り寂しくテーブル席で飲んでいる客を探したのだが、どれも目的の人物ではなかった。
 カップを両手でもっと、アリータが肩をすくめる。
「酒場中の酒を飲み干しちゃって別の店にでも行ったんじゃないの? あぁのうわばみ男、『酒ってぇのはストレート5杯目からを言うんだよ』とか言ったんだ。悪かったね、どうせ僕は下戸さ。まったく……彼、『限度』って言う頭の神経が途中でぶち切れてんじゃないの?」
「きついお言葉だぁね」
 目をとろんとさせてシモンは息を吐いた―――アリータの言葉を隣で聞いていたリオンが彼からさりげなく視線を外したのをしっかりと見ながら。どうやらこの不愛想男もクラヴィスの同類らしい。きつい言葉を吐くところからアリータは自分の世話係がザルだとは知らない様だったが。
 リオンが視線を移動させた先は窓の外だった。先日、出会い頭に魔術で吹っ飛ばされたことを根に持っているのか、本人がいないことをいいことにあることないこと言っているアリータを半ば無視して、リオンはさらに激しさを増したように思える雨を見て―――
「シモンさん」
「んあ?」
 アリータの話をうんざりとした顔で聞き流していたシモンが実に間の抜けた声をあげた。アリータもぺらぺらと良く喋るその口を閉じて、世話係に目をやる。2人の視線を集めたリオンは窓の外を指差して、今さっき自分が目にしたものを淡々と告げた。
「クラヴィスさん、外にいらっしゃいます」
 その言葉にシモンとアリータはなんとなく顔を見合わせた。
 ―――外は嵐のような雨だった。






 雨が降る日。
 思い出すのは幼い頃のこと。
「クララ!」
 どしゃ降りの中、なにをするわけでもなく突っ立っていたクラヴィスにシモンは慌てて駆け寄った。
 動きやすい様に作られた白い神官服は身体にぴったりと密着し逆に動きづらくなっている上、腰まである長い黒髪も毛先からぼたぼたと水が垂れていた。いくらこの大雨の中にいたからとはいえ数分間でこんなにひどく濡れるはずはない。長時間―――おそらく降り始めた頃から―――ずっとここに立っていたのだろう。
 名前を呼んでも振り返るどころか反応もしないクラヴィスにシモンはさしていた傘の中にクラヴィスを入れた。
 冷たい雨は容易に体温を奪う。前髪から滴り落ちる雨のせいで濡れた顔はもはや冷たくなって、青白くなっていた。
「なにやってんだよ、あんた? 酔い覚ましのつもりか!?」
「……そんなに飲んじゃいねぇよ」
 怒鳴ったシモンに意外にもしっかりとした口調でクラヴィスは紫色の変色した唇を動かした。
「ちょっと知りたかったんだ」
 目を細めて遠くの空を眺める。
 時間は違えど、激しく降る雨はあの日、あの時と全く同じ。脳裡に、焼きついて離れない光景が浮かぶ。
 クラヴィスは自嘲にも似た笑みを浮かべて、俯いた。前髪から水の雫がいくつもたれ落ちる。
「ガキの頃さ……7歳の時だったかな。やっぱり昼間から凄い雨が降ってた時があったんだよ」
 周りの人間、周りの環境、大人たちの視線―――全てが嫌で、心を閉ざした少年時代。
 誰にも侵されることのない唯一の聖域は屋敷の一室―――自分に当てられた部屋だけだった。
 温暖な気候のセイルーンにも梅雨の時期はあった。毎日毎日降り続ける雨をぼんやりと眺めて時を過ごしたクラヴィスが、その日、屋敷に客が来たことに気づいた。
 気づかないわけがなかった。一度見たら忘れることができないようなセンスを持つ人間だったから。
 ―――頭に焼きついてはなれないあの雨の日。
 バケツをひっくり返したようなどしゃ降りの中、ヴァレンタイン邸にやってきたのは、赤い服を着た世界でも有名な聖人君主だった。
 いきなり昔のことを話し始めた自分を止めずに黙って聞いていてくれるところを見ると、シモンはどうやら最後まで話を聞くつもりらしい。もしかすると、話し終わるまで宿には戻らないという自分の決意に気づいているのかもしれない。クラヴィスは肩をすくめてそのまま続けた。
「赤法師が来たことには……別に驚きはしなかったよ。家柄の関係で名前が世界に知れ渡っている人間なんて結構たくさん来てたから―――」
 ただ、クラヴィス少年が不思議に思っていたのは赤法師がその時はまだ存命だった当主マードックではなく、次期当主の自分の父親に会いに来たことだった。もっとも、赤法師が自分の母親の父親―――つまり、自分の祖父に当たる人物であったと知った今となっては、その理由も簡単に理解できたが。
 お互い傘もささずに雨が降る中、赤法師と父親が言葉を交わした時間はさして長くもなかった。
 赤法師が一言、二言告げて父親になにかを手渡すのがかろうじて見えた。それがいったいなんだったのかは遠すぎてみることはできなかったが。
 終始俯いていた父親の肩を何度か軽く叩いて、赤法師は立ち去った。
 しばらくそのまま雨に濡れていた父親が壁にもたれてずるずるとしゃがみこんだ時。
 クラヴィスは初めて自分の父親が号泣していることに気づいた。
「なんで泣いているのかわからなかった。ただ、その日の夜、異常な程明るく振る舞ってきたことだけははっきりと覚えてる」
 心を閉ざした自分の気を引くために父親―――ウィルフレッドが明るく振る舞ってくるのはいつものことだった。だがその日ばかりは違った。いつもは自分に向けられる振る舞いが、その時だけはウィルフレッド自身に向けられていた気がした。
 何かを隠すような―――心の中に閉じ込めているものを自分に感づかれない様にしているような……
「それでもいつかは話してくれると思ってた」
 クラヴィスは一歩だけ足を進めた。彼の身体は再び傘の範囲内から外れ、雨に濡れる。その行動にシモンは僅かに顔をしかめた。その表情の変化に気づいたが、クラヴィスは敢えてそれを無視した。
「親父の口癖があったんだ」
『ごめんね、クラヴィスくん。時が来たら――』
 小さな頃からずっと言われてきた言葉。
 来るべき時が来て、告げられたのはヴァレンタイン家のこと。自分の母親のこと。弟のこと。
 自分の母親であるシルヴィアはシグムーンでアレス=グレイワーズという男と結婚した。その時にはもう既にウィルフレッドとの二番目の子供を身篭っていたが、彼女はその子供を産んだ。自分の弟であり―――親友でもあるゼルガディスを。
 それだけだった。
 父親の口から語られたのは、過去に起こった事実だけだった。そこには彼の感情など微塵もなかった。いったいあの雨の日になにがあったのかも。なぜ泣いていたのかも。
「ずっと考えてた。でもわからなかった。あの時と同じように雨に濡れれば少しはわかるかと思ったけどやっぱり無理だった」
『……自分でなんでも背負い込んじゃてさ、1人で我慢して、苦しくないかい?』
 久しぶりにセイルーンの自宅に戻った時の―――血の繋がりのない兄に殺されかかった時の父親の言葉を思い出す。
『苦しくないわけがないんだ。辛い事を我慢してる事ほど、苦しい事はないんだよ』
 ああ、確かにそうだ。
 苦しかった。辛くて心が押し潰されそうだった。
 あの時―――自分の気持ちをずばり言い当ててくれた父親。正直、凄く嬉しかった。自分をわかっていてくれる人間がいて凄く嬉しかった。
 ―――だけど……
『僕を頼ってよ、苦しいって信号出してよ、我慢して苦しい事全部飲み込んじゃわないでよっ!』
 クラヴィスは唇を噛みしめた。
 悔しかった。父親に頼ってもらえない自分が。彼が何かを必死に耐えていることを知りながら何もできない自分が。
「我慢して辛いことを全部飲み込むな? 馬鹿言え……!」
 吐き捨てるように呟く。
 彼は知っている。
 梅雨入りを告げる時期、雨の日になると、ウィルフレッドが故意に強い酒を飲んで酔ったふりをするのを。
 いつもののへらとした笑みを浮かべるあの男が心の奥底に深い大きな傷痕があることを。
「……独りでなんでも抱え込んじまってんのはあんただって一緒だろ……父さん……!」
 かすれた声で言葉を吐き捨てて、クラヴィスは空に掲げた右手を強く握りしめた。



 その日はどしゃ降りの雨だった。
 一瞬言われたことが理解できなくて、呆然とウィルフレッドは目の前にいる男を見た。
 赤法師レゾ。
 自分の体術・魔術の師であり、おそらく自分が愛した最初で最後の女になるであろうシルヴィアの父親である男。
 彼女を―――シルヴィア=ルシオンを自分となんの血の繋がりもない義父の脅迫から守るためにセイルーンから逃がしてシグムーンに行かせてから、赤法師は数ヶ月に一度セイルーン・シティの自分の元に訪れていた。
 別に大事な話などあるわけでもなく、日常の何気ない会話をして帰っていくのだ。シルヴィアのこと、彼女の亭主になったアレスと言う男のこと。生まれたゼルガディスのこと―――レゾの口から紡がれる話は遠くの地で幸せに暮らす家族たちの話だった。
 もしかしたら、自分の娘を守るためにこちらの気持ちを無視して別れるように言った彼なりの償いのつもりだったのかもしれない―――娘の無事を知らせることで自分が彼女を冷たい言葉で突き放したことを後悔しない様に、と。
 だがその日は少し様子が違った。
「―――今……なん、て……?」
 地面を叩きつける雨音が響く中、かすれたウィルフレッドの声がかろうじてレゾに届いた。
 盲目の赤法師。それでも、彼がじっと視線を向けていることはわかったのだろう。彼の視線から逃れるように少しだけ顔を背けながら、レゾはそのまま先ほど彼に告げた言葉を一言一句変えずにそのまま口にした。
「シルヴィアと……アレスが亡くなりました。1週間ほど前に……」
 シルヴィアが……死んだ……
 ウィルフレッドの頭の中でその言葉だけが何度もこだまする。絶句して佇むウィルフレッドの手を取り、レゾは懐から時計を取り出して、掴んだ彼の手にそれを収めた。
 使い古した懐中時計は―――彼女の誕生日にウィルフレッドが贈ったものだった。
「……ゼルガディスは私が預かります。あなたはクラヴィスを……」
「……どうして……」
 持ち主がいなくなったのに、今も変わらず時を刻み続ける懐中時計。手の中に収まったそれを見つめるその翠色の瞳は焦点があってはいなかった。
「どうして……死ん……」
 もはや思っていることを言葉にすることなど出来やしなかった。
 頭の中は幾条も複雑に張られた思考の糸がこんがらがって、もはや何も考えることができなかった。
 シルヴィアが死んだ。
 彼女が安心して暮らせると思ったから自分の心を閉じ込めて彼女をセイルーンから出した。
 彼女が幸せになれると思ったから自分の想いに蓋をして彼女を祝福した。
 彼女が無事に暮らせると思ったから、人並みの幸せを掴めると思ったから―――
 自分は彼女を手放したのに。
「……すみません」
 ウィルフレッドの言葉にレゾが言えるのはただその一言だけだった。
 言い訳などしたくない。彼の心をもっと深く傷つけるだけだとわかっていたから。
 もはや何も口にしないウィルフレッドの肩を軽く叩いて、レゾはその場を立ち去った。
 レゾが少し離れた人込みに消えても、彼はそのまま立ち尽くしていた。
 梅雨の始まりを告げる激しい雨。
 泣き崩れる彼の声は雨の音に掻き消された。


************************************************************
ああ……結局続くんですか……ねんねこさん……(汗)


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6705にょにょお父様ーーーーー!!(マテ)時貝崎 刻弥 6/6-18:37
記事番号6703へのコメント


 こんにちはです、ねんねこ姉さん。こちらも時間が無い貝です。
 レス、ゆっくりで良いですよ♪私もレスしやすいように、短めにコメント書きます(マテ)

 今回はにょにょお父様が主役ですね〜。脱うさぎとか言っておきながら、途中でうさ耳を携帯していることを知らしめてませんか?(笑)
 何故シル母さんは亡くなってしまったのか!?気になります!(爆)
 それに、妙にシリアスなにょにょお父様の行く末が気になります〜・・・
 ゆっくりで良いので、頑張ってくださいませ!

 ではでは、短いですがこれで。

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6724あああまた新しい名前が出来てるしっっ!(笑)ねんねこ E-mail URL6/9-12:34
記事番号6705へのコメント

時貝崎 刻弥さんは No.6705「にょにょお父様ーーーーー!!(マテ)」で書きました。

> こんにちはです、ねんねこ姉さん。こちらも時間が無い貝です。
> レス、ゆっくりで良いですよ♪私もレスしやすいように、短めにコメント書きます(マテ)

……ほんっとにすみません(汗)
チャットする暇あるんだったらレスしろよってな感じですね(汗)
というわけで一日48時間は欲しいねんねこだったりします。

> 今回はにょにょお父様が主役ですね〜。脱うさぎとか言っておきながら、途中でうさ耳を携帯していることを知らしめてませんか?(笑)
> 何故シル母さんは亡くなってしまったのか!?気になります!(爆)
> それに、妙にシリアスなにょにょお父様の行く末が気になります〜・・・
> ゆっくりで良いので、頑張ってくださいませ!

さすがに梅雨が終わるまでには終わらせないと(爆)
……いえ。さっさと書かせていただきます(汗)
うさ耳携帯は彼の常識ですので、一応(笑)
というか、アレはウィルが心の傷を隠す仮面だったりするのでし。よし。こう書くと一見まともそうだぞ、親父(をひ)

それでは果てしなく暗くなりそうな予感びんびんv(汗)になりながらねんねこでした。
ああ。あんまり暗いとキックボードで殴られそーだわっっ(笑)



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6710父上・・・・・・・(泣)久遠安宿 6/7-12:30
記事番号6703へのコメント

関東地方梅雨入りになりましたね。にもかかわらずこの天気のよさはなんだよとか突っ込みいれつつ久遠です。
レスのほう、ねんねこさんのペースでかまいませんよ。

そして、お話前編ですが読ませていただきました。
お父様……(パパりん呼ぶな言われましたので・笑)悲しすぎです。母上は父上にとって大切な人だったのですねぇ……
なんだかすごく切ないです。

それでは続きのほう、楽しみにしております。

                 久遠安宿 拝


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6725投稿を しようと思って 空見れば 雨なぞ降らん 真っ青な空(泣)ねんねこ E-mail URL6/9-12:39
記事番号6710へのコメント

久遠安宿さんは No.6710「父上・・・・・・・(泣)」で書きました。

>関東地方梅雨入りになりましたね。にもかかわらずこの天気のよさはなんだよとか突っ込みいれつつ久遠です。
>レスのほう、ねんねこさんのペースでかまいませんよ。

すみませんでした(汗)
ねんねこペースでやったらかなりのろまな結果に(滝汗)
にしてもほんとに梅雨入りしたのかって突っ込みいれたい位のいいお天気ですね(苦笑)

>そして、お話前編ですが読ませていただきました。
>お父様……(パパりん呼ぶな言われましたので・笑)悲しすぎです。母上は父上にとって大切な人だったのですねぇ……
>なんだかすごく切ないです。

切なさがだんだん暗めな話に……(汗)
クラヴィス氏のほうはいろいろ書いてるんですが、こっちは書くのて殆どないのである意味新鮮かななどと思ってます。

メール有難う御座いました。
パパりんの曲、実はあの曲持ってたり(笑)全然気づきませんでした。そうか……そういう感じだなってな感じです。
でも……野猿……(爆笑)

>それでは続きのほう、楽しみにしております。

はい。何とか頑張りますので宜しく御願い致します(汗)
それではねんねこでした。



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6711涙腺ぶっ壊れ中むくぅ 6/7-13:30
記事番号6703へのコメント

 なんか前編読んだだけで涙――しかも学校で。
 このレスも学校で打っております。むくぅなのです。
 もぉ――なんていうか……ウィルとーさんに尽きますです。一生ついてきますですよ旦那ぁあ(思考回路停止中)!
 本当に色んなイミで一番我慢してる……根性があるとゆーか……
 ああ涙が止まらないっ!
 とゆーわけで短いですがレスを終わり、この気持ちを掃除にぶつけたいと思いますっ!
 

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6726あああっ!クーちゃんの胸でお泣きっ!(違っ)ねんねこ E-mail URL6/9-12:44
記事番号6711へのコメント

むくぅさんは No.6711「涙腺ぶっ壊れ中」で書きました。

> なんか前編読んだだけで涙――しかも学校で。
> このレスも学校で打っております。むくぅなのです。

学校からですか……わざわざ有難う御座います(><)
てああああ(汗)泣かないでくださいませっ!

> もぉ――なんていうか……ウィルとーさんに尽きますです。一生ついてきますですよ旦那ぁあ(思考回路停止中)!
> 本当に色んなイミで一番我慢してる……根性があるとゆーか……

ウィルパパ……いやまあ(遠い目)
普段笑っている人ほど波乱万丈な人生送ってるといいますし(言うのか?)
とりあえず相当いろんなこと抱え込んでる親父だったりするのです。現在、うさぎさんvとか言ってかなり爆笑キャラになってたりしましたが(笑)
恐らくこの話が終わるとまたうさぎ化に逆戻りっぽいですので(爆)

> ああ涙が止まらないっ!
> とゆーわけで短いですがレスを終わり、この気持ちを掃除にぶつけたいと思いますっ!

頑張ってください。さあ、モップを手にとってふよふよ飛んでる羽根うさぎにめしっと一撃☆
それをほうきとちりとりで回収して、ごみ箱に入れつつ、ねんねこでした。


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6716ねんねこさ〜ま〜vv★vv(泣)安井/あしよし E-mail 6/8-12:41
記事番号6703へのコメント

うわぁ〜ん、新しく買ったキーボードがまた壊れました〜っ!!
今度は麦茶こぼしてないのにっ、どうしてぇぇぇぇぇぇっ!?
ねんねこさまvv★vv(ちょっと変にアレンジ(爆))に
いっぱいレスしたいことあるのにぃぃぃぃぃっ!!!!!!!!
 と、いうわけでただいま学校のパソコン室でせこせこと書き込んでおります。
しくしく、今時間がなくて昼休みにしかパソコンできないのに(泣)。
 でもかろうじてインターネットは家からでもできるので、
毎日、こちらもねんねこさまvv★vv宅も見てますよv
あちらのパパりんさ話もツボった所がいっぱいというか
ちびじゃりゼル描きとしてはかなりたまりません(笑)。
ねんねこさまvv★vv(☆でも可♪)、
お宅のちっこいゼルやん☆(必須)を下さい〜(笑)。
 もし、このカキコを見ていてねんねこさまvv★vv宅に
いっていない方(いるわけなさそうですが・・・)、是非行きましょうねvvv
というか行きたくなりますよねv(催眠術)。


 ウィルフレッドぱぱさんv渋いっ!!
あまりのことにほんとにパパりんさんなんて呼べません(^^;;
しっとりとした雰囲気でねんねこさまvv★vvが梅雨にあわせて急いだのがよく分かる今回のお話でした。
 とっても名残惜しいのですがもうすでに始業チャイムが鳴ってしまいました。
また、投稿1のレスのレスも含めてカキコしに来たいと思います。
それでは〜。ホントに中途半端でごめんなさい
(まるでチャットで落ちたみたいだ(^^;;)    安井。

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6727あしよしさぁぁぁぁまぁぁぁぁぁvv☆vv(さらに対抗すな自分)ねんねこ E-mail URL6/9-12:55
記事番号6716へのコメント

安井/あしよしさんは No.6716「ねんねこさ〜ま〜vv★vv(泣)」で書きました。

> うわぁ〜ん、新しく買ったキーボードがまた壊れました〜っ!!
>今度は麦茶こぼしてないのにっ、どうしてぇぇぇぇぇぇっ!?

も、もしかしてパパりんののろいっ!?(違います)
……クーちゃんの氾濫とか……(さらに違うから)
わかった!少年ゼルやん☆の襲来。(いっぺん死んでこい自分)

>ねんねこさまvv★vv(ちょっと変にアレンジ(爆))に
>いっぱいレスしたいことあるのにぃぃぃぃぃっ!!!!!!!!
> と、いうわけでただいま学校のパソコン室でせこせこと書き込んでおります。
>しくしく、今時間がなくて昼休みにしかパソコンできないのに(泣)。
> でもかろうじてインターネットは家からでもできるので、
>毎日、こちらもねんねこさまvv★vv宅も見てますよv

有難う御座います(><)
というか、最近のんべんだらりな我が家へようこそ……(汗)
そろそろまともに更新しようよ自分……(遠い目)
私も色々のろわれてまして。どうして送れないんだメール(汗)

>あちらのパパりんさ話もツボった所がいっぱいというか
>ちびじゃりゼル描きとしてはかなりたまりません(笑)。
>ねんねこさまvv★vv(☆でも可♪)、
>お宅のちっこいゼルやん☆(必須)を下さい〜(笑)。

飼い主に許可をもらいに行きましょう。
クラヴィスくん、いいですか?
『……オレも行きたいな……あっしーのお家……』
……あっしーってあんた……(汗)
いえ。君は下心満載なので行っちゃダメでし。て、ゼルやん☆は?
『さっきゼルやん★の方が捕獲してったけど』
…………だ、そうですので、もしゼルやん★が任務に失敗していなかったら数日中にお手元に届くかと。

> もし、このカキコを見ていてねんねこさまvv★vv宅に
>いっていない方(いるわけなさそうですが・・・)、是非行きましょうねvvv
>というか行きたくなりますよねv(催眠術)。

催眠術かけるなかけるな(笑)
というか、あの話……続き……(以下思考回路停止につき続行不可能)

> ウィルフレッドぱぱさんv渋いっ!!
>あまりのことにほんとにパパりんさんなんて呼べません(^^;;
>しっとりとした雰囲気でねんねこさまvv★vvが梅雨にあわせて急いだのがよく分かる今回のお話でした。

急ぎましたとも(泣)で間に合いませんでしたとも(泣)
しかも投稿しようと思えば雨なぞふる気配まったくナッシングな青い空っ!あああ、羽根うさぎの呪いかっ!?(呪いばっかり……自分)

> とっても名残惜しいのですがもうすでに始業チャイムが鳴ってしまいました。
>また、投稿1のレスのレスも含めてカキコしに来たいと思います。
>それでは〜。ホントに中途半端でごめんなさい
>(まるでチャットで落ちたみたいだ(^^;;)    安井。

周りに浮かぶ出番を失った羽根うさぎとともに手招きしながら待ってマス。
何をとち狂ったのか、緑色一色のメールが届いたら『ああ、ねんねこさんってば本当に緑が好きなのね』と思ってあげてください。
……本当は青が好きなのに……あああ、石ッころのせいだわ(汗)というわけでねんねこでした。


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6728THE DAY OF JUDGMENT 番外編 『THE RAINY LABYRINTH(中編)』ねんねこ E-mail URL6/9-13:27
記事番号6681へのコメント

あはははははははは(滝汗)
いまさらながら致命的なミスを発見……今回問答無用でこじつけました(待て)
気づかれた方はつっこみいれてやって下さい。
それでは、何故か中編。親父どの脱うさぎ化計画をどうぞお楽しみくださいませ(ぺこり)

********************************************************************

 ウィルフレッド=ヴァレンタインにとって、シルヴィア=ルシオンという女が心の中で大きな支えになっていたことは、彼の一番近くにいた聖石≪パイシーズ≫が一番良く理解していた。
 ウィルフレッドの母親―――つまり自分の前の契約者に当たるわけだが―――が病死して自動的に契約が切れた時、彼は母親の遺言に従ってとりあえず自分と―――聖石≪パイシーズ≫と契約を結んだ。
 だがそれはあくまで“とりあえず”だった。
 契約を結んだ相手の意思などお構いなしに勝手に聞こえてくる“声”。それは一般常識から考えれば“異常”だった。自分の唯一の理解者であった母親の死と18年間毛嫌いしていた父親マードックが自分の父親ではないという事実に直面して、半ば心を閉ざしたウィルフレッドがその“異常”を受け入れられるはずもなく、聖石は彼の部屋の机の中に長い間封印された。
 ―――その封印を解くきっかけになったのが、シルヴィアとの出会いだった。
 出会ってまもなくは頑なに反発していたウィルフレッドだったが、ある事件をきっかけに彼は少しずつ心を開き、“異常”を受け入れてくれた。自分の話を聞いてくれる存在が少しでも多くいて欲しかったのかもしれない―――頼ってもらえたのは≪パイシーズ≫にとっても嬉しいことだった―――ウィルフレッドは≪パイシーズ≫を常に携帯するようになった。
 ウィルフレッドにとって、“生きる”力を与えてくれたシルヴィアは人が生きるためには必ず必要な心臓そのものだったのかもしれない。
 ―――そのシルヴィアが死んだ。
 彼の相棒が彼の“異変”に気づいたのは、屋敷に戻った時だった。



 ウィルフレッドは真っ直ぐ自室に向かった。途中、廊下でであった家政婦がずぶ濡れの彼に慌てた様子で声をかけたが、彼はそれを半ば無視した。とにかく足早に自室に向かって扉をぱたんと閉めた。
「あはは。ずいぶん濡れちゃったねぇ」
 長時間雨に濡れていたせいで水を大量に吸い込んだ服や髪からはぼたぼたと水滴が零れ落ちていた。部屋に敷かれたじゅうたんを濡れていくのを見ながらウィルフレッドは苦笑した。
 意外にもしっかりした足取りで執務机に向かうと、懐から碧色の石―――聖石≪パイシーズ≫を取り出して、机の上にちょこんとのせた。そのまま今度はタンスへ向かい、乾いたタオルを掴んで、まずは濡れた髪からごしごしと拭き始めた。
「きっとこういうのを『水も滴る良い男』って言うんだよね。僕でも流し目とかしたら色っぽく見えるかな?」
 ウィルフレッドは笑みを浮かべながら相棒を見た。
 だが、いつもなら軽口を叩く≪パイシーズ≫も、この時ばかりは何も言わなかった―――何も言えなかった、という方が正しいかもしれない。
 シルヴィアの死から立ち直ったかのように笑みを浮かべるウィルフレッドがひどく脆いガラス細工のように見えた―――あと少し力を入れれば跡形もなく砕け散ってしまうような。
 ≪パイシーズ≫が大好きだった彼の光に満ちた翠色の瞳も今は焦点が合わず、どこを見ているのかもわからなかった。光は心の闇に飲み込まれ、その瞳は例えるならば死んだ魚のようだった。
 なんの反応も返してこない相棒にウィルフレッドは頭の上にタオルをぶら下げたまま、近づいて首を傾げた。
「どうしたの? ≪パイシーズ≫?」
『……ウィル……無理するな』
「無理? してないよ?」
 虚ろな瞳のまま、きょとんとした顔をする。再び沈黙した聖石に怪訝な顔をしながらもウィルフレッドはなんとなく近くにあったカレンダーを見やった。
 カレンダーには一週間前の日付に―――レゾの話を信じるならばちょうどシルヴィアが死んだらしい日の前日に―――赤い印がつけられていた。
 2月に生まれたクラヴィスと10月に生まれたゼルガディス。シルヴィアが遠く離れてしまった息子たちクラヴィスとゼルガディスをどうにか繋ぎ止めておきたくて、2人の誕生日から数えてちょうど中間の日をゼルガディスの第二の誕生日と決めたらしいのだ。
『人ってぇのは1年に2歳も年取っちゃうんだから』
 ―――などという勝手極まりない母親の言葉をゼルガディスが本気で信じ込み、しかもあろうことかゼルガディス少年はそれを近所の子供たちに話して、散々馬鹿にされて泣いて帰ってきたという話をレゾから聞いたことがあった。
 そんな話を思い出してウィルフレッドは苦笑した。
「シルヴィア、今年もお祝いしたんだろうね」
『……ウィル』
 愛した者をなくした気持ちは≪パイシーズ≫には痛いほどよくわかった。
 ぽつりと呟いてきた相棒にウィルフレッドはなにかを思いついたように人差し指を立てた。
「ねえ、今度クラヴィスくん連れて内緒で会いに行っちゃおうか。シルヴィアびっくりするよね」
 その言葉に≪パイシーズ≫は僅かに怪訝な声をあげた。
『……ウィル? なにを言って―――』
「アレスさんにも会ってみたいし」
『なにを言ってるんだ! ウィルフレッド!?』
 珍しく怒鳴ってきた≪パイシーズ≫に思わずウィルフレッドは開きかけた口を閉じた。びっくりした様子で碧色の石を見る。
「……どうしたの? 僕、なにか悪いこと言った?」
 おずおずと言ってくるウィルフレッドに≪パイシーズ≫は静かに言った―――彼に言い聞かせるようにゆっくりと、だがはっきりと。
『ウィル……“シルヴィアとアレスはもう死んだんだぞ”?』
 その言葉に。
 一瞬ぐらりとウィルフレッドの身体が傾いた。


 ―――シルヴィア ト アレス ガ ナクナリマシタ イッシュウカンマエニ……


 頭のどこかでそんな声が響き渡る。
『ウィル!?』
「――――っ!?」
 相棒の声にウィルフレッドは机に手をかけることで倒れ込みそうになるのをなんとか堪えた。
『大丈夫か?』
 心配そうに訊ねてくる≪パイシーズ≫に顔から感情を全て消して、ウィルフレッドは呟いた。
「なに言ってるんだい……シルヴィアもアレスさんもシグムーンにいるじゃないか」
 抑揚のない声。
 呟いた彼の姿はまるでインプットされたことしかしない人形のように≪パイシーズ≫には見えた。
『ウィル……まさかお前―――!?』
 相棒の言葉を無視して、ウィルフレッドはいつもののへらとした笑みを浮かべた。
「そろそろ着替えるよ。いつまでもこの格好じゃちょっと気持ち悪いし」
『我の話を聞け、ウィルフレッド……!』
 机から離れてタンスの方に向かうウィルフレッドの頭にそんな声が響いて、彼は相棒の方に振り返った。自分の話を聞く気になったのかと安堵の息を吐いた聖石にウィルフレッドは少しだけ顔をしかめた。
「そんなにじろじろ見ないでよ。≪パイシーズ≫のえっち」
『……あのな……』
 思わずうめく≪パイシーズ≫。
 ウィルフレッドは相棒を掴むと、執務机の引き出しを開けた。
「のぞきは駄目だよ。ささ≪パイシーズ≫くん、待合室にご案内♪」
 大した物も入っていない引き出しに聖石をしまい、引き出しを閉めた。更に別の引き出しから取り出したのは―――≪パイシーズ≫をしまった引き出しの鍵だった。
 かちり。
 そんな金属音を聞いて、≪パイシーズ≫が声をあげた。
『ウィル!? なにをしたんだ!? ウィルフレッド!』
「……少しおやすみだよ、≪パイシーズ≫」
 無表情で呟いて、ウィルフレッドはそのまま鍵をごみ箱に放り投げた。



 人間には『自己防衛意識』というのが備わっている。
 自分を守るために意識をせずに危険を回避する―――本能として備わっているもの。
 ―――ウィルフレッドは。
 自分の心を守るために全ての真実の受け入れを拒絶していた―――



 相棒の代わりに懐に入れられた懐中時計。
 本来の持ち主が死んだ今でも時を刻み続けるその懐中時計は。
 ウィルフレッド=ヴァレンタインに『シルヴィアがまだ生きている』ということを信じ込ませるには十分すぎるものだった―――



 ++ THE DAY OF JUDGMENT ADDITION † THE RAINY LABYRINTH ++



「―――情けない話さ。僕は目の前に突きつけられた辛い事実から逃げたんだ」
(……なにこんなこと話してるんだか……僕は……)
 頭の中の思いとは逆に自分の口は昔話を語り続けていた。
 どしゃ降りだった雨も少しは勢いが収まったがそれでもまだ降り続けていた。
 聞いてても楽しくもない昔話を黙って聞いていたゼルガディスがゆっくりと口を開いた。
「……今日はやけに饒舌だな」
 その言葉にウィルフレッドは真っ直ぐとゼルガディスの瞳を見つめた。
 綺麗な藍蒼色の瞳。
 深海のような深い蒼色の瞳。
 そして―――
「ゼルガディスくんの瞳、綺麗だよね」
 突然言われて、当のゼルガディスは怪訝な顔で、右手で片目を覆った。
「……そうか?」
「思い出すよ。その深い蒼い色。見るのは21年ぶりだ」
 綺麗な藍蒼色の瞳。
 深海のような深い蒼色の瞳。
 そして―――シルヴィアの瞳と同じ色。
「僕にとってその色は懺悔の色さ。同時に―――」
 ウィルフレッドは目を細めた。
「大っ嫌いな色なんだよ」



 もっと自分が強かったなら。
 大切な人を守りきるだけの力があったなら。
 『現在(いま)』は変わっていたのだろうか――――



「……おれもな……」
 ぽつりと呟いてきたシモンにクラヴィスはそちらに視線を向けた。
「おれも雨が降ると思い出すんだ―――両親のこと」
 言いながら瞑目する。まぶたの裏に焼きついた光景は今でも忘れることはできなかった。
 大好きだった人との最後の別れの日。
 突然乱入してきた男と両親の言い争い。
 不意に聞こえた呪。
 物陰に隠れて様子をうかがっていた自分の前に転がってきた―――父親の頭。
 怖かった。怖くて何もできなかった―――声をあげることすらも。
 全てが終わって物陰から出て来てみれば。
 真っ赤な血の海の中に両親の身体がバラバラになって沈んでいた。
 ―――外はどしゃ降りの雨だった。
 シモンはゆっくりと目を開いた。
「……その様子はまさに地獄だった。今でも鮮明に焼きついてるんだ。思い出せばあの時の血の匂いまで思い出して吐き気がする」
「なんで……殺されたんだ?」
 ぽつりとクラヴィスが尋ねるとシモンは肩をすくめた。
「私怨さ」
 ぽつりと呟く。
「おれの叔父貴は優しい人でね。誰からも好かれていた―――もちろん、おれも叔父貴が大好きだったさ」
 少し距離はあったが、同じ街に住んでいた叔父の家へシモンはいつも遊びに行っては旅の話を聞いたり、剣や魔法の稽古をつけてもらったりしていた。
 元とは言えレティディウス公国の宮廷魔道士だったクローデル家の跡取り息子として厳しく自分を育てた父親とは違い、ごくごく一般の家に生まれた叔父は特別扱いなどせずいつも自然体で接してくれた。それが嬉しくて『叔父の息子になりたい』と本人に何度言ったか―――
「そんな叔父が旅先で一人の女を連れて帰ってきた。おれや家族の前にその女を連れてきたよ。『この人と結婚します』ってな。普通なら喜んで祝福すべきだったんだが―――おれたちは祝福できなかった。むしろ反対したさ」
 叔父の言葉に激怒する自分の両親。
 叔父の後ろで視線を背けてうつむく女。
 女をかばい、己が主張を貫き通した叔父。
「叔父貴は半ば強引に女と籍を入れた。彼が女との結婚を急いでいたのには理由があった。
 ―――女の腹の中に子供がいたんだ」
 やがて生まれた子供は男の子だった。女によく似た深い蒼色の瞳を持った男だった。
 だがその子供はどこも叔父に似ているところは無かった。
「当然さ。それこそおれたちが結婚を反対した最大の理由だったんだから。
 女の腹の中にいた子供は叔父貴の子供じゃあなかった。別の男との間に出来た子供だった。
 だが叔父貴はそれを承知の上だった。全てのことを知った上で女と結婚したんだ」
「……なあ、シモン」
 シモンの独白を遮って、クラヴィスはぽつりと呟いた。その顔はシモンの言葉から“なにか”を察したのか微かに強張っていた。
「どうしてオレにそんな話をするんだ?」
「『どうして』? はっ、もうわかってんじゃないのか? クララ―――いや。クラヴィス=ヴァレンタイン」
 クラヴィスの言葉を鼻で笑いながら、シモンは目を細めた。
 その科白に自分の察していたことが当っていると自覚して、クラヴィスはわずかに顔をしかめた。
 クラヴィスの微妙な表情の変化に気づきながらシモンは肩をすくめた。
「女も女の子供もおれたちにとっちゃあ疫病神だった」
 いつもの通り、叔父の家に遊びに行ったシモンがその日見たのは、いつもの叔父の笑顔ではなく―――血まみれで泣いていた女の子供の姿だった。
「自分と血も繋がっていない子供を守るために叔父貴は死んだ。女もな。
 だが、おれの両親は女を叔父貴と一緒の墓に入れようとはしなかった。当然さ、叔父貴を殺したも同然だったからな」
「……もういい……やめろ……」
 瞑目して、クラヴィスがうめくように言葉を吐き出す。だが、シモンはそれを無視した。
「叔父貴の葬式の日だった。今みたいな大雨の日でな。
 突然やってきた女の父親とか名乗る聖人君主がおれの家族を殺していったんだ。おれの大切な人たちを奪っていったんだっ!」
「やめろ! シモン!」
「やめねぇよ!」
 怒鳴りながらシモンは傘を投げ捨てた。
 彼の銀色の髪が雨に濡れた。近くの宿から漏れてくる微かな光に照らされて鈍く輝くその色は、まるで鋭いナイフのとがった刃のようだった。
「叔父貴の名前はアレス=グレイワーズ。
 あの惨劇の中、唯一生き残ったあんたの弟がいけしゃあしゃあと父親だと思っている男だよ」
 クラヴィスは『アレス』という名に聞き覚えがあった。母親が自分たち兄弟に残した記憶球(メモリー・オーブ)で彼女の口から出た名前だった。
「おれは絶対許さない」
 クラヴィスをまっすぐ見据えてシモンははっきりと言った。
「無関係だったアレス叔父さんを騒動に巻き込んで殺したシルヴィアとゼルガディスを。
 おれから両親を奪った赤法師レゾを。そして―――」
 両親が死んでから、彼は全ての原因を握る人間を探し出すことで地獄のような毎日を過ごしてきた。
 両親の、叔父の復讐をするために。
 シルヴィアの男であり、ゼルガディスの父親である男。
 見つけたのは住んでいたシグムーンから遠く離れた聖王都セイルーン首都セイルーン・シティ。
 世界でも有名な神官貴族ヴァレンタイン家の当主。
「あんたとゼルガディスの父親……ウィルフレッド=ヴァレンタインを……」
 自分の決意を今この男に宣言することは。
 暗殺者であるこの男にけんかを売るということと同じ。
 だが、それでもシモンはきっぱりと断言した。
「おれは死んでも許さない」


 閉店前の酒場で酒を飲んでいたあの日。
 クラヴィスに声をかけたのは偶然などでは決してない。
 憎いあの男が持つ聖石≪パイシーズ≫の気配が近づいてくるのを感じたから。
 どこかであの男が自分の息子たちと落ち合うと踏んだから。
 クラヴィスの近くにいればあの男に復讐する機会が生まれると思ったから。



 もっと自分が強かったなら。
 大切な人を守りきるだけの力があったなら。
 『現在(いま)』は変わっていたのだろうか――――



 雨が降るたび迷い込む悪夢のような雨の迷宮(レイニー・ラビリンス)。
 自らの答えを出さない限り。
 彼らは出口を見つけることは出来ない――――






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672910分ちょっと!?Σ( ̄◇ ̄;)時貝崎 刻弥 6/9-13:43
記事番号6728へのコメント


 こんにちは、マイ・スイート・ハニー、ねんねこ姉さん!(ちょっとマテ)
 ゴスペラーズの「ひとり」って良い曲ですよね〜・・・(謎)
 時貝崎でーす。なんだか、ほんの10分少々前に投稿されたばかりの気もしますが(汗)レスでーす♪


 今回は、やけに自暴自棄なにょにょお父様!
 大丈夫か!?こっちの世界に帰ってこーい!(マテ)
 それに、石っころ(をひ)も久しぶりに(爆)出てきたし♪
 青い色が嫌いだなんて贅沢な(マテ)
 しかし、シモンさん、自分の世界に浸ってますね〜(違)
 お父様は、親衛隊長である私がお守りいたしますわ♪(笑)


 さーて、次回はとうとう後編!?
 どーなる!がんばれねんねこ姉さん!!
 というわけで、応援してますわん♪

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6730ならば対抗してっ!(待てよ)ねんねこ E-mail URL6/9-13:50
記事番号6729へのコメント

時貝崎 刻弥さんは No.6729「10分ちょっと!?Σ( ̄◇ ̄;)」で書きました。

> こんにちは、マイ・スイート・ハニー、ねんねこ姉さん!(ちょっとマテ)
> ゴスペラーズの「ひとり」って良い曲ですよね〜・・・(謎)
> 時貝崎でーす。なんだか、ほんの10分少々前に投稿されたばかりの気もしますが(汗)レスでーす♪

そろそろマジ現実世界に戻らんと……授業サボってますのねんねこだったりしますでし。(待て)
ゴスペラーズ。いいですよねvvCD買いに走ろうかしら……アルバム出るし……

> 今回は、やけに自暴自棄なにょにょお父様!
> 大丈夫か!?こっちの世界に帰ってこーい!(マテ)
> それに、石っころ(をひ)も久しぶりに(爆)出てきたし♪

出てきた思ったらー親父殿に再び封印(笑)
人間、誰しも自暴自棄になりたいときはあるものなのでし(苦笑)
ただ、この親父の場合地があれだから……(汗)

> 青い色が嫌いだなんて贅沢な(マテ)
> しかし、シモンさん、自分の世界に浸ってますね〜(違)
> お父様は、親衛隊長である私がお守りいたしますわ♪(笑)

すっかり忘れきってたシモンねた(笑)
ずっと出したときから設定あったのに全然出さずにこのまま終わる気か、自分。とか突っ込みいれてました。
あああ、パパりん親衛隊長ができたわよっ!(笑)
ちなみに親衛隊長に任命されたあなたには毎晩羽根うさぎ10000飛んで32匹が送られますので覚悟してください(笑)

> さーて、次回はとうとう後編!?
> どーなる!がんばれねんねこ姉さん!!
> というわけで、応援してますわん♪

がんばろう。というか授業受けよう。
というわけで速攻レス感謝vvのねんねこでした♪


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6731うぞっっ!?(汗)久遠安宿 6/9-15:17
記事番号6728へのコメント

おお、続きだvなどと思いつつ、読んでいた久遠です。
……て、シモンくん!?何をいきなり唐突にそんな大胆宣言をっ(汗)
度肝を抜かれました(汗)そうか、あの時単に飲んでいたわけではなかったのね……ぜんぜん気づけませんでした……未熟者(汗)
ウィルフレッドさんもますます大変になられて心配です。でも今はちゃんとしているから大丈夫よね?よねよね??ううう(汗)

そういえばメール届いたようでよかったです。野猿でもあれは絶対ウィルフレッドさんの曲だと思いました。もうお勧めです。『ROSE』は。
それではでは後編を楽しみにしております。
授業、がんばってください(苦笑)
それでは。
                           久遠安宿 拝


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6749野猿ファン発見っ!!!!安井/あしよし E-mail 6/10-20:22
記事番号6731へのコメント


 久遠安宿さん、初めましてv安井/あしよしと申すものです。
嬉しくて仕方が無くてねんねこさまvのツリーなのに、
ついついレスしてしまいました(爆)。
 ふふふふ、書き殴りでまさか野猿ファンと会えるとはっ!!
二人でねんねこさまvの作品と野猿について語りませんか?

 (関係があまりない話なのですが、ゴスペラーズがお好きなようですが、
もしかしてウスペラーズも知ってませんか(ドキドキ)。)


 いきなりこんなことを書いてしまって久遠安宿さんに、ねんねこさまv
どうも失礼しました。それでは、不祥・安井/あしよしでした。

 

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6753ねんねこさまファンクラブ発足!!久遠安宿 6/11-12:33
記事番号6749へのコメント

はじめまして、安井/あしよしさま。久遠安宿(くおん・あすか)ともうします。

> ふふふふ、書き殴りでまさか野猿ファンと会えるとはっ!!
>二人でねんねこさまvの作品と野猿について語りませんか?

安井さまも野猿ファンですか!
ぜひぜひねんねこさんの話と野猿の話を語り合いましょう!!

> (関係があまりない話なのですが、ゴスペラーズがお好きなようですが、
>もしかしてウスペラーズも知ってませんか(ドキドキ)。)

ごめんなさい。そっちは知らないです。それでは。
                    久遠安宿 拝

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6755野猿の話を語りあいましょ♪ねんねこ E-mail URL6/12-18:46
記事番号6753へのコメント


>> ふふふふ、書き殴りでまさか野猿ファンと会えるとはっ!!
>>二人でねんねこさまvの作品と野猿について語りませんか?
>安井さまも野猿ファンですか!
>ぜひぜひねんねこさんの話と野猿の話を語り合いましょう!!

あいましょあいましょ語りあいましょ♪
私の話はどうでもいいので野猿について語りあいましょ♪

というわけで、あっしーに言われて初めて撤収日に気づいたファン失格のねんねこでした(待て)



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6754ほんとなのっ!(汗)ねんねこ E-mail URL6/12-18:43
記事番号6731へのコメント

久遠安宿さんは No.6731「うぞっっ!?(汗)」で書きました。

>おお、続きだvなどと思いつつ、読んでいた久遠です。

お待たせしました。
またさらに暗くなりましたが(苦笑)続きでございますでし。

>……て、シモンくん!?何をいきなり唐突にそんな大胆宣言をっ(汗)
>度肝を抜かれました(汗)そうか、あの時単に飲んでいたわけではなかったのね……ぜんぜん気づけませんでした……未熟者(汗)

……いえ、私が未熟者なのでございますでし(汗)
張り過ぎた伏線に苦労してて、それでこの様かと笑ってやって下さいませ(汗)
きっと誰も気づかなかったでしょう、この伏線じゃない伏線(笑)

>ウィルフレッドさんもますます大変になられて心配です。でも今はちゃんとしているから大丈夫よね?よねよね??ううう(汗)

別の意味で大丈夫じゃない気もしますが。(特にうさぎ化)
まあすべては親父次第ということで(逃げ)

>そういえばメール届いたようでよかったです。野猿でもあれは絶対ウィルフレッドさんの曲だと思いました。もうお勧めです。『ROSE』は。
>それではでは後編を楽しみにしております。
>授業、がんばってください(苦笑)

届きましたvvお返事少し遅れるかもです(汗)←本当にとろい……(滝汗)
野猿、実は好きだったりするのです。聞きながら寝たらクーちゃんとパパりんが『WE ARE THE YAEN』のメロディで歌ってる夢を見たり(爆)←末期症状どころじゃない
それではでは、授業頑張りますでし(汗)←今からまたあるらしい
ねんねこでした。


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6742シモンくんっ!?九条みすず 6/10-00:14
記事番号6728へのコメント

ねーさまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!
なんなんですかっ!?シモンくんがシモンくんがシモンくんがぁぁぁぁぁぁぁぁっ!←密かにファンだったのに。
いきなりクーちゃんとパパりんに喧嘩売ってるしっ!?
あああああ、どうなってしまうんですかっっ!!
気になる気になりまくりです。というわけで絶叫しまくりでしたが、この辺で。
受験勉強でひたすら眠いです……(笑)

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6756シーちょん(笑)ねんねこ E-mail URL6/12-18:48
記事番号6742へのコメント

九条みすずさんは No.6742「シモンくんっ!?」で書きました。

>ねーさまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!
>なんなんですかっ!?シモンくんがシモンくんがシモンくんがぁぁぁぁぁぁぁぁっ!←密かにファンだったのに。

密かにだったんですか?わたしてっきりオープンでファンなんだと(待て)
というわけでねんねこでし。
シモン君については一切ノーコメントでし(苦笑)
語りだすと止められない止まらないかっぱ海老せん♪なので(古いってしかも寒い)

>いきなりクーちゃんとパパりんに喧嘩売ってるしっ!?
>あああああ、どうなってしまうんですかっっ!!
>気になる気になりまくりです。というわけで絶叫しまくりでしたが、この辺で。

きっと命知らずなのでしゃう。<喧嘩売り
脱うさぎ化警報のせいで死なれたらこちらもちょっと……ねぇ(苦笑)
気になって気になって気になりまくって下さいませませ♪(待て)
受験勉強頑張って下さいな♪柱の影から応援してるだす。

>受験勉強でひたすら眠いです……(笑)

寝て下さい。なに眠いのにネットしてるんですかっっ!(汗)
寝ないと黒うさぎ突入させちゃいますよ(笑)

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6746うにょをををををををっ!?なんってしょーげきてきなしんぢぢつっ!早坂未森 E-mail URL6/10-09:24
記事番号6728へのコメント

…ここではおひさしゅうございます、みーです。
すみません。
あまりにも衝撃的な新事実に使い物にならなくなってます(爆)
立ち直るまでにはあと数時間かかるかと・…

若りし頃(若くない)パパりん…いや、ウィルさんと呼びましょうか。
すごく切なくて悲しいです…
確かに人を失うっていうのは辛いですよね…それが誰であっても。
今までいたはずの人がいないって、どこか空間に穴が開いたようで寂しいですね。
けどこの反応は・…辛いです。
シモンさん。
…うあ、なんちゅー(汗)
どうして人は傷つけ傷つけられていくんでしょうか(涙)
誰も悪くはないだろうに…と思うです(弱気)
どうなっちゃうんでしょうか…?
びくびくしながら続き待ってますです。

それでは、ポストペットお試し版、うさぎの『せふぃる』ちゃんから犬の『うぃるふれっど』に変えた未森でございました☆
短くてごめんなさい(><;;;

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6757あああああっ!なんてとっぴょーしもない真実っ!?(爆)ねんねこ E-mail URL6/12-18:49
記事番号6746へのコメント

早坂未森さんは No.6746「うにょをををををををっ!?なんってしょーげきてきなしんぢぢつっ!」で書きました。

>…ここではおひさしゅうございます、みーです。
>すみません。
>あまりにも衝撃的な新事実に使い物にならなくなってます(爆)
>立ち直るまでにはあと数時間かかるかと・…

あああああああっ、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいっっ!(平謝り)
衝撃的な事実発覚☆でし。というかなんの前触れもなくひょろりとさらりと出しましたね……自分……
というわけで、ねんねこでし。みーちゃん、誕生日おめでとうございます(遅すぎですね、ごめんなさい・汗)

>若りし頃(若くない)パパりん…いや、ウィルさんと呼びましょうか。
>すごく切なくて悲しいです…
>確かに人を失うっていうのは辛いですよね…それが誰であっても。
>今までいたはずの人がいないって、どこか空間に穴が開いたようで寂しいですね。
>けどこの反応は・…辛いです。

実は、私もこんなにひどくはなかったんですが、こんな経験がありまして。
遊びにいっている間に初代プレーリードックが息を引き取ってしまわれまして。あの時は自分を責めまくりました。どうして遊びになんていったのか、と。
人ではないんですが、やはり身近な存在が突然消えるのは辛いですよね。いつか必ずそんなことが起こるとは言え……(−−)

>シモンさん。
>…うあ、なんちゅー(汗)
>どうして人は傷つけ傷つけられていくんでしょうか(涙)
>誰も悪くはないだろうに…と思うです(弱気)
>どうなっちゃうんでしょうか…?
>びくびくしながら続き待ってますです。

それぞれの想い、それぞれの考え。いつでも相手と利害が一致することなどないですからね。
ウィルフレッドとシモン。ふたりの答えが出ることを切に願っておりまする……て他人事のようにいってどうする自分(汗)

>それでは、ポストペットお試し版、うさぎの『せふぃる』ちゃんから犬の『うぃるふれっど』に変えた未森でございました☆
>短くてごめんなさい(><;;;

レスいただき感謝感激雨嵐ですっ!(←お約束)
……て、またステキな名前を……(笑)
ああ、うちのうさぎのクーちゃんを投入させて、親子の対面とかさせちゃおうかしら♪
ではではねんねこでした♪

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6747シモンさぁぁあぁんっ!むくぅ 6/10-13:25
記事番号6728へのコメント

 今度は驚愕の新事実に頭がぐらぐらしてきました――むくぅなのです。
 ウィル父さんが現実逃避しまくって聖石さんをしまっちゃったこともさることながら、今回はシモンさんです。
 くろぉでるさぁぁぁあんっ! と、心の中で絶叫しました。しまくりましたです。なぜか苗字で呼んで。
 頭がまともに思考してないっ! やばいのです私ッ!?
 許せないこと。信じたくないこと。多々あるんですねぇ……みんな。
 ……なんだかみんないろんなこと抱えすぎッ! いっぺん吐いちゃいなさいッ!――って、今吐いてる途中かぁ……辛そうなのです。
 読んでる途中で叫びまくってました。無論、心の中でですが、口が勝手に動くのを必死に止めてた自分がむなしい……
 ふぅ……と、ゆぅわけで勝手に私も自分の思いを吐きまくりながら逃げます。
 むくぅでしたっ!

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6758クローデルさぁぁぁぁぁんっ!!ねんねこ E-mail URL6/12-18:50
記事番号6747へのコメント

むくぅさんは No.6747「シモンさぁぁあぁんっ!」で書きました。

> 今度は驚愕の新事実に頭がぐらぐらしてきました――むくぅなのです。

続きがなかなか書けなくて頭がガンガンに痛むねんねこなのです。(待て)
……頑張って書きましょう、自分(汗)

> ウィル父さんが現実逃避しまくって聖石さんをしまっちゃったこともさることながら、今回はシモンさんです。
> くろぉでるさぁぁぁあんっ! と、心の中で絶叫しました。しまくりましたです。なぜか苗字で呼んで。

ほとんどノーマークだったですからね、クローデル氏は。単なる単発キャラかと思ったらこりゃまた……あっはっはっ(滝汗)

> 頭がまともに思考してないっ! やばいのです私ッ!?
> 許せないこと。信じたくないこと。多々あるんですねぇ……みんな。
> ……なんだかみんないろんなこと抱えすぎッ! いっぺん吐いちゃいなさいッ!――って、今吐いてる途中かぁ……辛そうなのです。

やっぱりどうしても人には言えなくて抱え込んでしまうことって言うのはあるものですよね。
でもそれはそれでいいと思うんです。抱え込んでしまっていることが逆に自分を強くしていることもあるんで。
大切なのは限界を感じた時に支えてくれる『誰か』がいることなんだと思います。

> 読んでる途中で叫びまくってました。無論、心の中でですが、口が勝手に動くのを必死に止めてた自分がむなしい……
> ふぅ……と、ゆぅわけで勝手に私も自分の思いを吐きまくりながら逃げます。
> むくぅでしたっ!

私は、練習ページのあなたの作品でおもいっきし☆叫ばせていただきました(^^)
無論既に保存攻撃完了中♪(爆)
ああ……やっぱりゼルアメ人間なのね、自分……というか、この話アメリア出てきてない?(汗)などと焦りまくりのねんねこでした。
次回もよろしければお付き合い下さいませ(ぺこり)

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6750ああぁぁぁっ、しまっちゃうオジさんがっ!?(違うって)安井/あしよし E-mail 6/10-22:36
記事番号6728へのコメント

ねんねこさんは No.6728「THE DAY OF JUDGMENT 番外編 『THE RAINY LABYRINTH(中編)』」で書きました。

 ごめんなさい、皆さんがシモンお兄さんの話題をしてる中、
一人パイシーズがしまわれた事に動転してます(爆)。
レス魔(見習い)で野猿好きで大馬鹿な安井/あしよしですm(_ _)m


 せっかくですのでまずレスをばv

>> うわぁ〜ん、新しく買ったキーボードがまた壊れました〜っ!!
>も、もしかしてパパりんののろいっ!?(違います)
>……クーちゃんの氾濫とか……(さらに違うから)
>わかった!少年ゼルやん☆の襲来。(いっぺん死んでこい自分)
 
 いやぁ、パパりんさんとかクーお兄さんとか少年ゼルやん☆なら、
大歓迎なのですが…というか壊れてもいいので来て下さい(マジ)。
 しょうがないので根性で直して今はコレを書いてます。
いやぁ便利ですね、根性って(笑)。


>>ねんねこさまvv★vv(ちょっと変にアレンジ(爆))に
>>いっぱいレスしたいことあるのにぃぃぃぃぃっ!!!!!!!!
>有難う御座います(><)
>というか、最近のんべんだらりな我が家へようこそ……(汗)
>そろそろまともに更新しようよ自分……(遠い目)
>私も色々のろわれてまして。どうして送れないんだメール(汗)

 ねんねこ紗摩♪(もう笑って下さい)宅の掲示板も
学校からなら行けるんですけどねぇ…学校のパソコン欲しいなぁ。
 ねんねこ紗摩♪(♪必須)のお宅を強制的にでも更新させましょう計画
(別名:贈り物をしようvメール送っちゃおうvお邪魔しようv)は
着実に進んでおります。行事の終わる今週空けにでも実行しようかと(笑)。
なんとしてもテスト前には実行したいです。
呪いには、やっぱり呪い返しでvv
こっちの魔法防御が高いと返しやすいですヨvv


>>お宅のちっこいゼルやん☆(必須)を下さい〜(笑)。
>飼い主に許可をもらいに行きましょう。
>クラヴィスくん、いいですか?
>『……オレも行きたいな……あっしーのお家……』
>……あっしーってあんた……(汗)
>いえ。君は下心満載なので行っちゃダメでし。て、ゼルやん☆は?
>『さっきゼルやん★の方が捕獲してったけど』
>…………だ、そうですので、もしゼルやん★が任務に失敗していなかったら数日中にお手元に届くかと。

 クーお兄さんが飼い主ですか(笑)。でもクーお兄さんも来てほしいなぁ…
っていうか、自分がもし男だったらお兄さんどうするんでしょうねぇ(邪笑)。
でもぜるやん★はまだ返ってないんですよね〜。ゼルやん☆…。
捕獲命令も出した覚えがないし…も、もしやアイツがっ!?(汗)。


>催眠術かけるなかけるな(笑)
>というか、あの話……続き……(以下思考回路停止につき続行不可能)

 カンちゃんがとってもかかりやすいんですよv<催眠術
ねんねこ紗摩♪?どうかしましたか???
もしかして催眠術にっ!?ゴメンナサイ、今ときますっ(滝汗)


>しかも投稿しようと思えば雨なぞふる気配まったくナッシングな青い空っ!ああ>

 最近になってようやく雨が降りましたよね。
まぁ、あれは降りすぎというかイキナリすぎですが。
自宅の猫が雷に驚きまくってました(笑)。


>周りに浮かぶ出番を失った羽根うさぎとともに手招きしながら待ってマス。
>何をとち狂ったのか、緑色一色のメールが届いたら『ああ、ねんねこさんってば本当に緑が好きなのね』と思ってあげてください。
>……本当は青が好きなのに……あああ、石ッころのせいだわ(汗)というわけでねんねこでした。

 羽根うしゃぎさん達に手土産にビワゼリー(ぜるやん★作)でも持って会いに行きますねv
 緑一色メール待ってます(笑)。さすがだhtml(爆)。
ねんねこ紗摩♪(しつこい)は緑の他に青がお好きっとメモメモ  □〆(・・
自分も元は無彩色が好きだったのにいしっころさんのせいで緑も大好きになってしまいました。何気にすごいぞ、いしっころさんっ♪

懐かしいですがついでにコレも♪


>>幻の赤卍病院(爆)
>届きました届きました届きましたわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!
>というかなんか今ここで見せたい気分なんですけどっ!あのクラヴィスくんかっこよすぎですよぉぉ!!(><)思わず叫ばせていただきました。カラーの方はねんねこ作のいらぬ短文と共にHPにアップしましたので良かったらご確認下さいね♪

 見ました見ました見ましたわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!
あああっあんな駄目駄目な絵に素晴らしい題と短文をありがとうございますっ。
例のクーお兄さんも気に入っていただけたようで感無量でしっ!!(←あっ!?


>なんかチャットで話し倒すだけ話し倒してそのまま親に見つかり挨拶無しに消えるとかいろいろ不名誉的なことをしているんですけど……(汗)

 チャットって絶対何処かに落とし穴ありマスよね…(いつも落ちる人)
親に見つかると怒られますし…でも止められない禁断の蜜(苦笑)。
卍会おもしろそうで羨ましいですぅ。どこで地下活動なさっているのか…
ああ〜知りたい〜入りたい〜。


>>そしてゆえさんって裏番っ!?
>本人が名乗ってるので裏番でし(笑)

 そうかぁゆえさんの自称なんですねv
ゆえさんもいつかレスしたい人リスト(極秘)に入ってたり(笑)。


>ふっふっふっ。洗脳完了(待て)
>ちなみに最近は『でし』になってるでし。(癖になってるし)

 せ、洗脳されてしまったにょ(汗)
というか、『でし』と『にょ』って「デ」がついたりするあの方々???
もしくは以心伝心の能力をもつあの小さい女の子???
でもこれもしっかり洗脳されてるのでうつってるでし(笑)。


>> パイシー―――――――ズっvvvvvvvvvvv
>>このシリーズには出るのですね?というか出てますっ!!
>>はぅっ (*@@*)。
>おめでとう、石好きさん♪(笑)
>今でもあの人気投票の振り分けが忘れられません。あれは絶対ウケ狙いじゃないはずだ……(爆)

 ありがとうございます。石好きの称号を貰ってしまった(笑)。
それじゃあ全国聖石応援団でも作ったほうがいいのでしょうか??
ちなみに人気投票、あれは本気です。
15ポイント制だったならば石オールスターズ(13個)+例の物でした(爆)。
いや…今ならばあの卍会講座にも出演した石臼にも一票入れたいですvvv


>>>「にょんにょんにょんにょにょんがー♪」
>> じゃあ、「ニャンダバ――♪」
>赤チャ○ャかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!(懐かしい)
>ああああ、なんか話が通じそうですよっ、あしよしさんっ!

 びうてぃんせれいんあろ〜、じゃなくていやぁバレましたねぇ〜。赤チ○チャです。
 実はねんねこ紗摩♪がワンコであるもの(そうですよね?)がイノシシさんなんですよねぇ〜。
必然的に話題が会うはず(笑)。
 話を赤チャチ○に戻すんですが、どうしても少年ゼルやん☆を描いてるとほっぺたにナルトをつけたくなる事がシバシバ(笑)。
原作ネタですみません。でもっ、とんがり帽子とかハーモニカも持たせたいんですぅぅぅぅぅぅっ!!!!!


>>そしてパパりんさんが跳ね除けられないって…お姐様ですか(汗)
>>いや、まだまだなんだかいっぱいいそうですね(滝汗)。
>ノエちょんとかですか?(笑)
>うさぎバージョンだったら誰が相手でも負けますね(笑)
>でもやはし真打は息子でしょうが。
 ノエルお嬢さんつおいっすね(汗)。
何気に迷子のうさぎさんにも負けることが発覚してましたし…。


>>結局はなんの役にも立たない―――いや、ペーパーウエイトくらいの役には立つかもしれないが―――ただの石っころとしか見られることはなかった。
>> 穴開かなさそうですからペンダントも無理ですからね。
>問答無用であける、というてもありますが。(待て)

 穴があくどころか粉々になってましたね(汗)
頑張れっ聖なる石っぽいウィルさん専用ツッコミ装置っ!!

>>> とりあえず無言で机の一番下の引き出しから石臼―――ちなみに『パイシーズ・クラッシャー』とか言う名前が密かについているらしい―――なんぞを引っ張り出してきた人間もどきに石っころは慌てて話題を変える。
>> 新たなるねんねこさん宅の名物なモノが増えましたね♪
>あああああ、はりせん、製菓用伸ばし棒、木槌の次は石臼かっ!(笑)
>というか、この家族強暴だなー(遠い目)

 何気にゼルやん☆が1番弱いところがポイント♪
さすがもやしっ子m重いものは持てないんですねv


>ここではまともな結婚してるんでしょうかね?(笑)

 う〜ん…意外にお見合いとか?

>> クーさんVSパパりんさんっ!?
>>じゃあ、病院内対抗、大運動会の日?
>なにゆえ大運動会っ!?
>……でも否定できないのが何とも物悲しい気が……(泣)

 なんとなく年中行事かなぁ〜と。それで勝負ごトと言えば運動会。
それぞれの科対抗の無差別サドンデスとか一瞬で想像してました(笑)。
今思えばなんて危ない運動会なんだ…。


>> リナさんとアメリアさんもナースだ♪
>この二人、医者にするととんでもないこと起きそうですし(笑)

 リナさんは腕が良いけどとんでもなくふっかけそう(笑)。
アメリアなら正義の戦うお医者さん?
でもやっぱり白衣の天使の方が似合ってますvv


>クラvノエvvあなたのおかげでし(笑)

 チャ―ミークリーン♪からまさかこんなことになろうとは。


>> …ノエルさんもナースさんですか(汗)。
>>た、確か彼女あまり器用な方じゃ………はぁっ、さ、殺気がっ!!(笑)
>木槌警報発令中♪気をつけてくださいね、背後……(ウフフ)
>ごすっ☆といきます。
>大丈夫。痛いと思うのは一瞬だけなんだ・か・らvv(待て)

 木槌(汗)。いや…せめて石臼でお願いいたします。


>> 何ですか?のこぎりとかチェンソーとか??
>そっち系行きますか(笑)
>>ノエルさんは切り裂き系じゃなくて打撃系が好みだったのかっ!!
>>そういえば釘バット持ってたしなぁ…う〜ん悔しい。
>切り裂き系と打撃系に大笑いしたんですが(笑)

 ちなみに切り裂き系の代表はケイン・ブルーリバー氏と刃物マニアのお嬢さんv
なんとなく大別するとこんな感じかなぁと思ったんですが、
うけてもらって嬉しいですv
ねんねこ紗摩♪のお好みはどのようなものなのでしか??


>> 自分は漬け物派です。
>>柚子香大根がおいしいですよv
>ナスの浅漬けが好きです(笑)←問答無用で味を染み込ませる浅漬け派らしい。

 歯ごたえのあるものが好きなので胡瓜ならば浅漬けでもぬかづけでもOKですv
でもやっぱり漬け物が好きですvシバ漬けがおいしいっ☆


>>下の皆様のお家のぜるやん★の状況もかくや、
>>『赤卍病院理事長レゾの愛孫ゼルガディス=グレイワーズ』で
>>10分笑わせていただきました(笑)。ご馳走様ですv
>こう書くといい扱いうけてませんね、ゼル……(笑)
>……て、なんでそこで10分笑うんですか(笑)

 赤卍病院で1分。理事長レゾで1分。赤とレゾの兼ね合いでもう1分。
残りは全部愛孫ゼルガディス=グレイワーズで(笑)。
そういう風に紹介されちゃうゼルやん☆がツボです♪


>……ぬふふふふふふふふふふふふふふふ(怪しすぎ)
>もう思い立ったらイラストかいてください♪腕広げて待ってます(催促するな自分)
>それでは最近寝不足気味のねんねこでした。

 思い立ったらイラストを描く。
まさにそうなので描くといったものでもかなり順不同になっております(汗)。
というか皆いっかい色塗りでつまづくのですにょ…。
あんなへタレ絵でよかったら幾らでも催促して下さい。
誰のご依頼でも御待ちしているつもり(あくまでつもり)ですv
 寝不足は気をつけて下さいでし。
疲れが溜まると思わぬ事故が起きやすいです。
実際、この前徹夜空けに自転車でこけました(爆)。
ええ、そりゃあもう盛大に…本当に身体は大事にしてくださいね。

 気がついたらこんなに長く…(汗)
弟がパソコンやらせろと後でうるさい。
なにしろこのレス長いからなぁ…しかも肝心のはなしの感想書いてない…(涙)。
ねんねこさん、全部にレスしないで適当に省略して下さい、すみません。
もういいです。また来ます。絶対来ます。ごめんなさい。
なんかいつも最後は謝ってますね(苦笑)。

 それでは。不祥すぎる大馬鹿者・安井/あしよしでした。



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6759そっちなの!?ねえ、そっちなの!?(笑)ねんねこ E-mail URL6/12-18:52
記事番号6750へのコメント

安井/あしよしさんは No.6750「ああぁぁぁっ、しまっちゃうオジさんがっ!?(違うって)」で書きました。

> ごめんなさい、皆さんがシモンお兄さんの話題をしてる中、一人パイシーズがしまわれた事に動転してます(爆)。
>レス魔(見習い)で野猿好きで大馬鹿な安井/あしよしですm(_ _)m

はいっ! 野猿好きの癖に撤収日をすっかり忘れきってたねんねこでございますでしっ!(結局ハイテンション)
シモン君より石っころ。さすがです。おめでとう石好きさ――――

ごすっ!!

クラヴィス「死んだか? 死んだかっ!?」
石っころ『……いやどうでもいいが我で殴り倒すのはやめろ、息子』
クラヴィス「ああ、血がついちまった。地面に血をずぅりずり♪」
石っころ『ああああああっ! ウィルに似なくていいところだけ似やがって! つーか、それ証拠隠滅だろ!?』
クラヴィス「ンな細かいこといちいち気にしてるとハゲるぞ」
石っころ『うむ。聖石と契約者は一心同体だからな。我がはげるとウィルもはげる。おめでとうハゲ親父の息子殿』
―――し、死ぬもんか……というかなんなのあんたたちはっ!?いきなり出て来てっ!? しかも珍しいコンビだしっ!
クラヴィス「ぜるやん★とぜるやん☆が行方不明だから探しに来たんだよ。つーわけでいくぞ、石っころ」
石っころ『時に息子。ぬしの≪水瓶野郎≫はいったいどうしてるのだ?』
クラヴィス「金貨一億枚で売ってみた」
石っころ『…………………………………は?』
クラヴィス「お前は喋るからな。どれくらいで売れるかな?」
石っころ『う・る・なぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ! ああウィルっ、さっさと現実世界に戻って来てくれ(泣)』
―――というわけで聖石≪アクエリアス≫どこかで迷子中。クーちゃんと≪パイシーズ≫も馬鹿ふたりを探索中。というわけで、よわっちぃねんねこさん大復活♪

> せっかくですのでまずレスをばv

>>> うわぁ〜ん、新しく買ったキーボードがまた壊れました〜っ!!
>>も、もしかしてパパりんののろいっ!?(違います)
>>……クーちゃんの氾濫とか……(さらに違うから)
>>わかった!少年ゼルやん☆の襲来。(いっぺん死んでこい自分) 
> いやぁ、パパりんさんとかクーお兄さんとか少年ゼルやん☆なら、
>大歓迎なのですが…というか壊れてもいいので来て下さい(マジ)。
> しょうがないので根性で直して今はコレを書いてます。
>いやぁ便利ですね、根性って(笑)。

姫が出てきますよ、根性なんて言ってるとっ!(笑)
というか……根性で直したんですね。さすがあっしーv←呼び方が決定したらしい(待て)
んだば、これから親父殿とクラヴィス氏を送り込みましょう。少年ゼルやん☆はいまだ行方不明中です。きっとそのうち自分が迷子になったと気づいて泣き出すでしょうから居場所も分かるでしょう。(パソと同時にだんだん壊れていくねんねこさんの思考回路)

>>というか、最近のんべんだらりな我が家へようこそ……(汗)
> ねんねこ紗摩♪(もう笑って下さい)宅の掲示板も
>学校からなら行けるんですけどねぇ…学校のパソコン欲しいなぁ。
> ねんねこ紗摩♪(♪必須)のお宅を強制的にでも更新させましょう計画
>(別名:贈り物をしようvメール送っちゃおうvお邪魔しようv)は
>着実に進んでおります。行事の終わる今週空けにでも実行しようかと(笑)。
>なんとしてもテスト前には実行したいです。
>呪いには、やっぱり呪い返しでvv
>こっちの魔法防御が高いと返しやすいですヨvv

なんかまた漢字変換間違えちゃったvてへvvみたいな呼び方を……(爆笑)
掲示板……どこが文字化けしてます?(汗)
というか、実は我が家のメインパソもハードディスクがうさぎもどきに破壊されまして、現在ゴシックのみの稼動なんで……(汗)
更新……? はて、どんな意味だったかな?(待て)
魔法防御だなんて……!うしゃぎさんを盾にして真っ正面から受けますわっっ!(笑)
テスト前……この間中間試験があったとか聞いたのにもうそんな時期が……(遠い目)

>>>お宅のちっこいゼルやん☆(必須)を下さい〜(笑)。
>>飼い主に許可をもらいに行きましょう。クラヴィスくん、いいですか?
>>『……オレも行きたいな……あっしーのお家……』
>>……あっしーってあんた……(汗)いえ。君は下心満載なので行っちゃダメでし。て、ゼルやん☆は?
>>『さっきゼルやん★の方が捕獲してったけど』
>>…………だ、そうですので、もしゼルやん★が任務に失敗していなかったら数日中にお手元に届くかと。
> クーお兄さんが飼い主ですか(笑)。でもクーお兄さんも来てほしいなぁ…
>っていうか、自分がもし男だったらお兄さんどうするんでしょうねぇ(邪笑)。
>でもぜるやん★はまだ返ってないんですよね〜。ゼルやん☆…。
>捕獲命令も出した覚えがないし…も、もしやアイツがっ!?(汗)。

クラヴィス「ちっちっちっ、オレさまには相手が女性か野郎か判別する能力があるんだぜ♪」
―――いや。流し目で言われても……て、なんですか? その極力触りたくないものを仕方なく触っているみたいな感じでつまんでいるその泥だらけの物体は?
クラヴィス「んあ? ああ、溝にはまってたクソガキを連れて来てみた」
石っころ『なかなか芸術的なハマり方だったぞ』
―――あれ? ぜるやん★は?
クラヴィス「へ? 美人の彼女の後ついてったのを見たけど……あれってあっしーじゃなかったか?」
―――へ? ……………Σ(−o−|||)はっ!も、もしかして噂のあしよしさんによく似たオリキャラに気づかずのこのこついていってしまったのかっ!?ぜるやん★(滝汗)
石っころ『……内輪ネタ満載だなをひ……』

>>というか、あの話……続き……(以下思考回路停止につき続行不可能)
> カンちゃんがとってもかかりやすいんですよv<催眠術
>ねんねこ紗摩♪?どうかしましたか???
>もしかして催眠術にっ!?ゴメンナサイ、今ときますっ(滝汗)

―――Zzzzzzzzz(寝)
クラヴィス「寝るなって(汗)というか寝る暇あるんだったら続きかけよさっさと(汗)」
―――Zzzzzzzzz(さらに寝)
クラヴィス「……あ、カンちゃんがあそこにっ!?」
―――(がばあっっ!)どこっ!? いつあのぢごくのハワイから帰還をっっ!?
石っころ『……最後まで見れなかったのが相当悔しかったらしいな、猫』
―――あああああっ! カ・ン・ちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!(泣)あああ、三十路直前でもあなたがす・きvv
クラヴィス「……馬鹿だよ……あんた……(汗)」
石っころ『なんだ息子……いまさら気づいたのかそんな自然の摂理をっ!?』
クラヴィス「……自然の摂理……(汗)お前、後ろでねんねこが石臼抱えてるぞ……」

>>しかも投稿しようと思えば雨なぞふる気配まったくナッシングな青い空っ!
> 最近になってようやく雨が降りましたよね。まぁ、あれは降りすぎというかイキナリすぎですが。自宅の猫が雷に驚きまくってました(笑)。

……おかげで傘を買う羽目になりました。(怒30%)
買った数分後に雨やみました。(怒り50%)
家に帰宅するのに電車に乗りました。雨雲を猛スピードで追いかけてました(怒70%)
……最寄り駅でまたどしゃ降りにあいました(怒り100%)
つーわけでっ!≪パイシーズ≫石臼行き決定っ!
石っころ『なにゆえにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!?』

>>周りに浮かぶ出番を失った羽根うさぎとともに手招きしながら待ってマス。
>>何をとち狂ったのか、緑色一色のメールが届いたら『ああ、ねんねこさんってば本当に緑が好きなのね』と思ってあげてください。
>>……本当は青が好きなのに……あああ、石ッころのせいだわ(汗)というわけでねんねこでした。
> 羽根うしゃぎさん達に手土産にビワゼリー(ぜるやん★作)でも持って会いに行きますねv
> 緑一色メール待ってます(笑)。さすがだhtml(爆)。
>ねんねこ紗摩♪(しつこい)は緑の他に青がお好きっとメモメモ  □〆(・・
>自分も元は無彩色が好きだったのにいしっころさんのせいで緑も大好きになってしまいました。何気にすごいぞ、いしっころさんっ♪

石っころ『うをっ! 何気に我ってば流行の最先端っ!?(><)ををうっ!やっぱりこれからの時代は浜○ゆより我というわけだなっ!?』
クラヴィス「(無視)粉砕粉砕♪がっこんがっこんがっこんがっこん☆」
石っころ「のぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ・・……−−―――」
―――あ。綺麗な碧色の粉だ♪
わたしも無彩色が基本的には好きでし。あのdimgray<#696969>とか、lightslategray<#778899>とか辺りが特に。

>>カラーの方はねんねこ作のいらぬ短文と共にHPにアップしましたので良かったらご確認下さいね♪
> 見ました見ました見ましたわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!
>あああっあんな駄目駄目な絵に素晴らしい題と短文をありがとうございますっ。
>例のクーお兄さんも気に入っていただけたようで感無量でしっ!!(←あっ!?

さりげなく暴走気味だったのが一目瞭然ですな。お互いに(待て)本当、ゼルアメどこにいってしまわれたんでしょう(さらに待て)ついでにどこへいったのでしょう……12個の聖石たち……(一個売り飛ばされ、一個粉に変身中)
……ふっ、さらに洗脳者一名追加ぁぁぁぁぁっ!(爆)<「でし」

>>ちなみに最近は『でし』になってるでし。(癖になってるし)
> せ、洗脳されてしまったにょ(汗)
>というか、『でし』と『にょ』って「デ」がついたりするあの方々???
>もしくは以心伝心の能力をもつあの小さい女の子???
>でもこれもしっかり洗脳されてるのでうつってるでし(笑)。

クラヴィス「…………………そうだったのかっ!?」
―――いや。単なるわたしの口癖。うちはすごいぞvいきなり『ぱにょーん』とか言うと『ふんにょー』とか返ってくるからなvv
クラヴィス「お前ん家……馬鹿ばっか」
―――クーちゃんっ!その台詞を言う時はもっと無表情にぽつりと呟くようにっ!「……馬鹿ばっか」でしょっ!!
クラヴィス「……また別のところからネタ引っ張ってくるし……」

>石好きの称号を貰ってしまった(笑)。
>それじゃあ全国聖石応援団でも作ったほうがいいのでしょうか??
>ちなみに人気投票、あれは本気です。
>15ポイント制だったならば石オールスターズ(13個)+例の物でした(爆)。
>いや…今ならばあの卍会講座にも出演した石臼にも一票入れたいですvvv

やっぱり本気だったんですね……(笑)
石臼くん……さりげなくつぼに入ったみたいですねー(笑)
あれ……いったい誰が考えたんだろう……ゆえ姉さまかしら……?

>>赤チャ○ャかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!(懐かしい)
>>ああああ、なんか話が通じそうですよっ、あしよしさんっ!
> びうてぃんせれいんあろ〜、じゃなくていやぁバレましたねぇ〜。赤チ○チャです。
> 実はねんねこ紗摩♪がワンコであるもの(そうですよね?)がイノシシさんなんですよねぇ〜。
>必然的に話題が会うはず(笑)。

ああ……野猿にナデシコに赤チャチャに……なぜにこんなにあなたと話題が合うのかと思ったら……同世代だったのね(笑)
そうですわたしは犬っころなのでし。でも、友達はほとんどニワトリなんでし。

> 話を赤チャチ○に戻すんですが、どうしても少年ゼルやん☆を描いてるとほっぺたにナルトをつけたくなる事がシバシバ(笑)。
>原作ネタですみません。でもっ、とんがり帽子とかハーモニカも持たせたいんですぅぅぅぅぅぅっ!!!!!

小ネタをメールにて送らせていただきましたので(笑)
そうか……とすればやはしチャチャはアメリアですね。じゃあ犬っころとしいねちゃんはいったい誰が……(笑)さらにバズーカを抱える妹はいったい誰が……(笑)
……すみません。原作全巻持ってる上にサントラまで持ってたりします(爆)

>>うさぎバージョンだったら誰が相手でも負けますね(笑)
>>でもやはし真打は息子でしょうが。
> ノエルお嬢さんつおいっすね(汗)。
>何気に迷子のうさぎさんにも負けることが発覚してましたし…。

マジよわうさぎと呼んであげて下さい。というか……うちのノートパソコン末期かも……「マジ」が「馬路」になる……(泣)あああ、携帯以下かおのれはっっ!(泣)←窓95未だ使用中

>>> 穴開かなさそうですからペンダントも無理ですからね。
>>問答無用であける、というてもありますが。(待て)
> 穴があくどころか粉々になってましたね(汗)
>頑張れっ聖なる石っぽいウィルさん専用ツッコミ装置っ!!

―――……だ、そうだがクーちゃん石っころはどうし……うげっ!?
ウィル「がっこん♪がっこん♪がっこん♪がっこん♪」
―――な、何故に親父がここに……!?というか……なんでそんなにまた楽しそーに……(汗)
クラヴィス「とーらーれーたぁぁぁぁぁぁっ! 親父にとーらーれーたぁぁぁぁぁぁっ!!」―――いやそんな駄々こねられても……
クラヴィス「結構さりげなく楽しかったのにっ! いきなり『クラヴィスくん、まだまだ甘いにょ』とか言いながらとったぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
ぜるやん☆「……見苦しいにゃ。くー」
クラヴィス「Σ(−_−|||)く、クーちゃんショーック……こ、このオレがこんなガキごときにツッコミ入れられたっ?!」
ウィル「がっこん♪がっこん♪がっこん♪がっこん♪」

>>あああああ、はりせん、製菓用伸ばし棒、木槌の次は石臼かっ!(笑)
>>というか、この家族強暴だなー(遠い目)
> 何気にゼルやん☆が1番弱いところがポイント♪
>さすがもやしっ子m重いものは持てないんですねv

実はさりげなく親父殿必殺技など持ってたりするのですが。それの暴露はまた次の機会ということで(笑)
ウィル「がっこん♪がっこん♪がっこん♪がっこん♪」
―――うるさいよ、あんた……(汗)
石っころ『…………………………………(泣)』

>>ここではまともな結婚してるんでしょうかね?(笑)
> う〜ん…意外にお見合いとか?

お見合い……お見合い……
ウィル「がっこん♪がっこん♪がっこん♪がっこん♪」
―――うるさいってば(汗)……て、あんたどんな結婚したわけ?
ウィル「んー……うさぎ化してぱたぱた飛んでたら捕獲されたにょ」
―――に、人間離れしてるっ!?(なにをいまさら)←待て

>>なにゆえ大運動会っ!?
> なんとなく年中行事かなぁ〜と。それで勝負ごトと言えば運動会。
>それぞれの科対抗の無差別サドンデスとか一瞬で想像してました(笑)。
>今思えばなんて危ない運動会なんだ…。

『さあっ!今年も来た来たやってきたっ!赤卍病院大運動会っ!実況はなんと今回はとばっちりくわなそーな安全圏にいるっぽいゼルガディス=グレイワーズでお送りするっ!』
『……またいやに嬉しそうだな、ゼルガディス研修医』
『当たり前だっ!なんたって今回は実況中継係だからなっ!てめえにいびられることもないっ!これを幸せといわずなんというっ!?』
『……ゼルガディス研修医。実況中継というものは、時に身体を張って命を賭して行うものなんだぞ』
『………………………はい?』
『こういう時の我が医者軍団は異様に殺気立ってるからな。毎年毎年、実況中継している奴は死にかけてるのさ。まあ、頑張ってくれたまえ、ゼルガディス研修医。あっはっはっはっはっはっ♪』
―――という会話がなんとなくよぎりました。もはや末期症状でし。

>>クラvノエvvあなたのおかげでし(笑)
> チャ―ミークリーン♪からまさかこんなことになろうとは。

チャーミークリーンを使うと〜手を繋ぎたくな〜る♪
『やだよっ!こいつオレと手ぇ繋ぎたいって時は絶対ねだる時なんだもんっ!』
『いいじゃないっ!男って女の子に貢いでなんぼでしょおっ!?』
『違うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!』
……チャーミークリーンを使っても〜手は繋ぎたくな〜い♪(泣)

>>>た、確か彼女あまり器用な方じゃ………はぁっ、さ、殺気がっ!!(笑)
>>木槌警報発令中♪気をつけてくださいね、背後……(ウフフ)
>>ごすっ☆といきます。
> 木槌(汗)。いや…せめて石臼でお願いいたします。

がっこん♪がっこん♪がっこん♪がっこん♪

>ちなみに切り裂き系の代表はケイン・ブルーリバー氏と刃物マニアのお嬢さんv
>なんとなく大別するとこんな感じかなぁと思ったんですが、
>うけてもらって嬉しいですv
>ねんねこ紗摩♪のお好みはどのようなものなのでしか??

無論、打撃系。
こう……ごすっ☆て感じがいいじゃないですか。こう、ごすっ☆てな感じが(爆)
というか……伸ばし棒はゆえ姉さま発案なので省きますけど、ハリセン、木槌と来た時点で全部打撃系だし、自分(笑)

>>> 自分は漬け物派です。柚子香大根がおいしいですよv
>>ナスの浅漬けが好きです(笑)←問答無用で味を染み込ませる浅漬け派らしい。
> 歯ごたえのあるものが好きなので胡瓜ならば浅漬けでもぬかづけでもOKですv
>でもやっぱり漬け物が好きですvシバ漬けがおいしいっ☆

基本的にはこだわってないんですけどね。シバ漬け好きです。たくあんも好きです。でもキュウリとナスはやっぱり浅漬けの方が好みかも。

>>>下の皆様のお家のぜるやん★の状況もかくや、『赤卍病院理事長レゾの愛孫ゼルガディス=グレイワーズ』で10分笑わせていただきました(笑)。ご馳走様ですv
>>……て、なんでそこで10分笑うんですか(笑)
> 赤卍病院で1分。理事長レゾで1分。赤とレゾの兼ね合いでもう1分。
>残りは全部愛孫ゼルガディス=グレイワーズで(笑)。
>そういう風に紹介されちゃうゼルやん☆がツボです♪

最近本来のキャラクターを失って果てしなく暴走してるなぁって……ゼルガディス氏。
いやもともとの原因はすべてわたしにあったりなかったりですけど。一人でもうけてくれるならそれでいいです。根暗な彼は嫌いでし(笑)

>>もう思い立ったらイラストかいてください♪腕広げて待ってます(催促するな自分)
> 思い立ったらイラストを描く。
>まさにそうなので描くといったものでもかなり順不同になっております(汗)。
>というか皆いっかい色塗りでつまづくのですにょ…。
>あんなへタレ絵でよかったら幾らでも催促して下さい。
>誰のご依頼でも御待ちしているつもり(あくまでつもり)ですv

ヘタレ絵っ!?どこがっ!?
わたし、クーちゃんの絵をもらった瞬間、とりあえず地下にいたゆえ姐さんに流して、一緒に暴走してもらったんですよっ!?(をひ)
しかもチャーミークリーンなイラストでわたしにクラノエを書かせようとしたくせにっっ!(自分のせいだろそれは)
それなのにひどいわっ!ヘタレ絵なんてっっ!

> 寝不足は気をつけて下さいでし。
>疲れが溜まると思わぬ事故が起きやすいです。
>実際、この前徹夜空けに自転車でこけました(爆)。
>ええ、そりゃあもう盛大に…本当に身体は大事にしてくださいね。

徹夜明けに自転車に乗るのは止めましょう。非常に危険です。(←どうも電信柱に突っ込んだ経験があるらしい)
今日はさっさと寝るでし。でも話を書いてて気づくと『まあ、12時間後にはおやつの時間v』てな状況が多々あり……ダメダメですね、自分。

> 気がついたらこんなに長く…(汗)
>弟がパソコンやらせろと後でうるさい。
>なにしろこのレス長いからなぁ…しかも肝心のはなしの感想書いてない…(涙)。
>ねんねこさん、全部にレスしないで適当に省略して下さい、すみません。
>もういいです。また来ます。絶対来ます。ごめんなさい。
>なんかいつも最後は謝ってますね(苦笑)。

レス返しも異様に長いです。というか、クーちゃんたちどこへいってしまわれたのでしょう。いやまあいいや。アイツらがいると身体がいくつあってももたないし……

ごげしっ!!

クラヴィス「ふっ……石っころが粉になったからどうしようかと思ったぜ。余計な仕事をしてしまった」
ウィル「あああ、石臼に血がぁぁぁぁっ!?」
石っころ『(風化中)』
クラヴィス「というわけで、ねんねこはあまりの寝不足のために安らかな眠りに就いたので、本日はこの辺で♪」
ウィル「ねえねえ、これも石臼でひいちゃってもいい?いい!?」
クラヴィス「……一生あのくらい状態のままでいたいんだったらどうぞ」
ウィル「にゃは☆がっこん♪がっこん♪がっこん♪がっこん♪」
クラヴィス「うをマジでひいてやがるしぃぃぃぃぃぃぃぃっ!?」

―――数時間後、レス返し会場となったヴァレンタイン家に一台の救急車が到着し、血まみれになった人間が病院に運ばれていったという。その病院が赤卍病院だったとか、死にかけた救急患者が「フナは生じゃ食えないけれど……」などという謎の言葉を残したとか言う話は……きっとまた別の話である。

                              【完】

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6763ん〜。ほぉら、どんどんしまっちゃうよ〜♪ゆえ E-mail URL6/13-08:48
記事番号6759へのコメント

なぜか、しゃしゃり出てきている、こんにちは。しまっちゃうおば・・・・・おねーさんの、某影番ゆえです(お前がしまわれてこい)

いや、レスレス読んでたら、妙に喚ばれたような気がしたもので(←巨大勘違い)

>>>いや…今ならばあの卍会講座にも出演した石臼にも一票入れたいですvvv
>
>やっぱり本気だったんですね……(笑)
>石臼くん……さりげなくつぼに入ったみたいですねー(笑)
>あれ……いったい誰が考えたんだろう……ゆえ姉さまかしら……?

あの場に石臼を召還したのは、千歳さんです(笑)
で、それを「がっこん♪がっこん♪」と石砕きに没頭していた方に渡して、「ぐるぐるぐるぐるぐる♪」と粉砕行動に転換させたのは、どっかの編集長らしいです(待て)
某編集長曰く『編集作業中に御神託がありました。石臼回せって』だそーです。(待て)


>>まさにそうなので描くといったものでもかなり順不同になっております(汗)。
>>というか皆いっかい色塗りでつまづくのですにょ…。
>>あんなへタレ絵でよかったら幾らでも催促して下さい。
>>誰のご依頼でも御待ちしているつもり(あくまでつもり)ですv
>
>ヘタレ絵っ!?どこがっ!?
>わたし、クーちゃんの絵をもらった瞬間、とりあえず地下にいたゆえ姐さんに流して、一緒に暴走してもらったんですよっ!?(をひ)

暴走の上、絶叫付きで道連れになりました(笑)
あれから、暫くドッキドキ♪の胸きゅんっはーとで、ろまんてぃくが止まりませんでしたvvv(←意味不明で古いから、やめい。でも動悸は事実♪)
あのよーな、すんばらしい道連れでしたら、いつでも連れていかれますので♪
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ゛♪(←思い出してまた暴走したらしい)


・・・・・・で、何しにきたんよ、あんた。(汗)
と、いう突っ込みの上、羽根うさぎに箱詰めされて、火のついた棒回されながら殴られてついでに焼かれて死にそうなので(でも死体化は決定らしい)このへんで逃げます。(しかもさらに身内ネタをっ)

ばいちゃちゃっ☆

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6770しまうなぁぁぁぁぁぁぁぁっ!(泣)←石っころ心の叫びねんねこ E-mail URL6/15-14:36
記事番号6763へのコメント

ゆえさんは No.6763「ん〜。ほぉら、どんどんしまっちゃうよ〜♪」で書きました。

>なぜか、しゃしゃり出てきている、こんにちは。しまっちゃうおば・・・・・おねーさんの、某影番ゆえです(お前がしまわれてこい)
>いや、レスレス読んでたら、妙に喚ばれたような気がしたもので(←巨大勘違い)

呼びました(笑)というか、呼んでます。常に(爆)

>>>>いや…今ならばあの卍会講座にも出演した石臼にも一票入れたいですvvv
>>やっぱり本気だったんですね……(笑)
>>石臼くん……さりげなくつぼに入ったみたいですねー(笑)
>>あれ……いったい誰が考えたんだろう……ゆえ姉さまかしら……?
>あの場に石臼を召還したのは、千歳さんです(笑)
>で、それを「がっこん♪がっこん♪」と石砕きに没頭していた方に渡して、「ぐるぐるぐるぐるぐる♪」と粉砕行動に転換させたのは、どっかの編集長らしいです(待て)
>某編集長曰く『編集作業中に御神託がありました。石臼回せって』だそーです。(待て)

さらにそれを気に入って常時ねたとして使用しろとご神託を受けたのは私です。
親父には石臼渡しとけ、と(笑)

>>>まさにそうなので描くといったものでもかなり順不同になっております(汗)。
>>>というか皆いっかい色塗りでつまづくのですにょ…。
>>>あんなへタレ絵でよかったら幾らでも催促して下さい。
>>>誰のご依頼でも御待ちしているつもり(あくまでつもり)ですv
>>ヘタレ絵っ!?どこがっ!?
>>わたし、クーちゃんの絵をもらった瞬間、とりあえず地下にいたゆえ姐さんに流して、一緒に暴走してもらったんですよっ!?(をひ)
>暴走の上、絶叫付きで道連れになりました(笑)
>あれから、暫くドッキドキ♪の胸きゅんっはーとで、ろまんてぃくが止まりませんでしたvvv(←意味不明で古いから、やめい。でも動悸は事実♪)
>あのよーな、すんばらしい道連れでしたら、いつでも連れていかれますので♪
>あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ゛♪(←思い出してまた暴走したらしい)

即座にページ作って、ネット上に出した私って(笑)
いやでも絶対姉さま喜ぶと思ったんだものっ!私も凄くのた打ち回ってたし!(笑)

>・・・・・・で、何しにきたんよ、あんた。(汗)
>と、いう突っ込みの上、羽根うさぎに箱詰めされて、火のついた棒回されながら殴られてついでに焼かれて死にそうなので(でも死体化は決定らしい)このへんで逃げます。(しかもさらに身内ネタをっ)

羽根うさぎに箱詰めされるんですかっ!?
ああ、おそるべし羽根うさぎ。きっと団体で姉さまを箱詰めしてるんだわ(箱詰め決定かおい)
とりあえず、火のついた棒で回され燃やされないうちに黒うさぎ投入したいんで、よろしくvv(まだ投入する気か)

ではでは……チャット中のねんねこでした。しかも本人様と話してるぅぅぅぅ(汗)

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