◆−メランコリック・バレンタイン (ゼロス×フィリア)−toto(2/14-21:46)No.5682
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 ┣おはよーです。−いちごみかん(2/15-07:23)No.5687
 ┃┗早朝??−toto(2/17-04:26)No.5712
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5682メランコリック・バレンタイン (ゼロス×フィリア)toto 2/14-21:46

メランコリック・バレンタイン (ゼロフィリ)

『注意書き』

「読みまくれ2」は初投稿させていただきます。ふつつか者ですがお時間のある方はお付き合いくださいませ。なお、支柱がゼロス・フィリアなので気分を害する方がいらしたら申し訳ありません。なお、バレンタインと中世世界の関係は無視しております。ご了承下さい。


『本文』

今日はバレンタイン。ジラスさん達には日頃の感謝を込めて、クルミ入りのチョコレートケーキとレーズン入りのチョコレートケーキをそれぞれ焼いた。「ヴァル卵」には卵形チョコレート(復活祭風)。
フィリアは、ピンクのリボン付の揺り籠に置かれた白い卵に、チョコを入れたレースの布袋を添えかけ、急にためらう。なんて言って渡すつもり?と自問てしまった
「…ごめんなさい…かしら。」
こんなものを気軽に渡す関係じゃないのよね。フィリアは自分の浅はかさに悲しくなった。

「チョコレートですか?」
ふいに、聞き覚えのある声。フィリアは振り返らぬとも解る相手。
「卵にも恋をするのですか?女は強いですね。」
「そんなんじゃありません…ただ…」
「ただ?」
「…」
「ただ、楽しいバレンタインの雰囲気に、ややこしいこと、難しいこと忘れてしまいました?貴女はそういうとこありますからね。」
普段ならモーニングスターを振り回すところだが二の句がつけない。図星。街に溢れるチョコレート菓子、きらびやかなラッピング、色めき立つ人々の真似事。フィリアはゼロスの言葉に素直に反省、ずーんと沈み込む。自分の不謹慎さが情け無い。
「おっと…別に、チョコレートくらいでそんな深刻になる必要ないですよ。ヴァル君に対する、季節感溢れるお供えもの、断罪の徴として良いアイディアです。」
フィリアは、ゼロスの一般論的だが、やや棘があるという中途半端な言い回しに、不振顔で視線を移す。しかも、思わず質問などしてしまう。
「何故…不注意に忘れてしまうのかしら、自分のしたことを…」
「都合の悪いことを、いちいち憶えていたら疲れますからね、長い人生忘れることも大切です。」
「…神父さんみたいなこというのね。」
さすが年の功。
「一応神官ですから。」
「…」
フィリアは深く息をつく。今、生ゴミ魔族と言い合う気力はない。反省しよう。

「全ては、貴女の生まれてさえ居ない昔の話ですよ。」
ゼロスは床に置き忘れられたチョコレートを拾い上げながら呟く。フィリアはぴくっと反応して、急に口を開く。
「…私は、彼を、ヴァルガーブをを助けられなかった、私がもっと…」
もっと?もっと何か出来たなんて思えない。第一うんざりするほど結果は出てしまっている。
「貴女はどう足掻いても非力です。その上、人間以上に世間知らずで、甘えっ子ですからね。」
明らかに、こいつは喧嘩を売りに来ているらしい。
「…何がいいたいんです?」
しかし、フィリアは自己嫌悪に陥っているときだけは、たとえ生ゴミ魔族に対しても猛反撃出来ない。
 「フィリアさんは、罪を犯したと思いこんで、責任を負うと意気込んでいるけど、所詮自分の気持ちもコントロールできない子供だということです。いくら背伸びしても、ころげるだけですよ。」
フィリアはゼロスの鬼畜ぶりに半ば呆然としつつ、台所に移動する。でも、心臓はズキズキした、意地悪されていると解っても傷つく。心を落ち着かせるため紅茶を入れ、そこに蒼い花びらを散らした。

「僕にも一杯頂けますか?」
「…」
フィリアは目の前に静かに座る獣神官の手許にカップを置いた。そして、無言で紅茶を注ぐ。
「一族を滅ぼした張本人に、お茶をいれてしまうのもどうだか?」
ズシッ。
「だって、貴方がお茶を入れて欲しいといったから!ずるいわ。」
フィリアは泣きそうになって怒鳴る。そう、彼とはこんな軽口を聞くべきではない。
「僕はずるいですよ。」
ゼロスはそんな様子を素知らぬふりで、目を伏せてお茶の香りを堪能する。
「高位魔族の癖に、無意味な意地悪をしにきたのですか?」
「…ええ、貴女をからかうために、わざわざ。」
「●×△●△…」
フィリアはあまりのことに言葉を失い、怒りと理不尽さで涙ぐむ。

「ご馳走様。フィリアさん。」
ふいに、ゼロスは立ち上がると、フィリアの涙を指で拭う。
「バレンタインには、若くて可愛いお嬢さんから、負のエネルギーを頂くのが恒例なんです。今回はフィリアさんが選ばれました。感情の起伏が激しい方は扱いやすいですね。」

フィリアの怒りは頂点に達した。肩がぷるぷる震える。
「…何が恒例行事ですかあ!何の基準で選んでるんですか!!何で私なんですか!!!」
「僕の気まぐれです。光栄に思って下さいよ。」
「だれが思いますかぁぁぁっ!!」
「いいじゃないですか?これで、フィリアさんは正真正銘“バレンタイン”に参加できたんですよ。」
「魔族のバレンタインになんて参加したくありませんっ。もーっ、どっか行って下さい。頼みますから消えて下さい。」
「後始末を終わらせたら帰りますよ。」
ゼロスは、「負のエネルギー」をふつふつ発散させているフィリアに苦笑しつつ。
「じゃあ、さようなら。」
というと、彼女をいとも簡単に抱き寄せ、口付ける。
「魔族も基本的な路線は外さないんです。では、ヴァル君のチョコレート、僕が代わりに貰っておきます。」
キーッ、フィリアは一テンポ遅れて、モーニングスターを振り回したが、虚しく空を切るだけだった。

「それが、魔族のバレンタインだというのですかあ?」
フィリアは、目の前で嬉しそうにチョコレートケーキの包みを開けるジラスの言葉に目眩を感じた。
「そうですよ、姐さん。チョコレートを貰った相手を、怒らせたり、悲しませたり、時には死なない程度に痛めつけたりするんです。ただし、どんなに酷いことをしても、バレンタインが終わるまでに、泣きやませて帰るのがルールだそうです。通称“メランコリック・バレンタイン”ってね。」
「ど、どうして、そんな下らないことを??」
「さあ、人間の行事にあやかった、単なる暇つぶしじゃないですか?」
「…」
結局、ゼロスだって同じ穴のムジナなのだ。
(終わり)

『あとがき』−魔族も神族もだらだらと「不死」或いは「長寿」なので、限られた時間の中で、刹那的に人生を楽しもうとする人間のイベントに憧れたり、興味を持ったりするかなあと、いい加減な発想から書かせて頂いたものです。

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5684Re:メランコリック・バレンタイン (ゼロス×フィリア)サクラ URL2/14-22:09
記事番号5682へのコメント

どうもこんばんは、サクラです。
totoさんの新作ですね!お待ちしてました(^^)

バレンタインもの…タイムリーで素敵です。
それではさっそく感想を…。

フィリアさんそんな抜けた…っていうか、箱入りなところが可愛いですよね。
自己嫌悪に陥ってしまう所とかも。フィリアさんも年若い娘さんですから、
世間で賑わってるなんだか楽しいイベントにあこがれるのも無理無いかも…

ゼロス、相変わらず鬼畜ですー。totoさんのお話はそこも魅力なんですけれど。
ちゃんと魔族してるゼロス君でゼロフィリを書くのは難しいと思うので、
totoさんてば凄いです!ウチのゼロス君、魔族やめてるかもしれません…(汗)
しっかり負の感情味わって、お土産にチュウまでゲットするんですから、
ちゃっかりしてますよねー(笑)

totoさんのかかれるゼロフィリの関係っていうか、雰囲気いいですよね。
ラブラブは、甘々だけではない!(^^)微妙な関係が素敵です。
すっかりファンです!

実は今回のツボポイントがもう一つ、ジラスが出てるぅ!(喜)
可愛くて好きですージラス君。

それではこの辺で〜

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5691既に季節はずれに…toto 2/15-12:00
記事番号5684へのコメント


>バレンタインもの…タイムリーで素敵です。
季節はずれになってしまいました。数時間で…
>
>ゼロス、相変わらず鬼畜ですー。
こんな性質では、永遠にラブラブにたどり着けないかも…
という不安が…どうも、私のイメージではゼロスさんって、
「じーさん」なんですよね。そのせいかもしれない。
 
 ところで、サクラさんの描く「ゼロスさんフィリアさん」
私の中では視覚イメージの源泉として皓々と君臨しています。
美しいですよね。(うっとり)−楽しみに待ってます。
 あと、サクラさん文章がとても綺麗なので、
そっちも期待してます。              ではでは
    

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5687おはよーです。いちごみかん E-mail 2/15-07:23
記事番号5682へのコメント


こんにちは(題でおはよーって行ってたくせに)
いちごみかんです。

読ませていただきました☆
では感想を・・・。

フィリアさん、純真ですねー。
私にはこんな彼女は書けない。
あと、ゼロス君の本性(ヲイ)が出てて、
面白かったです。

二人のこういう面を入れてでも、
×(かける)なお話が作れるのかと思うと、
驚きました。
totoさま、いちごみかんに新たな風を有り難う(笑)

では学校に行かねばなりませんので、この辺で。

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5712早朝??toto 2/17-04:26
記事番号5687へのコメント


感想どうもありがとうございます。

>フィリアさん、純真ですねー。
 ゼロス主導でいくと、フィリアさんの性格に歪みが行くのです。困ったもんです。すっかり、「いたいけなヒロイン」に成り下がっています。実際、ゆえさんの描くような元気な勝ち気なフィリアさん好みなのですが…

>totoさま、いちごみかんに新たな風を有り難う(笑)
もったいない、お言葉恐縮しております。

>では学校に行かねばなりませんので、この辺で。
早朝パソコンって凄いですね?
                  では、お話の続き待ってまーす。

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57073日遅れですが…。葵芹香 E-mail URL2/17-00:50
記事番号5682へのコメント

こんばんわ、葵芹香です。
バレンタインだし、書き殴りさんにも小説が投稿されてるだろうなーと思いつつ、鍋パーティーに出かけていたため当日に読むことができませんでした。
訪れてみたらやっぱりtotoさんのゼロフィリバレンタイン小説がっ!

魔族のバレンタイン…どんなに酷いことをしてもバレンタインが終わるまでには泣きやませて帰る…選ばれた方も大変ですね。
フィリアさんの感情はゼロスにとって、それは美味しいものだろうからあんな意地悪ばっかり言うんでしょうけど、もし他の魔族が彼女に興味を持ったりしたら一瞬で滅ぼすでしょうね。
永久の時を過ごす魔族と、半永久の時を生きる竜族。過ごす時間が長い分だけ、その生活もどこかゆっくりとした静寂が漂っているような感じがします。刹那の時を必死になって生きる人間のイベントを楽しんでみてもいいですよね。

それでは…支離滅裂な感想になってますが、この辺で失礼します。

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5711どうも〜toto 2/17-04:19
記事番号5707へのコメント

葵芹香さんは No.5707「3日遅れですが…。」で書きました。

鍋パーティーいいですねえ。
私は一日中パソコンとともに作業中(悲)話すメンバーも一緒(悲悲)今月、来月はこの生活パターンが続きます。おかげですぐレスつけられますが…

>訪れてみたらやっぱりtotoさんのゼロフィリバレンタイン小説がっ!
何だか”ラブラブ”に程遠い結果に、バレンタインではないですねえ。

>もし他の魔族が彼女に興味を持ったりしたら一瞬で滅ぼすでしょうね。
「この展開」を上手に、美しく、可愛くまとめられるのが葵芹香さんワールドですよね。本当にいいですねえ。

>それでは…支離滅裂な感想になってますが、この辺で失礼します。
とんでもない、有り難うございます。

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