◆−BLUE HEAVEN(5)−穂波(12/14-01:45)No.5186
 ┣ふと思ったのですが。−ゆっちぃ(12/14-05:51)No.5187
 ┃┗気遣っていただきすみません〜!−穂波(12/17-02:17)No.5203
 ┣アメリアピ〜ンチ!!(><)−雫石彼方(12/14-09:58)No.5189
 ┃┗ゼル頑張れ(笑)−穂波(12/17-02:20)No.5204
 ┣BLUE HEAVEN(6)−穂波(12/17-02:23)No.5205
 ┣BLUE HEAVEN(7)−穂波(12/17-02:25)No.5206
 ┃┣素敵でした〜!!−雫石彼方(12/17-11:36)No.5208
 ┃┃┗ありがとうございます〜!−穂波(12/17-23:15)No.5215
 ┃┗ご苦労様でした〜♪−ゆっちぃ(12/17-12:26)No.5209
 ┃ ┗こちらこそ、ありがとうです!−穂波(12/17-23:24)No.5216
 ┗かぜひきの幸福−穂波(12/17-23:32)No.5217
  ┣すごく素敵です−桐生あきや(12/18-00:05)No.5219
  ┃┗ありがとうございます。−穂波(12/18-23:08)No.5222
  ┣ありがとうございますぅぅっ(感涙!)−ゆっちぃ(12/18-04:36)No.5220
  ┃┗どういたしましてです〜!−穂波(12/18-23:24)No.5223
  ┗かわいいっv−雫石彼方(12/18-06:34)No.5221
   ┗良かったです♪−穂波(12/18-23:34)No.5224


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5186BLUE HEAVEN(5)穂波 E-mail 12/14-01:45


(ガーン、頂いたコメントにレスをつける前に落ちてしまいました、最後に入れますね)
というわけで、新しいツリーで続きです。
よろしければ、お読みくださいませ。
====================================================================
「あの子、寝ながら泣いてんのよ……なのに起こすと、自分が泣いてたことに気付いてないの。涙の跡に触って不思議そうに首をかしげて……それで、朝になると笑うんだわ、『おはようございます、リナさん』て唇を動かして」
 たまらない、と吐き捨てるように言ったのは昨夜、ガウリイと三人で今後の相談をした時のリナだった。
 その心境が、今のゼルガディスには痛いほどわかった。
 声がでなくなっても、アメリアは笑っていた。
 だから、ゼルガディスは気付けなかった。昨日、カードに首を締められて、何の抵抗もしないアメリアを見るまで、気付かなかった。
 早起きだった少女の起床時間が、少しずつ遅くなっていることも。子犬のように跳ね回っていた少女が、妙にぼんやりとしていることも。
 全ては、その危険を指し示していたのに。
 アメリアの心がどれだけ危うい状態にあるのか、その事態の深刻さに、あの瞬間まで気付くことができなかった。
 カードに首を締められていたアメリアは、その横顔は、間違いなく微笑んでいたのだ。
 あの瞳は、罪に対して与えられる罰への安堵のそれだった。
 アメリアは気付いていない、おそらく意識の表層ではそんなことは思ってもいないのだろう。
 けれど、心の奥底では。
 抑圧された罪の意識は。
 おそらく、希求していたのだ、死によって全てを白紙に戻すことを。
 ゼルガディスは、一枚の紙を取り上げた。
 激情のままに書かれた文字が、そこにある。
<なんですかそれ!? わたしと盗賊の命が等価じゃないって、そんなことあるわけ無いじゃないですか!! 人間の命は、皆平等なんですよ!!>
 幼く真っ直ぐな正しい価値観。
 ひとつの命に対して、ひとつの命。
 それで贖うべきだと考えるアメリアの価値観を、だがゼルガディスは許容してやる気など無かった。
 だから、言わなければならなかった。
 残酷な言葉を選んで、少女を傷つけることを理解した上で、それでも絶対にアメリアが死ぬのを思いとどまるような台詞を。
 アメリアの優しさを利用して、死ぬことにすら罪悪感を植え付ければ、少なくとも死のうとする意識に箍くらいは嵌るだろう。
 泣きながら出て行った少女の後姿に、そう思う。
 自分の胸の痛みなど、それに比べればどうでもいいことだった。嫌われても構わない、たとえ二度とあの微笑が自分に向けられなくなっても、その程度のことなら、いくらでも耐えられる。
 静まり返った食堂、残された青年はゆっくりと椅子から立ち上がった。
 散らばった書類を集め、揃える。
 その手が、ふと止まる。
 微かに目を眇めて、頭を振るとそのままテーブルを離れようとしたゼルガディスの爪先に、何かがこつんとぶつかった。
 薄いピンク色の、持ち主を連想させるような、一本のペン。
 ゼルガディスは、躊躇ったが結局それを拾い上げた。
 わずかに残された少女のぬくもりを、てのひらで転がす。
<じゃあ……ゼルガディスさんは?>
 最後の問いかけが、泣き出しそうな文字が、テーブルの上でじっと彼を見ている。ゼルガディスは、自分自身にすら聞こえないような、ささやかな声で呟いた。
「……俺は死ぬだろうな、セイルーンの王女なんぞの為じゃなく、お前の為に」


 BLUE HEAVEN


 高く遠い青空に、うっすらと白い月が見えた。
 アメリアは一人、森の中を歩いている。
 緑の間から零れる日差しが心地よく、風が時折やわらかな息吹と共に吹き抜ける。こんな状態でさえなければ絶好の散歩日和だった。
 泣きながらめちゃくちゃに走って、無意識のうちに道を選んでいたのかもしれない。ここ数日、うたた寝するのに利用していた小高い丘へと続くいつのもルートだった。
(ゼルガディスさんのバカ、ゼルガディスさんの意地悪、ゼルガディスさんのトーヘンボク、ゼルガディスさんの……)
 思いつく限りの悪口を当てはめてみても、アメリアの心は晴れなかった。
(ゼルガディスさん……何で、あんな風に、言ったんだろう)
 アメリアの知っているゼルガディスは、歯がゆいくらい後ろ向きだったり、頭はいいのに妙に不器用だったり、時にはきついことも言うけれど、でもいつだって本当はとても優しかったのだ。今回のことも、そうだと思いたかった。自分がわからないだけで、ゼルガディスの行動の裏には、彼なりの優しさがあるのだと、そう信じたかった。
(でも、わからないです、ゼルガディスさん!)
 信じたいけれど、信じたいのに、どうしてもその理由がわからない。
 あんな酷い事を本心から言う人じゃないと、思いたいのに。あんな眼をして冷たく笑う人じゃないと、信じたいのに。
(それとも……わたしが死んだら、リナさん達に迷惑かかるって事わたしが分かってなかったから……わたしがバカだったから、呆れたのかな? もう、嫌われちゃったのかな……だから、あんなこと言ったのかな?)
 そんな風に思うのはとても悲しかったけれど、でも、それが唯一アメリアにとって理解できるゼルガディスの行動理由だった。冷たい表情は、あまりにも短絡的な自分へのある意味当然の落胆で。酷い事を言ったのも、リナたちへ迷惑をかけることを自覚しろ、という意味だったら、まだ少しはゼルガディスのしそうなことに思えた。しぶしぶ同行しているような振りをしているけれど、アメリアの知っている彼は、リナやガウリイに負けないくらい、仲間思いの優しい人だったから。
(そう、だよね……ゼルガディスさんの言ってること、間違ってないから……)
 心は、感情は、どうしても納得できないけれど。
 ゼルガディスの言葉が間違っていないことは、否定できなかった。
 リナもガウリイも、身分なんか忘れて付き合えるはじめての友達だったから。同じものを食べて、くだらないことでケンカして、すぐに仲直りして笑いあって。ずっと憧れていたそういう関係の人にやっと巡り会えたから、忘れがちだったけれど……王族という称号は、死んでも離れないものだった。
(だけど、ゼルガディスさんも……わたし、身分なんか関係なくて、大事な仲間で、友達だって……ゼルガディスさんもそう思ってくれてるって、信じてたんだけどな)
 本当は、リナよりガウリイより、ゼルガディスが一番、ありのままの自分を見ていてくれるような気がしていた。セイルーンの姫巫女じゃなくて、ただの、アメリアという少女を。
 言葉ではなく、向けられる優しい眼差しや、本気で心配してくれたときの表情、時折見せる照れたような微笑も。全てはアメリアにとって宝物で、セイルーンの姫に向けられたものだなんて、思いたくなかった。
(勘違い、だったのかな)
 ぽたり、と涙が零れた。
 びっくりして、アメリアはそれを拭う。
(あれ? また……変だな、勝手にでてくる)
 泣くつもりなど無いのに、無いはずなのに、涙が次々と溢れて止まらなくなる。
 両手でごしごしと顔をこすっていたアメリアは、自分の前に現れた影に気付くのが、遅れた。
「ミツケタ」
 どこか歪んだイントネーションは初めて耳にするもので、なのに不思議と聞き覚えのある声だった。
 顔をあげたアメリアの眼に、深すぎて黒に見える緋色の衣装を纏った男が映る。記憶よりも、何故か身長が高くがっしりしたように思えた。
 線の細い、どちらかというと女性的な顔は、化粧というには余りに乱雑な緋色の洗礼を施され猛々しい印象を与えられていた。けれど、そのこげ茶色の瞳も、所々赤く染まってはいるけれど、瞳と同じ色の髪も、昨日会ったときと同じだった。変わっていなかった。
(カード……さん?)
 唇だけの問いかけに、応えたのは振り上げられた右腕だった。


 ざん!!
 咄嗟に飛びのいたアメリアの前、空気が音を立てて揺らいだ。
 一拍おいて、アメリアの立っていた場所の枝が一斉に地面に転がる。上等のナイフで削いだような、鮮やかな切り口の枝を踏みしだき、緋色に彩られたカードが近寄ってくる。
(な……カード……さん?)
 カードが再び手刀を構える。放たれたそれを避けたはずなのに、アメリアの肩に痛みが走る。
(空気で、切れたの!?)
 あまりの速さゆえに風を巻き込んで、カマイタチのような効果が発せられたのだと、理解する、多分少し前。
 ザザザッ!
 アメリアは身を翻すと駆け出した。
 頭で考えるよりも先に、身体が動き出していた。
 本能で分かった、今のカードは、手負いの獣よりも危険だった。
(!!)
 だが次の瞬間、アメリアの視界が反転した。マントの端を掴んだカードの、凄惨な顔。そしてふわりと重力に反する身体。
 木々の間から覗く空の青が、妙に鮮やかだった。
 そして、激痛。
 受身も取れないまま地面に投げ出されたアメリアの首を捕らえたカードが、少女の身体を吊り上げる。
 息が詰まりかけたアメリアの脳裏に、ゼルガディスの冷たい瞳が過ぎる。
(ごめんなさい!)
 心中で謝りながら、アメリアはカードの顎を膝で蹴り上げた。大抵の相手なら一発で動けなくするほどの威力のあるそれに、カードはしかし何の反応も返さなかった。
(え!?)
 外したわけではない、受け止められたわけでもない、確かに決まったはずなのに、カードはアメリアの首に手を回したまま、微動だにしなかった。
 アメリアは再び足を動かした。手加減など加えている余裕は無かった、至近距離で、しっかりと入った蹴りに、カードは腕の力を緩めることすらしない。
 焦りが、急速に膨れ上がる。
 殺されるという危機感が、現実のものになった。
(ど、どうしようッ)
 無茶苦茶に手足を動かしても、カードは揺るがない。呼吸はどんどん苦しくなる。暴れれば暴れるほど、カードの腕の力は強くなるように思えた。
(だめ、なのかな?)
 暴れるアメリアの中で、諦めにも似た感情が湧く。苦いような、それでいてほっとするような、複雑な思い。
(わたし、死んじゃうのかな?)
 リナが、ガウリイが、セイルーンで待つ父親が、大好きな人たちが、悲しむ顔は見たくなかった。死んでまで迷惑なんて、かけたくなかった。けれど……。
(からだ、もう、動かない……)
 視界が、白く霞み始める。
 ぼんやりとして、全てが遠くなる。
 その中に、白い影が動いたような気がした。
====================================================================
・ゆっちいさんへ
 朝から喜んで頂けて光栄です〜。
 わたしも、ゆっちいさんの感想読ませてもらって、いつも幸せを頂いてます。
>でも拗れれば拗れるホド、後の展開が楽しみだったり………あうι
 けっこう拗れる展開は好みなのかもしれません(笑)。
 今回は、拗れるというよりすれ違いですが・・・いい加減次回では幸せになる予定ですので、よろしければ読んでやってくださいませ。
 では、感想くださり有難うございました。

・カネタケさんへ
 御久しぶりです、HP一度お邪魔したのですが、接続がいまいちでご挨拶すらできぬまま退場してしまいました・・・またお邪魔したいと思いますので、そのときはどうぞよろしくです。
 感想くださり有難うございます、嬉しいです。
>なんというか、ゼルの歪んだカンジの優しさとか
 ・・・なんて正しい私の書くゼルの表現なのでしょう(笑)。
>いや、マジで穂波さん尊敬してますよ、自分。(真剣)
いえもう、尊敬なんて勿体無さ過ぎで、なんと言ったらいいのか分からないですが(汗)、私、カネタケさんの影響も結構受けてます。(今回のタイトル中いれとか・・・)なので、こちらこそ尊敬させてくださいませ。

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5187ふと思ったのですが。ゆっちぃ E-mail 12/14-05:51
記事番号5186へのコメント


おはようございます、穂波さん♪ゆっちぃです。
あのですね、何気に思った事なのですが。
穂波さんの投稿時間、深夜帯が多いような気がするのです。
余計なお世話、ってのは分かってるんですが………ちゃんと睡眠、とられているんでしょうか?
いえあの、冬場は体調とか壊しやすいですし!大丈夫なのかなーと思って……(まじ余計なお世話だι)
すみません、余計な口出しでした(汗)

ではでは、感想いきますね〜〜

なんだかいよいよラストに近づきつつある展開に、胸躍らせつつもちょっぴしさみしいなーなどと思ってます(^^;)
カードさん、ついに奇襲攻撃に出ちゃいましたし。しかも完全に人間としての意識がないみたいで………
今回の事で一番傷ついたのって誰なんでしょう?アメリア?カードさん??
うーん……一番、とかじゃなくて皆つらい思いをしてるような気がします。

ラストではむちゃむちゃ大変な事になってますが(あぅ)、カードさんと姫のために、ゼルが間に合うことを祈るばかりですね。


ではでは、なんだかしっとりした感想レスですみませんでした(汗)

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5203気遣っていただきすみません〜!穂波 E-mail 12/17-02:17
記事番号5187へのコメント

こんばんは、ゆっちぃさん。

性懲りもなく、深夜に出没している穂波です・・・。

>いえあの、冬場は体調とか壊しやすいですし!大丈夫なのかなーと思って……(まじ余計なお世話だι)
うわあああ、ありがとうございます!
そんな時間帯まで気にしてくださるなんて・・・気を使ってくださり、ほんとすみません、でもとっても嬉しいです。(ちっとも余計なお世話ではないですよ!)
でも大丈夫です! 夜寝るのが遅いぶん、朝も遅いので(笑)今のところ元気です。
まぁ美容(笑)とかのためにも、今後はもう少し気をつけようと思いますね、ご忠告本当にありがとうです。

>今回の事で一番傷ついたのって誰なんでしょう?アメリア?カードさん??
>うーん……一番、とかじゃなくて皆つらい思いをしてるような気がします。
そうですね・・・見てるだけの人も辛いし、当事者も辛いし、うん、みなそれぞれに大変なようです。

>ではでは、なんだかしっとりした感想レスですみませんでした(汗)
いえいえ、いつも楽しみにさせて頂いてます。
本当に、有難うございました。

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5189アメリアピ〜ンチ!!(><)雫石彼方 E-mail 12/14-09:58
記事番号5186へのコメント


まさに、アメリアピンチですね!!ゼル、急げ〜!!

でも命の危険っていうのもありますけど、心の方もかなりやばいことになってますねー。結構元気そうだったから、前のレスでは「安心(^^)」とか言ってましたが、見事に騙されました(笑)単純すぎるぞ、私!!

ゆっちぃさんへのレスでは”次回は幸せになる”とのことだったので、次が最終回でしょうか?楽しみに待ってますねv

では。



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5204ゼル頑張れ(笑)穂波 E-mail 12/17-02:20
記事番号5189へのコメント

こんばんは、雫石さん。

>まさに、アメリアピンチですね!!ゼル、急げ〜!!
ええ、まさにそんな状況でした〜。

>でも命の危険っていうのもありますけど、心の方もかなりやばいことになってますねー。結構元気そうだったから、前のレスでは「安心(^^)」とか言ってましたが、見事に騙されました(笑)単純すぎるぞ、私!!

いえいえ、素直に読んでくださると多分そうなるかと・・・もう少し、そこらへんを徐々に出していきたかったんですが、力量不足でして(汗)。

>ゆっちぃさんへのレスでは”次回は幸せになる”とのことだったので、次が最終回でしょうか?楽しみに待ってますねv

ありがとうございます!
何とか書き終えましたので、よろしければお目を通してくださいませ。

では、感想くださりほんと、有難うございました。

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5205BLUE HEAVEN(6)穂波 E-mail 12/17-02:23
記事番号5186へのコメント

最終回まで後ひとつ・・・というか、エピローグを除けば、これで終了です。
====================================================================
 ひびの入ったフラスコ、幾種類ものビンが並ぶ薬品棚、埃っぽい床に机に散乱する、魔道書やメモの数々。
 見覚えのある部屋、そして見覚えのあるシーンが再現される。
 現れた少女が、何かを告げる。絶対の正義を疑うことの無い、そしてそれが自分にあることを、信じきっている揺ぎ無い声音。
(コレハ、ユメ?)
 少女の前には、ダガーを構えた男の姿。襲いくる幾つもの刃を避ける代わりに、彼女は呪文を放つ。
(!!)
 灼熱の塊が、放たれる。
 轟く爆音、そして、白。
 光が、圧倒的な光輝が、視界を白く塗りつぶす。やがて、耳が痛いほどの静寂が訪れる。
(……コレハ、ユメ)
 抗いようの無い絶望を見るために、開かれる双眸。
(クリカエサレル、タダノ、カコ)
 焼け爛れた死体、それがぐにゃりと形を変える。
(タダノ、カコ?)
 栗色の髪を持つ、大好きな女魔道士に。
(イヤ!!)
 金髪を床に散らばせた、優しい笑顔の剣士に。
(ヤメテ!!)
 そして……。
 とても大切に思っている、銀髪の魔剣士に。
(……コレハ、ユメ)
 少女の悲鳴が、魂を削がれるような絶叫が、響き渡る。
(クリカエサレル、タダノ、ユメ)
 ゆっくりと、ガラスのようにきらきらと、少女の身体が砕ける。
(メガサメタラ、ワスレテシマウ、タダノ、ユメ……)


 誰かが、名前を呼んでいた。
 強く、泣き出したくなるほど切ない声で、自分の名前を。
 そんな風に呼ばなくても、答えるから、大丈夫だから、そう思って……。
「アメリア!!」
 碧の、瞳。
 最初に見たのは、それだった。
 それから、薄い青の肌と、まぶしいような銀色の髪。
「気付いたのか、良かった……」
 やわらかな眼差し、どこか懐かしいそれが、わけもなく嬉しかった。
(ゼルガディスさんだ……)
 手を伸ばして触れようとして……指先が、宙に浮いたまま、止まる。
(何で、ゼルガディスさんが……? わたし!?)
 慌てて記憶を手繰り寄せる、おかしくなっているカードと対峙し、首を締められたところまでは、確かに覚えている。けれど、その後のことが、まるで思い出せない。
「どこか痛むか?」
 ゼルガディスの声に、反射的に首を振る。
 今のゼルガディスは、まるでいつものゼルガディスで、さっきケンカをしたときの冷たい印象は微塵も無い。
「ここはまだ危険だ、そろそろ行くぞ」
 身を起こそうとしたアメリアの前に、躊躇いがちに手が差し出される。それに掴まるのはたやすかったけれど、アメリアはその前にどうしても聞きたいことがあった。
(ゼルガディスさん、どうしてここに来てくれたんだろう?)
 あんなに完璧に突き放したのに、どうしてここに、今アメリアの前にいるのか、それが知りたかった。そして、目覚める直前に聞いた、胸が締め付けられるようなあの声の主が本当にゼルガディスなのか、確かめたかった。
 しかし、手を取らないことを誤解したのか、ゼルガディスは自嘲するように唇の端をゆがめて、手を引っ込めてしまった。
 すっと彼の表情が、静かなものになる。
(あ、あれ?)
 アメリアの困惑をよそに、ゼルガディスはすらりと剣を抜き放った。
「チッ、もう気付かれたか!」
 彼の言葉に重なるように、アメリアもその音を耳にした。
 風にも似た、だが風とは異なりごく限られた木々を揺らし葉を散らせる音が、連鎖的に続いている。そしてその連鎖の先は、こちらに向かってきていた。
「アメリア……」
 背を向けたゼルガディスが、ポツリと告げる。
「お前は、下がっていろ」
(な、どうしてですか!?)
 声にならない叫びを感じ取ったのか、ゼルガディスが一瞬だけ振り返る。その瞳は、冷たいようにも、辛そうにも、見えた。
「今の奴には、殺す気でかからない限り、体術は通用しない。カードは、既に人間の枠を超えている」


「リミテショウブレイク?」
 オウム返し、というには少々ピントのずれたガウリイの台詞を聞きながら、リナは眼下に広がる村の景色をチェックしていた。アメリアの姿、カードの姿、そのどちらも今のところ見つかっていない。
「なんだそれ?」
 問いかけながらも、やはり景色を注視しているガウリイを確認し、リナは昨日読み終えたばかりの論文の中身を思い出す。翔封界の速度を緩めないよう気をつけながら、彼女は口を開いた。
「リミティション・ブレイク。こないだの廃墟に残ってた文献に書いてあった言葉よ。どうやらその為の研究が、あそこでは行われていたらしいわ」
 廃墟に残っていた文献、廃墟にいたカード、そして見つからなかった研究の成果。どうして読んだときに、カードのことを思いつかなかったのか、それが悔しかった。
「だから、なんなんだ、そのリミテ……なんとかって?」
 もはや正式な名称を教える事はあきらめ、リナは簡単に内容の説明をすることにした。
「元々はキメラ化とかに頼らずに、人間の持つ力を限界まで引き出す研究だったらしいけど、それがどこをどう間違ったのか、魔力を体内で別の物質に変換し、魔力さえ持ってりゃトロル並の体力や鋼のような腕力、ついでに耐久力まで持てるようになるって魔法薬ができちゃったらしいのよ。ま、人間の限界まではある意味引き出せたんだろーけど。でも、結局は失敗だったんだけどね」
「えーと、よーするに魔力があれば体力とか腕力もつくってことか? でも何でそれが失敗だったんだ? 強くなるって意味では、成功しているような気がするんだが……」
「肉体的には強くなれるのよ、確かに。けど、のーみそまでゴブリン並になって、挙句の果てに魔力が切れると同時に全ての負荷が、元の自分の体にかかるのよね」
「すると、どーなるんだ?」
 ちったあ自分で考えろ、と器用に片手でガウリイを掴んだまま、リナは彼の頭にハリセンを振り下ろす。
「どうもこうも無いわよ、ナイフで切られて、それに気付かないまま動いているようなものなんだから、当然気がつけば死ぬほど痛いし、その怪我が致死レベルのものであれば、即座に死ぬわ。そんなアブナイ薬、自分で使うのは論外だし、兵士なんかに使ったとしても、判断能力を失って同士討ちするのが関の山、つまり使い道が全然なかったのよ。だから、この研究は失敗だったの」
 そう、研究は失敗だった。そのことまで、文献には記されていた。けれど、確かに魔法薬は出来ていたのだ。
「その失敗作を、多分カードは使ったのよ、自分自身に」
 血溜まりの床、浮かぶ肉片、強烈な臭気、先ほどの光景がそれを裏付けている。
「そして、奴の狙いはおそらくアメリア……知能が低下しても、記憶まで消えるわけじゃない。カードはアメリアを殺すために、多分薬を飲んだんだろうから、その目的を果たすために動くはずよ。でも、アメリアはそんなこと知らない。ゼルに文献は渡したけど、そこまで読んでいるかどうかは、分からないし、何よりカードの事は知らないはずだわ」
 なんとしても、カードがアメリアを見つけるより先に、彼を捉えるか、アメリアを保護しなければならない。けれどアメリアもカードもまだ、捕捉出来ていない。霞みのように足取りを消したカードと、宿にいなかったアメリア。二人が既に接触している可能性も、充分にあるのだと、リナにはわかっていた。焦っても無駄だと知っているけれど、じわりと浮かぶ御し難い感情がある。
 強張るリナの手を、不意にガウリイがぎゅっと握った。
「大丈夫だ、きっとアメリアは、オレが見つけてやるから。それにゼルだってついているんだろ? 大丈夫に決まっている」
 日だまりのように暖かな瞳で、ガウリイが、リナの保護者が力強く言い切った。
 その言葉に微笑しかけたリナの耳が、異音を捉える。ガウリイもまた、表情を引き締めていた。
「リナ、あっちだ!」
「わかってる!」
 村はずれの森の一角、時々アメリアが訪れていたその場所から、煙が立ち上っていた。


 カードとゼルガディスの攻防は、一進一退、と言った感じで膠着状態に陥っていた。魔法を唱える隙を与えないカードの素早い攻撃と、それをかわしながら剣を振るうゼルガディス。
 どちらか一方が隙を見せれば、簡単に崩れそうな均衡を、だが両者は譲らず保ちつづけている。
(ゼルガディスさん、カードさん……!)
 アメリアは唇を噛んで、二人の動きを見ていた。
 動きたいけれど、動けない。今の自分がゼルガディスの足手まといにこそなれ、力になれないことは自覚していた。
(魔法が、使えたら、少しは役に立てるのに)
 カードの相手をすべきは、本来なら自分だったはずだ。
 先ほどから声を出そうと何度か試みているけれど、一向に何の成果も上がらない。突然失った声を、今ほど取り戻したいと思ったことはなかった。
 ガ、キン!!
 突如あがった甲高い金属音、アメリアの瞳に刃が半分折れた長剣を構えたゼルガディス、そしてその残り半分を血塗れの手で掴んでいるカードが見える。得物を折られたゼルガディスと、武器を得たカード。
 均衡が、わずかにかしぐ。
 折れた刃をダガーのように構え、カードがそれを投げる。
(え!?)
 その刃は、ゼルガディスではなく、正確にその背後のアメリアに向かって、向かっていた。
 自分に向けて、飛び来る刃。
 それはまるで、過去の、夢の、再現のように思えた。
 避けられないスピードではなかった。けれど、アメリアの足は動かなかった。根が生えたように動けないままのアメリアの肩をかすめ、折れた刃が大地に突き立つ。
「アメリア!?」
 ゼルガディスの動揺した声。
 均衡が、崩れる。
 鈍い音が、響く。
 アメリアのほうを振り返ったゼルガディスの顔が、一瞬歪む。その理由までも、見えた。
 赤く染まった拳が、再び振り下ろされる。
 地面に、ゆっくりと倒れるゼルガディスの身体。なおも彼を打つ、カードの姿。
 アメリアの身体に、戦慄が走った。
(ッ!!)
 湧き上がった怒りが金縛りを解く。
 感情そのままに、アメリアは力ある言葉を紡ごうとし……しかし、彼女の口からは何の音もでてこなかった。
「…………!!」
 声は、でてこない。
 今、必要なのに。
 喉が痛くなるほど叫んでいるつもりなのに、何の音も、でてきてくれない。
 涙はこんなに簡単に、溢れてくるのに。
 アメリアは涙を拭って、ゼルガディスに駆け寄った。
 体術が通用しようがしまいが、関係なかった。カードの注意を引ければ、それだけでいい。
 ガキィッ!!
 スピード、体重、ともに充分に乗った飛び蹴りに、カードが不快そうに顔をあげる。アメリアの姿を認めた彼は、わずかに愉悦の色を浮かべた。
 正拳突き、身体を反らしての回し蹴り、首筋に叩き込む手刀、全てをかわそうともせず、カードがにやりと笑う。
 伸びた腕が、掌底突きを放とうとしたアメリアの手首を捉える。
 ギリッ。
 腕をねじりあげられ、アメリアの表情が歪む。
(ったくない、痛くないったら痛くない!!)
 自分に言い聞かせ、暴れてカードの指を引きはがそうとする。それに苛立ったのか、カードは容赦の無い勢いで拳を振るった。
 アメリアの口中に、血の味が充満する。
 唇の端から伝ったそれが、地面にパタパタと赤い模様を描いた。
 頭の中までぐらぐらするような、重い一撃だった。
 意識の遠のきかけたアメリアを、カードが地面に叩きつける。衝撃にわずかに遅れ、激痛が突きあげる。
 アメリアの苦悶する様子に満足したのか、口元をほころばせながらカードは少女に近づこうとし、眉をしかめた。
「ナンダ?」
 彼の足を、倒れていたゼルガディスが両手で掴んでいる。
「それ以上は、俺が許さん」
 言い切ったゼルガディスを、不機嫌な顔をしたカードが踏みつける。
(ゼル、ガディス、さん!!)
 止めようと思った、けれどアメリアの身体は、叩きつけられた衝撃でろくに動かない。涙だけがぼろぼろと頬を伝って地面にしみを作る。
 その様子を目に留めたのか、ゼルガディスが途切れがちな声で叫ぶ。
「泣くな……アメリア、よく聞け。カードは、お前が魔法で止めるんだ! 
こいつは俺が止めているから、集中してやってみろ」
(無理です、さっきもさんざん試したけど、ダメだったんです! それよりそこをどいて下さい!! ゼルガディスさんだけでも、逃げて!)
 アメリアの言いたい事は、わかっているはずなのに、ゼルガディスは動こうとしない。いくら人より硬い身体を持っていても、カードの攻撃が辛くないはずは、無いのに。
「声は、でるんだ。お前が封じているだけだ、自分を……信じろ。お前は正義の味方なんだろ?」
 殴られる衝撃に声を途切れさせながら、ゼルガディスが小さく笑う。
「自分が信じられないなら……今だけでいい……俺を、信じろ」
 優しくて、強くて、暖かくて、もっと泣きたくなってしまうような、そんな笑顔。
「お前がミスしても、俺が助けてやる。いつだってフォローしてやるよ。約束する……だから、お前は何も心配しなくていいんだ」
 心の奥の、知らないうちに刺さっていた棘が、その言葉で緩やかに溶けるのをアメリアは感じた。
 人を殺したことは、怖かった。
 それは、確かな罪の記憶で。
 けれど、同じくらい怖かったのは、自分のミスで、大切な人を失ってしまうかもしれない可能性に気付いたことだった。
 いつも一番傍にいてくれる人を、自らの呪文で失ってしまったら?
 その恐怖が、いつの間にか心に根を張りどんどん成長していたのだと、今気付いた。
(……だいじょうぶ、ゼルガディスさんは約束、守ってくれるもの)
 唇が、自然に言葉を紡ぎだしていた。
 まるで息をするように、それはとても簡単なことだった。
 絢爛と輝く炎の球は狙いを違わず、カードの真横で炸裂し、彼を大きくよろめかせた。
(まだ、これだけじゃ!)
 次の呪文を詠唱しようとしたアメリアの耳が、ふとよく知っている誰かの声を捉える。
「フリーズ・アロー!!」
 カードの足が、地面に凍りつく。
 ふわりと舞うように、空から降りてきたのはガウリイを連れたリナだった。
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では、よろしければ続けてエピローグへどうぞ。

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5206BLUE HEAVEN(7)穂波 E-mail 12/17-02:25
記事番号5186へのコメント

エピローグです、短いです(笑)
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 空は、透明な青から、鮮やかな茜にその色を変えようとしていた。
 村で一番高い場所、教会の屋根の上で一人膝を抱えた少女が空を見上げていた。そして、それを地上でゼルガディスは見上げる。
 今日は、葬式だった。
 盗賊たちと、そして、カードの。
 薬の効果が切れたカードは、何も言わずに息を引き取った。彼の身体は、受けた傷よりも元の身体では到底為せないような、攻撃を行った結果、回復不可能な状態にあった。
 無言の死を、アメリアは涙をこぼしながら、それでも目をそらさずに最後まで看取った。
 今は、一人にしてやるべきかもしれない。
 そう思い、踵を返そうとしたゼルガディスの耳に、彼の名を呼ぶ声が入ってくる。
「ゼルガディスさん! どーしたんですか!?」
 ぶんぶんと手を振るアメリアに、ゼルガディスは諦めたように苦笑して、浮遊の呪文を紡いだ。
 少女の隣に降り立つと、紅玉を溶かしたような落日が、景色を赤みを帯びた黄金に彩っているのが見える。絵のようなそれを背景に、アメリアが小首をかしげる。
「一人でたってるの見えたから。どーしたのかなって思ったんですけど……何かありました?」
 何かあったのは、お前の方だろう、と言いそうになって、ゼルガディスはぎりぎりのところで自制した。代わりに、一本のペンを取り出しアメリアの手の上に載せる。
「あのときの忘れ物だ……少し、遅くなったがな」
 もう、少女の日常に必要ないもの。
 薄いピンクのそれを握り、アメリアは花がほころぶように微笑する。
「ありがとうございます! これ、気に入ってたからとっても嬉しいです!」
「すぐに渡そうと思って持ち歩いてたんだが、まぁ……その、色々あったからな」
「……そうですね」
 やや間をおいて、アメリアがゼルガディスの肩に、頭を預ける。ふわりと香る少女の匂いに、ゼルガディスが瞠目する。
「ゼルガディスさん、本当にありがとうございます」
「……何の話だ? ペンのことなら礼はもういいぞ」
「ゼルガディスさん、わたしのこと助けてくれましたよね? そのお礼です」
「助けた? カードのことなら……あれは、お前自身と、リナの力だろ」
「そんなことないですよ、ゼルガディスさんが励ましてくれなかったら、わたしきっと何も出来なかったです。それに、あのときだけじゃなくて、ゼルガディスさんずっとわたしのこと、励ましてくれてたんですよね」
 沈黙したゼルガディスに、アメリアがクスクスと笑う。
 風がやわらかく頬をなで、夕日が眼に染み入るように美しい。
「ところでお前、何を見ていたんだ? さっき、空見上げてただろう」
 話題を変えようと試みるゼルガディスに、アメリアは素直に応じた。
「あ、天国が見えないかな−って」
「天国?」
「はい、母さんが死んだときに、父さんが教えてくれたんです。青い空の向こうには天国があって、そこから母さんが見守ってくれてるって」
「…………」
「巫女としてはこういう考えは良くないんでしょうけど、でも、そう思っていると、何となく元気になれるから。今日はカードさんのお葬式だったし、カードさんもそこにいるかな、って思ったんです」
「そうか」
「……はい」
 ゼルガディスはそっとアメリアの頭に手を置いた。ゆっくりと何度もなでていると、アメリアが静かに目を閉じた。瞼のふちから零れる涙を拭いもせずに、小さく呟く。
「いつか、青い空をこんな風にゼルガディスさんと、見上げたいです。いいですか?」
「……ああ」
 華奢な肩を抱き寄せながら、ゼルガディスは囁いた。
「いつか、青空の向こうの天国を、一緒に探してやるよ」

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これにて、終了です。
ここまで読んでくださった方、本当に有難うございました。

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5208素敵でした〜!!雫石彼方 E-mail 12/17-11:36
記事番号5206へのコメント

完結、おめでとうございます!

素敵でしたよ〜!!ゼルの「俺を信じろ」ってセリフに、くらくらきちゃいました(^^)アメリアにとって、ゼルは絶対的信頼を置ける人ですもんね。「信じろ」言われたら無条件で信じちゃいますよ、やっぱり(笑)そしてゼルがかっこいいったらもう!!いつだってアメリアのことを一番に考えて、気遣って、愛しちゃってるんですね〜v

最後はちょっぴり切ないけど、とっても爽やかでじ〜んとしました!

穂波さんの書かれるゼルアメ、すっごく素敵で尊敬しちゃいますvまた穂波さんのお話を拝見できるのを楽しみにしてますねv

ではでは。


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5215ありがとうございます〜!穂波 E-mail 12/17-23:15
記事番号5208へのコメント

こんばんは、雫石さん。

>完結、おめでとうございます!
ありがとうございます!
最初の予定の倍の量になりましたが(笑)、とりあえず終わりました。


>素敵でしたよ〜!!ゼルの「俺を信じろ」ってセリフに、くらくらきちゃいました(^^)アメリアにとって、ゼルは絶対的信頼を置ける人ですもんね。「信じろ」言われたら無条件で信じちゃいますよ、やっぱり(笑)そしてゼルがかっこいいったらもう!!いつだってアメリアのことを一番に考えて、気遣って、愛しちゃってるんですね〜v

そうです、愛しちゃっているのです(笑)! 
方法がいまいちストレートじゃないですが(いや、見方を変えればわかりやすい正確なんでしょうけれど)、アメリアのことを溺愛しているのが伝わったようで、嬉しいです。姫にとって、ゼルが特別っていうのも読み取っていただけているようですし。それにゼルをかっこいいとまでいってもらえて、もう・・・。

>最後はちょっぴり切ないけど、とっても爽やかでじ〜んとしました!
何だか切ない話になってしまいましたが、そう言っていただけると嬉しいです。

>穂波さんの書かれるゼルアメ、すっごく素敵で尊敬しちゃいますvまた穂波さんのお話を拝見できるのを楽しみにしてますねv
どうもありがとうございます。
わたしも雫石さんの書かれる、らぶらぶな二人を楽しみにしております。

では、感想くださり、本当に有難うございました。


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5209ご苦労様でした〜♪ゆっちぃ E-mail URL12/17-12:26
記事番号5206へのコメント


穂波さんおはようございます、ゆっちぃです☆
起き抜けに何気に覗いてみたら『BLUE HEAVEN』が投稿されてて、一気に目が覚めましたv
寝起きがものすごっっく悪い私には一番効果的な目覚ましでした♪(って、あんた何時に起きたんかい!)←自己ツッコミ(笑)

それでは、感想レス行きます。

カードさんとの戦闘のさなか、やっぱり姫を助けに来たのはゼルでしたねv
不器用ながらも、彼なりの優しさと想いの深さに感動しました。
『BLUE HEAVEN』では最初から最後までずっとゼルに感動しっぱなしだったような気がします。
もちろん、健気で真っ直ぐなアメリアも。
穂波さんの書かれるゼル&アメリア、やっぱり素敵です。

機会があればまた何処かで穂波さんのお話みたいです♪

ではでは、素敵なお話読ませて頂きありがとうございました(ぺこり)


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5216こちらこそ、ありがとうです!穂波 E-mail 12/17-23:24
記事番号5209へのコメント

こんばんは、ゆっちぃさん。

>寝起きがものすごっっく悪い私には一番効果的な目覚ましでした♪(って、あんた何時に起きたんかい!)←自己ツッコミ(笑)
いつも早おきなゆっちいさんには珍しいですね〜いえでも、目覚ましの効用があったとは嬉しいような驚いたような、です(笑)。

>カードさんとの戦闘のさなか、やっぱり姫を助けに来たのはゼルでしたねv
>不器用ながらも、彼なりの優しさと想いの深さに感動しました。
ここでリナが助けたら、ゼルガディスの存在って・・・ということになってしまいますし(笑)。お約束ですが、ゼルに救出してもらいました。
姫視点、というのをあまり書かないせいか、どう書いたらいいのか戸惑った部分もあるのですが、ゼルの想いが読み取っていただけたのなら嬉しいです。

>『BLUE HEAVEN』では最初から最後までずっとゼルに感動しっぱなしだったような気がします。
>もちろん、健気で真っ直ぐなアメリアも。
>穂波さんの書かれるゼル&アメリア、やっぱり素敵です。
ありがとうございます〜。
珍しく姫を悩ませる話でしたので、戸惑った部分もあるのですが、ゼルアメなお話になっていたら嬉しいです。

>機会があればまた何処かで穂波さんのお話みたいです♪
・・・えーと、ゆっちいさんに前に体調を気遣っていただいた御礼に、とても短い話を作ってしまいましたので、よろしければご覧になってください。

>ではでは、素敵なお話読ませて頂きありがとうございました(ぺこり)
こちらこそ、感想くださり、本当に有難うございました。

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5217かぜひきの幸福穂波 E-mail 12/17-23:32
記事番号5186へのコメント

前の話が、全体的に暗くなってしまいましたので、とりあえず口直し(?)によろしければご覧になってください。
病気ねたの、ゼルアメです。
よろしければ、このお話をつくるきっかけになって下さったゆっちいさんに捧げます。
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 ばたん!
 ノックもなく開けられたドアの音に、ページを繰る手を止めて銀髪の青年は振り返った。
「もう、ダメですよゼルガディスさん!」
 言い切ったのは、黒髪の少女だ。幼さを残す愛らしい顔をふくらませて、不満を露にしている。「アメリアか」青年――ゼルガディスは口中で呟き、軽く肩をすくめた。何となく見つかったら、叱られるだろうな、と予想は出来ていたし、続くアメリアの言葉も、予想できたためである。
「やっぱり起きてた。さっきも言いましたけど、寝てないと、治るものも治らないんですよ!!」
 パタパタと近寄ってきたアメリアが、ゼルガディスの手から本を取り上げる。
「まて、せめて章の最後まで読ませてくれ」
 折角興に乗ってきたところだったのだが、アメリアはきっぱり「ダメです」、と即断する。
「ほらほら、ベッドに戻って。まったく手のかかる病人ですね!」
 少女の手がぐいぐいとゼルガディスの背を押す。
 仕方なく、ゼルガディスは言われるままにベッドに戻った。ここ数日つい文献に読みふけってろくに睡眠も食事もとらなかったことが災いしたのか、ゼルガディスは風邪を引いていた。もっとも、熱がひどくて動けなかったのは昨夜だけで、今朝はもうだいぶ体調は戻っていたのだが、どうしてもそれを納得してくれないのが、目の前の少女である。
「本当に、もう平気なんだが……」
 言いかけたゼルガディスの額に、アメリアのてのひらが触れる。
「まだちょっと熱いです。ゼルガディスさん、ただでさえ平熱低いんですから、ちゃんと治るまでは寝てなきゃダメです!」
「……わかった、寝てるからお前は安心して外にいったらどうだ? リナ達と、この町の名物とか調べてたじゃないか。俺の事は気にしなくていいから」
 リナとガウリイは、ゼルガディスの容態が安定したのを期に、彼の看護はアメリアに一任してしまったらしい。末っ子のアメリアが、誰かの世話をする、という初体験の楽しさに目覚めてしまったのが、主な理由だろう。もっともリナあたりは、アメリアの強引な看護に押されているゼルガディスを見て、楽しんでいるのかもしれないが。流石にお粥を「あーん」とやられた時には、ゼルガディスもいろんな意味でしばし固まったものである。
「いいんです、わたしゼルガディスさんの看病しているの楽しいですから。それよりゼルガディスさん、何かして欲しいこと無いですか? わたしにしてあげられることなら、なんでもしますよ」
 にっこり笑ってゼルガディスの心拍数を急上昇させるようなことを言ってのけたアメリアに、彼は頭を抱えたくなった。少女が来てくれる事自体は嬉しいのだが、ある意味体当たり的な看病の仕方に、熱が下がらないのはそのせいではないかと、真剣に考えてしまうゼルガディスである。
「あ、寝付くまで歌でも歌いましょうか? それとも手を握ってましょうか?」
「両方いらん」
「じゃあ、添い寝でもしてあげましょうか?」
 アメリアの爆弾発言に、ゼルガディスは危うくむせ返りそうになった。
 お前は、俺を試しているのか!?
 内心絶叫しながら、かろうじて喉に引っかかっていた言葉を押し出す。
「いらん、一人で眠れる」
「えー、だって病気のときって心細いじゃないですか。遠慮なんてしなくていいですよ。子供の頃に戻ったつもりで、こんな時くらい、甘えてください!」
 子供の頃……熱を出すたびに、レゾが薬を持ってきてくれたのを思い出す。そして、それにより病状が回復すれば「ふむ、成功ですね」と呟き、悪化すれば「失敗でしたか」などとあっさり言ってのけたことも。
 ……絶対あの頃から、孫を実験体にしてやがったな、あのクソジジィ。
 思わず歯軋りしたゼルガディスは、アメリアが心配そうにこちらを見ているのに気付き、はっと表情を改めた。
「やっぱり、どこか苦しいんですか?」
「いや、違う。ちょっと嫌なことを思い出しただけだ」
「何をですか?」
「……ま、たいしたことじゃない」
 アメリアがきょとんと首をかしげて、それから不意にゼルガディスの手を取った。
「大丈夫です! ゼルガディスさんが寝るまでわたし、こうしてますから。イヤなこと全部、追っ払ってあげます!!」
 別段、そんなに深刻なことでもなかったのだが、ゼルガディスの手に伝わる少女のやわらかな感触は、振り払うには惜しいもので。彼は結局、アメリアに手を預けたまま、瞼を閉ざした。
「……ありがとう」
「え、何か言いました? ゼルガディスさん??」
 微かな呟きは少女の耳まで届かなかったらしく、アメリアの不思議そうな声を聞きながら、ゼルガディスは夢の世界へと落ちていった。

 ちなみに、看病ついでに一緒になって手を繋いだまま眠ってしまったアメリアとゼルガディスの姿をリナが発見し、さんざんからかわれるのは、風邪が治った後の話である。 
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では、ここまで読んで下さり有難うございました。
皆様も、体調にはお気をつけて。

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5219すごく素敵です桐生あきや 12/18-00:05
記事番号5217へのコメント

 こんばんわ、穂波さん。
 レスをつける前に早くも別のお話がアップされていて、ちょっとビックリでした。重めの話も、軽めの話もきちんと書き分けられる穂波さんは、すごいです。
 桐生は全然そこらへんダメダメな人間ですので(^^;

 「BLUE HEAVEN」の最後のゼルと姫のやりとりが、すごく素敵です。
 結局ゼルは姫のこと一番大事なんですよね………素直じゃないですが(笑)。

 何やら短いです(汗)。すいません。
 それでは。

 桐生あきや 拝

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5222ありがとうございます。穂波 E-mail 12/18-23:08
記事番号5219へのコメント

こんばんは、桐生さん。

> レスをつける前に早くも別のお話がアップされていて、ちょっとビックリでした。重めの話も、軽めの話もきちんと書き分けられる穂波さんは、すごいです。
いえ、あまり節操が無いので軽いのも重いのも書いてしまっているだけなのです。思いついたときに時間があるかどうかが運命の別れ道だったりしますが・・・(笑)。

> 桐生は全然そこらへんダメダメな人間ですので(^^;
いえいえ、あれだけの長編を書かれる力量があるのですから、その中に軽い部分も多少なりとも含んでしまっていると思いますよ。

> 「BLUE HEAVEN」の最後のゼルと姫のやりとりが、すごく素敵です。
> 結局ゼルは姫のこと一番大事なんですよね………素直じゃないですが(笑)。
ええ、素直じゃないです(笑)。まーひねくれてても、見抜かれてるから、大丈夫でしょう(笑)。

では、感想くださり有難うございました。

桐生さんの次回作も、楽しみにしております。

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5220ありがとうございますぅぅっ(感涙!)ゆっちぃ E-mail URL12/18-04:36
記事番号5217へのコメント


おはようございますっ、ゆっちぃです♪
めずらしく早起きしてみれば新たなお話がUPされてて、んもぅ飛び上がるくらい驚きました!びば早起き♪(意味不明ι)
しかも私に捧げて下さるって…………めっちゃ嬉しいですーーーーーー!!(叫)
『よろしければ』だなんてそんなっ!喜び勇んで頂戴するに決まってるじゃないですかっっ♪(←上機嫌)

風邪引きさんなゼルを甲斐甲斐しく(?)世話するアメリアが新鮮で見てておもしろかったですv
彼女がゼルガディスの面倒みるって言うのはめずらしいので。(だっていつもは被保護者ですしv)
そんなアメリアに世話焼かれて、大人しく言う事聞いてるゼルもこれまた良かったです☆
最後には手繋いで寝ちゃってますし。アメリアってば役得♪(いや、ゼルもか・笑)

ではでは、素敵なお話、どうもありがとうございましたv(ぺこり)

追伸>>図々しいの承知でお聞きします(汗)
   『かぜひきの幸福』、ゆっちぃのHPにあげちゃってもよろしいでしょうか?
   (ホント図々しいな自分ι)

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5223どういたしましてです〜!穂波 E-mail 12/18-23:24
記事番号5220へのコメント

こんばんは、ゆっちぃさん。

>めずらしく早起きしてみれば新たなお話がUPされてて、んもぅ飛び上がるくらい驚きました!びば早起き♪(意味不明ι)
本当に早起きですね〜すごい、私など熟睡している時間です(笑)。

>しかも私に捧げて下さるって…………めっちゃ嬉しいですーーーーーー!!(叫)
>『よろしければ』だなんてそんなっ!喜び勇んで頂戴するに決まってるじゃないですかっっ♪(←上機嫌)
ああ良かった、喜んで頂けてこちらもほっとしました〜。
ゆっちいさんに体調気遣うレスを頂いて思いついた話ですので、差し上げたかったのです。受け取っていただけて、嬉しいです。

>風邪引きさんなゼルを甲斐甲斐しく(?)世話するアメリアが新鮮で見てておもしろかったですv
ほとんど、押しかけ女房ならぬ、押しかけ看護婦状態ですよね(笑)

>彼女がゼルガディスの面倒みるって言うのはめずらしいので。(だっていつもは被保護者ですしv)
大体において、女の子が突っ走り、男たちがフォローに走ってますものね、あの四人組は(笑)。

>そんなアメリアに世話焼かれて、大人しく言う事聞いてるゼルもこれまた良かったです☆
>最後には手繋いで寝ちゃってますし。アメリアってば役得♪(いや、ゼルもか・笑)
そうですね、お互いに役得ということで(笑)。
看護が出来る姫も幸せ、してもらえるゼルも、それなりに幸せということで。

>ではでは、素敵なお話、どうもありがとうございましたv(ぺこり)
いえいえ、こちらこそ感想いただき有難うございます!

>追伸>>図々しいの承知でお聞きします(汗)
>   『かぜひきの幸福』、ゆっちぃのHPにあげちゃってもよろしいでしょうか?
うあ、載せてくださるのですか? ああありがとうございます!
というか、捧げ物なので焼くなり煮るなりほんと、ご自由にして下さいませ〜。

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5221かわいいっv雫石彼方 E-mail 12/18-06:34
記事番号5217へのコメント


何となく来てみたら新しいお話がアップされてて、何だか得した気分です♪

風邪引いたゼルをここぞとばかりに甲斐甲斐しく看病するアメリアがめちゃめちゃかわいかったですvあのパーティーの中では一番年下で、性格的にも面倒見てもらうことが多いから、「看病する」っていうのが嬉しかったんですねー。しかも相手は大好きな(笑)ゼルガディスさん!!ゼルの為に役に立ちたいっていう思いが普段からあるから、こういう時には特に、張り切っちゃうんだろうな〜。それであの爆弾発言連発、という事態になるんですね(笑)か〜わいいv
最後は手繋いで眠ってしまうという、これまたかわいいオチでvそれを発見した時のリナの表情が目に浮かぶようです(笑)

「BLUE HEAVEN」ではゼルのかっこよさが目立ってましたが、こちらではアメリアのかわいさ大爆発で、こっちもすごくよかったです。楽しませていただいてどうもありがとうございました〜。


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5224良かったです♪穂波 E-mail 12/18-23:34
記事番号5221へのコメント

こんばんは、雫石さん。

>風邪引いたゼルをここぞとばかりに甲斐甲斐しく看病するアメリアがめちゃめちゃかわいかったですvあのパーティーの中では一番年下で、性格的にも面倒見てもらうことが多いから、「看病する」っていうのが嬉しかったんですねー。しかも相手は大好きな(笑)ゼルガディスさん!!ゼルの為に役に立ちたいっていう思いが普段からあるから、こういう時には特に、張り切っちゃうんだろうな〜。それであの爆弾発言連発、という事態になるんですね(笑)か〜わいいv

そうそう、張り切りすぎで聞きようによっちゃものすごいこと口走ってます(笑)。
そんな姫の一生懸命さがちゃんと汲み取っていただけているようで嬉しいです!
行き過ぎて、少々暴走気味ですが(笑)、まぁ惚れた弱みで、ゼルガディス氏は大人しく看病されていたのでしょう。

>最後は手繋いで眠ってしまうという、これまたかわいいオチでvそれを発見した時のリナの表情が目に浮かぶようです(笑)
驚き→にんまり・・・って感じでしょうか(笑)。


>「BLUE HEAVEN」ではゼルのかっこよさが目立ってましたが、こちらではアメリアのかわいさ大爆発で、こっちもすごくよかったです。楽しませていただいてどうもありがとうございました〜。

いえいえ、こちらこそ感想頂けて嬉しかったです。
しかも、可愛いゼルアメをお書きになる雫石さんからかわいい、というお言葉をいただけるとは幸せです〜。

では、本当に有難うございました。

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