◆−光について7 ―欠片―−雫石彼方(11/23-09:35)No.4979
 ┗光について8 ―幻―−雫石彼方(11/23-09:41)No.4980
  ┣おはつ・・・かな?−キト(11/23-20:49)No.4986
  ┃┗おはつですね(^^)−雫石彼方(11/24-03:02)No.4989
  ┣ああ、これからどうなるんですっ!?−桐生あきや(11/24-05:43)No.4990
  ┃┗極道の女(笑)−雫石彼方(11/26-07:08)No.5006
  ┗光について9 ―光―−雫石彼方(11/26-23:00)No.5020
   ┣うわ〜うわ〜(///)−桐生あきや(11/26-23:35)No.5021
   ┃┗脱皮(笑)−雫石彼方(11/28-03:05)No.5036
   ┣ああ・・・幸せそう。−水晶さな(11/28-00:02)No.5032
   ┃┗幸せいっぱい夢いっぱい(^^)−雫石彼方(11/28-03:21)No.5037
   ┗Re:光について9 ―光―−穂波(12/1-00:01)No.5062
    ┗ありがとうございます!!(><)−雫石彼方(12/2-03:00)No.5069


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4979光について7 ―欠片―雫石彼方 E-mail 11/23-09:35


前回の投稿から少し間が開いてしまいました(汗)雫石です。

ここのところ、人様の小説を読んでばかりだったんですが、皆様の素晴らしい文章に比べて、自分の文章の稚拙さに泣きたくなりました(T-T)でも途中で止めるわけにもいかないので・・・;とりあえずどうぞ(汗)



―欠片―



 時は少し遡って、リナ達がアメリアを宿に残し、シレネと旅立った日。
 柔らかな日差しが木々の間から降り注ぐ森の中を、アスターは歩いていた。
「なんだかなー・・・・」
 セイルーンからの来訪者。その到着が予定より遅れていることを心配したヤトロファに様子を見てくるように言われ、半ば無理やり追い出された。が、ここに到るまでの過程で、いつもの激しい攻防が繰り広げられたことは想像に難くない。その詳しい様子は見苦しいので省くとして、とにかくそういうわけで彼はぶつぶつと文句を言いながらも、アメリア達を迎えに行くべく森の中を歩いていたのである。
 だが、口では文句を言いながらも、頭では全く別のことを考えていた。

 ―――最近、何か変だ・・・・・

 ここ最近、頻繁に起こる目眩。
 前までこんなことはなかった。
 そして書庫で見つけたビー玉。
 あの時頭に流れ込んできた声は何だったのか。
 試しに他のビー玉も触ってみたが、何も起こらなかった。あの青い、くすんだビー玉だけが、彼にあの声と共に何か懐かしいような、不思議な感覚をもたらす。
 そもそもあれは、あのビー玉自体に染み込んだ、昔ヤトロファが診たという少女の記憶なのか。それとも、あのビー玉に触れることによって誘発された、ヤトロファに拾われる前に無くした彼自身の記憶なのか・・・・・。
 そう。彼には、ヤトロファと出会う以前の記憶がなかった。
 気付けば、朦朧とした意識の中、訳も分からず歩いていた。そして、少し遠出をして患者の診察に行った帰りのヤトロファに出会い、助けられた。それから、彼はヤトロファの助手として働くようになったのだった。
 アスターは懐から薄汚れた小さな袋を取り出し、あの青いビー玉を木漏れ日に透かしてみた。
 ビー玉の中心に光が集まって見える。そのぼんやりとした光に導かれるように、またあの声が頭に響いた。

『私の・・・り・・つ・・・て・・・・・・・』

 それは途切れ途切れで、ひどく聞き取りにくい。けれど胸が苦しくなるほどの想いが彼の心を締めつけ、走れ、走れと駆り立てた。
「一体俺にどうしろってんだよ・・・・・」
 吐き捨てるように言って、ぽーんとビー玉を高く投げ上げた。
 それを受け取ろうとした瞬間にまた彼を襲う、目眩。
 何とかしゃがみ込まずにそのまま持ち堪えたが、ビー玉は彼を待ってはくれない。地面へと一直線に向かい、落下地点にあった石に当たって砕け散った。
 キラキラと舞い散る、青い青い欠片。

『・・・なん・・・・・の・・を・・・えて・・・・・』

 今度は男とも女ともつかないような声。
 静寂に包まれた氷の神殿。
 雪に覆われ、生物の息吹を全く感じさせない、切り立った山。
 それが何度も何度も繰り返され、そして――――――

 何かが、弾けた。



 アスターはしばらく呆然と佇み、そして弾かれたように駆け出した。




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4980光について8 ―幻―雫石彼方 E-mail 11/23-09:41
記事番号4979へのコメント


―幻―



 リナ達がシレネの村に向かった日は、何事もなく平和に過ぎた。おそらく、リナ達が途中で引き返してくる可能性を考慮し、一日様子を見たのだろう。
 そして次の日。
 招かれざる客は白昼堂々現れ、セイルーンの姫を攫っていった。
 リナの予想通り、メイド一人では時間稼ぎにすらならなかった。アメリア自身も、抵抗らしい抵抗すらさせてもらえず、捕らえられた。ろくに動けないのだから、盗賊たちにとってはまさに赤子の手をひねるようなものだっただろう。
 メイドは、盗賊達の要求をセイルーンへ伝える役目として宿に残された。
 そしてアメリアは今、宿から少し離れたところにある鬱蒼とした森の中に立てられた、高い塔の最上階の部屋に閉じ込められていた。手足は縛られている為、身動きが取れない。部屋の中には彼女と、見張り役の盗賊が一人。
「一体どういうつもりですか!」
 激昂のまま、アメリアは叫んだ。それを盗賊はにやけた表情で、さも面白そうに眺めた。
「どういうもこういうも、セイルーンのお姫さんを誘拐してたんまり金を巻き上げようってのに決まってるだろ。それ以外にあんたの利用法なんて何があるって言うんだ」
「なっ・・・・・!!」
 悔しさと憤りのあまり、アメリアはきつく唇を噛み締める。
 一つは、自分を盾に父を脅迫し、金を巻き上げようとするこの盗賊達の卑劣な行いに対して。
 一つは、自分を金を得る為の道具としか見ていないような発言に対して。
 けれど何より、こんな盗賊ごときに何もできず、やすやすと捕まってしまった無力な自分が一番悔しかった。
 必死にもがき、手足の自由を奪う縄を解こうとした。が、びくともしない。
「はははは、やめとけって。そんなに簡単に解けやしねえよ。それに、解けたところであんたにゃ何もできねえだろ」
 “目が見えねぇんじゃな”と付け足し、見下したように盗賊は嘲笑う。
 それでもかまわず、アメリアは縄を解こうともがいた。そのせいで薄い水色のワンピースの裾がずり上がり、彼女のすらりとした足が太腿あたりまで露わになる。
 ごくり、と生唾を飲み込む音がした。
 嫌な予感がして、アメリアの動きがぴたり、と止まる。
 彼女の体は小刻みに震えていた。
 盗賊の近づく気配がする。
「・・・や、来ないで・・・・・」
 だが彼女の声など聞こえていないかのように、舌なめずりをしてゆっくりと近づきながら、全く別のことをしゃべり出す。
「さっき言ったこと、訂正するぜ・・・・。誘拐して金を巻き上げる以外のあんたの利用法。もう一つあった・・・・・」
「・・・あ・・・あ・・・・・」
「お頭には傷付けるなとは言われたが、手を出すなとは言われてないからな。こんな上玉の女、ほっとく手はねえ」
「や、やだ・・・・・!」
 盗賊の指が、アメリアの太腿をつつーっと滑った。
 嫌悪感に肌が粟立ち、半ばやけくそでアメリアは叫んだ。
「すべての力の源よ 輝き燃える赤き炎よ わが手に集いて力となれ! 火炎球(ファイヤー・ボール)!!」
「わぁっ・・・・!?」
 とっさに両手を顔の前でクロスさせ、後ろに跳び退る盗賊。
 目を瞑り、我が身を襲うであろう衝撃を覚悟した。

 ――――が、いくら待っても何も起こらない。
 ゆっくりと目を開く。そこには先程と同じように床に転がる少女。ただ、その表情には落胆の色が色濃く出ていた。
 魔法は発動しなかったのだ。
「くそっ、脅かしやがって!!」
 吐き捨てるように言うと、乱暴にアメリアの足を縛る縄を解いた。
「いいか、この俺を驚かせた罰だ!滅茶苦茶にしてやる!覚悟するんだな!!」
 歪んだ笑みを張り付かせながら、アメリアの片足を掴む。もう片方を掴もうとして―――思いきり顎を蹴り上げられた。筋力が衰えている為昔ほどの威力はないが、不意打ちをまともにくらって盗賊は後ろに吹っ飛んだ。
 アメリアはよろよろと立ち上がり、吹き込んでくる風を頼りにおぼつかない足取りで窓へと向かった。そして手は縛られたままな為に苦労しながらも、窓の枠に足をかけ、よじ登る。
「な、何を・・・・・!!」
 ようやく盗賊が起き上がってみると、そこには今にも飛び降りようとしているアメリアの姿。
「おい、やめろ!」
「来ないで!!」
 慌てて止めようとしたが、アメリアの強い拒否の言葉によって立ち止まった。
「ここは塔の最上階だ!飛び降りたりしたら、あんた死んじまうぞ!?」
「・・・・国の重荷に成り下がり、あなたのような下衆に辱められるくらいなら、私は死を選びます」
 威厳すら感じるほどの冷静さで淡々と話す態度に、盗賊は思わず鳥肌が立った。
 そして次の瞬間。
 彼女の姿は目の前から―――――消えた。




 周りの景色は見えないけれど、重力のままに落ちていくのはよく分かった。
 これから強い衝撃と痛みが襲い、それを感じる間もないうちに自分の体はぐちゃぐちゃになるだろうというのに、不思議と恐怖はなかった。むしろ喜びすら感じる。

 ―――この場合、仕方ないですよね・・・・あのままじゃ、私、あの盗賊の餌食になってましたもん・・・・ゼルガディスさん以外の人となんて、耐えられない・・・・ゼルガディスさんだって、きっと許してくれるはず・・・・・

「ゼルガディスさん・・・・・」
 たった一言、呟く。
 それが合図だったように、突然自分の体がふわっと何かに包まれるような感覚に陥った。まるで、誰かの腕の中にいるような・・・・・・

 ああ、ゼルガディスさん・・・・

 やっと迎えに来てくれたんですね・・・・・

 見えなくたって分かります

 あなたの温かい腕・・・・何度も何度も夢見たから・・・・・

 ガウリイさんの言った通りでした

 あなたは約束をちゃんと守ってくれた・・・・・

 ・・・・もう、離れたくありません・・・・・

 だから・・・・だから私をあなたのところに・・・・・・

『・・・・連れて行ってください・・・・・・』


 ―――光が、溢れた。


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4986おはつ・・・かな?キト 11/23-20:49
記事番号4980へのコメント

レスを付けさせて貰います・・・キトです

>―幻―
・・・なんかよさげな題名・・・

> リナの予想通り、メイド一人では時間稼ぎにすらならなかった。アメリア自身も、抵抗らしい抵抗すらさせてもらえず、捕らえられた。ろくに動けないのだから、盗賊たちにとってはまさに赤子の手をひねるようなものだっただろう。
> メイドは、盗賊達の要求をセイルーンへ伝える役目として宿に残された。
ガビーン!!捕まっちゃったよ!アメリアぁぁ!!(滝汗)

>「はははは、やめとけって。そんなに簡単に解けやしねえよ。それに、解けたところであんたにゃ何もできねえだろ」
> “目が見えねぇんじゃな”と付け足し、見下したように盗賊は嘲笑う。
酷い事を言う奴は天罰が下るのだ!!(リナのドラグスレイブの餌食)

> 周りの景色は見えないけれど、重力のままに落ちていくのはよく分かった。
> これから強い衝撃と痛みが襲い、それを感じる間もないうちに自分の体はぐちゃぐちゃになるだろうというのに、不思議と恐怖はなかった。むしろ喜びすら感じる。
> ―――この場合、仕方ないですよね・・・・あのままじゃ、私、あの盗賊の餌食になってましたもん・・・・ゼルガディスさん以外の人となんて、耐えられない・・・・ゼルガディスさんだって、きっと許してくれるはず・・・・・
いや!ゼルは悲しむぞ!根性で生き返れ!!たのむから〜〜〜(泣)

>「ゼルガディスさん・・・・・」
> たった一言、呟く。
> それが合図だったように、突然自分の体がふわっと何かに包まれるような感覚に陥った。まるで、誰かの腕の中にいるような・・・・・・
無重力・・・宇宙に行ってみたいなぁ・・・

> ああ、ゼルガディスさん・・・・
> やっと迎えに来てくれたんですね・・・・・
> 見えなくたって分かります
> あなたの温かい腕・・・・何度も何度も夢見たから・・・・・
> ガウリイさんの言った通りでした
> あなたは約束をちゃんと守ってくれた・・・・・
> ・・・・もう、離れたくありません・・・・・
> だから・・・・だから私をあなたのところに・・・・・・
>『・・・・連れて行ってください・・・・・・』
> ―――光が、溢れた。
あううっ・・・アメリア〜〜死んじゃやだよぅ〜〜〜〜(涙)

アメリア死なないですね?大丈夫ですよね?

ハッピーエンドですよねぇ?うにぃ〜〜〜〜(涙+泣)

えぐえぐ・・・・マジもんで泣きましたよ!

えっと・・・・こんなレスですみません・・・・(涙)

雫石さんの小説はすばらしいですよね、私なんかとは大違い、

だから がんばってくださいね?

P・S 自分もがんばろうと思う うん、それがいいだろう

 キトでした


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4989おはつですね(^^)雫石彼方 E-mail 11/24-03:02
記事番号4986へのコメント

キトさんはじめまして、雫石です。
感想書いてくださってありがとうございます!

>> リナの予想通り、メイド一人では時間稼ぎにすらならなかった。アメリア自身も、抵抗らしい抵抗すらさせてもらえず、捕らえられた。ろくに動けないのだから、盗賊たちにとってはまさに赤子の手をひねるようなものだっただろう。
>> メイドは、盗賊達の要求をセイルーンへ伝える役目として宿に残された。

>ガビーン!!捕まっちゃったよ!アメリアぁぁ!!(滝汗)

実にあっさりと捕まってしまいました(^^;)もうちょっと引っ張っても良かったかしら?

>>「はははは、やめとけって。そんなに簡単に解けやしねえよ。それに、解けたところであんたにゃ何もできねえだろ」
>> “目が見えねぇんじゃな”と付け足し、見下したように盗賊は嘲笑う。

>酷い事を言う奴は天罰が下るのだ!!(リナのドラグスレイブの餌食)

でもここでリナのドラグスレイブ発動したら、アメリアまで巻きぞいに〜〜!!(笑)

>> ―――この場合、仕方ないですよね・・・・あのままじゃ、私、あの盗賊の餌食になってましたもん・・・・ゼルガディスさん以外の人となんて、耐えられない・・・・ゼルガディスさんだって、きっと許してくれるはず・・・・・

>いや!ゼルは悲しむぞ!根性で生き返れ!!たのむから〜〜〜(泣)

ネガティブアメリア。こんなん違う!!・・・いや、ごもっともです(^^;)でも、ゼル失って、精神的にまいっちゃってますからねー。リナとガウリイのおかげで立ち直ったとは言っても、やっぱりどっかで弱い部分が残っちゃってるんだと思います、多分。(おい)

>> ああ、ゼルガディスさん・・・・
>> やっと迎えに来てくれたんですね・・・・・
>> 見えなくたって分かります
>> あなたの温かい腕・・・・何度も何度も夢見たから・・・・・
>> ガウリイさんの言った通りでした
>> あなたは約束をちゃんと守ってくれた・・・・・
>> ・・・・もう、離れたくありません・・・・・
>> だから・・・・だから私をあなたのところに・・・・・・
>>『・・・・連れて行ってください・・・・・・』
>> ―――光が、溢れた。

>あううっ・・・アメリア〜〜死んじゃやだよぅ〜〜〜〜(涙)
>アメリア死なないですね?大丈夫ですよね?
>ハッピーエンドですよねぇ?うにぃ〜〜〜〜(涙+泣)
>えぐえぐ・・・・マジもんで泣きましたよ!

泣いてくれるなんて・・・ええ人ですねぇ・・・(ほろり)
アメリアはどうなったのか、ハッピーエンドなのか、ここで言ってしまったら元も子もなくなってしまうので(^^;)、ここでの発言は控えさせていただきます〜;――と言っても、次回で全部わかりますが。最終回じゃないですけどね。

>雫石さんの小説はすばらしいですよね、私なんかとは大違い、
>だから がんばってくださいね?
>P・S 自分もがんばろうと思う うん、それがいいだろう

ご、ごめんなさい・・・;私が「7」の冒頭で妙なこと書いたので励ましてくださったんですね;いや、長編を連載してると、何だか突然自信を無くしてしまうことがあって。愚痴ってみたくなったりするわけですよ(汗)確か前回連載してた時も似たようなこと書いて叱咤激励されました。進歩ないな、自分(‐‐;)むー、もっと強く自分を持たねばなりませんね!でも大丈夫です、悩んでるフリして実は結構けろっとしてるタイプなので(笑)(――というか、立ち直りが早い。)

ではでは、読んでくださってありがとうございました♪

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4990ああ、これからどうなるんですっ!?桐生あきや 11/24-05:43
記事番号4980へのコメント


 とっても続きが気になります!
 こんなところで切られたら続きがめちゃ気になるじゃないですか(笑)。
 ときたまかなり極悪な切り方をする私が言うなって感じですね。
 でも、ああ気になる(笑)
 アスターはゼルなのか?
 アメリアはどうなるのか?
 余談ですが身投げするアメリア、カッコいいです。
 いつもレスくださってありがとうございます。
 お互いがんばりましょうね。
 それでは。

 桐生あきや 拝

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5006極道の女(笑)雫石彼方 E-mail 11/26-07:08
記事番号4990へのコメント

タイトル書いてから思ったんですが、『極道』じゃないですね。それじゃ違う方に行ってしまう(笑)『極悪』でした。

> とっても続きが気になります!
> こんなところで切られたら続きがめちゃ気になるじゃないですか(笑)。
> ときたまかなり極悪な切り方をする私が言うなって感じですね。
> でも、ああ気になる(笑)

すみません、引っ張って焦らすの大好きなんです(殴)でもなるべく早めに続き載せるつもりなので、勘弁してくださ〜い;

> 余談ですが身投げするアメリア、カッコいいです。

そう言っていただけると嬉しいです。ちょっと王族っぽいアメリアを書いてみたかったんですよ。普段が普段なだけに(^^)

> いつもレスくださってありがとうございます。
> お互いがんばりましょうね。

こちらこそ、桐生さんからレスいただけるととっても励みになります;
今まで最後どうするか、なかなか思いつかなくて進まなかったんですが、先日や〜っとこの話のメドが立ちまして。なんとか終わらせられそうです(^^)
ほんと、頑張りましょうね〜。

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5020光について9 ―光―雫石彼方 E-mail 11/26-23:00
記事番号4980へのコメント


この話も「9」まで来ました。多分「13」くらいで終わると思われます。それまでもう少し、お付き合いください;


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


―光―



 見渡す限り緑の広がる草原の中に、アメリアはいた。
 ここではアメリアの目も一面の緑を映し出している。
 
 ―――何もない・・・・何も・・・・・

 何をしていいのかも分からず、その場に立ち尽くす。――と、何かが視界の隅で動いた気がした。
 目を凝らす。
 
 ―――人だ・・・・・

 だんだんこちらに近づいてくる。次第に細かい容貌が見えてきた。
 黒い髪。
 白い肌。
 鳶色の瞳。
 見たことのない人。けれど間違えようもないほどに、よく知っている人だった。
 なぜならそれは、彼女が最も会いたい人だったから。
『――ゼルガディスさんっ!!』
 堪らず彼女は駆け出した。何よりも、誰よりも愛しい人の元へ。
 彼は急ぐことなく、ゆっくりと歩いてくる。
 ――そして。
 二人は今、向かい合った。
『ゼルガディスさん・・・・・』
『アメリア・・・・・』
 それきり、ただ見つめ合う。
 会ったら、抱き合ったりするかと思った。
 会ったら、たくさん話したいことがあった。
 なのに、そこだけ時が止まったようで。
 ただ、見つめている。
『・・・・久しぶりだな』
 やがてゼルガディスがぽつりとそう言って・・・・微笑った。

 ―――ああ、こんな風に笑うんだった・・・・・!!

 涙が溢れ、頬を伝う。
 それをすくうようにアメリアの頬に唇を寄せ、やがてそれは彼女の唇へ――――




 アメリアはゼルガディスの首に腕を回そうとして――――目が覚めた。
 ・・・そう、「目が覚めた」のだ。
 そこで頭に浮かぶ、二つの疑問点。

 ―――死んでも夢って見るのかな・・・・・?

 そしてもう一つ。

 ―――生きてた時の状態がそのまま保たれるものなのかな・・・?死んだのにまだ目が見えないなんて・・・・神様は意地悪です・・・・・

「・・・・ゼルガディスさん?」
 不安になって、小さく彼の名を呼んだ。しかし周りには誰の気配もしないし、呼びかけに答える者もいない。
「ゼルガディスさん!」
 今度は少し声を上げて呼んでみた。すると、この部屋に誰かが近づいてくる足音がして、ドアが開いた。
「ゼ・・・・」
「アメリア、気が付いたのね!」
「・・・・・・え?」
 聞こえてきたのは、リナの声だった。
 軽い目眩。
「リ・・・ナ、さん・・・・?」
「そうよ。・・・あーでもよかった!!5日も眠ったままなんだもん。また何か病気になったんじゃないかって心配だったのよ!」
 リナがここにいる。――ということは、自分はまだ生きている、ということで・・・・
 頭を鈍器で殴られたようだった。
 つまり、何もかも夢だったのだ。
 ゼルガディスと再会したことも・・・・
 すべてが抜け落ちたような感覚になって、アメリアはリナの言葉を無意識に繰り返した。
「5日・・・・眠ったまま・・・・・」
「そ!ここんとこ本当に冷や冷やし通しだったわよ!シレネは出発して3日も経ってからいきなり、“私はアメリアさんとリナさん達を離れさせる為の囮だったんです!”とか言うし!戻ってきてみればあんたは眠ったまま起きないし!―――そうだ!あんた、高い塔から飛び降りたんだって!?ったく、無茶しないでよね!!」
 呆然としたまま何となく聞いていたが、ふとある疑問が浮かんできた。
「・・・・え、あの・・・・それって、助けてくれたのリナさんじゃないってことですよね?・・・じゃあ、誰が・・・・・」
 思い出されるのは、自分を包み込んでくれたあの温かい腕。
 あれも夢だったのだろうか?
「ああ、そのことね。ちょっと待ってて」
 そう言うと、リナは部屋を出て行った。そしていくらもしないうちに戻ってくる。リナの後に、二人の足音が続いているのがわかった。
「アメリア、気付いたんだな。よかった!」
「あ、はい・・・・心配かけてしまってすみませんでした・・・・」
 一人はガウリイ。あっという間にシレネの村の人たちを盗賊どもから解放し、昨日の夜、この宿に戻ってきたのだった。
 そしてもう一人は、紫色の瞳を持ち、銀の髪を後ろでちょこんと結んだ、浅黒い肌の青年。
「で、あんたを助けてくれたのが、ここにいるアスターよ」
「アスター、さん・・・・?」
「ほら、これから行く予定のヤトロファって医者いるでしょ。そこで助手やってるんだって。で、到着が遅いんで迎えに来たところで、あんたが攫われたの知って助けてくれたってわけ」
「・・・・そうなんですか・・・・・どうも・・・・ありがとうございました・・・・・」
 最後の期待を裏切られて、アメリアは気の抜けたような声で礼を言った。
 ――が、次の瞬間。
「・・・・・アメリア」
 アスターがアメリアの名を呼んだ。

 心が、震えた気がした。
 自分の心臓の音がやけにうるさい。

 ―――黙って・・・黙って!!もっとよく声を・・・・・

 目を閉じ、ゆっくりと深呼吸を繰り返す。
 そして目を開いた。
 いつもは真っ暗な視界が、今は真っ白だった。・・・いや、光に溢れている、と言った方が正しいだろうか。
 もう一度、目を閉じる。
「アメリア」
 彼がまた、アメリアの名を呼んだ。
 その声に導かれるように目を開く。
 何かがぼやけて見えた。そして徐々にはっきりと人の輪郭を形作り―――――

「・・・・・瞳、鳶色じゃないです・・・・・・」
「元は鳶色だったんだよ。すべて元通りってわけにはいかなくてな」
「・・・・・髪も、黒髪だって・・・・・」
「前の色がそのまま残っちまったんだ」
「・・・・・肌だって、ちっとも色白じゃない・・・・・」
「いや、だからな・・・・・」
「嘘つき」
「勘弁してくれ・・・・人間の姿になって迎えに来るって約束は守っただろ?」
 ふいにくしゃっと顔を歪ませ、アメリアは彼に抱き付いた。それに応えるように、大きな温かい手がアメリアの体を抱き返す。
「お帰りなさい、ゼルガディスさん・・・・・・!!」
「ただいま、アメリア・・・・・・」
 お互いのぬくもりを感じる為に、二人はきつくきつく抱き合った。

 一方、何だかよく分からないうちに勝手に話が進んで、リナは混乱していた。どういうことなのか問い詰めようとする。――が、ガウリイに止められた。
 青い瞳がじっと見つめる。
 やがて軽く溜息をついて微笑むと、リナはガウリイと共に部屋を後にした。

 そして部屋に残された二人は、今までの時間を取り戻すように、一つになったまま動こうとはしなかった。

 ―――もう、離れないように・・・・・・

 それは二人の、心からの願い。


 窓から差し込む月の光が、静かに二人を照らしていた。



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5021うわ〜うわ〜(///)桐生あきや 11/26-23:35
記事番号5020へのコメント


 きゃああっ、ゼルだわっ。
 ………すいません、かなりテンション高いです。
 目とかのカラーリングが違うので、おや? と思っていたのですが。
 そういうことなんですね。
 としたら、あのゼルの死体(らしきもの)は何だったのでしょう??
 も、もしかして脱皮したとか?(爆)。んなわけないか(当たり前だ!)。
 アメリアの目の見えるようになったし、後は幸せになるだけですねっ(笑)。
 それでは、またです。

 桐生あきや 拝


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5036脱皮(笑)雫石彼方 E-mail 11/28-03:05
記事番号5021へのコメント

どうも、レスありがとうございますv

> 目とかのカラーリングが違うので、おや? と思っていたのですが。
> そういうことなんですね。
> としたら、あのゼルの死体(らしきもの)は何だったのでしょう??
> も、もしかして脱皮したとか?(爆)。んなわけないか(当たり前だ!)。

次回から謎明かし編に突入ですので、そこらへんはそのうち明らかになるかと思います(^^)脱皮は・・・・もしほんとにそうだったら、怖いですねぇ(笑)

> アメリアの目の見えるようになったし、後は幸せになるだけですねっ(笑)。

幸せ街道一直線です(笑)ただ、ゼルの回想シーンになっていくので、アメリアの出番とても少なくなっちゃうんですが・・・(汗)どうも私が書く話は登場人物に偏りがあっていけません(‐‐;)

ではでは。

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5032ああ・・・幸せそう。水晶さな E-mail 11/28-00:02
記事番号5020へのコメント


 こんばんわ、お邪魔しに来ました水晶さなです(^^ゞ

 アメリア姫失明回復&ゼルさん人間バージョン登場にパソコン前で浮かれておりました(笑)。
 アスターさんの正体には全く気付きませんで(爆)。
 そーなるとあきやサンと同じく、最初の方に発見されたっていうゼルさんの遺骸が気になります。
 ではでは続き頑張って下さい♪
 

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5037幸せいっぱい夢いっぱい(^^)雫石彼方 E-mail 11/28-03:21
記事番号5032へのコメント

こんばんわ〜。レス、ありがとうございますv

> アメリア姫失明回復&ゼルさん人間バージョン登場にパソコン前で浮かれておりました(笑)。

姫&魔剣士、幸せモード発動中でございます(笑)前半が痛々しかった分、後半は
ひたすら甘々にしてやろうと企んどりますので、今回のはその第一歩です(^^)

> アスターさんの正体には全く気付きませんで(爆)。

ほ、ほんとですか!?いや〜、もう絶対、バレまくってると思ってました(^^;)伏線張るの下手なんですよ〜;

> そーなるとあきやサンと同じく、最初の方に発見されたっていうゼルさんの遺骸が気になります。
> ではでは続き頑張って下さい♪

それがこの話最大の謎ですからね(^^)・・・まあ、大した答えじゃありませんが(汗)頑張りますのでまた見てやって下さいね;
では〜。

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5062Re:光について9 ―光―穂波 12/1-00:01
記事番号5020へのコメント

御久しぶりです、そっと拝読していたのですが、少々感想など書かせていただきに参りました。

何だかハードな展開で、はらはらしていたのですが、ようやく文字通り光が見えた、って感じですね。
姫もこれからはどんどん元気になるでしょうし。
ゼルもちゃんと約束守ったことですしね!
(て、これも夢落ちじゃないですよね? どきどき)

最終回まで楽しみにしております。

では、短いですがこれにて。

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5069ありがとうございます!!(><)雫石彼方 E-mail 12/2-03:00
記事番号5062へのコメント

穂波さん、お久しぶりです!!
まさか穂波さんからレスいただけるとは・・・!!本当に、ありがとうございます!!

>何だかハードな展開で、はらはらしていたのですが、ようやく文字通り光が見えた、って感じですね。
>姫もこれからはどんどん元気になるでしょうし。
>ゼルもちゃんと約束守ったことですしね!
>(て、これも夢落ちじゃないですよね? どきどき)

大丈夫です、今度は夢落ちじゃないです(^^;)ここでまた”実は夢落ちでした”、とか言ったら苦情きそうですしね(笑)

>最終回まで楽しみにしております。

最終回にはこの上もなく甘々な二人をお届けしたいと思います(笑)

感想どうもありがとうございました。

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