◆−COCKTAIL BAR  A side−水晶さな(8/26-23:47)No.4139
 ┣COCKTAIL BAR  Z side−水晶さな(8/27-00:05)No.4140
 ┃┣初めまして♪−ゆっちぃ(8/28-01:09)No.4152
 ┃┃┗ありがとうございますっ♪−水晶さな(8/29-23:01)No.4171
 ┃┗はじめまして☆−ねんねこ(8/28-15:47)No.4155
 ┃ ┗ありがとうございます〜(^_^)−水晶さな(8/29-23:13)No.4172
 ┗はじめまして。−桜井  ゆかり(8/27-01:02)No.4141
  ┗初めまして(^^ゞ−水晶さな(8/27-10:07)No.4143


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4139COCKTAIL BAR  A side水晶さな URL8/26-23:47



「すみません、あんまり強くないお酒下さい」
 夜も更けるかという頃合。
 静かな酒場のカウンターに、白い服を着たまだ幼さの残る少女が座った。
 特に酒が好きな訳ではないが、今夜は何故だか眠れなかった。
 宿屋のすぐ隣にある共同経営の酒場に入り、ナイトキャップにしようと思ったのである。
 町の荒くれ者達が騒ぐ時間帯は過ぎているので、さすがに酒場は静かだった。
 アメリアがちらりと時計に目をやる。
 閉店まであと一時間。どうせすぐ帰るつもりだし。
「私寝付きはいい筈だったんだけどな・・・」
 頬杖をつき、アメリアが注文が出てくるのを待つ。
 空白の時間が長いと、余計に思考が活発になる。
 どーして今日ゼルガディスさん宿屋に戻ってこなかったんでしょう。
『んあ? でも出発は明後日に決定したひ、ゼルも自分に必要なモン又単独行動で探しに行ったんらない?』
 食物を口に含んでいる為、たどたどしい口調でリナが言った。
『別に気にする必要ないと思ふぞー』
 フォークを振りながらガウリィも似たような答えを返す。
『でも、何も言わずに行っちゃうなんて・・・』
 渋ったアメリアだったが、見知らぬ町なので探しに行くのも困難だった。
「あーもうきっと、ふらふらそこらの美人さんについて行っちゃったとかそーゆーのなんです。あり得ます」
「お待たせ致しました。どうぞ」
「そうちょうどこんな・・・」
 無意識的に人差し指を向けてしまい、ソムリエの驚いた表情に途端に我に返った。
 慌てて指を引っ込める。
「ああああすみませえええんん」
 恥ずかしげに頭を下げ、カクテルを受け取る。
 くすくすと笑みを浮かべるソムリエが、客がいなくてつまらなかったのだろう、話しかけてきた。
「眠れないの?」 
 アメリアがまだ顔が赤いのを自覚しながら顔を上げる。背の高めなソムリエと目が合った。
 そうちょうどこんな・・・美人な人。
 焦茶色のストレートな長い髪。腰まで何も飾らずに伸ばしている。
 薄水色の優しげな細い瞳。化粧は控えめだが、充分大人の魅力を引き出している。
 年は二十歳かそれ以上・・・といったところか。
「あ・・・はい、えと、眠れなくて」
 しどろもどろな返事を返し、アメリアが青いカクテルに口を付けた。
「・・・・・・美味しい」
 ほとんど無意識的に呟いてから、もう一度ソムリエを見上げる。
「美味しいです、これ! お酒がこんなに美味しいと思ったの初めてです!」
「そう言ってくれると嬉しいわ。これでも女性に優しいカクテルを目指してるの」
 手際良く別のカクテルをシェイクすると、アメリアの前に新たなグラスを差し出した。
 三角型のグラスの中に入ったカクテルは、今度はほのかな薄桃色。
 炭酸が入っているのか小さな泡が浮かんでは消え、グラスの縁にはサクランボが一つ添えられていた。
「・・・かわいーですねぇ」
「これ、私のオリジナルカクテルなの。と言ってもまだ試作段階なんだけど。これはサービス。良かったら感想聞かせてくれない?」
 アメリアがグラスを傾けた。
「・・・あまーい。美味しいです」
 にこにこしながら飲むアメリアを見て、ソムリエも表情が緩んだ。
「ついでと言っては何だけど、カクテル名を決めかねてるの。貴女だったらこのカクテルに何て名前を付ける?」
ええっ? 私そういう名前を付けるのには慣れてなくて・・・」
「皆に聞いてるのよ。他の人だったら・・・『I LOVE YOU』とか、『MY LOVE』。『FOR YOU』ってのもあったかしら。やっぱり色がピンク色だから、恋愛になぞらえるみたいね」
「うーん」
 アメリアがカクテルの味を思い出すように目線を宙に漂わせた。
「確かに私もピンク色で可愛くて、そういう名前も浮かびました。でも・・・」
「でも?」
「何ていうか・・・恋愛になぞらえるんだったら、このカクテルはちょっと甘過ぎるような気がします」
 考えながら、思い出しながら、たどたどしく言葉を紡ぐ。
「恋愛って・・・甘いだけじゃないと思うんです。切なくて、苦しくて・・・それでも目を背けたくなくて。ほんのちょっとの出来事が物凄く幸せに感じられたりして・・・何だろう、色々混ぜ合わさって、甘酸っぱい、気がします」
 言ってしまってからアメリアが顔を赤くする。
「ええっと・・・私みたいな子供が何言ってるんでしょ。スミマセン聞かなかった事にして下さい」
 アメリアの言葉をじっと反芻するように考え込んでいたソムリエが、ふともう一度カクテルをシェイクする。
「こんな・・・感じかな?」
 もう一度差し出されたカクテル。色は変わっていないが、口を付けると味がほのかに違った。
 果物の酸味が入った、独特な甘酸っぱさ。
 そう、きっと、切なくて甘くて・・・こんな感じ。
「ライムを落としてみたんだけど・・・どう?」
「凄いですソムリエさん!」
「エルレナでいいわよ」
「エルレナさん! すっごく私のイメージぴったりに味が変わりました!! 凄いですよ!」
「今度は、名前付けられるかしら?」
「はい!・・・って、いいんですかホントに」
 エルレナが頷いたので、アメリアがちょっと顔を寄せるように手招きした。
 客は他に誰もいないというのに、それでも恥ずかしいのだろう。
「・・・可愛らしい名前ね。その名は初めてだわ」
「・・・お恥ずかしい限りです・・・」
 言ってしまってから後悔したようにアメリアが顔を手で覆った。
「皆が付けた名前は、男性から贈られて欲しいカクテルの名前だった。貴女はその逆ね、男性に贈りたいカクテル。・・・その発想は私も思い付かなかったわ」
「いえあのホントに・・・ちょっと恥ずかしいです・・・」
「アメリアー? ここにいんのー?」
 酒場の扉がきしみ、マントを羽織っていないリナが顔を出した。
「あっリナさん!!」
 カウンターの椅子から飛び降り、アメリアがリナに小走りに近寄る。
「ふらふらと出ていったまま帰ってこないんだから、心配しちゃったでしょ」
 軽く頭を叩かれ、アメリアが舌を出した。
「はーい。そろそろ帰ります」
 アメリアがUターンしてカウンターにカクテルの代金を置くと、にっこりと微笑んだ。
「お話できて楽しかったです。良かったら又来てもいいですかエルレナさん?」
「いつでも。又のお越しをお待ちしております」
 ソムリエらしく優雅に一礼をする。アメリアが身を翻してリナの元へ走っていった。

 ゼルガディスさん帰ってきたのかな?
 部屋に帰る途中、アメリアがゼルガディスの部屋の扉をそっと押した。
 前に皆で決めた事で、不在の時は鍵をかけるが、居る時は鍵をかけないようにしている。
 就寝中に襲撃された時など、仲間が扉を破れなくて入るのに時間がかかるからだ。
 きぃっと小さな音をたてて扉が開く。
 ベッドには人が寝ている膨らみがある。
 良かったちゃんと帰ってきたんだ。
 起こしてはいけないと思い、そのまま静かに扉を閉めた。
       
 次の日、アメリアが朝食に起きてくると、食堂にはリナとガウリィしかいなかった。
「ゼルガディスさんは?」
「ん? 来てないわよ。この時間にゼルが来てないって事は又どっか一人で行っちゃったんじゃない?」
 三杯目の紅茶を飲みながらリナが答える。
「・・・何だか擦れ違いですぅ」
 少しヤケ気味にハムエッグをがっついていると、ガウリィが食事の手を止めて、
「そーいえば昨夜『RABBIT』っていう酒場知らないかって言ってたぞ。俺知らんって答えたけど」
 ぱあん。
 反対側の席のリナからスリッパが飛んできた。
「ばかったれ。隣にある共同経営の酒場がそれでしょーが」
「おお、全く見てなかった」
 すぱあん。
 もう一つスリッパが飛ぶ。両足揃えていたようだ。
 隣の酒場って・・・エルレナさんがソムリエしてる酒場じゃないですか。
 エルレナさん綺麗だったからなぁ・・・やっぱりこうふらふらと・・・。
 アメリアがぶんぶんと首を振った。
「マイナス思考は正義じゃないです!! 大体ゼルガディスさんがいくら美人好きだからってすぐほいほいついて行っちゃうからって決め付けるのはまだ早いです!!」
 突然叫んだアメリアに、リナとガウリィが驚いて食事の手を止める。
「あ・・・す、スミマセン。独り言です、ハイ」
 まだ固まったような表情をしたリナが、そっとアメリアの後方を指差した。
「・・・え?」
 指差した方向に、ゆっくりと振り返るアメリア。
 今度はアメリアが固まった。
「・・・・・・誰が美人好きでほいほいついて行くって?」
「・・・・・・この人」
 思わず言ってしまったアメリアは、拳骨をくらった。
 ぶすっとしたままのゼルガディスが座席に座り、コーヒーを注文する。
 どうやら珍しく朝寝坊していたようだ。
「お前なぁそーゆー傾向があるから心配されるんだよ」
 口元にご飯粒を付けたまま、ガウリィがうんうんと頷いた。
「ガウリィの旦那・・・こういう時だけ脳を使うのはやめてくれ・・・」
「大体アンタが書き置きも伝言も残さず出ていっちゃうからでしょーが。昨夜だってあたしが迎えに行かなきゃアメリア帰ってこなかったかもしんないわよ」
「リナさ・・・」
 リナがにいっと笑みを浮かべた。どうやら引っ掛けたいらしい。
「帰って・・・アメリアお前どこに行ってたんだ!?」
「ゼルガディスさん昨日何も言わずにいなくなっちゃったじゃないですか。だから私も何も言わずにいなくなってみたかったんです」
 アメリアもリナに従い、わざと素っ気無い態度を取る。
 挑発されて、昨日どこへ行ってたか話してくれると思っていた。
「・・・・・・そーか。なら別に聞かん」
 がたっと席を立つと、コーヒーも半分残して行ってしまう。
「あ・・・」
「あ・・・スネちゃった」
「リナさあああん!! リナさんにまかせたのにぃあああああ!!」
「うーんこういう事もある。大丈夫夕飯までには忘れてるから」
「ガウリィさんと同じにしないで下さいっ!!」
「ほえ?」
 食事に没頭していたので気付かなかったのだろう、ガウリィが間の抜けた声を上げた。
「だああっ!! ミートソースを盛大に口の周りに付けたままこっち向くなっ!!」
 リナがべちっと紙ナプキンをガウリィの顔に叩き付けた。

 何だかその後は、ずっと気分が冴えなかった。
「あああ・・・どーしてこうなっちゃうんでしょう」
 ベッドの上で枕を抱き締め、アメリアが溜息を付く。
「アメリアっ、アメリアいるっ?」
 ノックの音と同時にリナが扉を開けてくる。あまりノックの意味がない。
「はい、いますけど・・・」
 ベッドの上で体制を変える事なくアメリアが首をこちらへ向ける。
「これこれっ格安で売ってたの!! 可愛いでしょっ」
 ぱっと目の前に突き出してきたのは、黄色のシックなワンピース。
 隣に水色の同じ物を並べて、リナがにっと笑った。
「あたし水色。アメリア確か黄色好きだったわよね。お揃いで買っちゃった♪」
 ほいと黄色の方をアメリアに投げてよこす。
「え・・・」
「気に入らない?」
「いえ、そんな事ないです。可愛いです」
「じゃ」
 リナが右手を差し出す。
「え?」
「服代」
「・・・リナさん、がめついです・・・」
 苦笑いしながらアメリアがリナの手の上に服代を乗せた。
「ちゃんと着て寸法確かめるのよ。今夜着て行くんだから」
 ひーふーと手の平の貨幣を確かめながらリナが言う。
「・・・え? どこにですか?」
「酒場よ酒場。隣の『RABBIT』って店すごく美味しいお酒作ってるっていうじゃない。明日にはここを発つし折角だから飲んで行こうと思ってね」
 エルレナさんがソムリエしてる酒場だ・・・。
 ・・・又、美味しいカクテル作ってくれるかな。
 ゼルガディスさんと仲直りできる、素直な気分になれるような。
「ゼルガディスさんは・・・?」
「あー? 部屋にもいないのよ。又どっか出かけちゃったみたい。ま、寂しくなれば来るわよきっと」
 ・・・前言撤回。記憶が飛ぶほど飲みたい気分。
「ぅわかりましたっ行きましょうっ!!」
「・・・何だかヤケに気合い入ってるわねアンタ」
「飲む時は飲むんですっ!! それも正義ですっ!!」
 もはや自分の言い分を理解できていないが、それでもアメリアは断言した。

 静かな闇夜の訪れ。空には青白い見事な月。
 隣町で祭りがあった為、町の人口が減っており酒場は貸し切り状態だった。
 アメリアがきいと扉を開けると、丁度こちらを向いた席についていたリナが手を上げた。
 水色のワンピースに、髪はアップにして先を垂らしている。
 ガウリィも着替えさせられたのか、いつもの水色の服ではなく黒を基調としたシックな衣服だった。
 ここまで綺麗にまとまっているのに、テーブルの上には空のジョッキが多数並んでいる。
 ガウリィは酔っても普段と変わりないが、リナはいい気分になっているようだった。
「アメヒアー、おいひーよー」
 アメリアはちょっとだけ手を振り返すと、エルレナの居るカウンターの席に一人腰掛けた。
 リナとガウリィは飲むのに忙しくて、特にアメリアを気にする様子はないようだった。
 リナと揃いの黄色のワンピース。髪はボリュームを抑え目に、大人っぽく精一杯頑張ってみた。
「あら、今日は随分と綺麗ね」
 エルレナがにこりと微笑む。アメリアが照れ笑いを浮かべた。
 そう、言って欲しいのはこの言葉。『可愛いね』じゃなくて『綺麗だね』。
「貴方のお相手は随分と遅刻魔みたいね」
「いいんですよエルレナさん。お相手なんて・・・いないんですから」
  そう言ってアメリアが、カクテルのメニューに目を通す。
  エルレナがひょいと、アメリアの手からメニューを取り上げた。
「あらそんな事言わずに、今夜はもう御注文頂いているのよ」
「え?」
 ぱか、と戸棚を開けると、氷で冷やされたワイングラスを取り出した。
 冷やされたせいでガラスが曇り、半透明の独特な色を保っている。
「随分遅かったじゃない」
 次のエルレナの言葉は、アメリアではなく酒場の扉を開けた人物に向けてのものだった。
「・・・少々面倒な事が多くてな」
 疲れ切ったような顔をしたゼルガディスが、一本のワインの瓶を持って立っていた。
 いつものマントの下は、オフホワイトの衣装ではなく、紺に銀の刺繍の縁取りをした映える洋装だった。
 いつもと違う雰囲気に、思わずアメリアが見とれてしまう。
 マントを入り口のコート掛けに置き、ゼルガディスがアメリアの右隣に腰掛けた。
「すまん、これを頼む」
 とん、とカウンターにワインの瓶を置く。エルレナが待っていたように栓を抜いた。
「承りました。45年物シャトー・ヴォシュフォールの隠れた銘柄、『アメリア』」
「!?」
 ぱっとアメリアが身を乗り出してワインのラベルを見る。
 ラベルにはしっかりと『Ameria』と刻まれていた。
 ワイン名に女性名が使われている事は多々あるが、まさか自分の名前が存在するとは思っていなかった。
「もしかして・・・昨日から姿が見えなかったのって・・・これを探してたから・・・?」
 ゼルガディスはそっぽを向いたまま答えようとしない。
 彼特有の照れ隠し。素直じゃない所は彼女が一番良く知っている。
 だから思わず笑みがこぼれた。
「・・・何で笑う」
 まだ紫色が顔から抜けないゼルガディスが、わざとぶっきらぼうに言い放つ。
「だって嬉しいんですもん」
 結局貴方しか考えられないんです。それが嬉しいんです。
「お待たせ致しました」
 アメリアの前に、琥珀色のワインの注がれたグラスが差し出された。
「おい・・・俺のは?」
 ゼルガディスが問う中、エルレナはすました顔をしてカクテルをシャッフルする。
「貴方のは彼女から特別に御注文頂いております」
 言ってアメリアにウインク一つ。
「!」
 今度はアメリアが赤くなる中、ゼルガディスの前には薄桃色のカクテルが差し出された。
 縁には可愛くサクランボが一つ。
「『with my heart』。本日より御注文頂ける新商品です」
 二人共黙ってしまった瞬間、後方からリナが酒を注文する声が響いた。
「おねーさんっ、ジントニックとカシスフィズとバーボン水割りと生っ!!!!」
「はーいただいまっ」
 エルレナがわざとらしく大きな声で答えると、酒瓶を抱えてリナ達のテーブルへ行ってしまう。
 しばし沈黙。
 それから・・・ゼルガディスが咳払いを一つすると、カクテルグラスを持ち上げた。
 アメリアもワイングラスを持ち上げ、照れながらもにこりと笑う。
『乾杯』
 ちりん。
 かち合ったグラスが、静かに澄んだ音をたてた。
 ・・・これからも、貴方と居させて下さい。  

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4140COCKTAIL BAR  Z side水晶さな URL8/27-00:05
記事番号4139へのコメント


 閉め切られた館は、埃の臭いがそこはかとなく漂っていた。
 ブラインドの隙間から僅かに日差しが伸びるぐらい。
 その日の色もオレンジ色に変わろうとしていた。
 額に滲む汗を拭い、又次の棚へ手を伸ばす。
 一本一本ラベルを見ては、元の棚へ放り込む。
 巨大なワインセラーの中、調べたワインは数百本。
「・・・何でこんなにムキになって探してるんだ・・・俺は・・・」
 脚立の上でゼルガディスは一人ごちた。

 いつもと変わりない日の筈だった。
 リナの強制的発言により滞在期間が明日一杯までとなり、明後日の朝にはここを発つと。
 期間がいつもより短い事もあって、ゼルガディスは早々に自分の為の情報集めに出かけた。
 たいして大きな町でもなし、どうせすぐに戻れるだろう。
 そう思ったからわざわざ伝言は残していかなかった。
 図書館らしき建物を発見し、そちらへ歩いていた矢先。
 擦れ違った男の異様な気配に気がついた。
「・・・?」
 不審に思い後ろを振り向く。後方から女の声が響いた。
「捕まえてっ!! 泥棒よ!!」
 声を聞き、反射的に体が動いていた。
 剣を鞘ごと抜き、男の膝の裏に叩きつける。
「・・・っ!!」
 前のめりになり突っ伏した男の後頭部を一回蹴ると声もなく失神した。
 丁度追ってきたらしい女が息を切らせながらこちらへ近寄ってくる。
 焦茶色の腰まである髪、水色の細長の瞳。薄化粧だがなかなかの美女である。
 男の握っていた皮製の財布を取ると、ほいと投げてやった。
「ありがとう!! ・・・えと」
 今まともにゼルガディスの顔を見たのだろう。フードはかぶっていたが、真正面から見れば岩肌はわかる。
 相手の固まった表情を見て、ゼルガディスがくるりと足の向きを変えた。
 いつもの事だ気にする暇はない。
 ・・・が、2・3歩も歩かない内に左手を掴まれた。
「・・・?」
「お礼ぐらいさせて頂戴」
 にっこり笑って女が言う。
 珍しい奴だな。
「礼をされる程の事はしていない」
「充分よ。だって婚姻届が入ってるんだもの」
 今度はゼルガディスが固まった。
 その様子に女が吹き出す。
「忙しいんだったら引き止めはしないけど・・・アナタ、お酒好き?」
「・・・嫌いではないが」
「じゃ、いいわね。私なりのお礼をさせてもらうわ」
 そう言うと先に立って歩き出す。
 ゼルガディスが嘆息して後をついていった。
 この笑顔で強引に自分のペースに持ち込む性質。誰かさんとよく似ている。
 先を歩いていた女が、ふとこちらに戻ってきた。
「?」
「二度と顔見せるなこの野郎っ!!」
 げしっ。
 地面にのびていたスリの男の後頭部を思いっきり踏み付ける。
 前言撤回。ここまで暴力的じゃない。

「ほう」
 家を見た途端、思わず漏れた感嘆の言葉。
 それほど大きくない町にしては大きな館。
 デザインもわざわざ彫刻家を雇ったのではないかと思うほど美しくまとまっていた。
「祖父の忘れ形見よ。豪勢な家に住むのが夢だったんですって」
「実現できる奴はそういないがな」
 女が肩をすくめた。
「父の代まで借金を残してくれたわ」
「・・・・・・」
「ま、幸い家までは取り上げられなかったんだけど、ね」
 重い鉄格子の門を精一杯押して開ける。
            
「・・・バーテンダーやってるのか?」
「その言い方あんまり好きじゃないの。ソムリエって言ってくれる? 一応ワインも扱えるんだから」
 エルレナと名乗った女は、カウンターバー付きの部屋へゼルガディスを案内した。
 紙袋に入っていた果物をどかどかと棚に入れる。恐らくカクテルに使うのだろう。
「酒が好きか嫌いかって聞いたのはこれか? 悪いが昼間から飲む気はないぞ」
「私だって仕事に差し支えちゃうような事はしないわ。お礼はこっち。ついてきて」
 すたすたと自分のペースで行動するエルレナに、ゼルガディスが内心疲れながらも後をついていく。
 案内されたのは食料貯蔵庫。しかし棚にほとんど食材はなく、がらんとしている。
「そういえばアンタ」
「私『アンタ』って名前じゃないんだけどなー」
「・・・エルレナ、ここに一人で住んでるのか?」
「父が存命よ。放浪好きで年に1、2回しか帰ってこないの」
 床の取っ手に手をかけ、力を込めて持ち上げた。
 そこも貯蔵庫かと思ったら、階段が続いている。
「・・・ワインセラーか?」
「当たり」
 エルレナがにまっと笑った。
          
「・・・ほう」
 本日2回目の感嘆の声である。
「こりゃ見事だな」
「ありがと。祖父の道楽も誉められる事があるのね」
 地下の巨大なワインセラー。
 天井近くの壁は地面が低くなっており、その窓からだけは光が差し込めるようになっている。勿論直射日光が当たらないようにブラインドはかけてあるが。
 故に特に灯りは必要なかった。
「一つ一つ銘柄が違うのよ。貴方の好きなのを持って行って頂戴。1500本はあるらしいけど、全部持っていくとか言い出さない限りOKよ」
 誰かさんだったら『全部』とか容赦なく言うんだろうな。
 『誰かさん』をとりあえず頭から除外し、ゼルガディスが手近なワインを一本取ってみた。
 知らない名だが(というかあまりワインには詳しくないが)、年代物なのは見てとれた。
「いいのか? 結構な値打ちものだろ?」
「この町はワインの銘柄にこだわるほど裕福じゃないの。飲みたい人が飲めばいいのよ」
 階段によっかかりながら手をひらひらさせるエルレナ。
 どうせ時間はあるしな。
「少し見て回っていいか?」
「どうぞ遠慮なく。私仕事の支度があるから上にいるわ。時間になったら出ていっちゃうけど、じっくり選んで」
「初めて会った奴だってのに、随分無用心だな」
 思わずゼルガディスが言ってしまう。
 とんっとエルレナが胸を叩いた。
「これでも人を見る目は持ち合わせてるつもりよ。人が相手の商売だもの」
「成る程。んで、ついでにその財布に入れてる婚姻届ってのも聞いていいか?」
 特に意味はないが、気になったから聞いてみた。
「彼の直筆の署名もちゃんと入ってるわ。次に帰ってきたら一緒に役所に行くの」
「次に・・・?」
 エルレナがぽりぽりと頭を掻いた。
「航海士なの。1年2年帰ってこないのはザラ。しかも今回新航路で行くから帰ってくる保証ナシって言われたわ」
 ゼルガディスががくりと肩を落とした。
「・・・そーゆーのをあっけらかんと言っていいのか・・・?」
「だってうじうじ言ったってしょうがないじゃない。落ち込んでちゃ仕事できないし」
「そりゃそーだが・・・」
「それでも『帰ってくる』って言ったのよ。嘘はつかない人だし、待っててあげる事にしたの」
「・・・・・・」
 過去の自分がダブり、思わず言葉を失った。
「貴方もそんな人じゃない? 彼に似てるもの。そんな雰囲気だった」
「・・・・・・」
「そんでもって待たせてる彼女もいるわね」 
「ゲホッ!!」
 回想シーンから一気に現実に引き戻され、ゼルガディスが激しくむせた。
「いい加減帰ってこないとキレるから注意した方がいいわよ」
 ウインク一つ残して階段を駆け上がっていく。
「・・・余計なお世話だ」
 そう言って再びワインに目を向ける。
 ブリュニエール・シャトー 40年物。
 ルイ・フォレオル・ダット 25年物。
 クリスティーヌ、マルガリータ、アントワネット。
「女名が多いな」
 ふと思い付いて名前からワインを探してみる。
 そう簡単に見つかる筈はないのだが、それでも探してみたくなった。
 ・・・そうして現在に至る。

「・・・暑い」
 最低限の換気しかできない窓しかないのである。一人で動き回って暑くなるのは当たり前。
 最後の瓶を元あった位置に押し込んで、ゼルガディスが息をついた。
「やっぱないか・・・全部やるまで諦めつかないなんて何をやっとるんだ俺は・・・」
 脚立から降りようとして、ふとワインの隙間に見える壁に目が行った。
 細い鎖が交差している。その真ん中には小さな鍵穴も見えた。
 わざと隠したような位置。
 しかもその上の文字のかすれたプレートには「我が愛しの娘達」と書いてある。
「まだある・・・?」
 手を伸ばしてみたが、壁に外れるような亀裂はどこにも見当たらない。
 この部分が開くのではなく、恐らくどこかの隠し扉でも開くのだろうが。
「・・・エルレナに聞くしかないな」
 鍵があるのならばエルレナしか持ち得ていない。
 だが、1階に戻るとエルレナの姿は見当たらなかった。
 最初に案内された部屋に行くと、カウンターの上にメモが1枚。
『お仕事の時間なので行ってきます。玄関の鍵は自動ロックなのできちんと閉めてくれればOK。欲しいワインが見つからなかったら又来ていいわよ。【RABBIT】っていう酒場で働いてます。 エルレナ』
「・・・読みの深さも1枚上手か・・・」
 その内アメリアがこうなったらどうしようと、いらぬ心配までしながらゼルガディスは帰路についた。

「参ったなまさかこんな遅くなるとは」
 宿屋に戻ると、既に仲間達は就寝していた。
 皆に言伝も残さず長時間不在にしてしまった。特にアメリア辺りが騒ぎまくった事だろう。
 明日の朝顔を出しておくか。とりあえず今日はもう疲れた。
 自分の部屋に向かって歩いていくと、突然中途の扉が開きガウリィがぬうと顔を出した。
「どわあっ!? だっ旦那いきなり出てくるな!!」
「んな事言ったってトイレに行きたいんだからしょうがないじゃないかー」
 少し寝ぼけ気味にガウリィが答える。ふらふらと反対側へ歩いて行くのをふと呼びとめた。
「旦那、『RABBIT』っていう酒場知ってるか?」
「いんやー知らん」
「・・・そうか」
 そもそもガウリィに聞いたのが間違いだったと思い直し、ゼルがディスが自室に入った。
 ベッドに潜ってまどろむこと数十分。
 うとうとしかけた所で部屋の扉がきしむ音が聞こえた。
 アメリアか、帰りが遅くなったから確認しに来たのか?
 静かなので相手がほっと息をつく音まで聞こえる。
 そのまま扉が閉められたので、ゼルガディスも特にどうということもなく眠りについた。

 昨日の疲労がたたったのか、いつも朝食に起きる時間から30分も過ぎて目が覚めた。
 朝食を食べる気も起きなかったが、せめて顔は見せておいた方がいいだろうと食堂に向かう。
 アメリアの後ろ姿が見えた。
 近付いて、声をかけようと思った矢先、突然アメリアが叫んだ。
「マイナス思考は正義じゃないです!! 大体ゼルガディスさんがいくら美人好きだからってすぐほいほいついて行っちゃう             からって決め付けるのはまだ早いです!!!!」
 ぴき。
 確かにエルレナは美人だったが。
 だからってほいほいついて行った訳じゃない。
 リナに指差されアメリアがゆっくりとした動作で振り向く。
 こちらの顔を見た途端固まるアメリア。
「・・・・・・誰が美人好きでほいほいついて行くって?」
「・・・・・・この人」
 指差して即答された為、ついいつものように拳骨をくらわせてしまった。
 不機嫌なまま席に座り、コーヒーを注文する。  
「お前なぁそーゆー傾向があるから心配されるんだよ」
 口元にご飯粒を付けたまま、ガウリィがうんうんと頷いた。
「ガウリィの旦那・・・こういう時だけ脳を使うのはやめてくれ・・・」
 いつもは話を聞いていない彼が、たまに口を出すと的を得ているから痛い。
「大体アンタが書き置きも伝言も残さず出ていっちゃうからでしょーが。昨夜だってあたしが迎えに行かなきゃアメリア帰ってこなかったかもしんないわよ」
 んな?
「帰って・・・アメリアお前どこに行ってたんだ!?」
「ゼルガディスさん昨日何も言わずにいなくなっちゃったじゃないですか。だから私も何も言わずにいなくなってみたかったんです」
 素っ気無く言い放つアメリア。
 そーくるか。こっちだって意地があるぞ。
「・・・・・・そーか。なら別に聞かん」
 がたっと席を立つと、コーヒーも半分残して行ってしまう。あまり飲む気もなかったのだ。
 後方でリナとアメリアが騒いでいるのが聞こえたが、大方人を引っかけようとしたのだろう。
         
 宿屋を出て、隣接する酒場『RABBIT』の位置を確かめる。
 何だすぐ隣じゃないか。
 目線を外そうとした瞬間、扉からエルレナが出てきた。
「あら」
「・・・よぅ」
 ワインセラーの隠し鍵穴の事を伝えると、エルレナがポケットに手を突っ込んだ。
 鍵束の中から、一際小さい鍵を取り上げる。
「これじゃないかしら。遺品で貰ってから、これだけ使い道がわからなかったのよね」
 まだあるかもしれないワインを見たいと言うと、エルレナが快く頷いた。
「ところで」
 先を歩き出したエルレナが、ふと振り返る。
「昨日にも増してぶすっとした顔してるわね。大方彼女とケンカでもしたんでしょーけど、それでしかめっ面してる男は可愛げがないわよ」
「余計なお世話だっ」
 ゼルガディスが思わず力んで叫ぶと、エルレナがくすくすと笑った。

「『我が愛しの娘達』・・・か」
 エルレナがプレートをなぞって口にした。
 あまり多くを語らなかった祖父。
「じーさん、娘が多くいたのか?」
「三人ね」
 脚立の下に居るゼルガディスに答え、エルレナが鍵を差し込んだ。
 錆び付いているのを強く鍵を回すと、がりっと何かが動く音。
 薄汚れた壁の一部が、荘厳な音をたてて持ち上がった。
「隠し扉か・・・」
「見せて。孫なんだもの一番に見る権利あるわよね」
 脚立から身軽に飛び降りたエルレナが出来あがった穴をくぐっていく。
 ゼルガディスが後に続いた。
「・・・ほー」
 これはエルレナの感嘆の声。
 特殊染料を塗った天井が、数十年経ったというのにうっすらと光を放っている。
 壁は塗られておらず、天然そのままの土。
 換気は隠し扉の隙間から行われていたのだろう。湿った空気は感じられなかった。
 小さな部屋の周囲に円を描くようにたった台と、その上に乗った合計10本のワイン瓶。
 瓶からして他のものと作りが違う。
 エルレナがその一つをひょいと覗き込んだ。
「これは・・・凄いわね。製造場所は有名な所だけど、こんな名前見た事ない。特別注文ねきっと」
 一つ持ち上げて名前を見せる。
 『アン』という名前のラベル入りのワインだった。
「これ、祖父の末娘。私の母さんよ」
「一本だけ特別に? そりゃ相当な値打ちもんだな」
 ゼルガディスが周囲のワインを眺め、
 その視線が一本のワインで止まった。
 思わず駆け寄って手に取る。
 『アメリア』
 スペリングも間違いない。
「・・・これ、貰えないか。一本でいい」
「ふうん、昨日っから探してたのはそーゆーワケ」
 ラベルを覗き込み、エルレナが意味ありげな笑みを浮かべる。
「たまには優しい事してあげなきゃね。待ってる甲斐があるってものよ」
「・・・それで気が長持ちしてくれるのか?」
 エルレナが皮の財布から折り畳まれた婚姻届を取り出して見せた。
「少なくとも私はね。約束があるって嬉しいものよ」
「・・・参考にしておく」
「実行しなさいよ。甲斐性なし」
 このツッコミはさすがに胸に突き刺さった。
「・・・さて、私そろそろお店に行かなきゃ。今夜予約が入ってるのよ。大量に飲むから用意しておいてくれって」
「それってもしかして予約名がリナとかいうんじゃ・・・」
「あら、お仲間だったの?」
 ゼルガディスが肩を落とした。
「・・・だったらアメリアも来るだろうな。持ち込みは許されるのか?」
「普通は却下だけど、今回限りは許してあげるわ。ワイングラス冷やしておく」
「・・・代金は弾ませてもらう」
「あら、ありがとう」
 それから、思い出したようなゼルガディスが尋ねる。
「・・・なぁ、じいさん娘三人だろ。何でワインが十本あるんだ?」
「名前から見て、残りの七本は祖父の愛人ね」
 さらりと言ったエルレナに、ゼルガディスがその場にくずおれた。      

 玄関の扉を閉め、行こうとした時エルレナがこちらを振り返った。
「そうそう、少しぐらい洒落た格好してきなさいよ」
「はぁ?」
「ご予約のリナさん。今夜はドレスアップしてくるって張り切ってたわよ。勿論お連れさんも」
「・・・・・・急に言われてもなぁ」
 エルレナが思い出すように額に指先を当てた。
「あーのー、昨日会った所覚えてる? あの近くで屋根が青色の衣装屋があるんだけど、今度閉店するから売り尽くしセールやってるのよ。あそこだったらまぁ良さげな物売ってるから寄ってきなさい」
「面倒だ」
「甲斐性・・・」
「わーかった!! わかったからそれは言うな!!」
「じゃ、又あとで会いましょ♪」
 勝利の笑みを浮かべ、エルレナが紙袋を抱えて行ってしまう。
 ゼルガディスががっくりと肩を落とした。
「何だか最後まであいつのペースに引きずられたような気がする・・・」

 衣装屋に入った途端、店の主人らしい初老の婦人がぽんと手を叩いた。
「あっ、アンタだねゼル何とかっていうの」
「・・・ゼルガディスだ」
「そうそうそんな人」
「そんなって・・・」
「エルレナちゃんから頼まれてるんだよ。この服だけは取っておいてアンタに売ってくれって」
 あいつめ。めちゃめちゃ図りやがったな。
「ああ、そういえば口止めされてたんだ。やだねぇボケちゃって」
 婦人のペースにもついていけず、ゼルガディスが諦めて婦人から服を受け取る。
「いくらだ?」
「そう急いちゃいけないよ。特別に仕立ててあげるから着てみなさい」
「いや時間が・・・」
「サイズの合わない服を着てるのは格好つかないよ。さあさあ着替えた着替えた」
 そういって更衣室に押し込まれた。
              
 ・・・結局裾直しだの寸法だので数時間かかった。
 それでも急げばリナの『予約時間』には間に合うだろう。
 寸法をきちっと合わせた、紺に銀の刺繍の縁取りをした衣装を着て、上にいつものマントを羽織る。
 店の婦人にやめろと言われたが、着なれない服装で町中を歩く方が恥ずかしい。
 代金を渡し、さて行こうかと自分の荷物を持ち上げた時、はたと気付いた。
「・・・ワイン、知らないか?」
「はい?」
「ワインの瓶、荷物と一緒に並べて置いておいただろう」
「あたしゃ知らないよ」
「・・・俺が着替えている間に、入ってきた客とかいなかったか」
 むー、と婦人がうなるような仕草をする。
「寸法直ししてる時に男が一人入ってきたねぇ。結局何も買わずに帰ったけど」
「どっちへ行った!!」
「えーっと、あっちか」
 宿屋と全くの反対方向。
「だああ畜生!!」
 荷物を担ぎ、全力疾走。
 自分でも信じられないぐらいのスピードで疾走していると、どこかで見た後ろ姿。
 手にはしっかりワインの瓶。
 ・・・昨日のスリか!!
 まさか二日連続で会おうとは。これなら昨日役所に突き出しておけば良かった。
「待ちやがれ貴様ぁああああ!!!!」
 後ろから追いかけてくる、鬼より怖い形相の男。
 これではスリも必死になる。
 後ろからファイアーボールを投げ付けた方が早いと気付いたのは、『予約時間』を過ぎた頃だった。

 ・・・疲れた。
 スリの男にファイアーボールを投げ付け、黒焦げにしてから踏み付けて役所に放り投げて。
 気がついた時には日が暮れているし。
 かなりもう投げやりな気分だったが、それでも一応酒場の扉を開けた。
「随分遅かったじゃない」
 入った途端投げかけられたエルレナの言葉。
「・・・少々面倒な事が多くてな」 
 言い返して、マントをコート掛けにかける。
 カウンターに居たアメリアが、じっとこちらを見ていた。
 黄色のシックなワンピースに、ボリュームを少し抑え目にした髪形。
 いつもとは違う大人っぽさ。直視できなくてすぐに隣の席に腰掛けた。    「すまん、これを頼む」
 とん、とカウンターにワインの瓶を置く。エルレナが待っていたように栓を抜いた。
「承りました。45年物シャトー・ヴォシュフォールの隠れた銘柄、『アメリア』」
「!?」
 ぱっとアメリアが身を乗り出してワインのラベルを見る。
 ゼルガディスの方を振り向いて、ぱちぱちと目をしばたたかせる。
 そんなに驚くな。こっちが照れるだろ。
「もしかして・・・昨日から姿が見えなかったのって・・・これを探してたから・・・?」
 答える事もできず、あさっての方向を向いてしまう。
 するとアメリアが嬉しそうに笑った。
「・・・何で笑う」
「だって嬉しいんですもん」
 幸せそうに。抱き締めたいぐらいの微笑み。
 これで長持ちしてくれるんだろうか。
 ふとエルレナの言葉を思い出した。               
「お待たせ致しました」
 アメリアの前に、琥珀色のワインの注がれたグラスが差し出された。
 グラスは一つだけ。
「おい・・・俺のは?」
 ゼルガディスが問う中、エルレナはすました顔をしてカクテルをシャッフルする。
「貴方のは彼女から特別に御注文頂いております」
 言ってアメリアにウインク一つ。
 今度はアメリアが赤くなる中、ゼルガディスの前には薄桃色のカクテルが差し出された。
 縁には可愛くサクランボが一つ。
「『with my heart』。本日より御注文頂ける新商品です」
 ・・・おい、こんな展開予想もしてないぞ。
 二人共黙ってしまった瞬間、後方からリナが酒を注文する声が響いた。
「おねーさんっ、ジントニックとカシスフィズとバーボン水割りと生っ!!!!」
「はーいただいまっ」
 エルレナがわざとらしく大きな声で答えると、酒瓶を抱えてリナ達のテーブルへ行ってしまう。
 しばし沈黙。
 いかん。このまま黙ってたら又エルレナに痛い言葉をくらってしまう。
 ゼルガディスが咳払いを一つすると、カクテルグラスを持ち上げた。
 アメリアもワイングラスを持ち上げ、照れながらもにこりと笑う。
『乾杯』
 ちりん。
 かち合ったグラスが、静かに澄んだ音をたてた。
 ・・・いつも待たせてすまない。けど、いつか、迎えに行く。 

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4152初めまして♪ゆっちぃ E-mail 8/28-01:09
記事番号4140へのコメント


初めまして〜♪ゆっちぃと申します☆

『COCKTAIL BAR』、読ませて頂きました☆
すんごく良かったです〜〜〜〜〜(////)
設定とか、話の雰囲気とか、上手くいえないんですけどとにかく良かったです!素敵でした〜〜(^-^)
あるかどうかもわからない銘柄の『アメリア』を探すために東奔西走するゼル、良かったです!
恋に悩む(?)姫もかわゆいです〜〜〜vvvらぶらぶですがな(にやり)


>「承りました。45年物シャトー・ヴォシュフォールの隠れた銘柄、『アメリア』」
 ああ!良いですよねぇ、これ。たまんないですよぅ♪ 

>「『with my heart』。本日より御注文頂ける新商品です」
 この名前だったんですね、アメリアが言ってたのは!
 『with my heart』、素敵ですv(にしても、これをゼルに贈るっていうのは半分以上告白なのでは…………きゃ(////)) 
 
エルレナさんも素敵な方ですねぇv私はオリキャラって上手く作れないので自作の小説には出した事ないですι
はぅ〜、エルレナさんのような素敵なオリキャラ、一度でいいから出してみたいものです(くすん)

感想……になってるといいのですが、やっぱり言いたい事の半分も書けてませんね(泣)
『感想もどき』ですみませんιもちょっと精進しますね☆それでは、わんだふるなお話をありがとうございましたv

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4171ありがとうございますっ♪水晶さな URL8/29-23:01
記事番号4152へのコメント


 コメント遅れてすみません(-_-;) ちょっくら家を不在にしておりましたっ。

>『COCKTAIL BAR』、読ませて頂きました☆
>すんごく良かったです〜〜〜〜〜(////)
>設定とか、話の雰囲気とか、上手くいえないんですけどとにかく良かったです!素敵でした〜〜(^-^)
>あるかどうかもわからない銘柄の『アメリア』を探すために東奔西走するゼル、良かったです!
>恋に悩む(?)姫もかわゆいです〜〜〜vvvらぶらぶですがな(にやり)

 あああそこまで誉めて頂けると、何ていうか溶けそうです(爆)。
 アメリアはちょっといつもより元気ないかなーという感じでしたが、恋煩いなら仕方ないということで・・・。


>>「承りました。45年物シャトー・ヴォシュフォールの隠れた銘柄、『アメリア』」
> ああ!良いですよねぇ、これ。たまんないですよぅ♪ 

 ワインに関する知識は皆無なのでかなり書いてて冷や汗ものでした(汗)。
 ・・・変な事突っ込まれなくて良かった・・・(爆)。


>>「『with my heart』。本日より御注文頂ける新商品です」
> この名前だったんですね、アメリアが言ってたのは!
> 『with my heart』、素敵ですv(にしても、これをゼルに贈るっていうのは半分以上告白なのでは…………きゃ(////))

 かなーり告白です(笑)。命名した時だって相手を思い浮かべて名付けましたからね。引っ張っといてかなり控えめな告白でしたが(爆)。
 
 
>エルレナさんも素敵な方ですねぇv私はオリキャラって上手く作れないので自作の小説には出した事ないですι
>はぅ〜、エルレナさんのような素敵なオリキャラ、一度でいいから出してみたいものです(くすん)
>感想……になってるといいのですが、やっぱり言いたい事の半分も書けてませんね(泣)
>『感想もどき』ですみませんιもちょっと精進しますね☆それでは、わんだふるなお話をありがとうございましたv

 ゼルとアメリアだけ書いてるとどーしても嘘くささが抜けなくて(笑)。オリキャラなんぞ混ぜてかき回したくなるんです。
 ああでもエルレナは書いてて楽しかった・・・(笑)。
 いえいえ充分な感想ですヨ。ありがとうございました♪

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4155はじめまして☆ねんねこ 8/28-15:47
記事番号4140へのコメント

はじめまして、さなさん。ねんねこというものです。投稿小説2の方で駄文を製造してます。
いいお話でしたっ! ねんねこの話と全然違うっ!(比べたら失礼だって……)テンポがいいですっ!
人っていつもいっしょに行動しているわけじゃないですから、アメリア中心で核とゼルおざなりになる始祖のまた逆もしかりという風になるんですが……さすがです。二人別々に書けばいいんですね。でも、時間的矛盾を回避して書くなんてやっぱりさなさんはすごいです。

>「・・・何でこんなにムキになって探してるんだ・・・俺は・・・」
> 脚立の上でゼルガディスは一人ごちた。
ゼルが一途にアメリアに惚れこむ……良いですね(はぁと)。ふと自分のやってることを振り返って『何してんだ、俺』とか言っても結局探しつづけるゼル君いい感じです(笑)

>「二度と顔見せるなこの野郎っ!!」
> げしっ。
> 地面にのびていたスリの男の後頭部を思いっきり踏み付ける。
>「そういえばアンタ」
>「私『アンタ』って名前じゃないんだけどなー」
> だが、1階に戻るとエルレナの姿は見当たらなかった。
> 最初に案内された部屋に行くと、カウンターの上にメモが1枚。
>『お仕事の時間なので行ってきます。玄関の鍵は自動ロックなのできちんと閉めてくれればOK。欲しいワインが見つからなかったら又来ていいわよ。【RABBIT】っていう酒場で働いてます。 エルレナ』
>「・・・読みの深さも1枚上手か・・・」
> その内アメリアがこうなったらどうしようと、いらぬ心配までしながらゼルガディスは帰路についた。
エルレナさん、結構好きなんですけど……
アメリアがゼルより一枚上手になる……なんかこの頃のねんねこのアメリアはかなりゼルに対してツッコミとか入れてるんですけど……(汗)
今のままでもアメリアってゼルより上手だと思うのはねんねこだけでしょーか……

>「・・・・・・誰が美人好きでほいほいついて行くって?」
>「・・・・・・この人」
> 指差して即答された為、ついいつものように拳骨をくらわせてしまった。
素直な発言だ(笑)しかも即答。信用されてないなぁ、ゼル(笑)

>「・・・なぁ、じいさん娘三人だろ。何でワインが十本あるんだ?」
>「名前から見て、残りの七本は祖父の愛人ね」
> さらりと言ったエルレナに、ゼルガディスがその場にくずおれた。
す……素敵なおじい様ですね……エルレナさんのおじい様……いや、まあ、借金残してまででっかい家建てるよーな人だし……(汗)

>「だああ畜生!!」
> 荷物を担ぎ、全力疾走。
> 自分でも信じられないぐらいのスピードで疾走していると、どこかで見た後ろ姿。
> 手にはしっかりワインの瓶。
> ・・・昨日のスリか!!
> まさか二日連続で会おうとは。これなら昨日役所に突き出しておけば良かった。
>「待ちやがれ貴様ぁああああ!!!!」
> 後ろから追いかけてくる、鬼より怖い形相の男。
さ……さすがゼル。アメリアに贈るワインとなると必死必死(笑)

> ・・・疲れた。
> スリの男にファイアーボールを投げ付け、黒焦げにしてから踏み付けて役所に放り投げて。
> 気がついた時には日が暮れているし。
やっぱりワインとは言えど『アメリア』と名がついたものを持ち逃げされて相当怒ってますねー。黒こげにしてから踏みつけ……『こんにゃろこんにゃろ』とか言いながら思いっきり踏んづけてそうですね。って、役所に放り投げたんですか……ゼル……

>「もしかして・・・昨日から姿が見えなかったのって・・・これを探してたから・・・?」
> 答える事もできず、あさっての方向を向いてしまう。
> するとアメリアが嬉しそうに笑った。
>「・・・何で笑う」
>「だって嬉しいんですもん」
> 幸せそうに。抱き締めたいぐらいの微笑み。
そりゃ嬉しいですよ。必死になって探してくれたのが分かるから。

> ・・・いつも待たせてすまない。けど、いつか、迎えに行く。 
迎えに行っちゃって下さい。何ならこのまま攫ってっちゃってもいいです(笑)

ああ、アメリアサイドは切ない恋話……ゼルあなたはどこに行ってしまったの的なお話でしたけど、ゼルサイドはちょっと笑えました(すみません)。アメリアのために苦労するゼル。アメリアへの愛がうかがえますな。

というわけでまた素敵なお話を楽しみにしています。
あ、あとねんねこもゼルアメ←ゼロス的なお話をいくつか投稿しているのでよかったら読んでみて下さい(とさりげなく宣伝・殴)
というわけでねんねこでした。では。

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4172ありがとうございます〜(^_^)水晶さな URL8/29-23:13
記事番号4155へのコメント


>はじめまして、さなさん。ねんねこというものです。投稿小説2の方で駄文を製造してます。
>いいお話でしたっ! ねんねこの話と全然違うっ!(比べたら失礼だって……)テンポがいいですっ!
>人っていつもいっしょに行動しているわけじゃないですから、アメリア中心で核とゼルおざなりになる始祖のまた逆もしかりという風になるんですが……さすがです。二人別々に書けばいいんですね。でも、時間的矛盾を回避して書くなんてやっぱりさなさんはすごいです。

 コメントでは初めましてー。ねんねこサンの小説も制覇しとります水晶さなです(笑)。ああクラヴィスさん素敵・・・ってこんなトコで呟いてどーする。


>>「・・・何でこんなにムキになって探してるんだ・・・俺は・・・」
>> 脚立の上でゼルガディスは一人ごちた。
>ゼルが一途にアメリアに惚れこむ……良いですね(はぁと)。ふと自分のやってることを振り返って『何してんだ、俺』とか言っても結局探しつづけるゼル君いい感じです(笑)

 息抜き程度に言ってみただけだと思います(笑)。
 何だかんだいって几帳面な性格だと思うので、やっぱり最後まで調べないと気が済まないんじゃないかなーと思いまして(笑)。


>>「二度と顔見せるなこの野郎っ!!」
>> げしっ。
>> 地面にのびていたスリの男の後頭部を思いっきり踏み付ける。
>>「そういえばアンタ」
>>「私『アンタ』って名前じゃないんだけどなー」
>> だが、1階に戻るとエルレナの姿は見当たらなかった。
>> 最初に案内された部屋に行くと、カウンターの上にメモが1枚。
>>『お仕事の時間なので行ってきます。玄関の鍵は自動ロックなのできちんと閉めてくれればOK。欲しいワインが見つからなかったら又来ていいわよ。【RABBIT】っていう酒場で働いてます。 エルレナ』
>>「・・・読みの深さも1枚上手か・・・」
>> その内アメリアがこうなったらどうしようと、いらぬ心配までしながらゼルガディスは帰路についた。
>エルレナさん、結構好きなんですけど……
>アメリアがゼルより一枚上手になる……なんかこの頃のねんねこのアメリアはかなりゼルに対してツッコミとか入れてるんですけど……(汗)
>今のままでもアメリアってゼルより上手だと思うのはねんねこだけでしょーか……

 ツッコミが入れられるアメリアも素敵です(笑)。
 何だか私の書くアメリアはやっぱりまだ御子様で、エルレナに近付くにはまだ何年もかかるかと・・・(苦笑)。


>>「・・・・・・誰が美人好きでほいほいついて行くって?」
>>「・・・・・・この人」
>> 指差して即答された為、ついいつものように拳骨をくらわせてしまった。
>素直な発言だ(笑)しかも即答。信用されてないなぁ、ゼル(笑)

 ああ、皆さんやっぱりここのシーンが好きなのね(笑)。
 そういう要因があるから疑われるのに、わかってないんですねゼル(笑)。


>>「・・・なぁ、じいさん娘三人だろ。何でワインが十本あるんだ?」
>>「名前から見て、残りの七本は祖父の愛人ね」
>> さらりと言ったエルレナに、ゼルガディスがその場にくずおれた。
>す……素敵なおじい様ですね……エルレナさんのおじい様……いや、まあ、借金残してまででっかい家建てるよーな人だし……(汗)

 ・・・初めてこのシーンにツッコミ入れてくれた御人だ・・・(感動←笑)。
 エルレナに語らせる内に祖父がどんどん凄いものになっていってしまった・・・。
 

>>「だああ畜生!!」
>> 荷物を担ぎ、全力疾走。
>> 自分でも信じられないぐらいのスピードで疾走していると、どこかで見た後ろ姿。
>> 手にはしっかりワインの瓶。
>> ・・・昨日のスリか!!
>> まさか二日連続で会おうとは。これなら昨日役所に突き出しておけば良かった。
>>「待ちやがれ貴様ぁああああ!!!!」
>> 後ろから追いかけてくる、鬼より怖い形相の男。
>さ……さすがゼル。アメリアに贈るワインとなると必死必死(笑)

 キレると怖いですからね(笑)。
 相手が瓶落とした場合を考えなかったんだろーか(爆)。


>> ・・・疲れた。
>> スリの男にファイアーボールを投げ付け、黒焦げにしてから踏み付けて役所に放り投げて。
>> 気がついた時には日が暮れているし。
>やっぱりワインとは言えど『アメリア』と名がついたものを持ち逃げされて相当怒ってますねー。黒こげにしてから踏みつけ……『こんにゃろこんにゃろ』とか言いながら思いっきり踏んづけてそうですね。って、役所に放り投げたんですか……ゼル……

 スマキにした所で開いている窓からこう「どっせい」と(爆)。
 一段落ついた所でどっと疲れが出て(笑)。


>>「もしかして・・・昨日から姿が見えなかったのって・・・これを探してたから・・・?」
>> 答える事もできず、あさっての方向を向いてしまう。
>> するとアメリアが嬉しそうに笑った。
>>「・・・何で笑う」
>>「だって嬉しいんですもん」
>> 幸せそうに。抱き締めたいぐらいの微笑み。
>そりゃ嬉しいですよ。必死になって探してくれたのが分かるから。

 やっと会話が成り立つシーンまできましたから、少しぐらいはほのぼのさせないと(笑)。

>> ・・・いつも待たせてすまない。けど、いつか、迎えに行く。 
>迎えに行っちゃって下さい。何ならこのまま攫ってっちゃってもいいです(笑)

 それはちょっと早・・・げふげふ(爆笑)。 


>ああ、アメリアサイドは切ない恋話……ゼルあなたはどこに行ってしまったの的なお話でしたけど、ゼルサイドはちょっと笑えました(すみません)。アメリアのために苦労するゼル。アメリアへの愛がうかがえますな。

 アメリア編がしっとりイメージなのでゼル編はねっとり・・・嘘です(爆)。
 マジメに書こうとしてたのにオリキャラでエルレナを混ぜた辺りからもう間違ってました(笑)。ウケ狙いはかなーり入れたつもりなので大笑いして結構です(笑)。


>というわけでまた素敵なお話を楽しみにしています。
>あ、あとねんねこもゼルアメ←ゼロス的なお話をいくつか投稿しているのでよかったら読んでみて下さい(とさりげなく宣伝・殴)
>というわけでねんねこでした。では。

 ネタ思い付くのが亀の歩みより遅い奴なので気長に待ってて下さると嬉しいです(爆)。
 ねんねこさんのクラヴィス混じりゼルアメも楽しみにしとりますので頑張って下さいネ♪

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4141はじめまして。桜井 ゆかり 8/27-01:02
記事番号4139へのコメント

はじめまして。さなさん。
2の方でゼルアメ、ゼロアメ小説を書いています桜井 ゆかりです。


>「何ていうか・・・恋愛になぞらえるんだったら、このカクテルはちょっと甘過ぎるような気がします」
> 考えながら、思い出しながら、たどたどしく言葉を紡ぐ。
>「恋愛って・・・甘いだけじゃないと思うんです。切なくて、苦しくて・・・それでも目を背けたくなくて。ほんのちょっとの出来事が物凄く幸せに感じられたりして・・・何だろう、色々混ぜ合わさって、甘酸っぱい、気がします」
経験者は語るみたいですね。



>「・・・・・・誰が美人好きでほいほいついて行くって?」
>「・・・・・・この人」
> 思わず言ってしまったアメリアは、拳骨をくらった。
ああ・・・・可哀相に・・・アメちゃん・・・・・
一言多くなって来てるみたいですね・・・・


>「じゃ」
> リナが右手を差し出す。
>「え?」
>「服代」
>「・・・リナさん、がめついです・・・」
> 苦笑いしながらアメリアがリナの手の上に服代を乗せた。
でも、ちゃんと渡してますね。代金。
やっぱりリナさんが恐いんですね。



>「あー? 部屋にもいないのよ。又どっか出かけちゃったみたい。ま、寂しくなれば来るわよきっと」
> ・・・前言撤回。記憶が飛ぶほど飲みたい気分。
・・・・・壊れた・・・・・?


>「すまん、これを頼む」
> とん、とカウンターにワインの瓶を置く。エルレナが待っていたように栓を抜いた。
>「承りました。45年物シャトー・ヴォシュフォールの隠れた銘柄、『アメリア』」
本当にあるんですか・・・?
ちょっとした疑問なんですが・・・・



>『乾杯』
> ちりん。
> かち合ったグラスが、静かに澄んだ音をたてた。
> ・・・これからも、貴方と居させて下さい。  
わー!(拍手)
すごいですね。しかも、ゼルガディス編付き!!
私、ゼルガディスさんをメインで書く事ができないんです。性格が書きずらいみたいな・・・・・・
と、いうことなどで感動です。ラブラブですし。
と、言うわけで感想(?)でした。
では、おじゃましました。

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4143初めまして(^^ゞ水晶さな URL8/27-10:07
記事番号4141へのコメント


>はじめまして。さなさん。
>2の方でゼルアメ、ゼロアメ小説を書いています桜井 ゆかりです。

 初めましてー。コメント等で会話(?)するのは初めてですね。貴女の小説よく読ませて頂いております(^_^)

>>「何ていうか・・・恋愛になぞらえるんだったら、このカクテルはちょっと甘過ぎるような気がします」
>> 考えながら、思い出しながら、たどたどしく言葉を紡ぐ。
>>「恋愛って・・・甘いだけじゃないと思うんです。切なくて、苦しくて・・・それでも目を背けたくなくて。ほんのちょっとの出来事が物凄く幸せに感じられたりして・・・何だろう、色々混ぜ合わさって、甘酸っぱい、気がします」
>経験者は語るみたいですね。

 たまには語らせるのも良いかなと(笑)。
 何だかんだいってアメリアは大変な恋愛をしていると思うので・・・。


>>「・・・・・・誰が美人好きでほいほいついて行くって?」
>>「・・・・・・この人」
>> 思わず言ってしまったアメリアは、拳骨をくらった。
>ああ・・・・可哀相に・・・アメちゃん・・・・・
>一言多くなって来てるみたいですね・・・・

 ストレスたまってるんですきっと(笑)。
 「スレイヤーズろいやる」でも拳骨シーンがありましたから(笑)。

>>「じゃ」
>> リナが右手を差し出す。
>>「え?」
>>「服代」
>>「・・・リナさん、がめついです・・・」
>> 苦笑いしながらアメリアがリナの手の上に服代を乗せた。
>でも、ちゃんと渡してますね。代金。
>やっぱりリナさんが恐いんですね。

 アメリアの性格上奢ってもらうってのはあまり好まないと思うんですよー。
 ・・・ゼルは除く。


>>「あー? 部屋にもいないのよ。又どっか出かけちゃったみたい。ま、寂しくなれば来るわよきっと」
>> ・・・前言撤回。記憶が飛ぶほど飲みたい気分。
>・・・・・壊れた・・・・・?

 エルレナ談「その内キレるわよ」(笑)。


>>「すまん、これを頼む」
>> とん、とカウンターにワインの瓶を置く。エルレナが待っていたように栓を抜いた。
>>「承りました。45年物シャトー・ヴォシュフォールの隠れた銘柄、『アメリア』」
>本当にあるんですか・・・?
>ちょっとした疑問なんですが・・・・

 うんちくは自作ですが、「アメリア」というワイン名はつい最近とある酒屋で発見しました。マジです。それ見て小説書きたくなったという(笑)。
 でも製作者は思いっきり日本人でした。ワインと並んで日本人のおじさまの写真が「私が作りました」って風に貼ってあるんですもん。イメージぶち壊れ(笑)。


>>『乾杯』
>> ちりん。
>> かち合ったグラスが、静かに澄んだ音をたてた。
>> ・・・これからも、貴方と居させて下さい。  
>わー!(拍手)
>すごいですね。しかも、ゼルガディス編付き!!
>私、ゼルガディスさんをメインで書く事ができないんです。性格が書きずらいみたいな・・・・・・
>と、いうことなどで感動です。ラブラブですし。
>と、言うわけで感想(?)でした。
>では、おじゃましました。

 ゼル編書かないとゼルの行動がよくわからないかなーって事で対にしてみました。
 しかしゼルだとあんまり心の中の呟きがないから短調になってしまいます(泣)。
 それでしょうがないからエルレナを混ぜて引っ張り回してみたんですけどね。
 彼一人じゃとても書けません(苦笑)。
 感想ありがとうございました〜。貴女の作品も心待ちにしております♪

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