◆−スレイヤーズ IN むかしばなし−山塚ユリ(6/13-01:01)No.1836
 ┣『スレイヤーズ IN人魚姫』−山塚ユリ(6/13-01:05)No.1837
 ┃┗それでこそ・・・−すずね(6/13-17:56)No.1840
 ┣『スレイヤーズ IN シンデレラ姫』−山塚ユリ(6/13-01:10)No.1838
 ┣『スレイヤーズ IN ジャックと豆の木』−山塚ユリ(6/13-01:14)No.1839
 ┣『スレイヤーズ IN 幸福の王子』−山塚ユリ(6/14-00:36)No.1842
 ┣『スレイヤーズ IN 裸の王様』−山塚ユリ(6/14-00:40)No.1843
 ┣『スレイヤーズ IN シンデレラ (別バージョン)』−山塚ユリ(6/15-00:55)No.1851
 ┣『スレイヤーズ IN マッチ売りの少女』−山塚ユリ(6/15-00:58)No.1852
 ┣『スレイヤーズ IN 浦島太郎』−山塚ユリ(6/24-00:38)No.1875
 ┃┗感想です−丸丸(6/24-23:52)No.1880
 ┣『スレイヤーズ IN つるのおんがえし』−山塚ユリ(6/24-00:41)No.1876
 ┣『スレイヤーズ IN ねずみの嫁入り』−山塚ユリ(7/5-00:40)No.1897
 ┣『スレイヤーズ IN 白雪姫』−山塚ユリ(7/5-01:00)No.1898
 ┗『スレイヤーズ IN 白鳥の湖』−山塚ユリ(7/16-00:52)No.1922


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1836スレイヤーズ IN むかしばなし山塚ユリ 6/13-01:01


昔話のパロディは、多くの方が書かれてますが、私も書いてみましたんで載せます。
ま、私が書く物なんで、「なんだこりゃ」にしかならないんだが。

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1837『スレイヤーズ IN人魚姫』山塚ユリ 6/13-01:05
記事番号1836へのコメント

深い海の中に、人魚の国がありました。そこにリナという人魚のお姫さまが住んでいました。
ある嵐の日、リナは船から海に投げ出されておぼれていた王子を助けました。その日以来、リナはその金髪でハンサムな王子のことが忘れられなくなってしまったのです。
「あたし、人間になりたいな。そうしたらあのガウリイ王子と一緒にいられるのに」
リナは魔法使いの元へ行きました。
「ねえ、人間になれる薬ってない?」
「ありますよ。この薬を飲むとしっぽが消えて足が生えてきます」
「それ、ちょうだい」
「ただ副作用がありまして。声が出なくなってしまうんですよ」
そう言って笑ってるニコ目のおかっば魔女の首を、リナは締め付けました。
「それじゃせっかく人間になったって、あたしの気持ちを伝えられないじゃないのおおお!」
ぐぎぎぎぎ。
「や、やめてくださいリナさん。じゃ、こっちの薬はどうです?足が生える代わりに胸がぺったんこになりますが」
リナ姫の胸は、そこそこ大きかったのです。
「人間になれるんですよ。なんにも失わずに、というわけにはいきません。さあ、どうします?」
「う…」
リナ姫は、胸をあきらめて、人間になることにしました。

ガウリイ王子は、海岸に裸で倒れていたリナを見つけ、お城に連れて帰りました。
物事を深く考えない性分なのか、ガウリイはリナの素性を気にしませんでした。
「身寄りがないのか。それじゃ、オレがリナの保護者になってやろう」
こうしてリナは、ガウリイと楽しく過ごしました。
ところがある日、ガウリイに、隣国のアメリア王女との見合い話が持ち上がりました。
「なあに、ただのお見合いさ。義理だけ立てて断りゃいいんだ」
豪華な船の上でお見合いは行われました。
「ガウリイ王子…あ、あの時の」
「君は…」
会ってびっくり。アメリア王女は、あの嵐の日、王子を助けた人だったのです。

「将来、嵐の海で、お前は女性に助けられるだろう。その恩人とお前は結婚する運命にある」
昔、占い師が言った予言の言葉を、ガウリイは思い出しました。
(オレは、アメリア姫と結婚する運命なのか…?)
リナはそんなことは知りません。ですが、ガウリイの態度がなんとなく変なのに気がつきました。
「もしかしてガウリイ、あの王女が気に入ったとか?」
「いや、そんなんじゃないけど」
「ガウリイったら、あの人の胸ばかり見てたじゃない。このスケベ!!」
「だからそんなんじゃないって」
男の人って、やっぱ胸の大きい人がいいんだ。そう思ってリナは悲しくなりました。
「だって、オレはあの人に恩があるんだ」
「へええ、恩返しに結婚するの。そんなの変じゃない。恩があるから結婚するんじゃ、相手にだって失礼よ」
「だってなあ…」
煮え切らないガウリイの態度に、リナは腹を立てて言いました。
「もうガウリイなんか知らない!勝手に結婚でもなんでもすればいいでしょ!!」
立ち去るリナの後ろ姿を見送るガウリイ。
「リナ…運命の相手がお前だったらよかったのに…」

「どうかしました?」
ぼんやり海を見ているガウリイに、アメリア王女が声をかけました。
「あ…いや、別に。
それより君が隣国の王女だったとはな」
「あの時は修道院で巫女の勉強をしていたんですよ」
「君がいなかったらオレは死んでいたかもしれない。君は命の恩人だ」
「そんな、おおげさですよ。わたしはただ、海岸にずぶぬれで倒れていた王子を、修道院に運んで介抱しただけなんですから」
「倒れていたって…オレは海の中でおぼれていたところを助けられたんじゃないのか?」
「あの嵐の海から人を助けるなんて、人魚でもなきゃできるわけないじゃないですか。王子は運良く海岸に打ち上げられてたんです」
アメリア王女の言葉に、なぜかガウリイは茫然と立ち尽くすのでした。

ガウリイに投げた言葉を、リナは後悔していました。
「勝手にしろだなんて言っちゃって、ホントにガウリイがあの人と結婚しちゃったらどうしよう…」
船の手すりにもたれて、思い悩むリナ。
「リナ、リナ」
そんなリナを誰かが呼びました。リナが船縁から海面をのぞいてみると、リナの姉さんたちが船の下に集まっていました。
「ルナ姉さんにシルフィール姉さん、マルチナ姉さんにフィリア姉さんまで。どうしたの」
姉さんたちは、リナに短剣を渡しました。
「このまま王子と結婚できなければ、あなたは海の泡になって消えてしまうのよ。この剣で王子を刺しなさい。そうすればあなたは人魚に戻れるわ」
リナはその短剣をしばし見つめていましたが…ぽいっと海に投げ捨てました。
「ガウリイを殺してまで、人魚に戻りたいとは思わないわ」
「でも、リナ」
心配そうに言うフィリア姉さんの言葉をさえぎって、リナは言葉を続けました。
「だからって海の泡なんかになる気もないわよ。
まだガウリイと結婚できないって決まったもんでもないし。隣国の王女なんかに負けてたまるもんですか」
「それでこそリナだわ」
ルナ姉さんが笑顔で言いました。
「みんな心配しないで。ガウリイが王女と結婚する、なんてことになったら、どんなことしても邪魔してやるんだから」

ガウリイが甲板に出てみると、リナが船縁から身を乗り出していました。
姉たちとの別れを惜しんでいたのですが、ガウリイにはリナが船から身を投げようとしているように見えたのです。
「リナァーーッ、早まるなああ」
「へ?」
リナに向ってダッシュしたガウリイは、勢いあまってリナの横を通り過ぎ、そのまま海へ落っこちました。
「ガウリイ!」
リナはためらわず、海に飛び込みました。
さすがは元人魚。リナはおぼれてぶくぶく沈みかけていたガウリイを助け、手近な陸地に運びました。

「この馬鹿ああっっ!あたしが世をはかなんで自殺したりするわけないでしょうが」
意識を取り戻したガウリイは、ぎゃあぎゃあとがなりたてるリナの顔をじっと見て言いました。
「…リナ…お前だったんだ…」
「な?」
「あの嵐の夜…オレは海の中で死にかけてた。もう駄目かな、って思った時、誰かがオレの体を抱えて海面へ、そして海岸まで運んでくれた…
それが誰なのかはわからなかったけど、抱きかかえられた時のやさしい手と、押し付けられた胸の感触だけが記憶に残っている」
「ガウリイ…あんたって…スケベ?」
「ちーがうってば。アメリアの胸を見て、この人だったんだ、って思った。でも彼女じゃなかった…
リナ…今お前に助けられてやっとわかった。オレの恩人が誰だったのか」

「リナ、結婚しよう」
「アメリア王女はどうすんのよ」
「オレのいとこにゼルガディスってのがいる。彼を紹介しよう」
「う…ん」
「いやなのか?」
「そうじゃなくて…恩人だからってだけの理由で結婚しようってのは失礼じゃない?」
「恩人だから、じゃない。わかってるだろ?あんまりいじめるなよ…」

こうしてリナとガウリイは結婚し、幸せに暮らしました。めでたしめでたし。


☆ハッピーエンドな人魚姫です。わたしがガウリナ書いて、悲劇にするわけないじゃないですか。ふふふふふ。

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1840それでこそ・・・すずね 6/13-17:56
記事番号1837へのコメント

はじめまして、すずねといいます!
山塚さんの小説は、いつもみてます!


>リナ姫は、胸をあきらめて、人間になることにしました。
胸をあきらめてまで・・・そこまでガウリイを想っているのね♪

>「あの嵐の夜…オレは海の中で死にかけてた。もう駄目かな、って思った時、誰かがオレの体を抱えて海面へ、そして海岸まで運んでくれた…
>それが誰なのかはわからなかったけど、抱きかかえられた時のやさしい手と、押し付けられた胸の感触だけが記憶に残っている」
胸の感触だけ残ってるなんて・・・ガウリイらしい(笑)

>こうしてリナとガウリイは結婚し、幸せに暮らしました。めでたしめでたし。
やっぱり、こうじゃなきゃ♪

>☆ハッピーエンドな人魚姫です。わたしがガウリナ書いて、悲劇にするわけないじゃないですか。ふふふふふ。
それでこそ、山塚さんです!

感想でした。
であ〜〜

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1838『スレイヤーズ IN シンデレラ姫』山塚ユリ 6/13-01:10
記事番号1836へのコメント

☆妹に見せたら、「途中でオチが読める」と言われちった。私の書くものなんてこんなもんだい。


むかしむかし、リナという女の子がいました。
リナは、継母のナーガと義姉のマルチナにこき使われる日々を過ごしていました。
ある時、お城でダンスパーティーが開かれ、ナーガとマルチナはリナをおいて出かけるしたくをしていました。
「あたしも行く!!お城じゃ豪勢なごちそうが出るっていうじゃない」
リナは言いましたが、
「ほーっほっほ。笑わせてくれるわね。そんなボロい格好でお城に行くつもりなのかしら」
「留守の間に家中きれいに掃除しておくのよ。しとかなかったらどうなるか…」
「ほほー。どうなるってぇのよ」
「かーさんと私で、一晩中高笑いしてやるわ」
「…そ…そりは…」
こうして、リナは置いて行かれました。

「あたしは、こんなところで薄幸の美少女やってる柄じゃないのよ。あーあ、素敵な王子様でもあらわれて、あたしをここから連れ出してくんないかな…」
掃除をしながらリナがぼやいたその時。
「ダンスパーティーに行かれるようにしてやろうか?」
あらわれたのは、金髪、長身の、ハンサムな魔法使いでした。
「オレはガウリイってんだ。お前さんを幸せに導くのがオレの役目だ。まずはお城のダンスパーティーに行くとしようか」
「だって掃除が…」
「それは魔法で」
ガウリイはカンペを取り出すと、呪文を唱えました。すると、ほうきや雑巾が勝手に動き出し、掃除を始めたのです。
「へえ、便利。それはいいけど、普通、魔法の呪文って、暗記してるもんじゃない?」
「るさいな…次はドレス…と」
ガウリイがカンペを見ながら呪文を唱えると、リナのボロ服は、豪華なドレスに変わりました。
「次は馬車だ。かぼちゃはあるか?」
「夕べ、煮て食べちゃったわよ」
「うう〜。じゃねずみは?ねずみも食っちまったとか?」
「あんな、餌がなくてやせこけたねずみ、誰が食べるもんですか」
「ねずみが飢えてる家って…」
ガウリイの魔法でねずみは馬に変わりました。が、馬車がないので、リナはやせこけたその馬に乗り、お城へ行きました。

「うわあああっっすごいごちそう。これみーんなあたしンだからね」
リナの美しさに、お城に集まった人々が感嘆の声を上げるのにも気づかず、リナはごちそうをたいらげていました。
その時。
「僕と一曲踊ってくれませんか?」
そう言った、黒髪をおかっぱにしたニコ目の男は、この国の王子様でした。
リナは、ごちそうにとーーーーっても未練があったのですが、王子と踊りました。王子はリナが気に入ったらしく、リナとばかり踊っていたので、リナはそれ以上、ごちそうが食べられませんでした。
やがて。
時計が12時を打ち始めました。鐘が鳴り終わると、魔法が解けてしまいます。リナは王子の手を振り払って駆け出しました。
「待ってくださいよ」
追いかける王子。リナは階段でつまずき、ガラスの靴が片方、脱げてしまいました。
「ただで起きたら貧乏人!!」
急いでいたにもかかわらず、リナは一旦戻ると脱げた靴を拾って、また階段を駆け降りて行きました。

「拾って来ちまったのか?あーあ」
魔法使いのガウリイは、リナのガラスの靴を見てためいきをつきました。
「だってせっかくもらったんだし。売るにしても片っぽだけの靴なんて売れないでしょ」
平気な顔でのたまうリナ。
「あのなあ、その靴を手がかりに王子がお前さんを探し出すことになっているんだぞ。
そして王子とお前さんは結婚して幸せに暮らす。オレの任務も果たされる。と、こういうわけだ。
なのにその靴、持って来ちまってどうするんだよおおおっ。王子と結婚できないじゃないかああっ」
「あんないつもへらへら笑ってる王子、あたしの好みじゃないもん」
「それじゃお前さんを幸せに導くっていう、オレの役目はどうなるんだ」
「そうーーだ♪」
リナはびしっとガウリイを指さして言いました。
「あんたがあたしの王子様になればいいのよ」
「オレはただの魔法使いなんだが」
「細かいことは気にしない♪」

こうしてリナはガウリイと駆け落ちし、仲良く幸せに暮らしましたとさ。

おしまい

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1839『スレイヤーズ IN ジャックと豆の木』山塚ユリ 6/13-01:14
記事番号1836へのコメント

むかしむかし、ガウリイという青年がいました。が、この人は頭ン中がくらげでした。
亭主がくらげなんで、ガウリイの家は貧乏でした。ある日、とうとうお金が底を尽き、最後に一頭だけ残った牛を売ることになりました。
ガウリイは市場へ牛を連れて行く途中、あくどい商人にひっかかり、魔法の豆と牛を交換してしまいました。
それを知った奥さんのリナの、怒ったの怒らないの。
「なにが魔法の豆よ。ただの豆に色塗っただけじゃない。こんなのと牛を取り替えちゃうなんて、このゼラチン頭
!ミジンコ人間!!後頭部どついたら口からところてんが出てくるんじゃない!?」
リナは窓から豆を投げ捨てました。
「あんたは飯抜き!!1ヶ月飯抜き!!!」
「そんなぁぁ…」

翌朝早く、ガウリイはふと目を覚ましました。窓の外を見ると、なんとリナの捨てた豆から芽が出て、大きな豆の木に成長しているではないですか。てっぺんは雲の陰に隠れて見えません。
好奇心にかられたガウリイは、さっそく豆の木を登り始めました。
体力だけは自信のあるガウリイは、どんどん木を登って行きました。が、途中でふと下を見ると、なんと後からリナが登ってくるではありませんか。
「おまえ、寝てたんじゃなかったのか?」
「お腹が空いて眠れなかったのよっ」
「だからってなんで登ってくるんだよ」
「こういうのはね、空の宮殿につながっているって相場が決まっているのよ。
そんで宮殿にはお宝ががっぽがっぽ。うふふふふ」
そういうわけで、リナとガウリイは豆の木を登り、宮殿に着きました。
宮殿には巨人が住んでいました。リナとガウリイは、巨人が寝ているのをいいことに、宝物倉に入り込みました。
宝物倉には、金貨の袋、宝石のつまった宝箱、金の竪琴、金や銀や象牙の美術品、金の王冠、金の実のなる木、金の卵を産むにわとり、などなど、たくさんの財宝がありました。
「うふふふ、お宝お宝」
「これって、しっかり泥棒じゃないか?」
「いいから!
えーと、何にしようかな…やっぱ金よね。ガウリイ、その金の置物と金貨の袋かついでって」
「こんな重い物かついで豆の木降りるなんてできるかああっっ」
「誰が持って降りるのよ。ここから落っことせばいいじゃない」
「…置物が壊れるぞ」
「どーせアシがつかないよーに鋳つぶすからいーのよ」
「…悪党…」
ぼそっ。
「なんか言ったぁ?」
「いや別に」
「あとは宝石なんかがいいかな。地上へ放り投げても壊れないし。あとにわとりくらいなら連れて帰れるかな」
「この竪琴は?」
ガウリイが金の竪琴を取り上げたその時。
「御主人様、泥棒、泥棒です、起きてください!!」
竪琴が騒ぎ出しました。
「ひええっ」
「わしの宝物倉に入り込んでいるのは誰じゃあ」
竪琴の声に目を覚ました巨人が、倉に入って来ました。
「逃げるわよ、ガウリイ!!」
リナは宝石の袋と、にわとりの足をつかんで逃げ出しました。ガウリイも金の像と金貨を背負って続きます。
「待てえ、この泥棒――」
雲の上を豆の木に向って走る二人。追いかける巨人。と、あまりに重い荷物を背負っていたせいか、逃げ遅れたガウリイが巨人につかまってしまいました。
「ガウリイ!」
思わず立ち止まるリナ。
「リナーっ。オレにかまわず逃げろーっ」
「ったく、あの馬鹿は」
リナは、宝石の袋に手をつっこむと、奪った宝石を次々に巨人めがけて投げつけました。きらめく固い宝石がつぶてとなって巨人を襲います。
「わ、いてて」
宝石のつぶてを目に食らったか、思わず巨人はガウリイを取り落としました。
「ガウリイ!早く」
重い荷物を失い、身軽になった二人は豆の木にたどり着き、急いで降り始めました。
「待てええ」
巨人も二人を追いかけて豆の木を降りて行きます。
一足先に地上へ降りたリナとガウリイは、豆の木を斧で切り倒し、巨人を退治しました。

「あんたが竪琴なんか持ち出そうとするから見つかっちゃったんだからねっ!」
「わりいわりい」
「その上あんたのせいで金も宝石も持って来れなかったじゃないっ!この役立たず!」
「はいはい」
どなりまくるリナと、なぜかへらへら笑っているガウリイ。
結局、空の宮殿から二人が持って来たのは金の卵を産むにわとり一羽だけでした。このにわとりは毎日卵を産んだので、二人は卵を売って、それなりに暮らしましたとさ。めでたしめでたし。


☆元の話と全然違うじゃないかーーっという苦情は却下させていただきます。(笑)

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1842『スレイヤーズ IN 幸福の王子』山塚ユリ 6/14-00:36
記事番号1836へのコメント

ある街の中央広場に、王子の像が立っていました。
王子の像は全身が金で覆われて輝き、手にした錫杖や頭の王冠にはたくさんの宝石が飾られていました。
「なんて美しい王子さまだろう」
道行く人は皆、口々にそう言うのでした。
ある夏の日、一羽のつばめが王子の元に飛んで来て言いました。
「王子さま、あなたの錫杖についてるエメラルドをください」
「鳥が宝石をもらってどうするつもりだ」
「わたしが欲しいんじゃありません。街の外れに貧乏な老夫婦がいるんですっ。
もう働けなくて、食べ物を買うお金も、頼るべき人もない。ああ、なんてお気の毒な!」
「わかった、エメラルドをやればいいんだろう」
「ありがとう王子さま」

数日後。
「王子さま、王冠のルビーをくださいな」
またつばめが来て言いました。
「父親がいなくて、母親が病気で、子供たちが飢えている家があるんですっ!かわいそうだとは思いませんか」
「だからってなんで俺が施しをしなきゃいけないんだ」
「それが正義なんですっ!」
「ああ、わかったわかった」

またつばめが来ました。
「今度はなんだ」
「胸のブローチのダイヤを」
「俺の宝石を全部持っていく気か」
「なに言ってるんですっ。それで病気の子供が助かるんですっ!貧しくて医者にもかかれないんですよっ。
民を救えずなにが王族ですかっ」
「…勝手にしろ」

「ここにこうして立っている王子さまには見えないでしょうが、この街を飛び回っていると、とても気の毒な人が多いのがわかりますっ。そう、わたしは王子さまの目となり、その悲惨さを伝えましょう。そして王子さまの贈り物を貧しい人々に手渡すのですっ。なんと雄々しき使命!」
なぜか一人で盛り上がっているつばめ。
「誰もそんなことは頼んでいないが」
王子がつぶやくがつばめは全く聞いちゃいない。
「さあ、一緒に正義のために行動しましょう!
そういうわけで靴についてるオパール、もらっていきますね」

秋が来るころ、王子はつばめにすべての宝石を持って行かれ、なんの飾りもない像になっていました。
「宝石はもうないぞ。それにもう秋だ。おまえもこんなことはやめて南の国に帰るんだな」
王子はつばめに言いましたが、
「なに言ってるんですか。この街にはまだまだ王子さまの助けを求めている人がいるのですっ。
たとえば、そう!両親もなく、12歳の少年が暮らしを支えて幼い弟たちを養っている家がありますっ。彼らを救う、これぞまさしく正義!」
「正義はいいが、もうやる物がない…って、なにやってんだ」
「王子さまの体に貼ってある金をはがしてますっ」
「ちょっと待て、それまで施してやる気か!」
「王子さまが金で飾ってたって、太陽の光反射してぴかぴかしてるだけじゃないですか。
貧しい人の手に渡れば日々の糧となるのです。どっちが有意義か、考えるまでもないじゃないですか」
「だからって、こら、そんなにはがすなあああっっ」

冬が来ました。王子は全部の金をはがされ、みすぼらしい銅像となりました。
「ありがとう王子さま。おかげでこの街の人は救われました」
「…俺は救われないがな…それにおまえだって、こんなことをしているうちに冬になっちまったじゃないか」
「あはは…この国の冬は、つばめが生きて行くには寒すぎますね…」
つばめは王子の肩にとまり、寒そうに目を閉じました。
「…街の役人が話してたよ…こんなみすぼらしい王子の像はいらん、ってな。俺もこのままお払い箱かもな。
どうだ、このまま二人で一緒に深い眠りにつくってのは」
王子は、つばめにささやきました。
「そうですね…
っなんて、わたしが言うわけないじゃないですかっ!!!」
「は…?!」
「南の国がわたしを呼んでいるのですっ。わたしには新たな使命があるっ。
南の国、そう、そこでわたしはまた正義のために戦うのですっ!!」
「今から南へ飛ぶつもりか?途中で寒さのため凍え死ぬぞ」
「寒さ?!そんなものでわたしの正義の心はくじけたりしないわ!!わたしは行きます!」
つばめは飛び立ちました。
「ちょ、ちょっと待て、俺はどうなるんだ。おまえのせいで俺はぼろぼろになって廃棄処分だぞ」
「ぼろは着てても心は錦!!王子さまの偉大さ、気高い慈愛の心は、わたしが南の国で語り継いであげましょう!!
じゃ、ごきげんよう王子さま。さ〜よ〜うなら〜〜」
つばめは、元気に南の国に向って飛んで行きました。

終り


☆このつばめ、死にそうにないな……(笑)

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1843『スレイヤーズ IN 裸の王様』山塚ユリ 6/14-00:40
記事番号1836へのコメント

むかしむかし、ある国にフィリオネルという王様がいました。
ある日、王宮に二人の機織師がやってきました。
「われわれ二人で、王様が見たこともないすばらしい布を織ってみせましょう」
興味をもった王様は、二人に仕事場と機織機を与え、布を織らせました。

「うまくいったな、兄貴」
「よし、王様から布の代金をたっぷり絞り取ろうぜ」
この二人は、詐欺師だったのです。

「布が織り上がりました」
機織師が織り上げた機を持ってやってきました。
「どうでしょう。美しい布でしょう」
王様は、機織師がうやうやしく示すところを見ましたが、そこにはなにもありません。
「どこに布があるのじゃ」
「ほら、ここに。この布は特別な布でして、聡明でない人、今いる地位にふさわしくない人には見えない布なのです。
もちろん、聡明で王の名にふさわしいフィリオネル陛下には、この布の美しさがよくわかっていただけると思います。いかがでしょう」
「見えん!」
王様はきっぱりと言いました。
「ええっ、そんな…陛下とあろうお方がそんなことを…」
機織師たちは絶句しました。ここで、見える、と言ってもらわないと、二人の計画は丸つぶれです。
「これが見えると言ったらうそになる。見えん物は見えん」
王様は大臣たちを呼んで言いました。
「ここに、馬鹿や不相応な身分についている者には見えない布があるそうだ。わしには全く見えないが、お前たち、見えるか?」
もちろん、大臣たちにも見えません。見えない、と言ったら、自分が馬鹿だということになります。しかし、王様が見えないと言っている物を、自分には見える、とは言えません。
「わたしには見えませんが」
「どこにあるのです、そんな布」
大臣たちは口々に言いました。
王様は、キッと機織師二人をにらみ付けました。
「誰にも見えないぞ。そんな布はないのだろう。
さては、ありもしない布を売りつける気だったのだな」
機織師たちは震え上がりました。
「衛兵!この二人の服をはいで追い出せ!その布とやらがあれば寒くはないだろう」
こうして二人の詐欺師は、王様に裸にされて追い出されましたとさ。めでたし、めでたし。


☆タイトルに偽りあり、だな、こりゃ。

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1851『スレイヤーズ IN シンデレラ (別バージョン)』山塚ユリ 6/15-00:55
記事番号1836へのコメント

☆今度はちゃんと王子さまとお姫さまのお話です。うぷぷ。

むかしむかし、シンデレラという娘がいました。
金髪碧眼&色白の美しい娘でしたが、ごつい体つきの大女で大食らい。おまけに頭がゼリーのため、継母や義姉たちにいじめられていました。
(ああっ、読者がひいていくっっ)
ある日、お城でダンスパーティーがあり、継母と義姉はせいいっぱいおしゃれして出かけましたが、シンデレラは留守番でした。
それを哀れに思ったか、魔法使いが現われました。
「一人だけ留守番なんて正義じゃありませんっ。わたしにまかせて」
シンデレラは魔法の力で美しく着飾り、お城へ出かけました。
お城でシンデレラが出会ったのは、栗色の髪と、情熱的な瞳を持つ、小柄な王子さまでした。(をいをい…)
王子さまは、一目で美しいシンデレラに恋をしたのです。それはシンデレラも同じでした。恋に落ちた二人は、夜がふけるのも忘れて踊り続けました。
しかし、時は無常に流れ、十二時の鐘とともにシンデレラは逃げ帰ってしまいました。あとに残ったのはガラスの靴。王子さまはその靴を拾い上げてつぶやきました。
「…でっかい靴」
王子さまは国中におふれを出し、その靴に合う女性を探しました。もちろん、そんなでかい靴をはけるでかい女性は、ただ一人、シンデレラだけでした。こうしてシンデレラは王子と結婚し、幸せに暮らしました。終り。


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1852『スレイヤーズ IN マッチ売りの少女』山塚ユリ 6/15-00:58
記事番号1836へのコメント

「マッチはいりませんか、マッチを買ってください」
寒い冬の夜、リナという五、六歳の少女がマッチを売っていました。しかしマッチを買ってくれる人は誰もいません。
「…やってらんないわ、こんなの。でもマッチ売らないととうちゃんに怒られるし…」
すっかり疲れきったリナは、物かげに座り込んでしまいました。
寒さにかじかんだ手を少しでも温めようと、リナはマッチをすりました。そのとたん、火とともにリナの目の前に、赤々と火の燃える暖炉と、暖かそうな部屋が浮かび上がりました。
「うわあ…」
リナが手をのばすと…その光景はふっと消えました。あとに残ったのはマッチの燃えさし。
「もう一本」
マッチをすると、今度は豪華なごちそうが並びました。お腹がすいていたリナはさっそく飛びつきました。しかししょせんは幻。マッチの火が消えるとごちそうも消えてしまいました。
「ようし、今度こそ」
リナはマッチを一束、まとめてすりました。火とともに浮かび上がる暖炉。ごちそう。そしてその向こうで微笑んでいるのは…
「ルナばあちゃん!」
もうずっと前に天国へ行った、大好きなルナばあちゃんでした。
「ルナばあちゃぁぁぁん」
駆け寄るリナを、ルナばあちゃんは両手を広げて迎えて―――
笑顔のまま、ウエスタンラリアートぉぉぉっっ!!!
ずだでぎゃぐじゃああっ!!
リナは、ごちそうのテーブルに突っ込みました。
「なにすんのよ、ばあちゃん!!」
「なに言ってんのよ。あんたがここへ来るのは百年早いわっ」
「だって暖かいし、ごちそうはあるしぃ」
「甘えるんじゃないのっ。死んで楽になろうなんて考えが間違ってる。あんたはもっと現世で苦労して、そして幸せになるのよ。それまでばあちゃんは迎えになんか来てやらないからね」
「ばあちゃんが迎えに来なくても、こんな暮らししてたらいずれ死ぬわいっ」
「しょうがないわね…」

「マッチいりませんかぁ?すてきな夢が見られますよお。
そこのお兄さん、だまされたと思って買ってごらんなさい。マッチをすればあなたの前に、あこがれのあの美女が。
そこのおじさん、マイホームの夢をかなえるこのマッチ。いかがですかあ?」
(こんなセリフ吐く子供っていやかも…)
一人の青年が試しにマッチを買ってすってみました。と、目の前に広がる、行きたかった南の島の風景。
しばし見とれる青年。その表情を見て、周囲の人がざわめきます。
「わしにもくれ」
「私にも」
「毎度ありぃぃ♪」

こうして、リナの売るマッチは、夢のマッチとして有名になり、飛ぶように売れました。おかげでリナはマッチ売りに苦労しなくて済むようになりました。めでたし、めでたし。

END

☆結局どういう話なんだか…(汗)

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1875『スレイヤーズ IN 浦島太郎』山塚ユリ 6/24-00:38
記事番号1836へのコメント

むかしむかし、がうりいという漁師が、子供たちにいじめられていた亀を助けました。
「助けてくれたことには感謝する。礼として竜宮城に連れて行こう」
亀はぶっきらぼうにそう言うと、がうりいを背中に乗せて、海の底の竜宮城に連れて行きました。
竜宮城では、りなという乙姫が出迎えてくれました。
がうりいは、見たこともないごちそうや珍しい踊りでもてなされ、毎日を楽しく、夢見心地で過ごしました。
ある日、亀が来てがうりいに言いました。
「すっかり乙姫に気に入られたようだが、地上に帰らなくていいのか?」
がうりいの返事は、
「あん〜〜?地上ってなんだぁ〜?」
あまりの楽しさに、がうりいの頭はすっかりくらげになっていたのです。
亀はあきれ果てて去って行きました。
がうりいは地上に戻らず、乙姫とおもしろおかしく暮らしましたとさ。おしまい。


☆みもふたもない話だな〜

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1880感想です丸丸 E-mail 6/24-23:52
記事番号1875へのコメント

はじめまして、丸丸です。
昔話シリーズ全部読ませていただいてます。

で、なぜいきなりこのお話に感想をつけるかと言いますと、
「甲羅を背負ったゼル」というビジュアルをあまりにも鮮明にイメージしちゃったからです(笑)
ゼル、に、似合う……。うさゼルも可愛かったけど、海亀ゼルのなんと愛らしいこと。
たぶん亀ゼルをいじめてた子供たちって、ニコ目の人とか、目が開かない人なんでしょうね。

んでもってガウリイとリナ姫も♪
地上に帰らなくても、リナと一緒ならそれがあんたの幸せよ、ガウリイ♪

ではでは。わけのわからん感想でごめんなさい。
執筆がんばってください♪

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1876『スレイヤーズ IN つるのおんがえし』山塚ユリ 6/24-00:41
記事番号1836へのコメント

むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。
ある日、おじいさんは、罠にかかってもがいている鶴を見つけ、助けてあげました。
うちに帰ってそのことをおばあさんに話すと、
「えらいですっ!おじいさんっ!その思いやりに満ちた行動はまさに正義!」
おばあさんは感動しておじいさんをほめたたえました。(なんだかなあ)
それからしばらくして、おじいさんたちの家に、長い黒髪の、清楚な美少女がやってきました。
実はこの少女は、恩返しに来た鶴の化身だったのです。
少女はおじいさんに機織り部屋を作ってもらい、そこへ閉じこもりました。
「私が機を織っている所を、絶対見ないでくださいね」
少女が織った織物はとても美しく、高値で売れました。

「なあ、どうやってあんな織物を織っているのか、見たくないか?」
おじいさんは言いましたが、
「いけませんっ!!!絶対見ないと約束したんですっ!約束を破るなんて正義じゃありませんっ!!」
おばあさんに反対され、部屋をのぞくことはできませんでした。
こうして正体のバレれないまま、少女は機を織り続けました。

「あのー、実は私…」
「大丈夫ですっ!!絶対部屋をのぞいたりしませんからっ。安心して機を織ってくださいぃぃっ」
「あ…でも、ちょびっとのぞいてみたいなんて思いません?」
「いったんのぞかないと約束したんですっ!のぞきませんったらのぞきませんっ!!」
「はあぁ…」
正体をバラす機会を逸した少女は、ためいきをつきながら、今日も機を織り続けるのでした。

おしまい


☆ホントは山へ帰りたいのな、鶴ちゃん。

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1897『スレイヤーズ IN ねずみの嫁入り』山塚ユリ 7/5-00:40
記事番号1836へのコメント

金色ねずみが栗色ねずみに言いました。
「なあ、オレと結婚しないか?」
ところが栗色ねずみは
「やーよ。あたしは世界で一番強い男と結婚するって決めてるんだから」
「世界で一番って…誰だよ」
「うーん、あの太陽かなあ。やっぱ、理想は高く持たなきゃね」
栗色ねずみは太陽のところへ行って言いました。
「あたし、世界で一番強い男と結婚したいの。太陽さん、あたしと結婚してくれる?」
太陽は豪快に笑って言いました。
「うむ。わしと結婚したいとはなかなかみどころのあるねずみだ。
だが残念ながら、わしより強い者がおる」
「誰よ」
「雲だ。わしの前にしゃしゃり出てなにかと邪魔をしおる」
「なるほど」
栗色ねずみは雲のところへ行きました。
「僕と結婚したい、ですか。光栄ですねえ。でも僕より強い者がいますよ」
「誰なの」
「それは秘密です」
「ふざけてると首締めるわよっ」
「わわわっ僕の首ってどこでしょう。言いますよ、それは風です。
ほら、強い風が吹けば、僕なんか簡単に吹き散らされちゃいますから」
栗色ねずみは風のところへ行きました。
「ねずみが俺と結婚?ふん、俺の心はすでにあの銀の雨のものなのさ」
「あんたの都合なんかどうでもいいのよ。あんたが世界一強いかどうかって聞いてんの」
「どうでもいいって…まあいいや。幸か不幸か、俺は一番じゃない。壁の方が俺より強いぞ。俺がいくら強く吹いても壁はびくともしないからな」
「…納得」
栗色ねずみは壁のところへ行きました。
「壁さんって世界一強いの?あたし、世界一強い男と結婚したいんだけど」
「俺が世界一?お前、何言ってるんだ。その俺の体を毎日かじって穴開けてくれるのはどこの誰だと思ってる」
壁は、うんざりした様子で言いました。
「かじって…って、もしかしてあたしたちねずみのこと?!」
「もしかしなくてもねずみのことだ」
「知らなかった…世界で一番強いのはねずみなのか…よーし、あたし、仲間のねずみと結婚するわ」
こうして栗色ねずみは金色ねずみと結婚し、幸せに暮らしました。めでたし、めでたし。

☆あんまし意外性のない話だなこりゃ。

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1898『スレイヤーズ IN 白雪姫』山塚ユリ 7/5-01:00
記事番号1836へのコメント

☆登場人物が多い。でもセリフだけでは誰が誰やら。


むかしむかし、ある国にとても高飛車な女王がいました。
「鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰?」
いつも、この魔法の鏡は、
「それは女王さまですっ」
と、答えるのですが、今日は違っていました。
「それは、白雪姫です!」
「白雪姫!?あの胸無しの乱暴娘がわたしより美しいですってぇ」
「魔法の鏡はうそを言いませんっ」
「ほーっほっほ。あの継子がわたしより美しいなんてとんでもないわ。こーなったら邪魔物には消えてもらわないといけないわね。ほーっほっほっ」
女王は狩人に、白雪姫を殺すように命令しました。
「うーむ。こんな子供を殺すのはわしの意に反するが、女王の命令でな。悪く思うな」
狩人は白雪姫を森に連れ出して殺そうとしましたが、逆に
「へええ、あたしを殺そうってえの。そんなことしたら末代までたたってやるから」
と、脅され、殺すことはできませんでした。
「しかたがない。女王にはお前を殺したと言っておくから、この森で強く生きるんだぞ。さらばだ」
狩人は白雪姫を残して帰って行きました。
「まったくう、こんないたいけな少女を森の中におきざりにするなんて。ま、生きてさえいればなんとでもなるわ」
木の実やきのこなど、食べられるものを探して森の中を歩きまわっていた白雪姫は、7人の小人と出会いました。
「悪い継母に森の中に捨てられてしまったの。しくしく」
白雪姫の泣きまねにだまされた小人たちは、白雪姫を自分たちの家に連れて帰りました。

「おーーーっほっほっほっ。白雪姫もいなくなったことだし、
鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰?」
女王の問いに、鏡は答えました。
「それは!森の中で小人と暮らしている白雪姫ですっ」
「ちぃぃっ。まだ生きてたの。しぶとい奴ね」

小人たちは困っていました。白雪姫がその旺盛な食欲で、小人たちの蓄えを食い尽くしてしまったからです。
「誰だよ、かわいそうだから連れて帰ろうなんて言ったのは」
「あら、あなたも賛成したはずよ」
「かといって、いまさら森に帰すわけにもいかないだろう」
「はは、困りましたねえ」
小人たちは白雪姫の食費をかせぐため、前以上にせっせと働くのでした。

さすがに悪いと思ったのか、白雪姫は小人が仕事に出かけてる間、家の掃除や洗濯をしていました。
そこへおばあさんがやってきました。
「おいしいりんごはいらんかねえ」
白雪姫は食欲に負け、おばあさんからりんごを受け取ると一口かじり…ばったりと倒れました。
「おーっほほほ。わたしの変装に気づかず、毒りんごを食べるとは、ヤキがまわったわね白雪姫」
驚いたことに、このおばあさんは女王の変装だったのです。
「これで世界一美しい人はわたしってことになるわけよね。ほーっほっほっ」
女王は高笑いを上げながら去っていきました。

仕事から帰った小人たちは、死んでいる白雪姫を見つけました。
「この毒りんごが原因だな」
「どうしましょう。この人を埋める穴を掘るだけでも大変ですわ」
「昔作ったガラスの棺があったろ。とりあえずあれに入れて葬式をやろうぜ」
小人たちはガラスの棺のまわりに集まって故人をしのびました。
「けっ、やっと厄介払いができたってもんだな」
「なんてこと言うんですかっ。そういう言い方は死者に対する冒涜です」
「まあ、確かに大食らいだったし、わがままだったし」
「悪い人じゃなかったけど」
「いやあ、ああいうのを穀つぶしっていうんですかね」
小人たちが言いたい放題言っているところに、隣国の王子が通りかかりました。
「なにしてるんだあ〜?にぎやかだなあ」
「いっしょに暮らしてた姫さんが死んだんでな。葬式だ」
王子は馬を下りると、棺の中をのぞきました。
「かわいい子だなあ。本当に死んでるのか?オレには生きてるように見えるけど」
王子は呼吸を確かめようと、顔を近づけました。
そのとたん。白雪姫がぱっちりと目を開けました。
「きゃああああっっ!いきなりなにすんのよおおお」
白雪姫は王子を突き飛ばしました。
「生きていたんですねっ!」
小人の一人の声に白雪姫はうなずいて言いました。
「食べた毒の量が少なかったんで助かったのよ。体がしびれて動かなかったけど、やっと毒の効き目が切れたらしいわ」
「と、いうことは」
「んふふふ。あんたたちの話はちゃああんと聞かせてもらったわよ〜誰が大食らいの穀つぶしですってえ〜」
「きゃ〜〜〜」
蜘蛛の子を散らすように逃げ出す小人たち。それを追いかけ回す白雪姫。
「ってことはこのお姫さま、ここにいられちゃ困るってことかあ?」
王子が自分の周りを駆け回っている小人に尋ねました。
「まだいたのか。死体にいきなりキスしようとした変態王子」
「ちがーう!!息してるかどうか確かめたかっただけだ。
で、このお姫さま、いらないんならオレにくれないか?」
「へ?こんな乱暴女が欲しいのか?こんなんでよかったらノシ付けてくれてやる」
「じゃ、商談成立ってことで」
「あたしを無視して勝手に決めるなああ!!」
「お城には食い物いっぱいあるぜ」
したっ。次の瞬間、白雪姫は王子の隣に立っていました。
「じゃ、商談成立ってことで。バイバイ、小人さんたち」
「…変わり身の早い奴」
こうして、白雪姫は王子に連れられて行きました。厄介物を持っていってもらった小人たちは、それからは平和に、幸せに暮らしたということです。めでたし、めでたし。

えんど

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1922『スレイヤーズ IN 白鳥の湖』山塚ユリ 7/16-00:52
記事番号1836へのコメント

☆うーむ。元の話をまともに読んだ記憶がないような…
つーわけで全然違う話になっていたりして。

ある夜、月に誘われて、森の中にある湖にやってきたガウリイ王子は、リナという少女と知り合った。
栗色の髪、燃えるような瞳、風に揺れる白いドレス、華奢な姿態。王子は恋に落ちた。
「また明日会ってくれるか?」
「それじゃ、明日の夜、ここで…」
次の日、日暮れを待ちきれず、王子は馬を走らせた。湖には白鳥が一羽、優雅に泳いでいるだけだった。
「リナはまだ来ていないのか」
日が暮れて、月の光が水面を照らした。そして、湖の白鳥はリナへと変化した。
「リナ…」
「ガウリイ!見てたの…」
「どういうことなんだ、お前は人間じゃないのか」
「人間よ。ナーガって悪い魔女に白鳥に変えられてしまったの。夜の間だけ、あたしは元の姿に戻れるのよ」
「ちゃんと元に戻る方法はないのか」
「あることはあるけど…その…」
リナは赤くなってぶちぶちつぶやく。
「なんだよ、聞こえないぞ」
「誰かがあたしのこと、本当に愛してくれたら魔法が解けるんだってさ。笑っちゃうわよまったく」
「本当にって…なんだよそりゃ。愛に本当とかニセモノとかあるのか?」
「わかんないわよそんなこと。神様の前で誓ったら本当になるんじゃないの?
あーなんか恥ずかしい。やめよやめよこんな話」
リナはぱたぱた手を振って言ったが、ガウリイはやめなかった。
「神様の前で、お前を愛してるって誓えば魔法は解けるんだな?」
「ちょっと、それって、ガウリイ、自分がなに言ってるかわかってる?」
「わかってるさ。結婚しようって言ってるんだ」
真っ赤になるリナ。
「だ…だって…」
なにやらぐじぐじ言っているリナの唇を、ガウリイのそれがふさいだ。重なる影を月が銀色に染める。
「明日、城に来てくれ。オレの花嫁を選ぶためのパーティーがあるんだ。オレはそこでお前を花嫁に選ぼう」

どこかの暗い空間で、一つの命が生まれた。
「湖の泥より生れし我が娘アメリアよ。リナの代わりに城へ行き、王子と結婚するのだ」
魔女ナーガは目の前の少女に命じた。
「これでこの国はわたしの思うがままってわけよね。ほーっほっほっほっほ」

次の日。城には何人もの美しい女性が集まっていたが、ガウリイは目もくれず、愛しい恋人が来るのを待っていた。やがて日が落ち、夜の訪れとともに、パーティー会場に、栗色の髪の美しい少女が黒いドレスを着て現われた。
「王子さま、約束通り来ました。わたしと結婚してくれますか?」
王子に近づく少女。だが王子は彼女を避けるように一歩下がると言い放った。
「リナじゃない。君はニセモノだ!」
どよめく人々。黒いドレスの少女――いや、アメリアは驚いて言った。
「な、なぜわたしがニセモノだってわかったんです」
「リナの胸はそんなに大きくない!」
きっぱり。
「リナはどこだ!」
「かあさんが…魔女ナーガが、リナさんがここに来るとまずいからってリナさんを捕まえてしまったんです。案内します!来てください」
アメリアは栗色のかつらを脱ぎ捨てると、走り出した。後に続く王子。二人はぼーぜんとする人々を残して城を飛び出した。

「お前さんは魔女の娘なんだろ。どうしてリナのいるところを教えてくれるんだ?」
馬を走らせながらガウリイが聞いた。
「ガウリイさんをだますためにわたしは作られました。かあさんの命令は絶対だったんです。でもガウリイさんがだまされなかったからわたしの呪縛も解けました。愛する二人を引き離すなんて、許されないことですっ。
わたしは正々堂々、かあさんを裏切りますっ」
王子の背につかまったアメリアが答える。二人を乗せた馬は、夜道を湖に向って疾走していった。

「ほーっほほほ。まさか見破られるとわね」
湖の対岸の森の中。王子たちと対峙した魔女ナーガは、意味もなく胸をはった。縛り上げたリナを盾にしている。
「愛の力です!」
アメリアがびしっと指をさして言った。
「リナを放せ!」
王子が叫ぶ。
「さもないと…」
「さもないと?わたしを殺す?おーっほっほっほっ。わたしを殺しても魔法は解けないわよ。リナが一生白鳥のままでもいいわけ?」
「かまわないさ」
不敵に笑う王子。あっけにとられる魔女ナーガ。
「リナが白鳥だろうが人間だろうが、オレがリナを愛していることにかわりはない!」
「言ってくれるじゃないの。だったら望み通り、リナを昼も夜も白鳥にしてあげるわ」
その時。
「えいっ」
後ろからこっそり近寄ったアメリアが、棒でナーガの頭ををひっぱたいた。つんのめってリナを放してしまうナーガ。
「王子さま、今です!!」
「いったああ。わたしに作られた分際で!あんたどっちの味方なのよっ」
「わたしは正義の味方です!」
「イヤアアアッ」
王子はナーガに斬りかかるが、かわされてしまった。
「ほほほほ」
「王子さまっ!かあさんの弱点はお金です!」
リナの縄をほどきながら、アメリアが叫んだ。王子はポケットから金貨を取り出すと、崖下めがけてそれを放り投げた。
「きゃーお金よーーーっ」
ナーガは金貨を追いかけて崖から飛び降りて…戻って来なかった。

朝日が昇り、リナを照らした。栗色の髪がオレンジに輝く。
「ガウリイ…あたし人間のまんま…」
「リナ!」
駆け寄り、抱き合う二人。
「愛の奇跡です!たとえ白鳥の姿であろうとも、リナさんを愛していると言い切った王子さま。ああ、それこそ誠の愛!その真実の愛の力が、今、邪悪な魔法に打ち勝ったのですっ」
びしっと朝日を指さしてポーズをとるアメリア。
「…なんかそーゆー言い方されると、とことん怪しくなるんだけど…」

こうしてリナはガウリイ王子と結婚した。
リナの侍女となったアメリアともども、末永く幸せに暮らしたということである。




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