◆−時の旅人 54:運命の一対−羅城 朱琉 (2006/7/18 08:30:40) No.17791
 ┣・・・・・・へぇ。(感嘆符と悩むの感情で)−十叶 夕海 (2006/7/18 19:17:36) No.17794
 ┃┗ここで終わり、ここから始まる。産みの苦しみでしょうか?−羅城 朱琉 (2006/7/19 10:04:21) No.17797
 ┣時の旅人 55:言葉の枷−羅城 朱琉 (2006/7/19 09:50:41) No.17796
 ┃┗・・・・・・ッ(いろんな意味で絶句&硬直)−十叶 夕海 (2006/7/20 23:56:30) No.17801
 ┃ ┗語り部さんはヒーローでヒロインなのです(違)−羅城 朱琉 (2006/7/21 08:39:14) No.17802
 ┣時の旅人 56:紅玉と天翼−羅城 朱琉 (2006/8/31 08:28:38) No.17826
 ┃┗お久しぶりです。−十叶 夕海 (2006/9/5 15:44:13) No.17828
 ┃ ┗遅れました。−羅城 朱琉 (2006/9/8 17:02:43) No.17831
 ┗時の旅人 57:楔の外れる音−羅城 朱琉 (2006/10/2 16:56:49) No.17852
  ┗キャハ、許せないねぇ。(にしても、シンクロニシティも多いね)−十叶 夕海 (2006/10/2 21:44:49) No.17856
   ┗『絶対悪』ではないんですけれど、ね。(多分、そろそろ二桁に届くんじゃないかと)−羅城 朱琉 (2006/10/4 08:49:27) No.17859


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17791時の旅人 54:運命の一対羅城 朱琉 2006/7/18 08:30:40


 こんにちは、羅城 朱琉です。
 十叶さん、ツリーが落ちてしまって前回の返レス出来ませんでした、ごめんなさい。

 さて、ルピナス正体暴露編、後編です。何だか、語り部さん以上に、羅城本人が嫌われそうな内容ですが・・・・・・・・。
 ダーク・シリアス・(精神的に)痛いです。覚悟を決めて読んでください。
 では、どうぞ!




  時の旅人

  54:運命の一対

 湧き上がる戸惑いのまま、ルピナスは自らの手を眺めた。それに気付いているだろうに、語り部はそのまま言葉を続けていく。
「証拠もある。君は、君自身の力で『時の魔法』を使えるだろう?・・・・覚えてないかい?『封じられしモノ』の一件のとき、君は使ったよね?『時封透檻(フェントーラ)』を。」
 のろのろと視線を上げ、ルピナスは、そういえば・・・・、と呟いた。
「でも、あれは失敗したはずだ。」
「いいや。意図通りの効果を発揮しなかったという点では、確かに『失敗』と言えるだろう。でも、一瞬であっても、術自体は発動していたよね。」
 再び思い返し・・・・ルピナスは首を縦に振った。
「それが証拠。マジックアイテムの助けもなく、自力で『時の魔法』を発動させられる人間は、この世界では『四大家』の者たちだけだ。例え、人間としてはほぼ最高レベルの魔力を誇るリナ=インバースでも、そのままでは『時の魔法』は使えない。」
「どうしてよ?」
 口を挟んだのは、引き合いに出されたリナ本人。語り部は小さく肩を竦めて、言った。
「魔力の系統が違いすぎるんだよ。基本的に、精神世界面(アストラル・サイト)を辿って呼び出せる魔力の大本は『混沌』だから。『時』の力とは、源が違う。
 ・・・・・・・・話を戻そう。次は、『なぜ、君たちは融合させられたか』、を話そうか?」
 ルピナスは、とりあえず詮索することをやめることにした。とりあえずは、全てを聞いてからにしよう、と。
 淡々と話す語り部の顔に表情らしきものはなく、ただ、物語を読んでいるだけのように思える。しかし、次の一言を言うその一瞬前・・・・一瞬、語り部の視線がレンシェルマに向いたその時だけは、どこか哀れみを滲ませた瞳のように見えた。
「・・・・・・・・君はそれを・・・・日替わりで男女が入れ替わるのを『呪い』と言うけれどね。それ、本当は、君の命を救うためにかけられた呪文なんだよ?」
「!?・・・・それって、どういう・・・・」
 詮索はやめるつもりだったのに、流石に問い返さずにはいられなかった。語り部は、遠くを見るような目つきで語る。
「君の目覚めた場所を覚えているかい?あそこが、君の生まれ育った場所。サーヴァリルの隠れ里。・・・・あの時、君以外は皆、死んだ。何故、君は生き残れたと思う?
 答えは、君の身にかけられた、君曰く『呪い』のため。
 ・・・・・・・・君は・・・・いや、あえてシオンとルーティアは、と言おう。あの時シオンとルーティアは、共に瀕死の重傷を負った。そのままでは、死は避けられなかっただろう。だけど『彼女』は、じきにその場所に治癒魔法に長けた者が来ることを知っていた。だから、それまでせめて時間を稼ぎたかった。せめて、彼ら二人だけでも、生き延びて欲しかったから・・・・。
 『彼女』自身も瀕死の重傷を負っていて、『癒霊捧歌(サティナ・カントゥス)』を・・・・君を生き返らせるためアリエスが使った呪文を使えるほどの力は残っていなかった。だから、彼女は苦肉の策を使ったんだよ。
 二人が、男女の性差こそあれ双子であったことを利用して、二人の時を同調させる。結果として、二人の体を一つにすることになる。そうすることで、生命力を倍加させたわけだよ。」
「・・・・・・・・?」
 今一つ解っていないとばかりに首を傾げるルピナスに、語り部は言い直した。
「単純な足し算だよ。2つの体に1ずつの力があったとして、その体を一つにすれば、1+1で2の力が宿る体が出来上がる。そういう話だ。
 そうして、『彼女』はシオンとルーティアの命を引き伸ばした。二人を1人に・・・・『ルピナス』にすることで。」
 語り部は一旦言葉を切った。その時も、やはりあの哀れむような眼差しで・・・・・・・・いや、違う。これは『哀れんでいる』のではない。何かを・・・・・・・・『悼んでいる』のだ。
 一呼吸置いて、語り部は言葉を紡ぐ。紡ぎ続ける。哀れみに似た哀悼の眼差しで、しかし、言葉だけは無感情に。
「『彼女』の名は、プリムラ=ヒーラ=セレス・・・・・・・・本名は、プリムラ=ヒーラ=シェンティア=サーヴァリル。シオンとルーティアの、母親。」
 語り部が告げたその名は、とても温かく、とても優しく・・・・そして、とても切なく、ルピナスの胸に響いた。


     *     *     *     *     *


 あたりが、しん、と静まり返る。レンシェルマはその沈黙の中、ふとルピナスを見た。
「・・・・!?ルピナス?涙が・・・・・・・・」
「え・・・・・・・・?」
 ルピナスの手が、自身の頬に触れる。
 ルピナスは、泣いていた。嗚咽を洩らすでなく、ただただ静かに涙を零していた。拭っても拭っても溢れる涙に、ルピナス自身が困惑する。
「なんで・・・・・・・・」
 レンシェルマは、そっとルピナスに歩み寄った。ずっと立ったまま話を聞いていたルピナスを椅子に座らせ、涙を拭ってやる。
「頭では忘れていても・・・・・・・・きっと覚えているのでしょう。体が、心が、どこか深い場所で、プリムラを覚えているのでしょう。」
 床に肩膝をついて、ルピナスと視線を合わせ、静かに、ほとんど囁くような声で、レンシェルマは言った。・・・・一つの覚悟を決めた上で。
「ルピナス・・・・私は、知っていました。」
 ルピナスの視線が問いかける。何を?と。レンシェルマは、自分でも意外なほど静かで穏やかな声で言う。
「あなたが、『シオン』であり『ルーティア』であることを。あなたが、サーヴァリル家の者であることを。・・・・私は、知っていました。」
 ルピナスの瞳が丸くなる。声なく驚くルピナスの手をそっと包み込み、レンシェルマは言い続けた。・・・・強制されてのことではない。自分の意思で、決めた上で。
「もっとずっと前から・・・・あなたが・・・・シオンとルーティアが生まれる前から、私はずっと、あなた達を見てきたのですから。」
 語ることは、痛みを伴う。それでも、レンシェルマは視線を逸らさない。ルピナスの瞳をじっと見つめたままで。
「アスターとプリムラとは、親しかったのですよ。・・・・私にとって、シーシェンズ家は生きやすい場所ではなかった。だから、同じ『四大家』ということを利用し、よくあそこに来ていました。二人は、私にとって兄姉のような存在でした。語り部様が仰った、『じきにその場に来るはずだった者』とは・・・・私です。
 あの日も、私は二人に会いに来たのです。フェラナート家の者・・・・アリエスの存在を知らせるために。そして・・・・廃墟と化した村の中で、あなたを見つけました。
 その時すぐに、あなたがシオンとルーティアと解ったわけではありません。でも、次の日には・・・・あなたの姿が変じたときには、気付きました。」
「レンシェルマ、もういい。そこから先は、君の知る以上の事情が絡んでくる。」
 言い募るレンシェルマの声を語り部が強引に遮る。レンシェルマが振り向くと、語り部はぽつりと言った。
「君は、『運命の一対』を知らないだろう?」
「運命の・・・・一対?」
 語り部は、小さく頷いた。
「まず、一つ目。レンシェルマ・・・・ルピナスにかけられた術を君が解けなかった理由から順に説明していこう。
 一応、解こうと努力はしたんだろう?それでも解けなかった。・・・・君が『ルピナス』=『サーヴァリルの双子』と気付いたときには、既にルピナスは『中枢予定表』の干渉を受けていたから。」
 レンシェルマは、目を見開いた。
「なぜ・・・・!?」
「その方が、都合が良かった。二人を一つにすることで命は繋がった。けれど、思わぬ副作用が生じてしまった。それが・・・・サーヴァリル家の者としての力、『瘴気の浄化能力』の消失。
 先ほどと同じ例えを使うならば、1と−1を足すと0になるように、ね。
 結果、アリエスの溜め込んだ瘴気は浄化されない。アリエスは、遠からずシーシェンズ家の元へ行くだろう。『中枢予定表』としては、それが望ましかった。」
「な・・・・」
 何故、と問いたかった。しかし、語り部はその声を無視して話を先へ進めていく。
「だから、ルピナスに干渉した。再び二人に分かれて、『瘴気浄化能力』が復活しないように。
 それでも、ルピナスをアリエスの傍から引き離すことはしなかった。なぜなら、彼らは今代の『運命の一対』であり、今回の場合においては、それは非常に都合が良かったから。」
 心持ち、語り部は早口な気がする。それは、何かから逃れるように、ひたすらに言葉を吐き出しているように見えた。
「『運命の一対』とは、『フェラナート』と『サーヴァリル』の関係を端的に言い表したもの。最初は、運命に仕組まれていたわけではない。ただ、あまりにうまくパズルのピースが合ってしまったために起こった悲劇。
 『フェラナート』は魔を封じ、『サーヴァリル』は魔を浄化する。お互いに限界のある人の身でありながらも、その力を持つ。そして、いつしか心までが力に引きずられるようになった。
 ルピナス・・・・君は、アリエスが好きだろう?」
 唐突に話を振られたルピナスは、僅かに顔を赤らめたが、はっきりと宣言する。
「ああ。僕は、アリエスが好きだ。」
「ずっと一緒にいたい?」
「勿論、叶うことならば。」
 ふと、語り部が吐息を洩らした。
「・・・・『運命の一対』とは、そういう関係のこと。」
「?」
 ルピナスと一緒に、レンシェルマまでが首をかしげた。
「『サーヴァリル』は『フェラナート』に、『フェラナート』は『サーヴァリル』に、無条件で惹かれてゆく。・・・・・・・・それだけで済んでいたなら、別に良かったんだけどね。」
 語り部は、吐息に乗せて語り続けた。
「瘴気を集め、封じる『フェラナート』。周囲の瘴気を浄化する『サーヴァリル』。『サーヴァリル』が『フェラナート』に寄り添えば、『フェラナート』の抱え込む瘴気は浄化される。でも、『サーヴァリル』が浄化できる瘴気の量には、限界がある。
 限界を超えて瘴気を浄化しようとした『サーヴァリル』の末路は・・・・発狂か死の、二つに一つ。
 お互いに惹かれあうけれど、必ず『フェラナート』は『サーヴァリル』を食い潰す。それが解っても、思いを止めることができない。だから、出会ったが最後、遠からず必ず破滅する。
 『運命の一対』というのは、そういう関係。」
 それを聞くうちに、レンシェルマの顔色がどんどんと蒼白になっていった。ルピナスは・・・・考えたくなかった。もし、それが全て真実だとしたら・・・・・・・・。
 しかし、語り部は、容赦なくその言葉を口にした。
「アリエスは『フェラナート』。君は『サーヴァリル』。君たちは、『運命の一対』だ。・・・・・・・・さて、ルピナス?君のその思いは・・・・・・・・
  ・・・・・・・・本当に、君自身の物なのかな?」
 そうして、語り部はふと口元に笑みを浮かべた。
「そんなものは関係ない、と、君は言い切るかもしれない。でも、ね・・・・・・・・。
 アリエスが君を癒した後、僕はアリエスに問うた。『ルピナスをどう思っているか』・・・・とね。アリエスは、何て答えたと思う?
 そのまま、全て言ってあげよう。
『最初は、厄介なお荷物としか思っていませんでしたよ。レンが連れてきたのでなければ、見向きもしなかったでしょうね。でも、今は・・・・レンと同じく、大切な人。ひょっとすると、レンよりも大切に思う人。かけがえの無い人。きっと、この感情を・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・『愛している』と言うのでしょうね。』」
 一瞬、ルピナスの瞳に光が走った。
「『・・・・・・・・でも・・・・・・・・』」
 しかし、それを打ち砕くかのように、語り部は続きを話す。数日前、昏倒したルピナスの枕辺で語られた言葉の・・・・あの時は記されなかった、最後の一節を。
「『でも・・・・私には、この感情が本当に私自身の物であるとは思えません。私は『フェラナート』。ルピナスは『サーヴァリル』。・・・・『あの時』と同じです。・・・・・・・・私達は・・・・『運命の一対』なのですから。』」
 その瞬間、何かが音を立てて崩れていく。ルピナスの、レンシェルマの瞳が、急速に翳ってゆく。
 語り部は、最後の一言を・・・・致命的な一言を、紡いだ。
「わかったろう?
 アリエスは・・・・・・・・これまで僕が話したことを、全て知っていたんだよ。・・・・正確に言えば、『思い出していた』、だけどね。」
 言った語り部は、そのまま小さく、しかしどこか疲れきった溜息を漏らした。
「ねぇ?君を絶望させるには、十分すぎる事実だと思わないかい?」
 そうして語り部は身を翻す。それを止めるほどの気力を残したものがいないのをいいことに、語り部は悠々とその場を立ち去った。


 あとがき、或いは語り部(代理)が告げる未来
アミイ:こんにちは。今回はどうだったかしら?何だか恒例になってきてしまったけれど、今回も私、アミリータが予告するわね。
    さて・・・・今回は、内容が内容だったから、私からはノーコメントとさせてもらうけど・・・・朱琉本人が、書きながら『うわぁ〜・・・・救いがないよ〜・・・・』と嘆いてたことだけは事実。(←作者注:余計なこと言わなくていいです・・・・。)
   じゃあ、次回予告しますか。
    語れることは、語った。語れぬことも、僅かには。
    言の葉の刃の裏に潜む思惑を悟るとき、優しくも厳しく、それは知らされる。
    嵌められた枷の発動、主従逆転の瞬間。
    それすらも、『運命』の内に。
   次回、『時の旅人』55話、『言葉の枷』
  じゃあ、また次回でね!


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17794・・・・・・へぇ。(感嘆符と悩むの感情で)十叶 夕海 2006/7/18 19:17:36
記事番号17791へのコメント


> こんにちは、羅城 朱琉です。
> 十叶さん、ツリーが落ちてしまって前回の返レス出来ませんでした、ごめんなさい。

ユア;いえいえ、そんなこともありますよ?ということで、ユアです。
久遠;小説2の方って、たまにというか、割合よく在ることなのよ。

>
> さて、ルピナス正体暴露編、後編です。何だか、語り部さん以上に、羅城本人が嫌われそうな内容ですが・・・・・・・・。
> ダーク・シリアス・(精神的に)痛いです。覚悟を決めて読んでください。
> では、どうぞ!
>

ユア;いいえ、嫌えません。
久遠;一部、設定部分でシンクロニティがあったりしたものね(妙に遠い目)
ユア;それに、そういうのも、含めて羅城産のこと好きですから。
   ・・・・・レス行きます。


>「それが証拠。マジックアイテムの助けもなく、自力で『時の魔法』を発動させられる人間は、この世界では『四大家』の者たちだけだ。例え、人間としてはほぼ最高レベルの魔力を誇るリナ=インバースでも、そのままでは『時の魔法』は使えない。」
>「どうしてよ?」
> 口を挟んだのは、引き合いに出されたリナ本人。語り部は小さく肩を竦めて、言った。
>「魔力の系統が違いすぎるんだよ。基本的に、精神世界面(アストラル・サイト)を辿って呼び出せる魔力の大本は『混沌』だから。『時』の力とは、源が違う。
> ・・・・・・・・話を戻そう。次は、『なぜ、君たちは融合させられたか』、を話そうか?」

ユア;火竜が、水のブレスを使うようなもの?
久遠;一応、同じ『竜(人)』が、自然(魔力)を使おうとしても、使えないということ?


>「君の目覚めた場所を覚えているかい?あそこが、君の生まれ育った場所。サーヴァリルの隠れ里。・・・・あの時、君以外は皆、死んだ。何故、君は生き残れたと思う?
> 答えは、君の身にかけられた、君曰く『呪い』のため。
> ・・・・・・・・君は・・・・いや、あえてシオンとルーティアは、と言おう。あの時シオンとルーティアは、共に瀕死の重傷を負った。そのままでは、死は避けられなかっただろう。だけど『彼女』は、じきにその場所に治癒魔法に長けた者が来ることを知っていた。だから、それまでせめて時間を稼ぎたかった。せめて、彼ら二人だけでも、生き延びて欲しかったから・・・・。
> 『彼女』自身も瀕死の重傷を負っていて、『癒霊捧歌(サティナ・カントゥス)』を・・・・君を生き返らせるためアリエスが使った呪文を使えるほどの力は残っていなかった。だから、彼女は苦肉の策を使ったんだよ。
> 二人が、男女の性差こそあれ双子であったことを利用して、二人の時を同調させる。結果として、二人の体を一つにすることになる。そうすることで、生命力を倍加させたわけだよ。」


久遠;切ないかもしれないわね。
ユア;自分が助からないのを覚悟しても、生き残って欲しいと思えるなんてさ。
久遠;・・・・ユアちゃん、泣かないでね。
ユア;哀しいのも、在りますが、これは自分の息子・・・キャラがこんなに強く思ってもらえてるからの嬉し涙です。

> 一呼吸置いて、語り部は言葉を紡ぐ。紡ぎ続ける。哀れみに似た哀悼の眼差しで、しかし、言葉だけは無感情に。
>「『彼女』の名は、プリムラ=ヒーラ=セレス・・・・・・・・本名は、プリムラ=ヒーラ=シェンティア=サーヴァリル。シオンとルーティアの、母親。」
> 語り部が告げたその名は、とても温かく、とても優しく・・・・そして、とても切なく、ルピナスの胸に響いた。


久遠;遥か彼方の徒然編に、出ていた幽霊さんだったけ?
ユア:たしか、そうだったと。

>「君は、『運命の一対』を知らないだろう?」
>「運命の・・・・一対?」
> 語り部は、小さく頷いた。
>「まず、一つ目。レンシェルマ・・・・ルピナスにかけられた術を君が解けなかった理由から順に説明していこう。
> 一応、解こうと努力はしたんだろう?それでも解けなかった。・・・・君が『ルピナス』=『サーヴァリルの双子』と気付いたときには、既にルピナスは『中枢予定表』の干渉を受けていたから。」
> レンシェルマは、目を見開いた。
>「なぜ・・・・!?」
>「その方が、都合が良かった。二人を一つにすることで命は繋がった。けれど、思わぬ副作用が生じてしまった。それが・・・・サーヴァリル家の者としての力、『瘴気の浄化能力』の消失。
> 先ほどと同じ例えを使うならば、1と−1を足すと0になるように、ね。
> 結果、アリエスの溜め込んだ瘴気は浄化されない。アリエスは、遠からずシーシェンズ家の元へ行くだろう。『中枢予定表』としては、それが望ましかった。」
>「な・・・・」
> 何故、と問いたかった。しかし、語り部はその声を無視して話を先へ進めていく。
>「だから、ルピナスに干渉した。再び二人に分かれて、『瘴気浄化能力』が復活しないように。
> それでも、ルピナスをアリエスの傍から引き離すことはしなかった。なぜなら、彼らは今代の『運命の一対』であり、今回の場合においては、それは非常に都合が良かったから。」
> 心持ち、語り部は早口な気がする。それは、何かから逃れるように、ひたすらに言葉を吐き出しているように見えた。
>「『運命の一対』とは、『フェラナート』と『サーヴァリル』の関係を端的に言い表したもの。最初は、運命に仕組まれていたわけではない。ただ、あまりにうまくパズルのピースが合ってしまったために起こった悲劇。
> 『フェラナート』は魔を封じ、『サーヴァリル』は魔を浄化する。お互いに限界のある人の身でありながらも、その力を持つ。そして、いつしか心までが力に引きずられるようになった。
> ルピナス・・・・君は、アリエスが好きだろう?」
> 唐突に話を振られたルピナスは、僅かに顔を赤らめたが、はっきりと宣言する。
>「ああ。僕は、アリエスが好きだ。」
>「ずっと一緒にいたい?」
>「勿論、叶うことならば。」
> ふと、語り部が吐息を洩らした。
>「・・・・『運命の一対』とは、そういう関係のこと。」
>「?」
> ルピナスと一緒に、レンシェルマまでが首をかしげた。
>「『サーヴァリル』は『フェラナート』に、『フェラナート』は『サーヴァリル』に、無条件で惹かれてゆく。・・・・・・・・それだけで済んでいたなら、別に良かったんだけどね。」
> 語り部は、吐息に乗せて語り続けた。
>「瘴気を集め、封じる『フェラナート』。周囲の瘴気を浄化する『サーヴァリル』。『サーヴァリル』が『フェラナート』に寄り添えば、『フェラナート』の抱え込む瘴気は浄化される。でも、『サーヴァリル』が浄化できる瘴気の量には、限界がある。
> 限界を超えて瘴気を浄化しようとした『サーヴァリル』の末路は・・・・発狂か死の、二つに一つ。
> お互いに惹かれあうけれど、必ず『フェラナート』は『サーヴァリル』を食い潰す。それが解っても、思いを止めることができない。だから、出会ったが最後、遠からず必ず破滅する。
> 『運命の一対』というのは、そういう関係。」
> それを聞くうちに、レンシェルマの顔色がどんどんと蒼白になっていった。ルピナスは・・・・考えたくなかった。もし、それが全て真実だとしたら・・・・・・・・。
> しかし、語り部は、容赦なくその言葉を口にした。
>「アリエスは『フェラナート』。君は『サーヴァリル』。君たちは、『運命の一対』だ。・・・・・・・・さて、ルピナス?君のその思いは・・・・・・・・
>  ・・・・・・・・本当に、君自身の物なのかな?」
> そうして、語り部はふと口元に笑みを浮かべた。
>「『でも・・・・私には、この感情が本当に私自身の物であるとは思えません。私は『フェラナート』。ルピナスは『サーヴァリル』。・・・・『あの時』と同じです。・・・・・・・・私達は・・・・『運命の一対』なのですから。』」
> その瞬間、何かが音を立てて崩れていく。ルピナスの、レンシェルマの瞳が、急速に翳ってゆく。
> 語り部は、最後の一言を・・・・致命的な一言を、紡いだ。
>「わかったろう?
> アリエスは・・・・・・・・これまで僕が話したことを、全て知っていたんだよ。・・・・正確に言えば、『思い出していた』、だけどね。」

ユア;シンクロニティ第何弾ってかんじ?
  《戦乙女》アリエスと《片眼王》カインが、アリエスとルピナス的な感じです。
久遠;《片眼王の呪い》戸手も言う風なモノね。
ユア;・・・・・・なんにせよ、重いねぇ、我が息子が背負うものは。

> 言った語り部は、そのまま小さく、しかしどこか疲れきった溜息を漏らした。
>「ねぇ?君を絶望させるには、十分すぎる事実だと思わないかい?」
> そうして語り部は身を翻す。それを止めるほどの気力を残したものがいないのをいいことに、語り部は悠々とその場を立ち去った。

久遠;でも、語り部ちゃん、本当に絶望した人間は、絶望したなんて言えないわ。
ユア:逆説的に、絶望したと言えれば、まだ絶望しきれてないと?
久遠;そうよ。
   せめて、灰色的幸福劇終末(グレイ・ハッピーエンド)目指して欲しいわ、お姉さん的に。

>
>
> あとがき、或いは語り部(代理)が告げる未来
>アミイ:こんにちは。今回はどうだったかしら?何だか恒例になってきてしまったけれど、今回も私、アミリータが予告するわね。
>    さて・・・・今回は、内容が内容だったから、私からはノーコメントとさせてもらうけど・・・・朱琉本人が、書きながら『うわぁ〜・・・・救いがないよ〜・・・・』と嘆いてたことだけは事実。(←作者注:余計なこと言わなくていいです・・・・。)


ユア;救い無いことが、逆に救いかもしれないですよ?

>   じゃあ、次回予告しますか。
>    語れることは、語った。語れぬことも、僅かには。
>    言の葉の刃の裏に潜む思惑を悟るとき、優しくも厳しく、それは知らされる。
>    嵌められた枷の発動、主従逆転の瞬間。
>    それすらも、『運命』の内に。
>   次回、『時の旅人』55話、『言葉の枷』
>  じゃあ、また次回でね!

ユア;素敵に楽しく読ませていただきました。
二人;では、次回。

>
>

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17797ここで終わり、ここから始まる。産みの苦しみでしょうか?羅城 朱琉 2006/7/19 10:04:21
記事番号17794へのコメント


>
>> こんにちは、羅城 朱琉です。
>> 十叶さん、ツリーが落ちてしまって前回の返レス出来ませんでした、ごめんなさい。
>
>ユア;いえいえ、そんなこともありますよ?ということで、ユアです。
>久遠;小説2の方って、たまにというか、割合よく在ることなのよ。
朱琉:こんにちは。他のレスしてから・・・・と思ったら、落ちてびっくりしましたです。
アミイ:そう言って貰えて、よかったわ。

>
>>
>> さて、ルピナス正体暴露編、後編です。何だか、語り部さん以上に、羅城本人が嫌われそうな内容ですが・・・・・・・・。
>> ダーク・シリアス・(精神的に)痛いです。覚悟を決めて読んでください。
>> では、どうぞ!
>>
>
>ユア;いいえ、嫌えません。
>久遠;一部、設定部分でシンクロニティがあったりしたものね(妙に遠い目)
>ユア;それに、そういうのも、含めて羅城産のこと好きですから。
>   ・・・・・レス行きます。
朱琉:あはは・・・・・・・・。そう言ってもらえると嬉しいです。
アミイ:シンクロニシティも、また楽し、ってね。じゃあ、返レスよ。

>
>
>>「それが証拠。マジックアイテムの助けもなく、自力で『時の魔法』を発動させられる人間は、この世界では『四大家』の者たちだけだ。例え、人間としてはほぼ最高レベルの魔力を誇るリナ=インバースでも、そのままでは『時の魔法』は使えない。」
>>「どうしてよ?」
>> 口を挟んだのは、引き合いに出されたリナ本人。語り部は小さく肩を竦めて、言った。
>>「魔力の系統が違いすぎるんだよ。基本的に、精神世界面(アストラル・サイト)を辿って呼び出せる魔力の大本は『混沌』だから。『時』の力とは、源が違う。
>> ・・・・・・・・話を戻そう。次は、『なぜ、君たちは融合させられたか』、を話そうか?」
>
>ユア;火竜が、水のブレスを使うようなもの?
>久遠;一応、同じ『竜(人)』が、自然(魔力)を使おうとしても、使えないということ?
朱琉:そんな感じです。
アミイ:例の、詳しいのか詳しくないんだかよくわからない朱琉理論によると、横の広がりを持つのが一般の魔法、縦の広がりを持つのが時の魔法、らしいけど・・・・・・・・これでわかる人がいたら、その人天才よ。
朱琉:自分でも、そう思います。

>
>
>>「君の目覚めた場所を覚えているかい?あそこが、君の生まれ育った場所。サーヴァリルの隠れ里。・・・・あの時、君以外は皆、死んだ。何故、君は生き残れたと思う?
>> 答えは、君の身にかけられた、君曰く『呪い』のため。
>> ・・・・・・・・君は・・・・いや、あえてシオンとルーティアは、と言おう。あの時シオンとルーティアは、共に瀕死の重傷を負った。そのままでは、死は避けられなかっただろう。だけど『彼女』は、じきにその場所に治癒魔法に長けた者が来ることを知っていた。だから、それまでせめて時間を稼ぎたかった。せめて、彼ら二人だけでも、生き延びて欲しかったから・・・・。
>> 『彼女』自身も瀕死の重傷を負っていて、『癒霊捧歌(サティナ・カントゥス)』を・・・・君を生き返らせるためアリエスが使った呪文を使えるほどの力は残っていなかった。だから、彼女は苦肉の策を使ったんだよ。
>> 二人が、男女の性差こそあれ双子であったことを利用して、二人の時を同調させる。結果として、二人の体を一つにすることになる。そうすることで、生命力を倍加させたわけだよ。」
>
>
>久遠;切ないかもしれないわね。
>ユア;自分が助からないのを覚悟しても、生き残って欲しいと思えるなんてさ。
>久遠;・・・・ユアちゃん、泣かないでね。
>ユア;哀しいのも、在りますが、これは自分の息子・・・キャラがこんなに強く思ってもらえてるからの嬉し涙です。
アミイ:『母』っていうのは、強く、優しく、温かく・・・・子供のためなら無茶も無茶じゃないのよ。
朱琉:最近は、母の子殺しがよく報道されてますけどね・・・・。悲しいことです。

>
>> 一呼吸置いて、語り部は言葉を紡ぐ。紡ぎ続ける。哀れみに似た哀悼の眼差しで、しかし、言葉だけは無感情に。
>>「『彼女』の名は、プリムラ=ヒーラ=セレス・・・・・・・・本名は、プリムラ=ヒーラ=シェンティア=サーヴァリル。シオンとルーティアの、母親。」
>> 語り部が告げたその名は、とても温かく、とても優しく・・・・そして、とても切なく、ルピナスの胸に響いた。
>
>
>久遠;遥か彼方の徒然編に、出ていた幽霊さんだったけ?
>ユア:たしか、そうだったと。
朱琉:はい、そうです。彼女です。
アミイ:『やっと明かせたよ、彼女のこと』って、朱琉言ってたものね。
朱琉:ルピ君の詳しい設定もらったときから、彼がどういう存在なのかほぼ決定したので・・・・。それに付随して出したんですが。いやぁ、長かったです。

>
>>「君は、『運命の一対』を知らないだろう?」
>>「運命の・・・・一対?」
>> 語り部は、小さく頷いた。
>>「まず、一つ目。レンシェルマ・・・・ルピナスにかけられた術を君が解けなかった理由から順に説明していこう。
>> 一応、解こうと努力はしたんだろう?それでも解けなかった。・・・・君が『ルピナス』=『サーヴァリルの双子』と気付いたときには、既にルピナスは『中枢予定表』の干渉を受けていたから。」
>> レンシェルマは、目を見開いた。
>>「なぜ・・・・!?」
>>「その方が、都合が良かった。二人を一つにすることで命は繋がった。けれど、思わぬ副作用が生じてしまった。それが・・・・サーヴァリル家の者としての力、『瘴気の浄化能力』の消失。
>> 先ほどと同じ例えを使うならば、1と−1を足すと0になるように、ね。
>> 結果、アリエスの溜め込んだ瘴気は浄化されない。アリエスは、遠からずシーシェンズ家の元へ行くだろう。『中枢予定表』としては、それが望ましかった。」
>>「な・・・・」
>> 何故、と問いたかった。しかし、語り部はその声を無視して話を先へ進めていく。
>>「だから、ルピナスに干渉した。再び二人に分かれて、『瘴気浄化能力』が復活しないように。
>> それでも、ルピナスをアリエスの傍から引き離すことはしなかった。なぜなら、彼らは今代の『運命の一対』であり、今回の場合においては、それは非常に都合が良かったから。」
>> 心持ち、語り部は早口な気がする。それは、何かから逃れるように、ひたすらに言葉を吐き出しているように見えた。
>>「『運命の一対』とは、『フェラナート』と『サーヴァリル』の関係を端的に言い表したもの。最初は、運命に仕組まれていたわけではない。ただ、あまりにうまくパズルのピースが合ってしまったために起こった悲劇。
>> 『フェラナート』は魔を封じ、『サーヴァリル』は魔を浄化する。お互いに限界のある人の身でありながらも、その力を持つ。そして、いつしか心までが力に引きずられるようになった。
>> ルピナス・・・・君は、アリエスが好きだろう?」
>> 唐突に話を振られたルピナスは、僅かに顔を赤らめたが、はっきりと宣言する。
>>「ああ。僕は、アリエスが好きだ。」
>>「ずっと一緒にいたい?」
>>「勿論、叶うことならば。」
>> ふと、語り部が吐息を洩らした。
>>「・・・・『運命の一対』とは、そういう関係のこと。」
>>「?」
>> ルピナスと一緒に、レンシェルマまでが首をかしげた。
>>「『サーヴァリル』は『フェラナート』に、『フェラナート』は『サーヴァリル』に、無条件で惹かれてゆく。・・・・・・・・それだけで済んでいたなら、別に良かったんだけどね。」
>> 語り部は、吐息に乗せて語り続けた。
>>「瘴気を集め、封じる『フェラナート』。周囲の瘴気を浄化する『サーヴァリル』。『サーヴァリル』が『フェラナート』に寄り添えば、『フェラナート』の抱え込む瘴気は浄化される。でも、『サーヴァリル』が浄化できる瘴気の量には、限界がある。
>> 限界を超えて瘴気を浄化しようとした『サーヴァリル』の末路は・・・・発狂か死の、二つに一つ。
>> お互いに惹かれあうけれど、必ず『フェラナート』は『サーヴァリル』を食い潰す。それが解っても、思いを止めることができない。だから、出会ったが最後、遠からず必ず破滅する。
>> 『運命の一対』というのは、そういう関係。」
>> それを聞くうちに、レンシェルマの顔色がどんどんと蒼白になっていった。ルピナスは・・・・考えたくなかった。もし、それが全て真実だとしたら・・・・・・・・。
>> しかし、語り部は、容赦なくその言葉を口にした。
>>「アリエスは『フェラナート』。君は『サーヴァリル』。君たちは、『運命の一対』だ。・・・・・・・・さて、ルピナス?君のその思いは・・・・・・・・
>>  ・・・・・・・・本当に、君自身の物なのかな?」
>> そうして、語り部はふと口元に笑みを浮かべた。
>>「『でも・・・・私には、この感情が本当に私自身の物であるとは思えません。私は『フェラナート』。ルピナスは『サーヴァリル』。・・・・『あの時』と同じです。・・・・・・・・私達は・・・・『運命の一対』なのですから。』」
>> その瞬間、何かが音を立てて崩れていく。ルピナスの、レンシェルマの瞳が、急速に翳ってゆく。
>> 語り部は、最後の一言を・・・・致命的な一言を、紡いだ。
>>「わかったろう?
>> アリエスは・・・・・・・・これまで僕が話したことを、全て知っていたんだよ。・・・・正確に言えば、『思い出していた』、だけどね。」
>
>ユア;シンクロニティ第何弾ってかんじ?
>  《戦乙女》アリエスと《片眼王》カインが、アリエスとルピナス的な感じです。
>久遠;《片眼王の呪い》戸手も言う風なモノね。
>ユア;・・・・・・なんにせよ、重いねぇ、我が息子が背負うものは。
朱琉:うわぁ・・・・・・・・。
アミイ:向こうのアリエスちゃんも、こっちのルピ君も、重いわね・・・・・・・・。
朱琉:押しつぶされないよう、祈るばかりです。

>
>> 言った語り部は、そのまま小さく、しかしどこか疲れきった溜息を漏らした。
>>「ねぇ?君を絶望させるには、十分すぎる事実だと思わないかい?」
>> そうして語り部は身を翻す。それを止めるほどの気力を残したものがいないのをいいことに、語り部は悠々とその場を立ち去った。
>
>久遠;でも、語り部ちゃん、本当に絶望した人間は、絶望したなんて言えないわ。
>ユア:逆説的に、絶望したと言えれば、まだ絶望しきれてないと?
>久遠;そうよ。
>   せめて、灰色的幸福劇終末(グレイ・ハッピーエンド)目指して欲しいわ、お姉さん的に。
アミイ:久遠ちゃん、大丈夫よ。灰色じゃなく水色ハッピーエンド位にはなるはずだから!
朱琉:水色、って・・・・・・・・?
アミイ:それに、『絶望』『絶望』言ってても・・・・本当に『絶望』したとしても、ヒトはそこから立ち直っていける生き物だから。

>
>>
>>
>> あとがき、或いは語り部(代理)が告げる未来
>>アミイ:こんにちは。今回はどうだったかしら?何だか恒例になってきてしまったけれど、今回も私、アミリータが予告するわね。
>>    さて・・・・今回は、内容が内容だったから、私からはノーコメントとさせてもらうけど・・・・朱琉本人が、書きながら『うわぁ〜・・・・救いがないよ〜・・・・』と嘆いてたことだけは事実。(←作者注:余計なこと言わなくていいです・・・・。)
>
>
>ユア;救い無いことが、逆に救いかもしれないですよ?
朱琉:救いたくても、もう少し後じゃないと無理だ〜・・・・ってことだったので、ある意味今は救いの無さが救いですね。これからどうとでも救えるという意味で。

>
>>   じゃあ、次回予告しますか。
>>    語れることは、語った。語れぬことも、僅かには。
>>    言の葉の刃の裏に潜む思惑を悟るとき、優しくも厳しく、それは知らされる。
>>    嵌められた枷の発動、主従逆転の瞬間。
>>    それすらも、『運命』の内に。
>>   次回、『時の旅人』55話、『言葉の枷』
>>  じゃあ、また次回でね!
>
>ユア;素敵に楽しく読ませていただきました。
>二人;では、次回。
朱琉:はい、では、また!
二人:また次回!

>
>>
>>

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17796時の旅人 55:言葉の枷羅城 朱琉 2006/7/19 09:50:41
記事番号17791へのコメント

 こんにちは。久々の連続更新をした羅城 朱琉です。
 とはいえ、これから1週間試験があって、その後すぐに夏休みなので、ここからしばらく更新停止しそうですが・・・・。
 では、早速どうぞ!今回も、シリアス・ダーク(?)・痛い注意報ですので、気をつけてください。




  時の旅人

  55:言葉の枷

 あくまで『悠々とした足取り』に見えるよう気を使いながら、その実必死で崩折れそうな体を支えて、語り部は裏庭に出た。壁に背をもたせ、ようやく一息つくと、語り部は吐息に乗せて囁いた。
「・・・・・・・・まったく・・・・無力なものだよ、僕も・・・・。」
 青白い月の光の中で、語り部は静かに言葉を紡ぐ。誰に聞かせるためでなく、ただ。
「こんな物言いしか出来ないのは、本当に不便だね。伝えたいこと、伝えるべきこと、いろいろあったけど、それにしても、もう少し別の言い方も出来たろうに・・・・。」
 しかし、『誰か』が聞いていることを確信しているように、紡ぐ。
「そう思わないかい?仮にも『語り部』を名乗っているのに、これはひどい。」
 くつ、と嗤って、語り部は『誰か』に呼びかけた。
「ねえ?・・・・いるんだろう、レンシェルマ。」
 小さな嘆息が聞こえた。土を踏みしめる小さな音が聞こえて、声をかける機会を逸していた神官が姿を現す。
 しばらくの間沈黙していた神官・・・・レンシェルマは、どこか苦々しさを湛えた声で呟く。
「・・・・・・・・あなたらしくない、とは思いました。」
「そうかい?」
 そう言われて、語り部はふと微笑んだ。囁くような声で紡がれる声は月光のように美しく、どこか浮世離れしたもので・・・・それが、どことなく不吉さを感じさせる。
 もの言いたげな視線で・・・・しかし、何も言わないレンシェルマに、語り部のほうが根負けしたのだろうか。訥々と、語り始めた。
「あそこで、醜態を晒したくはなかったからね。語れること、語れぬこと、伝えたいこと、伝えるべきこと・・・・あの場で全てを語りつくすことは、僕にはもう出来なかったから。」
 そう言って目を伏せた語り部の顔は、月明かりの中であることを差し引いても蒼白で・・・・。レンシェルマは、ようやく悟った。・・・・・・・・語り部が、何らかの不調を抱えていることに。
「何が、起こっているのですか?なぜあなたが、それほどまでに弱っているのですか?・・・・まさか・・・・・・・・
  ・・・・・・・・『中枢予定表』が、関わっているのですか?」
 小さく・・・・本当に小さく、語り部は頷いた。やもすれば見逃してしまいそうな・・・・しかし、確かに肯定の意思をもって。
 少しだけ瞑目して、語り部は息を吐く。そして、言った。普段の声とは全く違う、弱弱しく掠れた声で。
「レンシェルマ・・・・・・・・頼みたいことがある。」
 その声の中に真実を感じて、レンシェルマは黙って頷く。覚悟は、とうに決まっていた。それを見て、語り部は小さく礼を述べ、言った。
「・・・・・・・・これから語ることを、ルピナスとアリエスに・・・・・・・・。そして、その結果僕の身に何が起ころうと、一切気にしないで欲しい。」
「・・・・理由を窺ってもよろしいですか?」
「今後、僕は邪魔にしかならないだろうから。・・・・・・・・『中枢予定表』の力が、僕を超えた。実質、あっちが『輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)』になったわけだ。こうなれば、僕の存在は足枷どころか、向こうの目印代わりにしかならないだろう。だから、捨てていけ。・・・・その前に、語れるだけは語っていく。」
 レンシェルマは、驚愕に目を見開いた。
「そんなこと・・・・できません!!」
 しかし、語り部はあくまで穏やかに・・・・ただし、多分に諦観が混じったものではあるが・・・・言った。
「それが、今のところ最善の手だ。・・・・何、僕は滅びはしない。力はなくとも、僕の存在は『時』そのもの。いつか時が止まるときまで、『僕』という存在はあり続ける。だから・・・・・・・・
 ・・・・・・・・最初で最後の『命令』だよ、レンシェルマ。これから僕が語ることを、ルピナスとアリエスに。そして、僕のことは捨てていけ。」
 残酷なことを言っていると、語り部にも解っていた。それでも、あえてそれを『命令』する。
 『誰かのため』ではない。『自分のため』に。『運命の破壊』という、願いを果たすため。
「・・・・・・・・これを、『エゴ』とか『我侭』とか言うんだろうか?これは『感情』なんだろうか?・・・・・・・・よく解らない。けど、もうどうでもいいよ。僕は、僕の望むままに・・・・。
 ・・・・・・・・レンシェルマ・・・・お願いだ。」
 長い、長い沈黙が落ちた。

「あなたは・・・・・・・・」
 ようやくレンシェルマが呟いたときには、月はその位置を少し変えていた。
「あなたは、卑怯な方だ。そう言われれば、私は断れないと知っていて・・・・。
 ・・・・・・・・でも・・・・・・・・!」
 レンシェルマの眼差しが、語り部を捕えた。睨みつけているわけでなく、ただ見ているでもなく。それは、とてもひたむきで、どこか縋るようですらあって・・・・。
「でも、私は・・・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・私は、『あなた』という存在が、嫌いになりきれないのです。この運命が、今まで起こったことが、例えあなたのせいだと・・・・・・・・本当にそうだったとしても・・・・・それでも私は、あなたを嫌うことは出来ない。」
 そう言ったレンシェルマを、語り部は不思議な眼差しで見つめて・・・・・・・・ふわりと、微笑んだ。
「・・・・・・・・少し、救われた気がするよ。」
 語り部は、天に向かって右手を差し伸べた。月を掴もうとするように、まっすぐに。
「・・・・・・・・ねえ、レンシェルマ。僕がこの運命を創ってしまった。けど、君たちは『違う』って言ってくれる。責められて当然と、僕はずっと思ってきたのにね。・・・・・・・・きっと、これは『嬉しい』ってことなんだと思う。だから・・・・僕はそれだけでもう十分だと、そう思うよ。」
 ゆっくりと手を握りしめ、その手を胸に押し当てる。
「・・・・・・・・感情はわからない。わからないけど・・・・そう、それは、言葉で説明できないだけ。きっとこれが『感情』なんだろうね。・・・・・・・・こんな穏やかな『気持ち』でいられるなんて、考えたこともなかった。
 ・・・・・・・・・・・・ありがとう、レンシェルマ。」
 詠うように、囁くように。本当に幸せそうな笑みを浮かべながら、それでも語り部は、言った。
「でも、お願いだ。・・・・・・・・僕の望みを、叶えて欲しい。」
 そう言う語り部は、本当に穏やかで、優しくて。これまでに見たどんな『語り部』よりも、ホンモノの語り部に見えた。
 だから、レンシェルマは言うのだ。長い長い逡巡の果てに、苦渋の滲んだ声であっても。
「わかり・・・・ました。」
 語り部は、微笑んだ。
「ごめん・・・・ありがとう、レンシェルマ。本当に・・・・・・・・」
 とても美しく、とても哀しい顔で。


     *     *     *     *     *


 レンシェルマに一言断りを入れると、語り部は地面に座り込んだ。そして、語り始める。
「伝えて欲しいことは、唯一つ。アリエスと僕が話したこと、その『本当の』全てと、あの時言えなかったことを。」
 そうして語り部は、読みなれた台詞を暗唱するように、それを語った。

「『最後に、一つ教えてほしい。・・・・君は、ルピナスをどう思っていた?』
『最初は、厄介なお荷物としか思っていませんでしたよ。レンが連れてきたのでなければ、見向きもしなかったでしょうね。』
『でも、今は・・・・レンと同じく、大切な人。ひょっとすると、レンよりも大切に思う人。かけがえの無い人。』
『きっと、この感情を・・・・・・・・
    ・・・・・・・・・・・・『愛している』と言うのでしょうね。・・・・・・・・でも・・・・・・・・』
『でも・・・・私には、この感情が本当に私自身の物であるとは思えません。私は『フェラナート』。ルピナスは『サーヴァリル』。・・・・『あの時』と同じです。・・・・・・・・私達は・・・・『運命の一対』なのですから。』
 ここまでは、語ったよね?」
 レンシェルマは、小さく頷く。
「続きがあるんだよ、まだ。その後、僕はもう一つ問うた。
『それでも、気持ちは気持ちじゃないのかな?』、と。そうしたら、アリエスはこう言った。
『・・・・・・・・そうですね。何と言い繕っても、私にとってこの気持ちは真実。でも・・・・・・・・私は、ルピナスを・・・・・・・・』・・・・・・・・ッ!」
 唐突に、語り部が不自然に言葉を切った。顔を上げたレンシェルマが見たのは・・・・・・・・
 ・・・・胸を押さえて喘ぐ、語り部の姿。
「・・・・っは・・・・・・・・・・・・っくぅ・・・・か・・・・はぁ・・・・ぁっ・・・・!!」
「クロノス様!?」
 慌てて駆け寄るレンシェルマを、語り部は視線だけで制した。
「来・・・・るな・・・・っっ!!」
「しかし!」
「いいから・・・・聞け・・・・。続き・・・・ッ!・・・・・・・・を・・・・。」
 荒い喘鳴を繰り返しながら、それでも語り部は言葉を紡ぐ。
「『私は・・・・・・・・ルピナスを・・・・・・・・』・・・・っくぅっ!!」
 身を捩り苦痛に耐える語り部は、荒い呼気と共に言葉を吐き出していく。
「『ルピナスを・・・・犠牲にすることは・・・・耐えられない・・・・・・・・』・・・・ッツ!・・・・・・・・・『ルピナスを・・・・・犠牲にする・・・・くらいなら・・・・・・・・』」
 呼吸困難であろう息が、胸元に食い込む指が、その苦痛を如実に伝える。しかし、『もうやめて欲しい』と言おうとレンシェルマが思うたびに、語り部の視線がそれを阻むのだ。
「『・・・・・・・・私は・・・・ルピナスが・・・・犠牲にならない方に・・・・・・・・・・・・運命に・・・・・・・・従う。』・・・・・・・・そう・・・・・・・・言っていた・・・・・・・・っあぅっ!!!!」
 大きく喘いで、語り部は地面に倒れこんだ。
「もういいです!もういいですから!!!!」
 流石に耐え切れず、レンシェルマは叫んだ。しかし、語り部はそれでも微笑むのだ。
「大・・・・丈夫・・・・・・・・、とは、言わないけど・・・・大丈夫・・・・・・・・。『中枢・・・・・・・・予定表』の・・・・・・・・っくぅ!!・・・・・・・・・干渉、だから・・・・・・・・・。」
「もういいです、やめてください!これ以上は・・・・・・・・!!」
 必死で語り部を押し留めようとするレンシェルマに、しかし語り部は言うのだ。苦しみ、喘ぎながらも、凛とした声で。
「ぅくぅっ!!・・・・・・・・いや・・・・・・まだ・・・・・・・・まだ、言わなければ・・・・・・・・っはぁ!・・・・・・・なら、ない、ことが・・・・・・・・ぁぅっ!!・・・・・残って・・・・いる・・・・・・・・ぅッッ!!」
「クロノス様!!!!」
「・・・・っは!!・・・・・・・・はぁっ・・・・・・・・大、丈夫・・・・だよ。・・・・・・・・覚悟、していた・・・・・・・・はぁっ!!・・・・・・・・こと、だ・・・・・・・・・・・・。・・・・・・・・っくぅ!!」
 苦痛に歪み、僅かに潤みながらも、語り部の瞳はまっすぐにレンシェルマを捕える。
「頼む・・・・・・・・ッッ・・・・くっ!!・・・・・・・・辛い思いを、させて・・・・・・・・っッ!・・・・・・・・すまない・・・・・・・・。」
 辛いのは、語り部のほうであろうに、語り部はそういうのだ。
「伝えて・・・・欲しい・・・・・・・・っぁぐぅっ!!・・・・っは・・・・ぁっ・・・・・・・・。・・・・・・・・『君たちは』・・・・・・・・っつぅ!!・・・・・・・・『運命を・・・・・・破、壊する』・・・・・・・・ぁっつ!!・・・・・・『意思と・・・・力を』・・・・・・・・っぐっ!!・・・・・・・・『持って・・・・いる、のに』・・・・・・・・あっ・・・・・はぁぅっ!!・・・・・・っはぁ・・・・はぁ・・・・っっ!!・・・・・・・・『どうして・・・・血の』・・・・・・・・ぅっ・・・・・・・・『縁を』・・・・・・・・っぐぁぅ!!・・・・・・・・『断ち・・・・切れないと』・・・・・・・・ぁぅっ・・・・・・・・『思うん、だい・・・・?』・・・・・・・・『君たちは』・・・・・・・・っっっっ!!・・・・『自由、だ。』・・・・・・・・『そうで・・・・・・・・あろうと』・・・・・・・・っつうっ!!!!・・・・・・・・『望む・・・・・・・・限り・・・・・・・・。』」
 途切れ途切れに告げられる言葉を、レンシェルマは必死に聞いていた。徐々に、苦痛に呻く割合が増えてきていることに気付いてもなお、耐え続ける。そして語り部も、必死で言葉を紡ぐ。掠れゆく声を、自覚しながらも。
「・・・・・・・・『その』・・・・・・・・ぅぁあぁっ!!・・・・は・・・・っ!・・・・くはぁぅ・・・・ッッ!!・・・・・・・・『証、拠に・・・・・・・・』・・・・・・・・」
 その一言だけは、はっきりと・・・・・・・・
「・・・・・・・・っふ・・・・ぅっ・・・・・・っあ、くぅっ!!!!・・・・・・・・『運命は・・・・・・・・既に』・・・・・・・・っっっぐぁぁっ!!・・・・・・・・・・
  ・・・・・・・・『運命は既に・・・・・・・・変わり始めて、いる・・・・・・・・』・・・・・・・・っは・・・・はぁっ・・・・はっ・・・・」
 荒い呼吸を繰り返し、語り部は強引に苦痛を制しようとする。声をかけようとするレンシェルマに微笑みかけ、声にならない声で告げる。
 『頼んだよ』・・・・・・・・と。

 そうして、語り部の意識は闇に沈んだ。


 あとがき、或いは語り部(代理)が告げる未来
アミイ:こんにちは!何だか、本当に恒例になってしまったけど、私・アミリータが予告をするわね。
   レイちゃんが死にかけてることもあって、本当にコメントどうしましょう?だわ、まったく・・・・。
   まあ、予告だけしてしまいますか。
    一つの舞台に終止符が打たれ、また新たな場が始まる。
    紅の少年は、懐かしき面影の少女に出会い、翼の主は、懐かしき友を見出す。
    力なき手で護れるものは少なくとも、
    見届ける、そのために・・・・
   次回、『時の旅人』56話、『紅玉と天翼』
  じゃあ、またね!


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17801・・・・・・ッ(いろんな意味で絶句&硬直)十叶 夕海 2006/7/20 23:56:30
記事番号17796へのコメント




ユア;1日遅れで済みません。
久遠;さあ、レス行きましょ!!



>「・・・・・・・・まったく・・・・無力なものだよ、僕も・・・・。」
> 青白い月の光の中で、語り部は静かに言葉を紡ぐ。誰に聞かせるためでなく、ただ。
>「こんな物言いしか出来ないのは、本当に不便だね。伝えたいこと、伝えるべきこと、いろいろあったけど、それにしても、もう少し別の言い方も出来たろうに・・・・。」

久遠;冷たいようかもしれないけど、あの言い方は、ベストじゃなくても、ベターだと思うわ。
   変に隠すよりも、ああいう言い方の方が、別の感情で、紛らわせると思うわ。
ユア;それに、レスに頂いた言葉を借りさせていただくなら、『知っているからこそ、知らないことにしなくてはいけない』。そういうことも、あります。(少々涙目)


>「レンシェルマ・・・・・・・・頼みたいことがある。」
> その声の中に真実を感じて、レンシェルマは黙って頷く。覚悟は、とうに決まっていた。それを見て、語り部は小さく礼を述べ、言った。
>「・・・・・・・・これから語ることを、ルピナスとアリエスに・・・・・・・・。そして、その結果僕の身に何が起ころうと、一切気にしないで欲しい。」
>「・・・・理由を窺ってもよろしいですか?」
>「今後、僕は邪魔にしかならないだろうから。・・・・・・・・『中枢予定表』の力が、僕を超えた。実質、あっちが『輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)』になったわけだ。こうなれば、僕の存在は足枷どころか、向こうの目印代わりにしかならないだろう。だから、捨てていけ。・・・・その前に、語れるだけは語っていく。」
> レンシェルマは、驚愕に目を見開いた。
>「そんなこと・・・・できません!!」
> しかし、語り部はあくまで穏やかに・・・・ただし、多分に諦観が混じったものではあるが・・・・言った。
>「それが、今のところ最善の手だ。・・・・何、僕は滅びはしない。力はなくとも、僕の存在は『時』そのもの。いつか時が止まるときまで、『僕』という存在はあり続ける。だから・・・・・・・・
> ・・・・・・・・最初で最後の『命令』だよ、レンシェルマ。これから僕が語ることを、ルピナスとアリエスに。そして、僕のことは捨てていけ。」
> 残酷なことを言っていると、語り部にも解っていた。それでも、あえてそれを『命令』する。
> 『誰かのため』ではない。『自分のため』に。『運命の破壊』という、願いを果たすため。

ユア:・・・・ううううっ(涙を流し、拳を握りしめ)
久遠:語り部ちゃんって、自分を『最大多数』に自分を入れないのよね。
   ・・・・尊敬すべきところかもしれないけど、お姉さん的には、頂けないわね。

>「・・・・・・・・これを、『エゴ』とか『我侭』とか言うんだろうか?これは『感情』なんだろうか?・・・・・・・・よく解らない。けど、もうどうでもいいよ。僕は、僕の望むままに・・・・。
> ・・・・・・・・レンシェルマ・・・・お願いだ。」
> 長い、長い沈黙が落ちた。
>
>「あなたは・・・・・・・・」
> ようやくレンシェルマが呟いたときには、月はその位置を少し変えていた。
>「あなたは、卑怯な方だ。そう言われれば、私は断れないと知っていて・・・・。
> ・・・・・・・・でも・・・・・・・・!」
> レンシェルマの眼差しが、語り部を捕えた。睨みつけているわけでなく、ただ見ているでもなく。それは、とてもひたむきで、どこか縋るようですらあって・・・・。
>「でも、私は・・・・・・・・・・・・
> ・・・・・・・・私は、『あなた』という存在が、嫌いになりきれないのです。この運命が、今まで起こったことが、例えあなたのせいだと・・・・・・・・本当にそうだったとしても・・・・・それでも私は、あなたを嫌うことは出来ない。」
> そう言ったレンシェルマを、語り部は不思議な眼差しで見つめて・・・・・・・・ふわりと、微笑んだ。
>「・・・・・・・・少し、救われた気がするよ。」
> 語り部は、天に向かって右手を差し伸べた。月を掴もうとするように、まっすぐに。
>「・・・・・・・・ねえ、レンシェルマ。僕がこの運命を創ってしまった。けど、君たちは『違う』って言ってくれる。責められて当然と、僕はずっと思ってきたのにね。・・・・・・・・きっと、これは『嬉しい』ってことなんだと思う。だから・・・・僕はそれだけでもう十分だと、そう思うよ。」
> ゆっくりと手を握りしめ、その手を胸に押し当てる。
>「・・・・・・・・感情はわからない。わからないけど・・・・そう、それは、言葉で説明できないだけ。きっとこれが『感情』なんだろうね。・・・・・・・・こんな穏やかな『気持ち』でいられるなんて、考えたこともなかった。
> ・・・・・・・・・・・・ありがとう、レンシェルマ。」
> 詠うように、囁くように。本当に幸せそうな笑みを浮かべながら、それでも語り部は、言った。
>「でも、お願いだ。・・・・・・・・僕の望みを、叶えて欲しい。」
> そう言う語り部は、本当に穏やかで、優しくて。これまでに見たどんな『語り部』よりも、ホンモノの語り部に見えた。
> だから、レンシェルマは言うのだ。長い長い逡巡の果てに、苦渋の滲んだ声であっても。
>「わかり・・・・ました。」
> 語り部は、微笑んだ。
>「ごめん・・・・ありがとう、レンシェルマ。本当に・・・・・・・・」
> とても美しく、とても哀しい顔で。


ユア;・・・・にゃあ、にゅ、にゃあ(滝涙)
久遠;ええと、『朧げだろうと、自分でそう思ったら、それが、感情なんだよ?』かしら?
ユア;みゅ、にゃあぁぁ・・・・(滝涙)
久遠;泣いている最中で、それどころじゃないっぽいけど。



>「続きがあるんだよ、まだ。その後、僕はもう一つ問うた。
>『それでも、気持ちは気持ちじゃないのかな?』、と。そうしたら、アリエスはこう言った。
>『・・・・・・・・そうですね。何と言い繕っても、私にとってこの気持ちは真実。でも・・・・・・・・私は、ルピナスを・・・・・・・・』・・・・・・・・ッ!」
>「『私は・・・・・・・・ルピナスを・・・・・・・・』・・・・っくぅっ!!」
> 身を捩り苦痛に耐える語り部は、荒い呼気と共に言葉を吐き出していく。
>「『ルピナスを・・・・犠牲にすることは・・・・耐えられない・・・・・・・・』・・・・ッツ!・・・・・・・・・『ルピナスを・・・・・犠牲にする・・・・くらいなら・・・・・・・・』」
> 呼吸困難であろう息が、胸元に食い込む指が、その苦痛を如実に伝える。しかし、『もうやめて欲しい』と言おうとレンシェルマが思うたびに、語り部の視線がそれを阻むのだ。
>「『・・・・・・・・私は・・・・ルピナスが・・・・犠牲にならない方に・・・・・・・・・・・・運命に・・・・・・・・従う。』・・・・・・・・そう・・・・・・・・言っていた・・・・・・・・っあぅっ!!!!」
> 大きく喘いで、語り部は地面に倒れこんだ。
>「もういいです!もういいですから!!!!」
> 流石に耐え切れず、レンシェルマは叫んだ。しかし、語り部はそれでも微笑むのだ。
>「大・・・・丈夫・・・・・・・・、とは、言わないけど・・・・大丈夫・・・・・・・・。『中枢・・・・・・・・予定表』の・・・・・・・・っくぅ!!・・・・・・・・・干渉、だから・・・・・・・・・。」
>「もういいです、やめてください!これ以上は・・・・・・・・!!」
> 必死で語り部を押し留めようとするレンシェルマに、しかし語り部は言うのだ。苦しみ、喘ぎながらも、凛とした声で。
>「ぅくぅっ!!・・・・・・・・いや・・・・・・まだ・・・・・・・・まだ、言わなければ・・・・・・・・っはぁ!・・・・・・・なら、ない、ことが・・・・・・・・ぁぅっ!!・・・・・残って・・・・いる・・・・・・・・ぅッッ!!」
>「クロノス様!!!!」
>「・・・・っは!!・・・・・・・・はぁっ・・・・・・・・大、丈夫・・・・だよ。・・・・・・・・覚悟、していた・・・・・・・・はぁっ!!・・・・・・・・こと、だ・・・・・・・・・・・・。・・・・・・・・っくぅ!!」
> 苦痛に歪み、僅かに潤みながらも、語り部の瞳はまっすぐにレンシェルマを捕える。
>「頼む・・・・・・・・ッッ・・・・くっ!!・・・・・・・・辛い思いを、させて・・・・・・・・っッ!・・・・・・・・すまない・・・・・・・・。」
> 辛いのは、語り部のほうであろうに、語り部はそういうのだ。
>「伝えて・・・・欲しい・・・・・・・・っぁぐぅっ!!・・・・っは・・・・ぁっ・・・・・・・・。・・・・・・・・『君たちは』・・・・・・・・っつぅ!!・・・・・・・・『運命を・・・・・・破、壊する』・・・・・・・・ぁっつ!!・・・・・・『意思と・・・・力を』・・・・・・・・っぐっ!!・・・・・・・・『持って・・・・いる、のに』・・・・・・・・あっ・・・・・はぁぅっ!!・・・・・・っはぁ・・・・はぁ・・・・っっ!!・・・・・・・・『どうして・・・・血の』・・・・・・・・ぅっ・・・・・・・・『縁を』・・・・・・・・っぐぁぅ!!・・・・・・・・『断ち・・・・切れないと』・・・・・・・・ぁぅっ・・・・・・・・『思うん、だい・・・・?』・・・・・・・・『君たちは』・・・・・・・・っっっっ!!・・・・『自由、だ。』・・・・・・・・『そうで・・・・・・・・あろうと』・・・・・・・・っつうっ!!!!・・・・・・・・『望む・・・・・・・・限り・・・・・・・・。』」
> 途切れ途切れに告げられる言葉を、レンシェルマは必死に聞いていた。徐々に、苦痛に呻く割合が増えてきていることに気付いてもなお、耐え続ける。そして語り部も、必死で言葉を紡ぐ。掠れゆく声を、自覚しながらも。
>「・・・・・・・・『その』・・・・・・・・ぅぁあぁっ!!・・・・は・・・・っ!・・・・くはぁぅ・・・・ッッ!!・・・・・・・・『証、拠に・・・・・・・・』・・・・・・・・」
> その一言だけは、はっきりと・・・・・・・・
>「・・・・・・・・っふ・・・・ぅっ・・・・・・っあ、くぅっ!!!!・・・・・・・・『運命は・・・・・・・・既に』・・・・・・・・っっっぐぁぁっ!!・・・・・・・・・・
>  ・・・・・・・・『運命は既に・・・・・・・・変わり始めて、いる・・・・・・・・』・・・・・・・・っは・・・・はぁっ・・・・はっ・・・・」
> 荒い呼吸を繰り返し、語り部は強引に苦痛を制しようとする。声をかけようとするレンシェルマに微笑みかけ、声にならない声で告げる。
> 『頼んだよ』・・・・・・・・と。
>
> そうして、語り部の意識は闇に沈んだ。

ユア:みゃにゅにゃあぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜(最大級にシャウト&涙)
久遠:・・・語り部ちゃん、あんた、男・・・いや、漢だよ。
   ユアちゃんの言葉は、変換するなら、『語り部さん、死んじゃダメ!!』
   って、死ねないでしょうに。
   あと、『おっしゃあ、運命は切り開くもんだ!!』って感じかしらね。
   まあ、確かにね。


>
>
> あとがき、或いは語り部(代理)が告げる未来
>アミイ:こんにちは!何だか、本当に恒例になってしまったけど、私・アミリータが予告をするわね。
>   レイちゃんが死にかけてることもあって、本当にコメントどうしましょう?だわ、まったく・・・・。
>   まあ、予告だけしてしまいますか。
>    一つの舞台に終止符が打たれ、また新たな場が始まる。
>    紅の少年は、懐かしき面影の少女に出会い、翼の主は、懐かしき友を見出す。
>    力なき手で護れるものは少なくとも、
>    見届ける、そのために・・・・
>   次回、『時の旅人』56話、『紅玉と天翼』
>  じゃあ、またね!

ユア;・・・・エヴァくんとディス嬢?
久遠;いきなり、泣き止んだわね。
ユア:いやあ、息子&娘が、出る予告ならば、彼岸からでも戻って来ます。
   楽しみにしてますね。
二人;それじゃ、また。


追伸;小説1の募集、余裕在れば、協力お願いします。




>
>

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17802語り部さんはヒーローでヒロインなのです(違)羅城 朱琉 2006/7/21 08:39:14
記事番号17801へのコメント


>
>
>
>ユア;1日遅れで済みません。
>久遠;さあ、レス行きましょ!!
朱琉:こんにちは。ここ2日で5時間しか寝ていない、危機的状況の羅城 朱琉です。
アミイ:・・・・朱琉って、高校時代、平日でも8時間睡眠の人じゃなかったっけ?
朱琉:はい。何でしょうか?軽い不眠症・・・・?
アミイ:・・・・まあ、ボケたことはあまり言わないように気をつけつつ、返レス行きましょうか。

>
>
>
>>「・・・・・・・・まったく・・・・無力なものだよ、僕も・・・・。」
>> 青白い月の光の中で、語り部は静かに言葉を紡ぐ。誰に聞かせるためでなく、ただ。
>>「こんな物言いしか出来ないのは、本当に不便だね。伝えたいこと、伝えるべきこと、いろいろあったけど、それにしても、もう少し別の言い方も出来たろうに・・・・。」
>
>久遠;冷たいようかもしれないけど、あの言い方は、ベストじゃなくても、ベターだと思うわ。
>   変に隠すよりも、ああいう言い方の方が、別の感情で、紛らわせると思うわ。
>ユア;それに、レスに頂いた言葉を借りさせていただくなら、『知っているからこそ、知らないことにしなくてはいけない』。そういうことも、あります。(少々涙目)
アミイ:その辺りが、『知っている者の弱み』よね。
朱琉:心を空虚にするよりは、『怒り』であれ『憎しみ』であれ、感情があったほうが立ち直りも早いでしょうし。

>
>
>>「レンシェルマ・・・・・・・・頼みたいことがある。」
>> その声の中に真実を感じて、レンシェルマは黙って頷く。覚悟は、とうに決まっていた。それを見て、語り部は小さく礼を述べ、言った。
>>「・・・・・・・・これから語ることを、ルピナスとアリエスに・・・・・・・・。そして、その結果僕の身に何が起ころうと、一切気にしないで欲しい。」
>>「・・・・理由を窺ってもよろしいですか?」
>>「今後、僕は邪魔にしかならないだろうから。・・・・・・・・『中枢予定表』の力が、僕を超えた。実質、あっちが『輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)』になったわけだ。こうなれば、僕の存在は足枷どころか、向こうの目印代わりにしかならないだろう。だから、捨てていけ。・・・・その前に、語れるだけは語っていく。」
>> レンシェルマは、驚愕に目を見開いた。
>>「そんなこと・・・・できません!!」
>> しかし、語り部はあくまで穏やかに・・・・ただし、多分に諦観が混じったものではあるが・・・・言った。
>>「それが、今のところ最善の手だ。・・・・何、僕は滅びはしない。力はなくとも、僕の存在は『時』そのもの。いつか時が止まるときまで、『僕』という存在はあり続ける。だから・・・・・・・・
>> ・・・・・・・・最初で最後の『命令』だよ、レンシェルマ。これから僕が語ることを、ルピナスとアリエスに。そして、僕のことは捨てていけ。」
>> 残酷なことを言っていると、語り部にも解っていた。それでも、あえてそれを『命令』する。
>> 『誰かのため』ではない。『自分のため』に。『運命の破壊』という、願いを果たすため。
>
>ユア:・・・・ううううっ(涙を流し、拳を握りしめ)
>久遠:語り部ちゃんって、自分を『最大多数』に自分を入れないのよね。
>   ・・・・尊敬すべきところかもしれないけど、お姉さん的には、頂けないわね。
アミイ:そうね。レイちゃんは、『悪い意味での全体主義者』なのよ。でも、それを理論武装で『自分のため』って思い込むフシがあるから、厄介なのよ。
朱琉:あまり、見習うべきではないでしょうね。

>
>>「・・・・・・・・これを、『エゴ』とか『我侭』とか言うんだろうか?これは『感情』なんだろうか?・・・・・・・・よく解らない。けど、もうどうでもいいよ。僕は、僕の望むままに・・・・。
>> ・・・・・・・・レンシェルマ・・・・お願いだ。」
>> 長い、長い沈黙が落ちた。
>>
>>「あなたは・・・・・・・・」
>> ようやくレンシェルマが呟いたときには、月はその位置を少し変えていた。
>>「あなたは、卑怯な方だ。そう言われれば、私は断れないと知っていて・・・・。
>> ・・・・・・・・でも・・・・・・・・!」
>> レンシェルマの眼差しが、語り部を捕えた。睨みつけているわけでなく、ただ見ているでもなく。それは、とてもひたむきで、どこか縋るようですらあって・・・・。
>>「でも、私は・・・・・・・・・・・・
>> ・・・・・・・・私は、『あなた』という存在が、嫌いになりきれないのです。この運命が、今まで起こったことが、例えあなたのせいだと・・・・・・・・本当にそうだったとしても・・・・・それでも私は、あなたを嫌うことは出来ない。」
>> そう言ったレンシェルマを、語り部は不思議な眼差しで見つめて・・・・・・・・ふわりと、微笑んだ。
>>「・・・・・・・・少し、救われた気がするよ。」
>> 語り部は、天に向かって右手を差し伸べた。月を掴もうとするように、まっすぐに。
>>「・・・・・・・・ねえ、レンシェルマ。僕がこの運命を創ってしまった。けど、君たちは『違う』って言ってくれる。責められて当然と、僕はずっと思ってきたのにね。・・・・・・・・きっと、これは『嬉しい』ってことなんだと思う。だから・・・・僕はそれだけでもう十分だと、そう思うよ。」
>> ゆっくりと手を握りしめ、その手を胸に押し当てる。
>>「・・・・・・・・感情はわからない。わからないけど・・・・そう、それは、言葉で説明できないだけ。きっとこれが『感情』なんだろうね。・・・・・・・・こんな穏やかな『気持ち』でいられるなんて、考えたこともなかった。
>> ・・・・・・・・・・・・ありがとう、レンシェルマ。」
>> 詠うように、囁くように。本当に幸せそうな笑みを浮かべながら、それでも語り部は、言った。
>>「でも、お願いだ。・・・・・・・・僕の望みを、叶えて欲しい。」
>> そう言う語り部は、本当に穏やかで、優しくて。これまでに見たどんな『語り部』よりも、ホンモノの語り部に見えた。
>> だから、レンシェルマは言うのだ。長い長い逡巡の果てに、苦渋の滲んだ声であっても。
>>「わかり・・・・ました。」
>> 語り部は、微笑んだ。
>>「ごめん・・・・ありがとう、レンシェルマ。本当に・・・・・・・・」
>> とても美しく、とても哀しい顔で。
>
>
>ユア;・・・・にゃあ、にゅ、にゃあ(滝涙)
>久遠;ええと、『朧げだろうと、自分でそう思ったら、それが、感情なんだよ?』かしら?
>ユア;みゅ、にゃあぁぁ・・・・(滝涙)
>久遠;泣いている最中で、それどころじゃないっぽいけど。
朱琉:実は、お二方の言っていることは、とてもいい所を突いています。
アミイ:だって、ねぇ?レイちゃんとほぼ同じ存在である私が、こんなに感情豊かなんだから、レイちゃんに感情が無いわけ、無いのよね〜。
朱琉:それが、何がどうなって・・・・というのが、それなりに重要なポイントなのです。

>
>
>
>>「続きがあるんだよ、まだ。その後、僕はもう一つ問うた。
>>『それでも、気持ちは気持ちじゃないのかな?』、と。そうしたら、アリエスはこう言った。
>>『・・・・・・・・そうですね。何と言い繕っても、私にとってこの気持ちは真実。でも・・・・・・・・私は、ルピナスを・・・・・・・・』・・・・・・・・ッ!」
>>「『私は・・・・・・・・ルピナスを・・・・・・・・』・・・・っくぅっ!!」
>> 身を捩り苦痛に耐える語り部は、荒い呼気と共に言葉を吐き出していく。
>>「『ルピナスを・・・・犠牲にすることは・・・・耐えられない・・・・・・・・』・・・・ッツ!・・・・・・・・・『ルピナスを・・・・・犠牲にする・・・・くらいなら・・・・・・・・』」
>> 呼吸困難であろう息が、胸元に食い込む指が、その苦痛を如実に伝える。しかし、『もうやめて欲しい』と言おうとレンシェルマが思うたびに、語り部の視線がそれを阻むのだ。
>>「『・・・・・・・・私は・・・・ルピナスが・・・・犠牲にならない方に・・・・・・・・・・・・運命に・・・・・・・・従う。』・・・・・・・・そう・・・・・・・・言っていた・・・・・・・・っあぅっ!!!!」
>> 大きく喘いで、語り部は地面に倒れこんだ。
>>「もういいです!もういいですから!!!!」
>> 流石に耐え切れず、レンシェルマは叫んだ。しかし、語り部はそれでも微笑むのだ。
>>「大・・・・丈夫・・・・・・・・、とは、言わないけど・・・・大丈夫・・・・・・・・。『中枢・・・・・・・・予定表』の・・・・・・・・っくぅ!!・・・・・・・・・干渉、だから・・・・・・・・・。」
>>「もういいです、やめてください!これ以上は・・・・・・・・!!」
>> 必死で語り部を押し留めようとするレンシェルマに、しかし語り部は言うのだ。苦しみ、喘ぎながらも、凛とした声で。
>>「ぅくぅっ!!・・・・・・・・いや・・・・・・まだ・・・・・・・・まだ、言わなければ・・・・・・・・っはぁ!・・・・・・・なら、ない、ことが・・・・・・・・ぁぅっ!!・・・・・残って・・・・いる・・・・・・・・ぅッッ!!」
>>「クロノス様!!!!」
>>「・・・・っは!!・・・・・・・・はぁっ・・・・・・・・大、丈夫・・・・だよ。・・・・・・・・覚悟、していた・・・・・・・・はぁっ!!・・・・・・・・こと、だ・・・・・・・・・・・・。・・・・・・・・っくぅ!!」
>> 苦痛に歪み、僅かに潤みながらも、語り部の瞳はまっすぐにレンシェルマを捕える。
>>「頼む・・・・・・・・ッッ・・・・くっ!!・・・・・・・・辛い思いを、させて・・・・・・・・っッ!・・・・・・・・すまない・・・・・・・・。」
>> 辛いのは、語り部のほうであろうに、語り部はそういうのだ。
>>「伝えて・・・・欲しい・・・・・・・・っぁぐぅっ!!・・・・っは・・・・ぁっ・・・・・・・・。・・・・・・・・『君たちは』・・・・・・・・っつぅ!!・・・・・・・・『運命を・・・・・・破、壊する』・・・・・・・・ぁっつ!!・・・・・・『意思と・・・・力を』・・・・・・・・っぐっ!!・・・・・・・・『持って・・・・いる、のに』・・・・・・・・あっ・・・・・はぁぅっ!!・・・・・・っはぁ・・・・はぁ・・・・っっ!!・・・・・・・・『どうして・・・・血の』・・・・・・・・ぅっ・・・・・・・・『縁を』・・・・・・・・っぐぁぅ!!・・・・・・・・『断ち・・・・切れないと』・・・・・・・・ぁぅっ・・・・・・・・『思うん、だい・・・・?』・・・・・・・・『君たちは』・・・・・・・・っっっっ!!・・・・『自由、だ。』・・・・・・・・『そうで・・・・・・・・あろうと』・・・・・・・・っつうっ!!!!・・・・・・・・『望む・・・・・・・・限り・・・・・・・・。』」
>> 途切れ途切れに告げられる言葉を、レンシェルマは必死に聞いていた。徐々に、苦痛に呻く割合が増えてきていることに気付いてもなお、耐え続ける。そして語り部も、必死で言葉を紡ぐ。掠れゆく声を、自覚しながらも。
>>「・・・・・・・・『その』・・・・・・・・ぅぁあぁっ!!・・・・は・・・・っ!・・・・くはぁぅ・・・・ッッ!!・・・・・・・・『証、拠に・・・・・・・・』・・・・・・・・」
>> その一言だけは、はっきりと・・・・・・・・
>>「・・・・・・・・っふ・・・・ぅっ・・・・・・っあ、くぅっ!!!!・・・・・・・・『運命は・・・・・・・・既に』・・・・・・・・っっっぐぁぁっ!!・・・・・・・・・・
>>  ・・・・・・・・『運命は既に・・・・・・・・変わり始めて、いる・・・・・・・・』・・・・・・・・っは・・・・はぁっ・・・・はっ・・・・」
>> 荒い呼吸を繰り返し、語り部は強引に苦痛を制しようとする。声をかけようとするレンシェルマに微笑みかけ、声にならない声で告げる。
>> 『頼んだよ』・・・・・・・・と。
>>
>> そうして、語り部の意識は闇に沈んだ。
>
>ユア:みゃにゅにゃあぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜(最大級にシャウト&涙)
>久遠:・・・語り部ちゃん、あんた、男・・・いや、漢だよ。
>   ユアちゃんの言葉は、変換するなら、『語り部さん、死んじゃダメ!!』
>   って、死ねないでしょうに。
>   あと、『おっしゃあ、運命は切り開くもんだ!!』って感じかしらね。
>   まあ、確かにね。
朱琉:ぃよっし!そう言って頂けて嬉しい限りです。
アミイ:漢・レイちゃん、ここにあり!・・・・ってね。ようやく、『運命を変えられること』について、証言つきで出せたし。
 でも、これ言えるのは、いろんな意味でレイちゃんだけよね〜。レイちゃんは、ヒーロー体質であり、ヒロイン体質であり、だからねぇ。でも・・・・・・・・これ、確かボイスレコーダーに吹き込んでたやつの書き写しでしょ?
朱琉:・・・・・・・・いわないでぷりぃず。しっかり語り部さん憑依(?)状態だったんです・・・・。つまり、これは語り部さんの本心です・・・。

>
>
>>
>>
>> あとがき、或いは語り部(代理)が告げる未来
>>アミイ:こんにちは!何だか、本当に恒例になってしまったけど、私・アミリータが予告をするわね。
>>   レイちゃんが死にかけてることもあって、本当にコメントどうしましょう?だわ、まったく・・・・。
>>   まあ、予告だけしてしまいますか。
>>    一つの舞台に終止符が打たれ、また新たな場が始まる。
>>    紅の少年は、懐かしき面影の少女に出会い、翼の主は、懐かしき友を見出す。
>>    力なき手で護れるものは少なくとも、
>>    見届ける、そのために・・・・
>>   次回、『時の旅人』56話、『紅玉と天翼』
>>  じゃあ、またね!
>
>ユア;・・・・エヴァくんとディス嬢?
>久遠;いきなり、泣き止んだわね。
>ユア:いやあ、息子&娘が、出る予告ならば、彼岸からでも戻って来ます。
>   楽しみにしてますね。
>二人;それじゃ、また。
朱琉:とはいえ・・・・多分メインはエヴァ君です。ディス嬢は、最後にちらっとだけ。
アミイ:でも、きっと夏休み明けになるわよね、これ。
朱琉:・・・・・・・・機会見つけて、早めに投稿したいとは思っていますが。
 では、今回はこの辺で。
二人:また次回!

>
>
>追伸;小説1の募集、余裕在れば、協力お願いします。
朱琉:いっそ、使います?この人。(アミイ嬢を指差しながら)
アミイ:えっ!!?な、何言ってるの朱琉!?正気?私が他人に支配されると思って!!?
朱琉:正気とまで・・・・。流石にこれは冗談ですが。こんな物騒な物語破壊兵器、おいそれとは使えませんよ。
  真面目な話、午後に時間があったら2人ほど投稿します。
アミイ:誰を?・・・・・・・・って、『ジミハデ堕天使』と『引きこもり』じゃない!?・・・・いいわけ?
朱琉:まあ・・・・・・・・ダメだと思ったら、切り捨てちゃってください。
  では、今度こそこの辺で。

>
>
>
>
>>
>>

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17826時の旅人 56:紅玉と天翼羅城 朱琉 2006/8/31 08:28:38
記事番号17791へのコメント

 こんにちは、お久しぶりです、羅城 朱琉です。
 結局、夏休みを挟んでになってしまいました、時の旅人56話です。
 では、早速どうぞ!




  時の旅人

  56:紅玉と天翼

「ん・・・・」
 小さな呻きを洩らして、語り部は目を開けた。白いベッドの上に身を起こし、辺りを見回す。
「朝・・・・・・・・か。」
「気がつかれましたか?」
「レンシェルマ・・・・。」
 横で、どうやら看病していたらしいレンシェルマが、幾分憔悴した顔で言ってくる。語り部は小声で彼の名を呼んだ。
「よかった、気がつかれて・・・・。いつも、そうして無茶ばかり・・・・」
 ほんの少し、責めるような響きが混じったことに気がついて、語り部は頭を下げる。
「ごめんね、レンシェルマ。」
「お辛いのは、あなたでしょうに・・・・。」
 溜息に似た言葉に、語り部は苦笑交じりで返す。
「そうでもないさ。」
 そうして、ベッドの端に腰掛け、立ち上がりつつ、言った。
「さて・・・・僕は帰るとするか。」
「帰る?」
「そう。僕が、本来あるべき時に。」
 怪訝そうに問うたレンシェルマに、小さく口元だけで微笑んで、語り部は告げた。
「・・・・3日ほど前、になるんだ、この時代は。僕にとっては・・・・ね。この時間に本来ある僕は、今、アリエスの看病の真っ最中だ。」
 心配そうなレンシェルマの眼差し。目の前であんな様を見せたのだ、無理はなかろう。しかし、だからと言って、立ち止まってもいられない。もはや力なき身とはいえ、やれること、やらねばならぬことは、まだあるのだから。
「そう心配しなくても大丈夫だよ、レンシェルマ。」
 そう言って、語り部は芝居がかった口調で語り始めた。
「そろそろ行かないと。次の舞台が始まろうとしている。・・・・アリエスに出会うものがいる。僕の息子と、アリエスの友人が。」
「息子?あなたの?」
 はっきりと頷いて、語り部はレンシェルマの問いに答えた。
「滅びかけた世界で見出し育てた、弱くて強い少年。まあ、ある意味彼も、僕の・・・・」
 語る言葉を遮り、レンシェルマは厳しい声で言い募る。
「言わないで下さい。また、『自分の犠牲者だ』とでも言うおつもりでしょう?」
 語り部は、一瞬目を丸く見開いた。しかし、次の瞬間には、それは微苦笑に取って代わられる。
「お見通し、だね。」
 そんな語り部に、レンシェルマはなおも言う。
「言わないで下さい、そんなことは。・・・・その、『息子』という人のためにも。」
 聞こえるかどうか、ぎりぎりの声で、最後に囁かれた一言。それは、勿論語り部の耳には届いていた。だから、語り部はふと笑顔を消し、言った。
「・・・・・・・・悪かった。」
 ぽそりと呟かれたその言葉を聞いて、レンシェルマは深く深く息を吐いた。
「・・・・あなたを止めることは、私には出来ません。ですが、せめてご自愛を。」
「努力はするよ。」
 淡い笑みと共に、語り部はそう言った。そして、すと身を翻し・・・・
 次の瞬間には、既に語り部の姿はなかった。


     *     *     *     *     *


 暗く深い森の中。その道なき道を、一人の青年が歩いていた。薄暗がりの中でも、その炎のような赤の髪がある限り、その姿を見失うことなどないであろう、青年。しかし、その『青年』という言葉が不似合いなほどに、瞳に翳りを宿した、青年。木々の間をすり抜けて、下生えを踏みしめて、彼は行く。
 と、ふと何かを聞きつけて、彼は足を止めた。森を渡る風の音色、囀る鳥の声、それらに混じって、僅かに聞こえる異質な音・・・・・・・・ひゅう、ひゅうという、人間の荒い息遣い。そして、視界の端に映った、銀の輝き。
 銀は、養い親の色。まさか、あの人が・・・・と思いつつ、ついつい銀の輝きの出所を探り、茂みをかき分けて・・・・・・・・見た。

 そこにいたのは、15〜6歳くらいの、蒼ざめた顔の少女だった。銀の輝きを放っていたのは、木漏れ日に煌く長い銀髪。木に背をもたせかけ瞳を閉じた少女の淡い唇からは、苦しげな吐息が零れ落ちている。体調が悪そうなのに、旅をしているのか、あまり飾り気のないその服は、旅の魔道士がよく着ているようなもの。
 しかし、青年は、こんな所に少女が倒れている不自然さによる驚愕よりも、別の驚愕が先に立った。
 似ているのだ。10年近く前に亡くしたはずの、当時17歳だった『彼女』に。
 青年は、知らず『彼女』の名を呟いた。
「マリアン・・・・・・・・!?」
 と。
 その瞬間だった。青年は直感そのままに、少女から飛びずさる。そのほんの半瞬の後に、青年のいた場所に、銀の剣閃が走った。
「!!」
 少女の抜き放った、銀の刃の輝きが。
 荒い呼吸も蒼白な顔色もそのままに、少女は瞳を開けていた。その色までもマリアンにそっくりで・・・・しかし、宿す輝きの違いが、少女がマリアンでないことを如実に示していた。マリアンの瞳を暖かな陽光とするならば、少女のそれは凍てつく氷晶。左の手に銀の刃を携え、少女はふらりと身を起こした。
「何者ですか?・・・・いえ、どこの手の者ですか?」
 少女が口を開いた。儚く聞こえても不思議ではないだろう声質でありながら、少女の声は触れれば切れそうな鋭刃のようで、青年は思わず息を呑んだ。
「人間のようですから、魔族の勧誘ではないようですが・・・・『聖石の使徒』の追っ手ですか?それとも、『四大家』の?・・・・どちらにせよ、命が惜しければ帰って伝えなさい。『私は私の意志のみに従う。誰の指図も受けない』と。」
「ちょ・・・・ちょっと待てよ!どういうことだ、一体!?」
「とぼける気ですか?往生際の悪い・・・・。」
「本当に!何の話だか、全くわからないんだよ!!何かと勘違いしてるんじゃないのか!?」
 少女は、語るに落ちた、と言った風情で、口元に嘲りの笑みを浮かべる。
「では、こんな場所に何か用があるとでも?ばかばかしい。」
「用があるんだよ、ここの奥に。・・・・ちょっとした、里帰りみたいなものでね。」
「こんな所に、家があるとでも?」
「ああ。もう少し奥に、開けた場所があるんだ。そこだよ。」
 少女が、僅かに首をかしげた。
「・・・・・・・・まさか・・・・・・・・」
 少女は刃を下ろし、青年に尋ねる。
「あなたは、もしかして語り部さんの関係者でしょうか?」
「お前の言う『語り部』かどうかは知らないが、銀の髪の、男か女かよく解らない吟遊詩人のことなら、確かに『関係者』だ。」
 少女は、それを聞いてふと息をついた。そして、腰を折る。
「失礼しました。どうやら、私の勘違いだったようです。あなたには大変不快な思いをさせてしまい、申し訳なく思っています。」
 丁寧すぎるほど丁寧な、淡々としつつも真摯な謝罪に、青年は少し視線をそらせつつ言った。
「いや、こっちこそ、休んでるところを邪魔して悪かった。」
 少女はそれを聞いて顔を上げると、言った。
「いえ、お気になさらず・・・・。そういえば、名前を呼んでいらっしゃいましたね?確か・・・・『マリアン』と。」
 聞かれていたのかと思うと、青年は少々気恥ずかしくなった。少女はしかし、そんな彼の風情に気付かなかったのか、先を続ける。
「それがどなたかは存じませんが、私などと混同しては、その『マリアン』さんが可哀想ですよ。・・・・私の名は、『アリエス』です。」
 そう言った少女・・・・アリエスの声は、どことなく自嘲の響きが宿っていたように感じられた。一瞬の沈黙が痛くて、慌てて青年も名乗る。
「俺は、エヴァンス=ソルジュ。・・・・お前、体調悪いなら、森の中じゃなくて、どこかの宿にでも泊まったらどうだ?」
 それは、本当にふと思っただけだった。しかし、次の瞬間アリエスが浮かべた表情を見て、エヴァンスは息を呑んだ。
 ――殉教者の目だ。そう、思った。恐ろしいほど澄み切って、諦観によく似た色が宿っていて・・・・奥底に、狂気を秘めている。うっすらと、しかし綺麗に微笑んだその顔は、聖者のようですらあるのに、どこか闇を感じさせて・・・・・・・・。
 危うい、と、そう思った。
 それでも、アリエスは有無を言わさぬように言葉を紡ぐ。
「お心遣い、感謝します。しかし、私にはやるべきことがありますので・・・・。」
 そう言って身を翻し、アリエスは歩き出す。ゆっくり、ゆっくりと。
 しかし、その足はすぐに止まった。・・・・・・・・懐かしい声が、聞こえたから。

「久しぶり・・・・アリエス。」
 アリエスの瞳が、大きく見開かれる。懐かしい声と、懐かしい姿。唐突に現れた『彼女』を目にして。
 長い青銀の髪、虚無を映したオレンジの瞳。アリエスより頭二つは高い女性。・・・・いや、アリエスは、彼女の正体を知っている。
 アリエスの唇から、その名前が零れた。
「ディスティア・・・・・・・・」
「やっと、会えたな。」
 驚愕と、困惑と、安堵と・・・・様々に入り混じった感情は、アリエスの体から力という力を奪い去っていた。
 ずっと、左手に持ったままだった『銀晶輝』の存在も、今のアリエスの頭の中にはなかった。
 銀晶輝が、その手からするりと滑り落ち・・・・・・・・
「だめだ、アリエス!銀晶輝を手放すな!!」
 鋭い叫びが、あたりに響く。ここにいるもの皆が、よく知る声・・・・・・・・語り部の声が。
 しかし、時既に遅し。銀晶輝は、アリエスの手から滑り・・・・・・・・

 地面に落ちて、澄んだ金属音を響かせた。


     *     *     *     *     *


 絡み付く、黒い粘液のようなものを振り払い、語り部は時を駆けていた。
(流石に、干渉が激しいな・・・・。)
 間に合え、間に合えと声なく呟きながら、語り部はアリエスの元へと急ぐ。
 と。
(これは・・・・!!)
 粘つく黒の中に、語り部は見た。

  アリエスと出会うエヴァンス。
  歩み去ろうとするアリエス。
  かけられたディスティアの声。
  呆然と立ち尽くすアリエス。
  手の内に煌く、銀晶輝・・・・

「だめだ、アリエス!銀晶輝を手放すな!!」
 粘液を振り払い、通常の空間に飛び出しながら、叫んで・・・・


 次の瞬間、銀晶輝は地に落ちていた。


 あとがき、或いは語り部(代理)の告げる未来
アミイ:こんにちは、久しぶりねぇ・・・・。元気してた?またまたまたあとがき担当になったアミリータよ。
   さて・・・・今回はどうだったかしら?夏休みの大半を、朱琉がオリジナルの方を書くのに費やしてたせいで、文体が変わってないか心配よ、まったく・・・・。
   じゃあ、予告、行くわね!
    澄んだ音と共に世界は割れ、伸ばした手は虚空を彷徨う。
    あえかな微笑と共に残されたのは、決して相容れぬものたち。
    力なき手を伸ばし、足掻き続けよう。
    例えその先に、夜明けが見えずとも・・・・
   次回、『時の旅人』57話、『楔の外れる時』
  では、また次回に会いましょう!

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17828お久しぶりです。十叶 夕海 2006/9/5 15:44:13
記事番号17826へのコメント


> こんにちは、お久しぶりです、羅城 朱琉です。
> 結局、夏休みを挟んでになってしまいました、時の旅人56話です。
> では、早速どうぞ!


ユア;お久しぶりです。
久遠;小説データ大半消えてしまったから書き直し中の夕海と、
ユア:相変わらず、ごーいんぐまいうぇいの久遠お姉さんでしょう?
   実際、幾つか以外は電脳の海に還りました。
   一応幾つかは、手書きの原稿が残ってますのでそっちでしばらくしのぎます。
久遠;それじゃ、レス行きましょうか。


>
>「ん・・・・」
> 小さな呻きを洩らして、語り部は目を開けた。白いベッドの上に身を起こし、辺りを見回す。
>「朝・・・・・・・・か。」
>「気がつかれましたか?」
>「レンシェルマ・・・・。」
> 横で、どうやら看病していたらしいレンシェルマが、幾分憔悴した顔で言ってくる。語り部は小声で彼の名を呼んだ。
>「よかった、気がつかれて・・・・。いつも、そうして無茶ばかり・・・・」
> ほんの少し、責めるような響きが混じったことに気がついて、語り部は頭を下げる。
>「ごめんね、レンシェルマ。」
>「お辛いのは、あなたでしょうに・・・・。」
> 溜息に似た言葉に、語り部は苦笑交じりで返す。
>「そうでもないさ。」
> そうして、ベッドの端に腰掛け、立ち上がりつつ、言った。
>「さて・・・・僕は帰るとするか。」
>「帰る?」
>「そう。僕が、本来あるべき時に。」
> 怪訝そうに問うたレンシェルマに、小さく口元だけで微笑んで、語り部は告げた。
>「・・・・3日ほど前、になるんだ、この時代は。僕にとっては・・・・ね。この時間に本来ある僕は、今、アリエスの看病の真っ最中だ。」
> 心配そうなレンシェルマの眼差し。目の前であんな様を見せたのだ、無理はなかろう。しかし、だからと言って、立ち止まってもいられない。もはや力なき身とはいえ、やれること、やらねばならぬことは、まだあるのだから。


久遠;力無き・・・・ね。
ユア:在りすぎて、出来ることが無い・・・そういう方ガしっくり来るような感じですね。
久遠;そうよね。
   私も、妖怪としては、トップクラスの妖力を持っていても、エイレンちゃんの敵を潰して、弑して、壊すことしか出来ないもの、元々ね。


>     *     *     *     *     *
>
>
> 暗く深い森の中。その道なき道を、一人の青年が歩いていた。薄暗がりの中でも、その炎のような赤の髪がある限り、その姿を見失うことなどないであろう、青年。しかし、その『青年』という言葉が不似合いなほどに、瞳に翳りを宿した、青年。木々の間をすり抜けて、下生えを踏みしめて、彼は行く。

ユア;我が息子その二・・・ながら、境遇で変わるわね。
久遠:『家族の写真』にしろ、こっちにしろ、基本の苦労人だけど健気系が変わってないだけに、痛々しいというか。
ユア;抱き締めたくなるって?
久遠:否定しないわ。


> と、ふと何かを聞きつけて、彼は足を止めた。森を渡る風の音色、囀る鳥の声、それらに混じって、僅かに聞こえる異質な音・・・・・・・・ひゅう、ひゅうという、人間の荒い息遣い。そして、視界の端に映った、銀の輝き。
> 銀は、養い親の色。まさか、あの人が・・・・と思いつつ、ついつい銀の輝きの出所を探り、茂みをかき分けて・・・・・・・・見た。

久遠:・・・・そうよね、銀色とか白とかよね、語り部ちゃん。
ユア;・・・・・・・・マリアン嬢とのお話に、絡ませるか。

>
> そこにいたのは、15〜6歳くらいの、蒼ざめた顔の少女だった。銀の輝きを放っていたのは、木漏れ日に煌く長い銀髪。木に背をもたせかけ瞳を閉じた少女の淡い唇からは、苦しげな吐息が零れ落ちている。体調が悪そうなのに、旅をしているのか、あまり飾り気のないその服は、旅の魔道士がよく着ているようなもの。
> しかし、青年は、こんな所に少女が倒れている不自然さによる驚愕よりも、別の驚愕が先に立った。
> 似ているのだ。10年近く前に亡くしたはずの、当時17歳だった『彼女』に。
> 青年は、知らず『彼女』の名を呟いた。
>「マリアン・・・・・・・・!?」
> と。
> その瞬間だった。青年は直感そのままに、少女から飛びずさる。そのほんの半瞬の後に、青年のいた場所に、銀の剣閃が走った。
>「!!」
> 少女の抜き放った、銀の刃の輝きが。
> 荒い呼吸も蒼白な顔色もそのままに、少女は瞳を開けていた。その色までもマリアンにそっくりで・・・・しかし、宿す輝きの違いが、少女がマリアンでないことを如実に示していた。マリアンの瞳を暖かな陽光とするならば、少女のそれは凍てつく氷晶。左の手に銀の刃を携え、少女はふらりと身を起こした。


ユア:これは、短編での話になりますが、ある意味で、エヴァくんが見た瞳は、十と参年前の自分と似ているのかもしれないですね。
久遠:・・・その瞳から、引き上げてくれた少女と似た少女に襲われてるんじゃ、複雑よね、エヴァちゃん。

>「あなたは、もしかして語り部さんの関係者でしょうか?」
>「お前の言う『語り部』かどうかは知らないが、銀の髪の、男か女かよく解らない吟遊詩人のことなら、確かに『関係者』だ。」

ユア;エヴァ、語り部さんが語り部さんと呼ばれていること知らないのか・・・・。
久遠;どうしたの?
ユア;マリアン嬢とエヴァンスメインの短編の冒頭の会話を変えないとなぁ・・と。


> それは、本当にふと思っただけだった。しかし、次の瞬間アリエスが浮かべた表情を見て、エヴァンスは息を呑んだ。
> ――殉教者の目だ。そう、思った。恐ろしいほど澄み切って、諦観によく似た色が宿っていて・・・・奥底に、狂気を秘めている。うっすらと、しかし綺麗に微笑んだその顔は、聖者のようですらあるのに、どこか闇を感じさせて・・・・・・・・。
> 危うい、と、そう思った。
> それでも、アリエスは有無を言わさぬように言葉を紡ぐ。

ユア;・・・・・・・・面白い。
久遠;シンクロニティ?
ユア:まだ、設定と簡単プロットの段階ですけど、マリアンにもう少し肉付けしたら、『あの出来事』が起こる前に、マリアン嬢がしていたのが、『殉教者の目だ。・・・』のような感じだったんです。
久遠;マリアンちゃんとアリエスちゃんたちって、対照的だけど、何処か根底の部分で似ているのかもしれないわね。


>
>
> あとがき、或いは語り部(代理)の告げる未来
>アミイ:こんにちは、久しぶりねぇ・・・・。元気してた?またまたまたあとがき担当になったアミリータよ。
>   さて・・・・今回はどうだったかしら?夏休みの大半を、朱琉がオリジナルの方を書くのに費やしてたせいで、文体が変わってないか心配よ、まったく・・・・。
>   じゃあ、予告、行くわね!
>    澄んだ音と共に世界は割れ、伸ばした手は虚空を彷徨う。
>    あえかな微笑と共に残されたのは、決して相容れぬものたち。
>    力なき手を伸ばし、足掻き続けよう。
>    例えその先に、夜明けが見えずとも・・・・
>   次回、『時の旅人』57話、『楔の外れる時』
>  では、また次回に会いましょう!
>


ユア;息子&娘が出てきましたね。
久遠;妙にハイテンションよね。
ユア;エヴァくんのはもう行ってありましたが、ディス嬢のも一遍書こうと思います。
二人;それでは、次回。

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17831遅れました。羅城 朱琉 2006/9/8 17:02:43
記事番号17828へのコメント


>
>> こんにちは、お久しぶりです、羅城 朱琉です。
>> 結局、夏休みを挟んでになってしまいました、時の旅人56話です。
>> では、早速どうぞ!
>
>
>ユア;お久しぶりです。
>久遠;小説データ大半消えてしまったから書き直し中の夕海と、
>ユア:相変わらず、ごーいんぐまいうぇいの久遠お姉さんでしょう?
>   実際、幾つか以外は電脳の海に還りました。
>   一応幾つかは、手書きの原稿が残ってますのでそっちでしばらくしのぎます。
>久遠;それじゃ、レス行きましょうか。
朱琉:お久しぶりです。ネットカフェからこんにちは、の羅城 朱琉です。
アミイ:学校のパソコン、もはやログインすら不可能なのよね、何故か。
朱琉:家のノートパソの調子も芳しくなくて・・・・。せっかく書き直した『光華』が消えてしまいましたです(滝涙)
アミイ:と、言うわけで、しばらくレスがままならないかもしれないわ。
   じゃあ、気を取り直して、始めましょうか。

>
>
>>
>>「ん・・・・」
>> 小さな呻きを洩らして、語り部は目を開けた。白いベッドの上に身を起こし、辺りを見回す。
>>「朝・・・・・・・・か。」
>>「気がつかれましたか?」
>>「レンシェルマ・・・・。」
>> 横で、どうやら看病していたらしいレンシェルマが、幾分憔悴した顔で言ってくる。語り部は小声で彼の名を呼んだ。
>>「よかった、気がつかれて・・・・。いつも、そうして無茶ばかり・・・・」
>> ほんの少し、責めるような響きが混じったことに気がついて、語り部は頭を下げる。
>>「ごめんね、レンシェルマ。」
>>「お辛いのは、あなたでしょうに・・・・。」
>> 溜息に似た言葉に、語り部は苦笑交じりで返す。
>>「そうでもないさ。」
>> そうして、ベッドの端に腰掛け、立ち上がりつつ、言った。
>>「さて・・・・僕は帰るとするか。」
>>「帰る?」
>>「そう。僕が、本来あるべき時に。」
>> 怪訝そうに問うたレンシェルマに、小さく口元だけで微笑んで、語り部は告げた。
>>「・・・・3日ほど前、になるんだ、この時代は。僕にとっては・・・・ね。この時間に本来ある僕は、今、アリエスの看病の真っ最中だ。」
>> 心配そうなレンシェルマの眼差し。目の前であんな様を見せたのだ、無理はなかろう。しかし、だからと言って、立ち止まってもいられない。もはや力なき身とはいえ、やれること、やらねばならぬことは、まだあるのだから。
>
>
>久遠;力無き・・・・ね。
>ユア:在りすぎて、出来ることが無い・・・そういう方ガしっくり来るような感じですね。
>久遠;そうよね。
>   私も、妖怪としては、トップクラスの妖力を持っていても、エイレンちゃんの敵を潰して、弑して、壊すことしか出来ないもの、元々ね。
アミイ:そうね。一応、弱体化したとはいえ、Lクラスの『混沌の王』は楽勝で勝てる程度の力は残ってるのに。
朱琉:『過ぎたるはなお及ばざるが如し』ですよ。
アミイ:私も、単純な攻撃力だったら、絶好調な時の『語り部』レイちゃん以上だけど、できないことの方が多いものね。

>
>
>>     *     *     *     *     *
>>
>>
>> 暗く深い森の中。その道なき道を、一人の青年が歩いていた。薄暗がりの中でも、その炎のような赤の髪がある限り、その姿を見失うことなどないであろう、青年。しかし、その『青年』という言葉が不似合いなほどに、瞳に翳りを宿した、青年。木々の間をすり抜けて、下生えを踏みしめて、彼は行く。
>
>ユア;我が息子その二・・・ながら、境遇で変わるわね。
>久遠:『家族の写真』にしろ、こっちにしろ、基本の苦労人だけど健気系が変わってないだけに、痛々しいというか。
>ユア;抱き締めたくなるって?
>久遠:否定しないわ。
朱琉:・・・・・・・・
アミイ:幸せにしたいけど、できるかなぁ・・・・って?あんた、何十人不幸にすれば気が済むわけ!?
朱琉:いや、一応努力はしてるんですが・・・・。

>
>
>> と、ふと何かを聞きつけて、彼は足を止めた。森を渡る風の音色、囀る鳥の声、それらに混じって、僅かに聞こえる異質な音・・・・・・・・ひゅう、ひゅうという、人間の荒い息遣い。そして、視界の端に映った、銀の輝き。
>> 銀は、養い親の色。まさか、あの人が・・・・と思いつつ、ついつい銀の輝きの出所を探り、茂みをかき分けて・・・・・・・・見た。
>
>久遠:・・・・そうよね、銀色とか白とかよね、語り部ちゃん。
>ユア;・・・・・・・・マリアン嬢とのお話に、絡ませるか。
朱琉:正確に言うと、語り部さんの纏う色は『白銀』です。
アミイ:私の色が純粋な『銀』、フェリセちゃんが『銅(あかがね)』、登場しているのに名前の出てない我が姉にして相方が『漆黒』ね。『金色の魔王(ロード・オブ・ナイトメア)』Lの色が『金』っていうのと同じ感覚で。
朱琉:参考までに。
>
>>
>> そこにいたのは、15〜6歳くらいの、蒼ざめた顔の少女だった。銀の輝きを放っていたのは、木漏れ日に煌く長い銀髪。木に背をもたせかけ瞳を閉じた少女の淡い唇からは、苦しげな吐息が零れ落ちている。体調が悪そうなのに、旅をしているのか、あまり飾り気のないその服は、旅の魔道士がよく着ているようなもの。
>> しかし、青年は、こんな所に少女が倒れている不自然さによる驚愕よりも、別の驚愕が先に立った。
>> 似ているのだ。10年近く前に亡くしたはずの、当時17歳だった『彼女』に。
>> 青年は、知らず『彼女』の名を呟いた。
>>「マリアン・・・・・・・・!?」
>> と。
>> その瞬間だった。青年は直感そのままに、少女から飛びずさる。そのほんの半瞬の後に、青年のいた場所に、銀の剣閃が走った。
>>「!!」
>> 少女の抜き放った、銀の刃の輝きが。
>> 荒い呼吸も蒼白な顔色もそのままに、少女は瞳を開けていた。その色までもマリアンにそっくりで・・・・しかし、宿す輝きの違いが、少女がマリアンでないことを如実に示していた。マリアンの瞳を暖かな陽光とするならば、少女のそれは凍てつく氷晶。左の手に銀の刃を携え、少女はふらりと身を起こした。
>
>
>ユア:これは、短編での話になりますが、ある意味で、エヴァくんが見た瞳は、十と参年前の自分と似ているのかもしれないですね。
>久遠:・・・その瞳から、引き上げてくれた少女と似た少女に襲われてるんじゃ、複雑よね、エヴァちゃん。
アミイ:それはもう、ひたすら複雑よね。
朱琉:別に、アリエス嬢にも敵意はないんですけどね。ただ、過剰防衛というか・・・・。
アミイ:もっと性質悪いでしょ?それ。

>
>>「あなたは、もしかして語り部さんの関係者でしょうか?」
>>「お前の言う『語り部』かどうかは知らないが、銀の髪の、男か女かよく解らない吟遊詩人のことなら、確かに『関係者』だ。」
>
>ユア;エヴァ、語り部さんが語り部さんと呼ばれていること知らないのか・・・・。
>久遠;どうしたの?
>ユア;マリアン嬢とエヴァンスメインの短編の冒頭の会話を変えないとなぁ・・と。
朱琉:うわー・・・・すみません。
アミイ:でも、エヴァ君にとってレイちゃんは、あくまで『オリス=ソルジュ』なのよね。

>
>
>> それは、本当にふと思っただけだった。しかし、次の瞬間アリエスが浮かべた表情を見て、エヴァンスは息を呑んだ。
>> ――殉教者の目だ。そう、思った。恐ろしいほど澄み切って、諦観によく似た色が宿っていて・・・・奥底に、狂気を秘めている。うっすらと、しかし綺麗に微笑んだその顔は、聖者のようですらあるのに、どこか闇を感じさせて・・・・・・・・。
>> 危うい、と、そう思った。
>> それでも、アリエスは有無を言わさぬように言葉を紡ぐ。
>
>ユア;・・・・・・・・面白い。
>久遠;シンクロニティ?
>ユア:まだ、設定と簡単プロットの段階ですけど、マリアンにもう少し肉付けしたら、『あの出来事』が起こる前に、マリアン嬢がしていたのが、『殉教者の目だ。・・・』のような感じだったんです。
>久遠;マリアンちゃんとアリエスちゃんたちって、対照的だけど、何処か根底の部分で似ているのかもしれないわね。
アミイ:面白いわねぇ・・・。さて、何度目のシンクロニシティかしら?
朱琉:あれですね、本当に、どこか潜在意識で繋がってるんじゃないですか(苦笑)

>
>
>>
>>
>> あとがき、或いは語り部(代理)の告げる未来
>>アミイ:こんにちは、久しぶりねぇ・・・・。元気してた?またまたまたあとがき担当になったアミリータよ。
>>   さて・・・・今回はどうだったかしら?夏休みの大半を、朱琉がオリジナルの方を書くのに費やしてたせいで、文体が変わってないか心配よ、まったく・・・・。
>>   じゃあ、予告、行くわね!
>>    澄んだ音と共に世界は割れ、伸ばした手は虚空を彷徨う。
>>    あえかな微笑と共に残されたのは、決して相容れぬものたち。
>>    力なき手を伸ばし、足掻き続けよう。
>>    例えその先に、夜明けが見えずとも・・・・
>>   次回、『時の旅人』57話、『楔の外れる時』
>>  では、また次回に会いましょう!
>>
>
>
>ユア;息子&娘が出てきましたね。
>久遠;妙にハイテンションよね。
>ユア;エヴァくんのはもう行ってありましたが、ディス嬢のも一遍書こうと思います。
>二人;それでは、次回。
朱琉:はいでは、また。
二人:また次回!


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17852時の旅人 57:楔の外れる音羅城 朱琉 2006/10/2 16:56:49
記事番号17791へのコメント

 こんにちは、ものすごく久し振りになってしまいました、羅城 朱琉です。
 さて、今回のこの『時の旅人 57話』ですが、実は、『光華』が完結した後に投稿するつもりでした。
 と、言うのも、『光華』の中で語られるはずだった、某人物とアリエスとの絆が、ここに少々絡んでくるはずだったので。
 しかし、夏休み中、パソコンの不調により『光華』のデータが消えてしまい、再び書き直そうにもうまくいかず・・・・といった状況になってしまいました。
 よって、『光華』のエピソードをある程度本編に組み込む形で、書き直した57話を投稿します。多少、意味の解らないところがあるかもしれませんが、それは近々本編その他でフォローしていく予定です。

 では、前置きが長くなってしまいましたが、どうぞ!




  時の旅人

  57:楔の外れる時

 すぐ近くで、音がした。ぴしり、ぱきん、と、音がした。
 アリエスは、音の出所を即座に見つけ出し・・・・愕然とした。
「あ・・・・・・・・」
 腰のアミュレットの赤い石・・・・封印護符(シール・アミュレット)と、ダガーについた宝石の護符(ジュエルズ・アミュレット)が、砕け散っていた。それを認識した瞬間・・・・・・・・アリエスの記憶は途切れた。


     *     *     *     *     *


 あ、と、アリエスが呟いた。次の瞬間、アリエスの瞳から光が消える。それを意識する前に、語り部は走り出していた。
 崩折れることも無く、ただ虚空を映して呆然と佇むアリエスを片手で抱いて、その場から飛びずさる。
「Veni 《Ensis》!!」
 アリエスを抱いたのとは逆の手に銀の大剣を召喚し、今いた場所に向かって振るう。何も無い空間を薙ぐだけだと思われた剣はしかし、突如としてその場に出現した大剣と打ち合い、音を立てる。水白色の三つ編みの髪を靡かせた、アイオライトの瞳の青年が大剣を携え、その場に立っていたのだ。
 語り部は着地すると間をおかずバックステップし、エヴァンスの横に立った。
「やあ、エヴァンス。元気そうで何よりだ。いろいろと話をしたいこともあるけれど、今はこの子を護ってくれないかな?」
 言いながらも、答えを聞かずにエヴァンスにアリエスを押し付け、剣を構える。
「FG型対知性体インターフェイス Type β−21『アスール・ミッドガルズ』・・・・アミイから聞いてはいたけど、本当に生き残っていたとは、ね。」
 いつも通りの軽い口調で、しかし、瞳は真剣に、語り部は言った。
「きみも、久しいね、『流思の天翼』ディスティア=ペシュテル。君も、しばらくアリエスを護っていてくれないかな?」
「《放浪の語り部》・・・・か?」
「そうだよ。随分弱弱しくなったものだろう?・・・・事情は話してあげるから、まずはこれ、撃退するよ。その間、アリエスを護っておいて・・・・ね!」
 最後の一音と共に、語り部は動いた。同時に、アスールも。二振りの太刀が交わり、音を立て、火花を散らす。
 幾度目かの交錯の時、語り部は唱えた。
「Veni 《Fulmen》!」
 決して避けられぬであろうタイミングで、天から雷が降りそそぐ。が、瞬間、アスールは語り部の太刀を撥ね返したその反動で後ろに跳び、その難を逃れた。しかし、語り部とてこれで仕留められるとは思っていない。雷は、アスールと距離を置くためだけに使用したに過ぎない。撥ね返された勢いに逆らう事無く、語り部は空中で唱えた。
「《Consolatio vita.》」
 ふわりと地に降り立ち、語り部は大剣を地に突き刺す。
「《Precari tiansnasci. Precari libertus.》」
 語り部の銀の髪が、風もないのに揺れる。青灰色の瞳から青みが抜け、銀の煌きを放つ。
「Veni 《Peritum Cantus》」
 瞬間、突き刺した大剣を起点に、銀の波紋が走った。その波紋に沿うように、今度は音が響く。この世のものとは思えぬほどに、美しい音が。
 本来の語り部・・・・『輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)』が得意とする、世界すら消し滅ぼす破滅の音色・・・・《Peritum Cantus》――滅びの歌。音波の共振による物質破壊、音色による精神破壊、魔力による『時』の破壊の、3つの破壊がアスールを襲う。それによる滅びを避けることは、不可能だった・・・・・・・・本来の力で、放ったのならば。
 アスールの手の内に、一本の短剣が現れた。小さな動作で、それを破壊の力へ放つ。3つの破壊と、1本の短剣が、相殺しあう。語り部は気付いた。そこに込められているのは・・・・『中枢予定表』の力。
「・・・・やっぱり、無理か。」
 語り部は、そう言ってふと息を吐いた。手の内の大剣も消えうせ、一見、戦意を喪失したかのようにも見える。
「まあ、この結果も予想はしていたけれど・・・・ね。」
弱気にも聞こえる言葉を言いながら、語り部の口ははっきりとした笑みを刻んでいた。
「・・・・・・・・」
 アスールは、無言。しかし、一瞬、その感情のない瞳が、ほんの少しだけ歪んだ気がした。そのほんの僅かな変化に気付き、語り部は言った。
「何が可笑しい?」
 そのやり取りすら楽しむように、語り部はいっそ優しげに問うた。
 しばしの沈黙。その後、アスールは言った。
「あなたは、愚かだ。」
 その言葉を合図とするかのように・・・・・・・・

 びり、と、布が引き裂けるような音。

「ちょ・・・・おい!?」
「アリエス!?」
 エヴァンスとディスティア、二人の声と・・・・・・・

「・・・・・・・・」
 無言で、冷めた目を向ける語り部。

 そして・・・・・・・・

 僅かな困惑と、歓喜の滲んだ、アリエスの声。


     *     *     *     *     *


 世界が裂けて、光が降り立つ。

 光は、蜂蜜によく似た色をしていた。

 振り返り、アリエスは信じられないものを目にする。

 蜂蜜色の髪と瞳、中肉中背の優しげな青年。月草色のローブに、申し訳程度の短剣。

 二度と、会えるはずのなかった人。

 見た瞬間、アリエスは走り出していた。

 支えていたエヴァンスを振りほどき、ディスティアの横をすり抜けて・・・・走る。

 アリエスは、『彼』を呼んだ。

「ユヴェル・・・・・・・・!!」


     *     *     *     *     *


 突如として現れた蜂蜜色の青年の胸に、アリエスは飛び込んでいた。青年も、いとおしげにアリエスを抱き返す。
 語り部は、冷めた瞳と声で――これすら、予想していたように――しかし、少しでも事態を好転させようと、アリエスに向かって叫ぶ。
「離れろ、アリエス。それは、『中枢予定表』だ。」
 アリエスは、動かない。
「【無駄です。アリエス=オルフェーゼの心は、既に私の支配下に置きました。あなたに手出しは出来ません。】」
 ユヴェル・・・・いや、『ユヴェル=ディティス』の姿をした『中枢予定表』は無表情に告げた。
「【これも全て、正しき『運命』のため。それなのになぜ、あなたが邪魔をなさるのですか?私には理解できません。】」
 淡々と問う『中枢予定表』に、語り部は低い声で答えた。
「『正しい運命』なんて、存在しない。調和さえ取れていればいいというものではないんだよ。・・・・・・・・僕は、そこを勘違いしていた。だから、君を創ってしまったんだ。」
「【そう、私を作ったのは、あなた。『調和の取れた正しい運命』を紡ぎ、遂行することこそ、私の存在理由。】」
「そう。僕は、君をそう創った。だから・・・・・」
 語り部は、空中に右手を差し伸べた。柔らかな銀の光が、掲げた手の上に集う。光は伸びて、弾け・・・・語り部の手の内に、優美な螺旋を描く杖を残して散らばった。
「だから、創造主として、僕は君を滅ぼす。」
「【時織杖(オリス・ヴィルガ)を使ったところで、今のあなたでは私を滅ぼすことは出来ません。】」
 語り部は、小さく笑みを浮かべた。
「うん。もう少し前なら、これ使えば勝てただろうけど、もう無理だ。・・・・だけど、裏技があってね。」
 笑いながらも、その瞳が、少し哀しそうな色をしていたことは、その時は誰も知らないことだったけれど。それでも、その声に宿るものが『覚悟』だということは、その場に立ち会ったものには分かった。
「ねえ、『中枢予定表』・・・・いや、アルカディア。僕らは、おおよそやろうと思って出来ないことは無いよね?世界を創るも滅ぼすも、命を散らすも生き返らせるも、運命に干渉すれば、簡単に出来る。」
 杖の石突を下にして、語り部は時織杖(オリス・ヴィルガ)を前に出す。
「でも、同質の力を持ったものには、そう簡単に干渉できない。よほど、搦め手でいかないことにはね。
 君の目的は、最終的にはこの世界を滅ぼすこと。だけど、そう筋道立てた運命に、もう大分狂いが生じている。だから・・・・」
 そうして、語り部は時織杖(オリス・ヴィルガ)を手放した。
 石突が、地面にあたり・・・・ずるりとめり込む。そのまま、何の抵抗も無く、杖は地面に沈み込んだ。
「こうすれば、この世界には干渉できない、だろう?」
「【今となっては、あなたに残された最大の力たる時織杖(オリス・ヴィルガ)を手放すとは、やはりあなたは愚かです。既に、鍵は私の手の内にあるというのに。】」
 『力を手放した』というのは、あながち嘘ではないのだろう。語り部は微笑んではいるものの、明らかに『感じ取れる力』や『存在感』が減少していた。しかし、語り部はそれでも笑い続ける。何かを確信しているかのように。
「いいや、これでいい。・・・・この世界に生きるものの力、甘く見ない方がいいよ。」
「【・・・・・・・・】」
 無言のまま、『中枢予定表』は姿を消す・・・・その傍らに、アリエスを伴って。

 アリエスが連れ攫われたにもかかわらず、語り部は薄い微笑を浮かべたままだった。


     *     *     *     *     *


『・・・・楔を、打ち込んだ・・・・か。』
 闇よりも暗い『黒』の中、その『黒』を纏った女性が呟く。
『あまり、良い展開ではないな。』
 独り淡々と呟く女性の前に、銀の光が灯った。光は一瞬にして膨れ上がると、弾けて一人の女性を生み出す。外見は双子と思われるほどにそっくりであったが、色彩と雰囲気が全く異なる。黒の女性とは対称的に、新たに現れた女性は純粋な銀色を纏っていた。
『アミリータか。』
『お久しぶり、ファラ・・・・``夢繰る創世者’’ファラライナ。』
 銀の女性・・・・アミリータは、黒の女性・・・・ファラライナに親しげに笑いかけた。
 実際に、アミリータとファラライナは誰より近い存在だ。``夢繰る創世者’’ファラライナと``華散夜の滅消者’’アミリータは、二人で一つの『時空の王』``円環の守護者’’なのだから。
 アミリータは、少し苦笑して言った。
『良い展開じゃないけど、少なくとも、今の段階では最善の手は打ってるわよ。レイちゃんも結構必死だしね。』
『・・・・・・・・このままではいずれ、我らが赴かねばならなくなるだろう。出来うることなら、それは避けたかったのだが・・・・。』
『なってしまったものは仕方ないわよ。』
 どこまで本気か解らぬ、笑みを含んだアミリータの言葉に、ファラライナは溜息をついた。
『我らが干渉すれば、何が起こるか忘れたわけではあるまい?・・・・・・・・もはや、我ら2人を除いては知る者すらいない理なれど、それは未だ生き続けている。』
 重々しく言う声に対するアミリータは、楽しそうですらあった。明るい声のそのままで、アミリータは語る。
『覚えてるわよ。でもね、ファラライナ・・・・・・・・``ファラ姉’’。
 私、『破壊神』なのよ?大事な大事な『家族』のためなら、理だろうと何だろうとブチ壊してみせるわ。』
『・・・・・・・・お前は、感情を表に出しすぎる。我らは力があるが故に、それを表に出すことは許されない。』
 そう言うファラライナの瞳は、言いながらもどこか寂しげで、哀しげで・・・・『語り部』レイノリスも、よく似た瞳をしているのを思い出した。そして、だからこそ、と、アミリータは言った。
『それすらも、掟であり理であり・・・・でしょ?だからこそ、私は刃向かうわよ。』
 そして、何も無い空間を蹴り一歩退くと、芝居がかった動作で朗々と宣言した。
『私は``華散夜の滅消者’’・ アミリータ=ヴェルト=ファーニッツ=ディア=シュテラント=フェビュエール。万象を無に帰す破壊神であり、『円環の守護者』の片割れ。
 私の破壊は、新たな創造のため。私の死は、再びの生のため。それが、『滅び』の存在意義。
昇った陽が必ず沈むように、生まれた全ては死に還る。しかし、それは終わりではない。落ちた陽は、再び天に昇る・・・・再び輝くために、滅びは必要不可欠。
 だから、私は殺し、滅し、終焉を与え、砕き、壊し、破滅を撒く。例え、それが私に課せられた『理』に対してであっても、ね。』
 そうして、アミリータは笑った。明るく、朗らかな笑顔で。
『・・・・・・・・と、まあ、長々と語ってみたけど、結局私の願うことは、いつもたった一つのことだけなのよ。』
『『何者にも縛られず、ただ自らの意思の赴くままに。ただ自らが正しいと信じるままに。』』
 アミリータの声に、淡々としたファラライナの声が重なった。飽きるほどに聞き飽きた、それがアミリータの唯一つの望み。ファラライナは、小さく溜息をついた。
『・・・・我は、軽々しく動けぬ。お前が出向くというなら、尚更に。だから、此度の件、お前に任せる。・・・・・・・・この意味は、わかるな?』
『それは勿論。』
 軽くいったその言葉の裏に含まれていることは、決して軽くは無い。・・・・ファラライナが出向くとき、即ち、異界の強大な力が二つ、世界に揃うとき・・・・・・・・世界の秩序は崩壊するだろう。それくらいに、危険な橋なのだ。
『流石に、直接出向くことはしないわよ。少なくとも、最後の最後までは・・・・ね。今、赤の世界にいる『放浪者』たちに頼むわ。』
 時の理から解き放たれ、数多の世界を旅して回る者たち・・・・それが、『放浪者』と呼ばれる者だ。数は決して多くは無いが、そういったものたちがいることは事実であり、その存在の特異さ故に、『時空の王』たちは彼らを見過ごすことができない。そしてまた、『時空の王』は彼らに対しては絶対者たりえない。
 アミリータは、しかし、そんな『放浪者』たちと比較的友好な関係を築いていた。それは、『理を壊すものに対して好感を覚える』という、彼女の性質によるもののところが大きい。
『アリエス=オルフェーゼ=ラーナは『放浪者』ではないけれど、立場は似たようなものだから、皆、結構気にしてるのよ。今あの世界に、その筆頭2人がいるし。』
『エリカ=レイラーズとフリアレーテ=リリエンツァイフ、か。』
 アミリータは軽く頷いた。そして、遠くを見るように視線を彷徨わせた。
 きっと、これから、赤の世界は予想もつかない方向に転がっていくだろう。時の転換期とは、そんなものだ。
 それでも、と、アミリータは思う。それでも、きっと、何とかなる。楽天的とも思えるほどに、その思いだけが胸の中にある。
きっとそれは、『信じている』からであろう。
 『世界』を。
 『未来』を。
 『人』を。
 そして、明日を望む、その『意思』の強さを。

 世界と世界を渡る、その流れる暗黒の中で、アミリータは誰にとも無く呟いた。
『私は、あんたたちのこと、気に入ってるんだから・・・・頑張ってよね・・・・。』
 永遠の暗闇の中に響いたその声を聞いたものは、いない。


 あとがき、或いは二人の言い訳コーナー&次回予告
アミイ:さて、こんにちは。いつもどおりに次回予告・・・・といこうと思ったけど、朱琉がいろいろと謝りたい事があるそうで、ちょっと場所を貸すことになったわよ。
朱琉:はい、と、いうわけで、作者・朱琉です。前書きで述べましたとおり、パソコンの不調により『光華』が消えてしまいました。下書き無しで一気に書き上げた話だったので、もはや同じように書くのは不可能になってしまい、かといって、書きかけたものを投げ出すわけにもいきません。なので、本来は中編程度の長さを予定していた『光華』ですが、大幅に長さを短くして、ダイジェスト版(?)のような形で投稿します。ここに、その謝罪をすると同時に、御理解の程をよろしくお願いします。
アミイ:結局、その消えた原因なんだったの?
朱琉:それが、よく解っていないんです。ただ、ネットに繋がっていないのでウィルスではないと思うんですが・・・・。
アミイ:何というか・・・・曖昧ねぇ。
朱琉:電子機器関連は専門外なので。・・・・では、次回予告です。次回は、58話・・・・ではなく、前にもあった、半番外編、半本編になる57.5話です。
アミイ:エリカ&フリアレーテ&あたし+αの短編ね。
   許そうとするものがいた。許すまいと思うものがいた。
   始まりは酷似していても、選ぶ道はかくも違う。
   新たに紡がれる物語を見届けるべく、呼び声に導かれ
   今、最後の一片は赤の地に降り立つ。
  次回、『時の旅人』57.5話、『天に光を、地には花を』
二人:では、また次回!

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17856キャハ、許せないねぇ。(にしても、シンクロニシティも多いね)十叶 夕海 2006/10/2 21:44:49
記事番号17852へのコメント



ユア;どうも、ユアでっす。
久遠:帰り道で、読んだせいか、クレセントちゃんモードというか、好戦モードになっちゃてるから、暴言上等だけど、許してちょうだいね。
ユア;ほらほら、愉快に無敵に、レス行きましょう!!



> アリエスを抱いたのとは逆の手に銀の大剣を召喚し、今いた場所に向かって振るう。何も無い空間を薙ぐだけだと思われた剣はしかし、突如としてその場に出現した大剣と打ち合い、音を立てる。水白色の三つ編みの髪を靡かせた、アイオライトの瞳の青年が大剣を携え、その場に立っていたのだ。
> 語り部は着地すると間をおかずバックステップし、エヴァンスの横に立った。
>「やあ、エヴァンス。元気そうで何よりだ。いろいろと話をしたいこともあるけれど、今はこの子を護ってくれないかな?」
> 言いながらも、答えを聞かずにエヴァンスにアリエスを押し付け、剣を構える。

ユア;エヴァくん、心中穏やかじゃないでしょうね。
久遠:でしょうね、意識が無いとは言え。
ユア;でも、楽しそうなことやってるわねぇ♪
久遠;・・・・・・・私の台詞。


> 本来の語り部・・・・『輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)』が得意とする、世界すら消し滅ぼす破滅の音色・・・・《Peritum Cantus》――滅びの歌。音波の共振による物質破壊、音色による精神破壊、魔力による『時』の破壊の、3つの破壊がアスールを襲う。それによる滅びを避けることは、不可能だった・・・・・・・・本来の力で、放ったのならば。
> アスールの手の内に、一本の短剣が現れた。小さな動作で、それを破壊の力へ放つ。3つの破壊と、1本の短剣が、相殺しあう。語り部は気付いた。そこに込められているのは・・・・『中枢予定表』の力。
>「・・・・やっぱり、無理か。」
> 語り部は、そう言ってふと息を吐いた。手の内の大剣も消えうせ、一見、戦意を喪失したかのようにも見える。
>「まあ、この結果も予想はしていたけれど・・・・ね。」
>弱気にも聞こえる言葉を言いながら、語り部の口ははっきりとした笑みを刻んでいた。
>「・・・・・・・・」
> アスールは、無言。しかし、一瞬、その感情のない瞳が、ほんの少しだけ歪んだ気がした。そのほんの僅かな変化に気付き、語り部は言った。
>「何が可笑しい?」
> そのやり取りすら楽しむように、語り部はいっそ優しげに問うた。
> しばしの沈黙。その後、アスールは言った。
>「あなたは、愚かだ。」
> その言葉を合図とするかのように・・・・・・・・

ユア;優美に、愚かに、素敵な戦い・・・・・いえ、遣り取りですね。
久遠;ユアちゃん、微妙に恐いと言うか壊れたわ。

>>
> 突如として現れた蜂蜜色の青年の胸に、アリエスは飛び込んでいた。青年も、いとおしげにアリエスを抱き返す。
> 語り部は、冷めた瞳と声で――これすら、予想していたように――しかし、少しでも事態を好転させようと、アリエスに向かって叫ぶ。
>「離れろ、アリエス。それは、『中枢予定表』だ。」
> アリエスは、動かない。
>「【無駄です。アリエス=オルフェーゼの心は、既に私の支配下に置きました。あなたに手出しは出来ません。】」
> ユヴェル・・・・いや、『ユヴェル=ディティス』の姿をした『中枢予定表』は無表情に告げた。

ユア;キャハ、ぶっ殺したいね。
久遠;訳すると、『人の過去の傷のユヴェルくんの姿を選んだあげく、心まで、弄ぶなんて、ぶっ殺ですね。』
ユア:っていうか、解体したい・・・・・・・。



>「こうすれば、この世界には干渉できない、だろう?」
>「【今となっては、あなたに残された最大の力たる時織杖(オリス・ヴィルガ)を手放すとは、やはりあなたは愚かです。既に、鍵は私の手の内にあるというのに。】」
> 『力を手放した』というのは、あながち嘘ではないのだろう。語り部は微笑んではいるものの、明らかに『感じ取れる力』や『存在感』が減少していた。しかし、語り部はそれでも笑い続ける。何かを確信しているかのように。
>「いいや、これでいい。・・・・この世界に生きるものの力、甘く見ない方がいいよ。」
>「【・・・・・・・・】」
> 無言のまま、『中枢予定表』は姿を消す・・・・その傍らに、アリエスを伴って。
>

ユア;語り部さん、壊したいぐらいに男前だね。
久遠;通常なら、『語り部さん、どういう思惑なの!!でもカッコイイ!!』っていう感じ?
   実際、切り札を手放したも同然よね。
   リナちゃん達が、イレギュラーとして、かしらね。

>『我らが干渉すれば、何が起こるか忘れたわけではあるまい?・・・・・・・・もはや、我ら2人を除いては知る者すらいない理なれど、それは未だ生き続けている。』
> 重々しく言う声に対するアミリータは、楽しそうですらあった。明るい声のそのままで、アミリータは語る。

ユア:覚えていないから、覚えていなくちゃ行けなくて、行使しなくちゃ行けないから、忘れることが出来ない。
久遠;・・・・・・微妙なシンクロニシティ?
ユア;いえす、《お伽噺》の真実を知る=《二人しか知らない理》で、アミイお姉さんとファラさんが、ジュリと乾の二人に当たるのかしら。
久遠:正確には、未覚醒が一人居るけど。
   ジュリちゃんと乾ちゃんも、ちょうど真逆だものね。

>『それすらも、掟であり理であり・・・・でしょ?だからこそ、私は刃向かうわよ。』
> そして、何も無い空間を蹴り一歩退くと、芝居がかった動作で朗々と宣言した。
>『私は``華散夜の滅消者’’・ アミリータ=ヴェルト=ファーニッツ=ディア=シュテラント=フェビュエール。万象を無に帰す破壊神であり、『円環の守護者』の片割れ。
> 私の破壊は、新たな創造のため。私の死は、再びの生のため。それが、『滅び』の存在意義。
>昇った陽が必ず沈むように、生まれた全ては死に還る。しかし、それは終わりではない。落ちた陽は、再び天に昇る・・・・再び輝くために、滅びは必要不可欠。
> だから、私は殺し、滅し、終焉を与え、砕き、壊し、破滅を撒く。例え、それが私に課せられた『理』に対してであっても、ね。』

久遠:朱雀ちゃんの炎なのね、アミイちゃんの役目は。
ユア;破壊の為の再生、再生の為の破壊?

>『『何者にも縛られず、ただ自らの意思の赴くままに。ただ自らが正しいと信じるままに。』』
> アミリータの声に、淡々としたファラライナの声が重なった。飽きるほどに聞き飽きた、それがアミリータの唯一つの望み。ファラライナは、小さく溜息をついた。


ユア:あははははっははははっははははははっは、シンクロニシティ第何弾?
久遠:五月十五日編の最後に、ジュリと乾が、言う台詞が、ほぼまんま上の台詞。
ユア;あの二人は、《お伽噺》のなかでも、特殊な関係者ですからねぇ。


> 時の理から解き放たれ、数多の世界を旅して回る者たち・・・・それが、『放浪者』と呼ばれる者だ。数は決して多くは無いが、そういったものたちがいることは事実であり、その存在の特異さ故に、『時空の王』たちは彼らを見過ごすことができない。そしてまた、『時空の王』は彼らに対しては絶対者たりえない。
> アミリータは、しかし、そんな『放浪者』たちと比較的友好な関係を築いていた。それは、『理を壊すものに対して好感を覚える』という、彼女の性質によるもののところが大きい。

ユア;『放浪者』?
   ・・・・・・(意味深な笑み)もしかしてねぇ。



>朱琉:電子機器関連は専門外なので。・・・・では、次回予告です。次回は、58話・・・・ではなく、前にもあった、半番外編、半本編になる57.5話です。
>アミイ:エリカ&フリアレーテ&あたし+αの短編ね。
>   許そうとするものがいた。許すまいと思うものがいた。
>   始まりは酷似していても、選ぶ道はかくも違う。
>   新たに紡がれる物語を見届けるべく、呼び声に導かれ
>   今、最後の一片は赤の地に降り立つ。
>  次回、『時の旅人』57.5話、『天に光を、地には花を』
>二人:では、また次回!


ユア:うふふふふ、楽しみです。
久遠:また、戻ってる。
二人;それでは、また次回。

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17859『絶対悪』ではないんですけれど、ね。(多分、そろそろ二桁に届くんじゃないかと)羅城 朱琉 2006/10/4 08:49:27
記事番号17856へのコメント


>
>
>ユア;どうも、ユアでっす。
>久遠:帰り道で、読んだせいか、クレセントちゃんモードというか、好戦モードになっちゃてるから、暴言上等だけど、許してちょうだいね。
>ユア;ほらほら、愉快に無敵に、レス行きましょう!!
朱琉:こんにちは。祝・学校のパソコン復活!な朱琉です。
アミイ:ものすごく、遅くなったけどね、通信速度。
朱琉:起動までの時間がこれまでの倍近く、ってどうなんでしょう・・・・?
アミイ:まあ、とにかく、余計に時間もなくなったんだから、早速レスと行きますか!

>
>
>
>> アリエスを抱いたのとは逆の手に銀の大剣を召喚し、今いた場所に向かって振るう。何も無い空間を薙ぐだけだと思われた剣はしかし、突如としてその場に出現した大剣と打ち合い、音を立てる。水白色の三つ編みの髪を靡かせた、アイオライトの瞳の青年が大剣を携え、その場に立っていたのだ。
>> 語り部は着地すると間をおかずバックステップし、エヴァンスの横に立った。
>>「やあ、エヴァンス。元気そうで何よりだ。いろいろと話をしたいこともあるけれど、今はこの子を護ってくれないかな?」
>> 言いながらも、答えを聞かずにエヴァンスにアリエスを押し付け、剣を構える。
>
>ユア;エヴァくん、心中穏やかじゃないでしょうね。
>久遠:でしょうね、意識が無いとは言え。
>ユア;でも、楽しそうなことやってるわねぇ♪
>久遠;・・・・・・・私の台詞。
アミイ:そのあたりの心の機微、わかってないんじゃないかしらねぇ、レイちゃんは。
朱琉:純情青年エヴァ君には、結構酷な話です。
アミイ:強いのにねぇ・・・・。心のほうがねぇ・・・・。

>
>
>> 本来の語り部・・・・『輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)』が得意とする、世界すら消し滅ぼす破滅の音色・・・・《Peritum Cantus》――滅びの歌。音波の共振による物質破壊、音色による精神破壊、魔力による『時』の破壊の、3つの破壊がアスールを襲う。それによる滅びを避けることは、不可能だった・・・・・・・・本来の力で、放ったのならば。
>> アスールの手の内に、一本の短剣が現れた。小さな動作で、それを破壊の力へ放つ。3つの破壊と、1本の短剣が、相殺しあう。語り部は気付いた。そこに込められているのは・・・・『中枢予定表』の力。
>>「・・・・やっぱり、無理か。」
>> 語り部は、そう言ってふと息を吐いた。手の内の大剣も消えうせ、一見、戦意を喪失したかのようにも見える。
>>「まあ、この結果も予想はしていたけれど・・・・ね。」
>>弱気にも聞こえる言葉を言いながら、語り部の口ははっきりとした笑みを刻んでいた。
>>「・・・・・・・・」
>> アスールは、無言。しかし、一瞬、その感情のない瞳が、ほんの少しだけ歪んだ気がした。そのほんの僅かな変化に気付き、語り部は言った。
>>「何が可笑しい?」
>> そのやり取りすら楽しむように、語り部はいっそ優しげに問うた。
>> しばしの沈黙。その後、アスールは言った。
>>「あなたは、愚かだ。」
>> その言葉を合図とするかのように・・・・・・・・
>
>ユア;優美に、愚かに、素敵な戦い・・・・・いえ、遣り取りですね。
>久遠;ユアちゃん、微妙に恐いと言うか壊れたわ。
朱琉:そう言っていただけてうれしいです。
アミイ:自信なくて、ここだけ何度も書き直したのよね。

>
>>>
>> 突如として現れた蜂蜜色の青年の胸に、アリエスは飛び込んでいた。青年も、いとおしげにアリエスを抱き返す。
>> 語り部は、冷めた瞳と声で――これすら、予想していたように――しかし、少しでも事態を好転させようと、アリエスに向かって叫ぶ。
>>「離れろ、アリエス。それは、『中枢予定表』だ。」
>> アリエスは、動かない。
>>「【無駄です。アリエス=オルフェーゼの心は、既に私の支配下に置きました。あなたに手出しは出来ません。】」
>> ユヴェル・・・・いや、『ユヴェル=ディティス』の姿をした『中枢予定表』は無表情に告げた。
>
>ユア;キャハ、ぶっ殺したいね。
>久遠;訳すると、『人の過去の傷のユヴェルくんの姿を選んだあげく、心まで、弄ぶなんて、ぶっ殺ですね。』
>ユア:っていうか、解体したい・・・・・・・。
アミイ:っていうか、ユヴェル君(外見)=『中枢予定表』って、かなり前から決めていた朱琉が、一番外道よね。
朱琉:うぅ・・・・。とはいえ、ユヴェル君以外では、アリエスはここまで動揺しなかったと思うんですよ。
アミイ:まあ、『中枢予定表』は効率重視の人(?)だからね。やり方は気に入らないけど。

>
>
>
>>「こうすれば、この世界には干渉できない、だろう?」
>>「【今となっては、あなたに残された最大の力たる時織杖(オリス・ヴィルガ)を手放すとは、やはりあなたは愚かです。既に、鍵は私の手の内にあるというのに。】」
>> 『力を手放した』というのは、あながち嘘ではないのだろう。語り部は微笑んではいるものの、明らかに『感じ取れる力』や『存在感』が減少していた。しかし、語り部はそれでも笑い続ける。何かを確信しているかのように。
>>「いいや、これでいい。・・・・この世界に生きるものの力、甘く見ない方がいいよ。」
>>「【・・・・・・・・】」
>> 無言のまま、『中枢予定表』は姿を消す・・・・その傍らに、アリエスを伴って。
>>
>
>ユア;語り部さん、壊したいぐらいに男前だね。
>久遠;通常なら、『語り部さん、どういう思惑なの!!でもカッコイイ!!』っていう感じ?
>   実際、切り札を手放したも同然よね。
>   リナちゃん達が、イレギュラーとして、かしらね。
アミイ:思惑は、次々回でレイちゃんが語ってくれるわよv
朱琉:リナたちの役割は・・・・もう少ししたらわかります。

>
>>『我らが干渉すれば、何が起こるか忘れたわけではあるまい?・・・・・・・・もはや、我ら2人を除いては知る者すらいない理なれど、それは未だ生き続けている。』
>> 重々しく言う声に対するアミリータは、楽しそうですらあった。明るい声のそのままで、アミリータは語る。
>
>ユア:覚えていないから、覚えていなくちゃ行けなくて、行使しなくちゃ行けないから、忘れることが出来ない。
>久遠;・・・・・・微妙なシンクロニシティ?
>ユア;いえす、《お伽噺》の真実を知る=《二人しか知らない理》で、アミイお姉さんとファラさんが、ジュリと乾の二人に当たるのかしら。
>久遠:正確には、未覚醒が一人居るけど。
>   ジュリちゃんと乾ちゃんも、ちょうど真逆だものね。
朱琉:『未覚醒が一人〜』あたりまで含めて、シンクロニシティです。
アミイ:忘れちゃっているのが一人いるからねぇ。だからこそ、私とファラと・・・・あと一人、『不動の放浪者』ちゃんは覚えてなければいけないのよ。

>
>>『それすらも、掟であり理であり・・・・でしょ?だからこそ、私は刃向かうわよ。』
>> そして、何も無い空間を蹴り一歩退くと、芝居がかった動作で朗々と宣言した。
>>『私は``華散夜の滅消者’’・ アミリータ=ヴェルト=ファーニッツ=ディア=シュテラント=フェビュエール。万象を無に帰す破壊神であり、『円環の守護者』の片割れ。
>> 私の破壊は、新たな創造のため。私の死は、再びの生のため。それが、『滅び』の存在意義。
>>昇った陽が必ず沈むように、生まれた全ては死に還る。しかし、それは終わりではない。落ちた陽は、再び天に昇る・・・・再び輝くために、滅びは必要不可欠。
>> だから、私は殺し、滅し、終焉を与え、砕き、壊し、破滅を撒く。例え、それが私に課せられた『理』に対してであっても、ね。』
>
>久遠:朱雀ちゃんの炎なのね、アミイちゃんの役目は。
>ユア;破壊の為の再生、再生の為の破壊?
朱琉:朱雀の炎も騰蛇の炎も、両方です。
アミイ:単純にブチ壊すのも好きよvただ、それだけだと何か悲しいじゃない。終わった後が荒野だけ、って、趣味じゃないのよね。
朱琉:趣味の問題・・・・?

>
>>『『何者にも縛られず、ただ自らの意思の赴くままに。ただ自らが正しいと信じるままに。』』
>> アミリータの声に、淡々としたファラライナの声が重なった。飽きるほどに聞き飽きた、それがアミリータの唯一つの望み。ファラライナは、小さく溜息をついた。
>
>
>ユア:あははははっははははっははははははっは、シンクロニシティ第何弾?
>久遠:五月十五日編の最後に、ジュリと乾が、言う台詞が、ほぼまんま上の台詞。
>ユア;あの二人は、《お伽噺》のなかでも、特殊な関係者ですからねぇ。
朱琉:うわぁ・・・・。
アミイ:そろそろ、シンクロニシティも10回超えたんじゃないかしら?
朱琉:もう、笑うしかないです(苦笑)

>
>
>> 時の理から解き放たれ、数多の世界を旅して回る者たち・・・・それが、『放浪者』と呼ばれる者だ。数は決して多くは無いが、そういったものたちがいることは事実であり、その存在の特異さ故に、『時空の王』たちは彼らを見過ごすことができない。そしてまた、『時空の王』は彼らに対しては絶対者たりえない。
>> アミリータは、しかし、そんな『放浪者』たちと比較的友好な関係を築いていた。それは、『理を壊すものに対して好感を覚える』という、彼女の性質によるもののところが大きい。
>
>ユア;『放浪者』?
>   ・・・・・・(意味深な笑み)もしかしてねぇ。
朱琉:そこまで、深い意味ではないかと・・・・(汗)

>
>
>
>>朱琉:電子機器関連は専門外なので。・・・・では、次回予告です。次回は、58話・・・・ではなく、前にもあった、半番外編、半本編になる57.5話です。
>>アミイ:エリカ&フリアレーテ&あたし+αの短編ね。
>>   許そうとするものがいた。許すまいと思うものがいた。
>>   始まりは酷似していても、選ぶ道はかくも違う。
>>   新たに紡がれる物語を見届けるべく、呼び声に導かれ
>>   今、最後の一片は赤の地に降り立つ。
>>  次回、『時の旅人』57.5話、『天に光を、地には花を』
>>二人:では、また次回!
>
>
>ユア:うふふふふ、楽しみです。
>久遠:また、戻ってる。
>二人;それでは、また次回。
朱琉:はい、では、また。
二人:また次回!


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