◆−時の旅人 34:錆びた剣と彷徨う心−羅城 朱琉 (2006/1/17 08:20:24) No.17469 ┣バトルシ−ンかっこええ〜。−十叶 夕海 (2006/1/17 23:40:08) No.17470 ┃┗あまり自信なかったんです・・・・(苦笑)−羅城 朱琉 (2006/1/18 08:43:42) No.17471 ┣Re:時の旅人 34:錆びた剣と彷徨う心−神高 紅 (2006/1/19 00:08:12) No.17474 ┃┗達人バトルの難しさ・・・・−羅城 朱琉 (2006/1/19 09:57:07) No.17475 ┣時の旅人 35:隻腕の女剣士−羅城 朱琉 (2006/2/10 11:04:44) No.17499 ┃┗格好いいお姉様・・・・・・(ぼんやりしつつ)−十叶 夕海 (2006/2/13 23:32:54) No.17500 ┃ ┗書いてる本人が惚れてます(苦笑)−羅城 朱琉 (2006/2/15 11:21:59) No.17504 ┗時の旅人 36:深淵とU星の間に−羅城 朱琉 (2006/3/22 11:56:42) No.17550 ┣それでは、この人を−十叶 夕海 (2006/3/22 23:57:20) No.17555 ┃┗ありがとうございます!−羅城 朱琉 (2006/3/23 08:51:07) No.17560 ┗Re:時の旅人 36:深淵とU星の間に−神高 紅 (2006/3/23 16:30:05) No.17562 ┗種族(?)関係なしの友情なのです。−羅城 朱琉 (2006/3/25 09:28:27) No.17564
17469 | 時の旅人 34:錆びた剣と彷徨う心 | 羅城 朱琉 | 2006/1/17 08:20:24 |
こんにちは、とてもとてもお久しぶりです。羅城 朱琉です。 ようやくスランプ脱却の光明が見えるか見えないか・・・・といった状況で、執筆速度は現在亀よりも鈍いですが、見捨てずに読んでくださっている皆様、本当にありがとうございます! では、本当に久しぶりの『時の旅人』です。どうぞ! 時の旅人 34:錆びた剣と彷徨う心 そこは、永劫に続く『黒』の世界。どんな闇よりも暗い『黒』が、その場を満たしていた。 瞳を開いているのか、閉じているのか、それすらもわからない。そんな『黒』のなかで、アリエスはぬるいまどろみの中をたゆたっていた。 『・・・・こんなところまでやってくる人間がいるとはな。』 (こえ・・・・?) 唐突に、その声は響いた。朦朧とした意識の片隅で、アリエスはそれを捉える。 『稀有なる者よ。名は何と言う?』 声は問う。アリエスは、無意識にそれに答えていた。 (アリエス・・・・アリエス=オルフェーゼ=ラーナ。アリエス=オルフェーゼ=ヴィータ=フェラナート。どちらも私・・・・。) 声は、僅かに驚いたようだった。 『フェラナート・・・・なるほど。ならば、納得もいく。』 アリエスの意識に、僅かに疑問が浮かんだ。言葉どころか、まだ意識もせぬような段階の問いに、声は答える。 『ここか?・・・・ここは、時の狭間。私は、『時間』の片割れにして、『始まり』を司るもの。・・・・フェラナートの名を継ぐ娘・アリエスよ。ここに長居してはならぬ。ここは、そなたの世界とは違う理によって動いておる。』 (ちがう、ことわり・・・・?) 『そう、違う理。・・・・まさか、帰る道がわからぬのか?』 アリエスは、小さく頷いた。『始まり』を司るもの、と自称する意志は、何かを考えているようだ。そんな気配が、伝わってくる。 『ならば、もう一度眠れ。今度は夢も見ぬほどに、深く深く。』 その言葉を聞いた瞬間、アリエスの意識は闇に溶ける。驚くほどに、安らかな気持ちの中で・・・・ 闇に漂うアリエスを、白くか細い腕が抱いた。周囲の闇に溶け込む黒く長い髪を漂わせ、世界の何よりも黒い『黒』の瞳を眠るアリエスに向けて。漆黒のドレスを身に纏った、闇の化身の如き女性は、無限に続く『黒』の一点を見つめて、言った。 「監督不届きだぞ、``螺旋の’’。」 瞬間、白銀の光が目の端を掠める。 『ごめんなさい。こちらもいろいろとあったのです。・・・・助かりました、``夢繰り’’。』 言葉にするなら、そう言った意味合いの意識が流れてきたのを感じ、``夢繰り’’と呼ばれた女性はアリエスを差し出した。純粋な黒から白銀の光の内に移ったアリエスは、しかしそれに気付いた様子もなく安らかに眠っている。 「『計画』は順調か?」 『まあ、それなりに。』 二人の人ならざるものは、抱いたアリエスを見つめる。 「その娘、かなり不安定になっている。・・・・``散華’’が『中枢予定表』を押さえたが、その様子ではあまり時間はないようだな。」 『何とか、しますよ。仮にも『王』の名を冠するものとして、自分の領域の事は自分で片をつけるべきでしたが、力及ばず、あなた達の力まで借り受ける次第になってしまったのです。全てを無駄にしないためにも・・・・必ず何とかしますよ。』 そう言い残し、``螺旋の’’はアリエスを連れて消える。後に残された``夢繰り’’は、そっと呟いた。 「汝の気持ち、わからぬわけではない。・・・・頑張れよ、``螺旋の預言者’’・・・・いや、『輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)』よ・・・・」 * * * * * 空の色は、薄く霞んだ青。無風の庭園の静寂を切り裂いて、小さな風切音が断続的に聞こえた。 多くの人と出会い別れた、『アリエスにとっての』昨日。いっそ永遠に夜が続けばいいと思うも、やはり朝は訪れる。混沌とした思考を振り払うべく、アリエスは朝から無心に鍛錬をしていた。煌く二本の銀光が踊る。直線と円弧を巧みに織り交ぜた、変幻自在の死の演舞。もちろん、攻撃一辺倒ではない。仮想敵の攻撃を受け、或いはかわし、或いは受け流す。そして、刃一閃。血振りをして刃を収め、一瞬後、鋭い抜き打ちを放つ。その後生まれた一瞬の隙は、逆手に構えたダガーが埋めた。 そもそも、こんなにも感情と思考が乱れた原因は、少し前に遡る・・・・ 薄いカーテンから差し込む光が眩しい。毎日が薄曇のようであるこの場においてこれほどの明りが入ってくるということは、外は随分といい天気なのだろう。珍しく熟睡をしていたらしい、アリエスは軽く目を瞬かせると、軽く身じろぎした。と、ベッドの横に誰かがいることがわかった。 「アリエス!起きたのね。よかった・・・・」 「・・・・ミュシカさん、でしたね。何故、ここに?」 朝であろうと天気が良かろうと、変わることのない黒ずくめを見たアリエスは、少々ぼんやりした頭を振り、ベッドの上に身を起こそうとする。しかし、その身をミュシカが押し留めた。 「起きちゃダメ!アリエス、あなた、昨日1日目を覚まさなかったのよ!?」 起きかけの中途半端な体勢で、アリエスは目を丸くした。 「・・・・冗談でしょう?」 ミュシカは、口元しか見えないが雰囲気的には沈痛な面持ちで首を横に振った。 「残念ながら、本当のことよ。疲れてるのかと思って寝せておいたけど、今日も目覚めなかったらフェリセさんに報告に行くつもりだったんだから。・・・・で、体調はどう?どこか痛かったり苦しかったり辛かったりしない?」 「別に、何ともありません。・・・・多分、慣れない環境で疲れていたんだと思います。ですから、心配ありません。」 言いつつ、アリエスはミュシカの手を押しのけて身を起こした。ミュシカは、口をへの字に曲げたが、アリエスはさっさと身支度を整えてしまう。 「あのねぇ・・・・。せめて今日1日、安静にしていたら?」 ミュシカが、呆れ半分、心配半分で言うも、アリエスは気にしない。そして、足早に部屋を去る。 (動揺してはいけない・・・・私は、まだ大丈夫。眠っていただけ、ただ、それだけ・・・・) 必死で自分をごまかすアリエスに、ミュシカの最後の呟きは届かなかった。 「まさか、意識だけとはいえ時空を超えるとは・・・・流石、『フェラナート』。侮れないわ・・・・。」 そんなこんなで、乱れた思考の統一を図り、アリエスは無心に剣を揮っていた。・・・・どこまで効果があるかは別として。 (考えるべきことが、多すぎますよ・・・・まったく。) そうとだけちらりと考えるも、すぐさま思考を打ち消した。僅か・・・・ほんの僅かだが、こちらに近づいてくる気配を感じたから。恐らくは、2人。どちらも、かなりできるであろう。ヒュンと剣を振り、二刀を鞘に戻す。ちょうどそのときだった。その2人が現れたのは。 恐らく、血縁者であろう、よく似た外見の2人だ。共に少々背が低く・・・・アリエスよりは少々高いが・・・・闇の如き黒髪と金の瞳をしている。しかし、一人は短髪で剣士風、もう一人は長髪で神官風という差を除いたとしても、二人を見間違えることはないだろう。それほどに、雰囲気は違う。短髪のほうは険しい印象を与えるつり目で、妙に憮然としているし、長髪のほうは、たれ目だが不思議と陰を感じさせる。 「お邪魔して・・・・しまいましたか・・・・?」 長髪のほうが、おっとりとした口調で言った。アリエスは無表情で「いいえ。」とだけ答える。気付かれない程度に小さくため息をついて、さっさとその場から立ち去ろうとした。しかし、今度は短髪のほうに呼び止められる。 「なあ、ここで鍛錬してたのはあんたか?」 その声で、アリエスは初めて、短髪が男だと言うことに気付いた。 「・・・・そうですが、何か?」 どうにも口調が投げやりになってしまったが、仕方あるまい。元より、人と関わることが苦手なアリエスである。更にここ最近、多くの人と関わりすぎて、正直疲れていたのだ。 「かなりやるな。」 「それはどうも、お褒めに預かり、光栄の至りです。」 投げやりに答えるアリエスに対して、短髪の方のほうの声には隠し切れない喜悦が滲んでいた。 「一回、手合わせしねえか?」 突然の申し入れに、アリエスは無表情のままあっけにとられた。長髪の方が何ともいえない表情を浮かべるが、慣れているのかそれ以上は何も言わない。 「・・・・何か、それで利があると?」 「そんなもんは知らねえよ。ただ・・・・」 短髪の少年は、獰猛な笑みを浮かべた。 「俺が、あんたと戦ってみてえんだ。」 アリエスは、ふと目を伏せた。これは、どうにも一戦交えないとかたが付きそうにない。それに、アリエス自身、終わりのない思考の海から脱出するための手段を求めていたのだ。 「・・・・一度だけなら。」 (悪いですが、そちらから言い出したことですし・・・・『憂さ晴らし』とやらをさせて頂きますよ。) 「決まりだな。場所はここでいいだろ?」 「問題ありません。」 「じゃ、やるか。殺さない程度に本気でな。」 アリエスが軽く頷くと、2人は同時に飛びずさり、間合いを確保した。 「・・・・っと、言い忘れてたな。俺の名は、コウ=カオス=デスティニー。あっちは、クロス。」 「アリエス=オルフェーゼ=ラーナと申します。・・・・では、参ります。」 言い終わった刹那、アリエスは軽やかに地を蹴った。同時に抜き放った銀晶輝を、居合い抜きの要領でコウに叩き込む。しかし、コウも流石のもの、素早く抜き放った漆黒の大剣で軽く受け流すと、そのまま流れるように攻撃に転じた。もちろん、居合い抜きの後に隙が生じることはアリエスも承知している。左手に持ったダガーの柄を大剣の腹に打ち付けて、僅かにその軌道を逸らすことで一撃を回避する。そのまま、生じた反動を利用して回転し、遠心力を乗せた斬撃を放つ。コウもまた、それに合わせるように、大剣の重量を十分に生かした唐竹割りの斬撃を放つ。銀と黒、ショートソードと大剣が打ち合わされ、澄んだ金属音をたてた。この間、僅か2秒である。 「思ったとおり、やるな!」 嬉々とした表情でコウが言う。 「そちらこそ。」 顔色や表情は平時と変わらぬが、少しではあるが明らかに弾んだ声で、アリエスは答えた。 その僅かな膠着は、一瞬後には破られた。アリエスが、ほんの少しだけ力を抜き、大剣を滑らせたのだ。更に深くコウの懐に入り込むべく足を踏み出すも、コウは飛びずさり、間合いを広げる。 アリエスの得物は、ショートソードとダガー。コウの得物は大剣。この場合、いかにコウの懐深くにアリエスが飛び込めるかが、勝負の分かれ目となる。逆にコウは、いかにアリエスを近づけず、遠目の間合いで戦えるかが鍵となる。油断なく剣を構えたまま、アリエスは思索を巡らせた。 (デスティニーさんの大剣・・・・どう見ても、かなりの重さがありそうですね。折角有利な間合いに持ち込んだのですから、恐らく次で決着をつける心積もりでしょう。それを踏まえ、対中距離のために放つ攻撃として、考えられるのは・・・・重量を生かした斬撃か、長さを生かしての刺突。しかし、これまでで、私の身のこなしを考えているはず。・・・・となれば、かわされる公算の高い刺突や、唐竹の斬撃は考えにくいですね。とはいえ、最も有効であろう横薙ぎの斬撃は、剣の重量ゆえ、少々タイムラグがありますね。それゆえ、それを選択する可能性も低い。・・・・となれば、恐らく次に来るのは、重さと速さを兼ね備えた、袈裟懸けの斬撃。あとは、左右の二者択一。) そこまで考えると、アリエスは動いた。二刀を逆手に構えなおすと、アリエスの最大の武器ともいえるスピードを最大限に活かし、コウに突っ込んでゆく。普段の舞うような動きとはかけ離れた、放たれた矢のような突進。コウの斬撃が来る。予想通り、逆袈裟の斬撃。それをアリエスは、体裁きのみでかわしきった。しかし、まだアリエスの刃はコウに届かない。しかし、アリエスは迷わなかった。右手を軽く掲げる。逆に、左手は僅かに下に下ろす。狙うは胴体ではない。剣を握る手の、手首。 「ふッ!」 鋭い呼気と共に、右手を打ち下ろし、左手を切り上げる。それは、かみ合わされる獣の牙にも似た一撃。 ・・・・と、銀に輝く双牙は、コウの手首に食い込む寸前で止められた。 「はい、右手首切断・・・・とまではいかなくても、流石にもう剣は握れませんよ。」 しばしの沈黙。その後に、コウが降参、とばかりに左手を挙げた。 「あ゛ーっ!負けたッ!!」 悔しそうに叫ぶと、少々うなだれた雰囲気ながらも、アリエスに向き直って言った。 「強いな、あんた・・・・アリエスだったか?」 「はい。」 「覚えとく。でもって、次は負けねえ。」 アリエスは、仄かに微笑んだ。 「次の機会があれば。」 そして、2人に軽く頭を下げて、部屋に向かって歩き出す。 少しだけ、霧が晴れた気がした。 * * * * * アリエスとコウが戦ったその場所で、コウは大の字になって寝転がっていた。隣にはクロスが座っている。 「あー・・・・にしても、あれだけ強いやつと戦ったのは久しぶりだったな。」 戦いの余韻が、未だ残っている。それが消えてしまうのが惜しくて、コウは手を握りしめた。 「まあ、でも・・・・あいつ、途中まで妙に鈍かったな・・・・」 最後の一撃をアリエスの実力とするのなら、それまでの動きは妙に鈍いということに、コウは気付いていた。体力温存、と考えても、あまりに不自然なほどに。 「そうですね・・・・。寝ぼけてたんでしょうか・・・・?」 「んなわけあるか!あれはなぁ・・・・」 コウは、ものすごい勢いで突っ込んだ後、アリエスの去っていった方向に目を向けて、呟いた。 「あれは・・・・深い悩みを抱えてるやつの目だ・・・・。」 あとがき、或いは語り部の告げる未来 語:やあ!久しぶりだね。元気だったかな?短編の方では出たけど、本編では今年初だ。と、言うわけで、随分遅くなったけど、あけましておめでとう。今年もよろしくね! さて、どうだったかな?今回は、きりがなかなか付かなくて、少し長くなってしまったかもしれないね。しかも、伏線もまあ、多いこと多いこと。 じゃあ、そろそろ語ろう。未来に続く、かすかな導を。 探していた答え。その一端が開かれようとしている。 喜びの中にあった彼らの前に現れた者は、道を閉ざすを良しとした。 『何か』を知る女性、リアネス。 その行動の裏に、『時』の真実がある。 次回、『時の旅人』35話、『隻腕の女剣士』 じゃあ、またね! |
17470 | バトルシ−ンかっこええ〜。 | 十叶 夕海 | 2006/1/17 23:40:08 |
記事番号17469へのコメント > では、本当に久しぶりの『時の旅人』です。どうぞ! ユア;いえいえ、待ってましたよん。 久遠:あ、それとね、レンさんが、妻子持ちだろうとシスコンだろうと関係ないわよ。 だって、永蓮ちゃんも、夫子持ちでシスコン&ブラコンだったのよ。 いまさら、性別という障害が、在ろうと無かろうと、レンさんフォ―リンラヴvv ユア;・・・『生か死か』版永蓮です。 ・・・・・・・レス行きます。 > > 闇に漂うアリエスを、白くか細い腕が抱いた。周囲の闇に溶け込む黒く長い髪を漂わせ、世界の何よりも黒い『黒』の瞳を眠るアリエスに向けて。漆黒のドレスを身に纏った、闇の化身の如き女性は、無限に続く『黒』の一点を見つめて、言った。 >「監督不届きだぞ、``螺旋の’’。」 > 瞬間、白銀の光が目の端を掠める。 >『ごめんなさい。こちらもいろいろとあったのです。・・・・助かりました、``夢繰り’’。』 > 言葉にするなら、そう言った意味合いの意識が流れてきたのを感じ、``夢繰り’’と呼ばれた女性はアリエスを差し出した。純粋な黒から白銀の光の内に移ったアリエスは、しかしそれに気付いた様子もなく安らかに眠っている。 >「『計画』は順調か?」 >『まあ、それなりに。』 > 二人の人ならざるものは、抱いたアリエスを見つめる。 >「その娘、かなり不安定になっている。・・・・``散華’’が『中枢予定表』を押さえたが、その様子ではあまり時間はないようだな。」 >『何とか、しますよ。仮にも『王』の名を冠するものとして、自分の領域の事は自分で片をつけるべきでしたが、力及ばず、あなた達の力まで借り受ける次第になってしまったのです。全てを無駄にしないためにも・・・・必ず何とかしますよ。』 > そう言い残し、``螺旋の’’はアリエスを連れて消える。後に残された``夢繰り’’は、そっと呟いた。 >「汝の気持ち、わからぬわけではない。・・・・頑張れよ、``螺旋の預言者’’・・・・いや、『輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)』よ・・・・」 > 久遠;本格的に胎動し始めたって感じよね。 ユア:ですね。 黒幕さん達?も、なかなか。 > > * * * * * > > > 空の色は、薄く霞んだ青。無風の庭園の静寂を切り裂いて、小さな風切音が断続的に聞こえた。 > 多くの人と出会い別れた、『アリエスにとっての』昨日。いっそ永遠に夜が続けばいいと思うも、やはり朝は訪れる。混沌とした思考を振り払うべく、アリエスは朝から無心に鍛錬をしていた。煌く二本の銀光が踊る。直線と円弧を巧みに織り交ぜた、変幻自在の死の演舞。もちろん、攻撃一辺倒ではない。仮想敵の攻撃を受け、或いはかわし、或いは受け流す。そして、刃一閃。血振りをして刃を収め、一瞬後、鋭い抜き打ちを放つ。その後生まれた一瞬の隙は、逆手に構えたダガーが埋めた。 > そもそも、こんなにも感情と思考が乱れた原因は、少し前に遡る・・・・ > 久遠:う〜ん、アリエスちゃん。 お姉さんと手合わせしない・・・・・・・・本気で? ユア;お姉さんじゃなくて、お兄さんでしょ? 久遠;手合わせ云々は、何も、言わないのね。 ユア;・・・・・・・何をいまさら? > > 必死で自分をごまかすアリエスに、ミュシカの最後の呟きは届かなかった。 > >「まさか、意識だけとはいえ時空を超えるとは・・・・流石、『フェラナート』。侮れないわ・・・・。」 > ユア;・・・・・・ふむ。 久遠:ミュシカちゃん、黒〜い。(口元に手を当てるぶりっ子ポ―ズ) >「かなりやるな。」 >「それはどうも、お褒めに預かり、光栄の至りです。」 > 投げやりに答えるアリエスに対して、短髪の方のほうの声には隠し切れない喜悦が滲んでいた。 >「一回、手合わせしねえか?」 > 突然の申し入れに、アリエスは無表情のままあっけにとられた。長髪の方が何ともいえない表情を浮かべるが、慣れているのかそれ以上は何も言わない。 >「・・・・何か、それで利があると?」 >「そんなもんは知らねえよ。ただ・・・・」 > 短髪の少年は、獰猛な笑みを浮かべた。 >「俺が、あんたと戦ってみてえんだ。」 > アリエスは、ふと目を伏せた。これは、どうにも一戦交えないとかたが付きそうにない。それに、アリエス自身、終わりのない思考の海から脱出するための手段を求めていたのだ。 久遠;・・あら、坊や、私と戦わない? ユア:坊やで、間違ってないね。 数百歳に、九十九神? 久遠;んもう、女の歳を言わないの。 >「・・・・一度だけなら。」 >(悪いですが、そちらから言い出したことですし・・・・『憂さ晴らし』とやらをさせて頂きますよ。) >「決まりだな。場所はここでいいだろ?」 >「問題ありません。」 >「じゃ、やるか。殺さない程度に本気でな。」 > アリエスが軽く頷くと、2人は同時に飛びずさり、間合いを確保した。 >「・・・・っと、言い忘れてたな。俺の名は、コウ=カオス=デスティニー。あっちは、クロス。」 ユア;へぇ〜、書く人違うとこんなに性格違うのね。 久遠:『生か死か』で、ほぼ同一設定のキャラを同じ人からもらってるのよね。 ユア:カッコイイ〜!! >「アリエス=オルフェーゼ=ラーナと申します。・・・・では、参ります。」 > 言い終わった刹那、アリエスは軽やかに地を蹴った。同時に抜き放った銀晶輝を、居合い抜きの要領でコウに叩き込む。しかし、コウも流石のもの、素早く抜き放った漆黒の大剣で軽く受け流すと、そのまま流れるように攻撃に転じた。もちろん、居合い抜きの後に隙が生じることはアリエスも承知している。左手に持ったダガーの柄を大剣の腹に打ち付けて、僅かにその軌道を逸らすことで一撃を回避する。そのまま、生じた反動を利用して回転し、遠心力を乗せた斬撃を放つ。コウもまた、それに合わせるように、大剣の重量を十分に生かした唐竹割りの斬撃を放つ。銀と黒、ショートソードと大剣が打ち合わされ、澄んだ金属音をたてた。この間、僅か2秒である。 >「思ったとおり、やるな!」 > 嬉々とした表情でコウが言う。 >「そちらこそ。」 > 顔色や表情は平時と変わらぬが、少しではあるが明らかに弾んだ声で、アリエスは答えた。 久遠;・・・・・ああん、もうぉ!! ユアちゃん、私も交ざりたい。 ユア;ダメ!! > その僅かな膠着は、一瞬後には破られた。アリエスが、ほんの少しだけ力を抜き、大剣を滑らせたのだ。更に深くコウの懐に入り込むべく足を踏み出すも、コウは飛びずさり、間合いを広げる。 > アリエスの得物は、ショートソードとダガー。コウの得物は大剣。この場合、いかにコウの懐深くにアリエスが飛び込めるかが、勝負の分かれ目となる。逆にコウは、いかにアリエスを近づけず、遠目の間合いで戦えるかが鍵となる。油断なく剣を構えたまま、アリエスは思索を巡らせた。 >(デスティニーさんの大剣・・・・どう見ても、かなりの重さがありそうですね。折角有利な間合いに持ち込んだのですから、恐らく次で決着をつける心積もりでしょう。それを踏まえ、対中距離のために放つ攻撃として、考えられるのは・・・・重量を生かした斬撃か、長さを生かしての刺突。しかし、これまでで、私の身のこなしを考えているはず。・・・・となれば、かわされる公算の高い刺突や、唐竹の斬撃は考えにくいですね。とはいえ、最も有効であろう横薙ぎの斬撃は、剣の重量ゆえ、少々タイムラグがありますね。それゆえ、それを選択する可能性も低い。・・・・となれば、恐らく次に来るのは、重さと速さを兼ね備えた、袈裟懸けの斬撃。あとは、左右の二者択一。) ユア;判断力といい、コウといい。 カッコイイ!! 久遠;戦闘シ−ン苦手だモンね。 ユア;重いシ−ンをライトに書くのは得意なんだけどね。 > > アリエスとコウが戦ったその場所で、コウは大の字になって寝転がっていた。隣にはクロスが座っている。 >「あー・・・・にしても、あれだけ強いやつと戦ったのは久しぶりだったな。」 > 戦いの余韻が、未だ残っている。それが消えてしまうのが惜しくて、コウは手を握りしめた。 >「まあ、でも・・・・あいつ、途中まで妙に鈍かったな・・・・」 > 最後の一撃をアリエスの実力とするのなら、それまでの動きは妙に鈍いということに、コウは気付いていた。体力温存、と考えても、あまりに不自然なほどに。 >「そうですね・・・・。寝ぼけてたんでしょうか・・・・?」 >「んなわけあるか!あれはなぁ・・・・」 > コウは、ものすごい勢いで突っ込んだ後、アリエスの去っていった方向に目を向けて、呟いた。 >「あれは・・・・深い悩みを抱えてるやつの目だ・・・・。」 久遠;アリエスちゃん。 戦いわね、一瞬の迷いがそのときの全てを決すの。 > > > あとがき、或いは語り部の告げる未来 >語:やあ!久しぶりだね。元気だったかな?短編の方では出たけど、本編では今年初だ。と、言うわけで、随分遅くなったけど、あけましておめでとう。今年もよろしくね! > さて、どうだったかな?今回は、きりがなかなか付かなくて、少し長くなってしまったかもしれないね。しかも、伏線もまあ、多いこと多いこと。 > じゃあ、そろそろ語ろう。未来に続く、かすかな導を。 > 探していた答え。その一端が開かれようとしている。 > 喜びの中にあった彼らの前に現れた者は、道を閉ざすを良しとした。 > 『何か』を知る女性、リアネス。 > その行動の裏に、『時』の真実がある。 > 次回、『時の旅人』35話、『隻腕の女剣士』 > じゃあ、またね! > > ユア:楽しみですね。 久遠:ユアちゃんも頑張らないとね。 ユア;明日の晩投稿予定です。 『家族の写真』&『光への憧憬』。 明後日、チェックしてみてください。 二人;では、次回。 |
17471 | あまり自信なかったんです・・・・(苦笑) | 羅城 朱琉 | 2006/1/18 08:43:42 |
記事番号17470へのコメント > >> では、本当に久しぶりの『時の旅人』です。どうぞ! > >ユア;いえいえ、待ってましたよん。 >久遠:あ、それとね、レンさんが、妻子持ちだろうとシスコンだろうと関係ないわよ。 > だって、永蓮ちゃんも、夫子持ちでシスコン&ブラコンだったのよ。 > いまさら、性別という障害が、在ろうと無かろうと、レンさんフォ―リンラヴvv >ユア;・・・『生か死か』版永蓮です。 > ・・・・・・・レス行きます。 朱琉:待っていていただけて、本当に嬉しいです! 語り部:朱琉・・・・本気で涙拭わないように。でも、まあ、よかったね、見捨てられなくて。 朱琉:・・・・と、言うわけで、久々に語り部さんと共にレス参ります。 > >> >> 闇に漂うアリエスを、白くか細い腕が抱いた。周囲の闇に溶け込む黒く長い髪を漂わせ、世界の何よりも黒い『黒』の瞳を眠るアリエスに向けて。漆黒のドレスを身に纏った、闇の化身の如き女性は、無限に続く『黒』の一点を見つめて、言った。 >>「監督不届きだぞ、``螺旋の’’。」 >> 瞬間、白銀の光が目の端を掠める。 >>『ごめんなさい。こちらもいろいろとあったのです。・・・・助かりました、``夢繰り’’。』 >> 言葉にするなら、そう言った意味合いの意識が流れてきたのを感じ、``夢繰り’’と呼ばれた女性はアリエスを差し出した。純粋な黒から白銀の光の内に移ったアリエスは、しかしそれに気付いた様子もなく安らかに眠っている。 >>「『計画』は順調か?」 >>『まあ、それなりに。』 >> 二人の人ならざるものは、抱いたアリエスを見つめる。 >>「その娘、かなり不安定になっている。・・・・``散華’’が『中枢予定表』を押さえたが、その様子ではあまり時間はないようだな。」 >>『何とか、しますよ。仮にも『王』の名を冠するものとして、自分の領域の事は自分で片をつけるべきでしたが、力及ばず、あなた達の力まで借り受ける次第になってしまったのです。全てを無駄にしないためにも・・・・必ず何とかしますよ。』 >> そう言い残し、``螺旋の’’はアリエスを連れて消える。後に残された``夢繰り’’は、そっと呟いた。 >>「汝の気持ち、わからぬわけではない。・・・・頑張れよ、``螺旋の預言者’’・・・・いや、『輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)』よ・・・・」 >> > >久遠;本格的に胎動し始めたって感じよね。 >ユア:ですね。 > 黒幕さん達?も、なかなか。 朱琉:一応、彼らはアリエスサイドの味方です。 語り部:味方?ちょっと違うよ。彼らは基本的に、誰の味方にもなれない。僕がそうであるように・・・・ね。 朱琉:語り部さん・・・・そろそろ正体がバレそうだからって、まだ本格的にバラしてないんですから・・・・ > >> >> * * * * * >> >> >> 空の色は、薄く霞んだ青。無風の庭園の静寂を切り裂いて、小さな風切音が断続的に聞こえた。 >> 多くの人と出会い別れた、『アリエスにとっての』昨日。いっそ永遠に夜が続けばいいと思うも、やはり朝は訪れる。混沌とした思考を振り払うべく、アリエスは朝から無心に鍛錬をしていた。煌く二本の銀光が踊る。直線と円弧を巧みに織り交ぜた、変幻自在の死の演舞。もちろん、攻撃一辺倒ではない。仮想敵の攻撃を受け、或いはかわし、或いは受け流す。そして、刃一閃。血振りをして刃を収め、一瞬後、鋭い抜き打ちを放つ。その後生まれた一瞬の隙は、逆手に構えたダガーが埋めた。 >> そもそも、こんなにも感情と思考が乱れた原因は、少し前に遡る・・・・ >> > >久遠:う〜ん、アリエスちゃん。 > お姉さんと手合わせしない・・・・・・・・本気で? >ユア;お姉さんじゃなくて、お兄さんでしょ? >久遠;手合わせ云々は、何も、言わないのね。 >ユア;・・・・・・・何をいまさら? 語り部:それは見物かも・・・・。アリエス呼んでみようか? 朱琉:それはやめて・・・・。アリエスは、そこまでバトルマニアじゃないんですから・・・・ 語り部:ここまでやっておいて、よく言うよ。 > >> >> 必死で自分をごまかすアリエスに、ミュシカの最後の呟きは届かなかった。 >> >>「まさか、意識だけとはいえ時空を超えるとは・・・・流石、『フェラナート』。侮れないわ・・・・。」 >> > >ユア;・・・・・・ふむ。 >久遠:ミュシカちゃん、黒〜い。(口元に手を当てるぶりっ子ポ―ズ) 朱琉:黒いって言うより、後ろ暗い、でしょうか? 語り部:それ違うから。・・・・まあ、ミュシカは元から性格黒めだけど、真っ黒じゃないからね・・・・。必要があれば黒くなる、って感じかな? > > > >>「かなりやるな。」 >>「それはどうも、お褒めに預かり、光栄の至りです。」 >> 投げやりに答えるアリエスに対して、短髪の方のほうの声には隠し切れない喜悦が滲んでいた。 >>「一回、手合わせしねえか?」 >> 突然の申し入れに、アリエスは無表情のままあっけにとられた。長髪の方が何ともいえない表情を浮かべるが、慣れているのかそれ以上は何も言わない。 >>「・・・・何か、それで利があると?」 >>「そんなもんは知らねえよ。ただ・・・・」 >> 短髪の少年は、獰猛な笑みを浮かべた。 >>「俺が、あんたと戦ってみてえんだ。」 >> アリエスは、ふと目を伏せた。これは、どうにも一戦交えないとかたが付きそうにない。それに、アリエス自身、終わりのない思考の海から脱出するための手段を求めていたのだ。 > >久遠;・・あら、坊や、私と戦わない? >ユア:坊やで、間違ってないね。 > 数百歳に、九十九神? >久遠;んもう、女の歳を言わないの。 語り部:やっぱり、ここは僕セッティングで三つ巴のバトルを・・・・ 朱琉:だから・・・・なんでそうも皆さんバトルしたがるので? 語り部:一種のロマンだからじゃない? 朱琉:・・・・それは同感ですが。 > >>「・・・・一度だけなら。」 >>(悪いですが、そちらから言い出したことですし・・・・『憂さ晴らし』とやらをさせて頂きますよ。) >>「決まりだな。場所はここでいいだろ?」 >>「問題ありません。」 >>「じゃ、やるか。殺さない程度に本気でな。」 >> アリエスが軽く頷くと、2人は同時に飛びずさり、間合いを確保した。 >>「・・・・っと、言い忘れてたな。俺の名は、コウ=カオス=デスティニー。あっちは、クロス。」 > >ユア;へぇ〜、書く人違うとこんなに性格違うのね。 >久遠:『生か死か』で、ほぼ同一設定のキャラを同じ人からもらってるのよね。 >ユア:カッコイイ〜!! 朱琉:基本的に、ギャグが書けないせいで、どうにも皆シリアスキャラになってしまうのです。 語り部:まあ、それに、朱琉自身好きだからね、立ち居振る舞いがカッコイイ人。褒めていただいて、よかったじゃないか。 > >>「アリエス=オルフェーゼ=ラーナと申します。・・・・では、参ります。」 >> 言い終わった刹那、アリエスは軽やかに地を蹴った。同時に抜き放った銀晶輝を、居合い抜きの要領でコウに叩き込む。しかし、コウも流石のもの、素早く抜き放った漆黒の大剣で軽く受け流すと、そのまま流れるように攻撃に転じた。もちろん、居合い抜きの後に隙が生じることはアリエスも承知している。左手に持ったダガーの柄を大剣の腹に打ち付けて、僅かにその軌道を逸らすことで一撃を回避する。そのまま、生じた反動を利用して回転し、遠心力を乗せた斬撃を放つ。コウもまた、それに合わせるように、大剣の重量を十分に生かした唐竹割りの斬撃を放つ。銀と黒、ショートソードと大剣が打ち合わされ、澄んだ金属音をたてた。この間、僅か2秒である。 >>「思ったとおり、やるな!」 >> 嬉々とした表情でコウが言う。 >>「そちらこそ。」 >> 顔色や表情は平時と変わらぬが、少しではあるが明らかに弾んだ声で、アリエスは答えた。 > >久遠;・・・・・ああん、もうぉ!! > ユアちゃん、私も交ざりたい。 >ユア;ダメ!! 語り部:このあたりは、剣術好きの朱琉弟に感謝、かな? 朱琉:はい。弟所有の種々雑多な本に感謝、です。 > >> その僅かな膠着は、一瞬後には破られた。アリエスが、ほんの少しだけ力を抜き、大剣を滑らせたのだ。更に深くコウの懐に入り込むべく足を踏み出すも、コウは飛びずさり、間合いを広げる。 >> アリエスの得物は、ショートソードとダガー。コウの得物は大剣。この場合、いかにコウの懐深くにアリエスが飛び込めるかが、勝負の分かれ目となる。逆にコウは、いかにアリエスを近づけず、遠目の間合いで戦えるかが鍵となる。油断なく剣を構えたまま、アリエスは思索を巡らせた。 >>(デスティニーさんの大剣・・・・どう見ても、かなりの重さがありそうですね。折角有利な間合いに持ち込んだのですから、恐らく次で決着をつける心積もりでしょう。それを踏まえ、対中距離のために放つ攻撃として、考えられるのは・・・・重量を生かした斬撃か、長さを生かしての刺突。しかし、これまでで、私の身のこなしを考えているはず。・・・・となれば、かわされる公算の高い刺突や、唐竹の斬撃は考えにくいですね。とはいえ、最も有効であろう横薙ぎの斬撃は、剣の重量ゆえ、少々タイムラグがありますね。それゆえ、それを選択する可能性も低い。・・・・となれば、恐らく次に来るのは、重さと速さを兼ね備えた、袈裟懸けの斬撃。あとは、左右の二者択一。) > >ユア;判断力といい、コウといい。 > カッコイイ!! >久遠;戦闘シ−ン苦手だモンね。 >ユア;重いシ−ンをライトに書くのは得意なんだけどね。 朱琉::逆に、そっちのほうが凄いと思います。 語り部:朱琉は、どう考えてもライトなシーンを重く書くのが得意だからね。 朱琉:得意と言うより・・・・悪い癖かと。 語り部:いいんじゃない?個人の特性なんだし。 > >> >> アリエスとコウが戦ったその場所で、コウは大の字になって寝転がっていた。隣にはクロスが座っている。 >>「あー・・・・にしても、あれだけ強いやつと戦ったのは久しぶりだったな。」 >> 戦いの余韻が、未だ残っている。それが消えてしまうのが惜しくて、コウは手を握りしめた。 >>「まあ、でも・・・・あいつ、途中まで妙に鈍かったな・・・・」 >> 最後の一撃をアリエスの実力とするのなら、それまでの動きは妙に鈍いということに、コウは気付いていた。体力温存、と考えても、あまりに不自然なほどに。 >>「そうですね・・・・。寝ぼけてたんでしょうか・・・・?」 >>「んなわけあるか!あれはなぁ・・・・」 >> コウは、ものすごい勢いで突っ込んだ後、アリエスの去っていった方向に目を向けて、呟いた。 >>「あれは・・・・深い悩みを抱えてるやつの目だ・・・・。」 > >久遠;アリエスちゃん。 > 戦いわね、一瞬の迷いがそのときの全てを決すの。 語り部:と、言っても、戦闘中に悩みを引きずってるなんて、そんな自覚はアリエスにも無かったんだけどね。自覚なしでも鈍くなるのだから、明らかに動揺したまま戦ったら・・・・ 朱琉:・・・・という場面が、そのうち出てくるのです。 > >> >> >> あとがき、或いは語り部の告げる未来 >>語:やあ!久しぶりだね。元気だったかな?短編の方では出たけど、本編では今年初だ。と、言うわけで、随分遅くなったけど、あけましておめでとう。今年もよろしくね! >> さて、どうだったかな?今回は、きりがなかなか付かなくて、少し長くなってしまったかもしれないね。しかも、伏線もまあ、多いこと多いこと。 >> じゃあ、そろそろ語ろう。未来に続く、かすかな導を。 >> 探していた答え。その一端が開かれようとしている。 >> 喜びの中にあった彼らの前に現れた者は、道を閉ざすを良しとした。 >> 『何か』を知る女性、リアネス。 >> その行動の裏に、『時』の真実がある。 >> 次回、『時の旅人』35話、『隻腕の女剣士』 >> じゃあ、またね! >> >> > >ユア:楽しみですね。 >久遠:ユアちゃんも頑張らないとね。 >ユア;明日の晩投稿予定です。 > 『家族の写真』&『光への憧憬』。 > 明後日、チェックしてみてください。 >二人;では、次回。 朱琉:はい!楽しみにしていますね。 語り部:じゃあ、今回はこの辺で。 二人:では、また! > > |
17474 | Re:時の旅人 34:錆びた剣と彷徨う心 | 神高 紅 | 2006/1/19 00:08:12 |
記事番号17469へのコメント 紅:どーもー。一応今年度初ということであけましておめでとうございます。紅です。 久々の時の旅人楽しく拝見させていただきました。ではでは早速感想をば。 > 空の色は、薄く霞んだ青。無風の庭園の静寂を切り裂いて、小さな風切音が断続的に聞こえた。 > 多くの人と出会い別れた、『アリエスにとっての』昨日。いっそ永遠に夜が続けばいいと思うも、やはり朝は訪れる。混沌とした思考を振り払うべく、アリエスは朝から無心に鍛錬をしていた。煌く二本の銀光が踊る。直線と円弧を巧みに織り交ぜた、変幻自在の死の演舞。もちろん、攻撃一辺倒ではない。仮想敵の攻撃を受け、或いはかわし、或いは受け流す。そして、刃一閃。血振りをして刃を収め、一瞬後、鋭い抜き打ちを放つ。その後生まれた一瞬の隙は、逆手に構えたダガーが埋めた。 コ:まったくもって見事だな。俺も剣を振ってるときは余計な考えなんざ吹っ飛んじまう。 ク:経験とは積み重ね・・そこまで至るのには数えるのも馬鹿らしいくらいの・・鍛錬を繰り返したのでしょう・・ >「別に、何ともありません。・・・・多分、慣れない環境で疲れていたんだと思います。ですから、心配ありません。」 > 言いつつ、アリエスはミュシカの手を押しのけて身を起こした。ミュシカは、口をへの字に曲げたが、アリエスはさっさと身支度を整えてしまう。 >「あのねぇ・・・・。せめて今日1日、安静にしていたら?」 > ミュシカが、呆れ半分、心配半分で言うも、アリエスは気にしない。そして、足早に部屋を去る。 >(動揺してはいけない・・・・私は、まだ大丈夫。眠っていただけ、ただ、それだけ・・・・) 紅:疲れていた、というのもまちがいではないのでしょうけどね。 ク:おせっかいですが・・たまには・・弱さを見せてもいいんじゃないでしょうか・・? >「かなりやるな。」 >「それはどうも、お褒めに預かり、光栄の至りです。」 > 投げやりに答えるアリエスに対して、短髪の方のほうの声には隠し切れない喜悦が滲んでいた。 >「一回、手合わせしねえか?」 > 突然の申し入れに、アリエスは無表情のままあっけにとられた。長髪の方が何ともいえない表情を浮かべるが、慣れているのかそれ以上は何も言わない。>「・・・・何か、それで利があると?」 >「そんなもんは知らねえよ。ただ・・・・」 > 短髪の少年は、獰猛な笑みを浮かべた。 >「俺が、あんたと戦ってみてえんだ。」 > アリエスは、ふと目を伏せた。これは、どうにも一戦交えないとかたが付きそうにない。それに、アリエス自身、終わりのない思考の海から脱出するための手段を求めていたのだ。 紅:まあそれでこそのコウなんですけどね。特長捉えてます。 ク:コウは生粋のバトルマニア・・ですから・・ > 言い終わった刹那、アリエスは軽やかに地を蹴った。同時に抜き放った銀晶輝を、居合い抜きの要領でコウに叩き込む。しかし、コウも流石のもの、素早く抜き放った漆黒の大剣で軽く受け流すと、そのまま流れるように攻撃に転じた。もちろん、居合い抜きの後に隙が生じることはアリエスも承知している。左手に持ったダガーの柄を大剣の腹に打ち付けて、僅かにその軌道を逸らすことで一撃を回避する。そのまま、生じた反動を利用して回転し、遠心力を乗せた斬撃を放つ。コウもまた、それに合わせるように、大剣の重量を十分に生かした唐竹割りの斬撃を放つ。銀と黒、ショートソードと大剣が打ち合わされ、澄んだ金属音をたてた。この間、僅か2秒である。 >「思ったとおり、やるな!」 > 嬉々とした表情でコウが言う。 >「そちらこそ。」 > 顔色や表情は平時と変わらぬが、少しではあるが明らかに弾んだ声で、アリエスは答えた。 > その僅かな膠着は、一瞬後には破られた。アリエスが、ほんの少しだけ力を抜き、大剣を滑らせたのだ。更に深くコウの懐に入り込むべく足を踏み出すも、コウは飛びずさり、間合いを広げる。 > アリエスの得物は、ショートソードとダガー。コウの得物は大剣。この場合、いかにコウの懐深くにアリエスが飛び込めるかが、勝負の分かれ目となる。逆にコウは、いかにアリエスを近づけず、遠目の間合いで戦えるかが鍵となる。油断なく剣を構えたまま、アリエスは思索を巡らせた。 >(デスティニーさんの大剣・・・・どう見ても、かなりの重さがありそうですね。折角有利な間合いに持ち込んだのですから、恐らく次で決着をつける心積もりでしょう。それを踏まえ、対中距離のために放つ攻撃として、考えられるのは・・・・重量を生かした斬撃か、長さを生かしての刺突。しかし、これまでで、私の身のこなしを考えているはず。・・・・となれば、かわされる公算の高い刺突や、唐竹の斬撃は考えにくいですね。とはいえ、最も有効であろう横薙ぎの斬撃は、剣の重量ゆえ、少々タイムラグがありますね。それゆえ、それを選択する可能性も低い。・・・・となれば、恐らく次に来るのは、重さと速さを兼ね備えた、袈裟懸けの斬撃。あとは、左右の二者択一。) > そこまで考えると、アリエスは動いた。二刀を逆手に構えなおすと、アリエスの最大の武器ともいえるスピードを最大限に活かし、コウに突っ込んでゆく。普段の舞うような動きとはかけ離れた、放たれた矢のような突進。コウの斬撃が来る。予想通り、逆袈裟の斬撃。それをアリエスは、体裁きのみでかわしきった。しかし、まだアリエスの刃はコウに届かない。しかし、アリエスは迷わなかった。右手を軽く掲げる。逆に、左手は僅かに下に下ろす。狙うは胴体ではない。剣を握る手の、手首。 >「ふッ!」 > 鋭い呼気と共に、右手を打ち下ろし、左手を切り上げる。それは、かみ合わされる獣の牙にも似た一撃。 > ・・・・と、銀に輝く双牙は、コウの手首に食い込む寸前で止められた。 >「はい、右手首切断・・・・とまではいかなくても、流石にもう剣は握れませんよ。」 > しばしの沈黙。その後に、コウが降参、とばかりに左手を挙げた。 紅:戦闘描写が素晴らしいですね。 ク:アリエスさん・・お見事です・・ コ:ここにいる俺は俺じゃねえがやっぱくやしいな。 >「あ゛ーっ!負けたッ!!」 > 悔しそうに叫ぶと、少々うなだれた雰囲気ながらも、アリエスに向き直って言った。 >「強いな、あんた・・・・アリエスだったか?」 >「はい。」 >「覚えとく。でもって、次は負けねえ。」 > アリエスは、仄かに微笑んだ。 >「次の機会があれば。」 > そして、2人に軽く頭を下げて、部屋に向かって歩き出す。 > 少しだけ、霧が晴れた気がした。 ク:案外に・・体を動かしていれば・・気分は晴れてしまうものです・・ コ:一時凌ぎでもな。今のアリエスにとっちゃあ必要なことだ。 > アリエスとコウが戦ったその場所で、コウは大の字になって寝転がっていた。隣にはクロスが座っている。 >「あー・・・・にしても、あれだけ強いやつと戦ったのは久しぶりだったな。」 > 戦いの余韻が、未だ残っている。それが消えてしまうのが惜しくて、コウは手を握りしめた。 > あとがき、或いは語り部の告げる未来 >語:やあ!久しぶりだね。元気だったかな?短編の方では出たけど、本編では今年初だ。と、言うわけで、随分遅くなったけど、あけましておめでとう。今年もよろしくね! > さて、どうだったかな?今回は、きりがなかなか付かなくて、少し長くなってしまったかもしれないね。しかも、伏線もまあ、多いこと多いこと。 > じゃあ、そろそろ語ろう。未来に続く、かすかな導を。 > 探していた答え。その一端が開かれようとしている。 > 喜びの中にあった彼らの前に現れた者は、道を閉ざすを良しとした。 > 『何か』を知る女性、リアネス。 > その行動の裏に、『時』の真実がある。 > 次回、『時の旅人』35話、『隻腕の女剣士』 > じゃあ、またね! 紅:ではではー。また次回以降のレスでお会いしましょう。さよーなら。 コ:じゃあまたな。 ク:さよなら・・ |
17475 | 達人バトルの難しさ・・・・ | 羅城 朱琉 | 2006/1/19 09:57:07 |
記事番号17474へのコメント >紅:どーもー。一応今年度初ということであけましておめでとうございます。紅です。 >久々の時の旅人楽しく拝見させていただきました。ではでは早速感想をば。 朱琉:こんにちは、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いしますね。 カタリ:本当に久々だよ。また会えて嬉しいなv 朱琉:では、早速ですが、返レスをば。 >> 空の色は、薄く霞んだ青。無風の庭園の静寂を切り裂いて、小さな風切音が断続的に聞こえた。 >> 多くの人と出会い別れた、『アリエスにとっての』昨日。いっそ永遠に夜が続けばいいと思うも、やはり朝は訪れる。混沌とした思考を振り払うべく、アリエスは朝から無心に鍛錬をしていた。煌く二本の銀光が踊る。直線と円弧を巧みに織り交ぜた、変幻自在の死の演舞。もちろん、攻撃一辺倒ではない。仮想敵の攻撃を受け、或いはかわし、或いは受け流す。そして、刃一閃。血振りをして刃を収め、一瞬後、鋭い抜き打ちを放つ。その後生まれた一瞬の隙は、逆手に構えたダガーが埋めた。 >コ:まったくもって見事だな。俺も剣を振ってるときは余計な考えなんざ吹っ飛んじまう。 >ク:経験とは積み重ね・・そこまで至るのには数えるのも馬鹿らしいくらいの・・鍛錬を繰り返したのでしょう・・ カタリ:そうだね。延べ200年近くの鍛錬と経験の結果だ。 朱琉:ほとんど体に染み付いているような感じですね。 >>「別に、何ともありません。・・・・多分、慣れない環境で疲れていたんだと思います。ですから、心配ありません。」 >> 言いつつ、アリエスはミュシカの手を押しのけて身を起こした。ミュシカは、口をへの字に曲げたが、アリエスはさっさと身支度を整えてしまう。 >>「あのねぇ・・・・。せめて今日1日、安静にしていたら?」 >> ミュシカが、呆れ半分、心配半分で言うも、アリエスは気にしない。そして、足早に部屋を去る。 >>(動揺してはいけない・・・・私は、まだ大丈夫。眠っていただけ、ただ、それだけ・・・・) >紅:疲れていた、というのもまちがいではないのでしょうけどね。 >ク:おせっかいですが・・たまには・・弱さを見せてもいいんじゃないでしょうか・・? 朱琉:疲れて・・・・いるでしょうね、やっぱり。人と関わりすぎて精神疲労が凄いかと。 カタリ:でも、精神だけ時空を超えているのも、本当。ほら、何?表現的にかなり誤解を招くの覚悟で言うならば、一種の幽体離脱? 朱琉:そんなものかと。 カタリ:まあ、何にしろ・・・・そこまでなる前に、弱さを見せられればいいんだけどねぇ・・・・。アリエス、意固地だから。 朱琉:そういう問題・・・・? >>「かなりやるな。」 >>「それはどうも、お褒めに預かり、光栄の至りです。」 >> 投げやりに答えるアリエスに対して、短髪の方のほうの声には隠し切れない喜悦が滲んでいた。 >>「一回、手合わせしねえか?」 >> 突然の申し入れに、アリエスは無表情のままあっけにとられた。長髪の方が何ともいえない表情を浮かべるが、慣れているのかそれ以上は何も言わない。>「・・・・何か、それで利があると?」 >>「そんなもんは知らねえよ。ただ・・・・」 >> 短髪の少年は、獰猛な笑みを浮かべた。 >>「俺が、あんたと戦ってみてえんだ。」 >> アリエスは、ふと目を伏せた。これは、どうにも一戦交えないとかたが付きそうにない。それに、アリエス自身、終わりのない思考の海から脱出するための手段を求めていたのだ。 >紅:まあそれでこそのコウなんですけどね。特長捉えてます。 >ク:コウは生粋のバトルマニア・・ですから・・ 朱琉:何とかイメージに添えたみたいで・・・・よかったです。 >> 言い終わった刹那、アリエスは軽やかに地を蹴った。同時に抜き放った銀晶輝を、居合い抜きの要領でコウに叩き込む。しかし、コウも流石のもの、素早く抜き放った漆黒の大剣で軽く受け流すと、そのまま流れるように攻撃に転じた。もちろん、居合い抜きの後に隙が生じることはアリエスも承知している。左手に持ったダガーの柄を大剣の腹に打ち付けて、僅かにその軌道を逸らすことで一撃を回避する。そのまま、生じた反動を利用して回転し、遠心力を乗せた斬撃を放つ。コウもまた、それに合わせるように、大剣の重量を十分に生かした唐竹割りの斬撃を放つ。銀と黒、ショートソードと大剣が打ち合わされ、澄んだ金属音をたてた。この間、僅か2秒である。 >>「思ったとおり、やるな!」 >> 嬉々とした表情でコウが言う。 >>「そちらこそ。」 >> 顔色や表情は平時と変わらぬが、少しではあるが明らかに弾んだ声で、アリエスは答えた。 >> その僅かな膠着は、一瞬後には破られた。アリエスが、ほんの少しだけ力を抜き、大剣を滑らせたのだ。更に深くコウの懐に入り込むべく足を踏み出すも、コウは飛びずさり、間合いを広げる。 >> アリエスの得物は、ショートソードとダガー。コウの得物は大剣。この場合、いかにコウの懐深くにアリエスが飛び込めるかが、勝負の分かれ目となる。逆にコウは、いかにアリエスを近づけず、遠目の間合いで戦えるかが鍵となる。油断なく剣を構えたまま、アリエスは思索を巡らせた。 >>(デスティニーさんの大剣・・・・どう見ても、かなりの重さがありそうですね。折角有利な間合いに持ち込んだのですから、恐らく次で決着をつける心積もりでしょう。それを踏まえ、対中距離のために放つ攻撃として、考えられるのは・・・・重量を生かした斬撃か、長さを生かしての刺突。しかし、これまでで、私の身のこなしを考えているはず。・・・・となれば、かわされる公算の高い刺突や、唐竹の斬撃は考えにくいですね。とはいえ、最も有効であろう横薙ぎの斬撃は、剣の重量ゆえ、少々タイムラグがありますね。それゆえ、それを選択する可能性も低い。・・・・となれば、恐らく次に来るのは、重さと速さを兼ね備えた、袈裟懸けの斬撃。あとは、左右の二者択一。) >> そこまで考えると、アリエスは動いた。二刀を逆手に構えなおすと、アリエスの最大の武器ともいえるスピードを最大限に活かし、コウに突っ込んでゆく。普段の舞うような動きとはかけ離れた、放たれた矢のような突進。コウの斬撃が来る。予想通り、逆袈裟の斬撃。それをアリエスは、体裁きのみでかわしきった。しかし、まだアリエスの刃はコウに届かない。しかし、アリエスは迷わなかった。右手を軽く掲げる。逆に、左手は僅かに下に下ろす。狙うは胴体ではない。剣を握る手の、手首。 >>「ふッ!」 >> 鋭い呼気と共に、右手を打ち下ろし、左手を切り上げる。それは、かみ合わされる獣の牙にも似た一撃。 >> ・・・・と、銀に輝く双牙は、コウの手首に食い込む寸前で止められた。 >>「はい、右手首切断・・・・とまではいかなくても、流石にもう剣は握れませんよ。」 >> しばしの沈黙。その後に、コウが降参、とばかりに左手を挙げた。 >紅:戦闘描写が素晴らしいですね。 >ク:アリエスさん・・お見事です・・ >コ:ここにいる俺は俺じゃねえがやっぱくやしいな。 カタリ:おや?意外と褒めてもらえてるね。 朱琉:そういっていただけると大変嬉しいです。このシーン書くのに、約2週間かかったので。・・・・本当は、あまり得意じゃないんです、バトルシーン。 カタリ:コウ、強いしね。達人同士の戦いは、ひたすら気を使うそうだ。 >>「あ゛ーっ!負けたッ!!」 >> 悔しそうに叫ぶと、少々うなだれた雰囲気ながらも、アリエスに向き直って言った。 >>「強いな、あんた・・・・アリエスだったか?」 >>「はい。」 >>「覚えとく。でもって、次は負けねえ。」 >> アリエスは、仄かに微笑んだ。 >>「次の機会があれば。」 >> そして、2人に軽く頭を下げて、部屋に向かって歩き出す。 >> 少しだけ、霧が晴れた気がした。 >ク:案外に・・体を動かしていれば・・気分は晴れてしまうものです・・ >コ:一時凌ぎでもな。今のアリエスにとっちゃあ必要なことだ。 カタリ:本編では書けないと思うからこの場で言うけど、アリエスはコウに感謝してたよ。本人、直接は言わないけど。 >> アリエスとコウが戦ったその場所で、コウは大の字になって寝転がっていた。隣にはクロスが座っている。 >>「あー・・・・にしても、あれだけ強いやつと戦ったのは久しぶりだったな。」 >> 戦いの余韻が、未だ残っている。それが消えてしまうのが惜しくて、コウは手を握りしめた。 >> あとがき、或いは語り部の告げる未来 >>語:やあ!久しぶりだね。元気だったかな?短編の方では出たけど、本編では今年初だ。と、言うわけで、随分遅くなったけど、あけましておめでとう。今年もよろしくね! >> さて、どうだったかな?今回は、きりがなかなか付かなくて、少し長くなってしまったかもしれないね。しかも、伏線もまあ、多いこと多いこと。 >> じゃあ、そろそろ語ろう。未来に続く、かすかな導を。 >> 探していた答え。その一端が開かれようとしている。 >> 喜びの中にあった彼らの前に現れた者は、道を閉ざすを良しとした。 >> 『何か』を知る女性、リアネス。 >> その行動の裏に、『時』の真実がある。 >> 次回、『時の旅人』35話、『隻腕の女剣士』 >> じゃあ、またね! >紅:ではではー。また次回以降のレスでお会いしましょう。さよーなら。 >コ:じゃあまたな。 >ク:さよなら・・ 朱琉:はい、では、また今度。 二人:またね! |
17499 | 時の旅人 35:隻腕の女剣士 | 羅城 朱琉 | 2006/2/10 11:04:44 |
記事番号17469へのコメント こんにちは、羅城 朱琉です。 長らくお待たせいたしました!『時の旅人』35話です。 今回は、別名『暴露編』とでもいいましょうか?いろいろと謎が明かされます。そして、久々に語り部さん登場です。 では、早速どうぞ! 時の旅人 35:隻腕の女剣士 ルピナス達が書庫探索に集中しているその時、不毛の大地と森の境目付近、本来、人が入って来れぬはずのレティス・シティに、一人の女性がやすやすと踏み込んだ。 「ここは、変わらないねェ・・・・。」 短い茶髪に金茶の瞳。黒を基調とした男物の旅装束がしっくりと似合う、美人と言うよりハンサムと言うほうがしっくりくる彼女は、中身のない左袖を風になびかせながら立っていた。 「お久しゅう、リブラ。墓参りに来たよ。」 独り言を言うように、しかしそこに、限りない優しさをこめて囁いた言葉。誰にともなく言ったそれに、予期せず返答があった。 「君がここに来るとは・・・・予想外だったよ。喜ぶべきか、悲しむべきか・・・・どっちだと思う?リアネス。」 「おや?ルシル。・・・・それとも、本名で呼ぼうか?」 リアネスと呼ばれた女性は、冗談めかしてそういった。本来『人』は入れぬ場所に、やはり易々と侵入した白の吟遊詩人・・・・語り部に向かって。 「何でもいいよ。今は『放浪の語り部』を名乗っているけど、『ルシル=グラディウス』でも・・・・君なら『レイノリス』と呼んでくれてもかまわない。」 普段よりも重々しい口調で語り部が言う。刹那、僅かに大地が鳴動した。リアネスは肩をすくめる。 「冗談だって。・・・・呼ばないよ。ルシルの本名は危なすぎるから。こんな『時』の乱れた場所で呼んだら、ねえ?火薬庫で火炎球(ファイアー・ボール)撃つようなものじゃない。今までどおり、『ルシル』と呼ばせてもらうよ。」 語り部は、それを聞いてふと笑った。 「それは寂しいな。誰にも呼んでもらえないんじゃ、僕の本名に意味があるのかわからない。・・・・それで、何で来たんだい?」 ほんの少し、語り部の眼差しが険を孕んだ。それを軽く受け流し、リアネスは言う。 「ただ単に、親友の墓参りに来ただけよ。後は・・・・あわよくば、かわいい末裔に『これ』を渡そうかと。」 そう言って、リアネスは腰に挿した2本の剣のうち短い方・・・・どこまでも黒い拵えの、長めのショートソードを示した。表面に施された、植物をモチーフとした装飾といい、アリエスの『銀晶輝』、『天雷閃』とよく似ている。 「花菖蒲の小太刀・・・・『黒天晶(こくてんしょう)』か。懐かしいね・・・・ずっと君が持っていたんだ。」 リアネスは笑って頷く。 「安全でしょう?私は死なないし、腕も立つつもりだしね。」 爽やかに笑いながら言うリアネスに、語り部は少々呆れた顔をした。 「『つもり』?少なくとも『人間』で君より腕の立つ人は見たことがないよ。」 「まあ、年季入ってるしね。1000年も続ければ、誰でもこうなるよ。」 お互いに、長い年月を生きたことを前提とする会話を、二人は当たり前のように続けていく。 「ああ、そういえば・・・・久しぶりに会ったのに挨拶もしてなかったね。元気・・・・じゃあなさそうだけど、とにかく存在してて何よりだよ。降魔戦争以来だね、ルシル。」 「君も、元気そうで何より。1000年振りの再会を嬉しく思うよ。リアネス=セイム=セレスティナ=サーヴァリル・・・・『四大家』が一つ、『護り』のサーヴァリル家の始祖殿。」 お互いに笑みすら浮かべつつ、二人は改めて、固く握手を交した。 どれだけの間、そうしてそこにいただろうか?唐突に、何かを思い出したとばかりにリアネスは言った。 「ところで・・・・あの『書庫』の奥に、アリエスお嬢に宛てたメッセージあること、知ってたよね?」 「もちろん。」 「でもさぁ・・・・あれ今見ようとしてるの、あたしの末裔。」 「そうだね。」 リアネスの目が細められる。ジト目で見られている語り部は、一向にそれを気にする様子はなく、むしろ心地よさそうにその視線を受け止めた。 「わかっててやってるわけ?あれにはいろいろと世界の裏側的真実が入ってるはずなんだけど・・・・。」 「そうだね。」 「でもって、あたしの末裔は、現在記憶喪失と聞き及んでいるんだけど・・・・。」 「そうだね。」 リアネスの視線が、更に凶悪さを増した。しかし、やはり語り部はかまわない。 「・・・・・・・・つまりは、本人さん、自分の名前も血筋もその力も、アリエスお嬢が何者かもわかってないのよね?」 「まあね。一応、アリエスが『何』なのかは、表面的な部分だけは説明したけど。」 もはや、リアネスの視線は不機嫌を通り越して絶対零度の輝きを放っており、それでも語り部は相変わらず飄々としている。 ついに、リアネスは動いた。 「止めるから。」 「好きにするといい。別に、君を止める気はないよ。」 語り部の言葉を聞ききることなく、リアネスは身を翻す。リブラの書庫の奥深く、彼女の思いの眠る間へ。 * * * * * 『『四大家』の存在意義において、『フェラナート家』最後の一人となるでしょう、アリエス=オルフェーゼ=ヴィータ=フェラナートに、長たるリブラ=セイディーン=ファトゥス=フェラナートが告げましょう。』 リブラの声が朗々と響き渡る。自然、皆は居住まいを正した。 『そもそも、始まりは1000年前の降魔戦争の時。最初は、本当に不可抗力で『あれ』を抱え込んでしまったのよ。『あれ』が何かは、わかっているわよね?アリエスに渡した、あの・・・・』 「はい、そこまで。・・・・再封印(アフレス・シール)」 知らない声が、冷たい石造りの空間に響いた。同時に、リブラの姿も掻き消える。ルピナスは慌てて振り返り・・・・その女性を見た。 「誰だ!?何をした!!?」 「あたしはリアネス=セイム=セレス・・・・でよかったのかな?そのピアスを封印して、映像止めただけだけど。」 「何のつもりよ。」 誰何したのは、リナ。彼女もまた、リアネスが入ってきたのに気付かなかったようだ。それどころか、ゼルも、アメリアも・・・・並外れた感知能力を持つガウリイでさえ、リアネスを不可思議なものを見るように眺めている。それは、まるでそこにいるのが当たり前のようにすら思えるほど自然で、だからこそあまりにも不自然だった。そう・・・・知覚と知覚の間に滑り込むかのように、リアネスは『気付いたらそこにいた』のだ。 「何のつもり、って・・・・君たちのほうが『何のつもり』だよ。それは、アリエスお嬢が見るべきものであって、君たちに宛てたものではない。他人へのメッセージを盗み見するのはいただけないよ。」 正論だ。押し黙った皆に対して、リアネスは微笑む。 「まあ、今後は気をつけようね。・・・・で、そこの少年・・・・今の名前は、ルピナス、だっけ?」 突然呼ばれたルピナスは、弾かれたように顔を上げた。リアネスが指をぱちりと鳴らしたのがわかる。と、瞬間、景色が一転した。・・・・いや、景色自体が変わったわけではない。ただそこから、リナ達4人の姿が消えたのだ。 「っなっ・・・・!」 「大丈夫。地上に送っただけ。・・・・少しだけ、君と話がしたかったんだよ。」 ルピナスは、わけがわからないといった顔をする。ゆっくりと近づいてくるリアネスに警戒して腰の剣に手をやろうとしたが・・・・出来なかった。なぜだろうか?柔らかく微笑むリアネスの顔に恐怖や敵意以外の感情を覚えてしまったから。・・・・懐かしい、といった感情を。 リアネスは、ルピナスの前1mくらいの位置で立ち止まり、優しい声で言った。 「何があっても、後悔だけはしないように。とりあえず我武者羅に突っ走ってみるのも、一つの手だよ。」 「は、はぁ・・・・」 いきなり言われたため、頭のほうがいまひとつついていかず、気の抜けたような返答をしてしまう。それでも、リアネスは妙に嬉しそうに笑み崩れた。 「うん、素直でよろしい。そんな君に、いいものをあげよう。・・・・受け取りなさい。君の、遠いご先祖からの贈り物だよ。アリエスお嬢の『天雷閃』、『銀晶輝』の兄弟刀、『黒天晶』だ。」 「え・・・・?」 リアネスは、『黒天晶』の鞘を握り、ルピナスの前に差し出す。ルピナスは、ゆっくりと手を伸ばし、掴んだ・・・・・・・・『黒天晶』を握るリアネスの手を。 「はい?」 予想外の自体にきょとんとするリアネスを引き寄せ、ルピナスは語気荒く問う。 「僕のこと、何か知ってのか!?」 リアネスは、困ったような顔をするだけで、肯定も否定もしない。しかし、ルピナスはその沈黙を肯定と取った。 「教えてくれ!僕は一体『何』なんだ!?『セレス』って何なんだ?あなたの姓も『セレス』だって言ってたよな!?あなたは僕の血縁者とか・・・・!!?」 そのままにしておけばいつまでも質問を続けそうであったルピナスは、リアネスを捕えている手に感じたひんやりとした感触で、一瞬我に返る。 それは、『黒天晶』の鞘。既に手の内にリアネスの手はなく、当のリアネスは片手で器用にルピナスの手に『黒天晶』を収めていた。 ルピナスは、ふと顔を上げる。そこにあったのは、自分よりほんの少しだけ低い位置にある、リアネスの双眸。それは、なぜか妙に悲しそうで、そのくせ、それを懸命に押し殺そうとしていて・・・・そう、それは、アリエスの眼差しに似ている。そう思った瞬間、ルピナスは思わずリアネスを抱きしめていた。 リアネスは、驚いたようだった。その震えがルピナスに伝わり、ルピナスは自分のしたことが恥ずかしくなる。すぐさま離れようとしたが・・・・それより前に、リアネスの手がルピナスの背に回された。まるで、小さな子供をなだめるように、リアネスの手がゆっくりとルピナスの背を撫でていく。そのまま、リアネスは静かに囁いた。 「君の・・・・君たちの事は・・・・そうだね、よく知っているよ。でもね、記憶は、自分で取り返さないといけないんだよ。あたしが話しても、それは今の君の『知識』にしかならない。それは、『記憶』とは似て異なるものだ。だから・・・・・・・・・・・・・・・・ごめんね。本当に、ごめんね。力になってあげられなくて・・・・・・・・」 唐突に、抱きしめたリアネスの感触が頼りないものになる。見れば、周囲に淡い光が湧き出して、リアネスを溶け込ませているのだ。 「絶対に、後悔しないようにね。・・・・『あたしたち』と同じ過ちを、繰り返さないで・・・・。・・・・・・・・瞬間移動(テレポート)」 囁くように唱えられた『力ある言葉』と共に、リアネスは消える。ルピナスは、無意識に手を伸ばして叫んだ。 「母さん・・・・ッ!」 頭が割れるように痛む。視界が白く霞む。その奥、本当に微かに、ルピナスはそれを『見た』。 優しく微笑む女性。三つ編みに編んだ長い髪がたなびく。自分と同じ色をした髪だ。金茶の瞳が、慈愛を湛えてこちらを向く。そして、唇が動いた。 『・・・・・・・・』 ああ、あなたは・・・・あなたは、何を伝えようとしたのですか? ・・・・・・・・・・・・・・・・母さん。 あとがき、或いは語り部の告げる未来 語:やあ!久しぶりだね。元気だったかな?本当に久々の更新となった、そして、僕が久々に登場した『時の旅人』、どうだったかな? さて、今回でもうほとんど、ルピナスが何者なのか言ってしまったようなものだね。恐らく、考えてる通りで正解だと思うよ。そして、微妙に記憶を取り戻したルピナス・・・・。最初に思い出したのが母親のことだからって、別にマザコンってわけではないからね(苦笑)まあ・・・・リアネスに『母』を見たんだろう。 ああ、それと後は、僕の名前かな?『レイノリス』は本名だよ。これがファーストネーム。フルネームは・・・・カタカナにして32文字?我ながら長すぎだよ、まったく・・・・ まあ、そんなことはさておいて、次回の欠片を語ろうか。 友は語る。自らの理想を。友は告げる。自らの正体を。 それはしかし、乙女に知らず絶望をもたらす。 無知は罪ではない。しかし、無知は時として凶器となる。 知らず心を貫くのだ。友のためと信じて・・・・ 次回、『時の旅人』36話、『深淵とU星の間に』 じゃあ、またね! |
17500 | 格好いいお姉様・・・・・・(ぼんやりしつつ) | 十叶 夕海 | 2006/2/13 23:32:54 |
記事番号17499へのコメント > こんにちは、羅城 朱琉です。 > 長らくお待たせいたしました!『時の旅人』35話です。 > 今回は、別名『暴露編』とでもいいましょうか?いろいろと謎が明かされます。そして、久々に語り部さん登場です。 > では、早速どうぞ! ユア;はい、ユアです。 レス行きます。 久遠;妙に元気ね。 ユア;いちいち突っ込まない。 > > >「君がここに来るとは・・・・予想外だったよ。喜ぶべきか、悲しむべきか・・・・どっちだと思う?リアネス。」 >「おや?ルシル。・・・・それとも、本名で呼ぼうか?」 > リアネスと呼ばれた女性は、冗談めかしてそういった。本来『人』は入れぬ場所に、やはり易々と侵入した白の吟遊詩人・・・・語り部に向かって。 >「何でもいいよ。今は『放浪の語り部』を名乗っているけど、『ルシル=グラディウス』でも・・・・君なら『レイノリス』と呼んでくれてもかまわない。」 > 普段よりも重々しい口調で語り部が言う。刹那、僅かに大地が鳴動した。リアネスは肩をすくめる。 >「冗談だって。・・・・呼ばないよ。ルシルの本名は危なすぎるから。こんな『時』の乱れた場所で呼んだら、ねえ?火薬庫で火炎球(ファイアー・ボール)撃つようなものじゃない。今までどおり、『ルシル』と呼ばせてもらうよ。」 ユア:語り部さん結構人外魔境? 久遠;でも、本名を呼ぶと危ないっていうことを聞くと、言霊系を思い出すわね。 ユア;真名を呼ばれるとその人の言いなり・・・・だったけ? でも、名前を呼ばれる事すら危ないとは・・・・・・。 >「ただ単に、親友の墓参りに来ただけよ。後は・・・・あわよくば、かわいい末裔に『これ』を渡そうかと。」 > そう言って、リアネスは腰に挿した2本の剣のうち短い方・・・・どこまでも黒い拵えの、長めのショートソードを示した。表面に施された、植物をモチーフとした装飾といい、アリエスの『銀晶輝』、『天雷閃』とよく似ている。 >「花菖蒲の小太刀・・・・『黒天晶(こくてんしょう)』か。懐かしいね・・・・ずっと君が持っていたんだ。」 > リアネスは笑って頷く。 >「安全でしょう?私は死なないし、腕も立つつもりだしね。」 > 爽やかに笑いながら言うリアネスに、語り部は少々呆れた顔をした。 >「『つもり』?少なくとも『人間』で君より腕の立つ人は見たことがないよ。」 >「まあ、年季入ってるしね。1000年も続ければ、誰でもこうなるよ。」 > お互いに、長い年月を生きたことを前提とする会話を、二人は当たり前のように続けていく。 >「ああ、そういえば・・・・久しぶりに会ったのに挨拶もしてなかったね。元気・・・・じゃあなさそうだけど、とにかく存在してて何よりだよ。降魔戦争以来だね、ルシル。」 >「君も、元気そうで何より。1000年振りの再会を嬉しく思うよ。リアネス=セイム=セレスティナ=サーヴァリル・・・・『四大家』が一つ、『護り』のサーヴァリル家の始祖殿。」 > お互いに笑みすら浮かべつつ、二人は改めて、固く握手を交した。 ユア;ふわぁ・・・。 久遠;意訳;格好いいお姉さんだ。 ユア;きゃぁ・・・・ 久遠;意訳;好きになりそう。 日本語で話そうね。 > > 誰何したのは、リナ。彼女もまた、リアネスが入ってきたのに気付かなかったようだ。それどころか、ゼルも、アメリアも・・・・並外れた感知能力を持つガウリイでさえ、リアネスを不可思議なものを見るように眺めている。それは、まるでそこにいるのが当たり前のようにすら思えるほど自然で、だからこそあまりにも不自然だった。そう・・・・知覚と知覚の間に滑り込むかのように、リアネスは『気付いたらそこにいた』のだ。 ユア;動物並に野性的な完を持つガウリィが!!? 久遠;あら、強そうねぇ。 そこまで、完璧に気配隠せるとなると。 >「大丈夫。地上に送っただけ。・・・・少しだけ、君と話がしたかったんだよ。」 > ルピナスは、わけがわからないといった顔をする。ゆっくりと近づいてくるリアネスに警戒して腰の剣に手をやろうとしたが・・・・出来なかった。なぜだろうか?柔らかく微笑むリアネスの顔に恐怖や敵意以外の感情を覚えてしまったから。・・・・懐かしい、といった感情を。 ユア;記憶がなくとも、『血』の記憶が残るって奴ですか・・・。 久遠;でも、分からないと戸惑っちゃうわよね。 。 >「僕のこと、何か知ってのか!?」 > リアネスは、困ったような顔をするだけで、肯定も否定もしない。しかし、ルピナスはその沈黙を肯定と取った。 >「教えてくれ!僕は一体『何』なんだ!?『セレス』って何なんだ?あなたの姓も『セレス』だって言ってたよな!?あなたは僕の血縁者とか・・・・!!?」 > そのままにしておけばいつまでも質問を続けそうであったルピナスは、リアネスを捕えている手に感じたひんやりとした感触で、一瞬我に返る。 > ルピナスは、ふと顔を上げる。そこにあったのは、自分よりほんの少しだけ低い位置にある、リアネスの双眸。それは、なぜか妙に悲しそうで、そのくせ、それを懸命に押し殺そうとしていて・・・・そう、それは、アリエスの眼差しに似ている。そう思った瞬間、ルピナスは思わずリアネスを抱きしめていた。 > リアネスは、驚いたようだった。その震えがルピナスに伝わり、ルピナスは自分のしたことが恥ずかしくなる。すぐさま離れようとしたが・・・・それより前に、リアネスの手がルピナスの背に回された。まるで、小さな子供をなだめるように、リアネスの手がゆっくりとルピナスの背を撫でていく。そのまま、リアネスは静かに囁いた。 >「君の・・・・君たちの事は・・・・そうだね、よく知っているよ。でもね、記憶は、自分で取り返さないといけないんだよ。あたしが話しても、それは今の君の『知識』にしかならない。それは、『記憶』とは似て異なるものだ。だから・・・・・・・・・・・・・・・・ごめんね。本当に、ごめんね。力になってあげられなくて・・・・・・・・」 ユア;そういうもんなんですよね。 『記憶』を『教えて』もらっても、『知識』にしかならない・・・・実感が無いっていうものなんですよね。 久遠;『とある魔術の禁書目録』の上条ちゃんじゃないけど、ルピナスちゃん、自分で戻すのが一番いいことなのよね。 > あとがき、或いは語り部の告げる未来 >語:やあ!久しぶりだね。元気だったかな?本当に久々の更新となった、そして、僕が久々に登場した『時の旅人』、どうだったかな? > さて、今回でもうほとんど、ルピナスが何者なのか言ってしまったようなものだね。恐らく、考えてる通りで正解だと思うよ。そして、微妙に記憶を取り戻したルピナス・・・・。最初に思い出したのが母親のことだからって、別にマザコンってわけではないからね(苦笑)まあ・・・・リアネスに『母』を見たんだろう。 ユア;『これ』という完全な正体、はつかめてないんですけど、なんとなくなら。 久遠;それに、実際の記憶喪失者って、『母親』『恋人(男性の場合)』を初めに朧気でも思い出すのが、多いらしいわね。 > ああ、それと後は、僕の名前かな?『レイノリス』は本名だよ。これがファーストネーム。フルネームは・・・・カタカナにして32文字?我ながら長すぎだよ、まったく・・・・ ユア;は―い、質問。 ディス嬢に、なんと言う名前で名乗ってますか? 久遠:少し絡むらしいのよね。 > まあ、そんなことはさておいて、次回の欠片を語ろうか。 > 友は語る。自らの理想を。友は告げる。自らの正体を。 > それはしかし、乙女に知らず絶望をもたらす。 > 無知は罪ではない。しかし、無知は時として凶器となる。 > 知らず心を貫くのだ。友のためと信じて・・・・ > 次回、『時の旅人』36話、『深淵とU星の間に』 > じゃあ、またね! > > 二人;はい、次回も楽しみにしてます。 ではでは。 |
17504 | 書いてる本人が惚れてます(苦笑) | 羅城 朱琉 | 2006/2/15 11:21:59 |
記事番号17500へのコメント > >> こんにちは、羅城 朱琉です。 >> 長らくお待たせいたしました!『時の旅人』35話です。 >> 今回は、別名『暴露編』とでもいいましょうか?いろいろと謎が明かされます。そして、久々に語り部さん登場です。 >> では、早速どうぞ! > > >ユア;はい、ユアです。 > レス行きます。 >久遠;妙に元気ね。 >ユア;いちいち突っ込まない。 朱琉:はい、こんにちは。早速ですが、返レスです。 > >> >> >>「君がここに来るとは・・・・予想外だったよ。喜ぶべきか、悲しむべきか・・・・どっちだと思う?リアネス。」 >>「おや?ルシル。・・・・それとも、本名で呼ぼうか?」 >> リアネスと呼ばれた女性は、冗談めかしてそういった。本来『人』は入れぬ場所に、やはり易々と侵入した白の吟遊詩人・・・・語り部に向かって。 >>「何でもいいよ。今は『放浪の語り部』を名乗っているけど、『ルシル=グラディウス』でも・・・・君なら『レイノリス』と呼んでくれてもかまわない。」 >> 普段よりも重々しい口調で語り部が言う。刹那、僅かに大地が鳴動した。リアネスは肩をすくめる。 >>「冗談だって。・・・・呼ばないよ。ルシルの本名は危なすぎるから。こんな『時』の乱れた場所で呼んだら、ねえ?火薬庫で火炎球(ファイアー・ボール)撃つようなものじゃない。今までどおり、『ルシル』と呼ばせてもらうよ。」 > >ユア:語り部さん結構人外魔境? >久遠;でも、本名を呼ぶと危ないっていうことを聞くと、言霊系を思い出すわね。 >ユア;真名を呼ばれるとその人の言いなり・・・・だったけ? > でも、名前を呼ばれる事すら危ないとは・・・・・・。 アミイ:ほら、何ていうの?名前自体が呪文というか、そんな感じ? 朱琉:まあ、ある種の言霊ですね。語り部さんがあまりにも人外魔境で、しかも超が上に何十個ついても足りないくらいに強いので、その本質を表す・・・・と言うか、その存在を定義する『名前』にも、それ相応の力が宿っているわけです。まあ、本名呼ばれても支配されたりしませんが。 > >>「ただ単に、親友の墓参りに来ただけよ。後は・・・・あわよくば、かわいい末裔に『これ』を渡そうかと。」 >> そう言って、リアネスは腰に挿した2本の剣のうち短い方・・・・どこまでも黒い拵えの、長めのショートソードを示した。表面に施された、植物をモチーフとした装飾といい、アリエスの『銀晶輝』、『天雷閃』とよく似ている。 >>「花菖蒲の小太刀・・・・『黒天晶(こくてんしょう)』か。懐かしいね・・・・ずっと君が持っていたんだ。」 >> リアネスは笑って頷く。 >>「安全でしょう?私は死なないし、腕も立つつもりだしね。」 >> 爽やかに笑いながら言うリアネスに、語り部は少々呆れた顔をした。 >>「『つもり』?少なくとも『人間』で君より腕の立つ人は見たことがないよ。」 >>「まあ、年季入ってるしね。1000年も続ければ、誰でもこうなるよ。」 >> お互いに、長い年月を生きたことを前提とする会話を、二人は当たり前のように続けていく。 >>「ああ、そういえば・・・・久しぶりに会ったのに挨拶もしてなかったね。元気・・・・じゃあなさそうだけど、とにかく存在してて何よりだよ。降魔戦争以来だね、ルシル。」 >>「君も、元気そうで何より。1000年振りの再会を嬉しく思うよ。リアネス=セイム=セレスティナ=サーヴァリル・・・・『四大家』が一つ、『護り』のサーヴァリル家の始祖殿。」 >> お互いに笑みすら浮かべつつ、二人は改めて、固く握手を交した。 > >ユア;ふわぁ・・・。 >久遠;意訳;格好いいお姉さんだ。 >ユア;きゃぁ・・・・ >久遠;意訳;好きになりそう。 > 日本語で話そうね。 朱琉:書いてる本人が惚れましたから(笑) アミイ:それで、リアネスちゃんが予想以上に喋ったと。 > >> >> 誰何したのは、リナ。彼女もまた、リアネスが入ってきたのに気付かなかったようだ。それどころか、ゼルも、アメリアも・・・・並外れた感知能力を持つガウリイでさえ、リアネスを不可思議なものを見るように眺めている。それは、まるでそこにいるのが当たり前のようにすら思えるほど自然で、だからこそあまりにも不自然だった。そう・・・・知覚と知覚の間に滑り込むかのように、リアネスは『気付いたらそこにいた』のだ。 > >ユア;動物並に野性的な完を持つガウリィが!!? >久遠;あら、強そうねぇ。 > そこまで、完璧に気配隠せるとなると。 アミイ:そうねぇ・・・・剣の腕で言うならば、語り部さん>リアネス>ガウリイ≒アリエスといった感じかしら? 朱琉:語り部さんをそこに入れるのはどうかと・・・・まあ、間違ってはいませんが。 > > >>「大丈夫。地上に送っただけ。・・・・少しだけ、君と話がしたかったんだよ。」 >> ルピナスは、わけがわからないといった顔をする。ゆっくりと近づいてくるリアネスに警戒して腰の剣に手をやろうとしたが・・・・出来なかった。なぜだろうか?柔らかく微笑むリアネスの顔に恐怖や敵意以外の感情を覚えてしまったから。・・・・懐かしい、といった感情を。 > > >ユア;記憶がなくとも、『血』の記憶が残るって奴ですか・・・。 >久遠;でも、分からないと戸惑っちゃうわよね。 朱琉:そういうわけです。 > >。 >>「僕のこと、何か知ってのか!?」 >> リアネスは、困ったような顔をするだけで、肯定も否定もしない。しかし、ルピナスはその沈黙を肯定と取った。 >>「教えてくれ!僕は一体『何』なんだ!?『セレス』って何なんだ?あなたの姓も『セレス』だって言ってたよな!?あなたは僕の血縁者とか・・・・!!?」 >> そのままにしておけばいつまでも質問を続けそうであったルピナスは、リアネスを捕えている手に感じたひんやりとした感触で、一瞬我に返る。 >> ルピナスは、ふと顔を上げる。そこにあったのは、自分よりほんの少しだけ低い位置にある、リアネスの双眸。それは、なぜか妙に悲しそうで、そのくせ、それを懸命に押し殺そうとしていて・・・・そう、それは、アリエスの眼差しに似ている。そう思った瞬間、ルピナスは思わずリアネスを抱きしめていた。 >> リアネスは、驚いたようだった。その震えがルピナスに伝わり、ルピナスは自分のしたことが恥ずかしくなる。すぐさま離れようとしたが・・・・それより前に、リアネスの手がルピナスの背に回された。まるで、小さな子供をなだめるように、リアネスの手がゆっくりとルピナスの背を撫でていく。そのまま、リアネスは静かに囁いた。 >>「君の・・・・君たちの事は・・・・そうだね、よく知っているよ。でもね、記憶は、自分で取り返さないといけないんだよ。あたしが話しても、それは今の君の『知識』にしかならない。それは、『記憶』とは似て異なるものだ。だから・・・・・・・・・・・・・・・・ごめんね。本当に、ごめんね。力になってあげられなくて・・・・・・・・」 > >ユア;そういうもんなんですよね。 > 『記憶』を『教えて』もらっても、『知識』にしかならない・・・・実感が無いっていうものなんですよね。 >久遠;『とある魔術の禁書目録』の上条ちゃんじゃないけど、ルピナスちゃん、自分で戻すのが一番いいことなのよね。 アミイ:と、言うより、『真・運命のタロット』1巻で、《魔法使い》が《女教皇》に言った言葉が元ネタな感じ。 朱琉:まあ、後から思い返してみればそうかと。でも、聞きました〜はい、思い出します〜、ってわけにいくはずないし、聞きました、信じますで済むような問題でもないので、こうとしか言えないのでは? アミイ:まあね。 > > >> あとがき、或いは語り部の告げる未来 >>語:やあ!久しぶりだね。元気だったかな?本当に久々の更新となった、そして、僕が久々に登場した『時の旅人』、どうだったかな? >> さて、今回でもうほとんど、ルピナスが何者なのか言ってしまったようなものだね。恐らく、考えてる通りで正解だと思うよ。そして、微妙に記憶を取り戻したルピナス・・・・。最初に思い出したのが母親のことだからって、別にマザコンってわけではないからね(苦笑)まあ・・・・リアネスに『母』を見たんだろう。 > >ユア;『これ』という完全な正体、はつかめてないんですけど、なんとなくなら。 >久遠;それに、実際の記憶喪失者って、『母親』『恋人(男性の場合)』を初めに朧気でも思い出すのが、多いらしいわね。 アミイ:多分、あってるかと思うわよ。結構露骨に書いたし。 朱琉:最初に誰を思い出させようかと思ってたんですけど・・・・ありがちなところになりました。 > >> ああ、それと後は、僕の名前かな?『レイノリス』は本名だよ。これがファーストネーム。フルネームは・・・・カタカナにして32文字?我ながら長すぎだよ、まったく・・・・ > >ユア;は―い、質問。 > ディス嬢に、なんと言う名前で名乗ってますか? >久遠:少し絡むらしいのよね。 朱琉:『オリス=ソルジュ』と『ルシル=グラディウス』ですね。言葉に出して呼べるのは『ルシル』の方ですが。 > >> まあ、そんなことはさておいて、次回の欠片を語ろうか。 >> 友は語る。自らの理想を。友は告げる。自らの正体を。 >> それはしかし、乙女に知らず絶望をもたらす。 >> 無知は罪ではない。しかし、無知は時として凶器となる。 >> 知らず心を貫くのだ。友のためと信じて・・・・ >> 次回、『時の旅人』36話、『深淵とU星の間に』 >> じゃあ、またね! >> >> > >二人;はい、次回も楽しみにしてます。 > ではでは。 二人:では、また! > |
17550 | 時の旅人 36:深淵とU星の間に | 羅城 朱琉 | 2006/3/22 11:56:42 |
記事番号17469へのコメント こんにちは!羅城 朱琉です。 さて、大変遅れましたが、『時の旅人』36話です。今回は、アリエスサイドの設定がぽろぽろと明かされていきます。 では、早速ですが、どうぞ!ちなみにタイトルは、『しんえんといくせいのはざまに』と読みます。 時の旅人 36:深淵とU星の間に 日が暮れて、夜が来る。コウとの手合わせの後、早々に部屋に戻ったアリエスは、そのまま夜までベッドの上に蹲っていた。・・・・とは言っても、惑いゆえに立ち止まり、蹲っているわけではない。アリエスは、ずっと『あること』を考えていたのだ。 (迷いは消えましたが・・・・さて、一つ疑問が残りましたね。しかし、こればかりはフェリセに直接尋ねないことにはどうしようもありません、か・・・・。そして、もう一つ・・・・) 明りのついていない部屋の中で、アリエスの手は迷わず動く。ここに来るときに持ってきた背負い袋を引っ張ってくると、その中から羊皮紙と羽ペンを取り出し、つらつらと何かを書き始めた。 しばし、羊皮紙の上をペンが滑る音だけが部屋に響く。・・・・と、ドアがノックされた。アリエスは何故か慌てて羊皮紙と羽ペンを背負い袋に隠し、ドアに向かって声を掛けた。 「どちらさまでしょう?」 「アリエス、起きててよかったわ。私よ、私。」 「フェリセ!?どうしたの?こんな時間に。・・・・今、鍵を開けます。」 音を極力立てぬよう注意深くドアを開け、アリエスはフェリセを招き入れる。フェリセは、真っ暗な部屋に少し眉をしかめた後、『明り(ライティング)』を灯した。 「アリエス・・・・明りくらい点けようよ。まあ、夜目が聞くことは知ってるけどさ。」 「あまり、気にならなかったから。そういえば、もう夜だっけ?」 そう言うと、フェリセはあっけにとられた後、くすくすと笑い出した。 「まったく、アリエスらしいというか、何と言うか・・・・。」 「・・・・・・・・それで、何か用?」 「用と言うか・・・・昨日一日眠りっぱなしだったってミュシカに聞いたから、様子見に来たの。元気そうで良かったよ。」 「それは、ありがとう。大丈夫、単なる疲れだよ。」 「アリエスは無茶するからなぁ。何かあったら、遠慮なく言ってよね。」 そして、フェリセは優しい苦笑いのまま、アリエスの髪をくしゃりと撫でた。アリエスも優しく微笑む。・・・・・・・・優しく、しかし、炎の灯った眼差しで。 「ねえ、フェリセ。聞きたいと思っていたんだけど・・・・」 「何?」 一呼吸置き、覚悟を決めて、アリエスはフェリセに尋ねた。 「この間言った、『私が必要』ってあの言葉、どういう意味だったの?」 と、フェリセが一瞬ぴくりと震えた。そのまましばらくして、頬を掻き、視線を泳がせる。 「・・・・・・・・言わなきゃダメ?」 「言って。でないと、私がこれからどうするべきかもわからない。」 アリエスの強い眼差しに晒され、フェリセは諦めたように肩を落とした。 「・・・・・・・・わかった。言う。・・・・アリエスのラーナ・・・・もといフェラナート家含め、四大家しか使えない魔法が、『聖石の使徒』には必要なの。つまりは・・・・『時の魔法』が。」 「なぜ?」 アリエスは、さらりと問い返した。フェリセは、弾かれたように顔を上げた。 「・・・・そこ?」 「はい?」 「いや、私、アリエスに軽蔑されること覚悟して言ったんだけど・・・・」 「軽蔑?・・・・何故?」 「アリエスが心配って言いながら、結局は力が目当てなの!?って・・・・」 不安に眼差しを揺らすフェリセに、アリエスはふと微笑んだ。 「『聖石の使徒』としては、でしょ?私は、『フェリセ=ニーランデル』が本当に私を心配してくれていることを知っているから。フェリセが何者になっても、フェリセ本人が変わろうとしない限り、心までは変わらないでしょ?」 アリエスは、そう言ってフェリセを見つめた。と、見る間にフェリセの瞳が潤んでいく。それが流れ落ちる前に・・・・ 「アリエスぅ〜!!」 「ぅわっ!」 フェリセがアリエスに抱きついた。 「わっ・・・・私、こんなに嬉しいのって、うまれて初めてだよぅ〜〜!!!!」 しばらくアリエスは、ぽろぽろと涙を零すフェリセの背をゆっくり撫でていた。 * * * * * ようやく落ち着いたフェリセを前に、アリエスは先の質問を繰り返した。 「ところで、なぜ『時の魔法』が必要なの?あれは威力はあるけど、使い勝手悪いよ?」 「それはそうなんだけどね。・・・・『時』に対抗するには、同じ『時』しかないでしょう?」 「・・・・ちょっと、意味がよくわからない。」 フェリセは、楽しいことをするかのような笑顔を見せた。そして、語り始める。 「アリエス、『運命』ってものについて、どう思う?」 わけが解らないながら、アリエスは一般的なことを答える。 「さあ・・・・。無いわけではないけど、気にしても仕方がないもの、じゃない?」 「じゃあ、さ。『世界中で起こるありとあらゆる事が、全て『運命』の名の元に、あらかじめ定められている』としたら?」 「・・・・・・・・」 否定したい。しかし、アリエスには出来なかった。なぜなら、アリエスは知っていたから。それが真実である、ということを。 「知ってる?世界には、神と魔王がいる。それがいない世界にも、人の思いが生み出した神と魔・・・・幻神族と幻魔族が存在する。そして、世界を生み出し、束ねるのは『混沌の王』。この世界と、他いくつかの世界においては『金色の魔王(ロード・オブ・ナイトメア)』がそれね。」 アリエスは、半ば呆然としながらも、その話に頷いた。フェリセはそれを見て満足げに微笑み、先を続ける。 「実は『混沌の王』って、結構な人数がいるんだよ。それに対して、『時』を司る存在・・・・『時空の王』は、たった3人・・・・もとい、1人と1組しかいない。そして、たった一人で、全世界の半分の時間を担うのが、アリエスも知っている『輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)』。本当の二つ名は、『螺旋の預言者』。世界を運命と言う名の鎖で縛る、悲劇の元凶。私たちの、倒すべき『敵』。」 「・・・・話はわかったよ。でも・・・・・・・・なぜ、あなたは知っているの?・・・・・・・・運命の、存在を。」 アリエスは、沈黙の後に重々しく口を開き、そう問うた。 「アリエスも知ってるじゃない。」 「私は・・・・!」 軽く返すフェリセ。アリエスは一瞬口ごもり、俯いて呟いた。 「・・・・私は、『四大家』が一つ、``封じ’’のフェラナートの末裔。『四大家』の目的は、世界の安寧。その力の源は、古に結ばれた契約に基づき・・・・『輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)』様から来ているから。だから、知っていて当然なんだよ。」 「うん、知ってる。」 「私は、『クロノス』様サイドだと思わないの!?」 血を吐くような、アリエスの声。フェリセの口ぶりからして、『四大家』の詳細も知られているだろうとは思っていた。しかし、フェリセら『聖石の使徒』にとって見れば、自分はまさしく獅子身中の虫ではないのか!? 「私、アリエス信じてるし。それに、自分から言い出す人が裏切るなんてありえないでしょう?それに・・・・私も、まあ、アリエスと似たような部分があるから。」 「?」 そうして、フェリセ=ニーランデルは、あまりにもさらりと『そのこと』を告げた。 「私、元は『輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)』陛下の下にあった『混沌の王』の1人だから。『星天の紡ぎ手』ステラ=ウェリン=フェリセ=ディアライトが元の名前だよ。まあ、つい最近・・・・ここでの時間にして2000年くらい前に、力と記憶を奪われて追放されたけど。」 アリエスは、驚きを通り越して真っ白になった。 フェリセの言ったことをアリエスが認識するまで、たっぷり5分くらいかかった。そして一言。 「冗談・・・・だよね?」 「この状況で冗談言うほど悪趣味じゃないけど。・・・・証拠見せろって言われると困るけど・・・・。私の創った世界は、もう滅んじゃってるし・・・・力はまだ6割くらいしか戻ってないし・・・・」 頭を捻るフェリセを、アリエスはまじまじと眺めて・・・・力の入っていない指でフェリセを指す。 「・・・・『混沌の王』!?フェリセが?」 「元、ね。運命に反発して追放された、元・混沌の王。今は、『聖石の使徒』盟主で、相変わらず『打倒、運命!』を掲げてる、アリエスの親友フェリセ=ニーランデル。」 「・・・・崇め奉らなくてもいいよね?」 「したら縁切るよ!?・・・・大体、『混沌の王』って言ったって、出来ないことのほうが多いんだから。感情もあるし、間違いだって犯す。同じよ。」 フェリセは微笑んだ。アリエスも、つられて微笑む。よくよく考えてみれば、フェリセが神だろうが魔王だろうが『混沌の王』だろうが、はたまた犬猫だろうが、フェリセはフェリセなわけで・・・・。ある意味ではアリエスも、純粋な人間とは言いがたいのであって。だから、本当だろうが嘘だろうが、どうでも良くなったのだ。 「なら、『ステラ』?」 「『フェリセ』のままでいいよ。そっちのほうが好き。」 「ん、わかった。・・・・話してくれてありがとう、フェリセ。」 「ううん、これまで黙っててごめんね、アリエス。これから、一緒に頑張ろう!アリエスの時間も、きっとまた動くよ。」 瞬間、アリエスの表情が凍った。ほんの一瞬、フェリセすら気付かない程度に。 「動かす・・・・だけ?」 フェリセは、不思議そうに呟く。 「へ?他に何か・・・・・・・・あ!また『死にたがり』再発!?ダメだよ、一緒に生きようよ!」 小さな子供を叱るかのような口調のフェリセに、アリエスは苦笑を返す。 「そうだね。ごめん、忘れて。・・・・少し、疲れたかも。」 「あ!いけない!私ってば・・・・。じゃあ、アリエス、また明日ね!」 そして、風のように立ち去っていくフェリセ。その後姿を見送った後、『明り(ライティング)』の消えた暗闇の中で、アリエスは立ち尽くした。 その表情は、能面の如き無表情。ドアを無感動に見つめて、アリエスは呟いた。 「やはり、知りませんでしたか。まあ、当然といえば当然ですね。」 その声は、氷よりも冷たくて、凪の海よりも平坦で。 「私は、アリエス=オルフェーゼ=ヴィータ=フェラナート。『四大家』が一つ、``封じ’’のフェラナートの名を継ぐ者。」 それでいて、まるで全てを悟ったかのようで。まるで、全てを諦めたかのようで。 「謝罪はしませんよ・・・・フェリセ、ルピナス、レン。私は、皆を裏切ります。」 しかし、闇を映した瞳に、確かな決意の色を浮かべて。 「私は・・・・シーシェンズ家に、会いに行きます。」 四大家が一つ、シーシェンズ家。その冠する名は``許し’’。 それが、何にとっての``許し’’なのか・・・・アリエスは今、全てを知って立っていた。 あとがき、或いは語り部の告げる未来 語:やあ!久しぶりだね、元気だったかな?朱琉が全く元気じゃなかっただけ、少し心配だよ。 さて、ようやくフェリセの正体が判明したね。さて・・・・そろそろ、この第4部も佳境。あと4話+αでアリエスサイドとルピナスサイドが合流するよ。 では、早速未来を語ってみよう。 唯一つの手がかりは、しかし、その手をすり抜けた。 失意のうちで、取り戻した『たった一つ』。 それを糧に、今また一つ、欠片を見つける。 それこそが、全ての元凶であるとも知らず・・・・ 次回、『時の旅人』37話、『真実の欠片』 さて、ここからはお願いだ。ついさっき、アリエス編とルピナス編が合流するまであと4話+αって書いたよね?その+αで初登場して、その後しばらく裏で暗躍する人一人を募集するよ。 ただ、今回のその人は、かなり特殊設定なんだよね。だから、下の説明をよく読んでほしい。 なお、募集するのは ・名前(姓なし) ・性別 ・外見 ・服装 ・武器およびバトルスタイル の5項目だ。そして、以下がその設定(一部)だよ。 ・アリエスたちにとって、完全に敵。 ・『中枢予定表』関係者。 ・高度な知性はあるが、感情はない。 ・仕えている相手に、『道具』として生み出された。 こんな所かな?かなり嫌われ系、またはかわいそうになると思うけど・・・・よろしくお願いするよ。 じゃあ、今回はこの辺で。またね! |
17555 | それでは、この人を | 十叶 夕海 | 2006/3/22 23:57:20 |
記事番号17550へのコメント > こんにちは!羅城 朱琉です。 > さて、大変遅れましたが、『時の旅人』36話です。今回は、アリエスサイドの設定がぽろぽろと明かされていきます。 > では、早速ですが、どうぞ!ちなみにタイトルは、『しんえんといくせいのはざまに』と読みます。 ユア;どうも、ユアです。 久遠;こう言う漢字あるんだ。って、妙に感心してたわよね。 レス行きましょか。 > > > >「この間言った、『私が必要』ってあの言葉、どういう意味だったの?」 > と、フェリセが一瞬ぴくりと震えた。そのまましばらくして、頬を掻き、視線を泳がせる。 >「・・・・・・・・言わなきゃダメ?」 >「言って。でないと、私がこれからどうするべきかもわからない。」 > アリエスの強い眼差しに晒され、フェリセは諦めたように肩を落とした。 >「・・・・・・・・わかった。言う。・・・・アリエスのラーナ・・・・もといフェラナート家含め、四大家しか使えない魔法が、『聖石の使徒』には必要なの。つまりは・・・・『時の魔法』が。」 >「なぜ?」 > アリエスは、さらりと問い返した。フェリセは、弾かれたように顔を上げた。 >「・・・・そこ?」 >「はい?」 >「いや、私、アリエスに軽蔑されること覚悟して言ったんだけど・・・・」 >「軽蔑?・・・・何故?」 >「アリエスが心配って言いながら、結局は力が目当てなの!?って・・・・」 > 不安に眼差しを揺らすフェリセに、アリエスはふと微笑んだ。 >「『聖石の使徒』としては、でしょ?私は、『フェリセ=ニーランデル』が本当に私を心配してくれていることを知っているから。フェリセが何者になっても、フェリセ本人が変わろうとしない限り、心までは変わらないでしょ?」 > アリエスは、そう言ってフェリセを見つめた。と、見る間にフェリセの瞳が潤んでいく。それが流れ落ちる前に・・・・ 久遠;友情よねぇ!! 懐かしいわぁ、ブ―ルと私も似た感じだったわ。 ユア;こう言うのっていいですよね、組織と個人は違うって信じれるの。 > > ようやく落ち着いたフェリセを前に、アリエスは先の質問を繰り返した。 >「ところで、なぜ『時の魔法』が必要なの?あれは威力はあるけど、使い勝手悪いよ?」 >「それはそうなんだけどね。・・・・『時』に対抗するには、同じ『時』しかないでしょう?」 >「・・・・ちょっと、意味がよくわからない。」 > フェリセは、楽しいことをするかのような笑顔を見せた。そして、語り始める。 ユア;『毒』には、『毒』を? 久遠;でも、フェリセちゃん、『力』には、『力』になってしまうと、滅ぶのは両方よ? >「アリエス、『運命』ってものについて、どう思う?」 > わけが解らないながら、アリエスは一般的なことを答える。 >「さあ・・・・。無いわけではないけど、気にしても仕方がないもの、じゃない?」 >「じゃあ、さ。『世界中で起こるありとあらゆる事が、全て『運命』の名の元に、あらかじめ定められている』としたら?」 >「・・・・・・・・」 > 否定したい。しかし、アリエスには出来なかった。なぜなら、アリエスは知っていたから。それが真実である、ということを。 ユア;ああ〜!! 久遠;語り部ちゃんが闘っているアレよね? >「知ってる?世界には、神と魔王がいる。それがいない世界にも、人の思いが生み出した神と魔・・・・幻神族と幻魔族が存在する。そして、世界を生み出し、束ねるのは『混沌の王』。この世界と、他いくつかの世界においては『金色の魔王(ロード・オブ・ナイトメア)』がそれね。」 > アリエスは、半ば呆然としながらも、その話に頷いた。フェリセはそれを見て満足げに微笑み、先を続ける。 >「実は『混沌の王』って、結構な人数がいるんだよ。それに対して、『時』を司る存在・・・・『時空の王』は、たった3人・・・・もとい、1人と1組しかいない。そして、たった一人で、全世界の半分の時間を担うのが、アリエスも知っている『輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)』。本当の二つ名は、『螺旋の預言者』。世界を運命と言う名の鎖で縛る、悲劇の元凶。私たちの、倒すべき『敵』。」 ユア;面白いって言うか、目新しい設定かも。 久遠;京極師葉さんのでも、『混沌の王』的存在はいても、その上はいなかったものねぇ。 ユア;楽しみ、楽しみ。 > >「私、アリエス信じてるし。それに、自分から言い出す人が裏切るなんてありえないでしょう?それに・・・・私も、まあ、アリエスと似たような部分があるから。」 >「?」 > そうして、フェリセ=ニーランデルは、あまりにもさらりと『そのこと』を告げた。 >「私、元は『輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)』陛下の下にあった『混沌の王』の1人だから。『星天の紡ぎ手』ステラ=ウェリン=フェリセ=ディアライトが元の名前だよ。まあ、つい最近・・・・ここでの時間にして2000年くらい前に、力と記憶を奪われて追放されたけど。」 > アリエスは、驚きを通り越して真っ白になった。 ユア;ぶほっ(紅茶を思い切り噴出し、むせる)(←読んだ瞬間本気にそうなりました) 久遠;ユアちゃん、パソコンに付かなくてよかったわね。 ユア;そ、そそそ、っそげなこと、言ってる場合じゃなかと!! 久遠:ユアちゃんは、北陸の人でしょ? あのね、私みたいなオカマで両刀でも、実は、刀の九十九神なんだから、今更、フェリセちゃんがこうだって言っても驚かないわ。 >「・・・・崇め奉らなくてもいいよね?」 >「したら縁切るよ!?・・・・大体、『混沌の王』って言ったって、出来ないことのほうが多いんだから。感情もあるし、間違いだって犯す。同じよ。」 > フェリセは微笑んだ。アリエスも、つられて微笑む。よくよく考えてみれば、フェリセが神だろうが魔王だろうが『混沌の王』だろうが、はたまた犬猫だろうが、フェリセはフェリセなわけで・・・・。ある意味ではアリエスも、純粋な人間とは言いがたいのであって。だから、本当だろうが嘘だろうが、どうでも良くなったのだ。 久遠;確かにねぇ、人間じゃなくても、人間性を持っている存在ってそういうもんよねぇ。 ユア;・・・・・アリエス嬢、少しひどいトコまで行ってませんか? 大切とか好きだとか言いたいのはわかるけど。 > あとがき、或いは語り部の告げる未来 >語:やあ!久しぶりだね、元気だったかな?朱琉が全く元気じゃなかっただけ、少し心配だよ。 > さて、ようやくフェリセの正体が判明したね。さて・・・・そろそろ、この第4部も佳境。あと4話+αでアリエスサイドとルピナスサイドが合流するよ。 > では、早速未来を語ってみよう。 > 唯一つの手がかりは、しかし、その手をすり抜けた。 > 失意のうちで、取り戻した『たった一つ』。 > それを糧に、今また一つ、欠片を見つける。 > それこそが、全ての元凶であるとも知らず・・・・ > 次回、『時の旅人』37話、『真実の欠片』 > > さて、ここからはお願いだ。ついさっき、アリエス編とルピナス編が合流するまであと4話+αって書いたよね?その+αで初登場して、その後しばらく裏で暗躍する人一人を募集するよ。 > ただ、今回のその人は、かなり特殊設定なんだよね。だから、下の説明をよく読んでほしい。 ユア;了解。 久遠;あの人出すの? ユア;うん。 > なお、募集するのは > ・名前(姓なし) > ・性別 > ・外見 > ・服装 > ・武器およびバトルスタイル > の5項目だ。そして、以下がその設定(一部)だよ。 > ・アリエスたちにとって、完全に敵。 > ・『中枢予定表』関係者。 > ・高度な知性はあるが、感情はない。 > ・仕えている相手に、『道具』として生み出された。 > こんな所かな?かなり嫌われ系、またはかわいそうになると思うけど・・・・よろしくお願いするよ。 ユア;じゃ行きます。 名前;アス−ル・ミッドガルズ(大蛇のアス―ルと言う意味で) 補足・これで、一つの名前。 性別;男 外見;水白色の腰までの直髪を三つ編み。 アイオライトの瞳。やや細身。身丈179センチ 服装:白い袖なしのカンフ―系服に、若葉色の裾の長い(踝丈)左右スリットありの上着。ズボンとブ−ツの色は共に黒。 しかし、主が着ろといえば、女物のふりふりでブリブリなピンクハウスだろうと着る。 武器;見た感じは、背中の大剣(身長よりやや長い肉厚のもの) 中身は、上着やブ−ツに、大小様々なナイフ 戦闘スタイル;大剣で相手を圧倒&翻弄しつつ、ナイフで致命傷を > じゃあ、今回はこの辺で。またね! ユア;上の彼に付いて補足。 久遠;名前の元ネタは、ケルト&北欧神話の『ク・ホリン』或いは、ダ―クネスド−ルの主人公から。 ユア;性格は決まっているようですが、一応、『高度な知性はあるが〜』から、『主を忠することを覚えたロボット』みたいな漢字で、設定しました。 二人;では、次回。 |
17560 | ありがとうございます! | 羅城 朱琉 | 2006/3/23 08:51:07 |
記事番号17555へのコメント > >> こんにちは!羅城 朱琉です。 >> さて、大変遅れましたが、『時の旅人』36話です。今回は、アリエスサイドの設定がぽろぽろと明かされていきます。 >> では、早速ですが、どうぞ!ちなみにタイトルは、『しんえんといくせいのはざまに』と読みます。 > > >ユア;どうも、ユアです。 >久遠;こう言う漢字あるんだ。って、妙に感心してたわよね。 > レス行きましょか。 朱琉:こんにちは、羅城 朱琉です。 アミイ:漢字自体はあるけれど、『U星』っていうのは完全に造語よ。まあ、『U』は『輝く』とか『きらめく』って意味だから、そう変ではないけれどもね。 朱琉:では、早速返レスです。 > >> >> >> >>「この間言った、『私が必要』ってあの言葉、どういう意味だったの?」 >> と、フェリセが一瞬ぴくりと震えた。そのまましばらくして、頬を掻き、視線を泳がせる。 >>「・・・・・・・・言わなきゃダメ?」 >>「言って。でないと、私がこれからどうするべきかもわからない。」 >> アリエスの強い眼差しに晒され、フェリセは諦めたように肩を落とした。 >>「・・・・・・・・わかった。言う。・・・・アリエスのラーナ・・・・もといフェラナート家含め、四大家しか使えない魔法が、『聖石の使徒』には必要なの。つまりは・・・・『時の魔法』が。」 >>「なぜ?」 >> アリエスは、さらりと問い返した。フェリセは、弾かれたように顔を上げた。 >>「・・・・そこ?」 >>「はい?」 >>「いや、私、アリエスに軽蔑されること覚悟して言ったんだけど・・・・」 >>「軽蔑?・・・・何故?」 >>「アリエスが心配って言いながら、結局は力が目当てなの!?って・・・・」 >> 不安に眼差しを揺らすフェリセに、アリエスはふと微笑んだ。 >>「『聖石の使徒』としては、でしょ?私は、『フェリセ=ニーランデル』が本当に私を心配してくれていることを知っているから。フェリセが何者になっても、フェリセ本人が変わろうとしない限り、心までは変わらないでしょ?」 >> アリエスは、そう言ってフェリセを見つめた。と、見る間にフェリセの瞳が潤んでいく。それが流れ落ちる前に・・・・ > >久遠;友情よねぇ!! > 懐かしいわぁ、ブ―ルと私も似た感じだったわ。 >ユア;こう言うのっていいですよね、組織と個人は違うって信じれるの。 アミイ:数少ない、アリエスちゃんに信頼されている人、だからねぇ。 朱琉:人じゃないですけど(笑) > > >> >> ようやく落ち着いたフェリセを前に、アリエスは先の質問を繰り返した。 >>「ところで、なぜ『時の魔法』が必要なの?あれは威力はあるけど、使い勝手悪いよ?」 >>「それはそうなんだけどね。・・・・『時』に対抗するには、同じ『時』しかないでしょう?」 >>「・・・・ちょっと、意味がよくわからない。」 >> フェリセは、楽しいことをするかのような笑顔を見せた。そして、語り始める。 > >ユア;『毒』には、『毒』を? >久遠;でも、フェリセちゃん、『力』には、『力』になってしまうと、滅ぶのは両方よ? アミイ:と言うよりも、それしか手が無い、って感じね。 朱琉:つまり、アリエスを見てわかるとおり、『時の力』を纏うものには、同じ『時の力』以外は全く効かないんです。 アミイ:例外は『混沌の力』だけど、効果はそこまで高くはないわ。フェリセちゃんはまだ不完全な力しか取り戻していないから、勝利は到底望めないわね。 > >>「アリエス、『運命』ってものについて、どう思う?」 >> わけが解らないながら、アリエスは一般的なことを答える。 >>「さあ・・・・。無いわけではないけど、気にしても仕方がないもの、じゃない?」 >>「じゃあ、さ。『世界中で起こるありとあらゆる事が、全て『運命』の名の元に、あらかじめ定められている』としたら?」 >>「・・・・・・・・」 >> 否定したい。しかし、アリエスには出来なかった。なぜなら、アリエスは知っていたから。それが真実である、ということを。 > >ユア;ああ〜!! >久遠;語り部ちゃんが闘っているアレよね? 朱琉:アレですが・・・・ アミイ:実は、微妙に対象が違うのよね。語り部さんが闘ってるのは、『中枢予定表』。フェリセちゃんが闘ってるのは、『輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)』。似て異なるものなのよ。 朱琉:そのあたりも、おいおい明かされていきます。 > >>「知ってる?世界には、神と魔王がいる。それがいない世界にも、人の思いが生み出した神と魔・・・・幻神族と幻魔族が存在する。そして、世界を生み出し、束ねるのは『混沌の王』。この世界と、他いくつかの世界においては『金色の魔王(ロード・オブ・ナイトメア)』がそれね。」 >> アリエスは、半ば呆然としながらも、その話に頷いた。フェリセはそれを見て満足げに微笑み、先を続ける。 >>「実は『混沌の王』って、結構な人数がいるんだよ。それに対して、『時』を司る存在・・・・『時空の王』は、たった3人・・・・もとい、1人と1組しかいない。そして、たった一人で、全世界の半分の時間を担うのが、アリエスも知っている『輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)』。本当の二つ名は、『螺旋の預言者』。世界を運命と言う名の鎖で縛る、悲劇の元凶。私たちの、倒すべき『敵』。」 > > >ユア;面白いって言うか、目新しい設定かも。 >久遠;京極師葉さんのでも、『混沌の王』的存在はいても、その上はいなかったものねぇ。 >ユア;楽しみ、楽しみ。 朱琉:完全に、オリジナルの設定ですから。 アミイ:この話って、元は私が主役のオリジナルと、アリエスちゃんが主役のオリジナルを混ぜたものなんだけど、私が主役だったほうから引き継いだ設定なのよ。 朱琉:乞うご期待、です。 > >> >>「私、アリエス信じてるし。それに、自分から言い出す人が裏切るなんてありえないでしょう?それに・・・・私も、まあ、アリエスと似たような部分があるから。」 >>「?」 >> そうして、フェリセ=ニーランデルは、あまりにもさらりと『そのこと』を告げた。 >>「私、元は『輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)』陛下の下にあった『混沌の王』の1人だから。『星天の紡ぎ手』ステラ=ウェリン=フェリセ=ディアライトが元の名前だよ。まあ、つい最近・・・・ここでの時間にして2000年くらい前に、力と記憶を奪われて追放されたけど。」 >> アリエスは、驚きを通り越して真っ白になった。 > > >ユア;ぶほっ(紅茶を思い切り噴出し、むせる)(←読んだ瞬間本気にそうなりました) >久遠;ユアちゃん、パソコンに付かなくてよかったわね。 >ユア;そ、そそそ、っそげなこと、言ってる場合じゃなかと!! >久遠:ユアちゃんは、北陸の人でしょ? > あのね、私みたいなオカマで両刀でも、実は、刀の九十九神なんだから、今更、フェリセちゃんがこうだって言っても驚かないわ。 朱琉:やっと明かせた正体第1弾、驚いていただけて嬉しいです。 アミイ:第2弾が私、第3弾が語り部さんになる予定。私はもうすぐよ。 > > >>「・・・・崇め奉らなくてもいいよね?」 >>「したら縁切るよ!?・・・・大体、『混沌の王』って言ったって、出来ないことのほうが多いんだから。感情もあるし、間違いだって犯す。同じよ。」 >> フェリセは微笑んだ。アリエスも、つられて微笑む。よくよく考えてみれば、フェリセが神だろうが魔王だろうが『混沌の王』だろうが、はたまた犬猫だろうが、フェリセはフェリセなわけで・・・・。ある意味ではアリエスも、純粋な人間とは言いがたいのであって。だから、本当だろうが嘘だろうが、どうでも良くなったのだ。 > >久遠;確かにねぇ、人間じゃなくても、人間性を持っている存在ってそういうもんよねぇ。 >ユア;・・・・・アリエス嬢、少しひどいトコまで行ってませんか? > 大切とか好きだとか言いたいのはわかるけど。 アミイ:と、言うより、アリエスちゃんにとって命あるものは元来皆同じ価値でしかなくて、その中で『特別』となったものというものは、種族なんて関係ない、ってことなんだけど、ね。 朱琉:アリエスは、自分を純粋に人間だと思っていませんから。 > > > >> あとがき、或いは語り部の告げる未来 >>語:やあ!久しぶりだね、元気だったかな?朱琉が全く元気じゃなかっただけ、少し心配だよ。 >> さて、ようやくフェリセの正体が判明したね。さて・・・・そろそろ、この第4部も佳境。あと4話+αでアリエスサイドとルピナスサイドが合流するよ。 >> では、早速未来を語ってみよう。 >> 唯一つの手がかりは、しかし、その手をすり抜けた。 >> 失意のうちで、取り戻した『たった一つ』。 >> それを糧に、今また一つ、欠片を見つける。 >> それこそが、全ての元凶であるとも知らず・・・・ >> 次回、『時の旅人』37話、『真実の欠片』 >> >> さて、ここからはお願いだ。ついさっき、アリエス編とルピナス編が合流するまであと4話+αって書いたよね?その+αで初登場して、その後しばらく裏で暗躍する人一人を募集するよ。 >> ただ、今回のその人は、かなり特殊設定なんだよね。だから、下の説明をよく読んでほしい。 > >ユア;了解。 >久遠;あの人出すの? >ユア;うん。 > >> なお、募集するのは >> ・名前(姓なし) >> ・性別 >> ・外見 >> ・服装 >> ・武器およびバトルスタイル >> の5項目だ。そして、以下がその設定(一部)だよ。 >> ・アリエスたちにとって、完全に敵。 >> ・『中枢予定表』関係者。 >> ・高度な知性はあるが、感情はない。 >> ・仕えている相手に、『道具』として生み出された。 >> こんな所かな?かなり嫌われ系、またはかわいそうになると思うけど・・・・よろしくお願いするよ。 > >ユア;じゃ行きます。 > >名前;アス−ル・ミッドガルズ(大蛇のアス―ルと言う意味で) >補足・これで、一つの名前。 >性別;男 >外見;水白色の腰までの直髪を三つ編み。 > アイオライトの瞳。やや細身。身丈179センチ >服装:白い袖なしのカンフ―系服に、若葉色の裾の長い(踝丈)左右スリットありの上着。ズボンとブ−ツの色は共に黒。 > しかし、主が着ろといえば、女物のふりふりでブリブリなピンクハウスだろうと着る。 >武器;見た感じは、背中の大剣(身長よりやや長い肉厚のもの) > 中身は、上着やブ−ツに、大小様々なナイフ >戦闘スタイル;大剣で相手を圧倒&翻弄しつつ、ナイフで致命傷を > > >> じゃあ、今回はこの辺で。またね! > > >ユア;上の彼に付いて補足。 >久遠;名前の元ネタは、ケルト&北欧神話の『ク・ホリン』或いは、ダ―クネスド−ルの主人公から。 >ユア;性格は決まっているようですが、一応、『高度な知性はあるが〜』から、『主を忠することを覚えたロボット』みたいな漢字で、設定しました。 > >二人;では、次回。 朱琉:はい、ありがとうございます!多分、37話の次か、38話の次に出ますので。 アミイ:じゃあ、今回はこの辺でね。 二人:では、また! |
17562 | Re:時の旅人 36:深淵とU星の間に | 神高 紅 | 2006/3/23 16:30:05 |
記事番号17550へのコメント 紅:どーもこんばんは紅です。最近漫画で見て気に入った言葉は「蛆虫の佃煮どもが」です。 コ:品性を疑われるような発言をするな・・・っと、もともとそんなもんか。 紅:うわひど。 ク:はいはい・・では久方ぶりの・・感想です・・ >「アリエス・・・・明りくらい点けようよ。まあ、夜目が聞くことは知ってるけどさ。」 >「あまり、気にならなかったから。そういえば、もう夜だっけ?」 > そう言うと、フェリセはあっけにとられた後、くすくすと笑い出した。 >「まったく、アリエスらしいというか、何と言うか・・・・。」 紅:猫でも其処まで目はききませんよ。 ク:電気代節約できそうですねえ・・ コ:ねえよそんなもん。 >「『聖石の使徒』としては、でしょ?私は、『フェリセ=ニーランデル』が本当に私を心配してくれていることを知っているから。フェリセが何者になっても、フェリセ本人が変わろうとしない限り、心までは変わらないでしょ?」 > アリエスは、そう言ってフェリセを見つめた。と、見る間にフェリセの瞳が潤んでいく。それが流れ落ちる前に・・・・ >「アリエスぅ〜!!」 >「ぅわっ!」 > フェリセがアリエスに抱きついた。 >「わっ・・・・私、こんなに嬉しいのって、うまれて初めてだよぅ〜〜!!!!」 > しばらくアリエスは、ぽろぽろと涙を零すフェリセの背をゆっくり撫でていた。 ク:いい人ですねえ・・確かに心なんてものは・・そう変わるものじゃありませんから・・ コ:良きにせよ悪しきにせよ、な。 > アリエスは、半ば呆然としながらも、その話に頷いた。フェリセはそれを見て満足げに微笑み、先を続ける。 >「実は『混沌の王』って、結構な人数がいるんだよ。それに対して、『時』を司る存在・・・・『時空の王』は、たった3人・・・・もとい、1人と1組しかいない。そして、たった一人で、全世界の半分の時間を担うのが、アリエスも知っている『輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)』。本当の二つ名は、『螺旋の預言者』。世界を運命と言う名の鎖で縛る、悲劇の元凶。私たちの、倒すべき『敵』。」 紅:話が突飛になってきましたね。 コ:運命の存在の善悪なんざ俺にははかりかねるがな。ただ、気に入らなけりゃ壊すだけだ。 ク:コウと私にとっての善悪は・・気に入るか気に入らないか・・ですから・・ > フェリセの言ったことをアリエスが認識するまで、たっぷり5分くらいかかった。そして一言。 >「冗談・・・・だよね?」 >「この状況で冗談言うほど悪趣味じゃないけど。・・・・証拠見せろって言われると困るけど・・・・。私の創った世界は、もう滅んじゃってるし・・・・力はまだ6割くらいしか戻ってないし・・・・」 > 頭を捻るフェリセを、アリエスはまじまじと眺めて・・・・力の入っていない指でフェリセを指す。 >「・・・・『混沌の王』!?フェリセが?」 >「元、ね。運命に反発して追放された、元・混沌の王。今は、『聖石の使徒』盟主で、相変わらず『打倒、運命!』を掲げてる、アリエスの親友フェリセ=ニーランデル。」 紅:めちゃくちゃお偉いさん!? コ:六割でもたいしたもんだろ、アリエスもえらい親友を持ったな。 ク:すごい方だったんですねえ・・ > その表情は、能面の如き無表情。ドアを無感動に見つめて、アリエスは呟いた。 >「やはり、知りませんでしたか。まあ、当然といえば当然ですね。」 > その声は、氷よりも冷たくて、凪の海よりも平坦で。 >「私は、アリエス=オルフェーゼ=ヴィータ=フェラナート。『四大家』が一つ、``封じ’’のフェラナートの名を継ぐ者。」 > それでいて、まるで全てを悟ったかのようで。まるで、全てを諦めたかのようで。 >「謝罪はしませんよ・・・・フェリセ、ルピナス、レン。私は、皆を裏切ります。」 > しかし、闇を映した瞳に、確かな決意の色を浮かべて。 >「私は・・・・シーシェンズ家に、会いに行きます。」 > > 四大家が一つ、シーシェンズ家。その冠する名は``許し’’。 > それが、何にとっての``許し’’なのか・・・・アリエスは今、全てを知って立っていた。 ク:その裏切りが・・正しいのかどうか、私にはわかりませんが・・ コ:そんなこたぁ関係ねえさ。絶対に正しいことなんてこの世界にはねえんだからな。だったら自分の信念を貫くべきだろ。 > あとがき、或いは語り部の告げる未来 >語:やあ!久しぶりだね、元気だったかな?朱琉が全く元気じゃなかっただけ、少し心配だよ。 > さて、ようやくフェリセの正体が判明したね。さて・・・・そろそろ、この第4部も佳境。あと4話+αでアリエスサイドとルピナスサイドが合流するよ。 > では、早速未来を語ってみよう。 > 唯一つの手がかりは、しかし、その手をすり抜けた。 > 失意のうちで、取り戻した『たった一つ』。 > それを糧に、今また一つ、欠片を見つける。 > それこそが、全ての元凶であるとも知らず・・・・ > 次回、『時の旅人』37話、『真実の欠片』 紅:ではではまた次回以降でお会いできれば嬉しいです。さよーなら。 コ:おい紅、まわりくどい上にうっとおしいからやめろ。 ク:ですね・・言い訳にも程があります・・ 紅:うぐ・・・二人して言わなくてもいいじゃんか・・・ |
17564 | 種族(?)関係なしの友情なのです。 | 羅城 朱琉 | 2006/3/25 09:28:27 |
記事番号17562へのコメント >紅:どーもこんばんは紅です。最近漫画で見て気に入った言葉は「蛆虫の佃煮どもが」です。 >コ:品性を疑われるような発言をするな・・・っと、もともとそんなもんか。 >紅:うわひど。 >ク:はいはい・・では久方ぶりの・・感想です・・ 朱琉:こんにちは。私が『名ゼリフ』と思う言葉は、大抵泣ける言葉だと気づいた今日この頃です。 カタリ:で、電車の中でボロ泣きする、と。 朱琉:周りの視線を気にしないのがコツです。 カタリ:威張って言うことかい?それ。・・・・じゃあ、早速返レスだよ。 >>「アリエス・・・・明りくらい点けようよ。まあ、夜目が聞くことは知ってるけどさ。」 >>「あまり、気にならなかったから。そういえば、もう夜だっけ?」 >> そう言うと、フェリセはあっけにとられた後、くすくすと笑い出した。 >>「まったく、アリエスらしいというか、何と言うか・・・・。」 >紅:猫でも其処まで目はききませんよ。 >ク:電気代節約できそうですねえ・・ >コ:ねえよそんなもん。 朱琉:魔力は節約できるかも・・・・。 カタリ:あのねぇ・・・・。 朱琉:まあ、真面目な話、裏設定で『アリエスの目は光に弱い』というのがありまして、その裏返しで闇の中でもよく見えるかと。 カタリ:それにしても、見えすぎだと思うけど。 >>「『聖石の使徒』としては、でしょ?私は、『フェリセ=ニーランデル』が本当に私を心配してくれていることを知っているから。フェリセが何者になっても、フェリセ本人が変わろうとしない限り、心までは変わらないでしょ?」 >> アリエスは、そう言ってフェリセを見つめた。と、見る間にフェリセの瞳が潤んでいく。それが流れ落ちる前に・・・・ >>「アリエスぅ〜!!」 >>「ぅわっ!」 >> フェリセがアリエスに抱きついた。 >>「わっ・・・・私、こんなに嬉しいのって、うまれて初めてだよぅ〜〜!!!!」 >> しばらくアリエスは、ぽろぽろと涙を零すフェリセの背をゆっくり撫でていた。 >ク:いい人ですねえ・・確かに心なんてものは・・そう変わるものじゃありませんから・・ >コ:良きにせよ悪しきにせよ、な。 カタリ:うん、フェリセはとっても『いい人』。そして、とてもまっすぐだ。だからこそ、悲劇の多い運命に反発したんだろうね。 朱琉:それで、『聖石の使徒』が生まれたわけです。 >> アリエスは、半ば呆然としながらも、その話に頷いた。フェリセはそれを見て満足げに微笑み、先を続ける。 >>「実は『混沌の王』って、結構な人数がいるんだよ。それに対して、『時』を司る存在・・・・『時空の王』は、たった3人・・・・もとい、1人と1組しかいない。そして、たった一人で、全世界の半分の時間を担うのが、アリエスも知っている『輪転の女王(レジーナ・オブ・クロノス)』。本当の二つ名は、『螺旋の預言者』。世界を運命と言う名の鎖で縛る、悲劇の元凶。私たちの、倒すべき『敵』。」 >紅:話が突飛になってきましたね。 >コ:運命の存在の善悪なんざ俺にははかりかねるがな。ただ、気に入らなけりゃ壊すだけだ。 >ク:コウと私にとっての善悪は・・気に入るか気に入らないか・・ですから・・ 朱琉:確かに、突飛かも・・・・。この辺りは、完璧にオリジナルです。 カタリ:正確には、『前に書いていたオリジナルの設定を使った』ってわけだ。 朱琉:概念としては・・・・一つの世界を管理するのは神と魔王、もしくは幻神族と幻魔族(本質的には、人間)で、そうした世界を幾つかずつ管理する存在が『混沌の王』。これらは世界の物質、空間的なものを支配する。 それに対して、物質的なものに束縛されない『時間』を支配するのが『時空の王』。その境界は``魔法のある世界''と``魔法の無い世界''の区分で分けられて、一人と一組存在する・・・・といった感じです。 カタリ:長い上にややこしい・・・・ 朱琉:いつか、どこかで纏めます・・・・多分。 >> フェリセの言ったことをアリエスが認識するまで、たっぷり5分くらいかかった。そして一言。 >>「冗談・・・・だよね?」 >>「この状況で冗談言うほど悪趣味じゃないけど。・・・・証拠見せろって言われると困るけど・・・・。私の創った世界は、もう滅んじゃってるし・・・・力はまだ6割くらいしか戻ってないし・・・・」 >> 頭を捻るフェリセを、アリエスはまじまじと眺めて・・・・力の入っていない指でフェリセを指す。 >>「・・・・『混沌の王』!?フェリセが?」 >>「元、ね。運命に反発して追放された、元・混沌の王。今は、『聖石の使徒』盟主で、相変わらず『打倒、運命!』を掲げてる、アリエスの親友フェリセ=ニーランデル。」 >紅:めちゃくちゃお偉いさん!? >コ:六割でもたいしたもんだろ、アリエスもえらい親友を持ったな。 >ク:すごい方だったんですねえ・・ カタリ:元・お偉いさんだね。六割の力じゃ、運命に対抗できないし。 朱琉:それで、アリエスの親友。種族(?)超越した友情です(笑) >> その表情は、能面の如き無表情。ドアを無感動に見つめて、アリエスは呟いた。 >>「やはり、知りませんでしたか。まあ、当然といえば当然ですね。」 >> その声は、氷よりも冷たくて、凪の海よりも平坦で。 >>「私は、アリエス=オルフェーゼ=ヴィータ=フェラナート。『四大家』が一つ、``封じ’’のフェラナートの名を継ぐ者。」 >> それでいて、まるで全てを悟ったかのようで。まるで、全てを諦めたかのようで。 >>「謝罪はしませんよ・・・・フェリセ、ルピナス、レン。私は、皆を裏切ります。」 >> しかし、闇を映した瞳に、確かな決意の色を浮かべて。 >>「私は・・・・シーシェンズ家に、会いに行きます。」 >> >> 四大家が一つ、シーシェンズ家。その冠する名は``許し’’。 >> それが、何にとっての``許し’’なのか・・・・アリエスは今、全てを知って立っていた。 >ク:その裏切りが・・正しいのかどうか、私にはわかりませんが・・ >コ:そんなこたぁ関係ねえさ。絶対に正しいことなんてこの世界にはねえんだからな。だったら自分の信念を貫くべきだろ。 カタリ:裏切り・・・・っていうか、なんて言うか・・・・。 朱琉:アリエス的には、それを『裏切り』と思っているんですが、本当の意味で裏切っているのではないかもしれません。 カタリ:この『裏切り』に関することは、第5部への伏線というわけさ。 >> あとがき、或いは語り部の告げる未来 >>語:やあ!久しぶりだね、元気だったかな?朱琉が全く元気じゃなかっただけ、少し心配だよ。 >> さて、ようやくフェリセの正体が判明したね。さて・・・・そろそろ、この第4部も佳境。あと4話+αでアリエスサイドとルピナスサイドが合流するよ。 >> では、早速未来を語ってみよう。 >> 唯一つの手がかりは、しかし、その手をすり抜けた。 >> 失意のうちで、取り戻した『たった一つ』。 >> それを糧に、今また一つ、欠片を見つける。 >> それこそが、全ての元凶であるとも知らず・・・・ >> 次回、『時の旅人』37話、『真実の欠片』 >紅:ではではまた次回以降でお会いできれば嬉しいです。さよーなら。 >コ:おい紅、まわりくどい上にうっとおしいからやめろ。 >ク:ですね・・言い訳にも程があります・・ >紅:うぐ・・・二人して言わなくてもいいじゃんか・・・ 朱琉:はい、では、また。 二人:今回は、この辺で! |