◆−冥王の騎士3−D・S・ハイドラント (2003/1/17 13:42:54) No.12914
 ┣クイズの正解発表−D・S・ハイドラント (2003/1/17 13:45:33) No.12915
 ┣冥王の騎士3:29章:行く道に燃ゆる焔 汝の何を意味す−D・S・ハイドラント (2003/1/17 14:52:17) No.12917
 ┣冥王の騎士3:30章:女神と亡霊≪出張編≫−D・S・ハイドラント (2003/1/17 14:54:07) No.12918
 ┣冥王の騎士3:31章:悪魔を意味せしものは誰?−D・S・ハイドラント (2003/1/17 14:56:56) No.12919
 ┃┗Re:冥王の騎士3:31章:悪魔を意味せしものは誰?−渚 (2003/1/17 16:22:11) No.12920
 ┃ ┗Re:冥王の騎士3:31章:悪魔を意味せしものは誰?−D・S・ハイドラント (2003/1/17 16:56:49) No.12924
 ┣冥王の騎士3:32章:追憶の中 仮面の嘲笑−D・S・ハイドラント (2003/1/17 19:46:02) No.12926
 ┃┗Re:冥王の騎士3:32章:追憶の中 仮面の嘲笑−エモーション (2003/1/17 21:01:08) No.12927
 ┃ ┗Re:冥王の騎士3:32章:追憶の中 仮面の嘲笑−D・S・ハイドラント (2003/1/17 21:33:49) No.12929
 ┣冥王の騎士3:33章:光は笑い 闇は告げる−D・S・ハイドラント (2003/1/18 18:32:27) No.12949
 ┃┣Re:冥王の騎士3:33章:光は笑い 闇は告げる−エモーション (2003/1/18 22:42:55) No.12953
 ┃┃┗Re:冥王の騎士3:33章:光は笑い 闇は告げる−D・S・ハイドラント (2003/1/18 23:02:29) No.12957
 ┃┗冥王の騎士3:34章:彼の流れは如何なる元へ?−D・S・ハイドラント (2003/1/18 22:57:42) No.12956
 ┃ ┗冥王の騎士3:35章:雪解けの焔 地を焼くことなかれ−D・S・ハイドラント (2003/1/19 16:42:52) No.12969
 ┃  ┗冥王の騎士3:36章:遭遇 それは流れとなるか−D・S・ハイドラント (2003/1/19 19:21:16) No.12972
 ┃   ┣Re:冥王の騎士3:36章:遭遇 それは流れとなるか−渚 (2003/1/19 22:07:51) No.12977
 ┃   ┃┗Re:冥王の騎士3:36章:遭遇 それは流れとなるか−D・S・ハイドラント (2003/1/20 15:54:51) No.12986
 ┃   ┣Re:冥王の騎士3:36章:遭遇 それは流れとなるか−エモーション (2003/1/19 23:34:14) No.12981
 ┃   ┃┗Re:冥王の騎士3:36章:遭遇 それは流れとなるか−D・S・ハイドラント (2003/1/20 16:02:07) No.12987
 ┃   ┗冥王の騎士3:37章:最終絶頂美計画(?)−D・S・ハイドラント (2003/1/20 18:29:53) No.12994
 ┃    ┣冥王の騎士3:特別章:姉弟の焔(エモーションさんへ)−D・S・ハイドラント (2003/1/20 19:59:27) No.12996
 ┃    ┃┗ゼラス様……(苦笑い)−エモーション (2003/1/20 21:30:34) No.12998
 ┃    ┃ ┗Re:ゼラス様……(苦笑い)−D・S・ハイドラント (2003/1/20 21:48:19) No.13002
 ┃    ┣……ノーストって……(滝汗)−エモーション (2003/1/20 21:17:11) No.12997
 ┃    ┃┗Re:……ノーストって……(滝汗)−D・S・ハイドラント (2003/1/20 21:41:47) No.13001
 ┃    ┣Re:冥王の騎士3:37章:最終絶頂美計画(?)−渚 (2003/1/21 07:43:25) No.13010
 ┃    ┃┗Re:冥王の騎士3:37章:最終絶頂美計画(?)−D・S・ハイドラント (2003/1/21 14:33:22) No.13011
 ┃    ┗冥王の騎士3:38章:超えしものたちは 何を持つて輝きを得るか−D・S・ハイドラント (2003/1/21 19:39:33) No.13022
 ┃     ┣Re:冥王の騎士3:38章:超えしものたちは 何を持つて輝きを得るか−エモーション (2003/1/21 22:46:25) No.13024
 ┃     ┃┗Re:冥王の騎士3:38章:超えしものたちは 何を持つて輝きを得るか−D・S・ハイドラント (2003/1/21 22:56:31) No.13026
 ┃     ┗冥王の騎士3:39章:狂気の再生 だが死の淵にて−D・S・ハイドラント (2003/1/22 13:41:30) No.13032
 ┃      ┗冥王の騎士3:40章:死を拒みし魔人 闇もたらす悪魔−D・S・ハイドラント (2003/1/22 15:28:55) No.13033
 ┃       ┗冥王の騎士3:41章:闇より救うのは女神?−D・S・ハイドラント (2003/1/23 15:51:55) No.13052
 ┃        ┗冥王の騎士3:42章:女神と亡霊の別離−D・S・ハイドラント (2003/1/23 15:53:24) No.13053
 ┃         ┣冥王の騎士3:43章:砕け散った月 仰ぎし女神と優しき悪魔−D・S・ハイドラント (2003/1/24 13:47:26) No.13067
 ┃         ┃┣ウニ乱投……違う。−エモーション (2003/1/25 00:12:03) No.13078
 ┃         ┃┃┗Re:ウニ乱投……違う。−D・S・ハイドラント (2003/1/25 10:17:43) No.13083
 ┃         ┃┗冥王の騎士3:44章:昏き世界へ何もたらさん−D・S・ハイドラント (2003/1/25 12:41:42) No.13086
 ┃         ┃ ┗Re:冥王の騎士3:44章:昏き世界へ何もたらさん−エモーション (2003/1/25 21:51:25) No.13100
 ┃         ┃  ┗Re:冥王の騎士3:44章:昏き世界へ何もたらさん−D・S・ハイドラント (2003/1/26 11:59:25) No.13105
 ┃         ┗ミス発見−D・S・ハイドラント (2003/1/26 17:51:03) No.13116
 ┣冥王の騎士3:45章:焔よ 消ゆることも運命なり−D・S・ハイドラント (2003/1/26 18:05:57) No.13117
 ┃┗冥王の騎士3:46章:だが我に向けるべきは 剣でなきと思わぬかね−D・S・ハイドラント (2003/1/26 19:30:06) No.13118
 ┃ ┣ある意味黒幕……−エモーション (2003/1/26 21:16:06) No.13123
 ┃ ┃┗Re:ある意味黒幕……−D・S・ハイドラント (2003/1/26 22:05:50) No.13126
 ┃ ┣Re:冥王の騎士3:46章:だが我に向けるべきは 剣でなきと思わぬかね−渚 (2003/1/26 22:15:47) No.13128
 ┃ ┃┗Re:冥王の騎士3:46章:だが我に向けるべきは 剣でなきと思わぬかね−D・S・ハイドラント (2003/1/26 23:11:29) No.13131
 ┃ ┗冥王の騎士3:47章:いえいえ 言葉はいりません−D・S・ハイドラント (2003/1/27 14:28:20) No.13140
 ┃  ┗冥王の騎士3:48章:悪魔に魅せられし女神−D・S・ハイドラント (2003/1/27 15:50:46) No.13141
 ┃   ┗冥王の騎士3:49章:我 我でしかなき 汝思いし過去に重ねるべからず−D・S・ハイドラント (2003/1/27 18:14:48) No.13144
 ┃    ┣主役は酷い状況だけど、らぶらぶなカップルが2組……。−エモーション (2003/1/27 21:52:12) No.13150
 ┃    ┃┗Re:主役は酷い状況だけど、らぶらぶなカップルが2組……。−D・S・ハイドラント (2003/1/27 22:34:36) No.13152
 ┃    ┗冥王の騎士3:50章:走らんことを 長き時に潰れぬように−D・S・ハイドラント (2003/1/28 18:36:55) No.13155
 ┃     ┣Re:冥王の騎士3:50章:走らんことを 長き時に潰れぬように−エモーション (2003/1/28 20:57:17) No.13158
 ┃     ┃┗Re:冥王の騎士3:50章:走らんことを 長き時に潰れぬように−D・S・ハイドラント (2003/1/28 21:18:16) No.13160
 ┃     ┗冥王の騎士3:51章:優しい時間−D・S・ハイドラント (2003/1/29 13:51:10) No.13167
 ┃      ┗冥王の騎士3:52章:無明の夜 欠片探せぬ痛み−D・S・ハイドラント (2003/1/30 14:52:52) No.13178
 ┃       ┗冥王の騎士3:53章:世界に希望を−D・S・ハイドラント (2003/1/30 17:43:40) No.13180
 ┃        ┣Re:冥王の騎士3:53章:世界に希望を−エモーション (2003/1/30 21:17:05) No.13183
 ┃        ┃┗Re:冥王の騎士3:53章:世界に希望を−D・S・ハイドラント (2003/1/30 21:36:35) No.13185
 ┃        ┗冥王の騎士3:決章:明日の標−D・S・ハイドラント (2003/1/31 18:20:32) No.13192
 ┃         ┗Re:冥王の騎士3:決章:明日の標−エモーション (2003/1/31 21:07:45) No.13197
 ┃          ┗Re:冥王の騎士3:決章:明日の標−D・S・ハイドラント (2003/1/31 21:25:47) No.13199
 ┗後書き−D・S・ハイドラント (2003/2/1 12:46:11) No.13208
  ┗Re:後書き−渚 (2003/2/4 16:39:41) No.13228
   ┗Re:後書き−D・S・ハイドラント (2003/2/4 16:52:47) No.13229
    ┗追記−D・S・ハイドラント (2003/2/4 16:53:41) No.13230


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12914冥王の騎士3D・S・ハイドラント 2003/1/17 13:42:54


とりあえず連続でいきます。

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12915クイズの正解発表D・S・ハイドラント 2003/1/17 13:45:33
記事番号12914へのコメント

>冥王の騎士:旅立ちに祝福を
>
>冥王の騎士2:常闇に忠誠を
>
>冥王の騎士3:世界に希望を
>
>ここでクイズです。
>
>このタイトルの由来はどこからでしょう。(冥王の騎士1〜3の文中にあります。)

正解はサンチーンミ教の祈りの言葉っぽい

創造に祝福を

運命に忠誠を

救済に希望を

からです。

正解者はこちらにリク内容を書いたレスをくださいませ・・・。

それでは〜

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12917冥王の騎士3:29章:行く道に燃ゆる焔 汝の何を意味すD・S・ハイドラント 2003/1/17 14:52:17
記事番号12914へのコメント

 その美しい牙が煌いた。獲物に飛び掛る。だがそこに対峙する銀の獣に阻まれ、火花を散らし合う。弾かれたのは初めの獣、だが退歩の直後に反撃、2つの牙はやがて押し合い、そして避けるのは、後の獣、初めの獣は獲物に向けて飛び掛る。後の獣が幾度も立ち塞がるも、それは押され続け、反撃出来ず。合間を縫った一撃が、そして響き渡る。すべてが静止した。沈黙が続き、やがて世界の外よりの歓声がそれを打ち砕く。勝利せし誇り高き獣は天に輝きの牙を掲げる。

 「勝者シェーラ・ジェネラル!」
 すべてを突き破って届く声、世界を見回せば、無数の人々、そして、その区画の1つに1人の少年の姿を見つけ、熱気に目を背ける。
 試合はけして長くは続かなかった。シェーラの実力は相手の騎士を遥かに越えていただろう。
 「ははは・・・負けましたよ。」
 闘いの相手が手を伸ばしてくる。
 20代後半ほどの長い金髪の騎士だ。少々幼げに見える部分もあり白い肌に、白絹の衣服。シェーラは遠慮がちに微笑みつつその手を取った。

 剣術大会は近衛騎士団≪ヴァン・レイル≫の上位15名がトーナメント形式で闘う競技である。今回は特別参加者2名が加わっているが・・・。
 競技内容は剣による1対1の戦闘、剣の刃はあらかじめ、魔法によって相手を傷付けないようにしておく。先に相手の身体に刃を触れさせた方が勝利。相手に触れれば音が鳴るという魔法も同時に掛けられているのだ。かなり単純な内容だが、極限の緊張感を再現したその闘いは観衆を魅了する。
 
 シェーラは返す言葉もなくその場を去った。歓声が響き渡る。足音も簡単に掻き消されてしまう。
 それが彼女の心にもたらすものなど微々たるものでしかなかった。
 彼女が去ればすぐにも次の闘いが始まるだろう。
 やがて光が薄まり、その静寂が強まる。その廊下を渡り、そしてやがて再び光・・・。やがて1つの扉の前へと、闘技場に全部で15ある控え室の1つへと・・・。

 部屋はさほど広いわけではないが、それでもゆったりとした椅子――複数個ある――や上質の卓の上には魔力式のポット、照度の高い魔力灯、さらには魔法の鍵が付いているなど、かなりの良質なものだ。
 椅子に座り。ただ時を刻む、呼吸の音が大きく、自らの鼓動が鮮明になっていった。
 その時、扉を叩く音、
 「シェーラ、僕だよ。」
 少年の声、それに反応したシェーラはすぐさま、扉の鍵を外す――遠距離からでも開錠が可能――。
 「失礼致します。」
 フィブリゾの他、後からダイも入って来た。
 座る席は、卓の奥にシェーラ、左右にはフィブリゾとダイ、椅子は1つ空いている。
 「おめでとうシェーラ。」
 沈黙は即座に消える。
 「・・・あ、はいありがとうございます。」
 どうにも、その声には慣れることが出来ず、頬を赤める。だが声としては明るいものであった。
 「あっ僕からもおめでとうございます。」
 ダイの声に頷き、
 「あっありがとうございます。」
 返すが先ほどよりは曇った印象、ダイは微笑むものの、確かな翳りが生まれていた。
 「このまま優勝目指してね。」
 フィブリゾが笑顔でシェーラを見つめると、その蒸気が増す中、
 「でも・・・ダイ殿にはかないませんよ。」
 と視線をダイに戻し、微笑み掛ける。
 「いえいえ、僕如きがあなたに勝てるだの思っていませんよ。国内最強の騎士だという噂もあるじゃないですか・・・。」
 「ふう〜ん。」
 フィブリゾは若き騎士団長を値踏みするような視線に見つめ、そして・・・。
 「じゃあ、シェーラに勝てたら、シェーラは君にあげるよ。」
 そして呆然とするシェーラに、フィブリゾは向き直り、
 「それで良いよね・・・シェーラ。」
 「えっ!」
 思わず声を上げる・・・それでも遠慮を含めていたが・・・。
 「決まりだよ・・・じゃあ2人とも決勝まで残ってね。」
 そしてフィブリゾは立ち上がりすぐに去っていった。
 その後姿を見つめつつ、ダイもシェーラもしばし動けずにいた。

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12918冥王の騎士3:30章:女神と亡霊≪出張編≫D・S・ハイドラント 2003/1/17 14:54:07
記事番号12914へのコメント

 映りし世界はすべてその眼に入り込み、漏れなく感嘆を誘う。だがそのなきに等しい輝ける虚像の数の希薄さが、涙を同時に・・・。紅に染め上げられし瞳の煌きに、人々は魅入られていく。そして、覗き込まれていくのも彼女には不快ではありえなかった。
 「姉上、私から離れないでくださいね。」
 隣を歩く男は眼差しまでも微笑みを浮かべている。温かくもあり極寒でもあった。
 「分かっているわよ。」
 少し強めに返事し、溜息。解放はどれだけの昔よりの夢か・・・。だがそれも唐突なものだ。けして偽りでしかなくとも――。
 ネージュは輝きに満ちていた。掻き分けられた雪を見る容貌も普段とは明らかに違っていた。どちらがより魅力的であるかは別としてだが・・・。
部屋で着ていたものとは違う白の衣服、温かくゆったりとしていて、全身に連なるものだ。
 「ねえ手繋いで良い?」
 ネージュはか細く儚い声をノーストに向けた。その息吹の流れは青年にまで伝わりゆく。
 「それはなりません。私などの汚らわしい手であなたの美しい御手を汚すことなど恐れ多すぎる。」
 冷気が戻る。その時、幻想の渦が逆巻き、消え去り行くのを感じたが、それも同じ幻であると、景色は覚醒へと導いてくれた。
 「とにかく早く向かいましょう。」
 ノーストの言葉に遅れて頷き、
 「そうね。」
 歩を進めた。
 雪の街、この時は静寂など欠片もない。だが安息を求めしものもおらぬ、すべてはただ期待の中にいる。

 1階ホールから正面、ただ歩けば闘技場はある。それ以外の場所へは一般の人々に、けして入られぬように警備兵が配置されている。
 彼は一般ではけしてないのだが今日はただ同じ道を歩み、そして同じく闘技場へと辿り着く。観客席にはすでに歓声が渦巻いていた。
 唯一静寂なのはダイナスト公やその側近達のいる区画。他とは切り離された別世界。見ゆるものは断じて同じなのだろうが・・・。
 それとは全く離れた域に2人は腰掛ける。比較的ひらけた場所を選んでだ。ただ椅子状に切り込まれた石の塊なのでその冷たさが肉体に伝わり来る。
 「温熱(ヒーター)」
 ノーストの呟きとともに放たれた構成が世界に熱を生む。それは腰掛ける冷たい椅子にも伝わった。
 「・・・ありがとう。」
 微笑み掛ける。その美貌が辺りに沈黙をもたらしているのにも気付かず・・・。
 「いえいえ、それよりもすでにいくつか試合が終っているよう。むしろ私はあなたに謝るべきだろう。」
 表情を曇らせる。
 「良いのよ・・・そんなことは・・・。」
 冷たさが戻りつつあるのを再び感じる。
 「どうも申し訳ありません。あなたに慈悲を掛けられたこと大変光栄に思います。」
 すでにそれは陶酔の境地、歪んだ世界に堕ちてしまっている弟。いつからだろう。暗雲が過ぎる。
 その弟は音もなく立ち上がると、
 「私は少々用事がありまして・・・すぐに戻りますが、その間充分にご注意を・・・。」
 突如取り出したそれ・・・。悪魔の微笑みが浮かぶ。幻影だとは分かっていたが・・・。
 黒金の腕輪を姉へと渡す。その先には鎖・・・そして先には楔・・・。それを石に突き刺すと、
 「念のためです。それをはめてください。」
 それには確かな魔力が宿されていた。だがそれに気付くこともない。
 しばし眺めた後、それをはめ込む。充分に腕に余裕があった。
 「では、本当にしばしの間なので・・・。」
 ノーストは立ち上がる。それにより後の席から下が観えなくなるのだが、お互い干渉することはなかった。
 ただ背後の視線は奇妙なものであった。まさに恍惚のそれであった。
 だがネージュは構うことはない。
 まず・・・この腕輪は魔力により外せない。部屋の時と基本は同じものであった。
 溜息が昇る中、次の試合が始まろうとしていた。

     ◇◆◇◆

 「第5試合、両者御入場を・・・」
 響き渡る声とともに、それぞれの廊下から向かい合うように歩いてくる2人。
 1人は白の衣服に銀の短髪の若い騎士、もう1人は黒髪に漆黒の服装の男。・・・アイン・オーフェン。

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12919冥王の騎士3:31章:悪魔を意味せしものは誰?D・S・ハイドラント 2003/1/17 14:56:56
記事番号12914へのコメント

 「選手、北、特別参加者アイン・オーフェン、南、≪ヴァン・レイル≫前年度6位騎士、カシフォード・ピグマリスタ。」
 声が響き、そして互いに抜きあう白き刃、煌きが、歓声を誘う。
 「試合開始!」
 そして静寂が覆う、研ぎ澄まされていく五感、すべてで相手を感じ取る。
 その間も長くなく、地を蹴り、跳び掛かりくる相手。その眼差しはけして逃しはしない。
 迎え撃つ・・・それは一瞬。緊張の波が最高潮に留まるも、それでも黙視を続けた。
 「へへ、剣を使うのは何年振りになるかな。」
 だが、睨みつけるような自分の容貌の像とはかけ離れ過ぎているだろう相手・・・笑っていた。
 その勢いを完全に把握していても、動揺が雪崩込み、視界が揺れた。高鳴る鼓動のその一瞬が重い、冷や汗が突如に奔流を始めた。歯噛みしつつ、無理矢理に視界を戻したのだが――遅れすぎた。
 鳴り響くのは栄光と、そして同時に敗北をもたらすその音。カシフォード・ピグマリスタ――その誇り高き騎士には紛れもなく後者、その音にしか聞こえなかった。
 「勝者アイン・オーフェン。」
 一瞬のことであった。重く圧し掛かる悔しさ、恥辱・・・それが心に激震をもたらしている。それが怒りにそして憎しみにも思えてきた。
 「俺の勝ちだな。ったく、相棒が使用禁止だもんな。あいつがあれば、勝負なんて・・・おい、いつまで寝てんだ。」
 歩み寄る黒い男――そう彼は悪魔だ。間違いない。闇に燃ゆる焔の揺れは強まりそして暗黒に染め上げられていく。
 「この・・・悪魔が・・・」
 上げた声・・・。歓喜の余韻の中でもそれは紛れもない異変であった。
 「よくも私を愚弄したな悪魔め!」
 と怒気と狂気の笑みが混ざり合う。
 そこには歓声ではなくその様をただ観るのみ、刃の如し沈黙の凝視だ。
 「誇り高き騎士さんがそんな態度か、落ちぶれたもんだな。」
 「光よ!」
 閃光が走る。それは一直線に黒い男へ向かう。光がそして世界を覆った。
 「危ねえな。・・・にしても魔法は禁止だろうが、てめえの方がよっぽど悪魔だろうが!」
 叫び・・・自分を侮辱している。
 その刃が彼を怒らせた。狂わせた。
 「・・・殺す。」
 立ち上がり剣に触れると、
 「流れよ!」
 魔力が消え去り、白刃は、なおも輝いてい見えた。
 「貴様の骸を、我等が公爵様に捧げてくれよう。」
 そして飛び掛る。すでに枷は外された、その魔力の鞘は――。
 だが笑っている。自分を嘲笑っている。
 悪魔の余裕の笑みはなおも彼を抉る。そして光の刃は悪魔を討たんがために突き進む。流れる時は一瞬。
 「残念だな。」
 そう呟くと、右手が素早く動く、鎖の鳴る音、そして次の瞬間には――。軽い金属の音ともに鎖を巻き付けられた自らの剣。それが見えたのは一瞬。次の幕開けの頃には刃は砕け散り、そして衝撃が走ると世界が暗黒に飲まれた。

     ◇◆◇◆

 「きゃああアイン最高〜♪」
 眼下には、地に伏す騎士にそして黒い男、その場から立ち去ろうとしている。
 「優勝目指してね〜!」
 他の歓声に負けじと、強烈とも言える声を放つ。
 「・・・。」
 ただ呆然としているガーヴ、そして視線は観客席のあちこちを見回している。
 (何か不自然だな?)
 そう思いつつ再び新たな視界を見やる時、それに気付いた。
 時折見せる不可解な、客達の視線、それの先にあった。
 1人の美女がいる。絶世の美女とも言える。どこか哀しげだ。そしてとてつもなく魅力的だ。
 「どうしたの?」
 「あ、いや何でもねえよ。」
 エルは腕を伸ばし、ガーヴに擦り寄る。熱が伝わり来る・・・。だがそれだけであった。
 視線の焦点は定まらず、時たま、例の美女を見つめていた。
 「本当に?」
 ガーヴは頭を振って、
 「大丈夫だ!いい加減に離せ!」
 そして普段に還る。
 美女は微動だにしない。

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12920Re:冥王の騎士3:31章:悪魔を意味せしものは誰?2003/1/17 16:22:11
記事番号12919へのコメント

やっぱりシェーラは強い!
今までフィブのために戦ってきて、その分も強くなってきましたねー。
ダイ、には勝てるのか・・・・・男と女の力量差が出るのか、
シェーラがそれを覆すのか、どちらだろう。
いい勝負にはなりそう。
しかし、フィブもなんていうことは言うのか・・・・
シェーラを信じて言ったんだろーけど、
自分の身を守るためにも勝たなければ(笑)
シェーラもダイも、ただの冗談で受け取ったのかな?
シェーラはいつも、フィブの予想外の言葉に振り回されますね。

アインも強いなー。うーむ、最後に残るのは誰だろう。
シェーラとアインだったら、エルはどちらを応援・・・・アインっぽいな(笑)
ガーヴが言っているのはネージュさんですか?
このネージュさんとノーストは、これからの話にどう加わっていくのかも楽しみにしてますね。
それでは、失礼します。

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12924Re:冥王の騎士3:31章:悪魔を意味せしものは誰?D・S・ハイドラント 2003/1/17 16:56:49
記事番号12920へのコメント


>やっぱりシェーラは強い!
かなり強いはずです。
>今までフィブのために戦ってきて、その分も強くなってきましたねー。
壮絶な経験ですからねえ・・・。
>ダイ、には勝てるのか・・・・・男と女の力量差が出るのか、
>シェーラがそれを覆すのか、どちらだろう。
どうなるのでしょう・・・。
>いい勝負にはなりそう。
>しかし、フィブもなんていうことは言うのか・・・・
>シェーラを信じて言ったんだろーけど、
そうでしょうね。
>自分の身を守るためにも勝たなければ(笑)
>シェーラもダイも、ただの冗談で受け取ったのかな?
>シェーラはいつも、フィブの予想外の言葉に振り回されますね。
その点では最強キャラかも・・・。
>
>アインも強いなー。うーむ、最後に残るのは誰だろう。
剣よりペンダントの方が得意武器のようですけど・・・。
>シェーラとアインだったら、エルはどちらを応援・・・・アインっぽいな(笑)
そうですねたぶん。
>ガーヴが言っているのはネージュさんですか?
恐らく・・・というかこれで違ったやたらと複雑になりまくりそう。現状でもかなり混乱してますし・・・。
>このネージュさんとノーストは、これからの話にどう加わっていくのかも楽しみにしてますね。
>それでは、失礼します。
それでは
レス大変感謝です。どうもありがとうございます。

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12926冥王の騎士3:32章:追憶の中 仮面の嘲笑D・S・ハイドラント 2003/1/17 19:46:02
記事番号12914へのコメント

 足音が鮮明になってきた。気配が明白になってきた。忍び寄る影、銀色の短い髪はそれでも揺れていた。
 「おお、ノースト殿ではないですか・・・どちらへ?」
 警戒を強調させる兵士、一瞥した若い男は・・・。
 「耳障りだ。」
 衝撃が走り、兵士は闇に堕ちていった。
 溜息1つの後、亡霊は歩き出す。微かに笑みも浮かんでいた。そしてそれは未来を予期したそれ・・・。
 向かう先は歪んだ楽園、それは屍に咲く花の園。(何か滅茶苦茶怖いなこの言葉)
 (ふふふ、まずはあなたから消えていただこう。)
 足音は迷いなく向かった。恐れはけしてない。闇が在ろうとも同化するのみ。さすれば喰らわれることなく、道を進める。・・・自らも闇、なお暗き闇なのだ。
 少しずつ足音を進めゆく。ただ焦ることも、歩を緩めることもなく。ただ標的へと冷たい響きを届ける。死へと秒刻でもあるそれを・・・。

     ◇◆◇◆

 静寂で満たされていたのも束の間、
 「ところで、ダイ殿、前回の大会はどうだったんですか。」 
 初めに破ったのはシェーラ、仕方ないのかも知れないが、声は小さく消えそうなそれであったが・・・。
 「僕が優勝したわけで騎士団長になったんですからね。」
 と笑みを浮かべる。それはいつもの通りでむしろ魅了するものであった。
 「そうだったんですか。」
 驚きは小さくあったが、魅了の影響もまた、以前ほどには感じられない。耐性だろうか・・・それとも・・・。
 「ええ、大会は毎月行われますけど、その1年の総合結果によって団長は決まるんです。」
 微笑みを浮かべつつであったが、口調としては淡々としていた。
 「まあ僕だってずっと団長やってるわけではないですし・・・」
 そして深い溜息・・・。シェーラはただ見守っていた。
 「昔の団長は僕にも尊敬できる素晴らしい人だったんですよ・・・。」
 再び溜息、シェーラは、ダイの追憶の駆け巡る様を少し想像してみた。だがさほどの間がなき内に、
 「ウォード・ピグマリスタという方だったんですけど・・・。常勝無敗で、それいでいて部下にも信頼され、優しくもあり、冷酷にもなれる。素晴らしい人でした。」
 表情は曇っており、そして何かが溢れ出そうだ。沈黙を続けた。
 「ですけど・・・あの日・・・あの日に・・・。」
 そこで言葉が途切れ途切れとなる。口調は震えていた。
 「大丈夫ですか。」
 シェーラは声を開くも、遠慮がちになり、発言を後悔もする。
 「だ、大丈夫です。ちょっとあの時のことを思い出したもので・・・。続き聞きます?」
 すでに余裕の笑みが戻っていた。
 「え、でも大丈夫なんですか・・・。」
 「ええ、もう今度こそ大丈夫ですから・・・。」
 シェーラはしばし悩む、思考は幾度も回天しゆく。そして・・・
 「・・・ではお願いします。」
 凍り付きかけた言葉を無理にも押し出した。
 「では続きといきましょう。」
 ダイの顔付きは再び雲を帯びたが、
 「あの日、ウォード殿は部下とともに雪影賊討伐任務より帰還したのですが、賊を狩ることは出来なかったようでした・・・。」
 暗く沈んでいくのが分かる。
 「雪影族ですか・・・。」
 そう呟くのみ。
 「その時、伝説の勇者の末裔の名で有名なヒムド殿が、ウォード殿が雪影賊と裏で関わるがあるのではないかと、言い掛かりを付け、そしてついに事態は決闘にまで及びました・・・。」
 その1呼吸でさえも長く感じられる。緊迫が強まり・・・。
 「ウォード殿は決闘に敗れ、殺されました。・・・それも無惨に、」
 表情に翳りが満ちて・・・。
 「なのに、誰もヒムド殿を咎めはしませんでした。ウォード殿があのような低俗な輩どもとつるむはずなどないのに・・・。」
 涙こそなかったが、その兆しの絶頂に達しようとしていた。
 「すみません・・・このようなお話をしてしまって・・・。」
 シェーラはその暗雲に負けじと・・・。
 「いえ、どうもありがとうございました。」
 輝ける声を放つも、それより沈黙が流れた。

 「シェーラ様、第2回戦が間もなく始まります。」
 それはしばしの間の後であった。

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12927Re:冥王の騎士3:32章:追憶の中 仮面の嘲笑エモーション E-mail 2003/1/17 21:01:08
記事番号12926へのコメント

こんばんは。

新ツリー&再開ですね♪
来てみたら記事がたくさんあったので、驚きました。

無事に一回戦を勝ち抜いたシェーラちゃん。
何だかフィブリゾ君がとんでもない事言い出しましたね。
それだけ信じているのでしょうけれど、これはチャンスだよね、サイコロ君。
目指せ逆玉!コールしている私としましては、サイコロ君を応援します(笑)
また、アイン君、何だか言動が怪しくなってきたようにみえますが……
気のせいでしょうか?
そして……ガーヴ様とエル様、どうみてもデート中ですね(爆)
しかもガーヴ様がネージュさんを見て、慌てて誤魔化す辺りは、
ほとんど「デート中につい彼女以外の美女に目がいって彼女に気づかれ、
慌てて誤魔化す彼氏」みたいでした。

サイコロ君が話した前団長と久々の心の魔王ヒムド君の因縁。
雪影賊って何やら裏がもの凄くありそうですね。

……ところで、クイズって私は正解に入るんでしょうか?
確信つきつつ、どっか外しているように思えるんですけれど。

では、この辺で失礼します。

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12929Re:冥王の騎士3:32章:追憶の中 仮面の嘲笑D・S・ハイドラント 2003/1/17 21:33:49
記事番号12927へのコメント


>こんばんは。
こんばんはです。
>
>新ツリー&再開ですね♪
>来てみたら記事がたくさんあったので、驚きました。
実は昨日も書いていたので・・・
>
>無事に一回戦を勝ち抜いたシェーラちゃん。
本当に短い戦いでしたが・・・。
>何だかフィブリゾ君がとんでもない事言い出しましたね。
そうですね。
>それだけ信じているのでしょうけれど、これはチャンスだよね、サイコロ君。
かなりのチャンスです。
>目指せ逆玉!コールしている私としましては、サイコロ君を応援します(笑)
>また、アイン君、何だか言動が怪しくなってきたようにみえますが……
>気のせいでしょうか?
ガーヴに似てきたような・・・まあどちらかというとガーヴの方が冷静でアインは喧しい感じにしようと・・・。
>そして……ガーヴ様とエル様、どうみてもデート中ですね(爆)
そうですね彼の胸中はどうか分かりませんけど・・・。
>しかもガーヴ様がネージュさんを見て、慌てて誤魔化す辺りは、
>ほとんど「デート中につい彼女以外の美女に目がいって彼女に気づかれ、
>慌てて誤魔化す彼氏」みたいでした。
そろそろガーヴも観念したかも・・・。
>
>サイコロ君が話した前団長と久々の心の魔王ヒムド君の因縁。
>雪影賊って何やら裏がもの凄くありそうですね。
まああるでしょうね。
>
>……ところで、クイズって私は正解に入るんでしょうか?
>確信つきつつ、どっか外しているように思えるんですけれど。
私は正解かと思っておりますが、判断はあくまで御本人に御任せいたします。
>
>では、この辺で失礼します。
どうもありがとうございます。

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12949冥王の騎士3:33章:光は笑い 闇は告げるD・S・ハイドラント 2003/1/18 18:32:27
記事番号12914へのコメント

 「ミックス殿、ご気分はいかがですかな。」
 瞬く間に鳴った短い音ともに、迫り来る、僅かな闇の浸食が光に消えた。そして気配とともに、冷たい声が差し込む。遅れて部屋の明かりが凍てついた美貌を映し出した。まるで銀世界の如し、ただその中で春の果実だけが踊っていた。
 「独りはそれなりに好きでね。悪くはないよ。」
 円卓の中心に向かい合う、椅子の奥側――つまり入ってきた相手に向かい合うようになっている――に腰掛けた、全身漆黒の男は枯れた声を上げる。色素不足によるそれとは違った血色の眼差しだけが姿を見せている。輝くそれは不気味でもあった。普段見るそれよりもなお・・・。
 部屋は隅に棚などがいくつかあるだけでそう散らかってはいない。まず広さがそれなりにあった。また暖房器具が取り付けてあるのであろう、かなり温かな空間だ。
 「そうですか・・・。その時を邪魔して申し訳ない。」
 入り口に立つ男はただ淡々と連ねる。
 「私は構わんがね。ただし君の目的は協力する気は毛頭ないが・・・。」
 相手の鉄面皮に微笑み。それは狂気に歪んだが如し容貌。
 「仕方ないことです。自らの生死を他者に委ねるなど、常人にはなかなか出来ることではない。」
 その笑みの胎動はそして限界となり、
 「ならば、無理にでも始末させていただこう。」
 白面の死神は、その雪の如く、今にも砕け散りかねない腕を振りかざす。同時に相手の座るものと対となった椅子の、その背が消え去り、向こうの世界を映し出す。
 「面白い。だがその寒天色の拳(インビジブル)を授けたのは私、果たして君は私に勝てるのかな・・・。」
 その老人の声とは裏腹に、彼は異常なまでの速度で、背の欠けていた椅子より消えた。
 「君の強さは認めよう。だが欲はいかんな。野心が高すぎては転落の犠牲もまた大きなものとなるだろう。」
 姿見せずに微笑み――そう感じられた。
 「違う、私自身はそのようなものに興味はない。ただ私は貴殿を殺したくなった。この城にてあの公爵以上に恐るべき貴殿をな。」
 殺気が強まる。静寂なるそれだ。
 「そうかね。だが同じこと、辺境伯や2流国如きに今のこの地を奪われるわけにはいかん。私の目的の妨げは排除するのみだ。」
 黒い男――ミックスの凄まじきその気にも臆することなく、白い男――ノーストは地を蹴り、彼に向かう。
 ミックスは微動だにせず、ノーストを受け入れる。そこまでは不動の闇と、差し込む光、その相殺の様のよう。
 違ったのはその響き。瞬時に金属音。ノーストの拳は、空中にて静止。
 「それに君の兄がやつらに付くとでも思っておるのかね。」
 その声に変化はなかった。ノーストは歯噛みしつつ、
 「当然のこと、ヒムド殿は公爵を消す機会を狙っておられる。理由は私にも知らんが・・・」
 その冷気の帯びた口調にも亀裂、焦りと怒気の熱が漏れつつある。
 「彼は君と同種でしかない。それ以上の念など持っておらんよ。・・・何を思っていようと、あの腐りきった輩を見て君ならどう思うかね。」
 ノーストは沈黙に陥りながらも必死で拳を進めんとする。だがそこにて虚ろな障壁に阻まれ、楽園の地へ至ることは出来ない。
 だが1つ息吹の後、やがてその力も収まりゆき、そして拳をしまうと、
 「私では貴殿には勝てない。それに貴殿の言う通りならば、貴殿を殺す必要などない。そして貴殿は殺すには惜しい。いつか殺すがね・・・。貴殿の目的は知らんが、協力して良いと思っている。聞かせていただきたい。」
 その激情はすでに掻き消え、すでに先ほどまでの死神の微笑みが浮かんでいた。
 「目的か・・・君に言う意味などないな。」
 漆黒の男も昇る息のみは白色。皆に等しく消えていく。
 「なぜでしょう?私が信用できませんか」
 微かながらも確かな移ろい。疑問と軽い怒気、そして感嘆と殺意。
 「死にゆくものに何を任されるのだ。」
 どこか哀しげであった。溜息がまた昇る。
 「死ぬ?私が死ぬとおっしゃられるのですか。・・・貴殿は私を殺そうと・・・?」
 だが先ほどにも深い変化などない。すべて流されるままに、そんな気すら今の彼にはあった。
 「違う・・・君はもうじき死ぬ。これは運命だ。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 ちなみにこの国、相手を名字でなく名前で呼ぶのが普通らしいです。まあ上の方になると別らしいっぽいですが・・・。国じゃなくてこの世界中かも知れませんけど・・・。

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12953Re:冥王の騎士3:33章:光は笑い 闇は告げるエモーション E-mail 2003/1/18 22:42:55
記事番号12949へのコメント

こんばんは。

大会とはまた違った場所でここでも対決が……。
ミックスさんの生命を狙うノーストくん。
「殺したくなった」というのは分かりやすい理由ですね。
殺される方はたまったものじゃないですが。

そしてミックスさん。
この人も……目的が何やら……。
さらにノーストくんに予言(?)までしていますが、
ほんとに何者なんでしょう。

ノースト君、そうそう死にそうには見えませんが……。

では、今日はこの辺で失礼します。

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12957Re:冥王の騎士3:33章:光は笑い 闇は告げるD・S・ハイドラント 2003/1/18 23:02:29
記事番号12953へのコメント


>こんばんは。
こんばんは
>
>大会とはまた違った場所でここでも対決が……。
まああーいう大会中って裏で何か企む人がいるもんだと、思っていますから。
>ミックスさんの生命を狙うノーストくん。
>「殺したくなった」というのは分かりやすい理由ですね。
如何に多くの価値ある人間を殺せるか!?に命を賭けているような人だと思いますし・・・。
>殺される方はたまったものじゃないですが。
まあ、それはそうですね。
>
>そしてミックスさん。
>この人も……目的が何やら……。
しばしの謎ですね。
>さらにノーストくんに予言(?)までしていますが、
>ほんとに何者なんでしょう。
さあ?
少々凄すぎる気もしてきました。
>
>ノースト君、そうそう死にそうには見えませんが……。
まあそうですね。
予言は当たるのか!?
>
>では、今日はこの辺で失礼します。
どうもありがとうございます。

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12956冥王の騎士3:34章:彼の流れは如何なる元へ?D・S・ハイドラント 2003/1/18 22:57:42
記事番号12949へのコメント

――ヒムド殿、御調子はいかがでしょう。

「そんなことよりもなぜ私の――直接通信魔法の――アドレスを知っている?」
 疑問と怒り、そして少々の恥辱。
――情報に関して私を上回るのはミックス殿ほどですよ。

 ただ聞こえてくる声に殺意すら覚える。
 「あの老人か・・・得体の知れんやつだ。本当に悪魔の眷属かも知れん。」

――ええ、今も貴殿の行動を予測していましたし、私の運命すらも・・・。

 脅えている。言葉には目立って現れていないが確かにそう思えた。
 「私の行動だと・・・聞かせろ。」
 口調を強める。それは見えない悪魔への虚勢でもあるのだろうが・・・。
――辺境伯とシャーベット王国との共謀はすでに確証されているはずでしょう。

 「ああお前の言う通りだ。グラウシェラーはまるで知らんようだがな。」
 戦慄がよぎる。まだ微かな揺れだ。
――貴殿は彼らに加わるつもりで旅立ったが、眼前で気が変わり、滅ぼした。

 すでに流れ去った過去の語るよう。だが・・・。
 「なぜそれを知っている!」
 その言葉に驚き、
――こちらの被害はいかがなものでした?

 すでにその声は悪魔のそれに思えてくる。
「そこまで予言しているのか?」
 ただ驚き、恐怖を覚えるのみ。
――違いますよ。状況報告をしていただきたくて・・・。

 それに安堵し、
 「雑兵どもは軽く片付いた、カンヅェルもシャーベットの将軍も私の敵ではない。」
 ようやく恐怖が抜け出る。
――八魔卿も全員とはいかずとも複数人がいたのではないでしょうか。・・・ああこれはただの推測ですので・・・。

 明らかにそれにも戦慄を感じようとしていた。
 「三滅鬼が片付けてくれた。口ほどでもないな・・・。ただ≪美血公≫だけは例外だ。1人やられた。他に被害は3名だ。・・・まあ私が傷を負ったことが最大の被害だがな。」
 と苦笑、余裕は戻りつつあるのを客観的にも感じ取る。
――帰還はどれほどになりましょう。

すでに闇よりの帰還は果たしたつもりだ。
 「明日になる。残りの八魔卿も片付けたいが、まあ5人と軍を相手にするのは正直厳しい、行きは強行軍だったからな、まあじっくりと帰る。だが瞬馬の速度ならば夜には着いてくれるだろう。」
 笑みを取り混ぜたすでに終えたものの口調。
――ではもう会うこともありませんね。

 だが相手の口調は観念と暗黒。
 「どうしたのだ。私が帰れば会えるだろうが・・・。」
 その色に染められているのが分かる。相手の口調の意味は分からなかったが・・・。
――ミックス殿が言うには私は死ぬようです。・・・信じはしませんがね。

 「悪い冗談か・・・まあ良い。私の名誉の帰還を待っていろ。」
 翳りを吹き飛ばす、暁を思わす声。
――分かりました。お待ちしております。

 「ああ、ではな。」
 そして2人の世界は消え去る。
 勇者は溜息、それが何の意味でかは分からなかったが・・・。

     ◇◆◇◆

 「やっと・・・見つけたよ。」
 息を切らし、眼前の2人を眺めるフィブリゾ、それは微笑ましくもあった。
 「すまんな、初めから来てたわけじゃねえし」
 ガーヴは闇の世界を打ち砕き、フィブリゾに向き直る。エルも不快感を露にしていたそれを即座に笑みに変え、
「あたしからもごめんなさいね。」
 だがフィブリゾは2人の隣にいかずに、
 「・・・綺麗だね。」
 それの向けられた方向。ガーヴが即座に探し当てる。
 銀の長髪に白い肌、透明にも思える瞳に赤い唇の超越的な美女。フィブリゾやエルのそれをさらに凌いでいる。
 呆れを浮かべ、溜息吐くガーヴに、笑顔で見守るエル。
 「えっ・・・私の・・こと・・・」
 その美声もまた人を惹き付けるものであり、それでしかなかった。
 「そうだよ。本当に綺麗じゃない。・・・触っていい?」
 無邪気な声に戸惑うのみの美女。
 「おい、てめえいきなり何を言いやがる!」
 「そうよ。浮気はいかないわよ。」
 そんな中シェーラの試合が始まろうとしていた。

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12969冥王の騎士3:35章:雪解けの焔 地を焼くことなかれD・S・ハイドラント 2003/1/19 16:42:52
記事番号12956へのコメント

 温もりの境界は明白で、そしてそれは、その時にさらなる線を確立する。その小さく優しく温かい手の平は、冷たい感触を全身に奔流させていた。そしてその肉感は究極の氷の美の移し身であるそれに似合わず、柔らかな波紋を生み出している。
 「えっ・・・あの・・・」
 途切れ途切れに紡がれたそれだけが彼を堕ちた世界より救い上げる。
 「ああ、ごめん。つい・・・」
 フィブリゾは手を離す。半ば俯き、表面に翳りを帯びさせていた。
 「いえ・・・良い・・・けど・・・」
 それはむしろ脅えにも近いかも知れぬ。声とともに身体も、まるでその身体の色の世界に入れ込められたが如く、震えていた。
 「どうしたの?そんなに震えて・・・」
 フィブリゾの声は柔らかに優しく触れる。彼女にも温もりが浸透していくのであろう。
 「どーせ、てめえのその幸せ面に隠れた悪魔の本性に脅えてんだろ。」
 ガーヴの現実味に満ちた声がその繊細な冷の熱の狭間の世界に亀裂を走らす。
 「君の顔が怖いからじゃないの?」
 その彼の言う悪魔の片鱗が不可視の刃となり、襲い掛かる。それは見えずとも強烈な一撃を放つ、
 「何だとてめえ。」
 胸中に強大な傷受けし、魔竜の咆哮、だが足掻きでしかなかろう。その一撃を受けし白色の大地、ガーヴの強烈な剣は客席となったそれを深く切り裂いていた。仮面の悪魔の腰掛けていたその場所を――。削り取られ、すでに座としての機能もなきそれ。剣の一撃は完全に貫いている。
 「うわあ怖い。やっぱりガーヴのせいだねこれ・・・。」
 恐怖心も強く根付いていたものの、それでも挑発的な感情はなおも続いていた。
 「ちょっと・・・あなた達・・・あの子困ってるよーに見えるんだけど・・・」
 エルの声にも反応の様子はない。次なる世界は激闘の中、思い・・・違えど。
 視線を移せばすでに激闘の始まり・・・。

    ◇◆◇◆

 金属音が鳴り響く。強烈な衝撃が走り、やがて退いたシェーラ。強烈な追撃を放つ髭を生やした壮年の騎士、他と同じ白の衣服に渦巻いた黒髪、何かしらの貫禄を背負う男だ。その研ぎ澄まされた容貌の頬の部分には深い傷痕それは充分な治癒魔法を受けられぬ状況を潜り抜けて来たのであろう。
 足をすらせ、横方向に回り込み、一閃、待つのは刃の共鳴。小さく跳躍、そして迫り来る敵に対応。歯を食い縛って衝撃に耐え、静止を保つ。力そのものでは勝てるはずなく、そのまま交差する刃をすらし、後方へ剣撃をかわす。
 そして再度激突、汗が滴る。荒れた息を整え、斜め前方に踏み出し、そして素早く一閃、それは相手の刃がシェーラに触れるよりも僅かに速く――そして鳴り響く勝利の音。冷や汗に包まれた両手の平、払おうとも湧き出ゆくそれ。
 栄光の響きの輪の中に彼女は立っていた。それすらも一瞬忘れていたほどだ。
 「シェーラ。」
 「やったな〜」
 「良かったわよ〜」
 先ほどまで激闘の繰り広げていたガーヴとフィブリゾやエルも声を上げている。それらは不思議と鮮明に受け取れた。
 「いや負けたわい。」
 苦笑を浮かべ歩み寄る、熟練の騎士。
 「わしもまだまだだな。伝説の騎士には勝てんわな・・・。」
 「伝説って・・・」
 知らぬ言葉を聞かされ、戸惑う。だが歓声には曇りもなく、彼女にも翳る必要などなかった。
 歓声の中、歩き出す。戦ったものとの別離の路を・・・。そして栄光でもあるらしき高見へと・・・。

     ◇◆◇◆

 震える身体が静寂に溶け込み、恐怖もすべて我が身と同化。脅えるものなどなくなった。ただそれは偽りの一時であるのだが・・・。
 足音だけを身に刻んだ。そしてすべてを掻き消し、ただ歩く。やがて静寂が消え去り、闇に溶けたその身露となりて、光と音が支配しよう。
 だがその中で見つけたのは・・・。彼が観たそれは・・・。怒りを――それ以上であったかも知れぬそれを湧き上がらせた。
 「ねえ、この鎖何なの?」
 時を知らぬ美女と、少年、彼の眼差しにはそれが映し出されていた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
相変わらず戦闘シーンでたらめ・・・あんなの良いのだろうか。

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12972冥王の騎士3:36章:遭遇 それは流れとなるかD・S・ハイドラント 2003/1/19 19:21:16
記事番号12969へのコメント

 「貴様ら!姉上に近づかないでいただこうか!」
 声が上げられている。冷静なるそれではなく、激情に支配された愚者のそれ・・・。我が心が揺さぶられている。それを感じた。
 「何だよ君・・・って君、あの時の・・・。」
 相手に驚愕の色が見える。だがだからどうしたのだ。情は収まらず・・・。
 「お久しぶりですね。王子殿下。」
 揺れる唇。震えに耐えて紡ぎだされる凍てついた構成。だが、それが響いた後も怒りは、そしてそれを凌ぐ禍々しき何かは消えることはない。
 「確かに、死に掛けたせいで久しぶりには思えるけどね。」
 落ち着いても見えたが、皮肉気で、隠れて攻撃的。憤怒が漏れている。
 「たとえ任とはいえ、あのような愚行に及んだこと大変申し訳ないと思っております。」
 と、頭を伏せる。表面ではその冷気が戻りつつあるものの、胸中ではなおも葛藤。
 「あたしも襲われたしね。」
 エルがそれでも輝かしくもあった声を添える。ガーヴは沈黙、銀世界な美女はただ表情を曇らせていた。
 「予定外でしたからね。」
 と苦笑し、表情を露とする。
 「まあ、それは置いといて、君この人とどーいう関係?」
 フィブリゾの口調は強まる。今回に対しては先ほどの怒りは含めてはいないようであったが・・・。
 「ああ、この方は私の姉です。」
 心の秤は中心へと近づいている。平静が真に戻るのもそう遠くはないはず・・・。
 「・・・ネージュと申します。」
 美女、ネージュの少しながら哀しみの拭われかけたような声に、彼、ノーストの心の揺れの停滞は遮られる。
 「ネージュ?・・・バルキニア帝国の言葉で雪の精って意味だったはずだよな。」
 「えっ何での脳味噌オオナマケウシ並のガーヴがそんなこと知ってるの?」
 疑問と裏に感じた冷たい刃、ガーヴにかわされることなく突き刺さる。だがなお表情に劇的なる変化は訪れず、
 「はん、どっちが馬鹿だか分かんねえな。俺はこれでも爵位を実力で掴み取ったほどだ。てめえのような変態能天気坊ちゃんとは違うんだよ。」
 とあからさまな嘲笑を浮かべつつ、フィブリゾにさらなる刃の一撃、
 「ぬぬぬ・・・。」
 言葉に詰まるフィブリゾに対し
 「ははは、大したことねえな、彼女が見てる前で何唸ってんだおい。」
 さらなる追撃――だがその瞬間のフィブリゾは変化を果たしていた。
 「シェーラいたの?」
 と視線を動かすと、そこには、まさに蚊帳の外と言わんべき位置にて遠慮がちに立っている少女の姿。
 「ええ・・本当に今着たところですけど・・・」
 口調もまた状況に等しきもの。ただそれに苦笑が加わっていた。
 「あらあたしも気付かなかったわ・・・おめでとう。」
 シェーラに赤味が走る。
 「ところでシェーラ、ガーヴが僕のこといじめるんだけど・・・。」
 シェーラは困惑を露骨に浮かべつつも、
 「ガーヴ!フィブリゾ様に何をしたの!」
 その表情は一瞬後には激変を遂げ、鋭きものへと変わっていた。
 「おい、・・・そんなに怒んなよ・・・。」
 剣を抜いたかつての敵の形相に対し、その口調は情けなくもあった。
 「姉上、場所を移しましょうか・・・。」
 試合はなおも続いている。とはいえ彼らには知らぬ騎士達のもの。力の均衡のためか、かなり白熱はしており、時間もそれなりに過ぎていおり、それでもなおも決着はついていない。
 「駄目だよ。」
 腕輪に手を掛けたノーストはそれに静止される。――ちなみに肌には触れてはいない。
 「殿下とはいえそのようなことを言う権利はないのでは・・・」
 ノーストは冷たく返す。ネージュは微かな希望を持っているように見えた。
 「だってその人――君のお姉さんだっけ・・・君といるの嫌そうだよ。」
 微笑みを浴びせた相手はネージュ、戸惑いつつも彼女も返す。
 「そのようなはずはありません。ね、姉上・・・。」
 「え、ええ。」
 曖昧な返事を残して俯く。陰があろうと美は不変であった。魅入っているものも未だに複数人散らばっている。
 「てめえが無理に言わせてるんじゃねえのか。」
 「ガーヴ顔怖い!」
 歩み寄ろうとするガーヴはフィブリゾの声に一旦制止されるも、なおもノースト達に近寄る。ノーストは明らかな嫌悪を浮かべ。
 「汚らしい!」
 そう叫ぶ。
 ・・・先ほどの試合は決着が着き、アインの試合がやってくる頃だ。

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12977Re:冥王の騎士3:36章:遭遇 それは流れとなるか2003/1/19 22:07:51
記事番号12972へのコメント

フィブとガーヴは仲が悪いですねー・・・というかフィブが遊んでる?
ガーヴもそれなりに言ってるけど(笑)
一体どっちの方が口が達者なのか、経験豊富(?)なガーヴが、小悪魔的なフィブか・・・・。
ネージュさん、本当にガーヴの顔に怖がってたりして(笑)
次はアインの試合!白熱するかなー、一発で終わったりして、それでは!

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12986Re:冥王の騎士3:36章:遭遇 それは流れとなるかD・S・ハイドラント 2003/1/20 15:54:51
記事番号12977へのコメント


>フィブとガーヴは仲が悪いですねー・・・というかフィブが遊んでる?
その要素は強いでしょう。
>ガーヴもそれなりに言ってるけど(笑)
まあ・・・。
>一体どっちの方が口が達者なのか、経験豊富(?)なガーヴが、小悪魔的なフィブか・・・・。
どうなのでしょう・・・。原作だったら確実にフィブが勝つでしょうけど・・・(最近、フィブやシェーラとオリキャラの区別とかあんまりなくなってる)
>ネージュさん、本当にガーヴの顔に怖がってたりして(笑)
ううむもしかしたら・・・?
>次はアインの試合!白熱するかなー、一発で終わったりして、それでは!
簡単に蹴りつきそうですけど・・・。

それではどうもありがとうございます。

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12981Re:冥王の騎士3:36章:遭遇 それは流れとなるかエモーション E-mail 2003/1/19 23:34:14
記事番号12972へのコメント

こんばんは。

ガーヴ様とフィブリゾ君、何だか口げんかバトルが勃発してますね。
きっかけがネージュさんな辺りが(笑)
口は達者なフィブリゾ君に、人生経験からか、それなりにかわしてあしらう
ガーヴ様。良い勝負です。

そして、姉が絡むと当然でてくるノーストくん。
さすがに人目があるので、シスコンパワー大暴走程度でおさまってますね。
でなければ、問答無用で殺されてるような……(滝汗)

二回戦も無事突破のシェーラちゃん。
次に試合をするのはアイン君。
一回戦から少々物騒というか、不可解なノリがありますが、
こちらはどんな試合になるのでしょう。

続きを楽しみにしています。
では、この辺で。

クイズのリクエスト……ゼラス様たちの近況をお願いします。
単にゼロスが不幸なだけと予測してますが(笑)

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12987Re:冥王の騎士3:36章:遭遇 それは流れとなるかD・S・ハイドラント 2003/1/20 16:02:07
記事番号12981へのコメント


>こんばんは。
こんばんは・・・。
>
>ガーヴ様とフィブリゾ君、何だか口げんかバトルが勃発してますね。
ガーヴは手も出してますけど・・・。
>きっかけがネージュさんな辺りが(笑)
まあ喧嘩の理由を求めているというのもあるのでしょうけど・・・。
>口は達者なフィブリゾ君に、人生経験からか、それなりにかわしてあしらう
>ガーヴ様。良い勝負です。
ガーヴ原作より明らかに頭脳面では成長している・・・のか?
>
>そして、姉が絡むと当然でてくるノーストくん。
>さすがに人目があるので、シスコンパワー大暴走程度でおさまってますね。
まあ少々抑えてはいるでしょう・・・。
>でなければ、問答無用で殺されてるような……(滝汗)
まあ警備は厳重そうですし・・・。
>
>二回戦も無事突破のシェーラちゃん。
ちなみに相手は副騎士団長であるという陰なる設定が・・・。
>次に試合をするのはアイン君。
>一回戦から少々物騒というか、不可解なノリがありますが、
>こちらはどんな試合になるのでしょう。
どうなるのでしょう・・・。
>
>続きを楽しみにしています。
>では、この辺で。
はい。レスどうもありがとうございます。
>
>クイズのリクエスト……ゼラス様たちの近況をお願いします。
>単にゼロスが不幸なだけと予測してますが(笑)
これはメッキーでのことになるのでしょうか・・・。
ううむ書いてみます。
リクエストありがとうございました。

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12994冥王の騎士3:37章:最終絶頂美計画(?)D・S・ハイドラント 2003/1/20 18:29:53
記事番号12972へのコメント

 「汚れすぎている・・・。世界は腐敗している。」
 冷たく流れるように、そしてその水面に浮かんだ邪悪な笑み。
 「なっ、何だてめえ!」
 邪なる風に気圧されようともガーヴはなおも退かず、剣を抜き取る。空間の緊張が張り詰めゆく。
 だが停滞した世界が動き出す。その開始の鐘の音は・・・。
 「ぐっ・・・。」
 苦悶の声・・・それは先ほどまでに激情を露にしていたガーヴのものであった。
 「くくくっそう、それで良い。汚らしきものはすべて自らの血が洗い流してくれる。」
 狂気に支配されしノーストの歪んだ容貌は激情の中でありながら極寒の冷気を思わせる。
 「なっ・・・」 
 すでに言葉も失うフィブリゾ・・・そして同じくシェーラにネージュ。
 「アインそこよ!」 
 ただ熱烈なエルは自らに映る世界のみに集中。歓声は他が沈黙に思えるほどの大声であった。笑顔のまま弟の戦い振りを堪能している。
 「ねえガーヴ様、凄いわねアイン・・・ってガーヴ様?」
 その時、視界に映し出せしもの――地に伏しうめく、愛せしものの姿。彼女の表情は劇的なる変化を遂げた。驚愕と・・・疑問、それが始まりだ。
 「そうだ。死に行くものは皆美しい、その苦悶の絶頂、そして赤き流れ、それらが私の心を洗うのだ。さあとどめをさしてあげましょう。」
 と、虚空に腕を振れば、ガーヴの背に刃が走る。だがそれは金属音に弾かれた。灰色の上着の奥より焔の輝きが見えている。けして生命の流れではあるまい。
 「そうか・・・侯爵様。貴殿の2つ名を忘れていましたよ。はははは、ならばその首を切り裂くのみだ。」
 激情と冷気、そして狂気に包まれし死神の哄笑、すでにその区画は凍結に等しい、全体の歓声も静寂への一途を辿っている。
 「貴様!」
 その中突然、鎧に身を包みし、警備の男が抑えに掛かる。
 「貴様のような鼠輩が私にたて突くな!」
 だが腕が空を切ったその瞬間、赤き飛沫、それは男の首を一撃で跳ねていた。無惨な身体は命を掻き消され、むなしく倒れる。それがなお恐怖に拍車を掛けた。
 「くくく姉上、すぐにすべてを滅ぼして差し上げますからね。」
 と、その足は苦悶のガーヴを踏みつけ、腕より生まれし凶刃は、フィブリゾに一撃を加えていた。ネージュは震えるばかりで声はない。
 「うっ・・・」
 腹部に巨大な真紅の海。そのまま膝を付き倒れる。
 「フィブリゾ様!」
 感情は同じくであったが蚊帳の外でしかなかったシェーラが即座に叫ぶ。
 「あの時、殺し損ねてしまったこと、大変申し訳ございませんでした。無駄な苦痛など、本来ならば必要ない。侯爵様とともにここで、この儚き世に終わりを告げていただきます。」
 まさにそれは悪魔の形相。ガーヴが吐血する。
 「よくも・・・フィブリゾ様を・・・」
シェーラの容貌は強烈な激情を生み出した。その眼差しには溢れた涙もあった。
 「ガーヴ様!・・・あなた許さないわよ。」
 だが同時に鬼神の如き、怒気と殺意を発する美女。今はその美貌よりもなお恐怖の対象としての印象が遥かに凌駕していた。
 
     ◇◆◇◆

 静寂が感じられる。完全なる沈黙ではなくともそれは確かに聞き取れた。
 表情を強張らせ、そして舌打ちすると、
 「遊びはやめた。悪りいが3秒で死ね。」
 アインと向かい合うは若い騎士、金髪碧眼の顔立ちの整った男で、衣服はやはり純白。
 「なっ!」
 早い攻めと、常に一撃にあった重みによって確実に優位を示していたアインであったが、突然の突撃、獣のそれの如く、いや形容するならば風であっても良かろう。そしてその瞬間、鳴り響いた勝利の音。
 (待ってろあの野郎!)
 そしてその感情を次の瞬間には捨て去り、
 「光翼翔!(シャイン・ソニック)」
 浮遊感、いやそれよりもなお強烈な速度と、刃となりて切り裂き、壁となりて拒む空間そのものの抵抗がより鮮明に感じたものであった。
 「エルに王子サマよ、助けに来たぜ。」
 そしてペンダントを首より外し、それを右手に垂らす。悪魔の輝きは笑みにも見えた。
 血塗られしフィブリゾとガーヴ、怒りと殺意を剥き出しにしたシェーラ、エル、そしてアインに他にも近衛騎士の一部や、他の警備兵も駆けつけている。
 「少々、分が悪い。・・・一旦退却させていただこう。」
 だが、なおもノーストは邪悪なる笑みを湛えていた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
何か今回、いろいろ入り乱れているので、かなり粗いかも知れません。シェーラの存在も最初の方完全に忘れてたし・・・。
にしてもノースト君みたいな人が現実にいたら嫌だな。

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12996冥王の騎士3:特別章:姉弟の焔(エモーションさんへ)D・S・ハイドラント 2003/1/20 19:59:27
記事番号12994へのコメント

 絶叫が暗闇を突き破り、静寂がそれを埋めゆく。繰り返される中、それを永遠不変だと信じさせてやまぬ。
 時折見えるかがり火のそれも暗黒のものであり薄闇に見える世界は非常に希薄。
 突き抜けるような絶叫が最も雄弁でしかない空間。だが音はそれ1つではなく、燃え盛る焔のそれが加えられたのみでもない。
 幾度も同じく響き渡りし、声、それが1つ混ざっているのはむしろ明白でもあったやも知れん。
 それらが織り成す構成は以下のものであった。 

 「ゼロスさあ早くお前の、企みを白状しろ!」
 暗闇に煌く白刃、そしてそれより放たれし熱は魔なる力帯びており、灼熱の轟焔と化す。
 「ひえええええ、だから何度も何度も言うとおり僕ははただ冥王様の完全復活のお祝いの準備をしていただけですってば!」
 闇色の神官衣を引きずり、必死で迫り来る焔より逃げる。
 「いやお前のことだ絶対に何か企んでる間違いない!」
 余裕の表情で焔の魔剣を振り回す少々大柄な金髪の美女。そこには笑みも含まれていた。
 「そんなのただの偏見ですよ。やめて姉様〜」
 ただ逃げ惑う彼に思考などすでに途絶えつつある。
 「いい加減楽になったらどうだ。本当に何度でも言うが魔術で逃げられるとでも思うなよ。」
 焔はなおも彼を追うように放たれ続ける。
 「ひえええええええええええええええ」
 悲鳴を上げ、ただ走るゼロスにも、その境界が見え始めた。つまり、逃げ惑う先に見える体力の限界という壁の虚ろな壁を・・・。
 すでにどれだけ続いたか知れぬその戦いに終止符が打たれた。
 ゼラスは溜息の後、
 「まあこの辺りで許しておくか。」
 消えた焔、視界を包む白の世界、耐熱耐煙の魔術の障壁に護られたゼラスは倒れた弟のもとへと少しずつ歩を進めていった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
こんなので良いのでしょうかね・・・。
少々短いですがまあこのようなところです。
この姉弟もいずれまた登場するかも知れません。
それでは、リクエスト大変ありがとうございました。

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12998ゼラス様……(苦笑い)エモーション E-mail 2003/1/20 21:30:34
記事番号12996へのコメント

すぐに書いていただきまして、ありがとうございます。

予想通りというべきか、当然と言うべきか……。ゼロス君、不幸!

ネージュ&ノーストの姉弟とは違った意味で、こちらも殺伐とした姉弟ですよね……。
でも、何故か笑えます。←鬼。
前者は片方が本気でやばすぎて、さらに内にこもっているところがあるから、
かもしれませんが。

姉の恐ろしさは幼少の頃から魂に刻印され、それは現在も続いているんですね。
でも何気にめげないですよね、ゼロスって……。また懲りずに何かしそうだし。
同じように、過去にも色々やってきたんでしょうねぇ……ゼロスの性格から
いって……。そして、その度にゼラス様にお仕置きされている、と(笑)

完全にストレス解消モードに近い、ゼラス様が楽しかったです。

では、失礼します。

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13002Re:ゼラス様……(苦笑い)D・S・ハイドラント 2003/1/20 21:48:19
記事番号12998へのコメント


>すぐに書いていただきまして、ありがとうございます。
どうも私すぐにやることやらないと落ち着けない性質のようで・・・
>
>予想通りというべきか、当然と言うべきか……。ゼロス君、不幸!
まあそうですね。
>
>ネージュ&ノーストの姉弟とは違った意味で、こちらも殺伐とした姉弟ですよね……。
>でも、何故か笑えます。←鬼。
まあ結構ギャグのつもりで書いてますし←鬼(なのかな?)
>前者は片方が本気でやばすぎて、さらに内にこもっているところがあるから、
>かもしれませんが。
ネジュノスは問題ありすぎですからねえ。
ネージュってかなり不幸というか・・・すでにそんな次元じゃないというか・・・。
>
>姉の恐ろしさは幼少の頃から魂に刻印され、それは現在も続いているんですね。
そうでしょうね。
>でも何気にめげないですよね、ゼロスって……。また懲りずに何かしそうだし。
まあそんな風に出来ているのでしょう。
この話って多分まともじゃない人多いですし・・・。
>同じように、過去にも色々やってきたんでしょうねぇ……ゼロスの性格から
>いって……。そして、その度にゼラス様にお仕置きされている、と(笑)
そうでしょうねえ。まあ外見態度も結構怪しいはずですし、無実の罪を着せられることもあるかも知れないですけどね。
>
>完全にストレス解消モードに近い、ゼラス様が楽しかったです。
まあ、最後は姉弟愛を・・・見せた・・・のかな、あれって。
>
>では、失礼します。
はい、どうもありがとうございます。

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12997……ノーストって……(滝汗)エモーション E-mail 2003/1/20 21:17:11
記事番号12994へのコメント

こんばんは。

ノーストくん、極悪変質者モード炸裂ですね(汗)
そしてガーヴ様とフィヴリゾ君がその毒牙に……。
これで完璧にエル様とシェーラちゃんの恨みを買いましたね。
試合中に気がついて、駆けつけるアイン君、かっこいいです。
単にノーストくんをぶちのめしたいだけかもしれませんが。

これって大会そのものが中止になりますよね。
続行しても(続行する方が凄いけど)シェーラちゃん、フィブリゾ君から
絶対に離れないでしょうし。

一旦、退却……と言ってますが……ネージュさんも連れて行くのかな……。
……端から見たら「美女を人質にして逃げた」ようにしか見えないかも……。

>ノースト君みたいな人が現実にいたら嫌だな。
現実にいたら、完治するまで絶対に退院できない、檻のついた病院から
一生出さないでください……としか言えない……。
でも、こーゆー人がそこに入るときって、すでに何かやらかした後なんですよね……。

では、この辺で失礼します。

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13001Re:……ノーストって……(滝汗)D・S・ハイドラント 2003/1/20 21:41:47
記事番号12997へのコメント


>こんばんは。
こんばんは
>
>ノーストくん、極悪変質者モード炸裂ですね(汗)
そうですね。ついに爆発です。
>そしてガーヴ様とフィヴリゾ君がその毒牙に……。
あのまま死ぬのはあまりにむなしすぎますけど・・・大丈夫か!2人とも
>これで完璧にエル様とシェーラちゃんの恨みを買いましたね。
そうですね。
>試合中に気がついて、駆けつけるアイン君、かっこいいです。
>単にノーストくんをぶちのめしたいだけかもしれませんが。
そうですね。前回奇襲受けましたし・・・
>
>これって大会そのものが中止になりますよね。
ううむそうなりますかねえ(いや本気で続けさせるつもりでした。)
>続行しても(続行する方が凄いけど)シェーラちゃん、フィブリゾ君から
>絶対に離れないでしょうし。
確かにそうですね・・・。
>
>一旦、退却……と言ってますが……ネージュさんも連れて行くのかな……。
>……端から見たら「美女を人質にして逃げた」ようにしか見えないかも……。
確かにそうしか見えないですね。
>
>>ノースト君みたいな人が現実にいたら嫌だな。
>現実にいたら、完治するまで絶対に退院できない、檻のついた病院から
>一生出さないでください……としか言えない……。
野放しはあまりに危険ですね。というか公爵様、あれを現に野放しにしてるけど・・・良いのだろうか。(まあ気付かなかったという可能性も・・・)
>でも、こーゆー人がそこに入るときって、すでに何かやらかした後なんですよね……。
まあそれはそうですね。
>
>では、この辺で失礼します。
それではレスどうもありがとうございます。

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13010Re:冥王の騎士3:37章:最終絶頂美計画(?)2003/1/21 07:43:25
記事番号12994へのコメント

ノースト強いー!
フィブとガーヴは大丈夫かなー?
しかし、この二人の怪我で切れた(笑)二人の女性。
アイン君が入らなかったら、どーなってのかちょっと興味が。
今回、私の中でアインくん度(?)が急激にUP!(なぜに!?)
試合で遊んでたのを止めて、かけつける!かっこいいー!!
エルを助けに・・・・?それともただ戦いたかったから?
> 「エルに王子サマよ、助けに来たぜ。」
この台詞、最初に「エル」って言ってるからやっぱり、エルを第一優先?

ノースト君、怖い・・・・。
退却、ということはネージュはもう外にはいられないんでしょうか?
ノーストに、「外は汚れています」とか言われて・・・・。
それでは、失礼しますー。

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13011Re:冥王の騎士3:37章:最終絶頂美計画(?)D・S・ハイドラント 2003/1/21 14:33:22
記事番号13010へのコメント


>ノースト強いー!
あーいうやつって大概強かったりするよーな・・・。
>フィブとガーヴは大丈夫かなー?
どうなのでしょう・・・。
>しかし、この二人の怪我で切れた(笑)二人の女性。
>アイン君が入らなかったら、どーなってのかちょっと興味が。
どーでしょう。
>今回、私の中でアインくん度(?)が急激にUP!(なぜに!?)
>試合で遊んでたのを止めて、かけつける!かっこいいー!!
姉にゃ弱いが雑魚には強い。
>エルを助けに・・・・?それともただ戦いたかったから?
どちらもあるのでしょう。
>> 「エルに王子サマよ、助けに来たぜ。」
>この台詞、最初に「エル」って言ってるからやっぱり、エルを第一優先?
実はそうだったり・・・。
>
>ノースト君、怖い・・・・。
家族や友人知人に読まれたら私の人格疑われるかも・・・(いたってまとものつもりですけど)
>退却、ということはネージュはもう外にはいられないんでしょうか?
無事退却させてもらえるか疑問ですけどね・・・。
>ノーストに、「外は汚れています」とか言われて・・・・。
ありえますね・・・。まあ逃げられたらですけど・・・。
>それでは、失礼しますー。
はい、それではどうもありがとうございます。

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13022冥王の騎士3:38章:超えしものたちは 何を持つて輝きを得るかD・S・ハイドラント 2003/1/21 19:39:33
記事番号12994へのコメント

 むしろその表情は余裕めいたものに近し、そして同時にすべてを凍てつかせる冷気が走る。
 「フィブリゾ様が・・・死んだら・・・あなたを絶対殺す!」
 絶対なる逆風に背き、シェーラは声を上げる。歯を食い縛り、怒りを露にしつつも黒き球を取り出し握り締めた。
 「威勢の良いことだ。姉上、さあ早く逃げましょう。」
 と、鎖を握り締めた。ささやかな抵抗、そんな冷たきに抗い、楔を引き抜く。鎖全体が輝きだし、それが引き抜けると、刺さっていた石に傷1つ残ってはいなかった。
 ネージュは沈黙のまま、伏せしガーヴのその姿へと、焦点をけして合わせぬよう見つめている。その眼差しは明白に震えていた。
 「逃がさない。絶対に逃がさない。」
 その声の途端、ノーストはそれに感づく。輝ける騎士持ちし剣、その刀身に僅かに目を奪われた。
 「チャーハン・ライス・・・だと!」
 驚愕が押し寄せる。消せど沸くそれに怒りを植え付けられ、葛藤。
 「エル!あなたはフィブリゾ様とガーヴの手当てをお願い、この男は私が・・・殺すわ。」
 怒り――感情に支配されしシェーラにはすでに狂気、その水門が開け放たれようとしていた。その奔流は禍々しき力を生み出す。いまや漆黒の輝きは聖なるチャーハン・ライスの光を飲み込み、邪悪なる剣へと化していた。
 「おい、何であんたがチャーハン・ライスを持ってんだ!」
 そして声を上げたのはアイン。悪魔の鎖を握り締め、ノーストに威圧を掛けていた彼が驚きの中心とも言えるほどであった。
 「おい・・・」 
 だがその障壁の如し感情に気圧され沈黙。
 「聖剣・・・貴殿が後継者なのか?伝説の騎士である貴殿にまさに相応しきものだな。なお彼を紅く染めたくなるよ。」
 だがその次には、驚愕など霧散し、笑っている。
 「ノースト逃げられんぞ!おとなしく縛につけ!」
 一辺を取り囲む騎士、兵士の中、どこからか声が上がった。だが虚勢であり、なおかつ恐怖に押し潰されかけていた。
 「貴様等如きが私に口出ししないでいただこう。私は≪ヴァン・レイル≫など歯牙にも掛けていない。せめてダイ殿くらいでなければな!」
 と、素早く腕を振り、刃を飛ばす、うめき声が走ると、真紅なる爆発。くぐもった悲鳴。
 観戦する客達は、沈黙に震えている。試合の場も凍り付いたように斬撃が始まる兆しはない。エルは伏せてガーヴとフィブリゾに治癒魔法を施しているようだ。その背中をアインが見守り、シェーラはただノーストににらみを掛けている。ネージュは鎖に引かれるまま立ち上がっている。曇った表情もまた美貌だ。
 「おや、油断したようだ。だが掛かってくるのならばそれで良い。ここですべてを見るのも良いだろう。そうすべてのものの苦しみ死にゆくその瞬間(とき)をな。それが私の最期でも構わないだろう。すべて――死ぬのだから。はははははは」
 哄笑が上がり、2つの狂気が均衡を始める。ノーストとそしてシェーラとの・・・。
 ただ存在するのみで魂を喰らわんが如し2匹の魔人が対立していた。
 「シェーラ・・・」
 うめくフィブリゾが形容し掛けた表情とは何だったのだろう。しかしその微かな変化に気付くものすらおるまい。
 「許さない・・・。許さないから・・・。」
 涙すでに流れず、そして悪魔に心売りしものと完全に化していた。彼女に声掛けるものも、彼以外にはけしていない。
 そしてその感情の渦は力を増し、なおノーストのそれを押しゆく。魔なる力はすでに両者には不要であるのかも知れない。ただその威圧のみが未来の道標得し方を定める戦い。
 そしてシェーラのそれは勢力を増し、ノーストは確実に絶壁への歩を進めていた。
 「くっ・・・」
 歯噛みし、後退する。そしてその腕を振りかざした。だが表情は脅え、捕食者であることを何度も認識しようとした。だがそれが事実であろうと、現状では何の救いにもならぬ。
 金属音が鳴り響く。それは――虚ろなりし刃の砕ける時。シェーラの邪剣は確実にその軌跡を読み取っていた。
 「そ、そんなはずはない・・・。今のを防げるものなど・・・ヒムド殿ほどしか・・・」
 言葉は途切れ途切れとなっている。生まれているのは恐怖であったのかも知れぬ。
 「私は・・ヒムド殿にも負けないと思っている。そしてあなたには絶対に負けないわ。」
 狂気に包まれている中、その瞳だけは燦然としていた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ここから少しだけですが慎重にいこうと思うのでペースが半減することがあります。
恐らく3はそう長くならないかと思います。
4で・・・200話いくかな?

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13024Re:冥王の騎士3:38章:超えしものたちは 何を持つて輝きを得るかエモーション E-mail 2003/1/21 22:46:25
記事番号13022へのコメント

こんばんは。

シェーラちゃん、マジギレですね。(当然だけど)
ドゥールゴーファのときは、剣が原因でしたが、
今回はシェーラちゃんの心の問題ですから、
ノースト君、ただじゃすみませんよね。
ただ、ネージュさんまで、巻き添えにならないと良いのですが。
アイン君は手を出したくても、出せない状態のようですし。

ノーストに恐怖を感じさせる、というのは凄いです。
少なくとも、今のシェーラちゃんは無敵。でも、その分だけ、精神的には
危険な状態のようです。

では、短いですが、今日はこれで失礼します。

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13026Re:冥王の騎士3:38章:超えしものたちは 何を持つて輝きを得るかD・S・ハイドラント 2003/1/21 22:56:31
記事番号13024へのコメント


>こんばんは。
こんばんは
>
>シェーラちゃん、マジギレですね。(当然だけど)
もうノースト絶対殺す気でしょう。
>ドゥールゴーファのときは、剣が原因でしたが、
>今回はシェーラちゃんの心の問題ですから、
まあ剣の力がより増幅しているかも知れませんけど・・・。
>ノースト君、ただじゃすみませんよね。
>ただ、ネージュさんまで、巻き添えにならないと良いのですが。
それだと・・・あまりにむなしい一生。
>アイン君は手を出したくても、出せない状態のようですし。
そうですね。
>
>ノーストに恐怖を感じさせる、というのは凄いです。
まあ彼、受ける方には慣れていないのかも知れませんけど・・・。
>少なくとも、今のシェーラちゃんは無敵。でも、その分だけ、精神的には
>危険な状態のようです。
そのようなところですね。
>
>では、短いですが、今日はこれで失礼します。
それでは、どうもありがとうございます。

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13032冥王の騎士3:39章:狂気の再生 だが死の淵にてD・S・ハイドラント 2003/1/22 13:41:30
記事番号13022へのコメント

 双眸に湛えられし輝きは、それ取り巻きし、闇へ対なすほどであったろうか。狂気の狭間、明白なる意志が感じられた。だが打ち消しあわず同として、向けられる矛先には自分。ノーストの戦慄く鼓動は拍車掛かって心揺さぶっていた。
 生まれた恐怖はかくも強く身を喰らう。逃れることなど出来ることなく、増殖の一途を辿らせるだけ。
 「ここまで心を躍らせてくれるものは初めてだ。くくくっ早く血に染めたいよ・・・。」
 だが声も受けし狂気の流れをなお呼ぶのみ。虚勢では恐ろしき変わらず、むしろ強まるだけであろう。鎖を離し――だがどちらにしろ脅えるネージュに逃げゆくことなど出来まい――両手を広げ、背後に倒れ掛かるような大振りの動作。だが生まれし狂気のままに起こるはずの、哄笑の震えも、脅えしもののそれと相違ない。表情はやがてそれを明白に映し出していく。
 シェーラにはなお攻め手の1つもないが、輝ける眼光のそれは狩るものとしての優位性を絶対的に保っていた。それが闇が与える恐怖と同じくノーストに焦りと絶望をもたらしている。
 「くっ・・・早く血に染まれ!」
 振った腕より魔力の匂い、それすらも鮮明に感じ取るシェーラ。傷を癒すエルやフィブリゾ、ガーヴ、アイン、その誰の姿を見やることもない。ただ見えぬ刃に禍々しき色の聖剣を重ねる。
 「さあ・・・早く。早く血で染まり、早く死ぬが良い。」
 連続で放たれる刃、だがすべて金属音のみ、人の身で出来しことではけしてあるまい。途端の思考がより恐怖を呼ぶのみ。
 「シェーラ様!」
 ノーストの一方的な攻めを表情1つ変えずに防ぎゆくシェーラ。そこへ青年の声が届いていた。何も変えやしなかったが・・・。
 「シェー・・・」
 場を取り囲みし騎士兵士を退け、近衛騎士団長が姿を現す。そう若き魔道騎士ダイが・・・。白の衣服を身に付け、黄金を戴いた彼もその世界が蒼穹の双眸に飛び込む瞬間に沈黙と恐怖に陥った。そう2人の死神争う静寂なる渦に巻き込まれ・・・。
 「これは、これはダイ殿、貴殿までお越しになるとは・・・。」
 だがノーストの声は脅えを掻き消すためのものでしかないと完全に認識させていた。狂気に歪んでいようと恐怖がより強き。
 金属音はなおも続く。他に混ざる音など、呼吸にエルの魔法、他のそれは沈黙の歌だけだ。
 「僕は騎士団長だ。部下を・・・そして何より公爵様を護る義務がある。」
 そして白刃を煌かせる。声は虚勢であった部分が強くも、それにより消し去るに値していた。
 「面白い、寒天色の拳(インビジブル)は無敵だ。2人で掛かってくるが良い。・・・いや何人でも構わないがな。」
 むしろ優位を取り戻しつつあるのではないか。ノーストの笑みは心からのものであった。
 ダイは地を蹴り、ノーストへ飛び掛る。同時にシェーラも・・・。
 「悪魔篭手!(ブロック・フィーンド)」
 唱えた発生音とともに闇が強まる。それこそが真の闇であった。彼の白色の腕はいまや、可視の暗黒の覆われ、そして2人の剣を受け止めている。そう今は邪悪と化しているものの、それでも力持つ伝説の聖剣チャーハン・ライスですらもだ。すでに戦慄くのは2人の方であったかも知れぬ。走る震えはノーストに伝わり、快楽の糧となされていた。
 肩を切り裂かんとする、ダイの一撃、そして腹部を薙ぎ払う黒きチャーハン・ライス。だがそれも同時に両腕に弾かれる。ダイの剣を縦に曲げて防ぐ左腕、シェーラの聖剣は横に曲げた右腕に、そこに響いた音は確かな金属音であった。
 「ふははははは、私にはかなわない。貴様等では絶対にな。」
 血1つの流さぬ両腕、そしてノーストはその左腕の先を弾いた。
 「っ!」
 瞬時にダイの腹部に亀裂が走る。微かながらも赤く染まり切り、そしてひどく抉られている。苦痛はよほどのものであろう。
 そのままシェーラ側に踏み込み、左腕を直線に伸ばす。聖剣を縦に掲げ、刃を防ぐも、そのまま右腕が襲う。軽く後に避け、追い討ちを剣で弾くも、そのまま押されゆく。だが狂気の色はなおも変わらず、そして恐怖の1つもない。
 だが押しゆくのは自分。ノーストは再び捕食者であることを確信しようとした。疑問が残るものの――間違いあるまい。そしてさらなる追撃――だがその瞬間に・・・。
 「ぐおおおおおおおおおおおおお」
 焔、氷の魔人は焔に包まれていた。

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13033冥王の騎士3:40章:死を拒みし魔人 闇もたらす悪魔D・S・ハイドラント 2003/1/22 15:28:55
記事番号13032へのコメント

 「へん油断しやがったな。」
 声の主はなおも倒れたままのガーヴ、勝利の笑顔とともに伝説の鎧、赤いキツネが強く輝いていた。
 「くっ!」
轟焔の鳴り響く音。身を焦がされつつもノーストは追撃をやめぬ。その形相には激情、そして苦悶――。
 「私だけは死なんぞ、血で血で染めてくれる!」
 歪んだ表情に一瞬の邪悪な笑み、まさに亡者のそれは、すぐに掻き消されたが――。
 「すべて殺す。殺す。」
 だがその拳はけしてシェーラには当たらず、シェーラもかわすのみだが、一瞬希望の色、苦痛に歪むダイが横方向より、斬りかかっていた。
 「愚かな。」
 だが、左腕のみでそれをかわし、再び虚ろの刃にて切り裂く。さらなる苦を受け、ダイは倒れ伏した。
 そして闇に包まれし右腕と、漆黒に輝くチャーハン・ライスとが再度ぶつかり合う。
 「まだまだいくぜ。」
 鐘の音とともに押し合う2人に向け、ガーヴより再度、焔が放たれる。
 「ぐわおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
 激昂と苦痛、そして安堵、それらすべての感情に抗いしその心の叫喚。そして倒れ伏す。だがノーストはなおも死を拒んだ。
 「ははは・・・闇のものよ・・・私に力をよこすが良い。すべて滅ぼしてやろう。そうすべてをだ・・・。私の声を聞け、私の声を・・・そして力を・・・名は問わん。ただ私に力を・・・。」
 邪に染まりし聖剣を前にノーストは言葉を紡ぐ。その瞳には涙さえも浮かんでいた。
 沈黙が浸透する。辺りはそして静まりゆいた。1つの――力を感じて・・・。
 (力が欲しいんですか?)
 むしろ温かな声、悪魔のそれとは思えぬ。
 「そう・・・力だ。私に・・・私に力をよこせ!」
 笑っていた。泣いていた。そして歪んでいた。何もかも・・・。
 (まあせっかく勇者を始末出来る機会ですから。・・・授けましょう。)
 だが次には声は笑っていた。実体見せずともその強大なる力は明白としている。そして邪気に歪んでいることも――。
 (ふふふ、僕のことは予想外でしょうね。ミックス殿もまだまだですかな。)
 そして聞き覚えた声であることもシェーラだけは感じ取れた。追憶が巡り、一点にて静止する。
 「あなたは・・・」
 ノーストへ向けた剣を微動だにさせず声だけがあった。淡く小さな声。壊れてしまいそうな心を制御しつつのものであるために・・・。
 「おやお久しぶりですね。今姿見せますよ。」
 と突然光、声もなく驚嘆せし人々、伏したノーストの背後には若い男、法衣姿に、夜闇を映せし髪の色、左手には赤い宝玉のはまった錫杖、そして全身より怪しげな匂いを終始放っている。
 「あなたのご活躍、この冥神官ゼロスはよおく知っていますよ。・・・シェーラさん。」
 と微笑みの後、見下ろして、
 「さて、あなたに力を与えましょう。恐らく現在の世界では5本の指に入るこの僕の力をね。」
 笑顔が不気味に硬直する。本人のみがそれに構わず、瀕死のノーストに左手の錫杖を翳した。
 「なかなか美しい・・・貴殿も血に染めてしまいたい・・・。」
 翳りに満ちたゼロスの容貌を見上げ、傷付いたノーストは言葉をもらす。
 「おや、なかなか恐ろしい方ですね。」
 と、なお邪悪なる笑みをなお放つ。瘴気が空間を這い回り、呆然とする人々――先 ほどより意識のないフィブリゾを除いた、シェーラ、エル、アイン、ガーヴ、ダイ、ネージュの6人を含む――はそのまま凍てついた。
 「まあそれが無理だということは、ご自分が一番分かってますよね。・・・僕には到底かなわないことくらいは。」
 穏やかな表情。それは明らかな殺意に満ちていた。
 「それは少々癪だが、分かっているつもりですよ。冥神官殿。」
 不意に立ち上がったノーストに浮かんでいたのは凍れる容貌。つまりは最初のま ま。だがその内なるものは完全に違った。
 「くくく、姉上、今度こそ私はここにいるすべてを血に染めて見せますよ。綺麗な花を早く2人で見ましょう。」
 狂気はなお増し、なお恐ろしきものへと変貌。チャーハン・ライスの闇が押されている。
 「では、僕はこの辺りで・・・」
 ゼロスは迅速に消え去り、静寂が生まれた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
この回であっさり決着つくはずだったんですけどねえ。余計なことしてくれます謎の神官さん。

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13052冥王の騎士3:41章:闇より救うのは女神?D・S・ハイドラント 2003/1/23 15:51:55
記事番号13033へのコメント

 沈黙が支配する。魔人の思うがままに、恐怖が撒かれていた。凍りつくそれに聖剣に灯されし邪悪な残光もすでに希薄。絶望の中、狂気がなお強く渦巻いていた。
燃え上がりし黒き焔、ノーストは闇の色に染まりゆく。その中で表情は歓喜、虚ろき翼広げ、むしろ冷静に、すべて見通していた。つまりは血に染まりし大地――そんな未来を・・・。
 「愚かな人間達よ。その屍に花咲かしてくれよう」
 その身は空に浮きて、風の1つも感じぬ。ただ思うがままに、掴むことも出来ぬはずのそれを振り回した。平穏の空間が突如、凶刃と化し、
 「ぐわっ!」
 驚愕と悲鳴、断末魔が響き渡る。
 「っ!」
 刃を唯一受け止めし騎士団長ダイの腕も恐怖と衝撃に震えていた。
 「なお愚かなものだ、ただ苦の数増しただけだというのに・・・」
 哀しげに――笑っていた。区画の上段をしめていた騎士兵士達は死――それなくば激しく強き苦を受けている。
 ノーストの細き腕は、苦痛に歪みしダイに向けられると同時に、闇が収束していった。渦巻きしそれはやがて手の平にて邪悪なる弾丸と化し、取り囲う戦慄の風とともに、放たれん。弾は一分の狂いなく、ダイへと跳んでいた。速度は恐るべく早し、
 「虚無の壁よ、そなたに触れし愚かなるもの、二度と還らざる時を・・・」
 だが、それとともに響きし音。
 「無の盾!(アストラル・ゲート)」
 闇の弾丸は虚空へ飲まれいった。そしてその着弾地点をかばうように美女の姿。エルがそこにいた。
 「エル!」
 「その傷は後で治すわ。ガーヴ様もフィブリゾ君も応急処置はしたし大丈夫だと思う・・・今やることは分かっているわね。」
 アイン、そしてシェーラを一瞥し、力に満ちた声を放つ。2人は笑顔を浮かべ、
 「ええ」「ああ」
 快き返事とともに、魔人の元へと突撃。なおもチャーハン・ライスは黒きままであったが、力強きは一変していた。
 「ほう、私を倒すとでもいうのか。愚かだ、愚かすぎる。」
 哄笑を上げ、闇の剣と悪魔の刃をともに身で受け止めし瞬間、それは金の音。鋼鉄に等しき肉体はすでに不死なるものに近き。ただ残虐なる笑みを浮かべ、
 「罪はけして罰とならず、さすれば我が変わり、罰を与えん、汝、奈落よりもなお恐ろしき業の焔の元へ、いざ裁きを!」
 ――侮蔑の色、
 「精神魔法など私には元より効かない。」
 それを映した。風が荒れ狂い、エルを吹き飛ばす。構成は霧散したであろう。
 「だが、苦しみは明らかにあるからな。以後やめてもらいたい。」
 人込みに叩きつけられしエルを冷たく一瞥し、その後、力を込め、全身より衝撃を放った。
 「人の身3つ如きで私が倒れるものか。」
 と吐き捨てた瞬間、熱気が走る。だが苦などなきに等しき。
 「俺は数に入らねえのか。寂しいぜ。」
 ガーヴは立ち上がった。揺らめく苦痛に惑わされることなく。
 「当然だ。そこで寝ていた方が良かった。」
 瞬間、ノーストが掻き消え、瞬間、ガーヴに衝撃――次瞬には恐怖と嫌悪、そして苦痛。
 「ぐっ・・・。」
 首元を人のものとは思えぬ力にて握り締められていたガーヴ。汗が滴る。
 「終わりにしてもらおうか。」
 そして、その力が込められた。
 「やめて!」
 だがエルの叫びに何も変化はない。アインもシェーラも、その衝撃波の余韻にまるで枷はめられたが如く、動けずに・・・。
 「さあ姉上、よく見ておいてください。この汚れしものが美しく変わる時を・・・」
 狂気が最高潮に達した。チャーハン・ライスの焔は今にも消えんが如く、うめいている。
 (うめき?)
 ただ耳を傾けてみた。シェーラの鼓動に合わさるように、その声が鳴り響く。
 (我の名を呼べ。我の名を・・・)
 そう聴こえた。その間も時は進む。
 「やめて!」
 瞬間、震えしネージュは、声を上げた。強く、鮮明なる声を・・・。
 「いい加減にして、ノースト。あなたはこんな子じゃなかったはずよ。何で2人とも殺したの?本当に私のせい?そうだとしたら許してノースト。お願い、元に戻って・・・。」
 叫びに、ガーヴを掴んだままのノーストは仮面の視線をネージュへと向けた。

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13053冥王の騎士3:42章:女神と亡霊の別離D・S・ハイドラント 2003/1/23 15:53:24
記事番号13052へのコメント

 「まだ、そのようなことを言いますか。」
 それは流れ出る恐怖で串刺しにしゆく様。彼女、戦慄く心なお強くなりゆき、先とは比ならぬように膨れ上がっていた。
 「私はすでに人でなきもの。私は今の私でしかない。あなたの言うノーストに戻るのはもはや不可能です。」
 口調は冷淡であったが、内よりおぞましきほど何かしらの感情、奔流している。それにネージュは脅えに拍車を余儀なくされる。
 「・・・ノースト。」
 だが振り切った声とともに泣いた。ネージュは泣いていた。真紅に染まりし心の雨は、輝いて何よりも美しき。シェーラ達を含む人々も、屍すらもそれを例外なく見ていたのではなかろうか。
 「これが始まりだったんでしょ・・・だったらすべて私に向ければ良かったじゃない。・・・これ以上、私が憧れていた・・・世界を汚さないで!」
 美しく、そして儚きその像、美しさとともに彼女の心の全貌、流れて聞こえる。
 「姉上・・・しかしあなたは女神、汚されてはいけない存在、人より天に立つ高貴なる存在・・・。」 
 それはノーストにすら同じであっただろう。浄化の調べ・・・それが邪なる全霊を洗い流さんとしていた。見目には変わらぬも明白だ。
 「誰がそんなこと決めたのよ・・・。それに私が女神なら、何で悪魔に心を売るのよ。」
 響きに流れ、完全に聖なるネージュのそれがノーストの狂気を押している。それはまさに女神と悪魔の戦いであった。その虚像が垣間見える。
 「姉上・・・」
 その表情に明かりが灯っていった。掴んだガーヴが落つる。振動は鎧の背のみで、さほどのことではなかった。それよりも見ゆるべくは白き晴れやかなる暁。ただ人はそれのみを見つめるのみだ。邪悪なるチャーハン・ライスの、強き意志の叫びも弱々しく、そして安らかでもあった。闇が消えていく。
 「姉上・・・」
 そっと手を伸ばし・・・衝撃波を放った。
 「きゃ!」
 そのまま吹き飛ばされる女神。魔人は笑みを浮かべ、
 「くははははは、もう・・・あなたなど・・・いらない。」
 闇は戻っていた。先ほどに変わらず恐怖が再来する。
 「最期だ。あなたの絶頂の顔を見せていただこう。そしてあなたの血を・・・」
 再び歪んでいた。むしろそれは人に近し、悪魔などには浮かべられぬ真に心、戦慄かすその表情。
 「さあ終わりにしましょう。両親と同じもとへ還りなさい。」
 震えるのみのネージュにその手を近づいていった。恐怖で何も変えること出来ぬ彼女。人もそれを見つめるのみ、渦巻く脅威に微動だに許されず・・・。時が流れていくのか。無情にそうなるのか。シェーラは問う。そして聴いた。
 (我の名を呼べ。)
 チャーハン・ライス、伝説の聖剣・・・。名を思うほどに情報は増していく。光の剣、すべての闇を神の剣。そうではない。
 凍れる腕を伸ばし、チャーハン・ライスの柄を握る。
 「チャーハン・ライス・・・違う、黒の太陽よ。」
 名を呼んだ。天上に輝くそれ。太陽、闇を吸いし黒の太陽。魔を滅ぼし、世界を創りし創造神・・・ウニ。輝きは解かれた。
 聖なる輝きに満ちし剣。チャーハン・ライスいや黒の太陽の究極系。
 「・・・ウニ?」
 (我は創造神ではない。我は創造神に創られし武器に過ぎぬ。今の我は・・・太陽、我は太陽剣グリル。)
 グリルの刃はただ走る。
 「終わるのはあなたの方よ・・・ノースト。」
 その一撃は闇に包まれしノーストを貫いていた。
 「ぐおおおおおおおおお」
 闇が薄れゆく。背後に手を回し、無理矢理、刃を抜き取るも、鮮血が溢れ、地に倒れる。
 「くっ・・・この私が・・・私が死ぬのか。」
 闇の障壁は希薄となり焦りと恐怖を誘った。
 「あなたは・・・絶対に許さない。」
 シェーラはグリルを突きつける。≪深淵の亡霊≫ノースト――1人の魔人に・・・。
 「私にやらせてください。」
 だが声がそれを妨げた。グリルの刃は進むことを許さない。力なきネージュに簡単に奪われた。
 「ノースト・・・私を・・・許して。」
 「姉・・・上・・・死とはこれほどまでに恐ろしいものなのですね。」
 その剣は今にもノーストに沈もうとしている。そして鮮血・・・
 「だめだ!あんたは人を傷付けちゃいけない。あんたが心の傷に耐えられるはずがない!・・・あんた人を殺す人間じゃない!」
 ――亡霊ノーストの最期は銀の悪魔により、もたらされていた。

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13067冥王の騎士3:43章:砕け散った月 仰ぎし女神と優しき悪魔D・S・ハイドラント 2003/1/24 13:47:26
記事番号13053へのコメント

 「こ・・・わ・・・い・・・。」
 数多なる人々を血に染め上げし魔人。これが最期の言葉であった。瞬間、暗闇に還る。
 その後は見えぬ何かに脅え、そして反面で安らかであった。そして晴れやかであった。さながら何かしら悟りを得たが如き。
 「悪りいな。どうしてもあんたに人を殺して欲しくなかった。」
 闇が薄れゆいたノーストの身体は、悪魔のペンダントに切り裂かれし人の骸。そうでしかない。
 「あなたは・・・?」
 ネージュは震えていた。脅えもあっただろう、視点は定まっておらず。
 静寂がなおも停滞する中、その少年は、空いた右手にて黒髪を掻き漁り、
 「アイン・・・アイン・オーフェンだ。」
 美しきを壊してしまわぬよう、そっと笑顔を浮かべ、微動を繰り返す左手を、振り上げた。風切る音が小さく聞こえ、そして魔術の如く首元に絡みつく鎖、戻りしペンダントを軽く握り締め、右手の震えを無理に止める。そして、より強く微笑んだ。
 「アイン・・・さん?」
 ネージュは美しき、あまりにも美し過ぎる。揺れる心、言葉すら満足に紡げないのではないだろうか。少なくも、2人の世界に堕とされている。短き間も永遠に感じた。
 「・・・さんはいらねえよ。」
 と吐き出す。抑えた震えが勢いまして奔流を始めた。
 「では様とかの方が良かったですか?」
 「・・・あんたがそんなこと言うとは思わなかった。」
 ネージュは微笑む。太陽のように明るく、硝子のようにそして脆き。陰には強いひび走っていた。そう見ることが出来る。すべてを見通せ、すべてを晒してしまうそんな女性ではないだろうか。
 「私はネージュ、よろしくお願いします。・・・アイン。」
 「ああ、こちらこそな。」
 熱のない太陽の微笑み。そして光に戻り、
 「ところで、あれ、チャーハン・ライスだよな。」
 アインはシェーラへと向き直ると、ネージュの持ちし剣を指差した。
 「・・・まあそうでしょうけど。」
 従来のチャーハン・ライスよりもなお眩き輝き放つに視線を移し、シェーラが返す。戸惑いはあったようだが・・・。
 「何であんたまで、その剣が出せるんだ?」
 そしてネージュに近寄りゆく。それは激しき逆風そうまでに感じられた。
 「ちょっと貸してくれ。」
 ネージュは惑いつつも、頷き、その剣、グリルを手渡す。
 (戻れ!)
 そう念じ、左手に黒き球――その黒の太陽を確認して、
 (変われ!)
 光を見た。眩きチャーハン・ライスの光を・・・。
 「この剣はな、伝説の勇者の持っていた剣って説が強えらしい、俺もそう思う。エルはチャーハン・ライスを出せなかった。ついでに他にも何人か実験したが、この剣を出せたのは俺だけだったな。だから俺が勇者なんだろ。今の今まではそう思ってたぜ。」
 だが輝きは淡く、それはチャーハン・ライスでしかない。シェーラの作りし、グリルのその力には遠く及ばぬだろう。
 「勇者・・・じゃあ私が?」
 そう放った。温かさが頬の辺りに増す。それを振り払い時を数えた。
 「それについては私が答えよう。」
 声が・・・気配が増えた。淡い沈黙の仲でも異彩を放つそれ・・・。黒き布に完全に包まれし男。
 「あなたは・・・」
 シェーラは振り返り、それを見た。
 「ミックス・ジュース!」
 アインは叫んだ。その飲料の如きで、過去に有名なるその名を・・・。
 「血だ。猛きものは血を隠し、力を誇示する。輝いた力をだ。覇なるものは血を誇示するもその流れは私が取り払った。・・・分かるかね。」
 ミックスのその口調は滑らかで凄まじく早き。
 「何だ早すぎる。もっかい言え。」
 だがミックスは視線をすでに2人より移し、
 「殿下・・・この方の治療は私に任せてくらんかね。」
 赤き光源はフィブリゾを捉えていた。
 「えっ!」
 シェーラは思わず言葉を漏らす。
 「こう見えても私は医療技術には優れている。これでも昔は神に仕え、奇跡を起こして来たのだからね。」
 シェーラに否定はなかった。それで良かったのだろうか。心にそう刻み込まれた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ノーストついに○○。(本当に念のため)
偶然に過ぎないですが、ノーストとダイって裏表、陰陽ではないかと。
ダイって人望とかありそうだし、人をまとめる能力とかもあるでしょうし、
ノーストは残忍で暗殺とかに向いてそう。
ダイは表舞台に立って、ノーストは陰で暗躍。
彼ら2人揃って、覇王(ダイナスト)・・・そーいうことなのかも知れません。

にしてもアイン×ネージュ、このカップリング誕生か!?

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13078ウニ乱投……違う。エモーション E-mail 2003/1/25 00:12:03
記事番号13067へのコメント

こんばんは。

すいません、ウニと聞いて思わず某「アトリエ」シリーズが……(笑)
採取メンバーキャラが「うにっ!」と叫んで、ウニ(本当は多分栗)を
投げる姿が頭に走馬燈のように……速○奨さんの声で「うにっ!」と
言われた日には……病みつきになります、ほんと(笑)

チャーハン・ライスの真の姿(?)とノーストくんの退場。
そして、どうやら花が咲いたらしいアインくんとネージュさん。
ミックスさんがとんでもなく怪しいのですが、エル様があの状態である以上、
フィブリゾ君をゆだねるしかないのでしょうか。……不安ですね。ちょっと。
勝手にサイボーグとか、悪の秘密結社の改造人間にでもされてそうで(笑)

>偶然に過ぎないですが、ノーストとダイって裏表、陰陽ではないかと。
>ダイって人望とかありそうだし、人をまとめる能力とかもあるでしょうし、
>ノーストは残忍で暗殺とかに向いてそう。
>ダイは表舞台に立って、ノーストは陰で暗躍。
>彼ら2人揃って、覇王(ダイナスト)・・・そーいうことなのかも知れません。
これは、充分有り得る話だと思いますよ。というより、王族にしろ、何にしろ、
ある程度力があって地位を持っている以上、そう言う部分が全くない方が
珍しいでしょうから。
人には向き不向きがありますから、いくら頭が良くて信頼できる部下でも
謀殺や暗殺、相手を陥れるための陰謀等に向かない人に、その手の仕事は
させられませんからね。
「AにはAに向いた話、BにはBに向いた仕事」by.オーベルシュタイン
(田中芳樹作.「銀英伝」)ということでしょう。
清濁あわせて、人材は多い方がいいんですから。……もっとも、どちらの部下も
きちんとコントロールできないと意味ないですが。

DVD持っているのに、つい「千と千尋〜」を見ていたら、日付が変わって
しまいました。
ああ、24日の投票が……(泣)

では、この辺で失礼します。

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13083Re:ウニ乱投……違う。D・S・ハイドラント 2003/1/25 10:17:43
記事番号13078へのコメント


>こんばんは。
こんばんは
>
>すいません、ウニと聞いて思わず某「アトリエ」シリーズが……(笑)
>採取メンバーキャラが「うにっ!」と叫んで、ウニ(本当は多分栗)を
>投げる姿が頭に走馬燈のように……速○奨さんの声で「うにっ!」と
>言われた日には……病みつきになります、ほんと(笑)
某「アトリエ」シリーズは1作目のみやったことあります。
森で取れるウニって・・・。
>
>チャーハン・ライスの真の姿(?)とノーストくんの退場。
ついにです。もう主役(それはない)にまで至るほどのキャラでしたから・・・。
>そして、どうやら花が咲いたらしいアインくんとネージュさん。
そうですね。
>ミックスさんがとんでもなく怪しいのですが、エル様があの状態である以上、
>フィブリゾ君をゆだねるしかないのでしょうか。……不安ですね。ちょっと。
>勝手にサイボーグとか、悪の秘密結社の改造人間にでもされてそうで(笑)
そうですね。そんな気もしないでもないです。
>
>>偶然に過ぎないですが、ノーストとダイって裏表、陰陽ではないかと。
>>ダイって人望とかありそうだし、人をまとめる能力とかもあるでしょうし、
>>ノーストは残忍で暗殺とかに向いてそう。
>>ダイは表舞台に立って、ノーストは陰で暗躍。
>>彼ら2人揃って、覇王(ダイナスト)・・・そーいうことなのかも知れません。
>これは、充分有り得る話だと思いますよ。というより、王族にしろ、何にしろ、
>ある程度力があって地位を持っている以上、そう言う部分が全くない方が
>珍しいでしょうから。
そうですね。
>人には向き不向きがありますから、いくら頭が良くて信頼できる部下でも
>謀殺や暗殺、相手を陥れるための陰謀等に向かない人に、その手の仕事は
>させられませんからね。
>「AにはAに向いた話、BにはBに向いた仕事」by.オーベルシュタイン
>(田中芳樹作.「銀英伝」)ということでしょう。
>清濁あわせて、人材は多い方がいいんですから。……もっとも、どちらの部下も
>きちんとコントロールできないと意味ないですが。
なるほど、そう言うばかりです。
>
>DVD持っているのに、つい「千と千尋〜」を見ていたら、日付が変わって
>しまいました。
私も観てました。(途中でコーヒー三杯は飲んだな)
>ああ、24日の投票が……(泣)
いえ大丈夫ですよ。
24日の方に淹れておきます。
>
>では、この辺で失礼します。
それでは、どうもありがとうございます。

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13086冥王の騎士3:44章:昏き世界へ何もたらさんD・S・ハイドラント 2003/1/25 12:41:42
記事番号13067へのコメント

 ――観客席の一部で事件が発生したために大会は一時中断とさせていただきます。
 その声が消えるとともに、様々な声が波の如く響き渡る。
 ――静粛に!我等がダイナスト公爵様に反論するつもりか!
 先ほどとは同一の声とは思えぬその剣幕に空間は静まり返った。
 ――再開時期は未定ですので・・・。
 そして最後の音も消える。

     ◇◆◇◆

 知らぬ空間であった。訪れ時幾許と経たぬ間であるため、当然でしかなかろうが、知らぬ空間であった。白き部屋、空間には寝台は1つ、けして質の悪きものではなく、むしろ丈夫な木材を使いし上質の品。脇に卓が添えられ、棚の役割も果たしている。また椅子は2つ。
 「君は120年前のことをどう思うかね。」
 声は唐突、永遠を信じた沈黙はかくも早く崩れる。その衝撃に震え、そして気が付いた。
 「大魔王バナナプリン・・・ですか?」
 声は小さく、喉元に抑えられている。視線が上下左右に震え回り、それ抑えしことに時、掛けんとしていた。シェーラは捉えし漆黒のその存在にひどく戸惑いを覚えている。
 「そうだな。それと伝説の勇者のことになる。どうだね、それは君には信じられたものかな?」
 と、黒布から手が伸び、棚を開いた。微かに見えしその腕は、枯れた声には反して、美しく若くも見える。疑いをなお覚えた。
 そこより取り出すのは、黒の液に満たされし、硝子の子瓶であった。だがその黒は輝きを帯び、そして光、通している。
 「・・・実話でしかない。君がどう思おうと見た私には事実でしかないのだ。」
 そしてその手の平に寝かした瓶をシェーラに手渡し、
 「この薬は君が飲ませてやってくれ、その方が好都合だろう。」
 「えっ!」
 シェーラは寝台に寝かされた少年に視線を移し、それがなお凝視拒みしものだと感じて、即座に瓶に戻した。
 「別に私がやっても良いのだが・・・」
 と、何ら変わらぬ声、不気味に思え、このままグリルの錆にしようと、思いしものの、それは出来ない。心のいずこかが拒んでいた。 
 「わっ私がやります。」
 慌てて瓶を取り、重い風を振り切って、少年――フィブリゾの元へ歩く。事実、歩は正常であった。
 なおも気を戻さぬ、美貌の少年。頬に熱き風走り、そして思考が乱れ、闇に堕ちゆく錯覚、頭を振り、右手で瓶の蓋を握る。汗の滲みしその手を知り、なお増す奔流を何度も左手に擦り付け、そして力を込めた。思うより軽く液漏れることもなしにそれが間近に見せられる。
 それを巡りし心、一点に鎮め、そして口に含んだ。その瞬間より2人の距離が縮まる。無情にも全身のみ、身体が燃え尽きんが如く熱くなりゆくを感じた。疑惑が湧く、なぜ心は拒むのだ。唇を重ね合うことなど皆無ではないのだ。ならばなぜこれほどまでに・・・。
 だがそれを知ることもなく感じるのは時の流れ、遅れてその感触。熱きをよりなお感じた。心に燃え盛りし赤き焔を・・・。
 そして終えた。冷気がなお引き立って感じる。熱の余韻もその追い風となった。
 「ところで今のは何の薬だか分かるかね。」
 突然に声は訪れた。歩を止め、視界に闇を映した。
 「・・・。」
 答えることも訊ねることも出来ない。そんな2つの不安。
 「神話に関してはどうかね。・・・あっ私は当然、正しき過去であると思ってはいるが。」
 帰ることも忘れ、沈黙に耽った。刻まれ消える時をすべて救いに思いつつ。
 「2人の冥王に関してはどうかね。世間に出回る話ではないが、ハルマゲドン・チップ、彼ら2人にあってはいないかね。」
 冥王フィブリゾとアプロス――世界の危機、悪魔の復活、キャラメル・ソースの像が浮かぶ。
 「彼にはまだ悪魔の欠片としての力が残っている。今の薬はその力を弱めるためのもの、ほんの少しではあるがね・・・。」
 淡々と語る。そしてシェーラに浮かんだ疑問。数多の抵抗を退け、そして放った言葉。
 「あなたの・・・目的は何?」
 ミックス・ジュース、奇跡の大神官オレンジ・ジュースの息子である彼は口を開いた。
 「私の目的・・・あまり言いたくはなかったがね。混沌世界での秩序の有限的持続。つまりは世界平和。病める世界に絶望を与えたくはない。与えるならば希望だ。」

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13100Re:冥王の騎士3:44章:昏き世界へ何もたらさんエモーション E-mail 2003/1/25 21:51:25
記事番号13086へのコメント

こんばんは。

一応、治療は終わった……んですね。
そして飲ませるように言われる妙な薬……。
普通は警戒しますよね……。
フィブリゾ君の中の「悪魔の欠片」を少し弱める薬、と言っていますが、
それが本当かどうかも分からないわけですし。
でも、選択肢が無いに等しいのも事実。
とりあえず信じてみるしかないんでしょうか。

> 「私の目的・・・あまり言いたくはなかったがね。混沌世界での秩序の有限的持続。つまりは世界平和。病める世界に絶望を与えたくはない。与えるならば希望だ。」
何だか意外というか、唖然というか……。今の世界の現状はとても平和には
ほど遠いですし、ミックスさんも多少なりともそれに関わってきたと思うの
ですが……。
世界平和なんて、一握りの人間だけでどーにかできるものではないと思うのだけど。

そういえば、ガーヴ様たちはどうなったのでしょう?
半分死にかけていたと思ったのですが。
また、ネージュさんもどうなったのでしょう。思いっきり不運なことに
「犯人の身内」ですから……。手荒な扱いされていないといいのですが。

では、拙いコメントですが、この辺で失礼します。

追伸、投票、昨日の分にしてくださってありがとうございます。m(__)m

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13105Re:冥王の騎士3:44章:昏き世界へ何もたらさんD・S・ハイドラント 2003/1/26 11:59:25
記事番号13100へのコメント


>こんばんは。
こんばんは
>
>一応、治療は終わった……んですね。
そうですね。
>そして飲ませるように言われる妙な薬……。
>普通は警戒しますよね……。
当然でしょう。黒い薬なんて怪しすぎです。
>フィブリゾ君の中の「悪魔の欠片」を少し弱める薬、と言っていますが、
>それが本当かどうかも分からないわけですし。
まあそうですね。
>でも、選択肢が無いに等しいのも事実。
>とりあえず信じてみるしかないんでしょうか。
・・・この話って選択肢がない状況が多いような・・・。
>
>> 「私の目的・・・あまり言いたくはなかったがね。混沌世界での秩序の有限的持続。つまりは世界平和。病める世界に絶望を与えたくはない。与えるならば希望だ。」
>何だか意外というか、唖然というか……。今の世界の現状はとても平和には
>ほど遠いですし、ミックスさんも多少なりともそれに関わってきたと思うの
>ですが……。
間違いではないでしょう。
>世界平和なんて、一握りの人間だけでどーにかできるものではないと思うのだけど。
そりゃあそうですね。
>
>そういえば、ガーヴ様たちはどうなったのでしょう?
>半分死にかけていたと思ったのですが。
そちらサイドも書くと思います。
何かシリアスばっかりっぽかったので・・・。
>また、ネージュさんもどうなったのでしょう。思いっきり不運なことに
>「犯人の身内」ですから……。手荒な扱いされていないといいのですが。
私は、何か「綺麗だから許す」ってなってるようなーな気がします。
>
>では、拙いコメントですが、この辺で失礼します。
>
>追伸、投票、昨日の分にしてくださってありがとうございます。m(__)m
いえいえ。

レスどうもありがとうございます。

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13116ミス発見D・S・ハイドラント 2003/1/26 17:51:03
記事番号13053へのコメント

> チャーハン・ライス、伝説の聖剣・・・。名を思うほどに情報は増していく。光の剣、すべての闇を神の剣。そうではない。
すべての闇を砕く神の剣。
こんな感じかな。

結構大きなミスかと思ったので一応上げておきました。

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13117冥王の騎士3:45章:焔よ 消ゆることも運命なりD・S・ハイドラント 2003/1/26 18:05:57
記事番号12914へのコメント

 「世界平和・・・ですか?」
 シェーラには浅き驚愕。熱を吹き飛ばし、そしてまた温風を感じた。氷が解けゆく様のその身、熱と冷気が混じりあってる。つまりは温かな恥気と冷たい疑惑。その交じり合い。
 「意外かね。・・・まあ私はこの世の平和を乱すものをすべて取り払おうとは思っていないよ。ただその中の最たるものを何とかしたいのだよ。」
 淡々と語りゆく。真偽も何もかも、そのローブの闇の中にのみだ。その存在すらも疑わしくもなる。
 「それが・・・悪魔のこと・・・何ですか?」
 すでに移動も忘れてし我が身に今、気付く。だが変化はなきに等しかった。軽い焦りが現れてむしろそれが救いとなる。
 「そうだ。あれは世界を完全に滅ぼしかねん相手だ。今も覚醒を望んでいるだろう。対処はすべきだ。」
 変わらぬ口調。温かに見えてひどく冷たい。
 「座ったらどうだね。無論、長話をするわけではないが君は私を警戒している。この部屋に留まりたいと思っている。」
 隠れし熱が勢い増し、噴出はそのすんでに阻むこと出来た。
 シェーラは答えることなく、空白で虚像でも浮かびかねぬその椅子へと歩きゆく。
 「私は君の思う通り、殿下を殺すかも知れんよ。」
 戦慄きの風は今最高潮に吹き荒れた。だが勢い増すばかりで、止む様見えぬ。立ち止まり冷たき風に身凍らせんが如く、震えと停滞。
 「殿下はお強い。むしろ精神面で言えば悪魔の欠片の方が押し負かされているかも知れんよ。」
 だがその言葉など、春風にはなりえなかった。フィブリゾの強さは彼女も知っている。いや目の前のこの男よりも遥かにだ。だが心だけでなくあたかもすべてを見通しているようなその男。戦慄だけでなしに怒りも湧き上がった。
 「ならばショックを与えて音を上げるのはそちらの方ではないかね。殺すほどのショックであれば悪魔の欠片も共倒れするやも知れん。転生を防ぐことになるだろう。」
 なおも変わらぬ枯れた口調。シェーラに募る感情はけして表に放たれることなく、脅えとともに内にて燃え盛った。
 「だが緊急の時でしか行わんよ。君のまた私の計画の上で欠かせない存在だからね。」
 なお怒りを煽る。シェーラのそれはやがて縛め解かし打ち破り、
 「いい加減にしてください!」
 そして流れ出るのは激情。だが叫び散らした声が静寂の色に塗り消されゆくのも瞬く間。
 「確かにすまないと思っている。君の運命を操ったのも私だからな。」
 戦慄が流れ出る怒りを掻き消しゆく。しかし脅える身体と裏腹に心はなおも燃えている。
 「・・・運命を操った?」
 脅えと怒りが重なり、震えし声をもらす。
 「君をダイナスト公から引き離したことだ。真なる伝説の勇者はこのような環境で生まれはしないからな。」
 なお伝わる激しくも無音な冷気。
 「まさか・・・」
 駆け巡るは過ぎし虚像、すべてはこの男により与えられし運命であるのだろうか。
 「それに君が今ここに来ることも予測していたよ。それと1度悪魔が覚醒しかけ君がそれを止めたのもまた予想の通りだ。」
 虚言と判断出来る声ではけしてない。真実味を帯びた揺るがぬ声。
 「なぜそれを・・・」
 なお恐ろしく、なお強大なるものに見えしその男。震えが止まらなかった。戦慄は増すばかりでしかない。
 「当然、すべてが予想通りであるわけではないよ。ただ世界で偶然と呼べるものはそれほど多くないのではないか。1人1人の辿る道の組み合わせが歴史となるだろう。すべてとは言わんが、人と国を知ることである程度は予測がつくと思っている。」
 震えはただ萎縮させるだけではない。シェーラは燃え滾っていた。脅える身体に負けたくなくて心の焔を吐き出す。
 (グリルよ。)
 黒の太陽を握り締め、その剣の名を呼んだ。その陽光の剣の名を――。
 「ほう・・・さすがに君の内面までは私も読み取るのは難しかった。人伝の情報だとやはり曖昧だ。だが君が私に剣を向ける可能性は考えてはいたがね。」
 だが何も変わらない。脅えも戸惑いも欠片もなき。ただ流れるままにそれを受け入れんが如く剣先を見ている。
 「ミックス・ジュース、あなたは許せない。」
 明鏡止水の声、しかし隠れて波紋が響き渡っている。
 「だが私のお陰で殿下と近づくことが出来たではないか。」
 だがそれにも焦りは欠片もなかった。むしろ研ぎ澄まされている。戸惑いを生んだのはシェーラの方。だがすでに始まっていた。

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13118冥王の騎士3:46章:だが我に向けるべきは 剣でなきと思わぬかねD・S・ハイドラント 2003/1/26 19:30:06
記事番号13117へのコメント

 シェーラに風が向かいゆく。そのささやかなる抵抗、運命の狂わせしこと、拒むように・・・。過ぎてはけしていけぬものであったのかも知れなかった。戸惑いを覚えるも、芯なる強きがそれ抑え、拍車掛かりし身に心乗る。
 「君は私を斬れるかな。」
 戸惑いを生むも、やはり消える。それに答えぬままに運命との接点は確かに来た。短き瞬間に終わりは告げて新たな世界が見開くまでの微かな暗闇の瞬間に、響き始めたのは不可解なる調べ。思考が巡りだしたのはその瞬間より、身1つ動かぬまま、心で転するそれは一点にて止まった。
 その言葉は精神面にての意味ではなき。揺るがぬ実の力を指し示していた。
 「これが現実だ。君に私は斬れはしない。これが正解なのだよ。」
 光放ちし聖なる剣は不思議と肩口に差し掛かりし虚空にて静止している。そして強き手ごたえが確かにあった。
 「っ!」
 歯、食い縛りて、剣を進めんとするも、変わることなき不動たる現実の重き壁。たとえ不可解であろうと幻想などではけしてなき。
 「種などない。ただ私と君との力が違いすぎただけのことだ。」
 空は不動であり、壁である。そして確かにそこから魔力の匂いが漂っている。ただただの魔力でなき匂いであった。
 「剣を退きたまえ、人の身で私を斬ることなど出来ない。その剣は持つものの力を映すのだ。とはいえ勇者の血と力を継ぐものにしかこの形態を作ることは出来んだろうがね。」
 と軽く笑う。だがそれも変化はもたらしはしなかった。
 「あなた・・・何者?」
 ただその言葉を吐かしたのみであろう。
 「私はサンチーンミを崇拝しない。三神の存在は信じはするがね。」
 先ほどと変わらぬ口調で語り始める。そう思わせた。シェーラは口を噤み、剣を少し浮かせて、その赫々とせし2つの瞳をただ睨む。
 「神は私を救うのだろうか。狭間に位置する私を・・・。闇と神との狭間の私を・・・。」
 哀しげであった。声変わらずとも枯れきったそれは確かにもの哀しさを与えている。
 「何が言いたいの?」
 剣持つ手を震わせ、声放った。
 「父の時は終わった。彼は無限をやめたのだよ。・・・私もそうするかも知れん。父と同じく力を授けるということは不可能であろうがね。」
 なおも続く。シェーラは2度目の声を上げはしなかった。
 「そう父はトリュフの血を与えた。私とともに継ぐものへ・・・。エルの父に当たるブリガミアという男、私の盟友だ。」
 そして止まる。
 「まさか・・・あなたは・・・」
 ミックス・ジュースはその黒布のフードに手を掛けた。そしてその腕が動くとともに闇が消されんが如くその黒がすべて掻き消える。
 そして現れし姿。
 「これが私の姿だ!」
 白銀の長く伸びし髪はただ後1点に向かって走る。白き肌に整った顔立ち、そして変わらぬ赤き瞳。年齢は掴み取れぬ。だが少なくとも40にはけして達してはいまい。
 「トリュフ・・・族。」
 人でなき魔術士、魔なる力に屈し、すでに絶えたはずの超越者。
 「いや違う。私の半分は優しさ出来ている。・・・ではなく人で出来ている。私はトリュフであった父オレンジと純魔道士であり魔道研究家であった母アップルの元に生まれた。母の研究の成果によりね。」
 声は変わらぬ。完全なるトリュフではなき所以だろうか。
 「関係のない話であるが、同じことを試した。だが彼女は失敗している。トリュフの血の力にて23の時より95年を同じ姿にて過ごすことは出来たようだが、愛を生むことは不可能であったようだ。」
 驚愕がまたもシェーラに走る。
 「95年?どういうことなの!」
 声を上げる。強き声だ。ミックスは微かに笑うと、
 「レーガスと言ったかな。エルは彼とは98年前にそして23にして彼の森にいたが18年前か、私がアインという子を授けてから彼女はそちらに目移りしたよ。だが3年前に彼が去ってから、彼女は森に戻った。そう彼女は118歳だ。トリュフの血を得て、長く若さを保つだけの女だ。美しいのまた血のためだな。」
 確かな驚愕。シェーラはそれを拭い去ろうとした。そのようなことはどうでも良いとそう思いたかったから・・・。だがそれだけでなくそれに隠されずに、重要点を捉えていた。
 「アインってさっきのあの人のことよね。・・・授けたってどういうこと?」
 それを確実に――。
 「分からないか。彼は君の双子の兄だよ。目の色は違うが確かな兄妹だ。」
 再び驚愕の風に打たれ、戦慄を忘れていった。

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13123ある意味黒幕……エモーション E-mail 2003/1/26 21:16:06
記事番号13118へのコメント

こんばんは。

ミックスさんが衝撃の事実をつらつらと……。
何だか凄まじく複雑な人間関係です……。
オレンジとアップルの子どもでミックス……確かに(笑)
エル様とも知り合いだったんですね。
それにしてもアイン君とシェーラちゃんが双子。
男女の双子なら二卵性だから似て無くても不思議ないんですが、
気づくのはかなり無理があるわ、ミックスさん。
それ以前にグラウシェラー、息子の方は気にしなかったの……?(滝汗)
アイン君はそれを知って……いないんでしょうね、多分……。

うん、やっぱりミックスさんは黒幕ですね。
話していることのどこまでが本当か、っていうのはあるけれど。
ゼロスが得意な「嘘ではないけれど、事実じゃない」なんて事も
十分に有り得るわけですし。
ただ、ここでミックスさんが嘘をつくメリットがあるのか?とか、
他にどんな目的があってこんなことを話しているのか、見極めるのが大切ですよね。

……単に、めんどくさくなって全部バラした(爆)だったりして(笑)
それもありですね(笑)

さて、少しずつ一部からの謎が明かされていってますね。
何となく翻弄されっぱなしのシェーラちゃんですが、負けずに立ち向かって
いってほしいです。

では、この辺で失礼します。

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13126Re:ある意味黒幕……D・S・ハイドラント 2003/1/26 22:05:50
記事番号13123へのコメント


>こんばんは。
こんばんは
>
>ミックスさんが衝撃の事実をつらつらと……。
ちょっと語りすぎたような気もします。
>何だか凄まじく複雑な人間関係です……。
そうですね。
>オレンジとアップルの子どもでミックス……確かに(笑)
これは今回思いつきました。いや偶然って恐ろしい(のか?)
>エル様とも知り合いだったんですね。
>それにしてもアイン君とシェーラちゃんが双子。
>男女の双子なら二卵性だから似て無くても不思議ないんですが、
>気づくのはかなり無理があるわ、ミックスさん。
>それ以前にグラウシェラー、息子の方は気にしなかったの……?(滝汗)
>アイン君はそれを知って……いないんでしょうね、多分……。
グラウシェラーは知らなかったようです。
何か凄い昔に、「災厄」がどうとか出産時の記憶が抜け落ちているとかありましたし・・・。
>
>うん、やっぱりミックスさんは黒幕ですね。
>話していることのどこまでが本当か、っていうのはあるけれど。
>ゼロスが得意な「嘘ではないけれど、事実じゃない」なんて事も
>十分に有り得るわけですし。
>ただ、ここでミックスさんが嘘をつくメリットがあるのか?とか、
>他にどんな目的があってこんなことを話しているのか、見極めるのが大切ですよね。
そうですね。
>
>……単に、めんどくさくなって全部バラした(爆)だったりして(笑)
>それもありですね(笑)
もう心は老人だろうし疲れた、とか
単に私が面倒になって全部明かしたという手もあるけど・・・。
>
>さて、少しずつ一部からの謎が明かされていってますね。
何かいろんなこと書きすぎて混乱してたり記憶から抹消されている部分たくさんあるようです。
大丈夫か私。
>何となく翻弄されっぱなしのシェーラちゃんですが、負けずに立ち向かって
>いってほしいです。
そうですね。
>
>では、この辺で失礼します。
それではどうもありがとうございます。

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13128Re:冥王の騎士3:46章:だが我に向けるべきは 剣でなきと思わぬかね2003/1/26 22:15:47
記事番号13118へのコメント

シェーラとアインが双子ー!?
ふえーはらーはれれー・・・・・。
はっ!一瞬遠くに逝ってしまった!!
えーと、いな頭が混乱中・・・・
シェーラも一気にいろんなことあって大変だねー。
アインは知っているのだろうか・・・・様子からしてしらなそうだけど。
まあ!双子だからってなんか変わるわけでもないし(おい!)!
シェーラも気持ちを落ち着かせてがんばってくださいな。

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13131Re:冥王の騎士3:46章:だが我に向けるべきは 剣でなきと思わぬかねD・S・ハイドラント 2003/1/26 23:11:29
記事番号13128へのコメント


>シェーラとアインが双子ー!?
そうっぽいです。
>ふえーはらーはれれー・・・・・。
>はっ!一瞬遠くに逝ってしまった!!
>えーと、いな頭が混乱中・・・・
私も混乱しています・・・。
>シェーラも一気にいろんなことあって大変だねー。
大変っぽいです。
>アインは知っているのだろうか・・・・様子からしてしらなそうだけど。
知らないでしょうね。
>まあ!双子だからってなんか変わるわけでもないし(おい!)!
>シェーラも気持ちを落ち着かせてがんばってくださいな。
そうですよね。
>
それではどうもありがとうございます。

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13140冥王の騎士3:47章:いえいえ 言葉はいりませんD・S・ハイドラント 2003/1/27 14:28:20
記事番号13118へのコメント

 「・・・嘘?」
 そうとだけ届いた。吹き荒れし心の風に言葉、掻き消され・・・。
 「出産に立ち会ったものの記憶はすべて私が消しておいた。グラウシェラーもダルフィンも知らぬだろう。そういえば君を親元から離す時には君を「災厄の子」と呼んだかな。」
 「あなた!」
 再び燃え上がりし、怒りの焔。震えをすべて内に押し込め、剣突きつけた。
 「怒りは私ではなく、グラウシェラーに向けるべきではないかね。予言者に罪はあるべきではない。たとえ誤りがあろうとも・・・。」
 心揺さぶられ、ほのかにして不快なる温気生まれる。「騙されるやつが悪いんだ」との意味も含まれてはいたものの、愛情の希薄すぎた両親に明らかに嫌悪が浮かんだ。
 「さて昔話はこれまでだ。」
 そして視線を幾度泳がせたミックスはそしてシェーラに眼光を突き刺し、
 「私をまだ殺したいかね。」
 沈黙が圧し掛かった。そして、纏わりつき、押さえつけ、震え促進させ、苛立ち煽る。
 「・・・・・。」
 返る言葉はあらず、剣をしまう動作もまるでなき。震えている。瞳に映る巨獣に・・・。
 「まあどちらでも構わんよ。君に私は殺せないからな。・・・一応これを渡しておこう。彼が受け取ってくれるかは分からんがね。」
 と、懐に素早く入れし手、剣振るうが如く返り、そしてグリルの柄へと輝き墜ちていく。
 シェーラの細き指に、微かに触れて停滞を留めていたのは、見知った紋章を描きし金属の球、翼付けしそれはまさに・・・。
 (・・・魂の翼!?)
 サンチーンミ教の三神の1つ、救済神コノワタを現すシンボルであるそれ――。
 「これを君の兄――いやアインと呼んだ方が良いかも知れんな。とにかく渡してくれ。」
 シェーラはなお無言のままに、グリルを握りし腕の左を外し、懐へしまい込んだ。
 「最後に予言しよう。この城は数日もすれば墜ちるだろう。それと冥王アプロスに会いたければ聖都へいけ!分かったな。」
 その声は焦りを含んでいた。いやむしろ先ほどまでを考えるのならばすでにその情に支配されているのであろう。
 シェーラはなお無言であったがそれを察知はしていた。そして生まれし闇もまた・・・。
 そしてミックスは――。
 「白き刃よ 光とともに解放されよ!」
 さながら風の如きに、言葉とともに振り返りて、寝台の少年に向け腕翳す。閃光が視界を浸食し尽くし、白に埋め尽くされたまま無音。だが微かに聴こえしその悲鳴は紛れなく、フィブリゾのその声。
 「っ!」
 声は上がらず、届かず。ただひどく震えていた。見えゆくことへの恐怖に――。
 だが無情の時は停滞を見せず。流れはけして休むことなし・・・。光は消え、その瞬間に、世界は未来なる今を見せ晒した。
 暗闇――拒みしシェーラは暗黒を選ぶ。聴覚が世界捉えしことのなきように祈りつつ。
 静寂・・・ではなき。鼓動が激しく鳴り響き、死神の足音示すよう。拒絶せし今にすべての音は恐怖と苛立ちへの拍車掛けるのみで。他の何にも考えられず。知ること恐れるのだから――。
 そのままに移ろいゆくその刻み、鮮明なのは今も同じ、震えるのは今も同じ、慣れはしない。さほどの流れはない。いやもしや一瞬のことでしかなかったのかも知れぬ。
 「おや、いつまでそのままでいるんですか?」
 聞こえた声、予測に反したそれに、自らの縛め解く――つまりは視界を開く。
 世界は激変を遂げていた。
 「ゼ、ゼロス!」
 赤、入るのはそれ。そして苦悶浮かべし男、あまりに変化しすぎたその男。そして笑う面に、血塗られし少年。
 ミックス・ジュースは、謎の青年、そうゼロスの右腕に胸部を貫かれ、怒りと苦しみを奔流させていた。そしてゼロス左肩には血の流れ生むフィブリゾを抱えている。
 「本来はもう少し泳がせておきたかったのですがねえ。ですがただの人間如きが僕達の主を倒すなどという夢見の過ぎた馬鹿な老人、と言っても、フィブリゾ様を浄化されたらさすがに困りますからねえ。」
 狂気に満ちている。しかしそれは狂気などではなく、彼本来のものであろう。彼に1分の狂いもあらず・・・。
 「ゼ・・ロ・・・ス。」
 ミックスは最後の力にて放ちし言葉ととも、に項垂れ、そして生を失った。
 「フィブリゾ様はもらっていきます。・・・とはいえすでに身体の方は死んでいるみたいですねえ。」
 とミックスの血帯びし右手にて少年の美貌を浅く撫でる。
 「貴様!」
 グリルの一撃。怒りとともに放たれしそれは――。
 「おっと危ない。ではご一行の訪れお待ちしていますよ。」
 意図も容易くかわされ、ゼロスは虚空へ消えた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
さて次回はアイン×ネージュ、続いてガーエルといく予定。
それでは〜

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13141冥王の騎士3:48章:悪魔に魅せられし女神D・S・ハイドラント 2003/1/27 15:50:46
記事番号13140へのコメント

 「悪りいが通してくれ。」
 彼の黒き双眸は狂いなく、鋼に身堅めし兵を直視していた。刃を向けんが如きに・・・。
 「あっ、アイン殿はミックス様に、ねっ、ネージュ殿は公爵様に、がっ、外出を禁止されている。諦め、て・・・。」
 その中年の兵はその睨みにも脅えつつも何とか紡ぎし言葉、放つ。
 「いや通してくれよ。俺達こんな退屈な城にいたくなんかねえんだよ。」
 表情を凄ませ、少しずつ兵へと近づいていく。その度に兵の脅えは拍車掛かり、震えつつ、弱気なる悲鳴をもらしていた。
 「私からもお願いします。・・・少し見逃してくれるだけで良いんです。」
 哀しみを浮かべた如き、容貌にて絶世の美女もまた兵に迫る。脅迫と悲哀の連撃にその兵は――。
 「私は知りませんからね〜!」
 すれ違うように兵は走り去った。
 それを確認し、アインとネージュ、黒と白の男女は視線を合わせ――微笑とともに白の吐息、吐き出す。
 そして互いは前方に視界を変え、欠片の焦りも浮かべることなく、白光の元へただ向かった。

 「さっきは悪かったな。」
 空間は静寂でありつつも流れし空気がそれであってけして閑静ではなき、優雅なる沈黙が流れしは、近くの喫茶店である。とはいえ国内では、すでに滅んだ王都やマツタケ・シティを除けば、最高クラスの規模を持つ都市のそれも中心地である。そこは良質であり格式持った高級感溢れし店であり、それゆえか、気配はさほどでなき。
 「何のこと?」
 声は儚げで美しい、表情にさほどの変化はなかったが明らかに陰が一瞬強まった。
 「あの変態野郎――あっ悪い、あんたの弟だったな。」
 「いえ良いの。」
 慌てたアインに素早く返す。美声に乱れはなおなきで、口調は速くとも穏やかさを保っていた。
 「あいつを俺が殺したことだ。」
 アインの眼差しは震えていた。それだけでなく全身も――。
 「えっ・・でも・・・。」
 そんなネージュの視線を見てか見ずにか、アインは眼光を強め、
 「あんたの意志を無視しちまった。本当にあれで良かったのか?自分で終わらせたくなかったのか?」
 やがて盆を持ちし店員が向かい来る。会話は止まり、静かのまま白く染まりし湯気を見やった。20過ぎほどの女性店員は無言のまま、2つのコーヒーを卓へ、音立てつつ置いた。暗黒の水面は微かに揺れて、そして静まる。そして沈黙が流れた。
 「変なこと言ってしまったな。悪かった。」
 それが打ち破った。声はすでに晴れている。
 「いえ、あなたは何も悪くないわ、アイン。」
 ネージュが上目遣いに優しく返した。その熱線に深く惑うことなく、アインは溜息。
 「そうか。」
 世界を再び見ればネージュの瞳に輝きが宿っていることが分かった。
 「ところであんた、良かったら俺に話してくれないか?」
 輝きの色は驚きの色。小さく大きなそれ。
 「えっ!」
 「いつかで良いんだ。まあ時は関係ねえと俺は思うがな。打ち明けてみろよ。」
 胸元の悪魔をそっと撫で、
 「・・・俺が消してやるからさ。」
 アインの翼は大きく頼もしき。瞳には計り知れぬ強さ。そして輝いて見えた。
 「アイン・・・。」
 すべてを酔わし狂わす、美しき彼女は、1人の男に魅せられていた。
 「俺はあんただけは守るつもりだ。」
 そして冷気を帯びていくコーヒーに初めて気付き、それを手に取る。ネージュも同じくにだ。しかしその温かさも目の前の存在のそれに比べれば些細過ぎた。
 「アイン・・・」
 すでに陶酔へ至らんとしている美女。
 アインはかぶりを振り、
 「ったく何言ってんだ俺。」
 そう呟く。しかし言葉は確かに心へ刻んだ。
 ネージュはその様に笑み浮かべる。それは冷たき太陽の笑み。しかし幻想であっても温もりは持っていた。身体に浸透していくコーヒーの熱よりもさらになお。
 「ところでアイン・・・」
 ネージュに明かりが灯ってきている。
 「何だ?」
 静かに訊くと、
 「お金・・・あるの?」
 「・・・・貸してくれ。」
 微笑みが走った。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 アイン×ネージュです。
 アイネジュかな?
 最初ネージュはガーヴとくっ付く予定でした。
 ガーヴが家に忍び込んで鎖断ち切って逃げると、ノーストが怒りに燃えて襲い掛かり、そしてなぜかダイが死ぬ。
 という感じでした。
 ううむ相当変わった。
 これも恐らくガーエルの仕業でしょう。

 ところでアイン、ネージュ、年齢は18:23だけど、精神年齢はどうなんだろうか。ネージュのあの境遇がどう影響しているのでしょうか。
 後、アインのモデルはあの「魔術士オーフェン」のオーフェン、やはり何か災難が訪れるのでしょうか・・・。

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13144冥王の騎士3:49章:我 我でしかなき 汝思いし過去に重ねるべからずD・S・ハイドラント 2003/1/27 18:14:48
記事番号13141へのコメント

 静寂の波紋は浸透しつつも、それを破ること、惜しむことはなき。走る苦痛に堪えることなく、ガーヴは天井を見やり、そしてどこか哀しげに溜息昇らせ、消えし時見た。そしてその終わりとともに、
 「ああ、酒飲みてえ。」
 だがなお沈黙が鳴り響き、声、掻き消した。
 その中の微弱な揺れを感じつつ、緩慢な時に苛立ち膨らます。そんな時は移ろうことなしに、過ぎ去らんとするも、
 「ガーヴ様〜♪」
 突然、音に眉を顰め、表情を曇らせる。そしてなお軋む傷口を鮮明に感じた。
 並の男ならば軽く魅了してしまわんほどの美女エルが狭き部屋を疾駆し彼横たわりし寝台の側にまで詰め寄る。だがガーヴはただそれにより深き溜息のみであった。
 「ほら、これあたしの手作りドラゴンスレイヤーパイよ。愛がたっぷり入ってるからゆっくり食べてね。」
 彼女が脇の卓に置いた純白無地の陶製でありし平皿に乗るは、美しくも毒々しき、赤と青の粘んだ輝きを戴きし、パイであった。焼加減は悪くなく、香ばしき匂いは宙を漂いガーヴの嗅覚を刺激する。
 「ったく、どうせなら酒持ってくりゃ良かったのにな。」
 そう呟きつつその禍々しきパイを睨む。
 「で、これは食えるのか?」
 とエルへ視線を向ける。
 「やあねえ。それをこれから試すんじゃないの♪」
 ガーヴは睨みを強め、そして脇にあった鞘付きの剣へ手を伸ばした。
 ところで、ガーヴは現在、治癒魔法を施され、後は少し休めば、傷も完全に消える。それまでをこの個室にて過ごしている。白を基調とした部屋でありガーヴにはさほど好ましきものではないものの、それもまた些細なることでしかない。傷も幾分良くなり、酒を飲みたい以外の欲求は現在なし。
 とにかく、傷口など気にすることなく、素早くその剣を手にせしガーヴはそれを、無理のなきよう、軽く振り下ろす。それがエルの頭上へと――届きはしなかった。
 息1つ鳴らし、ガーヴは剣を捨てた。
 「あれ・・・殴らないの?」
 少々困惑を浮かべつつあるエル。
 「殴って欲しかったか?」
 表情1つ変えずにそうもらし、ただ見つめ続けた。
 「まあそれにあなたの愛が少しでも含まれてるのなら・・・」
 そう平然と返すと、かぶりは虚空を切って、
 「なら無理だな。・・・それよりてめえが先に食え。」
 と皿を持ち上げ、エルの口元へ運ぶ。
 「えっ・・・そっ、それは・・・。」
 エルは沈黙を湛え強張る顔立ちに時とともに拍車掛けゆく。
 「愛なんてくだんねえこと言うなら、真面目に味見してみやがれ!てめえの食えねえもんが俺に食えると思ってんのか!!」
 怒気を放ち、そしてそ皿の世界を宙返りさせ、パイを地に墜ちゆく様を変わらぬ形相で見つめた。
 「ガーヴ様・・・。」
 その眼からは涙の兆しが少なからず見とれる。足元の菓子に視線が行き、金髪に隠れかけた表情には翳りが滞っていた。だがなお彼女は美しき。
 「今さら言いたくはねえがな。」
 ガーヴは呟いた。幾分優しい、口調には変わりなきものの、そこには確かに気遣いが含まれているだろう。
 「俺は昔、あんたみてえな女に騙されてひでえ目にあった。」
 暗き追憶、笑い話にも聞こえなくない内容であったが、それでも口調がそう思わせんことを遠ざけていた。
 「まあ詳しい内容には触れたくねえ。ただ俺はそれで死に掛けた。これでも貴族だったからな。命狙われることもあるんだよ。」
 エルはなおも変わらぬまま、だが何かを膨らましていたのは確かなること・・・。
 「ガーヴ・・・様。」 
 そう小さく呟いた。
 「何だ?」
 口調はさほど変わりなき。むしろ不遜なる平時のものへと戻りつつあった。
 「あたしは・・・あなたが好きなの。信じて、あなたの過去がどうであったかは知らないけど、あたしは絶対に違うわ。あたしはあなたを、侯爵としての様じゃなくて、この世に生きる1人として、様を付けられる人間だと思っているわ。あたしはあなたが世界で一番だと今は思うわ。少なくともこれからはそう思い続けると思う。あたしは・・・あなたが・・・。」
 「もう良い。分かった。」
 そして虚空を見やり、再び視線の邂逅。
 「悪かったな。」

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13150主役は酷い状況だけど、らぶらぶなカップルが2組……。エモーション E-mail 2003/1/27 21:52:12
記事番号13144へのコメント

こんばんは。

ミックスさん……あっさりと退場ですね……。
やっぱりゼロス、強い……とてもこの間、姉にお仕置きされていた方と
同一人物には見えません(笑)
何故か、この場面のゼロスを見たとき、森博嗣さんの「スカイ・クロラ」の「僕は昼間に2人を殺したその指で、ハンバーガーも食べるし、コーラの
カップも摘む」(さすがに文章うろ覚えなので、多分違う……)という一文が
頭に浮かびました。
でも……かなりスプラッタで凄惨な場面なのに、ゼロスだと変にはまりますね。

一方のアイン君&ネージュさん。
さっそくデートですね!しかもすでに告白モード!!
……ひたすら奥手だった妹と凄い差です。アイン君。
さらにガーヴ様&エル様。
……エル様、何故作ったことのある美味しい料理を、ガーヴ様に
出さないのでしょう……?
ガーヴ様……過去に「純真だった少年時代(勝手に決めた)のピュアな男心を
弄びやがってーーっ! 呪ってやるぅぅぅ」な目にあったのですね……。
でも、普段のノリと違うまじめなエル様の告白に、ガーヴ様のこのご反応……。
後一押しですね。がんばれ、エル様!

と言ったところで、変なコメントになりましたが、この辺で失礼します。

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13152Re:主役は酷い状況だけど、らぶらぶなカップルが2組……。D・S・ハイドラント 2003/1/27 22:34:36
記事番号13150へのコメント


>こんばんは。
こんばんは。
にしてもタイトルその通りですね。
>
>ミックスさん……あっさりと退場ですね……。
あまりにあっさり・・・やはり事前に予測していたのでしょうか?(私が訊くな)
>やっぱりゼロス、強い……とてもこの間、姉にお仕置きされていた方と
>同一人物には見えません(笑)
確かに・・・。
まあゼロス、アニメとかだとコワい表情とか結構見せてますし・・・。
>何故か、この場面のゼロスを見たとき、森博嗣さんの「スカイ・クロラ」の「僕は昼間に2人を殺したその指で、ハンバーガーも食べるし、コーラの
>カップも摘む」(さすがに文章うろ覚えなので、多分違う……)という一文が
>頭に浮かびました。
ううむ少々調べてみますかねそちら。
>でも……かなりスプラッタで凄惨な場面なのに、ゼロスだと変にはまりますね。
まあそうですね。
原作でガーヴ倒したフィブリゾをイメージしてみました。
>
>一方のアイン君&ネージュさん。
>さっそくデートですね!しかもすでに告白モード!!
本気で早い・・・。
>……ひたすら奥手だった妹と凄い差です。アイン君。
そうですね。まあ環境のせいかも・・・。
>さらにガーヴ様&エル様。
>……エル様、何故作ったことのある美味しい料理を、ガーヴ様に
>出さないのでしょう……?
確かに・・・。
>ガーヴ様……過去に「純真だった少年時代(勝手に決めた)のピュアな男心を
>弄びやがってーーっ! 呪ってやるぅぅぅ」な目にあったのですね……。
これいずれ書く予定です。
>でも、普段のノリと違うまじめなエル様の告白に、ガーヴ様のこのご反応……。
>後一押しですね。がんばれ、エル様!
このカップリングもなかなかいい感じになったかと・・・。
>
>と言ったところで、変なコメントになりましたが、この辺で失礼します。
いえ全然そんなことないです。
どうもありがとうございます。

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13155冥王の騎士3:50章:走らんことを 長き時に潰れぬようにD・S・ハイドラント 2003/1/28 18:36:55
記事番号13144へのコメント

 沈黙還りて、魔力も魔塊も空へ消え去る。風化せんが如くに、倒れし姿は消え去らん。・・・そうミックスの姿は掻き消えた。
 戸惑い生まれる。しかしそれも一瞬のそれでしかなかった。表情引き締め、そして踵返すと、すべてを迷い振り払いて――部屋の外へと駆け出した。・・・すでに静かに支配され、血の跡、1つ残りておらず・・・。
 シェーラに暗闇飛び出すも、だが構わずに、ただ駆ける。音はひどく響きて消えゆく。
 フィブリゾ、それだけが彼女を占めていた。
 そして暗黒の廊下越え、ミックスの領域抜け行くと、迷わず走る。・・・所も知れぬダイナスト公グラウシェラー彼の待つ部屋へ・・・休むことなく疾駆せし。
 
     ◇◆◇◆

 「あら何の音かしら。」
 轟音とも言えようそれは彼女に届いていた。
 「ちょっと来るわ・・・愛しのガーヴ様。」
 「勝手に失せろ。」
 台詞、受け流してガーヴは見送る。

     ◇◆◇◆

  沈黙が張り詰め、静寂が流れる。ただ乱すのは彼女の吐息、疾駆の激動の余韻、それ残して激しく、空間の厳格さに軋み入れている。眼前にはただ刃の視線を返す1人の男。
 「何だ。このような場にまで訪れて・・・。」
 むしろ不快感を帯びていたやも知れぬその声。銀と白の美しきに反せし強さが滲み出されている。まさにダイナスト公シンボルである2つの剣に護られし獅子そのものであった。
 「ダイナスト公、即座に聖都へ馬を出していただきたい。」
 シェーラは小さき獣――食われし立場のものであっても獅子を食い返さんが如く強く言葉返した。

 グラウシェラーは、執務机に座っている。紙と筆を置いているために、何かを書き記そうとしているのであろうか。この部屋は兵士を半ば脅して訊きだしたのだ。
 背後に硝子窓、天井と壁の白き、そして赤きカーテンと床。後は本棚などが面積に合わずに多い。だがそれらは一瞥のみで、視線はほぼ完全にグラウシェラーへ向けられていた。
 「何だ急に、我が娘とはいえさすがに難しい。・・・一体何があったのだ。」
 むしろ獅子は押されている。「我が娘」に対し、言葉返さんと思うものの、心の何かが引き止めた。
 「フィブリゾ・・・様が・・・フィブリゾ様が・・・」
 だが言葉は喉より出でし瞬前に、掻き消えんとする。
 「どうしたのだ。落ち着くが良い。」
 いや獅子は優しき、そうまでに思えるも警戒の必要は明らか・・・。
 だがその中でシェーラは声を膨らまさんとする。何とか言葉放たんとする。機、満ちて、そして消える。それが繰り返されたその後に、覚悟に近き情を追い風に言葉を放った。
 「フィッ・・・フィブリゾ様が突然現れた賊に捕らわれ、ミックス殿が殺害されました。その骸はあろうことか、消え去り・・・とにかくそれよりもミックス殿は言っておりました。聖都へいけと!」
 言葉は強まり、涙が溢れんとした。だがそれを拒まずに言い放ち続ける。涙の線は目元を越え、流れ出でた。
 「そうか・・・今のは実話か知らんが、良いだろう。これが私の君へのせめての罪滅ぼしになるのならば・・・。」
 俯いてそう呟いたグラウシェラー、そしてシェーラを再び見やりて、
 「だがそれは明日になりそうだ。今すぐはさすがに私でも手配は難しい。・・・それよりもそこで聞き耳立てているのは誰だ!」
 「えっ!」
 シェーラの安堵が欠片ながら戻りつつあるその顔で、疑問をむしろ露骨に表していた。
 「ごめんなさい。どうしても興味あったもので・・・。」
 入り来るのは、金色の髪の美女まさに―― 
 「・・・エル。」
 エルでしかありえなかった。
 「それで入って来るのは何か意味のあってのことか?」
 なお表情変えずにグラウシェラーはその女に視線を浴びせる。
 「あたし達の馬も用意してください。あたしとガーヴ様とアインと・・・あっどうせあたしとは免許持ってないし、それにガーヴ様の後と決まっているので3頭で結構です。」
 微笑みを浮かべ、眼光を受け流しつつそう答えてゆく。ちなみに免許とは魔道馬、瞬馬などの超高速馬に乗るための免許である。つまりは魔道馬か瞬馬を用意しろと言っているのだ。
 「・・・分かった。」
 表情に反して、返事はむしろ快いものであった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
本日不調です。
何が不調かというと、誤字ばっかりしています。
直しはしますけど結構腹立つんですよね。それに誤変換とか・・・。
愚痴っちゃってすみません。・・・まあここ愚痴スペースだと思っていたりしているんですけど・・・。

とにかくさようなら〜

読まれた方・・・大変ありがとうございます。

ここでも後書きから読む方(いるの?)もし忙しかったり疲れていたりしていないのであれば、もし良かったらで良いんで読んでみてくださると嬉しいです。まあ最初から読まんと分からんかと思いますけど・・・。

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13158Re:冥王の騎士3:50章:走らんことを 長き時に潰れぬようにエモーション E-mail 2003/1/28 20:57:17
記事番号13155へのコメント

こんばんは。

フィブリゾ君が絡むともう誰もシェーラちゃんを止められない……。
そんな感じですね。

> 「あたし達の馬も用意してください。あたしとガーヴ様とアインと・・・あっどうせあたしとは免許持ってないし、それにガーヴ様の後と決まっているので3頭で結構です。」
……そして、アイン君の後にはネージュさんが乗って(笑)、何となく
おまけにサイコロ君がついてくる……かな?
さらりとアイン君を頭数に入れているのがさすがです、エル様。
パッとこういう判断を出せるのもエル様だから、と言えますね。

聖都で何がおきようとしているのでしょう。

……ところで、グラウシェラーさん。とりあえず現場の調査も必要では?
少なくとも、ただごとじゃないことが起きたのは分かるはずですが。

では、短いですがこの辺で失礼します。

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13160Re:冥王の騎士3:50章:走らんことを 長き時に潰れぬようにD・S・ハイドラント 2003/1/28 21:18:16
記事番号13158へのコメント


>こんばんは。
こんばんは〜
>
>フィブリゾ君が絡むともう誰もシェーラちゃんを止められない……。
>そんな感じですね。
まさにその通りですね。フィブリゾ様命!ですから・・・。

>> 「あたし達の馬も用意してください。あたしとガーヴ様とアインと・・・あっどうせあたしとは免許持ってないし、それにガーヴ様の後と決まっているので3頭で結構です。」
>……そして、アイン君の後にはネージュさんが乗って(笑)、何となく
>おまけにサイコロ君がついてくる……かな?
恐らくダイさんは無理でしょう。
重要な役に置かれているっぽいので・・・。
>さらりとアイン君を頭数に入れているのがさすがです、エル様。
>パッとこういう判断を出せるのもエル様だから、と言えますね。
さすがです。
>
>聖都で何がおきようとしているのでしょう。
その前に聖都の地名考えないと(待て)
>
>……ところで、グラウシェラーさん。とりあえず現場の調査も必要では?
そうですね。まあいろいろ忙しいのでしょう。
>少なくとも、ただごとじゃないことが起きたのは分かるはずですが。
まあ兵の負傷も大きいでしょうし、そちらも重要ですが世界情勢もやはり気になるのでしょう。(国のどこかに手紙か何か出そうとしていたと思ひます)
>
>では、短いですがこの辺で失礼します。
それではレスどうもありがとうございます。

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13167冥王の騎士3:51章:優しい時間D・S・ハイドラント 2003/1/29 13:51:10
記事番号13155へのコメント

 「ダイ殿の・・・お部屋はこちらでよろしいんでしょうか・・・。」
 殺風景の城内、その細工の1つも寂しき古びた木の扉に立ち塞がらん兵にシェーラは声掛ける。儚げにも思えし声。その若くしての女騎士であり、領主の娘でもある彼女のそれに対し兵は動揺を浮かべつつ、
 「・・・ダイ様に・・・御用ですか。」
 「・・・はい。」
 シェーラは心整え応えると、兵は黙りて道開けた。
 
 狭き空の沈黙に光は淡く踊る。白き部屋、温もり舞おうとも、見目には冷たく身、引き裂かれんが如き。
 「シェーラ様・・・。」
ただ儚くも暖かで優しい微笑みの迎えありて、凍れることなくも、沈黙に還らんは瞬くほどに速きであった。
 その逆風に耐えつつ、シェーラは頬の火照り隠して、歩き出す。歩は短くも長き・・・。
 「ダイ・・・殿。」
 微かなる声であった。そして哀しげであり、それ隠しつつもあろう。
 「傷・・・大丈夫・・・ですか。」
 そして脇により椅子に腰掛け、寝台に座りし若き騎士団長を覗き込む。
 「ああ、随分良くなりましたよ。」
 微笑む。冷たくも暖かで、淡くも強き。以前ほどでなきもののほのかなる熱に侵されるシェーラ。
 「でも・・・ノーストは・・・」
 むしろ哀しげであったのはダイの方。
 「・・・。」
 シェーラは黙した。思考が回転し、惑わす。
 「僕は・・・彼とはそれほど仲が悪かったわけではないんですよ・・・。」
 青年へ曇りが募りくる。微笑みは掻き消え今や姿見せぬ。
 「そう・・・ですか。」
 墓石の空――似た表情、似た口調であったやも知れぬ。ただそうもらした。
 「彼は・・・ヒムド殿に付いてはいましたが、彼は少しは友人関係ではありました。」
 語り出す如き口調。空間はかくも静かであるに気付けば鳴り響く歌。
 「少なくとも彼の趣味には賛同は出来ませんでしたが・・・。」
 そこで何か違う音が響き来る。それは扉打つ音であると気付く。
 「どうぞ・・・。」
やがてそれは去りゆいて、風入り、そして1人姿を見せた影。
 「団長、お怪我なされたとお聞きし遅ばせながらも駆けつけ致しました。・・・ご体調の方はいかがでしょう。」
銀の短く整いし髪は美しく気高き。肌も白く白の衣服であり、北ではよく見られるらしき容貌であるが、20を過ぎたところほどの歳でとは思えぬ落ち着きを感じさせている。
 「カシフォードか・・・ならばそんなに畏まる必要はないよ。」
 「ですが・・・」
 微笑み半ばのダイに対し、カシフォードと言うらしき男の表情はあまりに堅き。
 「お知り合い・・・ですか。」
 ダイは頷きて、
 「僕の友人の1人で、先ほど控え室でお話したウォード殿のご子息のカシフォード・ピグマリスタです。父に似て優秀な騎士ですが少々騎士らしすぎる騎士になってしまったようで・・・。」
 苦笑し、カシフォードを見やるダイ。
 「初めまして・・・。シェーラともうします。」
 温風帯し表情を、入り口のカシフォードに向ける。
 「シェーラ様ですか。私は団長のご紹介通りカシフォードです。よろしくお願いします。」
 笑みもダイのものより細く、希薄に感じられるもののその分不快な点はなし。
 カシフォードはそのまま近寄り、
 「お似合いですね。・・・団長。」
 そうもらす。シェーラはなお熱感じる。
 「こちらは公爵様のご息女に当たる方だ。そういうことは言わないでくれ。」
 ダイもまた明らかに熱を帯びている。
 「これは失礼。」
 と薄笑い。そしてその美貌をシェーラへ向け、そしてダイへ戻し・・・。
 「ですがやはりお似合いでございますよ。・・・私は失礼させていただきます。」
 カシフォードは踵返し、部屋去った。
 溜息が2つ昇りて消える。
 「大変御失礼致しました。」
 ダイが熱を振り払いて声出すと、
 「何のこと・・・ですか。」
 惚けたが如くの表情。そしてシェーラは笑みを浮かべた。ダイは合わせるよう苦笑。
 そして時流れゆく。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
これはダイシェラ・・・なのか?
カシフォード再登場。覚えておられる方いらっしゃるのでしょうか。
アインにあっさりやられてぶち切れた野郎です。
まさか再登場するとは思わなかった。

それでは〜

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13178冥王の騎士3:52章:無明の夜 欠片探せぬ痛みD・S・ハイドラント 2003/1/30 14:52:52
記事番号13167へのコメント

 静かなりし食卓。光あれど陰ありて、明るく暗くそして寂し・・・。思えるはこの心だけと思えば哀しくもなるものが、誇らしくもなきわけでなし。それも嫌悪に変わらんが・・・。
 賑わう声に答えるも、返すそれが単純すぎて、沈黙良いとも思いも出来た。
 涙だけは流さぬように、笑顔振り撒き焔燃やさん。闇振り払うがそのために・・・。
 希望、燃やし続けた。消えてしまいしことなきように・・・。何度もくべし虚ろのその薪。金の音響き渡りて、芳醇なりし海広がらんもけして忘れぬ。
 だが輝きに闇はけして消えることなし。
 だがなお侵されぬよう何度も燃やした。夢想いて、悪夢とならぬように・・・。
 心熱くて焦り募りても、それでも止めはすることなく・・・囲う灯り達よりも、我が身の光選びして、闇の中へ飛び出さん、交う声に耳傾けることはけしてなし・・・。
 虚ろとなりたその場所の、残り香などすでに知らぬ。
 思いた・・・思いた。ただ思いて、そして想いて・・・すべてを光に闇に、捻じ伏せた。

 ――シェーラは食卓を抜け出た。動ずるものおれど、止めるものいなかった――。

 時は流れる。哀しく無情に、兆しもなくして、ただ流れるよ。だがそのそれ、良いやも知れぬ。もし流れぬならばそれも哀しき・・・。
 思う心。恐れる心。戦いして勝つものも知れずに、互い見せずに、夢だけ見れば、輝き灯るも、やはりは幻。あまり脆くて、今壊れんとす、涙浮かばず、剣刺さりて、苦しみだけで、我が身罰した。何も変わらず、闇が増え出て、焦り駆けゆき、苦悩踊るよ。その剣よ、願えるのなら、せめてこの身に、突き刺してくれ。虚ろではなく、その真なる、輝くその身、今見せてよ。そして突いてよ。
 
 ――フィブリゾを救いたい。だがそれは恐ろしきこと、ならば夢だけを見ようとした。フィブリゾとの未来。虚像であるやも知れぬも、それでも良かった。だけど崩れて焦り生まれる。恐怖も同じくに姿見せて、今何も出来ん自分に苦しむ。出来ればそんな自分に罰与えて欲しいとシェーラは願った。そんな寂しい部屋――。

 だが心はけして弱くはない。強くもないけど、負けたくはない。
 だから負けないよ。心燃やして、浮かんだ笑顔、大切にして、気持ち躍らす。翼広げる。今飛びたてんも、明日のために。
 絶対負けない。掴む勝利を・・・。迷い何て後で良いんだ。
 
 ――決意。そして時を待つシェーラ――。

 時は流れる。哀しく無情に、兆しもなくして、ただ流れるよ。だがそのそれ、良いやも知れぬ。もし流れぬならばそれも哀しき・・・。
 そう流れぬば、心雨降る。だから過ぎてよ。早く流れて、早くその時、いつか来る時。眠れぬ夜に明日思いて・・・希望抱いていつしか眠る。

 ――シェーラはただ眠りに専念。しかしそれは困難で苦しくもあり。だがいつしか明日思うままに優しき闇へと堕ちた――。

 輝く瞳に導かれ
 風吹く街より旅に出る
 天より注ぐ雪だけが
 僕等の世界彩るよ

 煌く白に惑わされ
 深い闇へと堕ちていく
 天地を駆ける風だけに
 僕等の焔揺らめくよ

 聖なる翼広げ
 最果てまでも飛び立とう
 すべてが僕等の邪魔しても
 向かう先が闇ででも
 きっと光来るだろう
 そっと雪握り締め
 溜息消えるの待った夜

 去りゆく光陰、儚くて
 雪降るあの日還りくる
 去年の陰は空だけが
 僕等の追憶駆けゆくよ

 病める世には汚されて
 遠い光は過去にだけ
 風を求める僕だけに
 君の姿は映される

 悪魔に心売るよ
 それでも君に会いたいよ
 すべてに僕を消されても
 向かう明日がなくてでも
 きっと君に会えるだろう
 そっと拳握り締め
 涙止まるの待った朝

 聖なる翼広げ
 最果てまでも飛び立とう
 すべてが僕等の邪魔しても
 向かう先が闇ででも
 きっと光来るだろう
 天の光掴みとり
 悲しみ笑う暁に

――夢を見た。想い合った2人。儚く散った欠片。少年は泣いていた――。



zzz・・・。



――翌朝の目覚め、悪くはなかった――。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
最後のやつは私の詩を引用しました。
3はもう終わりますね。
後1回か2回・・・多分。

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13180冥王の騎士3:53章:世界に希望をD・S・ハイドラント 2003/1/30 17:43:40
記事番号13178へのコメント

 風――淡雪の空とは裏腹に温かく、強く吹き荒ぶもまた優し。天は墓標の如くに暗き中、雲の梢の隙間より注ぎし、聖なる薄光に照らされて、幻想なる世界に爽やかなる色奏でていた。睡魔喰らいしその俎も虚ろでけして見えぬため、映るにはただ美しく、震えし身心にむしろ晴れやかであろう。
 聳えし白亜の巨壁にはあまりに似合わぬ小さきそれに、風化せし偽りの時の停滞見せる。腐臭に今にも漂わん兆し感ずるも、思うより見るがまだ整いておりて、現実に疑いもたらすも、真に疑いしべきは自らの虚像。
 ――つまりは見れば古びているやも知れぬも、1度見して心に思うよりはさほどでもなきほどである。というところであろう。

 これこそが厩である。城壁とは明らかに違う木製の――しかも上等なものとも思えぬ――造りしている。
 「これが――ですか?」
 焦点あまり定まらぬ眼差し、風も温かくば夢の心地へ戻らんとする。彼女はさほどでなきもののまだ早き朝はやはり身刻んでいた。
 「ええそうですよ。」
 ダイは笑顔のままにその厩を指す。集いしエルやガーヴ、そして完全に睡魔の残りしアインもそれを呆然とただ眺めた。ちなみにネージュもいなきわけではなかったのだが、彼女の視線はやはり違っていた。
 ――ボロすぎる。
 それがネージュ除く一同の素直過ぎたる感想であろう。間違いとはけして言えぬものであったが・・・。
 面積としてはやはり巨大であるのだが、やはり古びており腐食も感じさせていた。
 「まあこれは公爵様のお言葉ですが・・・馬如きにまともな家造る金がどこにあるというのだ。とのことでこのようなものに・・・。」
 と言葉の半ばにして口調を変化させ、溜息とともに終える。・・・反応は沈黙であった。
 「まあ・・・とにかく皆様にご提供する馬は決まりましたから・・・。」
 表情、引き攣らせつつも笑顔で言葉紡ぎて歩き出す。
 「おい、待てよ。」
 呼び止めは唐突にて、風に乗らずとも金髪なる青年へ届く。
 「何でしょう。」
 足止め、見やる先には、細部分からずとも、不快なりし情、明らかに浮かべる黒き少年。
 「その馬、俺も乗らなきゃならねえ見たいだが、俺免許ねえぞ。」
 気だるげに吐き捨てる。ダイが言葉紡がんとするよりも早くに、
 「あら、あなた未成年でお酒飲めたんだから、魔道馬くらい乗りこなせないとね♪」
 エルはその残りし眠気の破片吹き飛ばさんが如くの笑みにて返した。
 「そうだな坊主。てめえがただもんじゃねえことは分かってるぜ。まあがんばれよ不良クンよ。」
 同じく醒めし瞳に笑み浮かべて、からかいの口調にて放つはガーヴ。
 「おっさん・・・俺をガキだの不良だの言ってっとその首なくすぜ。」
 同じく吹き飛ばせし睡魔、その代わりと、彼の瞳には殺意が滲んでいた。だが巨漢の戦士戦慄かすには足らぬようで・・・。
 「がははは面白えガキだな。ますます気に入ったぜ。・・・今度酒飲むか未成年サンよ。」
 嘲笑うかの如きガーヴ・・・しかし1対のその視線。
 「あっ・・・悪かったな。」
 その先には哀しげなる少女のように無垢なる瞳。虚ろでありて水晶の輝き見せていた。ガーヴは曇らせたかぶりを小さく振りて、
 「とにかくいくぜ。兄ちゃん案内しな。」
 やはり先日に比べ遥かな上機嫌感じさせんガーヴ。傷も早くに癒えて、酒飲みて気分の良き跡なのであろう。2日酔いのなきことはさすがと言える。
 「そうですね。」
 ダイは違った笑顔にて返す。ネージュさえ薄笑み浮かべる中、シェーラだけが光に馴染めずにいた。そこのみが冥く、哀しき。映り視世界は同じだと言うのに・・・。
 
    ◇◆◇◆

 「我は呼ぶ破天の流星!」
 その轟音――天より凄まじき雷鳴。赤く染まりしその一撃にて、フラッペ砦は半壊に至りていた。

 「わずか数十人・・・それも実質は数人にか。フラッペが墜とされるとはな。」
 暗く染まりきった声、薄闇に聞こえる哀しき歌。
 「グラウ攻略は難しいわね。トレオがどれだけ増援取り付けられるかに懸かってるわ。」
 反して明るき流れ。
 「それにしてもあのロイシンもやられたからな。・・・リシンとメチオはどうでも良かったがな。」
 溜息、昇りて消えゆく。
 「イソロが裏で何かしてくれるらしいけどね。・・・でもやっぱり狂戦士の忠誠のなさに賭けるしかなさそうね。」
 その輝きもやがては消える。
 「ファン・・・お前はどう思う。」
 部屋の隅・・・沈黙の仮面は、
 「イマダ・・・イマコソコウキ・・・セカイニキボウヲ・・・。」
 ≪雷剣将≫バリン、≪銀獅子≫フェニルアラニン、≪鉄仮面≫トリプトファン。
 ――ヒムドと三滅鬼に描写1つもなしにあっさりやられた八魔卿の残党達の邪悪なる集いがそこにあった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
八魔卿登場。
でもあんまし活躍しないと思います。

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13183Re:冥王の騎士3:53章:世界に希望をエモーション E-mail 2003/1/30 21:17:05
記事番号13180へのコメント

こんばんは。

カシュフォードさん、ナイスな煽りを(笑)
シェーラちゃんはサイコロ君には、何となくほっとするんでしょうか?
気分的に対等だから、というのはあるのかもしれませんが。
それにしても、グラウシェラーさん……(滝汗)
多少はまともな厩にしようよ……公爵の面子丸つぶれでは……(苦笑い)
合理的なのか、単にケチなのか……(汗)
さすがに馬はまともですよね……。でなきゃ騎士団、仕事にならないですし。
ネージュさんのうるうる攻撃には、ガーヴ様も勝てませんね。
何となく、アイン君の無意味なトラブルは、大半これで回避できそうです。

八魔卿の残党が集まって……グラウシェラーさんのところも、
いよいよ大事になりそうです。
……心の魔王ヒムド君は、何かやらかすのでしょうか。

では、今日はこの辺で失礼します。

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13185Re:冥王の騎士3:53章:世界に希望をD・S・ハイドラント 2003/1/30 21:36:35
記事番号13183へのコメント


>こんばんは。
こんばんは〜
>
>カシュフォードさん、ナイスな煽りを(笑)
彼が再登場する予定はありませんでしたし、そんなキャラのつもりでもなくただの一発キャラでありましたけど・・・2発に(おい)
>シェーラちゃんはサイコロ君には、何となくほっとするんでしょうか?
>気分的に対等だから、というのはあるのかもしれませんが。
まあそうでしょうかね。
>それにしても、グラウシェラーさん……(滝汗)
>多少はまともな厩にしようよ……公爵の面子丸つぶれでは……(苦笑い)
確かに・・・。
>合理的なのか、単にケチなのか……(汗)
どうでしょうか・・・。どちらなのかは分かりませんけど・・・やはり見えるからにケチ(?)
>さすがに馬はまともですよね……。でなきゃ騎士団、仕事にならないですし。
まあそれではそうでしょう。
>ネージュさんのうるうる攻撃には、ガーヴ様も勝てませんね。
無敵っぽいです。
>何となく、アイン君の無意味なトラブルは、大半これで回避できそうです。
2人のお姉様がしっかり付いてますから・・・。
>
>八魔卿の残党が集まって……グラウシェラーさんのところも、
>いよいよ大事になりそうです。
そうですね。
>……心の魔王ヒムド君は、何かやらかすのでしょうか。
そろそろクライマックス・・・ノーストに比べやはり地味な彼にはやってもらいたいことが・・・。
>
>では、今日はこの辺で失礼します。
はい。
ご感想どうもありがとうございます。

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13192冥王の騎士3:決章:明日の標D・S・ハイドラント 2003/1/31 18:20:32
記事番号13180へのコメント

 馬いななきて、世界は小さき揺れもよおす。そして別れの始まり。
 「あっシェーラ様!」
 声に顧みれば――ダイ。
 「*****これが僕のアドレスです。何かあればご連絡を・・・。」
 そしてシェーラ駆けゆく。

    ◇◆◇◆

 「本当に大丈夫か?あんたの身体には響くと思うが・・・。」
 風が駆けゆく。逆らうかの如くに駆走りゆく中・・・声。
 「私は大丈夫よ。・・・あなたの方が心配だわ。」
 微笑み――冷たき太陽の熱は暖かき。
 「あほか・・・心配なんているわけねえだろ・・・護るってそう言っただろうが・・・。」
 背後のネージュ微笑み続ける。

    ◇◆◇◆

 やがて風感ずる。哀哭の如くに叫び散らされんそれに動ずることなくガーヴ、疾駆に拍車掛けゆく。
 「きゃああ素敵♪」
 響きし声も掻き消されるだろう。聞く耳などいらぬ。
 「素敵ガーヴ様格好良い♪」
 「黙れ!」
 だがそうもいかぬよう。走り続けんことを速き時に負けぬよう。

     ◇◆◇◆

 (ノーストは一体どうしたのだ!)
 栄誉なりし帰還――そうでありと願いたき武勇終え、帰らん騎士は心に呟く。
 だが心は晴れやかなりて曇りなき。輝き帯びた翼。彼の疾駆に拍車かけんはすでに馬でなきかも知れぬ。
 魔道騎士であり勇者の末裔名乗りし狂戦士ヒムド――刻限に添いて北の都目指さん。
 
     ◇◆◇◆

 輝きは軽やかなる風となりて、駆ける大地も微笑ましきに、去りゆく空すら我讃えん。
 この身天空よりも眩くて、冥き大地照らすも我が身の美貌。去りゆく花すら我に酔わん。
 千軍万軍やがて喰らうはこの地。だがそれも輝きへの道標である。
 我戦うは希望と平和――そして愛せしもの達へ・・・。それすべては我がためにであろうと言うならば、それもまた正しきであろう。
 「妹達よ――もうすぐ争いはなくなるよ。」
 呟きし、声は虚空に飲まれ、すぐに消えるだろう。だが言霊よ。我が身、我が心に刻まれんことを――。
 思いつつに帰還へ向ける。
 平和の使徒導きて――。
 水仙(ナルシス)は還らん。
 黄金の輝き、太陽の如くでありて、また冷たき美麗。白き世界は暖かくてそして崇高なる。
 ≪絶佳貌≫トレオニン。八魔卿におきて最も人惹き付けんもの。
 今はただ走らん。その振り撒ける種顧みることなしに・・・。

     ◇◆◇◆

 (さすがに一日5回の転移は疲れますねえ。)
 溜息1つに荒れた地、見回さん。すでに浅き過去の欠片も残さぬ戦火の後。血の水多くして、それ見ることかなうもの少なし。
 「さて・・・そろそろ種が蒔けますかねえ。」
 微笑は爽やかなりて、闇垣間見えん。美しくも覆いでしかなきほどに思え。他なるすべては邪悪なりし冥きもの。
 見やり、映りし瓦礫の褥に伏せしものはあまりに汚れなき顔。
 (うーん。まあ上出来ですねえ。)
 その美しき男・・・息すでになき。
 覗くけばやがて表情張り詰めて、
 「闇よ 汝の力において 魂なくせしものに 熱き業火とともに 失いしすべて 還さんことを」
 光――だがあまりに冥き。降り注いでは消え去りゆきて、長き時刻みゆく。
 (後、2人ですか・・・骨が折れますねえ。)
 白き息吹上がるの見やりて、
 「・・・でももう終わりですねえ。」
 邪悪に邪悪に微笑んだ。風1つ1つすら脅え震える。
 (もう・・・遊んであげませんからね。)
 
     ◇◆◇◆

 「死の世界など・・・ない。神が我等救わぬのならば・・・いかん。言い訳などとおにせんと決めたはずだ。」
 映るは、黒の太陽、運命の聖筆、魂の翼――英雄でありし三神。

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13197Re:冥王の騎士3:決章:明日の標エモーション E-mail 2003/1/31 21:07:45
記事番号13192へのコメント

こんばんは。

しっかりアドレス渡すサイコロ君。……交換じゃないところが残念ですね。
連絡を今か今かと待つ事になるのでしょうか。……がんばれ、サイコロ君。

思いっきりらぶらぶな2人の世界のアイン君&ネージュさん。
バックに点描と花がほわほわ飛び交っているような、そんな別世界のような
イメージが頭の中で妄想として広がりました……(爆笑)
……もう、誰も止められない……この2人……。

多分らぶらぶなのでしょうけれど、ひたすら我が道なガーヴ様&エル様。
ほとんどバイク乗りとその彼女という感じですね。

……三者三様ですね。

最後から二つ目はゼロスですか。
一日五回も移動するのは、確かに疲れるかも。
何やら怪しげな事やってますね。まあ、ゼロスだし。
またフィブリゾ君はどうなったのでしょう。

そして最後……誰……なんでしょう? 三珍味の宗教の偉い人っぽいとは
思いましたが。

では、この辺で失礼します。
続きを楽しみにしていますね。

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13199Re:冥王の騎士3:決章:明日の標D・S・ハイドラント 2003/1/31 21:25:47
記事番号13197へのコメント


>こんばんは。
こんばんは。
>
>しっかりアドレス渡すサイコロ君。……交換じゃないところが残念ですね。
>連絡を今か今かと待つ事になるのでしょうか。……がんばれ、サイコロ君。
咄嗟のことで返すのも厳しいでしょうし・・・。
>
>思いっきりらぶらぶな2人の世界のアイン君&ネージュさん。
>バックに点描と花がほわほわ飛び交っているような、そんな別世界のような
>イメージが頭の中で妄想として広がりました……(爆笑)
>……もう、誰も止められない……この2人……。
そうですね。
相思相愛(?)度はこの話では最高かも知れません。フィブシェラもそうでしょうけど・・・。まだ出来たてなのに・・・。
>
>多分らぶらぶなのでしょうけれど、ひたすら我が道なガーヴ様&エル様。
>ほとんどバイク乗りとその彼女という感じですね。
そうですね。そんな感じします。
>
>……三者三様ですね。
まあ全然違う6人ですし・・・。
>
>最後から二つ目はゼロスですか。
そのようです。
>一日五回も移動するのは、確かに疲れるかも。
一般魔道士にはまず使えない転移を5回。
まあガーヴのと同じ原理で空気中の魔力使ってるようですし、魔力消費はさほどでもないにしても、やはり移動なので疲労は来るのでしょうね。(ちょっといい加減かも)
>何やら怪しげな事やってますね。まあ、ゼロスだし。
そうですね。ゼロスは怪しくないと・・・。
>またフィブリゾ君はどうなったのでしょう。
ううむどうなのでしょう。
>
>そして最後……誰……なんでしょう? 三珍味の宗教の偉い人っぽいとは
>思いましたが。
まだ出てきてないキャラだと思います。
4で登場するかも知れないっぽいです。
>
>では、この辺で失礼します。
ご感想どうもありがとうございます。
>続きを楽しみにしていますね。
大変嬉しいです。
ご期待に何とか添えられるようがんばりたいです。

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13208後書きD・S・ハイドラント 2003/2/1 12:46:11
記事番号12914へのコメント

 ついに冥王の騎士3完了。
 残すところ4のみ。
 だが長くなりそうで怖い。
 もしかしたら長くなるかも・・・5とか言ったり・・・。

 ここでどうせ明かすことのなさそうな謎明かします。

・1で言ってたレーガスの結界はエルのただの冗談です。(118年のうちに森の内外、アインのことなどで行き来できていたようだし・・・)
 ただ利用するためにそんな嘘を言っちゃったと・・・ただ森から出られたのはエルが詳しいからでしょう。

・グラウシェラーに言ったミックスの災厄・・・あれも嘘です。
 シェーラを引き離すため・・・ああ言っておいて、その時の魔法とか駆使してシェーラを掻っ攫い、記憶も消し去って、傭兵の家に託したようです。
 また偶然にも双子だったのでこれを利用するために魔法で記憶を消した後アインの存在は知らさなかったようです。だから誰も知らんと・・・。

・2で本当にチラッとだけ出てきた治安維持部部長か何かのグルダスさんは根性で生きてたりします。あのまま死んだらあまりにも・・・って思いまして・・・。
 でも結局登場機会なかったですけど・・・。

 さて・・・4開始は遅れるかも知れないです。
 またもしかしたら一気に書き溜めてから投稿という私としては黒刃(再開予定現在なし)以来ののその方法に挑戦するかも知れません。

 まあ4の前に虚像編が控えています。
 今日か明日には2章を書きたいと思っております。
 それではこの辺りで・・・。


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13228Re:後書き2003/2/4 16:39:41
記事番号13208へのコメント

お久しぶりです!テストが終わってきてみたら、もう後書き!
あいからわずお早い、尊敬します。

フィブはどうなってしまうのか、シェーラも心配ですね。
しかし、フィブがからむと我を忘れそうなシェーラ。
アインとネージュ、いいカップルですねー。
ガーヴとエルと違って(笑)
最後はこの二人結ばれてほしいな。

それでは短いですが、って本当に短い!この辺で。

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13229Re:後書きD・S・ハイドラント 2003/2/4 16:52:47
記事番号13228へのコメント


>お久しぶりです!テストが終わってきてみたら、もう後書き!
>あいからわずお早い、尊敬します。
ですが滅茶苦茶内容いい加減でしかも文体にストーリーに設定(待て)変化しまくって無茶苦茶で嘆いてます。
>
>フィブはどうなってしまうのか、シェーラも心配ですね。
一体どうなるのでしょう。
>しかし、フィブがからむと我を忘れそうなシェーラ。
そりゃあフィブ様ラブですし・・・。
>アインとネージュ、いいカップルですねー。
>ガーヴとエルと違って(笑)
全部タイプが違いますし・・・。
>最後はこの二人結ばれてほしいな。
うーん果たして結ばれるのでしょうか・・・。」
>
>それでは短いですが、って本当に短い!この辺で。
いえいえ。
どうもありがとうございます。

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13230追記D・S・ハイドラント 2003/2/4 16:53:41
記事番号13229へのコメント

テストお疲れ様でした。(短!)

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