◆−crystal〜4〜−海月 水改め花音 (2002/12/4 19:50:14) No.11873 ┗crystal〜5〜−花音 (2002/12/5 02:38:32) No.11896 ┣Re:crystal〜5〜−渚 (2002/12/5 22:41:08) No.11915 ┃┗このご一行様じゃ、探してる方が不思議かも。−花音 (2002/12/8 05:10:12) No.11941 ┗最大の謎、とは・・・?−空の蒼 (2002/12/6 19:17:58) No.11926 ┗それは秘密です♪(マテ−花音 (2002/12/8 05:23:18) No.11942
11873 | crystal〜4〜 | 海月 水改め花音 URL | 2002/12/4 19:50:14 |
こんばんわ、こんばんわ。はじめての方ははじめまして。 海月 水を改名し、新たに花音(かのん)と改名しました。ですので、新規投稿としてみました。それと、↑HPも始めてみました。 前書きはここまでにして、クリスタルの謎を究明しに行きましょう。 ──クリスタルの謎── 全てを解明するにはあまりにも不可解で未知数で恐ろしいほどの力を秘めていた。 1個1個は微力な力。だが、力を竜に変化させ使いこなす事の出来るほどの力。 全部の力を合わせたらどうなるのか。恐ろしさを感じ、全てのクリスタルを封印した。相殺する属性の近くに置き、誰も入れぬように属性の結界を張った。 だが、恐怖感を覚えて1個のクリスタルだけは封印することをしなかった。 願わくばクリスタルを集めぬように。使わぬように。 先程ユナが起した地震の所為で建物はボロボロにされていたが、わりとしっかり立っているようで到壊することなく食堂屋はあった。中はやや荒れていたが文句は言えない。とりあえず、落ち着いて話せる場が欲しかったのだから。 「……だから、本当に知らないんですの!」 自分に視線が集るのを感じて、最初は堪え忍んでいたが耐え切れなくなり、机をばんっと叩きながら立ちルナはおもいっきり叫んだ。 「クリスタルもその秘密も全部全部わからないっっ」 頭を抱え、力が抜けたように腰を下ろした。 「でも、どこかで突っ掛かってる。私は知ってる。クリスタルに関わる全てを───」 真剣な顔立ちで考え込む。考えれば考えるほど頭が痛むのか頭を押える。 「大丈夫ですか?」 「え、えぇ。まだ大丈夫。 でも、すいませんー。レモンティーを一杯ください♪」 「アンタは緊張感ってものがないのかっ!!」 お気楽な口調で緊張感の欠片も感じさせない行動に、リナは叫び、ゼルガディスは頭を抱え、アメリアすら心配したことを少し後悔したほどだ。 運ばれてきた紅茶を含み祝福を味わった後、ルナはやっとリナへと言葉を返した。無論、それまでは水を差したかのようにしんっと静まり返ってきた。 「いえね、やっぱり危機感に縛られてばっかりいるのはいけないでしょう? 少しでもいいから和やかにしようと努力をしてるんじゃありませんの」 「アンタが思い出せばこんな危機感はないのよ」 「……しってます? 忘却はエルフの特性なんですわよ?」 てへ☆とばかりに可愛こぶってにっこりと言うルナに対しリナはキレた。 アメリアはどうぞ、血が流れないようにと祈り、ゼルガディスはアーメンと印を切る。 「えと…リナ…?」 恐ろしいほどの圧迫感と息苦しさを感じて、汗じとになりながらも声を掛けた。 「なぁにぃ?」 ひっ。小さく悲鳴を上げ、失敗だったかなと呟く。 だが、もう遅い。怒りの血相を向け、今にも襲い掛かろうとする──リナをガウリイは間一髪止めた。まだ暴れるリナを見ながら、頬を掻き、明後日の方向を見ながら呟く。 「まぁ、冗談はこれくらいにして──」 「冗談は程々にしろ。俺達は巻き込まれるのはごめんだからな」 「わかってますわよ!」 本当にわかっているのか?と思えるほど軽く、そして早口で蹴散らす。 「本題に戻りますけど、多分、私がまだ若気の至りで錬金術のレシピを自力で立てたことがありますの」 「自慢なら聞かないわよ」 「自慢じゃなくて…、とにかくこのまま話を聞いて」 いきなり話の腰を折られ、ルナはこほんっと咳払いを一つ。 「勿論、自分で新しい物を作るんですもの。失敗の連続でしたわ。 でも、その中で大失敗をしたことがあるんですの。光を放って爆発しましたわ。そして、私の瞳の色を変えました。 その大失敗の時に偶然出来た物が───」 「クリスタルなんですか?」 「いや──クリスタルじゃない。ただのガラスの塊。ただ、その形とクリスタルの形が一致する」 紅茶のカップをお皿の上に置く。 真剣にルナの話に耳を傾け、話を腰を折ろうとすることはけしてない。この人物を除いては。 「ただの偶然じゃないのか?」 「全部聞いてから質問しなさいよっ!」 お得意の喧嘩に突入しそうな勢いの2人をわざとらしい咳払いで止める。 また静まり返った場にルナの声が響く。 「確かに偶然の一致かもしれませんわね。でも、その後になにかあった気がする…。 あっ! どうでしょう? 私の村に行きませんか? なにか、資料が残っているかもしれません…」 妙に歯切れの悪い言葉に嫌な感覚を覚え、リナは恐る恐る訊ねる。 どういうわけだか、リナは祟りなどを恐れる。それに似た感覚を今のルナに感じたのだろう。 「行きたくない理由でもあるの??」 ハッとルナはリナの顔を見た。なぜ、的確に当ててしまうの?と物語っているようにルナの瞳は不安に揺れていた。 だが、黙ったままでは話は進まない。意を決してルナはおもむろに口を開く。 「もう2度と帰らぬと。もう2度と村に踏み込んではならぬと言い渡されています。 でも! 緊急事態ですもの…禁は破っても大丈夫…ですわ…」 「顔が青いですよ!? 辛いんでしたら私達だけで取りに行きますよ?」 「大丈夫…私が行かなきゃ人間はエルフの村に入れません」 落ち着きを取り戻すためだけに紅茶を含む。が、それほど恐ろしいことがあるのか彼女が一番気に入って落ち着ける紅茶を飲んでも顔色が戻ることはなかった。 「……行きましょう」 弱々しく立ち上がり言う。弱々しが瞳には強い意志が込められている。どうやら途中で戻る気はなさそうだった。 それを確かめてからリナは深く頷いた。 「ねぇ、いつまで歩くわけぇ…?」 心底疲れたような声でリナが聞いた。 辺り一面霧だらけでどれくらい歩いたか解らなくなってきた頃だった。 ふぅ、と自分の作業を中断し、ルナは問いに答える。 「もう少しですわ。そこに石が見えるでしょう? あそこまで歩けば方陣の完成。そして、村が姿を現わします」 「どこに石があんのよぉ…」 「おぉ、あの石だな。結構近いじゃないか」 どうしてこの霧の中見えるんだ…? 思ったが、声には出さず、目が良いからとだけで納得することにした。ガウリイとルナの生態(?)については判らないことが多いのだから。 そして、すぐに石のところについた。本当に近く、1分も掛かっていない。 ルナが石に触れると一瞬眩く周りが光り───霧が全部消え去っていた。 「す、すごい…」 「凄い仕掛けですね…。これはどういう───」 「何者だッ!? お前達!」 ハッと一斉に声がした方を振り向く。そこには武器を持ったエルフが数人立っている。どうやら、エルフの村の警備兵かなにかのだろう。 ルナは慌てずに歩いて警備兵たちの目の前で止まった。 ここは同族である者に任せた方が良いと、リナたちは固唾を飲んで見守ることしか出来ない。 「通しなさい!」 いつもとは違う凛とした声で命令するように叫ぶ。 「村に訪れた者を手打ちにするつもりですの!? あなた達はいつから善悪も見抜けなくなったんです? 来る人間を手打ちにして、追い返して。それが良き理解者だった場合、分からず追い返したらとんでもないことになりますわよっ!」 「ルナティック=シャドゥール…っ!」 「ええ。お久し振りですわね。我が同胞。 それにしても、エルフ族も地に落ちましたわね。これなら私がここに帰る意味もありませんわっ!!」 「貴様ァ…言わせておけば…!」 「長老を! 長老を呼べっ!!」 くすり…とルナは笑みを浮かべる。どうやら、あちらの怒りを煽り、最初から長老を、エルフの村で一番の権力を持つ者をここに呼び寄せる作戦だったのだ。見事としか言いようがない。 「まるで馬鹿の一つ覚え。あなた達は最終的には長老様に判断をしてもらうまでは動けませんのね」 今、現場を見ているリナ達も同感だった。怒りを覚え、殺気立たせている者までいるというのに、誰一人としてルナを攻撃するものはいない。悠然と立ち、怒りを煽るように不敵な笑みを浮かべ続けているというのにだ。 「我等はお前とは違うのだッ! 忠実に掟に従う!」 「じゃあ…どうして私は100年も戻らなかったと思う? 私だって掟に忠実だから戻らなかったんですわよ! 去るように、ここに踏み込んではならぬと言い渡されて、私は放浪の旅に出ましたわ。近くを通っても、掟を破る事無きようここには近付かなかったんですわッ! その気持ち、あなた達に分かるというの? 無駄ですわよね。自分の意志を見失っている者にこの気持ちは分かりませんわよね…」 悲しみにくれるルナを見ると誰一人として言葉が出ない。それくらいまで沈み涙を流しそうなぐらい切なそうな顔をして言う。ルナがもう男性のようには思えなくて目眩がする。 「ルナ…戻ってきたのか…」 静かな場所で一人口を開くのはたった一人の老人。 「戻ってきましたわ。掟を破ったことは反省してます。ですけど、今はこれしかないっ! 長老様、私の家を見せて下さい。中に全ての研究資料が詰まってます。どうしても必要なんですわ…」 「皆よ…、この者達を村から追い出すのだ」 長老の言葉にルナは言葉を失った。そして、同様にリナ達も吃驚し言葉がでない。 村人達も驚きを隠せないようで誰も動き出す者はいない。 「あんまりじゃないですかっ! あなた方の仲間じゃないんですか!? 仲間をあっさりと切り捨てるなんて正義じゃありませんっ!!」 「これが掟。人間につべこべ言われる筋合いはない」 瞬間、何かが切れた音が聞こえたような気がした。同時に身も凍り付きそうなぐらいの冷ややかな空気がその場に流れはじめる。 ふ…フフッ…。微妙な笑い声を漏らしているのはルナだ。肩を震わし、口元は引き攣り、冷ややかな空気を流している原因はなにを考えたか弓と矢を取り即座に構えた。 「このぉ、ジジイッ! 射抜かれたくなければ退けッ!!」 「相変わらず短気だな…」 涼しい顔をし、冷静に答える長老の横を、矢がすごい速さで通り過ぎる。 ルナは射って当然という顔で次ぎの矢を構えた。 「れ、冷静になった方がいいぞ? ルナ」 「このジジイには良いお仕置きだッ! 少し黙ってろ、ガウリイ!」 止めようとしたガウリイの言葉も怒鳴り声で黙らせ、何事もなかったかのように長老を睨む。 「聖弓インシビルムーン…。お前が盗んでいったか」 弓のことに気がついたのを驚いたらしく、目を見開く。そして、暫くしてからにこりと笑う。 「えぇ、私が盗みましたわ。この威力ご存知でしょう? もう私は貴方を射抜く覚悟はあります。どうぞ、穏便にことを運びたいのならどいてくださいませ」 「…この『客人』達をルナの家まで案内してあげろ」 「相変わらず棘のある言い方…」 はぁっとため息を吐いて、矢を矢筒に納め、弓を背に掛けた。 こちらです。と本気で客人扱いする同族に怒りが込み上げてきたがなんとか抑え、付いていく。その後ろからリナ達は付いてくる。 「ねぇ、シャドゥール。昔の立場は高かった方なの? みんなに命令していたような口調だったけど…」 リナの問いに答えることをしようとしないのか、ツンと外方を向き無言を決め込む。 だが、ガウリイがぽろっと「あの長老と親子だろ?」と言葉を漏らし、ルナはその場でコケた。 「な、なんで……!?」 「話し方も似てたし、印象がそっくりだったからな。なんとなく…な」 「…野生の勘だな…」 「ガウリイさんって、恐ろしいところで鋭いですよね…」 はぁっと重いため息を吐き、ルナはそれ以上なにも喋ろうとはしなかった。 人一倍沈黙という空間が大嫌いなルナがだ。耐え切れずいつも喋り出すルナがだ。それから見てどれだけ落ち込んでいるかが見て取れる。 「それにしてもどこまで歩くのよ。家があるところから随分と離れちゃったわよ?」 「ルナティック=シャドゥールは人の居る場所を嫌っていましたから」 「人の居る場所を嫌う? だって、ルナさんは──」 「止めて!」 喝が飛び、場がシンと静まり返った。 案内人はこほんっと咳をし、場の空気を落ち着かせた。 「…だからこそ、こんな場所に住んでいたのです。…もう廃屋ですが」 目の前に豪邸といえるほどの廃屋が姿を現わしはじめた。もちろん、人一人が住むには広すぎるほどの家だ。ここでの彼女の権力の高さがこの家に如実に出ているような気がした。 「鍵は開いています。どうぞ、ご自由に。帰ろうと思ったならば長老様のお邸を訪れるがいい。場所はそのエルフが知っている」 ぎぃぃと古くなった扉をこじ開けて、ルナの言うように告げて去って行く。その物言いをさほど気にすることなく冷静な表情でルナはゆっくりと100年ぶりに自宅へと帰還した。 少々体が震え、足元がふらついているようにさえ感じるが、古い記憶を辿るかのように中を眺めた。その瞳は哀しくもあり嬉しくもあるような色で彩られていた。 「ルナ…、感傷に浸っているところ悪いが、クリスタルの資料を探そう」 コクンと力なく頷き、テキパキとルナは指示を下していったのだった。 「そこのレポート逃げ魔!」 ぎく…。きっと人違いよ。木の精(誤字)、気のせい。 「あと8ページキリキリやるんですわよ!?」 く…っ。 はぁ、レポートに移りましょう(涙 |
11896 | crystal〜5〜 | 花音 URL | 2002/12/5 02:38:32 |
記事番号11873へのコメント こんばんわ・・・←死人1(ぇ 流石にレポートは辛い・・・。締め切りが間近だと尚辛い・・・。 でも、なぜだか投稿したくなったので、書き逃げします。 よんでくれたら幸いです。では! クリスタルについての考察。 クリスタルには未知なる力が備わっている。 緑色をしているクリスタルには『風』の力が。赤色のクリスタルには『炎』。水色のクリスタルには『水』。黄色のクリスタルには『地』。真っ白なクリスタルには『光』という属性まであった。 ある程度、精神の力をコントロールする事の出来る者ならば、簡単にクリスタルの力は操ることが可能だ。具現する力は龍の形態をして現れるが、『光』だけは具現することはない。 研究に研究を重ねた結果、『光』はクリスタルの力同士を融合することが出来るらしい。例え、『水』と『炎』という相殺する組み合わせであれど、融合を果し力の増幅をする。全てのクリスタルの力を融合してしまったらどれだけの力が現れるのか。錬金術師である私は興味が注がれるものだが、あえて封することにする。抑えられなくなってしまったらという不安が大きすぎて扱う事が出来ないからだ。 100年も手付かずだった豪邸は歩くたびに床がギシギシと鳴り、キチンとマスクをしていないと積もりに積もった埃を吸い込みそうなほど、埃も貯まっていた。 「全く、誰か掃除しろよなー」 「…それだけシャドゥールがこの村で嫌われていたってことじゃない?」 ぽつりと、反対側を捜索しているルナには聞こえないような小声で言った。 100年も手付かずだったところから見ても戻ってくることを期待されていたとは思えなかったのだ。 「だけど、全員がそう思ってたわけじゃないみたいだぜ」 と、ガウリイはにっこりとしながら窓を指差す。それを見たリナは、あっと声を漏らし、確かにと納得してしまった。 随分と日当たりが悪い場所だが、それもそのはずだった。窓はしっかりと板で打ち付けられ、窓が割れるのを防止してあるのだ。日が通り抜けられる場所が狭まって、邸の中は暗い雰囲気を醸し出している。 そんな心遣いを知ってか知らずか、ルナは書物と格闘を続けていた。どうやら、書物の知識は殆ど忘却してしまった内容ばかりで、食い入るように見つめ続けている。 「さて、あたしたちも探しましょ。こんなところで、邸の作りを見てても面白くもなんともないわ」 はいっと、マスクを渡し、すぐに付ける。 「じゃあ、ガウリイ、板を外して窓を開けて。埃が外に出ていってくれないと困るからね」 「わかった」 一枚一枚の板にしっかりと打ち付けられている釘を斬り、取っていく。無論、開けることを忘れはしない。 リナは厚く積もった埃を見て、うっと呷く。が、覚悟を決めたように埃を払いはじめる。 やっと光が差し込み、明るくなった部屋の中でリナは分厚い本をめくってみた。 ──エルフの力についてのレポート。 Moonlight Shadow── 「…ムーンライト…シャドウ? ルナティック=シャドゥール!」 彼女の名称は『月光と影』。名前も本当の名前ではなく名称を使うことが多いのだろう。確認してみても、殆どが『Moonlight Shadow』となっていた。 ──人工生命体(ホムンクルス)及び、命を吹込む力について。まとめと考察── ──初級錬金術── ──劇物、薬物の調合の仕方── ──爆弾生成術── 「…テロでも起す気か…」 本棚にぎっしりと詰まった錬金術の本は恐ろしい内容のものばかりだった。殆どが、爆発するもの、危険な薬物、天気をコントロールし、一時的に嵐を起すものの作り方が記されているものばかり。一体、幼い(というのは微妙だが)頃のルナはなにを考えていたのだろうか? ここにはクリスタルのことが書かれている本は存在しないな。と考えた時、一階から悲鳴が上がる。 どうしたんだろうか? と思ってリナは二階部分の手すりに掴まり一階の様子を眺めた。 「ゼルガディスさん、大丈夫ですかっっ!??」 悲鳴に近いアメリアの声が耳に飛び込んできた時になにがあったのかぴんっときた。痛みはじめている床に重いものが乗ったらどうなるか。 床が抜けるに決まっているだろう。 ふと、視線をルナの方に向けた。わーわーきゃーきゃーと一階で叫んでいるにも関わらず、耳には入っていないらしい。その視線を本から離そうとはしないどころか、ぴくりとも動かない。 たった一人動かないわけにはいかない。ゆったりとした風が流れる邸の中でまだ調べていない場所。一階の物置のようにごちゃごちゃと物が散乱している部屋に足を踏み入れた。この部屋もガウリイが窓を開けたようで、日がキチンと入っている。これならば、少々埃を立てててもあまり気になることはない。 ぽんぽんっと埃を被った書物や陶器を叩き、どんなものがあるのか探しはじめた。 一階の騒ぎが収まってから1時間弱、ルナはやっと顔を上げた。邸の捜索をはじめてから2時間は本に集中していために首がじんじんと痛んだ。 首を右へ左へと曲げ、かちがちになった首を柔らかく戻していく。 「はー」 今度は肩をとんとんっと叩きながら息を吐く。 彼女は100年もの時間がどれだけ記憶を削いで行っていたのかを書物を一冊読んだ事によって掴みかけていた。たった一冊で。 ──クリスタルの謎── 用紙だけだといつかはボロボロになり、一枚一枚バラけてしまうことを恐れたルナは殆どのレポートを本とした。その一冊が、ルナが手にしている本だ。 目的の本には変わりないが、これではだめだ。『クリスタルの謎』の内容は偶然出来てしまったクリスタルについて書かれているだけで、重要なことは書かれてはいない。もう一つの書物『クリスタルの考察』を見つけなければならない。 「シャドゥール!」 キラキラと瞳を輝かせながらリナが駆け寄ってくる。一冊の本を大事そうに抱えて。 「見つかったんですの!?」 「このオリハルコンの文献、貰ってもいいっ??」 「…先に『クリスタルの考察』って本を探して下さい。見つけたらあげますわ」 頭を抱え、ひどく落胆したような声で吐き捨てるように言う。ルナが真剣に本を読んでいる間に探しよりも趣味に走ってしまったのだった。目の前に好きな本があると、探し物の代わりに取ってしまうような、そんな感じだったのだろう。 ──………もしかして…… 嫌な考えが頭を駆け巡り、ルナはささぁっと大広間に設置された大きな階段の目の前までやってきて、二階の書斎をまず見た。 ガウリイが寝ている。 これは簡単に想像できた。起したところでもう一度寝てしまうだろう。起すだけ時間の無駄と判断して急いで階段を降りる。 今度は一階の書斎を見た。真剣に一冊の本を読みふけっているゼルガディスと嬉々しながら本を探すように本だなの本を一冊一冊丁寧に調べているアメリアがいる。 「こらぁぁぁっ!!」 ここに来た目的を忘れてしまったような皆を叱り付けるような声で叫び、ずんずんっと大股で進み、 「あぁっ! それ以上進んじゃ駄目ですよっ!!」 ずどんっ。 「な、なんですのぉ〜〜! この穴っっ!!??」 あまり深いとは言えなかったが、驚くには十分すぎる穴だったのだろう。パニックになってもぞもぞと動き回っている。喩えるなら、水を失った魚だ。 「大丈夫ですか?」 「大丈夫じゃないですわ…」 やっとパニックがおさまったようで、ゆっくりと床の上に戻る。すると、ふと思い出したように口にする言葉。 「クリスタルを封する…」 えっ? と誰もが振り返る中で言葉を続ける。 「クリスタルは大きな力を秘めてる。だからこそ封する。 ごめん、私が探している資料、ここにはないみたいですわ。いえ、もう存在しません」 「どういうことだ?」 意味が分からなく、ゼルガディスが聞き返す。 「『土のクリスタル』の安置場所。あそこで、ユナ=サンドラースはなにかを燃やしました。覚えています?」 「あぁ、写本だろう?」 ゼルガディスとルナがまだ別行動をしていたときに、ゼロスとユナはなにかの資料を燃やした。そして、ユナは言った。 『アレは写本じゃない。クリスタルを創った者が残したただの資料』 と。ハッと何かに気付いたようにゼルガディスが口を開こうとしたが、こくんと頷くだけでその言葉を飲込ませた。 「あの本こそ私が探してる資料。 そう、思い出しましたわ。私がクリスタルを創り出した張本人です」 ずぉぉぉぉぉん。 言葉の途中で巻き起こる振動。あまり大きな振動ではなかったが、酷く老朽化している邸にとっては致命的なダメージだったのだろう。ボロボロと木屑が落ちてくる。 『村の奥手に魔族がッ!』 『エルフ族の村に入ってくるなんてっ!』 混乱と悲鳴が一番奥にあるルナの邸まで聞こえてくるのを黙って聞いているわけにはいかない。 「いくわよっ!」 ダッと二階からガウリイを引き連れて1階へと降りてくるリナをみて、こくんっと頷く。だが、ルナはその場から動こうとはしない。 「ごめん、アメリア。私の『風のクリスタル』置いていって。すぐに追い付くから。 大丈夫。クリスタルは制作者である私に任せて下さいませ」 「わかりました」 ことんっと床に緑色のクリスタルを置き、アメリアは走り出した。 広い邸の中に一人残されたルナはゆっくりと言葉を紡ぎはじめた。 「─────」 すると『風のクリスタル』はより強い緑色の光を放ちはじめた。 強い光の中から人影が現れ、二人ははじめて言葉を交わした。この人影こそがクリスタルの最大の秘密だったのだ。 |
11915 | Re:crystal〜5〜 | 渚 | 2002/12/5 22:41:08 |
記事番号11896へのコメント >こんばんわ・・・←死人1(ぇ こんばんわ。 > リナは厚く積もった埃を見て、うっと呷く。 >が、覚悟を決めたように埃を払いはじめる。 がんばれリナ! 掃除しているうちに何か見つかるかも知れないし!! >──人工生命体(ホムンクルス)及び、命を吹込む力について。まとめと考察── >──初級錬金術── >──劇物、薬物の調合の仕方── >──爆弾生成術── > >「…テロでも起す気か…」 > 本棚にぎっしりと詰まった錬金術の本は恐ろしい内容のものばかりだった。 一体・・・・何のために・・・・。 >この部屋もガウリイが窓を開けたようで、日がキチンと入っている。 おおっ!ガウリイが忘れずにちゃんとやっている!!(笑) >邸の捜索をはじめてから2時間は本に集中していために首がじんじんと痛んだ。 そーそー、本とかずっと読んでると首が痛くて痛くて・・・・。 >「このオリハルコンの文献、貰ってもいいっ??」 おいっ!! > ガウリイが寝ている。 起きてるほうが不自然かも・・・・。 > すると『風のクリスタル』はより強い緑色の光を放ちはじめた。 > 強い光の中から人影が現れ、二人ははじめて言葉を交わした。この人影こそがクリスタルの最大の秘密だったのだ。 最大の秘密!!??とは!? わー気になるー!! |
11941 | このご一行様じゃ、探してる方が不思議かも。 | 花音 | 2002/12/8 05:10:12 |
記事番号11915へのコメント >>こんばんわ・・・←死人1(ぇ > >こんばんわ。 おはようございますかな? この時間帯・・・(←早く起きすぎた人) >> リナは厚く積もった埃を見て、うっと呷く。 >>が、覚悟を決めたように埃を払いはじめる。 > >がんばれリナ! 掃除しているうちに何か見つかるかも知れないし!! この方のお邸には色々ありますからね〜。きっと良いもの見付けられますよ。 だけど、きっとルナが「持っていかないで下さいませ!」って言ってぶん取っちゃうんでしょうけど(笑 >>──人工生命体(ホムンクルス)及び、命を吹込む力について。まとめと考察── >>──初級錬金術── >>──劇物、薬物の調合の仕方── >>──爆弾生成術── >> >>「…テロでも起す気か…」 >> 本棚にぎっしりと詰まった錬金術の本は恐ろしい内容のものばかりだった。 > >一体・・・・何のために・・・・。 趣味です(爆 まぁ、他の同族から爆弾魔とすら呼ばれるところでしょう。 >>この部屋もガウリイが窓を開けたようで、日がキチンと入っている。 > >おおっ!ガウリイが忘れずにちゃんとやっている!!(笑) > >>邸の捜索をはじめてから2時間は本に集中していために首がじんじんと痛んだ。 > >そーそー、本とかずっと読んでると首が痛くて痛くて・・・・。 5時間とかぶっ通しで読んでると首が上がらないことがしばしば・・・。 流石に、600ページとか、上下合わせて1000ページ以上を一日で読むのはとてつもなく辛いです(−−; >>「このオリハルコンの文献、貰ってもいいっ??」 > >おいっ!! > >> ガウリイが寝ている。 > >起きてるほうが不自然かも・・・・。 2時間も同じ作業を続けている方が不思議でしょうね。このご一行様。 >> すると『風のクリスタル』はより強い緑色の光を放ちはじめた。 >> 強い光の中から人影が現れ、二人ははじめて言葉を交わした。この人影こそがクリスタルの最大の秘密だったのだ。 > >最大の秘密!!??とは!? >わー気になるー!! ん〜。ま、それは秘密です。ということで(ぇ 現実問題としてはこれからテスト、テスト、テスト。終わって、テスト、テスト、テスト、受験。書く時間すくないじゃん!? って、感じでいつ投稿できるか疑問(−−; やっとラストまで来たからには出来るだけ早いうちにしあげようと思ってます。 |
11926 | 最大の謎、とは・・・? | 空の蒼 | 2002/12/6 19:17:58 |
記事番号11896へのコメント こんばんは。 なんか、謎が謎を呼び・・・ってかんじです。 って、これだけじゃ意味不明ですね。 クリスタル最大の謎・・・という人影とは、一体なんなのでしょうか。 というか、ルナさん謎多すぎです。 これじゃあ、続きが気になって気になってしょうがないじゃないですか(笑) これ以上に無いほど短いですが、このあたりで失礼します。 それでは、続きを楽しみにしています。 |
11942 | それは秘密です♪(マテ | 花音 | 2002/12/8 05:23:18 |
記事番号11926へのコメント >こんばんは。 こんばんわか、おはようかどうも判らない時間帯ですが、とりあえず、おはようございます。 >なんか、謎が謎を呼び・・・ってかんじです。 >って、これだけじゃ意味不明ですね。 そう思ってくれたら幸いです。 今回は、『謎が謎を呼ぶ』という言葉通りにしてみようと思って書いてましたし。 >クリスタル最大の謎・・・という人影とは、一体なんなのでしょうか。 それは──次回までの秘密です♪(お前はゼロスか。 というのは冗談として(冗談だったんかい)、まぁ、人ではないことは確かですね。人影って書きましたけど(爆 >というか、ルナさん謎多すぎです。 >これじゃあ、続きが気になって気になってしょうがないじゃないですか(笑) ルナは・・・謎多すぎというか、存在そのものが謎だと(笑 推定年齢は170以上でエルフ、そして、性別上は男性だった。しか身の上明かしてませんもんね・・・(←最近気付いた(爆 一度、番外編でも書いてルナのことでも書いておきましょうか。 >これ以上に無いほど短いですが、このあたりで失礼します。 >それでは、続きを楽しみにしています。 本当にありがとうございます。 続きがいつになるかはちょっと不明ですね。これからテストですし。 でも、近いうちに投稿できることを自分で祈ります(ぇ |