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8641がうりなのゆうぐれ三剣綾香 2/1-04:27


こんにちこんばんは。死ぬほどお久しぶりの綾香です。
今回はガウリイとリナの日常のワンシーンを投稿してみようかと思います。
ガウリイがリナを子供扱いするのはなぜか?にスポットを当てています。
ガウリナと言えばガウリナかもしれません。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

無題
               三剣綾香


「――リナさんじゃありませんか!?」
「へ?」
突然の呼びかけに、あたし、リナ=インバースは振り向いた。
視線の先には黒髪おかっぱの少女の姿。
いや、数年前ならともかく、今はこの表現じゃおかしいか。
娘……になりきってはいない様だけど、それなりに育ってるみたいだしねぇ……。
とにかく、夕暮れの雑踏の中、足を止めたあたしとその他一名の側に駆け寄ってきたのは、聖王国の巫女姫にしてあたしの妹分、アメリアだった。
顔を輝かせてあたしに飛びついてくる。
「お久しぶりです!!リナさん!!ガウリイさん!!元気でしたか!?私、とってもとっても会いたかったです!!」
う…抱き付くとわかるけど…相変わらず生意気な胸………。
思わず殴り倒したくなる衝動をちゃんと押さえるあたり、あたしも大人になったなぁ…。
あたしが己の成長を実感している隙にアメリアは瞳を潤ませながら更にしがみついてきている。
「リナさぁん。ゼルガディスさん見かけませんでしたかぁ〜?はぐれちゃったんですぅ〜」
へ?
「へぇ、ゼルも一緒なのか。そりゃまたえらくお久しぶりじゃないか。なあリナ?」
あたしにしがみついたまま、こしこし目元をこすっているアメリアの頭をぽんぽん叩きつつ、その他一名――自称保護者のガウリイ君はのたまう。
「そーねぇ、アメリアに会えた事だし、ゼルにも久しぶりに会いたいわね」
なんでセイルーンでお姫様してる筈のアメリアが、ゼルガディスと一緒に居るのかも聞きたいし。
もちろんからかうためである。ふっふっふ、楽しみだなぁ。ゼルってばからかうと面白いんだもの。
「そういうわけでガウリイ、ゼルガディスが今どこに居るか気配かなんかで探せない?」
雑踏、と言うからにはけっこうな人込みである。
あたしの要求はかなり無茶な物だ――普通の人間に対する物なら。
幸か不幸か、我が相棒は良くも悪くもふつーじゃ無い。
現に、あたしの非常識な要求にへーぜんとした顔で答えてくれたりする。
「ん――、正確な場所はともかく、あっちの方に居るってのは分かるぞ」
――ね?
ガウリイののほほんとした答えに、アメリアの顔がまた輝く。
その顔を見て、あたしは思わず目を瞬いた。
ああ、この子、暫く見ないうちに綺麗になったのね。
一緒に旅した数年前よりもずっと。
王女としての血と、それに対する責任とがこの子を輝かせているのだろう。
――無論、ゼルガディスの存在もあるだろうが。
負けてるなぁ、あたし。
ふと溜め息を吐いたあたしの頭にぽふっとガウリイの手が乗った。
「――どうした?リナ」
振り仰いだ瞳は、柔らかく微笑んでいる。静かに気遣う光に、あたしは微笑んで見せた。
「なんでもない」
「――そっか」
微笑んだあたしに優しく微笑みを返しつつ、するりとあたしの髪を一撫でして手は離れていく。
夕暮れの所為か、久しぶりに会った仲間の成長を目にした所為か、感傷的になっているのを見抜かれたようである。
「そこに居たのかアメリア。と……なんだ、あんたらも一緒か」
歩き出してしばし後、行く手の人波を縫うようにして現れたのは白いマントを羽織った魔剣士の姿――ゼルガディスだった。
疑った訳じゃないけど、ホントにこっちの方に居たとわ…おそるべし、野生の勘。
「やっほーゼルガディスー!!おっひさしぶりぃ!!アメリアは保護しといたわよ」
「リナってアメリアの保護者だったのか?」
「そういう意味じゃなぁい!!」
スパーン!!
お約束のスリッパ。
その様子にゼルガディスは苦笑を浮かべた。
「二人とも、相変わらず、と言った所だな」
あんたこそ、と言いかけて躊躇う。
ゼルガディスの外見が変わらないのは彼にかけられた魔導のわざの所為なのだ。
軽々しく言って良い事ではないだろう。
口篭もったあたしの様子から察したのか、ゼルガディスはふと目元を和ませる。
「俺の方もご覧の通り相変わらずさ」
――へえ。ゼルが変わっていないのは外見だけなんだな。

一緒に旅をしたあの頃のゼルガディスなら、同じセリフをこうも穏やかに言う事はなかった筈。
つもる話は、とりあえず宿を決めてからにと言う事で、あたし達は宿屋を探して歩きはじめた。
前を行く二人の後ろ姿を眺めながらぼんやりと思う。
アメリアもゼルガディスも変わっていないようで、確かに何かがあの頃とは違っている。
あたしも少しは変わったのかな。――変われてるのかな。
ぽふっ
大きな手があたしの頭に乗る。
「ガウリイ」
「――大丈夫だよ」
え?
思わず見上げると、夕闇の中でこちらを見つめるガウリイがいた。
心を見透かされたようで、なんだか恥ずかしい。
だから声を荒げて頭を振り、ガウリイの手から逃れる。
「なにが大丈夫なのよ」
「ん――わからん」
な゛!!
思わずスリッパを握り締めるあたしに、ガウリイは微笑んで続けた。
「お前が、何悩んでるのかはわからんけど、お前なら大丈夫だよ。ずっと側に居るオレがいうんだから間違いはないさ」
優しい微笑みに肩の力が抜けるのがわかった。
そ……そう…かな。
「あたし………少しは大人になってる…?」
ぽつりと呟いたあたしにガウリイは一瞬目を見開いて、クスリと笑う。
「なに?」
「お前は最初から、出会ったあの頃から、子供じゃなかったよ」
え?
あんなに子供扱いしてたくせに………
「お前は」
見上げたあたしの頭から、するりと手が滑り落ちてそのままそっと肩が引き寄せられた。
「最初に会ったあの時から、子供じゃなかった。外見だけ見れば確かに子供だったかもしれないが、纏う空気が同じ年頃の子とは明らかに違った。子供のそれじゃなかったんだ」
じゃあなんで、と見上げるあたしにガウリイは微苦笑をうかべる。
「怒るなよ?――可哀相だと思ったんだ、最初は。オレから見ればそれこそお嬢ちゃんって年の女の子が、あんな空気を持ってしまってる。その事がすごく気になったんだ」
年相応の、無邪気さが感じられないあたしを見て、あたしの行く末が心配になった。
ガウリイはそう言った。
――まったく、ホントお人好しなんだから。偶然会った人間の行く末まで心配するなんて、さ。
でもそうだったのだ、だからこそガウリイはあたしの事を子供扱いしたのである。
あたしが年相応に振る舞えるように、と。
「反発するならするで良かったんだ。なのにお前は暫くすると諦めたんだかなんだかわからんが、オレの子供扱いをすんなり受け入れただろ?――まいったなぁって思ったんだ、実は」
そう言ってガウリイはやや苦笑気味にくすくすと笑う。
“子供扱いしないで”この手のセリフは子供が使う特有の物だ。ところがあたしがそれを使ったのは最初のうちだけで、それ以降は溜め息、もしくは苦笑と共に子供扱いをさせる様になってしまった。
実際、“まあ良いけどね、もう慣れたし”などと思っていたあたしは反論できないかも知れない。
「けど、魔王との一件で思ったのさ。こいつはこういうふうにしかあれないのかも、ってな」
あれほどの力を操るには、相応の精神力が居る。絶えうる忍耐力が居る。判断力も、行動力も、あれほどの力を有するには子供ではだめだったのだ。
たった一人で、それでも真っ直ぐに立つ為には大人になるしかなかった。
あのころのあたしにはそんな自覚は無かったけどね。
黙り込むあたしにガウリイは更に続ける。
「だからこそ守ってやりたかった。お前が大人なのはわかっていたけど、せめてオレの前でくらい年相応の顔ができるような扱いをしてやりたかったんだ。もっとも」
そこで言葉を切ってクスリと笑う。
「今のお前を子供扱いするのは、どう考えても年相応じゃないけどな」
確かに。あたしはも19だ。ガウリイに会った四年前ならいざ知らず、今のあたしは子供じゃない。
故郷にいたら、あたしの年にはもう結婚して、子供の一人も居ていい年。
「じゃあなんで、子供扱いなの?」
あたしの問いに、ガウリイはあたしの肩を更に引き寄せた。
「お前気付いてないんだな」
へ?
見上げると、蒼い瞳が優しくあたしを見つめてた。
「お前さん、昔から子供じゃなかったけど、いつもどこか張り詰めたようで、側に居るオレはひやひやしてた。いつか壊れるんじゃないか、ってね。だけど、結構長く側に居て、お前は少しづつ変わっていった。オレに頼ってくれる様になった。常に張り詰めていた緊張をオレの側では解いてくれてる。お前が子供っぽい事言うようになったのも、今みたいに弱音めいた事を言うようになったのも、そんな風に穏やかに笑うようになったのも、ごく最近の事なんだぜ?」
だからもう少しだけ、できるだけ長く子供のままで居させてくれようと、ガウリイは考えたんだ。
「でもまあ結局の所、子供っぽい事言ってても基本的な考え方は変わってないみたいだし、反応に幅ができた分ちゃんと大人に近づいてるんじゃないか?」
ガウリイの言葉を聞きながらなんだか泣きたくなった。
ガウリイがそこまで考えてあたしの側に居てくれてたって事にあたし気付かなかった。
そこまで深く想ってくれてた事に、あたし気付いてなかった。
戦いの場以外でも、あたしはガウリイに守られていたんだ。
旅に出てからずっと張り詰め通しだったあたしの心は、ガウリイに会って初めて、ゆっくり安らいで、落ち着けた。
色んな意味で余裕ができた。そうじゃなかったら、あの頃のままだったらきっと、今までの戦いは潜り抜けられなかっただろう。
「――ありがと、ガウリイ」
言葉と共にガウリイの胸になつく。
すりすり
「どういたしまして」
ガウリイはあたしの額の生え際にそっと口付けを落とした。
ちょっとくすぐったいけど、別に嫌じゃない。
こんな風に思えるようになったのも、実はガウリイのおかげだったんだなぁ。
そんな事を思っていると、明らかに疲れたような声が前方から聞こえた。
「お前ら………仲が良いのはわかった……。頼むから宿についてからにしてくれ………。」
肩を落としたゼルガディスと、やや頬を染めたアメリアが少し離れた所で立ち止まっていた。
あたし達はくすくす笑いながら、顔を見合わせる。
「ごめんごめん。今行くから」
あたしはガウリイの腕からするりと抜け出してアメリア達のあとを追いかけた――――

えんど

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
と言うわけで、ガウリイ君がリナちゃんを子供扱いしていた理由を私なりに解釈してみた結果でしたのさ。

……いや、ただそんだけなんですけどね。

そんでは。
綾香でした。


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8658お久しぶりです〜!P.I E-mail 2/2-21:34
記事番号8641へのコメント

三剣綾香さん、こんばんは!
久しぶりの綾香さんのガウリナ、嬉しいです〜!

いろんな意味で大きな人ですよね、ガウリイって。彼の大きな愛に護られていたから、リナもゆっくり自分のペースで成長してゆくことができたんでしょうね。
最後の“すりすり”・・・はう〜〜ん、幸せ〜〜〜(はぁと!)
(ゼルアメがあうとおぶがんちゅーになっちゃったけど ^^;)
ガウリイの存在の大きさに気づいたリナ。これから二人の関係がどう変わってゆくのか楽しみです!

また何かお書きになったら読ませてくださいね。それでは!

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8684お久しぶりです〜!三剣綾香 2/4-18:42
記事番号8658へのコメント

毎回律儀に感想下さってありがとうです!!
改行が少なくって異常に読みづらい話を読んでくださってありがとうございます。
改行&修正前のやつ投稿しちゃったんですよじつわ。
時間を見ていただければわかる通り、とんでもない時間だったもので……てへへ。
続きもなくはありません。
でもそれは、ただただ甘い話なんで投稿しようかどうしようか迷ってるんですよ。
どうしましょうかねえ………?

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