◆−白魔術都市狂想曲 キャラクター紹介−フィーナ (2009/10/29 01:09:32) No.34739
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 ┣白魔術都市狂想曲 68−フィーナ (2009/11/29 23:45:25) No.34901
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 ┃┃┗Re:白魔術都市狂想曲 69−フィーナ (2009/12/2 21:32:51) No.34908
 ┃┗Re:白魔術都市狂想曲 69−セス (2009/12/1 22:44:50) No.34907
 ┃ ┗Re:白魔術都市狂想曲 69−フィーナ (2009/12/2 21:40:56) No.34909
 ┣白魔術都市狂想曲 70−フィーナ (2009/12/5 18:08:18) No.34914
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 ┃ ┗Re:白魔術都市狂想曲 70−フィーナ (2009/12/6 22:51:34) No.34923
 ┣白魔術都市狂想曲 71−フィーナ (2009/12/8 20:59:48) No.34930
 ┣白魔術都市狂想曲 72−フィーナ (2009/12/11 20:44:07) No.34938
 ┃┗Re:白魔術都市狂想曲 72−kou (2009/12/11 20:57:54) No.34939
 ┃ ┗Re:白魔術都市狂想曲 72−フィーナ (2009/12/11 22:41:55) No.34940
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 ┃┗Re:白魔術都市狂想曲 73−セス (2009/12/15 21:24:40) No.34952
 ┃ ┗Re:白魔術都市狂想曲 73−フィーナ (2009/12/15 22:09:03) No.34954
 ┣白魔術都市狂想曲 74−フィーナ (2009/12/17 21:19:16) No.34956
 ┣白魔術都市狂想曲 75−フィーナ (2009/12/19 18:00:38) No.34958
 ┃┗Re:白魔術都市狂想曲 75−kou (2009/12/19 21:07:10) No.34960
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34739白魔術都市狂想曲 キャラクター紹介フィーナ 2009/10/29 01:09:32



白魔術狂想曲の投稿をしているフィーナです。
ちょうど50話にはいろうとしていますので、簡単にリナたちメインキャラを除くサブキャラの紹介をしたいと思います。
本編には言われないであろうあのキャラのフルネームや、細かい設定などネタバレにならないていど紹介したいと思います。

年齢は推定となるものもいますが、その辺はご了承ください。









白魔術都市狂想曲編からの登場人物

マーシュ・ハルス・フィリッツメイヤー
年齢 (34)
身長 (189)
種族 (人間)
性別 (男)
爵位 (男爵)
→自他共に認める男色家。昔は子爵だったが、アルベルト卿の策略により男爵にさげられた。
男爵にさげられる前からカイルとは旧知の仲。男爵にさげられて自棄になり、その当時はかなり荒れたらしい。

カイル・パル・ホーエンハイム
年齢 (26)
身長 (173)
種族 (人間)
性別 (男)
→子爵である貴族。アルベルト・フォン・ホーエンハイムの息子とされているが養子。
アルベルト卿が営んでいる施設で育ち、その優秀さから養子として迎えられたとされている。情報収集に長けており、マーシュに傾倒しているフシが。

リーリア・ヴァレッシュ
年齢 (316)
身長 (人間形態時は157 ドラゴン形態時は十六メートル)
種族 (竜)
性別 (女)
→お酒目当てで竜たちの峰を降り、人間社会にやってきた黄金竜。
マーシュ卿が経営しているホストクラブで、事情あって潜入していたリオ(リナが男装したときの名前)に惚れた。
アメリアが結成した『リオ君親衛隊』の副隊長を務める(ちなみに隊長はアメリア)黄金竜であるがゆえ、腕っ節や魔力は人間を凌駕しているが、リオの正体を知った今でも、けなげにリナを慕っている。

ヴラ(本名は後に判明)
年齢 (見た目二十代)
身長 (174)
種族 (人間?)
性別 (男?)
→人里はなれた農村でリナたちと知り合った観光者。
何の因果か、そのときに出会ったナーガを心の師匠と呼んだり、はっきしいってセンスを疑う。
リーリアが黄金竜だとあっさり見抜いたり、セイルーンの異変の原因をさらっといったりと、その時点でただの観光者ではないと思うのだが。

前作 蒼の記憶からの登場人物

アレン・クラウン
年齢 (21)
身長 (166)
種族 (人間)
性別 (男)
→ドラゴンのリーリアに鷲づかみされて登場。危うく命を落としかけるなど、のっけから不幸体質な神官。
輪廻の呪いは現在も進行中。ただでさえ幸薄い彼に、更なる不運が訪れる。呪いを受け、北の魔王に滅ぼされた彼の祖はラーディという女性の神族。

ディー
年齢 (外見は12・3だが、実年齢は推定1000才以上)
身長 (少年形態は146 女性形態は161)
種族 (魔族)
性別 (普段多くとっているのは少年形態なので一応男)
→セイルーンで暗躍している高位魔族の覇王神官。
人間の中に魔族の因子を植え付け、種と呼んだり。現在は覇王ではなく海王の命令系統に準じている。彼の狙いと真意は果たして……

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34755白魔術都市狂想曲 50フィーナ 2009/10/31 00:25:44
記事番号34739へのコメント

悲鳴の主はどうやら地下の書斎かららしく、足音と気配を殺し慎重に扉を開ける。

マーシュ卿が何者かの襲撃を受けた可能性があるからだ。

たとえばアルベルト卿の手のもの。

あたしたちがつぶした施設の生き残りがアルベルト卿に連絡をとって、目の敵にしているマーシュ卿を襲撃させたって不思議ではないのだ。

人間追い詰められれば何をするか分からないもの。

施設の生き残りが先走ることも否めない。
              ライティング  
光源は心もとないが、  明  り  を使ったらショート・ソードに灯せば相手に気づかれるし、マーシュ卿の身にも危険が及ぶ。

無数の本やら資料やらの散らばり具合からして、相手が激しく抵抗したことを物語っている。

目の前に飛び込んできた光景に、思わず声もなく立ち尽くすあたしとガウリイ。



















(マーシュ卿の本領発揮。BL要素が苦手な方はお戻りください)




















結論から先に述べよう。

マーシュ卿が襲撃を受けたわけではなく。

別の意味で襲ってました。




















・・・・・・そーいえば・・・・・・マーシュ卿って・・・・・・

「・・・・・・ちょっ!?・・・・・・はなしてくださいホモおやじ!」

「だまれチビガキ」

・・・・・・そっちのシュミだったなー。

その光景に、あたしの目は点になる。

隣のガウリイはといえば・・・・・・襲われている相手に同情の視線を向けていたりする。

マーシュ卿は不意をついて背後から襲ったらしく、その長身をいかして押さえ込んでいる。

手馴れた様子で両手首を固定し、空いた手でわき腹を撫でる。

相手が逃れようと身をよじれば、そこに重心をかけて動きを封じるマーシュ卿。

・・・・・・だてに男慣れしてないなー・・・・・・

こりゃガウリイのようによっぽど腕のいいやつじゃないと逃げられないわ・・・・・・うつ伏せにされてるし。

思わず現実逃避に走るあたしを、一体誰が攻めることができようか!?

いいや! できるはずがないではないか!

「照れる必要はない」

「照れてるんじゃなくて、ほんっっっっきでイヤなんですってばっ!」

相手の抗議の声もなんのその。

マーシュ卿の手は、首筋から鎖骨へすすっと這わせた。

二人ともこちらには気づいていない。

・・・・・・まあ。

襲われてるほうとしては、別の気配を察しろというのが、どだい無理なはなしであるとはおもうが・・・・・・

目の前にあるのは辞典かなんかだろう。

持ち上げてみると厚みがあってずしりと重く、背表紙には銀の装飾があった。

・・・・・・その角があたったらすっごい痛いんだろうなー。

ためらうことなくそれを掴み、マーシュ卿に照準を合わせる。

マーシュ卿は馬乗りのまま体を密着させて、わきわきと怪しく蠢く指は・・・・・・

「こういう時によく言うだろう?・・・・・・『イヤよイヤよも好きのうち』って」

「そりゃ男の妄言だぁぁぁっ!」

めっし・・・!

狙いたがわず、あたしが投げたその本の角は、見事マーシュ卿の顔面に命中したのだった。

むろんいうのは簡単だが、実際やってみるのとには、かなりの技術が必要である。

あたしのコントロール技術を褒めるように。

襲われていた相手は、マーシュ卿に襲われかけたのがよっぽどイヤだったらしく(当たり前か)瞳が潤んで涙目になっていたりする。

「・・・・・・まあ・・・・・・その・・・・・・なんだ」

ガウリイは、ぽりぽり頬をかきながら、

「ここはひとつ、通り魔に刺されたと思って」

「通り魔に刺されたら普通死んじゃいますぅぅっ!」

ガウリイのフォローになっていないセリフに、マーシュ卿に襲われていたアレンはとーとーその場に崩れ落ちたのだった。

・・・・・・合掌。

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34757Re:白魔術都市狂想曲 50kou 2009/10/31 10:14:45
記事番号34755へのコメント

おはようございます。フィーナさん。kouです。
>悲鳴の主はどうやら地下の書斎かららしく、足音と気配を殺し慎重に扉を開ける。
 考えて見れば、マーシュ郷の悲鳴とは書いてないな……。
>マーシュ卿が何者かの襲撃を受けた可能性があるからだ。
>
>たとえばアルベルト卿の手のもの。
 とはいえ、彼は無事とは思えないんですけれど……。
>あたしたちがつぶした施設の生き残りがアルベルト卿に連絡をとって、目の敵にしているマーシュ卿を襲撃させたって不思議ではないのだ。
 彼が生きていて正気だったらな。
>人間追い詰められれば何をするか分からないもの。
 それは、同感です。
>施設の生き残りが先走ることも否めない。

>目の前に飛び込んできた光景に、思わず声もなく立ち尽くすあたしとガウリイ。
 それで、死体でもあればまだマシだっただろうに……。(不謹慎)
>
>(マーシュ卿の本領発揮。BL要素が苦手な方はお戻りください)
 ………おーいなにやってんだマーシュ郷……。
>
>結論から先に述べよう。
>
>マーシュ卿が襲撃を受けたわけではなく。
>
>別の意味で襲ってました。
 なんでやねん!!(なぜか関西弁で突っ込むkou)
>
>・・・・・・そーいえば・・・・・・マーシュ卿って・・・・・・
 すっかり、忘れていましたね。
>「・・・・・・ちょっ!?・・・・・・はなしてくださいホモおやじ!」
>
>「だまれチビガキ」
>
>・・・・・・そっちのシュミだったなー。
>
>その光景に、あたしの目は点になる。
 と、言うよりも脳が理解をするのをやめている。
>隣のガウリイはといえば・・・・・・襲われている相手に同情の視線を向けていたりする。
 たしかに、自分の貞操も危険だったからな(笑い)
>マーシュ卿は不意をついて背後から襲ったらしく、その長身をいかして押さえ込んでいる。
>
>手馴れた様子で両手首を固定し、空いた手でわき腹を撫でる。
 なれるな!! そんなもん
>相手が逃れようと身をよじれば、そこに重心をかけて動きを封じるマーシュ卿。
>
>・・・・・・だてに男慣れしてないなー・・・・・・
 感心してどうする……。
>こりゃガウリイのようによっぽど腕のいいやつじゃないと逃げられないわ・・・・・・うつ伏せにされてるし。
>
>思わず現実逃避に走るあたしを、一体誰が攻めることができようか!?
 襲われている方(きっぱり)
 良いから助けてくれと言われてもしょうがないのでは……。
>いいや! できるはずがないではないか!
 まぁ、気持ちはわかる
>「照れる必要はない」
>
>「照れてるんじゃなくて、ほんっっっっきでイヤなんですってばっ!」
 たしかに、いやがってそうですね。
>相手の抗議の声もなんのその。
>
>マーシュ卿の手は、首筋から鎖骨へすすっと這わせた。
>
>二人ともこちらには気づいていない。
 気づいていたら、逃げるスキとかチャンスはまたの機会にとかになるだろうに……。
>・・・・・・まあ。
>
>襲われてるほうとしては、別の気配を察しろというのが、どだい無理なはなしであるとはおもうが・・・・・・
 襲っている方は、恋は盲目?
>目の前にあるのは辞典かなんかだろう。
>
>持ち上げてみると厚みがあってずしりと重く、背表紙には銀の装飾があった。
 高価そうだな〜
>・・・・・・その角があたったらすっごい痛いんだろうなー。
>
>ためらうことなくそれを掴み、マーシュ卿に照準を合わせる。
>
>マーシュ卿は馬乗りのまま体を密着させて、わきわきと怪しく蠢く指は・・・・・・
>
>「こういう時によく言うだろう?・・・・・・『イヤよイヤよも好きのうち』って」
 寝言は寝て言え!! まぁ、たしかに寝ようとしてますけれど……。
>「そりゃ男の妄言だぁぁぁっ!」
 女のリナだからこそ、言える突っ込み
>めっし・・・!
>
>狙いたがわず、あたしが投げたその本の角は、見事マーシュ卿の顔面に命中したのだった。
 命中ー! 百点満点! (なんの?)
>むろんいうのは簡単だが、実際やってみるのとには、かなりの技術が必要である。
>
>あたしのコントロール技術を褒めるように。
 ぱちぱち(拍手の音)
>襲われていた相手は、マーシュ卿に襲われかけたのがよっぽどイヤだったらしく(当たり前か)瞳が潤んで涙目になっていたりする。
>
>「・・・・・・まあ・・・・・・その・・・・・・なんだ」
>
>ガウリイは、ぽりぽり頬をかきながら、
>
>「ここはひとつ、通り魔に刺されたと思って」
 それを言うなら野良犬にかまれたでは?
>「通り魔に刺されたら普通死んじゃいますぅぅっ!」
>
>ガウリイのフォローになっていないセリフに、マーシュ卿に襲われていたアレンはとーとーその場に崩れ落ちたのだった。
>
>・・・・・・合掌。
 とことんなまでの不幸体質ですね。
 一度、教会でお祓いでも受けてみればいかがでしょうか
 以上、kouでした。

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34760Re:白魔術都市狂想曲 50フィーナ 2009/10/31 20:52:17
記事番号34757へのコメント

こんばんは。kouさん。
> おはようございます。フィーナさん。kouです。
>>悲鳴の主はどうやら地下の書斎かららしく、足音と気配を殺し慎重に扉を開ける。
> 考えて見れば、マーシュ郷の悲鳴とは書いてないな……。
はい。ただ絹を裂くような悲鳴とだけで。
>>マーシュ卿が何者かの襲撃を受けた可能性があるからだ。
>>たとえばアルベルト卿の手のもの。
> とはいえ、彼は無事とは思えないんですけれど……。
>>あたしたちがつぶした施設の生き残りがアルベルト卿に連絡をとって、目の敵にしているマーシュ卿を襲撃させたって不思議ではないのだ。
> 彼が生きていて正気だったらな。
リナたちはしらないわけですから。
>>人間追い詰められれば何をするか分からないもの。
> それは、同感です。
>>施設の生き残りが先走ることも否めない。
>>目の前に飛び込んできた光景に、思わず声もなく立ち尽くすあたしとガウリイ。
> それで、死体でもあればまだマシだっただろうに……。(不謹慎)
このあと次々と…
>>(マーシュ卿の本領発揮。BL要素が苦手な方はお戻りください)
> ………おーいなにやってんだマーシュ郷……。
イロイロやってます。
>>結論から先に述べよう。
>>マーシュ卿が襲撃を受けたわけではなく。
>>別の意味で襲ってました。
> なんでやねん!!(なぜか関西弁で突っ込むkou)
そこにあったから。
>>・・・・・・そーいえば・・・・・・マーシュ卿って・・・・・・
> すっかり、忘れていましたね。
>>「・・・・・・ちょっ!?・・・・・・はなしてくださいホモおやじ!」
>>「だまれチビガキ」
>>・・・・・・そっちのシュミだったなー。
>>その光景に、あたしの目は点になる。
> と、言うよりも脳が理解をするのをやめている。
もう思考停止するしか。
>>隣のガウリイはといえば・・・・・・襲われている相手に同情の視線を向けていたりする。
> たしかに、自分の貞操も危険だったからな(笑い)
昔のマーシュ卿は、今よりももっと鬼畜な人でした。
>>マーシュ卿は不意をついて背後から襲ったらしく、その長身をいかして押さえ込んでいる。
>>手馴れた様子で両手首を固定し、空いた手でわき腹を撫でる。
> なれるな!! そんなもん
もうこれは、マーシュ卿だからとしか。
>>相手が逃れようと身をよじれば、そこに重心をかけて動きを封じるマーシュ卿。
>>・・・・・・だてに男慣れしてないなー・・・・・・
> 感心してどうする……。
現実逃避中。
>>こりゃガウリイのようによっぽど腕のいいやつじゃないと逃げられないわ・・・・・・うつ伏せにされてるし。
>>思わず現実逃避に走るあたしを、一体誰が攻めることができようか!?
> 襲われている方(きっぱり)
> 良いから助けてくれと言われてもしょうがないのでは……。
なんかもうここまできたら、毒を喰らわば皿まで。
>>いいや! できるはずがないではないか!
> まぁ、気持ちはわかる
>>「照れる必要はない」
>>「照れてるんじゃなくて、ほんっっっっきでイヤなんですってばっ!」
> たしかに、いやがってそうですね。
嫌がってます。力の限り。
>>相手の抗議の声もなんのその。
>>マーシュ卿の手は、首筋から鎖骨へすすっと這わせた。
>>二人ともこちらには気づいていない。
> 気づいていたら、逃げるスキとかチャンスはまたの機会にとかになるだろうに……。
そっちの展開も考えてたんですけどね。
>>・・・・・・まあ。
>>襲われてるほうとしては、別の気配を察しろというのが、どだい無理なはなしであるとはおもうが・・・・・・
> 襲っている方は、恋は盲目?
目の前においしそうな食べ物があるから喰べよう…と。
>>目の前にあるのは辞典かなんかだろう。
>>持ち上げてみると厚みがあってずしりと重く、背表紙には銀の装飾があった。
> 高価そうだな〜
漢字辞典みたいなものです。
>>・・・・・・その角があたったらすっごい痛いんだろうなー。
>>ためらうことなくそれを掴み、マーシュ卿に照準を合わせる。
>>マーシュ卿は馬乗りのまま体を密着させて、わきわきと怪しく蠢く指は・・・・・・
>>「こういう時によく言うだろう?・・・・・・『イヤよイヤよも好きのうち』って」
> 寝言は寝て言え!! まぁ、たしかに寝ようとしてますけれど……。
夜ですから。
>>「そりゃ男の妄言だぁぁぁっ!」
> 女のリナだからこそ、言える突っ込み
このセリフを言わせたいがために、ここまで引っ張りました。
>>めっし・・・!
>>狙いたがわず、あたしが投げたその本の角は、見事マーシュ卿の顔面に命中したのだった。
> 命中ー! 百点満点! (なんの?)
テストの答案用紙で書いた結果の点数。
>>むろんいうのは簡単だが、実際やってみるのとには、かなりの技術が必要である。
>>あたしのコントロール技術を褒めるように。
> ぱちぱち(拍手の音)
そして彼女はメジャーリーグに青春をつぎ込むように(嘘)
>>襲われていた相手は、マーシュ卿に襲われかけたのがよっぽどイヤだったらしく(当たり前か)瞳が潤んで涙目になっていたりする。
>>「・・・・・・まあ・・・・・・その・・・・・・なんだ」
>>ガウリイは、ぽりぽり頬をかきながら、
>>「ここはひとつ、通り魔に刺されたと思って」
> それを言うなら野良犬にかまれたでは?
あえてそういわせました。
>>「通り魔に刺されたら普通死んじゃいますぅぅっ!」
アレンにこういわせたかったから。
>>ガウリイのフォローになっていないセリフに、マーシュ卿に襲われていたアレンはとーとーその場に崩れ落ちたのだった。
>>・・・・・・合掌。
> とことんなまでの不幸体質ですね。
> 一度、教会でお祓いでも受けてみればいかがでしょうか
もうこれは、幼い時からのものですから。
犯罪組織に誘拐されて人身売買の道具にされるわ、初恋の女性を目の前で殺されるわ。
> 以上、kouでした。
レスありがとうございました。

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34758Re:白魔術都市狂想曲 50セス 2009/10/31 12:54:29
記事番号34755へのコメント

こんにちは、フィーナさん。

>・・・・・・そーいえば・・・・・・マーシュ卿って・・・・・・
>
>「・・・・・・ちょっ!?・・・・・・はなしてくださいホモおやじ!」
>
>「だまれチビガキ」
>
>・・・・・・そっちのシュミだったなー。
そっちの趣味でしたね(笑
>
>その光景に、あたしの目は点になる。
>
>隣のガウリイはといえば・・・・・・襲われている相手に同情の視線を向けていたりする。
彼も口説かれていましたしね。

>「こういう時によく言うだろう?・・・・・・『イヤよイヤよも好きのうち』って」
>
>「そりゃ男の妄言だぁぁぁっ!」
>
>めっし・・・!
>
>狙いたがわず、あたしが投げたその本の角は、見事マーシュ卿の顔面に命中したのだった。
リナのツッコミは投げた本の角と同じくらい鋭いですね
>
>むろんいうのは簡単だが、実際やってみるのとには、かなりの技術が必要である。
>
>あたしのコントロール技術を褒めるように。
以前ガウリイ相手にやったからでしょうか・・・?

>「・・・・・・まあ・・・・・・その・・・・・・なんだ」
>
>ガウリイは、ぽりぽり頬をかきながら、
>
>「ここはひとつ、通り魔に刺されたと思って」
>
>「通り魔に刺されたら普通死んじゃいますぅぅっ!」
>
>ガウリイのフォローになっていないセリフに、マーシュ卿に襲われていたアレンはとーとーその場に崩れ落ちたのだった。
>
>・・・・・・合掌。
・・・アレンさんには、ご愁傷様という言葉しか思いつかない・・・(笑
シリアスかと思っていたら、ギャグで面白かったです。

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34761Re:白魔術都市狂想曲 50フィーナ 2009/10/31 21:00:46
記事番号34758へのコメント


>こんにちは、フィーナさん。
こんばんは。セスさん。
>>・・・・・・そーいえば・・・・・・マーシュ卿って・・・・・・
>>「・・・・・・ちょっ!?・・・・・・はなしてくださいホモおやじ!」
>>「だまれチビガキ」
>>・・・・・・そっちのシュミだったなー。
>そっちの趣味でしたね(笑
襲われてるほうとしては、不本意極まりないでしょうけど。
>>その光景に、あたしの目は点になる。
>>隣のガウリイはといえば・・・・・・襲われている相手に同情の視線を向けていたりする。
>彼も口説かれていましたしね。
でも助ける勇気が出ない…と…
>>「こういう時によく言うだろう?・・・・・・『イヤよイヤよも好きのうち』って」
>>「そりゃ男の妄言だぁぁぁっ!」
>>めっし・・・!
>>狙いたがわず、あたしが投げたその本の角は、見事マーシュ卿の顔面に命中したのだった。
>リナのツッコミは投げた本の角と同じくらい鋭いですね
シャープなキレと、のどごしが美味い。
>>むろんいうのは簡単だが、実際やってみるのとには、かなりの技術が必要である。
>>あたしのコントロール技術を褒めるように。
>以前ガウリイ相手にやったからでしょうか・・・?
リナはツッコミ技能が上昇した。
>>「・・・・・・まあ・・・・・・その・・・・・・なんだ」
>>ガウリイは、ぽりぽり頬をかきながら、
>>「ここはひとつ、通り魔に刺されたと思って」
>>「通り魔に刺されたら普通死んじゃいますぅぅっ!」
>>ガウリイのフォローになっていないセリフに、マーシュ卿に襲われていたアレンはとーとーその場に崩れ落ちたのだった。
>>・・・・・・合掌。
>・・・アレンさんには、ご愁傷様という言葉しか思いつかない・・・(笑
呪いの事もあるのに、よくグレずに育ちました。
>シリアスかと思っていたら、ギャグで面白かったです。
思った以上に反響が大きくて驚きました。

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34763白魔術都市狂想曲 51フィーナ 2009/10/31 23:20:39
記事番号34739へのコメント


「・・・・・・それで・・・・・・なんだって俺の家に、あなたは無断でいすわり、さも当然の如くくつろぎまくってるんですか」

立ち直るのに時間がかかったが、多少顔を引きつらせながらマーシュ卿に問いかけるアレン。

「先ほどのスキンシップのとき、ついでに話しただろう?」

「あれのどこが」

「かくかくしかじかで屋敷が焼け落ちて、残った資金と屋敷にかけておいた保険で立て直すまでいることにしたって」

「迷惑です」

即答するアレンに、彼はしゃあしゃあと、

「困っている人間を助けるのが、神官の役割じゃないか」

「ものには程度ってものがあります・・・・・・まあ」

いってこちらをみる。

「もっとも・・・・・・リナさんが関わって屋敷が半壊しただけでも被害はまだ軽いほうですけど」

「どーゆー意味よ」

問われて彼は、真顔でこういった。

「そのまんまの意味です」

「あんたあたしにケンカ売ってる?」

「事実じゃないですか」

あたしはそこまで滅茶なことはしない。

盗賊団を壊滅させるのに山を一つ消滅させたりする程度で、他人にとやかく言われるいわれはない!

・・・・・・と、おもう。

「勝手に人の家に居座って・・・・・・役人に突き出されないだけマシだとおもってください。
大体俺じゃなくても、あなたなら他に相手が大勢いるんですから、その男の家に転がり込めばいいじゃないですか」

「何かと金銭を要求する輩が多くていかん」

「だったら宿でもとればいいじゃないですか」

「いっただろう。資金が足りないと。
第一お前は、俺をあんな狭い場所に閉じ込めるつもりか」

・・・・・・宿を狭いって・・・・・・

「そんな貴族みたいなわがままを」

あたしのセリフに、マーシュ卿は憮然とした。

「俺は貴族だ」

「・・・・・・なあ」

ガウリイの言葉に、あたしを含む一同が彼に注目する。

「腹減ったんだが、何か食うものはないのか?」

そのセリフに、アレンは微苦笑を浮かべた。

「だったらなにか食べていかれますか?
ガウリイさんたちはかなり食べますから、作り置きのきくシチューとかになりますけど」

「くえるもんだったらなんでもいいぞ」

「じゃあ足りない食材を買い込んできましょう。
かなりの量になりますから、ガウリイさん少し手伝っていただけますか?」

「おう!」

「さきに玄関で待っててください」

「わかった」

ぱたぱたとガウリイの気配が遠ざかっていく。

「俺は無視か」

「あなた相手だと、何されるか判ったものじゃありませんから」

「そんなに信用できんか」

「できませんね」

先ほどのやつで、信用しろというのが難しい話である。

「・・・・・・俺はあなたのことが嫌いだと何度も言ってるはずですが。
それにいま、俺には付き合ってる人がいます。その人を裏切るマネだけはしたくありません」

「その付き合ってるやつというのはこいつか」

マーシュ卿が指差したのは、ほかならぬあたし。

アレンは、複雑そうな微笑を浮かべた。

「・・・・・・そうだったら嬉しかったんですがね。
残念ながらリナさんではありませんよ・・・・・・今でも好きですけど」

淡い微笑を浮かべる。

「もっとも以前とは違う意味で・・・・・・ですけどね」

「あんた・・・・・・そーゆーことペラペラいう奴だったっけ?」

顔を赤らめ、睨みつけながら尋ねるあたし。

「あのあと色々あったんですよ・・・・・・さて。
ガウリイさんを待たせるわけにもいきませんし、俺はそろそろ行きます」

・・・・・・ん?

・・・・・・まてよ。たしかあのとき・・・・・・

「アレン・・・・・・ちょっといいかしら」

「なんですかリナさん・・・・・・って・・・!」

あたしが手にした重厚な本を見て、何かを察したのか慌てるアレン。

「あんた去り際にあたしに何したか覚えてるわねっ!」

「ちょちょ・・・! ちょっとまってくださいリナさん!
あのときのあれは、酔った勢いといいますか不慮の事故といいますか・・・・・・とにかく俺の話をきい――」

どご!

めっし・・・!

本の角の連打で、アレンの顔やらなんやらが腫れてぷっぷくぷーになるまでどつき倒したのだった。

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34770白魔術都市狂想曲 52フィーナ 2009/11/1 17:43:55
記事番号34739へのコメント

「マーシュ卿。あなたにいくつか聞きたいことがあるわ」

「なんだ?」

めり込ませた本の跡が、くっきりと残る顔で尋ねるマーシュ卿。

「あなたは、アルベルト卿の施設がどういった場所なのか知ってるわね?」

「暗殺術や情報操作を専門に扱うための養成施設だろう。
内乱などで捨てられた孤児や難民を受け入れているかわりに、そういった技能をつけさせている」

こともなげに答えるマーシュ卿。

「なんでそれを」

「いわなかったのは、俺がアルベルトを憎んでるからだ。
そのことが公になれば、アルベルトは糾弾されて爵位をさげられるか剥奪されて終わり。
俺を男爵に下げさせたあの男がどうなろうがかまわんが、そう簡単にアルベルトが苦しみから解放されるのは俺が許さない」

「カイルは養子だが、大事な息子だって彼はいってたけど」

「あの施設から生まれた逸材だと、アルベルトは自慢げに言ってたがな。
まだ俺が子爵だったとき紹介されて、カイルをしばらく預かってくれといわれて」

「カイルを?」

「その当時、カイルはアルベルトに忠実だった。
施設があることは知ってたし、その辺の関係だろうと思って了承した。俺が男爵にさげられたのはそのあとだ」

「フレデリカの浪費と、それをまかなうためにしたことを告発されたのね」

「そうだ。アルベルトは、養護施設の実績が認められ男爵から子爵になった。いくつかある施設のうち、一つは成績がいまひとつ伸び悩んでいる連中に作法を身につけさせ、養成施設のカモフラージュとさせた・・・・・・そして」

いってことばをきる。

「・・・・・・そして?」

「懇意の仲になったカイルの調査によると、国の要人たちが、施設から偵察を終え帰るなり、あの男はその連中を処分した」

「――なっ!?」

思わず声を上げるあたし。

「流れ込んでくる孤児や難民はあとを絶えない。
優秀な成績を収めているやつは、小競り合いが続く湾岸諸国などに傭兵として高額の金と引き換えに引き渡していたが、それ以外のやつは――」

「・・・・・・殺された」

「そう。女は娼館に売り払われていたがな」

あたしは、ふと。

以前カイルが言っていたセリフを思い出していた。

マーシュ卿は、アルベルト卿のように処分はしない・・・・・・と。

処分なんて、妙な言い方だと思っていたが。







「カイルは来てるの?」

「いや・・・・・・あいつは、数日前から姿を見せていない」

「姿を見せていない?」

眉をひそめていうあたし。

「他のやつよりもあいつの腕は優秀なのは分かっているが・・・な。
何の音沙汰もない。いつもなら時折顔を出しに来ていたのだが、あの男の屋敷にカイルはいなかった」

次々と失踪する人々の中に、カイルほどの実力者をやすやすと連れ去ることが出来るのだろうか。

あの施設にいたアズトムも、かなりの実力者だったが。

もしそうなら、襲撃した死体がいくつか転がっているはずである。

もっとも、相手が人間ならば・・・・・・のはなしだが。

施設にいた覇王神官ならば、人間一人消し去るのにさほど時間は取らせないだろう。

しかし、今回のディーの目的がレイスン・シティのときと違うのであれば。

少し勝手が違ってくる。

ずいぶん前にあった神託の内容に出ていた『凍える闇の僕(しもべ)』とは、まず間違いなく覇王神官ディーをさしている。

暁をさすスィーフィードの力と意識を宿した、スィーフィード・ナイトである故郷の姉ちゃんはいまだゼフィーリア。
          スィーフィード・ナイト
いくらなんでも、 赤の竜神の騎士 である姉ちゃんの妹だからあたしをさしてました♪

・・・・・・なんてアホみたいな事実だったらいくらなんでも怒るぞ。







「・・・・・・ところでマーシュ卿」

「なんだ?」

「アレン・・・・・・あなたに襲われて、力の限りすっっっごくイヤがってましたね」

「可愛いだろう。いじめがいがあって」

「たしかに、いぢめると楽しいわね」

お前らサドか?

と、心の中で突っ込んだキミ!

否定はしないわ! 肯定もしないけど。

「嫌ってるのは分かるがな」

「いったい、なにやったのよ」

「たしかあれは・・・・・・七年ほど前になるか。
伯爵のパーティに呼ばれた際に、弟と友人と思しき連中といたのを認めてな」

なんか・・・・・・なんとなく予想がついた。

「今と違ってどことなく感情の抜け落ちたような面構えをしていたが、弟ともども好みだったから」

「ちょっとまった」

それにはかまわず、マーシュ卿は、

「抵抗したり拒んだりしたら、弟がどうなっても知らないぞみたいなことをいって、弟が他の町に移るまで楽しませてもらった」

「鬼畜か。あんた」

「失礼な。今はちゃんと合意の上でしかしてないぞ」

・・・・・・そーゆー問題じゃないと思ふ。

「じゃあさっきのは」

「軽いスキンシップだ。
もしその途中でОKがでたら食べるつもりだったが、もうお手つきみたいだから喰えないな」

なんか・・・・・・ここまで不憫だといっそ清々しいというか。

むしろ嫌ってとーぜんのような。

よくもまあ、役人に突き出したりしないもんである。







夕飯の食材を買い込んできたガウリイとアレンは、あたしとマーシュ卿の間に流れているビミョーな空気に気づかずにかえってきた。

長髪を後ろ手に縛って料理をテキパキと一人でこなす彼の姿は、哀愁とか漂っているわけではなく。

不憫なことになれてしまったのか、どこか達観している様子が否めなかった。

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34775白魔術都市狂想曲 53フィーナ 2009/11/3 20:18:10
記事番号34739へのコメント


「・・・・・・いいのか?」

どこか緊張をはらんだマーシュ卿の声。

「ええ・・・まあ」

どこか、苦笑めいた顔でうなずくアレン。

「本当に食べていいんだな?」

「くどいですよ。男に二言はありません。
それに、その様子じゃ食べたくて仕方ないんでしょう?
ここまで来たんですから我慢なんかせず、遠慮なく食べてください」

「・・・・・・アレン」

彼は、マーシュ卿の手をとった。

「早く食べてください。マーシュ」

あたしは、そんな二人を呆れた様子で眺めつつ、言葉を発した。

「あんたら早く食べなさいよ」

「そうそう」

口をもぐもぐ動かしながら、ガウリイも同意する。

「はやく食わないとオレが食っちまうぞ」

「ああガウリイ!それあたしのお肉よ!」

「さっきハムエッグとったじゃねーか!」

「はん! 甘いわねガウリイ!
あんたのものはあたしのもの! あたしのものはあたしのものよ!」

ナイフを片手に、ガウリイの皿からエビフライを略奪する!

「ええい! こなくそ! これでどうだ!」

「ひょえぇぇっ!? あんたには血も涙もないの!?」

「・・・・・・後片付けが終わる前に、料理がなくなりそうですね」

アレンは白いエプロンを片付けてテーブルに着いた。

「片付けは後でやるとして・・・・・・マーシュ。
あなたも早く料理を食べてください。でないと本当にくいっぱぐれますよ」

「お前のお手製の料理を食べれるなんて、いつ以来だろうな」

「今日はもう仕方ないから出しただけです。
さすがにあなたを寒空にほっぽりだして、俺たちだけで食べるわけにはいかないでしょう」

シチューを一口すする。

・・・・・・んっ!?

一見普通のクリームシチューのようだが、口の中に広がるこれは・・・・・・

「ををっ!? シチューの中にあるこの風味。
コクと旨みを凝縮させたようなまろやかさ。これの隠し味は・・・・・・味噌ねっ!」

「ご名答です。リナさん。
寝かせておいた自家製味噌を、隠し味に少量加えておいたのに気づくとは」

「クリームシチューの中に、舌に残るような深みのある味がしたのよ。
しかもよく熟成させたような旨み。熟成させてこれほど味わい深いコクを出せるのは味噌ぐらいかなって」

「・・・・・・さすがグルメ魔道士を自負していることはありますね」

「なんなんだそのグルメ魔道士って」

「えっ?違うんですか?
自らが暴食の風雲児と名乗り上げてから、キュリアン・タウンの出された旬の食材をすべて食い尽くして、町のブラック・リストに載ったって聞きましたけど」

「名乗ってない名乗ってない」

「お?リナもう食べないのか?
だったらこの鳥の香草蒸しもらうぜ!」

「ええい! させるか!」

ぎぃぃん!

ナイフをフォークをせめぎあいながら、させじとそれを口の中に入れる!

タイムなどのハーブの中に、すりおろしたにんにくベースのたれをひたしておいたそれは、鳥の臭みはまったくなかった。

「お肉が柔らかい」

「ハーブの中に、短時間で鶏肉のかたさをほぐしてくれる種類のものを使用したんですよ」

「そんなのあるの?」

「ええ。クラース・・・評議長からいただいたハーブなので」

「・・・・・・クラース?」

「レイスン・シティ魔道士協会の評議長をされている方ですよ」

シチューを飲み干し、席を立つアレン。

「いただきました」

「もういいの?」

「あなたたちがよく食べるんですよ。
キッチンの後片付けが終わったら、翻訳と写本の期日が迫ってるので立てこもりますけど・・・・・・リナさんたちはまだ食べられるんですか?」

問われてあたしは、どん、と胸を張った。

「あったりまえよ! まだ腹八分目までいってないわ!」

「オレもまだまだいけるぜ!」

「これだけ食べて、まだ足りないというのか」

どこか呆れた様子のマーシュ卿。

アレンはそれに苦笑しつつ、

「・・・・・・残ったのはシチューぐらいのものですが、鍋を温めなおしてからこちらのほうに持ってきます」

「その片付け。俺も手伝おう」

「ですが」

「二人でやったほうが効率もいいだろう?」

「・・・・・・また襲ったり変なことしないでくださいね」

「努力はしよう」

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34782Re:白魔術都市狂想曲 53kou 2009/11/4 17:28:39
記事番号34775へのコメント

 こんはんは。フィーナさん。
>
>「・・・・・・いいのか?」
>
>どこか緊張をはらんだマーシュ卿の声。
>
>「ええ・・・まあ」
>
>どこか、苦笑めいた顔でうなずくアレン。
>
>「本当に食べていいんだな?」
>
>「くどいですよ。男に二言はありません。
>それに、その様子じゃ食べたくて仕方ないんでしょう?
>ここまで来たんですから我慢なんかせず、遠慮なく食べてください」
>
>「・・・・・・アレン」
>
>彼は、マーシュ卿の手をとった。
>
>「早く食べてください。マーシュ」
 これだけ、聞いていると食おうとしているのはアレンの用だな。
>あたしは、そんな二人を呆れた様子で眺めつつ、言葉を発した。
>
>「あんたら早く食べなさいよ」
>
>「そうそう」
>
>口をもぐもぐ動かしながら、ガウリイも同意する。
>
>「はやく食わないとオレが食っちまうぞ」
>
>「ああガウリイ!それあたしのお肉よ!」
>
>「さっきハムエッグとったじゃねーか!」
 しかし、食べているのは夕食だった。
>「はん! 甘いわねガウリイ!
>あんたのものはあたしのもの! あたしのものはあたしのものよ!」
 お前は、ジャイアンか!?
>ナイフを片手に、ガウリイの皿からエビフライを略奪する!
>
>「ええい! こなくそ! これでどうだ!」
>
>「ひょえぇぇっ!? あんたには血も涙もないの!?」
 どちらかというと、お前らには、マナーが無いのかと聞きたいな。
>「・・・・・・後片付けが終わる前に、料理がなくなりそうですね」
>
>アレンは白いエプロンを片付けてテーブルに着いた。
 たしかに……。急がないと食いっぱぐれるぞ
>「片付けは後でやるとして・・・・・・マーシュ。
>あなたも早く料理を食べてください。でないと本当にくいっぱぐれますよ」
>
>「お前のお手製の料理を食べれるなんて、いつ以来だろうな」
>
>「今日はもう仕方ないから出しただけです。
>さすがにあなたを寒空にほっぽりだして、俺たちだけで食べるわけにはいかないでしょう」
 そう言う、人の良さが不運を招いているのでは?
>シチューを一口すする。
>
>・・・・・・んっ!?
>
>一見普通のクリームシチューのようだが、口の中に広がるこれは・・・・・・
>
>「ををっ!? シチューの中にあるこの風味。
>コクと旨みを凝縮させたようなまろやかさ。これの隠し味は・・・・・・味噌ねっ!」
 ドレミソミソファ♪ と、言う訳のわからない言葉はおいといて、味噌ってスレイヤーズの世界にあるんでしょうか?
>「ご名答です。リナさん。
>寝かせておいた自家製味噌を、隠し味に少量加えておいたのに気づくとは」
>
>「クリームシチューの中に、舌に残るような深みのある味がしたのよ。
>しかもよく熟成させたような旨み。熟成させてこれほど味わい深いコクを出せるのは味噌ぐらいかなって」
>
>「・・・・・・さすがグルメ魔道士を自負していることはありますね」
>
>「なんなんだそのグルメ魔道士って」
 と、言うか自負てだれが?
>「えっ?違うんですか?
>自らが暴食の風雲児と名乗り上げてから、キュリアン・タウンの出された旬の食材をすべて食い尽くして、町のブラック・リストに載ったって聞きましたけど」
>
>「名乗ってない名乗ってない」
 食い尽くして、町のブラック・リストに載ったと言うのは否定しなかったな。
>「お?リナもう食べないのか?
>だったらこの鳥の香草蒸しもらうぜ!」
>
>「ええい! させるか!」
>
>ぎぃぃん!
>
>ナイフをフォークをせめぎあいながら、させじとそれを口の中に入れる!
>
>タイムなどのハーブの中に、すりおろしたにんにくベースのたれをひたしておいたそれは、鳥の臭みはまったくなかった。
>
>「お肉が柔らかい」
>
>「ハーブの中に、短時間で鶏肉のかたさをほぐしてくれる種類のものを使用したんですよ」
>
>「そんなのあるの?」
>
>「ええ。クラース・・・評議長からいただいたハーブなので」
 騙されて食われたようなものなのに、そこそこ幸せみたいですね。
>「・・・・・・クラース?」
>
>「レイスン・シティ魔道士協会の評議長をされている方ですよ」
>
>シチューを飲み干し、席を立つアレン。
>
>「いただきました」
>
>「もういいの?」
>
>「あなたたちがよく食べるんですよ。
>キッチンの後片付けが終わったら、翻訳と写本の期日が迫ってるので立てこもりますけど・・・・・・リナさんたちはまだ食べられるんですか?」
>
>問われてあたしは、どん、と胸を張った。
>
>「あったりまえよ! まだ腹八分目までいってないわ!」
>
>「オレもまだまだいけるぜ!」
>
>「これだけ食べて、まだ足りないというのか」
>
>どこか呆れた様子のマーシュ卿。
 この世界にブラックホールと言う言葉はあるかないかは別としてこの二人の腹に間違いなく比喩として使われるべき言葉だな。
>アレンはそれに苦笑しつつ、
>
>「・・・・・・残ったのはシチューぐらいのものですが、鍋を温めなおしてからこちらのほうに持ってきます」
>
>「その片付け。俺も手伝おう」
>
>「ですが」
 襲いそうで、いやなんでしょうね。
>「二人でやったほうが効率もいいだろう?」
>
>「・・・・・・また襲ったり変なことしないでくださいね」
>
>「努力はしよう」
 しないと言わなかったな。
 アレンも、不幸な奴だな。スポットや北の魔王並みだな。
 以上、kouでした。

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34785白魔術都市狂想曲 53フィーナ 2009/11/4 22:07:53
記事番号34782へのコメント

こんばんは。kouさん。
> これだけ、聞いていると食おうとしているのはアレンの用だな。
>>あたしは、そんな二人を呆れた様子で眺めつつ、言葉を発した。
>>「あんたら早く食べなさいよ」
>>「そうそう」
>>口をもぐもぐ動かしながら、ガウリイも同意する。
>>「はやく食わないとオレが食っちまうぞ」
>>「ああガウリイ!それあたしのお肉よ!」
>>「さっきハムエッグとったじゃねーか!」
> しかし、食べているのは夕食だった。
今日は自炊と宣言した通り。
>>「はん! 甘いわねガウリイ!
>>あんたのものはあたしのもの! あたしのものはあたしのものよ!」
> お前は、ジャイアンか!?
ガキ大将の理屈ですね。
>>ナイフを片手に、ガウリイの皿からエビフライを略奪する!
>>「ええい! こなくそ! これでどうだ!」
>>「ひょえぇぇっ!? あんたには血も涙もないの!?」
> どちらかというと、お前らには、マナーが無いのかと聞きたいな。
テーブルマナーはあるんでしょうけど(たぶん)
弱肉強食の場合がほとんどですからね。相手があいてなだけに。
>>「・・・・・・後片付けが終わる前に、料理がなくなりそうですね」
>>アレンは白いエプロンを片付けてテーブルに着いた。
> たしかに……。急がないと食いっぱぐれるぞ
>>「片付けは後でやるとして・・・・・・マーシュ。
>>あなたも早く料理を食べてください。でないと本当にくいっぱぐれますよ」
>>「お前のお手製の料理を食べれるなんて、いつ以来だろうな」
>>「今日はもう仕方ないから出しただけです。
>>さすがにあなたを寒空にほっぽりだして、俺たちだけで食べるわけにはいかないでしょう」
> そう言う、人の良さが不運を招いているのでは?
この人はそれがもう当たり前みたいなものですし、変えるつもりはないようです。
>>シチューを一口すする。
>>・・・・・・んっ!?
>>一見普通のクリームシチューのようだが、口の中に広がるこれは・・・・・・
>>「ををっ!? シチューの中にあるこの風味。
>>コクと旨みを凝縮させたようなまろやかさ。これの隠し味は・・・・・・味噌ねっ!」
> ドレミソミソファ♪ と、言う訳のわからない言葉はおいといて、味噌ってスレイヤーズの世界にあるんでしょうか?
どうでしょうか。
ただシチューに味噌を加えると、コクが出ておいしいですよ。いれすぎはだめですけど。
>>「なんなんだそのグルメ魔道士って」
> と、言うか自負てだれが?
リナがです。
>>「えっ?違うんですか?
>>自らが暴食の風雲児と名乗り上げてから、キュリアン・タウンの出された旬の食材をすべて食い尽くして、町のブラック・リストに載ったって聞きましたけど」
>>「名乗ってない名乗ってない」
> 食い尽くして、町のブラック・リストに載ったと言うのは否定しなかったな。
情報源はナー…某お方だったり。
>>「ええ。クラース・・・評議長からいただいたハーブなので」
> 騙されて食われたようなものなのに、そこそこ幸せみたいですね。
呪いとかの不運が続きすぎて、普通の定義がわからなくなってるんです。
>>「あったりまえよ! まだ腹八分目までいってないわ!」
>>「オレもまだまだいけるぜ!」
>>「これだけ食べて、まだ足りないというのか」
>>どこか呆れた様子のマーシュ卿。
> この世界にブラックホールと言う言葉はあるかないかは別としてこの二人の腹に間違いなく比喩として使われるべき言葉だな。
そうですね。
>>アレンはそれに苦笑しつつ、
>>「・・・・・・残ったのはシチューぐらいのものですが、鍋を温めなおしてからこちらのほうに持ってきます」
>>「その片付け。俺も手伝おう」
>>「ですが」
> 襲いそうで、いやなんでしょうね。
ろくな目に合わされてないですから。
>>「二人でやったほうが効率もいいだろう?」
>>「・・・・・・また襲ったり変なことしないでくださいね」
>>「努力はしよう」
> しないと言わなかったな。
> アレンも、不幸な奴だな。スポットや北の魔王並みだな。
マーシュ卿以外で彼を不幸な目にさせるのは、後二人。
マーシュ卿のほうがまだマシかと。彼自身にとっても危険な相手です。

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34789白魔術都市狂想曲 54フィーナ 2009/11/5 23:05:48
記事番号34739へのコメント


鍋の中にあったシチューを、すべて平らげたあと。

アレンが残しておいたのだろう。

あらかじめ弱冷気の呪文で冷やしておいたゼリーを遠慮なくいただいた。

「ふぅ。くったくった」

食材すべて食い尽くして、満足そうにしているガウリイ。

皿はほとんど彼らがもっていったみたいである。

残った皿を積み重ねていき、洗い場へともっていく。

いちおー他人の家とはいえ、一飯の礼もかねている。

かちゃかちゃと無言で皿を洗う彼ら。

「お皿ここにおいてくわね」

「ありがとうございます」

こちらを振り返って礼を言うアレン。

「リナさんたちはもう宿に戻られるんですか?」

「そのつもりよ。悪いわねあたしたちのぶんまで」

「かまいませんよ。食事はにぎやかなほうが楽しいですから」

「アレン。今日はお前の部屋に――」

「却下」

即答するアレン。

「どうせよからぬことでも企んでいるんでしょう。
家に無断で入ってた事情は、不可抗力ということで何も言いませんけど」

「客間でもいいからせめて一泊させてくれてもいいだろう」

「なんで嫌いなあなたを宿泊させなければならないんですか。他の男のところにいってください」

「ホストの仕事は当分のあいだ閉めざるを得ない状況に陥っている。
あの男の屋敷には、アルベルトはおろか、カイルの姿も見当たらず途方にくれてたところにお前が戻ってきたんだ。
他の男のところに行くとしても、ホストの仕事はこういう事情で一時閉店せざるを得ない状況に陥っている。
収入源がないんだから、そのことを嗅ぎつけたほかの貴族になにをいわれるのか」

「なら些少ながら家にあるお金を差し上げますから、それで宿でも取ってください」

「・・・・・・それでどうやって宿を取ればいいんだ?」

いたって真顔で、マーシュ卿は言った。

「・・・・・・はい?」

「宿ごと売却すればいいのか?」

「・・・・・・そんなことしようとしたら、破産します。俺の全財産つぎ込んでも無理です」

「・・・・・・マーシュ卿。一つ聞いてもいいかしら」

「なんだ?」

「いままで、宿を取ったことって」

「ないにきまってるだろう」

さも当然の如くに、答えるマーシュ卿。

くはぁぁぁっ!

駄目だこのボンボンの貴族はぁぁっ!

その隣では、あたしと同じようにアレンも頭を抱えていたりする。

「使用人に聞こうとしても、今は二人しかいなくてな。
うち一人は、娼館へ売り飛ばされようとしていたのを助けたやつだぞ。そんなこと尋ねられんだろうが」

・・・・・・あ。

「マーシュ卿。その使用人のことなんだけど、落ち着いて聞いてくれる」

あたしは、アルベルト卿が経営している施設で見たことを簡潔に伝えた。

アルベルト卿が二人を魔法医のところにつれていったというのは嘘で、その使用人たちがその施設に倒れていたことを。

「・・・・・・そうか。まだ息はあるんだな」

「神官たちの治療で何とかね」

「・・・・・・仕方ありませんね。今日だけですよ」

長い沈黙のあと、ため息を一つついてアレンはそういった。

「ほんとうか」

「ええ。へんなことをしないと誓ってくださるんなら。
今のあなたは、昔のように鬼畜な性格はしてないみたいですし、ずいぶん人が丸くなったみたいですから」

「・・・・・・襲われかけてたけど」

「それもふくめて・・・・・・ですよ。
以前は、口に出すのも憚られるような事をされてましたし、あんなのはまだ可愛いほうです」

遠い目をしていうアレン。

どんだけロクでもない目にあわされたんだ?

・・・・・・いや、知りたくもないけど。

「たすかる」

「勘違いしないでくださいねマーシュ。
俺があなたのことを嫌いなことに変わりありませんから」

「俺が同性愛者だからか」

「そんなんじゃありませんよ。
情愛を向けられる対象が同性だというだけで、俺は嫌悪感を持ったりしません。愛情の観点がそれぞれ違うのと似たようなことでしょう」

「昔お前を半ば脅して手に入れたことか」

「付け入られる隙があった部分もあるんでしょうし、俺個人のことについてなら何とか許容できていますよ。大体、時間をまき戻せはしないでしょう」

「ではなぜだ」

「なぜ・・・・・・ですって」

その口調の中に、静かな怒りが姿を見せた。

「忘れたのですか。あなたが破った約束を」

「約束?」

「忘れはしません。未遂だったとはいえ、あなたが俺の弟にまでその毒牙にかけようとしたのを」

マーシュ卿の顔色が変わった。

「俺はこういったはずですよマーシュ。
『俺の身はどうなってもいい。ただ魔道士になるという夢を追いかけ、ここから巣立とうとしている弟にだけは手出ししないように』と。
その期限は弟が魔道士としてひとり立ちできるようになるまで。それなのに言った約束をあなたは破った。いくら未遂だったとはいえ、あなたがしたことは、到底許されるものではありません。その様子だと思い出したようですね」

「出来心だったんだ。何も知らない弟がそのことを知ったらどうするのか。そして、お前がそのことをどう思うのかみてみたくなった。
お前が弁解を求めていないことはわかっている。いまさら言われても納得できないだろう。だから、その当時考えていたことをいった」

「あなたが誰と付き合おうとそれはあなたの勝手です。
今のあなたは昔とは違うということはもう分かっています。ですがそう簡単に割り切れるものでもありません」

アレンは、マーシュ卿をひたりと見据えて言った。

「マーシュ。俺はあなたが嫌いです」

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34790白魔術都市狂想曲 55フィーナ 2009/11/6 01:00:52
記事番号34739へのコメント


無言のまま、客間へ向かう二人。

彼女たちには家の前で待ってもらっている。

あのあと――

あれからいろいろと、いえなかったことやいいたかったことを話し合った。

そのためか、彼らの顔はいつになく穏やかだった。

その部屋の前。

「アレン。もう一回やり直せないだろうか」

「俺があなたに情愛を抱くことはありませんよ。マーシュ。
そちらも気持ちのけじめもまだつけれないでしょう。とりあえず今日はもう休んでください」

「・・・・・・もうあえないのか?」

「世間というのは狭いものですから、ばったり会うことはあるでしょう」

「・・・・・・そうだな」

「一日や二日で気持ちの整理がつくとは思えないでしょうけど、こうやって正面きって話せてよかったと思います。ずるずるいやな気持ちは引きずりたくないですし」

「アレン」

「はい」

「・・・・・・すまなかった」

アレンはゆっくり目を閉じた。

「やっぱりあなたは昔とは違いますね。俺も今日は感情的にあなたを責めました。すみませんでした」

アレンを微苦笑を浮かべ、

「今度会うときは、友人として付き合いますよ。
同性の友人も、あなたは持つべきです。宿のとり方は、そのとき教えます」

「きょうは世話になった。お休み」

「おやすみなさい」

ぱたんと部屋の扉が閉じられる。







「おまたせしました」

「わざわざ出迎えてくれなくてもいいのに」

家の前で話すあたしたち。

夜の闇が、街頭の明かりで影を刻んでいる。

「あんたはこのあとどうすんの?」

「とりあえず、写本の写生と、翻訳を済ませます。
その途中で、マーシュの経営に役立ちそうなものも見つけて紹介しなければなりませんから徹夜になると思いますけど」

「なにもそこまでしなくても」

「嫌いな相手とはいえ、仕事はしてもらわないと」

「地下のやつって全部そう?」

「全部ではありませんよ。手前の書斎が医学や魔法薬に必要なもの。奥が翻訳し終わったものや翻訳途中のもの。
翻訳し終わったものの中で興味のわいたものは、依頼人の了承を経て元の文字でうつして保管しています。原本と翻訳したものは依頼人の方に渡して」

「ねえ。そのなかにあたしの欲しい内容がなかったんだけど」

「どういったものがご要望なんですか。よければ探しますが」

しられるわけにはいかない。

あたしの視線の先にいるガウリイに気づき、アレンは苦笑した。

「ガウリイさん。ちょっと失礼します」

「ん?なんだ?」

耳元を寄せ、何事かささやく。

「ん。わかった」

鷹揚にうなずくガウリイ。

「なにいったの?」

「たいしたことではありませんよ」

「そう?」

「それでなんですか」








「それは俺に対する嫌がらせですか。セクハラですよ」

心もち顔を赤くするアレン。

「なんでよ」

「ガウリイさんちょっと」

今度は多少荒っぽく引っ張る。

「ん?またか」

あたしに聞こえないよう、暗がりで話す。

「(ひそひそひそ)」

「いや・・・・・・まだだけど」

「そんなんだから、危なっかしいんですよリナさんは」

「そうはいわれてもなー」

ぽりぽりと困ったように、

「けどよー」

「けどもありませんよ。ガウリイさん。
いくらリナさんの胸がミカン一個分しかなくっても、揉んでいけば大きくなるんですから」

なっ!?

「それはリナに対して失礼だぞ。ハロン」

「・・・・・・アレンです。
・・・・・・っていいますか、もう『ン』しかあってないじゃないですか」

「いいかよくきけ。あいつの胸がミカン一個分だというのは大きな間違いだ」

珍しくいい事を言う。

「といいますと」

「あいつの胸は、ミカンを横半分に切った分の断面図しかないんだ!」

ちゅぼむ!

「たしかに」

あっさり同意するアレン。

男って・・・・・・男ってやつはこれだから・・・!

真剣な顔で、議論する二人。

「揉んでいってりんご一個分の大きさになったらどうするんですか?
・・・・・・俺は大きくても小さくても、張りのあって形のいいやつだったら。
もちろんそんな命知らずなことをするつもりもありませんし、そんなこと出来る人は限られてきますが。ねえガウリイさん」

「んー・・・そうだなー」

「そんなことしたら、ただではすまないのはわかっていますから俺はしませんけど」

「けど揉んでいくよりも簡単な方法ならあるだろー」

のほほーんと、気楽な口調で言うガウリイ。

それを見たアレンの顔が少々引きつったのはあたしの見間違いなのだろうか。

「しませんよそんな恐ろしいこと!っていいますかできません!
・・・・・・ガウリイさん今あなたさらりと不穏なこと口に出しましたね」

「そうかー?」

「俺リナさんやオリヴァーとは違った意味で、あなたを敵に回したくありません」

「・・・・・・アホトーク盛り上がってるところ悪いんだけどさー。ガウリイにアレン」

ひぴくぅ!

目に見えて震える男二人。

「あんたら最初小声だったのに、今はこっちのほうまで丸聞こえよ。
ひとのことを色々いってたわよね。ミカン一個分だとか、大福もちのようだとか寸胴鍋みたいだとかあれこれ散々」

「いえあのそこまではいっていないと」

「そうそう」

こくこく頷く。

「じゃあなにをはなしてたのかなー?」

「いったら酷い目にあわされるんでしょうか」

「違わない♪けどいわなかったらもっと酷い目にあわせる」

ガウリイは小首をかしげ、

「男のロマン?」











・・・・・・その夜。

攻撃呪文の音が響きまくった。

それはもう、なんどもなんども何度も。

男二人の悲鳴と共に・・・・・・

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34795Re:白魔術都市狂想曲 55セス 2009/11/6 21:24:06
記事番号34790へのコメント

こんばんは、フィーナさん。


>「それは俺に対する嫌がらせですか。セクハラですよ」
>
>心もち顔を赤くするアレン。
>
>「なんでよ」
>
>「ガウリイさんちょっと」
>
>今度は多少荒っぽく引っ張る。
>
>「ん?またか」
>
>あたしに聞こえないよう、暗がりで話す。
>
>「(ひそひそひそ)」
>
>「いや・・・・・・まだだけど」
>
>「そんなんだから、危なっかしいんですよリナさんは」
>
>「そうはいわれてもなー」
>
>ぽりぽりと困ったように、
>
>「けどよー」
>
>「けどもありませんよ。ガウリイさん。
>いくらリナさんの胸がミカン一個分しかなくっても、揉んでいけば大きくなるんですから」
>
>なっ!?
・・・ミカン一個分って・・・
>
>「それはリナに対して失礼だぞ。ハロン」
>
>「・・・・・・アレンです。
>・・・・・・っていいますか、もう『ン』しかあってないじゃないですか」
自分の名を間違えられるのは嫌だろうけど、トリ頭の彼には言うだけ無駄ですよ、アレンさん・・・
>
>「いいかよくきけ。あいつの胸がミカン一個分だというのは大きな間違いだ」
>
>珍しくいい事を言う。
>
>「といいますと」
>
>「あいつの胸は、ミカンを横半分に切った分の断面図しかないんだ!」
>
>ちゅぼむ!
・・・言うてはならんことを・・・
>
>「たしかに」
>
>あっさり同意するアレン。
同意するな!(笑
>
>男って・・・・・・男ってやつはこれだから・・・!
>
>真剣な顔で、議論する二人。
>
>「揉んでいってりんご一個分の大きさになったらどうするんですか?
>・・・・・・俺は大きくても小さくても、張りのあって形のいいやつだったら。
>もちろんそんな命知らずなことをするつもりもありませんし、そんなこと出来る人は限られてきますが。ねえガウリイさん」
>
>「んー・・・そうだなー」
ていうか、命知らずな発言しまくってますよお二方・・・
リナがエルフ並みの聴覚を持っていることを知らないのでしょうか・・・?
>
>「じゃあなにをはなしてたのかなー?」
>
>「いったら酷い目にあわされるんでしょうか」
>
>「違わない♪けどいわなかったらもっと酷い目にあわせる」
>
>ガウリイは小首をかしげ、
>
>「男のロマン?」
・・・そんなあほなロマンがあるかい。

>・・・・・・その夜。
>
>攻撃呪文の音が響きまくった。
>
>それはもう、なんどもなんども何度も。
>
>男二人の悲鳴と共に・・・・・・

哀れな二人・・・
今回はアレンさんだけじゃなく、ガウリイも不幸な目にあいましたね(笑

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34801Re:白魔術都市狂想曲 55フィーナ 2009/11/6 23:02:58
記事番号34795へのコメント


>こんばんは、フィーナさん。
こんばんは。セスさん。
>>「それは俺に対する嫌がらせですか。セクハラですよ」
>>心もち顔を赤くするアレン。
何故彼がそういったのかは、前作で言っていますが彼女に惚れてたからです。
>>「けどよー」
>>「けどもありませんよ。ガウリイさん。
>>いくらリナさんの胸がミカン一個分しかなくっても、揉んでいけば大きくなるんですから」
>>なっ!?
>・・・ミカン一個分って・・・
ちなみに、グレープフルーツの類ではなく、うんし○うミカンのようなサイズのものだと思っていただければ。
>>「それはリナに対して失礼だぞ。ハロン」
>>「・・・・・・アレンです。
>>・・・・・・っていいますか、もう『ン』しかあってないじゃないですか」
>自分の名を間違えられるのは嫌だろうけど、トリ頭の彼には言うだけ無駄ですよ、アレンさん・・・
そこがガウリイですね。
>>「いいかよくきけ。あいつの胸がミカン一個分だというのは大きな間違いだ」
>>珍しくいい事を言う。
>>「といいますと」
>>「あいつの胸は、ミカンを横半分に切った分の断面図しかないんだ!」
>>ちゅぼむ!
>・・・言うてはならんことを・・・
その後の彼らに合掌。
>>「揉んでいってりんご一個分の大きさになったらどうするんですか?
>>・・・・・・俺は大きくても小さくても、張りのあって形のいいやつだったら。
>>もちろんそんな命知らずなことをするつもりもありませんし、そんなこと出来る人は限られてきますが。ねえガウリイさん」
>>「んー・・・そうだなー」
>ていうか、命知らずな発言しまくってますよお二方・・・
>リナがエルフ並みの聴覚を持っていることを知らないのでしょうか・・・?
アレンさんは知らずにいってます。ガウリイは覚えてないでしょう。
>>「じゃあなにをはなしてたのかなー?」
>>「いったら酷い目にあわされるんでしょうか」
>>「違わない♪けどいわなかったらもっと酷い目にあわせる」
>>ガウリイは小首をかしげ、
>>「男のロマン?」
>・・・そんなあほなロマンがあるかい。
以下同文です。
やっぱり男はいつまで立っても少年の心(この場合は悪い意味で)をもってるんですね。
>>・・・・・・その夜。
>>攻撃呪文の音が響きまくった。
>>それはもう、なんどもなんども何度も。
>>男二人の悲鳴と共に・・・・・・
>哀れな二人・・・
>今回はアレンさんだけじゃなく、ガウリイも不幸な目にあいましたね(笑
アホトークしてた報いです。
胸の話はふたりとも真剣に議論してたんです。
実際いましたよ。そういう話を公衆の面前で言ってた人たちをモデルにしてますから。

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34800白魔術都市狂想曲 56フィーナ 2009/11/6 22:30:28
記事番号34739へのコメント


野菜サラダを食べていたリーリアが顔を上げる。

「どうしたのー?」

「あんたあんまし食べないわね」

「リナちゃんが食べすぎなんだよー♪」

あたしの目の前に置かれている皿を指差していうリーリア。

シルフィールの用事とやらにガウリイが行くということで、別行動をとる前に、忘れ物がないか確かめるように念を入れておいたのだが・・・・・・

正直不安である。

気分はすっかり保育士のようで、先が思いやられる。

「あたしはいいの。育ち盛りなんだから。
にしてもなんか意外よね。竜ってけっこー大食いのイメージがあったから」

以前であった竜族のミルガズィアさんは、水だけ飲んでるのしか見たことなかったし。

「個人によって違うけど、そんなぱかぱか食べたらあっという間に荒野になっちゃうでしょ」

「それもそっか」

「それに私はか弱い女の子♪ なんだもんー」

「か弱くないって。傍目からみればそう見えるんでしょうけど」

「私この町じゃ清楚な人間の女の子♪ をめざしてるのー」

「なんでよ」

っていうか、誰が清楚だ。

「だってー。私の正体を皆が知ったら、お酒のめれなくなっちゃうじゃないー♪」

「そこかい!」

「それだけじゃないわよー♪
人間の中には、私たち長寿の種族を捕まえて、不老不死とか研究なんかしている連中もいるんだもーん♪」

笑いながらいう彼女。

こーゆー大都市に、そーゆー人種がいるのも事実である。

いくら聖王都とよばれているセイルーンでも、人が集まれば争いが絶えないのも事実。

命あるものが生を受けた瞬間から、いきたいという本能的な欲望がうまれる。

それが元となり、金銭欲や物欲。はてや支配欲というように、欲望はついて回る。

生き続けたいと願い、不老不死の研究に費やす魔道士が履いて捨てるほどいるのも残念だが事実である。

「リナちゃんはそんなことしないから、安心して遊べるのー♪」

「なんでそういい切れるのよ。もしかしたらあたしがあんたを売り飛ばすかも知んないのよ」

「しないわよー♪リナちゃんは。
照れ屋さんで優しいって事分かってるからー」

ここで違うって否定するのも、何か違うような気もするし、あたしはリーリアが思うようなそんなできた人間ではない。

「治療のほうはどう?」

「うん。薬草と人型の効果で呪法を抑えられてるんだけどねー」

「人型?」

「リナちゃんたちがみた藁人形のほかにね。対となるよう紙バージョンのやつがあるの。暴れる患者さん専用♪
人の形に切り取った紙を自らの器だと錯覚させ、暴れている患者さんにはって、それについてきた魂を元の器に移してるの」

「揚げ物で残った油を、油取りでとるような?」

「理屈としてはそうかなー♪
私たちは精神世界面にその身を寄せる魔族と違い、肉体・精神・そして魂によって世界に構築されている。
肉体と魂は、精神によって密接につながっているのよ♪」

「肉体を失って強い怨念といった、生前死ぬ間際に残した強力な残留思念によってゴーストと呼ばれる実体のない存在となる」

いつかある町の魔道士協会で、発表会みたいなやつで見聞したそれを口に出す。

「このコ毒と呼ばれる呪法は、肉体を合成させるキメラと違い、精神同士の合成なのー♪
通常は拒絶反応を起こしやすいけど、資質の高い肉体に宿した場合。あるいは別の要因が原因なのか分からないけどね♪
とにかくそれらに耐えることができたその精神たちは、生物同士の生存本能に伴い、喰いあって生き延びようとする。
喰いあっているのは、そこいらへんの低級霊ではなく、生きている人間の精神なんだから生への渇望が強くて困っちゃってるの♪」

・・・・・・大変なのは分かるんだけど、あんたの『♪』がついてると説得力ってもんが・・・・・・

「人型に肉体があるように錯覚させれば、もともとの肉体に戻ろうとする力がついてくれてたのー♪」

「・・・・・・過去形?」

「今までだったら、最初の患者さんはよくなってたのに。
患者さんの家族に応援してもらってるんだけど、戻ろうとする精神を何者かによって引っ張られて邪魔されるの」

「邪魔される?」

「一人ひとりの中にある力は微弱なんだけどねー。魔族の因子っていったほうがはやいかな?
魔族の因子を強引に取り除こうとしても、精神の奥深くに侵入しちゃってて手出しできなくなっちゃうの」

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34809白魔術都市狂想曲 57フィーナ 2009/11/7 22:59:01
記事番号34739へのコメント


食事を終え、リーリアが勤めている神殿まで送っていく途中、あたしはふと思ったことを彼女に尋ねた。

「ねえリーリア。あんたってヴラと知り合って間もないはずよね」

「それをいうなら、リナちゃんとだって知り合って間もないわよー♪
ほんのちょっと前にこっちのほうに来たけど、ここが一番性にあってると思ってきたんだけど」

「竜のあんたがいうほんのちょっと前は、こっちとは意味合いが違うの」

「本当に少し前よー♪三十年程度前のことなんだから」

「あたしたちにとって三十年は長いわよ」

リーリアは、唐突に足を止め、彼女が勤めている神殿とは別の神殿を見て眉をひそめた。

「ここ・・・ちょっと危ないかも」

「危ない?」

「よどんでる感じがするの。
・・・・・・瘴気に似たような嫌な感じ」

「因子を植え込まれた人間?」

「うん・・・・・・たぶん」

自信なさそうに言うリーリア。

「なによ。その『たぶん』って」

「この町自体、たくさんの患者さんの中に、魔族の因子が植え付けられているでしょ。
セイルーンの結界で弱められているはずなのに、最近は日に日に下級魔族に似た瘴気があふれ始めていて、感知しにくくなってるの」

「魔族が入り込んできても分からないってこと?」

「レッサー・デーモンくらいなら、隠しきれない瘴気でわかるわよ。
もっともセイルーンに入ったとしても、この町に一日ぐらいはいられるだろうといった程度なんだけどー」

「高位魔族なら?」

「・・・・・・あの方なら分かるだろうけどー。私には荷が重いかもしれないわ」

「あの方ってヴラよね。リーリア」

口を滑らせたリーリアに問いかけると、彼女は気づいたように口を押さえる。

「それは」

「こたえて。リーリア」

「・・・・・・そうよ。リナちゃん」

あたしの視線に耐え切れないように、うつむいて肯定するリーリア。

「ヴラが何者なのか、大体予想はつくけどね。
何であんたが言いたがらなかったのかも、この大勢いる人間の前で言うわけにもいかないだろうし」

・・・・・・ただでさえ、このセイルーンという都市は・・・・・・

「いつから気がついたの?」

「うーん。ヴラがアルベルト卿の施設にいたあたりから、なんとなく・・・・・・ね」

覇王神官があの施設から姿を消し、入れ違うように現れたヴラ。

その前に聞こえた、咆哮の響き。

各神殿から、それに呼応するかのように多少緩和された症状。

アメリアがいった大きな力の流れに、ヴラがいっていたラーディという女の名前。

そして、リーリアのヴラに対する態度と言葉遣い。

「心配しないでも、ヴラのことは今のところ言うつもりはないから」

「・・・・・・なんで?」

まさかそういう返事が来るとは思ってもいなかったのだろう。

意外そうな顔で尋ねるリーリア。

「正体知られたら人間がどういう行動に出るのか。
すこし頭をひねれば誰でも・・・・・・もとい、ガウリイとかは除外してわかりそうなものよ」

その先に待ち受けていることを、呪いで骨身にしみるほど経験しているであろう。

アレンが懸念しているとおりのことが行われるのは想像に難くない。

たとえば、宗教上の対立による武力行使。

むろんヴラが人間の小競り合いに、前線に立って力を貸すとは思えないし。

平和主義を主張するフィルさんがいる以上、まずありえないと思うが。

絶対とは言い切れない。

ヴラが直接力を振るえば、このセイルーンに暗躍している覇王神官を造作もなく滅ぼすことは簡単だろう。

だがそれは、新たな火蓋を巻き起こすきっかけになる。

聖戦と称しおこなわれる、人間同士による虐殺の記録は、魔道士協会の記録でも時々記載されているのだ。

そのなかで見かける陳腐なセリフがある。

『神の奇跡が舞い降りた。
 神の使徒なる我らの前に立ちはだかるものは、神にそむく大罪人なり。
 進め正義は我にあり』

偶然砂塵によって戦況が一変したときの、士気をあげるためにいわれた、とあるセリフである。

たかが砂塵が吹いた程度で何が神の奇跡だと、当時はあまり気にも留めていなかったが。

もし本当に、目の前で神が起こした奇跡を目の当たりにしたら、普通人間はどうおもうのだろうか。

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34814Re:白魔術都市狂想曲 57kou 2009/11/8 20:30:54
記事番号34809へのコメント

 こんばんは。フィーナさん。kouです。

>「竜のあんたがいうほんのちょっと前は、こっちとは意味合いが違うの」
 たしかに……。人間同士でもちょっとの意味が違うこともありますし……。
>「本当に少し前よー♪三十年程度前のことなんだから」
 十二分に長いと思う。
>「あたしたちにとって三十年は長いわよ」
 同感です。
>リーリアは、唐突に足を止め、彼女が勤めている神殿とは別の神殿を見て眉をひそめた。
>
>「ここ・・・ちょっと危ないかも」
>
>「危ない?」
>
>「よどんでる感じがするの。
>・・・・・・瘴気に似たような嫌な感じ」
 神殿の近くが危ないとは……。
>「因子を植え込まれた人間?」
>
>「うん・・・・・・たぶん」
>
>自信なさそうに言うリーリア。
>
>「なによ。その『たぶん』って」
 竜族なのに、わからないんでしょうか?……
>「この町自体、たくさんの患者さんの中に、魔族の因子が植え付けられているでしょ。
>セイルーンの結界で弱められているはずなのに、最近は日に日に下級魔族に似た瘴気があふれ始めていて、感知しにくくなってるの」
 ようするに、周りが濃厚になっていてわかりにくくなっているんですね。
>「魔族が入り込んできても分からないってこと?」
>
>「レッサー・デーモンくらいなら、隠しきれない瘴気でわかるわよ。
>もっともセイルーンに入ったとしても、この町に一日ぐらいはいられるだろうといった程度なんだけどー」
 ようするに、わかったとしても一日ほっといたら勝手に消滅すると……。
>「高位魔族なら?」
>
>「・・・・・・あの方なら分かるだろうけどー。私には荷が重いかもしれないわ」
>
>「あの方ってヴラよね。リーリア」
>
>口を滑らせたリーリアに問いかけると、彼女は気づいたように口を押さえる。
 うっかりでしょうか?
>「それは」
>
>「こたえて。リーリア」
>
>「・・・・・・そうよ。リナちゃん」
>
>あたしの視線に耐え切れないように、うつむいて肯定するリーリア。
 恋心は、哀しいな……。と、言うべきかな?
>「ヴラが何者なのか、大体予想はつくけどね。
>何であんたが言いたがらなかったのかも、この大勢いる人間の前で言うわけにもいかないだろうし」
>
>・・・・・・ただでさえ、このセイルーンという都市は・・・・・・
 神官や巫女が大量に居るからな。
>「いつから気がついたの?」
>
>「うーん。ヴラがアルベルト卿の施設にいたあたりから、なんとなく・・・・・・ね」
>
>覇王神官があの施設から姿を消し、入れ違うように現れたヴラ。
>
>その前に聞こえた、咆哮の響き。
>
>各神殿から、それに呼応するかのように多少緩和された症状。
>
>アメリアがいった大きな力の流れに、ヴラがいっていたラーディという女の名前。
 ちゃんと、覚えていましたか。リナさん。
 ガウリィは、忘れているんだろうなぁ……。だって、ガウリィだもん
>そして、リーリアのヴラに対する態度と言葉遣い。
>
>「心配しないでも、ヴラのことは今のところ言うつもりはないから」
>
>「・・・・・・なんで?」
>
>まさかそういう返事が来るとは思ってもいなかったのだろう。
>
>意外そうな顔で尋ねるリーリア。
 里奈に惚れているくせに、リナのことをよく理解していないような言葉ですね。
>「正体知られたら人間がどういう行動に出るのか。
>すこし頭をひねれば誰でも・・・・・・もとい、ガウリイとかは除外してわかりそうなものよ」
 たしかに、ガウリィならなんでだ? と、真顔で聞きそうですね。
>その先に待ち受けていることを、呪いで骨身にしみるほど経験しているであろう。
>
>アレンが懸念しているとおりのことが行われるのは想像に難くない。
 特別が良いこととは限らないんですよね。
>たとえば、宗教上の対立による武力行使。
 たしかに、水竜王や地竜王などをどっち進行するかで対立しているのは、珍しくありませんね。
>むろんヴラが人間の小競り合いに、前線に立って力を貸すとは思えないし。
 つーか、しるかとか言いそうですね。
>平和主義を主張するフィルさんがいる以上、まずありえないと思うが。
 神を人間同士の戦いに利用するとは何事だと怒鳴りそうだな。
 魔族との戦いなら別だろうけれど……。
>絶対とは言い切れない。
>
>ヴラが直接力を振るえば、このセイルーンに暗躍している覇王神官を造作もなく滅ぼすことは簡単だろう。
 覇王神官だけじゃなくて獣神官らも滅ぼせるな。
>だがそれは、新たな火蓋を巻き起こすきっかけになる。
>
>聖戦と称しおこなわれる、人間同士による虐殺の記録は、魔道士協会の記録でも時々記載されているのだ。
 神のためになんて盲信者の台詞ははた迷惑だよな。
>そのなかで見かける陳腐なセリフがある。
>
>『神の奇跡が舞い降りた。
> 神の使徒なる我らの前に立ちはだかるものは、神にそむく大罪人なり。
> 進め正義は我にあり』
>
>偶然砂塵によって戦況が一変したときの、士気をあげるためにいわれた、とあるセリフである。
 日本史でも神風なんてありましたね。……冷静に考えて見ると、向こうはどうして船で寝泊まりしていたんだ?
>たかが砂塵が吹いた程度で何が神の奇跡だと、当時はあまり気にも留めていなかったが。
>
>もし本当に、目の前で神が起こした奇跡を目の当たりにしたら、普通人間はどうおもうのだろうか。
 敵に回したら驚異だ。とか考える人もいそうですね。自分が正義だ。だから、神はこっちを守ってくれると勝手な思い込みで動く奴も居ますからね。
 ヴラも本名を言わない気持ちもわかるな。
 ふと、思いましたが事が終わったらゼフィーリアの某ウエイトレスにも会いに行くつもりかな?
 以上、kouでした。

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34817Re:白魔術都市狂想曲 57フィーナ 2009/11/8 21:28:45
記事番号34814へのコメント


> こんばんは。フィーナさん。kouです。
こんばんは。kouさん。
>>「竜のあんたがいうほんのちょっと前は、こっちとは意味合いが違うの」
> たしかに……。人間同士でもちょっとの意味が違うこともありますし……。
>>「本当に少し前よー♪三十年程度前のことなんだから」
> 十二分に長いと思う。
>>「あたしたちにとって三十年は長いわよ」
> 同感です。
竜である彼女には、ほんのちょおっと前のことなんですよね。
>>リーリアは、唐突に足を止め、彼女が勤めている神殿とは別の神殿を見て眉をひそめた。
>>「ここ・・・ちょっと危ないかも」
>>「危ない?」
>>「よどんでる感じがするの。
>>・・・・・・瘴気に似たような嫌な感じ」
> 神殿の近くが危ないとは……。
ここ以外の場所でも…
>>「因子を植え込まれた人間?」
>>「うん・・・・・・たぶん」
>>自信なさそうに言うリーリア。
>>「なによ。その『たぶん』って」
> 竜族なのに、わからないんでしょうか?……
海王様は、覇王よりもしたたかですよ。
>>「この町自体、たくさんの患者さんの中に、魔族の因子が植え付けられているでしょ。
>>セイルーンの結界で弱められているはずなのに、最近は日に日に下級魔族に似た瘴気があふれ始めていて、感知しにくくなってるの」
> ようするに、周りが濃厚になっていてわかりにくくなっているんですね。
それともうひとつ。
ディー以外の高位魔族が現在どこにいるか。ゼロスがいっていますよー。
>>「魔族が入り込んできても分からないってこと?」
>>「レッサー・デーモンくらいなら、隠しきれない瘴気でわかるわよ。
>>もっともセイルーンに入ったとしても、この町に一日ぐらいはいられるだろうといった程度なんだけどー」
> ようするに、わかったとしても一日ほっといたら勝手に消滅すると……。
これは次回で明らかに
>>「高位魔族なら?」
>>「・・・・・・あの方なら分かるだろうけどー。私には荷が重いかもしれないわ」
>>「あの方ってヴラよね。リーリア」
>>口を滑らせたリーリアに問いかけると、彼女は気づいたように口を押さえる。
> うっかりでしょうか?
うっかりです。
リナの前だから余計に。
>>「それは」
>>「こたえて。リーリア」
>>「・・・・・・そうよ。リナちゃん」
>>あたしの視線に耐え切れないように、うつむいて肯定するリーリア。
> 恋心は、哀しいな……。と、言うべきかな?
そうですね。
辛いですよね。好きな人に嘘をつきたくないリーリアの想いは。
>>「ヴラが何者なのか、大体予想はつくけどね。
>>何であんたが言いたがらなかったのかも、この大勢いる人間の前で言うわけにもいかないだろうし」
>>・・・・・・ただでさえ、このセイルーンという都市は・・・・・・
> 神官や巫女が大量に居るからな。
あとはセイルーンという大国。
>>「いつから気がついたの?」
>>「うーん。ヴラがアルベルト卿の施設にいたあたりから、なんとなく・・・・・・ね」
>>覇王神官があの施設から姿を消し、入れ違うように現れたヴラ。
>>その前に聞こえた、咆哮の響き。
>>各神殿から、それに呼応するかのように多少緩和された症状。
>>アメリアがいった大きな力の流れに、ヴラがいっていたラーディという女の名前。
> ちゃんと、覚えていましたか。リナさん。
> ガウリィは、忘れているんだろうなぁ……。だって、ガウリィだもん
記憶力はないんですけどねー
>>そして、リーリアのヴラに対する態度と言葉遣い。
>>「心配しないでも、ヴラのことは今のところ言うつもりはないから」
>>「・・・・・・なんで?」
>>まさかそういう返事が来るとは思ってもいなかったのだろう。
>>意外そうな顔で尋ねるリーリア。
> 里奈に惚れているくせに、リナのことをよく理解していないような言葉ですね。
好きな人の総てを理解できないのは、ある意味当たり前なんですよね。
だからこそ、そのひとのことを理解したい。理解しようとするんです。
>>「正体知られたら人間がどういう行動に出るのか。
>>すこし頭をひねれば誰でも・・・・・・もとい、ガウリイとかは除外してわかりそうなものよ」
> たしかに、ガウリィならなんでだ? と、真顔で聞きそうですね。
はい。真顔で。
>>その先に待ち受けていることを、呪いで骨身にしみるほど経験しているであろう。
>>アレンが懸念しているとおりのことが行われるのは想像に難くない。
> 特別が良いこととは限らないんですよね。
もっとも、この人の場合はかなり壮絶な最期を迎えた記憶が多いですよ。
>>たとえば、宗教上の対立による武力行使。
> たしかに、水竜王や地竜王などをどっち進行するかで対立しているのは、珍しくありませんね。
信仰の種類も様々ですから。
>>むろんヴラが人間の小競り合いに、前線に立って力を貸すとは思えないし。
> つーか、しるかとか言いそうですね。
そうですね。それに近いことをいいそうです。
>>平和主義を主張するフィルさんがいる以上、まずありえないと思うが。
> 神を人間同士の戦いに利用するとは何事だと怒鳴りそうだな。
> 魔族との戦いなら別だろうけれど……。
あと政治的なことにも……
>>絶対とは言い切れない。
>>ヴラが直接力を振るえば、このセイルーンに暗躍している覇王神官を造作もなく滅ぼすことは簡単だろう。
> 覇王神官だけじゃなくて獣神官らも滅ぼせるな。
滅ぼせますが、基本的に彼らはあまり干渉しないようにしています。
もっとも、ヴラの場合は降りかかる火の粉は払う主義ですけど。
>>だがそれは、新たな火蓋を巻き起こすきっかけになる。
>>聖戦と称しおこなわれる、人間同士による虐殺の記録は、魔道士協会の記録でも時々記載されているのだ。
> 神のためになんて盲信者の台詞ははた迷惑だよな。
迷惑な話ですよね。ほんとう。
>>そのなかで見かける陳腐なセリフがある。
>>『神の奇跡が舞い降りた。
>> 神の使徒なる我らの前に立ちはだかるものは、神にそむく大罪人なり。
>> 進め正義は我にあり』
>>偶然砂塵によって戦況が一変したときの、士気をあげるためにいわれた、とあるセリフである。
> 日本史でも神風なんてありましたね。……冷静に考えて見ると、向こうはどうして船で寝泊まりしていたんだ?
海の上だと、搬送とか爆弾を迎撃できるのに都合がよかったからでしょうか。
レーダーにひっかかりにくかったのかもしれません。海の上だと電波が届きにくいですから。
>>たかが砂塵が吹いた程度で何が神の奇跡だと、当時はあまり気にも留めていなかったが。
>>もし本当に、目の前で神が起こした奇跡を目の当たりにしたら、普通人間はどうおもうのだろうか。
> 敵に回したら驚異だ。とか考える人もいそうですね。自分が正義だ。だから、神はこっちを守ってくれると勝手な思い込みで動く奴も居ますからね。
そーゆー部分も、ヴラは知ってるわけですからね。
> ヴラも本名を言わない気持ちもわかるな。
いったらうそつき呼ばわりされるか、それとも…
> ふと、思いましたが事が終わったらゼフィーリアの某ウエイトレスにも会いに行くつもりかな?
それは最終回あたりでだしたいとはおもっていますが(ずいぶん先になりますけど)
> 以上、kouでした。
レスありがとうございました。


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34815白魔術都市狂想曲 58フィーナ 2009/11/8 20:38:39
記事番号34739へのコメント


「なるほど・・・・・・たしかに瘴気ね」

近づくにつれ、その神殿から冷気にも似た気配が渦巻いていた。

恨みやねたみ。あらゆる負の感情をミックスさせたような、普通の人間なら耐えられないような瘴気が充満していた。

その瘴気に当てられたのか、数人の神官や巫女たちの顔色が悪い。

リーリアは、そんな彼らに近づきぷつぷつ口の中で呪を唱える。

淡い光が神官たちを包み込む。

「これでとりあえずは大丈夫だけど、ここへ長居させるのはよくないわねー」

「リーリア。とりあえずこの人たちを神殿の外へ運んでくれる?」

「いいけど・・・・・・リナちゃんはどうするのー?」

「この瘴気の発生源のほうまでいってみるわ。
因子を植え込まれた人間の容態だけでも確かめるつもりだから」

彼女はこちらに近づき、人には発音できない呪をあたしにかけた。

「これで、少しの時間なら瘴気の中にいても大丈夫よ♪
私も、この人たちを外に運び出してからリナちゃんのところに来るから」

「ありがと」

彼女は、はにかんでこういった。

「リナちゃんのためだもーん♪」

リーリアは、数人の大のおとなを軽々と担ぎ上げていった。







しばらく進んでいくと、その場が見えてきた。

此処に近づくにつれ、その濃度はましていった。

渦巻く瘴気の中心地。

数人の患者が治療を受けている場所には、キールを始めこの神殿に運び込まれた連中がいた。

近づくにつれ、ピリピリと嫌な空気があたしを突き刺しているのが分かる。

リーリアが術をかけてくれなかったら、此処へ近づくこともかなわなかっただろう。

眠るように目を閉じている。

その瞳は硬く閉ざされており、起きる気配はない。

さらに一歩足を進めたとたん――

がし!

誰かに足を掴まれた。

深く深く・・・・・・目を硬く閉ざしているキールらによって。

逃れようと、掴まれていない足に力をいれ、

それさえも拘束された。

もがけばもがくほど、両足を掴む力は強くなり。

その力は、人が振り切れるものではなかった。

のっそりと立ち上がり、こちらに手を伸ばそうとする無数の手。

その硬く閉ざされた瞳に、光が見えるかのように。
 エルメキア・ランス
「 烈 閃 槍 !」

あたしが放った術が当たり崩れ落ちる男。

だが――

・・・・・・再び・・・・・・

のそり

何事もなかったかのように立ち上がる。

馬鹿なっ!?

拘束する力はさらに強くなり、あたしの首に手を伸ばしてきた。

ぎりぎり・・・!

万力の力に首を絞められ、締め付けられる激しい痛みに、あたしの意識は跳びそうになる。

ヤバ・・・・・・っ!

かすむ視界の中――

術を受けたはずの男はこちらに手を伸ばし――

「――リナちゃん!」

声が聞こえたと同時、あたしの首を絞めていた圧迫感が消失した。

けふ・・・げふ・・・

久しぶりに酸素がいきわたる。

のどを強く圧迫されたため、ひりつくような痛みに咳き込む。

「・・・・・・げほげほ・・・!」

「リナちゃんになにするのっ!」

がすっ!

こちらに急ぎ駆け寄ってきたリーリアの一撃で、次々と倒れ付していく。

続いて、こちらの足を拘束している彼らをひっぺがすリーリア。

「大丈夫っ!?」

「ありがとうリーリア」

心配そうに、こちらを覗き込む彼女に礼を言う。

ぺたんとすわりこむ彼女。

「リーリア?」

「リナちゃんが無事で、本当によかった〜」

泣きそうなリーリアの頭を軽く撫でてやる。

・・・・・・そういえば、こうやって頭を撫でるくせは、あいつのだったなー。







どれぐらいそうしていただろうか。

渦巻いていた瘴気が、ゆっくりと動き始めた。

「瘴気が・・・・・・」

うねりたゆたい、形なきそれはさざ波のように引いていって――

「リナちゃん! この子・・・」

リーリアの声に振り向くと、彼――キールは硬く閉ざされた瞳をゆっくりと開かせた。

彼は、大きな瞳をゆっくりと開けて、

「これで・・・ずっと・・・」

キールは、口元を緩ませて――

「一緒だ・・・ね・・・・・・おにぃちゃ――」

「・・・・・・キール?」

ゆるゆると、光が閉ざされていく。

瘴気の波が、完全に引いていったとき、その場に生きていたのは――

あたしと、リーリアしかいなかった。

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34821白魔術都市狂想曲 59フィーナ 2009/11/9 20:36:56
記事番号34739へのコメント


「原因を早めたのは、患者さん同士の距離と、治療の方法だったみたい」

あれからしばらくごたごたしており、ようやく解放されたとき、リーリアはポツリとつぶやいた。

「どういうこと?」

通りを歩きながら、浮かない表情を浮かべるリーリア。

「私たちが治療している患者さんたちの距離って、あの神殿とは違って十分あいたスペースでやってるの。
呪術では空間の広さとか重要になってて、呪法をかけられている人が多い場合でも、大きく間隔を開けることが必要なの」

「そういえば、あんたやシルフィールが治療していたところでは、人一人が大の字になっても十分なスペースが空いてたわね」

あたしがみたとき、彼らは雑魚寝するときと同じように、狭いスペースで寝かされていた。

「治療の方法がどうとか言ってたけど、なにか違ったの?」

「あの治療施設の人から聞いたんだけど、人型を使ってなかったの」

「人型を?」

「うん。薬草だけ」

いつになく、憂いの表情を浮かべるリーリア。

「何人かの頭の固い人たちが『聖なるスィーフィードを祀るこの地で穢れた呪術を取り入れるなど許さないっ!』なんていっちゃって」

「なんなのよ、それ。
そんなバカげたこといってる場合じゃないでしょうが」

「それだけならまだよかったんだけど。
その治療を受けていた患者さんの身内がそれに賛成しちゃってね」

「通っちゃったわけ?」

「一人や二人ぐらいなら、早く治すことができるとか、多少の嘘で跳ね除けることはできたわ。
早めに発見された人は、数日中に治っていたから・・・・・・でもいまは、長期の覚悟で挑まないといけないのよ。
・・・・・・それなのに、その身内の人の中に呪術は邪法だと信じて疑わない有権者がいたの。
施設のほうとしても、大事なお得意様の意見を聞かざるを得ないって感じで・・・・・・呪術に限らず、使う者次第なのにね」

それで呪法の進行を早めたわけか。

呪術に関する語弊というのは、少なからず存在している。

「リーリア。あの瘴気の流れって、どこに向かったかわかる?」

「・・・・・・流れから、五つほどに分散されてどこかに散っていったわ」

「もうなくなったってこと?」

「あんな大きな瘴気の流れなら、セイルーンの六紡星の結界でいくらか中和されても消えることはないわよ」

となると・・・・・・その瘴気の行き着く先は・・・・・・

「リーリア」

「なぁに?」

「現在挙動不審というより、凶暴になってる患者さんの数って分かる?」

「凶暴な人って・・・・・・リナちゃんみたいな?」

すぱぁぁんっ!

「こんなときにくだらんボケかますんじゃないわよっ!」

「ちょっとした冗談なのに〜」

「茶化すんじゃないわよ。いいから教えて」

「うーんと・・・・・・あの人は二日前に倒れて・・・・・・
ジェイ君も七日前に・・・・・・あと体格のよかったホストのニット君も」

いいつつ指折り数え、

「あとは・・・・・・大体で五・六人程度だけど」

「そう!ありがと!」

「リナちゃん?」

不思議そうな表情のリーリア。

「どうしたの?」

「ごめんリーリア!
悪いけど、一人で神殿に戻ってくれる?」

彼女はしばしうつむいて・・・・・・笑顔を見せた。

「・・・・・・いいわよ♪」

「この埋め合わせは、いつかするから!」

「気をつけて・・・・・・私リナちゃんを待ってるから」

まるで、デートをドタキャンされたようなワンシーンである。

リーリアを、振り向くことなく駆け出すあたし。

人ごみの中、彼女の視線を感じながら・・・






「・・・・・・リナちゃん」

人ごみの中、リナの姿を見失うまで、そのうしろすがたを見続けていたリーリア。

その姿が見えなくなったのを確かめて、彼女はため息をついた。

「リナちゃん」

切なげな瞳に、道行く人はその陶然とした様子に見惚れる。

それには気づかず、彼女は思いをめぐらせる。

本当は彼女の後についていきたかった。

その生命力に満ちた、勝気で傲慢、そして・・・・・・

「戻ろうかな」

彼女は自分にいいきかせるようにつぶやいた。

その瞳の熱・・・・・・彼女の想いは、けっして自分に向けられることはない。

そして・・・・・・彼女は残酷なまでに優しいのだ。

わかっているのだ。本当は。

傍にいられるだけで幸せなのは、今でも変わらない。

なのに、もっと貪欲なまでに傍にと、つい願ってしまうのだ。

・・・・・・好きな人を困らせたり、悲しませたくない。

その想いだけでも、貫いていきたいと、リーリアは祈った。

「ああ。ここにいたんすか」

自分にかけられた声だと気づくのに反応が遅れた。

「久しぶりっす。リーリアさん」

「えっと・・・・・・カイル君?」

「覚えててくれたんすか。
こうやってお会いするのは、ホストのとき以来っすからねー。
・・・・・・忘れられてたらどうしようかと思ってたっすよ」

「えーと・・・・・・私に何か用?」

「・・・・・・実はっすねー。
諸事情により、近日中にホストクラブが解禁されることになったっす。
開催日は準備とかあってまだ不明っすけど、場所は決まってるっす。
それでもしよかったら、リーリアさんにお越しいただけたらと思って――」

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34828Re:白魔術都市狂想曲 59セス 2009/11/11 18:27:22
記事番号34821へのコメント

こんばんは、フィーナさん。
遅くなりましたが、感想を書かせていただきます。
>
>「何人かの頭の固い人たちが『聖なるスィーフィードを祀るこの地で穢れた呪術を取り入れるなど許さないっ!』なんていっちゃって」
>
>「なんなのよ、それ。
>そんなバカげたこといってる場合じゃないでしょうが」
どこの世界にも、そういう頭の固い人はいるんですね・・・
>
>「リーリア」
>
>「なぁに?」
>
>「現在挙動不審というより、凶暴になってる患者さんの数って分かる?」
>
>「凶暴な人って・・・・・・リナちゃんみたいな?」
>
>すぱぁぁんっ!
リーリアさん、そんな本当のこと言ったら、必然的にリナからスリッパ(鋼鉄を仕込んだ呪文つき)ではたかれるから、駄目ですって(笑

>「・・・・・・リナちゃん」
>
>人ごみの中、リナの姿を見失うまで、そのうしろすがたを見続けていたリーリア。
>
>その姿が見えなくなったのを確かめて、彼女はため息をついた。
>
>「リナちゃん」
>
>切なげな瞳に、道行く人はその陶然とした様子に見惚れる。
>
>それには気づかず、彼女は思いをめぐらせる。
>
>本当は彼女の後についていきたかった。
>
>その生命力に満ちた、勝気で傲慢、そして・・・・・・
>
>「戻ろうかな」
>
>彼女は自分にいいきかせるようにつぶやいた。
>
>その瞳の熱・・・・・・彼女の想いは、けっして自分に向けられることはない。
>
>そして・・・・・・彼女は残酷なまでに優しいのだ。
>
>わかっているのだ。本当は。
>
>傍にいられるだけで幸せなのは、今でも変わらない。
>
>なのに、もっと貪欲なまでに傍にと、つい願ってしまうのだ。
>
>・・・・・・好きな人を困らせたり、悲しませたくない。
>
>その想いだけでも、貫いていきたいと、リーリアは祈った。
なんかリーリアさん、可愛いな・・・と思ってしまいました。

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34829Re:白魔術都市狂想曲 59フィーナ 2009/11/11 19:54:37
記事番号34828へのコメント


>こんばんは、フィーナさん。
>遅くなりましたが、感想を書かせていただきます。
こんばんは。セスさん。
>>「何人かの頭の固い人たちが『聖なるスィーフィードを祀るこの地で穢れた呪術を取り入れるなど許さないっ!』なんていっちゃって」
>>「なんなのよ、それ。
>>そんなバカげたこといってる場合じゃないでしょうが」
>どこの世界にも、そういう頭の固い人はいるんですね・・・
そういうひとがいるから、このあと…
>>「リーリア」
>>「なぁに?」
>>「現在挙動不審というより、凶暴になってる患者さんの数って分かる?」
>>「凶暴な人って・・・・・・リナちゃんみたいな?」
>>すぱぁぁんっ!
>リーリアさん、そんな本当のこと言ったら、必然的にリナからスリッパ(鋼鉄を仕込んだ呪文つき)ではたかれるから、駄目ですって(笑
お茶目な冗談です。
リーリアは、そんなリナが可愛くてかまっちゃうんです。
>>「・・・・・・リナちゃん」
>>人ごみの中、リナの姿を見失うまで、そのうしろすがたを見続けていたリーリア。
>>その姿が見えなくなったのを確かめて、彼女はため息をついた。
>>「リナちゃん」
>>切なげな瞳に、道行く人はその陶然とした様子に見惚れる。
>>それには気づかず、彼女は思いをめぐらせる。
>>本当は彼女の後についていきたかった。
>>その生命力に満ちた、勝気で傲慢、そして・・・・・・
>>「戻ろうかな」
>>彼女は自分にいいきかせるようにつぶやいた。
>>その瞳の熱・・・・・・彼女の想いは、けっして自分に向けられることはない。
>>そして・・・・・・彼女は残酷なまでに優しいのだ。
>>わかっているのだ。本当は。
>>傍にいられるだけで幸せなのは、今でも変わらない。
>>なのに、もっと貪欲なまでに傍にと、つい願ってしまうのだ。
>>・・・・・・好きな人を困らせたり、悲しませたくない。
>>その想いだけでも、貫いていきたいと、リーリアは祈った。
>なんかリーリアさん、可愛いな・・・と思ってしまいました。
リーリアのことを可愛いといっていただいてありがとうございます。
この話(白魔術)の軸には、『愛情の形』をとりいれています。
魔族の暗躍に翻弄され、これから人の醜い部分も出てくると思います。

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34832白魔術都市狂想曲 60フィーナ 2009/11/11 22:35:39
記事番号34739へのコメント


各神殿に赴き、現状を聞いてあたしはうなった。

「強くなってる・・・・・・か」

先ほどの老神官のセリフを繰り返す。

解呪は以前行ってみたものの、思った以上の効果は現れなかったという。

それはどの神殿にいっても同じ事で、思った以上に深刻なようである。

現に数人の神官や巫女たちには、疲労の影が見えている。

そのため、見習い神官や僧侶も治療に駆り出され、信者の皆さんも神に祈って祈願していた。

やはりさきほどの瘴気みたいなよどみは、魔族の因子と呪法によるものだったのだ。

「――リナさん?どうしたんです?こんなところにいらっしゃって」

声をかけられ振り向けば、目にクマができたアレンの姿。

そして、彼の回りには同僚と思しき数人の神官たち。

「知り合いか?」

「ええ。以前ちょっと」

「もしかしてコレか?」

「違いますって」

別の同僚のセリフを否定するアレン。

「セイルーンの異変を調査しているものよ。
ここ最近での治療施設のことについて、各神殿から話を聞いてたところなの」

「ふーん」

「調査つっても、こっちは手詰まりだぜ。」

「そうそう。知り合いんところでも、睡眠不足で倒れた奴もいるし」

同僚たちの言葉に耳を傾けながら、クマができてるアレンに目をやって、

「・・・・・・昨日はもしかして、お楽しみだったの?」

「いくらなんでも怒りますよ。
そうじゃなくて、写本の期日が今日の夕方までだったので、そちらを優先しただけです」

「いやー。ほんっと助かった。
お互い都合があいて重なったら、またメシでも誘うわ」

「ありがとうございます」

どうやら、ほんとーに写本と翻訳。

それとマーシュ卿の仕事をみつけるのに一日を費やしたよーである。

「本当は昨日のうちに翻訳のほうも終わらせたかったんですが」

「おいおい。お前また頼まれたのか?
よく体壊さないな。オレなんかそれだけの仕事頼まれたら死んじまうって」

一人の同僚の言葉に、彼は苦笑を浮かべ

「依頼人の中には、けっこー貴重な文献を見せてくれるので」

「研究熱心というかなんというか」

「マネできねーや」

口々に雑談を始める同僚たち。

「それで・・・・・・何かわかったんですか?」

「まあ色々とね。そんで仕事のほうは何か見つかったの?」

微苦笑を浮かべる。

「文学みたいなものに興味を持ったみたいです」

「そりゃまた、予想の範疇というか」

「ええ。読みなれた文字を文章にまとめて、実体験した話に脚色を加え本にするそうです。体を動かすことは性分ではないといって」

「しっかし、あんたも人がいいというか」

「・・・・・・俺はただ・・・・・・ずるいだけですよ」

アレンは苦笑しながらそういった。

「そういやさ。この一連にアルベルト卿が絡んでるって本当かよ」

「らしいぜ」

いつのまにか、彼らの話はアルベルト卿の話に移っていた。

「何様のつもりだよってかんじだよなー」

「貴族だから何してもいいと思ってるのかねー」

「何日かまえも、銀髪の女傍においてみせびらかせやがって」

・・・・・・銀髪の女?

「それおれもみた! たしかみかけたのは十日以上前のことだったが」

「やけにグラマラスなねーちゃんだろ」

「そうそう! ボン・キュ・ボンの!」

「服もやけに露出していて、誘ってるとしか思えんよなー!」

「オレらもあやかりてーよな!」

うんうんと、下心丸出しの彼ら。

「そういやその女。ホストクラブや傭兵の詰め所などに立ち寄ってたらしいぜ」

「やっぱ体つきがいいのが好みなのかねー」

「しかも、ほとんど休みなく来てたらしいぜ」

「オールナイトОKってやつか!」

「たまらねーなー」

「ねえ。その女の特徴ってどんなの?」

尋ねるあたしに、同僚その一はこちらをじろじろ見つめ、

「そーだなー。少なくともメリハリはあんたとは比べ物にならないくらい」

「ああそんなホントのことを――」

ぼぐしゃ!

「余計なことはいわんでよろしい。それで?」

不用意な発言をしたその同僚と、同じく余計な一言をいったアレンにそれぞれ制裁を加え黙らせて。

少々ひきつけを起こしたような笑顔で他の連中にいってやるあたし。

よっぽどコワかったらしく、その女の特徴をぺらぺら喋ってくれる同僚たち。

きれ目なアイス・ブルーの瞳に、男心をくすぐるような露出過多な漆黒の服。

その特徴は、以前あたしが訳あってホストしていたときに、マーシュ卿が経営する店で一度会ったことのある女だった。

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34834Re:白魔術都市狂想曲 60kou 2009/11/13 19:40:49
記事番号34832へのコメント

 おひさしぶりです。フィーナさん。kouです。
>
>各神殿に赴き、現状を聞いてあたしはうなった。
>
>「強くなってる・・・・・・か」
>
>先ほどの老神官のセリフを繰り返す。
 繰り返してしまうが正しいような……。
>解呪は以前行ってみたものの、思った以上の効果は現れなかったという。
>
>それはどの神殿にいっても同じ事で、思った以上に深刻なようである。
 そりゃ、気がついたらむしろ悪化していたなんて事になれば………。ただでさえ、人手不足の折なのに……。
 でぇぇい、それもこれも魔族が悪い!!(八つ当たり)
>現に数人の神官や巫女たちには、疲労の影が見えている。
>
>そのため、見習い神官や僧侶も治療に駆り出され、信者の皆さんも神に祈って祈願していた。
 まぁ、神に祈ってどうにかなるなら世の中もうちょっとマシになっていると言う説があるけれど……。(薄情)
>やはりさきほどの瘴気みたいなよどみは、魔族の因子と呪法によるものだったのだ。
>
>「――リナさん?どうしたんです?こんなところにいらっしゃって」
>
>声をかけられ振り向けば、目にクマができたアレンの姿。
 まるでそれは、パンダのようだったりして………(笑い)
>そして、彼の回りには同僚と思しき数人の神官たち。
>
>「知り合いか?」
>
>「ええ。以前ちょっと」
>
>「もしかしてコレか?」
>
>「違いますって」
>
>別の同僚のセリフを否定するアレン。
 もしかして、小指をたてていたりして……(微妙に古い)
 実際は交際を頼んで断られたが正しいんですよね。(しかも、その直後捕食されたし……)
>「セイルーンの異変を調査しているものよ。
>ここ最近での治療施設のことについて、各神殿から話を聞いてたところなの」
>
>「ふーん」
>
>「調査つっても、こっちは手詰まりだぜ。」
>
>「そうそう。知り合いんところでも、睡眠不足で倒れた奴もいるし」
 大変だな……。こういう医療現場の人材不足は実際の所でも問題になりやすいしな。
 人の健康を守る人ほど、健康がおろそかになりやすいんだよな。特に、仕事が忙しくってと言う理由で……。(矛盾しまくりだなぁ)
>同僚たちの言葉に耳を傾けながら、クマができてるアレンに目をやって、
>
>「・・・・・・昨日はもしかして、お楽しみだったの?」
 リナ……。
>「いくらなんでも怒りますよ。
 そりゃなぁ……。
>そうじゃなくて、写本の期日が今日の夕方までだったので、そちらを優先しただけです」
>
>「いやー。ほんっと助かった。
>お互い都合があいて重なったら、またメシでも誘うわ」
>
>「ありがとうございます」
>
>どうやら、ほんとーに写本と翻訳。
>
>それとマーシュ卿の仕事をみつけるのに一日を費やしたよーである。
 リナ的には、マーシュ郷にまた食われたりしていてとか考えていたのか?
>「本当は昨日のうちに翻訳のほうも終わらせたかったんですが」
>
>「おいおい。お前また頼まれたのか?
>よく体壊さないな。オレなんかそれだけの仕事頼まれたら死んじまうって」
 なら、手伝えば?
>一人の同僚の言葉に、彼は苦笑を浮かべ
>
>「依頼人の中には、けっこー貴重な文献を見せてくれるので」
>
>「研究熱心というかなんというか」
>
>「マネできねーや」
>
>口々に雑談を始める同僚たち。
 あきれ半分、尊敬半分と言った所でしょうか?
>「それで・・・・・・何かわかったんですか?」
>
>「まあ色々とね。そんで仕事のほうは何か見つかったの?」
>
>微苦笑を浮かべる。
>
>「文学みたいなものに興味を持ったみたいです」
>
>「そりゃまた、予想の範疇というか」
>
>「ええ。読みなれた文字を文章にまとめて、実体験した話に脚色を加え本にするそうです。体を動かすことは性分ではないといって」
 そりゃ、没落したとは言え一応貴族だからな。
>「しっかし、あんたも人がいいというか」
>
>「・・・・・・俺はただ・・・・・・ずるいだけですよ」
>
>アレンは苦笑しながらそういった。
>
>「そういやさ。この一連にアルベルト卿が絡んでるって本当かよ」
>
>「らしいぜ」
>
>いつのまにか、彼らの話はアルベルト卿の話に移っていた。
 ……彼は生きているのか。まぁ、生きていたとしても無事じゃないな。
 まぁ、死ぬよりもひどい目に遭ったとしても知らんが……。(薄情と言うよりも冷淡と言ってねv)
>「何様のつもりだよってかんじだよなー」
 貴族様じゃないか?
>「貴族だから何してもいいと思ってるのかねー」
 それは、同感
>「何日かまえも、銀髪の女傍においてみせびらかせやがって」
>
>・・・・・・銀髪の女?
 ああ、覇王神官女性バージョン
>「それおれもみた! たしかみかけたのは十日以上前のことだったが」
>
>「やけにグラマラスなねーちゃんだろ」
>
>「そうそう! ボン・キュ・ボンの!」
 所詮、男は……。
>「服もやけに露出していて、誘ってるとしか思えんよなー!」
 誘っているんでしょうな。あれでまぁ、根本が違うとはいえ神官……。
>「オレらもあやかりてーよな!」
>
>うんうんと、下心丸出しの彼ら。
 神官やその手伝いする人も所詮人間という訳か……。
>「そういやその女。ホストクラブや傭兵の詰め所などに立ち寄ってたらしいぜ」
>
>「やっぱ体つきがいいのが好みなのかねー」
 と、言うか丈夫な奴ほどよい道具になるのでは?
>「しかも、ほとんど休みなく来てたらしいぜ」
>
>「オールナイトОKってやつか!」
 そりゃ、魔族だから体力は人間以上だよな。
>「たまらねーなー」
>
>「ねえ。その女の特徴ってどんなの?」
>
>尋ねるあたしに、同僚その一はこちらをじろじろ見つめ、
>
>「そーだなー。少なくともメリハリはあんたとは比べ物にならないくらい」
 変わった自殺の仕方だな。
>「ああそんなホントのことを――」
>
>ぼぐしゃ!
>
>「余計なことはいわんでよろしい。それで?」
>
>不用意な発言をしたその同僚と、同じく余計な一言をいったアレンにそれぞれ制裁を加え黙らせて。
 正確に言うなら、八つ当たりじゃないのか?
>少々ひきつけを起こしたような笑顔で他の連中にいってやるあたし。
>
>よっぽどコワかったらしく、その女の特徴をぺらぺら喋ってくれる同僚たち。
>
>きれ目なアイス・ブルーの瞳に、男心をくすぐるような露出過多な漆黒の服。
>
>その特徴は、以前あたしが訳あってホストしていたときに、マーシュ卿が経営する店で一度会ったことのある女だった。
 そして、その正体はディーだな。
 以上、kouでした。アレン……とりあえず、気をつけろよ。あんたがあいたくない奴はまだいるぞ。

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34836Re:白魔術都市狂想曲 60フィーナ 2009/11/14 00:06:38
記事番号34834へのコメント


> おひさしぶりです。フィーナさん。kouです。
こんばんは。kouさん。
>>各神殿に赴き、現状を聞いてあたしはうなった。
>>「強くなってる・・・・・・か」
>>先ほどの老神官のセリフを繰り返す。
> 繰り返してしまうが正しいような……。
>>解呪は以前行ってみたものの、思った以上の効果は現れなかったという。
>>それはどの神殿にいっても同じ事で、思った以上に深刻なようである。
> そりゃ、気がついたらむしろ悪化していたなんて事になれば………。ただでさえ、人手不足の折なのに……。
人手が足りないですし、とりあえず。
> でぇぇい、それもこれも魔族が悪い!!(八つ当たり)
>>現に数人の神官や巫女たちには、疲労の影が見えている。
>>そのため、見習い神官や僧侶も治療に駆り出され、信者の皆さんも神に祈って祈願していた。
> まぁ、神に祈ってどうにかなるなら世の中もうちょっとマシになっていると言う説があるけれど……。(薄情)
そもそも、その神というのが…
>>やはりさきほどの瘴気みたいなよどみは、魔族の因子と呪法によるものだったのだ。
>>「――リナさん?どうしたんです?こんなところにいらっしゃって」
>>声をかけられ振り向けば、目にクマができたアレンの姿。
> まるでそれは、パンダのようだったりして………(笑い)
そこまでは酷くはないですよ。
>>そして、彼の回りには同僚と思しき数人の神官たち。
>>「知り合いか?」
>>「ええ。以前ちょっと」
>>「もしかしてコレか?」
>>「違いますって」
>>別の同僚のセリフを否定するアレン。
> もしかして、小指をたてていたりして……(微妙に古い)
ビンゴでございます(笑)
> 実際は交際を頼んで断られたが正しいんですよね。(しかも、その直後捕食されたし……)
いくら酒に呑まれていたとはいえ、よくもまあリナに特攻できたものです。
>>「セイルーンの異変を調査しているものよ。
>>ここ最近での治療施設のことについて、各神殿から話を聞いてたところなの」
>>「ふーん」
>>「調査つっても、こっちは手詰まりだぜ。」
>>「そうそう。知り合いんところでも、睡眠不足で倒れた奴もいるし」
> 大変だな……。こういう医療現場の人材不足は実際の所でも問題になりやすいしな。
> 人の健康を守る人ほど、健康がおろそかになりやすいんだよな。特に、仕事が忙しくってと言う理由で……。(矛盾しまくりだなぁ)
現実でもありますよね。医療の人手不足って。
>>同僚たちの言葉に耳を傾けながら、クマができてるアレンに目をやって、
>>「・・・・・・昨日はもしかして、お楽しみだったの?」
> リナ……。
>>「いくらなんでも怒りますよ。
> そりゃなぁ……。
おもいっきりイヤそーにしています。
>>そうじゃなくて、写本の期日が今日の夕方までだったので、そちらを優先しただけです」
>>「いやー。ほんっと助かった。
>>お互い都合があいて重なったら、またメシでも誘うわ」
>>「ありがとうございます」
>>どうやら、ほんとーに写本と翻訳。
>>それとマーシュ卿の仕事をみつけるのに一日を費やしたよーである。
> リナ的には、マーシュ郷にまた食われたりしていてとか考えていたのか?
そう考えていました。
夕食時のときにそういうシーンをかこうとしたんですが、あまりに彼が不憫すぎるのでマーシュ卿にはなにもさせませんでした。
>>「本当は昨日のうちに翻訳のほうも終わらせたかったんですが」
>>「おいおい。お前また頼まれたのか?
>>よく体壊さないな。オレなんかそれだけの仕事頼まれたら死んじまうって」
> なら、手伝えば?
みなさんお疲れモードなので。
>>一人の同僚の言葉に、彼は苦笑を浮かべ
>>「依頼人の中には、けっこー貴重な文献を見せてくれるので」
>>「研究熱心というかなんというか」
>>「マネできねーや」
>>口々に雑談を始める同僚たち。
> あきれ半分、尊敬半分と言った所でしょうか?
呆れはしていますが、それ以外はとくには。
>>「それで・・・・・・何かわかったんですか?」
>>「まあ色々とね。そんで仕事のほうは何か見つかったの?」
>>微苦笑を浮かべる。
>>「文学みたいなものに興味を持ったみたいです」
>>「そりゃまた、予想の範疇というか」
>>「ええ。読みなれた文字を文章にまとめて、実体験した話に脚色を加え本にするそうです。体を動かすことは性分ではないといって」
> そりゃ、没落したとは言え一応貴族だからな。
貴族なんですけどねー。
>>「しっかし、あんたも人がいいというか」
>>「・・・・・・俺はただ・・・・・・ずるいだけですよ」
>>アレンは苦笑しながらそういった。
>>「そういやさ。この一連にアルベルト卿が絡んでるって本当かよ」
>>「らしいぜ」
>>いつのまにか、彼らの話はアルベルト卿の話に移っていた。
> ……彼は生きているのか。まぁ、生きていたとしても無事じゃないな。
そうですね。彼は…
> まぁ、死ぬよりもひどい目に遭ったとしても知らんが……。(薄情と言うよりも冷淡と言ってねv)
とりあえず、時間はかなり経過していますし
>>「何様のつもりだよってかんじだよなー」
> 貴族様じゃないか?
>>「貴族だから何してもいいと思ってるのかねー」
> それは、同感
>>「何日かまえも、銀髪の女傍においてみせびらかせやがって」
>>・・・・・・銀髪の女?
> ああ、覇王神官女性バージョン
ただし、リナはまだその正体を知りません。
>>「それおれもみた! たしかみかけたのは十日以上前のことだったが」
>>「やけにグラマラスなねーちゃんだろ」
>>「そうそう! ボン・キュ・ボンの!」
> 所詮、男は……。
そーゆーもんさ。
>>「服もやけに露出していて、誘ってるとしか思えんよなー!」
> 誘っているんでしょうな。あれでまぁ、根本が違うとはいえ神官……。
食虫植物をイメージしていただければ。
>>「オレらもあやかりてーよな!」
>>うんうんと、下心丸出しの彼ら。
> 神官やその手伝いする人も所詮人間という訳か……。
よくもわるくもにんげんなんですよね。
>>「そういやその女。ホストクラブや傭兵の詰め所などに立ち寄ってたらしいぜ」
>>「やっぱ体つきがいいのが好みなのかねー」
> と、言うか丈夫な奴ほどよい道具になるのでは?
計画はあと少しで最終段階へ。
>>「しかも、ほとんど休みなく来てたらしいぜ」
>>「オールナイトОKってやつか!」
> そりゃ、魔族だから体力は人間以上だよな。
肉体的な疲労はないでしょう。
>>「ねえ。その女の特徴ってどんなの?」
>>尋ねるあたしに、同僚その一はこちらをじろじろ見つめ、
>>「そーだなー。少なくともメリハリはあんたとは比べ物にならないくらい」
> 変わった自殺の仕方だな。
皆さん疲れているとはいえ。
>>「ああそんなホントのことを――」
>>ぼぐしゃ!
>>「余計なことはいわんでよろしい。それで?」
>>不用意な発言をしたその同僚と、同じく余計な一言をいったアレンにそれぞれ制裁を加え黙らせて。
> 正確に言うなら、八つ当たりじゃないのか?
>>少々ひきつけを起こしたような笑顔で他の連中にいってやるあたし。
>>よっぽどコワかったらしく、その女の特徴をぺらぺら喋ってくれる同僚たち。
>>きれ目なアイス・ブルーの瞳に、男心をくすぐるような露出過多な漆黒の服。
>>その特徴は、以前あたしが訳あってホストしていたときに、マーシュ卿が経営する店で一度会ったことのある女だった。
> そして、その正体はディーだな。
ディーですよ。
> 以上、kouでした。アレン……とりあえず、気をつけろよ。あんたがあいたくない奴はまだいるぞ。
アレンさんには不幸が降りかかります。

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34840白魔術都市狂想曲 61フィーナ 2009/11/15 17:19:38
記事番号34739へのコメント


「・・・・・・ところで、そろそろ休憩が終わりそうですね」

「ああー。もうそんな時間か」

「すみませんがリナさん。
俺たちはこれから行かないとならないので、失礼させていただきます」

「ひきとめて悪かったわね」

「いえ。どなたか治療が必要な方を発見したら、知らせてください」

「そのぶん休める時間が減るけどなー」

「オレらの体力も危ないって」

がやがやと、雑談をしながら支度をする彼ら。

「彼女とまた会える機会が減る〜」

一人が不満そうに愚痴るのを、数人が苦笑しながら

「そう情けない声だすなって」

「そうそう。オレなんか哀しい独り身なんだぜ」

「おれなんか先日『私と仕事とどっちが大事?』っていわれてよー」

「ンなもん決めれるわけねーだろうが」

「そういやお前は?」

「え?俺ですか」

「そういやお前の浮いた話ってきかないよなー」

「つーか、あんまし自分のことについて話さねーじゃん」

「そのへんどうなんだよ?」

うち一人に問われて彼は、

「どうっていわれましても・・・・・・」

「さっさと吐いちまえって」

「それよりも早く行かないと患者さんたちがまっていますよ」

「はぐらかそうってのは無しだぜ」

アレンは、少し困ったような顔をして、

「あんまりしつこいと、彼女に疎まれますよ」

「うっせー」

「あんた付き合ってる人がいるって言ってたじゃない」

助け舟を出すあたし。

「ちょっとリナさん・・・!」

なにやらいいかける彼だったが数人に取り囲まれる。

「うっわー」

「マジかよー!」

「先越されたー」

「お前から告ったの!?」

矢継ぎ早に質問されまくり、彼は渋々といったかんじで、

「・・・・・・いえ、相手から」

「年上か?」

「・・・・・・まあ」

「くっそー! 惚気てんじゃねーよ!」

「・・・・・・あなたたちがしつこく尋ねてきたから、そう言ったんじゃないですか」

彼らは聞く耳持たずにはやし立てる。

その憮然としたような様子から、どことなく気まずい。

・・・・・・どーやら、聞かれたくないことだったらしい。

「あなたもその当事者ですよ。リナさん」

憶測で盛り上がる彼らに聞こえないように、小声でつぶやくように言うアレン。

「貴女のこと・・・・・・本当に好きだったんですよ」

「あー・・・・・・その・・・・・・」

ぽりぽりと、頬をかくあたし。

「・・・・・・ごめん」

彼は苦笑して、

「いいですよもう。そのことは。
こうやって素面(しらふ)でいうこともできましたから。
・・・・・・さあ皆さん。そろそろいかないと本当に遅れますよ」

ぱんぱんと手を叩き、呼びかけるアレン。

「やっべ!」

「いそげ!」

慌ただしくかけていく彼ら。

「じゃあ、これで本当に失礼します」

アレンも、そんな彼らに倣い、こちらに一礼してから通路を駆けていった。

「――お前なんて口説かれたんだ!?」

「走りながら言うセリフですか?」

「いいじゃねーか気になるし」

「だよなー!」

「・・・・・・・・・・・・」

しばし迷った後に、

「・・・・・・俺だから好きだって」

「うわー! 珍しいもんみたー!」

「なに赤面もんのこといわれてんのお前!」

「そりゃお前じゃなくてもオチるわ!」

「オレも彼女からそういわれてー!」

「ちょっと前見てください。人にぶつかりますよ」

口々にいいながら、その姿が遠ざかっていく。

彼らの姿を見送って、あたしは神殿をあとにした。







「・・・・・・さて、そろそろシルフィールの用事ってやつも終わるころかしらね」

夕日の赤が町並みを赤く染め上げる。

夕餉の支度を始める家や、岐路につき始める子供たち。

別にガウリイとシルフィールのことを、先ほどの彼らの会話で思い出し、気になってるわけではない。

彼女がガウリイに気があることは知ってるし、それをわざわざ彼に教えるつもりもない。

それは彼女自身の口からいうべきことだとわきまえてもいる。

除夜の鐘のような、頭の中ががらんどうなガウリイに、期待以上の余計な幻想を抱くのが間違いなのだ。

相棒として当然の認識を訳もなく考えている途中、あたしはその足を止めた。

宝石やイルミネーションの類を取り扱う店の中に、今思い描いていた二人の姿を認めた。

なにやら熱心になって宝石をみているシルフィール。

あたしの足は自然と店の中に入っていた。

別に二人が気になるわけではなく、宝石に目を奪われて。

「・・・・・・が・・・いて・・・・・・」

「オレで・・・かったら・・・・・・」

どことなく照れた様子でいうガウリイ。

店内に入り、聞こえるか聞こえないかぎりぎりの場所で、『たまたま』聞こえてきただけのことである。

「・・・・・・お客様」

それがあたしにかけられた声だと気づくのに少し時間がかかった。

「どういったものをお探しでしょうか」

ふりむくと営業スマイルを浮かべた店員。

しかしその目は、『冷やかしてんじゃねーぞこのアマ』といったニュアンスが見え隠れしていたりする。

知り合いに頼まれてという口八丁でその店員を何とか騙し、再び二人の様子を盗み見る。

「今日は本当にありがとうございました。ガウリイ様のおかげです」

「いやなに。オレはただついてきただけだって」

先ほどよりもはっきりと聞こえてきた声。

どうやらこちらに近づいてきたらしい。

「それよりいいのか?リナに知らせなくて」

「リナさんには当日になってからのほうが・・・・・・
なんていっても、リナさんの異名はほとんど事実なんですから」

「ドラまたに・・・・・・あとなんだっけ?」
                 ロバーズ・キラー
「生きとし生ける者の天敵に 盗 賊 殺 し 」

指で数えながら、つらつらとよどみなく述べていくシルフィール。

「大魔王の食べ残しに、冥府の王。漆黒の魔女に、赤い糸きりのリナ」

「まだあったな。破壊の帝王とか」

あんたら・・・・・・人の事を何だと・・・?

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34843Re:白魔術都市狂想曲 61セス 2009/11/16 21:10:25
記事番号34840へのコメント

こんばんは、フィーナさん。
>
>「うっわー」
>
>「マジかよー!」
>
>「先越されたー」
>
>「お前から告ったの!?」
>
>矢継ぎ早に質問されまくり、彼は渋々といったかんじで、
>
>「・・・・・・いえ、相手から」
>
>「年上か?」
>
>「・・・・・・まあ」
>
>「くっそー! 惚気てんじゃねーよ!」
>
>「・・・・・・あなたたちがしつこく尋ねてきたから、そう言ったんじゃないですか」
>
>彼らは聞く耳持たずにはやし立てる。
皆さん他人の恋愛関係で騒ぐの、楽しそうですね
>
>その憮然としたような様子から、どことなく気まずい。
>
>・・・・・・どーやら、聞かれたくないことだったらしい。
>
>「あなたもその当事者ですよ。リナさん」
>
>憶測で盛り上がる彼らに聞こえないように、小声でつぶやくように言うアレン。
>
>「貴女のこと・・・・・・本当に好きだったんですよ」
リナの外見はともかく、中身を知っていて好きになる男性がガウリイ以外にいるとは・・・げふげほっ!

>
>別にガウリイとシルフィールのことを、先ほどの彼らの会話で思い出し、気になってるわけではない。
>
>彼女がガウリイに気があることは知ってるし、それをわざわざ彼に教えるつもりもない。
ガウリイも妙なところで勘が鋭いから、何となく気づいてるんでしょうね。
>
>それは彼女自身の口からいうべきことだとわきまえてもいる。
>
>除夜の鐘のような、頭の中ががらんどうなガウリイに、期待以上の余計な幻想を抱くのが間違いなのだ。
>
>相棒として当然の認識を訳もなく考えている途中、あたしはその足を止めた。
除夜の鐘のようながらんどうな頭って「当然の認識」なのか・・・(笑
>宝石やイルミネーションの類を取り扱う店の中に、今思い描いていた二人の姿を認めた。
>
>なにやら熱心になって宝石をみているシルフィール。
>
>あたしの足は自然と店の中に入っていた。
>
>別に二人が気になるわけではなく、宝石に目を奪われて。
>
>「・・・・・・が・・・いて・・・・・・」
>
>「オレで・・・かったら・・・・・・」
>
>どことなく照れた様子でいうガウリイ。
>
>店内に入り、聞こえるか聞こえないかぎりぎりの場所で、『たまたま』聞こえてきただけのことである。
・・・気になってないといいつつ、きっちり気になっているみたいですね・・・

>
>「リナさんには当日になってからのほうが・・・・・・
>なんていっても、リナさんの異名はほとんど事実なんですから」
>
>「ドラまたに・・・・・・あとなんだっけ?」
>                 ロバーズ・キラー
>「生きとし生ける者の天敵に 盗 賊 殺 し 」
>
>指で数えながら、つらつらとよどみなく述べていくシルフィール。
>
>「大魔王の食べ残しに、冥府の王。漆黒の魔女に、赤い糸きりのリナ」
>
>「まだあったな。破壊の帝王とか」
>
>あんたら・・・・・・人の事を何だと・・・?
あながちでたらめではないところが、リナが腹立てる要因のひとつですね(笑

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34845Re:白魔術都市狂想曲 61フィーナ 2009/11/16 22:04:41
記事番号34843へのコメント


>こんばんは、フィーナさん。
こんばんは。セスさん。
>>「うっわー」
>>「マジかよー!」
>>「先越されたー」
>>「お前から告ったの!?」
>>矢継ぎ早に質問されまくり、彼は渋々といったかんじで、
>>「・・・・・・いえ、相手から」
>>「年上か?」
>>「・・・・・・まあ」
>>「くっそー! 惚気てんじゃねーよ!」
>>「・・・・・・あなたたちがしつこく尋ねてきたから、そう言ったんじゃないですか」
>>彼らは聞く耳持たずにはやし立てる。
>皆さん他人の恋愛関係で騒ぐの、楽しそうですね
肴(さかな)にして楽しんでます。
>>その憮然としたような様子から、どことなく気まずい。
>>・・・・・・どーやら、聞かれたくないことだったらしい。
>>「あなたもその当事者ですよ。リナさん」
>>憶測で盛り上がる彼らに聞こえないように、小声でつぶやくように言うアレン。
>>「貴女のこと・・・・・・本当に好きだったんですよ」
>リナの外見はともかく、中身を知っていて好きになる男性がガウリイ以外にいるとは・・・げふげほっ!
だから彼とガウリイは、くだらないはなしとかで馬が合うんです。
>>別にガウリイとシルフィールのことを、先ほどの彼らの会話で思い出し、気になってるわけではない。
>>彼女がガウリイに気があることは知ってるし、それをわざわざ彼に教えるつもりもない。
>ガウリイも妙なところで勘が鋭いから、何となく気づいてるんでしょうね。
普段から脳みそ使えよというツッコミも、ガウリイにしたいんですが。
>>除夜の鐘のような、頭の中ががらんどうなガウリイに、期待以上の余計な幻想を抱くのが間違いなのだ。
>>相棒として当然の認識を訳もなく考えている途中、あたしはその足を止めた。
>除夜の鐘のようながらんどうな頭って「当然の認識」なのか・・・(笑
なんかもう・・・・・・ね?
>>宝石やイルミネーションの類を取り扱う店の中に、今思い描いていた二人の姿を認めた。
>>なにやら熱心になって宝石をみているシルフィール。
>>あたしの足は自然と店の中に入っていた。
>>別に二人が気になるわけではなく、宝石に目を奪われて。
>>「・・・・・・が・・・いて・・・・・・」
>>「オレで・・・かったら・・・・・・」
>>どことなく照れた様子でいうガウリイ。
>>店内に入り、聞こえるか聞こえないかぎりぎりの場所で、『たまたま』聞こえてきただけのことである。
>・・・気になってないといいつつ、きっちり気になっているみたいですね・・・
そのへんの微妙な心の揺れ動きとか、難しいですよね。
>>「リナさんには当日になってからのほうが・・・・・・
>>なんていっても、リナさんの異名はほとんど事実なんですから」
>>「ドラまたに・・・・・・あとなんだっけ?」
>>「生きとし生ける者の天敵に 盗 賊 殺 し 」
>>指で数えながら、つらつらとよどみなく述べていくシルフィール。
>>「大魔王の食べ残しに、冥府の王。漆黒の魔女に、赤い糸きりのリナ」
>>「まだあったな。破壊の帝王とか」
>>あんたら・・・・・・人の事を何だと・・・?
>あながちでたらめではないところが、リナが腹立てる要因のひとつですね(笑
さてこのなかに、最終話ちかくの伏線が(ただし最終話ではない)
勘が鋭ければわかるかもしれませんね。

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34844白魔術都市狂想曲 62フィーナ 2009/11/16 21:47:48
記事番号34739へのコメント


それから二日がたち、様々なことが浮き彫りになってきた。

政務に追われながらも、アメリアがくれた情報によると。

アルベルト卿が所有している施設に偵察を送ったところ、施設内で捜索隊数名が姿を消した。

施設内にいた人間が訓練を受けたものだったことを踏まえ、兵士のほかに腕利きの傭兵たちを十人ほど雇ったそうなのだが。

外で案内を受けるものと、それに紛れ内部に侵入するといったように二手にわかれ。

内部に潜入し、さらにいくつかの班に別れて捜索を行ったそうである。

そして、ある班が地下へ続く道を発見し二人を残し入ったものの、トラップでもあったのか。

争うような音が聞こえたあと何も聞こえなくなり、施設内にいた人間と鉢合わせしたため応戦し、何とか戻ってきたそうである。

また、別の施設から戻った班からの報告により、魂を抜き取られたかのようなアルベルト卿をその別の施設の地下で発見された。

リーリアによれば、呪法をかけられてかなり経過していたらしい。

神官たちの治療もむなしく、アルベルト卿が眠るように息を引き取ったのはその一日後だった。

フィルさんはその報告を受けて、これ以上被害が拡大していくのを食い止めるため、問題の養成施設に兵を大量に派遣させることをやめた。

兵士たちの働きで新たに運び込まれた者たちによって、治療をする神官たちにかなりの負担が回ったからだ。

心労が祟って倒れるもの。何日も徹夜続きで心身ともに限界まで追い込まれるものも少なくない。

シルフィールやアレン。それにリーリアはまだ何とかもっているらしいが。

兵士たちのかわりというわけではないが、少数精鋭としてあたしとガウリイ。

そしてアメリアの三人に、偵察隊の多くが姿を消した施設へ向かうことをフィルさんは要請した。

一時は冗談抜きで、フィルさんがあたしたちと一緒に行くといったのだが、多くの文官や貴族の猛反対によりあえなく却下された。

仮にも現王であるエルドラン国王に代わり、政務を執り行っている彼の身に何かおきればそれこそ一大事である。

彼は多くの民をすくえる手立てがないか検討している。

それと貴族のことでしったのだが。

あのマーシュ卿が、外で食事をしてかえる際に姿を消したと、彼の愛人からの報告で明らかになった。

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34847Re:白魔術都市狂想曲 62ミオナ 2009/11/17 12:08:36
記事番号34844へのコメント

お久しぶりです。ミオナです。
アルベルトは、偉そうに固執してた財産と地位のわりには、あっけない結末でしたね。
マーシュさんは、どうなったんでしょうか?

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34849Re:白魔術都市狂想曲 62フィーナ 2009/11/17 20:50:54
記事番号34847へのコメント


>お久しぶりです。ミオナです。
ひさしぶりです。ミオナさん。
>アルベルトは、偉そうに固執してた財産と地位のわりには、あっけない結末でしたね。
彼は地位も財産も、他人から奪うことで手に入れてました。
考えていた話では、リナたちが施設に潜入してアルベルト卿を発見したが、すでに…という内容だったんですが。
それだと、手引きしている人の正体が知られそうだったので、兵士たちに発見させました。
>マーシュさんは、どうなったんでしょうか?
彼は問題の施設にいます。
そして、リナたちはある意外な人物と再会します。
レスありがとうございました。


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34852Re:白魔術都市狂想曲 62ホリ 2009/11/18 11:16:59
記事番号34844へのコメント

 
 フィーナさん、お久しぶりです。
>それから二日がたち、様々なことが浮き彫りになってきた。
>
>政務に追われながらも、アメリアがくれた情報によると。
>
>アルベルト卿が所有している施設に偵察を送ったところ、施設内で捜索隊数名が姿を消した。
>
>施設内にいた人間が訓練を受けたものだったことを踏まえ、兵士のほかに腕利きの傭兵たちを十人ほど雇ったそうなのだが。
>
>外で案内を受けるものと、それに紛れ内部に侵入するといったように二手にわかれ。
>
>内部に潜入し、さらにいくつかの班に別れて捜索を行ったそうである。
>
>そして、ある班が地下へ続く道を発見し二人を残し入ったものの、トラップでもあったのか。
>
>争うような音が聞こえたあと何も聞こえなくなり、施設内にいた人間と鉢合わせしたため応戦し、何とか戻ってきたそうである。
>
>また、別の施設から戻った班からの報告により、魂を抜き取られたかのようなアルベルト卿をその別の施設の地下で発見された。
 かなりあっけない最後でしたよね。
 よくある展開ではありましたけど。
 利用していたつもりで、利用されていたって・・・・・・・
>リーリアによれば、呪法をかけられてかなり経過していたらしい。
 そう言えば、そうですね。何話前の事でしたっけ?
>神官たちの治療もむなしく、アルベルト卿が眠るように息を引き取ったのはその一日後だった。
>
>フィルさんはその報告を受けて、これ以上被害が拡大していくのを食い止めるため、問題の養成施設に兵を大量に派遣させることをやめた。
>
>兵士たちの働きで新たに運び込まれた者たちによって、治療をする神官たちにかなりの負担が回ったからだ。
>
>心労が祟って倒れるもの。何日も徹夜続きで心身ともに限界まで追い込まれるものも少なくない。
 
>シルフィールやアレン。それにリーリアはまだ何とかもっているらしいが。
>
>兵士たちのかわりというわけではないが、少数精鋭としてあたしとガウリイ。
>
>そしてアメリアの三人に、偵察隊の多くが姿を消した施設へ向かうことをフィルさんは要請した。
>
>一時は冗談抜きで、フィルさんがあたしたちと一緒に行くといったのだが、多くの文官や貴族の猛反対によりあえなく却下された。
 よく、一緒に来なかったですね。それでも維持できそうなキャラではあるのに。
>仮にも現王であるエルドラン国王に代わり、政務を執り行っている彼の身に何かおきればそれこそ一大事である。
 今は押さえたみたいですけど、いつか暴走しそうな面がある・・・・・・
>彼は多くの民をすくえる手立てがないか検討している。
 それで何とか落ち着いているのでしょうね。
>それと貴族のことでしったのだが。
>
>あのマーシュ卿が、外で食事をしてかえる際に姿を消したと、彼の愛人からの報告で明らかになった。
 何処へ行ったのでしょうか?

 最近レスが出来なくてすみません。
 続き楽しみにしています。

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34857Re:白魔術都市狂想曲 62フィーナ 2009/11/18 21:35:06
記事番号34852へのコメント


 
> フィーナさん、お久しぶりです。
こんばんは。おひさしぶりですホリさん。
>>また、別の施設から戻った班からの報告により、魂を抜き取られたかのようなアルベルト卿をその別の施設の地下で発見された。
> かなりあっけない最後でしたよね。
> よくある展開ではありましたけど。
> 利用していたつもりで、利用されていたって・・・・・・・
相手がわるかったんですね。
>>リーリアによれば、呪法をかけられてかなり経過していたらしい。
> そう言えば、そうですね。何話前の事でしたっけ?
二十五話まえですね。アルベルト卿が呪法をかけられたのは。
>>一時は冗談抜きで、フィルさんがあたしたちと一緒に行くといったのだが、多くの文官や貴族の猛反対によりあえなく却下された。
> よく、一緒に来なかったですね。それでも維持できそうなキャラではあるのに。
人の上にたっている以上は、動かない(この場合は動けない)とおもいます。フィルさんも王族ですから。
>>仮にも現王であるエルドラン国王に代わり、政務を執り行っている彼の身に何かおきればそれこそ一大事である。
> 今は押さえたみたいですけど、いつか暴走しそうな面がある・・・・・・
民を守る立場もありますし、フィルさんは感情のみで突っ走ることは、まずないと思います。
>>彼は多くの民をすくえる手立てがないか検討している。
> それで何とか落ち着いているのでしょうね。
彼なりの葛藤も心情として書きたかったんです。
>>あのマーシュ卿が、外で食事をしてかえる際に姿を消したと、彼の愛人からの報告で明らかになった。
> 何処へ行ったのでしょうか?
アルベルト卿の、例の施設に。
> 最近レスが出来なくてすみません。
> 続き楽しみにしています。
こうしてレスをいただけるだけで嬉しいですよ。
このあとは、『彼』の心情をクローズ・アップしていきます。
どこかしら共感できる部分もあると思います。立場的には哀しい人なんですけどね。

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34862白魔術都市狂想曲 63フィーナ 2009/11/20 22:47:34
記事番号34739へのコメント


施設への侵入は比較的簡単だった。

以前訪れた施設とそんなに違いはなく、はたから見たら一般的な養護施設である。

外から攻撃呪文をぶっぱなし、混乱に陥った隙を突いての侵入。

途中行き会ったやつらは、あたしとアメリアの呪文であっさり片付け、それをかいくぐってきたやつはガウリイの剣で倒れふす。

兵士から得た情報で地下への通路を発見し、途中あった分かれ道を右へまわり。

訓練用に使われるためだろうか。

木刀など模擬戦をイメージしたような、武器の数々。

なかには殺傷能力の高いものもあったが。

広い場所に散乱しているそれら。

「誰かいるぞ」

ガウリイの声にあたりを見渡せど、そこには誰も――

・・・・・・いや・・・・・・

ガウリイの視線の先に、開け放たれた扉。

無言で顔を見合わせ、三人は同時にうなずき、

――そこには先客がいた。







抜き身の剣を片手に、赤く濡れた自分の身体を抱きしめて。

その傍らには、その赤の源となる人物が倒れていた。

――カイル。

自分の身体を抱きしめていた『彼』は、そんなカイルを慈愛のまなざしで見つめた。

「こんなところでなにをやってるのかしらね?」

あたしの声に、今気づいたかのように彼はこちらを振り返った。

カイルと同じように、自らその返り血を浴びて。

「みてのとおり」

「なんだってこんなことをするわけ? 
――マーシュ・ハルス・フィリッツメイヤー卿」

あたしの問いに、彼はただ微笑を浮かべるのみ。

「カイルはあんたを慕っていたはず。なのになんでその手にかけたの?」

「カイルとしての肉体は不要になったから」

「どういう意味です?」

アメリアの問いに、彼はその瞳に色を宿らせた。

その瞳に浮かぶ瞳の色は恋慕と――嫉妬。

「どんなに肉体的に結ばれても、人の心は変わっていく・・・・・・だから」

「だから殺したってのか!?」

強い口調で詰め寄るガウリイ。

「カイルとしての肉体は死んだっす」

彼は、自らの肉体を再び抱きしめた。

「・・・・・・だから・・・・・・
こうして、俺の精神はマーシュと融合させたっすよ。
・・・・・・『彼女』が持ちかけてきた案に乗って、その報酬の見返りに」

「――!?」

誰かの息を呑む音。

声やその姿は、マーシュ・ハルス・フィリッツメイヤーその人である。

しかしその喋り方や立ち振る舞いは、どう考えても――

『彼』はそんなあたしの表情から、気づいたことに気づき苦笑した。

「そうっすよ。あんたの想像通り、俺はカイルっす」

気を悪くした様子もなく、肩をすくめて見せた。

「あんたがカイルだとしたら、マーシュ卿の精神とかはどうしたのかしら?」

「マーシュの意識は今は眠っているっすよ」

「なんで・・・・・・こんなことを?」

かすれた声で言うアメリアに、彼は失った何かを追い求めるように目を細め、

「俺はホーエンハイム卿の息子でも、暗殺者養成場で育ったものとしての俺じゃなく、ただのカイルになりたかったっす。
・・・・・・けどそれはすでに起こってしまった過去で、変えることも消し去ることもできないっす。
・・・・・・そんな時に、親父が連れてきた『あの女』が俺の前に現れて――」

「・・・・・・『あの女』?」

あたしのつぶやきに、彼は、

「名前は名乗らなかったっすけどね。銀髪でアイス・ブルーの、凍てつく瞳をした女っす。
あんたも彼女にあったと思うっすけど? たしかマーシュが経営している、ホストクラブのときに」

一瞬にして思い出した。

あの時は相手のプロポーションやら、あたしの胸のバスト・アップに気をとられてたため。

あんまり気には留めていなかったが、やけに人を見下してるような態度をしていた。

もしそれが・・・・・・その女が『ディー』だとしたらっ!?

魔族は精神生命体。

高位の存在になればなるほど、気配や姿かたちは人間のそれに近づけることができる。

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34864Re:白魔術都市狂想曲 63kou 2009/11/21 22:35:56
記事番号34862へのコメント

 こんばんは、フィーナさん。
 とうとう本格的に終幕へと向かいだした白魔術都市狂想曲。わくわくしながら読ませていただいてます。
>施設への侵入は比較的簡単だった。
 ただし、リナ達だからでしょうな。
>以前訪れた施設とそんなに違いはなく、はたから見たら一般的な養護施設である。
 とても、暗殺とか裏工作用の傭兵部隊を創るための施設とは思えない……。
>外から攻撃呪文をぶっぱなし、混乱に陥った隙を突いての侵入。
>途中行き会ったやつらは、あたしとアメリアの呪文であっさり片付け、それをかいくぐってきたやつはガウリイの剣で倒れふす。
 向かうところ、敵なしと言っても良いかもしれませんね。
>兵士から得た情報で地下への通路を発見し、途中あった分かれ道を右へまわり。
>訓練用に使われるためだろうか。
>木刀など模擬戦をイメージしたような、武器の数々。
>なかには殺傷能力の高いものもあったが。
 死んだら死んだでそれまでと考えていたんでしょうね。
>広い場所に散乱しているそれら。
>「誰かいるぞ」
>ガウリイの声にあたりを見渡せど、そこには誰も――
>・・・・・・いや・・・・・・
>ガウリイの視線の先に、開け放たれた扉。
>無言で顔を見合わせ、三人は同時にうなずき、
>――そこには先客がいた。
 先客、……それは見方ではないだろうと言うことは、リナ達も予測していたでしょう。
>抜き身の剣を片手に、赤く濡れた自分の身体を抱きしめて。
>その傍らには、その赤の源となる人物が倒れていた。
 その赤いものが血であることは簡単にわかりますね。
>――カイル。
>自分の身体を抱きしめていた『彼』は、そんなカイルを慈愛のまなざしで見つめた。
 おそらく、殺したであろう相手を見るにはヘンな眼差しだと思いますね。
>「こんなところでなにをやってるのかしらね?」
>あたしの声に、今気づいたかのように彼はこちらを振り返った。
>カイルと同じように、自らその返り血を浴びて。
>「みてのとおり」
 いけしゃあしゃあと言うべきなのだろうか……、それともあっけらかんとした口調だともとれますね。
>「なんだってこんなことをするわけ? 
>――マーシュ・ハルス・フィリッツメイヤー卿」
 そう言うフルネームだったんだ。マーシュ郷と呼ばれていたからなぁ。
>あたしの問いに、彼はただ微笑を浮かべるのみ。
 ………不気味な……。
>「カイルはあんたを慕っていたはず。なのになんでその手にかけたの?」
 たしかに、これが敵対していた人ならまだわかるんですが……。
>「カイルとしての肉体は不要になったから」
 肉体……? 妙な言い回しですね。
>「どういう意味です?」
>アメリアの問いに、彼はその瞳に色を宿らせた。
>その瞳に浮かぶ瞳の色は恋慕と――嫉妬。
>「どんなに肉体的に結ばれても、人の心は変わっていく・・・・・・だから」
>「だから殺したってのか!?」
>強い口調で詰め寄るガウリイ。
>「カイルとしての肉体は死んだっす」
 っへ? この口調は?
>彼は、自らの肉体を再び抱きしめた。
>「・・・・・・だから・・・・・・
>こうして、俺の精神はマーシュと融合させたっすよ。
>・・・・・・『彼女』が持ちかけてきた案に乗って、その報酬の見返りに」
 と、言うことはあの技術と似たような精神のキメラみたいなものでしょうか?
>「――!?」
>誰かの息を呑む音。
>声やその姿は、マーシュ・ハルス・フィリッツメイヤーその人である。
>しかしその喋り方や立ち振る舞いは、どう考えても――
>『彼』はそんなあたしの表情から、気づいたことに気づき苦笑した。
>「そうっすよ。あんたの想像通り、俺はカイルっす」
 ………どっしゃぁぁぁ……と、言えば良いのでしょうか?
>気を悪くした様子もなく、肩をすくめて見せた。
>「あんたがカイルだとしたら、マーシュ卿の精神とかはどうしたのかしら?」
>「マーシュの意識は今は眠っているっすよ」
 片方かが起きてまた片方が寝る。こんな感じで共存を可能にしているんでしょうか?
>「なんで・・・・・・こんなことを?」
>かすれた声で言うアメリアに、彼は失った何かを追い求めるように目を細め、
>「俺はホーエンハイム卿の息子でも、暗殺者養成場で育ったものとしての俺じゃなく、ただのカイルになりたかったっす。
 そんなもんになりたかったなら、そう言うのに気にしなければ良いと思うんですけれど……。
>・・・・・・けどそれはすでに起こってしまった過去で、変えることも消し去ることもできないっす。
 だからこそ、そう言う過去もあるそう言う肩書きもあるがそれをひっくるめてただのカイルになれなかったのでしょうか。
>・・・・・・そんな時に、親父が連れてきた『あの女』が俺の前に現れて――」
>「・・・・・・『あの女』?」
>あたしのつぶやきに、彼は、
>「名前は名乗らなかったっすけどね。銀髪でアイス・ブルーの、凍てつく瞳をした女っす。
 ディーだな。
>あんたも彼女にあったと思うっすけど? たしかマーシュが経営している、ホストクラブのときに」
>一瞬にして思い出した。
 アン時、集まらなかったのは、マーシュと(もう郷はいらないとおもうので……)同じタイプだと言うのも別として、最初っから目的を知っていたからですか……。
>あの時は相手のプロポーションやら、あたしの胸のバスト・アップに気をとられてたため。
>あんまり気には留めていなかったが、やけに人を見下してるような態度をしていた。
 まるで、魔族のように……。
>もしそれが・・・・・・その女が『ディー』だとしたらっ!?
>魔族は精神生命体。
>高位の存在になればなるほど、気配や姿かたちは人間のそれに近づけることができる。
 ま、中には高位だというのに剣なんかになっている変わり種が居ますが……。
 しかし、人の心はたしかに変化するけれど本当に大切な思いは変化しないと思います。
 だからこそ、ルークはミリーナへの思いが消えずに居たと思います。
 まぁ、……その思いは憎しみも生みましたが、恋心が変化したんじゃなくて憎しみを生んでしまっただけだと思いますし……。
 恋心は変化していなくちゃんと魔王になってもあったと思います。
 えっと、偉そうな事書いたかもしれません。
 すみませんでした。以上、kouでした。

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34871Re:白魔術都市狂想曲 63フィーナ 2009/11/23 00:30:44
記事番号34864へのコメント


> こんばんは、フィーナさん。
こんばんはkouさん。
> とうとう本格的に終幕へと向かいだした白魔術都市狂想曲。わくわくしながら読ませていただいてます。
これからさきは、加速的に物語が展開していくと思います。
ヴラの正体とか、覇王神官の暗躍の目的など、あらかじめ決めていたこととはいえ…
辛いシーンや戦闘、各キャラたちの様々な思惑など、これから収束させていきます。
>>施設への侵入は比較的簡単だった。
> ただし、リナ達だからでしょうな。
そうですね。『普通の』人間だったら、命を落としています。
>>以前訪れた施設とそんなに違いはなく、はたから見たら一般的な養護施設である。
> とても、暗殺とか裏工作用の傭兵部隊を創るための施設とは思えない……。
そのためのカモフラージュだったんです。
>>外から攻撃呪文をぶっぱなし、混乱に陥った隙を突いての侵入。
>>途中行き会ったやつらは、あたしとアメリアの呪文であっさり片付け、それをかいくぐってきたやつはガウリイの剣で倒れふす。
> 向かうところ、敵なしと言っても良いかもしれませんね。
覇王神官がなりふりかまわず本気を出せば、はなしは別なのでしょうが。
>>兵士から得た情報で地下への通路を発見し、途中あった分かれ道を右へまわり。
>>訓練用に使われるためだろうか。
>>木刀など模擬戦をイメージしたような、武器の数々。
>>なかには殺傷能力の高いものもあったが。
> 死んだら死んだでそれまでと考えていたんでしょうね。
>>広い場所に散乱しているそれら。
>>「誰かいるぞ」
>>ガウリイの声にあたりを見渡せど、そこには誰も――
>>・・・・・・いや・・・・・・
>>ガウリイの視線の先に、開け放たれた扉。
>>無言で顔を見合わせ、三人は同時にうなずき、
>>――そこには先客がいた。
> 先客、……それは見方ではないだろうと言うことは、リナ達も予測していたでしょう。
>>抜き身の剣を片手に、赤く濡れた自分の身体を抱きしめて。
>>その傍らには、その赤の源となる人物が倒れていた。
> その赤いものが血であることは簡単にわかりますね。
>>――カイル。
>>自分の身体を抱きしめていた『彼』は、そんなカイルを慈愛のまなざしで見つめた。
> おそらく、殺したであろう相手を見るにはヘンな眼差しだと思いますね。
『彼』はそれにたいする愛着とかありましたけど。
>>「こんなところでなにをやってるのかしらね?」
>>あたしの声に、今気づいたかのように彼はこちらを振り返った。
>>カイルと同じように、自らその返り血を浴びて。
>>「みてのとおり」
> いけしゃあしゃあと言うべきなのだろうか……、それともあっけらかんとした口調だともとれますね。
感情を抑えたとも、淡々とした口調ともそれぞれ違う見方ができると思います。
>>「なんだってこんなことをするわけ? 
>>――マーシュ・ハルス・フィリッツメイヤー卿」
> そう言うフルネームだったんだ。マーシュ郷と呼ばれていたからなぁ。
>>あたしの問いに、彼はただ微笑を浮かべるのみ。
> ………不気味な……。
>>「カイルはあんたを慕っていたはず。なのになんでその手にかけたの?」
> たしかに、これが敵対していた人ならまだわかるんですが……。
>>「カイルとしての肉体は不要になったから」
> 肉体……? 妙な言い回しですね。
その言い回しの違和感とか気づいていただきましたか。
>>「どういう意味です?」
>>アメリアの問いに、彼はその瞳に色を宿らせた。
>>その瞳に浮かぶ瞳の色は恋慕と――嫉妬。
>>「どんなに肉体的に結ばれても、人の心は変わっていく・・・・・・だから」
>>「だから殺したってのか!?」
>>強い口調で詰め寄るガウリイ。
>>「カイルとしての肉体は死んだっす」
> っへ? この口調は?
その口調っすよ
>>彼は、自らの肉体を再び抱きしめた。
>>「・・・・・・だから・・・・・・
>>こうして、俺の精神はマーシュと融合させたっすよ。
>>・・・・・・『彼女』が持ちかけてきた案に乗って、その報酬の見返りに」
> と、言うことはあの技術と似たような精神のキメラみたいなものでしょうか?
ディーはそんなに親切ではありませんよ。
カイルも利用されてるんです。まだマーシュ卿の意識は眠っている状態ですが、じきに目覚めると…
>>「――!?」
>>誰かの息を呑む音。
>>声やその姿は、マーシュ・ハルス・フィリッツメイヤーその人である。
>>しかしその喋り方や立ち振る舞いは、どう考えても――
>>『彼』はそんなあたしの表情から、気づいたことに気づき苦笑した。
>>「そうっすよ。あんたの想像通り、俺はカイルっす」
> ………どっしゃぁぁぁ……と、言えば良いのでしょうか?
できれば、うっひゃぁぁっ!?のほうが…
>>気を悪くした様子もなく、肩をすくめて見せた。
>>「あんたがカイルだとしたら、マーシュ卿の精神とかはどうしたのかしら?」
>>「マーシュの意識は今は眠っているっすよ」
> 片方かが起きてまた片方が寝る。こんな感じで共存を可能にしているんでしょうか?
共存はまだできてはいません。
カイルの願いは、ディーの手によって捻じ曲げられた形で……
>>「なんで・・・・・・こんなことを?」
>>かすれた声で言うアメリアに、彼は失った何かを追い求めるように目を細め、
>>「俺はホーエンハイム卿の息子でも、暗殺者養成場で育ったものとしての俺じゃなく、ただのカイルになりたかったっす。
> そんなもんになりたかったなら、そう言うのに気にしなければ良いと思うんですけれど……。
当時のマーシュ卿の打算とか、知ってしまっているから。
>>・・・・・・けどそれはすでに起こってしまった過去で、変えることも消し去ることもできないっす。
> だからこそ、そう言う過去もあるそう言う肩書きもあるがそれをひっくるめてただのカイルになれなかったのでしょうか。
いつかアルベルト卿が言っていましたが、マーシュ卿が男爵にさげられてもカイルを傍においていたのは復讐のためでもあったんです。
今でこそマーシュ卿はカイルを大事にしていますが、当時は彼の情報収集能力とかそういったものしか見ていなかったんです。
>>・・・・・・そんな時に、親父が連れてきた『あの女』が俺の前に現れて――」
>>「・・・・・・『あの女』?」
>>あたしのつぶやきに、彼は、
>>「名前は名乗らなかったっすけどね。銀髪でアイス・ブルーの、凍てつく瞳をした女っす。
> ディーだな。
そうです。
>>あんたも彼女にあったと思うっすけど? たしかマーシュが経営している、ホストクラブのときに」
>>一瞬にして思い出した。
> アン時、集まらなかったのは、マーシュと(もう郷はいらないとおもうので……)同じタイプだと言うのも別として、最初っから目的を知っていたからですか……。
いえ。カイルはマーシュ卿一筋だから寄らなかったんですよ。
そのときはまだ、ディーとアルベルト卿の問題として関与していません。ディーがカイルと接触したのはそのあと。
>>あの時は相手のプロポーションやら、あたしの胸のバスト・アップに気をとられてたため。
>>あんまり気には留めていなかったが、やけに人を見下してるような態度をしていた。
> まるで、魔族のように……。
>>もしそれが・・・・・・その女が『ディー』だとしたらっ!?
>>魔族は精神生命体。
>>高位の存在になればなるほど、気配や姿かたちは人間のそれに近づけることができる。
> ま、中には高位だというのに剣なんかになっている変わり種が居ますが……。
> しかし、人の心はたしかに変化するけれど本当に大切な思いは変化しないと思います。
マーシュ卿はカイルを大事に思っていますが、カイルはマーシュ卿を大切に思っています。
> だからこそ、ルークはミリーナへの思いが消えずに居たと思います。
> まぁ、……その思いは憎しみも生みましたが、恋心が変化したんじゃなくて憎しみを生んでしまっただけだと思いますし……。
ルークは魔王の魂と同化しても、ミリーナへの思いは消えていなかったのはたしかですね。
> 恋心は変化していなくちゃんと魔王になってもあったと思います。
……ルークとカイルの思いは、似てはいますがイコールではありません。
> えっと、偉そうな事書いたかもしれません。
> すみませんでした。以上、kouでした。
レスありがとうございました。
kouさんの来訪者シリーズも、続きを楽しみにしています。

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34873白魔術都市狂想曲 64フィーナ 2009/11/23 17:02:39
記事番号34739へのコメント


「あんた・・・・・・そいつといつ接触してたのよ?」

「彼女とっすか?」

「そうよ」

「あんたがホストとして彼女と接触した、大分あとのことだといっておくっす」

ってことは、まだアルベルトとディーが携帯してたころか。

「いくらあなたが養子だったとはいえ、悪の道に走る親を止めようとはしなかったのっ!?」

食って掛かるアメリアに、彼は不思議そうな表情で、

「悪の道? 俺たち孤児が食っていくために、裏工作を請け負っていることを悪だというんっすか?」

「そのことを悪といわずになんというんですか!? そのことをしっていて黙っていたということ。
ホーエンハイム卿とおなじく、フィリッツメイヤー卿も謀反の意思ありと受け取ったほうがいいのかしら」

「なあアメリア。何で謀反になるんだ?」

「王宮の調べで、ホーエンハイム卿は独自に結成した軍――
つまりこの施設の人たちで、セイルーンを内から崩して実権を手に入れようとしていたんです」

「野心家の親父と違って、マーシュは謀反なんて考えたことはないっす。
マーシュが男爵にさげられても俺を傍に置いていたのは、親父に対する復讐のためだったんすからね」

「・・・・・・アルベルト卿もそういってたわね。復讐がどうのって」

「当時マーシュが俺を傍においていたのは――
俺への情けから来るものではなく・・・・・・俺の情報収集能力で、親父の弱みを探るためだったんす」

――沈黙が落ちた。







「マーシュは男爵にされたことで、その発言力や権限は子爵である親父に劣るっす。
下手に余計な動きを見せれば、あっさりと潰されるのは目に見えてたっすから。
でも俺なら親父の動きを知ることができ、親父も知らない情報の網を張ることができるっす。だから、マーシュは俺を傍に置いた」

「・・・・・・あんたはそれでよかったの?カイル」

あたしの問いに、彼は微笑を浮かべた。

「昔のことっすよ。
今のマーシュは、俺を大事に思ってくれていたっすから」

「わざわざ・・・・・・あんたがあんたの肉体を殺してまで」

「マーシュは俺を大事に思ってくれていたっす。
俺もそれでいいと思っていた。けど彼女はこう言ったっす。
『どんなに想ってモ、肉体という器がある限り相容れないものはあル。
もっと相手に近づけたラ、いっそ器を捨て一つになれたらアナタはずっと一緒にいられル』」

・・・・・・そうしたら覇王神官の計画に、肉体は不要だということだろうか?

体格のいい人間や、資質の高い人間に呪法をかけていたから、そうだとおもっていたのだが・・・・・・

それとも、肉体ではなく精神に関するものの企み・・・・・・?

「・・・・・・それを聞いて俺は思ったっす。もしそうなれたら、俺がマーシュを守っていけるって。
俺の肉体に愛着はあっても、マーシュの傍にずっといられるなら・・・・・・俺以外の相手に脅威を感じたり、マーシュが他の男を口説いたり気持ちが傾いたりしても」

「マーシュ卿の意思はどうなるわけ? カイル。
あんたは良かれと思ってやったんだろうけど、あたしからみたらそれはあんたのエゴよ」

「そうっすね。あんたのいうことは事実っすし否定はしないっすよ。マーシュには、俺以外にも男はいるっす。
それにマーシュにも俺にも欲望はあるっす。あんたもマーシュに口説かれていたっすから、わかるはずっすよね」

嫉妬の入り混じった視線でガウリイを見るカイル。

「んー・・・・・・たしかにあのおっさんに何かいわれたが・・・・・・」

困った表情でいうガウリイ。

カイル以外でも、マーシュ卿に愛人がいるのは確かだし、気持ちとしては少しは理解できる。

それだけ彼はマーシュ卿を必要としているのだと。

そしてあたしは、その思いを捻じ曲げて、カイルを翻弄した覇王神官ディーに対する嫌悪にも似た怒りを覚えている。

「あんたが追い詰められてこういう手段にはしったのも、分からなくもないわ」

にわかに通路が騒がしくなってきた。

そう・・・・・・誰かと誰かが争うかのような・・・・・・

まさかこの施設に誰かが・・・・・・!?

「どうやら・・・・・・あんたたち以外でも、誰か侵入してきた輩がいるようっすね」

あたしの予想を裏付けるように、カイルはポツリとつぶやいた。

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34877白魔術都市狂想曲 65フィーナ 2009/11/23 23:40:32
記事番号34739へのコメント


「カイル。あんたは本当はどうしたかったわけ?」

あたしは、静かに問いかける。

彼が、自らの肉体を失ってまで手に入れたかったのは。

「あんたはマーシュ卿の意識はまだ眠っているといった。
だけど、あんたの肉体を手にかけたのは、意識がないとはいえマーシュ卿でもあるのよ」

「そうですよカイルさん。もしそのことをフィリッツメイヤー卿が知ったら悲しみますよ」

「マーシュ卿があんたを今は大事に想っている。
それはいい。けど、あんたの気持ちはどうなのよ。マーシュ卿に他の男がいてもいいってこと?」

しばしの沈黙のあと、彼は――痛みをこらえるかのような顔で、

「・・・・・・マーシュに他に相手がいてもかまわないなんて嘘っす。
俺は、俺が望んでいるのは・・・・・・マーシュが俺を一番に想ってくれないとイヤなんす!」

カイルは独白した。

「マーシュに俺以外でも相手が多くいて、その中で一番であったならいいと最初は思っていたっす。
理由はどうあれ、普通に接してくれたマーシュを裏切りたくなかった! 俺は・・・・・・ただマーシュと共に在りたかっただけっす!」

その様子がなんだか痛ましかった。







「・・・・・・カイル。あんた数日姿を見せていなかったけど、マーシュ卿をここに連れてきたのはあんたなわけ?」

「・・・・・・つれてきたのは、例の女っすよ。
他の男と食事に出ていた際、俺がここにいるってことを教えたそうっす」

・・・・・・ディーが?

ただの親切であいつがそんなことをするはずがない。

なにか、裏があるか企んでいる。

「マーシュは俺のことを心配してくれてたのに。
普段の俺ならありえないのに、まるで霧が立ち込めたかのように頭が回らなくて・・・・・・あの女の言葉がやけに響いて――」

突如として、頭をおさえ苦しみだすカイル。

「おい!?」

「カイルさん?」

慌てて駆け寄ろうとするガウリイたちを手で制するカイル。

「来るなっす!」

うめきながら、かぶりを振るカイル。

「これって・・・・・・マーシュ卿の意識が目覚めた?」

「それにしては、なにか様子が変だぜ!」

あたしのつぶやきに、吠えるガウリイ。

どん!

カイルから沸き起こる――瘴気。

「・・・・・・まさか、あのときのキールやクゥのときと同じ?」

感情が呼び水となったかっ!?

どごぉん!

近くの壁が壊れ、入り込んでくる人物。

「あんた・・・!」

その姿を認め、あたしは思わず声を上げていた。

「話はあとで聞く!」

アメリアも、そしてガウリイも、目の前に現れた人物が誰か一瞬理解できなかったのであろう。

かくいうあたしでさえ。

やわらかい髪質がなびく。

白いフードが目の前を飛び越え、カイルに迫った。

どぐっ!

彼の蹴りが、カイルのみぞおちに食い込んだ。

ゆっくりと倒れるカイル。

巻き起こりそうになっていた瘴気は霧散し始め、あとにはただ・・・・・・静寂。

「――まさか、あんたらと鉢合わせするとはな。
世間というのは案外、おもったよりも狭いというのは本当のことだったか」

なにやら感慨深げにいう彼に、あたしは確認のため手近な小石を不意打ちで彼に投げつけてみる。

がすっ!

「それはこっちのセリフよ」

だくだくと、流血を起こす彼を見なかったことにして声をかけるあたし。

「・・・・・・他には何かいうことはないのか。あんた」

治療呪文で、頭を治しながら憮然とする彼。

「あんたのそっくりさんとかじゃなく?」

「リナのいうとおりですよ! それか親戚とか?」

「あんたも大概な事を言ってるぜ。アメリア。
あんたらがおれの今の姿を見て驚くのも無理はないかも知れんが」

「あなたのその姿って・・・・・・本物なんですか? 特撮に出てくる特殊メイクとか」

「なんなんだ。その特殊メイクだの特撮ってのは?」

彼は、口の端を笑みの形に浮かべた。

・・・・・・なんで、そこであたしを意味ありげな視線でみる?

笑いをこらえているかのような声で、彼は、

「あんたのファンだってやつと色々あってな」

「リナの!?」

「ファンだと!?」

「世の中物好きな方もいるんですね」

「まったくだ!」

げしっ!

どすばきごしゅっ!

口々に勝手なことをほざいたアメリアとガウリイを黙らせて、あたしは彼に視線を向けた。

「久しぶりね。ゼルガディス」

「ああ。それにしても・・・・・・あんたらも、相変わらずのようだな」

苦笑を浮かべながら、ゼルはいった。

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34882白魔術都市狂想曲 66フィーナ 2009/11/24 21:09:09
記事番号34739へのコメント

この目の前にいるゼルガディス。
                              ブロウ・デーモン  ゴーレム
以前共に旅をした仲間で、ある魔道士のてによって 邪 妖 精 と 岩 人 形 と合成され、元の身体に戻る術を探していたはずであるが・・・・・・

「身体・・・・・・元に戻ったんだ」

青黒かった岩の肌は、健康的な小麦色をしており、あんなに外見がやたらゴツゴツして、ぶつかったら痛そうだったのが嘘みたいである。

あたしのセリフに彼はかぶりをふった。

「いや・・・・・・まだ不十分な状態なのさ」

白の貫頭衣から、腕の裾をまくる。

みれば、小麦の肌とは別に彼が忌み嫌っていた岩の色が混じっている。

「なんだってあんたがここにいるわけ?」

「護衛をするよう依頼された。依頼主の名はいえんがな」

「その護衛対象はどういったやつなのよ。姿が見えないけど」

「ここへくる途中、おれの目の前で竜に鷲づかみにされて見失った。
・・・・・・メッセージ・センターでセイルーンにいると、本人からの連絡がきたのでここまで来たんだ。
合流地点に向かう途中派手な爆音がしてな。ひょっとしたら事件に巻き込まれたんじゃないかと思って駆けつけたところで――」

「あたしたちと出会った」

うなずくゼルガディス。

「でもどうやってそこまで元の身体に戻れた・・・・・・じゃなくて、近づけれたんですか?」

アメリアの至極当然の質問に、彼は面白くもなさそうな表情で、

「おれのコピーを使ってのキメラ化だってことだ。
詳しい方法は教えちゃくれんかったが・・・・・・な」

「なるほど・・・ね」

「誰がゼルガディスさんを元の身体に戻そうとしたんですか?
・・・それにコピーのキメラ化なんて方法を思いついた魔道士は!?」

畳み掛けるように矢継ぎ早に質問するアメリアに、彼は落ち着くようになだめる。

「そういっぺんに質問するな。
・・・・・・それらすべての質問は、他言するなと依頼主と護衛しているやつから言われている」

「どうしてですか!?この方法で、多くのキメラにされた人が助けられるかもしれないのに!」

「この方法が、必ずうまくいくという保証がないからさ。
・・・・・・現に、おれの身体にも時折麻痺する感覚がある」

いって彼は、自分の手を開く。

人の肌と、岩の肌が交じり合ってる自分の手を。

「護衛対象者は、リバウンドがあるかもしれないからコピーで様子を見てからやってみたほうがいいといったが。
・・・・・・一縷(いちる)の望みがあるのに、それを先伸ばしてやれるんなら、リスクを覚悟でおれはそれを跳ね除け志願した」







こういうときのゼルは、折れないということをアメリアも知っているので引き下がった。







「・・・・・・このセイルーンの異変は、覇王神官がかんでいたのか」

「まず間違いなくね」

事情をざっと説明し終わったあと。

「しかし・・・・・・あんたが関わるのは、ほとんど伝説級のややこしいものばかりだな」

「やかまし」

半ば呆れた様子でいう彼に、思わず憮然とするあたし。

あたしだって、好きで巻き込まれてるわけじゃない!

むしろ、厄介ごとが行く先々でほいほい転がり込んでくる。

「この男も哀れなやつだな。恋仲なら好きな相手のことを知りたいと思うのは当然の成り行きとはいえ。
・・・・・・そこを魔族に付け込まれる羽目になったんだから」

アメリアはあちこちを忙しそうに駆けずり回り、あたしたちは事情を聞きだすため、マーシュ卿・・・・・・

それともこの場合は、カイルと呼んだほうがいいだろうか?――ともあれ彼を治療施設まで運んでいくことにした。

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34884Re:白魔術都市狂想曲 66kou 2009/11/24 21:44:07
記事番号34882へのコメント

 こんばんは、フィーナさん。
 やったv ゼルが出ているv
 うれしいです。
>この目の前にいるゼルガディス。
>以前共に旅をした仲間で、ある魔道士のてによって 邪 妖 精 と 岩 人 形 と合成され、元の身体に戻る術を探していたはずであるが・・・・・・
>
>「身体・・・・・・元に戻ったんだ」
>
>青黒かった岩の肌は、健康的な小麦色をしており、あんなに外見がやたらゴツゴツして、ぶつかったら痛そうだったのが嘘みたいである。
 痛そう……って……。
>あたしのセリフに彼はかぶりをふった。
>
>「いや・・・・・・まだ不十分な状態なのさ」
>
>白の貫頭衣から、腕の裾をまくる。
>
>みれば、小麦の肌とは別に彼が忌み嫌っていた岩の色が混じっている。
 人の割合が増えたって感じでしょうか?
>「なんだってあんたがここにいるわけ?」
>
>「護衛をするよう依頼された。依頼主の名はいえんがな」
>
>「その護衛対象はどういったやつなのよ。姿が見えないけど」
>
>「ここへくる途中、おれの目の前で竜に鷲づかみにされて見失った。
 アレンだな……。竜にわしづかみされたやつなんぞそうそう居らんぞ
>・・・・・・メッセージ・センターでセイルーンにいると、本人からの連絡がきたのでここまで来たんだ。
>合流地点に向かう途中派手な爆音がしてな。ひょっとしたら事件に巻き込まれたんじゃないかと思って駆けつけたところで――」
>
>「あたしたちと出会った」
>
>うなずくゼルガディス。
>
>「でもどうやってそこまで元の身体に戻れた・・・・・・じゃなくて、近づけれたんですか?」
>
>アメリアの至極当然の質問に、彼は面白くもなさそうな表情で、
>
>「おれのコピーを使ってのキメラ化だってことだ。
>詳しい方法は教えちゃくれんかったが・・・・・・な」
 そういうあ、アレンが言ってたな。あれの応用みたいな感じか
>「なるほど・・・ね」
 理屈を聞いた事あるリナは、ぴんと来ましたね。
>「誰がゼルガディスさんを元の身体に戻そうとしたんですか?
>・・・それにコピーのキメラ化なんて方法を思いついた魔道士は!?」
>
>畳み掛けるように矢継ぎ早に質問するアメリアに、彼は落ち着くようになだめる。
>
>「そういっぺんに質問するな。
>・・・・・・それらすべての質問は、他言するなと依頼主と護衛しているやつから言われている」
>
>「どうしてですか!?この方法で、多くのキメラにされた人が助けられるかもしれないのに!」
>
>「この方法が、必ずうまくいくという保証がないからさ。
>・・・・・・現に、おれの身体にも時折麻痺する感覚がある」
>
>いって彼は、自分の手を開く。
>
>人の肌と、岩の肌が交じり合ってる自分の手を。
 なるほど、拒絶反応みたいなものですか
>「護衛対象者は、リバウンドがあるかもしれないからコピーで様子を見てからやってみたほうがいいといったが。
>・・・・・・一縷(いちる)の望みがあるのに、それを先伸ばしてやれるんなら、リスクを覚悟でおれはそれを跳ね除け志願した」
 覚悟はあるならと、ジブリながらてを貸すアレンが目に浮かびそうです。
>こういうときのゼルは、折れないということをアメリアも知っているので引き下がった。
 こういう人だ。
>「・・・・・・このセイルーンの異変は、覇王神官がかんでいたのか」
>
>「まず間違いなくね」
>
>事情をざっと説明し終わったあと。
>
>「しかし・・・・・・あんたが関わるのは、ほとんど伝説級のややこしいものばかりだな」
>
>「やかまし」
>
>半ば呆れた様子でいう彼に、思わず憮然とするあたし。
 すきで、関わったんじゃない。と、言った所でしょうか
>あたしだって、好きで巻き込まれてるわけじゃない!
 あ、やっぱり
>むしろ、厄介ごとが行く先々でほいほい転がり込んでくる。
 たとえば、ナーガとか。
 そういや、あれ生きているのかな。
 いい加減、家に帰れよ
>「この男も哀れなやつだな。恋仲なら好きな相手のことを知りたいと思うのは当然の成り行きとはいえ。
>・・・・・・そこを魔族に付け込まれる羽目になったんだから」
>
>アメリアはあちこちを忙しそうに駆けずり回り、あたしたちは事情を聞きだすため、マーシュ卿・・・・・・
>
>それともこの場合は、カイルと呼んだほうがいいだろうか?――ともあれ彼を治療施設まで運んでいくことにした。
 無事ですむかどうかは、知らないけれど……
 ゼルも終盤間際に登場しましたね。
 そういや、リナ。あんたの姉のペットのこと教えてあげたら?
 どんな、反応するか見てみたい。
 以上、kouでした。

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34891Re:白魔術都市狂想曲 66フィーナ 2009/11/27 21:07:45
記事番号34884へのコメント


> こんばんは、フィーナさん。
こんばんは。kouさん。
> やったv ゼルが出ているv
> うれしいです。
この人も終盤近くに合流しました。
ゼルもだす予定でしたので。
>>青黒かった岩の肌は、健康的な小麦色をしており、あんなに外見がやたらゴツゴツして、ぶつかったら痛そうだったのが嘘みたいである。
> 痛そう……って……。
ぶつかったことがないので『痛そう』だといっておきます。
>>みれば、小麦の肌とは別に彼が忌み嫌っていた岩の色が混じっている。
> 人の割合が増えたって感じでしょうか?
人の割合を増やして、ゴーレムとブロウ・デーモンの要素を薄めたんです。
>>「ここへくる途中、おれの目の前で竜に鷲づかみにされて見失った。
> アレンだな……。竜にわしづかみされたやつなんぞそうそう居らんぞ
今までの経緯を考えてみると、この人しかいませんね。。
>>「おれのコピーを使ってのキメラ化だってことだ。
>>詳しい方法は教えちゃくれんかったが・・・・・・な」
> そういうあ、アレンが言ってたな。あれの応用みたいな感じか
たとえるなら、彼が行った方法はミックスジュースにオレンジジュースを継ぎ足してく。
>>「なるほど・・・ね」
> 理屈を聞いた事あるリナは、ぴんと来ましたね。
さすがにアレンさんは、キメラの分離させる方法は知らないので。
>>「この方法が、必ずうまくいくという保証がないからさ。
>>・・・・・・現に、おれの身体にも時折麻痺する感覚がある」
>>いって彼は、自分の手を開く。
>>人の肌と、岩の肌が交じり合ってる自分の手を。
> なるほど、拒絶反応みたいなものですか
拒絶反応というより、拒否反応といったほうが。
> 覚悟はあるならと、ジブリながらてを貸すアレンが目に浮かびそうです。
これは彼の弟が話した内容を治療に応用させたもので、初代のものではありませんよ。
>>こういうときのゼルは、折れないということをアメリアも知っているので引き下がった。
> こういう人だ。
>>半ば呆れた様子でいう彼に、思わず憮然とするあたし。
> すきで、関わったんじゃない。と、言った所でしょうか
>>あたしだって、好きで巻き込まれてるわけじゃない!
> あ、やっぱり
>>むしろ、厄介ごとが行く先々でほいほい転がり込んでくる。
> たとえば、ナーガとか。
> そういや、あれ生きているのかな。
生きているでしょう。絶対…ナーガですし。
> いい加減、家に帰れよ
>>それともこの場合は、カイルと呼んだほうがいいだろうか?――ともあれ彼を治療施設まで運んでいくことにした。
> 無事ですむかどうかは、知らないけれど……
ゼルはアレンさんにあるものを渡します。それがカギですね。
> ゼルも終盤間際に登場しましたね。
> そういや、リナ。あんたの姉のペットのこと教えてあげたら?
> どんな、反応するか見てみたい。
…うーん。そういうのをゼルに教えたいのは山々なんですけど。
残念ながら出す予定はありません。


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34885Re:白魔術都市狂想曲 66ホリ 2009/11/25 10:34:38
記事番号34882へのコメント

 
 こんにちは、フィーナさん。ゼルガディスが出て来ましたね。
 ところで、私はやっと、『蒼の記憶』を読み終えて話の内容が掴めたという所です。・・・・・・読むの遅いなぁ
>この目の前にいるゼルガディス。
>                              ブロウ・デーモン  ゴーレム
>以前共に旅をした仲間で、ある魔道士のてによって 邪 妖 精 と 岩 人 形 と合成され、元の身体に戻る術を探していたはずであるが・・・・・・
>
>「身体・・・・・・元に戻ったんだ」
>
>青黒かった岩の肌は、健康的な小麦色をしており、あんなに外見がやたらゴツゴツして、ぶつかったら痛そうだったのが嘘みたいである。
 転けた時、岩にぶつけたら痛いなってのりですね・・・。
>あたしのセリフに彼はかぶりをふった。
>
>「いや・・・・・・まだ不十分な状態なのさ」
>
>白の貫頭衣から、腕の裾をまくる。
>
>みれば、小麦の肌とは別に彼が忌み嫌っていた岩の色が混じっている。
>
>「なんだってあんたがここにいるわけ?」
>
>「護衛をするよう依頼された。依頼主の名はいえんがな」
>
>「その護衛対象はどういったやつなのよ。姿が見えないけど」
>
>「ここへくる途中、おれの目の前で竜に鷲づかみにされて見失った。
>・・・・・・メッセージ・センターでセイルーンにいると、本人からの連絡がきたのでここまで来たんだ。
>合流地点に向かう途中派手な爆音がしてな。ひょっとしたら事件に巻き込まれたんじゃないかと思って駆けつけたところで――」
 もう誰が依頼主か分かりますね。竜に鷲づかみされる人なんて数少ないかと・・・・・・普通はいない?
>「あたしたちと出会った」
> 
>うなずくゼルガディス。
>
>「でもどうやってそこまで元の身体に戻れた・・・・・・じゃなくて、近づけれたんですか?」
 ところで、元の身体に近づけられたなら、邪妖精と岩石人間の特徴ってやっぱり薄れるんでしょうかね?
>アメリアの至極当然の質問に、彼は面白くもなさそうな表情で、
>
>「おれのコピーを使ってのキメラ化だってことだ。
>詳しい方法は教えちゃくれんかったが・・・・・・な」
>
>「なるほど・・・ね」
>
>「誰がゼルガディスさんを元の身体に戻そうとしたんですか?
>・・・それにコピーのキメラ化なんて方法を思いついた魔道士は!?」
>
>畳み掛けるように矢継ぎ早に質問するアメリアに、彼は落ち着くようになだめる。
>
>「そういっぺんに質問するな。
>・・・・・・それらすべての質問は、他言するなと依頼主と護衛しているやつから言われている」
>
>「どうしてですか!?この方法で、多くのキメラにされた人が助けられるかもしれないのに!」
>
>「この方法が、必ずうまくいくという保証がないからさ。
>・・・・・・現に、おれの身体にも時折麻痺する感覚がある」
>
>いって彼は、自分の手を開く。
>
>人の肌と、岩の肌が交じり合ってる自分の手を。
 やっぱりそう言うのがあるんですね。
>「護衛対象者は、リバウンドがあるかもしれないからコピーで様子を見てからやってみたほうがいいといったが。
>・・・・・・一縷(いちる)の望みがあるのに、それを先伸ばしてやれるんなら、リスクを覚悟でおれはそれを跳ね除け志願した」
 それって、目的のためなら手段は選ばない、に近い感じがする。
 まあ、本人が決めた事ですから何とも言えませんがね。
>
>
>
>
>
>
>こういうときのゼルは、折れないということをアメリアも知っているので引き下がった。
 そう言う性格の人ですからね。
>
>
>
>
>
>
>「・・・・・・このセイルーンの異変は、覇王神官がかんでいたのか」
>
>「まず間違いなくね」
>
>事情をざっと説明し終わったあと。
>
>「しかし・・・・・・あんたが関わるのは、ほとんど伝説級のややこしいものばかりだな」
>
>「やかまし」
 心の中で何を思っているかは簡単に分かりますね〜。
>半ば呆れた様子でいう彼に、思わず憮然とするあたし。
>
>あたしだって、好きで巻き込まれてるわけじゃない!
>
>むしろ、厄介ごとが行く先々でほいほい転がり込んでくる。
 でも、いくつかは自分のせいだと思う。
>「この男も哀れなやつだな。恋仲なら好きな相手のことを知りたいと思うのは当然の成り行きとはいえ。
>・・・・・・そこを魔族に付け込まれる羽目になったんだから」
 こうしてみると、魔族っていろんな事に付け込んでいますね。
 負の感情を食べるものだから、付け込むのが上手なんでしょうね。
>アメリアはあちこちを忙しそうに駆けずり回り、あたしたちは事情を聞きだすため、マーシュ卿・・・・・・
>
>それともこの場合は、カイルと呼んだほうがいいだろうか?――ともあれ彼を治療施設まで運んでいくことにした。
>
 フィーナさんの方はどんどんと話が展開しているのですが、こちらはさっぱりなホリでした。
 続きを楽しみにしています。
 もうすぐ12月で寒さが本格的になってきます。
 寝ている間に布団をはね除けて風邪を引いてしまうホリが言える立場ではないのですが、風邪を引かないようにしてくださいね。

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34892Re:白魔術都市狂想曲 66フィーナ 2009/11/27 21:23:22
記事番号34885へのコメント

 
> こんにちは、フィーナさん。ゼルガディスが出て来ましたね。
こんばんは。ホリさん。
やっとゼルガディスを出せました。
> ところで、私はやっと、『蒼の記憶』を読み終えて話の内容が掴めたという所です。・・・・・・読むの遅いなぁ
過去のやつを全部読んでいただきありがとうございます。
>>青黒かった岩の肌は、健康的な小麦色をしており、あんなに外見がやたらゴツゴツして、ぶつかったら痛そうだったのが嘘みたいである。
> 転けた時、岩にぶつけたら痛いなってのりですね・・・。
そんなかんじで。
>>「ここへくる途中、おれの目の前で竜に鷲づかみにされて見失った。
>>・・・・・・メッセージ・センターでセイルーンにいると、本人からの連絡がきたのでここまで来たんだ。
>>合流地点に向かう途中派手な爆音がしてな。ひょっとしたら事件に巻き込まれたんじゃないかと思って駆けつけたところで――」
> もう誰が依頼主か分かりますね。竜に鷲づかみされる人なんて数少ないかと・・・・・・普通はいない?
インパクトなら十分ですからね。
>>「でもどうやってそこまで元の身体に戻れた・・・・・・じゃなくて、近づけれたんですか?」
> ところで、元の身体に近づけられたなら、邪妖精と岩石人間の特徴ってやっぱり薄れるんでしょうかね?
今のところは肉体のほうが顕著に現れていますね。
>>人の肌と、岩の肌が交じり合ってる自分の手を。
> やっぱりそう言うのがあるんですね。
>>「護衛対象者は、リバウンドがあるかもしれないからコピーで様子を見てからやってみたほうがいいといったが。
>>・・・・・・一縷(いちる)の望みがあるのに、それを先伸ばしてやれるんなら、リスクを覚悟でおれはそれを跳ね除け志願した」
> それって、目的のためなら手段は選ばない、に近い感じがする。
> まあ、本人が決めた事ですから何とも言えませんがね。
ゼルも、駄目もとでいったとおもいます。、
>>こういうときのゼルは、折れないということをアメリアも知っているので引き下がった。
> そう言う性格の人ですからね。
そうですね。
>>「しかし・・・・・・あんたが関わるのは、ほとんど伝説級のややこしいものばかりだな」
>>「やかまし」
> 心の中で何を思っているかは簡単に分かりますね〜。
>>半ば呆れた様子でいう彼に、思わず憮然とするあたし。
>>あたしだって、好きで巻き込まれてるわけじゃない!
>>むしろ、厄介ごとが行く先々でほいほい転がり込んでくる。
> でも、いくつかは自分のせいだと思う。
>>「この男も哀れなやつだな。恋仲なら好きな相手のことを知りたいと思うのは当然の成り行きとはいえ。
>>・・・・・・そこを魔族に付け込まれる羽目になったんだから」
> こうしてみると、魔族っていろんな事に付け込んでいますね。
> 負の感情を食べるものだから、付け込むのが上手なんでしょうね。
神託の内容に沿った行動。
まだ暗躍しますよ。ディーは。
> フィーナさんの方はどんどんと話が展開しているのですが、こちらはさっぱりなホリでした。
> 続きを楽しみにしています。
何話かあとに、アレンさんとヴラがごにょごにょ。
> もうすぐ12月で寒さが本格的になってきます。
> 寝ている間に布団をはね除けて風邪を引いてしまうホリが言える立場ではないのですが、風邪を引かないようにしてくださいね。
風邪とインフルエンザの脅威が接近。
ビクビクしてます。ホリさんもお気をつけて。

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34896白魔術都市狂想曲 67フィーナ 2009/11/28 23:05:17
記事番号34739へのコメント


「無理です」

最寄りの施設にいた神官は、疲弊しまくった表情で聞き終わるなりそういって扉を閉めた。

ああ!こらまて!

いくら疲れてるとはいえ、こんじょー足りんぞ!

かたっぱしから治療施設に行ってみても、手が空いていないといって締め出されること数軒。

「・・・・・・これで五軒目か」

「ゼル・・・・・・あんたもなに落ち着いてんのよ」

「ただでさえ治療できるやつが足りない中、見ず知らずの相手の治療を請け負えないってのが本音だろうな」

「なあリナ」

「なによ」

ガウリイは真剣な表情でこういった。

「さっきから気になってたんだが・・・・・・こいつ誰だ?」

いって指差したのはいうまでもなくゼルガディス。

あーのーな〜っ!

「どこかであったよーな気がするんだが」

「あったもなにも、かつて一緒に旅してたでしょーが!
だいたい、さっきからゼルの名前いってるじゃないのよ!」

「そうだゼルだ!思い出した? ぞ!」

うそつき。

「・・・・・・その『?』はなんだ・・・・・・」

どこか投げやりな口調で言うゼル。

「・・・・・・あいかわらずか。この旦那は」

「あんたの頭でも覚えているとは・・・言い切れないけどゼルガディスよゼルガディス!
前はその岩の肌がおろし金(がね)の代わりに使えて、ちょっぴり便利だった『あの』ゼルガディスよ!」

ガウリイがほんとーにゼルのことを覚えてるのか正直不安だったので、そう補足してやる。

「あんた・・・・・・おれのことをなんだと」

なぜかゼルはそれが不満だったみたいだが。







「ああ。リナさんじゃないですか。どうされたんです?」

数日前よりも、さらにやつれた姿で顔を出したアレン。

さながら、うっかり息をしているゾンビ。

他の神官たちも、それと似たり寄ったりだったりする。

「なんっつーか・・・・・・生きてる?」

「はあ・・・・・・さすがに四日徹夜ってのはこたえますが、まだ大丈夫ですよ」

・・・・・・『まだ』・・・・・・って。

アレンは、傍らにいるゼルの姿を認めて、

「あれ?リナさんやガウリイさんだけじゃなく、ゼルガディスさんの幻覚まで見えて」

「幻覚じゃない」

つーか寝ろ。

「でも寝たら患者さんたちだけじゃなく、治療できる人たちに負担がかかりますから」

「他の神官たちは?」

ゼルの問いに、彼は目をこすりながら、

「患者さんから僅かにもれ続けた瘴気に当てられ、寝込んでいます。
今ここの施設で治療を行えるのは、俺を含めて三人しかいません。それに彼らもそろそろ限界でしょう」

「別の治療施設に行くにも、距離があるわね」

リーリアあたりならなんとかなるだろうが。

彼女がいる治療施設とここでは、それほど遠くないとはいえ時間がかかる。

ゼルはおもむろに、懐から一つのネックレスを取り出した。

「町を発つ前。これをあんたに渡すようにいわれた」

「俺に・・・・・・ですか?」

手にとって受け取るなり、彼はかすかに目を見張った。

商売人としての選定眼でみたところ。

あたしがもっているマジック・アイテムと似たような仕組みみたいだが。

「誰から頼まれたんですか?」

「おれからはいえん。ただこれは、あんたのために使えといっていた」

「・・・・・・ありがとうございます」

「礼を言われるようなことはしていない」

ぶっきらぼうにいうゼルガディスに、彼は微笑を浮かべる。

「あの人はこれを俺のために使えといってくれました。
・・・・・・それで十分です。これで俺も心置きなく使う決心ができました」

「そのネックレス。マジック・アイテムよね」

「そうですよ。あなたのものとは用途が違いますが、あなたに差し上げたものと同類のやつです」

完成したんですね、と、つぶやいたアレンの表情はこちらからうかがいしることはできなかった。








「こいつの治療を頼めないだろうか」

ゼルは、アレンにそういった。

動かない彼の姿を認め、アレンはなにがあったのかおおよその見当がついたらしく顔を引き締めた。

「・・・・・・治療室に運んでください。
・・・・・・早速ですが、これを使わせてもらいます」

いってアレンは、そのネックレスを手に取った。

「リナさん・・・・・・すみませんが、少しだけ手を貸してください」

「オレは?」

「ガウリイさんは・・・・・・すみませんが。
ゼルガディスさんと一緒に、王宮の誰かが訪ねてきても、治療室に入れないでください」

その言葉に、ゼルは片方の眉をぴくんとうごかした。

「いいけど、なんでだ?」

「治療中に、人に見られると集中できないんですよ」

ガウリイはそれで納得したらしく。

・・・・・・というよりも、難しかったので考えるのを放棄したと言ったほうが正しいだろうか。

「王宮の誰か・・・・・・アメリアもはいってるわけか」

ゼルガディスが漏らしたその呟きは、あたし以外聞き分けられるか否かという、ごく小さなものだった。

「けどリナと二人きりって危なくないか?」

アレンは苦笑しながら、ガウリイの肩をぽん、と軽くたたいた。

「心配しないでも治療にかこつけて、リナさんを襲ったりなんかしませんよ」

「いや・・・・・・オレが心配しているのはなぁ」

「・・・・・・大体そんなことしたら、どんな酷い目にあわされるのかわかったものじゃありませんし」

「そうじゃなくてな」

「なんです?」

「あのリナのことだから、お前さん脅してそれを巻き上げようとするんじゃないか?・・・・・・と」

「・・・・・・・・・・・・」

アレンはしばし・・・・・・いやかなり沈黙し、

「はは・・・ははははは・・・は。
・・・・・・ものすっごく、そんな気がします」

ただ乾いた笑い声を上げたあと、一つため息をついてそういったのだった。

トップに戻る
34898Re:白魔術都市狂想曲 67セス 2009/11/29 15:49:29
記事番号34896へのコメント

こんにちは、フィーナさん。

>「・・・・・・これで五軒目か」
>
>「ゼル・・・・・・あんたもなに落ち着いてんのよ」
>
>「ただでさえ治療できるやつが足りない中、見ず知らずの相手の治療を請け負えないってのが本音だろうな」
ゼルガディスは大抵冷静沈着ですからね。
アニメでは皆にいじられまくってましたけど(笑
>
>「なあリナ」
>
>「なによ」
>
>ガウリイは真剣な表情でこういった。
>
>「さっきから気になってたんだが・・・・・・こいつ誰だ?」
>
>いって指差したのはいうまでもなくゼルガディス。
>
>あーのーな〜っ!
ガウリイ・・・光の剣なくしてから多少賢くなったと思ったけど・・・
>
>「どこかであったよーな気がするんだが」
>
>「あったもなにも、かつて一緒に旅してたでしょーが!
>だいたい、さっきからゼルの名前いってるじゃないのよ!」
>
>「そうだゼルだ!思い出した? ぞ!」
>
>うそつき。
>
>「・・・・・・その『?』はなんだ・・・・・・」
>
>どこか投げやりな口調で言うゼル。
>
>「・・・・・・あいかわらずか。この旦那は」
>
>「あんたの頭でも覚えているとは・・・言い切れないけどゼルガディスよゼルガディス!
>前はその岩の肌がおろし金(がね)の代わりに使えて、ちょっぴり便利だった『あの』ゼルガディスよ!」
>
>ガウリイがほんとーにゼルのことを覚えてるのか正直不安だったので、そう補足してやる。
>
>「あんた・・・・・・おれのことをなんだと」
>
>なぜかゼルはそれが不満だったみたいだが。
・・・そう言われて嬉しがる人はいないぞ、リナ。


>「けどリナと二人きりって危なくないか?」
>
>アレンは苦笑しながら、ガウリイの肩をぽん、と軽くたたいた。
>
>「心配しないでも治療にかこつけて、リナさんを襲ったりなんかしませんよ」
>
>「いや・・・・・・オレが心配しているのはなぁ」
>
>「・・・・・・大体そんなことしたら、どんな酷い目にあわされるのかわかったものじゃありませんし」
>
>「そうじゃなくてな」
>
>「なんです?」
>
>「あのリナのことだから、お前さん脅してそれを巻き上げようとするんじゃないか?・・・・・・と」
>
>「・・・・・・・・・・・・」
>
>アレンはしばし・・・・・・いやかなり沈黙し、
>
>「はは・・・ははははは・・・は。
>・・・・・・ものすっごく、そんな気がします」
>
>ただ乾いた笑い声を上げたあと、一つため息をついてそういったのだった。
・・・そんな女性に惚れたアレンさんって一体・・・

トップに戻る
34900Re:白魔術都市狂想曲 67フィーナ 2009/11/29 21:30:42
記事番号34898へのコメント


>こんにちは、フィーナさん。
こんばんは。セスさん。
>>「ただでさえ治療できるやつが足りない中、見ず知らずの相手の治療を請け負えないってのが本音だろうな」
>ゼルガディスは大抵冷静沈着ですからね。
>アニメでは皆にいじられまくってましたけど(笑
とりあえず、彼はいまのところ原作ベースです。
>>ガウリイは真剣な表情でこういった。
>>「さっきから気になってたんだが・・・・・・こいつ誰だ?」
>>いって指差したのはいうまでもなくゼルガディス。
>>あーのーな〜っ!
>ガウリイ・・・光の剣なくしてから多少賢くなったと思ったけど・・・
以前と少し違っていたので誰か分からなかったんでしょう…たぶん
>>「あんたの頭でも覚えているとは・・・言い切れないけどゼルガディスよゼルガディス!
>>前はその岩の肌がおろし金(がね)の代わりに使えて、ちょっぴり便利だった『あの』ゼルガディスよ!」
>>ガウリイがほんとーにゼルのことを覚えてるのか正直不安だったので、そう補足してやる。
>>「あんた・・・・・・おれのことをなんだと」
>>なぜかゼルはそれが不満だったみたいだが。
>・・・そう言われて嬉しがる人はいないぞ、リナ。
リナってけっこーズバズバ切り込むことがあるので。
>>「けどリナと二人きりって危なくないか?」
>>アレンは苦笑しながら、ガウリイの肩をぽん、と軽くたたいた。
>>「心配しないでも治療にかこつけて、リナさんを襲ったりなんかしませんよ」
>>「いや・・・・・・オレが心配しているのはなぁ」
>>「・・・・・・大体そんなことしたら、どんな酷い目にあわされるのかわかったものじゃありませんし」
>>「そうじゃなくてな」
>>「なんです?」
>>「あのリナのことだから、お前さん脅してそれを巻き上げようとするんじゃないか?・・・・・・と」
>>「・・・・・・・・・・・・」
>>アレンはしばし・・・・・・いやかなり沈黙し、
>>「はは・・・ははははは・・・は。
>>・・・・・・ものすっごく、そんな気がします」
>>ただ乾いた笑い声を上げたあと、一つため息をついてそういったのだった。
>・・・そんな女性に惚れたアレンさんって一体・・・
この人の場合、人生山あり谷ありどころか、急斜面の絶壁だらけなような気がします。

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34901白魔術都市狂想曲 68フィーナ 2009/11/29 23:45:25
記事番号34739へのコメント

薬草特有のにおいが立ち込める治療室の一角。

そこには、やはりふらふらな神官がいた。

見習い神官や僧侶たちも、もはや気力で持ちこたえてるようなものだった。

「交代します」

アレンは、そこにいた神官に声をかける。

「・・・・・・あー」

いい終わるなり崩れ落ち――

「――っと。大丈夫ですか?」

アレンはすかさず支える。

「・・・・・・ねみぃ」

「仮眠室まで送ります。皆さんも、今のうちに休んでおいてください」

生返事をしながら、久方ぶりの睡眠なのか、歓喜のうめきを上げながら出て行く彼ら。

「うー・・・何日ぶりかのマトモな睡眠が取れるぅぅっ!」

「おお!神よっ!」

「ありがたやありがたや〜」

・・・・・・お疲れー。









身辺調査というわけではないが、おれはただ待つというのもあれなので、旦那を引き連れ神殿で聞き込みをしていた。

「なあゼル。なんで事件のことはともかく、あの兄ちゃんの聞き込みするんだ?」

「あの神官。おれの身体をこの状態まで戻せたからさ」

赤法師レゾの手により、おれは異形へと姿をかえられた。

携帯食料が底をつき、割と大きな町へと流れ着き、金さえ払えば訳ありなやつを泊めてくれる宿で情報を集めていたとき、その話を耳にした。
                 クレアバイブル
曰く、犯罪組織のボスが 異 界 黙 示 録 の写本を手にしていた。

嘘か真かはどうでもよかった。

その事件を調べていく途中に、リナたちの名前が出てきたのは・・・・・・

驚きはしたものの、あの二人のことだからさもありなんと、妙なところで納得した。

犯罪組織の壊滅に一枚かんでいるのは間違いないが。

魔道士協会のなかで、コピー同士の合成をしている魔道士がいると聞き、探りを入れているときに出会ったのがやつだった。

その魔道士が療養しているのは、聞き込みで知ってはいた。

資料の中に、おれの身体を元に戻せる記述があるかもしれない。

そう思っていた矢先のことだった。

『ミックスジュースの中からオレンジジュースの成分を、分離させて取り出すことは難しいでしょう。
・・・・・・ですがね。発想の転換っていうのは面白いものでして――』

やつは半分以上飲み干したミックスジュースの中に、なみなみとオレンジジュースを注いだ。

『今ので、このミックスジュースは、オレンジジュースに近いミックスジュースになりました。
この作業をどんどん続けていけば、完全なオレンジジュースになるのは不可能ですけど、限りなくオレンジジュースに近いミックスジュースができます』

それを見せてくれというと、困ったように笑った。

『俺は魔道士ではありませんし、さきほどもいったようにそれを治療に応用したとしても、生身の人間であるあなた相手に成功するか分かりませんよ』

治療施設のおくから、がやがやと睡眠を謳歌する連中と行き会った。

その声で引き戻された。

どうやらこれから仮眠をとるみたいだが。

睡眠時間が短いのかは分からんが、ピリピリした連中が多い。

・・・・・・そう。

ちょうどおれの前にきたこの男のように。

・・・・・・神官というより、ハイテンションな酔っ払いみたいだな。

何日か徹夜しているのだから、ある意味当然か。

その中には、舟をこぐ同僚の神官を支えながら歩く奴がいた。

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34904白魔術都市狂想曲 69フィーナ 2009/11/30 23:47:31
記事番号34739へのコメント

「これでいいわけ?」

「ええ。大体の準備は整いました」

アレンの指示の元、必要な薬草や治療に使われる魔法の品をうごかしたあと。

彼は例のネックレスを取り出す。

「あたしのやつとどう違うの?」

「あなたのマジック・アイテムの場合。たとえば攻撃呪文をこめた際。ストックしていた魔力をいっきに放出するタイプなんです。
リナさんが持っているやつは、こめられる呪文に上限があるのはご存知ですよね」

あたしはうなずく。

一回解き放ってしまえば、術をこめる間はただのアミュレット。

強力な魔術をこめれば、ストック・ジュエルに負荷がかかり壊れてしまう。

どのへんまでが大丈夫なのか分からないが、中級あたりの精霊魔術は問題ないみたいなので、しいて無茶な使い方はしないようにしている。

「これは微弱に放出するタイプ。
持続時間が長く、治療などにその効果を発揮します」

いってアレンは彼を見る。

「カイルさんの肉体はすでになく、マーシュの肉体にその精神を置いている。
肉体があれば、カイルさんの精神を元の肉体に戻すこともできたんですが、たとえコピーを持ってきたとしても異なるものですからね」

「どうするつもり?」

「とりあえず・・・・・・この施設に漂う瘴気を浄化します」

「ぜんぶ?」

「話を聞く限り、精神の面では訓練を受けたカイルさん。
肉体は元の持ち主であるマーシュ。どちらか消えたりはしないでしょうが、呪法としては日がそんなにたっていないためなんとかなりそうです」

「精神を分離させるの?」

「いえ。日がそんなにたっていないとはいえ呪法は呪法・・・・・・気は進まないんですけど共生させます」

「カイルの精神ごと?」

「精神を喰いあわないよう施し・・・・・・そのあとのことは、マーシュとカイルさんの判断に任せます」

軽くため息をつく。

「瘴気にあてられてる人も別の場所にいますので、呪文はこれとリナさんのやつと、この施設とに分割させます」

「あたしを指名した理由はそれね」

「初代から続く呪いの事を知っている人間は、あなたとガウリイさん。それと俺の親戚のオリヴァーの三人ですから。
それにこの呪文を使ったら、俺は倒れますからね。まだ多くの患者さんがいるのに気を失いたくないんですが・・・・・・」

「アメリアあたりが来たら、何とかごまかしてあげる。
王宮関係者に知られたくないんでしょ。あんたの呪いの事」

「助かります」

「でもあんた。マーシュ卿のことは嫌いなんでしょ」
                       
「嫌いですよ」

即答する彼。

複雑そうな顔で。
                    ソフィア
「ですが、俺が恐れているのは 初恋の女性 のように、俺の目の前で身近な人間を失いたくないだけなんですよ」

それが好きであれ、嫌いであれ。

そう付け加え、アレンは目を閉じ・・・・・・詠うような深い旋律をつむぎ始めた。







「いや〜!やっぱ観光っていいや!最高」

一般公開されてある、スィーフィードを祀った神殿に両手を合わせる。

・・・・・・その様子を、彼を知っている同僚や部下が見たら、各方面から様々なツッコミがくるだろうが・・・・・・

彼――ヴラは、セイルーンの観光を思いっきり堪能していた。

郷に入っては郷に従え。神殿の信者に倣い、ここへ来るのが日課になりつつあるヴラである。

「ヴラさんはここへは初めて来られたんですか?」

黒髪の女性に尋ねられ、ヴラは肯定した。

「おう!息抜きに部下の目をかいくぐり、昔の同僚の部下だったやつに延々愚痴を聞いてもらおうとここまできたんだが、いっこうに見つからねぇ」

「他の街にいられるのでは?」

「いいや。ここにあいつがいるのは間違いねぇんだ」

黒髪の楚々とした女性――シルフィールはあいまいに微笑んだ。

「何故その方を探しておられるんですか?」

「あいつはなぁ。ただ長々と愚痴を聞かせてただけで、他のやつらはギブアップしちまうなかで耐えててよ。
何を思ったのかこの俺をどつき倒したんだ」

まるでリナさんみたい。

と、シルフィールは思ったが、口には出さずにいた。

「同僚たちは、そいつに『グッジョブっ!』といって笑いながら褒めるわ、部下たちは部下たちで肴にするわ。
なら愚痴ぶつけるやつはそいつだけにしようじゃないかと思いつき・・・・・・それ以降、気が向いたら愚痴を浴びせるようになった」

「・・・・・・私はこれからでなければならないので、失礼させていただきますけど、その方が見つかるといいですね」

そそくさ逃げるように離れる。

どのぐらいたっただろうか。

「・・・・・・ん?」

『それ』に気がつき、ヴラは目を細めた。

「・・・・・・ランゴートの癒しの力か。
この規模・・・・・・リーリアにしちゃ小せぇ。となると――」

口元に微笑が広がる。

「・・・・・・この気配。
やっと見つけたぜ。『ラーディ』」

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34906Re:白魔術都市狂想曲 69kou 2009/12/1 22:13:35
記事番号34904へのコメント

 こんばんは。フィーナさん。kouです。
>彼は例のネックレスを取り出す。
>
>「あたしのやつとどう違うの?」
>
>「あなたのマジック・アイテムの場合。たとえば攻撃呪文をこめた際。ストックしていた魔力をいっきに放出するタイプなんです。
>リナさんが持っているやつは、こめられる呪文に上限があるのはご存知ですよね」
>
>あたしはうなずく。
>
>一回解き放ってしまえば、術をこめる間はただのアミュレット。
>
>強力な魔術をこめれば、ストック・ジュエルに負荷がかかり壊れてしまう。
>
>どのへんまでが大丈夫なのか分からないが、中級あたりの精霊魔術は問題ないみたいなので、しいて無茶な使い方はしないようにしている。
>
>「これは微弱に放出するタイプ。
>持続時間が長く、治療などにその効果を発揮します」
 ようするに、リナが持っているタイプは一斉放出型でアレンが今持っているのは、あえて言うなら点滴みたいな感じかな?
>いってアレンは彼を見る。
>
>「カイルさんの肉体はすでになく、マーシュの肉体にその精神を置いている。
>肉体があれば、カイルさんの精神を元の肉体に戻すこともできたんですが、たとえコピーを持ってきたとしても異なるものですからね」
 たしかに、コピーと本体では違いがあるみたいですし……。
>「どうするつもり?」
>
>「とりあえず・・・・・・この施設に漂う瘴気を浄化します」
>
>「ぜんぶ?」
>
>「話を聞く限り、精神の面では訓練を受けたカイルさん。
>肉体は元の持ち主であるマーシュ。どちらか消えたりはしないでしょうが、呪法としては日がそんなにたっていないためなんとかなりそうです」
 日がたっていたらどうなっていたんでしょうか?(ふとした疑問)
>「精神を分離させるの?」
>
>「いえ。日がそんなにたっていないとはいえ呪法は呪法・・・・・・気は進まないんですけど共生させます」
>
>「カイルの精神ごと?」
>
>「精神を喰いあわないよう施し・・・・・・そのあとのことは、マーシュとカイルさんの判断に任せます」
 まぁ、その結果どういう結果になるかは……よくわからないけれど、良い結果とはあまり思えないな。
>軽くため息をつく。
>
>「瘴気にあてられてる人も別の場所にいますので、呪文はこれとリナさんのやつと、この施設とに分割させます」
>
>「あたしを指名した理由はそれね」
>
>「初代から続く呪いの事を知っている人間は、あなたとガウリイさん。それと俺の親戚のオリヴァーの三人ですから。
 ガウリィじゃ魔道関係にはつかえないし、……さらに言うなら呪いのことを覚えているかどうかあやしいし(なにげに酷い)
>それにこの呪文を使ったら、俺は倒れますからね。まだ多くの患者さんがいるのに気を失いたくないんですが・・・・・・」
>
>「アメリアあたりが来たら、何とかごまかしてあげる。
>王宮関係者に知られたくないんでしょ。あんたの呪いの事」
 まぁ、たしかに下手に王族と結婚という話になったらごめんだな。
 とくに、長女のナー――もとい、グレイシアさんとは
>「助かります」
>
>「でもあんた。マーシュ卿のことは嫌いなんでしょ」
>                       
>「嫌いですよ」
>
>即答する彼。
 即答か
>複雑そうな顔で。
>                    
>「ですが、俺が恐れているのは 初恋の女性 のように、俺の目の前で身近な人間を失いたくないだけなんですよ」
 ま、どんな形であれ身近の存在が居なくなるのはつらいですから。
 彼の場合は、呪いのせいもあいまって身近な人間を失うと言うことにトラウマになっているような気もしますが……。
>それが好きであれ、嫌いであれ。
>
>そう付け加え、アレンは目を閉じ・・・・・・詠うような深い旋律をつむぎ始めた。
>
>「いや〜!やっぱ観光っていいや!最高」
>
>一般公開されてある、スィーフィードを祀った神殿に両手を合わせる。
 両手を合わせるのってどっちかというと神社とかお寺の気がするけれど、……。
 とはいえ、kouは、神殿というのに言ったこと無いので正式な事は知りませんけれど……
>・・・・・・その様子を、彼を知っている同僚や部下が見たら、各方面から様々なツッコミがくるだろうが・・・・・・
 はっはっは
>彼――ヴラは、セイルーンの観光を思いっきり堪能していた。
 オイ………
>郷に入っては郷に従え。神殿の信者に倣い、ここへ来るのが日課になりつつあるヴラである。
>
>「ヴラさんはここへは初めて来られたんですか?」
>
>黒髪の女性に尋ねられ、ヴラは肯定した。
>
>「おう!息抜きに部下の目をかいくぐり、昔の同僚の部下だったやつに延々愚痴を聞いてもらおうとここまできたんだが、いっこうに見つからねぇ」
 それは、嫌がらせに近いのでは?
>「他の街にいられるのでは?」
>
>「いいや。ここにあいつがいるのは間違いねぇんだ」
>
>黒髪の楚々とした女性――シルフィールはあいまいに微笑んだ。
>
>「何故その方を探しておられるんですか?」
>
>「あいつはなぁ。ただ長々と愚痴を聞かせてただけで、他のやつらはギブアップしちまうなかで耐えててよ。
>何を思ったのかこの俺をどつき倒したんだ」
 それは、切れたんでは?
>まるでリナさんみたい。
>
>と、シルフィールは思ったが、口には出さずにいた。
>
>「同僚たちは、そいつに『グッジョブっ!』といって笑いながら褒めるわ、部下たちは部下たちで肴にするわ。
 ようするに、ヴラあんたって愚痴が長いという意味では?
>なら愚痴ぶつけるやつはそいつだけにしようじゃないかと思いつき・・・・・・それ以降、気が向いたら愚痴を浴びせるようになった」
 それって、要するに未だ根に持っている陰険野郎と言われてもしょうがないんじゃ……。
>「・・・・・・私はこれからでなければならないので、失礼させていただきますけど、その方が見つかるといいですね」
>
>そそくさ逃げるように離れる。
 つか、逃げたんじゃ
>どのぐらいたっただろうか。
>
>「・・・・・・ん?」
>
>『それ』に気がつき、ヴラは目を細めた。
>
>「・・・・・・ランゴートの癒しの力か。
>この規模・・・・・・リーリアにしちゃ小せぇ。となると――」
>
>口元に微笑が広がる。
>
>「・・・・・・この気配。
>やっと見つけたぜ。『ラーディ』」
 アレン……。一難去って(去ったかどうかは謎だけど)また一難?
 もしくは、踏んだり蹴ったりか泣きっ面に蜂だな。
 いっそのこと、兎の足でも持ち歩いたらどうでしょうか?
 なんでも、お守りになるらしいですよ。(ぐろいけど)
 以上、kouでした。

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34908Re:白魔術都市狂想曲 69フィーナ 2009/12/2 21:32:51
記事番号34906へのコメント


> こんばんは。フィーナさん。kouです。
kouさんこんばんは。
>>彼は例のネックレスを取り出す。
>>「これは微弱に放出するタイプ。
>>持続時間が長く、治療などにその効果を発揮します」
> ようするに、リナが持っているタイプは一斉放出型でアレンが今持っているのは、あえて言うなら点滴みたいな感じかな?
微弱に放出するタイプで、たとえるならリナのが普通のマッサージ機。アレンさんのは電流とかの低周波マッサージ?
>>肉体があれば、カイルさんの精神を元の肉体に戻すこともできたんですが、たとえコピーを持ってきたとしても異なるものですからね」
> たしかに、コピーと本体では違いがあるみたいですし……。
もうカイルの肉体は『死んで』いるわけですから。
>>「話を聞く限り、精神の面では訓練を受けたカイルさん。
>>肉体は元の持ち主であるマーシュ。どちらか消えたりはしないでしょうが、呪法としては日がそんなにたっていないためなんとかなりそうです」
> 日がたっていたらどうなっていたんでしょうか?(ふとした疑問)
アルベルト卿やキールたちの二の舞になっていました。
>>「精神を喰いあわないよう施し・・・・・・そのあとのことは、マーシュとカイルさんの判断に任せます」
> まぁ、その結果どういう結果になるかは……よくわからないけれど、良い結果とはあまり思えないな。
そうですね。苦労しそうです。
>>「初代から続く呪いの事を知っている人間は、あなたとガウリイさん。それと俺の親戚のオリヴァーの三人ですから。
> ガウリィじゃ魔道関係にはつかえないし、……さらに言うなら呪いのことを覚えているかどうかあやしいし(なにげに酷い)
うちのガウリイは、時折爆弾を投下するタイプみたいです。
>>「アメリアあたりが来たら、何とかごまかしてあげる。
>>王宮関係者に知られたくないんでしょ。あんたの呪いの事」
> まぁ、たしかに下手に王族と結婚という話になったらごめんだな。
> とくに、長女のナー――もとい、グレイシアさんとは
政治的に利用された記憶もありますから。  
>>「ですが、俺が恐れているのは 初恋の女性 のように、俺の目の前で身近な人間を失いたくないだけなんですよ」
> ま、どんな形であれ身近の存在が居なくなるのはつらいですから。
> 彼の場合は、呪いのせいもあいまって身近な人間を失うと言うことにトラウマになっているような気もしますが……。
完全にトラウマになっています。
呪いの発動条件は、それですから。
>>一般公開されてある、スィーフィードを祀った神殿に両手を合わせる。
> 両手を合わせるのってどっちかというと神社とかお寺の気がするけれど、……。
> とはいえ、kouは、神殿というのに言ったこと無いので正式な事は知りませんけれど……
私も知りません。気にしないでスルーしてください。
>>・・・・・・その様子を、彼を知っている同僚や部下が見たら、各方面から様々なツッコミがくるだろうが・・・・・・
> はっはっは
>>彼――ヴラは、セイルーンの観光を思いっきり堪能していた。
> オイ………
>>「おう!息抜きに部下の目をかいくぐり、昔の同僚の部下だったやつに延々愚痴を聞いてもらおうとここまできたんだが、いっこうに見つからねぇ」
> それは、嫌がらせに近いのでは?
ヴラはラーディを気に入っていますから。
>>「あいつはなぁ。ただ長々と愚痴を聞かせてただけで、他のやつらはギブアップしちまうなかで耐えててよ。
>>何を思ったのかこの俺をどつき倒したんだ」
> それは、切れたんでは?
ぶちっとキレました。
>>「同僚たちは、そいつに『グッジョブっ!』といって笑いながら褒めるわ、部下たちは部下たちで肴にするわ。
> ようするに、ヴラあんたって愚痴が長いという意味では?
愚痴を言い終わった後、別の話に移るというからある意味恐ろしい。
>>なら愚痴ぶつけるやつはそいつだけにしようじゃないかと思いつき・・・・・・それ以降、気が向いたら愚痴を浴びせるようになった」
> それって、要するに未だ根に持っている陰険野郎と言われてもしょうがないんじゃ……。
事実は、同僚ならいざ知らず、まさかその同僚の部下にどつかれるなんて思ってもみなかったヴラが物怖じしないラーディを気に入ったという。
>>「・・・・・・私はこれからでなければならないので、失礼させていただきますけど、その方が見つかるといいですね」
>>そそくさ逃げるように離れる。
> つか、逃げたんじゃ
>>『それ』に気がつき、ヴラは目を細めた。
>>「・・・・・・ランゴートの癒しの力か。
>>この規模・・・・・・リーリアにしちゃ小せぇ。となると――」
>>口元に微笑が広がる。
>>「・・・・・・この気配。
>>やっと見つけたぜ。『ラーディ』」
> アレン……。一難去って(去ったかどうかは謎だけど)また一難?
> もしくは、踏んだり蹴ったりか泣きっ面に蜂だな。
ご対面まであと少し。
> いっそのこと、兎の足でも持ち歩いたらどうでしょうか?
> なんでも、お守りになるらしいですよ。(ぐろいけど)
本人曰くウサギの足…ンなお守り持ちたくないそーです。

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34907Re:白魔術都市狂想曲 69セス 2009/12/1 22:44:50
記事番号34904へのコメント

こんばんは、フィーナさん。

>
>「いや〜!やっぱ観光っていいや!最高」
>
>一般公開されてある、スィーフィードを祀った神殿に両手を合わせる。
をい・・・
この方、結構偉い(?)のに常に気取らず飄々としてますね・・・
>
>・・・・・・その様子を、彼を知っている同僚や部下が見たら、各方面から様々なツッコミがくるだろうが・・・・・・
>
>彼――ヴラは、セイルーンの観光を思いっきり堪能していた。
>
>郷に入っては郷に従え。神殿の信者に倣い、ここへ来るのが日課になりつつあるヴラである。
>
>「ヴラさんはここへは初めて来られたんですか?」
>
>黒髪の女性に尋ねられ、ヴラは肯定した。
>
>「おう!息抜きに部下の目をかいくぐり、昔の同僚の部下だったやつに延々愚痴を聞いてもらおうとここまできたんだが、いっこうに見つからねぇ」
>
>「他の街にいられるのでは?」
>
>「いいや。ここにあいつがいるのは間違いねぇんだ」
>
>黒髪の楚々とした女性――シルフィールはあいまいに微笑んだ。
>
>「何故その方を探しておられるんですか?」
>
>「あいつはなぁ。ただ長々と愚痴を聞かせてただけで、他のやつらはギブアップしちまうなかで耐えててよ。
>何を思ったのかこの俺をどつき倒したんだ」
>
>まるでリナさんみたい。
>
>と、シルフィールは思ったが、口には出さずにいた。
たぶんリナならスリッパでどつくんでしょうね
>
>「同僚たちは、そいつに『グッジョブっ!』といって笑いながら褒めるわ、部下たちは部下たちで肴にするわ。
>なら愚痴ぶつけるやつはそいつだけにしようじゃないかと思いつき・・・・・・それ以降、気が向いたら愚痴を浴びせるようになった」
・・・結構ねちっこくからむタチなんですね
>

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34909Re:白魔術都市狂想曲 69フィーナ 2009/12/2 21:40:56
記事番号34907へのコメント


>こんばんは、フィーナさん。
こんばんは。セスさん。
>>一般公開されてある、スィーフィードを祀った神殿に両手を合わせる。
>をい・・・
>この方、結構偉い(?)のに常に気取らず飄々としてますね・・・
我が道を行くヴラです。
>>「あいつはなぁ。ただ長々と愚痴を聞かせてただけで、他のやつらはギブアップしちまうなかで耐えててよ。
>>何を思ったのかこの俺をどつき倒したんだ」
>たぶんリナならスリッパでどつくんでしょうね
もしくは攻撃呪文。
>>「同僚たちは、そいつに『グッジョブっ!』といって笑いながら褒めるわ、部下たちは部下たちで肴にするわ。
>>なら愚痴ぶつけるやつはそいつだけにしようじゃないかと思いつき・・・・・・それ以降、気が向いたら愚痴を浴びせるようになった」
>・・・結構ねちっこくからむタチなんですね
気に入ってるから、かまってほしいみたいです。
それとラーディの性格は…アレンさんとは違うといっておきます。

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34914白魔術都市狂想曲 70フィーナ 2009/12/5 18:08:18
記事番号34739へのコメント


以前のような不思議な旋律と、『力ある言葉』をアレンが言ったとたん、強力な癒しの波動が辺りを包んだ。

その波動は治療室のみならず、この施設を丸々覆うほど。

それが収まったあと。

どさっ

アレンは崩れ落ちるように倒れた。

あたしは腰にさしてあるショート・ソードと、彼から譲り受けたマジック・アイテムに目をやった。

二つとも、共に淡い輝きを放っている。

「・・・・・・うーん」

持ち逃げするなと念を押された手前、いくらあたしとてこの非常時にマジック・アイテムを持ち逃げしようとするなんて――

ないわけではないが、それはあくまで一連の事件が片付き、治療が終わるまではしない。

しばらくすると、数人の神官たちがやってきた。

割と健康そうな顔をした面々である。

「あれ?あんた誰だ?」

「・・・・・・もしかして瘴気に当てられていた神官たち?」

聞き返すあたしに、彼らは顔を見合わせる。

「なんでそのことを?」

「えっと、あたしの知り合いが倒れた時、治療してくれた人に似てるなって」

「ああ。もう何十人以上も治療してて覚えてないが、そのうちの子か」

覚えてるも何も、彼らとは初対面である。

口からでまかせのあたしのセリフに、納得してくれる神官たち。

・・・・・・どうやら今の術で、施設の中わずかに漂っていた瘴気だけでなく。

寝込んでいた神官たちの、瘴気の毒素まで浄化したみたいである。

「おい。ほかのやつはどうした」

うちひとりが倒れているアレンを揺り動かす。

「だめだ気を失ってる」

「おーかた、徹夜が続いてぶっ倒れたんだろう」

信憑性のあることを言う神官その一。

そのセリフに、他の神官たちは納得したらしく、それぞれ作業に取り掛かった。

このぶんだと、マーシュ卿もカイルも、そう遠くないうちに目覚めるだろう。

ひとりの老神官がこちらを振り返った。

「患者をここまで連れてきてくれたんですね」

「まあ・・・・・・」

つれてきたというのは本当なので、あたしは言葉を濁してそう答えた。

「ここから先は我々に任せていただきたい」

あたしは小さくうなずき、その治療室を出た。







あたしが治療室を出たあと、ゼルたちと行き会った。

「あいつは?」

「治療室よ」

物問いげな視線を感じつつ、そういった。

「・・・・・・ああもう!
お前治療の邪魔!寝るんなら仮眠室で寝ろよなっ!」

一人の神官が、ぶつくさいいながらアレンを抱え、仮眠室へと連行していく。

「いくら徹夜が続いたからっていって、治療の最中に寝るやつがいるか!?」

悪態をつきながら、アレンをずりずり引きずっていく。

「・・・・・・先ほどの力の流れは、あいつの仕業か」

「聞いてどうするつもり?」

「どうするつもりもない」

いって言葉を切る。

「ただ」

「ただ?」

「人に知られたくないことの一つや二つ、誰にだってある。
それを無闇につつくつもりはないが、あんたがそれを知っていてアメリアに公言していない理由を知りたい」

ゼルの気持ちはわからんでもない。

「ゼル。あんたはそれを知ってアメリア・・・・・・
この場合は王宮関係者といったほうがいいわね――に知らせるつもりはないの?」

「いっただろう。どうするつもりもないと。
それにおれは、色々と悪事を働いていたし、王宮の世話になるつもりはない」

・・・・・・ふむ。

にわかに、施設の入り口が騒がしくなった。

『ラーディ!でてこいやおらっ!
てめぇがここにいるのは、わかってんだぞっ!』

常套句なセリフをいっているその声には覚えがある。

――ヴラ。

「なあ・・・・・・リナ」

「なに?」

「あのおっさん取り立て屋だったんだな」

「ちがうって。説得力あるけど」

ガウリイがそう思うのも無理からぬことである。

「・・・・・・ガウリイの旦那」

「ん?」

「あんたに聞くだけ無駄だろうが、入り口で喚いているやつと知り合いなのか?」

「知り合いっつーか・・・・・・
なんっつーか・・・・・・なんていうんだろ?」

そこでなんであたしにふるか。

「知り合いには違いないわね」

とりあえずそう答えておく。

・・・・・・しっかしヴラ。

・・・・・・借金取りじゃあるまいし・・・・・・

チンピラかあんたは?







施設の入り口で、ヴラは警備の人ともめていた。

ごめん。

関わりたくないです。

「どうするんだ?リナ」

「他人の振りしてこの場を去る」

ガウリイの問いにそう答え、あたしは迷うことなく回れ右をして――

「およ?リナじゃねぇか」

ヴラに気づかれ、あえなくそれは果たせなくなった。

このような状況でも、人というのは野次馬根性というのがあるようで。

先ほどまでは人の数も少なくまばらだったのに、いつの間にやら人が集まっていたりする。

ざざざ・・・!

その視線が一斉にこちらに向けられる。

ゼルはというと、大勢の視線にさらされるのが相変わらずイヤらしく――

他人のふりして、ガウリイと一緒に避難してるし。

・・・・・・ああ。

警備兵と野次馬連中の視線がイタひ。

「なんだ君。そいつと知り合いなのか」

「いや・・・・・・知り合いっていうか」

一人の警備の人にそういわれ、どう答えようか迷うあたし。

「知り合いなら引き取ってもらいたいんだが」

「いやだから」

「こちらも仕事で忙しいんだ」

「ちょっと人の話を」

「じゃあ頼んだよ」

こちらの言葉に耳を貸そうともせず、一方的にそう言い放って去っていく。

「見事なまでのお役所仕事だなぁ」

なにやら感心した様子でいうヴラ。

「そうだなー」

それに同意しつつ、こちらに寄ってくるガウリイ。

見世物は終わったといわんばかりに、野次馬連中も各々散っていき――

すこしおくれて、ゼルガディスもよーやく人がいなくなるのを確認してから、こちらにやってきた。

あとには、あたしとヴラ。

そして他人のふりをして、こちらの様子を見ていたガウリイとゼルの四人になった。

「・・・・・・あんたは?」

ゼルの問いに、彼はいたって気楽に、

「んあ?ああ俺は観光と、あとこっちに知り合いが生きてたら、久々に愚痴でも聞いてもらおうかと思ってやってきたんだ」

「・・・・・・生きてたら?」

「少し前にあった戦いで、同僚とも連絡が取れなくなってな。
こっちのほうにこられることがわかって、部下たちの目をかいくぐり観光のついでに、ちょっと視察でもしておこうと思ってきた」

「・・・・・・普通は観光のほうがついでのような気がするんだが」

「気分の問題だろ?」

「リナたちとは知り合いみたいだが」

「おいおい。質問ばっかりだな」

ヴラは、苦笑を浮かべる。

「まあいいか。リナたちとは、人里はなれた村で知り合ってな。
このへんで大きな都市が、このセイルーンだということを教えてもらったわけさ」

「・・・・・・この辺の地理を知らないのか?」

訝しげな様子でいうゼル。

いくら観光しに来たとはいえ、あるていどは知っていてもいいのにと、その顔は語っている。

「・・・・・・ガウリイの旦那のような奴もいることだし、一概にはできんか」

「いやぁ」

照れた様子でいうガウリイ。

「・・・・・・いっておくが褒めてないぞ。旦那」

そんなガウリイに冷静な突っ込みをいれるゼル。

「けどおっさんも、冬の間は大変だよなー」

ガウリイはのほほーんと言った。

「冬も何も、今は春じゃないの」

「いやー・・・・・・だってよー。
トカゲの親分ともなると、冬眠とか大変だろ?」

・・・・・・おいガウリイ。

「知ってたのガウリイ!?」

「なにがだ?」

驚愕するあたしに、ガウリイはきょとんとした顔でそういった。

「なにがって・・・・・・ヴラのことよヴラのこと!」

「ああ。以前どこかであったような気がするっていっただろ?」

・・・・・・言った。

確かに言った。

ヴラと初めて顔を合わせたときに、こいつは確かにそういっていた。

「でっかいトカゲのおっさんとか」

「ミルガズィアさんよ」
  ドラゴンズ・ピーク
「竜 た ち の 峰 で知り合った黄金竜の長老のことか」

さすがガウリイと違い・・・・・・まあ、比べること自体ゼルに失礼かもしれないが。

ゼロスやフィブリゾ。
                                  クレアバイブル
ガーヴたちがぞろぞろ害虫のようにしゃしゃりでてきた 異 界 黙 示 録 オリジナルのところまで案内してくれた人(というより竜)のことだと覚えていたようである。

覇王の暗躍のとき、彼とエルフ族の娘メフィ――メンフィスとは色々世話になったのだが。

「あの兄ちゃんがなんとかって魔族の人に使ってたやつの気配と似てたからな〜」

・・・・・・いや。

そんな何てこと無いように言われても。

「おい旦那。それにリナも。
さっきから何の話をしてるんだ?そのヴラとかいったか・・・・・・そいつをトカゲの親分とか冬眠ってのは」

ガウリイのセリフに、どうリアクションをしていいのか。

「そのトカゲの親分ってのはよしてくれ。
一応火竜王ヴラバザードって名前があるんだからよ」

「なに!?」

絶句するゼル。

「今は観光している身なんで、気軽にヴラって呼んでくれ。
・・・・・・長ったらしいのはあんま好きじゃねぇんだ」

「けどあちこち遊びまわってていいの?」

「気の利いた部下の計らいでな。
そいつには土産に、師匠の服をモチーフにしたやつを送ろうかと思ってる」

「きくけどその部下って女?」

「いや男」

をい。

「パッドつけたら喜ぶかもな」

やめろって。

嫌がらせにしかならんぞ!

・・・・・・いや。

それとも人間とはセンスが違うみたいだから、案外喜ばれるかも。

ヴラバザード――ヴラのセリフに、そうは思ったが口に出さないでおいた。

いって聞くような奴ではないと思ったからだ。

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34918Re:白魔術都市狂想曲 70ホリ 2009/12/5 23:46:24
記事番号34914へのコメント


 こんばんは、フィーナさん。
 ふと見てみると、こまめにレスをしないホリです。
 ・・・・・・我ながら失礼な奴だと思いつつ、
>以前のような不思議な旋律と、『力ある言葉』をアレンが言ったとたん、強力な癒しの波動が辺りを包んだ。
>
>その波動は治療室のみならず、この施設を丸々覆うほど。
>
>それが収まったあと。
>
>どさっ
>
>アレンは崩れ落ちるように倒れた。
>
>あたしは腰にさしてあるショート・ソードと、彼から譲り受けたマジック・アイテムに目をやった。
>
>二つとも、共に淡い輝きを放っている。
>
>「・・・・・・うーん」
>
>持ち逃げするなと念を押された手前、いくらあたしとてこの非常時にマジック・アイテムを持ち逃げしようとするなんて――
>
>ないわけではないが、それはあくまで一連の事件が片付き、治療が終わるまではしない。
 否定しないところがリナらしいですが、悲しいところでもありますね。
>
>しばらくすると、数人の神官たちがやってきた。
>
>割と健康そうな顔をした面々である。
>
>「あれ?あんた誰だ?」
>
>「・・・・・・もしかして瘴気に当てられていた神官たち?」
>
>聞き返すあたしに、彼らは顔を見合わせる。
>
>「なんでそのことを?」
>
>「えっと、あたしの知り合いが倒れた時、治療してくれた人に似てるなって」
>
>「ああ。もう何十人以上も治療してて覚えてないが、そのうちの子か」
>
>覚えてるも何も、彼らとは初対面である。
 まあ、彼等が覚えていなくても仕方がないのではありますね。
>口からでまかせのあたしのセリフに、納得してくれる神官たち。
>
>・・・・・・どうやら今の術で、施設の中わずかに漂っていた瘴気だけでなく。
>
>寝込んでいた神官たちの、瘴気の毒素まで浄化したみたいである。
 だから、彼等はわりと健康そうなのですか。
>「おい。ほかのやつはどうした」
>
>うちひとりが倒れているアレンを揺り動かす。
>
>「だめだ気を失ってる」
>
>「おーかた、徹夜が続いてぶっ倒れたんだろう」
>
>信憑性のあることを言う神官その一。
>
>そのセリフに、他の神官たちは納得したらしく、それぞれ作業に取り掛かった。
>
>このぶんだと、マーシュ卿もカイルも、そう遠くないうちに目覚めるだろう。
 目覚めた後、どういう反応を示すのかは分からないけど・・・。
>ひとりの老神官がこちらを振り返った。
>
>「患者をここまで連れてきてくれたんですね」
>
>「まあ・・・・・・」
>
>つれてきたというのは本当なので、あたしは言葉を濁してそう答えた。
>
>「ここから先は我々に任せていただきたい」
>
>あたしは小さくうなずき、その治療室を出た。
>
>
>
>
>
>
>
>あたしが治療室を出たあと、ゼルたちと行き会った。
>
>「あいつは?」
>
>「治療室よ」
>
>物問いげな視線を感じつつ、そういった。
>
>「・・・・・・ああもう!
>お前治療の邪魔!寝るんなら仮眠室で寝ろよなっ!」
 寝ていると言うより、気絶しているのでは?
>一人の神官が、ぶつくさいいながらアレンを抱え、仮眠室へと連行していく。
>
>「いくら徹夜が続いたからっていって、治療の最中に寝るやつがいるか!?」
>
>悪態をつきながら、アレンをずりずり引きずっていく。
 哀れというか何というか・・・・・・ようは運がないんですね。
>「・・・・・・先ほどの力の流れは、あいつの仕業か」
>
>「聞いてどうするつもり?」
>
>「どうするつもりもない」
>
>いって言葉を切る。
>
>「ただ」
>
>「ただ?」
>
>「人に知られたくないことの一つや二つ、誰にだってある。
>それを無闇につつくつもりはないが、あんたがそれを知っていてアメリアに公言していない理由を知りたい」
>
>ゼルの気持ちはわからんでもない。
>
>「ゼル。あんたはそれを知ってアメリア・・・・・・
>この場合は王宮関係者といったほうがいいわね――に知らせるつもりはないの?」
>
>「いっただろう。どうするつもりもないと。
>それにおれは、色々と悪事を働いていたし、王宮の世話になるつもりはない」
 お世話になる時は、捕まった時とかになるんでしょうか?
>・・・・・・ふむ。
>
>にわかに、施設の入り口が騒がしくなった。
>
>『ラーディ!でてこいやおらっ!
>てめぇがここにいるのは、わかってんだぞっ!』
>
>常套句なセリフをいっているその声には覚えがある。
>
>――ヴラ。
>
>「なあ・・・・・・リナ」
>
>「なに?」
>
>「あのおっさん取り立て屋だったんだな」
>
>「ちがうって。説得力あるけど」
 でも、かなり説得力はある。周りから見たら絶対そう思うし。
>ガウリイがそう思うのも無理からぬことである。
>
>「・・・・・・ガウリイの旦那」
>
>「ん?」
>
>「あんたに聞くだけ無駄だろうが、入り口で喚いているやつと知り合いなのか?」
>
>「知り合いっつーか・・・・・・
>なんっつーか・・・・・・なんていうんだろ?」
 なんか知らないけど、不運にも出会ってしまった・・・・・・そんなふうに思っているのでしょうかね〜。ガウリイさんは
>そこでなんであたしにふるか。
 困った時はリナにふりますね、彼は。
>「知り合いには違いないわね」
>
>とりあえずそう答えておく。
>
>・・・・・・しっかしヴラ。
>
>・・・・・・借金取りじゃあるまいし・・・・・・
>
>チンピラかあんたは?
 場合によってはチンピラよりもたちが悪そうな・・・・・・?
>
>
>
>
>
>
>施設の入り口で、ヴラは警備の人ともめていた。
>
>ごめん。
>
>関わりたくないです。
 警備の人もそう思っている事でしょうね。
>「どうするんだ?リナ」
>
>「他人の振りしてこの場を去る」
>
>ガウリイの問いにそう答え、あたしは迷うことなく回れ右をして――
>
>「およ?リナじゃねぇか」
>
>ヴラに気づかれ、あえなくそれは果たせなくなった。
>
>このような状況でも、人というのは野次馬根性というのがあるようで。
>
>先ほどまでは人の数も少なくまばらだったのに、いつの間にやら人が集まっていたりする。
>
>ざざざ・・・!
>
>その視線が一斉にこちらに向けられる。
>
>ゼルはというと、大勢の視線にさらされるのが相変わらずイヤらしく――
>
>他人のふりして、ガウリイと一緒に避難してるし。
>
>・・・・・・ああ。
>
>警備兵と野次馬連中の視線がイタひ。
>
>「なんだ君。そいつと知り合いなのか」
>
>「いや・・・・・・知り合いっていうか」
>
>一人の警備の人にそういわれ、どう答えようか迷うあたし。
>
>「知り合いなら引き取ってもらいたいんだが」
>
>「いやだから」
 そんなに親しくないし、とか思っていそうだ。
>「こちらも仕事で忙しいんだ」
>
>「ちょっと人の話を」
>
>「じゃあ頼んだよ」
>
>こちらの言葉に耳を貸そうともせず、一方的にそう言い放って去っていく。
>
>「見事なまでのお役所仕事だなぁ」
>
>なにやら感心した様子でいうヴラ。
 原因はヴラなんですけどね。
>「そうだなー」
>
>それに同意しつつ、こちらに寄ってくるガウリイ。
 空気は読めるようですね、ガウリイさん。
>見世物は終わったといわんばかりに、野次馬連中も各々散っていき――
>
>すこしおくれて、ゼルガディスもよーやく人がいなくなるのを確認してから、こちらにやってきた。
>
>あとには、あたしとヴラ。
>
>そして他人のふりをして、こちらの様子を見ていたガウリイとゼルの四人になった。
>
>「・・・・・・あんたは?」
>
>ゼルの問いに、彼はいたって気楽に、
>
>「んあ?ああ俺は観光と、あとこっちに知り合いが生きてたら、久々に愚痴でも聞いてもらおうかと思ってやってきたんだ」
>
>「・・・・・・生きてたら?」
>
>「少し前にあった戦いで、同僚とも連絡が取れなくなってな。
>こっちのほうにこられることがわかって、部下たちの目をかいくぐり観光のついでに、ちょっと視察でもしておこうと思ってきた」
>
>「・・・・・・普通は観光のほうがついでのような気がするんだが」
>
>「気分の問題だろ?」
>
>「リナたちとは知り合いみたいだが」
>
>「おいおい。質問ばっかりだな」
>
>ヴラは、苦笑を浮かべる。
>
>「まあいいか。リナたちとは、人里はなれた村で知り合ってな。
>このへんで大きな都市が、このセイルーンだということを教えてもらったわけさ」
>
>「・・・・・・この辺の地理を知らないのか?」
>
>訝しげな様子でいうゼル。
>
>いくら観光しに来たとはいえ、あるていどは知っていてもいいのにと、その顔は語っている。
>
>「・・・・・・ガウリイの旦那のような奴もいることだし、一概にはできんか」
>
>「いやぁ」
>
>照れた様子でいうガウリイ。
 照れてどうする・・・・・・。
>「・・・・・・いっておくが褒めてないぞ。旦那」
>
>そんなガウリイに冷静な突っ込みをいれるゼル。
>
>「けどおっさんも、冬の間は大変だよなー」
>
>ガウリイはのほほーんと言った。
>
>「冬も何も、今は春じゃないの」
>
>「いやー・・・・・・だってよー。
>トカゲの親分ともなると、冬眠とか大変だろ?」
>
>・・・・・・おいガウリイ。
>
>「知ってたのガウリイ!?」
>
>「なにがだ?」
>
>驚愕するあたしに、ガウリイはきょとんとした顔でそういった。
>
>「なにがって・・・・・・ヴラのことよヴラのこと!」
>
>「ああ。以前どこかであったような気がするっていっただろ?」
>
>・・・・・・言った。
>
>確かに言った。
>
>ヴラと初めて顔を合わせたときに、こいつは確かにそういっていた。
>
>「でっかいトカゲのおっさんとか」
 まだ、名を覚えていないのか。
 この様子だと、メフィはどう覚えている事やら・・・
>「ミルガズィアさんよ」
>  ドラゴンズ・ピーク
>「竜 た ち の 峰 で知り合った黄金竜の長老のことか」
>
>さすがガウリイと違い・・・・・・まあ、比べること自体ゼルに失礼かもしれないが。
>
>ゼロスやフィブリゾ。
>                                  クレアバイブル
>ガーヴたちがぞろぞろ害虫のようにしゃしゃりでてきた 異 界 黙 示 録 オリジナルのところまで案内してくれた人(というより竜)のことだと覚えていたようである。
>
>覇王の暗躍のとき、彼とエルフ族の娘メフィ――メンフィスとは色々世話になったのだが。
>
>「あの兄ちゃんがなんとかって魔族の人に使ってたやつの気配と似てたからな〜」
>
>・・・・・・いや。
>
>そんな何てこと無いように言われても。
 普通は分からないですよね。
 ガウリイはそう言う能力が長けている代わりに、記憶力がないんじゃないのかと思います。
>「おい旦那。それにリナも。
>さっきから何の話をしてるんだ?そのヴラとかいったか・・・・・・そいつをトカゲの親分とか冬眠ってのは」
>
>ガウリイのセリフに、どうリアクションをしていいのか。
>
>「そのトカゲの親分ってのはよしてくれ。
>一応火竜王ヴラバザードって名前があるんだからよ」
 トカゲの親分と火竜王が結びつく事は普通はないですね。
>「なに!?」
>
>絶句するゼル。
>
>「今は観光している身なんで、気軽にヴラって呼んでくれ。
>・・・・・・長ったらしいのはあんま好きじゃねぇんだ」
>
>「けどあちこち遊びまわってていいの?」
>
>「気の利いた部下の計らいでな。
>そいつには土産に、師匠の服をモチーフにしたやつを送ろうかと思ってる」
>
>「きくけどその部下って女?」
>
>「いや男」
>
>をい。
>
>「パッドつけたら喜ぶかもな」
>
>やめろって。
>
>嫌がらせにしかならんぞ!
>
>・・・・・・いや。
>
>それとも人間とはセンスが違うみたいだから、案外喜ばれるかも。
 いや〜。無理だと思う。
>ヴラバザード――ヴラのセリフに、そうは思ったが口に出さないでおいた。
>
>いって聞くような奴ではないと思ったからだ。
>
 以上、ホリでした。

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34923Re:白魔術都市狂想曲 70フィーナ 2009/12/6 22:51:34
記事番号34918へのコメント



> こんばんは、フィーナさん。
こんばんは。ホリさん。
> ふと見てみると、こまめにレスをしないホリです。
> ・・・・・・我ながら失礼な奴だと思いつつ、
いえいえ。そんなことありませんよ。
割とヴラの正体気づいていたかもしれませんが。
>>持ち逃げするなと念を押された手前、いくらあたしとてこの非常時にマジック・アイテムを持ち逃げしようとするなんて――
>>ないわけではないが、それはあくまで一連の事件が片付き、治療が終わるまではしない。
> 否定しないところがリナらしいですが、悲しいところでもありますね。
二つともリナの懐の中ですか。
誰かに渡さないと、本当に持ち逃げされそうです。
>>覚えてるも何も、彼らとは初対面である。
> まあ、彼等が覚えていなくても仕方がないのではありますね。
アレンさんの先ほどの呪文。
ランゴートの力を借りてるだけあって、かなり強力です。
>>寝込んでいた神官たちの、瘴気の毒素まで浄化したみたいである。
> だから、彼等はわりと健康そうなのですか。
瘴気だけでなく、重病人以外の体力を回復させています。
>>このぶんだと、マーシュ卿もカイルも、そう遠くないうちに目覚めるだろう。
> 目覚めた後、どういう反応を示すのかは分からないけど・・・。
彼に聞くのはリナとして、問題はアメリアさん。
この人とんでもないこと…
>>「・・・・・・ああもう!
>>お前治療の邪魔!寝るんなら仮眠室で寝ろよなっ!」
> 寝ていると言うより、気絶しているのでは?
>>一人の神官が、ぶつくさいいながらアレンを抱え、仮眠室へと連行していく。
>>「いくら徹夜が続いたからっていって、治療の最中に寝るやつがいるか!?」
>>悪態をつきながら、アレンをずりずり引きずっていく。
> 哀れというか何というか・・・・・・ようは運がないんですね。
不運なんです。
不幸体質なんです。とばっちりを受けやすいんです。
>>「人に知られたくないことの一つや二つ、誰にだってある。
>>それを無闇につつくつもりはないが、あんたがそれを知っていてアメリアに公言していない理由を知りたい」
>>「ゼル。あんたはそれを知ってアメリア・・・・・・
>>この場合は王宮関係者といったほうがいいわね――に知らせるつもりはないの?」
>>「いっただろう。どうするつもりもないと。
>>それにおれは、色々と悪事を働いていたし、王宮の世話になるつもりはない」
> お世話になる時は、捕まった時とかになるんでしょうか?
アメリア個人とは、仲間として信頼してますが、王宮って華やかなだけでなく汚れ仕事もあるんですよ。
>>『ラーディ!でてこいやおらっ!
>>てめぇがここにいるのは、わかってんだぞっ!』
>>常套句なセリフをいっているその声には覚えがある。
>>――ヴラ。
>>「なあ・・・・・・リナ」
>>「なに?」
>>「あのおっさん取り立て屋だったんだな」
>>「ちがうって。説得力あるけど」
> でも、かなり説得力はある。周りから見たら絶対そう思うし。
今のところ全然それらしくありませんけど、彼は人とは違うドライな面を見せそうです。
>>「知り合いっつーか・・・・・・
>>なんっつーか・・・・・・なんていうんだろ?」
> なんか知らないけど、不運にも出会ってしまった・・・・・・そんなふうに思っているのでしょうかね〜。ガウリイさんは
いい言葉が思いつかない。なんていえばいいんだ?そんなかんじです。
>>そこでなんであたしにふるか。
> 困った時はリナにふりますね、彼は。
いざというときはガウリイが精神的に支え、普段はリナが仕切る。
……どっちが保護者なんでしょうか。
>>・・・・・・しっかしヴラ。
>>・・・・・・借金取りじゃあるまいし・・・・・・
>>チンピラかあんたは?
> 場合によってはチンピラよりもたちが悪そうな・・・・・・?
チンピラよりも、ある意味たちが悪いのは確かです。
>>施設の入り口で、ヴラは警備の人ともめていた。
>>ごめん。
>>関わりたくないです。
> 警備の人もそう思っている事でしょうね。
思っていますよ。
>>「どうするんだ?リナ」
>>「他人の振りしてこの場を去る」
>>ガウリイの問いにそう答え、あたしは迷うことなく回れ右をして――
>>「なんだ君。そいつと知り合いなのか」
>>「いや・・・・・・知り合いっていうか」
>>一人の警備の人にそういわれ、どう答えようか迷うあたし。
>>「知り合いなら引き取ってもらいたいんだが」
>>「いやだから」
> そんなに親しくないし、とか思っていそうだ。
>>「こちらも仕事で忙しいんだ」
>>「ちょっと人の話を」
>>「じゃあ頼んだよ」
>>こちらの言葉に耳を貸そうともせず、一方的にそう言い放って去っていく。
>>「見事なまでのお役所仕事だなぁ」
>>なにやら感心した様子でいうヴラ。
> 原因はヴラなんですけどね。
いたってマイペースです。
>>「そうだなー」
>>それに同意しつつ、こちらに寄ってくるガウリイ。
> 空気は読めるようですね、ガウリイさん。
ガウリイはKYですよ。
ただ終わったようなので近づいただけで。
>>「まあいいか。リナたちとは、人里はなれた村で知り合ってな。
>>このへんで大きな都市が、このセイルーンだということを教えてもらったわけさ」
>>「・・・・・・この辺の地理を知らないのか?」
>>訝しげな様子でいうゼル。
>>いくら観光しに来たとはいえ、あるていどは知っていてもいいのにと、その顔は語っている。
>>「・・・・・・ガウリイの旦那のような奴もいることだし、一概にはできんか」
>>「いやぁ」
>>照れた様子でいうガウリイ。
> 照れてどうする・・・・・・。
同感です。
>>「けどおっさんも、冬の間は大変だよなー」
>>ガウリイはのほほーんと言った。
>>「冬も何も、今は春じゃないの」
>>「いやー・・・・・・だってよー。
>>トカゲの親分ともなると、冬眠とか大変だろ?」
>>・・・・・・おいガウリイ。
>>「知ってたのガウリイ!?」
>>「なにがだ?」
>>驚愕するあたしに、ガウリイはきょとんとした顔でそういった。
>>「なにがって・・・・・・ヴラのことよヴラのこと!」
>>「ああ。以前どこかであったような気がするっていっただろ?」
>>・・・・・・言った。
>>確かに言った。
>>ヴラと初めて顔を合わせたときに、こいつは確かにそういっていた。
>>「でっかいトカゲのおっさんとか」
> まだ、名を覚えていないのか。
> この様子だと、メフィはどう覚えている事やら・・・
ガウリイにはもう、『でっかいトカゲ=ミルガズィア』の方程式がインプットされてるみたいだったので。
>>覇王の暗躍のとき、彼とエルフ族の娘メフィ――メンフィスとは色々世話になったのだが。
>>「あの兄ちゃんがなんとかって魔族の人に使ってたやつの気配と似てたからな〜」
>>・・・・・・いや。
>>そんな何てこと無いように言われても。
> 普通は分からないですよね。
ちなみに『あの兄ちゃん』というのはアレンさんのことです。
彼とミルガズィアさんがヴラバザードの力を借りた呪文を、ヴラがまとった気配と似てるな…と。
ある食堂へ食事をしているとき、ピーマンつまらせて覚えていたんだと思います。
> ガウリイはそう言う能力が長けている代わりに、記憶力がないんじゃないのかと思います。
記憶力がないというより、記憶力が『ほぼ』ないんだと思います。
>>「おい旦那。それにリナも。
>>さっきから何の話をしてるんだ?そのヴラとかいったか・・・・・・そいつをトカゲの親分とか冬眠ってのは」
>>「そのトカゲの親分ってのはよしてくれ。
>>一応火竜王ヴラバザードって名前があるんだからよ」
> トカゲの親分と火竜王が結びつく事は普通はないですね。
ガウリイさんの脳内では『でっかいトカゲ=竜』『竜王=トカゲの親分』なのかなぁ。
さしずめスィーフィードはトカゲの大親分?
>>「けどあちこち遊びまわってていいの?」
>>「気の利いた部下の計らいでな。
>>そいつには土産に、師匠の服をモチーフにしたやつを送ろうかと思ってる」
>>「きくけどその部下って女?」
>>「いや男」
>>をい。
>>「パッドつけたら喜ぶかもな」
>>やめろって。
>>嫌がらせにしかならんぞ!
>>・・・・・・いや。
>>それとも人間とはセンスが違うみたいだから、案外喜ばれるかも。
> いや〜。無理だと思う。
あの世界って(いろんな意味で)広いですから、そーゆーシュミのがいてもおかしくないような気がします。

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34930白魔術都市狂想曲 71フィーナ 2009/12/8 20:59:48
記事番号34739へのコメント


――沈黙がその場を支配した。

形容するならば、湖畔のような静けさ。

その場に立ち会ったあたしが感じ取った印象はそれだった。

あたしのほかに連れ添いとしてガウリイ。

ゼルは、もうしばらく聞き込みを行うといって、町へ繰り出してる。

木漏れ日からもれる柔らかい午後の日差しが、施設のカーテンをやさしく照らす。

双方共に、表情が動いたのはまばたきするほどの短い時間だというのに、様々な動きを見せた。

片方は相手が目の前にいることへの困惑でもあり、痛みだった。

そしてもう片方は、探していた存在に会えないことへの哀愁。

・・・・・・あるいは――憐憫

「――はじめまして」

それらをふりはらい、仮眠室のベッドの上にいた彼は相手にそういった。

「はじめまして・・・悪かったな。突然邪魔して」

ややバツの悪そうな顔で言うヴラ。

「いえ・・・・・・どうなさったんです?
こちらのほうにこられたのは、なにか理由があってからだと思われますが」

初対面であっても、ある意味彼らは初対面ではない。

アレンは、ヴラが『何者』なのか知っているはずである。

ほかに仮眠をとっている人間が起きないように配慮して、彼は声を抑えて問いかける。
       スリーピング
ふと気づき、 眠 り をかけるあたし。

仮眠室で起きているのは、あたしたちだけになった。

・・・・・・まあ。

もっとも交代の人が来た場合、得意の口先三寸でまるめこむのだが。

「観光とついでに視察。
それとあいつが生きてたら、長年の愚痴を聞いてもらおうと思ってきた。
・・・・・・だがそれは無理みたいだな。あいつはもうここにはいないんだから」

そのなかに悔恨の響きはなく、ある程度は予測していたようなものさえあった。

「・・・・・・すみません」

「きにすんな。駄目でもともとのつもりだったし。
それよりおめぇら――といったほうがいいな――も、なかなか厄介なもんかけられたな。俺の存在が再発の引き金となったか」

彼は苦笑した。

「・・・・・・予定より少し早まっただけです。
それよりあなたも、この地ではその御力をむやみに使わないでください。
・・・・・・いえ。めったなこと以外では、あなたがたは『使えない』んでしたね」

「ったく。まどろっこしいぜ」

舌打ちしながら、そうはき捨てるヴラ。

「どういうことよ。
そのめったなこと以外では使えないというのは」

「人間たちが俺らのことをどう思ってるのかは知らんがな。
魔族との直接対決ならいざ知れず、普段俺らが力を使う際は制約がかかる」

「・・・・・・節約?」

げしっ!

即座にガウリイを張り倒す。

「いってーな。
なにすんだよいきなり」

「節約は無駄を省いてピンハネ・・・いろいろ切り詰めるもんでしょーが!」

「リナが普段盗賊いびり倒したり・・・・・・お宝強奪していることか?」

「制約よ! せ・い・や・くっ!」

人のことを何だと思ってるんだこの男は。

・・・・・・いやたしかに、うちいくつかはあたしの懐に忍ばせたりなんかしているが。

「なんなんだその『製薬』って」

「字が違いますよガウリイさん字が」

アレンはパタパタ手を振りながら訂正した。

「読み方は同じじゃないか」

「制約と製薬じゃあ、読み方は同じでも意味が違うのよ!」

・・・・・・ガウリイ相手に説明をしていると、時々ふと思うことがある。

まるで保育士が園児に説明しているような気分になる。

製薬とは薬を作ることである。

「制約ってのは、条件をつけて自由を制限すること。いわば一種の束縛といったほうがいいかしら」

「よくわからん」

「たとえばスポーツに当てはめれば、拳闘士みたいに殴り合いでも死なないようにルールに則ってやるのと似たようなものね」

「・・・・・・ふーん」

・・・・・・ふーんって・・・・・・。

こいつのことだから、この様子じゃすぐに忘れるな。

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34938白魔術都市狂想曲 72フィーナ 2009/12/11 20:44:07
記事番号34739へのコメント

「あなたが観光しようが何しようがかまいませんけど」

そう一言前置きをいって、

「正体ばれると色々迷惑なんで、とっとと帰って下さいね?ヴラバザード様」

ずばっと切り捨てていうアレン。

その発言に、微妙な顔をするヴラ。

アレンはベッドから腰を下ろし、コップに飲み物を注ぐ。

ほかほかと湯気が立ち昇る。

あたしたちの分にもそれと同じものを並々と注ぐ。

香りからして、ハーブティのようである。

「これは沈静成分を多く含むやつと、カモミールをあわせたやつです。
カモミールを主としていますから、薬のように苦味などはほとんどなく、すっきりした味わいのやつなので、小さな子供からお年寄りまで飲みやすいと中々好評なんですよ」

「来客用?」

「そんな堅苦しいものではありませんよ。気軽に立ち寄った際に出すものですから。
患者さんや来客していただいたかた以外でも、俺たちも連日徹夜が続いたときとか、気が立ったときに飲みますけどね」

少し冷ましてから口に運ぶ。

苦味などはほとんどなく、口どけのよいあっさりした種類のものを使用している。

「・・・・・・物怖じせずにいうのは、あいつと同じかよ」

懐かしそうに目を細めていうヴラ。

「同じじゃありません。別人ですよ俺は」

「だが魂の奥深くは、あいつとつながっている」

「・・・・・・前々から気になってたけど、昔のあんた。
ヴラに何して、ストーカーのように付きまとわれていたわけ?」

アレン・・・・・・この場合は初代と呼んだほうがいいだろうか。

「ストーカーとは違うぜ。ある件がきっかけで、単に愚痴きいててもらってただけだ」

それに答えたのはヴラだった。

「その件って?」

「詳しいことは覚えていないが、俺をどつき倒したんだよ」

いって目で指す。

「同僚ならいざ知らず、まさかその部下にどつかれるとは思ってもみなかったからな。
それでまあ、物怖じしないそいつを気に入って時折抜け出しては、あれこれ愚痴を聞いてもらってた」

「それで初代はヴラがイヤになって逃げ出したと?」

上司の同僚ということ。ヴラも全然そうは見えないがれっきとした(?)火竜王である。

・・・・・・そんなんが観光してるってのにアレンは動じていない。

この様子じゃ、何度か抜け出してるな。

「いや」

ヴラはかぶりをふる。

「はじめは俺だから仕方なく聞いてたみたいだが、なんかの拍子でブチ切れた――そういや、なんでキレたんだっけ?」

「そのとき親しい仲だった、人間の女性のことを悪く言われたからです。それで彼女のアドバイスの通りにしばき倒したんです。
当時は女性の恋仲だった、人間の魔道士のことなんぞどうでもよかったんですがね。・・・・・・正直ウザかったですし」

彼らしくなく、棘のある口調でいうアレン。

「ああそうだった。
あのわがままで、人間の魔道士に一風(いっぷう)変わったバイオレンスな愛情表現をしていた」

・・・・・・竜王に一風変わったといわれるその女性って・・・・・・?







アレンは、今までのような穏やかな微笑を浮かべてはおらず、どことなく感情の抜け落ちたかのような顔でいった。

「そろそろ、仮眠を取っておられる方が目覚めるころです。
申し訳ありませんが、出てっていただけますか。リナさんたちも」

いって視線をこちらに向ける。

「・・・・・・ネックレスは?」

「聞き込みをするって言うから、治療の手助けをするようゼルに渡したわ」

「・・・・・・動けるか不安でしたので、そうしていただいて助かりました。
ゼルガディスさんには、後日この一件が終わり、患者さんたちの治療がすんでから返していただきます」

考え込むようにうつむいてから、アレンはそういった。

・・・・・・やはり、感情の動かない表情で。

そんな彼に、ヴラは肩に手を乗せた。

「俺たちは何もしてやらんが、達者でな」

「それって普通何もしてやれんっていわないか?」

ガウリイの問いに、ヴラは「俺らが人間に直接干渉できんのは、おめぇらが『神託』と呼んでいるやつだけだ」と、答えた。

アレンは、表情の変わらない顔のまま、深くヴラに頭(こうべ)をたらした。

目上の者に対して行う敬礼。

「人間が勝手に作り上げた偶像ではないあなたを、他の人がどう思おうがしったことではありませんが、気にかけていただいてありがとうございました」

「おめぇも、シャブラニグドゥの呪いに呑み込まれんなよ」

表情の動かないアレンに、ヴラは気を悪くした様子を見せずにそういった。

――その変化の意味を、あたしたちが知るのはもう少しあとになってから・・・・・・

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34939Re:白魔術都市狂想曲 72kou 2009/12/11 20:57:54
記事番号34938へのコメント

 こんばんは、フィーナさん。
>「あなたが観光しようが何しようがかまいませんけど」
>
>そう一言前置きをいって、
>
>「正体ばれると色々迷惑なんで、とっとと帰って下さいね?ヴラバザード様」
>
>ずばっと切り捨てていうアレン。
 言い切ったな。迷惑なんだな。つか、迷惑と言うよりも面倒なんだろうな。
>その発言に、微妙な顔をするヴラ。
>
>アレンはベッドから腰を下ろし、コップに飲み物を注ぐ。
>
>ほかほかと湯気が立ち昇る。
>
>あたしたちの分にもそれと同じものを並々と注ぐ。
>
>香りからして、ハーブティのようである。
 ハーブティか……。ちなみに、kouは、紅茶はミルクと砂糖を入れないと飲めないので普通の奴を愛用してます。あと、関係ないけどコーヒーなんか全く飲めないんだよな。
 妹は、アップルやストロベリーティなんかを飲んでいるんですけれど……。
 フィーナさんはどうですか?
>「これは沈静成分を多く含むやつと、カモミールをあわせたやつです。
>カモミールを主としていますから、薬のように苦味などはほとんどなく、すっきりした味わいのやつなので、小さな子供からお年寄りまで飲みやすいと中々好評なんですよ」
 薬湯か?
>「来客用?」
>
>「そんな堅苦しいものではありませんよ。気軽に立ち寄った際に出すものですから。
>患者さんや来客していただいたかた以外でも、俺たちも連日徹夜が続いたときとか、気が立ったときに飲みますけどね」
 精神安定剤みたいな良いようだな……。
>少し冷ましてから口に運ぶ。
>
>苦味などはほとんどなく、口どけのよいあっさりした種類のものを使用している。
>
>「・・・・・・物怖じせずにいうのは、あいつと同じかよ」
>
>懐かしそうに目を細めていうヴラ。
>
>「同じじゃありません。別人ですよ俺は」
 あくまでそれは前世……と、言うか前々々々世ですもんね。
 同じだと言われて良い気分はしませんよね。
>「だが魂の奥深くは、あいつとつながっている」
>
>「・・・・・・前々から気になってたけど、昔のあんた。
>ヴラに何して、ストーカーのように付きまとわれていたわけ?」
>
>アレン・・・・・・この場合は初代と呼んだほうがいいだろうか。
>
>「ストーカーとは違うぜ。ある件がきっかけで、単に愚痴きいててもらってただけだ」
>
>それに答えたのはヴラだった。
>
>「その件って?」
>
>「詳しいことは覚えていないが、俺をどつき倒したんだよ」
 覚えてないのか!!
>いって目で指す。
>
>「同僚ならいざ知らず、まさかその部下にどつかれるとは思ってもみなかったからな。
>それでまあ、物怖じしないそいつを気に入って時折抜け出しては、あれこれ愚痴を聞いてもらってた」
>
>「それで初代はヴラがイヤになって逃げ出したと?」
>
>上司の同僚ということ。ヴラも全然そうは見えないがれっきとした(?)火竜王である。
>
>・・・・・・そんなんが観光してるってのにアレンは動じていない。
>
>この様子じゃ、何度か抜け出してるな。
 金色のあの方に怒られないのか?
 魔王だけが怒られるなんて理不尽だと思いますけれど……(でも、あの方は存在自体が理不尽……げっふげっふ)
>「いや」
>
>ヴラはかぶりをふる。
>
>「はじめは俺だから仕方なく聞いてたみたいだが、なんかの拍子でブチ切れた――そういや、なんでキレたんだっけ?」
>
>「そのとき親しい仲だった、人間の女性のことを悪く言われたからです。それで彼女のアドバイスの通りにしばき倒したんです。
 そりゃ、怒るわな。
>当時は女性の恋仲だった、人間の魔道士のことなんぞどうでもよかったんですがね。・・・・・・正直ウザかったですし」
>
>彼らしくなく、棘のある口調でいうアレン。
>
>「ああそうだった。
>あのわがままで、人間の魔道士に一風(いっぷう)変わったバイオレンスな愛情表現をしていた」
 ……なんか、スリッパで人をひっぱたき依頼料がもらえなかったという理由で世界を自覚がなかったと言え滅ぼしかけた魔道士みたいな……。
 偶然ですかね?
>・・・・・・竜王に一風変わったといわれるその女性って・・・・・・?
 ……ナーガみたい……は、違うな。ナーガはたしかに一風変わっているが尊敬しているもんな。
>アレンは、今までのような穏やかな微笑を浮かべてはおらず、どことなく感情の抜け落ちたかのような顔でいった。
>
>「そろそろ、仮眠を取っておられる方が目覚めるころです。
>申し訳ありませんが、出てっていただけますか。リナさんたちも」
>
>いって視線をこちらに向ける。
>
>「・・・・・・ネックレスは?」
>
>「聞き込みをするって言うから、治療の手助けをするようゼルに渡したわ」
>
>「・・・・・・動けるか不安でしたので、そうしていただいて助かりました。
>ゼルガディスさんには、後日この一件が終わり、患者さんたちの治療がすんでから返していただきます」
>
>考え込むようにうつむいてから、アレンはそういった。
>
>・・・・・・やはり、感情の動かない表情で。
>
>そんな彼に、ヴラは肩に手を乗せた。
>
>「俺たちは何もしてやらんが、達者でな」
>
>「それって普通何もしてやれんっていわないか?」
>
>ガウリイの問いに、ヴラは「俺らが人間に直接干渉できんのは、おめぇらが『神託』と呼んでいるやつだけだ」と、答えた。
>
>アレンは、表情の変わらない顔のまま、深くヴラに頭(こうべ)をたらした。
>
>目上の者に対して行う敬礼。
>
>「人間が勝手に作り上げた偶像ではないあなたを、他の人がどう思おうがしったことではありませんが、気にかけていただいてありがとうございました」
>
>「おめぇも、シャブラニグドゥの呪いに呑み込まれんなよ」
>
>表情の動かないアレンに、ヴラは気を悪くした様子を見せずにそういった。
>
>――その変化の意味を、あたしたちが知るのはもう少しあとになってから・・・・・・
 どういう意味でしょうか……。
 感情が減っているとかを考えるとのろいに飲み込まれかけているとか……。
 一体どうなるんでしょうか。
 ドキドキはらはらしています。
 以上、kouでした。

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34940Re:白魔術都市狂想曲 72フィーナ 2009/12/11 22:41:55
記事番号34939へのコメント


> こんばんは、フィーナさん。
こんばんは。kouさん。
>>「正体ばれると色々迷惑なんで、とっとと帰って下さいね?ヴラバザード様」
>>ずばっと切り捨てていうアレン。
> 言い切ったな。迷惑なんだな。つか、迷惑と言うよりも面倒なんだろうな。
余計な火の粉が降りかからないようにいってます。
>>香りからして、ハーブティのようである。
> ハーブティか……。ちなみに、kouは、紅茶はミルクと砂糖を入れないと飲めないので普通の奴を愛用してます。あと、関係ないけどコーヒーなんか全く飲めないんだよな。
> 妹は、アップルやストロベリーティなんかを飲んでいるんですけれど……。
> フィーナさんはどうですか?
私はコーヒーだと、エスプレッソとブラック以外だったら飲めます。
ブラックは砂糖を少々加えないと苦くて。
紅茶の類だと同じくミルクティですね。
>>「これは沈静成分を多く含むやつと、カモミールをあわせたやつです。
>>カモミールを主としていますから、薬のように苦味などはほとんどなく、すっきりした味わいのやつなので、小さな子供からお年寄りまで飲みやすいと中々好評なんですよ」
> 薬湯か?
自分で淹れた事はありませんが、店によって味は違います。
カモミールは、割とあっさりしていて緑茶のように後味がいいのが特徴です。アロマオイルにしても、ラベンダーのようににおいもそんなにきつくないですよ。
>>「そんな堅苦しいものではありませんよ。気軽に立ち寄った際に出すものですから。
>>患者さんや来客していただいたかた以外でも、俺たちも連日徹夜が続いたときとか、気が立ったときに飲みますけどね」
> 精神安定剤みたいな良いようだな……。
ハーブティの中には、鎮静作用のある成分を含んだものがあります。すべてのハーブにはいってるわけではありませんが。
>>「同じじゃありません。別人ですよ俺は」
> あくまでそれは前世……と、言うか前々々々世ですもんね。
> 同じだと言われて良い気分はしませんよね。
呪いで初代を含む転生した存在の記憶がありますから。
それは人間だけではありません。獣人とか半魚人の場合もありますし。キスジアゲハの幼虫とかエルフとか。
>>「詳しいことは覚えていないが、俺をどつき倒したんだよ」
> 覚えてないのか!!
もう何千年も前のことだったから。
>>上司の同僚ということ。ヴラも全然そうは見えないがれっきとした(?)火竜王である。
>>・・・・・・そんなんが観光してるってのにアレンは動じていない。
>>この様子じゃ、何度か抜け出してるな。
> 金色のあの方に怒られないのか?
> 魔王だけが怒られるなんて理不尽だと思いますけれど……(でも、あの方は存在自体が理不尽……げっふげっふ)
不条理なあのお方のことだから、色々横暴なことをしてるのでは…ごはふぅっ!
>>「そのとき親しい仲だった、人間の女性のことを悪く言われたからです。それで彼女のアドバイスの通りにしばき倒したんです。
> そりゃ、怒るわな。
>>当時は女性の恋仲だった、人間の魔道士のことなんぞどうでもよかったんですがね。・・・・・・正直ウザかったですし」
>>「ああそうだった。
>>あのわがままで、人間の魔道士に一風(いっぷう)変わったバイオレンスな愛情表現をしていた」
> ……なんか、スリッパで人をひっぱたき依頼料がもらえなかったという理由で世界を自覚がなかったと言え滅ぼしかけた魔道士みたいな……。
> 偶然ですかね?
偶然? です。別にその女性が某胸がないに等しい魔道士の前世とはかぎりませんよ。
>>・・・・・・竜王に一風変わったといわれるその女性って・・・・・・?
> ……ナーガみたい……は、違うな。ナーガはたしかに一風変わっているが尊敬しているもんな。
ちなみに、その人間の女性の髪の色は金髪です。(りーでぃんぐ参照)
人間の魔道士の髪は黒で、長髪をしています。
>>表情の動かないアレンに、ヴラは気を悪くした様子を見せずにそういった。
>>――その変化の意味を、あたしたちが知るのはもう少しあとになってから・・・・・・
> どういう意味でしょうか……。
> 感情が減っているとかを考えるとのろいに飲み込まれかけているとか……。
この伏線はマーシュ卿が言っています。そういっておきましょう。
> 一体どうなるんでしょうか。
> ドキドキはらはらしています。
> 以上、kouでした。
最終決戦に向け、あちこちにちりばめた伏線を、次第に明らかにしていきます。
レスありがとうございました。

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34950白魔術都市狂想曲 73フィーナ 2009/12/15 21:01:44
記事番号34739へのコメント


「ここらへんかしらね」

あたりをざっと見渡す。

運ばれてきた患者が多く、治療が追いつかない治療施設の一つにあたしはきていた。

そこには治療を受けているものの姿も見えず、そこにいるはずの魔法医や神官も、その施設の仮眠室で、瘴気に当てられ寝込んでいた。

血色も悪く、衰弱しているものが多い。

あたしは、腰にさしているショート・ソードを抜き放つ。

施設の中央部分にあたる場所で。

淡く輝くストック・ジュエルに目をやる。

もっているだけでも、癒しの波動がやわらかく伝わってくる。

地竜王ランゴートの力を秘めた、癒しの波動が。

淀んだ気配が立ち込めている治療施設で、こめられた呪文の『力ある言葉』を解き放つ。







「・・・・・・けどよかったのか?」

「なにがよ」

「アメリアにいわなくて」

「・・・・・・こればっかりはね。
あのアメリアのことだから、知ったらきっと他人の迷惑顧みずにエキサイトするに決まってるわ」

「アメリアが血相変えてきたのって、それが関係してるんだろ?」

いってガウリイが目でさしたのは、ショート・ソードに組み込まれたストック・ジュエル。

呪文の効力はすでになく、ただのジュエルズ・アミュレットにしか見えない。

「正確に言うと、マジック・アイテムではなく、それに込められていた力のことね」

あのあと――

施設から出たあたしの前に、土煙をものすごい勢いで巻き上げたアメリアと行き会った。

必死でアメリアについてきた城の兵士たち。

アメリアは周囲の視線をものともせずに、さっき感じた力の流れは何だと、詰め寄ってきた。

いつの間にかその施設の瘴気が霧散し、その瘴気にあてられ寝込んでいた巫女や神官が起きだしてくれば、アメリアがそう思うのは無理もない。

なにしろ愛と正義と真実のアメリアのことである。

いったら最後。彼女がどういう行動に出るか・・・・・・

「アメリアとも知らない仲でもないんだし、隠しててもそのうちバレるんじゃねえか?」

「バレたらバレたときのことだけどね。
それにそれを打ち明けるのはあたしじゃないわ」

「ふーん。そういやゼルと待ち合わせるのはどこだったっけ?」

「裏通りの宿屋よ。もぐりの宿だけど」

彼は彼で、独自に調査を始めている。

とはいえ、高位魔族でもあるディーの事。

そうやすやすと、自らの足跡をつかませてはくれないだろう。











「どうなさったんです?今日はやけに楽しそうですけど」

治療の手伝いを行っていたシルフィールは、上機嫌な彼女の様子が気になって声をかけた。

「んふふ♪あのねシルフィールちゃん。
ここだけのはなしなんだけど、今日は久しぶりにリオ君にあえるんだ〜♪」

「リオさん・・・・・・リナさんの男装した?」

「そうよ〜♪ リナちゃんも可愛いんだけど、そこはそれ。
リナちゃんはリナちゃんで、別のこととしてリオ君に会うんだし♪」

「そんなに違うんですか?」

「リナちゃんはね〜♪意地っ張りなところがあるんだけど、すっごくやさしい一面があって可愛いの。
リオ君は、リナちゃんのときとは違った意味で、男の子みたいに勇敢でかっこいいの♪女の子の扱いも紳士的でね」

「紳士的・・・・・・」

シルフィールは首をかしげる。

彼女とは、特別親しいというわけではないが、どう考えても紳士とは対極にいる。

いい噂よりも悪い噂が多く、尾ひれがくっついていても、あながちそれが本当のことなんじゃないだろうかと思っても不思議ではないような実績の魔道士である。

「どこで開かれるんです?」

「シルフィールちゃんもリオくんに会いたいの?」

「いえそういうわけでは」

ただ単にその姿を一目見て、からかってみたいからだとはおくびにも出さず。

「貴族の別荘地を、一部改装した場所で行うんだって〜♪」

シルフィールの問いに、リーリアは笑顔で答えた。

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34952Re:白魔術都市狂想曲 73セス 2009/12/15 21:24:40
記事番号34950へのコメント

こんばんは、フィーナさん。

>「・・・・・・けどよかったのか?」
>
>「なにがよ」
>
>「アメリアにいわなくて」
>
>「・・・・・・こればっかりはね。
>あのアメリアのことだから、知ったらきっと他人の迷惑顧みずにエキサイトするに決まってるわ」
>
>「アメリアが血相変えてきたのって、それが関係してるんだろ?」
>
>いってガウリイが目でさしたのは、ショート・ソードに組み込まれたストック・ジュエル。
>
>呪文の効力はすでになく、ただのジュエルズ・アミュレットにしか見えない。
>
>「正確に言うと、マジック・アイテムではなく、それに込められていた力のことね」
>
>あのあと――
>
>施設から出たあたしの前に、土煙をものすごい勢いで巻き上げたアメリアと行き会った。
>
>必死でアメリアについてきた城の兵士たち。
>
>アメリアは周囲の視線をものともせずに、さっき感じた力の流れは何だと、詰め寄ってきた。
>
>いつの間にかその施設の瘴気が霧散し、その瘴気にあてられ寝込んでいた巫女や神官が起きだしてくれば、アメリアがそう思うのは無理もない。
>
>なにしろ愛と正義と真実のアメリアのことである。
>
>いったら最後。彼女がどういう行動に出るか・・・・・・
目に見えるようだ・・・(笑

>
>「どうなさったんです?今日はやけに楽しそうですけど」
>
>治療の手伝いを行っていたシルフィールは、上機嫌な彼女の様子が気になって声をかけた。
>
>「んふふ♪あのねシルフィールちゃん。
>ここだけのはなしなんだけど、今日は久しぶりにリオ君にあえるんだ〜♪」
>
>「リオさん・・・・・・リナさんの男装した?」
>
>「そうよ〜♪ リナちゃんも可愛いんだけど、そこはそれ。
>リナちゃんはリナちゃんで、別のこととしてリオ君に会うんだし♪」
>
>「そんなに違うんですか?」
>
>「リナちゃんはね〜♪意地っ張りなところがあるんだけど、すっごくやさしい一面があって可愛いの。
>リオ君は、リナちゃんのときとは違った意味で、男の子みたいに勇敢でかっこいいの♪女の子の扱いも紳士的でね」
>
>「紳士的・・・・・・」
>
>シルフィールは首をかしげる。
>
>彼女とは、特別親しいというわけではないが、どう考えても紳士とは対極にいる。
>
>いい噂よりも悪い噂が多く、尾ひれがくっついていても、あながちそれが本当のことなんじゃないだろうかと思っても不思議ではないような実績の魔道士である。
確かに(をい)
>
>「どこで開かれるんです?」
>
>「シルフィールちゃんもリオくんに会いたいの?」
>
>「いえそういうわけでは」
>
>ただ単にその姿を一目見て、からかってみたいからだとはおくびにも出さず。
>
>「貴族の別荘地を、一部改装した場所で行うんだって〜♪」
>
>シルフィールの問いに、リーリアは笑顔で答えた。
はしゃぐリーリアさん可愛いなあ・・・300才とは思えないくらいに
シルフィールも相変わらずいい性格してますね

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34954Re:白魔術都市狂想曲 73フィーナ 2009/12/15 22:09:03
記事番号34952へのコメント


>こんばんは、フィーナさん。
こんばんは。セスさん。
>>なにしろ愛と正義と真実のアメリアのことである。
>>いったら最後。彼女がどういう行動に出るか・・・・・・
>目に見えるようだ・・・(笑
暴走するだけならいいんですが。
>>「紳士的・・・・・・」
>>シルフィールは首をかしげる。
>>彼女とは、特別親しいというわけではないが、どう考えても紳士とは対極にいる。
>>いい噂よりも悪い噂が多く、尾ひれがくっついていても、あながちそれが本当のことなんじゃないだろうかと思っても不思議ではないような実績の魔道士である。
>確かに(をい)
日ごろの行いがこんなところまで。
>>「どこで開かれるんです?」
>>「シルフィールちゃんもリオくんに会いたいの?」
>>「いえそういうわけでは」
>>ただ単にその姿を一目見て、からかってみたいからだとはおくびにも出さず。
>>「貴族の別荘地を、一部改装した場所で行うんだって〜♪」
>>シルフィールの問いに、リーリアは笑顔で答えた。
>はしゃぐリーリアさん可愛いなあ・・・300才とは思えないくらいに
恋に年齢や種族は関係ありません。
>シルフィールも相変わらずいい性格してますね
比較的常識人ですが、シルフィールもやはり一筋縄ではいかない人なんですよね。

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34956白魔術都市狂想曲 74フィーナ 2009/12/17 21:19:16
記事番号34739へのコメント

ゼルがいる宿屋の一室で、情報を報告しあう。

彼が掴んだ情報によると、治療施設に運ばれてきた人間をふくめ、行方をくらませていた人間はほぼ発見されたそうである。

ランゴートの呪文で、因子を植え込まれた人間の症状を完全に治すことはできなかったが。

その呪文はいつかヴラがやったことと同じように、因子を植え込まれ寝込んでいる人々の症状をいくらか緩和することができた。

その効果はそればかりではなく、治療施設にもれていた瘴気にあてられ、寝込んでいた神官や他の人々から瘴気の毒素が取り除かれ。

それどころか別件で大怪我をおっていた人の傷がふさがり、体力が回復していたのだ。

どうやら神の力を借りたものでも、人間の器では使えるものに限度がある。

そして力を借りる対象にも、それぞれ得手、不得手が存在しているみたいである。

以前アレンを問いつめ、神聖呪文を聞きだそうとしたのだが・・・・・・
  ファイアー・ボール
いくら 火 炎 球 で灰すら残らなくなるまで吹っ飛ばすと脅しても、彼は顔を青褪(あおざ)めながらも頑として教えてくれなかった。

例の養成施設の人間や、腕利きの傭兵数名の行方はいまだ不明。

施設への侵入へ向かった、城の兵士と共に編成された傭兵たちである。


どだどだどだっ!


けたたましい音を立て、誰かがこちらに向かってくる。


ばたむっ!


「リナ!」

息を切らせてやってきたのは、アメリアだった。

「どうしたのよ。そんなに慌てて」

ぜーはー息を整えているアメリアに、水を渡しながら尋ねる。

アメリアは一息にそれを飲み干し――器官に変なふうに水が入り込んだのかむせる。

「ごほごほっ!」

「少し落ち着け・・・・・・何があった」

咳き込む彼女の背を、さすりながら訪ねるゼルガディス。

「・・・ぜぇはぁっ!
人からきいた・・・はぁはぁ・・・・・・だけどっ!」

ようやく落ち着いてきたのか、そういっていったん言葉を切る。

深呼吸して息を整え、あたしの肩をがっしりつかむ。

「リナ!それにゼルガディスさんもずるいわっ!」

「・・・・・・は?」

「・・・・・・なんのことだ。文脈がつかめん」

眉をひそめるあたしとゼルに、アメリアはあたしの肩を掴む手に力を込めて、

「わたしにも教えてくれたらよかったのにっ!
ヴラさんが火竜王様だってこと!そうしたらヴラさんと正義についてもっと熱く語り合えたのにっ!」

「それどっからきいたのよ」

「リナたちやヴラさんが、道のど真ん中で話してるのを、何人かの人たちが聞いてたのよ!」

「・・・・・・なあアメリア。何でオレにはきかないんだ?」

「ガウリイさんに聞いても、いつものように覚えてないからに決まってるじゃないですか!」

胸を張ってきっぱりというアメリアに、ガウリイは苦笑しつつ、

「オレだって覚えてるさ。トカゲの親分のおっさんだろ?
・・・・・・単に聞いていくはしから聞き流してるか、覚えてないだけで」

・・・・・・ダメだろ。それ。

「ヴラは観光とついでに視察に来ただけみたいだし」

「なんでわたしに教えてくれなかったの!?火竜王様がいまどこにいるのかリナはしってるの!?」

「知らないわよ、ヴラが今どこにいるなんて。
それにあんたに教えたら、燃え上がって暴走するでしょうが」

事実もう暴走してる。

「わたしとのことは遊びだったのねっ!? わたしというものがありながら酷いわゼルガディスさん!」

「こうなったら責任取るしかないわね〜」

「そうだなー」

それにあわせるあたしとガウリイ。

「・・・・・・なぜそこであんたらは、おれに話をふる」

「ノリが悪いですよゼルガディスさん!
ヴラさんが火竜王様だったという確認を取るため、公務を少し抜け出してきたんですから!」

「・・・・・・いいのか?それ」

「この間は慌ただしくて、リナとガウリイさんとはしましたけど、ゼルガディスさんとはろくにあいさつできなかったんですし。
・・・・・・ヴラさんの事を隠されたのは、少し不満ですけどこれでカナブンのように害を及ぼす悪い虫を一掃できるわ!」

・・・・・・魔族を害虫扱い。

まあ、あたしもゼロス相手に似たようなこといったが。

「わたしの目が黒いうちは、セイルーンを魔族の好き勝手にはさせないわっ!」

・・・・・・あ!

彼女がここまで意気込む理由に、あたしは思い当たった。

あたしが以前ここに立ち寄ったとき、この町はお家騒動のまっただなかだった。

このときそれに取り入って暗躍していたのも、魔族だったのだ。

「覇王神官という、いかにもトモダチできなさそうな魔族の狙いがなんであれ、火竜王様の威光とスィーフィード様の加護!
それになにより、正義を愛するわたしたち四人がこうして再会できたんだから!」

「・・・・・・盛り上がってるところ悪いがアメリア。
火竜王は魔族がセイルーンへ暗躍しようとも、人間には神託ぐらいしか干渉してこないぞ」

ゼルがぽつりとこぼしたセリフに、アメリアは・・・・・・

「そんな!?神が悪を野放しにするのっ!?」

と、さけんだ。

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34958白魔術都市狂想曲 75フィーナ 2009/12/19 18:00:38
記事番号34739へのコメント


「なにもヴラが魔族を野放しにするってわけじゃないわよ。直接力を振るうのに制限があるってだけみたいだし。
だいいちヴラが、魔族の因子に苛(さいな)まれた人たちの精神に『少し』呼びかけただけで、あんたも力の流れを感じたんでしょ?」

例の施設で、覇王神官と対峙した時に別の場所で感じた強大な力。

それを感じ取ったのは、アメリアをはじめとする巫女や神官。

そして竜族であるリーリアなど多くいる。

「あんなに大きな力だったのにっ!?」

「竜王ってぐらいだからね」

現に彼は、ディーの行動を見張ってるみたいだし。

「これは誇張でもなんでもないけど、もしヴラが本気で力を使ったら、このセイルーンは力に耐え切れなくて跡形もなくなるってことになりかねないわ」

人間が信仰している宗教というやつは、人間にとって都合のいい物でしかない。

信仰の対象となっているスィーフィードも、他の竜王を祀っている神殿も基本的にはなんら遜色(そんしょく)ないものとなっている。

「アメリア。あんたも王族の端くれなら、もし神の力を使うことができる人間がいたら、セイルーンはどうなると思う?」

「・・・・・・もしそうなら、神の力を使えるものがいる国として、政治的に利用しようとする貴族が出てくるわね」

「じゃあヴラが火竜王だと知られたら?」

「神がおわす国として、場合によっては小競り合いをしている湾岸諸国とかに圧力をかけるわ」

アメリアは、軽くため息をついた。

「そういうことなんでしょ? リナたちがわたしに言わなかった理由は。
・・・・・・ただちょっと拗ねてただけ。気兼ねなく旅をしていたときと今とじゃ少し勝手が違うから」

このセイルーンは、第一王位継承者であるフィルさんが現王であるエルドラン国王のあとを継ぎ、退位したあと。

順当にいけばアメリア、もしくは長女のグレイシア王女が治める国となる。

平和主義者とフィルさんはいっているが、それはあくまでフィルさん個人の主張である。

様々な人が集まり国を動かしている以上、国外対策など駆け引きも必要となってくる。

時には一般の人々から気づかれないよう、あくどい事や情報操作などを裏で請け負うこともままあることだろう。

国とはそういうものなのだ。







「・・・・・・あんたのほうでつかめたのは何かあるか?」

静かに問いかけるゼルガディス。

「二・三日前ぐらいから、治療施設にちょくちょく訪れるやつが出てきたわ。
不審に思った人がそいつのあとを尾けてみたんだけど、気がつけば姿を見失うことが数件。
その直後に、回復に向かい始めていた人たちの容態が悪化していって、治療の甲斐なく・・・・・・」

「そいつの特徴ってのは?」

ガウリイの問いに、

「年は十代前半。短くまとめた銀髪の少年。
別のところでは、同じく銀髪の『やや』胸のあるグラマーな女」

「ディーね!」

「魔族は高位の存在になれば、より人間に近い姿を取れるからね」

「・・・・・・動きが活発になってるってことか」

「アメリア。カイルとマーシュ卿は?」

「いま父さんが警護の人たちといってるわ」







人払いを済ませ、彼は一通り話した。

「わしとしても、このような結果になったことはうれいておる。
貴殿ら施設の人間の、劣悪な環境の現状を少しでもよくしたいというカイル殿と、フィリッツメイヤー卿の意見はわしの権限を持って実行することを約束しよう」

「ありがとうございます。フィリオネル殿下」

マーシュ卿は深く一礼した。

「そなたらには、そのための先駆けになってもらおうと思う。
ホーエンハイム卿の策略により下げられた貴殿の爵位の返上は、そのためにつかうとよい。
そのかわり、貴殿らには情報収集能力および培われた技術を、セイルーンという国の発展のために日々精進してもらいたい」

「マーシュ・ハルス・フィリッツメイヤーならびに、カイル・パル・ホーエンハイムは、その任たしかに了承いたしました」

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34960Re:白魔術都市狂想曲 75kou 2009/12/19 21:07:10
記事番号34958へのコメント

 お久しぶりです。フィーナさん。kouです。
>「なにもヴラが魔族を野放しにするってわけじゃないわよ。直接力を振るうのに制限があるってだけみたいだし。
>だいいちヴラが、魔族の因子に苛(さいな)まれた人たちの精神に『少し』呼びかけただけで、あんたも力の流れを感じたんでしょ?」
 たしかに、強大な力は善悪とかを無視して破壊を呼びますから……。
>「あんなに大きな力だったのにっ!?」
 少しだと言うことにおどろきますよね。
>「竜王ってぐらいだからね」
>
>現に彼は、ディーの行動を見張ってるみたいだし。
 だからこそ、ディーが動きにくくもなっている。
>「これは誇張でもなんでもないけど、もしヴラが本気で力を使ったら、このセイルーンは力に耐え切れなくて跡形もなくなるってことになりかねないわ」
>
>人間が信仰している宗教というやつは、人間にとって都合のいい物でしかない。
 宗教なんぞそんなもんですよね。
 実際に、詳しく調べれば調べるほど矛盾があると言っていたどこそこの巫女もいましたし……。
 ま、その人はその後自分で矛盾のない宗教を創ろうとして破壊神教なんぞ始めましたが……。
>信仰の対象となっているスィーフィードも、他の竜王を祀っている神殿も基本的にはなんら遜色(そんしょく)ないものとなっている。
>
>「アメリア。あんたも王族の端くれなら、もし神の力を使うことができる人間がいたら、セイルーンはどうなると思う?」
>
>「・・・・・・もしそうなら、神の力を使えるものがいる国として、政治的に利用しようとする貴族が出てくるわね」
 どこそこの、不幸神官もそれを懸念してますしね。
>「じゃあヴラが火竜王だと知られたら?」
>
>「神がおわす国として、場合によっては小競り合いをしている湾岸諸国とかに圧力をかけるわ」
>
>アメリアは、軽くため息をついた。
 アメリア自身もそう言う方法は好きではないんでしょうね。
>「そういうことなんでしょ? リナたちがわたしに言わなかった理由は。
>・・・・・・ただちょっと拗ねてただけ。気兼ねなく旅をしていたときと今とじゃ少し勝手が違うから」
 ストレスためまくりだな。
>このセイルーンは、第一王位継承者であるフィルさんが現王であるエルドラン国王のあとを継ぎ、退位したあと。
 つーか、いい加減にエルドラン国王は退位すべきだとおもふ……。
>順当にいけばアメリア、もしくは長女のグレイシア王女が治める国となる。
 どっちにしても、怖い国になる予感……。
>平和主義者とフィルさんはいっているが、それはあくまでフィルさん個人の主張である。
>
>様々な人が集まり国を動かしている以上、国外対策など駆け引きも必要となってくる。
 狐と狸の化かし合いと書いて政治と読む! と言いたいな。
>時には一般の人々から気づかれないよう、あくどい事や情報操作などを裏で請け負うこともままあることだろう。
>
>国とはそういうものなのだ
>「・・・・・・あんたのほうでつかめたのは何かあるか?」
>
>静かに問いかけるゼルガディス。
>
>「二・三日前ぐらいから、治療施設にちょくちょく訪れるやつが出てきたわ。
>不審に思った人がそいつのあとを尾けてみたんだけど、気がつけば姿を見失うことが数件。
>その直後に、回復に向かい始めていた人たちの容態が悪化していって、治療の甲斐なく・・・・・・」
 おだぶつか……。
>「そいつの特徴ってのは?」
>
>ガウリイの問いに、
>
>「年は十代前半。短くまとめた銀髪の少年。
>別のところでは、同じく銀髪の『やや』胸のあるグラマーな女」
 やや……
>「ディーね!」
>
>「魔族は高位の存在になれば、より人間に近い姿を取れるからね」
>
>「・・・・・・動きが活発になってるってことか」
>
>「アメリア。カイルとマーシュ卿は?」
>
>「いま父さんが警護の人たちといってるわ」
>
>人払いを済ませ、彼は一通り話した。
>
>「わしとしても、このような結果になったことはうれいておる。
>貴殿ら施設の人間の、劣悪な環境の現状を少しでもよくしたいというカイル殿と、フィリッツメイヤー卿の意見はわしの権限を持って実行することを約束しよう」
>
>「ありがとうございます。フィリオネル殿下」
>
>マーシュ卿は深く一礼した。
>
>「そなたらには、そのための先駆けになってもらおうと思う。
>ホーエンハイム卿の策略により下げられた貴殿の爵位の返上は、そのためにつかうとよい。
>そのかわり、貴殿らには情報収集能力および培われた技術を、セイルーンという国の発展のために日々精進してもらいたい」
>
>「マーシュ・ハルス・フィリッツメイヤーならびに、カイル・パル・ホーエンハイムは、その任たしかに了承いたしました」
 多重人格みたいだな……。
 以上、kouでした。

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34962Re:白魔術都市狂想曲 75フィーナ 2009/12/21 22:40:58
記事番号34960へのコメント


> お久しぶりです。フィーナさん。kouです。
こんばんは。kouさん。
>>「なにもヴラが魔族を野放しにするってわけじゃないわよ。直接力を振るうのに制限があるってだけみたいだし。
>>だいいちヴラが、魔族の因子に苛(さいな)まれた人たちの精神に『少し』呼びかけただけで、あんたも力の流れを感じたんでしょ?」
> たしかに、強大な力は善悪とかを無視して破壊を呼びますから……。
>>「あんなに大きな力だったのにっ!?」
> 少しだと言うことにおどろきますよね。
>>「竜王ってぐらいだからね」
>>現に彼は、ディーの行動を見張ってるみたいだし。
> だからこそ、ディーが動きにくくもなっている。
そして、それこそが……
>>人間が信仰している宗教というやつは、人間にとって都合のいい物でしかない。
> 宗教なんぞそんなもんですよね。
> 実際に、詳しく調べれば調べるほど矛盾があると言っていたどこそこの巫女もいましたし……。
> ま、その人はその後自分で矛盾のない宗教を創ろうとして破壊神教なんぞ始めましたが……。
思想としては魔族の考え方ですよね。それって。
>>信仰の対象となっているスィーフィードも、他の竜王を祀っている神殿も基本的にはなんら遜色(そんしょく)ないものとなっている。
>>「・・・・・・もしそうなら、神の力を使えるものがいる国として、政治的に利用しようとする貴族が出てくるわね」
> どこそこの、不幸神官もそれを懸念してますしね。
不幸神官さん。ヤバい相手とエンカウント。
……というよりも、ついでのようにとばっちりくらいます。
どちらかというと、もう片方のが危ないんですけど。
>>アメリアは、軽くため息をついた。
> アメリア自身もそう言う方法は好きではないんでしょうね。
>>「そういうことなんでしょ? リナたちがわたしに言わなかった理由は。
>>・・・・・・ただちょっと拗ねてただけ。気兼ねなく旅をしていたときと今とじゃ少し勝手が違うから」
> ストレスためまくりだな。
憂さ晴らしはできそうにないかも。
>>このセイルーンは、第一王位継承者であるフィルさんが現王であるエルドラン国王のあとを継ぎ、退位したあと。
> つーか、いい加減にエルドラン国王は退位すべきだとおもふ……。
>>順当にいけばアメリア、もしくは長女のグレイシア王女が治める国となる。
> どっちにしても、怖い国になる予感……。
>>平和主義者とフィルさんはいっているが、それはあくまでフィルさん個人の主張である。
>>様々な人が集まり国を動かしている以上、国外対策など駆け引きも必要となってくる。
> 狐と狸の化かし合いと書いて政治と読む! と言いたいな。
同感です。
>>「年は十代前半。短くまとめた銀髪の少年。
>>別のところでは、同じく銀髪の『やや』胸のあるグラマーな女」
> やや……
リナとしてはゆずれないところでしょう。
> 多重人格みたいだな……。
うーん。そういうのとはすこし……

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34963白魔術都市狂想曲 76フィーナ 2009/12/22 21:04:04
記事番号34739へのコメント


連れ添いの人からの報告で、彼の意識が戻ったことを知らされ、あたしとアメリアの二人は面会にやってきた。

ゼルは、いくらもとの姿に近づくことができたとはいえ、見知らぬ相手に会うのをやっぱりいやがった。

ガウリイは・・・・・・まあ、とーぜんのような気がするが。

マーシュ卿に言い寄られるのを警戒して、行きたくないの一点張り。

面会の時間はとっくに過ぎているのだが、アメリアの口利きで少しの時間ならと許可された。

フィルさんは公務を抜け出して面会にやってきたため、慌ただしく王宮へ戻ったということを治療をしていた神官の一人から聞きだし。

彼の周りには、治療のため数人の神官たちが取り囲んでいた。

その中にアレンの姿がなく、その同僚に確認してみたところ、神官の数に若干余裕ができたため。

徹夜組の神官たちに休憩を取らせ、解散させたそうである。

「カイル」

「あいつの意識は今はひっこんでいる。
後ろ暗いからあんたたちにあわせる顔がないといって、出てきたくないそうだ」

マーシュ卿は、しょうがないやつだ。と、自嘲気味に笑った。

「こうなるまで、あいつのことを追い詰めていたとも知らずにいた。
カイル以外にも愛人と呼べる相手はいるが、踏み込み過ぎないように距離を置くような間柄。カイルもそうだと思っていた」

「二重人格の類とは違うのね」

「俺とカイルの意識・・・・・・というか精神は互いに共有している。
カイルが出てきたとき、俺の意識も確かにあるから二重人格とは違う・・・・・・もっとも、それはいつまで続くか分からない」

「カイルという方の肉体はないので、その方の意識が治療を続けていけば、因子と共に消えていく可能性があるのです」

年老いた一人の神官が治療を中断し、説明してくれる。

「消える?」

「明日かもしれないし、一年後かもしれない。
あるいは消えずに、そのままだという可能性もあるのですが」

「それは大変だわ!」

「なにが大変なのよアメリア」

「フィリッツメイヤー卿の試作段階の話。
一部の上流階級の人たちに見せたら中々好評だったの」

「はなしって?」

オウム返しに聞き返すあたしに、マーシュ卿は、

「ホストの経営を中断せざるをえなかったとき、趣味で過去あったことにイロイロ脚色を加え執筆していたところ。
・・・・・・席を外していたときに来られて、それをみたアメリア姫が、『面白そうだから、いっそのこと一冊の本にする気はないか』といわれてな」

「何事も実験あるのみ! と、わたしが勝手に取り付けたんですけどね」

「アメリアが許可を出したと?」

こくりとうなずくアメリア。

「心理描写も手に汗握るというか、ぐっとくるものがあって。
フィリッツメイヤー卿が書かれた話。続きを楽しみにしている人もいるんですよ」

「・・・・・・アメリア姫。
執筆したものを、無断で他の者に見せられていたというのは初耳ですが」

マーシュ卿は、こめかみのあたりをおさえていった。






「・・・・・・はなしがだいぶ脱線しちゃったんだけど、本題にうつすわ。
あなたの前に現れた銀髪の女について、すこし聞きたいことがあるんだけど」

「銀髪? カイルと接触したあの女のことか?」

「そうそいつ。あなたが気になったことって何かある?」

「・・・・・・気になった。あることにはあるが」

「なんでもいいわ」

「いやたいしたことではないんだがな。ホストは閉店しているはずなのに、ある人物をアルベルト・・・・・・
いや、もうカイルの所有する別荘か。そこに招待するように言われた」

「・・・・・・ある人物?」

「知らないのか?」

どこか意外そうな表情で言うマーシュ卿。

「お前と関係ある話だったと思うんだが」

「あたしと?」

「ああ」

なにかが、ひっかかる。

「ここから少し離れた場所。
そこで準備が整ったら苗床に芽を入れるため、パーティーを開くとその女はカイルにいっていた」

「・・・・・・苗床」

「その苗床を手に入れるのに、お前の姿を借りていくとか言ってたかな。
だからてっきりお前本人か、お前に仮装して苗床を買おうとしているのかと思ったんだが」

苗床に入れる芽。

まて・・・・・・待てよっ!?

芽から発芽する元となるのは何だっ!?

答えは決まってる――『種』

「ちょっと。その招待する相手ってのは――」

そうであってほしくないと、乾いた声で尋ねるあたし。

まさか・・・・・・覇王神官の狙いって・・・・・・

しかし、あたしのこういうときの悪い勘というのは、外れたためしがない。

彼の口から出た名前は、あたしの想像通りの名前だった。

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34964白魔術都市狂想曲 77フィーナ 2009/12/23 20:12:29
記事番号34739へのコメント


夜の町の中、彼女は鼻唄をつぐみながら歩いていた。

「るんるるん♪ 楽しみよね〜」

「・・・・・・はあ。いいですけどね」

「アレン君も今日はありがとう♪ プレゼント見立ててくれて」

「リナさんにプレゼント送りたいというのはわかりますから。
あまり高価なものだと、リナさんも反応に困るでしょうし、」

ラッピングされた箱を目でさすアレン。

その中には、中央に大きめなルビーが一つと、その両脇にエメラルドが控えめに飾られた首飾りが入っている。

細い銀のチェーンに、シンプルながら精巧なつくりとなっており、少々値が張ったがリーズナブルな値段となっていた。

連日徹夜が続き、今日何とか交代となって解放されて。

アクセサリーを扱う店で、どれを選ぼうか悩んでいるリーリアを見かけて声をかけたのがお昼を回ったころ。

この時間帯まで、ああでもない。こうでもないと、延々つき合わされたのだ。

自分から声をかけたのもあるが、リーリアがリナのために選んでいることを聞かされ。

途中で投げ出そうとはせず、自分のことのように親身になって相談に乗った。

さきほどはああいったものの、あまり高価すぎるものをおくった場合。

彼女の性格だと、換金される可能性があったとは、リーリアに言い出せずにいたりするのが実情。

やたら金銭にがめついということを、アメリアから聞いた話や自身の経験からしっているから。

「でもいいの〜? もうちょっと立派なやつでも喜んでくれると思うんだけど」

「立派なものだから、いいってものではありませんよ。
その人のために何を送ったら相手が喜んでくれるんだろうと考えて、相手が喜んでくれそうなものを選べば、送られたほうも嬉しいものなんですよ」

「そうなの? でもリナちゃんだったら、服でもよかったと思うんだけどな〜。
赤でもいいけど、リナちゃんの可愛さだったら、フリルのついた淡いピンク色のワンピースとか似合うと思うし。
それに・・・・・・女性用の服で、アレン君着せ替え人形できるから♪」

「あなたは俺に、女装させるつもりだったんですか」

引きつったような顔も、憮然としたような顔も、今の彼には表情に出すことが叶わず、口を動かしてそういう。

リーリアは、気を悪くした様子もなく、からかうような口調で。

「なぁに〜?アレン君もリナちゃんにあいたいっていってたじゃない」

「会いたいですよ」

即座に返され、リーリアとしては一本取られた気分で口を閉ざす。

「・・・・・・つまんな〜い」

頬を膨らませて言う彼女に、アレンは無表情で不思議そうに首をかしげる。

「なにがですか」

「今までだったら、からかったりすれば、慌てふためいたりしていたのに、動揺の一つもみせたりしないんだもん」

「・・・・・・付き合い始めた人から、素面で甘い言葉を囁かれ続けたから、耐性がついちゃったんですね」

何気なく彼の様子を観察したリーリアは、あることに気がついた。

「・・・・・・無表情でも、耳真っ赤よ〜♪」

「ほっといてください」

「アレン君たちの呪いが進行していても、私にはお手上げね。
人間のように、親から子に知識や技術の伝承とかはしないから〜。
必要となれば自分で呪文を組み上げたりするけど、神の力を借りた呪文とかだったら、長老様くらいの竜(かた)なら使えるけど・・・・・・
三百年生きてる私だったら、せいぜいレーザー・ブレスくらい」

「呪いの進行を早めたのは、火竜王の神の力と、初代に呪いをかけた魔王の魔の力が反発しあって再発したものだとは思うのですが」

「ヴラバザード様に、呪いの進行を抑えるよう頼んでみたら?」

「行方が分かりませんし、頼んでも無理ですよ。
呪いの進行を結果として早めたのは、確かに火竜王ですが。
地竜王の力を使ったさい、あの方は初代の気配のものだと思ってきたわけですから。
一個人の人間を助けるなんて聞いたこともありませんし、神は決して万能ではないんですよ。
・・・・・・今はかなり抑えていますが、火竜王の性質は――激しい烈火なんですから」

「もしかしたら、屋敷でホストやってるかもしれないわよ〜♪
・・・・・・あの方、なりゆきでリナちゃんと一緒に、ホストやってたときがあるし♪」

「竜王がホスト・・・・・・なに考えてるんですか。
といいますかリーリアさん。なにがいいたいんですか。そして俺にどうしろっていうんですか」

「折角ここまできたんだから、送ってもらうだけじゃ悪いわよ♪
私の付き添いとして、一緒に行かない?・・・・・・もちろん女装して♪」

「リナさんが男装しているってだけでもあれですけど。
火竜王がいるかどうかもわからないのに、女装してまで会おうとは思いません」

「その無表情じゃ、お人形さんみたいだもんね」

「仮に女装したとしましょう。それが俺だと知られたら。
あの方たちのことですから、指差して笑われるのは・・・・・・」

「目に見えてるわね〜♪」

「わかってるんでしたら、いわないでください」

「お客さんとして女装すれば分からないと思うわよ♪」

「・・・・・・あなたはどうあっても、俺に女装させたいんですか。
だいいち、もう夜ですよ。この時間だと、衣服店はしまってるじゃないですか」

「心配いらないわよ〜♪
いったん戻って私の服貸してあげるから〜♪」

「けっこうです」

「でも本当にいいの〜? 屋敷の前までいって、中に入らないなんて」

「屋敷まで送っていくと言い出したのは俺なんですから。
いくらあなたが黄金竜で、俺よりも強いとはいえ、女性の一人歩きは危険ですから」

「女の子より弱い男の子って立場・・・・・・悲しくならない?」

「あなたとは種族が違うでしょうが」

「そんなにイヤなの? 貴族のパーティーって」

「・・・・・・イヤっていいますか・・・・・・
貴族のパーティーに誘われて、ろくな目にあったためししかなくて」

憂鬱(ゆううつ)そうに、ため息をつく。

「そんなこといってるうちに・・・・・・着きましたよ」

目の前に開けた屋敷。








小さくも大きくもないごく普通の屋敷。

とりたてて荘厳というわけでもないのに、圧されるような重厚さがあった。

そしてその扉の前に、ぽつりとたたずむ、小さな人影。

「リオ君」

リーリアの声に気づいたように、『彼』は顔を上げた。

栗色の髪に、小柄な身体。

漆黒の、パリっとしたタキシードを着込んで、『彼』は口を開いた。

「ずっとキミを待ってたんダ」

「え?」

暗闇の中、『彼』が笑った気がした。

「パーティーにようこソ」

音もなく、静かにリーリアに近づく。


ず・・・ん・・・


「・・・・・・あ?」

リーリアの腹に突き出された――漆黒の杖。

アレンも、そしてリーリアでさえも気づかなかった。

――否。

気づけなかった。

運ばれてくる患者の治療をする際、微弱にもれ続けていた瘴気によって、竜である彼女の感知能力も。

わずかに――ほんの僅かに・・・・・・

「ま・・・ぞ・・・く?」

――魔族の気配を感知しにくくなっていたことに。

「ご名答サ」

満面の笑みを浮かべ、漆黒の杖――ツゥドルクをリーリアに貫かせながら、リオの姿を借りた覇王神官ディーは言った。

彼女を貫いているはずなのに、血は一滴も流れず、ゆっくりと底なし沼のように埋まっていく。

「・・・・・・覇王神官・・・・・・っ!」

強張った声で、言うアレン。

ずぶずぶと、完全にツゥドルクがリーリアの中に埋まったとたん。


ずう・・・ん・・・・・・!


変身の力が途切れ、黄金(こがね)のドラゴンと戻ったリーリアはその場に倒れた。

「リーリアさんっ!」

恐怖からすくんでいたアレンは、リーリアに駆け寄ろうとしたが、ディーに阻まれた。

「まだ殺しはしないヨ。この竜は大事な苗床なんだからネ」

普段彼がとっている少年の姿に戻り、

「・・・・・・苗床?」

「苗床サ。ツゥドルクに多くの芽をいれテ」

歪みを正常な流れへ戻す役割を果たしている、セイルーンの六紡星のなか。

瘴気を削られても、消えるどころか少しずつ濃度を増していったという理由の一つが。

それだったのだ。

「ふぅ・・・ン」

なにかに気づいたように、ディーは面白そうな声を上げてアレンを見た。

「キミ、ヴラバザードと接触したんダ?
ルビーアイ様の呪いに蝕まれ始めてるネ。表情を消したのは呪いから身を守る防衛手段のようだネ」

「だから・・・・・・なんだというんですか・・・・・・っ!」

「感情がブレないようにしないト、狂うんだロ?」

玩具を見つけたように、笑みを浮かべる。

「ちょうどいイ。キミにも手伝ってもらうヨ」

「シャブラニグドゥにかけられた呪いを、あなたがどうにかできるわけないじゃないですかっ!」

「ボクはキミの記憶の中に在ル。強い憎しみを引き出すだけサ」

人間を憎んだ。

世界を、他者を。

自分を憎んだ。

数え切れないほど多くの、無念と怒りと嘆き。

輪廻の中にある、多くの負の感情の記憶を。

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34967Re:白魔術都市狂想曲 77セス 2009/12/23 22:11:15
記事番号34964へのコメント

こんばんは、フィーナさん。
>
>さきほどはああいったものの、あまり高価すぎるものをおくった場合。
>
>彼女の性格だと、換金される可能性があったとは、リーリアに言い出せずにいたりするのが実情。
>
>やたら金銭にがめついということを、アメリアから聞いた話や自身の経験からしっているから。
ありうる・・・すげえありうる(笑
>
>「でもいいの〜? もうちょっと立派なやつでも喜んでくれると思うんだけど」
>
>「立派なものだから、いいってものではありませんよ。
>その人のために何を送ったら相手が喜んでくれるんだろうと考えて、相手が喜んでくれそうなものを選べば、送られたほうも嬉しいものなんですよ」
>
>「そうなの? でもリナちゃんだったら、服でもよかったと思うんだけどな〜。
>赤でもいいけど、リナちゃんの可愛さだったら、フリルのついた淡いピンク色のワンピースとか似合うと思うし。
まあ似合うでしょうけど、リナ本人はそういうのあまり着たがらないでしょうね。
>それに・・・・・・女性用の服で、アレン君着せ替え人形できるから♪
おいおい・・・

>
>「ヴラバザード様に、呪いの進行を抑えるよう頼んでみたら?」
>
>「行方が分かりませんし、頼んでも無理ですよ。
>呪いの進行を結果として早めたのは、確かに火竜王ですが。
>地竜王の力を使ったさい、あの方は初代の気配のものだと思ってきたわけですから。
>一個人の人間を助けるなんて聞いたこともありませんし、神は決して万能ではないんですよ。
>・・・・・・今はかなり抑えていますが、火竜王の性質は――激しい烈火なんですから」
確かに・・・
前にどこぞの作品で
「神様って奴がマジで公平なら誰かを特別に助けてくれるなんて、あるわけない」
て台詞を読んだことがありますが。
>
>「仮に女装したとしましょう。それが俺だと知られたら。
>あの方たちのことですから、指差して笑われるのは・・・・・・」
>
>「目に見えてるわね〜♪」
>
>「わかってるんでしたら、いわないでください」
>
>「お客さんとして女装すれば分からないと思うわよ♪」
>
>「・・・・・・あなたはどうあっても、俺に女装させたいんですか。
>だいいち、もう夜ですよ。この時間だと、衣服店はしまってるじゃないですか」
>
>「心配いらないわよ〜♪
>いったん戻って私の服貸してあげるから〜♪」
>
>「けっこうです」
アレンさん、いじられまくってますね(笑


>「リオ君」
>
>リーリアの声に気づいたように、『彼』は顔を上げた。
>
>栗色の髪に、小柄な身体。
>
>漆黒の、パリっとしたタキシードを着込んで、『彼』は口を開いた。
>
>「ずっとキミを待ってたんダ」
をや・・・?
>
>「え?」
>
>暗闇の中、『彼』が笑った気がした。
>
>「パーティーにようこソ」
>
>音もなく、静かにリーリアに近づく。
>
>
>ず・・・ん・・・
>
>
>「・・・・・・あ?」
>
>リーリアの腹に突き出された――漆黒の杖。
>
>アレンも、そしてリーリアでさえも気づかなかった。
>
>――否。
>
>気づけなかった。
>
>運ばれてくる患者の治療をする際、微弱にもれ続けていた瘴気によって、竜である彼女の感知能力も。
>
>わずかに――ほんの僅かに・・・・・・
>
>「ま・・・ぞ・・・く?」
>
>――魔族の気配を感知しにくくなっていたことに。
>
>「ご名答サ」
>
>満面の笑みを浮かべ、漆黒の杖――ツゥドルクをリーリアに貫かせながら、リオの姿を借りた覇王神官ディーは言った。
>
>彼女を貫いているはずなのに、血は一滴も流れず、ゆっくりと底なし沼のように埋まっていく。
>
>「・・・・・・覇王神官・・・・・・っ!」
>
>強張った声で、言うアレン。
>
>ずぶずぶと、完全にツゥドルクがリーリアの中に埋まったとたん。
>
>
>ずう・・・ん・・・・・・!
>
>
>変身の力が途切れ、黄金(こがね)のドラゴンと戻ったリーリアはその場に倒れた。
あああ、リーリアさん!?
>「リーリアさんっ!」
>
>恐怖からすくんでいたアレンは、リーリアに駆け寄ろうとしたが、ディーに阻まれた。
>
>「まだ殺しはしないヨ。この竜は大事な苗床なんだからネ」
うぉのれ、覇王神官、許すまじ・・・
>
>普段彼がとっている少年の姿に戻り、
>
>「・・・・・・苗床?」
>
>「苗床サ。ツゥドルクに多くの芽をいれテ」
>
>歪みを正常な流れへ戻す役割を果たしている、セイルーンの六紡星のなか。
>
>瘴気を削られても、消えるどころか少しずつ濃度を増していったという理由の一つが。
>
>それだったのだ。
>
>「ふぅ・・・ン」
>
>なにかに気づいたように、ディーは面白そうな声を上げてアレンを見た。
>
>「キミ、ヴラバザードと接触したんダ?
>ルビーアイ様の呪いに蝕まれ始めてるネ。表情を消したのは呪いから身を守る防衛手段のようだネ」
>
>「だから・・・・・・なんだというんですか・・・・・・っ!」
>
>「感情がブレないようにしないト、狂うんだロ?」
>
>玩具を見つけたように、笑みを浮かべる。
>
>「ちょうどいイ。キミにも手伝ってもらうヨ」
>
>「シャブラニグドゥにかけられた呪いを、あなたがどうにかできるわけないじゃないですかっ!」
>
>「ボクはキミの記憶の中に在ル。強い憎しみを引き出すだけサ」
>
>人間を憎んだ。
>
>世界を、他者を。
>
>自分を憎んだ。
>
>数え切れないほど多くの、無念と怒りと嘆き。
>
>輪廻の中にある、多くの負の感情の記憶を。
ルークが覚醒した時みたいですね・・・

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34972Re:白魔術都市狂想曲 77フィーナ 2009/12/25 11:36:29
記事番号34967へのコメント


>こんばんは、フィーナさん。
こんにちは。セスさん。
イブはすぎて、今日はクリスマスですね。
>>彼女の性格だと、換金される可能性があったとは、リーリアに言い出せずにいたりするのが実情。
>>やたら金銭にがめついということを、アメリアから聞いた話や自身の経験からしっているから。
>ありうる・・・すげえありうる(笑
悟っています。彼女のことを調べていただけあって。
>>「そうなの? でもリナちゃんだったら、服でもよかったと思うんだけどな〜。
>>赤でもいいけど、リナちゃんの可愛さだったら、フリルのついた淡いピンク色のワンピースとか似合うと思うし。
>まあ似合うでしょうけど、リナ本人はそういうのあまり着たがらないでしょうね。
どぎついピンクだったら、暴れますね。
>>「行方が分かりませんし、頼んでも無理ですよ。
>>呪いの進行を結果として早めたのは、確かに火竜王ですが。
>>地竜王の力を使ったさい、あの方は初代の気配のものだと思ってきたわけですから。
>>一個人の人間を助けるなんて聞いたこともありませんし、神は決して万能ではないんですよ。
>>・・・・・・今はかなり抑えていますが、火竜王の性質は――激しい烈火なんですから」
>確かに・・・
>前にどこぞの作品で
>「神様って奴がマジで公平なら誰かを特別に助けてくれるなんて、あるわけない」
>て台詞を読んだことがありますが。
だからこそ、神なんでしょう。
ヴラも人間が思う、宗教のようにだれかれ助けるような存在ではないですから。
>>「・・・・・・あなたはどうあっても、俺に女装させたいんですか。
>>だいいち、もう夜ですよ。この時間だと、衣服店はしまってるじゃないですか」
>>「心配いらないわよ〜♪
>>いったん戻って私の服貸してあげるから〜♪」
>>「けっこうです」
>アレンさん、いじられまくってますね(笑
あるときは親戚にいじられ、またあるときは同僚や弟にいじられ。
リナやガウリイたちにはいじめられ。ディーにはいためつけられる。
>>「ずっとキミを待ってたんダ」
>をや・・・?
リオの姿になってますが…
>>「え?」
>>暗闇の中、『彼』が笑った気がした。
>>「パーティーにようこソ」
>>音もなく、静かにリーリアに近づく。
>>ず・・・ん・・・
>>「・・・・・・あ?」
>>リーリアの腹に突き出された――漆黒の杖。
>>アレンも、そしてリーリアでさえも気づかなかった。
>>――否。
>>気づけなかった。
>>運ばれてくる患者の治療をする際、微弱にもれ続けていた瘴気によって、竜である彼女の感知能力も。
>>わずかに――ほんの僅かに・・・・・・
>>「ま・・・ぞ・・・く?」
>>――魔族の気配を感知しにくくなっていたことに。
計画の一端。
人間に因子を植え付け、瘴気を紛れ込ませることで、ヴラには気配をつかませないため。
そしてリーリアに付け込むときのため、警戒が緩むようリオの姿になって、魔族への感知能力の反応を遅らせるため。
>>満面の笑みを浮かべ、漆黒の杖――ツゥドルクをリーリアに貫かせながら、リオの姿を借りた覇王神官ディーは言った。
>>彼女を貫いているはずなのに、血は一滴も流れず、ゆっくりと底なし沼のように埋まっていく。
>>ずぶずぶと、完全にツゥドルクがリーリアの中に埋まったとたん。
>>ずう・・・ん・・・・・・!
>>変身の力が途切れ、黄金(こがね)のドラゴンと戻ったリーリアはその場に倒れた。
>あああ、リーリアさん!?
危険です。
>>「リーリアさんっ!」
>>恐怖からすくんでいたアレンは、リーリアに駆け寄ろうとしたが、ディーに阻まれた。
>>「まだ殺しはしないヨ。この竜は大事な苗床なんだからネ」
>うぉのれ、覇王神官、許すまじ・・・
ディーの役割は、まだあるんです。
>>玩具を見つけたように、笑みを浮かべる。
>>「ちょうどいイ。キミにも手伝ってもらうヨ」
>>「シャブラニグドゥにかけられた呪いを、あなたがどうにかできるわけないじゃないですかっ!」
>>「ボクはキミの記憶の中に在ル。強い憎しみを引き出すだけサ」
>>人間を憎んだ。
>>世界を、他者を。
>>自分を憎んだ。
>>数え切れないほど多くの、無念と怒りと嘆き。
>>輪廻の中にある、多くの負の感情の記憶を。
>ルークが覚醒した時みたいですね・・・
ルークは自らの意思で受け入れましたが、アレンさんは無理やり引きずられます。
呪いによって発狂死したのを除けば、たいていは虐殺されたものです。ディーは、魂の所有者が抱いた負の感情を引き出します。

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34976白魔術都市狂想曲 78フィーナ 2009/12/28 17:20:46
記事番号34739へのコメント

「リーリアと?」

あたしの問いに、ゼルはうなずいた。

彼が取っている宿の一室をかりて。

「イルミネーションを扱う店で、首飾りを選んでいたそうだ」

リーリアと一緒に、アレンもその姿を消した。

消息が途絶えたのをみると、いざこざにまきこまれたのだろう。

・・・・・・どんだけ運がないんだ。

「ゼル。あんたアレンに護衛をするよう依頼されたのよね」

「・・・・・・そんなところだ」

肯定も否定もしない、微妙な返答をする。

「あの神官は、はじめは薬草を届け終わったら、身内の治療に戻りたいといっていたんだがな。
セイルーンに蔓延しているやつに思うところがあったのか、しばらくとどまらせて欲しいとメッセージ・センターで言ってきた」

「護衛の依頼を、あんたが引き受けるなんてね」

「乗りかかった船だしな。それなりの依頼料だったから」

悪事から足を洗ったとはいえ、ゼルは魔道戦士として一流といっても過言ではない。

あたしを含め、そういった連中のそれなりの値段というと、場合によってはかなりのものになる。

魔道というやつには、なにかと金がかかるのもあるが。

あれ? そうすると・・・・・・

護衛を依頼したのがアレンなら、彼の持ち合わせはそんなに無かったはずなのだが?

たしかゼルは依頼人の名前は教えられないといってた。

護衛対象者は竜に鷲づかみにされたといっていて、その何日か前に、あたしたちはその現場に居合わせた。

以前ミックス・ジュースにオレンジ・ジュースを継ぎ足してく理論を聞いたこともあり、思い至ったのがアレンだった。

あたしはそれをきいて、てっきりアレンがゼルに護衛を依頼した張本人だと思っていたのだが。

ゼルは護衛対象者といっただけであり、それイコール依頼人だとは一言もいっていない。

その話をしてしばらくたったあと。

アメリアが、政務の間を縫ってたずねてきた。








彼の意識が目覚めたのが深夜から明け方近く。

彼からの話だと、ディーにリーリアを屋敷に誘い出すように言われた。

リーリアたちが見かけられたのが昼過ぎから夜の間。

翌日――つまりは今日の早朝。

彼の証言の確認のため、リーリアと親しいシルフィールに話を聞いたのだが。

治療をしていたシルフィールに尋ねたら、彼女はあたしが男装した『リオ』に会いに行くと、貴族の屋敷に向かったという。

むろんあたしはその時間、男装なんてしていない。

リオ(あたしが男装したときの偽名)の親衛隊長を務めている! と、ほざいていたアメリアに、その情報は行き届いておらず。

リーリア『のみ』に、それがいわれていたのだ。

「なあリナ。つまりどういうことなんだ?」

「覇王神官の狙いは、リーリアだったってわけよ」

「しかし解(げ)せんな」

ぽつりというゼルガディス。

「そうね」

「なにが解せないんだ?」

「こうまで回りくどいことをしている、ディーの行動の過程よ」

「火竜王様におそれをなして、せこせこしてるんじゃないの?」

そういったのはアメリアだった。

「魔族からしてみれば、火竜王様の来訪に縮こまって、思うように動けなかったとか」

「可能性としてはなくもないんだけど、ディーもヴラも互いの存在を認識してたフシがあるわ」

養成施設で、ディーが『厄介な相手』がいるって言ってたし。

それにヴラ。

彼はこうもいっていた。

観光のついでにちょっとした『視察』をしてると。

ディーからしてみれば、黄金竜であるリーリアはとにかく、見下してる人間ごときに因子を植えつけ、『種』と呼んだり。

「・・・・・・アメリア。あんたが前に言ってた神託覚えてる?」

はっとするアメリア。

「・・・・・・神託?」

怪訝そうな表情のゼル。

そーいやゼルは、そのときいなかったんだっけ。

「なんだ?それ?」

・・・・・・ガウリイ。あんたはその場にいただろーが。

「あれの内容って確か――」

「『――暁から生まれし灼熱の化身
    星を紡ぐ町に舞い降りん』」

「そうそれ!」

「続きを言ってくれ。アメリア」

続きを促すゼルガディス。

「『――凍える闇の僕(しもべ)
    人の心を惑わし化身の者を滅さんとす』」

「これだけなのか?」

「わたしが聞いた内容はそれだけでした」

「それでなにがわかるんだ?」

「あのねぇガウリイ。
暁から生まれた灼熱の化身は、赤の竜神スィーフィードの分身である火竜王ヴラバザードをさしてたの。
・・・・・・ここまでは、あんたもわかる?」

ガウリイくんポンッ! と手を叩き、

「あのトカゲの親分かっ!」

・・・・・・いまわかったんかい・・・・・・あんた。

「ま・・・・・・まあ。
それはともかく、凍える闇の僕は覇王の部下であるディー」
                  ダイナスト・ブレス                      カオス・ワーズ
ちなみに、覇王の力を借りた 覇 王 氷 河 烈 に『凍える魂もちたる覇王』という 混沌の言語 が入っているのはまったくの余談である。

「星を紡ぐ町。つまりこのセイルーンに、火竜王であるヴラが来たわけ」

化身の者を滅さんとす。

神託を下したのがヴラか、それとも他の存在なのかは分からないが。

「そうすると火竜王は、覇王神官の狙いが神である自分を殺すという動きを、はじめから知っていたということか」

「――いんや」

「うおっ!?」

とーとつに横手から来た声に、ゼルはめったにきけない愉快な声を出した。

「どのような手段でってのはつかめねぇんだよ」

彼はどっこいせ、と腰を下ろした。

「どういう意味よ。ヴラ」

いまさらのような気がしたんで、ヴラがわいて出たことに関して、何も突っ込まないで尋ねるあたし。

「ん?そのままの意味さ。
とりあえず睨みをきかせていたんだが」

「・・・・・・そのわりにはあんた。
観光をおもいっきし満喫してたみたいだけど・・・・・・?」

「んー。いつまでも睨みあってただけじゃ肩凝るだろう。
やっぱりたまには、こうやって部下の目をかいくぐって、お忍びで息抜きってやつは必要だろうが」

「わかるわっ! ヴラさんその気持ち!」

ぐぐい! と拳を握り締めて同意したのはアメリアだった。

「王宮の中では、わたしの目の届いていないところで、悪事が働かれていても知ることはできないもの!
流しにふらりと出向き、目に付いた悪にたまりにたまった正義の裁きを下すっ! やっぱりこれよっ!」

なにがこれなんだろう?

・・・・・・っていうより、その『たまりにたまった』ってのは、正義というより。

どちらかというと、常日頃のストレスの憂さを晴らすって意味なんじゃ・・・・・・?

とはいえ、口に出したところで聞くような奴でもないし。

「町の地形に瘴気が中和されたとはいえ、あちこちの人間に植え付けられた魔族の因子がそいつの気配を探るのに邪魔してな」

「・・・・・・居場所をつかめなかった」

ヴラは苦笑を浮かべる。

「抑えているのもあるが、それとは別のことが原因なのか・・・・・・俺の調子もここんところ芳(かんば)しくねぇ」

いって彼は両手を見やる。

「どうやらやっこさんたち。
大掛かりなことをやってるみたいだぜ」

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34977白魔術都市狂想曲 79フィーナ 2009/12/29 20:09:43
記事番号34739へのコメント


「それであんたはどうすんのよ」

「ん? とりあえず、俺のあとをかぎまわってる人間が何人かいるから」

アメリアは、がばりと立ち上がり、

「火竜王様だと知られるのはイヤなんですか?」

「うーん。けど意思を伝えたのは俺だから、たんに尾けられるのが嫌なだけだ。それと過剰な反応されることも」

「本人がいらっしゃるので聞いてみたかったんですが。
ヴラさんたちが神託を下すのは、何で神官ではなく、わたしたち巫女なんですか?」

「そりゃやっぱ、ヤローなんかより女のほうがいいに決まってるだろっ!」

・・・・・・自分に正直なやつ。

いいのか?

神がこんなんで・・・・・・?

「・・・・・・ってのは、半分冗談だが」


ずしゃぁぁっ!


その場にダイブするあたしとアメリア。

ガウリイはノーリアクション。

・・・・・・つーか、うなずくな。

「いいリアクションだな」

「だれのせいだと思ってんのよっ!」

「いいじゃねぇか。つかみはオッケーってやつで」

「よくないわよっ!」

隣のアメリアは、いまだ硬直している。

「半分は冗談だが、まあ聞けって。
女のほうがいいってのは、真面目な話し、俺らとの波長が合いやすいんだよ。
巫女のほうが神秘性があるって諸説もあるみたいだが、生命を育むことができ、新たな命を産み落とすことができるのは女だからな」

はじめからそういえ。







「そういやアメリア。あんた城に戻らなくていいの?
抜け出したままってのは、さすがにいかないでしょうに」

「だいじょーぶっ!」

彼女は力強くこぶしをにぎり、

「悪がそびえている場所が分かったんだから、父さんには正義の鉄槌を下す悪がいるっていってきたから!」

「・・・・・・あんたを警護するよう、城の兵士がいたはずだが」

静かに突っ込むゼルガディス。

「相手は闇に巣くう魔族っ!
しかもレッサー・デーモンなんかより比べ物にならないくらい凶悪!
そんなの相手に巻き込むわけにも行かないから、まいたに決まってるわっ!」

「・・・・・・ただ単に、付き人たちに干渉されたくないだけなんじゃ」

そうつぶやいたあたしに、彼女は平静を装っていたが。

アメリアの額に流れる一筋の汗を、むろんあたしは見逃さなかった。

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34978Re:白魔術都市狂想曲 79kou 2009/12/29 20:44:35
記事番号34977へのコメント

こんばんは、フィーナさん。
 kouです。わたしは、年末もやってきてもうすぐ大晦日ですね。大掃除はどうにか終わってあとは、おせち料理の手伝いです。
>「それであんたはどうすんのよ」
>
>「ん? とりあえず、俺のあとをかぎまわってる人間が何人かいるから」
>
>アメリアは、がばりと立ち上がり、
>
>「火竜王様だと知られるのはイヤなんですか?」
 そりゃ、いやだろ。つかれそうで
>「うーん。けど意思を伝えたのは俺だから、たんに尾けられるのが嫌なだけだ。それと過剰な反応されることも」
>
>「本人がいらっしゃるので聞いてみたかったんですが。
>ヴラさんたちが神託を下すのは、何で神官ではなく、わたしたち巫女なんですか?」
>
>「そりゃやっぱ、ヤローなんかより女のほうがいいに決まってるだろっ!」
 神……と、言うか精神体に性別は無いのでは?
>・・・・・・自分に正直なやつ。
 だから、ヴラは正確にはカタツムリとかナメクジとかの両性なのでは?
 と、言うか神様をカタツムリとかナメクジと同列に語るkouもkouですが……。(汗)
>いいのか?
>
>神がこんなんで・・・・・・?
 ま、創造主が創造主ですから……
>その場にダイブするあたしとアメリア。
>ガウリイはノーリアクション。
>
>・・・・・・つーか、うなずくな。
>
>「いいリアクションだな」
>
>「だれのせいだと思ってんのよっ!」
 あんたは、お笑い芸人の事務所か!
>「いいじゃねぇか。つかみはオッケーってやつで」
>
>「よくないわよっ!」
>
>隣のアメリアは、いまだ硬直している。
>
>「半分は冗談だが、まあ聞けって。
>女のほうがいいってのは、真面目な話し、俺らとの波長が合いやすいんだよ。
>巫女のほうが神秘性があるって諸説もあるみたいだが、生命を育むことができ、新たな命を産み落とすことができるのは女だからな」
 だから、L様も女性の姿でいるのでしょうか?
>はじめからそういえ。
>「悪がそびえている場所が分かったんだから、父さんには正義の鉄槌を下す悪がいるっていってきたから!」
 それで、王位継承者を外にだしてどうする。
 むしろ、護衛のために城に閉じ込められるはずなのですが……。
 ……ま、セイルーンですからなぁ
>「・・・・・・あんたを警護するよう、城の兵士がいたはずだが」
>
>静かに突っ込むゼルガディス。
>
>「相手は闇に巣くう魔族っ!
>しかもレッサー・デーモンなんかより比べ物にならないくらい凶悪!
>そんなの相手に巻き込むわけにも行かないから、まいたに決まってるわっ!」
 ま、確かにただの兵士じゃ犬死にするのはたしかだしな
>「・・・・・・ただ単に、付き人たちに干渉されたくないだけなんじゃ」
>
>そうつぶやいたあたしに、彼女は平静を装っていたが。
>
>アメリアの額に流れる一筋の汗を、むろんあたしは見逃さなかった。
 おいおい……。アメリア
 ま、アメリアだからな。
 こりゃ、セイルーンの将来は真っ暗だな。
 たぶん、百年たてばセイルーンは滅びている可能性もありますね。
 不吉な予想を立てたkouでした。

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34981Re:白魔術都市狂想曲 79フィーナ 2009/12/30 22:39:21
記事番号34978へのコメント


> こんばんは、フィーナさん。
こんばんは。kouさん。
> kouです。わたしは、年末もやってきてもうすぐ大晦日ですね。大掃除はどうにか終わってあとは、おせち料理の手伝いです。
今年も色々ありましたねぇ。
>>「それであんたはどうすんのよ」
>>「ん? とりあえず、俺のあとをかぎまわってる人間が何人かいるから」
>>アメリアは、がばりと立ち上がり、
>>「火竜王様だと知られるのはイヤなんですか?」
> そりゃ、いやだろ。つかれそうで
めんどくせぇといいそう。
>>「そりゃやっぱ、ヤローなんかより女のほうがいいに決まってるだろっ!」
> 神……と、言うか精神体に性別は無いのでは?
>>・・・・・・自分に正直なやつ。
> だから、ヴラは正確にはカタツムリとかナメクジとかの両性なのでは?
> と、言うか神様をカタツムリとかナメクジと同列に語るkouもkouですが……。(汗)
ナメクジですか。
アニメのほうでは、リナが苦手みたいでしたが。
原作では、ゴーストのように形のあるものなら平気で、怪談は駄目でしたね。
>>いいのか?
>>神がこんなんで・・・・・・?
> ま、創造主が創造主ですから……
さて、何話かあとヴラの行動に批判が集中しそうです。
>>「半分は冗談だが、まあ聞けって。
>>女のほうがいいってのは、真面目な話し、俺らとの波長が合いやすいんだよ。
>>巫女のほうが神秘性があるって諸説もあるみたいだが、生命を育むことができ、新たな命を産み落とすことができるのは女だからな」
> だから、L様も女性の姿でいるのでしょうか?
現在のL様のパーソナリティとか姿は、覚醒前の某魔道士の恋人を模しているらしいですが(りーでぃんぐ)
>>「悪がそびえている場所が分かったんだから、父さんには正義の鉄槌を下す悪がいるっていってきたから!」
> それで、王位継承者を外にだしてどうする。
> むしろ、護衛のために城に閉じ込められるはずなのですが……。
> ……ま、セイルーンですからなぁ
フィルさんって豪快ですね。
>>「・・・・・・あんたを警護するよう、城の兵士がいたはずだが」
>>「相手は闇に巣くう魔族っ!
>>しかもレッサー・デーモンなんかより比べ物にならないくらい凶悪!
>>そんなの相手に巻き込むわけにも行かないから、まいたに決まってるわっ!」
> ま、確かにただの兵士じゃ犬死にするのはたしかだしな
戦闘シーンうまくかけるか心配です。
>>「・・・・・・ただ単に、付き人たちに干渉されたくないだけなんじゃ」
>>そうつぶやいたあたしに、彼女は平静を装っていたが。
>>アメリアの額に流れる一筋の汗を、むろんあたしは見逃さなかった。
> おいおい……。アメリア
> ま、アメリアだからな。
> こりゃ、セイルーンの将来は真っ暗だな。
> たぶん、百年たてばセイルーンは滅びている可能性もありますね。
> 不吉な予想を立てたkouでした。
アメリアがフィルさんのあとを継いでもグレイシアおうぢょが、かえってくるにしても不安です。

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34993白魔術都市狂想曲 80フィーナ 2010/1/4 20:09:42
記事番号34739へのコメント


日が高く立ち昇って、その屋敷にさんさんと差し込む日の光。

だというのに、陰惨とした雰囲気。

屋敷の外見は、大きすぎるほど広いというわけではないのに、圧迫されそうな違和感。

手入れは行き届いていないところがあり、ツタや根が意思を持つかのようにのびている。

このように植物の根が伸びるのは、一日や二日という日数ではない。

瘴気を伸ばしたような気配とも何か違う。

まるで、多くの存在が蠢いているかのような――

「・・・・・・ここか」

軽く眉をひそめていうゼルガディス。

彼もやはり、この屋敷の違和感に気づいているのだろう。

目前の扉に近づくにつれ、異様な濃度がましていった。

あたしは襲撃に対処できるように呪文を唱え始める。

その横ではゼルも。

「あけるぞ」

ガウリイは一言いって、扉に手をかける。


ぎぃぃ・・・


重い音を立て、なんなく扉は開く。

延びる赤じゅうたんに、いくつもある部屋。

そして――


ひゅご・・・!


目の前に飛来する炎の赤っ!

十やそこらではない。

そして横手から数条の光の槍。

浮かび上がる数人の人影。
   グームエオン
「 虚 霊 障 界 !」


ひゅきききん!


アメリアの防御の術をうけ、四散していく。
 エルメキア・ランス
『  烈 閃 槍 !』

あたしとゼルの声がハモり、呪文が飛来したほうへと突き刺さる!

「城の兵士!?」

術を受け、倒れたのはまぎれもなく兵士その一。

うち何人かは、以前選抜を編成されたときに顔を合わせたことのある傭兵の面々。

「操られてるのかっ!?」

ガウリイの戸惑ったような声。

あたしは兵士の一撃をかわし、当て身で昏倒させる。

そのとき――

・・・・・・横手から、聞き覚えのある呪文の詠唱を唱える声が聞こえた。

振り向く間も惜しみ、横に跳ぶ!
 ヴァン・レイル
「 氷 窟 蔦 」

たなびくダークブラウンの髪。

押し当てられた『彼』の手を起点に、無数の氷の糸が壁や床、天井を這った。

あたしがさきほどいた場所に昏倒していた兵士は、瞬時に氷のオブジェと化す!

次々絡みとられ、氷の彫像になる傭兵たち。

気づくのに遅れていたら、あたしも彼らと同じ道をたどっていただろう。

氷の糸は、アメリアのいる場所にまで及んだ!
 バースト・ロンド
「 爆 煙 舞 !」


ちゅごどどど・・・!


アメリアから放たれた無数の光球が炸裂し、ど派手な音と炎がまきおこる。

この術、見た目や音は派手だが殺傷能力はほとんど無い。

ただ詠唱時間が短いため、こういった風に術によっては迎撃できる。

彼女に進行していた氷の蔦は、爆煙に煽られ氷の糸を砕け散らせ――

「どういうつもりです! 魔族にくみし、あまつさえわたしたちの行方を阻むなんて!」

アメリアの視線の先にいた『彼』は、ただ俯いて静かに聞いている。

うつむいているため、『彼』がどんな表情をしているのか、ここからだと見えない。

「あなたが行っていることは、混乱を招こうとしている魔族の片棒を担いでいることに他ならないわ!
正義の名の下に、このわたし。アメリア・ウィル・テスラ・セイルーンがあなたたちの悪事を正してあげるわっ!」

「・・・・・・正義だと!?」

押し殺したような声で、言う。

「過去・・・正義の名の下、行われたことを知らぬとは言わせはしない!」

その声は、なおも言い募ろうとしていたアメリアが口を閉ざすほど、怨嗟に満ちていた。

目には爛々とした光が宿って。

「己が欲望のため、ひっそりと暮らしていた我らを歪んだ笑みを浮かべ、生きながら臓器を抜き取られてゆくのを!」

叫ぶような声。

身体のあちこちが、蚯蚓腫(みみずば)れしたかのように生々しい傷跡をかたどる。

次に『彼』が発したのは、甲高い女性のような声。

「わたしのように生きながら火あぶりにされたのも」

なにもしていないのに、『彼』の顔は火傷をおったように焼け爛(ただ)れる。

・・・・・・いや。

顔以外でも、手や足など目につく場所。

はっきりと全身に浮かび上がる。。

「駒のように使われ、経歴に傷がつくのを恐れた者から、口封じに両手足を縛られ、海に物のように投げ捨てられ」

少年のようにたどたどしい口調で。

「そのような者たちと同じ事を言うのか!」

「・・・・・・アレン。それはあんたが望んだことなの?」

「所有者の意識は、すでに根底に埋まった。
今では、魔族の手により表に出たものしかいない」

・・・・・・つまり、アレンの意識はもう・・・・・・?

「――余計なことは言わなくていいんだヨ」

声が聞こえたと同時。

アレンの頭を、ディーが押さえ込んで壁に叩きつけた!

がん!

「がっ!」

「アレン!」

「キミの命はボクが握ってるんだヨ」

みし・・・

頭蓋骨が軋む音。

「このまんま殺してもいいけド、それだとボクが面白くないからネ。
火竜王がここにくるまでハ、キミたち相手の娯楽のほうが見てて楽しイ」

「だれが・・・・・・魔族の娯楽に」

みきっ!

苦悶のうめきを上げる。

「キミたちの意識を引きずり出してあげたのはボクなんだヨ?
感謝しろとまではいわないけどサ。それともこのまま何もできないうちに死んだほうがマシ?」

愉悦の笑みを浮かべながら、壁に叩きつけながら言うディー。

「リーリアはどこにいるわけ?」

あたしの問いに、ディーは不遜な笑みを浮かべる。

「黄金竜は、この奥にいるヨ。
あの竜はネ、神を殺すのに必要な苗床なのサ」

「苗床・・・・・・?」

反芻(はんすう)するようにつぶやくゼル。

「戯言(ざれごと)もほどほどにするのね!」

いったのはアメリアだった。

「覇王神官程度の魔族で、神である火竜王様を滅ぼすことはできないでしょう!
なにより、正義を愛するわたしたちの目が黒いうちは、そんなことはさせないわ!」

「キミのいうとおり普通の方法では無理だヨ。『普通』ではネ」

アメリアのセリフを肯定しつつも、暗い笑みを浮かべるディー。

「さてト。ボクはまだやることがあル」

「逃げるつもり!?」

「・・・・・・逃げル?
なんでボクが人間ごとき相手に逃げなくちゃいけないわけサ」

あたしの半ば強制参加を前提とさせる挑発に、のってきたディー。

精神にその身をおいている魔族にとって、今のあたしの言葉『人間ごときに逃げなければならないほど自分は劣っているのか』と認識させ、魔族にとって致命傷になりかねない。

ゆえにこそ、ディーはあたしの挑発にのらざるをえなかったのだ。

「あんたはどうするつもり?」

『彼』は、ディーとあたしたちを眺め、

「ここまできた以上引き下がることはできない。
人間の器ではできることは限られてるが、この場にいる人間すべて殺してから、利用されぬよう死ぬことはできる」

「自殺すんならよそでやんなさい。
あたしはまだ生きたいから、あんたの期待には添えないわよ」

「わが身可愛さで、わたしに歯向かうことがいかに愚かなことか!
その身をもって思い知るといい! とっととかかってくるといいわっ!」

「・・・・・・なあアメリア。
それって悪役のセリフみたいなんだが」

ガウリイにそう突っ込まれたらおしまいである。

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