◆−白魔術都市狂想曲 まえがき−フィーナ (2009/7/22 12:51:20) No.34231
 ┣白魔術都市狂想曲 −フィーナ (2009/7/24 17:34:19) No.34238
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 ┣白魔術都市狂想曲 4−フィーナ (2009/7/29 15:49:19) No.34257
 ┣白魔術都市狂想曲 5−フィーナ (2009/7/30 17:08:17) No.34258
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 ┣白魔術都市狂想曲 23−フィーナ (2009/8/27 19:10:32) No.34362
 ┣白魔術都市狂想曲 24−フィーナ (2009/8/29 16:52:53) No.34370
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 ┃┃┗Re:白魔術都市狂想曲 24−フィーナ (2009/8/30 15:41:24) No.34376
 ┃┗Re:白魔術都市狂想曲 24−セス (2009/8/30 11:19:23) No.34374
 ┃ ┗Re:白魔術都市狂想曲 24−フィーナ (2009/8/30 15:47:09) No.34377
 ┣白魔術都市狂想曲 25−フィーナ (2009/8/30 19:33:40) No.34379
 ┃┗Re:白魔術都市狂想曲 25−水野 (2009/8/30 19:48:43) No.34380
 ┃ ┗Re:白魔術都市狂想曲 25−フィーナ (2009/8/30 22:26:11) No.34385
 ┣白魔術都市狂想曲 26−フィーナ (2009/9/2 15:17:56) No.34390
 ┣白魔術都市狂想曲 27−フィーナ (2009/9/5 00:30:42) No.34406
 ┃┣Re:白魔術都市狂想曲 27−kou (2009/9/5 09:14:27) No.34407
 ┃┃┗Re:白魔術都市狂想曲 27−フィーナ (2009/9/7 00:33:41) No.34414
 ┃┗Re:白魔術都市狂想曲 27−セス (2009/9/7 21:45:41) No.34419
 ┃ ┗Re:白魔術都市狂想曲 27−フィーナ (2009/9/7 23:11:26) No.34421
 ┣白魔術都市狂想曲 28−フィーナ (2009/9/7 22:58:19) No.34420
 ┗白魔術都市狂想曲 29−フィーナ (2009/9/8 23:53:50) No.34427
  ┗Re:白魔術都市狂想曲 29−セス (2009/9/11 19:22:43) NEW No.34435
   ┗Re:白魔術都市狂想曲 29−フィーナ (2009/9/11 21:36:13) NEW No.34439
    ┣Re:白魔術都市狂想曲 29−セス (2009/9/11 23:11:57) NEW No.34440
    ┗投票します−kou (2009/9/12 07:39:47) NEW No.34442
     ┗Re:そんなに「きゃん♪」をみたいのか…−フィーナ (2009/9/12 17:11:29) NEW No.34448


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34231白魔術都市狂想曲 まえがきフィーナ 2009/7/22 12:51:20


おひさしぶりです。フィーナです。
これはインスピレーションで閃いた前作『蒼の記憶』の続編となっております。
前作をご覧になっていない方でも楽しめるよう、趣向を凝らしていきたいと思っています。
名前は出てきたけど出番のなかった人や、名前も出番もあった人など、馴染み深い人たちも出る予定です。

舞台はある街道から、セイルーン。
リナたちは、どんな騒動に巻き込まれるのか。
・・・・・・いや、巻き起こすの間違いか?
どこまで延びるのか不明ですけど、あまり期待せずに温かく見守ってください。

まえがきはこれで終わります。

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34238白魔術都市狂想曲 フィーナ 2009/7/24 17:34:19
記事番号34231へのコメント


セイルーンへと続く道から少し離れたある街道。

昼を過ぎた日差しは、うっそうとした森に隠れ、こずえからほんのすこし顔を出している。

さわさわと吹き行く涼しい風は、昼寝をするのに最適なものだった。

こんなときにいうのもなんだが。







・・・・・・あたしたちは道に迷っていた。

それはもう、おもいっきし。







「だぁぁっ!ここはいったいどこなのよっ!?」

「どこって・・・・・・オレはお前さんの後をついてきただけだからなー」

のんびりしているガウリイに、あたしは声を荒げた。

「わかってるわよ!あんたに道を覚えるだけの記憶力ってモノは期待してない!」

「けどよぉ。お前さんがおいしい地鶏があるってきいたのはこのへんなんだろ?」

「あの肉屋のおばちゃんの揚げたてさっくさくのコロッケにも使われていたんだから!ぜったいこのへんにあるはずよ!」

そのときのことを思い出し力説するあたし。

「うまかったよな〜。あのコロッケ」

「たしかにおいしかったわねー。
ひき肉は豚じゃなくて、弾力のある存在感たっぷりの鳥のもも肉を使っていたっていうのが心憎いまでの演出!」

豚肉のもあったのだが、食べ比べてみて癖のないその味は、食後だったのにもかかわらず、次々と平らげてしまうほど臭みがなかったのだ。

「イモのほくほく感の飾りではなくて、塩コショウというシンプルな味付けによって肉自体が引き立て役になっていて、飴色になるまで煮つめている玉ねぎの甘みとの調和がいいあじをだしてたし」







セイルーン領内にあるハイネルの街で発見した肉屋さん。

ちょうど揚げたてが出来たのを見かけ、食後のおやつ感覚で覗き込んだ。

そのなかの一つに、地鶏を使ったコロッケがあり聞いてみたところ。

地元出身の人間にしか出回っていないという情報を入手し、大量にコロッケを購入しその村と地鶏の情報をもとにここまでやってきたのだ。

その場所は町からそんなに離れているわけじゃないし。

以前かかわった事件の資料を、セイルーンにいるアメリアに渡すまでセイルーンは逃げない。

しかし話題の地鶏料理は、いつ食べられるのか分からないのだ。

地鶏を使ったフルコースを食べてみたいという、人として当然の欲求を止められるわけもなく。

あたしとガウリイの二人はそこに行くことにしたのだが。

あるのは続く森ばかり。

「このへんで間違いないはずなんだけど」

「なあリナ」

「なによ」

「腹も減ったし、そこらへんにいる鳥を捕まえて食べちまおうぜ」

・・・・・・へっ?

「ど・・・・・・どこ?」

「ほら。あそこにいる白いの」

みると。

急斜面であるにもかかわらず。

渓谷をけこけこいいながら、元気に走り回る鶏さんたち。

「それだぁぁっ!」

おもわずガッツポーズをとり、叫ぶあたし。

「なにがだ?」

「いいからとにかく追いかけるわよ!」

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34239白魔術都市狂想曲 2フィーナ 2009/7/24 21:25:56
記事番号34231へのコメント

けこけこいいながら逃げる鶏たちは、帰省本能というやつだろうか。

一定の法則でみんな同じ場所に向かっているようだった。

・・・・・・と。

前方へ農村が見えてくる。

人里はなれた場所ゆえか、酪農で自給自足をしているらしい。

畑が耕されており、

他にも離れに牛や馬のいななきが聞こえてきた。

鶏たちは自由に走っていたが、物陰から出てきた男性に飛び込んでいった。







「およ?早めに戻ってきたから何事かと思えば」

うち一羽を抱きかかえる男。

鶏は逃げようともせず、おとなしくしている。

燃えるような緋色の髪は、差し込んだ日の光で燃え上がる炎を連想させるほど燦然としていた。

まだ二十代といったところか。

口の端には笑みを浮かべているというのに、どこか近寄りがたいような雰囲気をかもし出している不思議な男だった。

「おめぇらはもう少し山で遊んでな。
危害を加えようとするやつがいたら、逆に返り討ちにしてやれ」

にぃっ

むき出した犬歯のせいだろうか。

手のつけられない獰猛な動物に遭遇した気分を覚える。

男の言葉を理解したように、鶏たちは元気よく走っていった。







「珍しいな。こんな人里はなれたところに迷い込んできたのか?」

こちらに視線を向けて言う男。

「この辺で地鶏がおいしいところがあるって聞いてきたのよ」

「ああ地元から出てったやつからの紹介か」

「あんたも地元出身?」

「いいや」

あたしの問いに、男は首を横に振る。

「でもあの鶏たち。あんたに懐いていたみたいだったけど」

「俺は観光のついでにちょっとした視察をしているものさ。
あいつらとは波長が合うらしく、勝手に懐かれただけ。あいつらとは、ぶらりとここへきたとき知り合った縁さな」

観光のついでに視察ってことは、どこかのぼんぼんといったところだろうか。

しかし観光のついでに視察というか?

ふつーは逆のような気がするのだが。

「ビースト・マスター?」

「どう受け取るも自由だが、地鶏は乱獲防止のため村長の許可がないと食べられんぞ」

「乱獲?」

「ここらの鶏は、身が引き締まって美味との評判だからな。
噂を聞きつけ密猟するやからが多い。まあ、並みの相手じゃあいつらのあいてはつとまらねぇよ。俺が直々に鍛えてやったんだからな」

凄みのある笑みを浮かべる男。

「なあおっさん」

「おっさんって・・・・・・まあいいか。なんだ?」

「よくおぼえてないんだが・・・・・・どこかであったっけ?」

記憶力復活の兆しか?

はたからなかったかもしんないけど。

「ちょ・・・・・・ちょっとガウリイどうしちゃったわけ?」

あのガウリイがンなセリフを口に出すとは・・・・・・!?

「ん?なんていうか、そんな気がしただけだ」

「俺が知るわけねぇだろうが。おめぇらとは初対面だ」

「そっかぁ」

「それより村長ん家いかねぇのか?」

「あのひときわ大きな家?」

「そうだ」

あたしがめでさしたところを肯定する男。

「そ。ありがと・・・・・・えっと」

「ああ。そういや互いに名乗ってなかったな」

「あたしはリナ。んで、こっちはガウリイ」

「ガウリイだ。よろしくな、おっさん」

「俺の名前は長ったらしいんで、ヴラとでもよんでくれ」

にっ!とわらったその顔は、先ほどとは違い親しみのわくものだった。

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34255白魔術都市狂想曲 3フィーナ 2009/7/28 23:27:44
記事番号34231へのコメント

とりあえずと案内され、すすめられるまま席に座った矢先のことだった。

「旅の魔道士殿とお見受けするが」

「そうですけど」

目の前で腕を組み言う、白髪の老人―――この村の村長さんは、こういった。

「地鶏を目当てにお越しいただいたところ悪いが。
じつは、ここ最近鶏たちを密猟する連中が増えていてのぅ。地鶏はタダでは提供できないのじゃよ」

蓄えられた白ひげをなでながらいう村長。

「タダでは提供できない・・・・・・ということは、あたしたちに頼みたいことがあると」

「うむ。はずかしいはなしじゃが」

「あたしたちがここにくるまえ、鶏たちはけっこーいたようなきがするんですけど」

「鶏の収入源で時折街から買出し程度はしているが、基本的にこの村は自給自足でまかなっていての。
むろん村のほうとしても、密猟者対策として罠を張ることまではしているのじゃが、問題はきゃつらが雇った魔道士でな」

「魔道士?」

オウム返しに尋ねるあたしに、村長さんは声を潜め。

「これがなかなか曲者での。村の若い衆どころか、そばにいた味方でさえも訳のわからん術でねじ伏せる冷酷なやつじゃ」

魔道をよく知らない人から見れば、知らぬ間に倒されて何が起きたのか理解できないのだろう。

さて、この状況で次に言われるのは。

「きゃつらのアジトは見当がついておるが、街に赴き役人を連れてくるのに時間もかかるじゃろうし。
かといって若い衆らが密猟者たちのところへいったところで、以前のように返り討ちに会うのが関の山じゃ。
あんたらがその連中をどうにかしていただけるのなら、礼金は払えんが地鶏料理をご馳走する―――いかがかな?」

地鶏料理のフルコース。

これを引き受けなければ、剣士にして魔道士たるこのあたし。

リナ=インバースの名が廃るというもの!

・・・・・・地鶏食うのに剣士や魔道士関係ないけど。







交渉が成立し、道案内はヴラがすることになった。

本人曰く、事の成り行きを見届けてからこの村をたとうとしていたので、丁度いいころあいだと思ったそうである。

「もうすこししたら、根城が見えてくる」

「あのでっぱったやつか?」

あたしには茂った森しか見えていない。

「ずいぶんめがいいな。とっぽいだけのにぃちゃんじゃなかったんだな」

「いやぁ。それほどでも」

ガウリイ。それ、ほめられてない。

もうしばらく歩くと、出っ張った屋根が見えてきた。

「ヴラ。あんたその魔道士みたことあるの?」

近づいてきたので、声のトーンをおさえていうあたし。

「いや。俺は通りがかったときその話を聞いただけで、実際には見ていねぇ。
・・・・・・ところでちょっと聞きたいことがあるんだがいいか?」

「なに?」

「このへんで、一番でかい都市はどこなんだ?」

生い茂る草を掻き分けいうヴラに、あたしは思わず足を止めた。

「セイルーンに決まってるじゃない」

「何日ぐらいでつけるんだ?」

「この距離だとおよそ三日ほどでつくわ。
ヴラ・・・・・・あんたこのへんの地理わかんないの?」

「つうか、地理もそうだがこのあたりの習慣とか、俺らのそれとは違っていて勝手が分からん。
・・・・・・こっちのほうに足を運ぶことが出来たのは、久しぶりなことだからな」

「ほ〜っほっほっほっほっほっ!
よくものこのこと姿を見せたわね密猟者たち!」

ひぴくぅっ!

げっ!

・・・・・・この声って・・・・・・

聞き覚えのありすぎる高笑いが聞こえてきたのはそのときだった。






あたりはすっかり囲まれている。

木々の間から弓矢を構えるもの。

槍などで武装しているもの。

その数およそ十数人。

「このあいだは不覚をとったとはいえ、このわたし!
サーペントのナーガ様がいるかぎり、あなたたち密猟者の好きにはさせないわよっ!」

二人のとりまきを傍に従え、そいつは胸をそらしていった。

あ゛ぁぁぁぁっ!?

なんか変な生命体がいるぅぅぅっ!

しかもなんかこっち指差してるぅぅぅぅぅっ!

そこにいたのは生きとし生ける者の失敗作。

人類の汚点にして恥の集大成。
      サーペント
その名は 白 蛇  のナーガ!

「・・・・・・って、あら?
誰かと思ったらリナじゃないの。ふっ。読めたわよ!」

ナーガは、ふぁさっと髪をかきあげて朗々と言い放つ。

「さては密猟者に騙されて、善意で物を運んでいるわたしたちを亡き者にしようとしているのね!」

・・・・・・密猟者に騙されて。

そりはおまえだ。

「あのねぇナーガ!いっても無駄だと思うけど一応いっておくわ!
あたしたちは村長さんに密猟者を追い払ってくれって頼まれたの!それに運び屋だって言ってるけど、密猟者はそいつらよ」

「ほ〜っほっほっほっほっ!
見苦しい言い訳はやめることねリナ!
もっともらしい事言って油断させようとしても、そうは問屋はおろさなくてよ!」

「なあリナ。あの姉ちゃんお前さんの友達か?」

「トモダチなんかじゃないやい」

そこはすかさず否定する。

それはもうきっぱりと。

「・・・・・・リナちゃん冷たい」

「なんかあの姉ちゃんさびしそうに地面に『の』の字を書いてる。
・・・・・・リナ・・・・・・お前さん友達は労わってやるもんだぞ?」

「あんなんとトモダチになるぐらいなら、財産をどぶに捨てたほうがマシよっ!」

「・・・・・・かっこいい」

「はへっ?」

そういった声の主はヴラだった。

眼をキラキラと輝かせて。

その視線の先にいたのはナーガ。

・・・・・・もしもし?

「あのシャープな曲線に、腰にかけた手の角度は計算されたかのような優雅な置き方。洗練されたかのような気品あふれる笑い声っ!」

露出が多い変な服を着ており、トゲトゲのショルダーガード。

ドクロのネックレス。

そして耳を押さえても聞こえてくるバカ笑い。

「弟子にしてくれっ!」

・・・・・・

「え゛ぇぇぇぇっ!?」

ヴラの衝撃発言に。

あたしはもういろんな意味で。

驚愕の声を上げたのだった。


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34257白魔術都市狂想曲 4フィーナ 2009/7/29 15:49:19
記事番号34231へのコメント

「ほ〜っほっほっほっほ!
どこのだれだかしらないけれど、このわたしに弟子入りを申し込むなんて中々みる目があるじゃない!」

脳を突き刺す高笑いを終えたナーガは。

「しかぁし!」

いってずびしぃ!とこちらをゆびさし、

「密猟者に片棒担いでいて、あまつさえそこのリナに同行している以上、それはかなわないわね!」

「うーん。俺密猟者じゃねぇんだけど」

ぽりぽり頬をかきながら言うヴラ。

「言い訳は無用よ!」

「そうよヴラ。ナーガ相手に説得なんて、余計な時間と精神的な労力を無駄にするだけなんだから」

「お前さんの友達だけあって、個性的な姉ちゃんだな」

「だから、トモダチなんかじゃないって」

「ほーっほっほっほっほ!
このわたしこそ、リナの最大最強のライバルにして」

「単なるあたしの金魚のうんちで、実質タダの腐れ縁」

「ご飯をタカれる心の友!」

「ダレが心の友かメシたかり女」

「なら仕方ねぇな。そのセンスのある服は、部下たちに着せてみるか」

自分に酔っているナーガのセリフに、話は無駄だと悟ったのか、少し距離を置く。

「やいやいやい!てめぇらなにかってにはなしをつけてやがる!」

ナーガの取り巻きの一人が前に出る。

『わたしは子悪党です』と主張しているいでたち。

いかにもヤラレ役といった面構え。

そしてこれまた月並みなセリフ。

「ああ。そういえば、こういったのもいたっけ」

「なんだとう!」

「馬鹿にしやがって!」

あたしが正直な感想をぽつりと漏らしたとたん。

なぜかいきりたつ雑魚連中。

馬鹿にしてるもなにも。

この連中のことなんぞ。

ナーガのインパクトのせいで存在感がかすんでいた。

「姐御とどのような関係かあるのかしれねぇが、生きて帰れると思うなよ!」

「そのとおり!今日こそあなたを倒し、この」
 フリーズ・ブリッド
「  氷 結 弾  !」

こかきん!

みなまでいわせず。

あたしが唱え終えていた呪文で、ナーガはその場に氷漬けになる。





数年経つ筈なのに、学習能力というものがないんだろうか?

・・・・・・ないんだろーなぁ。

だってナーガだし。

かちこちに凍ったナーガに、雑魚たちは沈黙し。

「ああ!姐御!?」

「このアマ!」

突っ込んでくる連中を軽くあしらい、次の呪文を唱え始める。

べちべちべち!

『んのぎょう!?』

剣の腹で気絶させていくガウリイ。

・・・・・・まあ。

たしかに素人相手に、ガウリイの本気+ブラスト・ソードはさすがに気の毒だろうという配慮だろうが。

ヴラはというと、余裕でひょいひょいかわし、じゃれるように遊んでいた。







あたしの術が完成し、ある人物からもらったマジック・アイテムに呪文をこめる。

さて、そろそろか。

あたしは連中から大きく距離を取り、近くの茂みに逃げ込んだ。
  ボム・ディ・ウィン
「風 魔 咆 裂 弾!」

ぶごぉぉぉぉん!!

まさにタイミングを計ったかのように、ナーガの広範囲に及ぶ無差別呪文が解き放たれた。

ボム・ディ・ウィン
高圧力の強風が、術者の前方に向かって吹き荒れる術である。
敵味方問わず吹き飛ばし、解放されたその威力は、巨大な丸太をも吹き飛ばすほど。

ナーガの驚異的な復活速度のことも踏まえ、隠れていたあたしには何の被害も出てはいないが。

しらずにちょっかいかけてきた雑魚連中はというと。

先ほどの呪文のとばっちりをうけて、きっちり巻き込まれていたらしく。

近くの木に引っかかっていたり、叩きつけられて伸びていた。

「ほーっほっほ!このわたしのてにかかれば、敵も味方もすぺぺのぺいよ!」

腰に手を当て、高笑いをするナーガに向かって。

「インバース・コークスクリュー・くらっしゃぁっ!」

ぶろごきゅ!

「へみっ!?」

あたしの一撃は、見事ナーガにめりこんだのだった。

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34258白魔術都市狂想曲 5フィーナ 2009/7/30 17:08:17
記事番号34231へのコメント

「ふっ。こいつらが密猟者だったって、いってくれればよかったのに」

早くも復活したナーガは、こちらに抗議の声を上げた。

「聞く耳もたなかったのはあんたでしょうが!」

「あまいわねリナ!見た目で人を判断するなんて、その胸と同じように心まで小さいのね!」

げし!

「じゃかましい!」

「なあリナ。結局どうなってるんだ?」

「つまりこいつは密猟者に騙されて運び屋の手伝いと、用心棒みたいなことをしてたのよ」

「失礼ね!わたしが酒場でウォッカを飲んで、路銀を落としたことに気づき。
とりあえず笑っていたら、あの親切な人たちが立て替えてくれたのよ!」

「手を貸すようにって?」

「それだけじゃなくて、成功したらわたしのご飯もおごってくれるっていわれて、人として断るわけにはいかないじゃない!」

「ふーん。こいつらただのバカって訳でもなさそうね」

「どういうことよ?」

「もしこいつらがヘマやらかして捕まっても、主犯はあんたってことにするつもりだったんじゃないの?
あんたみたいな変なかっこうしたやつのことなんて、いくらナーガが違うって主張しても説得力なんてあるはずもないし」

「ちょっとリナ・・・・・・」

無視。

「そんでもって、村の中にも仲間っていうか内通者がいて、あんたがやったって口添えする。
鶏を盗む手引きをしても、責任者はあんたのせいにしてしまえばいうことなしなんだからね」

「村から尾けてきてるやつか?」

「そーゆーこと」

やっぱり気づいてたか。ガウリイ。

あの村の、村長さんの家から出たあたりから遠巻きに見られる感じがしていた。

好奇心からついてきた村人かとも思ったが、それとは違うものだったのでしばらく泳がせていたのだ。

「スケープゴートに仕立てるのはいい発想だったんだけど」

こうやって早い段階で、仲間を倒されるとは思ってなかったみたいだが。

密猟者の誤算はあたしの実力と、ナーガの無茶さ加減にきづけなかったこと。

あたしの実力さえあれば、この程度のこと。

ナーガとはさみは使いようである。

億万の一でもありえないが、あたしたちが負けたとしても、それはそれでよしと考え。

あたしたちがナーガを問い詰め真相に気づいた場合、こちらの口を封じる腹だったのだろう。

その言葉を合図にするかのように、動揺の気配が広がり、

ひゅん!

風を切る音と、飛来する弓矢!

さきほどのやりとりで、詠唱をしている時間はない。

しかし。

弓矢は、狙いたがわずこちらに届き―――
 ディム・ウィン
「 魔   風 !」

ごぉう!

あたしの生み出した風が、弓矢を吹き飛ばし。

ごっ

気配を殺し、接近したガウリイの剣の柄にうちすえられて、村から尾けて来た男は失神した。

密猟者相手にちゃんばらをしている最中。
                                                 ディム・ウィン
ショート・ソードに組み込まれていたマジック・アイテム―――ストック・ジュエルに  魔  風  の呪文をストックしていたのだ。

つー・・・

木の枝か何かで引っかいたのか、倒れる男に一筋の血が流れおち―――

「はぅっ」

それをみたナーガは、どこぞの令嬢の如く、をとめちっくなしぐさで卒倒した。

・・・・・・そういやこいつ。

血に弱いんだった。

「・・・・・・なあリナ」

「なに?」

男が持っていた縄で縛り上げたガウリイは、

「この姉ちゃんなにがしたかったんだろーな?」

「決まってるじゃない。事態をややこしく引っ掻き回すためよ」

首をかしげ言うガウリイに、あたしは迷わずそう答えたのだった。

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34261白魔術都市狂想曲 6フィーナ 2009/7/31 16:26:04
記事番号34231へのコメント

あたしたちのあとを尾けて来ていた男を縄で縛った後、そいつに活を入れた。

「さてさて、さっそくなんだけど、あんたたち密猟者を雇ったのはどこのだれかしら?」

「どういうことだ?リナ」

「密猟者ってやつは、たいていが裏で取引を行わっていて顔が広いのよ。
表では手に入らないような貴重な品とか、バックには金持ち貴族や領主など腐るほどいるわ」

「な・・・・・・なんのことやら」

目を逸らしいったその態度が、それを肯定していた。

「ふっ。よめたわよリナ!
あなたのことだから、その売買している金持ちも脅し取ろうとしているのね!」

・・・・・・こいつ・・・・・・

こーゆーときだけ鋭いでやんの。

「あの村だけじゃ大してもらえないだろうし、甘い汁すった善良でないやつ脅しても罪にはならないって訳ね!」

「・・・・・・罪にはなるだろ」

「ちっちっち。甘いわねガウリイ」

「ほーっほっほっほっほ!
ようはバレなきゃいいのよ!このリナと一緒でそのような細かいこと気にしてたら身がもたないわよ!」

「細かくはねぇだろ」

「それは・・・・・・まずいんじゃないか?」

異議を唱える男二人をほっぽって、ナーガは腰にさした魔法剣をひたりと男に当てた。

「というわけで、さっそくおしえてもらいましょうか」

「そんなこといわれておしえるわけねえだろうが!
こちとら商売で、お得意様の信用落とすわけにはいかないんだよ!」

むう。

密猟者といえども、腐っても商売人である。

なかなか見上げたやつだが、それもいつまでもつか。

「ふっ。隠すとためにならないわよ?」

「女二人に屈したとあらば、男が廃るってもんだ!」

「なああんた。悪いことは言わん。今すぐはいたほうがいい」

あたしが唱えている呪文に気づき、ガウリイは慌てていった。

「いわなきゃどうなるっていうんだ!?」

男の疑問にあたしはこう答えた。
   ドラグ・スレイブ
「ほい 竜 破 斬 」




っづどぉぉぉぉん!!




轟音が響き、山の形が変わった。

もうもうと立ち込める煙と、ばさばさと飛び立っていく鳥さんや鹿さんたち。

しぃぃぃぃぃぃん・・・

しばしの沈黙の後。

「んっふっふっふ」

びぴくぅ!

低く笑うあたしに、男は震えた。

「今のはわざと外したのよ。いわなきゃこうなる」

ぎぎぎぃ、と首をこちらに向け、恐怖のまなざしであたしを見る男。

「・・・・・・こんな強力な呪文を、見境なくうつ魔道士。
リナ・・・・・・ひぃぃぃっ!?もしかしてあんた、『あの』リナ=インバースかっ!?」

「・・・・・・『あの』っていうのがひっかかるけど、たぶんそのリナ=インバースよ」

「どひぃぃっ!?
いいます!いいますから、どうか命だけはご勘弁をぉぉぉっ!」

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34262白魔術都市狂想曲 6kou 2009/7/31 19:03:19
記事番号34261へのコメント

お久しぶりです。フィーナさん。kouです。
>あたしたちのあとを尾けて来ていた男を縄で縛った後、そいつに活を入れた。
 活と言うより脅したという方が正しいのではないのでしょうか………?
>「ふっ。よめたわよリナ!
>あなたのことだから、その売買している金持ちも脅し取ろうとしているのね!」
 ナーガさん………さすがリナの自称ライバル行動パターンをある程度理解してますね。………
>・・・・・・こいつ・・・・・・
>
>こーゆーときだけ鋭いでやんの。
 たしかに、(苦笑)そのくせ、肝心なところでめちゃくちゃ鈍くって歩かミスするんですよね。
>「あの村だけじゃ大してもらえないだろうし、甘い汁すった善良でないやつ脅しても罪にはならないって訳ね!」
>
>「・・・・・・罪にはなるだろ」
>
>「ちっちっち。甘いわねガウリイ」
>
>「ほーっほっほっほっほ!
>ようはバレなきゃいいのよ!このリナと一緒でそのような細かいこと気にしてたら身がもたないわよ!」
 ナーガさん。………リナとの旅の長さはあなたと同じくらい旅をしているんですよ。ガウリィは………。
 と、言うよりもあなたとの旅よりも波瀾万丈と言えますよ。………まぁ、ナーガとの旅の方が波瀾万丈とも言えますな。
 魔族にはあったけれど、歌うリビング・メイルや十人のコピーナーガやミミズ雪崩に遭ったことはないし………。
>「なああんた。悪いことは言わん。今すぐはいたほうがいい」
>
>あたしが唱えている呪文に気づき、ガウリイは慌てていった。
>
>「いわなきゃどうなるっていうんだ!?」
>
>男の疑問にあたしはこう答えた。
>   ドラグ・スレイブ
>「ほい 竜 破 斬 」
 答えたと言うよりも、脅したという方が正確だと思います。
 まぁそんなこといった日には、明日の朝日は拝めないけれど……。
>
>
>
>っづどぉぉぉぉん!!
>
>
>
>
>轟音が響き、山の形が変わった。
 村から苦情が出て地鶏が食べれなかったらどうするんだ……。
 そんな事になったら、ただの馬鹿ですよリナさん。
>もうもうと立ち込める煙と、ばさばさと飛び立っていく鳥さんや鹿さんたち。
 環境と動物保護団体が出たらどうするんだ。(ナーガは動物だから良いけれど………)
>しぃぃぃぃぃぃん・・・
>
>しばしの沈黙の後。
>
>「んっふっふっふ」
>
>びぴくぅ!
>
>低く笑うあたしに、男は震えた。
>
>「今のはわざと外したのよ。いわなきゃこうなる」
>
>ぎぎぎぃ、と首をこちらに向け、恐怖のまなざしであたしを見る男。
>
>「・・・・・・こんな強力な呪文を、見境なくうつ魔道士。
>リナ・・・・・・ひぃぃぃっ!?もしかしてあんた、『あの』リナ=インバースかっ!?」
>
>「・・・・・・『あの』っていうのがひっかかるけど、たぶんそのリナ=インバースよ」
 あの=デモンスレイヤー、盗賊殺し、ドラまた、その他諸々さて、どれでしょうか?
>「どひぃぃっ!?
>いいます!いいますから、どうか命だけはご勘弁をぉぉぉっ!」
 根性が無いというか………。物わかりが良いというか、まぁ胸の無いを言わないから命の安全性はまだあるな。
 胸の無いを特徴の一つで言っていたらまず地獄行きだな。
 以上、kouでした。ですが、ナーガと一緒にセイルーンへ行くのかなぁ。
 ア○リ○の姉の○レ○シアと言う事実にリナが知ったら、………まぁ見てみたいというかなんというか………。
 ちょっと楽しみです。

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34264Re:白魔術都市狂想曲 6フィーナ 2009/7/31 22:13:57
記事番号34262へのコメント


>お久しぶりです。フィーナさん。kouです。
kouさんどうもおひさしぶりです。
>>あたしたちのあとを尾けて来ていた男を縄で縛った後、そいつに活を入れた。
> 活と言うより脅したという方が正しいのではないのでしょうか………?
ガウリイの剣で気絶させた男を目覚めさせたわけですから、脅したわけではないです。
>>「ふっ。よめたわよリナ!
>>あなたのことだから、その売買している金持ちも脅し取ろうとしているのね!」
> ナーガさん………さすがリナの自称ライバル行動パターンをある程度理解してますね。………
腐れ縁ですね。
> たしかに、(苦笑)そのくせ、肝心なところでめちゃくちゃ鈍くって歩かミスするんですよね。
そこがナーガのナーガたるところ。
>>「あの村だけじゃ大してもらえないだろうし、甘い汁すった善良でないやつ脅しても罪にはならないって訳ね!」
>>「・・・・・・罪にはなるだろ」
>>「ちっちっち。甘いわねガウリイ」
>>「ほーっほっほっほっほ!
>>ようはバレなきゃいいのよ!このリナと一緒でそのような細かいこと気にしてたら身がもたないわよ!」
> ナーガさん。………リナとの旅の長さはあなたと同じくらい旅をしているんですよ。ガウリィは………。
ガウリイの記憶力はああですから「そんなことあったっけ?」ですませてしまいます。
> 魔族にはあったけれど、歌うリビング・メイルや十人のコピーナーガやミミズ雪崩に遭ったことはないし………。
ラギアソーンですね。をとめちっくなナタリー(リビング・メイル)と。
>>「なああんた。悪いことは言わん。今すぐはいたほうがいい」
>>あたしが唱えている呪文に気づき、ガウリイは慌てていった。
>>「いわなきゃどうなるっていうんだ!?」
>>男の疑問にあたしはこう答えた。
>>   ドラグ・スレイブ
>>「ほい 竜 破 斬 」
> 答えたと言うよりも、脅したという方が正確だと思います。
リナなりの答え方といったらこれでしょう。
問答無用で吹っ飛ばされないだけ、まだましなほうです。
>>轟音が響き、山の形が変わった。
> 村から苦情が出て地鶏が食べれなかったらどうするんだ……。
> そんな事になったら、ただの馬鹿ですよリナさん。
リナはそれなりに考えてますよ。いろいろと。
ヒントはナーガです。
>>もうもうと立ち込める煙と、ばさばさと飛び立っていく鳥さんや鹿さんたち。
> 環境と動物保護団体が出たらどうするんだ。(ナーガは動物だから良いけれど………)
ナーガが動物。
それは動物に対してどうかと。下手すれば動物以下なんで。
>>「・・・・・・『あの』っていうのがひっかかるけど、たぶんそのリナ=インバースよ」
> あの=デモンスレイヤー、盗賊殺し、ドラまた、その他諸々さて、どれでしょうか?
答え。
全部正解。
>>「どひぃぃっ!?
>>いいます!いいますから、どうか命だけはご勘弁をぉぉぉっ!」
> 根性が無いというか………。物わかりが良いというか、まぁ胸の無いを言わないから命の安全性はまだあるな。
人間やはり、自分が一番可愛いものです。
彼女のコンプレックスつついたら命が危ないこと、本能的に感づいたのかと。
> 以上、kouでした。ですが、ナーガと一緒にセイルーンへ行くのかなぁ。
> ア○リ○の姉の○レ○シアと言う事実にリナが知ったら、………まぁ見てみたいというかなんというか………。
> ちょっと楽しみです。
どんな事実か存じ上げませんが(嘘)
kouさんがちょっと楽しみにしているそうでうれしくおもいます。
では、これにて終わらせていただきます。


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34269白魔術都市狂想曲 7フィーナ 2009/8/2 00:07:39
記事番号34231へのコメント

「マーシュ男爵・・・・・・ねえ」

「そ・・・・・・そうだ!」

あっさりと白状する男。

あたしのどんな噂を聞いているというのか。

その顔は、怯えの色が深い。

「知ってるの?ナーガ」

「まあ・・・・・・それなりに有名な貴族よ」

気が進まないように言う。

「表向きグルメ旅行と称して、その先々の町で様々なものを買いあさったり。
珍しいものを見つけたら、財産をつぎ込んで購入したりしているわ。よくいる成金趣味の貴族」

でたな!ナーガの正体不明な情報。

どこから仕入れているのか不明だが、それが外れたためしは今のところない。

「表向き?」

「裏ではそっちのほうでも有名」

「そっちのほう?」

首をかしげるガウリイ。

「リナもあなたも、しらないほうがいいわね」

「なんだよ。そういわれると気になるぞ」

「そのそっちのほうって?」

「男色家なのよ」

『うげっ!?』

うめくあたしとガウリイ。

「あなたのように見目麗しいのはもちろんだけど、童顔の少年とかその範囲も広いそうよ」

「オ・・・・・・オレはそっちの気はないぞっ!」

怯えた顔で言うガウリイ。

「わかってるわよンなことぐらい。どこで判明したのよ」

「八年ほど前にポイズン・ダガーって犯罪組織が運営していた、人身売買の顧客リストに載っていたのよ。
そのポイズン・ダガーの残党たちも協会が動き、つい最近壊滅したみたいだけど」

つい最近もなにも。

少し前、あたしたちがかかわり片付けた事件である。

「八年前の資料によると、なんでも麻薬を使うと足がつくからっていって、組織の人間が年端のいかない子供に催眠暗示をかけて。
暗示をかけられ、その間のことを覚えていないのをいいことに、夜の相手をさせられたり・・・・・・武器の密輸も行わせていたみたいよ。
マーシュ男爵はもとは子爵の称号を授かってたんだけど、下町のほうでも風俗を無許可で営んでいるのがバレて男爵にさげられたの」

「そこまできたら、ふつー貴族の称号剥奪されるはずなんじゃ」

「コネや人脈が広く、王族殺しのような重罪でもなかったし、そこまではいかなかったみたい。
風俗のほうも、今は許可を取っているはずだからせいぜい監視つきってところかしらね」

小心な子悪党といったところか。

話の持っていき方しだいで、金貨数百枚はかたいだろう。







「な・・・・・・なあ。
はなししたんだし、もう放してくれていいだろ?
頼むからおれがいったっていわないでくれよな。これからは真面目にするから!」

「ふむ・・・・・・かといって更正する保証もどこにもないわけだし、役人に突き出しましょうか」

「なっ!?ちょっと・・・・・・いえ。なんでもないです」

あたしのセリフに男は何か言いかけたが、結局口を閉ざした。

どうやらあたしに怯えているようだ。

・・・・・・それはそれで腹立つが。

「んあ?話し終わったみたいだな」

「ええ」

大きく伸びをしつつ、傍観していたヴラは言った。

「だったらこいつらは、俺が持っていってもいいだろう?心の師匠の手を煩わせることもねぇだろうし」

いつからナーガを心の師匠と?

「ほーっほっほっほ!
なかなかいい心がけじゃないの!
声を上げて笑うときは、自分に対する絶対的な自信と優越感を持って!」

「ししょぉうぅぅっ!」

「ほーっほっほっほ!」

「はーっはっはっは!」

「自信が足りないわよ!」

「自分まだ甘かったっす!」

体育会系のあのノリで、ナーガとヴラの高笑いの反響が木霊する。

「ほーっほっほっほっほ!ほーっほっほっほっほ!」

「はーっはっはっはっは!」

「なあリナ」

「なに?」

「・・・・・・戻るか」

「・・・・・・そだね。
二人がどこかイッちゃってる間に、速やかに立ち去り何もみなかったことにする」

「・・・・・・だな」

カラスの鳴き声を聞きながら、なんとなく理不尽なものをおぼえつつ。

あたしとガウリイは村を目指した。

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34271白魔術都市狂想曲 8フィーナ 2009/8/2 22:54:16
記事番号34231へのコメント

鶏さんありがとう。

それが一口食べたあたしの感想だった。

村長さんの家に向かい、報告を終えたあと。

約束どおり報酬の地鶏料理が、おいしそうな音とにおいを上げてあたしたちの前に出された。

鶏は、斜面のある山道でのびのびと運動をしているためか、ほどよく引き締まった身の弾力である。

そして卵は生みたてのものを使用してくれた。

料理のレパートリーをもうすこしバリエーション豊かに増やそうと、あたしのレシピに加えたいと思い、厨房で料理をしているおばちゃんの厚意で見学をさせてもらった。

卵を割ってみると器にこんもりとそびえたち、その黄身の色は黄金の様な輝きを放つ。

片手で黄身をつまんでみても黄身がつぶれることもなく一般で普及されている卵とはランクが違う存在感を、まざまざとみせつけてくれた。







そして実食。

まずは、鶏の姿焼きから。

シンプルに塩を振って焼かれた鶏の姿焼きは、透明な肉汁があふれだし、そのままかぶりつく。

「あふっ!」

とたん口の中に生まれる熱さと鶏のうまみ。

シンプルゆえにこそ、鶏の存在がダイレクトに伝わる。

もも肉のあっさり感。胸肉の重厚な肉厚のうまみと、同じ鶏のはずなのに、その部位によって違う触感がたのしめる。

続いては、あの卵をふんだんに使ったオムレツ。

畑から採れたもぎたてのトマトを使ったソースは、トマトの酸味がいきており隠し味に入れられたタカのツメのピリリとした辛さがくせになりそう。

卵は半熟でとろとろな黄色い面に、中に忍ばせていたチーズの白がとろりと顔をのぞかせる。

刻んだバジルの緑と、トマトの赤。

そして卵の黄の、色鮮やかな三重奏。

そのほか、鶏と畑からとった野菜をことこと煮込んだポトフは、鶏と野菜の旨みをこれでもか!というほど凝縮させたような濃厚なスープとなっており、一口二口とついついとまらなくなる。

地鶏料理はまだまだでてくる。

鶏とほくほくのじゃがいもをトマトソースで煮込んだものからはじまって、料理のしめには卵を使ったデザートまで。

ああもう美味しひ!

あたしとガウリイの二人が、次々出されるそれら料理の数々をかるがると平らげるのを、村の人たちは唖然として見守っていたのだった。







気がつけば夕暮れ近くになっており、夜も遅いからと、村長さんの家で泊めてもらうことになった。

なんでも、密猟者対策で大量の罠を張ったため、夜だとその目印が村の人にも分からなく、夜に山を降りるのは危険だということらしい。

そういやナーガは、あれからどうしたんだろう?

食べ物に釣られてやってくるかと思ったが、結局は寄って来なかったし。

野生にでもかえったか。はたまた道に迷ったか。

あるいは両方だろうか。



















時と場所はさかのぼること数時間。

「ナーガ師匠はどっかいっちまったし、おめぇらにはききてぇことがある」

ヴラは、縄で縛られた男を軽々と持ち上げた。

「ひっ!?な・・・・・・なんだよっ!?おれがなにしたってんだ!」

「いいから素直に答えろ。俺はそんなに気が長くねぇんでな」

無邪気とも取れるような顔で、

「俺が探してるやつで――っていうんだが、知らねぇかな?」

尋問されている男が、後ろから近づく仲間に気づき表情を輝かせる。

一人。二人と、武器を構え背後から。

「ま・・・・・・まってくれよ?たしか―――」

びゅん・・・

いっせいに振り下ろされた武器は、彼には届かなかった。

彼に届くかというその刹那。

ぐにゃりと刃物は溶け落ちて、武器を構えていたはずのその腕は・・・・・・

「ひぎゃぁぁっ!?腕が・・・・・・うでがぁぁっ!!」

焼ききれたように残らず消滅した。

それはまだマシなほうだろう。顔まで焼け爛(ただ)れたようになったり、勢いに乗って武器を傾けたものは、上半身もなくしていたのだから。

「あちぃか?それともいてぇか?
俺にはどっちでもいいがな。神経も感覚もさっきので消えうせただろ」

「ぎゃぁぁっ!」

「先に手を出してきたのはそっちなんだ。腕をなくしたていどでそんなに騒ぐなよ」

「ひ・・・・・・ひぃぃぃっ!?助けてくれ!」

「おめぇさっき『たしか』っていってたよな。なにをいいかけた」

「し・・・・・・しらねぇ!」

「そうか」

ぼっ

「ぎゃぁぁぁっ!」

腹部に痛みと熱さを同時に感じ、男は絶叫した。

「隠してるんなら教えろよ」

「本当にしらねえんだよー!あんたの注意をひきつけるための口からでまかせだったんだ!」

「うーん・・・・・・そうだったのか。そりゃ悪いことしたな」

「な・・・・・・なら―――」

「けど大人数でよってたかってってのはいただけねぇよな。
あのねぇちゃんたちと師匠が、迷惑料といって徴収してったのはまだわかるほうだったから口出しはしなかったが」

男の表情が恐怖に引きつった。

「そう簡単には変われねぇだろ。不意打ちかまそうとするやつなんぞ」







・・・・・・山の中腹で。

いくつかの悲鳴らしきものが重なった。

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34273白魔術都市狂想曲 9フィーナ 2009/8/3 19:18:58
記事番号34231へのコメント

朝日が白々と昇り、村を出発しようかと広場に出てからのことだった。

「ほーっほっほ!とうとうみつけたわよリナ=インバース!」

鶏さんのこえをさえぎる高笑いが聞こえてきた。

声に驚きけこけこいう鶏や、村人たちは何事かと集まってきた。

うち何人かの若い衆は「なんでこんなところに出没するんだ!?」とかなげいていたりする。

ガウリイは、そいつを指差して。

「なあリナ。この姉ちゃんダレだっけ?」
                             
「知らない人よ」

きっぱりという。

「けどあの姉ちゃんお前さん呼んでるみたいだが」
                           うつ
「駄目よガウリイ指差しちゃ・・・・・・なにかが 感染 るから」

「このわたしの目を盗んで、あなただけいい思いをしようだなんてそうはいかないわよ!」

「いい思いも何も、身に覚えがないわよ」

「ふっ。いいわけは無用よ!
ここに来る前にあなたが仕掛けた、落とし穴や丸太が迫ってくる罠を忘れたとは言わせないわ!」

おー。

そーいえば、あちこちすれ切れてたりしているなー。

「あちこちに罠を張り巡らし、あなただけ礼金せしめようとするなんてそうはいかないわよ!」

「なにか誤解してないナーガ」

「なにがよ?」

「それ密猟者対策に、村の人たちが仕掛けたものよ。
それにあんたをどうにかするなら、罠なんか張らずに攻撃呪文一発で片はつくじゃない」

「言い訳は無用よ!あなたがそのつもりならわたしも」

やおら呪文を唱えだすナーガ。
 フリーズ・アロー
「  氷 の 矢  !」

こかききききん!

「ああ村長!」

手近にいた村長さんを盾代わりにして、その攻撃をやり過ごす。

「いきなしなにすんのよ!
密猟者にたぶらかされて山を荒らすだけじゃ飽き足らず、村の人にも危害を加えるなんて!」

ざわり

あたしのことばにざわめく人々。

「ほーっほっほっほっほ!
ずいぶんしおらしくなったものねリナ=インバース!
このわたしの前に立ちふさがるものを、けちらしただけのことで目くじら立てるなんて!」

ざわざわ!

さらに大きくなるざわめき。

おっしゃひっかかった!

「おいおいリナ」

「あんたがそこまでいうのなら、相手になってあげる。
あんたが吹っ飛ばした近くの山と、あんたの術のとばっちりをうけて凍っちゃった村長さんのために」

「いやあれってお前さんが盾にしたんじゃ」

「過ぎたことは忘れたわ!とにかく!」

余計な野次を飛ばすガウリイをさえぎる。

これぞ秘奥義ナーガに責任転嫁!
    ドラグ・スレイブ
昨日  竜 破 斬  で山を丸々吹っ飛ばしたあのあと。

地形が変わって近くの道も、でっけークレーターになったこともドサクサに紛れナーガのせいにしてしまおうというという魂胆である。

一回村の若い衆は、ナーガの術で吹っ飛ばされているんだし。

ひとつふたつ罪を捏造したところで、ナーガ以外なんの問題もあるわけじゃなし!

これもナーガに与えられた試練の一つと割り切ってもらおう。

断腸の思いで、あたしは心を鬼にする。

「ここで決着をつけるって訳ね!」

それには気づかず自信満々言い放ち、ナーガは呪文を唱え始める。
  フリーズ・アロー
「  氷 の 矢  !」

ひゅききききん!
     ディム・ウィン
「なんの  魔 風  !」

ぶごぅっ!

あたしの放った強風が、氷を吹き散らす。

後ろで膨らむ村人たちの殺気に、はたしてナーガは気づいたのか。






 ダム・ブラス
「 振 動 弾 !」

ごがぁっ!

あたしの術が地面をえぐり、土煙を生み出す。

「ほーっほっほっほっほ!」

どこからともなくきこえてくるナーガのバカ笑い。

煙が収まり見えてくるナーガと、彼女に棍棒を振り下ろす村人。

「この程度の呪文で、このわたしをどうにかできめきゃ!?」

棍棒でどたまをどつかれ、変な声を上げるナーガ。

「ちょっと!?いきなりなにするのよ!」

「それはこっちのセリフだ!」

ナーガを取り囲む村人たち。

怒気のこもった村人Aのセリフに、いっせいにうなずく彼ら。

「近隣の山を跡形もなく吹っ飛ばしたり、変な高笑いで鶏やおれたちの眠りを妨げたりしてどうしてくれるんだ!」

そうだそうだと同意する彼ら。

「え?・・・・・・だ・・・・・・だって」

先ほどまでの勢いはどこへやら、戸惑いの声を上げるナーガは、助けを求めるようにこちらに視線を向ける。

「だってもない!」

「フクロだフクロ!」

「まあまあ待ちなさいって。
こいつだって別に悪意があってやったわけじゃないんだし」

「・・・・・・しかしなあ」

助け舟を出すあたしに、村人たちは釈然としない様子でざわめく。

「とりあえずそいつしばらくタダ働きってことでどうかしら?」

村人たちはしばしはなしあい。

「んー・・・・・・まあ。それぐらいなら」

「そうと決まればお前はこっちだ!」

「ひぁ〜勘弁―――」

ずりずり引きずられるナーガを見送り、余計な詮索をされるのを防ぐため。

あたしたちはその村をそそくさと立ち去った。

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34276白魔術都市狂想曲 10フィーナ 2009/8/3 23:58:26
記事番号34231へのコメント
不確定要素はややあれど、すったもんだでかたづけて、やってきましたセイルーン!

聖王国セイルーンの首都、セイルーン・シティ。

この町の特徴は、なんと言っても街の区画自体大きな六紡星の魔法陣になっていることである。

この六紡星。

魔道の見地でいうと『均衡』を意味している。

小さな魔方陣程度なら、何らかの魔力的増幅でもしない限りは機能するものではないが、町をおおうほどの巨大なものになると話は違ってくる。

その大きさに比例する魔力的な結界が、ほっぽっていても作用する。

この町が白魔術都市と呼ばれるゆえんは、『均衡』の六紡星によって白魔術の力が増幅され、それによって白魔術の研究が盛んに行われているのが大きな要因の一つであろう。

以前立ち寄ったときは、お家騒動で何かとごたごたしており警備兵たちや役人など出回っていたのだが。

かわりにいるのは、なぜか神官や巫女だったりする。

こころなし、そわそわしているというか落ち着かない様子で聞き込みをしていたり。

どこぞの正義オタクのように、高い塔によじ登り演説をしていたりする。

・・・・・・よじ登り?

演説をしていたりする・・・・・・あ。

あたしが『それ』に気づいたのは・・・・・・なんていうか。

もろに見知った相手だったのだ。






「・・・・・・それで?
なんだって王宮にいるはずのあんたが、王宮じゃなくてこんなところにいるのよアメリア」

近くのカフェテラスにて、あたしはきりだした。

演説している最中、風に煽られ地面に顔面を強打したアメリアを、半ば引きずるようにしてここに連れ込んだ。

気がついた彼女の力強い抱擁と、公衆の面前だという照れ隠しということもあいなって。
     ディル・ブランド
あたしの 炸 弾 陣 が、アメリアや通行人たちをふっとばしたけどそれはそれ。

乙女の恥じらいっていうか、親しい人への軽いコミュニケーションである。

肩で切りそろえられたつややかな黒い髪。

やや童顔で大きな瞳は、以前とさほど変わっていない。

ただ以前別れた時よりも、顔つきも少し大人びたものとなっており、身長も以前はあたしよりもやや小さかったはずなのに、今じゃほぼおなじぐらいになってしまっている。

時の流れを痛感していると、アメリアは勝手に注文したオレンジジュースをくいっ、と一口落ち着くように飲み込んだ。

「いまから三日ほど前に、一人の巫女が神託をさずかったの」

「しんたく?」

「巫女の能力の一つで、神かそれに準ずる者から下される言葉のようなもので、はずれることのない予言みたいなもんよ」

疑問符を浮かべていう彼に、一応解説するあたし。

・・・・・・ガウリイが理解できてるのかは疑問ではあるが。

「へー。便利なものなんだ」

「だからといって、これはたとえなんだけど。
数年先の大根の値があがる小さなものとか、本人の意思とかコントロールできるものじゃないのよ」

「ふーん」

相槌を打つガウリイ。

・・・・・・こいつのことだから、耳から入った言葉が、右から左で聞いた傍から忘れてるのかもしれないが。

「神託の内容が内容で、わたしをふくむ巫女や神官が事実を確かめようと躍起になってるの」

「それで?その神託の内容って何なのよ」

アメリアは、すぐには答えずオレンジジュースを飲み干して言った。

「ここは人が多いから、わたしの部屋で話すわ。
・・・・・・わたしの部屋なら、人に聞かれる心配もまずないだろうから」

・・・・・・神官や巫女が大勢たむろしている時点で、ただでさえじゅーぶん人目を引いて目立つのに。

巫女頭であるあんたまで、こんな所にでてきた時点で「なにか大事(おおごと)なことが起きているんだ!」・・・・・・って。

力いっぱい叫んでるもんだと気づいてもいいんじゃ?

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34281白魔術都市狂想曲 11フィーナ 2009/8/4 21:03:55
記事番号34231へのコメント


王宮内はお家騒動のとき、フィルさんの護衛ではいったことがあったのだが、あいも変わらずだだっ広い。

まっすぐ伸びる長い廊下と、いくつかある部屋の前には数人の兵士たち。

手続きやらややこしい事をいろいろすませて、やっとこさのことである。

「おおリナ殿!それにガウリイ殿ではないか!」

ぴっし!

アメリアの部屋へ向かう途中、かかっただみ声に振り向くと。

そこにいたのは、ドワーフをそのまま大きく引き伸ばしたようながっちりとした体格。

ヒゲづらで四十がらみのおっちゃんで、本人が服に着られているような、上品ではあるが本人に似合わない正装をしている。

もしこれがうす汚れた武器とよろいで武装させれば、どうみても野盗にしか見えない。

しかしその正体は、間違ってもおうぢと呼びたくない王子。上位ランク間違いなしの第一王位継承者。

フィリオネル・エル・ディ・セイルーン(通称フィルさん)そのひとだった。

フィルさんを取り囲むようにして、数人の文官たちは、資料を持って歩いていた。

アメリアはひょっこり顔を出し、ぶんぶか手を振る。

「やっほー!父さん!」

「おおアメリアもいっしょじゃったか!」

・・・・・・そしてアメリアのお父さんでもある。

むろんアメリアはフィルさんにこれっぽっちも似ていない。

念のために言っておくが、どーみても母親似である。

「お久しぶりです。フィルさん」

「しばらくぶりじゃのう。いつぞは世話になった」

豪快に笑うフィルさん。

そのよこでは、はなしについてこれないのか、忘れたのか。

・・・・・・はたまたその両方なのか、ガウリイが悠然と構えているが。

あたしたちがここにきたのは、とある町で起きた事件の資料をアメリアに渡すことである。

「せっかくなんじゃし、しばらくはここに滞在するのかの?」

「ええ、まあ。関わった事件の資料を渡して、はいさよならっていうのも味気ないですし」

「それがいい!アメリアもお主らとあえて募る話もあるじゃろうしな!」

「父さんは、これから会議?」

「うむ。どうもここ最近国内で妙な動きがあっての」

「殿下」

一人の文官の声に、フィルさんはバツの悪い顔をして、口元を押さえた。

「・・・・・・と、すまぬがいまのはアドリブということで」

「わかっています」

「そういってくれるとありがたい。
わしらはこれで失敬するが、なにかあったら遠慮なく申し出てくれて結構じゃからな」

フィルさんはそういって、文官たちを引き連れて執務室のほうへ向かっていった。






「ふぉへへ?ふぉのふぃんふぁふっふぇふぁんふぁふぉ?
(それで?その神託ってなんなの?)」

「・・・・・・リナ・・・・・・マフィンをほおばりながらいうのはちょっと・・・・・・」

「ふぉうふぁふぉふぃふぁ!ふぃっふぉふぉふぁいふぉ!
(そうだぞリナ!みっともないぞ!)」

「ガウリイさんも・・・・・・リスのように口の中いっぱいに詰め込まなくても・・・・・・」

「ふぁっふぇふぉふぉふぁふぃん(だってこのマフィン)・・・・・・おいしいし」

咀嚼してのみこみいうあたしに、アメリアは香茶を淹れたカップをあたしに渡した。

「そんなにがっつかなくても、おかわりならあるし・・・・・・ガウリイさんもそんなに急いで食べたら」

「ほむっ!?」

「のどに詰まりますよ・・・・・・って、いってるそばから」

けほけほいって咳き込むガウリイに、いわんこっちゃないと、こめかみのあたりをおさえるアメリア。

アメリアの部屋の一室で、運ばれてきたマフィンなど。

舌鼓をうって心ゆくまで堪能したあたしたち。

さすがセイルーン王宮。

お菓子にも妥協せずに、品質管理も十分行き届いている。

これなら宮廷料理も期待できそうである。

「それで、その神託がなんなのよ。
巫女頭であるあんたや、他の巫女や神官たちがこぞって聞き込みしてたあれは」

依頼品である資料をアメリアに渡し、疑問に思っていたことをきいてみる。

「どういう意味があの神託にこめられているのかわからないけど・・・・・・わたしがきいた内容をそのままいうわ」

香茶でのどを潤し、カップをことり、と置くアメリア。

「『―――暁から生まれし灼熱の化身
     星をつむぐ町にて舞い降りん
     凍える闇の僕(しもべ)
     人の心を惑わし化身の者を滅さんとす―――』
・・・・・・これがわたしが聞いた内容です」

「それのどこが問題なんだ?」

「いいことガウリイ。星をつむぐ町とは、六紡星」

あたしは床を指差す。

「・・・・・・つまりこのセイルーンをさしているってことよ」

「リナのいうとおりですガウリイさん。それ以外の部分の意味はまだ分かっていませんが」

「どーゆー意味なんだろーな」

「暁から生まれた化身といったら、ゼフィーリアにいるとされるスィーフィード・ナイトなんでしょうけど」

落ち着くためか、アメリアは香茶をすする。

こくびをかしげ、ガウリイはのほほんと、

「え?そのスィーなんとかって、リナの姉ちゃんだろ?」

ぷぴゅ!

ガウリイの爆弾発言に、アメリアはおもいっきし噴出した。

・・・・・・こっ!

この脳みそ空洞男・・・・・・!

「こらまてガウリイ!ンなこといきなしいうんじゃない!」

「なんでだ?」

げふげふげふげふげぐ!

香茶が気管に詰まったのか、せきこみまくるアメリア。

「なんでって・・・・・・故郷の姉ちゃんがセイルーンの行事に出席するなんて聞いてないし!
だいたい姉ちゃんは故郷でウェイトレスのバイトで忙しくて、こっちのほうにくるひまなんてないはずじゃない!」

「・・・・・・そんなに怯えんでも・・・・・・」

「あんたは姉ちゃんの恐ろしさが、わかんないからそんなこといえんのよ!」

来るといったら、本当に来てもちっともおかしくないのだ。

「・・・・・・お前さん本当に、ルナさんに頭が上がらないのな」

「ほっといて!」

「・・・・・・あのリナがこんなになるほど怯えるなんて・・・・・・どういう人なの?」

「聞かないでお願いだから」

「わ・・・・・・わかったわ」

あたしの瞳の奥にある、恐怖の色に気づいてか、アメリアは小さく身を震わせた。

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34289白魔術都市狂想曲 12フィーナ 2009/8/6 22:45:32
記事番号34231へのコメント

「のわんですってぇぇっ!」

「どうどう。落ち着きなさいってアメリア」

「なんだかよくわからんが、落ち着けって」

アメリアは、そこにあった机の上に足をダン!とおき。

「これが落ち着いていられるわけないでしょうリナ!」

めきめきめき!

「どうでもいいけどアメリア。あんたの机がえらいことになってるわよ」

「仮にも貴族の端くれともあろうものが、言うに事欠いて密猟者と裏取引ですってっ!?」

・・・・・・って、自分に酔ってて聞こえてないな。

「こえ大きいって」

場所移して正解だった。

マーシュ男爵ってやつなんだけど。

どうやら密猟者と、裏で取引してるみたいよ・・・・・・

・・・・・・と、いった途端。

正義と真実の人であるアメリアは。

やっぱし暴走した。

「しってるのそいつ?」

「マーシュ郷っていったら、下町の繁華街での経営で有名なひとじゃない!
多少かわった趣味もってたりするけど、なんだって裏取引なんてバカな真似を!」

「なにか事情でもあるんじゃないの?たとえば借金とか」

なにげなく口に出してみると、あたしのこの説は信憑性が高い。

成金趣味の人がハマるのは、金銭感覚が麻痺しての買い込み。

豪遊していた気分が抜けきれずに、気がついたときは時すでに遅し。

破産する奴なんてざらにいるわけだし。

「あんまりあつくなんないの。アメリア」

「でもリナ!」

憤慨する彼女は、悔しそうに唇をかみ締めた。

「そういうやつもいるってこと、あんただってしってるんでしょ?」

「・・・・・・わかってるわ。
年の差や性別なんて、愛さえあれば関係ないという彼の持論はわたしも同感だけど」

「・・・・・・同感なのか?」

困ったようにつぶやくガウリイ。

「たとえ異性だろうと同姓だろうと、相手を好きになるのに感情や理屈なんかで収まりきらないわけだし。
わたしはそういった感情を同姓に抱くことはないだろうけど、好きになった相手が同姓だと不潔だとか、そういう偏見の目とか持ちたくないのよ」

「・・・・・・あんたのそういう真っ直ぐなところ、変わってないわね。
とりあえず、裏取引のこととかマーシュ男爵の家に乗り込んでみましょうか」

「あ!だったらわたしもいくわ!
最近城から抜け出せる機会が少なくって、正義を遂行することが出来なかったし!」

「おいおい。今からいくのか?」

「もっちろん!」

「けどもう夕方だぜ?」

「なにを悠長なことをいってるんですかガウリイさん!
夕方でも深夜でも明け方でも、悪を野放しにしておけないじゃないですか!」

「いや。それもあるんだが。
いや。そっちも大事なことだとは思うんだが」

「なんかいいたいことでもあんの?」

「オレがいいたいのは・・・・・・その・・・・・・だな」

もごもごと、ガウリイは言いにくそうにいった。

「もし夜に入り込んで、行為の最中に出くわしたら気まずいんじゃねえかな。
アメリアも、そういった理解があるのはいいことだと思うが・・・・・・実物を生でみるのはどうかと」

・・・・・・・・・・・・

『ガウリイ(さん)がマトモなこといってるっ!?』

「・・・・・・をい」

「ちょっとどうしたんですかガウリイさん!」

「そうよガウリイ!どっか頭ぶつけたのっ!?」

「そこか?驚くポイントは」

おもわず仲良くハモったあたしとアメリアに、ガウリイは憮然としながらそういったのだった。

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34296白魔術都市狂想曲 13フィーナ 2009/8/9 00:14:07
記事番号34231へのコメント

「自宅に侵入は明日でいいとして、もうちょっと情報が欲しいわね」

「あ!だったら」

「なにかいい案でもあるの?アメリア」

「マーシュ卿が経営している店に、わたしたちが客として潜入ってのはどうかしら」

「どういう店?」

「男性のスタッフで、ホストって呼ばれてる人たちが、女性と会話したりお酒飲んだりして話を楽しませるってやつよ」

「あんた行ったことあんの?」

「あるわけないでしょう。リナ。わたしも人から聞いただけだし」

「けどあんたの顔知られてるんじゃない?
仮にも相手は男爵なんだし、顔もそれなりに広いんじゃない?」

「うーん・・・・・・それもそうねー」

残念そうに、つぶやく彼女。

「あんた・・・・・・まさかとはおもうけど。
・・・・・・それを口実に、羽伸ばそうとしてたんじゃ・・・・・・?」

ぎぎくぅっ!

あからさまに強張るアメリア。

「や・・・・・・やーねリナったら」

ぱたぱた手を振り、

「そ・・・・・・そんなことないわよ!?」

「そういいつつ、あんた目が泳いでいるわよ」

アメリアの額に浮かぶ一筋の汗をむろんあたしは見逃さなかった。

やっぱし抜け出すつもりだったか。

「多方面で聞き込むんだったらわたしとリナが客として、ホストとしてガウリイさんがもぐりこむのは?」

「あんたどうしても客として潜入したいんか?」

「一度変装ってしてみたかったのよ。そういう機会ってあまりないし。
カツラとかでいくらでも誤魔化せるし、久しぶりに間近でリナの暴れっぷりもみてみたいから」

「あたしが暴れること前提かい!」

「じゃあ聞くけどリナ。あなた平穏な人生送ってるって自分で思える?」

うく!?

そーいわれるとなにも言い返せないよーな。

・・・・・・きのせい・・・・・・気のせいにきまってる!








「んー・・・・・・まあ、それでもいいけど・・・・・・ガウリイがホスト・・・・・・ねぇ」

難しい顔をしていうあたしに、アメリアもそれに気づいたらしく沈痛な面持ちでうなった。

「あー・・・・・・うん。ごめんリナ」

あたしは、ちらりとガウリイを見て、ふるふる頭をふる。

「あー・・・・・・うん」

「なんだ?」

「ガウリイさん。ホスト役ってできるかしら」

「無理でしょ」

きっぱりというあたし。

「あのなー。お前さんたちオレのことなんだと」

「ガウリイがホストってのもねー」

「いい案だと思ったんだけど」

「配役に無理があるわよ」

「配役・・・・・・そうよその方法があったじゃないの!」

いってアメリアは、なにかを思いついたかのような笑みを浮かべた。

「なにか思いついたの?」

多少嫌な予感がしたものの、とりあえず聞いてみる。

「リナ・・・・・・あなたが男装すればいいじゃない!」

「そうあたしが男装・・・・・・って」

「そうよそれがいいわ!ガウリイさんとリナがホストとして。
わたしがお客さんとして、店に潜入して聞き込みすればいいのよ!」

「こらまてぃ!」

「リナなら声変わりしていない少年として違和感ないわ。
胸も男装するとき、わたしのようにさらしで巻く必要もないし」

「あたしにケンカ売ってるつもりなら買うわよ」

「悪意はないわよ。わたし本当のことしか言わないから」

「んっんっん。よーしわかった!」

びしぃ、とアメリアを指差すあたし。

「あんたの要望であるあたしの暴れっぷり。その目にしかと焼き付けるがいいわ!」

―――黄昏よりも昏きもの
   血の流れより紅きもの―――

「わぁぁっ!?ちょっと待てリナ!はやまるな落ち着けぇぇぇっ!」

「ガウリイさんのフォローはリナが適任よ!だからそれだけはやめてぇぇっ!」」
       ドラグ・スレイブ
冗談抜きで 竜 破 斬 ぶちかまそうと、詠唱を始めたあたしにガウリイとアメリアはあわてていった。






結局のところ。

ガウリイは当初の予定通り、ホストとして。

あたしが男装して、ホストたちと客の聞き込み&ガウリイのフォロー。

アメリアが客として潜入することになった。

セイルーンの城にある貸し衣装室を、フィルさんの許可を得て借りて。

あたしとアメリアの女性陣と、ガウリイは別室でわかれて着替える。

ああでもないこうでもないと、はじめはあまり乗り気ではなかったが。

そこはやはり女の子♪

しばらくにらめっこしていると、手を加えたくなる。

男装するにしても、どうすればそれらしくみえるかと、アメリアと試行錯誤を繰り返し。

やはり着替えというのは、ついつい力が入る。

「あー。あ″ぁー」

面接もあるみたいだし、不自然じゃないように男のような声を出す発声練習。

「大体こんな感じ?」

「うん。前よりもいい感じよリナ。
発声練習はそれなりに練習して慣れさせないとね」

「服装とかはあんたからみてどう?」

「似合ってるわよ。その黒いタキシード」

漆黒の光沢を持ったタキシードは、あたしの背丈にフィットしている。

いい感じにパリッ、と整えられており、どことなく上品なものだった。

カツラはあたしの髪と同じ栗色のものを。

うまく巻き上げ、外れないように編みこんで。

鏡を見て、おかしくないかチェックしてみる。

おし!

我ながらいいできである。

ホストクラブの募集要項の手続きは、アメリアが率先してくれたみたいだし。

「それじゃあリナ。今からあなたは『リオ=サンバース』ね!」

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34300白魔術都市狂想曲 14フィーナ 2009/8/9 22:15:37
記事番号34231へのコメント

「ふむ・・・・・・まあいいだろう」

しげしげとこちらをみる目の前にいる面接員に、慌ただしく動き回るホストたち。

三十半ばのその男は、眼鏡をかけなおしていった。

この男はこの店のホストだろうか。他のホストたちとはどことなく違う貫禄を持っている。

百八十を超える長身で、涼しげな目元をしているその男は、張りのある渋めの声でいった。

「正直時間がないから詳しくレクチャーできないが、使えるものがあったらとことん使え。
即戦力となれるかどうかは、各自によって異なる駆け引きをしているから、技を盗むなりして自分なりに吸収しものにしろ」

小さくうなずくあたし。

その横にはガウリイ。整った顔と鍛えた体つき。

着込んだ白のタキシードが、長く伸ばした金髪と映え様になっている。

・・・・・・こいつも外見だけは文句なしなんだけど。

「多くの客を指名で取れるやつは、その能力に応じた報酬が支払われる。
新入りで経験がないといっても、それに甘んじず励め。女性の心理を掴むのはリオ・・・・・・お前のほうが分かるだろうからそれを活かせ」

「オーナー!準備が整いました!」

一人のホストの言葉に、彼は張りのある声をホールに響かせた。

「では開店だ!」

その声が響いたとたん、あたりが緊張につつまれる。







「へー!じゃあリオ君ここで働くの初めてなんだ!」

あたしに話しかけてきた女性は、だいたい十代の後半といったところか。

ガウリイと似たような明るい金髪と、ころころと屈託なく笑うと覗かせる白い歯が印象的な美少女だった。

「ああ。借金もあって返さなくちゃならないし」

物珍しさもあってか、新入りとして入ったあたしたちに群がる数人の女性。

女性陣のなかにはあたしにたいして「かわいい〜♪」とか「弟にした〜い」と中々好評のようである。

もっとも大半のその視線の行き先は、隣でぱかぱかつまみを食べてるガウリイに注がれているが。

いくつかある別の席には、ホストや女性客たちの談笑が流れてくる。

「リオ君はお酒とか大丈夫?」

「たしなむていどなら」

先ほどの金髪の女性は、それを聞いて、

「ならお湯割りも頼むわ。口当たりがいいから気に入ると思うな♪」

「・・・・・・ありがとう」

「きゃぁぁっ!可愛いかわいすぎるぅぅ!」

ぎゅむ

頬ずりされると、あたしよりも大きな胸があたり、同じ女としては悔しくもなる。

「ちょっとリーリア」

その様子を見ていた一人の女性が呆れた口調で、

「いたいけな少年をたぶらかせるんじゃないわよ。リオ君反応に困って固まってるわよ」

「困った顔も可愛い〜♪」

「っていうか、リーリアが乗り気なのも珍しいわね。
わたしたちに付き合ってここに来てるけど、あんたそういうの苦手なはずでしょ?てっきり今日も隅でちびちび飲むとばかり」

「ぶぅぅ・・・・・・あたしにだってそういうときぐらいはあるんですよ〜だ」

「なら俺んところへこいよ。色々かわいがってやるぜ?」

彼女に声をかけてきたのは、黒髪の中々の美形さんであるが、下心ありありのその顔がぶち壊しにしている。

「いやぁよ。あなたみたいなナンパそうな男なんて」

「つれねえこというなよ。俺こうみえてけっこー硬派なんだぜ?」

いいつつリーリアの腰に手を伸ばそうとする。

「ちょっとなにすんのよ!」

「いいじゃねえかちょっとくらい」

「やめろよ」

声をかけたあたしに、男は不遜に鼻を鳴らす。

「ああん?なんだクソガキ。俺とやりあおうってのか?」

「リオ君駄目よ怪我しちゃう!」

一人の女性客は、男に怯えながら叫ぶ。

剣呑な気配に気づいた周りが騒がしくなってきた。

「チンピラじゃあるまいし、スケルトン並みのオツムしかないのかよ」

あたしにセリフに、男は怒りで顔を赤らめ、

「んだとぉ!」

拳を振り上げる男に周囲から上がる悲鳴。

男は自分の勝利を信じていたのだろう。

勝利を確信し、油断の混じった拳がこちらに届く寸前。

大きく振り上げられたそれを、軽くかわし一気に踏み込む。

ごぶぉっ!

踏み込んだあたしの右の拳が、男のみぞおちにめり込んでいた。

「!?」

悲鳴すら上げる間もなくあっさりと気を失い、男はまともに吹っ飛んだ!

ごしゃぁっ!

近くのテーブルに頭から突っ込み倒れる男。

数人のホストと女性客はおろおろとして事の成り行きを見守り。

ガウリイはというと、気にせずつまみを平らげている。

まるでキツネにつままれたかのように、今のことが信じられないのか呆然としている。

まあ、無理もないか。

男よりも華奢な美少年(男装しているがあたしのことである)があっという間に男をのしたのだ。

『リオ君かっこいい〜!』

黄色い声を上げる女性客たちに軽く手を振り、リーリアに近づいて目線を合わせるように跪く。

「怪我はないか?」

「え?・・・・・・ええありがとうリオ君」

あたしが差し出した手を、リーリアはおずおずとつかんだ。

「・・・・・・よかった」

「はうっ!」

ばったり

「ああリーリアしっかりして!」

「気をたしかに!」

「だれかこの娘(こ)運んで!」

数名に取り囲まれるリーリア。

「安心して気が抜けたんだな」

「いや・・・・・・たぶん違うと思うぞ」

あたしのセリフに、なぜかガウリイは遠い目をしていった。

「どういう意味だよそれ」

「・・・・・・罪作りなやつ」

あたしの問いにガウリイはそう答え、よいしょとリーリアを担ぎ上げる。

「・・・・・・なんかこの姉ちゃん重いなー」

・・・・・・ガウリイ。

それは乙女にとっての禁句だぞ。

オーナーは、ぱんぱんと手を叩き皆の注目を集める。

「さあ皆持ち場に戻れ!リオ君。ちょっとこっちへ来てくれ」

・・・・・・うーん。

もしかして騒ぎを収めた功労者ということで、特別手当として報酬もらえるのか?

「テーブルや酒類の弁償についてはなしたいんだが」

うげ!?

「でもおれあの男が殴りかかってきたから正当防衛で」

「オーナー!つまみ食いは駄目っすよー」

一人のホストの揶揄に。

「仕事中にそんなことするか!だいたいこいつは論外だ」

論外発言に、そのホストは軽く眉をひそめる。

「マーシュ卿ともあろう者が珍しいっすねー」

・・・・・・マっ!?

「もしかして本命が戻ってきたんですかー?」
          
「あいつとは昔に破局した・・・・・・そもそも間違った出会い方だったんだよ」

「うっわー!マジ惚れってやつですか!」

「人をからかうなカイル。
ついでに転がってるエリックを説教つけてたたき出せ」

「いいんすかー?」

「目に余る言動が多く、客足も途絶えがちだったからちょうどいい機会だ。
お前なりの制裁もついでに加えてやれ。コナかけるんなら店じゃなく外でしろってな」

「ほーい」

気楽な口調でそういって、カイルと呼ばれたホストは倒れている男をずりずりとひっぱっていった。

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34304白魔術都市狂想曲 15フィーナ 2009/8/11 19:24:46
記事番号34231へのコメント
ミーティングルームにつれられて、彼は口を開いた。

ここにはあたしたち二人しかいない。

「とりあえず、今回は初めてで勝手が分からないのもあったから多めにみるが、次からは酒が置かれていない場所を狙ってやれ」

「は?」

予想とは少し違うセリフに、あたしは間の抜けた声を出した。

「ああいう勘違いしているホストはいるが、ここは基本的に客との会話を楽しむ場所だと思っている。
女性客を不快にさせるのはホストとしてあるまじき行為だ。どんな理由で男と偽っているか不明だが、お前もそれを肝に銘じておけ」

「気づいてたの?あたしが女だって」

「最初から気づいてた」

「どこでわかったわけ?けっこー自信あったんだけど」

バレている以上隠し立てても仕方ない。

あたしは元の口調に戻していった。

「男女での骨格の違いと、男の相手をしている長年の勘だ。
立ち振る舞いも意識して男を演じてやってたんだろうが、時折女のそれに戻っていた」

「なんだって雇ったのよ」

「資金が足りていない現状のなか、人手不足で猫の手も借りたかったのと、女性ならではの着眼点も考慮に入れておきたいと思ったからだ」

商売としてのサンプルケースみたいなものか。

「あたしが女だって気づいているのってマーシュ卿だけ?」

「いまのところはそうだが、勘のいい人間が気づくのもそう遅くはない。それとここでは、マーシュではなくオーナーと呼んでくれ。
男装してもぐりこんでいるのはお前なんだ。もしお前が女だとバレて、他の男におもちゃにされても、こちらでは責任は取らないからな」

「あたしの腕は見たでしょ?」

「あまり甘く見るなよ。なかには傭兵あがりの連中だっているんだ」

「へー。男色家だってはなしだけど、意外とフェミニストなんだ」

「男にしか興味が持てないのも事実だが、だからといって、妹もいるのに女性をないがしろにするほど落ちぶれてはいない」

「妹?」

「ミーハーで顔のいい男にすぐ熱を上げる。
浪費癖もあって時々身内ゆえに煩わしく思うが、可愛い妹であるのに違いはない」

ふむふむ。

貴族ってのは、家柄とか権力とかやたらと振りかざし、自己中心的なやつが多い。

人を見下しているような連中が多いのだが、こいつは割とできたやつのようである。

「この時間帯は込み合ってくるから、そろそろ話を切り上げるぞリオ。男の声に戻して仕事場にもどれ」







あたしが戻ると、ガウリイと長い銀髪の女性が楽しそうに談笑していた。

「それでどうなったの?」

「あいつが吹っ飛ばしたあの男は災難だったなー。
オレが来たとき裏口のほうで、顔以外の場所を余すとこなくホストの兄ちゃんにボコられて」

「ガウリイさんも今ホストじゃないですか」

「そうだっけ?」

あれ?

この声って、もしかして。

「さっきここに来る前、カイルって人だったんだけどね。
話し上手なだけじゃなくて、細やかな心配りも出来るんだけど、もうちょっと押しの強さってものがあれば上位に食い込めるんじゃないかと思うの」

「・・・・・・よく覚えてないんだが、本来の目的とどこかズレてるよーな気がするんだが・・・・・・」

「気のせいよ!ガウリイさん!
・・・・・・もうちょっと早くこれればリオの勇姿をみる事ができたのに」

「あれ以上男らしくなってもなー」

気配を殺し、談笑している二人に近づく。

長い銀髪の後姿に気づくのが遅れたが、話し方などでそれがアメリアだと確信する。

こちらに気がついたらしく、ガウリイがこちらに振り向く

「みたかったなー。女の子を落としたリオの王子様っぷり」

「なにがみたかったって?」

「あ!おかえりリ・・・オ君」

いまリナっていおうとしたな。

「はやかったわねー。あなたの傍若無人な暴れっぷりとか、他の人たちから聞いてたけど」

「悪かったな。傍若無人で」

アメリアは、無意味に手を振り朗らかな顔で、

「褒めてるんじゃないの。リオ君。
こうまで違和感なく、ホストとして溶け込むことが出来るなんて、一種の才能よ」

ほほーう。

ならば、目には目を。

「アメリアも、普段とは見違えるほど・・・・・・綺麗だよ」

低く声を落とし、耳元でささやくとアメリアは耳まで赤くなる。

「なんか・・・・・・反則」

にらみつけるような視線に、軽い優越感を感じ、調子に乗ってアメリアの手をとる。

「君の比類なき美しさにかかれば、満天の星空の輝きでさえ君には及ばないよ」

手袋越しに伝わる手の甲のぬくもりに、軽く口づけをする。

「ちょっ・・・・・・ちょっとリナ・・・・・・!
宝塚じゃあるまいし、いくらなんでも悪ノリしすぎ・・・・・・!」

あたしにしか聞こえないような小声で、抗議の声を上げるアメリア。

「おれにこうされるのは、アメリアはいやなのか?」

「いやっていうか・・・・・・恥ずかしい」

もごもごと、消え入りそうな声でつぶやくアメリア。

「恥ずかしがることはない。
ここに今いる知り合いはおれと・・・・・・ガウリイの二人しかいないんだ」

「リオ・・・・・・わたし」

いいかけるアメリアの唇を、あたしの人差し指を押さえて黙らせる。

「しー・・・・・・黙ってアメリア。
・・・・・・みなまでいわなくてもわかってる」

「・・・・・・リオ」

「・・・・・・と、まあ・・・・・・冗談はこれぐらいにして」

ずしゃぁぁっ!

あたしとアメリアのやり取りを、固唾を呑んで見守っていたガウリイはずっこけた。

「なにずっこけてるんだガウリイ」

「・・・・・・お前さんたちの周りだけ、別の空間になったような気がしたんだが」

「気のせいに決まってるじゃないか。なあアメリア」

「・・・・・・・・・・・・」

「アメリア?」

アメリアは、やおらあたしの手を握り顔を近づけこういった。

「リナ・・・・・・リオとしてわたしとつきあって」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

寝言をほざいたアメリアに、とりあえずあたしはこう言った。
  モノ・ヴォルト
「軽く 雷 撃 」

ひぱしぃぃぃん!

寝起きの眠気覚ましに、初級の雷の呪文をアメリアにプレゼントしたのだった。

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34305Re:白魔術都市狂想曲 15kou 2009/8/11 20:59:36
記事番号34304へのコメント

どうもkouです。何というかスレイヤーズの話でお水系のお店が出たのって珍しいんじゃないんでしょうか?
>ミーティングルームにつれられて、彼は口を開いた。
>
>ここにはあたしたち二人しかいない。
>
>「とりあえず、今回は初めてで勝手が分からないのもあったから多めにみるが、次からは酒が置かれていない場所を狙ってやれ」
>
>「は?」
>
>予想とは少し違うセリフに、あたしは間の抜けた声を出した。
>
 まぁ、てっきり説教とか減給とかとおもいますわな。
>「ああいう勘違いしているホストはいるが、ここは基本的に客との会話を楽しむ場所だと思っている。
>女性客を不快にさせるのはホストとしてあるまじき行為だ。どんな理由で男と偽っているか不明だが、お前もそれを肝に銘じておけ」
>
 えぇぇ。気づいていたんですか。道理で前回こいつは論外だと言ったわけだ。
 最初リナ……じゃなくてリオに女心はお前の方がよくわかるだろうと言った理由もそれですな。わりかし最初の方から気づいていたような言い回しでしたしね。
>「気づいてたの?あたしが女だって」
>
>「最初から気づいてた」
>
 わりと驚きですな。確かにリオはかなり小柄(女としても小柄なタイプですしね)
>「どこでわかったわけ?けっこー自信あったんだけど」
>
>バレている以上隠し立てても仕方ない。
>
>あたしは元の口調に戻していった。
>
 まぁ、声を低くするのってのどが痛くなりますからね。kouもやってみたことあるんですよ。(理由は忘れましたけれど………)
>「男女での骨格の違いと、男の相手をしている長年の勘だ。
 カンかぁ………。でもまぁそういう趣味の人って同類を感知する能力とかに長けているとかいいますもんね。嘘か本当かは、知りませんけれど……。
>立ち振る舞いも意識して男を演じてやってたんだろうが、時折女のそれに戻っていた」
>
 戻っていたんですね。うーんいつ戻っていたんでしょうかね。
>「なんだって雇ったのよ」
>
>「資金が足りていない現状のなか、人手不足で猫の手も借りたかったのと、女性ならではの着眼点も考慮に入れておきたいと思ったからだ」
>
>商売としてのサンプルケースみたいなものか。
>
 商人の子供のリナとしてもその商売人根性は本当に悪人か善人かどうか別として認めたりしそうですね。
>「あたしが女だって気づいているのってマーシュ卿だけ?」
>
>「いまのところはそうだが、勘のいい人間が気づくのもそう遅くはない。それとここでは、マーシュではなくオーナーと呼んでくれ。
 公私の区別をつけるタイプですね。………んー、とても密輸とかしそうな人間には思えないし……犯罪組織とつるんでどうのこうのする人間とは思えないなぁ。
>男装してもぐりこんでいるのはお前なんだ。もしお前が女だとバレて、他の男におもちゃにされても、こちらでは責任は取らないからな」
>
>「あたしの腕は見たでしょ?」
>
 それに何よりリナには信用がおける保護者がいますしね。それにあのリナdすから………まぁ、リオは偽名だと気づいているでしょうけどあのリナだとは知らないですよね。
>「あまり甘く見るなよ。なかには傭兵あがりの連中だっているんだ」
>
 甘く見ているのはそっちですよ。口さえふさがれなければ町ごと吹っ飛ぶ可能性すらありますしね。
>「へー。男色家だってはなしだけど、意外とフェミニストなんだ」
>
 こういう趣味の人間は女嫌いだというのは、偏見だと思うけどたしかにそんなイメージがあるよな。
>「男にしか興味が持てないのも事実だが、だからといって、妹もいるのに女性をないがしろにするほど落ちぶれてはいない」
>
>「妹?」
>
 ん?なにやら気になる単語が………
>「ミーハーで顔のいい男にすぐ熱を上げる。
>浪費癖もあって時々身内ゆえに煩わしく思うが、可愛い妹であるのに違いはない」
>
 アメリアもそのアメリアの姉も放浪癖がありますね。良いところと言うか地位を持つところの娘って言うのは、放浪癖がなくちゃいけないという法律でもあるんでしょうか。
>ふむふむ。
>
>貴族ってのは、家柄とか権力とかやたらと振りかざし、自己中心的なやつが多い。
>
>人を見下しているような連中が多いのだが、こいつは割とできたやつのようである。
>
 こうなると、密輸云々は本当に関わっているのかどうかあやしいねぇ。
>
>あたしが戻ると、ガウリイと長い銀髪の女性が楽しそうに談笑していた。
>
 リナ的にはおもしろくないのかな?でも、ガウリィちゃんと名前覚えているのかねぇ。
>「それでどうなったの?」
>
>「あいつが吹っ飛ばしたあの男は災難だったなー。
>オレが来たとき裏口のほうで、顔以外の場所を余すとこなくホストの兄ちゃんにボコられて」
>
 ホストは顔が商売道具ですからね。商売道具には傷をつけないんでしょうね。でも、余すところ無くですか………こりゃ内出血していたりするんでしょうね。
 リオが女だと気づいたら間違いなく別の意味で襲いそうだし気がつかなくても襲いそうだな。
>「ガウリイさんも今ホストじゃないですか」
>
>「そうだっけ?」
>
>あれ?
>
>この声って、もしかして。
>
>「さっきここに来る前、カイルって人だったんだけどね。
>話し上手なだけじゃなくて、細やかな心配りも出来るんだけど、もうちょっと押しの強さってものがあれば上位に食い込めるんじゃないかと思うの」
>
 おいおい。なにホスト談義に熱を上げているんだ。あんた一応白魔術都市の王位第三継承者でしょうが………!
 放浪癖のある行方不明の姉にホストクラブに通い詰める妹なんて、スキャンダルも良いとこだぞ。はっきり言って放浪癖の姉の方がまだ国を任せられると言われるぞ。
 フェルさんも泣きそうだ。母親も草葉の陰で泣いてるぞ。
>「・・・・・・よく覚えてないんだが、本来の目的とどこかズレてるよーな気がするんだが・・・・・・」
>
 おお、ガウリィ。よく気づいた。偉いぞ。やっぱ光の剣は知性を吸い取っていたのか?
 だとしたら光の剣をなくしてむしろ良かったのかもね。
>「気のせいよ!ガウリイさん!
 んなわけあるか!
>・・・・・・もうちょっと早くこれればリオの勇姿をみる事ができたのに」
>
>「あれ以上男らしくなってもなー」
>
 ああ、ガウリィ。リナがじゃなかったリオがいますよ。
>気配を殺し、談笑している二人に近づく。
>
>長い銀髪の後姿に気づくのが遅れたが、話し方などでそれがアメリアだと確信する。
>
>こちらに気がついたらしく、ガウリイがこちらに振り向く
>
>「みたかったなー。女の子を落としたリオの王子様っぷり」
>
 たしかに、実際白魔術都市の王子はとても王子様なんて言えないしね。
 ほかの王子だったのもたしかに顔立ちはフェルさんよりも整っていたけれど………(どうしてフェルさんだけああいう人になったんだ?)王子と呼ぶには、ちょっと老けていたしね。
 アルフレッドはその点王子の容姿は完璧だったなぁ。人格は問題があったけれどなぁ。
>「なにがみたかったって?」
>
>「あ!おかえりリ・・・オ君」
>
>いまリナっていおうとしたな。
>
>「はやかったわねー。あなたの傍若無人な暴れっぷりとか、他の人たちから聞いてたけど」
>
>「悪かったな。傍若無人で」
>
>アメリアは、無意味に手を振り朗らかな顔で、
>
>「褒めてるんじゃないの。リオ君。
 そうか?傍若無人はほめ言葉にはならないぞ。獅子奮迅とか快刀乱麻とかならほめ言葉………かな?
>こうまで違和感なく、ホストとして溶け込むことが出来るなんて、一種の才能よ」
>
 さらに、ほめていませんよ。ホストに向いていると言われて潜入捜査中の人にしかも女にいってほめているつもりか?
>ほほーう。
>
>ならば、目には目を。
>
 あ、やっぱり怒った。
>「アメリアも、普段とは見違えるほど・・・・・・綺麗だよ」
>
>低く声を落とし、耳元でささやくとアメリアは耳まで赤くなる。
>
>「なんか・・・・・・反則」
>
>にらみつけるような視線に、軽い優越感を感じ、調子に乗ってアメリアの手をとる。
>
 こらこら、ほどほどにしときなさいよ。
>「君の比類なき美しさにかかれば、満天の星空の輝きでさえ君には及ばないよ」
>
 うわぁぁぁ。くっさぁ。kouならそんなこと言われた日にはじんましんというか悪寒をなくすために体中かきむしるか相手をけたぐり倒すだろうな。
 なにぶん乙女心を持たずに生まれたもので………。
>手袋越しに伝わる手の甲のぬくもりに、軽く口づけをする。
>
>「ちょっ・・・・・・ちょっとリナ・・・・・・!
>宝塚じゃあるまいし、いくらなんでも悪ノリしすぎ・・・・・・!」
>
 あるのか?宝塚?って気になるのはそこか?
>あたしにしか聞こえないような小声で、抗議の声を上げるアメリア。
>
 たしかに、悪のりですね。つーか、こういうのやっていると本当にホストに向いていると言われますよ。ん〜ホストって乙女心を理解していないとだめな分女がやった方が良いのかもしれないな。その点は、マーシュ郷の着眼点は正解だったな。
>「おれにこうされるのは、アメリアはいやなのか?」
>
>「いやっていうか・・・・・・恥ずかしい」
>
>もごもごと、消え入りそうな声でつぶやくアメリア。
>
 そりゃ、恥ずかしいわな。
>「恥ずかしがることはない。
>ここに今いる知り合いはおれと・・・・・・ガウリイの二人しかいないんだ」
>
 いや、なら恥ずかしがるだろうが!と、言うか見ているガウリィの方が恥ずかしかったり心配だったりだろうな。ゼロスが居たらわりと楽しんで見そうだけれども………
『いや〜。なかなか良い雰囲気ですねぇ。ガウリィさん』
 とか、言ったりして(笑)
>「リオ・・・・・・わたし」
>
>いいかけるアメリアの唇を、あたしの人差し指を押さえて黙らせる。
>
>「しー・・・・・・黙ってアメリア。
>・・・・・・みなまでいわなくてもわかってる」
>
 本当にわかっているのか?アメリア正気とは思えないですけどぉぉ
>「・・・・・・リオ」
>
>「・・・・・・と、まあ・・・・・・冗談はこれぐらいにして」
>
>ずしゃぁぁっ!
>
>あたしとアメリアのやり取りを、固唾を呑んで見守っていたガウリイはずっこけた。
>
 こけるわな。うん。こける。この場に二人を知っている存在がいたら全員こける。人間だけじゃなくて竜だろうがエルフだろうがそれこそ魔族だってこけるんじゃないか?
>「なにずっこけてるんだガウリイ」
>
>「・・・・・・お前さんたちの周りだけ、別の空間になったような気がしたんだが」
>
 同感だ。ガウリィ。異世界だよ。スレイヤーズ世界で見るのは不可能の耽美で優雅で哀しい恋物語風の世界ですよ。
>「気のせいに決まってるじゃないか。なあアメリア」
>
 さて、それはどーでしょう。
>「・・・・・・・・・・・・」
>
>「アメリア?」
>
>アメリアは、やおらあたしの手を握り顔を近づけこういった。
>
>「リナ・・・・・・リオとしてわたしとつきあって」
>
 あ〜、本当にいっちゃったよ。
>・・・・・・・・・・・・・・・・・・
>
>寝言をはざいたアメリアに、とりあえずあたしはこう言った。
>  モノ・ヴォルト
>「軽く 雷 撃 」
>
 ご愁傷様です。まぁ目は覚めるでしょうね。

 リナ………じゃなくてリオ。あんたホスト天職だよ。ん〜乙女心がわかるなら、………ナタリーもホストに向いている性格かな?
 見た目というかどういう存在かどうかは別として………。
 いや、どっちかというと通いそうだな。間違っても間違いが起きそうにないし………。(と、言うかどうやって間違いが起きるというのだ!)
 以上kouでした。フィーナさんこれからもお願いします。あと、ナーガとヴラの再登場を希望してます。特にナーガを!(ヴラはほっといてもまた出そうですしね。)

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34309Re:白魔術都市狂想曲 15フィーナ 2009/8/13 00:13:11
記事番号34305へのコメント


> どうもkouです。何というかスレイヤーズの話でお水系のお店が出たのって珍しいんじゃないんでしょうか?
kouさんいつも感想ありがとうございます。
一応原作のほうでは、二巻(アトラス魔道士)のほうでちらりと名前だけ出てきたような気もしますが、こんなん書いてても私はホストクラブはおろか、宝塚もみたことはありません。
> まぁ、てっきり説教とか減給とかとおもいますわな。
くだらないところにも伏線というものはあるものです。
何気ないセリフのなかにも、性懲りもなくあるんで。
> えぇぇ。気づいていたんですか。道理で前回こいつは論外だと言ったわけだ。
> 最初リナ……じゃなくてリオに女心はお前の方がよくわかるだろうと言った理由もそれですな。わりかし最初の方から気づいていたような言い回しでしたしね。
マーシュ卿の洞察力は、その道の人だから気づいたのかもしれません。
> わりと驚きですな。確かにリオはかなり小柄(女としても小柄なタイプですしね)
> まぁ、声を低くするのってのどが痛くなりますからね。kouもやってみたことあるんですよ。(理由は忘れましたけれど………)
のどはけっこうガラガラになるんで、水分補給もうがいもしないと。
>>「男女での骨格の違いと、男の相手をしている長年の勘だ。
> カンかぁ………。でもまぁそういう趣味の人って同類を感知する能力とかに長けているとかいいますもんね。嘘か本当かは、知りませんけれど……。
こればっかりは、経験ないんで。
> 戻っていたんですね。うーんいつ戻っていたんでしょうかね。
気づかんうちにというか、ほとんど無意識のうちにです。
> 商人の子供のリナとしてもその商売人根性は本当に悪人か善人かどうか別として認めたりしそうですね。
基本的に彼はリナよりも商売の場数は多く踏んでいますから。
> 公私の区別をつけるタイプですね。………んー、とても密輸とかしそうな人間には思えないし……犯罪組織とつるんでどうのこうのする人間とは思えないなぁ。
まあ……このへんは。
> それに何よりリナには信用がおける保護者がいますしね。それにあのリナdすから………まぁ、リオは偽名だと気づいているでしょうけどあのリナだとは知らないですよね。
偽名だということは、もちろん気づいています。
> 甘く見ているのはそっちですよ。口さえふさがれなければ町ごと吹っ飛ぶ可能性すらありますしね。
さて、このへんのことは。
> こういう趣味の人間は女嫌いだというのは、偏見だと思うけどたしかにそんなイメージがあるよな。
今までノーマルだったのに、その道に走る場合もありますし、一概にイコールと結びつかないものです。
>>「男にしか興味が持てないのも事実だが、だからといって、妹もいるのに女性をないがしろにするほど落ちぶれてはいない」
> ん?なにやら気になる単語が………
>>「ミーハーで顔のいい男にすぐ熱を上げる。
>>浪費癖もあって時々身内ゆえに煩わしく思うが、可愛い妹であるのに違いはない」
> アメリアもそのアメリアの姉も放浪癖がありますね。良いところと言うか地位を持つところの娘って言うのは、放浪癖がなくちゃいけないという法律でもあるんでしょうか。
放浪ではなく浪費。つまりお金をがつがつ使ってしまうことです。
> リナ的にはおもしろくないのかな?でも、ガウリィちゃんと名前覚えているのかねぇ。
無意識下での嫉妬なのか、それとも……。
> ホストは顔が商売道具ですからね。商売道具には傷をつけないんでしょうね。でも、余すところ無くですか………こりゃ内出血していたりするんでしょうね。
> リオが女だと気づいたら間違いなく別の意味で襲いそうだし気がつかなくても襲いそうだな。
くだらない伏線です。
>>「さっきここに来る前、カイルって人だったんだけどね。
>>話し上手なだけじゃなくて、細やかな心配りも出来るんだけど、もうちょっと押しの強さってものがあれば上位に食い込めるんじゃないかと思うの」
> 放浪癖のある行方不明の姉にホストクラブに通い詰める妹なんて、スキャンダルも良いとこだぞ。はっきり言って放浪癖の姉の方がまだ国を任せられると言われるぞ。
おそらく彼女の姉なら、見聞を広めるためという気がします。
> おお、ガウリィ。よく気づいた。偉いぞ。やっぱ光の剣は知性を吸い取っていたのか?
> だとしたら光の剣をなくしてむしろ良かったのかもね。
ガウリイは、謎が多いですよね。
>>「あれ以上男らしくなってもなー」
> ああ、ガウリィ。リナがじゃなかったリオがいますよ。
このセリフは、わたしの本音だったりします。
>>気配を殺し、談笑している二人に近づく。
>>「褒めてるんじゃないの。リオ君。
> そうか?傍若無人はほめ言葉にはならないぞ。獅子奮迅とか快刀乱麻とかならほめ言葉………かな?
女性にいうには違和感あるけど、リナならピッタリとはこれいかに?
>>こうまで違和感なく、ホストとして溶け込むことが出来るなんて、一種の才能よ」
> さらに、ほめていませんよ。ホストに向いていると言われて潜入捜査中の人にしかも女にいってほめているつもりか?
本人は正直なことをいってるわけで、他意はありません。
……悪気もなければ善意もない。けっこータチ悪いぞアメリア。
>>にらみつけるような視線に、軽い優越感を感じ、調子に乗ってアメリアの手をとる。
> こらこら、ほどほどにしときなさいよ。
>>「君の比類なき美しさにかかれば、満天の星空の輝きでさえ君には及ばないよ」
> うわぁぁぁ。くっさぁ。kouならそんなこと言われた日にはじんましんというか悪寒をなくすために体中かきむしるか相手をけたぐり倒すだろうな。
> なにぶん乙女心を持たずに生まれたもので………。
そこまで言うなら仕返しじゃぁぁっ!……という、リナの大人気ない一面。
>>手袋越しに伝わる手の甲のぬくもりに、軽く口づけをする。
>>「ちょっ・・・・・・ちょっとリナ・・・・・・!
>>宝塚じゃあるまいし、いくらなんでも悪ノリしすぎ・・・・・・!」
> あるのか?宝塚?って気になるのはそこか?
……アメリアさん満更でもないようです(遠い目)
>>あたしにしか聞こえないような小声で、抗議の声を上げるアメリア。
> たしかに、悪のりですね。つーか、こういうのやっていると本当にホストに向いていると言われますよ。ん〜ホストって乙女心を理解していないとだめな分女がやった方が良いのかもしれないな。その点は、マーシュ郷の着眼点は正解だったな。
>>「おれにこうされるのは、アメリアはいやなのか?」
>>「いやっていうか・・・・・・恥ずかしい」
>>もごもごと、消え入りそうな声でつぶやくアメリア。
> そりゃ、恥ずかしいわな。
>>「恥ずかしがることはない。
>>ここに今いる知り合いはおれと・・・・・・ガウリイの二人しかいないんだ」
> いや、なら恥ずかしがるだろうが!と、言うか見ているガウリィの方が恥ずかしかったり心配だったりだろうな。ゼロスが居たらわりと楽しんで見そうだけれども………
>『いや〜。なかなか良い雰囲気ですねぇ。ガウリィさん』
> とか、言ったりして(笑)
なんつうものをかいたんじゃ我。
読み返すとかゆくなります。
>>「リオ・・・・・・わたし」
>>いいかけるアメリアの唇を、あたしの人差し指を押さえて黙らせる。
>>「しー・・・・・・黙ってアメリア。
>>・・・・・・みなまでいわなくてもわかってる」
> 本当にわかっているのか?アメリア正気とは思えないですけどぉぉ
リナはお芝居みたいなノリで。アメリアは……(苦笑)
>>「・・・・・・リオ」
>>「・・・・・・と、まあ・・・・・・冗談はこれぐらいにして」
>>ずしゃぁぁっ!
>>あたしとアメリアのやり取りを、固唾を呑んで見守っていたガウリイはずっこけた。
> こけるわな。うん。こける。この場に二人を知っている存在がいたら全員こける。人間だけじゃなくて竜だろうがエルフだろうがそれこそ魔族だってこけるんじゃないか?
この二人を知っている魔族は、かなりの精神攻撃でダメージ受けるんじゃないでしょうか。
>>「なにずっこけてるんだガウリイ」
>>「・・・・・・お前さんたちの周りだけ、別の空間になったような気がしたんだが」
> 同感だ。ガウリィ。異世界だよ。スレイヤーズ世界で見るのは不可能の耽美で優雅で哀しい恋物語風の世界ですよ。
ハムレットのロミオとジュリエット。
>>「気のせいに決まってるじゃないか。なあアメリア」
> さて、それはどーでしょう。
>>「リナ・・・・・・リオとしてわたしとつきあって」
> あ〜、本当にいっちゃったよ。
>>・・・・・・・・・・・・・・・・・・
>>寝言をはざいたアメリアに、とりあえずあたしはこう言った。
>>「軽く 雷 撃 」
> ご愁傷様です。まぁ目は覚めるでしょうね。
電撃なだけに「これは……恋!?」と勘違いしそうな気も。
> リナ………じゃなくてリオ。あんたホスト天職だよ。ん〜乙女心がわかるなら、………ナタリーもホストに向いている性格かな?
あの性格ですから。逆でしょう。
> いや、どっちかというと通いそうだな。間違っても間違いが起きそうにないし………。(と、言うかどうやって間違いが起きるというのだ!)
え〜〜と……ナタリーの中の空洞部分に入ってゴールイン♪……すみませんこのネタ書き下ろしであったな。
> 以上kouでした。フィーナさんこれからもお願いします。あと、ナーガとヴラの再登場を希望してます。特にナーガを!(ヴラはほっといてもまた出そうですしね。)
むっ!?kouさん……ナーガですか?
この人の再登場は……むぅ……
そんな感じです。

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34312白魔術都市狂想曲 16フィーナ 2009/8/13 23:34:20
記事番号34231へのコメント

ピーク時の混雑を乗り越えて、接客しながら情報収集ももちろん忘れずに行って。

規定の関係上、深夜まで営業を行い、片付けも終えた後のこと。

「・・・・・・初日でこんな成果を出すとは」

「本当に初心者なのかよ」

ひそひそとささやくホストたち。

あたしに対しての羨望と嫉妬。

それ以外でも形容しがたいような、複雑な感情が入り混じるミーティングルームにて。

日払いという形で受け取った、袋に詰まったその重さは、酒の弁償の分を差し引いてもかなりのものだった。

「まさかこれほどのものとはな」

「どうも」

オーナーの賛辞に、軽く答える。

「なにかイカサマしたんじゃねえか!?」

「そうだ!」

「客と寝る約束でもしたんだろ!」

「やめんか!」

不満の声を上げる彼らに、オーナーの一喝が落ちた。

し・・・ん

とたん口を閉ざすホストたち。

「客と寝て順位を保とうとするものが多いのも知っている。上位にいるものとて例外ではない」

その言葉に、言い当てられた数人が黙り込む。

「だがな、この業界は新入りと思って甘く見てると、足元をすくわれるぞ。
上位にいるものも、常に虎視眈々と狙われているということを意識しながら自分を磨け。
互いに競い合い、切磋琢磨して向上を図る。そういうものだと知っているはずだ」

彼は、声のトーンを少し落とした。

「それにこの結果は、人の心理を読むのに長けたリオの実力だ。
初めてということもあり、戸惑うこともあったと思うが、相手のことを理解しようとすることは、諸君らも見習わなければならない」

ホストたちは、先ほどの騒ぎが嘘かのように、真剣にオーナーの言葉を聞いている。

「成績が伸び悩んでいるものも、初心にかえり自分を見つめなおし、どのようなことを留意すべきか考えて欲しい」

彼は、張りのある声を響かせた。

「・・・・・・では、各自解散!」







深夜の町並みを歩くあたしとガウリイ。

アメリアと合流した後のことである。

「なんっか・・・・・・人から聞いてたのとずいぶん違うわね」

「ホストの人たちも、マーシュ卿のことはそういう対象とか抜きにして慕ってたみたいだし」

あたしのセリフに、アメリアも同意する。

「アメリア。あんたホストから何か聞き出せた?」

「マーシュ卿の妹でフレデリカっていうんだけど、浪費癖が酷いんだって。
昔は病弱で寝込むことが多く、名産品などを妹がねだれば財産つぎ込んで買っていたとか?」

「ああ。それあたしも聞いたわ。
病弱な部分が改善されたから構わなくなり・・・・・・浪費癖が酷くなったのは、たぶんその反動ね」

「他にも人恋しくなると男を呼んで遊んだり、飽きたら別の男をとっかえひっかえ」

でっかい子供か。

そのフレデリカってやつは。

「ホストの人の中でも、フレデリカさんと付き合ってる人はいるみたい」

「誰だかわかる?」

「さあ」

世間を知らずに育った箱入り娘といったとこか。

フレデリカとやらの交友関係は、広く浅くといったところだろう。

「マーシュ卿のほうは?」

「うーん・・・・・・カイルってホストの証言なんだけど。
何年か前、付き合っていた人から、マーシュ卿は別れを切り出されたって」

「なんでだ?」

「同姓同士の付き合いだってことが発覚し、相手の家族の猛反対にあったらしいです」

男女での恋愛ならともかく。

同姓での付き合いは『普通』は『異常』なのだ。

大多数の意見の総称こそが『普通』と『定義』されているもの。

その家族の反応は当然というべきだろう。

「その隙間を埋めるように、美味しいものを取り寄せたり。
珍しいものを買い込んで、フレデリカさんを喜ばせたりして」

「マーシュ卿は公言してたのか?」

「その当時は隠していたみたいです。
フレデリカさんの容態のこともありましたし、爵位を失うことを恐れていえなかったんでしょうね」

ガウリイの問いに、アメリアはそう答えた。

「ある日、ポイズン・ダガーって犯罪組織が運営している、人身売買のことを噂で知ったそうです。
相手が覚えていないという誘惑に負けて、一度だけならと、一夜の慰めのつもりで買ったみたい」

「その相手は?」

「わからないわ。だけどその人の影響で、いい意味で変わったって言ってました」

さてそうすると、腑に落ちない部分が出てくる。

フレデリカの体調はよくなっているはずなのに、マーシュ卿の名で密輸がされているのはなぜか。

密輸のことに関して、そのプロセスは詳しく知らない。

だが、確認のため本人ないしその身内が立ち会うのが道理である。

マーシュ卿自身が手引きをしているのか。

それともそれはフェイクで、マーシュ卿を陥れるためなのか。

だとしたら誰が?

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34321白魔術都市狂想曲 17フィーナ 2009/8/18 21:41:14
記事番号34231へのコメント


マーシュ卿の屋敷は、外観から見えた荘厳さとは裏腹に、めぼしい金目のものは屋敷の中に置かれていなかった。

いるのは使用人さんとメイドが一人ずつ。

太った使用人さんから聞くところによると、マーシュ卿は現在出張中で、戻ってくるのにしばらくかかるという。

・・・・・・アメリアはというと。

フィルさんとバッタリ出くわしてしまい、たまっている書類の整理など政務に追われている。

あたしたちがマーシュ卿の屋敷に向かうと聞いて、アメリアはすぐに終わらせるといっていたけれど。

なにしろ『あの』アメリアである。

・・・・・・まさか城から抜け出して、ここに乗り込んでこないだろうな・・・・・・?

一概に否定しきれないところである。

「ところでききたいんですけど」

「なんでしょうか?」

濃いブラウンの髪を長く伸ばした、二十歳前後ぐらいのメイドさんに聞いてみた。

「メイドさんと使用人さんをひとりずつしかつけていないの?
大きな屋敷なんだから、もう少し人手とか増やしたほうがいいと思うんだけど」

「屋敷の内装を見て気がついておられるとは思うのですが、屋敷とわたしたちの維持費。
だんな様が経営しておられるクラブの資金でもっている状態なのです」

「どういうこと」

あたしに聞かれ、そのメイドさんは少し困ったように、

「だんな様から、フレデリカお嬢様には余計なことは言うな、といわれておりますが。
・・・・・・フレデリカお嬢様の浪費で、今まで蓄えられていた財産も底をつきかけているんです」

ダークブラウンの長い髪をしている彼女はそういった。

「わたしは二年ほど前、住んでいた所が内乱で乱れ、娼館に連れて行かれそうになっていたところをだんな様に助けていただきました。
行き場所を失い身寄りがなかったわたしに、居場所を与えてくれただんな様には本当に感謝しております。
・・・・・・それが誰かへの罪滅ぼしで、その姿をわたしに投影しているにしか過ぎなくても。
維持するのに屋敷にあっためぼしいものを売って何とかまかなっていたんですけど」

「限界が訪れた」

あたしの言葉に、彼女はうなずいて肯定した。

「だんな様は、それがお嬢様のせいだと知らせたくないそうなんです」

「なんでその姉ちゃんに正直に言わないんだ?」

「物が減っているのがお嬢様のせいだとはいいづらいそうです。
フレデリカお嬢様の浪費癖は、ある意味自分が招いたようなものだからと・・・・・・それと」

「それと?」

「周囲に文無しだと知られたくないとおっしゃっていました」

「やっぱ貴族の端くれね」

「フレデリカお嬢様は昔は病弱で、すぐに風邪をこじらせ発作を起こしていたそうですから。
・・・・・・お嬢様に心配をかけて、煩わせたくないということも含まれているんじゃないでしょうか」

貴族に限らず持っている意地や虚栄心。

フレデリカのことを気にかけているのも事実だが。

彼もやはり、男爵の称号を持つ貴族なのだ。







「ところで、そのフレデリカって人にあわせて欲しいんだけど」

「申し訳ございません。
フレデリカお嬢様は、ただいま取り込み中でございます」

「取り込み中?」

ガウリイの問いに、彼女は深々と一礼して。

「フレデリカお嬢様と現在交際中のエリック様と」

『ふざけるな!』

屋敷から喚くような声が聞こえた。

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34323白魔術都市狂想曲 18フィーナ 2009/8/19 22:09:07
記事番号34231へのコメント

声がした部屋へ向かうと、二人の男女が言い争いをしていた。

「金がないってどういうことだフレデリカ!」

「あたくしにいわないでちょうだい!エリック!
兄様は金目のものは別の屋敷に移したっていってたんだから!」

「ならその屋敷の場所を教えろよ!」

「あたくしにも場所を教えてくれないから無理よ!」

目つきがきつい感じのする女性が、ヒステリックに喚く。

「ふん!おおかた愛人でも連れ込んでるんだろ!」

がん!

黒髪の、どこかで見たような気がする男は乱暴にテーブルを蹴った。

ホストクラブに潜入したときに、あたしが軽くのした男である。

「ちょっとエリック!あたくしのテーブルに何するのよ!」

「うるっせーな!それより何か食うものはねえのかよ!」

「なによ!そのいいかた!」

・・・・・・うーん。

マーシュ卿が同性に走った理由が、なんとなく分かった気がする。

こんな高飛車な妹がいたら、いろいろイヤになるぞ。

「この間俺がマーシュに成り済まして買った地鶏とかあるだろうが!」

「正規の方法で手に入りにくいものを、裏で密輸したことがばれたらどうするのよ!」

「そう簡単にわかりゃしねえよ!
怪しまれないようにわざわざ妹のお前を連れ、マーシュの名前で手に入れたんだからな!黙っているお前も共犯者さ」

どこぞの法律で『悪人は計画を一から十まで喋りたおさなければならない』ってのがあるんだろーか?

「そこまでよ!」

あたしは声を張り上げ二人の前に姿を見せた。

「あ!てめえリオ!」

あたしを認めてエリックが吠えた。

「女だったのか!」

「そーゆーこと。それとあたしはリオじゃなくてリナよ」

「胸がねえから女装した男かと思ったぜ!」

「・・・・・・んっふっふっふ」

あたしは低く笑い、据わりまくった目つきでびしい!とエリックを指差した。

「死亡グラフ確定!」

あたしの隣では、ガウリイがエリックに十字を切って合掌していたりする。

「誰よあんた!ここはあたくしの私有地よ!
あたくしの許可なく勝手に入るんじゃないわよ!」

「いつからあんたの私有地になったわけ?
ここはマーシュ卿の屋敷であってあんたの私有地ではないわ」

「兄様が留守を預かっている今は、妹であるあたくしの私有地よ!」

「あんたみたいなタカビー女に留守任せたら、男はあっというまに破産するわね」

「なんですってー!」

「知られた以上タダで帰れると思うな!」

「女のあたしに負けたあんたにいわれてもねー」

「あれは油断してただけだ!今度はそうはいかねえ!」

おっしそれじゃあ早速。
 ダム・ブラス
「振 動 弾 !」

ちゅごむ!

光球が天井の壁をふきとばした。

いまのはあたしがやったものではない。

「ほーっほっほっほっほ!」

「はーっはっはっは!」

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・えっと・・・・・・

この声って・・・・・・もしか・・・しなくても。

「だれだ!」

「あなたたちの悪事このわたしがたしかに聞いたわよ!」

天井から日がさして、逆光で見えにくいが相手は容易に想像がつく。

「そこにいないで降りてきなさいよ!」

フレデリカの声にこたえ、ナーガは

「ふっ!いわれなくても」

「師匠!」

「いくわよ!ヴラ」

「うっす!」

そいつらは天井から飛び降り・・・・・・

・・・・・・飛び・・・・・・

・・・・・・降り・・・・・・て・・・・・・

視界に飛び込んできたのは、いつもの変なかっこうして、なぜか蝶々の形をしたマスク仮面をつけたナーガと。

・・・・・・まあ・・・・・・

ナーガの服装は今に始まったことでもないし、ナーガだからいいのだが。

・・・・・・ヴラはというと・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・赤フンドシ一丁だけはマヂでやめろ。
 バースト・フレア
「 烈 火 球 !」



づどんむ!


                       バースト・フレア
天井から飛び降りたヴラに間髪いれず 烈 火 球 を叩き込む。

横にナーガもいたが、ナーガだから死にはしないだろう。

赤フンドシが一瞬ゆらめいてブレたようなきがした。

すべてをかき消す轟音が、部屋というか屋敷を襲った。







目にうつったモノを視界と記憶から抹消し、あさってのほうをむくあたし。

魔力障壁であたしには熱気しか伝わってこない。

ごぉぉぉぉっ!

建物は燃え盛り、青白い炎の舌が部屋を呑み込む。

・・・・・・勢いに任せ、呪文ぶっぱなしちゃったけど・・・・・・

まあ・・・・・・運がよければ生きてるだろう。

ごがらがらどしゃ!

「のひぃぃぃ!?」

「どわぁぁっ!?リナ無茶すんな!」

ナーガの悲鳴やガウリイの抗議の声が、聞こえたような気がしないでもないが。

・・・・・・気のせいである。

一瞬のうちに部屋にあったテーブルとか飾りとか、あっさりと溶かす。

マーシュ卿の屋敷を半壊させて、炎がおさまり。

「いきなりなにしやがる!」

一体いつの間に着替えたのか、暖色の明るい服を着たヴラが抗議の声をこちらに向ける。

傷一つついてなければ焦げ目もない。

「やっかましい!いったいなんなのよあれは!」

「師匠を見習って何が悪い!」

「アレのどこが見習ってるのよ!」

「師匠の真似をするなんて畏れ多いから、とりあえずフンドシにしただけだ!」

「なんでフンドシなのよ!」

「男といったらフンドシだろうが!」

ヴラはなに言ってるんだこいつといわんばかりに、力強く拳を握り主張した。

「・・・・・・オレはそうはおもわないんだが」

「あら?なかなかいいセンスだと思うんだけど」

ぼそりというガウリイに、ナーガはふぁさりと髪をかきあげそういった。

「あんたのファッション・センスなんてきいてない!」

ファッション・センスにいたってナーガが論外なのは、普段のこいつの服装を見ればわかるものである。

ヴラも何を間違ってナーガに弟子入りしたのか知らないが、こいつのセンスも疑わしい。

「ほーっほっほっほ!
なにはともあれ、密猟者と通じていたやつらはいなくなったわけだし、リナ=インバース!」

ナーガはこちらを指差して、

「今日こそあなたの不敗神話はこのサーペントのナーガがいただくわ!」

ナーガ・・・・・・すでに目的が変わっているぞ。

別にいいけど。

部屋を見渡すと、瓦解した屋敷の中。

フレデリカは、目を回して倒れている。

エリックは爆発に巻き込まれたのか、目に付く場所にはいないようだ。

ナーガの手段のためなら目的を選ばずな性格は、相変わらずなようである。

あたしは違う。

あたしの場合、人質もろとも合理的に吹っ飛ばしたり、ツッコミ代わりに呪文で相手を吹っ飛ばしたりしているだけである。

・・・・・・はたからみてみると、どっちも大して変わらないという説もあるが・・・・・・

気にしないことにしよう。

とりあえず、あたしはこういった。
           ボム・ディ・ウィン
「帰れおのれは 風 魔 咆 裂 弾 !」

ぶごぉぉう!

「ひぁ」

悲鳴さえもかき消して、暴風はナーガを崩れた天井から押し流す!

くけぇぇ

・・・・・・あ。

ナーガのやつ、ロック・バードにつかまれてわきゃわきゃいってる。

たぶんナーガを餌だと思ったんだろうなー。

・・・・・・食えないぞー。ナーガは。

食べたら腹壊す。

そうは思ったが、やはり人間自分が可愛いもの。

ロック・バードさん。

あたしはいい子です。

おねがいだから、ナーガをどこか遠いところに連れて行ってください。

ばっさばっさ

あたしの祈りが通じたのか、通りすがりのロック・バードはナーガを捕まえたまま羽ばたき。

あたしたちが見守る中。

くけぇぇぇ

一声鳴いて飛び立っていった。

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34324Re:白魔術都市狂想曲 18kou 2009/8/20 08:18:23
記事番号34323へのコメント

 どうも、フィーナさん。kouです。
>声がした部屋へ向かうと、二人の男女が言い争いをしていた。
 うわぁぁ修羅場だ。修羅場だvどろどろグログロ修羅場だvv
>「金がないってどういうことだフレデリカ!」
 そんなもん、屋敷を見ればわかるだろうが………。それに、使用人が少なすぎるだろうが………。
>「あたくしにいわないでちょうだい!エリック!
>兄様は金目のものは別の屋敷に移したっていってたんだから!」
 信じるなよ………。フレデリカ………。世間知らずの箱入り娘だな……。
 男を見る目も無いな
>「ならその屋敷の場所を教えろよ!」
 この男………どう見てもフレデリカを金づるとしか見ていないような気がしますな。
>「あたくしにも場所を教えてくれないから無理よ!」
 たぶんその屋敷は無いぞ
>目つきがきつい感じのする女性が、ヒステリックに喚く。
 女性のヒステリーほど迷惑な者は無いんだよなぁ。キンキン声でこちらの声が聞こえないぐらい叫ぶから、勘違いしても訂正の声すら聞こえていないんだ。自分の声で………
>黒髪の、どこかで見たような気がする男は乱暴にテーブルを蹴った。
>
>ホストクラブに潜入したときに、あたしが軽くのした男である。
 ああ、あの顔以外めためたにされた。割と丈夫だな。
>「ちょっとエリック!あたくしのテーブルに何するのよ!」
>「うるっせーな!それより何か食うものはねえのかよ!」
 何というか恋人同士の会話と言うよりも………悪党(三流の下)の会話といった感じだな
>「なによ!そのいいかた!」
>
>・・・・・・うーん。
>
>マーシュ卿が同性に走った理由が、なんとなく分かった気がする。
>
>こんな高飛車な妹がいたら、いろいろイヤになるぞ。
 同感ですなぁ。すぺしゃるの恐るべき未来のあの人(すみません名前忘れました)を思い出しますな。………っは!!まさか………あの人と同じくナーガの弟子になったりしないよな………。
>「この間俺がマーシュに成り済まして買った地鶏とかあるだろうが!」
 ああ、あんたらか。やっぱりねぇぇ
>「正規の方法で手に入りにくいものを、裏で密輸したことがばれたらどうするのよ!」
>
>「そう簡単にわかりゃしねえよ!
>怪しまれないようにわざわざ妹のお前を連れ、マーシュの名前で手に入れたんだからな!黙っているお前も共犯者さ」
 そう簡単にわかったぞ。と、言うかもしもドアの外で聞いている人間が居るかもと、考えないのか。普通こういう場合なら「大きい声をださないで」と、言った方が良いんじゃないのか
>どこぞの法律で『悪人は計画を一から十まで喋りたおさなければならない』ってのがあるんだろーか?
 まぁ、あえて言うなら小説や漫画なんかでこうしてくれた方が読者がわかりやすいと言う利点がありますしな。(それを言ったらおしまい)
>「あ!てめえリオ!」
>
>あたしを認めてエリックが吠えた。
>
>「女だったのか!」
>
>「そーゆーこと。それとあたしはリオじゃなくてリナよ」
>
>「胸がねえから女装した男かと思ったぜ!」
 あ、言っちゃった。い〜ちゃった。と、言うかリナと呼ばれたんだから『あの』リナ=インバースだと言うことに気づかないのかねぇ
>「・・・・・・んっふっふっふ」
>
>あたしは低く笑い、据わりまくった目つきでびしい!とエリックを指差した。
>
>「死亡グラフ確定!」
>
>あたしの隣では、ガウリイがエリックに十字を切って合掌していたりする。
 さすがに同情しますか………
>「誰よあんた!ここはあたくしの私有地よ!
>あたくしの許可なく勝手に入るんじゃないわよ!」
>
>「いつからあんたの私有地になったわけ?
>ここはマーシュ卿の屋敷であってあんたの私有地ではないわ」
 で、そのマーシュ郷の許可はあるのか?と、突っ込むのは野暮という者である。ちゃんと使用人に案内されて来たしねぇ
>「兄様が留守を預かっている今は、妹であるあたくしの私有地よ!」
>
>「あんたみたいなタカビー女に留守任せたら、男はあっというまに破産するわね」
 同感ですね。
>「なんですってー!」
 人間事実を言われると怒るからな
>「知られた以上タダで帰れると思うな!」
 そういうあんたは、リナに胸なしと言って生きていられると思うな
>「女のあたしに負けたあんたにいわれてもねー」
>
>「あれは油断してただけだ!今度はそうはいかねえ!」
あんたあの時リナは手加減していたぞ
>おっしそれじゃあ早速。
> ダム・ブラス
>「振 動 弾 !」
>光球が天井の壁をふきとばした。
 お〜い。リナ………マーシュ郷は貧乏………じゃ無かった金巡りが悪いんですよ
>いまのはあたしがやったものではない。
 あ、失礼しました。
>「ほーっほっほっほっほ!」
 あ、出た
>「はーっはっはっは!」
 キー○かお前は
>・・・・・・・・・・・・
>
>・・・・・・えっと・・・・・・
>
>この声って・・・・・・もしか・・・しなくても。
>
>「だれだ!」
 答え 人間の恥、もしくは人類最大にして最凶の生命体と謎の青年
>「あなたたちの悪事このわたしがたしかに聞いたわよ!」
 リナ達も聞いて居るぞ……。
>天井から日がさして、逆光で見えにくいが相手は容易に想像がつく。
>
>「そこにいないで降りてきなさいよ!」
>
>フレデリカの声にこたえ、ナーガは
 あ、やっぱりナーガだv
>「ふっ!いわれなくても」
>
>「師匠!」
>
>「いくわよ!ヴラ」
>
>「うっす!」
>
>そいつらは天井から飛び降り・・・・・・
>
>・・・・・・飛び・・・・・・
>
>・・・・・・降り・・・・・・て・・・・・・
 @こけたA頭から床にめり込んだB着地場所を間違えた
>視界に飛び込んできたのは、いつもの変なかっこうして、なぜか蝶々の形をしたマスク仮面をつけたナーガと。
 アメリアが居たらそうする気なのね。う〜ん、ちょっと残念vv
>・・・・・・まあ・・・・・・
>
>ナーガの服装は今に始まったことでもないし、ナーガだからいいのだが。
 いつものことだしねぇ。
>・・・・・・ヴラはというと・・・・・・
>
>・・・・・・・・・・・・・・・・・・
>
>・・・・・・赤フンドシ一丁だけはマヂでやめろ。
 犯罪者か!! と、言うか今まで良くもまぁ逮捕されなかったな。風紀の問題で逮捕されても納得だぞ。
> バースト・フレア
>「 烈 火 球 !」
>
>
>
>づどんむ!
>
>
>                       バースト・フレア
>天井から飛び降りたヴラに間髪いれず 烈 火 球 を叩き込む。
 無理もないというかそれはアメリアじゃなくても正義と言う人がいる気がする。
>横にナーガもいたが、ナーガだから死にはしないだろう。
>
>赤フンドシが一瞬ゆらめいてブレたようなきがした。
 そんなものよく見ていましたね。
>すべてをかき消す轟音が、部屋というか屋敷を襲った。
 お〜い。屋敷修理費とかでさらに貧乏になるぞ……。まぁ、気持ちは理解できるけれどねぇ。
>目にうつったモノを視界と記憶から抹消し、あさってのほうをむくあたし。
>
>魔力障壁であたしには熱気しか伝わってこない。
>
>ごぉぉぉぉっ!
>
>建物は燃え盛り、青白い炎の舌が部屋を呑み込む。
>
>・・・・・・勢いに任せ、呪文ぶっぱなしちゃったけど・・・・・・
>
>まあ・・・・・・運がよければ生きてるだろう。
>
>ごがらがらどしゃ!
>
>「のひぃぃぃ!?」
>
>「どわぁぁっ!?リナ無茶すんな!」
>
>ナーガの悲鳴やガウリイの抗議の声が、聞こえたような気がしないでもないが。
>
>・・・・・・気のせいである。
>
>一瞬のうちに部屋にあったテーブルとか飾りとか、あっさりと溶かす。
>
>マーシュ卿の屋敷を半壊させて、炎がおさまり。
>
>「いきなりなにしやがる!」
>
>一体いつの間に着替えたのか、暖色の明るい服を着たヴラが抗議の声をこちらに向ける。
 本当に………ん?そもそもナーガを尊敬するとはまさかこいつ人外じゃぁ?
 だってメフィもナーガを尊敬していたしね。
>
>傷一つついてなければ焦げ目もない。
>
>「やっかましい!いったいなんなのよあれは!」
>
>「師匠を見習って何が悪い!」
>
>「アレのどこが見習ってるのよ!」
>
>「師匠の真似をするなんて畏れ多いから、とりあえずフンドシにしただけだ!」
 ………服をまねたら○ース二号と言うあだ名をつけるぞ
>「なんでフンドシなのよ!」
>
>「男といったらフンドシだろうが!」
 どういう理屈だ………女のわたしには理解ができん
>ヴラはなに言ってるんだこいつといわんばかりに、力強く拳を握り主張した。
 なんの主張だ。
>「・・・・・・オレはそうはおもわないんだが」
 思ったら最後リナは逃げると思う
>「あら?なかなかいいセンスだと思うんだけど」
>
>ぼそりというガウリイに、ナーガはふぁさりと髪をかきあげそういった。
>
>「あんたのファッション・センスなんてきいてない!」
>
>ファッション・センスにいたってナーガが論外なのは、普段のこいつの服装を見ればわかるものである。
 まぁ、ポリシーはちゃんともって居るみたいだけどね。それに母親の形見らしいし………。
>ヴラも何を間違ってナーガに弟子入りしたのか知らないが、こいつのセンスも疑わしい。
 同感ですねぇ。竜族のギャグのセンスと同じぐらい理解不能?
>「ほーっほっほっほ!
>なにはともあれ、密猟者と通じていたやつらはいなくなったわけだし、リナ=インバース!」
 居なくなったというかもう骨すらのこさず消えたんじゃ………
>ナーガはこちらを指差して、
>
>「今日こそあなたの不敗神話はこのサーペントのナーガがいただくわ!」
>
>ナーガ・・・・・・すでに目的が変わっているぞ。
 魔王に買ったリナに勝てるかよ
>別にいいけど。
 まぁ、ナーガだからねぇ
>部屋を見渡すと、瓦解した屋敷の中。
>
>フレデリカは、目を回して倒れている。
 あ、生きていた。
>エリックは爆発に巻き込まれたのか、目に付く場所にはいないようだ。
 もしくは逃げたとか
>ナーガの手段のためなら目的を選ばずな性格は、相変わらずなようである。
>
>あたしは違う。
>
>あたしの場合、人質もろとも合理的に吹っ飛ばしたり、ツッコミ代わりに呪文で相手を吹っ飛ばしたりしているだけである。
 どっちにしろ迷惑だと思います。
>・・・・・・はたからみてみると、どっちも大して変わらないという説もあるが・・・・・・
>ナーガのやつ、ロック・バードにつかまれてわきゃわきゃいってる。
>
>たぶんナーガを餌だと思ったんだろうなー。
>
>・・・・・・食えないぞー。ナーガは。
 たしかに、煮ても焼いても食えないと言いますものね。
>食べたら腹壊す。
>
>そうは思ったが、やはり人間自分が可愛いもの。
>
>ロック・バードさん。
>
>あたしはいい子です。
>
>おねがいだから、ナーガをどこか遠いところに連れて行ってください。
>
>ばっさばっさ
>
>あたしの祈りが通じたのか、通りすがりのロック・バードはナーガを捕まえたまま羽ばたき。
>
>あたしたちが見守る中。
>
>くけぇぇぇ
>
>一声鳴いて飛び立っていった。
 フィーナさんナーガの再登場の希望を聞いてくださりありがとうございます。感謝します。
 ラヴ………まぁほっといても再登場すると思っていたけれど………そういう登場するとは予想の斜め回転上でした。
 あんたのお母さん……いるかいないか死んでいるか死んでいないかは別として泣いてるぞ。

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34327Re:白魔術都市狂想曲 18フィーナ 2009/8/21 19:05:38
記事番号34324へのコメント


> どうも、フィーナさん。kouです。
kouさんどうも。
>>声がした部屋へ向かうと、二人の男女が言い争いをしていた。
> うわぁぁ修羅場だ。修羅場だvどろどろグログロ修羅場だvv
火曜サスペンスみたいな。
>>「金がないってどういうことだフレデリカ!」
> そんなもん、屋敷を見ればわかるだろうが………。それに、使用人が少なすぎるだろうが………。
子悪党ですから、他人のことなんかお構いなし。
>>「あたくしにいわないでちょうだい!エリック!
>>兄様は金目のものは別の屋敷に移したっていってたんだから!」
> 男を見る目も無いな
マーシュ卿は妹と違って……ありますが、この人も昔はいろいろしていましたから。
>>「ならその屋敷の場所を教えろよ!」
> この男………どう見てもフレデリカを金づるとしか見ていないような気がしますな。
ご名答です。金づると、都合のいい女。
>>こんな高飛車な妹がいたら、いろいろイヤになるぞ。
> 同感ですなぁ。すぺしゃるの恐るべき未来のあの人(すみません名前忘れました)を思い出しますな。………っは!!まさか………あの人と同じくナーガの弟子になったりしないよな………。
そこまで非常識ではないですから。
> そう簡単にわかったぞ。と、言うかもしもドアの外で聞いている人間が居るかもと、考えないのか。普通こういう場合なら「大きい声をださないで」と、言った方が良いんじゃないのか
使用人二人しかいないし、勝手には入ってこないので大声で言っているんです。
>>どこぞの法律で『悪人は計画を一から十まで喋りたおさなければならない』ってのがあるんだろーか?
> まぁ、あえて言うなら小説や漫画なんかでこうしてくれた方が読者がわかりやすいと言う利点がありますしな。(それを言ったらおしまい)
ミもフタもないことが、スレイヤーズの中では多く語られています。
>>「胸がねえから女装した男かと思ったぜ!」
> あ、言っちゃった。い〜ちゃった。と、言うかリナと呼ばれたんだから『あの』リナ=インバースだと言うことに気づかないのかねぇ
頭に血が上っているんで、そこまできがつかなかったようです。
>>あたしの隣では、ガウリイがエリックに十字を切って合掌していたりする。
> さすがに同情しますか………
避けては通れぬ道ですから。
>>「ほーっほっほっほっほ!」
> あ、出た
出ました。出しちゃいました。
>>「そこにいないで降りてきなさいよ!」
>>フレデリカの声にこたえ、ナーガは
> あ、やっぱりナーガだv
ナーガです。
>>「ふっ!いわれなくても」
>>「師匠!」
>>「いくわよ!ヴラ」
>>「うっす!」
>>そいつらは天井から飛び降り・・・・・・
>>・・・・・・飛び・・・・・・
>>・・・・・・降り・・・・・・て・・・・・・
> @こけたA頭から床にめり込んだB着地場所を間違えた
正解は
Cヴラの変態ファッションに言葉を失った。
>>視界に飛び込んできたのは、いつもの変なかっこうして、なぜか蝶々の形をしたマスク仮面をつけたナーガと。
> アメリアが居たらそうする気なのね。う〜ん、ちょっと残念vv
まあ……さすがに対面させても話がややこしくなるのがひしひしとしたんで、アメリアとはニアミス。
>>・・・・・・ヴラはというと・・・・・・
>>・・・・・・・・・・・・・・・・・・
>>・・・・・・赤フンドシ一丁だけはマヂでやめろ。
> 犯罪者か!! と、言うか今まで良くもまぁ逮捕されなかったな。風紀の問題で逮捕されても納得だぞ。
インパクトある登場シーンにしたかったんです。
……その方向性がとことん間違っていたとしても。
>>天井から飛び降りたヴラに間髪いれず 烈 火 球 を叩き込む。
> 無理もないというかそれはアメリアじゃなくても正義と言う人がいる気がする。
ごめんヴラ。ここまでヨゴレになるとはおもわんかった。
>>すべてをかき消す轟音が、部屋というか屋敷を襲った。
> お〜い。屋敷修理費とかでさらに貧乏になるぞ……。まぁ、気持ちは理解できるけれどねぇ。
貧乏といいますか……仮にも貴族の端くれなので……
>>「いきなりなにしやがる!」
>>一体いつの間に着替えたのか、暖色の明るい服を着たヴラが抗議の声をこちらに向ける。
> 本当に………ん?そもそもナーガを尊敬するとはまさかこいつ人外じゃぁ?
> だってメフィもナーガを尊敬していたしね。
人間でもナーガを尊敬している人はいますよ?
……『打倒勇者さま』にでてきた……
>>「男といったらフンドシだろうが!」
> どういう理屈だ………女のわたしには理解ができん
>>ヴラはなに言ってるんだこいつといわんばかりに、力強く拳を握り主張した。
> なんの主張だ。
偏った男(?)の主張です。
>>「・・・・・・オレはそうはおもわないんだが」
> 思ったら最後リナは逃げると思う
攻撃呪文のオマケつきで。
>>ヴラも何を間違ってナーガに弟子入りしたのか知らないが、こいつのセンスも疑わしい。
> 同感ですねぇ。竜族のギャグのセンスと同じぐらい理解不能?
ヴラはごーいんぐ・まいうぇい。
>>フレデリカは、目を回して倒れている。
> あ、生きていた。
ギャグで死なせたら後味悪いですから。
>>エリックは爆発に巻き込まれたのか、目に付く場所にはいないようだ。
> もしくは逃げたとか
逃げました。
>>あたしの場合、人質もろとも合理的に吹っ飛ばしたり、ツッコミ代わりに呪文で相手を吹っ飛ばしたりしているだけである。
> どっちにしろ迷惑だと思います。
自覚はしていますが、反省はしていません。
> フィーナさんナーガの再登場の希望を聞いてくださりありがとうございます。感謝します。
> ラヴ………まぁほっといても再登場すると思っていたけれど………そういう登場するとは予想の斜め回転上でした。
とにかくインパクトをと。ヴラはこの先も出張るので。
> あんたのお母さん……いるかいないか死んでいるか死んでいないかは別として泣いてるぞ。
お母さんはいるようないないような。
泣いてはいません。腹抱えて笑ってます。
さてさて、ギャグとシリアス混ぜるな危険。
またお会いしましょう。

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34329白魔術都市狂想曲 19フィーナ 2009/8/21 21:46:49
記事番号34231へのコメント


「・・・・・・それで、この有様というわけか?」

「ええそうなんですぅ」

得意のぶりっ子で、かわいらしく舌を出す。

「屋敷をここまで壊して?」

「正当防衛だったんですぅ。ゆるして?てへっ♪」

マーシュ卿の射抜くような視線があたしに注がれる。

「リナ・・・・・・誠意がないように見えるわよ」

アメリアの呆れたような声に、あたしはぽりぽり頬をかく。

やっぱ無理があったか。

あの後。

見事に半壊した屋敷を出て、何事かと集まってくるギャラリーたちをおしのけて。

ナーガと入れ違うように現れたアメリアと、彼女のおつきであるだろう数人の兵士が付き添いで同行してきた。

少し遅れてやってきたマーシュ卿に、はしょって説明したあとのこと。

その場に伸びていたフレデリカは、少しは頭を冷やして反省しろ。と、マーシュ卿の手によって役人に突き出された。

エリックの姿は屋敷内では見当たらなかった。

術で吹っ飛んだか。

あるいは、間一髪逃れたのか分からないが。

「・・・・・・幸い使用人たちに怪我がなかったからよかったものの、下手したらどうなっていたか分かっているのか」

使用人たちに怪我はなかったが、マーシュ卿が念のためといって、二人とも最寄りの魔法医のところへ担ぎ込まれた。

その口調は怒鳴り散らすでもなく淡々としており、彼の怒りの深さを表しているかのようだった。

「アメリア姫の顔に免じて、これ以上は言わないが。
破壊した代金分はきっちりと働いてもらうからな・・・・・・『リオ』?」

やっぱ気づいてたか。

あたしが男装していたときも、カツラはあたしの髪と同じ色のものを使用していたから、バレていたとしても不思議じゃない。

「いっておくが、最低限のぶんしか払わんぞ。
そこまで余裕があるわけでもないし、他のホストに示しがつかん」

「まあ・・・・・・それぐらいなら」

タダ働きでないだけ、ラッキーといえるかも。

「なあ、それって俺にもいってんの?」

この会話を聞いていたヴラが、マーシュ卿に問いかける。

「当たり前だ。当事者なんだからな」

「・・・・・・ふむ」

ヴラは、あごに手をかけて。

「もしかしたら、探してるやつもそこにいるかもしんねぇし、面白そうだしやってみっか」

なんともお気楽なやつというか。大雑把というべきか。

「そういやヴラ」

「んあ?」

「あんた最初観光と視察って言ってたけど、どういう人探してんのよ」

「なんつうか・・・・・・同僚の部下だった女で、生きてたら日ごろの愚痴でも聞いてもらおうかと思ってよ」

・・・・・・愚痴って・・・・・・

おっさんか?あんた。

「生きてたら?」

とアメリア。

「んー。少し昔にあった戦争で、その同僚とも連絡が取れなくなってな」

懐かしそうに、少し遠い目をするヴラ。

「俺が探してるやつは、俺の顔を見るなりダッシュで逃げ出すか、俺をどついて逃走しようとするほどに会いたがらないだろうが」

「どんだけ嫌われてるんだ?」

「さあな」

ガウリイの問いに、ヴラは笑顔でいった。

「でもまあ。逃げれば逃げるほど追っかけまわしたくなる」

・・・・・・そのなかに、嫌がる女の子に意地悪をする悪ガキのようなものがあるのを隠そうとせず。

相手の女の人・・・・・・難儀な。







聖王都とうたわれるセイルーンでも、大都市に見合った優雅な面と。

うらびれた町並みというものは存在する。

お世辞にも綺麗とはいえない寂れた裏路地に、黒髪の男は悪態をつきながら歩いていた。

「ちきしょう!ちきしょうちきしょうちきしょう!」

がこん!

傍に転がっていたタルを蹴飛ばす。

「ちきしょう!なんなんだよあの女!
人が下手に出てりゃ、つけあがりやがって!
今度あったら一緒にいた男の前で、いいようにもてあそんでやる!」

安全な場所に出ると、とたん強気な態度にでる。

怒りに目の先が歪み、男はさらに苛立った。

「―――力が欲しいのかイ?」

自分にかけられた声だと気づくのに、数瞬の時間がかかった。

「だれだ!?」

今まで、そこには誰もいなかったはずなのに、男の目の前には一人の少年がいた。

年は十二かそこらだろう。

短くまとめた銀髪に、猫を思わせるつり目の美少年だった。

細められたアイス・ブルーの瞳は、ほかならぬ男―――エリックに向けられている。

「キミは力を求めていると思ったんだけド、違うのかイ?」

「なんだ?宗教の勧誘なら他を当たるんだな。
俺は今、虫の居所が悪いんだ。さっさと立ち去れ!」

「怖いのかイ?」

あざ笑うかのような声色に、エリックは少年に掴みかかろうとした。

目の前に出された漆黒の―――杖。

「これを手に取れば力が手に入るヨ。
キミはこのまま負け犬のように地べたを這いずり回るのかナ?見返してやりたいんだろウ?」

先ほどの怒りが嘘かのように消えうせ、浮かぶのは湧き起こる恐怖と―――好奇心にも似た期待。

これを手に取れば本当に力が?

「騙されたと思って手にとってみなヨ」

心を読んだかのような少年のセリフに、恐怖よりも好奇心の天秤が勝った。

恐怖を気のせいだと思い込み、手を伸ばす。

・・・・・・少年の顔が嘲笑するかのように小さく歪んだのを、男が気づくことはなかった。

もしエリックがこのことに気づいていれば・・・・・・あるいは・・・・・・

―――彼はその杖に手をかけた。

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34336白魔術都市狂想曲 20フィーナ 2009/8/23 19:02:58
記事番号34231へのコメント


あれから二日がたち、今日も今日とてあたしはホストとして働いている。

アメリアはというと、リオとしてのあたしを気に入ったらしく。

何を思ったのか、『リオ君親衛隊』なるものを結成し、その親衛隊長なる地位を確立させた。

とはいっても、やってることはスケジュール管理などでマネージャーみたいなもんである。

・・・・・・仕事の合間を縫ってンなことすんなよ。

とはいえ、アメリアはああみえて王族であり巫女頭も勤めている。

毎日通いつめるわけにはいかなく、ガウリイはアメリアが抜け出さないように彼女についている。

というのも、昨日危うくガウリイがあたしの事をリオではなく、本名であるリナと言ってしまったのだ。

あたしの双子の妹と間違えたといって、その場はなんとかごまかしたけど。

ホストの仕事が終わった後、ガウリイを張り倒したのはいうまでもない。

ガウリイの勘は非常識だし、アメリアも仕事を放り出すわけでもないのだから心配はしていないが・・・・・・

「リオ君?どうしたの?ぼんやりして」

声に我にかえると、あたしをよく指名してくれるリーリアと。

そして、ヴラ。

「ん?・・・・・・ああいや」

あたしは、彼女の髪の一房を手に取る。

「リ・・・リオ君?」

「君のことを考えて、物思いにふけってしまった」

「え?」

お酒が回っているのか、わずかに顔を赤くする彼女。

あたしのホストテクニックは、日ごろ鍛えた話術の応用と、最低限しか相手に触れないボディータッチ。

女性っていうのは、知らない相手や気を許していない相手にむやみに触られるのを嫌がる傾向がある。

・・・・・・まあ、なかには顔で選んで遊びたいという軽い女や、むやみに露出が多く風俗嬢と間違えられる奴もいるが・・・・・・

あたしかて女であり、旅先でむやみに触ろうというすけべぇ兄ちゃんやエロ親父にはそれ相応のお仕置きというか制裁を加えたりしている。

「んもう!リオ君ったら口がうまいんだから」

そういってリーリアは、ロゼワインの年代ものを注文した。

この人けっこー飲んでるはずなのに、いまだつぶれる気配がない。

「お礼に私が聞いた面白い話しを教えてあげる。リオ君だけよ?」

「お嬢さん。俺もいるって」

ヴラが、揺らめくワインを片手で揺らしながら言うと、彼女はいたずらっぽく笑った。

とても十代後半とはおもえない、妖艶な笑みだった。

・・・・・・こいつもけっこー飲んでるはずなんだけど。

「あら。ごめんなさい」

「面白い話って、もしかしてギャグか?」

身を乗り出しいうヴラに、リーリアはにっこり笑った。

「よくわかったわね?」

「まあな」

彼にしては珍しく、ヴラはあいまいに笑った。

「他の子達に話したら『もうなにもいうな!』って止められちゃうくらい面白いやつよ?」

「他の子?」

あたしが聞き返すと、彼女は得意げにこういった。

「リオ君とはじめてあったときにいた人間の友達よ。
なぜかほとんどの子が、その話を聞いた後、数日風邪で寝込んだみたいだけど」

酔いが回ってきたのか、楽しそうにはなすリーリア。

どうやら笑い上戸らしい。

「俺は遠慮しとく。リオとの仲を邪魔するほど無粋じゃねぇし、他のところにいってくる」

まるで逃げるようにして、ヴラはそそくさと立ち上がり去っていった。







・・・・・・聞かなきゃよかった。

泥のような後悔の中、あたしは突っ伏したままそう思った。

スベりまくった『それ』を、うかつにも聞いてしまったらしく、近くの席にいたホストや女性客たちは、微動だにせず凍り付いてしまっている。

精神力を根こそぎ吸い取られたかのような疲労をかんじるあたしとは対照的に、にこにこ笑いながらお酒を飲んでいるリーリア。

「・・・・・・ね?面白かったでしょ♪」

どこがじゃぁぁぁっ!

ちからの限り叫びだしたいのに、その気力さえも奪われている。

あたしはようやく理解した。

どうしてヴラが、逃げるようにして離れたのか。

彼女の友達が寝込んだのも、風邪ではなく・・・・・・

このブリザードのようにクソ寒いギャグを聞いてしまったからなのだと。

「私のギャグも、まだ捨てたものじゃないわね♪
皆立っていられないほど、私のギャグにウケてくれるだなんて」

違う。

それは、絶対にはげしく違う。

口に出せないほどの精神的なダメージをおったあたしは、心の中で力いっぱい否定したのだった。

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34342白魔術都市狂想曲 21フィーナ 2009/8/24 17:42:17
記事番号34231へのコメント

すずめの涙にしかならないような給料をもらい、オーナーの今日の訓辞を聞いて各自解散となったときである。

「オーナー。ちょっといいっすか?」

各々思い思い帰り支度を始め、まばらになりはじめたのを見計らったように、一人のホストがオーナーに声をかけた。

「いちおー報告しておくっすけど。
オーナーにいわれ、エリックの足取りを調べてるんすけど。
調べていく中で分かったことは、オーナーの妹さんとエリックの仲は醒めていたらしいっす。
金が多くないことを知ったあいつは、もうあのお嬢さんから遠ざかろうとしていたらしいっす」

「それで店内でも堂々とコナかけようとしていたわけか」

眼鏡をかけなおし、彼は手元の手帳にめをやる。

わずかに表情が険しくなった。

「お疲れ。よく調べてくれた。
あまり無茶せずに引き続き調べてくれ。あいつが店の資金を持ち逃げしている可能性がある」

手帳から目を離さず、硬い声で言う。

他のホストたちは聞こえなかったらしく、部屋から出て行く。

あたしの、性能がいい耳だからこそ聞こえたのかもしれない。

あいつフレデリカだけでなく、店でもンなことしてたのか!?

・・・・・・つくづく見下げたやつである。

お疲れー。といって、去っていくホストたち。

「・・・・・・オーナー」

「なんだ?カイル」

ここにいるのは、帰り支度を終えて、部屋から出ようとドアノブに手をかけたあたしと。

経営の状態を示した手帳を片手に目を通しているオーナー。

そして、カイルと呼ばれているホスト。

「今日じかん空いてますか?」

オーナーは、手帳から目を離し、

「・・・・・・空いているも何も、俺を含めお前のところに使用人を押し付けてしまってすまないと思っている」

「いいんっすよ。それは。
親も旅行に出てて都合もよかったし、俺があんたの頼みを断るわけがないじゃないっすか」

「じゃあなんだカイル」

「今晩オーナーんとこいってもいいっすか?」

裏に含まれるものを感じ取り、彼は怪訝そうに、

「それは構わんが・・・・・・どうしたんだ?」

「なにがっすか」

「お前、そんなに押しが強かったか?」

「意外っすか」

「まあな。以前のお前なら、親に言われたらそれに従ってばかりだったから」

どうでもいいが、あたしがいるってことわかってるんだろーか。

趣味は人それぞれなんで、とやかく言うつもりもないし。

それをつついて、いらぬとばっちりをくらうのもご免である。

・・・・・・まあ、からかいがいのある相手なら別かもしんないけど。

「やっぱオーナー変わったっすね」

「そうか」

「以前なら好みの子を、手段を問わず手に入れてたのに、今は合意の上でしかしないし」

手段をとわずって、どうゆー・・・・・・

いや・・・・・・深くは考えまい。

「若気の至りってやつだ。
それに、もろにストライク・ゾーンなやつには・・・・・・な」

なんか、これ以上聞いてると生々しい話が飛び交う気がする。

ぜったいする。

「おつかれさまです!」

ばたむ!

確信めいた予感に従い、一声かけてドアを閉め。

「おつかれー」

返ってきた返事を待たずに。

逃げるように部屋を出て、耳をふさいでシャットダウン!

店を出て、夜の街頭を全速力でダッシュ!

あたしのこの英断は正しかった。

部屋で繰り広げられていた会話は・・・・・・










































リオ・・・・・・いや、リナの慌てふためく様子を面白そうにしていたカイルは、笑いをこらえるのに必死だった。

「くくっ!見ましたかオーナー!
いやー!初々しい反応でしたねーっ!やっぱ女の子には刺激が強すぎたみたいっすね」

「あいつが女だとわかっててからかうお前も、相当なものだと思うが」

どこか呆れた様子のマーシュに、彼は目じりに浮かんだ涙をぬぐい、

「黙ってるほうが悪いんすよ!
事情あって男装しているからバレるまで他のやつにいわないっすけど、知らない振りしてるのけっこー疲れるんすよ!?」

「それはわかってる。お前や俺以外でも気づいてるホストはいるだろうが、連中に口止めしていなければどうなるかわかるだろう?
屋敷には保険をかけていたってことを聞かれていないから黙っているが、正直それだけでは維持費だけで終わってしまう・・・・・・リオには悪いが、もうしばらく稼いでもらわなければ割に合わん」

「やっぱ怒ってるんすか?屋敷壊されたこと」

「人が留守にしている間、家を壊されて冷静でいろというのが無理な話だ。
壊れた以上は、どういったって直るものでもない。もう怒ってはいないが、立て直すまでは許さない」

カイルは興味が出たように身を乗り出した。

「オーナーが買った子の、わかれる際に言われたセリフの応用っすね」

「ポイズン・ダガーから買ったのは一度だけだ。
昔の組織が壊滅して数年たち、伯爵のパーティーに招かれた際に再会してな。
向こうは俺を覚えていなかったが、理由をつけて誘い出し、あとは弟を盾にして迫った」

「やーい。人でなし」

「否定はしない。俺もひねくれてたからな」

「いまもひねくれてるくせに」

「文句ならベッドの中で聞こう」

「親も旅行に出かけてていないし、いいっすよ。
あ、でも使用人はいるからお手柔らかに頼んます」

そういって、カイルはふと気づいたように。

「その子ってセイルーン出身っすよね」

「今は神殿からの要請で、ここにはいないがな」

「別れたのに詳しいっすね」

「別れたとは思っていない。向こうに恋人がいるなら身を引くが」

「オーナーは、略奪とかはしないんすよねー」

「他のやつから奪っても、それは一時的なものに過ぎないからな。
それに、想いあっている奴らからちょっかいかけるほど、落ちぶれていない」

「オーナーかっこいい。惚れ直したっす」

「俺好みのやつをそう簡単に手放すと思うか?
それに遠目からみてみたが、歳月が経ってますます食いごたえ・・・・・・いい感じに熟してきたし」

「オーナーああゆうタイプ好みっすよね。
恋人がいなかったら、やっぱ考えるより早く持ち帰って食べちゃいますか」

「いや」

かぶりをふって、彼はきっぱり、

「持ち帰らずに、その場で食べる」






同時刻。

とある神殿の治療室にて。

「のわひぃぃっ!?」

ぶつぶつぶつぶつ

悪寒と共に鳥肌が立ち、彼は弟の治療を中断して悲鳴を上げた。

「なんだ!?どうしたんだ兄貴!」

治療を受けていた彼の弟は、怪訝に思い兄の顔を振り仰ぐ。

治療室には、彼と兄の二人しかいない。

・・・・・・いや。

正確に言うなら、兄の補佐をしているコピー・ホムンクルスが傍にたたずんでいて三人。

「な・・・・・・なななななんでもありませんよっ!?
たたただ、かか風邪でも引いたのか悪寒が走っただけです!」

がちがち歯を鳴らし、答える兄に弟は不思議そうに首をかしげた。

「けどよー兄貴。仮にも兄貴は神官なんだから、自己管理しておかないと駄目なんじゃねぇの?魔道士のおれがいうのもどうかと思うが」

「あなたは研究に打ち込むと、周りが見えなくなりますからね。
睡眠もきちんととっておかないと倒れますよ。とりあえず、あなたの精神に巣くっていた低級魔族の意識は何とか抑えることが出来ましたが、分の悪い確立でしたよ」

「もうおれ大丈夫なのか?」

身を起こす弟に、彼はそれを押しとどめる。

「抑えただけです。それだけでけっこー時間がかかってしまいましたが、動き回れるのは、まだ先のことです」

「もう破壊衝動に突き動かされることはないんだな?」

レッサー・デーモンやブラス・デーモンなどの低級魔族と呼ばれる存在にも、魔族がもつ破壊衝動というものがある。

力のある魔道士が召喚したものは、呼び出した術者のコントロールによって抑えられているが、なんらかの理由で術者のコントロールを失った場合、魔族が持つ本能のまま野良デーモンとかして近隣に破壊行動を行う。

「以前のように気を抜くと再発する可能性は低くなりましたが、怒ったり感情を爆発させると、また表面に出てきてあなたの精神を乗っ取ろうとしますよ」

兄の言葉を聞いて、彼はがくりとうなだれる。

「自由のみはまだ先ってか。エミリアのやつ待っててくれるかな」

「見舞いにきたときに、エミリアさんに告白されたんですよね。
しかも俺や他の神官たちがいる目の前で。あれには俺も反応に困りましたよ」

「そういやさ、兄貴」

微笑を浮かべていう兄に、彼は自分の劣勢を感じ話題を変えることにした。

こころもち顔が赤くなっているのは、治療室に灯された明かりのせいだと自分に言い聞かせ。

「なんです?」

「いろいろごたついてたから聞けなかったんだけど、兄貴って今彼女いんの?」

「いませんよ彼女なんて。それにあなたの治療もありますし、かまけるわけにはいかないでしょう?」

「ふーん。彼女『は』いないんだ」

強調されている部分に兄は気づかず、弟に問いかける。

「どうしてそんなことを聞くんですか?」

いつもなら研究が出来ない今、研究内容のことについて日が暮れるまで話す弟なのに。

それとも、彼女との惚気を聞かせたいんでしょうか。

彼はそう思いながら、弟の次の言葉を待った。

・・・・・・まさかこのあと、爆弾を投げ込まれるとは思わずに。

「兄貴って『あの』リナ=インバースに玉砕したんだろ?」

ごふっ!

古傷をえぐられ、悪意なくいった弟のセリフに彼は噴出し床に突っ伏した。

「なんでもそのときまでは、立ち去るまでいわずにいようと決めていた兄貴だったんだけど。
連れの剣士に無理やり酒を飲まされて酔って、感情を制御できずそのせいで決意も水泡に帰したんだよな」

「ちょちょ・・・ちょっと・・・・・・!
なんでそのことあなたが知って・・・・・・っ!?」

動揺しまくる彼の兄に気分をよくして、彼の弟は言葉を続ける。

「手ひどくふられたところを、兄貴に想いを寄せる相手が慰めて恋人になったって」

「誰ですか!その話の首謀者は!」

否定せずに怒る兄に、彼は兄のからかいポイントを見つけ出して内心喜んだ。

取り乱す兄を見ながら、彼はそれらの名前を口にした。

それはもう、嬉しそうに。

彼にとってもそうだが、兄にとっても苦手意識の強い二人の名を。

「オリヴァーと評議長」

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34352白魔術都市狂想曲 22フィーナ 2009/8/25 21:07:44
記事番号34231へのコメント

「あれー?リオ君だー」

夜の通りにぽつぽつと明かりが灯された町並みに、淡い金髪の光が照らし出される。

「リーリア?」

「やっぱりリオ君だ。お仕事終わったの?」

「ああ」

「そっか。お疲れ様ー」

彼女は屈託なく笑い、こちらに寄ってくる。

あたしは声のトーンををおさえ、

「こんな遅く、女一人でいるのは危ないだろ?
それに酔っ払ってるところを襲われたらどうするんだ」

彼女かなり飲んでいたのだ。

しかもかなりの美少女に当たる。

これじゃあ、どうか襲ってくださいって言ってるようなものである。

「わーリオ君やさしー♪」

「泊まってる場所まで送る。場所はどのへんだ?」

知らない仲でもないし、ここで見捨てて襲われたら寝覚めが悪くてそういうと、彼女はパタパタ手を振った。

「だいじょーぶよ〜♪私酔ってないから」

「そういうやつほど酔っ払ってるんだ」

「私こう見えて強いから、ほんとーに平気だってばー」

だめだこりゃ。

完全に酔っ払ってる。

「だいたいおれと同い年くらいの、うら若い女の子なんだからアルコールは控えろよ」

「私はぴっちぴちな三百歳でーす♪」

「はいはい。酔っ払いはとっとと宿屋いって寝ろよ」

「一緒に寝てくれるのー?リオ君のえっちぃ♪」

とりあえず、近くの宿屋に彼女を連れて行こうとしても、彼女は動こうとしない。

背中を押して、宿屋まで連れて行こうとしたができなかった。

ぴくりとも動かせない。

あたしが力入れて引きずろうとしても、一向に動く気配がないのだ。

「やん。リオ君ったら・・・・・・だっいた〜ん♪」

あたしよりもやや大柄とはいえ、華奢なはずのリーリアはびくともしない。

「・・・・・・なにやってんだ?あんた」

声に振り向くと、街頭の明かりに燃えるような真紅の髪。

呆れた様子のヴラがいた。

「リーリアを運ぼうとしたんだが、鉄みたいに動かないんだよ」

リオの口調で言うあたしに、彼は軽くため息をつく。

「そんなんじゃそいつは動かせねぇよ」

ヴラはリーリアに近づいて、

「おい」

ぼぐっ

「きゃん」

彼女のどたまをどついた。

「めぇさませ」

「ちょっとヴラ。あんた女の子の扱い酷すぎ」

「口調元に戻ってるぜ。
だいたいあんたも師匠相手に似たようなことしてんじゃねぇか」

「おれはいいんだよ。それにナーガだから」

「あんたも人のことはいえんと思うが」

開き直っていうあたしに、ヴラは彼女に視線を移す。

「これでも加減してんだ。それに今の場所は酔い覚ましにいい」

ンなわけあるか。

だいたい頭どついて酔いが醒めるなんて、見たことも・・・・・・

「う・・・ん。
・・・・・・あ!いっけなーい」

先ほどまでの千鳥足ではなく、しっかりした足取りで彼女はがばりと立ち上がる。

・・・・・・・・・・・・

「ついついお酒のみ過ぎて、酔っ払っちゃった♪」

・・・・・・聞いたことも・・・・・・

「・・・・・・あれ?」

彼女は目をしばたかせた。

あたしの姿を認めて。

「リオ君しごと終わったの?お疲れ様ー」

「・・・・・・はい?」

「もしかしてリオ君が私の酔いを醒ましてくれたの?」

「いやそれは俺がやったんだ」

「そうなんだ。ありがとー♪」

彼女はこきこき首を鳴らす。

え・・・と。

本当に酔いがさめてやんの。

「でもよくわかったわねー。私たちの酔い覚ましのつぼがここにあるって」

いって頭を見せる。

「んー。まあ色々あってな。
ところでリーリアっつったっけ?ききてぇことがあるんだがいいか?」

「なぁにー?」
    ゴールデン・ドラゴン
「なんで  黄 金 竜  が町の中で生活してんだ?
・・・・・・ふつー山だろ。しかも違和感なく、人間世界に溶け込んでやがるし」

ジト目のヴラに、彼女は明るくこういった。

「えー。だってドラゴンだからって、山奥のみに生息しちゃいけないって決まってないじゃない♪
暮らし始めてみると人間の生活のほうが楽しいんだもーん♪・・・・・・それに町には美味しいお酒もあるし」

「酒目当てで山下りる竜がどこにいる」

呆れた様子で頭抱えるヴラに、リーリアはVサインしながら答えた。
           ドラゴンズ・ピーク
「ここにいるー♪ 竜 た ち の 峰 にあるオリハルコンもってきたから当分の生活費は大丈夫だし、ちゃんと職にもついてるわ♪」

・・・・・・黄金竜が都会に馴染んでどーする。
                          メガ・ブランド
「なんかもう色々ツッコミどころが多すぎて 爆 裂 陣 !」


ちゅどーん!


とりあえずリーリアを吹っ飛ばしてみました。

深夜に攻撃呪文の爆音で叩き起こした町の人たちゴメン。

苦情ならあたしじゃなくてリーリアかアメリアに言って。

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34362白魔術都市狂想曲 23フィーナ 2009/8/27 19:10:32
記事番号34231へのコメント

お昼時なので町をぶらぶら歩いている中、あたしとガウリイがとあるお店をみつけた。

人から聞いたのだが、そこそこいける味で有名な店が『制限時間内で定食大盛り十皿食べることができたら銀貨十枚進呈』というイベントを開催していると聞き。

あっさり二十皿を完食し、店主を泣かせていたときにそいつはやってきた。

からんからん

ドアノブの軽快な音と共に入ってきたそいつは深くフードをかぶっていた。

「おいこら!早く進めよノロマ!」

店内はそれなりに混んでおり、そいつの後ろにいたガラの悪いあんちゃんがそいつを突き飛ばそうと手をかけようとしたときそいつは動いた。

遠目からだったのでよくは見えなかったが、そいつがうごいたそのすぐあと。

ガラの悪いその男は悲鳴一つ残さず地面に倒れ、二度と動くことはなかった。

そいつの手は赤く染まり、男から赤いものが流れ・・・

「きゃぁぁっ!」

「うわぁ!」

あたりは一瞬でパニックになった。






人々がそいつから遠ざかろうと出口へと殺到する。

「おすな!」

「いやぁぁっ!」

あたしはあることに気づいた。

「ああ!?」

「どうしたんだリナ!」

悲鳴が飛び交う状況なので、ガウリイは大声であたしにたずねた。

「折角の賞金が!?」

出口にいる店主の姿を認め、思わず叫ぶあたし。

このままじゃ店主にうやむやのうちになかったことにされてしまう。

それだけはさせてなるものか!

「そういう問題か!?」

「そういう問題よ!」

呆れたガウリイにきっぱりといいきる。

銀貨二十枚・・・・・・・もとい、混乱を収束させるためあたしはそいつの前に立ちはだかった。

ついでに、迷惑料をそいつからまきあげ、店から礼金もせしめよう。

そいつは、出口へ向かう客たちには目をくれずぶつぶつと独り言をつぶやく。

「ちから・・・ちからちからぢがらだっ!」

完璧にイッちゃってる。

おそらくは薬か何かだろーが・・・・・・

まるであたしたちも眼中にないかのように、あふれんばかりの狂喜の声を上げる。

声からして男だろうが、こういう相手というのは。

「・・・・・・なんか関わりたくないよーなやつね」

さくさく呪文を唱え―――

地を蹴る音が聞こえたと思った瞬間。

男の姿が掻き消えた。

「リナ!」

予感に従いとっさに身をひねる。

ひゅん

ぼご!

いままであたしがそこにいた場所に男がいて、振り下ろされた手は床をめり込ませている。

武器は持っていない。そいつは『素手』のみで床張りの地面を砕いたのだ。

破片が飛び散り、かぶっていたフードが取れた。

黒髪のなかなか美形なその男は、見覚えがあった。

たしかエリック。

「ふしゅるる!」

蛇が威嚇するような音を出し、身を沈める『エリック』
 フリーズ・アロー
「 氷 の 矢 !」

店内なので使える呪文の種類は限られてくる。
 ゴー
「GO!」

十本近い氷は、狙いたがわずエリックに向かい。

最低限のフットワークで、すべてさばききる!

うわ何者!?

「はぁぁっ!」

その隙を突き、ガウリイが肉弾戦を挑む。

繰り出す回し蹴りを、エリックはかわし―――

ぐるるる・・・

獣の唸りにも似た声でうめくと同時。

『エリック』から数十本の炎の雨が出現した!

なにぃぃ!?

ガウリイに狙いをつけたのか、『エリック』はそれを解き放った。

ごうっ!

「くっ!」

降り注ぐそれらを、ガウリイは何とかよけ、うち数本が店のテーブルやいすに燃え移る。

エリックの動向に注意し、煽られる熱を感じながら開け放たれている出口から飛び出した。

その瞬間。

ごぉぉ!

建物はあっという間に炎上。

燃え盛る炎は建物を飲み込んでいく。

ざわざわ・・・

ギャラリーのざわめき。

「おいあそこに誰かいるぞ!」

ギャラリーの一人が声を上げる。

・・・・・・誰か。

そんなのは一人しかいない。

炎上している建物を振り返ると。

何事もなかったかのように、炎の中に悠然と『エリック』がいた。

炎でやけどはおろか、怪我一つしていない。

『ぢがら・・・ぢがらぢがらぢがらぢがらぢがらぁぁぁぁ!』

吠えてギャラリーのほうに突っ込み、続いて巻き起こる悲鳴と怒号。

人が密集している中で、目にうつるものを次々となぎ倒していく『エリック』

クモの子を散らすかのように逃げ回る人々。

どうやら話の出来る状態でもないようだ。

エリックをギャラリー連中巻き添えにして、呪文で吹っ飛ばすことも出来るが炎の中を傷一つおっていないことを踏まえ、耐魔能力もそれなりにあるのだろう。

「なあリナ!」

「なによ!」

「この兄ちゃんのこの感じって、なんとなく覚えがあるよーなきがするんだが!」

「レイスン・シティでみたでしょーが!低級魔族と精神を合成させられたキメラみたいなもんよ!」

エリックのこの状態にあたしは心当たりがある。







精神を蝕み、外見は人のそれであっても中に複数の存在を憑依させる呪法。

あたしが知り合ったやつは、それをコ毒の呪法と呼んでいた。

もとは古代にあった呪術で、壷の中にムカデなどの虫を閉じ込め、共食いをさせ、最後に生き残ったやつを呪殺などに用いたとされる。

以前立ち寄ったある街では、ポイズン・ダガーという組織がコピー・ホムンクルスに複数の低級霊を憑依させたりしていたが。

目の前にいるこの男は、まず間違いなくエリック当人。

自我は残っているのか不明だが、野放しにはしておけない。

「援護お願い!」

いって呪文を唱え始める。

町の人の避難誘導で、エリックの周りに人はいなくなっていた。

誰がしてくれたのか知らないが、とにかくたすかる。

「はぁっ!」

ガウリイの斬撃を、おおきく飛び退き避けるエリック。

人には出来ない常識離れの跳躍!

反射神経の高い人間でも、空中にいる間は魔法でも使わない限り重力に逆らうことはできない。

落ちてゆく軌跡をよみ、あたしの呪文が完成した。
 ブラスト・アッシュ
「  黒 妖 陣  !」

ざぁぁ

エリックの姿は黒い何かに包まれ―――

ごうごうと燃える建物をバッグに、エリックは黒と共に消えた。







 プリースト
 覇王神官 の称号を持つ高位魔族は、生身の人間にこの呪法をかけ、低級魔族を憑依させるなどの暗躍をしていた。

商人の娘を護衛したとき、色々あって首を突っ込むことになったのだ。
 ダイナスト                                  プリースト
  覇 王 グラウシェラーの命で動いていたのかと思ったのだが、 覇王神官 ディーは『玩具作り』といっていた。
 ダイナスト   アストラル・サイド
  覇 王 は 精 神 世 界 面 に引っ込んだままなので、今動くのが得策ではないと知っているはずである。

ディーはそのとき何とか退けたものの、先ほどのことといい。

今度はこのセイルーンで、何かしら企てていると見ていい。

以前のことはディーの独断だったのか、命令を受けてやっていたのか。

それは定かではないが、分かっているのはただ一つ。

どうやらこの一件。

またややこしいことが、あたしたちを歓迎してくれているっていうことである。








いい忘れていたが。

些少ながら町の人からは礼金はもらえたが、店の早食い賞金である銀貨二十枚はというと・・・・・・

店主いわく、「建物が燃えてしまったせいで、賞金を払えない。弁償代ならありがたくいただく」と顔は笑ってはいるが、据わった目つきでいわれて。

あたしが泣く泣く断念したのは余談である。

・・・・・・店の人から銀貨二十枚。

先にもらっておけばよかった。

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34370白魔術都市狂想曲 24フィーナ 2009/8/29 16:52:53
記事番号34231へのコメント

警備兵たちから事情聴取をされ、あたしたちの身柄を知るや否や、あたしたちは王宮に赴くようにいわれた。

警備隊長の話によると、数日前にフィルさんが口を滑らせた、セイルーンの国内での妙な動きと、何らかの関わりがあるかもしれないという。

なんでも、何人の国民が数日の間行方をくらませ、しばらくすると戻ってくるのだが。

その日を境にぼーっとしていたり、挙動不審な言動を取ったりするものが増えたという。

そのことをフィルさんに報告は出来たのだが、詳しい内容は行き届いていないらしく、調査をしようとしてもフィルさんに届く前に、民に余計な混乱を招く可能性があるのでしばらく静観せよと返事が来たという。

その返事に納得したものの、こうやって事件が起こった今、フィルさんに何度も進言しようとしたのだが、届く途中で返事は保留されるという。

国王の代理として政務を執り行っているフィルさんに意見が届くのは、何人かのお偉いさんの耳に入り、許可があってはじめて届くという。

なんともめんどくさそうな経緯だが、国を動かすのは国王一人だけでは到底務まらず、宰相や民の意見を取り入れ発展させていくためには必要なことなのだ。

・・・・・・以前立ち寄ったディルスも、政治のシステムは似たようなものだったが。

このことを殿下のお耳に入らせてくれと、彼は頭を下げた。

後で知ることになったが、彼のいいなずけも数日姿をくらまし、戻ってきたときはその状態だったという。

覇王神官の仕業にしては、やりかたがどことなくぬるい。

それとも、ディーはこの混乱を利用しているのだろうか。

以前関わった組織の中に、催眠暗示を得意とする相手がいた。

人間同士のいざこざを、彼ら魔族が利用するのはよくあること。

セイルーンの中にも、組織の残党が潜んでいる可能性が浮上してきた。

さすがに事情聴取で覇王神官がどうのという話しは、ややこしくなる気がしたのでしなかったが。

ディーがやっていることだと、イコールですべて結論付けるわけではないが、気になることもあるし、人情的にほうっておくわけにはいかないだろう。







王宮でフィルさんにそのことを伝えると、彼は憤り文官や貴族をあつめ、対策本部を設置した。

相変わらず行動が早い。

さすがはフィルさんといったところか。

王宮内にいた以前何度か顔をあわせた、クロフェル侯といった重臣貴族たちはすぐに連絡が取れたのだが。

急なこともあいなって、集まるのにしばしかかった。

すべての貴族が集まるまで二日かかったが、神殿の一室を貸しきって会談の場が設けられた

あたしとガウリイは、エリックとのこともあり、アドバイザーとして参加するように言われた。

会議室と呼ぶには、広すぎる部屋の一室にて。






会議の内容は、あたしが思っていた通り責任のなすりつけだの、そういったものから始まった。
             バースト・ロンド
いらいらしたあたしは、 爆 煙 舞 をおみまいしてやろうかと、必死でその誘惑と内心戦っている。

あたしも成長したもんである。

フィルさんの一喝(迫力があってなかなか怖ヒ)でおさまり落ち着いたところ、彼はこちらに話をふった。

「・・・・・・では、リナ殿。
今までの話の中で、疑問に感じたところは何かあるかの」

「疑問その一。
一時的に行方をくらませたといっても、家の人は捜索届けとかは出していたんでしょ?」

「そうじゃが」

あたしはピッ、と指を一本突き立てる。

「なのになぜ、誰も行方不明者を見かけなかったのか。
これはあたしの推測で、根拠もないかもしんないけど、この中にいる権力を持った人間が圧力をかけたとしたら説明がつくわ」

事実警備隊長さんのはなしで、何者かが情報を握りつぶしていたみたいだし。

「なにをバカなことを!」

いってひとりの貴族が立ち上がる。

五十過ぎのでっぷりふとったおっちゃんで、受ける印象は狸の置物。

「アドバイザーかなんだかしらんが不愉快だ!
一体誰が招いたのか知らんが、こんな小娘を呼ぶとはその人物の器もたかが知れてるというものだ!」

「口は控えたほうがよろしいと思うぞ。
アルベルト・フォン・ホーエンハイム卿」

そういったのは、マーシュ卿だった。

「どういう意味かな!?マーシュ・ハルス・フィリッツメイヤー男爵!」

険悪な表情でにらみつけるアルベルト卿に、彼は冷ややかな視線を投げつける。

・・・・・・どうやらこの二人。

仲はすこぶる悪いらしい。

他の貴族たちは、いつもの事ととりあおうともしない。

「言葉通りの意味だ。アルベルト子爵。
それに彼女をアドバイザーにつけたのは、ほかならぬフィリオネル殿下と聞き及んでいる」

「はははははっ!冗談も度が過ぎるぞマーシュ!
どこの馬の骨とも知らぬ小娘。しかも発展途上にも満たないような胸をした少年みたいな薄汚れたやからと」

むかっ!

迷いなく呪文を唱え始める。

「おいリナ・・・・・・ぶっ!?」

隣で何かを言いかけたガウリイを、裏拳で沈黙させて。

「我らが敬愛するフィリオネル殿下にどのような接点があるというのだ!」
 バースト・ロンド
「 爆 煙 舞 !」

きゅごどど!

『うのわひぃぃぃぃ!?』

見た目や音は派手だが、殺傷能力はないに等しい呪文をぶちかます。

何人か腰を抜かしたりしているが、そんなのあたしはしったこっちゃない。

「いくらなんでも、そこまでいわれりゃ怒りますよ」

「・・・・・・もうすでに怒ってるじゃないか」

マーシュ卿の突っ込みに、数人がうなずく。

「怒ったわけじゃないわ。攻撃呪文をぶちかましただけ」

「どうちがうんだ」

「まあよいではないか。元気があるのはいいことじゃて!」

がっはっは!と豪快に笑うフィルさん。

・・・・・・その一言で済ませるとは・・・・・・

やはりこのひとは大物である。

「それでリナ殿。続きは」

「疑問その二。
数人を収集させるには、それなりに広い場所が必要なはず」

「たいていの貴族はそれぐらいの土地なら所有しているが」

その場にいるものの、心の声を代弁するかのように発言するマーシュ卿。

「先ほどの疑問の裏づけにもなると思うけど、警備隊長さんがフィルさん・・・・・・
殿下に進言しようとしても、その声が届かなかったことを踏まえていうなら、この中に土地と権力を持った人間が今回の事件に一枚かんでるとあたしは睨んでいるわ」

「その目的は?」

「さあ?そこまでは」

一人の貴族の問いに、あたしは軽く肩をすくめて見せる。

「なら」

「でも、想像ならできるわ」

「想像?」

「きこう」

鷹揚(おうよう)にうなずき、話を促すフィルさん。

「お家騒動を引き起こし、そのドサクサに取り入ろうとしている・・・・・・とか?」

ざわざわざわざわ・・・

あたしの発言に、周囲は騒然となった。

・・・・・・まあ、それも無理からぬことではあるが。

「荒唐無稽も程々にしろ!」

ようやく復活したらしく、アルベルト卿の怒声が響く。

・・・・・・そのなかに、かすかな動揺をにじませて。

「荒唐無稽かどうかは、いまのエルドラン国王の現状を知れば、考えられない話でもないわ。
現在国王陛下は病床で起きられる状態ではないわけだし、それはここにいる人間にとって周知の事実」

「そのような大口を叩いて、殿下の御前じゃなかったら切り捨てているところだ!」

アルベルト卿の金切り声から、次々と怒りの声が上がる。

「そうだ!」

別の貴族の一人が、それに同意する。

「それに人を調べて何も出なかったら、いくら殿下が推したアドバイザーといえどそれこそただではすまさん!」

「あまつさえ、国王陛下の御名前を軽々しく口にしおって!」

数人の血の気の多い・・・・・・愛国心の強い貴族の声が、会議室に沸き起こる。

・・・・・・やっぱし怒ったか。

「まあ、とにかく問題はじゃが」

フィルさんのだみ声が響くと同時に、水を打ったかのように静まり返る一同。

「リナ殿の意見を無碍(むげ)にするのも、可能性をつぶすようでしのびならん。
もとよりわしは平和主義者じゃが、民が安心して過ごせるためにも、貴殿らの屋敷の探索を執行したいと思う。
みなには不便なめにあわせてすまなく思うが、一刻の解決のため手を貸して欲しいのじゃが、誰か異論はあるかの?」

いってフィルさんはあたりを見渡す。

「異論がなければ執り行いたいのじゃが」

「・・・・・・恐れながら殿下。発言をよろしいでしょうか」

言って挙手したのは、マーシュ卿だった。

「なんじゃな?マーシュ卿」

「私の屋敷は、先日焼き払われ知人の屋敷に世話になっているのですが」

いってちらりとあたしをみる。

ぎぎくぅ!?

「ふむ。そういえばそうじゃったな」

それには気づかず、フィルさんはうなずいた。

「その知人とは懇意の仲ですが、その知人の屋敷も捜索隊は派遣されるのでしょうか」

「報告によると、国民たちが隠れ始めたのが半月ほど前からかと」

一人の文官の言葉に、あたしは軽く眉をひそめる。

「その知人とは親しくしておりますが、彼の父親とは・・・・・・」

「だまれマーシュ!」

途中で言葉を中断する。

「貴様が息子をたぶらかしたんだろうが!知人が聞いて呆れるわ!」

アルベルト卿の、憎しみにも似た声が会議室に響く。

「たぶらかした覚えはない。合意の上での行為は違法ではないだろう」

「私への復讐でカイルに近づいたのは分かっているんだ!」

二人の間に流れる空気が、一気に氷点下に下がったかのような錯覚を受けた。

「おまけに息子は、貴様が経営しているわけの分からんところに入り浸る始末!」

「カイルが自らの意思で選んだんだ」

「子供は黙って、親の言うことを聞いていれさえいればいいんだ!
昔の従順で、臆病で可愛い。さからうことをしなかった息子を返せ!」

うっわー。

ずいぶん自分勝手なやつ。

「子供だって反抗ぐらいする。そんなこともわからんのか」

「男爵のくせに、子爵の私にそんな口を叩くな!」

自分の地位や権力を振りかざす、いわゆる典型的な貴族。

「人のことを言う前に、自分の身のふり方を考えたらどうだ?アルベルト・フォン・ホーエンハイム卿」

マーシュ卿は、皮肉な笑みを浮かべた

「貴殿が行っている慈善活動の噂。
難民や孤児を集めた養護施設。つつけば埃(ホコリ)にまぎれてなにがでてくるのやら」

「双方それぐらいにしたらどうじゃ」

この不毛な泥沼をおさめたのは、やはりフィルさんだった。

「リナ殿の意見を踏まえ、屋敷の捜索を徹底して行う。
捜索隊の編成の際には、そこにいるリナ殿とガウリイ殿も加わってもらいたいのだが頼めるだろうか。もちろんそれなりの謝礼は出す」

「引き受けますよ。ここまで来たら」

「そうそう。それにリナが言いだしっぺだしな」

「すまん」

相手が誰であれ、こうやって頭を下げることができるフィルさんは、顔はとにかく人の上に立つ者としての貫禄がある。

異議を唱えるものは、その場では出ず、早い段階での編成が決定された。

派遣隊の結成が議論で決定され、次の議題に入った。

やはり王宮内での、フィルさんの人望は厚い。

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34373Re:白魔術都市狂想曲 24kou 2009/8/29 21:37:43
記事番号34370へのコメント

 今晩わ。(書いている今は夜なので)kouです。
>警備兵たちから事情聴取をされ、あたしたちの身柄を知るや否や、あたしたちは王宮に赴くようにいわれた。
 まぁ、良くも悪くも有名だしね。
 それにセイルーンのお家騒動を過去二回も解決させた実績があるからな
>警備隊長の話によると、数日前にフィルさんが口を滑らせた、セイルーンの国内での妙な動きと、何らかの関わりがあるかもしれないという。
>
>なんでも、何人の国民が数日の間行方をくらませ、しばらくすると戻ってくるのだが。
>
>その日を境にぼーっとしていたり、挙動不審な言動を取ったりするものが増えたという。
 ん〜。あのエリックもその分類に入るな。まぁ、挙動不審というレベルじゃないな。
>そのことをフィルさんに報告は出来たのだが、詳しい内容は行き届いていないらしく、調査をしようとしてもフィルさんに届く前に、民に余計な混乱を招く可能性があるのでしばらく静観せよと返事が来たという。
 日見よりな意見とも冷静とも言えるな。
>国王の代理として政務を執り行っているフィルさんに意見が届くのは、何人かのお偉いさんの耳に入り、許可があってはじめて届くという。
>
>なんともめんどくさそうな経緯だが、国を動かすのは国王一人だけでは到底務まらず、宰相や民の意見を取り入れ発展させていくためには必要なことなのだ。
 まぁ、確かに国王一人じゃそりゃ一歩間違えば暴君、独裁者だもんな
>・・・・・・以前立ち寄ったディルスも、政治のシステムは似たようなものだったが。
>
>このことを殿下のお耳に入らせてくれと、彼は頭を下げた。
>
>後で知ることになったが、彼のいいなずけも数日姿をくらまし、戻ってきたときはその状態だったという。
 なるほどな〜。気持ちはわかるわ
>覇王神官の仕業にしては、やりかたがどことなくぬるい。
 ぬるい………。とはいえ、厄介なことと言うことは変わっていないんだよな。
 とはいえ、セイルーンは魔族ないでも厄介な場所なんだよな………。
 神官が直接とかじゃなくて、その下の下とかがやっていたりして
>>人間同士のいざこざを、彼ら魔族が利用するのはよくあること。
>
>セイルーンの中にも、組織の残党が潜んでいる可能性が浮上してきた。
 聖都市とか言われていても、所詮人が集まる場所と言うことだな
>さすがに事情聴取で覇王神官がどうのという話しは、ややこしくなる気がしたのでしなかったが。
>王宮でフィルさんにそのことを伝えると、彼は憤り文官や貴族をあつめ、対策本部を設置した。
>
>相変わらず行動が早い。
>
>さすがはフィルさんといったところか。
 さすが、戦う魅惑のおうぢ。最強の平和主義者だな
>王宮内にいた以前何度か顔をあわせた、クロフェル侯といった重臣貴族たちはすぐに連絡が取れたのだが。
>
>急なこともあいなって、集まるのにしばしかかった。
 まぁ、無理のないことだと言えばそうだな
>すべての貴族が集まるまで二日かかったが、神殿の一室を貸しきって会談の場が設けられた
>
>あたしとガウリイは、エリックとのこともあり、アドバイザーとして参加するように言われた。
>
>会議室と呼ぶには、広すぎる部屋の一室にて。
>会議の内容は、あたしが思っていた通り責任のなすりつけだの、そういったものから始まった。
 所詮人間自分が一番かわいいという奴だ
>いらいらしたあたしは、 爆 煙 舞 をおみまいしてやろうかと、必死でその誘惑と内心戦っている。
>
>あたしも成長したもんである。
 人間としては最低限レベルという説もありますよ
>フィルさんの一喝(迫力があってなかなか怖ヒ)でおさまり落ち着いたところ、彼はこちらに話をふった。
 その時に、テーブルが壊れたりして。※ER参照のこと
>「・・・・・・では、リナ殿。
>今までの話の中で、疑問に感じたところは何かあるかの」
>
>「疑問その一。
>一時的に行方をくらませたといっても、家の人は捜索届けとかは出していたんでしょ?」
>
>「そうじゃが」
>
>あたしはピッ、と指を一本突き立てる。
>
>「なのになぜ、誰も行方不明者を見かけなかったのか。
 たしかに、いくら広いとはいえ人の多い都市でまったく見かけないというのはヘンだ。
 見間違いとかよく似た他人とかそう言うオチとかの情報すらないのはヘンだ
>これはあたしの推測で、根拠もないかもしんないけど、この中にいる権力を持った人間が圧力をかけたとしたら説明がつくわ」
 うっわ。爆弾発言ですよ。さっすがリナさん
>事実警備隊長さんのはなしで、何者かが情報を握りつぶしていたみたいだし。
 あ、裏もあるのか。そりゃ、言うわな
>「なにをバカなことを!」
>
>いってひとりの貴族が立ち上がる。
 図星をつかれて立ち上がった悪役とかそう言うパターンだ
>五十過ぎのでっぷりふとったおっちゃんで、受ける印象は狸の置物。
 狸に失礼だぞ。そこそこ、かわいいんだから。
>「アドバイザーかなんだかしらんが不愉快だ!
>一体誰が招いたのか知らんが、こんな小娘を呼ぶとはその人物の器もたかが知れてるというものだ!」
 おっさん。おっさん。呼んだのは、フェルさんだぞ。
>「口は控えたほうがよろしいと思うぞ。
>アルベルト・フォン・ホーエンハイム卿」
 なっがい名前、貴族というのはどうして無意味に名前を長くしたがるんだか………。
>そういったのは、マーシュ卿だった。
>
>「どういう意味かな!?マーシュ・ハルス・フィリッツメイヤー男爵!」
 いちいち、フルネームで呼び合わんといけないのか?
>険悪な表情でにらみつけるアルベルト卿に、彼は冷ややかな視線を投げつける。
 ん〜〜火花がバチバチだね
>・・・・・・どうやらこの二人。
>
>仲はすこぶる悪いらしい。
>「言葉通りの意味だ。アルベルト子爵。
>それに彼女をアドバイザーにつけたのは、ほかならぬフィリオネル殿下と聞き及んでいる」
 ピンポーン☆ マーシュ郷大当たり。賞品?は、フィリオネル殿下の信用度アップです
>「はははははっ!冗談も度が過ぎるぞマーシュ!
>どこの馬の骨とも知らぬ小娘。しかも発展途上にも満たないような胸をした少年みたいな薄汚れたやからと」
 あ〜。言っちゃった。これでも、あの某有名騎士の妹で良くも悪くも有名な魔道士で、セイルーンのお家騒動を二度も解決したんだぞ
>むかっ!
>
>迷いなく呪文を唱え始める。
>
>「おいリナ・・・・・・ぶっ!?」
>
>隣で何かを言いかけたガウリイを、裏拳で沈黙させて。
>
>「我らが敬愛するフィリオネル殿下にどのような接点があるというのだ!」
 フェルさんどころか娘さんとも接点が売るほどあるぞ
> バースト・ロンド
>「 爆 煙 舞 !」
>
>きゅごどど!
>
>『うのわひぃぃぃぃ!?』
>
>見た目や音は派手だが、殺傷能力はないに等しい呪文をぶちかます。
>
>「まあよいではないか。元気があるのはいいことじゃて!」
 そういう問題か?
>がっはっは!と豪快に笑うフィルさん。
>
>・・・・・・その一言で済ませるとは・・・・・・
>
>やはりこのひとは大物である。
>
>「それでリナ殿。続きは」
>
>「疑問その二。
>数人を収集させるには、それなりに広い場所が必要なはず」
>
>「たいていの貴族はそれぐらいの土地なら所有しているが」
>
>その場にいるものの、心の声を代弁するかのように発言するマーシュ卿。
>
>「先ほどの疑問の裏づけにもなると思うけど、警備隊長さんがフィルさん・・・・・・
>殿下に進言しようとしても、その声が届かなかったことを踏まえていうなら、この中に土地と権力を持った人間が今回の事件に一枚かんでるとあたしは睨んでいるわ」
 リナは王子とはいわない。
>「その目的は?」
>「お家騒動を引き起こし、そのドサクサに取り入ろうとしている・・・・・・とか?」
>
>ざわざわざわざわ・・・
>
>あたしの発言に、周囲は騒然となった。
>
>・・・・・・まあ、それも無理からぬことではあるが。
>
>「荒唐無稽も程々にしろ!」
>
>ようやく復活したらしく、アルベルト卿の怒声が響く。
>
>・・・・・・そのなかに、かすかな動揺をにじませて。
 三流だな
>「荒唐無稽かどうかは、いまのエルドラン国王の現状を知れば、考えられない話でもないわ。
 むしろ、中学生でもわかるぞ
>現在国王陛下は病床で起きられる状態ではないわけだし、それはここにいる人間にとって周知の事実」
 この世界の住人でセイルーンに住んでいるなら子供でも知っているな
>「それに人を調べて何も出なかったら、いくら殿下が推したアドバイザーといえどそれこそただではすまさん!」
 もしかして、こいつも裏に何かあったりして
>「あまつさえ、国王陛下の御名前を軽々しく口にしおって!」
>
>数人の血の気の多い・・・・・・愛国心の強い貴族の声が、会議室に沸き起こる。
 物は言い様だ
>・・・・・・やっぱし怒ったか。
>
>「まあ、とにかく問題はじゃが」
>
>フィルさんのだみ声が響くと同時に、水を打ったかのように静まり返る一同。
>
>「リナ殿の意見を無碍(むげ)にするのも、可能性をつぶすようでしのびならん。
>もとよりわしは平和主義者じゃが、民が安心して過ごせるためにも、貴殿らの屋敷の探索を執行したいと思う。
>みなには不便なめにあわせてすまなく思うが、一刻の解決のため手を貸して欲しいのじゃが、誰か異論はあるかの?」
>>「貴様が息子をたぶらかしたんだろうが!知人が聞いて呆れるわ!」
 有名なんだな。彼の趣味は
>アルベルト卿の、憎しみにも似た声が会議室に響く。
 なるほど、………。仲が悪い理由はこれだな
>「たぶらかした覚えはない。合意の上での行為は違法ではないだろう」
 そう言う問題………かな?
>「私への復讐でカイルに近づいたのは分かっているんだ!」
 復讐?不穏な言葉だな。
>二人の間に流れる空気が、一気に氷点下に下がったかのような錯覚を受けた。
>「おまけに息子は、貴様が経営しているわけの分からんところに入り浸る始末!」
 わけのわからんて、………ずいぶんな言いよう。あんたにだって欲望があるだろうが
>「カイルが自らの意思で選んだんだ」
>
>「子供は黙って、親の言うことを聞いていれさえいればいいんだ!
 うっわ。むかつく親の見本台詞みたいなことを
>昔の従順で、臆病で可愛い。さからうことをしなかった息子を返せ!」
 そりゃ、都合の良くおとなしく便利な子供と言うことだろうが
>うっわー。
>
>ずいぶん自分勝手なやつ。
 同感だ
>「子供だって反抗ぐらいする。そんなこともわからんのか」
 生まれて五歳ぐらいになんでもいやと言うような反抗期だってあるんだぞ。
 ご飯を食べようと言っても腹が減っているくせにいやという………。迷惑だよな。これは、
>「男爵のくせに、子爵の私にそんな口を叩くな!」
 あんたは、ドラ○もんのジャイ○ンか?
>自分の地位や権力を振りかざす、いわゆる典型的な貴族。
>
>「人のことを言う前に、自分の身のふり方を考えたらどうだ?アルベルト・フォン・ホーエンハイム卿」
>
>マーシュ卿は、皮肉な笑みを浮かべた
>
>「貴殿が行っている慈善活動の噂。
>難民や孤児を集めた養護施設。つつけば埃(ホコリ)にまぎれてなにがでてくるのやら」
>
>「双方それぐらいにしたらどうじゃ」
>
>この不毛な泥沼をおさめたのは、やはりフィルさんだった。
>
>「リナ殿の意見を踏まえ、屋敷の捜索を徹底して行う。
>捜索隊の編成の際には、そこにいるリナ殿とガウリイ殿も加わってもらいたいのだが頼めるだろうか。もちろんそれなりの謝礼は出す」
>
>「引き受けますよ。ここまで来たら」
>
>「そうそう。それにリナが言いだしっぺだしな」
>
>「すまん」
>
>相手が誰であれ、こうやって頭を下げることができるフィルさんは、顔はとにかく人の上に立つ者としての貫禄がある。
 顔はともかく、王族の素質はあるな
>異議を唱えるものは、その場では出ず、早い段階での編成が決定された。
 その場ではで、内心でははらわた煮えくりかえっている奴だって居るんだろうな
 以上kouでした。なんか夏休みと言うことで書きまくっていますが………。
 夏休みが終わると書く機会が減りそうだなぁ………。
 フィーナさんはどうなんでしょうか?

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34376Re:白魔術都市狂想曲 24フィーナ 2009/8/30 15:41:24
記事番号34373へのコメント

> 今晩わ。(書いている今は夜なので)kouです。
こんにちはkouさん。
>>その日を境にぼーっとしていたり、挙動不審な言動を取ったりするものが増えたという。
> ん〜。あのエリックもその分類に入るな。まぁ、挙動不審というレベルじゃないな。
まあ、この状態ですんでいるのは、セイルーンの地形が影響している
>>そのことをフィルさんに報告は出来たのだが、詳しい内容は行き届いていないらしく、調査をしようとしてもフィルさんに届く前に、民に余計な混乱を招く可能性があるのでしばらく静観せよと返事が来たという。
> 日見よりな意見とも冷静とも言えるな。
詳しい情報を知ったらフィルさんが動くってわかっていますから、この情報はつぶされたんです
> とはいえ、セイルーンは魔族ないでも厄介な場所なんだよな………。
> 神官が直接とかじゃなくて、その下の下とかがやっていたりして
覇王神官が動いているのは確かです。命令系統は…今のところは秘密です
>>いらいらしたあたしは、 爆 煙 舞 をおみまいしてやろうかと、必死でその誘惑と内心戦っている。
>>あたしも成長したもんである。
> 人間としては最低限レベルという説もありますよ
それをいっちゃあ…
>>これはあたしの推測で、根拠もないかもしんないけど、この中にいる権力を持った人間が圧力をかけたとしたら説明がつくわ」
> うっわ。爆弾発言ですよ。さっすがリナさん
>>事実警備隊長さんのはなしで、何者かが情報を握りつぶしていたみたいだし。
> あ、裏もあるのか。そりゃ、言うわな
先ほどもいったように詳しい情報はつぶされました。目撃情報とかも
>>「なにをバカなことを!」
>>いってひとりの貴族が立ち上がる。
> 図星をつかれて立ち上がった悪役とかそう言うパターンだ
そういうパターンです
>>「口は控えたほうがよろしいと思うぞ。
>>アルベルト・フォン・ホーエンハイム卿」
> なっがい名前、貴族というのはどうして無意味に名前を長くしたがるんだか………。
>>そういったのは、マーシュ卿だった。
>>「どういう意味かな!?マーシュ・ハルス・フィリッツメイヤー男爵!」
> いちいち、フルネームで呼び合わんといけないのか?
>>険悪な表情でにらみつけるアルベルト卿に、彼は冷ややかな視線を投げつける。
> ん〜〜火花がバチバチだね
犬猿の仲を表現したかったんです。フルネームもいれたかった。
>>・・・・・・そのなかに、かすかな動揺をにじませて。
> 三流だな
三流です
>>「それに人を調べて何も出なかったら、いくら殿下が推したアドバイザーといえどそれこそただではすまさん!」
> もしかして、こいつも裏に何かあったりして
直接は関係ないですけど、やましいことを
>>数人の血の気の多い・・・・・・愛国心の強い貴族の声が、会議室に沸き起こる。
> 物は言い様だ
言い方をかえるだけでニュアンスちがく
>>>「貴様が息子をたぶらかしたんだろうが!知人が聞いて呆れるわ!」
> 有名なんだな。彼の趣味は
>>アルベルト卿の、憎しみにも似た声が会議室に響く。
> なるほど、………。仲が悪い理由はこれだな
それだけではないんですが…
>>「たぶらかした覚えはない。合意の上での行為は違法ではないだろう」
> そう言う問題………かな?
彼が手を出したというより、カイルが…
>>「私への復讐でカイルに近づいたのは分かっているんだ!」
> 復讐?不穏な言葉だな。
ヒントは今の爵位ですね
>>「カイルが自らの意思で選んだんだ」
>>「子供は黙って、親の言うことを聞いていれさえいればいいんだ!
> うっわ。むかつく親の見本台詞みたいなことを
>>昔の従順で、臆病で可愛い。さからうことをしなかった息子を返せ!」
> そりゃ、都合の良くおとなしく便利な子供と言うことだろうが
アルベルト卿は、子供を都合よく解釈しています
>>「人のことを言う前に、自分の身のふり方を考えたらどうだ?アルベルト・フォン・ホーエンハイム卿」
>>マーシュ卿は、皮肉な笑みを浮かべた
>>「貴殿が行っている慈善活動の噂。
>>難民や孤児を集めた養護施設。つつけば埃(ホコリ)にまぎれてなにがでてくるのやら」
>>「双方それぐらいにしたらどうじゃ」
>>この不毛な泥沼をおさめたのは、やはりフィルさんだった。
>>相手が誰であれ、こうやって頭を下げることができるフィルさんは、顔はとにかく人の上に立つ者としての貫禄がある。
> 顔はともかく、王族の素質はあるな
>>異議を唱えるものは、その場では出ず、早い段階での編成が決定された。
> その場ではで、内心でははらわた煮えくりかえっている奴だって居るんだろうな
そうです。
> 以上kouでした。なんか夏休みと言うことで書きまくっていますが………。
> 夏休みが終わると書く機会が減りそうだなぁ………。
> フィーナさんはどうなんでしょうか?
私は…ただれた生活送っています(駄目人間)

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34374Re:白魔術都市狂想曲 24セス 2009/8/30 11:19:23
記事番号34370へのコメント

こんにちは、フィーナさん、
白魔術都市狂想曲、読ませていただきました。
原作風のライトなノリと文章が、読んでいて楽しいです。
>
>「まあよいではないか。元気があるのはいいことじゃて!」
>
>がっはっは!と豪快に笑うフィルさん。
>
>・・・・・・その一言で済ませるとは・・・・・・
>
>やはりこのひとは大物である。

フィルさん、素敵(笑)
さすが、アメリアのおやぢ殿というか・・・

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34377Re:白魔術都市狂想曲 24フィーナ 2009/8/30 15:47:09
記事番号34374へのコメント


>こんにちは、フィーナさん、
こんにちはセスさん。
>白魔術都市狂想曲、読ませていただきました。
ありがとうございます。
>原作風のライトなノリと文章が、読んでいて楽しいです。
そういっていただけると嬉しいです。
>>
>>「まあよいではないか。元気があるのはいいことじゃて!」
>>がっはっは!と豪快に笑うフィルさん。
>>・・・・・・その一言で済ませるとは・・・・・・
>>やはりこのひとは大物である。
>フィルさん、素敵(笑)
おうぢさまといったら、このかたでしょう
>さすが、アメリアのおやぢ殿というか・・・
議題はもう少し続きます。
フィルさんの魅力に(ダメージ受けながら)悩殺されてください。

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34379白魔術都市狂想曲 25フィーナ 2009/8/30 19:33:40
記事番号34231へのコメント


「では次の議題。
行方をくらませ、戻ってきた者たちのことなんじゃが」

いってフィルさんは言葉を切った。

「それにつきましては、このわたし。
アメリア・ウィル・テスラ・セイルーンが説明させていただきます」

資料を持ったアメリアが、一歩前に出る。

「挙動不審な行動をとる人物も、放心したような人物も、セイルーンの六紡星の結界のおかげで、症状が緩和されているという事が分かっています」

おお!という声が、さざなみの様に広がった。

「皆さんのお手元にある資料をご覧ください。
これは見ていただければわかるように、治療を受けた患者さんの統計的なデータです」

貴族たちはその資料を感嘆の様子で見やった。

「治療法は、患者さんの意識を呼び覚ますため、その人の意識を浮上させる方法をとっています。
意識を浮上させるため、薬草や家族。その人にとって、身近な人のこころからの応援など、意識を強く持たせてから治療を図っています」

「この治療法を確立させたのは誰かな?」

一人の貴族が、興味深そうに質問した。

「本人たっての希望で、匿名希望の神官です。その人は現在いませんが」

薬草の材料やおおまかな手順はかかれていたが、薬の配合とか、詳しい治療法はさすがに載せていなかった。

魔道に精通してないと、到底思いつかない方法である。

「ふーむ。まさかこんな方法を」

「あわせてもらうことは出来るかの?」

「本人はあまり表に出るのを好まない性格ですし。
この方法を確立させたのは、その症状に蝕まれた身内を救いたい一身でのことで、地位や名声とかはあまり興味がないみたいですよ」

暗にアメリアは、貴族連中に金儲けは出来ませんよ。

と、遠まわしに言っているわけだが、はたしてなんにん気がついたのか。

身内にこの症状に蝕まれていて、魔道に精通している控えめな神官。

・・・・・・そんなやつといえば・・・・・・

「話を元に戻しますが、今まで出てきたこの症状。
精神面を利用した、キメラのようなものだということはわかっていました。この人はそれをコ毒とよんでいるそうですが」

やっぱし『あいつ』か。

「タダこの方法でも、前の精神状態とほぼ同じ状態に近づけるのは可能ですが、完全に治る見込みはむしろ低いでしょう。ですが―――」

いって、くわ!と、目を見開くアメリア。

おいおい。

「このセイルーンの土地と、わたしたち正義を愛する心があれば、なにもおそれることなんてないわっ!」

ぼうぼうめらめら

バッグに見えないはずの炎が見えた。

・・・・・・おーい。

アメリアは、机の上に片足をのっけて・・・・・・行儀悪いぞ。

ただでさえ、貴族連中目の前にいるのに。

つかつかつか。

エキサイトしている彼女に近づいて、拳を振り上げる。

「なにごとも成せばなる!そう!
正義と愛と真実さえあれば、わたしたちの明日は―――」

ごん

「へぎゅ」

「・・・・・・とまあ、たわ言はこれぐらいにして」

「アメリア様を、なんの躊躇もなくどつくとは・・・・・・」

「なんと凶暴な」

貴族の漏らしたせりふを、あたしは聞かなかったことにして、ぐるりと見渡した。

ざざざざ・・・

あたしの視線から逃れようと、いっせいに目線を逸らす貴族たちとガウリイ。

・・・・・・って、あんたまで目を逸らすか?

ガウリイ・・・・・・あとでとっちめる。

固い決意を胸に秘めて、心のなかであさっての方向に指をおったてた。

「現在、巫女や神官の多くはこの治療法をもとに、被害にあった人たちの治療に当たっています。
みなさんも、被害にあわれた方を見かけましたらお気軽にご連絡くださいね」

気がついたアメリアの言葉で、質問に答えるコーナーが設けられ、その後は小休憩に入った。

あとはきいていて退屈というか、長々とした話が延々続き、会議が終了したのは夕刻に近い時間だった。

会議はお開きになったが、屋敷の捜索とかする前に、それとは別にすることがある。

賢明な皆さんはすでにお気づきであろう。

あたしが会議で、アドバイザーの名目でいった理由がそれである。







表立ってはいなかったが、あの会議でこちらを敵視している連中もいて、何か仕掛けてくるだろう。

なにか。そう、たとえば襲撃。

やましいことを隠している連中からとってみれば、屋敷の捜索なんてもってのほか。

魔道に凝っている貴族なら、貴重な魔道器具や研究資料。

麻薬や貴重品の密輸や、人身売買をはじめとする闇の売買など、表ざたには到底いえない『あんなこと』や『そんなこと』など。

おそらく今日の夜あたりに、捜索隊に選抜されたあたしとガウリイを始末しようと、刺客がやってくるのは想像に難くない。

わざとそうした部分もあるのだが、こちらのほうとしては都合がいい。

貴族連中のことだから、雇ってくるのはチンピラか暗殺者。

うなるほど金持ってる連中なんだから、高みの見物を決め込むのはもはや風物詩である。

もしかしたら雇われた魔道士もいるかもしれないが、魔道士はたいていのやつは体力がなく接近戦に弱い。

研究にかまけて運動しないやつなんて、剣士にして魔道士たる、このあたしの敵ではない。

事件に関係のあるやつなら、しばきたおして背後にいるやつ、悪事の内容を洗いざらい白状させて情報を手に入れられるし。

やましいことをして知られたくない貴族なら、搾りとれるだけ搾り取ってから、チクって礼金もらうという方法を取れるわけである。

・・・・・・はたからみると、ミョーに極悪なような気がしないでもないが。

命狙われる保険としての報酬というか、人としてとーぜんの義務である!

とはいうものの、相手を待つだけというのもヒマなもんであり・・・・・・

折角だから、もうちょっとお金もらいたい・・・・・・もとい、情報を集めたいなーと思い。

マーシュ卿が経営しているお店で、時間を有意義に使うことにしたのだった。

もちろんホストとして。

客に扮するより、ホストのほうが給料もらえるし、ホスト連中や客から話を聞きだすことも出来るからである。

とりあえず、聞きたいのはオーナーとアルベルト卿のこと。

あの二人の因縁とか、もう少し聞いてみたほうがよさそうだ。

そして、アルベルト卿の息子であるカイル。

何故彼は、ホストとしてここにいるのか。

・・・・・・そして、夜は更けていく。

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34380Re:白魔術都市狂想曲 25水野 2009/8/30 19:48:43
記事番号34379へのコメント

初めまして水野です。

>「それにつきましては、このわたし。
>アメリア・ウィル・テスラ・セイルーンが説明させていただきます」
>
>資料を持ったアメリアが、一歩前に出る。

おぉ、アメリアがなんだか知的に感じれる……

>「挙動不審な行動をとる人物も、放心したような人物も、セイルーンの六紡星の結界のおかげで、症状が緩和されているという事が分かっています」

流石セイルーンですね


>「治療法は、患者さんの意識を呼び覚ますため、その人の意識を浮上させる方法をとっています。
>意識を浮上させるため、薬草や家族。その人にとって、身近な人のこころからの応援など、意識を強く持たせてから治療を図っています」

なるほど【病も気から】ですね

>「この治療法を確立させたのは誰かな?」
>
>一人の貴族が、興味深そうに質問した。

確かに気になるところですね……

>「本人たっての希望で、匿名希望の神官です。その人は現在いませんが」

ゼロスか……?

>と、遠まわしに言っているわけだが、はたしてなんにん気がついたのか。

さぁ?何人でしょう……?

>身内にこの症状に蝕まれていて、魔道に精通している控えめな神官。
>
>・・・・・・そんなやつといえば・・・・・・

あの神官しかいませんね

>「話を元に戻しますが、今まで出てきたこの症状。
>精神面を利用した、キメラのようなものだということはわかっていました。この人はそれをコ毒とよんでいるそうですが」
>
>やっぱし『あいつ』か。
>
>「タダこの方法でも、前の精神状態とほぼ同じ状態に近づけるのは可能ですが、完全に治る見込みはむしろ低いでしょう。ですが―――」
>
>いって、くわ!と、目を見開くアメリア。

暴走スイッチON
あとダッシュ(―←これ)は基本偶数になるようにしておいた方が良いんですよ

>「このセイルーンの土地と、わたしたち正義を愛する心があれば、なにもおそれることなんてないわっ!」
>
>ぼうぼうめらめら
>
>バッグに見えないはずの炎が見えた。

温度が合ったらどれくらいなんでしょうかね……?

>・・・・・・おーい。

ちなみに・・・は三つで一つに纏めておいた方が良いですよ

>アメリアは、机の上に片足をのっけて・・・・・・行儀悪いぞ。

貴族なのに……

>エキサイトしている彼女に近づいて、拳を振り上げる。
>
>「なにごとも成せばなる!そう!
>正義と愛と真実さえあれば、わたしたちの明日は―――」

感動符の後には一個スペースを空けると良いんですよ。

>ざざざざ・・・
>
>あたしの視線から逃れようと、いっせいに目線を逸らす貴族たちとガウリイ。

おぉ、流石リナさん一斉に目をそらされましたね

>・・・・・・って、あんたまで目を逸らすか?
>
>ガウリイ・・・・・・あとでとっちめる。

ガウリイ……余計な事をしなければ……。


とても続きが気になるストーリーです。
続き楽しみにしています
以上水野でした

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34385Re:白魔術都市狂想曲 25フィーナ 2009/8/30 22:26:11
記事番号34380へのコメント


>初めまして水野です。
はじめまして水野さん。フィーナです。
>おぉ、アメリアがなんだか知的に感じれる……
一応王族なので、こういった公式行事は真面目にしています。今のところは。
>流石セイルーンですね
ただ今回は、そのけっかいの効果を逆手に取られます。
瘴気は削られますが、魔族にとって今は気づかれると困る存在がいますから。
>>「治療法は、患者さんの意識を呼び覚ますため、その人の意識を浮上させる方法をとっています。
>>意識を浮上させるため、薬草や家族。その人にとって、身近な人のこころからの応援など、意識を強く持たせてから治療を図っています」
>なるほど【病も気から】ですね
肉体的ではなく、精神に複数の存在がせめぎあってる状態なので、術をかけられた人自身の気力が必要なんです。
>>「本人たっての希望で、匿名希望の神官です。その人は現在いませんが」
>ゼロスか……?
ゼロスではありません。人間の神官です。
>>身内にこの症状に蝕まれていて、魔道に精通している控えめな神官。
>>・・・・・・そんなやつといえば・・・・・・
>あの神官しかいませんね
ゼロスではありませんが、途中ゼロスは傍観者として登場する予定です。
リナたちのまえには、姿を見せませんけど。
>>いって、くわ!と、目を見開くアメリア。
>暴走スイッチON
>あとダッシュ(―←これ)は基本偶数になるようにしておいた方が良いんですよ
ということは二つですか。
>>「このセイルーンの土地と、わたしたち正義を愛する心があれば、なにもおそれることなんてないわっ!」
>>バッグに見えないはずの炎が見えた。
>温度が合ったらどれくらいなんでしょうかね……?
触れる前に一瞬で消えてしまう。それぐらい高温の炎です。
>>アメリアは、机の上に片足をのっけて・・・・・・行儀悪いぞ。
>貴族なのに……
アメリアですから。
>>ざざざざ・・・
>>あたしの視線から逃れようと、いっせいに目線を逸らす貴族たちとガウリイ。
>おぉ、流石リナさん一斉に目をそらされましたね
一度呪文をぶっぱなしましたから、当然といえば当然の反応。
>>・・・・・・って、あんたまで目を逸らすか?
>>ガウリイ・・・・・・あとでとっちめる。
>ガウリイ……余計な事をしなければ……。
ご愁傷様です
>とても続きが気になるストーリーです。
>続き楽しみにしています
>以上水野でした
感想ありがとうございました水野さん。

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34390白魔術都市狂想曲 26フィーナ 2009/9/2 15:17:56
記事番号34231へのコメント


「そのはなし、本当なのか?」

「ああ。間違いないよ。
現にカイルもオーナーも、それは承知のうえでいるんだからな」

開店前の下準備で、そのホストは手を休めてそういった。

「爵位の乗っ取りだと気づいたときには、ときすでに遅かったんだな。
カイルも、まさか父親であるアルベルト卿の狙いがそれだったなんて知らなかったみたいだし」

・・・・・・しっかし、爵位乗っ取りのために自分の息子を監視につけるか?

マーシュ卿の弱みを探れといって。

「マーシュ卿は男爵にさげられて、男爵だったアルベルトは子爵に就任。
男爵のマーシュ卿の発言は、届く前にアルベルト卿によって握りつぶされたって、その当時は噂だけの状態だったから」

「噂だけでも調べようとは思わなかったのか?」

「あー。無理無理。
子爵の手回しで、オーナーの信用は失墜してたから」

あたしの問いに、そのホストはぱたぱた手を振りそういった。

「さっきいってた、フレデリカの浪費癖による屋敷の維持費などの経済難。風俗店の無許可経営ってことか」

「はやいはなしが、ここのことさね」

なるほど。

どうやらアルベルト卿は、予想以上の狸だったわけか。

この店も、今でこそ軌道に乗っているが、その当時は嫌がらせも多く挫折しそうになったという。

その中には、当然アルベルト卿も一枚かんでいたのだろう。

この店が軌道に乗り始め、失墜していた信用も回復していったのは数年前だという。

嫌がらせも次第に少なくなり、ホストの数も増え、リピーターとなったお客さんの口コミで評判にもなったらしい。

アルベルト卿は嫌がらせを続けていたが、爵位を元に戻されるのを恐れたらしく、金でゴロツキを雇って嫌がらせを実行させるにとどまっているという。

公(おおやけ)の場所でマーシュ卿に対しアルベルトが険悪な態度だったのは、ただ仲が悪いだけでなく、後ろ暗さをごまかすためでもあったのか。

その身が人為的に割とすぐに不幸になっても、誰からも咎められることもなく、逆に感謝されそうな子悪党というわけだ。

「ところで、カイルのことなんだけど」

「俺がどうかしたっすか?」

噂をすればなんとやら。

カイルはソファーにひょっこりこしかけて、しかしその手は休まずにセッティングしていたりする。

「くちを動かすのもいいっすが、ちゃんと手も動かしてほしいっす」

「あー。すまん」

話にふけっていたそのホストは、気まずげな様子で謝った。

「病気かなんかしらないっすけど、それが公表されたおかげで、ホストも人手が足りないんすからね」

そうなのだ。

例の症状が公開され、それが様々な憶測を呼び込んで、勤めていたホストのうち数人も顔を見せなくなった。

アメリアからの情報によると、その症状を緩和させる薬草は、今は在庫はあるものの人数が増えるにつれ、なくなる可能性が高くなるという。

『会議が始まる数日前から、薬草を届けてくれるよう。
その薬草が多く群生している場所にいる人に、持ってくるよう頼んでいるから問題はないかと思うけど』

とは、そのアメリアの談であるが。

「お客さんも不安で一人しか来なくても、一人でも多くの人が来てもらうように俺らが頑張らないといけないっす」

「相変わらずオーナー贔屓(びいき)なんだな。カイルは」

「当たり前っすよ!
親父と違って、変わらずに接してくれるオーナーに報いるためにも、しょげてられないっす!」

テーブルのセッティングに満足そうにうなづいて、カイルはその場から立ち去ろうとした。

「カイル」

「なんっすか?リオ」

「ちょっと聞きたいことがあるんだ」

「誘いの話ならお断りっすよ。俺はオーナーに一筋っすから」

「いや、そうじゃなくて」

・・・・・・マーシュ卿・・・・・・

いったいカイル以外に何人引っ掛けているんだろう?

あんまし知りたいとは思わんが。

「それじゃあ仕事のことっすか?
わからないことがあったら、俺じゃなくて他のホストのほうが分かりやすく教えてくれるっすよ」

「仕事のことでもなくて」

「悪いけど、あとにしてくれないっすか?
もうすぐ開店っすし、休憩に入ったときにきくっす」

「わかった」

ここで引き下がっても仕方がない。

あたしはそう答え、他のホストたちの手伝いにむかった。

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34406白魔術都市狂想曲 27フィーナ 2009/9/5 00:30:42
記事番号34231へのコメント


店は予想通りというべきか、いつもよりも少なかった。

リーリアをはじめとする常連は来ていたが。

ガウリイは店のすぐそばで待機中である。

店内は武器の持ち込みは禁止となっていて、いざというときのためにあたしのショート・ソードも彼に持ってもらっている。

ヴラはというと。

観光はこうじゃなくてはと、事件があったのをいいことに店を出て町をふらつきまくっているらしい。

なんとも気ままというか、マイペースなやつである。

店内は多少にぎやかさにかけたが、談笑する声やグラスを傾ける音など活気付いていた。

そんな中で、初めて訪れた女がいた。

巨乳好きでなくても、大概の男は目を奪われそうなプロポーションもさることながら。

男心をくすぐる、胸を強調するような、派手な装いの漆黒の服。

銀髪で少し切れ目なアイス・ブルーの瞳の美女だった。

ホストたちの多くは、彼女のはだけられた胸元に集中していた。

・・・・・・男ってやつは・・・・・・

何の反応もせずに対応しているのは、オーナーをはじめとする数人だったりするが・・・・・・

さすがにオーナーである。

「女の武器は胸だけじゃないわよ。ね?リオ君」

「へ?・・・・・・あ、ああ」

隣で飲んでいたリーリアに突然話題を降られ、あたしはとっさにうなずいた。

「よかったー♪私てっきりリオ君も、胸のおっきいひとが好きなんだと思って」

「まあ・・・・・・あったほうがいいとはおもうけど」

コンパクトサイズのコンプレックスをつっつきまくる銀髪の女に、あたしは内心沸き起こるものを抑えながら言った。

彼女の周りにいるホストたちは、鼻の下を伸ばしまくっている。

「でも好きな人とずっと一緒にいられるならいいとおもわなイ?」

「いいっすねー」

女の言葉に、聞いていたカイルはくびを縦に振った。

「けどなんか重くねぇ?四六時中あいてに束縛されるなんて」

「いくら好きな相手とはいえ、たまには息抜きさせろっていっちまうよな」

「じゃあワタシだったらどうするノ?」

「喜んでお付き合いさせていただきますよ!」

「ああてめぇ抜け駆けしようとするな!」

「やめんか!客の前だぞ!」

掴みかかってあわや乱闘になろうとしたとき、オーナーの喝がとぶ。

「しつけが行き届いておらず、不快な思いをさせてしまったことをお詫びいたします」

「いいのヨ。これぐらい元気があったほうが都合もいいシ」

「は?」

「なんでもないワ」

聞き返すオーナーに、女は妖艶に微笑んだ。

「それよりこのあとお時間あるかしラ」

「もうしわけございませんが、私はこの後用がありまして」

「あらザンネン」

オーナーの返答に、女は気を悪くした様子も見せず、一人の体格のいいホストのあごを持ち上げた。

「ねえあなタ。このあと時間空けれるかしラ?」

「お望みとあれば朝まで」

「ほかのヒトたちモ、ワタシのところにくル?」

とたん彼女に群がるように集まる男たち。

さながら、蜜に群がるアリ。

「こういうときに、男の悲しい性(さが)を垣間見るよね」

「・・・・・・そうだな」

いつものように、あたしを指名したリーリアと、その様子を覗き見ながらいうあたし。

ちょっとした騒ぎになっているところから抜け出したカイルと、その様子に多少顔をしかめたものの、特に何を言うでもなく仕事に戻るオーナー。

「リオ君も、胸のおっきい人がタイプなの?」

「いや、そーゆー訳じゃないんだ」

「そうなんだー♪」

実は女ですとは、今更いうに言えれない。

「それに、女の子なら胸がおっきくなる方法なんていくらでもあるんだから」

リーリアは、バーボンを片手にその様子を遠巻きにみながらそういった。

聞き捨てならないセリフにあたしは、

「ほんとか!?」

身を乗り出しいうあたし。

「ほんとうよー♪」

彼女が嘘をついている様子はない。

・・・・・・なんということか。

・・・・・・こんな・・・・・・

こんなところで、胸の救世主に遭えるとは・・・・・・!

どこかにいるはずの神に、あたしは生まれて初めて感謝した。

今まで、胸をおっきくしようと牛乳をたらふくのんだり、あたしと同じ悩みを抱える女性と協力したりと色々試してみた。

・・・・・・結局、牛乳はいくらのんでもおっきくならず。

その女性の作ったものが、ただの腫れるだけのものだとわかったときの、あの絶望感。

そのことを知ったナーガに、さんざんバカにされまくった苦い記憶が走馬灯のようにかけめぐる。

それが・・・・・・それが、こんなところで・・・・・・!

それほどまでに、彼女の後光は輝いて見えたのだ。

まかりなしにも、彼女は黄金竜である。

あたしたち人間より長い時を生きているのだから、そんな方法を編み出していたとしても過言ではない。

種族は違えど、性別は同じなのだから悩みを抱えた竜が、バスト・アップに成功したとしてもなんの不思議もない。

もし・・・・・・もしもそんな方法があったら、あたしの胸もたおやかな膨らみを・・・・・・!

「そ・・・・・・それって、どうやるのか教えてくれないか!?」

「え?」

ほんのり顔を赤らめるリーリア。

「ちょ・・・・・・ちょっと駄目よリオ君!こんなところでそんなこと・・・・・・」

「今すぐ知りたいんだ」

「で・・・・・・でも、ここは人が多いし私も心の準備ってものが」

彼女は、どこか慌てたようなこころなしか嬉しそうな顔でパタパタ手を振り、

「や・・・・・・やっぱり、私としてはリオ君と清く正しく交換日記から始めて、お互いの事をよく知り合ったほうが・・・・・・!」

どこか微妙に会話がかみ合っていないような気がしたが、ここで逃したら夢のバスト・アップが遠のいてしまう。

「リーリア」

彼女の手をとり、上目遣いでリーリアを見上げる。

自分を見上げる美少年(くどいようだがあたしのことである。男装しているだけであって本当に男な訳じゃない)の潤んだ熱っぽい瞳。

「リ・・・・・・リオ君?」

「教えてくれないか?リーリア」

彼女の髪を一房手に掴み、ちゅっ、と口づける。

「そ・・・・・・それじゃあ、宿で一室取ってくるからまっててね?すぐに戻るから」

リーリアは、とろんとした様子で席を立ち、出口へと向かっていった。

・・・・・・あたし・・・・・・

ひょっとして、なにか間違えたんだろーか?

リーリアがでてしばらくたったとき、二人の男が乱暴な足取りで店の中に入ってきた。

さーておまちかねの、ゴロツキたちの登場である。

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34407Re:白魔術都市狂想曲 27kou 2009/9/5 09:14:27
記事番号34406へのコメント

どうも、kouです。
>店は予想通りというべきか、いつもよりも少なかった。
 まぁ、ヘンな奇病………もとい、魔族の暗躍があるような町ですから
>リーリアをはじめとする常連は来ていたが。
 と、言うか彼女は魔族ならすぐわかるだろうし………むしろ解決の糸口になってくれる気が………。
>ガウリイは店のすぐそばで待機中である。
>
>店内は武器の持ち込みは禁止となっていて、いざというときのためにあたしのショート・ソードも彼に持ってもらっている。
 まぁ、リナは呪文も唱えられるから大丈夫だしね。
>ヴラはというと。
>
>観光はこうじゃなくてはと、事件があったのをいいことに店を出て町をふらつきまくっているらしい。
 ヴラって人間なのかねぇ。本当に……。久しぶりに来たと行っていたしリーリアが竜だって気づいたし、魔族じゃないだろうけれど………。
>なんとも気ままというか、マイペースなやつである。
>
>店内は多少にぎやかさにかけたが、談笑する声やグラスを傾ける音など活気付いていた。
>
>そんな中で、初めて訪れた女がいた。
>
>巨乳好きでなくても、大概の男は目を奪われそうなプロポーションもさることながら。
 やっぱ、女は見た目なのか!?
>男心をくすぐる、胸を強調するような、派手な装いの漆黒の服。
 ナーガですか?
>銀髪で少し切れ目なアイス・ブルーの瞳の美女だった。
 よかった、違った。良かった。良かった。
>ホストたちの多くは、彼女のはだけられた胸元に集中していた。
>
>・・・・・・男ってやつは・・・・・・
 全く持ってですね。
>何の反応もせずに対応しているのは、オーナーをはじめとする数人だったりするが・・・・・・
 その人達ってオーナーの毒牙にかかっていたりするとか同類の方々でしょうか?
>さすがにオーナーである。
 さすが?
>「女の武器は胸だけじゃないわよ。ね?リオ君」
>
>「へ?・・・・・・あ、ああ」
>
>隣で飲んでいたリーリアに突然話題を降られ、あたしはとっさにうなずいた。
 つーか、胸の大きい女は嫌いなんだよね。リナ
>「よかったー♪私てっきりリオ君も、胸のおっきいひとが好きなんだと思って」
>
>「まあ・・・・・・あったほうがいいとはおもうけど」
>
>コンパクトサイズのコンプレックスをつっつきまくる銀髪の女に、あたしは内心沸き起こるものを抑えながら言った。
 おちつけ、リナ。大きいと年をとるとたれるらしいぞ。(なぐさめのつもり)
>彼女の周りにいるホストたちは、鼻の下を伸ばしまくっている。
 あはははは。
>「でも好きな人とずっと一緒にいられるならいいとおもわなイ?」
>
>「いいっすねー」
>
>女の言葉に、聞いていたカイルはくびを縦に振った。
>
>「けどなんか重くねぇ?四六時中あいてに束縛されるなんて」
>
>「いくら好きな相手とはいえ、たまには息抜きさせろっていっちまうよな」
>
>「じゃあワタシだったらどうするノ?」
 なんか、この女しゃべり方があやしい。語尾がカタカナなのが………。
 様子のおかしい人か………はたまたそれを生み出す元凶の一つか?
>「喜んでお付き合いさせていただきますよ!」
>
>「ああてめぇ抜け駆けしようとするな!」
>
>「やめんか!客の前だぞ!」
>
>掴みかかってあわや乱闘になろうとしたとき、オーナーの喝がとぶ。
 まったく、なさけねぇ。
>「しつけが行き届いておらず、不快な思いをさせてしまったことをお詫びいたします」
>
>「いいのヨ。これぐらい元気があったほうが都合もいいシ」
 どうやら、後者のようだったようだな。
>「は?」
>
>「なんでもないワ」
>
>聞き返すオーナーに、女は妖艶に微笑んだ。
>
>「それよりこのあとお時間あるかしラ」
>
>「もうしわけございませんが、私はこの後用がありまして」
>
>「あらザンネン」
>
>オーナーの返答に、女は気を悪くした様子も見せず、一人の体格のいいホストのあごを持ち上げた。
>
>「ねえあなタ。このあと時間空けれるかしラ?」
>
>「お望みとあれば朝まで」
>
>「ほかのヒトたちモ、ワタシのところにくル?」
>
>とたん彼女に群がるように集まる男たち。
>
>さながら、蜜に群がるアリ。
 蜜は蜜でも毒入りの蜜かそれとも甘い甘い罠か………。
>「こういうときに、男の悲しい性(さが)を垣間見るよね」
>
>「・・・・・・そうだな」
>
>いつものように、あたしを指名したリーリアと、その様子を覗き見ながらいうあたし。
>
>ちょっとした騒ぎになっているところから抜け出したカイルと、その様子に多少顔をしかめたものの、特に何を言うでもなく仕事に戻るオーナー。
 まぁ、女性をあがめ奉るのもホストの仕事かもしれないしね。
>「リオ君も、胸のおっきい人がタイプなの?」
>
>「いや、そーゆー訳じゃないんだ」
>
>「そうなんだー♪」
>
>実は女ですとは、今更いうに言えれない。
 胸の大きい人はむしろ殺意をわく方です。
>「それに、女の子なら胸がおっきくなる方法なんていくらでもあるんだから」
>
>リーリアは、バーボンを片手にその様子を遠巻きにみながらそういった。
 たしか、もむと大きくなると聞いた事あるけど………。
>聞き捨てならないセリフにあたしは、
>
>「ほんとか!?」
>
>身を乗り出しいうあたし。
>
>「ほんとうよー♪」
>
>彼女が嘘をついている様子はない。
>
>・・・・・・なんということか。
>
>・・・・・・こんな・・・・・・
>
>こんなところで、胸の救世主に遭えるとは・・・・・・!
 いや、そう言う意味での救世主はとっくにあっているという説があるんですけど………。ねぇ、ガウリィさん
>どこかにいるはずの神に、あたしは生まれて初めて感謝した。
 いや、感謝されても困ると思いますが
>今まで、胸をおっきくしようと牛乳をたらふくのんだり、あたしと同じ悩みを抱える女性と協力したりと色々試してみた。
>
>・・・・・・結局、牛乳はいくらのんでもおっきくならず。
>
>その女性の作ったものが、ただの腫れるだけのものだとわかったときの、あの絶望感。
 おもわず、呪文をぶっとばすほどの怒りでしたね。
>そのことを知ったナーガに、さんざんバカにされまくった苦い記憶が走馬灯のようにかけめぐる。
 いや、大きければいいていう訳じゃ無いし……。
>それが・・・・・・それが、こんなところで・・・・・・!
>
>それほどまでに、彼女の後光は輝いて見えたのだ。
>
>まかりなしにも、彼女は黄金竜である。
 関係あるのか?
>あたしたち人間より長い時を生きているのだから、そんな方法を編み出していたとしても過言ではない。
 いや、たぶん彼女の行っていることはそう言うのは無関係だと思われる。
>種族は違えど、性別は同じなのだから悩みを抱えた竜が、バスト・アップに成功したとしてもなんの不思議もない。
 竜のバスト・アップって?竜の状態で見てもわからんと思うのは気のせいでしょうか?
>もし・・・・・・もしもそんな方法があったら、あたしの胸もたおやかな膨らみを・・・・・・!
>
>「そ・・・・・・それって、どうやるのか教えてくれないか!?」
>
>「え?」
>
>ほんのり顔を赤らめるリーリア。
 それって、セクハラだと思う。
>「ちょ・・・・・・ちょっと駄目よリオ君!こんなところでそんなこと・・・・・・」
>
>「今すぐ知りたいんだ」
 だから、セクハラだよ。セクハラ。だれか止めてやれ。
>「で・・・・・・でも、ここは人が多いし私も心の準備ってものが」
>
>彼女は、どこか慌てたようなこころなしか嬉しそうな顔でパタパタ手を振り、
 そりゃなぁ。
>「や・・・・・・やっぱり、私としてはリオ君と清く正しく交換日記から始めて、お互いの事をよく知り合ったほうが・・・・・・!」
>
>どこか微妙に会話がかみ合っていないような気がしたが、ここで逃したら夢のバスト・アップが遠のいてしまう。
 かみあってねえよ。気付よ。冷静になれ
>「リーリア」
>
>彼女の手をとり、上目遣いでリーリアを見上げる。
>
>自分を見上げる美少年(くどいようだがあたしのことである。男装しているだけであって本当に男な訳じゃない)の潤んだ熱っぽい瞳。
>
>「リ・・・・・・リオ君?」
>
>「教えてくれないか?リーリア」
>
>彼女の髪を一房手に掴み、ちゅっ、と口づける。
>
>「そ・・・・・・それじゃあ、宿で一室取ってくるからまっててね?すぐに戻るから」
 お〜〜い。どうするんだ。
>リーリアは、とろんとした様子で席を立ち、出口へと向かっていった。
>
>・・・・・・あたし・・・・・・
>
>ひょっとして、なにか間違えたんだろーか?
 今頃気づくな。
>リーリアがでてしばらくたったとき、二人の男が乱暴な足取りで店の中に入ってきた。
>
>さーておまちかねの、ゴロツキたちの登場である。
 まっていたのか。………。
 まぁ、それでどさくさ紛れてそれどころじゃなくなるのをお願いします。
 以上、kouでした。まぁ、シンプルな方法って言うのはシンプルだからこそ効果あるんですよね。
 でも、………。リオ………もう知らん。と、言いたい。

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34414Re:白魔術都市狂想曲 27フィーナ 2009/9/7 00:33:41
記事番号34407へのコメント


>どうも、kouです。
おひさしぶりです。おそくなりましたがお返事を。
>>リーリアをはじめとする常連は来ていたが。
> と、言うか彼女は魔族ならすぐわかるだろうし………むしろ解決の糸口になってくれる気が………。
うーん…じつは彼女…この後…
>>ヴラはというと。
>>観光はこうじゃなくてはと、事件があったのをいいことに店を出て町をふらつきまくっているらしい。
> ヴラって人間なのかねぇ。本当に……。久しぶりに来たと行っていたしリーリアが竜だって気づいたし、魔族じゃないだろうけれど………。
魔族ではないですね。
>>そんな中で、初めて訪れた女がいた。
>>巨乳好きでなくても、大概の男は目を奪われそうなプロポーションもさることながら。
> やっぱ、女は見た目なのか!?
大体は第一印象で見た目で選ぶ人が多いみたいです。
>>・・・・・・男ってやつは・・・・・・
> 全く持ってですね。
まあ…男ってやつは年取ろうが…
>>何の反応もせずに対応しているのは、オーナーをはじめとする数人だったりするが・・・・・・
> その人達ってオーナーの毒牙にかかっていたりするとか同類の方々でしょうか?
毒牙にかけられた人や、リナみたいな貧乳…ごほん!
そういうのが好きな人とか色々ですね。
>>コンパクトサイズのコンプレックスをつっつきまくる銀髪の女に、あたしは内心沸き起こるものを抑えながら言った。
> おちつけ、リナ。大きいと年をとるとたれるらしいぞ。(なぐさめのつもり)
なぐさめどころか、火に油そそいで
>>「じゃあワタシだったらどうするノ?」
> なんか、この女しゃべり方があやしい。語尾がカタカナなのが………。
> 様子のおかしい人か………はたまたそれを生み出す元凶の一つか?
元凶のほうです。
>>掴みかかってあわや乱闘になろうとしたとき、オーナーの喝がとぶ。
> まったく、なさけねぇ。
同感です。
>>「お望みとあれば朝まで」
>>「ほかのヒトたちモ、ワタシのところにくル?」
>>とたん彼女に群がるように集まる男たち。
>>さながら、蜜に群がるアリ。
> 蜜は蜜でも毒入りの蜜かそれとも甘い甘い罠か………。
この場合は両方ですね。
>>ちょっとした騒ぎになっているところから抜け出したカイルと、その様子に多少顔をしかめたものの、特に何を言うでもなく仕事に戻るオーナー。
> まぁ、女性をあがめ奉るのもホストの仕事かもしれないしね。
他のお客さんのアフターサービスも疎かにするなと思ってはいます。
>>「それに、女の子なら胸がおっきくなる方法なんていくらでもあるんだから」
>>リーリアは、バーボンを片手にその様子を遠巻きにみながらそういった。
> たしか、もむと大きくなると聞いた事あるけど………。
くふふふ(怪しい含み笑い)
>>こんなところで、胸の救世主に遭えるとは・・・・・・!
> いや、そう言う意味での救世主はとっくにあっているという説があるんですけど………。ねぇ、ガウリィさん
某所にて待機中のG氏。
G:へっくしょ!風邪でもひいたかな?
>>あたしたち人間より長い時を生きているのだから、そんな方法を編み出していたとしても過言ではない。
> いや、たぶん彼女の行っていることはそう言うのは無関係だと思われる。
もはや、リナさんにはそこまで頭が回らない状態です(笑)
>>「そ・・・・・・それって、どうやるのか教えてくれないか!?」
>>「え?」
>>ほんのり顔を赤らめるリーリア。
> それって、セクハラだと思う。
セクハラだと、リナさんは気づいていません。
>>「ちょ・・・・・・ちょっと駄目よリオ君!こんなところでそんなこと・・・・・・」
>>「今すぐ知りたいんだ」
> だから、セクハラだよ。セクハラ。だれか止めてやれ。
…男装していなければ、女同士の和やかな語り合いなのに。
>>「や・・・・・・やっぱり、私としてはリオ君と清く正しく交換日記から始めて、お互いの事をよく知り合ったほうが・・・・・・!」
>>どこか微妙に会話がかみ合っていないような気がしたが、ここで逃したら夢のバスト・アップが遠のいてしまう。
> かみあってねえよ。気付よ。冷静になれ
バスト・アップに気をとられていて、それどころではありません(笑)
>>「そ・・・・・・それじゃあ、宿で一室取ってくるからまっててね?すぐに戻るから」
> お〜〜い。どうするんだ。
それはもう、めくるめく大人の世界へ思いをはせています。リーリアさんは(遠い目)
>>さーておまちかねの、ゴロツキたちの登場である。
> まぁ、それでどさくさ紛れてそれどころじゃなくなるのをお願いします。
さすがにそれを実行させたりしません。
そもそも、リオは後ろに控える連中を脅し…証拠を掴むためゴロツキたちから情報を聞き出そうとしてるんですから。
> でも、………。リオ………もう知らん。と、言いたい。
リーリアに修羅場が訪れます。あとひとりも過酷な目に…

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34419Re:白魔術都市狂想曲 27セス 2009/9/7 21:45:41
記事番号34406へのコメント

こんばんは、フィーナさん。

>・・・・・・なんということか。
>
>・・・・・・こんな・・・・・・
>
>こんなところで、胸の救世主に遭えるとは・・・・・・!
>
>どこかにいるはずの神に、あたしは生まれて初めて感謝した。
今まで感謝したことなかったのか、君は・・・ってリナらしいといえばらしいような・・・
>
>今まで、胸をおっきくしようと牛乳をたらふくのんだり、あたしと同じ悩みを抱える女性と協力したりと色々試してみた。
>
>・・・・・・結局、牛乳はいくらのんでもおっきくならず。
>
>その女性の作ったものが、ただの腫れるだけのものだとわかったときの、あの絶望感。
>
>そのことを知ったナーガに、さんざんバカにされまくった苦い記憶が走馬灯のようにかけめぐる。
劣等感を刺激されまくるリナがなんか可愛いです(笑

続きを楽しみにしております。

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34421Re:白魔術都市狂想曲 27フィーナ 2009/9/7 23:11:26
記事番号34419へのコメント


>こんばんは、フィーナさん。
こんばんは。セスさん。
>>どこかにいるはずの神に、あたしは生まれて初めて感謝した。
>今まで感謝したことなかったのか、君は・・・ってリナらしいといえばらしいような・・・
ヒネくれた人生送ってて、ンなもんに頼る前に実行に移してたんじゃないかなと。
>>今まで、胸をおっきくしようと牛乳をたらふくのんだり、あたしと同じ悩みを抱える女性と協力したりと色々試してみた。
>>・・・・・・結局、牛乳はいくらのんでもおっきくならず。
>>その女性の作ったものが、ただの腫れるだけのものだとわかったときの、あの絶望感。
>>そのことを知ったナーガに、さんざんバカにされまくった苦い記憶が走馬灯のようにかけめぐる。
>劣等感を刺激されまくるリナがなんか可愛いです(笑
そして、さらに性格とかがヒネくれたと。
これからさきも、リナはヒネくれた人生を送ることかと思われます。
>続きを楽しみにしております。
ありがとうございました。セスさん。

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34420白魔術都市狂想曲 28フィーナ 2009/9/7 22:58:19
記事番号34231へのコメント

「おいおい!ここは人様に高額の金で酒のまそうとしているぼったくりバーかよ!」

「ざけんじゃねぇぞ!こら!」

店に入るなり、手近なものを蹴りながら、人相の悪い連中がいちゃもんをつけにきた。

「責任者出てこい!」

「私がここのオーナーをしているものです」

彼は、堂にいった様子で一歩前に出た。

「おうおう!ずいぶん羽振りがいいみてぇだが、おれらもあやからせてもらうぜ!」

「まさか金だけ取ってかえそうとは思ってないだろ?だすもんだしてもらおうか!」

「申し訳ございませんが、当店はお客さまのような方を招き入れるとも、雇おうともしておりませんのでお引取りいただけないでしょうか」

丁寧な言葉遣いとは裏腹に、内容はかなり過激なことを言っていたりする。

「んだと!こら!」

「どうしてもとおっしゃるのなら、模擬面接を受けていただきましょうか」

「模擬面接だと」

「この面接に受かることが出来たら、この非礼をわびて慰謝料を支払います。
今は仕事中ですので、面接の場所はこちらの指定の場所で行うことになりますが。面接に合格したならあなた方を採用。または客として迎え入れます」

「上等じゃねぇか!」

「吠え面かかせてやる!」

要約すると、売られたケンカは買いましょう。営業の邪魔にならない場所で。

相手を、さんざん煽っておいて挑発したのだ。

この人も、中々いい性格をしているみたいである。

「裏口面接は、俺がするっす」

そう申し出たのはカイルだった。

「立会人として、誰か一人ついてもらおう。面接の際に不正行為の防止役に」

「あ!だったら、リオにきてほしいっす」

カイルは、こちらに近づき手を置いた。

こちらに聞こえるか、きこえないかのような小声で。

「人目のない場所のほうがいいみたいっすし。はなしとやらは、その時にきくっす」

ふむ。

この様子だと、オーナー以外であたしのことを見破ってるとみていいだろう。

「こちらで決めさせてもらったが、特に依存はないな」

カイルの案内で、裏口から外へ出る。

「カイル」

戸口から出る際、彼は扉をくぐろうとしていたカイルを呼ぶ。

オーナーに呼び止められ、カイルは振り返った。

「なんすか?」

「面接の不可は任せるが、報告は怠るなよ」

「わかってるっすよ」

「・・・・・・それと」

「それと?」

「あまり張り切りすぎて、怪我するなよ」

ついでのように付け加えられたセリフに、彼は満面の笑みを浮かべた。







ゴロツキたちには、悪いとは全然思ってもいないが。

盛り上がらないんで、省略。

あたしが呪文を唱える前にカイルが動き、彼の圧勝だったということを、ここでついでに付け加えておく。







あっさり二人をノしたカイルは、パンパン手を叩きながらこちらを振り返った。

騒ぎを起こすようにいわれた。

と、いっていたこいつらは、とりあえず抵抗できないように縄で縛り、懐から金目のものを没収してからそこらに転がしておく。

この手の三下は、悲しい使いパシリである。

二人を脅してみたものの、依頼した人間の特徴が食い違っている。

依頼した人間も、火の粉がかからないよう人を通してこいつらを雇ったのだ。

とりあえず、こいつらがただの当て馬である以上。

こちらの様子を伺っている『誰かさんたち』に、カマをかけてみるか。

「それで、開店前に何かいってたっすね。俺に聞きたいことがあるって」

目の前にいるこのカイル。

流れるような隙のない動きは、訓練を受けた者に見受けられるものだった。

ゴロツキたちは、あたしが出るまでもなく地面に伸びている。

「間違ってたらすまんが、あんたとアルベルト卿との関係について。
直接本人に聞いたほうがいいかとおもってな。あんたとアルベルト卿ってほんとうは」

「俺が親父の実子ではなく、養子だってことっすか」

やっぱりか。

「あんたとアルベルト卿。
雰囲気とか容姿とか、共通点見当たらなかったから」

「俺は親父が経営している養護施設の中から、養子としてホーエンハイム家にきたっす。
親父に愛人とか多くつくっても、親父の身体に異常があって子供が出来ないのは皆知ってるっすから。
・・・・・・親父本人は特に気にも留めていないっすけどね。本当に怖いのは、赤の他人より血の通った人間だって」

権力持ってる人間なら、遺産問題とかけっこードロドロしているもんである。

「聞きたいのはそれだけっすか?」

「あんたいまアルベルト卿の屋敷にいるんだよな」

「そうっすけど」

「マーシュ卿とアルベルト卿仲悪いんだろ?一緒の屋敷に顔あわせて平気なのか」

「オーナーは、親父と同じ空気を吸いたくないといって、付き合ってた相手の家に転がり込んでるっすよ」

「へ?」

あっさりといわれ、あたしは間の抜けた声を出した。

「相手は留守にしていて、隠し持っていた合鍵で出入りしてるっす」

「隠し持っていたって・・・・・・本人の許可は?」

「とってないっす」

「は?」

「オーナーは、『事後承諾で容認させる。渋るようなら力づくで無理やり説得させる』っていってたっすから」

「いいのか?ンな乱暴な手段とって」

「さあ。けど、家が焼けた非常事態なんだから、別にいいんじゃないっすか」

・・・・・・こいつ。

マーシュ卿以外の相手には扱いがぞんざいなのな。

それとも、一種の独占欲の表れなのだろうか。

「今までは、親父は旅行といってたっすけど、本当は愛人の家にいたんす。
ただ、今回のことがあって後ろめたいことをしてたのか屋敷に戻ってきたんすよ」

「あんたは、マーシュ卿の傍にはいないのかよ?」

「オーナーの屋敷が焼けたときは、同棲もしていたし、それ以上のことも色々してたっすけどね。
親父が戻ってきた後は、オーナーのところへ仕事のことでよることはあっても、プライベートでは誘いを入れたり、食事に出かけたりする程度のことしかしていないっす」

それだけでも、たいしたことなのだが。

「俺からもいいっすか?」

「なんだよ」

「できれば、地声で言って欲しいっす。
本名は聞いてないから名前は偽名で呼ばせてもらってるけど、そのしゃべりかたきいてて違和感ないけど地声きいてみたいっすよ」

「物陰で様子見ているやつがいるんでパス」

「そのうち、痺れを切らせてむこうから仕掛けてくるっすね」

あのゴロツキたちが注意をこちらに向けさせ、それにまぎれて仕掛けるつもりだったみたいだが、出番を挫かれ様子を伺ってるといったところか。

「アルベルト卿の屋敷の見取り図で、隠し部屋みたいな場所って心当たりあるか?たとえば書斎とか」

カイルは、うーんと考え込み、

「・・・・・・親父がいない間は、部屋のあちこちをみて回ったっすけど、そういったのは覚えがないっす」

「ふむ。そっか」

「リオたちが屋敷の探索に選ばれたんすよね」

唐突に、カイルは切り出した。

そろそろか。

気配を殺している連中から、静かな敵意が膨れ上がっていく。

あたしがカイルから聞いていたのは、彼らを誘い出す意味も含まれていたのだ。

「オーナーから聞いてるっす」

「ああ。そう」

屋敷という単語に、かすかな反応。

貴族に雇われた連中か。

思ったとおりの展開である。

口の中で呪文を唱えるあたし。

闇に潜む陰は、ゆっくりと滑らかに動いた。

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34427白魔術都市狂想曲 29フィーナ 2009/9/8 23:53:50
記事番号34231へのコメント

闇夜に浮かぶその姿は、典型的な黒ずくめ。

そのほかにも、あちこちから気配を殺してるのが何人か。

どうやらプロの暗殺者が何人かいるみたいである。

路地裏や屋根の上。

暗殺者たちは、殺気を完全に消している。

どうやら分散してこちらを迎えてくれてるみたいである。
 フレア・アロー
「 炎 の 矢 !」

まずは先手必勝!

不意打ちではなった炎は、路地裏にいた奴に迫る。

しかし相手は慌てず騒がず、身をかわし、一気に間合いをつめた!

それに続くように接近する複数の影。

時間差をかけての追撃か。

確かに悪くない戦術である。

ただし、あたし一人を相手にしていたらの話だが。

横手から来た一閃で崩れ落ちる黒ずくめ。

「よう。こんなに大勢で近所迷惑じゃないのか?」

剣を携えて言うガウリイ。

じりじりと距離を狭め、暗殺者たちは一斉に動いた。

ガウリイは突っ込んできた一人をきりふせ、そいつが持っていたナイフを影がわだかまる場所に投げ入れる。

「がっ!」

苦鳴が聞こえ、崩れ落ちる影。

一瞬動きが止まったやつに蹴りを入れ、よろめいたところを一閃した。

「リナ!受け取れ」

彼は、鞘にさしたまんまのあたしの剣をこちらにほうる。

「サンキュー!ガウリイ!」

ショート・ソードを彼から受け取り、ちゃき!とかまえる。

刹那の睨み合いの後。

ショート・ソードを抜き放ち、そのまま集団に突っ込むあたし。

ちらつかせるあたしの剣に、彼らは警戒の色を浮かべ。
 メガ・ブランド
「 爆 裂 陣 !」

ぼごぉぉん!

放った呪文で吹っ飛ぶ彼ら。

ショート・ソードはフェイントである。

頭上で生まれる殺気!

とっさに前に跳ぶ。

ききん

屋根の上にいた奴が投げナイフを放ったのを、あたしはかわし距離をとる。

ずるり

そいつは突然バランスを崩し、屋根から落ちる。

みると、そののどもとには一本のナイフが正確に突き刺さっていた。

「店の前で派手にやるのは気が進まないんすけどね。オーナーに怒られるし」

身構える集団に、カイルは気楽な口調で言うと、どこから取り出したのか数本のナイフを放つ。

「ぎゃ」

「ぐっ!」

カイルがナイフを放つたびに聞こえる声。

倒れる黒ずくめたちの咽もとを、正確にナイフが刻んでいた。

一寸の狂いもなく。

よほどの腕がないと、まず不可能な技である。
 フリーズ・アロー
「 氷 の 矢 !」

数本の氷の矢を、ガウリイと対戦している暗殺者に放つ。

こちらの動きにまで気をつけていなかった数人が倒れふす。

きぃぃん

こちらに切りかかる暗殺者の剣を、ショート・ソードでなんとか凌ぎ、大きく間合いを取るのと同時。
 フレア・アロー
「 炎 の 矢 !」

あたしの術は、背後に十数本の炎の矢を生み出した。

「!?」

きゅごごご!

驚愕の気配と爆煙。

なにもこの炎の矢。

別に術者の正面に出現させるだけではない。

呪文にちょいとアレンジを加えてやれば、後ろに出現させることも可能である。

あたしの背後に回りこんでいた暗殺者は、その一撃でこんがりコゲてるのを視界の隅にとらえ、
 フリーズ・アロー
「 氷 の 矢 !」

呪文詠唱もなしに、『力ある言葉』のみで発動した氷の矢は、あたしに切りかかった暗殺者を氷づけにした。
                                フリーズ・アロー
ショート・ソードに組み込んであるマジック・アイテムに、 氷 の 矢 を一部ストックしていたのだ。

「ちっ。マジック・アイテムか」

その様子を見ていた黒ずくめは、小さく舌打ちをこぼす。

立ち振る舞いからすると、かなりの使い手のようだが。

暗殺者たちの数は、かなり減らしたものの、彼らの戦意はまだ失ってないみたいである。

リーダー格であろう。

貫禄のある暗殺者の視線は、ナイフを弄んでいるカイルに向けられていた。

陽気にパタパタ手を振るカイル。

「折角お越しいただいたところ悪いっすけど、店の前でのごたごたは遠慮してしいっす」

「いやだ・・・・・・と、いったら」

ひゅ

がっ!

カイルの手が動いたと思ったとたん、その暗殺者がいた場所にナイフが突き刺さっていた。

少しはなれたところには例の暗殺者。

「いまのはわざと避けやすいようにしたっす。次はないんじゃないっすかね」

やはり、変わらぬ気楽な口調で言うカイル。

暗殺者はしばし沈黙し、ポツリとつぶやいた。

「・・・・・・飼い犬に成り下がったか」
 ファイアー・ボール
「 火 炎 球 !」




っどごぉぉん!




その隙を逃さず、あたしの呪文が炸裂した!

こちらの命を狙っている手前、それを逃がすあたしじゃない。

呪文を唱える時間はたっぷりあった。

数人は、とっさに飛びのく。

あたしの呪文をかろうじて避けた彼らの動きが一瞬凍りつく。

「ちっ」

「目撃者か」

数人の暗殺者の視線が物陰に注がれていた。

「・・・・・・なに?いまの」

声は、後ろから聞こえた。

明かりに灯される、淡い金髪。

「みられたか」

「女。命が惜しければ、ここから立ち去れ」

「さもないと」

彼女に詰め寄る暗殺者数人。

やめといたほうがいいと思うぞ。

彼女に手を出すのは。

暗殺者たちは殺気をみなぎらせ、いっせいに彼女に跳びかかる!

「いっやぁぁぁっ!」

ごめ!

げしばきょ!

ど派手な音立て、吹っ飛んだのは暗殺者たちのほうだった。

この場合、相手がふつーの華奢なやつなら、女性のほうが圧倒的に不利なのだが。

いかんせん、相手が悪すぎた。

彼女は人間よりも、ぶっちぎって魔力や戦闘力が桁違いに強い。

なにせ彼女は、人ではないのだから。

彼女に襲い掛かった暗殺者君たちは、そのままピクリとも動かなかったりする。

「・・・・・・ひくぞ」

暗殺者の号令一つで遠ざかる気配。

今まで倒れてたやつらも、自力で退却したか、仲間に担がれていったのか知らないが。

忽然と姿が見えなくなっていた。

やれやれ。

リーリアの、痛いくらいの視線を感じつつ、物思いにふけるあたし。

とにかく、今の襲撃でわかったのは。

やはりこの事件。貴族の誰かが一枚かんでるということである。
ライティング
  明 り  の呪文で町並みを照らされている中、彼女・・・・・・リーリアは物陰からこちらに視線を注いでいた。

「・・・・・・どういうことなの?」

リーリアは、呆然とこちら――

あたしをみつめながらそういった。

「どういうことって?」

とりあえず、そういってみる。

先ほどの戦闘で、自慢の髪の毛の一部が、栗色のカツラから少し外れていたりする。

今のを見られていたのか。

誤魔化すことも一瞬考えたが、髪の毛もでてるからちょっと無理があるか。

呪文を唱える際は、地声で言っていたし、ガウリイも名前であたしの事を呼んでたからなー。

「リオ君・・・・・・あなた」

淡い金髪の彼女の肩は、小さく震えていた。

「女の子・・・・・・なの?」

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34435Re:白魔術都市狂想曲 29セス 2009/9/11 19:22:43
記事番号34427へのコメント

こんばんは、フィーナさん。


>暗殺者たちは殺気をみなぎらせ、いっせいに彼女に跳びかかる!
>
>「いっやぁぁぁっ!」
>
>ごめ!
>
>げしばきょ!
>
>ど派手な音立て、吹っ飛んだのは暗殺者たちのほうだった。
>
>この場合、相手がふつーの華奢なやつなら、女性のほうが圧倒的に不利なのだが。
>
>いかんせん、相手が悪すぎた。
>
>彼女は人間よりも、ぶっちぎって魔力や戦闘力が桁違いに強い。
>
>なにせ彼女は、人ではないのだから。
>
>彼女に襲い掛かった暗殺者君たちは、そのままピクリとも動かなかったりする。
ふっ・・・愚かなことを。
自業自得とはいえ、ちょっと哀れかもしれません(笑


>「リオ君・・・・・・あなた」
>
>淡い金髪の彼女の肩は、小さく震えていた。

>「女の子・・・・・・なの?」

ありゃあ、ばれちゃいましたか、ついに・・・(汗




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34439Re:白魔術都市狂想曲 29フィーナ 2009/9/11 21:36:13
記事番号34435へのコメント


>こんばんは、フィーナさん。
こんばんは。セスさん。
感想ありがとうございます。
>>彼女に襲い掛かった暗殺者君たちは、そのままピクリとも動かなかったりする。
>ふっ・・・愚かなことを。
>自業自得とはいえ、ちょっと哀れかもしれません(笑
書いている途中。どうせならレーザー・ブレスで、ちゅっどーん!としたほうがよかったかな?と思いました。
>ありゃあ、ばれちゃいましたか、ついに・・・(汗
ばれちゃいました。ついに。
二通りの選択肢で少し悩んでいます。
ひとつは、「リオ君なんかー!」
もうひとつ。「きゃん♪リオ君・・・じゃなくて、リナちゃ〜ん♪」
結末は変わらないんですけど、それによって彼女の立ち位置が微妙に変化するんです。
もしよろしければ、どちらかに一票入れて欲しいのですが。

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34440Re:白魔術都市狂想曲 29セス 2009/9/11 23:11:57
記事番号34439へのコメント

どうも、フィーナさん。

>>ありゃあ、ばれちゃいましたか、ついに・・・(汗
>ばれちゃいました。ついに。
>二通りの選択肢で少し悩んでいます。
>ひとつは、「リオ君なんかー!」
>もうひとつ。「きゃん♪リオ君・・・じゃなくて、リナちゃ〜ん♪」
>結末は変わらないんですけど、それによって彼女の立ち位置が微妙に変化するんです。
>もしよろしければ、どちらかに一票入れて欲しいのですが。

ええと、それじゃあ・・・「きゃん♪リオ君・・・じゃなくて、リナちゃ〜ん♪」のほうを見てみたいと思います。

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34442投票しますkou 2009/9/12 07:39:47
記事番号34439へのコメント

どうも、kouです。
>二通りの選択肢で少し悩んでいます。
>ひとつは、「リオ君なんかー!」
>もうひとつ。「きゃん♪リオ君・・・じゃなくて、リナちゃ〜ん♪」
>結末は変わらないんですけど、それによって彼女の立ち位置が微妙に変化するんです。
>もしよろしければ、どちらかに一票入れて欲しいのですが。
 え〜と、ここにレスを入れて良いのかどうか少し不安ですけれど………投票しようと思ってここでレスを書きます。
 あえて言うなら、「きゃん♪〜〜」の方をお願いしたいですね。
 リナは大変だろうけれど………。

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34448Re:そんなに「きゃん♪」をみたいのか…フィーナ 2009/9/12 17:11:29
記事番号34442へのコメント


>どうも、kouです。
kouさんどうも。
>>ひとつは、「リオ君なんかー!」
>>もうひとつ。「きゃん♪リオ君・・・じゃなくて、リナちゃ〜ん♪」
> え〜と、ここにレスを入れて良いのかどうか少し不安ですけれど………投票しようと思ってここでレスを書きます。
> あえて言うなら、「きゃん♪〜〜」の方をお願いしたいですね。
> リナは大変だろうけれど………。
はい。では二票入りましたので「きゃん♪」の展開にもっていきます。
…しかしそんなにみたいのか?
猛獣使いの技能は対ナーガで培われたので特に問題はないんですけど。

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