◆−裏路地−くみ (2008/7/27 20:26:14) No.33615
 ┗Re:裏路地−d (2008/8/7 17:32:16) No.33630
  ┗d 様−くみ (2008/8/11 20:34:29) No.33640


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33615裏路地くみ URL2008/7/27 20:26:14


はじめまして。
普段は違うジャンルで二次創作をやっているのですが、レボ放送でカッとなり、思わず書き殴ってしまったくみと申します。
ネタが浮かんだら、ちょいちょい投稿させて頂きたいと思いますので、どうぞ仲良くしてやって下さい。。

一番のヲタ期に読み漁った小説であるスレイヤーズ。
リナとガウリイのコンビが大好きでした。
大好き過ぎて、あまりやり取りが書けなかった…苦笑











■裏路地■



人気のない裏路地。
日付も変わる深夜ともなれば大通りに並ぶ店の明かりも消え過ぎる人も疎らだ。
裏路地となれば更に人は減る。
だというのに、その少女は独り悠然と歩いていた。
華奢で小柄な身体はひどく頼りなく、ふわりと揺れる鳶色の長い髪は何かを誘うよう。
ただ、爛々と燃えるような赤い大きな双眸が意思の強さを、生命の輝きを感じさせる。

儚い印象を与える容貌に、それは不似合いとすら思える程に強い光だった。


「お嬢さん可愛いね〜一人?」
「一緒に飲みに行かない?」
声を掛けてきたのは、にやにやといけ好かない笑みを浮かべた、育ちが良いとはお世辞にも言えない
二人の男だ。
歩く速度を変えずにそれを一瞥し、少女は無言のまま足を進める。
「何処行くの?」
「ね?この街の子じゃないよね?遅くまでやってる店、案内してあげよっか」
こちらが無視を決め込んでいるにも拘わらず、しつこくついて来る男達に少女は嘆息する。
苛立たしげにぶるぶると頭を振る姿は、少女の儚げな容貌には似つかわしいくない。
少女は嘆息しながらこっそりとごちた。


全く、こんなはずではなかったのだが。

先程から何人に声を掛けられただろう。その殆どは無視を決め込んでいれば諦めたというのに、
この男達はしつこい。
しつこいにも程がある。
このしつこさならば、攻撃呪文の一つもブチ噛ました所で誰があたしを責められようか!
いや、責められる筈がない!!

唇の片方だけを器用に持ち上げ、にたりと不穏な笑みを浮かべる。

少女がぴたりと足を止め、ぶちぶちとごちだしたのを見て男達は勝手な解釈をした。
「あ。店行く?あっちなんだけど」
少女が足を止めた事を、こちらの話しに興味を持ったと取った男がにたにたと笑い、少女の肩を
抱いて引き寄せた。

「…離してくれる?あんた達に付き合ってる暇はないの」

この小さな唇から出たのかと疑うような強い言葉に一瞬面食らったが、自分達への強がりだろうと
更に笑みを深めた。
「まあまあ。勿論奢るし」
「女の子に人気の店なんだ」
「奢り…?」
その言葉にピクリと反応した少女に、男達は畳み掛けるように言葉を続ける。
「勿論!」
「お腹空いてるなら、そこのピザがお勧めなんだ〜生ハムとモッツァレラが絶妙で!」
「デザートも充実してて、クレームブリュレが絶品」
少女はごくりと喉を鳴らした。
夕飯から4時間は経っている。
動いて居たため、小腹どころか『晩御飯』を食べれる程に腹が空いている。
「お、奢りなら行こうかな〜?」
「勿論勿論!」
「さ、早く行こう」
「おい」
男達がにやりと笑みを交わした瞬間、気配も無く掛けられた声に二人は喉の奥で悲鳴を上げ、少女
は小さく舌打ちをした。
慌てて振り返ると、嫌味のような容貌の男が憮然とした面持ちで佇んでいる。

サラサラと流れる金髪は腰まであり、切れ長の双眸は夏の青空のように澄んだ碧。
すっと通る高い鼻に薄く形の良い唇。
男達が見上げる程の長身は無駄なく鍛えられており、絵本に描かれている王子様のように(絵本の
王子様は、もう少し線が細いが)完璧な美貌の男だった。

その完璧な美貌の男が、碧い双眸に剣呑な光を称えてこちらを見据えている。
男達がピシリと音を立てて凍り付いたのを確認すると、美貌の男はふわりと光を緩めて少女を
見遣った。

「仕事中だろうが」
「え、えへ」
「えへじゃない」
「だってお腹空いたんだもん!それに奢りよ奢り!ここで行かなきゃ女が廃るってもんよ。
人間失格よっ」
「なんだよそりゃ…」
「とにかく!三時間歩き回ってそれらしい奴は出て来ないし、お腹は空いたし!
今日はもうおしまい!」
「ったく我が儘だな」
「どこがよっ!じゅーぶん我慢したわ!!」
「はいはい」
「髪が傷むでしょーが!」
「はいはい、宿屋に戻ろうなー?」
「子供扱いすんなっ」
日付も変わった深夜だというのに、段々と遠退いて行くけたたましいやり取りを、男達はただ無言
のまま見送った。

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33630Re:裏路地2008/8/7 17:32:16
記事番号33615へのコメント

お上手ですね〜奢り、という言葉に反応してこくりと咽をならすリナちゃんがまたかわゆい。どきどきしちゃいました^^また書いてほしいです!

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33640d 様くみ URL2008/8/11 20:34:29
記事番号33630へのコメント

わーー
感想ありがとうございます!!!
嬉しいです〜


大好き過ぎて、掛け合いとかがあまり出来なかったので
リベンジしたいと思います!!

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