◆−闇色奇想曲。−百鬼夜源。 (2006/10/28 11:37:16) No.32843
 ┗闇色奇想曲。−百鬼夜源。 (2006/10/28 12:01:47) No.32844


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32843闇色奇想曲。百鬼夜源。 2006/10/28 11:37:16


全ての者は無から始まります。
光は真っ暗な無から輪を描いて生まれました。
闇は眩い無から輪を描いて生まれました。

全てはそこから始まりました。

「光の螺旋律」

眩い無から輪を描いて生まれた。
闇から生まれた覇者の娘。
闇から生まれた覇者の部下。

闇から生まれた少女の騎士。

疑うことも、偽ることも知っている少女でした。

少女は自分を生み出した覇者を敬愛していました。

誰よりも深く。
誰よりも純粋に。

だけど。
だからこそ。

少女は悲しみながらも、覇者の言葉を受け入れました。


『なにゆえ、たかが道具の名前に拘る必要がある?』


どこまでも嘘のない。
どこまでも偽りない、その言葉を。

尋ねた自分を責めるわけなく、少女はその言葉を胸に刻みました。


「シェーラ!」


その後。覇者との謁見の間を後にした少女に話しかけてきた少女の同僚は。
少女の心とは変わって、とても心配そうな表情をしていました。


「グラウ……、どうしたの?」

「あんな、うち……。え〜っと……そのな、……聞いちゃったから……」

「何を?」

「覇王様と、シェーラとの会話。うちが言うのんもなんやけど。

 あんまり、抱えんほうがいいで。後々の仕事に響くさかい」


同僚の言葉に少女は何処までも優しく、幸せに満ちた表情で答えました。


「何言ってるの。グラウ」

「え……」

「あの言葉は、失敗の続いている私へのあの方からの戒めなのよ。

 気高いあの方が、そんなに軽々しく他者を見下す言葉を使うわけないじゃない」


同僚は見つめていました。
言葉もなく。

少女の純粋な瞳を。
その奥の狂気の兆しを。


「その戒めを糧に、次の命を成功させよと仰っているのよ」


少女にとって覇者はすべてでした。

偽りのない、世界の真理でした。

だけど。
それゆえに。

少女は狂ったのかもしれません。

自暴自棄に。全てを犠牲に。
覇者からの命を遂行しようとして。

間違っていたのは少女でしょうか。
そう作り出した覇者でしょうか。

眩い無から輪を描いて生まれた。
闇から生まれた覇者の娘。
闇から生まれた覇者の部下。
闇から生まれた覇者の道具。

闇から生まれた少女の騎士は。

今。

暗い海の底に眠っています。



<落書き>
他の覇軍のメンバーを書いてみようと思いまして凄く失敗しました百鬼夜源です。
使いまくっていたら単語登録もしていないのにHNが一発で出ます。
驚きです。

グラウだのグロウだの、とのことで、グラウのほうにしました。
京都のような大阪のような、方便になった理由は定かではないです。

シェーラはこんな性格じゃない、という突っ込みは心の奥底にしまってください。(−−;)

それでは、失礼します。


追伸

タイトルは、BGMのタイトルそのままです。
いい曲なので、知らない方は探してみてください。




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32844闇色奇想曲。百鬼夜源。 2006/10/28 12:01:47
記事番号32843へのコメント

本能という名に基づく力の暴走

制御できぬが故の負の感情は彼らにしか味わえない

『Blaze Up』

広い広い焼け野原。いくつもの死体が転がる戦場。
今、1つの命が終わりを告げようとしていた。
瓦礫にもたれ、折れた剣を握り締めている戦士の少女は虚ろな目で空を見ている。
鉄の香りのする風が吹くたび彼女の長い桃色の髪はサラサラとゆれ、
肩の深い傷から流れる血は細い腕をつたい、地面に赤い水たまりを作った。
「苦しい?」
その姿を正面から眺めていたフィブリゾは笑顔でたずねる。
少女は曇った青い瞳で自分より幼い少年を映し、そっと微笑んだ。
「苦しいんだな」
独特の口調の優しく、か細い声。
「もうすぐ死ぬの?」
「うん、死ぬんだな」
「死にたくない?」
「どっちでも、いいんだな。出来れば、綺麗なまま、死にたいんだな。でも、叶わない事なんだな。」
少女はフィブリゾから視線を外し、再び空を見る。
赤黒くなった、黄昏の空を。
「もろいね」
フィブリゾは呟いた。
「あんなに僕らの軍をやっつけてたのに、怪我でこんなになっちゃうなんて」
「人には、限界があるんだな。君にだって、魔族にだって、あるんだな」
「君が滅ぼした魔族の中に、僕の大事な部下がいたんだ。冥神官。僕の直属がね」
フィブリゾのさわやかな笑顔には先ほどと違い、明らかな殺意と憎しみが見える。
少女は無言だった。気にも留めていないようだ。
「将軍の方ももういないし。どうしてくれるのさ。大事な物をうばっていってさ」
「君たちだって、私の大切な人たちを、うばったんだな。あいこなんだな」
「あいこ?バカにするなよ。たかが人間ごときと同格にしないでよ」
「でも神官、あのひとは、負けても、仕方がなかったんだな」
少女は同情の目でフィブリゾを映す。
「あのひとは、制御できてなかったんだな。未熟、だったんだな。負けても、仕方なかったんだな」
「ふざけるな!!」
怒鳴り声が戦場に響く。
「僕のつくった神官だぞ!未熟だなんて事ある訳ない!!それに今まで成果を挙げていた!力もちゃんと制御できていた!」
「力じゃ、ないんだな」
「!?」
「あのひとは、感情が、制御できてなかったんだな」
「感情?」
「感情は、行動を起こすとき、一番、関係してくるものなんだな。あのひとは、怒りで、それを、うまく、あやつれなかった……」
「感情……アハハハハ!!」
先ほどと打って変わって、嘲笑が響いた。
そしてフィブリゾは少女を睨み付けた。
「僕らにそんなものある訳ないだろ!? 一番厄介で愚かで醜いもの、いらないよ!」
「醜いは綺麗、なんだな。今は、そう言っていても、そのうち、欲しがるんだな。君は」
「そんな口を聞いて、ただで済むと思ってるの?」
「もうすぐ死ぬから、いいんだな。死は、一番の罪の償い方なんだな」
「……変な奴……」
そう低く呟くと、少女から視線を逸らした。
「最後に教えてよ、名前。僕の部下を消した忌まわしい奴の名前
 どうせ、すぐ忘れるけどさ」
少女は、笑った。
いままでのどの笑顔よりも安らかな表情で。
「私は……」


しばらくして、少女は動かなくなった。
フィブリゾは手をかざす。すると黒い空間に飲み込まれ、少女は塵1つ残らず消滅した。
(……変な名前だったな)
ほぅ、とため息をつくと、彼自身もまた空間へと消える。
動くもののない戦場だけが残されていた。


<落書き>
部活で使うために買ってもらったUSBの中身を整理していたらアラ不思議。
出てきたので投稿しました。

冥王様の性格が分かりません(きっぱり。

Blaze up って直訳するとぱっと炎などが燃え上がるって感じらしいのですが。
人の怒りの時にも使うようなので。

本人、そんなこと後調べで。
また曲のイメージからとってます。

この曲のCDは持ってません、来週注文したのが届きます。

それでは、乱文失礼しました。

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