◆−セイルーン姉妹珍道中 55−神高 紅 (2006/6/18 16:23:03) No.32569
 ┗Re:セイルーン姉妹珍道中 55−夢月なつか (2006/6/22 16:05:21) No.32581
  ┗遅筆すぎてすいません・・・−神高 紅 (2006/6/25 23:15:30) No.32591


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32569セイルーン姉妹珍道中 55神高 紅 2006/6/18 16:23:03


紅:うっーす皆様。死にそうなまでの筋肉痛に襲われている紅です。。
コ:コウ=カオス=デスティニーだ。まあ好きに呼べ。
ク:どうもクロス=デスティニーです・・デスちゃんとは・・呼ばないで下さい・・
紅:いいかげんぐだぐだもいいところなこのシリーズ第55話目!
コ:自分で言うな。
紅:言いたくないわ。とにもかくにも若干ハイテンションで第55話目、スタートです。

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それはどこまでも幻想的な光景だった。
湖に人がいた。蒼い髪の美女が。
それだけなら取り立てて騒ぐことではない。ああ水浴びでもしているのか、その程度の情景しか浮かぶまい。
しかし、その女性が湖のど真ん中で立っていたのなら話は別だ。
つま先で水面の上に立ち、くるくると華麗に回転している様は女神すらも思わせる。

「―――――♪」

よくは聞き取れない、だが確かに彼女は歌っていた。
目をつぶり、舞いながら、歌い、謡い、詠い、謳っていた。
私はそれに引き寄せられるように近づいていき、そして――――――


第55話『ソングオブガールズ』


険しい山道を、三人は突き進んでいた。
そこは地元のものですら迷う、深い深い森の奥だった。

「そろそろ、ね」

「ええ、ふもとの村で聞いた場所はこの辺りです」


時は今よりしばらく前、三人はこの名も無き山のふもとの村である依頼を受けた。
つくなり村長の家に招待され、食事とともに切り出されたのだ。
今この村で起きているとある事件を解決して欲しい、と。
三人は問い返した、それは一体どんな事件なのかと。っそれに俯きながら村長は話す。
神隠し、それも男だけの・・・それが今この村で起きている不可解な事件であった。
無論対策を講じなかったわけではないが・・・この手のパターンで誰かが調べに言ったらむやみやたらに被害を拡大するだけだと誰かが言い出し未だ実行出来ずにいた。
そんなおりにアメリアたちがこの村にやってきた。まあ通りすがったと言った方が正しいが。
これ幸いと、村長は三人に依頼をもちかけたのだった。
神隠しの原因を調べ、出来るなら消えた人たちを救って欲しいと。
決して安くは無い依頼料と食事と正義感とで三人はこれを受けたのだった。
それに三人は興味もあった。何人か帰ってこれた人たちが話した、歌が聞こえたという話に。


やがて三人は広い広い湖にでる。
そして聞いた、湖の奥から響いてきた、綺麗な音を。

「聞こえる・・・歌が・・・空耳じゃないわよね?」

「ええ・・・私にも聞こえますから」

「場所は・・・この湖の奥!」

別に誰が見ているわけでもないが、びしいと湖の奥を指差す。

「でも霧がかかっていて、この先に何があるのか見えませんね」

そう、もう太陽が頭上にまできている時間だというのに、湖の上には不思議な霧がかかっていた。
それでなくともこの山はどこか薄暗い印象が合った。

「船もないみたいですし、魔法で行くのはリスクがありますからねえ」

「そうねえ・・・・・・あっ、大丈夫なんとかなるわよ」

思案顔のナーガだったがすぐに何かに気付き、笑顔で後ろの二人のブイサインを作ってみせる。
そのポーズと笑顔に、思わずアメリアとレミーは一歩後ずさり嫌な予感を浮かべていた。
まあ、こんな時の嫌な予感って百パー当たるしね。



「ほーっほっほっほっほ!行くのよ!」

ナーガが先頭で前を指差し。

「うえー・・・気持ち悪いですー」

アメリアが足元を気持ち悪そうに見つめ。

「うあ・・・ねちゃねちゃする・・・」

レミーが嫌な一言を発する。

「もう、ノリ悪いわよあなたたち。真面目にしなさいよ」

二人は同時にあんたが言うな、という視線を送ったがそれを受けているナーガは気にもしない。
まあ二人のテンションが上がらないのも無理は無い。
今彼女たちは湖の上をさほど早くない速度で移動している。無論『浮遊』も『翔封界』も使ってはいない。
ならばどうしたか?答えは簡単、ある生物の上に乗って移動しているのである。
皆さん薄々気付いているだろうが・・・そう、ナーガの人徳の賜物。巨大な『クラゲ』に乗って移動しているのだ。
アメリアもレミーも思いっきり嫌がったが、結局押し切られる形でこうなった。同情します、お二方・・・
何故そんなものが此処にいるのかはおいおい説明するが、ともかくそのクラゲがいるのを感知したナーガがそのクラゲを呼び寄せ、船代わりに利用したのである。

―――閑話休題―――
とにもかくにも三人は確実に湖の中心部に向かっていた。
そしてそれとともに謎の歌もはっきりと聞こえてくる。
急に霧が晴れる。いや違った、霧が晴れたのではなく元から其処には霧が無いのだ。
湖の中心、そこから半径五十メートル程にわたって霧がないのだ。
上から見れば其処だけぽっかりと穴があいているように見えるだろう。
さらにその中心、一人の青髪美女が両手を掲げ歌っていた。
思わず三人もそれに見入りかける。
唐突に、歌が止む。
いつのまにか彼女はこちらの方を向いており、その口元には薄い笑みをたたえていた。

「それで・・・ワタシになにか用かしら人間さん?」

思った以上に可愛らしい声に戸惑いつつも、三人はここに来た目的を思い出す。

「失礼は承知で尋ねます。この山のふもとの村で人がいなくなる事件がありました。何か心当たりはありませんか?」

「つまりワタシを疑ってるってことでショ?」

「いえ、あくまでこれは」

「気にすることないわよ。あながち間違ってもないんだから」

特に気分を悪くした様子もなく、彼女はくすくすと不敵な笑みさえ見せた。

「その前に一つ、いいかしら?」

「なにかしらぁ?変な黒い人」

「誰が変な黒い人よ!!」

あんただ。つーか誰から見てもナーガに対する評価はそうらしい。
ぎゃーぎゃーと何やら抗議しているが、基本的に全員スルーの方向で。
そんなナーガの代わりにレミーが彼女に尋ねる。

「あなた人間じゃないわよね?一体何者?」

湖にすみついて、歌で人を誘う類の何かなどあまり聞いたことがないが。
山登りが好きなセイレーンなどいるわけないだろうし・・・

「あらわかんない?ワタシはセイレーンのアルルよぉ」

ごめん。いました。つーかいるなよ。
いやいや、何か理由があってに決まって・・・

「なんでセイレーンがこんな山奥なんかにいんのよ・・・」

「だってワタシ山登りが好きだモン」

モンって・・・いやそれにそんないい顔で言われても。
つーかいるもんだね、どんな世界でも変な趣味の人って・・・

「山はいいよね。山は心を癒してくれるわぁ。神様の生み出した文化の極みよねぇ」

嬉しそうに言うのはいいですが、そのネタわかる人少ないと思いますよ。

「まあ、世の中にはもっと不思議な生き物もいるしね」

言いながらナーガの方をちら見するレミーと反論のしようがなくめっちゃ複雑な表情のアメリア。

「ちょっと!あんたたちどーいう意味よそのじと目は!!」

そーいう意味です。自覚しろ。
またも五月蝿く騒ぐ彼女を黙殺する三人。
ナーガをよそに再びアメリアはアルルに問い掛ける。

「アルルさん。あなた自分がセイレーンだと言いましたよね?」

「ええそうよぉ」

そう、たとえ山登りが好きだろうが、川で溺れてようがセイレーンはセイレーンである。
そして、セイレーンと言えば伝承などにもよく出てくる妖精の一種でありその特徴は、

「歌による魅惑。そして魅了されたものからの生気の搾取。それが一般に語られるセイレーン像」

「博識ねぇアナタ。そして覚えておくといいわぁ。魅了に最もかかりやすいのは・・・」

アルルはぱちんと指を鳴らす、すると霧の奥から水の上に立っている十人程のの青年が現れた。
全員が全員虚ろな目をしており、その表情は恍惚とも取れる。そして全くと言っていいほど生気が感じられない。

「彼らのような血気盛んな若者たち」

くすくすと、本当に楽しそうな笑みをうかべるアルル。

「なんて酷いことを・・・一刻も早く皆さんを解放してください!」

「いやよぉ。私の大切なご飯ですもの」

「どうやら実力行使しかないようね」

「別にいいけどぉ。ワタシを倒しても魅了は解けないわよぉ?」

未だ余裕の笑みは崩さないアルル。

「解く方法は唯一つ、それは・・・」

唐突にアルシャの周りに水柱が立つ。
思わず目を覆う三人。恐る恐る目を開くとそこには、

「ワタシに歌で勝つことよぉ!」

なんかまいくもったせいれーんと、よこにかくせいきみたいなのがありました まる
・・・いや、なんだよこの超展開は・・・

「ふっ・・・私のかけた魅了が解きたいならぁ。私以上の歌でもって打ち消すしかないのよぉ」

三人にマイクを投げつけた後、アルルはびしいっと三人を指差す。

「ふっ、そーいうことなら黙っちゃいられないわね」

のりのりですかナーガさん。あとどーでもいいけど拡声器とか男たちはどーやって水に浮いてるんだろう。

「じゃあ早速いくわよ!アルルとやらとくと聞きなさい!私の十八番『幸福の白蛇』を!」

「おお!姉さんの得意なあの歌ですね!」

どんな歌だそれは・・・アメリアも聞いたことあるんだしかも・・・

「さーいくわよ!しーろい!あ、・・・・・・・・・・・・・・」

小指立てつつマイクを握り、歌おうとしたナーガは出だしでその姿勢のままストップする。

「いっけない。歌詞を忘れたわ」

全員見事にずっこける、青年たちまでこけているのはどうだろうか。
後てへっと舌を出して、自分の頭をこつんと叩くさまはちょっとばかし殺意が沸いた。

「アウトー!!!」

「へ?ちょっ、なによこれぇぇぇ!!!?」

ナーガは水中から現れた触手に絡め捕られて、水中に引きずり込まれる。
しばらくして、ぐったりとして磔になったナーガが水中から上がってきた。

「言い忘れてたけどぉ。私に負けるかぁ、失敗したらああなってもらうわよぉ」

アルルはくすくすと笑ってる。多分わかってて黙ってたと思われる。

「くっ・・・姉さんまで!こうなったら仕方ないですね、レミーさんちょっと・・・」

「ふむふむ・・・」

アメリアがレミーになにやらひそひそと耳打ちする。
みるみるレミーの顔が紅潮していく。

「そ、そんな恥ずかしい真似できないわよ!!」

「我慢してくださいレミーさん。私だってあんまり気が進まないんですから」

「じゃあやるなー!!」

なにやらもめてる二人。
それを不思議そうに見つめるアルル。

「ねえ、何の相談かしらぁ?」

「あっもういいですよー。話し合いは済みましたから。じゃあレミーさん歌詞これです」

「ううう・・・こうなりゃやけよ」

なにか吹っ切れた様子のレミーに結構のりのりなアメリア。
・・・・・・なにするかわかったかもしれない。
言ってるうちにも、二人はポーズを揃え、にこっと笑い歌い始めた。


『恋に恋するオンナノコには
まぶしすぎるの マイダーリン(ハート)』

(レミー)「キラキラ ルージュ♪」
(アメリア)「あこがれドリーム♪」
(レ)「ピンクのピーチ♪」

『とどいてほしいの 乙女の祈り

夜空に浮かぶ 銀の小舟
好きと嫌いの 波間にゆれる
小さな胸を キュンキュン焦がし
心は飛ぶの あなたのもとに

おねがい とどいて 乙女の願い
ぜんぶあげちゃう 無垢(きれい)なわたし

恋に恋するオンナノコには
まぶしすぎるの マイダーリン(ハート)』

(レ)「クラクラ コロン♪」
(ア)「ゆらめきドリーム♪」
(レ)「みずいろパラソル♪」

『かなえてほしいの 乙女の願い

夜空に浮かぶ 銀の小舟
好きと嫌いの 波間にゆれる
小さな胸を キュンキュン焦がし
心は飛ぶの あなたのもとに

おねがい とどいて 乙女の願い
投げたキッスはブーメラン
片道キップのブーメラン

ぜんぶあげちゃう 無垢(きれい)なわたし
白い天馬(ペガサス)に想いをのせて
届けたいの
恋のジグソー ラストピース♪』


案の定乙女の祈りでした。歌い終わった瞬間、光が走り、花が舞う。
一回やったことがあるアメリアはともかく、レミーはもう恥ずかしさのあまり死にそうになってる。

「うわー・・・いたたた」

早速復活してるナーガ。まあ身動きは取れないみたいだけど。

「ナーガ!!あんたにだけは言われたくないわよ!」

もはや涙目なレミー。そんなに嫌ならやんなきゃいいのに。

「いや、でもねえ?ぷぷぷ・・・」

「発案して歌った手前、私はノーコメントです」

そこでいきなり、アルルは膝をついた。

「ま、負けたわぁ・・・・・・・・・完敗よぉ・・・」

まじで!?本気で悔し泣きしてるしこの人(セイレーンだけど)

「やりましたねレミーさん!乙女の勝利ですよ」

「もの凄く複雑なんだけど私・・・」

あっという間に周りを覆っていた霧が晴れ、青年たちも正気に戻っていく。

「世界は広いわぁ。まさかセイレーンの私が歌で負けるなんてぇ・・・」

とぼとぼと去っていくアルル。その背中には哀愁とか色々な負の感情が満載だった。

「勝利って何時の世も虚しいものよね」

「勝手に締めてないでこっち手伝ってくださいよ姉さん!」

「こんだけの人数運ぶの大変なんだから」

「てゆーか私未だ磔のままなんだけど。ちょっとアルル戻ってきなさーい!!」


かくして、多大な犠牲の下(主にレミーの羞恥心)世界一どーでもいい戦いはここに終止符が打たれた。
だが人よ忘れるなかれ。山登りが好きなセイレーンがいる限りこの戦いが終わることはないのだ。
・・・・・・多分アルルの他にはいないだろうけど・・・・・・



追伸:ちなみにでっかいクラゲはアルルのペットで自分や男たちもその上に乗ってたみたいです。


(おしまい)

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あとがき

紅:ふー、まさかこれを書き終わるのに、二ヶ月かかるとは思いもしなかったっすよ。
コ:ふざけてんのかお前はよ(ひたすら怖い目つきで)
ク:しかも前書き書いたの・・四月だったですし・・何を考えてんですか・・(ゴミを見る目で)
紅:こ、怖ええ!!い、言い訳を聞いてくれ頼むから!!
コ:いや聞きたくないわ。どーせ忙しかったやら大学やらだろうが。
紅:反論できねえええ!!!
ク:しかも内容までダメ・・どこにも救いがないですね・・
紅:普段割と温厚なクロスにまでえらい言われよう!?
コ:というわけで、な♪
紅:何が!?

―――以下、ネット内で読むには不適切な表現のオンパレードです。大人なら察してください。―――

コ:じゃあな。こんなんでも呼んでくれた方にはホント感謝だ。
ク:まったくですよね・・ではさよなら・・

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32581Re:セイルーン姉妹珍道中 55夢月なつか 2006/6/22 16:05:21
記事番号32569へのコメント

ぶっちゃけ学校から感想かいてます。

友達にみられるまえにとっとと終えようと思っていたのですが、
まさか山登り好きのセイレーンが出てくるとは思いませんでした。

そしてあの歌をアメリアとレミーが歌うとは・・・
・・・歌詞覚えてたんだ・・・

パソコンが古いでせいか、文字がぼやけて目がいたかったりするんですけどそれはともかく
2ヶ月もかかったんですねぇ(としかいえませんごめんなさい・・・)
神高さんの名前みたときは普通にうれしかったですよ。

がんばって100話越してください。
・・・というかよくネタつづきますね。すごいです。

次も楽しみにしてます。

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32591遅筆すぎてすいません・・・神高 紅 2006/6/25 23:15:30
記事番号32581へのコメント

紅:こんばんはなつかさん。タイトルの通り毎度毎度遅くてすいません。ではでは早速レス返し行かせて頂きます。

>ぶっちゃけ学校から感想かいてます。
>
>友達にみられるまえにとっとと終えようと思っていたのですが、
>まさか山登り好きのセイレーンが出てくるとは思いませんでした。

紅:昔リナが言ってたのが参考つーかそのままとゆーか。
コ;ちなみに口調の元ネタはとある人形だったりするな。
ク:そして名前は・・僕っ娘なあの魔導師だったり・・

>そしてあの歌をアメリアとレミーが歌うとは・・・
>・・・歌詞覚えてたんだ・・・

ク:よーするに・・ご都合主義です・・
紅:痛い所を悪気なしで突いてきやがって・・・
コ:(案外こいつわかってて言ってんじゃねえのか?)
ク:?

>パソコンが古いでせいか、文字がぼやけて目がいたかったりするんですけどそれはともかく
>2ヶ月もかかったんですねぇ(としかいえませんごめんなさい・・・)
>神高さんの名前みたときは普通にうれしかったですよ。

紅:すいません次からはなんとかしようと最大限の努力をば・・・
ク:でも・・もうすぐ試験もありますよ・・
紅:今から勉強始めるよ・・・

>がんばって100話越してください。
>・・・というかよくネタつづきますね。すごいです。

紅:歯磨き粉って切れそうでも中々切れないですよね。ようはそーいうことです。
コ:的確なのかよくわからんたとえだな。
紅:とゆーか100話って無茶もいいとこです、すいませぬ。努力だけはしますが。

>次も楽しみにしてます。

紅:はいこちらもレス楽しみにしてます。ではではまた。

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