◆−お久しぶりです・・・−とーる (2006/4/11 19:57:45) No.32450
 ┣紫煙の幻想 19−とーる (2006/4/11 20:09:03) No.32451
 ┃┗Re:紫煙の幻想 19−蝶塚未麗 (2006/4/14 12:50:36) No.32466
 ┃ ┗Re:ありがとうございます−とーる (2006/4/16 12:52:37) No.32469
 ┗紫煙の幻想 20−とーる (2006/5/27 13:20:38) No.32529


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32450お久しぶりです・・・とーる 2006/4/11 19:57:45





お久しぶりの方もそうでない方もこんばんは。
ここの所まったく姿を見せてなかった、とーると申します。

続きを更新しなければ・・・とずっと思っていたのですが
オフで学校やその他諸々の事情都合と
何故か精神的に少し切羽詰ってた時期とが重なり
ここまで遅くなってしまいました
読んで下さっていた方にお詫びいたします

とにかくも一段落する事が出来たので
更新を再開し、序所にペースを取り戻したいと思います
これからもどうぞよろしくお願いいたします



とーる

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32451紫煙の幻想 19とーる 2006/4/11 20:09:03
記事番号32450へのコメント






―憎しみ―










「はああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」


セルネルが作り出したものと比べ物にならないほどの、
瘴気を吸うかのように、
しだいに巨大さを増す虚無がラルトフの周りに集う。
怒りに狂っていながらラルトフはその虚無を完璧に制御していた。
その瘴気と虚無にルヴィリオはすっと目を細めて杖を掲げる。

―――さぁ、お前はこの瘴気の中をどう動く?

これほどの瘴気の渦。
その中心近くにいるのだから、とてつもない感情が渦巻くだろう。



動けなくなりそうなプレッシャー。

身を引き裂いて止まぬ恐怖。

嵐のごとく荒れ狂う恐れ。



ルヴィリオは微動だにせず杖を構えラルトフを見据えている。
その目はとても堅く、崩れぬ意思の強さ。





ゼロスの前で浮かべていた温和な表情など・・・

まるで捨て去ったかのような。





「                 」


ふいにルヴィリオはぽつりと呟いた。
呟かれる言葉にゼロスは眉をよせて聞き入った。

―――何だ・・・、この言葉は?・・・呪文か?
    今まで使わなかったというのに・・・今更になって?


「                  」


「・・・セル・・・ネルを・・・殺した・・・」


「              」


「僕の・・・僕の大切な、セルネルを殺した・・・人間ごときが・・・!!」


それはゼロスは知らない言葉。
呪文ようなものだと分かったがそれも定かにならない。
まったく聞いた事のない言葉だったが、ゼロスは
それを聴いてたった1つ思う所があった。





「                」





―――呪文の響きよりも、
    どこか願いの響きに似ている・・・





願いなど、持った事はなくとも。





光と闇の爆発は一瞬。
ゼロスは爆発の瞬間に素早く結界を張った。
しかし、距離が近かった為に強い浄化にあてられて動けなくなる。
思わぬ失態に舌打ちをして目線を爆発の中心に戻した。


「・・・が、はぁ・・・っ・・・!!」


土煙が収まって晴れてきた視界の向こう。
そこで苦しげに呻きながら倒れいく姿がある。
その姿は地面と接触する寸前に虚空にすうっと消えた。
冥神官ラルトフ。

―――冥将軍、冥神官相手に歯牙もかけないとは。
    ・・・そして先ほどの言葉か・・・

“限定”はした。
これで“決定”が出来た。

そうなればおのずと自分がとるべき道も決まった。

瘴気を纏わせて未だに浄化にあてられている
身体の束縛を解こうとして、振り返る。
貫くは弱弱しくも鋭さを放つ殺気。





「貴様だけはッ・・・!!」





最後の虚無の刃が背後に迫っていた。





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32466Re:紫煙の幻想 19蝶塚未麗 2006/4/14 12:50:36
記事番号32451へのコメント

こんばんは、蝶塚未麗です。
お久しぶりです。
相変わらずのスピーディーなバトルシーン。
ルヴィリオ氏がすごいかっこよかったです。
彼の正体ももうじき明らかとなる様子。
そして、そこからゼロスが今の姿になった理由が語られていくわけですね。
今後どのような展開を迎えるのか気になるところです。


それでは短いですが、これで……

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32469Re:ありがとうございますとーる 2006/4/16 12:52:37
記事番号32466へのコメント



蝶塚さんお久しぶりです。
どうもこんにちは、とーるです。

19話の更新がかなり遅くなりましたが
また読んでくださってうれしいかぎりです。
そうですね。次回か次々回くらいに
正体明らかにしていこうと思っています。
この話もクライマックス直前な所なので
次回も読んでくだされば光栄です。

ではではコメントありがとうございました。


とーる

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32529紫煙の幻想 20とーる 2006/5/27 13:20:38
記事番号32450へのコメント






―呪縛―










地面に倒れこみたい衝動にかられた。
だがルヴィリオは何とか杖にすがって体制を整えた。

びりびりとした感覚が残る。
呪文を唱えた後はいつもこんな状態になる。
こんな余韻に慣れる日などこないだろう。
激しい痛みと吐き気が体を貫くのだから。

痛みなんてものではないかもしれない。
それはいっそ蝕むような呪縛にも似て―――。





奪われた。





その瞬間、ぞくりと背筋が凍りつくかのようだった。
耳の奥でどくどくと鼓動が響く。
その声が頭の中を津波のように直撃しては台風のように暴れ狂う。
ルヴィリオは顔をしかめる。
杖をぐっと握り締めて振るえながら瞳をこじ開ける。

油断すればソレに飲み込まれてしまう。
・・・誰がみすみす自我を飲み込ませるものか・・・。
けれど意識を保っている芯が麻痺してくる。
どろどろとした暗闇の甘美さを持って。





―――飲み込まれてしまえ。痛みなど忘れてしまえ。
    心など失くしてしまえ。





激しい痛みはだんだんと安らぎに変わっていく。
ある意味恍惚のような闇に引きずられる。





うばわれた。ウバワレタ。
タイセツダッタノニウバワレタ。
カノジョガドウカンジテイカナンテ、
ドウオモッテイタカナンテカンケイナカッタ。

タダタイセツダッタ。モウヒトリノジブンダッタ。
イッショニ“ジガ”ガメバエタ・・・タッタヒトリノ―――

ユルスモノカ。

イ カ シ テ タ マ ル モ ノ カ !!





「・・・く、ぁ・・・!!」


声に同調するかのように目の前の世界が
二重になってぼやけていく。



ゆらり。



ふいに体が薄らぐような瞬きを何度か繰り返す。
それに気がついたルヴィリオはさすがに凍りつく。

これは自分の“自我”が消える前兆なのだ。

理性を保つ、心とも言える“自我”が消えれば
人がどうなるものかなどは考えたくもない。
全ての根源である魂そのものが
意味をなさなくなるという事なのだから。

それにどうなるのかなんて知りすぎている。


「私・・・は・・・失う、わけに・・・」


何を?なんて軽い問いかけはいらない。
・・・そんな子供じみた問いかけはもう必要ない。

ぎりっと噛み切る唇の端から顎を伝って
地面にぽたりと赤い雫が落ちていく。


「お前に、飲まれるわけ・・・に、は・・・いかない・・・!」


これが性なのか意地なのかは自分でも分からない。
すでに頼るべき神は混沌へと去った。
だからといって闇に従うなんてありえない。
絶対にアレには。





「―――貴様だけはッ・・・!!」





音になって吐き出された計り知れない怨念に、
ルヴィリオの荒かった息が止まった。
呪縛の篭った虚無の刃が向かうそこに立ち尽くした影が。

しまった。


「ぜ・・・ぜ・・・ろ、す・・・っ!!」






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