◆−『セイルーンの城』 (プロローグ)―――旅の空―――。−猫楽者 (2004/10/28 23:34:30) No.30806
 ┣『セイルーンの城』 (第一話)―――再会はトラブルと共に―――。−猫楽者 (2004/10/28 23:36:02) No.30807
 ┣『セイルーンの城』 (第二話)―――トラブルはトラブルを呼ぶ―――。−猫楽者 (2004/10/28 23:37:27) No.30808
 ┣『セイルーンの城』 (第三話)―――トラブルは続くよ。どこまでも―――。−猫楽者 (2004/10/28 23:38:49) No.30809
 ┣『セイルーンの城』 (第四話)―――もたらされた、知らせ―――。−猫楽者 (2004/10/28 23:40:23) No.30810
 ┃┣新作ですね♪−エモーション (2004/10/29 21:33:04) No.30815
 ┃┃┗ゼルガディスさん。いろんな意味で大変だったりします(汗)−猫楽者 (2004/10/30 00:06:56) No.30818
 ┃┗人生は波乱万丈−棒太郎 (2004/10/30 09:20:46) No.30820
 ┃ ┗今回は、波乱の連続となりそうです(汗)−猫楽者 (2004/10/30 23:27:39) No.30824
 ┣『セイルーンの城』 (第五話)―――ピースの断片―――。−猫楽者 (2004/10/31 23:54:16) No.30834
 ┃┗その呪文は――――−棒太郎 (2004/11/2 23:06:19) No.30844
 ┃ ┗赤の世界に『風』が吹きます。−猫楽者 (2004/11/3 00:31:09) No.30845
 ┣『セイルーンの城』 (第六話)―――敵。 敵?。 味方(?)―――。−猫楽者 (2004/10/31 23:55:50) No.30835
 ┣『セイルーンの城』 (第七話)―――たどり着いた街で―――。−猫楽者 (2004/10/31 23:57:58) No.30836
 ┣『セイルーンの城』 (第八話)―――王宮にて―――。−猫楽者 (2004/11/1 00:00:05) No.30837
 ┣『セイルーンの城』 (第九話)―――館の奥で待つもの―――。−猫楽者 (2004/11/1 00:19:29) No.30838
 ┃┗ギガ・スレとは違う意味でヤバそうな呪文が……(汗)−エモーション (2004/11/1 22:14:12) No.30839
 ┃ ┗危なさでは、伯爵のおもちゃ以上ですね(汗)−猫楽者 (2004/11/2 00:37:18) No.30842
 ┣『セイルーンの城』 (第十話)―――ピースの欠片―――。−猫楽者 (2004/11/6 00:18:06) No.30861
 ┣『セイルーンの城』 (第十一話)―――偽りと婚礼と―――。−猫楽者 (2004/11/6 00:25:32) No.30862
 ┃┣最強のトラブルメーカー、降臨……(汗)−エモーション (2004/11/6 21:19:43) No.30863
 ┃┃┗あのお方に掛かれば・・・敵も味方も関係無しですね(汗)−猫楽者 (2004/11/7 01:05:08) No.30868
 ┃┗地下の亡者を代表して参上(笑)−棒太郎 (2004/11/8 10:10:17) No.30873
 ┃ ┗コピーの10人衆の方にも、出てもらおうと考えていました(笑)−猫楽者 (2004/11/9 02:20:52) No.30881
 ┣『セイルーンの城』 (最終話)―――聖王都の光と影―――。−猫楽者 (2004/11/12 00:38:58) No.30891
 ┗『セイルーンの城』 (エピローグ)―――星の海で―――。−猫楽者 (2004/11/12 00:43:38) No.30892
  ┣完結おめでとうございます−棒太郎 (2004/11/12 19:23:24) No.30896
  ┃┗ありがとうございました。−猫楽者 (2004/11/13 03:22:16) No.30900
  ┗完結おめでとうございます&お疲れさまでした。−エモーション (2004/11/12 22:48:21) No.30897
   ┗ありがとうございました。どうにか完結いたしました。−猫楽者 (2004/11/13 03:29:16) No.30901


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30806『セイルーンの城』 (プロローグ)―――旅の空―――。猫楽者 E-mail 2004/10/28 23:34:30



こんにちは。猫楽者と申します。
読んでみようと思ってくださった心優しい方、ありがとうございます。
少しずつ書いていたものが、やっと出来上がりつつあります。
ゼルガディスさん主役の・・・・ハズ・・・・・のお話です。
カップリングはゼルアメ、ガウリナとなっております。

今日は、プロローグ〜第四話までを投稿させていただきます。
『セイルーンの城』 (プロローグ)―――旅の空―――。
             (第一話)―――再会はトラブルと共に―――。
             (第二話)―――トラブルはトラブルを呼ぶ―――。
             (第三話)―――トラブルは続くよ。どこまでも―――。
             (第四話)―――もたらされた、知らせ―――。
上記のような感じです(感じ・・・というのも・・・変ですが・・・)。
では、よろしくお願い致します。

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『セイルーンの城』 (プロローグ)―――旅の空―――。


  セイルーン王国の北方に位置するカルマート公国。
そのカルマート公国の沖合いの無人島。
無数の暗礁と浅瀬。そして複雑な潮の流れの集まる、航海の難所に位置する小島。
この島が、ある日、姿を消した。
地元の漁師が気付き、付近の漁村で少しの間、話題になったが・・・・・。
それだけで終わるハズだった。
確かにカルマート公国には、なんの影響も及ぼさなかったが・・・・・・。
この島が消えたことが、この事件の始まりであった。



  山道の岩の上に腰をおろし、左手に持った水筒を傾ける。
登ってくる途中、川で汲んだ水は、とても冷たく。
疲れた体の隅々にまで染み入るようだった。

  この前まで、少し動くと汗ばむほどの陽気だったのに、いつの間に涼しくなっている。
そよ風に揺れる銀髪に軽く手をあて、景色を眺める。
山肌に見える木々の葉は、段々と紅く色を変え、後数日で一面を紅く染めるだろう。
あいつにも見せてやりたい。
ふと。そんな考えが頭に浮かび、苦笑していた。
左腰に挿した細身の剣に、ポン、と手を当て立ち上がる。
季節は秋へと向かい、時は過ぎて行く。


 「へっへっへっへっ。
   命が惜しかったら、有り金ぜんぶ置いていきな」
峠道の曲がり角、その向こうから聞こえて来た声に、眉をひそめる。
見ればひとりの老人が10数名の盗賊に、取り囲まれている。

 「まあ、見過ごすわけにもいかんか」
自然とそう思えるようになったのは、やはり自分が少し変わったからだろうか。
厄介ごとと見れば自分から飛び込んでいくような、“自称”美少女天才魔道士や
“悪を倒すことは使命です”。そう言い切る正義の味方のあいつなら。
理由はどうあれ見過ごすようなことはしないだろう。

 「それくらいにしておくんだな。
   どうせ襲うんなら、もっと金を持ってそうな奴を襲おうとは思わないのか」
今の今まで俺に気付いていなかったのだろう。
盗賊たちは、一斉に振り向いた。
手には、それぞれ剣や槍、斧を持った人相の悪いやつらが、俺のことを睨みつけている。
斬り殺すのも、寝覚めが悪そうだな、呪文で死なない程度に吹っ飛ばすか。
周りに隠れている奴らが居ないか、気配を探りつつ。
俺は奴らの側まで歩いて行った。

盗賊のリーダーらしい大男の。
 「囲め」
その声が合図となり、盗賊たちは手馴れた動作で俺を取り囲んだ。

身のこなしを見る限り、そんなに腕の立つ連中ではないようだ。
 「止めとけ。痛い目みるだけ損だぞ」
話し合いに応じるような相手でもないだろうが、と思いながら話してみる。

 「おまえ、“白のゼルガディス”だろ。
   手下も連れないで、どうしたん・・・・・・」
右手に持った片刃の剣を俺に向け、薄笑いを浮かべながら話していた男は。
不意に言葉を、とぎれさせ。
 「まさか・・・・おめえのところまで・・・・やられちまった・・・・なんて言わねぇよな」
顔に、うっすらと汗さえ、にじませ。
恐る恐る呟く男は、とても盗賊団の首領とは思えなかった。

まるで、追い詰められて怯えている動物だな。
そう思いながら考えたが、見た覚えの無い男だった。
 「ま・・・・まあ良いさ。
   このあたりもかなりやばくなって来た、ってのは。
   おまえも、わかってるんだろ。
   生き残るために、俺たちと手を組まねえか」
男は、しばらく俺の返事を待っていたようだが。
無言の俺に、じれたように話を続けた。
 「俺たちカオス・ドラゴンと、おめえのスケルトン。
   このあたりで1、2を争う俺たちが手を結べば、怖いものなんて無い。
   そうは思わねうか」
どうやら、誰かと勘違いしているようだが・・・・・。
まあ、こおいう奴には何を言っても無駄だろうが、一応言ってはみるか。
 「確かに俺はゼルガディスだが、スケルトンとかいう連中とは無関係だぞ」
 「おいおい。そんな全身白ずくめの、無茶苦茶怪しい奴が何人もいるかよ。
   もうちょっと、ましな嘘をつけよな」
何がおかしいのか、そのまま笑う大男につられて、周りの盗賊たちも笑い出す。
奴らの笑い声を聞きながら、俺は呪文を唱えていた。
 「メガ・ブランド」
どどぐぉぉぉんっ!
俺の周りで大笑いしていた盗賊どもが吹っ飛ばされて、やっと静かになった。

 「お前らに、怪しいと言われるとはな(怒)」
 「いや、その格好で言っても説得力ないんじゃが・・・・」
静かに呟いた俺の言葉に、妙な突込みを入れてくる老人。
老人は、薄紫色の菊のような花束を、大事そうに抱きかかえていた。

俺は老人のそばにより。
 「じいさん。大丈夫か」
声を掛けてみた。
 「ああ、ワシは平気じゃが・・・・・。
   盗賊と゜もには気の毒したの・・・・」
 「良い薬だ」

老人はメガ・ブランドの余波でフードが弾け、剥き出しになった俺の顔を、じっと見つめている。
 「しかし真っ白くん・・・・気が短いのう」
予想もしていなかった言葉に、思わず力が抜けた。
老人は、もっとおおらかに生きて人生楽しまなきゃ、損じゃぞ。
なんぞと呟きながら、うんうん頷いている。

真っ白・・・・くん・・・・・気が短い・・・・・って、さらに脱力しながら、どう言い返してやろうか。
そう考えていた俺に、老人は丁寧に一礼し話を続けた。
 「ありがとうな。真っ白くん。
   わざわざ厄介ごとに首を突っ込むと分かっていて。
   助けてくれるような者は、おらんからのう」
 「じいさん。その、“真っ白くん”というのは、止めてくれないか。
   俺にはゼルガディスという名前があるんだが」
 「ほう、ゼルディガスというのか。良い名前じゃのう」
 「ゼルガディスだ」
俺は、がっくりとうなだれて、訂正してみたが・・・・・無駄なような気がしてきた。
どうも老人は苦手だ。

  この良い性格をしたじいさんは、ギジンと名乗った。
俺の名前は、わざとかどうかは知らんが・・・・・覚えられないらしい。
ゼロガディスだの・・・・ゼルガベスだの・・・いろいろ言われたが・・・・・。
結局、ゼルと呼んでくれと言ったのだが・・・・・。

 「それでな。真っ白くん。ワシはこの先のムーリドの町へ行こうとしておったのじゃ」
無視して、あくまで“真っ白くん”、と言ってるし・・・・・。

 「なあ。じいさん。
   俺は普通の人間じゃない・・・・・俺のこと怖くはないのか」
 「な〜に言っとるか」
そう言いつつ、俺の背中を、バンと叩くじいさん。
 「真っ白くんは、ワシのことを助けてくれたじゃろう。
   ワシも伊達に長生きはしとらん。多少なりとも人を見る目は持っておるよ」
俺を叩いた手が痛かったのか。
手にフウフウと息を吹きかける、じいさん。
 「それにな。この年まで生きておると・・・・怖いものは・・・・・うちの奥さんと・・・・。
   娘・・・・くらいのもんじゃよ」
 「いや・・・・・男として親として・・・・・それもどうかと思うぞ」
 「ふっ・・・・・・真っ白くんも・・・・・いずれ分かるときが来るよ・・・・・・」
遠い目をして話す、じいさんの言葉に、なにかこれ以上突っ込んではいけないような気がした。

  ギジンじいさんの話によると。
先ほど、俺の呪文で吹っ飛んだのは、この辺りを縄張りにしているカオス・ドラゴンという盗賊団。
このあたりの盗賊団は、このところ恐ろしい魔物に襲われ、次々に壊滅しているらしい。

盗賊団を襲う魔物か。
ふと。頭に、“自称”美少女天才魔道士の姿が浮かんだが・・・・・・・・。
まさか、そんなこともあるまい。
 「じいさん。魔物のことを何か聞いていないか」
俺の言葉に、ビクッ、と身をすくませるギジンじいさん。
顔色は、真っ白くなっている。
しばらく話すことを、ためらっていたようだが。
ごくり、と喉を鳴らして話し出した。
 「真っ白くんも、聞いたことくらいはあるじゃろう。
   生きとし生けるものすべての敵。世界を滅ぼそうとしておる闇の申し子。
   闇夜を斬り裂く雷と共に現れし、破壊王リナ・インバースの・・・・・・・って、真っ白くん。
   いきなり地面に倒れこんで、どうしたんじゃ。
   どこか怪我でもしたのか」

  いきなり地面に突っ伏した俺に、心配そうな声をかけてくれるのはありがたいが・・・・・・。
返事をする余力は無かった。
ああああああああ・・・・・・あいつは〜また盗賊いじめ、なんぞしとるのか。
ガウリイの旦那も、苦労がたえないな。

よろよろと立ち上がった俺を、じっと見ていたじいさんが、呟いた。
 「面白い剣を持っとるな。
   真っ白くん。“黄の印(イエロー・サイン)”のことを聞いたことはあるかの」


  ムーリドの町の入り口で、ギジンじいさんと別れるつもりだったんだが。
ギジンじいさんは、町に入らず、町の外側の道を歩いて行く。
ついて来るな。とも言われなかったので、俺も一緒に歩いて行った。
やがて、ギジンじいさんは町外れの墓地へと入って行った。

墓地の中を、ゆっくりと歩いて行ったギジンじいさんは。
ある墓石に、花束を供える男の側で足を止めた。
 「ギジン殿か」
 「おまえさん。
   また無茶なことをしとるようじゃの。
   なにをしても・・・・・時は戻らんのじゃぞ」
 「時を戻す・・・・・。
   そんなつもりは無い。
   13年前から止まったままの、時を動かしたいだけだ」
男は、無言で一礼し、ゆっくりと歩み去った。

男が供えたピンクの花束の隣に、薄紫色の菊のような花束を、そっと供えながら。
 「真っ白くん。
   ピンクのネリネの花の、花言葉を知っとるかな」
どこか疲れたような声で呟くギジンじいさん。
 「幸福な思い出。じゃよ」


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ここまで読んでくださった、心優しい方、ありがとうございます。
今回は、プロローグ〜題4話までを投稿させていただきました。
では、失礼します。

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30807『セイルーンの城』 (第一話)―――再会はトラブルと共に―――。猫楽者 E-mail 2004/10/28 23:36:02
記事番号30806へのコメント


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『セイルーンの城』 (第一話)―――再会はトラブルと共に―――。


  闇の中で焚き火の炎がゆれる。
森の中の空き地で、俺は一人。焚き火を眺めながら座っている。
ギジンじいさんと別れた俺は、街道を離れ森の奥へと進んで行った。
町で、スケルトンとかいう連中の情報を集めても良かったのだが。
盗賊団の仲間と勘違いされた挙句、町の守備隊に追い掛け回される・・・・・そんな・・・。
自分の姿が容易に想像出来たので、町には入らなかった。
  まあ。あいつらが近くに居るなら、そんなに待たなくてもスケルトンとかいう奴らのことは
すぐに分かるだろう。
リナの盗賊いじめの習性が、役に立つ日が来るとは、思いもしなかったが・・・・・・。
それに、正直に言えば。
久しぶりにリナとガウリイに会えるのが、楽しみだった。

  持っていた携帯食料で食事も済ませ、少しではあるが眠っておいた。

パチン。
焚き火の炎の燃える音。
遠く微かに虫の鳴き声と、夜を生きる動物たちの気配。
星の海は静かな光で夜空を彩っている。
こうして夜空を眺めるようになったのは、あいつらと旅をしてからだったな。
それまでの俺にとって、夜は、ただの闇。
月も星も、出ていようが出ていなかろうが、どうでもよいことだった。

          星の砂の満ちる海。
          暖かい陽を照り返す。
          小さなオアシス。
          我が故郷。豊かな大地よ。
          いつかきっと帰るだろう。
    
  野宿をしたときに、一緒に火の番をしながら、アメリアが口ずさんでいた歌。
星明かりの中で、どんな星よりも光り輝いていたことを、あいつは気付いていたのだろうか。
いい歌だな。
そう呟いた俺の顔を、驚いたように見ていたアメリア。
照れくさそうに笑いながら、ありがとうございます。と、言った後に。
ゼルガディスさんも、なにか歌ってください。そう言われて。
結局、あいつの前で一曲歌うハメになったんだったな。



ドォ〜ン。
遠くに聞こえる爆音に、俺は立ち上がり。
 「始まったか」
苦笑交じりに呟き、呪文を唱え。
 「レイ・ウィング」
風の結界を身にまとい、森の上へと浮かびあがる。
視界が開けると、爆音の聞こえた方が、断続的な光に照らされているのが見えた。
攻撃呪文の爆炎と閃光を見ながら、俺は、懐かしい仲間へと近づいて行った。

  盛大に攻撃呪文の花開いている場所の、少し手前で地上に降りて、木々の間をゆっくりと歩いて行く。
ほどなく、見慣れた光景が目に入って来た。
崩れかけた、石造りの神殿のような建物。
建物の前に広がる空き地に、攻撃呪文でふっ飛ばされたらしい、20人ほどの男たち。

  まだ立っているのは5人の男女。
建物の入り口を背にした、夜目にも白い顔をして振るえている、盗賊の残党が3人と。
両手を腰に当て、余裕たっぷりの態度で、盗賊どもを見ている栗色の髪をした女魔道士。
その斜め前で、剣を構えている金髪の男。
気配を殺しているつもりだったのだが、ガウリイは、ちらりと視線を俺の方を向け。
 「あんた達、スケルトンとかっていう盗賊団よね」
リナが話し出すと、視線を盗賊団へ戻した。
 「“白のゼルガディス”、ってのは、どこに居るわけ」
盗賊どもが、何か答える前に。
 「俺に何か用か」
ガラガラ声で話しながら、建物の入り口から、ひとりの男が出て来た。
白いフードとマントに、その身を包んだ男。
樽でも飲み込んだみたいに、やたらと分厚い胸と、側に立っている盗賊どもの太ももよりも。
はるかに太い腕を持った大男。

  この筋肉ダルマが、俺の名前を騙っていたのか・・・・・・抑えようとしたのだが。
微かに漏れた殺気に、またガウリイが俺の方を見た。
 「好き放題に暴れてくれたな。
   この俺、“白のゼルガディス”が、ぶち殺して・・・・・・・」
ガラガラ声を張り上げて、偉そうに話す筋肉ダルマに。
 「うそつけええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ・・・・・・・」
叫び声をあげながら、大人の頭くらいの大きさの石を投げつけるリナ。

ごんっ。

石に頭を直撃され、声もあげずに倒れて、ピクピクしている偽者。

 「このくそ忙しいときに、よけ〜な手間取らせんじゃないわよ」
相変わらず・・・・・元気な奴だな。
 「そうだぞ。今のリナに逆らわない方がいいぞ」
のほほ〜んと呟くガウリイ。
 「リリリリリリリリ・・・・リナ・・・・・・」
ガタガタ震えながらリナの名前を呟いたスキンヘッドの大男が、突然土下座した。
 「おおおおおおおおお宝は全て差し上げます。
   命ばかりはお助けを〜」
残り二人も腰でも抜けたのか、力なく地面に、へたり込んだ。
 「おれおれ・・俺はスジと皮ばっかりだから、食べても美味しくないです」
 「俺のことは生贄にするなり、実験台にするなり、好きにしてくれていい。
   だから頼む、どうか家族にだけは手を出さんでくれ」
 「やかましいわ〜!? ディル・ブランドォ〜〜」
どぐぉぉぉんっ!
リナの名を聞いて、泣きながら命乞いしていた盗賊たちが、リナの呪文で吹っ飛ばされた。
やれやれ。これじゃあ、どっちが悪人なのやら。

 「相変わらず、盗賊いじめか」
そう言いながら、リナたちに近づいた俺は。
スパーン。
いきなり、リナのスリッパで後頭部を叩かれた。
 「こんの〜甲斐性なし〜。あんた今まで何処ほっつき歩いてたわけ」
 「・・・・は?」
間抜けな声で呟く俺をガウリイが指差し。
 「リナの知り合いか?」
リナに聞いているが・・・・旦那・・・・・頼むから、真顔で呟かんでくれ。
まさか・・・・とは思っていたが・・・・本当に・・・・忘れられているとはな・・・・。
スパパーン。
 「あんたねぇ〜。ゼルのこと。忘れてんじゃないわよ」
 「じょ・・・・冗談だって、いくら俺でもゼルのことを忘れたりしないぞ」
リナのスリッパ2連撃を受け、左手で頭を庇いながら話すガウリイ。
 「こいつの場合・・・・・ほんと〜に忘れちゃってる可能性があるからなぁ〜」
ため息混じりに話していたリナが、視線を左右に走らせ。
ガウリイがブラスト・ソードを構えて、リナの斜め前に立ち。
 「俺を、いきなり叩いた訳を聴きたいところだが・・・・・」
俺も剣を抜き放ちつつ、周りの気配を探る。
 「お客さんの相手を先にしなきゃならないみたいね」
リナもショート・ソードに手をかける。

気配は、この広場を完全に取り囲んでいた。

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30808『セイルーンの城』 (第二話)―――トラブルはトラブルを呼ぶ―――。猫楽者 E-mail 2004/10/28 23:37:27
記事番号30806へのコメント


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『セイルーンの城』 (第二話)―――トラブルはトラブルを呼ぶ―――。


 「はあっ・・・・・やはりな・・・・・」
そう言いつつリナを見る。
 「ちょっと、どういう意味よ」
視線に気付いたリナが、トゲのある声を出すが。
 「久しぶりに会った、と思ったら・・・・・やはりトラブルに好かれるようだな」
知らん顔して、呟いてやった。

 頭上に10発ほどのライティングが放たれ、広場を照らし。
 「盗賊団スケルトンに告げる。
   我々は、セイルーン王国騎士団の者だ。
   無駄な抵抗を止めて降伏すれば、お上にもお慈悲はあるぞ」
声がした方を見れば、フル・アーマーに身を包んだ、指揮官とおぼしき男が立っていた。
広場の周りから、銀色に輝くフル・アーマー姿が続々と現れ。
その後ろには、魔道士の姿も見え隠れしている。

 「ちょっと、誰が盗賊団よ。
   あたし達は、その盗賊団を叩き潰しに来たのよ」
 「そうだぞ」
降伏の呼びかけに、叫び返すリナの隣で、のほほ〜んと呟くガウリイ。
 「そう言われて、はいそうですか。と信じるとも思えんが」
さてと。物わかりの良い連中だと助かるんだが、どうなることか。
下手なことされたら、多分リナが切れるだろうし・・・・・・・。
思わずズキズキしだした、こめかみに手をやり溜息をつく。

 「とにかく話がしたい。そちらに行っても良いか」
リナがガウリイと俺の顔を見て。
 「い〜けど。人数は3人までよ」
リナの返事を聞いて、供をひとり連れ、近づいてくる男。
抜き身の剣を片手に迎えるわけにも行かず、剣を鞘に戻す。
俺は小声で素早くディム・ウィンの呪文を唱えて、迎撃の用意はしておく。

 「討伐部隊の隊長。ステック・バーナードです。
    これは側近のアルフレッド・イズルハ。
    リナ殿、ガウリイ殿、ゼルガディス殿。
   失礼しました。
   あなた方は覚えていないかもしれませんが、王宮で何度か。
   お姿を拝見(はいけん)させていただきました」
ステック・バーナード。確か、騎士団長だったと思うが。
盗賊団を討伐するのに騎士団を動かす、というのも妙な話だ。
騎士団長が指揮をしている、ということは、騎士団の中でも精鋭の部隊なのだろう。
スケルトンとかいう連中は、それほどの相手とも思えないが。
スケルトンのやつら、賢者の石が隠された石像のような、なにか厄介な代物でも持っているのか。

 「そこいらで寝てるのがスケルトンの連中よ。
   あたしたちは、この連中が溜め込んだお宝に用があるから、後はよろしく」
そう言って、歩き出そうとするリナ。
 「待ってください」
ステック隊長が俺たちを呼び止め。
しばらくためらった後に話し出した。
 「その・・・・・セイルーンの恩人であなた方には・・・・・・言い辛いのですが・・・・・。
   エルドラン国王陛下から御命令が出ておりまして・・・・・・。
   生死は問わないから・・・・・あなた方を逮捕するように・・・・」
 「なによ。あたし達が何したっての」
声を荒げるリナに、やや腰が引けたようなステック隊長と側近。
 「わかりません。
   何の説明も無く・・・・ただ命令に従えと言うのです。
   自分たち兵士は、戦えと言われれば、戦うのが仕事です。
   ですが。我々では、あなた方には勝てないでしょう。
   仲間たちに、訳の分からない命令に従って死ね。そんなことは言えません」
苦しそうに話すステック隊長の隣で、側近の男も、うつむいている。

 「なあ。ガウリイの旦那。
   リナが、“また”なにかやらかしたのか」
 「そうだなあ〜。
   騒ぎを起こすのは、いつものことだけど・・・・・・」
 「ゼ〜ル〜。ど〜して、あたしじゃなくてガウリイに聞くかなあ」
お前さんに聞いても、しらをきられるだけだろうからさ。
心の中で、こっそり呟いたときに、ガウリイが、ポンッと手を打ち話し出した。
 「あっ。もしかして。あれか。
   お城に忍び込んだのが、ばれたとか」
 「忍び込んだのか。セイルーンの王宮に」
ジト目でリナを見ながら話すと。
 「いつの話よ、いつの。それに、あんときはフィルさんに頼まれたんだから、い〜のよ」
俺の視線を避けるように、そっぽを向いて答えるリナ。
 「頼まれたのか」
 「う〜ん・・・・・覚えてないなあ」
 「だから、あたしに聞きなさいって」

 「あの・・・・話を続けても良いでしょうか」
申し訳なさそうに話す隊長は、俺達が、うなずくのを見て話を続けた。
 「我々は、ここで、あなた方には会わなかったことにしたいのです」
思わず顔を見合わせる俺達。
 「いいのか。後でアンタの立場が悪くなるようなことをして」
俺の問いかけに、物悲しげな顔をする隊長。
 「仲間を無駄死にさせるよりは、はるかにマシです。
   それに、アメリア様の・・・・・・」

ぐるぉああああああっ!

聞こえた唸り声に振り向けば、背後の森から現れるレッサー・デーモン。
数は10数体といったところか。

不意を突かれた騎士団の兵士が、レッサー・デーモンの攻撃を受けて倒れて行く。

走り出したガウリイとリナの後を追い。
俺も片刃の黒い刀身の剣を抜き、呪文を唱えながら戦場へと駆けて行く。

 「アレックスの部隊が・・・・・」
 「うろたえるな。
  各隊、アレックス隊を援護。
  魔道士は呪文で攻撃。アレックス隊は負傷者を連れて後方へ下がれ」
隊長の指示を受け、騎士たちが動き出し。
負傷者に肩を貸したり、身動き出来ない状態の重傷者を、何人かで抱きかかえるが。
このままでは、レッサー・デーモンたちの餌食になるだけだ。

 「エルメキア・ランス」
俺は、急ぎ唱えた呪文を解き放ち。
白く輝く魔力の槍に直撃されたレッサー・デーモンが、ビクンと身を揺るがせ、倒れる。
 「ブラム・ブレイザー」
リナの呪文で蒼い光が数体のレッサー・デーモンを貫いて行く。

ぐるぉあっ!
唸り声と共に10数本の炎の槍が、ガウリイ目掛けて突き進む。
 「はあっ!?」
炎の槍を避け、斬り払い。
レッサー・デーモンに走り寄ったガウリイが、ブラスト・ソードを振るい。
瞬く間にレッサー・デーモンの数が減って行く。

レッサー・デーモンどもの注意が、俺達3人に向いている間に。
負傷者は、どうにか戦場から離れつつあった。

剣をかざして、行け。と念じると。
俺の剣から数条の雷撃が放たれ、レッサー・デーモンを消し炭に変える。
 「ゼラス・ブリッド」
リナの放った黄色い光の帯は、レッサー・デーモンをぶち抜き。
大きく軌道を変えて、残りのレッサー・デーモンを一掃する。

 目に見える範囲のレッサー・デーモンは倒したが。
まだ、こいつらを呼び出した奴らが、どこかにいるはずなんだが。
 「リナ!?」
ガウリイが、頭上を見上げ、叫び。
つられて上を見てみると。
数10発のファイアー・ボール、俺たち目掛けて飛んできて。

ぐどごどごどごどぅおぉぉぉぉんっ!
炸裂した。


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30809『セイルーンの城』 (第三話)―――トラブルは続くよ。どこまでも―――。猫楽者 E-mail 2004/10/28 23:38:49
記事番号30806へのコメント


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『セイルーンの城』 (第三話)―――トラブルは続くよ。どこまでも―――。


 「いきなり派手な展開ね」
どうにか間に合った俺とリナの防御結界の外では、ファイアー・ボールが。
次々に炸裂していた。

 「正面に、20人くらい居るみたいだぞ」
ガウリイが、この状況でも気配をつかんでいるのは。流石、と言うべきか。
20人では騎士団を相手にするには、人数が少ない。ということは。
狙いは、俺達3人の誰かか。

 「リナ。どう受ける」
 「正面突破に決まってんでしょ。
   あたしに喧嘩売るとは、い〜度胸してんじゃない」
 「だ。そうだ」
ガウリイの問いかけに答え。
うっふっふっふ・・・・・。
低い声で笑うリナの隣で、俺に苦笑を向けるガウリイ。
 「了解」
俺も苦笑を浮かべつつ、返事を返す。

  俺たちの側に居た騎士団の何人かが、結界の中に居るが。
実戦経験がそれなりにあるのか、思ったよりも落ち着いているようだ。
 「防御結界を張れる人はいるかしら」
リナの声に、ふたりの魔道士が張れる、と答えた。
 「俺の合図で俺たちは結界を解除して、ここから離れる。
   離れ際に派手な呪文で注意を引きつけるから、俺たちが離れたら、直ぐに結界を張ってくれ」
 「わかりました」
魔道士の返事を聞いて、リナが結界を解除し、呪文を唱えだす・・・・・って、おい。
俺は、確かに派手な呪文と言ったが・・・・・。
 「そ・・・その呪文は・・・・」
蒼い顔して振るえる声で話す魔道士。
 「あ〜。止めるの無理だから。それより、早く呪文唱えないと、リナの奴・・・・怒るぞ」
ポン。と、魔道士の右肩に左手のひらを置いて、のほほ〜んと語るガウリイ。
そのガウリイに、こくこくうなづき、慌てて呪文を唱えだす魔道士。

リナと魔道士たちが呪文を唱え終わり。
 「行くぞ」
そう言って、俺は結界を解除する。
 「ドラグ・スレイブ」
間を置かずに、リナの放った紅い光が前方上空へと上って行き。
グゴォゥンッ!?
炸裂した。

正面に感じた複数の気配が遠ざかって行く。
 「敵さん。10人残ったぞ」
 「どう見ても、罠だと思うが」
 「罠に決まってんでしょう。
   罠ごと、潰してあげようじゃないの」
俺達に、凄みのある笑みを浮かべて答えるリナ。
先頭にガウリイ、リナと俺の順で、それぞれ少し間隔を空けて夜の森を駆ける。

しばらく気配を追いかけると、崩れ落ちた神殿らしき建物の前の広場に出た。
 「ライティング」
リナの呪文で魔法の明かりが辺りを照らし。
明かりに照らされた広場の端に、ふたりの人影が俺達を待っていた。

全身黒ずくめで、目の部分だけが露出している。
アサッシン(暗殺者)スタイルだが・・・・・・・。
背の高い方は、むき身の剣のような冷ややかな冷気を放ち。
そして、もう一人の小柄な方からは剣呑な気配は、なにもない。
殺気どころか、緊張感もゼロ。
街中で会った知り合いに向けるような、穏やかな気配しか感じない。

俺達は、ゆっくりと黒ずくめ達に近づきながら、剣を抜き放つ。
 「追いかけっこは、もうお仕舞いなのかしら。黒ずくめさん」
 「・・・・」
 「なんで、あたしたちを狙うのよ」
 「・・・・」
 「もしかして、喋れない・・・・な〜んてことは無いわよね」
 「・・・・」
リナの問いかけに帰って来たのは、沈黙のみ。
言葉の代わりに。
ぐどごどどぅおぉぉぉんっ!
左右から、俺たちめがけて降りそそいで来たファイヤー・ボールが炸裂した。
その場を飛びのきつつ、左右に視線を走らせると。
黒ずくめ達が次々にファイアーボールを打っている。


ガウリイが正面の黒ずくめに向かって走る。
そのガウリイに向けて、正面の黒ずくめから、次々と黒刃のナイフが投げられた。
ブーメランのように回転しつつ迫ってくるナイフは、弧を描くように軌道を変え。
上下左右からガウリイを包み込むように数本づつ、わずかにタイミングをずらし飛んで来る。
並みの剣士なら、対応しきれずナイフの餌食となるところだが。
ギギギギン。
ブラスト・ソードでナイフを斬り飛ばしながら、前方の黒ずくめへと近づいて行く、ガウリイ。
ナイフを迎撃していたガウリイが、いきなり右横に移動しざま。
何もない空間に向かってブラスト・ソードを振るい。
ギン。
硬い音と共に、微かに光を反射する破片が飛び散った。
 「黒刃のナイフに<透明な刃のナイフを混ぜるとはな」
呟くガウリイに向けて、黒ずくめは続けざまにナイフを放った。
俺も目は良い方だが、その俺の目にどうにか見える程度のナイフを。
ガウリイの目は、ハッキリと捉えているようだ。


 「ブラスト・アッシュ」
どぅんっ!
リナの術で右側の4人の黒ずくめが、黒い何かに包まれ、消滅する。

 「デモナ・クリスタル」
俺の呪文で左側の黒ずくめの2人が、氷づけになり。
 「フレア・アロー」
すかさずリナの呪文が追撃し、炎に巻かれ手前の1人が倒れる。
上空にジャンプしつつ、右手を振り上げた奴は。
 「フェルザレード」
俺の放った渦巻く光の帯に体を貫かれ、手にしたナイフを取り落とし、そのまま地面へと落ちて来た。

残った黒ずくめ2人の背の低い方は、その場を動かず、なにか呪文を唱えているようだ。
なんの呪文かは聞こえないが、呪文が完成するのを待ってやる義理はない。
 「エルメキア・フレイム」
 「エルメキア・ランス」
俺の放った光の束と、リナの放った光の槍は。
背の低い方が振るった右手の剣に、あっさりと吹きちらされていた。


ギィン。
正面の男に走り寄りながら、ガウリイはブラスト・ソードでナイフを切り飛ばして行く。
ガウリイが男の真近に迫ったとき。
ヴオオ〜ン。
男の叫び声とともに、男とガウリイの間に十数本の炎の槍が出現した。
至近距離に生まれた炎の槍は、ガウリイ目指して突き進む。
避けるなり、迎撃するなりする間に、距離を取ろうと後ろへ下がる男。
ガウリイは瞬時に加速しブラスト・ソードを振るい。
炎の槍を打ち払い。
ゾンッ。
一刀を浴びせた。

どっずうん!?
重い音と共に地面が揺れ。
崩れ落ちる男には目もくれず、飛び離れたガウリイの姿が俺の視界から消えた。

今まで、ガウリイが立っていた場所には、乳白色した柱が地面に突き刺さっていた。
その柱が、たわみ。
左右の帯を大きく上下させたと思ったら、俺たち3人をひと呑みに出来そうなほど大きな蛇モドキが空に浮かんだ。
蛇と違うのは、体の左右両側でゆっくりと上下に動いている帯のような物。
帯のような物は、頭の付け根から尻尾の先まで、ほとんど全身に生えている。
口は蛇のように上下に開くのではなく。
キリかなにかのように尖った先端から、上下左右に亀裂が走り。
花のように開いた大きな口の内側には、びっしりと鋭い牙が生えている。

ガウリイが斬り倒した男は、こいつに飲み込まれてしまったようだ。

どこに目があるのかは、わからないが。
蛇モドキは、真っ直ぐに、俺たちの方へと空を駆けてくる。
俺は急ぎ呪文を唱え、真上に上げた左手を地面へと叩き付ける。
 「ダグ・ハウド」
どおんっ!?
体のあちこちを尖った岩で貫かれ、暴れ、もがく蛇モドキ。

ガウリイは、ブラスト・ソードに蒼い炎を呼び。
蛇モドキのそばを駆け抜けざまに、剣を振り。
首の付け根を断ち斬られ、蛇モドキの動きが、鈍る。

 「ルーン・フレイア」
リナの術で、超高温の炎の槍に直撃され、燃え上がる蛇モドキ。

その隙に、背の低い方の黒ずくめの姿が消えていた。


ガウリイが、ブラスト・ソードを鞘へと収め。
俺とリナも剣を収める。
 「何者だ。こいつら」
 「“影”、って呼ばれてる連中ですって。ゼル。
   こいつらのことで、アンタに会いたいって人が居るのよ」
 「心当たりは無いが・・・・・・」
 「名乗らなかったから名前は知らないけど、セイルーンの情報部の人で、ガリアンさんの同僚ですって」
 「それを信じたのか」
 「確かに怪しい話だけど・・・・・あたしは信じてもいいと思ったの。
   それに・・・・ガウリイが・・・」
 「なんか。そいつ、ゼルと似たような匂いしたからな」
 「匂い?」
 「ああ。寂しさも悲しみも自分で抱え込んで、その寂しさにも悲しみにも。
   耐えられような強さを持っちまってる。
   そんな匂いがしたんだ」
理由もわからず、襲われたまま、というのも面白くは無いな。
俺は、そいつに会ってみることにした。


  結局、俺はリナたちと一緒にムーリドの町へと入ることになった。
裏通りの宿屋にでも連れて行かれるかと思っていたのだが、俺たちは町外れの大きな屋敷へと到着した。
屋敷の周りは、気配を隠した奴らに警備されているようだ。
すぐに応接間とおぼしき場所に通され。
そこには、1人の女が待っていた。
見た目は20歳くらいか。
腰まで届く艶やかな黒髪。黒い目。
ごく普通の町の娘のような服装。ただし、色は上から下まで真っ赤。
顔かたちは美人なのだが、これといった特徴は無い。

俺は女を指差し、静かに告げた。
 「こいつは、セイルーンの情報部の人間じゃないぞ」


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30810『セイルーンの城』 (第四話)―――もたらされた、知らせ―――。猫楽者 E-mail 2004/10/28 23:40:23
記事番号30806へのコメント


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『セイルーンの城』 (第四話)―――もたらされた、知らせ―――。


 「久しぶりね。“ゼル坊”」
 『“ゼル坊”〜!?』
目の前の女が微笑みながら言った言葉に、大げさに反応するリナとガウリイ。
こいつは昔から、俺のことを“ゼル坊”、以外の呼び名で呼んだことはなかった。

 「いい年こいた大人に“ゼル坊”は止めろ」
 「な〜に言ってんのよ。オムツ姿のころから知ってる私から見れば。
   幾つになっても“ゼル坊”は“ゼル坊”よ」
すっ、と目を細め、面白そうに笑いながら話す女。
やれやれ。やはり、こいつは苦手だ。
リナやガウリイの旦那とは別の意味で、俺は、こいつに一生勝てないような気がする。
なにか言いたげな、リナとガウリイの旦那に気付いた俺は。
 「こいつは通称、アイアイ。
   本名は俺も知らん。
   レゾの元で、情報の収集と分析をしていた連中を、束ねていた奴さ。
   たしか今は、そのときのノウハウと人脈を利用して情報屋をやっていたはずだ」
大雑把な説明に苦笑している、アイアイ。

 「なんの用だ。
   お前のことだ。懐かしくなって、顔を見たくなった訳でもあるまい」
俺の台詞に、ため息をついて、やつは話し出した。
 「“ゼル坊”は、せっかちねえ。
   お茶くらい飲みましょうよ」
そう言って、俺達全員に紅茶を入れる、アイアイ。
奴の趣味なのかは知らんが、紅茶を入れたカップは、陶器の外側を鋼鉄の装飾で覆われた。
やたらと丈夫そうな代物だった。
 「セイルーンのマーシュ伯爵家。聞いたことがあるかしら」
アイアイは紅茶を飲んで、一息ついて、おもむろに話し出した。
 「政府の広報を担当している。というのが表向きの顔で。
   裏に回れば、諜報、謀略、暗殺から破壊工作まで。
   セイルーンの暗部の全てを任されている一族よ」
俺の知っている国の中では1番、国民の為の政治をしているセイルーンにも。
暗部と呼ばれる部分はあるのだろうな。
 「政治。国を治めるのは、奇麗ごとだけでは、勤まらないだろうな。
   で。そのマーシュ伯爵が、どうした」
アイアイは間取るように、紅茶を、もう一口飲み。
なぜか俺の顔を、じっと見つめながら話を続けた。

 「マーシュ伯爵の結婚が決まったんですって。
   相手は・・・・・セイルーンの第2王女・・・・・」

バギャ。

 「ゼル。ちょっと大丈夫・・・・・」
 「ああ。大丈夫だ」
返事をする自分の声を遠くに聞きながら、握りつぶしたカップの残骸を。
テーブルの上へと放り投げる。
 「いいから手、出しなさいよ。火傷してんじゃないの」
返事もしない、俺の手を取り、リカバリィの呪文を唱えるリナ。
 「式は、いつだ」
 「10日後よ。
   あたしとガウリイはアメリアに会いに行っ・・・・・・」
 「悪いが、俺には関係の無い話だ」
 「ゼル!? 。あんたねえ・・・・」
 「アイアイ。適当に部屋を借りるぞ」
そう言って、叩きつけるように扉を閉め、俺は後も見ずに部屋を飛び出した。

その後、どこをどう歩いたのかは覚えていないが。
気付くと、寝室らしい部屋のベットに座っていた。


          心の位置を、ずらして聞いた。
          夢が壊れる、にがい響きを。

木の上から飛び降り、いつものように頭から着地する姿。

          求めるたびに、傷が増えてく。
          いつわりだけの愛の町で。

俺と一緒に同じ毛布に包まれ、星を見ている姿。

          あふれる涙、こらえようとして。
          おまえはきつく、唇を噛む。

魔族との戦いで傷を負いながらも、あきらめずに立ち向かう姿。

          違う痛みに、すり替えたなら。
          胸の痛みが、消えるのか。

春の日差しのような暖かな笑顔・・・・・・。

なんでだ。
なんで・・・・・アメリアのことばかり・・・・頭に浮かぶんだ・・・・・。

          心の叫びを閉じ込めないで、クレイジー。
          ひとりのハートに。

俺は合成獣で、あいつは大国セイルーンの王女。
俺の手は血まみれで、あいつの真っ白い手を取る・・・・そんな資格は無い。

          誰も涙を止められない。
          そう。

あいつも・・・・・いずれ・・・誰かを選び・・・・。
共に人生を歩んで行く。
そんなことは、わかっていたハズ・・・・なのに・・・。

          乾いた心、ぬらして。
          雨は。雨は。空から降ってくる。


 「“ゼル坊”」
左肩を軽く揺さぶられ、我に返った。
 「あ・・・なんだ・・・何か用か」
何も答えず。俺に、紙の束を差し出すアイアイ。
 「“ゼル坊”。
   セイルーンで何か厄介なことが起こってるみたいよ。
   決めるのは、あんた。
   だけど、後悔しないようにね」
そう言い残して、紙の束を、そばのテーブルの上に置き。
アイアイは部屋を出て行った。

なにもかも投げ出し・・・・・・どこか・・・このまま消えるか・・・・・・。
我ながら。情けなさ過ぎる考え方に、苦笑するしかなかった。


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ここまで読んでくださった、心優しい方。ありがとうございます。
長かったですよね。
ここまで、お付き合いくださって、本当にありがとうございます。
プロローグ〜第四話まででした。
予定では、全12話 + エピローグで終了となっております。

挿入歌、と言いますか、イメージ・ソングとして使わせていただきましたのは。

 (第一話)―――再会はトラブルと共に―――。
        『マイ・ビューティフル・プレイス』。飯島真理 さん-TV版『超時空要塞マクロス』。

 (第四話)―――もたらされた、知らせ―――。
        『星のストレンジャー』。STRIXさん-アニメ映画『超人ロック』
        『RAINBOW BRIDGE』。STRIXさん&堀江美都子さん。アニメ映画『超人ロック』

また、ストーリや伯爵、影などを参考にさせていただきましたのは。
アニメ映画、ルパン3世・カリオストロの城。です。
自分の駄文と違って、すごく面白いです。
ぜひ一度ご覧になってみてはと、思います。

寒くなってまいりましたね。
風邪も流行っているようですので、お体にお気をつけて、お元気で。
では、失礼します。

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30815新作ですね♪エモーション E-mail 2004/10/29 21:33:04
記事番号30810へのコメント

猫楽者さん、お久しぶりです。そしてこんばんは。
お仕事とお子さんたちのお世話とで、お忙しい中での新作……凄いです。(←書き上げてからUP、
と決めた途端、ずーっと書き上がらない状態が続いてる人。(T.T))

プロローグから4話、一気に読ませていただきました。
今回のお話は「眠りしもの」の続きになるのでしょうか。
一人で旅をしているゼルに、「あれ? でも身体戻す方法探すのに必死だろうし」
と思いつつ、読んでいましたら……アメリア姫もうじきご成婚(?)という展開で目が点に……。
リナが再開時に言っていた「甲斐性なし」って、そういう意味だったのですね。
でも、突然リナやガウリイ、ゼルに出された国王からの逮捕命令を考えると、
なにやらその辺りの事情を含めて、ややこしい事が起きているようですね。
(騎士団の方々も、仕事とは言え命令自体に納得できないようですし)
何にせよ、ゼルにとってかなり精神的にキツそうなお話になりそうですね。
ショックで動揺しているゼルですが、アイアイさんが置いていった書類に、
目を通す気になるといいのですが……。

冒頭の突然消えた無人島……。島一つ消えるって……いくらスレ世界でも、
かなりの事だと思うのですが……いったい、何が起きたのでしょう。
また、今回ご登場のアイアイさん。本名及び年齢不詳の、謎のお姉さまですね。
おむつをしていた頃から知られていたら、それは……頭が上がりませんよね(^_^;)
でも、彼女のゼルがいくつになっても「ゼル坊」と言ってしまう感覚は、
何となく分かるような。

アイアイさんが置いた書類には何が書かれているのか、そしてゼルはどう動くのか、
楽しみにしています。

>また、ストーリや伯爵、影などを参考にさせていただきましたのは。
>アニメ映画、ルパン3世・カリオストロの城。です。

「カリオストロの城」、面白いですよね。「トトロ」や「ナウシカ」もそうですが、
2〜3年に一度はTVで放送されていますが、展開知っていても楽しめますし。
アメリアをクラリスとすると、ゼルはルパンですね♪(^.^)

それでは、続きを楽しみにしつつ、今日はこの辺で失礼します。
本当に、急に寒くなりましたので、猫楽者さんも風邪にはご注意くださいませ。では。

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30818ゼルガディスさん。いろんな意味で大変だったりします(汗)猫楽者 E-mail 2004/10/30 00:06:56
記事番号30815へのコメント


>猫楽者さん、お久しぶりです。そしてこんばんは。

こんばんは、エモーションさん。
お元気ですか。猫楽者です。
読んでくださって、ありがとうこざいます。
毎回、とても丁寧な感想をいただきまして、本当にありがとうございます。
寒くなってまいりましたね。

>お仕事とお子さんたちのお世話とで、お忙しい中での新作……凄いです。(←書き上げてからUP、
>と決めた途端、ずーっと書き上がらない状態が続いてる人。(T.T))

下の子が、夜。ある程度の時間、眠ってくれるようになりました。
おかげで、どうにか夜PCに触れるようになりました。
エモーションさんの新作♪。読ませていただけるのを。
楽しみにお待ちしております。

>プロローグから4話、一気に読ませていただきました。
>今回のお話は「眠りしもの」の続きになるのでしょうか。

読んでくださって、ありがとうございます。
長かったですよね。
おまけに・・・・・ほとんど戦闘シーンでしたし(汗)
はい。「眠りし者」の続きになります。

>一人で旅をしているゼルに、「あれ? でも身体戻す方法探すのに必死だろうし」
>と思いつつ、読んでいましたら……アメリア姫もうじきご成婚(?)という展開で目が点に……。
>リナが再開時に言っていた「甲斐性なし」って、そういう意味だったのですね。
>でも、突然リナやガウリイ、ゼルに出された国王からの逮捕命令を考えると、
>なにやらその辺りの事情を含めて、ややこしい事が起きているようですね。
>(騎士団の方々も、仕事とは言え命令自体に納得できないようですし)
>何にせよ、ゼルにとってかなり精神的にキツそうなお話になりそうですね。
>ショックで動揺しているゼルですが、アイアイさんが置いていった書類に、
>目を通す気になるといいのですが……。

あ・・・・・・っ(汗)
しまった・・・・・・ゼルガディスさんは、人間の体に戻る手掛かりを探しに・・・・。
旅に出て・・・・・アメリアさんは・・・・・公務で国に残ることになった・・・・。
そう考えていたのですが・・・・・どこにも・・・・そのこと書いてないですね(汗)

アメリアさんとセイルーンに何があったのかは、徐々に明らかになっていくと思います。
今回は、あまり悲惨な展開には・・・・・ならないと思うのですが・・・・・。

>冒頭の突然消えた無人島……。島一つ消えるって……いくらスレ世界でも、
>かなりの事だと思うのですが……いったい、何が起きたのでしょう。

この辺りは、もう少し先になってしまうのですが・・・・・・。
このことが関係して、今回の厄介な事態になっていたりします。

>また、今回ご登場のアイアイさん。本名及び年齢不詳の、謎のお姉さまですね。

アイアイさんは、自分にも謎の部分の多い方だったりします(待て)

>おむつをしていた頃から知られていたら、それは……頭が上がりませんよね(^_^;)
>でも、彼女のゼルがいくつになっても「ゼル坊」と言ってしまう感覚は、
>何となく分かるような。

じつは・・・・・自分も・・・・親戚の方に・・・・・・。
いまだに子供の頃の愛称で・・・・・呼ばれて居たりしますので(汗)
ゼルガディスさんのように、呼ばれる側の気持ちは・・・・・少しは・・・・。
わかるような気がします(汗)

>アイアイさんが置いた書類には何が書かれているのか、そしてゼルはどう動くのか、
>楽しみにしています。

ありがとうございます。
これからゼルガディスさんは、いろんな意味で苦労することになります(汗&笑)

>>また、ストーリや伯爵、影などを参考にさせていただきましたのは。
>>アニメ映画、ルパン3世・カリオストロの城。です。
>
>「カリオストロの城」、面白いですよね。「トトロ」や「ナウシカ」もそうですが、
>2〜3年に一度はTVで放送されていますが、展開知っていても楽しめますし。

自分も大好きな映画です。
たまたま、つた●でカリオストロの城を借りて、久しぶりに見ましたら。
この話を書きたくなりました(笑)

>アメリアをクラリスとすると、ゼルはルパンですね♪(^.^)

はい。アメリアさんとゼルガディスさんは、まさにその通りです。
式のシーンも、あったりします(笑)
峰不二子さんのファンの方に・・・・・石投げられないかと・・・・ビクビクしてたりしますが(汗)

>それでは、続きを楽しみにしつつ、今日はこの辺で失礼します。
>本当に、急に寒くなりましたので、猫楽者さんも風邪にはご注意くださいませ。では。

読んでくださって、ありがとうございます。
いつも、とても丁寧な感想を、本当にありがとうございます。
エモーションさんには、「彼の杖」以来、ずっと感想をいただいております。
本当にありがとうございます。

寒くなりましたね。
急激に寒くなったので、職場でも風邪が猛威を振るっております。
お体にお気をつけて、お元気で。
では、失礼します。


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30820人生は波乱万丈棒太郎 2004/10/30 09:20:46
記事番号30810へのコメント

こんにちは、猫楽者さん。
新作、しかも一気に5話もUPとは、「凄い」の一言です。

今回のメインはゼルガディス(とアメリア)ですね。
のっけから波乱万丈ですが、まあゼルガディスに関してはゼロスと同じようにそういう星の下の生まれなんでしょう(笑)
アメリアの結婚話や伯爵家・影などいろいろと気に掛かるものがたくさんあります。
いいところで『この続きは次回の番組で』とされて、「うがーっ!!」と悶えるような気分です(最近のテレビ番組ってこういうの多いですし)
また、冒頭で消えた無人島についても気になります。
あと、『黄の印』という言葉にもピクリと反応しております。(確か元のほうは持ってる者に恐ろしい災厄が降りかかるものだったような・・・・・・)

今回は全12話+エピローグ、と全体の形が決まってるのが凄いですね。
私の今書いているものはどれだけの規模になるか、まったく分かりませんから。まあ、書いてきた話の大概がそうだったんですが・・・・・
大まかにでも全体のプロットは作っとかなきゃいけませんね。

それではこのへんで失礼します。
だんだんと朝晩の冷え込みが強くなってきましたので、お体に気をつけて頑張ってください。

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30824今回は、波乱の連続となりそうです(汗)猫楽者 E-mail 2004/10/30 23:27:39
記事番号30820へのコメント



>こんにちは、猫楽者さん。

こんばんは、棒太郎さん。
お元気ですか。猫楽者です。
読んでくだいまして、ありがとうこざいます。
いつも、とても丁寧な感想をいただきまして、本当にありがとうございます。
本当に寒くなってまいりましたね。

>新作、しかも一気に5話もUPとは、「凄い」の一言です。

家で、ある程度PCに触れるようになったことと。
出張が続きまして、うまく飛行機が取れなかったとき。
移動時間が・・・・・6時間とか・・・・・10時間とか・・・・・・かかりまして。
その間に、今回のお話の内容を考えたりしておりました(笑)

>今回のメインはゼルガディス(とアメリア)ですね。

はい。初のゼルガディス主役のお話です。
魔剣士さんを書かせていただくの、難しいですね(汗)

>のっけから波乱万丈ですが、まあゼルガディスに関してはゼロスと同じようにそういう星の下の生まれなんでしょう(笑)

そういう星の下の生まれ・・・・・すいません、その通りですね(笑ってしまいました)。
ゼロスさんとゼルガティスさん。
 「いゃあ〜。ゼルガディスさんの不幸っぷりには、及びませんねぇ」
 「魔族1の不幸担当が謙遜するな」
とか、お互い笑顔で、ギスギスした空気を振りまいていそうですね(笑)

>アメリアの結婚話や伯爵家・影などいろいろと気に掛かるものがたくさんあります。
>いいところで『この続きは次回の番組で』とされて、「うがーっ!!」と悶えるような気分です(最近のテレビ番組ってこういうの多いですし)
>また、冒頭で消えた無人島についても気になります。

これから段々と、謎が明かされていくと思います(うまく説明できるのか・・・・・心配ですが(汗))
今回は、各話の最後を意識して・・・・・・次へと引っ張るようにしていたりします(汗)

>あと、『黄の印』という言葉にもピクリと反応しております。(確か元のほうは持ってる者に恐ろしい災厄が降りかかるものだったような・・・・・・)

ああああああ・・・・・ピクリと反応されましたか(汗)
じ・・・・じつは・・・・『黄の印』を、何処でどんなふうにだそうか。
だいぶ悩んだりしました。
この名称・・・・・・ある御方のことが・・・・・モロにばれてしまいますから(汗)
独自の設定とさせていただいておりますので、そこまで悲惨なことには・・・・ならないかと(汗汗)

>今回は全12話+エピローグ、と全体の形が決まってるのが凄いですね。
>私の今書いているものはどれだけの規模になるか、まったく分かりませんから。まあ、書いてきた話の大概がそうだったんですが・・・・・
>大まかにでも全体のプロットは作っとかなきゃいけませんね。

今回は、どうにか・・・・その話数でおさまりそうです。
自分の場合、プロットと言いますか・・・・・頭に浮かんだりしたシーンとシーンをつなぎ合わせているようなものでして。
いつも、前後で食い違ったり・・・・・矛盾したり・・・・。
ああああああ、ど〜しよう。と頭を抱えております(笑)

>それではこのへんで失礼します。
>だんだんと朝晩の冷え込みが強くなってきましたので、お体に気をつけて頑張ってください。

読んでくださいまして、ありがとうございます。
丁寧な感想を、本当にありがとうございました。

寒くなってまいりましたね。
風邪も流行っているようですので、お体にお気をつけて、お元気で。
では、失礼します。

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30834『セイルーンの城』 (第五話)―――ピースの断片―――。猫楽者 E-mail 2004/10/31 23:54:16
記事番号30806へのコメント



こんばんは。猫楽者と申します。
読んでみようと思ってくださった心優しい方、ありがとうございます。
どうにか続きが、出来上がりました。
ゼルガディスさん主役の・・・・ハズ・・・・・のお話です。

今日は、第五話〜第九話までを投稿させていただきます。
『セイルーンの城』 (第五話)―――ピースの断片―――。
             (第六話)―――敵。 敵?。 味方(?)―――。
             (第七話)―――たどり着いた街で―――。
             (第八話)―――王宮にて―――。
             (第九話)―――館の奥で待つもの―――。

では、よろしくお願い致します。

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『セイルーンの城』 (第五話)―――ピースの断片―――。


  いつまでも、壁と、にらめっこしているわけにもいかず。
俺は、テーブルの上に置かれた紙の束へと、手を伸ばした。
表紙をめくると、アイアイが調べたセイルーンの状況が書かれていた。

マーシュ伯爵の個人データ。
家系、家族構成。
伯爵の配下の組織について、兵力、特色。
結婚について、セイルーンの高官や貴族連中の反応。
騎士団、魔道士たちに神官たちの反応。

そして、フィルさんと・・・・・アメリアのこと。

  流石に詳しく調べてあるが。なぜ、伯爵との結婚が決まったのか。
そこまでは、わからなかったようだ。

  ただ。この結婚を望んだのがアメリアではないこと。
俺には、それがわかれば充分だった。

  少しでも眠ろうと、ベットに横たわったが・・・・・・・。

一睡も出来ないまま、窓の外が明るくなって来た。


  屋敷の中を適当に歩いていると、昨日飛び出した応接間に、たどり着いた。
 「旦那、寝なかったのか」
 「いや、寝たぞ。
   さっき目が覚めたんだ」
テーブルでコーヒーを飲んでいたガウリイが、のんびりと答え。
側に置いたあったポットから、俺にもコーヒーを入れてくれた。
しばらく無言でコーヒーを飲んでいたが。

 「行くんだろ。アメリアのところに」
 「知らん顔も出来ないからな・・・・なあ。ガウリイの旦那・・・・・・」
 「ついて来るな。とか言っても、リナと俺は勝手にアメリアのとこに行くぞ」
 「気持ちは、ありがたいが。
   相手は大国。セイルーンなんだ。
   巻き込むわけには・・・・・」
 「相手が、なんだろうが。
   困ってる仲間に手を貸しに行く。ただそれだけさ。
   それに、ゼルの知り合いの・・・・赤い服着た人も居るしな。
   あの女の人、かなり強いだろ」
 「・・・・・アイアイのことか・・・・・・」
 「そうそう。そんな名前だったよな〜」
   そう言えば、あの人。ゼルのおばさんなのか」
 「おばさ・・・・・・本人の前で、そんなふうに呼ぶなよ。
   んなことしたら、投げ飛ばされるぞ」
 「投げ飛ばす・・・・って、あの華奢(きゃしゃ)な人が、俺をか・・・」
 「あいつはな。この俺くらい、片手で笑いながら、投げ飛ばすぞ」

  ガウリイは、両手でコーヒーのカップを支え、一口飲んで話し出した。
 「なあ。ゼル。
   俺なんかが、どうこう言うことじゃないんだろうけどさ。
   『想い』、ってのは、『思ってる』、だけじゃ。
   伝わらないものじゃないかな。
   おまえさんのことを信じて待ってる。アメリアにさ」
相変わらず・・・・・痛いところをついてくるな・・・・・。
 「そう言う旦那の方は、どうなんだ」
 「いや〜。リナの故郷に向かってるんだけどな。
   まあ。リナの実家に着いたら、ちゃんと挨拶させてもらうさ」
そう言って苦笑するガウリイに、俺も苦笑するしかなかった。


 「“ゼル坊”。行くのね。王宮に」
 「知らん顔も出来んからな」
部屋へと入ってきながら話す、アイアイの視線を避け。
横を向いたまま答えた、俺の返事を聞いて。
顔を見合わせて笑う、リナとアイアイ。

 「その。なんとか伯爵ってのは、どんな奴なんだ」
 『嫌な奴よ』
ガウリイの問いかけに、声ハモらせて答えるリナとアイアイ。
婚約から式までの期間が、異様に短かったり。
アメリアと結婚するのが、貴族とはいえ、名門とは言いがたい家の者だったり。
異例なことずくめで。この話が発表されてから、セイルーン国内は、なにかと騒がしいらしい。

 「13年前に父親が急死して、セイルーンの暗部の責任者になったんだけど・・・・。
   ある意味、闇の仕事には最適なやつよ。冷酷非情。部下を使い捨ての道具としか見ていない。
   赤ん坊だろうが、なんだろうが。邪魔者は、どんな手を使っても消す。
   自分の職務を利用して集めた情報を、私利私欲の為に使って。
   権力を拡大しようしているし。
   後ろ暗い所のある高官や貴族の連中も、伯爵には逆らえないみたいで。
   今度の結婚のことにも、表立って反対しているのは、ごく一部なのよ」
眉をひそめて話すアイアイ。
 「フィルさんは、どうしてるんだ」
 「2ヶ月前に、カルマート公国の王子の、結婚式に出席してからは。
   公式行事もないけど・・・・・・・・。
   少なくとも、公的には反対していないみたいよ」
妙だな。アメリアやフィルさんが、そんな奴の言いなりになるとも思えんが。
アイアイの資料によると。確か伯爵は、来年40歳になるはず。
ふつうなら、結婚相手の候補にすらならないハズだが・・・・。

だんっ!?
 「だいたい式の様子をセイルーンの全域や、結界内の主要都市に中継させる。ってんだから。
   目立ちたがり屋で自己顕示欲の塊よね〜」
テーブル叩き、叫んだリナは息を整え、話を続けた。
 「あたしとガウリイは、婚約の話を聞いて、すぐにアメリアに会いに行ったんだけど。
   なんだかんだ理由をつけられて、会わせてもらえなかったのよね」
 「そう言えば、リナと城に忍び込もうとしたときに。
   変な奴らに襲われたな」
 「城内で派手な術を使うわけにも行かないし。
   とりあえず、ガツン、と一撃して逃げたのよね」
 「その“ガッン”で、危うく瓦礫の下敷きになるところだったけど」
アイアイの言葉に。
 「だから、ごめん。って、謝ったじゃないの」
小声で呟くリナ。
 「まあ。そのおかげでリナさんたちに会えたんだどね」
舌をペロッ、と出し、肩をすくめるアイアイ。
 「“ゼル坊”たちを襲った連中だけど。
   伯爵の配下に、“影”と呼ばれる黒ずくめの連中が居るのよね。
   そいつら、暗殺のプロよ」
 「なるほどな。邪魔者は消せ。というわけか」
なんで、伯爵の言いなりになっているのかは、わからないが。
アメリアとフィルさんは、軟禁状態と考えた方が良いみたいだな。
 「もうひとつ。なんで結婚式が、夜中の1時から始まることになったんだ?」
 「さあ? 伯爵の強い希望、としか。まだわかっていないわ」
俺の質問に、首をかしげ、答えるアイアイ。
どういうことだ。式を夜中に行うことに、なにか意味があるのか。

  黙り込んだ俺の顔を見ていたアイアイは、視線を俺の剣へと移して。
 「“ゼル坊”。その剣、どっから手に入れたの」
 「借り物だ。由来は知らん」
 「使い心地は、どうかしら」
俺は返事をする前に、柄の先に、円形の灰白色の石が飾られた剣を見る。
石の表面は、五方星とは、どこか違うような印が刻みつけられている。
 「強度と斬れ味は、問題ないな。
   雷撃が使えから、中間距離の攻撃も出来る。良い剣だと思うぞ」
 「良い剣・・・・・ね。
   “ゼル坊”。風系の術の威力が、上がったりしてないかしら」
 「ああ。そうだが・・・・・どうして分かったんだ」
俺の返事を聞いて、なにか考えるように間を置いたアイアイは。
 「その剣、ちょっと貸してくれない」
そう言いつつ、俺の剣へと手を伸ばす。
 「断る」
 「なんでよ」
 「言ったろう。借り物なんだ。
   それに、おまえの『貸して』は、『ちょうだい』と同じ意味だろうが」
 「“ゼル坊”・・・・・・。厄介な代物に好かれるのは・・・・あんたんとこの血筋なのかしらねえ」
右手を額に当て、わざとらしく溜息をつきつつ話すアイアイ。
 「どういう意味だ」
 「あんたの腰にぶら下がってる剣のことよ。
   その剣はね。“妖刀サマラム”、って呼ばれてるのよ。
   下手な使い方したら、死ぬわよ」


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30844その呪文は――――棒太郎 2004/11/2 23:06:19
記事番号30834へのコメント

こんばんは、猫楽者さん。

またもや一挙5話掲載とは凄まじいです。
今回もまた、いろいろと展開があり、クライマックスに向けて駆け上がっていますね。
特にアフロメンなレギオスには笑わせてもらいました。
あまりの騙されっぷりに、かえってグッジョブ!とでも言いたくなります(笑)
今回、伯爵の秘密兵器について明かされましたが、まあ偉く物騒な代物で。
リナたちは果たしてこの巨大ムシメガネ砲を破壊できるのか?
ゼルの手にした剣もいわくありまくりの妖刀。つくづく厄介なものを引き寄せてしまいますね。
そしてなによりもラストのあの呪文。
あんた、そりゃマズイよ――と思わず呟いてしまいます。
実はコレ、私も今書いてる話で出そうと思ってました。先を越されましたな(笑)

いよいよクライマックスですね。
果たしてゼルとアメリアはどうなるのか―――続きを楽しみにしています。
それではこの辺で失礼します。

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30845赤の世界に『風』が吹きます。猫楽者 E-mail 2004/11/3 00:31:09
記事番号30844へのコメント



>こんばんは、猫楽者さん。

こんばんは、棒太郎さん。
お元気ですか。猫楽者です。
読んでくださいまして、ありがとうこざいます。
とても丁寧な感想をいただきまして、本当にありがとうございます。

>またもや一挙5話掲載とは凄まじいです。

なんとか書きあがった所までを、投稿させていただきました。
続きは・・・・・徐々に出来上がりつつありますが・・・・・。
まとめるのに・・・・時間がかかってしまいそうです(汗)

>今回もまた、いろいろと展開があり、クライマックスに向けて駆け上がっていますね。

自分で・・・・全12話とエピローグと決めたのですが・・・・・(汗)
残りの1話々々が・・・・今までに比べて・・・長くなってしまいそうです。

>特にアフロメンなレギオスには笑わせてもらいました。
>あまりの騙されっぷりに、かえってグッジョブ!とでも言いたくなります(笑)

ありがとうございます。
ある意味。素直な所もあるレギオスさん(笑)
元ネタは、ケロロ軍●のエンディングだったりします(笑)

>今回、伯爵の秘密兵器について明かされましたが、まあ偉く物騒な代物で。
>リナたちは果たしてこの巨大ムシメガネ砲を破壊できるのか?

巨大ムシメガネ砲(笑)
そうしますと、巨大なムシメガネを持つ巨人との戦いも考えないと・・・・・(笑)。
全長数千キロの巨人 VS 正義の仲良し4人組(笑)
ちょっと読んでみたいですね(笑)

>ゼルの手にした剣もいわくありまくりの妖刀。つくづく厄介なものを引き寄せてしまいますね。

やはりゼロスさんと同じように、厄介な物に好かれる体質なのでしょう(笑)
実は、魔力を増幅させるアイテムは、なにか無いか・・・・・。
そう考えていましたら・・・・・何故か・・・・・柄の中に『黄の印』を隠した妖刀が
頭に浮かんできました。

>そしてなによりもラストのあの呪文。
>あんた、そりゃマズイよ――と思わず呟いてしまいます。

はい・・・・マズイですよね(汗)
下手したら、メギドの炎・・・・じゃなくて、『風』で、聖王都が壊滅・・・・してしまったかも知れません(滝汗)
風系のパワー・アップがしたい→アイテムを使おう(待て)→風だから風の主神さまの力を借りよう(笑)
力を借りるお方が・・・・お方ですので・・・・パワーを抑える方法として
剣の柄に、『旧神の印』をつけたりしました(汗)

>実はコレ、私も今書いてる話で出そうと思ってました。先を越されましたな(笑)

『黒の断章』の方に、“名状しがたきもの”さまが
ご登場なさるのでしょうか。
風の主神さま。好きでして、楽しみにお待ちしております。

>いよいよクライマックスですね。
>果たしてゼルとアメリアはどうなるのか―――続きを楽しみにしています。

ありがとうございます。
第十話、十一話。そして最終話とエピローグ・・・・・。
前後のつなぎで・・・・いつものように(笑)・・・・頭を抱えております(汗)

>それではこの辺で失礼します。

読んでくださいまして、ありがとうございます。
丁寧な感想を、本当にありがとうございます。

『黒の断章』。ゼルガディスさんとアメリアさんが、舞台でどんな冒険をなさるのか。
とても楽しみに、お待ちしております。

寒暖の差が激しく、これから、いよいよ本格的に寒くなってまいりますが。
お体にお気をつけて、お元気で。

では、失礼します。

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30835『セイルーンの城』 (第六話)―――敵。 敵?。 味方(?)―――。猫楽者 E-mail 2004/10/31 23:55:50
記事番号30806へのコメント


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『セイルーンの城』 (第六話)―――敵。 敵?。 味方(?)―――。


  セイルーン・シティを目指す俺達3人の旅は、お世辞にも順調とは言えなかった。
何度も襲い掛かって来る襲撃者たちの為に、時間ばかりかかってしまう。
襲撃者たちは、昼にも、夕方にも、さらに夜、寝ているときにもやってくる。
夜明け前に襲われたときに、俺達の泊まっていた不幸な宿屋は半壊してしまった。
オーガ、トロル、バーサーカー(狂戦士)、デュラハン(死霊騎士)、スケルトン、レッサー・デーモン・・・・・。
種類はいろいろだが。
なぜか、黒ずくめの姿は無かった。
毎回、人数は30人〜50人くらいで、飽きもせずに襲ってくる。

 「そんなに腕の立つ奴がいない。というのは」
 「時間稼ぎ・・・でしょうね〜」
 「だよな〜」
うんざりしたように呟く俺たちの前に、本日4度目の襲撃者たちが倒れていた。
もっとも。4度目の襲撃者の大半は、いい加減ぶち切れたリナのドラグスレイブで、吹き飛ばされてしまった。
俺も3度目の襲撃者たちに、グレイブ・ハウルを使ってしまったから、別にどうこう言うつもりはないが。

  しばらく街道を進んだときに。
 「敵さん。ペースが上がってないか」
 「よっぽど、あたしたちをセイルーン・シティに入れたくないんじゃないの」
俺たちの目の前には、本日5度目の襲撃者たちが現れていた。

お〜〜っほっほっほっほっ・・・・・・・。
遠く微かに、異様な笑い声が聞こえてきた。
俺たちの後方から聞こえた来た、笑い声を耳にした、とたん。
リナは無言で、街道から森の中へと入っていった。
思わず顔を見合わせる、俺とガウリイ。
本日5度目の襲撃者たちも、異様な事態に戸惑っているようだ。

お〜〜っほっほっほっほっほっ・・・・・。
頭に響く笑い声は、どんどん大きくなってきて。
後ろを振り返ると、盛大に土煙を上げつつ。
地面ぎりぎりの所を、レイ・ウイングでふっ飛ばしてくる人影が見えた。
俺とガウリイも、慌てて街道からリナの居る森の中へと駆け込み。
街道には、唖然としたままの本日5度目の襲撃者たちが残され。

お〜〜っほっほっほっほっほっ・・お〜〜っほっほっほっほっほっ・・・。
どおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ〜〜〜〜ん。
謎の怪物体は、高笑いと常識ハズレの高速飛行の衝撃波を残し。
あっ。と言う間に、視界から消えていった。
後に残るのは、なにやら小声で。
あたしは何も見てない。とか、なんであいつが・・・・・。とか。
呟いているリナと、ぼ〜ぜんとしている俺とガウリイ。
そして、衝撃波の直撃を受け、吹き飛ばされてしまった。
本日5度目の襲撃者たち。
まあ・・・・・なんにしても・・・・だ・・・。
あ〜いうの・・・・とは・・・・・できれば・・・・・一生・・・係り合いたくは・・・・・。
・・・・・無い・・・・・・な・・・・・。


  せめてもの救いは、町中で昼間から襲撃されないことくらいか。
どうにかたどり着いた町の食堂で食事を取り、休憩した俺たちは。
昼間の間に少し眠っておきたい、と言う。
リナの意見に従って宿屋を目指して歩いていた。
この町にも、式の様子が中継されるらしく。
町のだいたい中央に位置する広場では、その準備の真っ最中のようだった。
忙しく立ち働く人たちを見ながら、歩いていると・・・・・・・。
 「真っ白く〜〜ん。会いたかったぞ〜い」
 「だああああああ!?
   抱きつくな!? ほおずりするな!?
   うっとおしい!?」
ずざざざざざざざざ・・・・・・・・・・・・・。
ギジンじいさんに抱きつかれて、叫ぶ俺から。
すごい音と共に遠ざかる、リナとガウリイ。
 「ね・・ねえ・・・ガウリイ。
   ほら、おふたり♪のお邪魔だから・・・先に行ってよっか・・・・」
 「そ・・・そうだな。
   仲・・・良さそうだもんな・・・・」
 「お・ま・え・ら〜〜」
そう言いつつ、腕に力を込めてスッポンじいさんを引き離す。
ギジンじいさんは、するり。と、俺の腕から抜け出し、右足で。
トンッ。
軽く俺の左腕を蹴り、そのまま綺麗に後方回転して着地する。
 「へ〜え〜。
   じいちゃん。やるわね」
 「こう見えてもワシの軽業は、評判良いんじゃぞ」
リナに向かって笑いながら話す、じいさん。
 「んで。軽業師のじいちゃん。
   ゼルとのご関係は?」
 「それはもちろん・・・・・」
無言で睨む、俺の視線に気付いた、じいさんが言葉を止める。
 「真っ白くん・・・・・・やっぱり気が短いのう」
ボソッと呟かれた言葉を無視して、俺はじいさんに問いかける。
 「こんな所で何してんだ」
 「セイルーン・シティへ向かう途中での。
   ワシは旅芸人の頭なんじゃが、次の公演場所へ移動中なのじゃ。
   ところで・・・・・・」
ギジンじいさんは、リナとガウリイの方を見ながら。
 「綺麗なお嬢さんとハンサムさんは、真っ白くんのお仲間かの」
 「まあな。
   金髪の剣士。ガウリイに、じいさんいわく・・・・・。
   『生きとし生けるものすべての敵。世界を滅ぼそうとしておる闇の申し子』
   『闇夜を斬り裂く雷と共に現れし、破壊王リナ・インバース』・・・・」
 「ゼゥェ〜〜ルゥ〜〜。
   い〜度胸してんじゃないの〜」
怖い笑みを浮かべたリナが、俺の方に、じりじりと近づいて来るが。
俺は、慌てず騒がず、キジンじいさんを指差し。
 「このじいさんが、そお言ってたぞ」
ゆらり。と、リナがギジンじいさんの方へ体の向きを変える。
 「さて・・・なあ・・・。
   年を取ると、とんと物忘れが激しくなってのう・・・・」
リナから顔を背け、のんびりと呟く姿は、流石だが・・・・。
おしいかな、ほほに一筋の汗が流れていた。

 「ところで。このごろ物騒じゃのう。
   今朝方、隣町の宿屋が襲われた。とか、街道のあちこちで。
   大規模な戦闘があったとか。
   真っ白くん。もし良かったら、お前さんたち、ワシらの護衛を引き受けてはくれんかの」
じいさんへ近づこうとしていた、リナが立ち止まり。思わず顔を見合す俺たち。
巻き込むわけには、いかないな。
 「悪いが急ぎの旅なんだ」
 「真っ白くん。焦りはキンモツ、急いては事を仕損じるぞ。
   ワシが聞いた話では、宿屋が襲われたとき、街道での戦闘。
   そのどちらにも、真っ白い格好をした人物がいたらしいのう。
   それにな、王女の結婚式が近いこともあって。
   聖王都までの道筋は、どこも警戒厳重じゃぞ」
 「じいさん。あんた、なにものだ」
殺気まじりの俺の視線を、平然と見返しながら、じいさんは呟く。
 「どうやら。真っ白くんたちは、訳ありのようじゃな。
   ワシを信じろ。と言っても無理かもしれんがの。
   助けてもらった恩返しじゃ。
   昔から言うじゃろ。木を隠すには森の中。とな」


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30836『セイルーンの城』 (第七話)―――たどり着いた街で―――。猫楽者 E-mail 2004/10/31 23:57:58
記事番号30806へのコメント

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『セイルーンの城』 (第七話)―――たどり着いた街で―――。


  俺たちは、今、セイルーン・シティの宿屋に居る。
あれから2日。
どうにか式の一週間前には、到着出来たのだが・・・・・・。
聖王都の様子は、どこかおかしかった。
王族の結婚ともなれば、王宮から酒やご馳走が振舞われ。
市民はお祭り気分で騒ぐ、と思うのだが。
セイルーン・シティは、どうにも活気が無いように感じる。

 「なあ・・・・・・いつまで・・・・この格好してなきゃならないんだ」
 「夜になったら、サンタさんの隠れ家に連れて行ってもらえるから。
   それまで、その格好でいることになってたでしょう」
ちなみに。サンタさんと言うのは、リナがアイアイにつけた、あざなのことだ。
まあ・・・・たしかに・・・・赤い服を着てはいるが・・・・。
 「でも、なあ・・・」
 「いい加減に諦めなさいよ。
   ゼルなんか、すっかり順応して文句ひとつ言わないわよ」
文句を言う気も失せただけ、なんだがな。
やれやれ。
文句を言うつもりは無いが・・・・・。
できれば・・・・・も〜少し・・・ましな方法は無かったんだろうか・・・。
ギジンじいさんに、この方法を示された時、俺とガウリイは反対したが・・・・・。
リナとギジンじいさんに押し切られてしまった。
思えば、昔から・・・・・こんな目に・・・あっていたような気がする。
だいたい。アイアイとレゾは昔っから、俺のことを着せ替え人形あつかいして・・・・・・。
 「着せ替え人形」
声を出すつもりは無かったんだが、どうやら小声で呟いてしまったようで。
リナが異様にうれしそうな表情で、俺の顔を見ている。
 「ね〜え〜。ゼルちゃ〜ん。
   そこんとこ、も〜ちょっと詳しく教えてくれない」
俺は無言で顔を背ける。
言えるか。
レゾとアイアイは、物心つく前の俺に・・・・・ひらひらレースつきのスカートだの・・・。
花柄ワンピースだのを着せたり・・・・・赤やピンクのリボンで髪を飾っていた・・・・・。
そんなことを、リナに知られたりしたら・・・・・俺の人生は終わりだ・・・・・。


トントン。
ノックの音が響き、リナの追求は止まったが。
誰も訪ねてくるような予定は無い。
リナと、いつでも剣を抜けるように身構えたガウリイが、扉の方へ注意を向け。
俺は窓の方へと移動して、剣を抜き、小声でフリーズ・アローの呪文を唱える。
外の気配は、ひとり。
隣の部屋や天井、窓の外には何の気配も感じないが・・・・。

 「誰?」
リナが、ノックに返事をして。
 「だ〜れだ?」
帰ってきたのは、やたらと陽気な声。
扉を開けると、悪戯っぽい笑みを浮かべたアイアイが立っていた。

 「予定と違うぞ」
 「予定は未定。誰にも未来のことなんて、わからないのよ」
訳のわからない返事で、俺の言葉を煙に巻くアイアイ。

 「どうにか無事に、たどり着いたみたいね。
   それにしても・・・・・」
言葉を切ったアイアイは、何かを考えるように、しばし間を開け。
俺とガウリイを交互に指差しながら、満面の笑みを浮かべて話を続けた。
 「“ゼル坊”も♪ 。ガウリイさんも♪ 。まあ♪ 。
   ずいぶん綺麗になっちゃって・・・・・・・」
 「帰れ!? おまえは!?」
 「あらあら。“ゼル坊”。
   怒った顔も、きれいね〜」
わかってはいる。こんな格好で、なにを言おうが・・・・・無駄だということは・・・・。
わかってはいるんだが・・・・・。
俺は、リナとギジンじいさんの手で・・・・・・。
綺麗に化粧をされ、黒いスーツと帽子で決めた、男装の麗人のような姿にされていた。
一方、不幸なガウリイは、淡いピンクのロングドレス姿。
ガウリイの腰にブラスト・ソードが差したままなのは、旦那なりの精一杯の抵抗だったようである。
リナとギジンじいさんは。
『二人とも、その姿で町を歩けば、すれ違う男の大半は振り返るような美人さんよ(じゃぞ)』
そう言われたが・・・・・とても喜ぶ気には・・・・・ならなかった。
ちなみに、リナも魔道士姿ではなく。
ごく普通の、若草色のシャツと赤いスカート姿に着替えていた。
この変装をした俺達は、ギジンじいさんの旅芸人の一座に紛れ込み。
敵の襲撃を受けることも無く、こうして無事に、セイルーン・シティへと入り込むことが出来た。

 「無事に着いた“ゼル坊”たちに、プレゼントよ」
そう言いながら、アイアイは手に持ったメモリー・オーブを、テーブルの上へと置いた。
テーブール上に置かれたメモリー・オーブは、淡く輝きだし。
メモリー・オーブの少し上の空間に、何か映し出されようとしているようだ。

不鮮明だった映像が、徐々に鮮明になっていって・・・・・・。
映し出されたのは・・・・・・。
銀髪、蒼い瞳をした。オムツをつけた赤ちゃんのハイハイしている姿。
お座りして、両手をあげてバンザイしながら。
だあっ。とか言って、ニコニコしている。

そこまで映像を見たとき、俺は無言で。
バキッ。
メモリーオーブを握りつぶし。
鈍い音と共に映像が消えた。

 「あああああああああ。“ゼル坊”、何するのよ」
 「そ・れ・は・こっちの台詞だ!」
 「“ゼル坊”のお友達に、見せてあげようと思っただけなのに・・・・・・」
 「ってことは、あの子はゼルちゃんなの」
 「可愛かったんだな〜」

無言で肩を震わせている、俺を無視して盛り上がるやつら。

 「リナさんには、後でちゃんと渡してあげるからね♪」
 「渡すな!」
 「やった♪ ラッキー♪」
 「リナ! お前も喜ぶな!!」
疲れた・・・・なんだか・・・どっと疲れたような気がする。
 「はあっ・・・・・・相変わらず、はた迷惑な奴だな」
なげやりに呟いた俺の言葉に。
 「うううううう・・・・・・“ゼル坊”が冷たいわ・・・・。
   昔はオムツを替えてあげたり、抱っこしてあげたら、喜んでくれたのに・・・・・」
わざとらしく泣いた振りをするアイアイ。
 「いつの話だ、いつの。
   だいたいお前は何しに来たんだ」

この言葉に、すっ。と、表情を引き締めるアイアイ。
 「情報が必要だと思って、早めに来たのよ。
   聖王都の住人が、中継会場の設置の作業をやらされてるらしいわ。
   なんか妙なことになってるみたいよ」


 「おや。お客さんかの」
しばらくして、扉が開き。部屋へと入ってきたのは、ギジンじいさんだった。

 「ここまで来るのに世話になった、ギジンじいさんだ。
   こいつは、情報屋のアイアイ」
 「はじめまして、真っ赤さんや」
 「“闇のギジン”って、呼ばれていた。
   セイルーン情報部の人間が、なんで、こんなところに居るのかしら」
その言葉に、俺達へと視線を向けるギジンじいさん。
 「あんまり驚いとらんようじゃの」
 「只者じゃない。とは思ってたわよ」
 「別に、殺気も変な気配も感じなかったしなあ」
 「一座の連中も、素人には思えなかったからな」
リナにガウリイ。俺の言葉を苦笑しながら聞いていた、ギジンじいさんは。
ひょい。と肩をすくめて。
 「『もと』。を、つけ忘れとるよ。真っ赤さん。
   ワシは、もう引退した身じゃよ。
   それにな。ワシらの一座の連中は、皆、殿下には返しきれないほどの恩があっての。
   老骨が多いが、今の状況をどうにかしたい。
   みんなそう思っておるんじゃよ」


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30837『セイルーンの城』 (第八話)―――王宮にて―――。猫楽者 E-mail 2004/11/1 00:00:05
記事番号30806へのコメント




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『セイルーンの城』 (第八話)―――王宮にて―――。


  不夜城。という言葉がある。
夜の闇の中、魔法の明かりや、かがり火で照らされた。
そびえ立つ巨大な城は、まさに不夜城のようだった。
客として寝泊りしたときとは違い。
まるで俺を拒むように、冷たく、そして大きく感じる。

本宮や神殿の周りに、『びっしり』と警備兵が配置されているのは。
アメリアの式が近いから、だろうか。

何度も、この城に侵入した経験のある、リナの情報。
それにアイアイとギジンじいさんの、つて、で最新の警備状況を調べてもらい。
なんパターンもの、進入と脱出ルートを決め。
俺は、進入ルートのひとつ使いを、慎重に本宮へと近づいていった。

今頃は、別のルートで進入した、リナとガウリイがフィルさんに接触しているハズだった。
普段の服装では目立ちすぎるので、黒い布地のゆったりとした服に着替えた。
一言で言ってしまえば、アサッシン(暗殺者)のような姿だ。
もし俺が、王宮へ忍び込もうとしている、こんな姿の奴を見たら。
問答無用で斬りかかるか、呪文で吹き飛ばすだろう。


  アメリアの部屋のテラスへ、そっと降り、部屋の様子をうかがう。
机に座り、何かの書類に目を通しているアメリア。

そっと窓を開けるが、微かに音がしてしまった。
 「誰です」
言いつつ顔を向けるアメリア。
肩で切りそろえられた、艶やかな黒髪が揺れ。
部屋の明かりに光り輝く瞳。

無言で俺は、アメリアから見えるように、フードを外し。
辺りの気配を慎重に探り、テラスから部屋へと入って行った。
俺は顔を見たアメリアは、無言で机から立ち上がり。
こっちに向かって、駆け寄ってくる。
俺は素早く左右に視線を走らせ。
誰も居ないことを確認し、両手を広げる。
俺の胸に飛び込んで来たアメリアは、右手で俺の襟をつかみ。
左手で俺の右袖をつかみ、走りこんで来た勢いのまま。
くるり。と反転。
ぶんっ!?
きれいに半円を描き、投げ飛ばされた俺は。
とっさに受身を取ったが、タイミングが、ずれたのか。
左腕が痺れて、うまく動かない。
床の上をアメリアと一緒に2〜3回転して、ふたりで身を起こすが。

 「ア・・・アメリア」
 「ヴィス・ファランクス」
ゴガア!?
俺の呼びかけに答えたのは。
アメリアの力ある言葉と、光をまとったアメリアの拳で砕け散るテーブルの破壊音だった。

どうするか・・・・・反撃するのは簡単だが・・・・・・。
両手を振り回し、椅子や花の飾られた花瓶を粉砕するアメリアの攻撃を避けながら。
俺は、どう対応するか、迷っていた。
どうにかアメリアと話がしたいが、こんな騒ぎを起こしたら・・・・。

どんどんどん・・・・。
 「アメリア様!?」
扉の外の警備兵が、異変に気づき騒ぎ出した。
どんっ!?
ダム・プラスかなにかで、扉のカギが叩き壊され。
警備兵が、どっと室内へ入り込んで来た。

ここまでか。
俺はアメリアの脇をすり抜け。
 「ライティング」
光量最大、持続時間ゼロの光を放ち。
警備兵たちの悲鳴を背に、テラスから身を躍らせる。
 「レイウィング」
風の結界を身にまとい、なんの成果も無いまま、宮殿から離れるしかなかった。


 「アメリア様。お怪我はありませんか」
 「ええ。大丈夫です」
アメリアたちの声が聞こえる。
俺が部屋へと仕掛けたレグルス盤から。

 「騒がしいな、何事だ」
 「マーシュ伯爵。侵入者がアメリア様のお部屋に・・・・・」
 「ぐずぐずしとらんで、侵入者を探すなり、警備を強化するなりしたまえ」
警備兵達が、部屋から追い出されて行く音が聞こえ。
室内には伯爵とアメリアが残ったようだ。

 「余計な真似をしてくれたな。アメリア王女。
   おまえが邪魔しなければ、あのキメラを生きて帰しはしなかったのに」
 「私を見張っている、人型になれる魔族を使って、ですか」
 「アメリア王女。
   覚えておくがいい。わたしは“王女”と結婚できれば良いのだよ。
   おまえが不幸な事故で死んでしまったら、グレイシアを手に入れるだけのこと。
   この国には、もう。わたしの物だ。
   名義の書き換えなど、幾らでも方法があるのだからな。
   どこの馬の骨かは知らんが、アメリア。
   おまえが庇うほどの価値が、あのキメラにあるのか」
 「ゼルガディスさんは人間です。
   貴方とは違って、暖かい心を持った・・・・・・」
 「黙れ!?
   いいのかな。わたしを怒らせても」
 「父さんも私も、貴方の要求は全て呑みました。
   貴方も約束は守ってください」
 「なにか要求出来るような立場ではないことを、忘れるなよ。
   そんなに大切か、この街が」
 「大切なのは街ではなく、街に暮らす人たちです」
 「では、大人しく言いなりになってもらおうか。
   この街で暮らすチッポケな奴らが、メギドの炎で焼かれない為にな」
 「この街を、あの島のように消させたりはしません」
 「せいぜい強がるがいい。
   おまえにも味あわせてやろう。
   全てを無くし。ひとり残された者の絶望をな。
   楽しみだよ。なにもかも失ったおまえが、どんな顔をするのかがな」
伯爵は、笑いながら部屋から出て行ったようだ。


          いつも一緒に居たかった。
          隣で笑あってたかった。
          季節は、また変わるのに。
          心だけ立ち止まったまま。

 「ゼルガディスさんは・・・約束守ってくれたのに・・・・・私は・・・・・守れそうにありません」

          あなたの居ない右側に、少しは慣れた、つもりでいたのに。
          どうして、こんなに涙が出るの。
          もう叶わない想いなら、あなたを忘れる勇気だけ。
          欲しいよ。

 「ゼルガディスさん。ごめんなさい・・・・・・・ごめんなさい・・・・・・ゼルガディスさん」

          今でも覚えている。
          あなたの言葉。肩の向こうに見えた景色さえも。

微かに。本当に微かに。むせび泣くような音が聞こえた。


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30838『セイルーンの城』 (第九話)―――館の奥で待つもの―――。猫楽者 E-mail 2004/11/1 00:19:29
記事番号30806へのコメント


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『セイルーンの城』 (第九話)―――館の奥で待つもの―――。


 「ゼル。アメリアには会えたの」
 「まあな。それよりも、少しは事情がわかってきたぞ」
一言も喋れず、いきなり投げ飛ばされた。とも言えず、リナに答える。
 「アイアイ。
   おそらくは魔道具だと思うが、メギドの炎という物のことを知っているか」
 「メギドの炎・・・・・・聞いた覚えはあるわね」
右手の人差し指で、こめかみの所をトントン叩きながら答えたアイアイは。
ちょっと待ってて、と言い残して部屋を出て行った。

 「フィルさんには会えたのか」
 「駄目だったわ。無茶苦茶ガードが固いんだもん」
部屋の四方。扉や窓の所から、上下左右の部屋まで。
警備兵が、文字どうり、びっしり並んで警備していたという。
 「あれじゃあ。警備、って言うよりも監視してるようなもんね」
 「見つからないギリギリの所まで近づいて、部屋の気配を探ってみたけど。
   誰かが寝てるようだ。としか、わかんなかったからなあ」
リナのとなりで、頷き話すガウリイ。

 「わかったわよ」
しばらくして。何冊かの古びた本を持ち、そう言いながらアイアイが戻って来た。
 「いつ誰が作ったのかは、わからないけど。
   メギドの炎は、上空の空間を歪めて巨大なレンズを作る道具よ」
俺達はアイアイの広げた本を見てみたが・・・・・・。
 「これ・・・・なんの文字で書いてあるの」
 「こっちが古代エルフ文字。
   もう1冊の方は、昔の竜族の文字よ」
 「よく読めるわね」
 「前にね。教えてもらったの。ずっと前にね」
リナの言葉に、ふっ。と、懐かしさと寂しさの混じったような。
なんとも言えない表情を浮かべるアイアイ。
レゾと親しかった、こいつは、レゾから様々な分野の事を学んでいたらしいが。
なにかと謎の多いやつだな。

 「レンズの大きさは?」
 「直径・・・数10キロよ」
 「それって・・・・」
 「この街くらいなら、すっぽり包み込むだろうな」
 「この危ないおもちゃが、欲ボケ伯爵の切り札、って訳ね」
 「よくわからん・・・・・・」
困ったように呟くガウリイ。
ガウリイ以外のメンバーは、黙ってリナに視線を向ける。
 「な・・・なによ。なんでみんな、あたしを見てるわけ」
 「だって・・・・ねえ」
薄っすらと赤い顔をして、わめくリナから俺に顔を向けて呟くアイアイ。
 「旦那に説明する役は・・・・」
 「リナさんしかおらんじゃろう」
俺の言葉の続きを、リナの肩にポンと手を置き話すギジンじいさん。
 「リナ。顔。赤いぞ」
 「・・・・うっだああぁぁぁっ!? やかまし!! 」
ガウリイに八つ当たり気味に叫び、落ち着こうと深呼吸するリナ。
 「・・・・・ええっと・・・ガウリイ・・・・レンズ、って、わかる?」
 「あれだろ。物が大きく見えるやつ」
 「正解、正解。ガウリイにしちゃ上出来よ」
 「俺にしちゃ・・・って、あのなあ・・・・」
 「ついでに言うと、光を集めて火をつけたりも出来るのよ。
   んで・・・・第2問。
   この街と同じくらいの大きさのレンズに、日の光が当たったら、どうなると思う」
 「街が燃えちまうのか」
 「燃える。と言うか・・・・・超高温の熱に焼かれて、蒸発しちゃうでしょうね」
上空の空間を歪め、生まれ出た巨大なレンズが日の光を、街を滅ぼす破滅の炎へと変え。
王宮が、街の建物が・・・・・この街で暮らす人たちも・・・・・。
白い光に包まれ、陽炎のように揺らぎ・・・・・・消えて行く。
文字どうり、今この街の命運は、ひとりの男に握られてしまっている。
伯爵が、その気になれば、一瞬で聖王都は消滅してしまうだろう。

 「問題は、その危ないおもちゃが、どこにあるか。よね」
 「普通に考えれば、この街には無いだろうが・・・・・」
 「ゼル。なんで、この街には無い、ってことになるんだ」
 「ああいう、我が身だけは可愛い、って奴が。
   自分も巻き込まれるような場所には、あ〜んな危ないおもちゃ置いとくと思う」
 「伯爵の性格なら、この街のどこかに隠してあるじゃろうな」
珍しく口数の少なかったギジンじいさんが、ぽつり、と呟いた。
俺は、ギジンじいさんに確かめたいことがあった。
 「ギジンじいさん。あんたに聞きたいことがある」

  アイアイとギジンじいさんの情報網を利用して、メギドの炎が、どこにあるのか。
探してみたが、伯爵の屋敷に少し前に何か運び込まれ。
それ以来、警備が厳重になった。
怪しいと思えるのは、その知らせくらいだった。

  夜中になるのを待ち、リナとガウリイ。
それに俺の3人で、伯爵の屋敷に忍び込んだ。
警備は厳重だったが、盲点もあった。
今は使われていない地下水路から、伯爵の屋敷の地下へとベフィス・ブリングを使って。
即席の通路を作る。
このほとんど反則みたいな方法を考えたリナは、流石と言うべきか・・・。

伯爵の屋敷の地下室とおぼしき壁にたどり着き、ガウリイが気配を探り。
手にした剣で壁を斬り開ける。
リナのショート・ソードの剣先に灯る、小さなライティングの光リで。
かろうじて、黒い天井と壁が見えるだけだったが。
壁の向こうは、無人の地下室だった。

地下室へと、足を踏み入れたと同時に感じる違和感。
一瞬、視界が歪み。気づいた時には、リナとガウリイの姿が消えていた。
どうやら、俺達が来るのを待ち構えていたらしい。
俺は、ひとり。魔族の結界かなにかに放り込まれたようだ。


目の前に現れたのは、30前後の男のように見える者。
 「わが結界にようこそ。お若い魔剣士くん。
   我名はレギオス・・・・・って、なんで頭抱えて座り込んでるのかな」
白い上下のスーツ。両袖に、やたらとびっしりくっ付いている白くて細長い布。白のプーツ。
そこまでは、まだいいのだが・・・・・・・・。
黒髪のアフロ。
 「なんだ・・・・・その格好は」
 「知らんのか。今、人間界では、こ〜いうのが流行っている。と
    ゼロ・・・・・いや、高位の方に教えていただいたのだ]
あのニコ目神官モドキは、なに考えてんだ。
それにしても、人間もそうじゃない奴も・・・・・・どうして俺の周りには・・・・・。
まともな奴が居ないんだろうか。

 「長い年月を過ごしていると、暇でな。
   ディルスとか言う国で遊んだときも、我にはお声が掛からなかっ・・・・・・」
 「ラ・ティルト」
こうっ!
 「がああああぁぁぁぁぁっ」
くだぐだ話していた奴を、蒼白い光の柱が包み。
俺は素早く呪文を唱えながら、剣を引き抜き、光の柱に突き進む。
ピギイィィィンッ。
音と共に光の柱が砕け散り。
ギンッ。
俺の剣の一撃は、レギオスの持つ左手の剣に受け止められていた。
 「エルメキア・ランス」
ばしゅうっ!
至近距離で放った術も、右手の剣で吹き散らされる。

 「動きに迷いが無いな。
   心配ではないのか、おまえと共に屋敷へと忍び込んだ奴らのことが」
 「あいつらの相手をすることになった。
   きさまの仲間のほうを心配してやるんだな」
話しながらも、左手の剣の横なぎの一撃を弾き。
返す刀で放った突きを、レギオスの右手の剣が受け止める。
 「たかが普通の人間ごときに、後れを取るような連中ではない」
2本の剣の連撃を、避け弾き。
俺の打ち下ろした一撃を、左右の剣を交差させ、受け止め笑うレギオス。
俺は、そのまま力を込めて剣を押し込み。
 「普通! だと。その言葉、取り消してもらおうか」
俺の剣に押され、少しずつ後退するレギオス。
 「ふっ。仲間を侮辱されたとでも思ったか。
   勘違いするなよ。我は厳然たる事実を・・・・・・・」
俺は、力を一気に抜き。
俺に対抗する為に、力を込めていたレギオスの体が前に泳いだ瞬間。
ぞんっ!
無防備になったレギオスの胴を薙(な)ぐ。
 「ぐっがあっ!?」
俺の剣の一撃に、レギオスは、苦痛の声を上げる。

もう一撃、打ち込んだ剣は、レギオスの左の剣に受け止められていた。
俺の剣を受け止めた、レギオスの左手の剣の刀身が。
ぐにゃり、と歪み。
俺の剣の刀身を包み込んだ。
とっさに剣の柄から手を離し、後ろへと飛び下がった目の前を、レギオスの剣が掠める。
 「ほお。今のを避けたか。
   この剣も我(われ)が具現化させている物。
   形を変えることなど、造作も無い」
レギオスが振るう右手の剣の刀身が、スルスルと伸び。
ムチのように、しなり。
身をかわす俺を追撃する。
 「そうそう。言い忘れていたが。
   この国の王女を見張っていたのは、我でな。
   あの娘の負の感情は、なかなかのごちそうだったぞ」
 「きさま!? 」
素早く呪文を唱えながら、両手を後ろに回し。
 「アストラル・ヴァイン」
体の後ろの武器に魔力を込める。
両手を使って6本のナイフを、レギオス目掛けて投げ。
俺は、ナイフの後を追うようにレギオスへと走り寄る。
左右の剣を振るい、ナイフを叩き落したレギオスは、そのまま剣を俺に向けかけ。
 「がああああぁぁぁぁぁっ」
俺が背後に隠し持っていた、ブロード・ソードに胸を斬られて悲鳴を上げる。
 「俺の剣が1本だと思い込んだのが、運の尽きだな」
続けざまに、ブロード・ソードで斬りつけつつ、俺は呪文を唱える。
 「があっ!」
どんっ!?
叫んだレギオスから、衝撃波が叩きつけられ。
バキン。
動きを止めた俺のブロード・ソードを、レギオスの右手の剣の一撃が砕いた。

 「楽しいぞ。こんなに楽しいのは久しぶりだ。
   魔剣士よ。まだまだ我を楽しませてくれよ」
そう言いながら、俺に向かって、先ほど絡め取った剣を投げ返すレギオス。
ほとんど無意識に、半歩左へ移動しながら、剣に手を伸ばす。
どんっ!?
剣を手にした俺は、背中と胸に衝撃を感じ。
視線を胸に向けると、紅い槍の穂先のような物が、俺の胸から生えていた。

 「この結界は全て我(われ)の一部。
   それ、こんなことも出来るぞ」
俺の斜め前の地面から、数本の槍が生え、俺目指して伸びてくる。
なんとか剣を振るい槍を叩き斬ったが。
くらり。と視界が歪み、そのまま倒れそうになった体を、かろうじて支える。

剣を振るって、胸から突き出ている槍の穂先を斬り。
ビキン。
音と共に、俺の体を貫いていた槍が消えた。

 「ほう。その体でまだ動けるとは、たいした者だな」
呪文を唱えようとしたんだが。
ごふっ。
口から血が吹き出て、呪文を唱えることが出来なかった。
まずいな。
この体では、ろくに身動きも出来ないし。
呪文さえも使えないとは。

久しぶりに、真っ黒いマント姿で、大鎌を肩に担いだドクロの姿が見えた。
あいつらと出会ってからは見ることも無かったが。
死神か。レゾの狂戦士と呼ばれていた頃には、毎日のように見ていたな。

悪いが、こんな俺でも待っててくれるやつが居るんでな。
ここで終わる訳には行かないんだ。

残った力を振り絞り、剣の柄を下に引く。
柄の中から現れたのは、楕円形の黒縞瑪瑙(めのう)のメダル。
柄から開放されたことを喜ぶように、一瞬、ぎらっ。と、禍々しい光を放ち輝いたようだ。

     イァ。イァ。ハストゥール。
     ハストゥール。クフアヤク。ブルグトム。

剣が歌う。はるか彼方(かなた)にいる、何かへとささげる歌を。
剣が歌うと共に、手にした剣に体の力や魔力が、どんどん吸い込まれて行くようだ。

     ブグトラグルン。ブルグトム。
     アイ。アイ。ハストゥール。

誇らしげに。高らかに。剣が歌い終わると共に。
俺の体に力がみなぎる。
今まで感じたことも無いほど、魔力が高まっているようだ。

それと同時に剣から風が吹き出し。室内を吹き荒れる。
ヒョォォォォオオオオオオォォォォォォォォ・・・・・・・・・。
口笛のような甲高い音と共に、吹き荒れる風。
ゆっくりと剣を上げた、俺は、上段からレギオス目掛けて剣を一閃。
剣の生み出した風は、烈風となり。
レギオスは風にちぎられ、バラバラになり消えて行った。
そこまでが限界だった。
俺の意識は闇に飲まれた。


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ここまで読んでくださいました、心優しい方。ありがとうございます。
またも、長かったですよね。
お付き合いくだいまして、本当にありがとうございます。
第五話〜第九話まででした。
残り、3話 + エピローグです。

挿入歌、と言いますか、イメージ・ソングとして使わせていただきましたのは。

 (第八話)―――王宮にて―――。
        『M』。プリンセス・プリンセスさん。

書きあがっていた部分は、ここまででして・・・・・・。
のこり4話は、所々完成しておりません・・・・・。
話の筋道とラストは・・・・・出来ているのですが・・・・・・。
続きは・・・・もう少し時間が、かかりそです。

本当に、寒くなってまいりましたね。
風邪も流行っているようですので、お体にお気をつけて、お元気で。
では、失礼します。

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30839ギガ・スレとは違う意味でヤバそうな呪文が……(汗)エモーション E-mail 2004/11/1 22:14:12
記事番号30838へのコメント

猫楽者さん、こんばんは。

続きの5話から9話。今回も一挙に5話掲載ですね。
襲撃者を襲った謎の笑う飛行物体(笑)、ギジンさんの正体、敵の目を欺くための変装(笑)、
笑撃のゼルの過去、そして某アトリエシリーズの武器屋の親父(育毛剤使用vr、ぱあと2)を
彷彿させる魔族……と、細かい部分で楽しませていただきました。
あの赤ちゃんゼルの映像は、特にアメリアに見せてあげたいですね♪
ああ本当に……アイアイさん、そしてギジンさん、最高です。(ひそかにレゾも)

さて、王宮での再会……。まさに「今はこれがせいいっぱ〜い」ですね、あの場面は(汗)
ゼルの予想(純情?)をぶっちぎるアメリアの行動の理由は、切なくて悲しいものが。
ものすごくとんでもない武器による、国民を人質に取られての婚姻。
確実に国民の安全が得られなければ、アメリアも表立って拒否行動できないでしょうし、
ぶち壊すのが、かなり大変そうです。
さて、伯爵がセイルーンの暗部のボスになったのが13年前。
冒頭にでてきた謎の男性(……伯爵?)の「13年前から止まっていた時を動かす」という言葉。
そしてアメリアとの会話で最後に言った「大切なものをすべて失って残された」という言葉。
13年前にあった何かが、今回のポイントなのですね。とても根が深そうです。

伯爵の屋敷での魔族さん……ゼルの連れが「滅びたくなければ近づくな」と
通達されたリナ=インバースだと知らなかったのですね……(汗)
それ以上にゼルが唱えたとんでもない呪文に……(滝汗)
マズイよ〜(汗)どこで覚えたんですか、そんなとんでもないの!と(汗)
剣が媒介になっていて、ついでにある程度の抑えになっているようですが、
それでも少しでも知っている人が見たら、ギガ・スレ並に「ほいほい使うな〜!!!」と
使用禁止しそうな代物では……(汗)
魔族レギオスを倒したものの、気力体力の限界で倒れたゼル。無事でいられるのでしょうか。

ああ、本当に、凄い展開になってきましたね。あとの4話がどのように展開していくのか、
ゼルとアメリアは幸せになれるのか、続きが本当に楽しみです。
それでは、今日はこの辺で失礼します。

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30842危なさでは、伯爵のおもちゃ以上ですね(汗)猫楽者 E-mail 2004/11/2 00:37:18
記事番号30839へのコメント



>猫楽者さん、こんばんは。

こんばんは、エモーションさん。
お元気ですか。猫楽者です。
読んでただきまして、ありがとうこざいます。
とても丁寧な感想をいただきまして、本当にありがとうございます。

>続きの5話から9話。今回も一挙に5話掲載ですね。

書きあがった部分で、きりのいいところまでを、投稿させていただきました。
今、いつものように(汗)・・・・・前後のつなぎの部分で・・・・頭を抱えております(笑)

>襲撃者を襲った謎の笑う飛行物体(笑)、ギジンさんの正体、敵の目を欺くための変装(笑)、
>笑撃のゼルの過去、そして某アトリエシリーズの武器屋の親父(育毛剤使用vr、ぱあと2)を
>彷彿させる魔族……と、細かい部分で楽しませていただきました。

ありがとうございます。
自分の場合、気をつけていないと・・・・・暗くて重い展開になってしまいますので。
そうならないように、考えました。
レギオスには、モデルが居たりします。
ケロロ軍●のエンディングで、アフロ姿で踊っているシーンを見て。
これだ。とか(待て)、思ってしまいました(笑)

>あの赤ちゃんゼルの映像は、特にアメリアに見せてあげたいですね♪

アメリアさんには、ぜひ見せてあげたいですね。
変装したお姿とかも、密かに録画して、見せてあげたいですね。

>ああ本当に……アイアイさん、そしてギジンさん、最高です。(ひそかにレゾも)

ありがとうございます。
ギジンじいさんもアイアイさんも・・・・・いつの間にか・・・・・。
こ〜いう性格の方になっておりました(笑)

>さて、王宮での再会……。まさに「今はこれがせいいっぱ〜い」ですね、あの場面は(汗)
>ゼルの予想(純情?)をぶっちぎるアメリアの行動の理由は、切なくて悲しいものが。

はい。アメリアさんは。
あのときに、とれる精一杯の行動でした。
今回は、アメリアさんにも辛い目に遭わせてしまいました。

>ものすごくとんでもない武器による、国民を人質に取られての婚姻。
>確実に国民の安全が得られなければ、アメリアも表立って拒否行動できないでしょうし、
>ぶち壊すのが、かなり大変そうです。

聖王都の住人、全てが人質(汗)
自分で書いておいて・・・・なんですが・・・・酷い状況ですね(滝汗)
メギドの炎は。スプリガンという漫画に出てきた、メギド・フレイムの名称を変えて。
使わせていただきました。

>さて、伯爵がセイルーンの暗部のボスになったのが13年前。
>冒頭にでてきた謎の男性(……伯爵?)の「13年前から止まっていた時を動かす」という言葉。
>そしてアメリアとの会話で最後に言った「大切なものをすべて失って残された」という言葉。
>13年前にあった何かが、今回のポイントなのですね。とても根が深そうです。

そのとうりです。
ピンクのネリネの花束を供えていたのは、仰るとおり、伯爵です。
13年前に起こったことが、今回の原因となっております。
伯爵には、どんなことをしても、実行するつもりのことが。
幾つかあります・・・・・今回は、その仕上げの段階に入るところです。

>伯爵の屋敷での魔族さん……ゼルの連れが「滅びたくなければ近づくな」と
>通達されたリナ=インバースだと知らなかったのですね……(汗)

きっと、気付かなかったのだと思います(汗)
基本的に、ゼルガディスさんの1人称ですので、リナさんとガウリイさんの
戦闘の状況は、この後に出で来る・・・・と思います。

>それ以上にゼルが唱えたとんでもない呪文に……(滝汗)
>マズイよ〜(汗)どこで覚えたんですか、そんなとんでもないの!と(汗)

あうっ(汗)
すいません・・・・・わかり辛かったですよね。
『黄の印』から、直接、剣へと・・・・・呪文が伝わった・・・・。
そう・・・お考えくだされば・・・・幸いです(滝汗)

>剣が媒介になっていて、ついでにある程度の抑えになっているようですが、

普段は、柄の所のある、ムナール石で作られた五方星形の石が。
『黄の印』の力を抑え、柄が引かれたときだけ、限定的に力を解放する。と。
独自の設定をさせて、いただいております。

>それでも少しでも知っている人が見たら、ギガ・スレ並に「ほいほい使うな〜!!!」と
>使用禁止しそうな代物では……(汗)

はい。絶対に使用禁止となる。そう思います(汗)
強い魔力と生命力。そして、何よりも強い意志が無ければ。
『黄の印』に生命力と魂を吸い尽くされてしまう。
絶えられた者だけが力を借りることが出来る。
独自の設定で、そうさせていただいております。
耐え切れなかった方が亡くなってしまうので、妖刀、魔剣と呼ばれるようになりました。

>魔族レギオスを倒したものの、気力体力の限界で倒れたゼル。無事でいられるのでしょうか。

次回のお楽しみ。ということで(汗&笑)
アイアイさんがいますから・・・・・無事のような・・・・とどめさされそうな(汗)

>ああ、本当に、凄い展開になってきましたね。あとの4話がどのように展開していくのか、
>ゼルとアメリアは幸せになれるのか、続きが本当に楽しみです。

ありがとうございます。
話の筋道とラストは、出来ているのですが・・・・・・。
まとめるのに、時間がかかってしまいそうです。

>それでは、今日はこの辺で失礼します。

読んでくださいまして、ありがとうございます。
丁寧な感想を、本当にありがとうございます。

寒暖の差が激しく、風邪も流行ってるようですので。
お体に、お気をつけて、お元気で。
では、失礼します。

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30861『セイルーンの城』 (第十話)―――ピースの欠片―――。猫楽者 E-mail 2004/11/6 00:18:06
記事番号30806へのコメント



こんばんは。猫楽者と申します。
読んでみようと思ってくださった心優しい方、ありがとうございます。

今日は、第十話と第十一話を、投稿させていただきます。
『セイルーンの城』 (第十話)―――ピースの欠片―――。
             (第十一話)―――偽りと婚礼と―――。

本当は、エピローグまで完成させたかったのですが・・・・完成しませんでした。

それと(汗)・・・・・書き忘れました(汗汗)
メギドの炎は、スプリガンという漫画の、メギド・フレイムの名称を変えて使わせていただきました。

『セイルーンの城』 (第七話)―――たどり着いた街で―――。のところで。
>でれば・・・・・も〜少し・・・ましな方法は無かったんだろうか・・・。
と、書かれていますが・・・・・“でれば”・・・・って・・・なんでしょうか(滝汗)
できれば・・・・・と、書いたつもり・・・・だったのですが・・・・・(あああああ。こんなのばっかりですね)。

『セイルーンの城』 (第九話)―――館の奥で待つもの―――。でも・・・・・。
> 「わが結界にようこそ。お若い魔剣士くん。
>   我名はレギオス・・・・・って、なんで頭変えて座り込んでるのかな」
・・・・・頭変えて・・・・って、なにに変えるんだ・・なにに・・交換可能なのか(涙)
“抱えて”・・・・が・・・・正解です。(正解・・・・って(滝涙))

一坪さま。続けてて2つも修正していただき、本当に申し訳ありませんでした。

他にも・・・・多々・・・・変な部分があると思いますが・・・・スルーする方向(待て)で、お願いします(T_T)

では、よろしくお願い致します。

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『セイルーンの城』 (第十話)―――ピースの欠片―――。


ぼんやりとした光に。
目を開けると、リナとガウリイが俺の顔を、のぞきこんでいた。

 「・・・・リナ・・・・。ガウリイの旦那・・・・。
   久しぶりだな」
 「久しぶり・・・・・って、ゼル。何言ってんのよ」
 「一時的な記憶の混乱じゃよ。
   心配せんでも、すぐに元に戻るはずじゃ」
・・・・・たしか・・・・ギジンじいさん・・・だったよな。
 「はい。お水」
そう言いながら、俺に水筒を差し出したのは、アイアイ。
やけに懐かしい奴まで居るな。

   俺は、ベッドの背もたれに背中を預け、水を飲む。
のどがカラカラだったようで、水筒の水をほとんど飲み干してしまった。
カラン。
水筒に紐で結ばれている、蒼い色した丸いアミュレットが、俺の目の前で揺れる。
アミュレットを手に取り、見てみると。
中に白い六方星が描かれている。
・・・・もうひとつは・・・・あいつが持っていたな・・・・。
あいつに会ったら・・・・・・。
あいつ・・・・・・・・・・・。
アメリア!?。
 「リナ!? 。俺は何日寝てた!? 。あれから何日たった!?」
 「み・・・三日よ」
 「なんだと!? 。じゃあ式は明日じゃないか!?。
   こうしちゃ・・・」
ドン!?
 「ま〜だ無理すんじゃないの」
俺の胸の、ちょうど傷の部分を叩いて、言い聞かせるように話すアイアイ。
あまりの痛みに声さえも出せず、前のめりになった俺から、奴の表情は見えないが・・・・・。
きっと満面の笑みを浮かべているに違いない。
 「なあ・・・・・真っ赤さんや・・・・・。
   あんた・・・・手当てしたいのかな・・・・それとも・・・・。
   とどめさそうと・・・・しとるのかのう・・・・」
流石のギジンじいさんも、少し引きつった声で話している。
 「さあ? どっちが良いかしら」
 「お・ま・・・・え・・・は・・・・」
どうにか身を起こし、にらみ付けると。
 「や・・・・や〜ね〜。“ゼ・ル・坊”・・・・。
   じょ・・冗談に決まってるでしょ・・・・」
右手をパタパタ振りながら、返事をするアイアイ。
 「冗談で・・・・・・あやうく永眠させられる・・・・・ところだったぞ」

 「“ゼル坊”。・・・・・あんた。『あれ』、使ったでしょう」
じっと、俺の顔を見つめながら、問い掛けるアイアイ。
『あれ』を使うところは、誰にも見られていないハズだが・・・・・。

 「屋敷で、リナたちも魔族と戦ったのか」
アイアイの視線を避け、リナたちに顔を向けて聞いてみると。
 「結界にご招待されて、人型をしたのが一匹出てきたわ。
   偉そうに、くっちゃべってたから、ラグナ・ブレードで叩き斬ったけど」
 「俺の方も一匹。なんか喋ってたげど。滅びるまで斬り続けたぞ」
腕組みしつつ答えるリナと、右手の人差し指で鼻の頭をかきながら話すガウリイ。
身もふたも無いな・・・・・。
前の俺だったら、こいつらとの『力』の差を見せ付けられて、いら立ったりしたんだろうな。
今は、まあ。こいつらなら、そんなもんだろう。
それくらいにしか感じないが。

結界から出たリナとガウリイが、謎の“強風”で半壊した伯爵の屋敷から、俺を連れ出し。
隠れ家でアイアイの治療を受けて、今、やっと意識が戻らったらしい。
俺たちが結界へご招待されている間に、アイアイとギジンじいさんの仲間が。
伯爵の屋敷を調べたが、メギドの炎は見つからなかった。
 「結局。手掛かりなし、ってわけよ」
 「なあ。リナ。
   そのメイドのなんとか、ってのは、敵さんの切り札なんだろう」
 「そうよ。メギドの炎を壊されるか、奪われたら。
   伯爵は終わりよ」
確かに、今は強力な兵器で押さえ込んでいるが。
伯爵の配下の影たちは、多く見積もっても数100人。
いくら暗殺のプロ集団とは言っても。
大国セイルーンの騎士団、兵士、魔道士などとは。
数が違いすぎる。
 「命綱って、わけだろ。
   俺なら、そんな大事な物は。持ち歩くぞ」
今、伯爵は王宮に寝泊りしている。
メギドの炎が王宮にある、としても・・・・簡単に手出しは出来ない・・・か。

 「街の様子も変なのよね」
眠っている間の様子を尋ねる、俺に、首を傾げながら答えるリナ。
式の様子は、セイルーンの全域と、結界内の主要都市に中継される。
聖王都の住人が、あちこちの中継会場の設置作業に、駆り出されているらしい。
一応、王命となってはいるが。
王命を出させたのは、伯爵だろう。
作業を行う場所までの移動の手段。宿、食事は保障され。おまけに報酬も良い額が出る。
 「ど〜せ。自分のフトコロから、お金を出すわけじゃないでしょうけど。
   気前の良い話よね〜。・・・・・でも・・・・市民の人気取りをするつもりにしては、変な話ね」

屋敷で俺達を仕留めそこなって、伯爵は聖王都への出入りを規制したらしい。
聖王都に入れるのは、式への出席者と、供(とも)として付いて来た連中のみ。
式を目当てに、聖王都へ入ろうとした一般市民は、別の町の中継会場にいくように指示され。
既に聖王都へ入っていた人たちまでも、他の町へと追い出されている。
 「ローラ作戦で、一軒々々しらみつぶしに調べてるし・・・・・。
   ど〜やら、かなり頭に来てるみたいよ」

妙な話は、まだあった。
式の出席者も、何故か。他の国の国王や王子は1人も居ない。
大臣や将軍クラスの連中は居るが。
黒い噂を持つような連中が、まるで選ばれたかのように。
式に出席するようになっている。

 「“ゼル坊”。変な話って言えば。
   沿岸諸国連合でも、妙なことになってるわよ」
沿岸諸国連合の幾つかの国。
比較的セイルーンとは友好的な関係にある国も、そうで無い国でも。
大臣クラスの人間や、犯罪組織のボスなどが、相次いで死んでいるらしい。
 「公式発表では、事故や病死となっているけど・・・・・・。
   どうやら、暗殺されたらしいのよ。
   ・・・・で。“ゼル坊”。お返事は?」
最後の台詞を、ニッコリ微笑みながら話す、アイアイ。
やれやれ。やはり誤魔化せないか。
 「ああ。使った」
パコーン!?
流石に手加減し、軽く俺の頭を叩いたアイアイは、ため息をついて。
 「よく死ななかったわね」
呆れ顔で呟いた。
 「もう二度と使っちゃだめよ」
 「ああ。使わんさ」
珍しく真剣な顔をしているアイアイに、そう答える。
なるべくな。
そう心の中で呟きながら。

リナの強力な黒魔術。
ガウリイの神業とも言える剣の冴えと、伝説にその名を残すブラスト・ソード。
あのふたりに比べて、技の多彩さと戦いの駆け引きでは劣らないつもりだが・・・・・・・・・・。
一撃必殺の決定打には欠ける。
それは、わかっていた。
目的も無く、ただ漠然と力を求めたくは無いが。
大切なやつを守れるような強さは、手に入れたい。
どうにか。あの剣を自由に使えないものか。

 「とにかく。ここで、のんびり寝てる訳には行かないんだ」
 「焦るでない」
ベッドから降りようとした俺を、右手のひらで、そっと押しとどめるギジンじいさん。
 「ワシらも、この3日間、遊んどった訳では無いでの」
悪戯を思いついた子供のような表情で、話すじいさん。
 「細工はりゅうりゅう、仕上げをごろうじろ、ってな」


  リナたちが、それぞれの部屋へと引き上げ。
寝付けないでいた俺は、人の気配に剣へと手を伸ばしたが。
 「真っ白くん。すこし良いかの」
ギジンじいさんは、扉の向こうで、そう声をかけ。
部屋へと入って来た。

ベッドの横の椅子に腰掛けた、ギジンじいさんは、疲れたように溜息をついた。
 「真っ白くん。伯爵の屋敷に行く前に、聞かれた質問の答えじゃが・・・・。
   伯爵のことは、どこまで知っておるのかな」
 「アイアイの調べたこと・・・・家族構成と経歴程度だな。
   確か・・・・伯爵は1度結婚していたな。妻の名前は・・・・」
 「クローディア・・・・。
   13年前に、いってしまった・・・・ワシの末娘じゃよ・・・・。
   ・・・・この街の様子を見て・・・・・やっとわかったような気がしての・・・・。
   伯爵の、やろうとしておることがな・・・・。
   伯爵を・・・・あの馬鹿者を・・・・止めなければ・・・・。
   この街は・・・・第2のサイラーグになってしまう・・・・」


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30862『セイルーンの城』 (第十一話)―――偽りと婚礼と―――。猫楽者 E-mail 2004/11/6 00:25:32
記事番号30806へのコメント



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『セイルーンの城』 (第十一話)―――偽りと婚礼と―――。


 『皆さま。お待たせ致しました。
   今日の良き日。アメリア王女さまの結婚式を、実況生中継させていただきます。
   申し遅れましたが、私。実況を担当させていただきます。ゼクスと申します。
   時刻は、もう直ぐ夜中の1時となり。結婚式が、まもなく始まります』
ロングの黒髪、目鼻立ちの整った20歳前後の美女の姿が、式場の壁面に映し出されている。
 『なお。式の模様はセイルーン全域、及び、結界内の各国主要都市に中継されております』
神殿の中二階に設置された、放送席とおぼしき場所から話すゼクス。

 『パイプオルガンの厳粛なBGMと共に、美しい花嫁さまの御入場です』

  目の部分だけ丸い穴が開いた黒い頭巾、黒いマント姿の男たちが、通路の左右に並び。
通路を挟んで、向かい合わせに立った相手と向き合い。
両手でささげた剣を前方ななめ上へと突き出し、通路の向かい側の剣と剣先を交差させる。
通路に作られた剣のトンネルを通って、現れるアメリアと伯爵。

  純白のウェディングドレスに、その身を包んだアメリア。
黒髪の上には、銀の台座に数個のエメラルドが埋めまこれたティアラ。
ウェディングベールに包まれた、うつむき気味の顔。
白いフィンガーレスタイプの手袋をした腕が、微かに震えているようだ。
虚ろな瞳と青白い顔色は、とても結婚式を迎えた花嫁のものとは思え無い。
  アメリアとは対照的に、冷たい笑みを浮かべている伯爵。
鼻までを覆う、黒地に金の山羊を模した仮面。
黒い手甲のような手袋、黒いズボンとブーツ、赤い上着の上には黒いマント。
左腰には、一振りの細身の剣。

 「古き血の一族である。セイルーン家の正当な後継者である証を。ここに」
大神官が厳かに式を進行する。
 「伯爵家、当主。レオポルド・マーシュ。
   この婚礼に異議無き時は、沈黙を持って答えよ」
無言で、轟然と顔を上げたままの伯爵。
しばし無言でいた大神官は、アメリアへと顔を向ける。
 「第2王女。アメリア・ウィル・テスラ・セイルーン。
   この婚礼に異議無き時は、沈黙を持って答えよ」
うつむいたまま、何も答えないアメリア。
しばし無言で間を空けた大神官は、目を閉じ十字をきりながら。
祝福の言葉をかける。
 「神の祝福があらんことを・・・・・・」
 「異議有り!?
   この婚礼は、欲望の汚れ(けがれ)に満ちているぞ!?」
グワッシャ〜〜ン!?
天井のステンドグラスを叩き割り。
 「ライティング」
リナの放った、光量最大・持続時間ゼロの魔法の明かりが神殿内で炸裂する。
着地と同時に、アメリアの手を引き、俺の側に引き寄せる。
俺の顔をぼんやり眺めていたアメリアの目に、見る々々涙があふれ。
 「ゼルガディスさん!!? 」
抱きついてきた。
 「すまんな。遅くなってしまった」
俺の言葉にうなづきながら、何度も俺の名を呼びながら泣き続けるアメリア。

 『お〜っと。パプニング発生です。
   黒い噂の絶えない伯爵の式の中継なんて、ぜ〜んぜんやる気無かったのですが。
   こおいう展開でしたら、大歓迎です』

 「バースト・ロンド」
ひゅどひゅどひゅどどどごん!
 「さっさと逃げないと、次は当てるわよ」
リナの呪文にびびったか、式の参列者たちが雪崩を打って逃げ出した。

伯爵と距離を取ったとき、伯爵が俺たちを睨みつけながら、履き捨てるように叫んだ。
 「来たな!? 。ネズミども!?」

覆面とマントを脱ぎ捨て、現れ出たのは全身黒ずくめの伯爵配下の影たち。
柱の影やら、壁の隠し扉からも、続々と現れ出て来る。

 『突如現れた謎の3人組の魔法攻撃で、根性無しの参列者が神殿の外へ我先に逃げ出しました。
   神殿内には、アメリア王女様と謎の3人組み、伯爵と伯爵が指揮している。
   怪しさ大爆発の黒ずくめ集団だけになっております』

 「フリーズ・アロー」
リナの力ある言葉と共に、数10本の氷の槍が現れ。
 「GO!! 」
ざああああああぁぁぁぁぁっ!
音と共に黒ずくめ達に降り注ぐ。
 「ゼルガディスさん。街が。メギドの炎で。私・・・」
 「アメリア。落ち着け。後で詳しく話すが。
   街の人たちなら、安全なところに避難したから大丈夫だ」

 「はああああっ! 」
ガウリイがブラスト・ソードを振るい、続けざまに魔力衝撃波で黒ずくめを吹き飛ばす。
 「こらっ! 。ゼル、アメリア!! 。いちゃいちゃするのは後にしてよね」
リナの一言に、慌てて俺から離れるアメリア。
まあ。気持ちは分からなくも無いけどね。
なんぞとリナが呟いたりするから、アメリアは真っ赤な顔をしている。
 「伯爵!? 。私たち正義の仲良し4人組が勢ぞろいしたからには、貴方の悪事もこれまでです!! 」
真っ赤な顔をしたまま、びしぃっ。と、伯爵を指差しつつ叫ぶアメリア。
だから、その呼び名は止めてくれ。
心の中でそう呟きながら。
 「アイシクル・ランス」
唱えた呪文を解き放ち、右横から回り込もうとしていた黒ずくめを牽制する。

 『今アメリア王女さまから発表がありました。謎の3人組みは、アメリア王女さまが、数々のスピーチでお話しておられた。
   “せ〜ぎの仲良し4人組”のメンバーのようです』

神殿のあちこちから、黒ずくめどもの放った攻撃魔法が飛んでくる。
そのほとんどは、ガウリイがブラスト・ソードから放った、魔力衝撃波に迎撃され。
接近戦に持ち込もうと、近づいてくるやつらは。
リナと、そして俺とアメリアの術を喰らって、次々に倒れて行く。

 「真っ白くん。ワシらも混ぜてもらうぞ」
声と共に、いきなり攻撃呪文が黒ずくめ達を吹き飛ばす。
黒ずくめ達と同じ格好をして、紛れ込んでいた一団が、自分の周りの黒ずくめをなぎ倒して行く。
自分達の仲間だと思っていた連中から、いきなり攻撃された黒ずくめ達は。
敵と味方の区別がつかず、攻撃を、ためらいがちのようだ。

 『怪しさ大爆発の黒ずくめ軍団。同士討ちを始めました。
   伯爵の人望が無いのが原因でしょう』

 「ゆくぞ! 。アメリア王女さまを、お救いするのだ!! 」
 「おおおおおおうっ!? 」
叫び声を上げながら、飛び込んでくるフル・アーマー姿の一団。

 『正面入り口から、騎士団が突入して来ました。
   先頭は、スティック・バーナード騎士団長』

  後ろから不意をつれた黒ずくめ達が、騎士たちに薙ぎ倒され。
慌てて後方の騎士団を迎撃している。
騎士たちも良い腕をしているが、スティック団長の的確な指示で。
今ひとつ連携の取れていない黒ずくめ達を圧倒して行く。
 「退くな!? 正義は我にあり!? 」
 「おおおおおおうっ!? 」

 『もはや式場は大混乱です』
 「放送を止めろ」
 『なにするんですか』
放送席を見上げると、どこかで見たような杖に強打された、黒ずくめが数人。
放送席から放り出されるところだった。
すかさずゼクスが無言で放った、数条の蒼い光に直撃された<黒ずくめ達は。
びくっ、 と身を震わせ。
ぐったりとしたまま、騎士団と黒ずくめの何人かを巻き込み、神殿の床へと落下した。

 『あ〜っと、ご覧ください。
   マーシュ伯爵が、部下を見捨てて神殿の外へと逃げて行きます』

ぐわっしゃ〜〜〜ん!?
どお〜〜ん!?
盛大な音と共に、天井のステンドグラスを砕き、すごい勢いで神殿の床へと激突した。
人影のように見える・・・・何か・・・・。
突然の出来事に、思わず動きを止め、顔見合わせる。騎士と黒ずくめ達。
まるで時が止まったかのように。静まり返る神殿内の、視線を集めていた、謎の人影は。

かばあっ!?
いきなり勢い良く立ち上がり・・・・。
 「お〜〜〜っほっほっほっほっ。お〜〜〜っほっほっほっほっ・・・・・」
何事も無かったかのように、高笑いを始めた。
びくうっ!? と身を震わせた。
騎士と黒ずくめ達は。じりじりと、高笑いする人影から、遠ざかって行く。
 「お〜〜〜っほっほっほっほっ。
   あなたたち。なに人の家で勝手に暴れてるのよ。
   このグレ・・・・じゃなかった。わたしの縄張りを荒らしたら、ど〜なるのか!?
   思い知らせてあげるわ!?
   フリーズ・レイン!? 」
高笑いしていた謎の人物の、力ある言葉と共に。
神殿の天井付近の空中に、大きな氷の塊が現れ。
じゃき〜ん!?
鈍い音と共に、氷の塊に生まれ出た、無数のつららが・・・・。
辺り一面に降り注ぐ。
どわあああああぁぁぁぁぁぁぁっ!?
神殿内の人たちは、もはや敵も味方も無く、悲鳴をあげて逃げ惑う。


 「みんな。逃げるわよ。じゃなくて伯爵を追うわよ」
リナはガウリイの後ろから抱きつくようにして、ガウリイの両脇の下に手を入れる。
 「ここは、ね●さんに任せておけば大丈夫ですから。
   伯爵を追いかけて!? 。正義の怒りを爆発させましょう!?」
神殿内の騒ぎのせいで、アメリアの言葉が、聞き取りにくいが。
いつものどおりのアメリアの姿に、思わず微笑んでいた。
アメリアがガウリイの左手を、俺が右手を持ち。
 「レイウィング」
風の結界に包まれ、飛び立つ。
黒ずくめ達の攻撃を警戒したが、つららのじゅうたん爆撃から逃げるのに忙しく。
誰も、俺達に注意を払う余裕は無いようだ。

 もはや、ほとんどガラスの残っていない天井から、神殿の外へと飛び出すと。
伯爵たちは、王宮の本宮へと入る所だった。
追撃しようとした瞬間。

ごばあぁぁぁぁぁぁんっ!!
爆発音と共に、風の結界が衝撃波で大きく揺れる。
音の聞こえた神殿の方を振り返ると・・・・・・。
神殿のステンドグラスが全て砕け、吹き飛んだ欠片が、星の光をキラキラ反射している。
しょ・・・・正気かあああああああ・・・・。
おそらくボム・ディ・ウィンのような、広範囲無差別攻撃呪文を使ったんだろうが・・・・・・。
室内であんな呪文使ったら、間違いなく術を放った本人も巻き込まれるぞ。
リナが何かぶつぶつ言っているので、何か言ったのか聞こうとしたのだが。
 『高笑いしていた美女が放った魔法で、神殿の中はズタボロ状態です』
ガウリイの持っていた、メモリー・オーブから聞こえた、実況放送に気を取られてしまった。
 「・・・・・・・・プロだな」
 「ああ。大したもんだ」
 「し・・・神殿が・・・・・・え・・・さん・・・・やりすぎです・・・・」
ガウリイの呟きに同意する俺の耳に、アメリアの呆然と呟く声が届いた。

強力な攻撃魔法に、かろうじて耐え。持ち堪えていた神殿の壁が、大きく波うち。

どがらがらがらがらごがら・・・・。
盛大な破壊音と共に、神殿は崩れ落ちた。
神殿は、ほとんど瓦礫や大きな破片を撒き散らすことなく。
天井や壁。そして柱は。崩れ落ちた神殿に現れた、巨大な3体のゴーレムの材料になってしまったようだ。

 「・・・・・・・・・・死んだかな」
 『突如現れたゴーレムに対して、騎士団と黒ずくめが力を合わせて攻撃しています』
 「・・・生きてたな」
 「・・・・・・」
俺とガウリイが呟く、そのそばで、もはや言葉も無いアメリア。

 『おおっと、騎士団と黒ずくめの連合軍。強い強い。
   たった今まで敵として戦っていたとは、思えないような、見事な連携でゴーレムを1体倒しました』

俺達は、いろんな意味で大変なことになっている、神殿を後にした。


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ここまで読んでくださいました、心優しい方。ありがとうございます。
1話々々が、長くなってしまいました。
お付き合いくださいまして、本当にありがとうございます。
第十話〜第十一話まででした。
残り、最終話 + エピローグです。

え〜っと・・・・ゼルガディスさん・・・・主役の・・・・・ハズ・・・・。
なのですが・・・・あるお方の強力すぎる・・・・個性に・・・・。
影が薄く・・・・なってしまいました(汗)
最終話とエピローグこそ・・・・主役として・・・・活躍します・・・・。
活躍・・・・すると・・・・いいなあ(弱気)

続きは・・・・もう少し時間が、かかりそうです。

本当に、寒くなってまいりましたね。
風邪も流行っているようですので、お体にお気をつけて、お元気で。
では、失礼します。

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30863最強のトラブルメーカー、降臨……(汗)エモーション E-mail 2004/11/6 21:19:43
記事番号30862へのコメント

猫楽者さん、こんばんは。
今回は2話ですね♪
山場のひとつ、結婚式での騒動に爆笑しました。
ああ、もう……(笑)リナはさっさと逃げ出していますし、あのお方のパワーには、
本編メンバーは勝てませんね、ほんとに。

さて、どうにか無事に意識を取り戻したゼル。
何をしたのか、だいたい推測のついているアイアイさんとしては、どつきたくもなりますね。
眠っている間に、瞼の上に目を書かれたり、妙な化粧をされなかっただけマシだったのかも。
ゼルとしては切実に、決定打になるものが必要だったのだと分かりますが、
アメリアとしては、ゼルの命を削るような代物で助けられることを、良しとはしないでしょうし。
もう使わずに済むことを祈るばかりです。

伯爵の亡くなった奥さんがギジンさんの娘さん。
点と点が繋がって、すべての事情と伯爵の目的や気持ちが分かる分、
ギジンさんが一番辛い立場になってしまったのかな、と思いました。

そしてとうとう始まった結婚式。
……目の部分だけが丸く開いた黒頭巾被った集団が、剣を持って立っているって……(汗)
カリオストロも確かそうだったけれど、改めて良く見ると……スレSPの
「るなてく・へすてばる」での自称豊作の祭りと同じくらい、ビジュアル的に怖いですね。
結婚式というより、邪悪な儀式のようにしか見えないですし。(カリオストロのあの場面って、
そういう意味合いを表現してるのでしょうか。もしかして)
また、実況担当のお姉さんが、思いきりどこかの黒髪おかっぱ魔族さんっぽいような……。
何にせよ、結婚式をぶち壊すには、誓いの言葉の辺りでぶち壊すのがセオリー(笑)ですね。
当然といえば当然ですが、らぶらぶ状態のゼルとアメリア。
でも中継されているということは……思いっきりこの様子も全結界内の国に流れたのでは……?
これでもう全世界公認(笑)ですね。

神殿で謎の美女が起こしている騒ぎをよそに、伯爵を追ういつもの4人組。
何気にリナはちょっと現実逃避してしまっているような気がしますが、
いよいよ最後の山場とラストですね。
伯爵の目的と今回の事件が起きた理由。ゼルとアメリアは今度こそ丸く収まるのか。
そしてゼルの持つヤバイ剣とメギドの炎には、どう決着がつくのでしょうか。
最終話とエピローグ、楽しみにお待ちしています。
それでは、今日はこの辺で失礼します。

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30868あのお方に掛かれば・・・敵も味方も関係無しですね(汗)猫楽者 E-mail 2004/11/7 01:05:08
記事番号30863へのコメント



>猫楽者さん、こんばんは。

こんばんは、エモーションさん。
お元気ですか。猫楽者です。
読んでくださいまして、ありがとうこざいます。
とても丁寧な感想をいただきまして、本当にありがとうございます。

>今回は2話ですね♪

はい。本当は最後まで書き上げたかったのですが。
所々・・・・うまくまとまらなくて・・・・頭を抱えております(汗)

>山場のひとつ、結婚式での騒動に爆笑しました。
>ああ、もう……(笑)リナはさっさと逃げ出していますし、あのお方のパワーには、
>本編メンバーは勝てませんね、ほんとに。

あのお方のパワーに、勝てそうな方は・・・・。
フィルさん・・・・そして・・・・別の意味では・・・・ジョセフィーヌさん・・・・くらいでしょうか(汗)
強力な味方・・・・援軍となるハズ・・・・だったのですが・・・・。
書き上がってみますと・・・・全然・・・・味方になっていない(汗)
敵も味方も・・・・まとめて・・・・攻撃してますし・・・・(笑)

>さて、どうにか無事に意識を取り戻したゼル。
>何をしたのか、だいたい推測のついているアイアイさんとしては、どつきたくもなりますね。
>眠っている間に、瞼の上に目を書かれたり、妙な化粧をされなかっただけマシだったのかも。

はい。仰るとおり。
ゼルガディスさんが『あの剣』を使ったと、わかっていたアイアイさんは。
これ以上、無茶なことをして欲しくない。
そう思い、心配しております。
瞼と妙な化粧(笑)・・・・思いつかなかったです。そのシーンを想像して笑ってしまいました。
アイアイさんならば。その手のいたずらをしたと思います。

>ゼルとしては切実に、決定打になるものが必要だったのだと分かりますが、
>アメリアとしては、ゼルの命を削るような代物で助けられることを、良しとはしないでしょうし。
>もう使わずに済むことを祈るばかりです。

守りたいと思う気持ちと、無茶なことはしないで欲しいと願う思い。
ゼルガディスさんとアメリアさんは、離れてしまっている分。
お互いに相手のことが、心配なのだと思います。
ゼルガディスさんは・・・・アメリアさんを守るのに。他に方法が無ければ、使ってしまうかも・・・・。

>伯爵の亡くなった奥さんがギジンさんの娘さん。
>点と点が繋がって、すべての事情と伯爵の目的や気持ちが分かる分、
>ギジンさんが一番辛い立場になってしまったのかな、と思いました。

辛いと思います。
ギジンさんも、ある意味・・・伯爵と同じ思いなのだと、思います。
ある一線を越えて超えてしまっているか。
超えないでいるか。その違いはありますが・・・・。

>そしてとうとう始まった結婚式。
>……目の部分だけが丸く開いた黒頭巾被った集団が、剣を持って立っているって……(汗)
>カリオストロも確かそうだったけれど、改めて良く見ると……スレSPの
>「るなてく・へすてばる」での自称豊作の祭りと同じくらい、ビジュアル的に怖いですね。
>結婚式というより、邪悪な儀式のようにしか見えないですし。(カリオストロのあの場面って、
>そういう意味合いを表現してるのでしょうか。もしかして)

自称豊作の祭りと同じような・・・・邪悪な儀式・・・・。
たしかに・・・・結婚式の・・・・雰囲気じゃあ無いですね。

影たちが真剣を持って、ルパンたちの襲撃に備えている。
カリオストロの城を見たときには、そんな風に思っていたのですが。
不自然さとか、違和感を表しているのかも知れませんね。

>また、実況担当のお姉さんが、思いきりどこかの黒髪おかっぱ魔族さんっぽいような……。

え〜(汗)
エピローグのあたりで・・・・そのことにつきましては・・・・出てくる。と思いますです(汗)

>何にせよ、結婚式をぶち壊すには、誓いの言葉の辺りでぶち壊すのがセオリー(笑)ですね。

ゼルガディスさんが、神殿のステンド・グラスを叩きながら。
 「アメリア!? 」
叫んだり(笑)

式の開始直後に、ゼルガディスさんがアメリアさんを奪還して。
神殿から出る間際に、伯爵にブーケを投げて。
伯爵がブーケを受け止める(笑)
など、無駄にいろいろなシーンを考えたのですが・・・・やはりセオリーどおりに落ち着きました(笑)

>当然といえば当然ですが、らぶらぶ状態のゼルとアメリア。
>でも中継されているということは……思いっきりこの様子も全結界内の国に流れたのでは……?
>これでもう全世界公認(笑)ですね。

はい。ゼルガディスさんもアメリアさんも、今は、そのことに気付いておりません(笑)
後で気付いた・・・・ゼルガディスさんとアメリアさんの反応が、楽しみですね(笑)
一国の王女の結婚式に乱入して、花嫁さんと式場から逃げ出してしまった、ゼルガディスさん。
世界中の注目を集めてしまいました(笑)

>神殿で謎の美女が起こしている騒ぎをよそに、伯爵を追ういつもの4人組。
>何気にリナはちょっと現実逃避してしまっているような気がしますが、


そのとおりです。リナさんは、現実逃避しかかっております(笑)
この時点では、リナさんたちは、謎の美女(笑)とアメリアさんの関係を知らない。
そう設定しておりますので・・・・その情報を知らされた。
リナさんとゼルガディスさんの反応が・・・・見てみたいですね(笑)

>いよいよ最後の山場とラストですね。
>伯爵の目的と今回の事件が起きた理由。ゼルとアメリアは今度こそ丸く収まるのか。

事件の起きた理由は、次回くらいに、はっきりするかと思います。
ゼルガディスさんとアメリアさんは・・・・・今回は・・・・・。
丸く収まる・・・・・と言いますか・・・・おふたりのあるシーンが頭に浮かびまして。
そのシーンを書きたくて、今回のお話が出来上がりました。

>そしてゼルの持つヤバイ剣とメギドの炎には、どう決着がつくのでしょうか。

どうなってしまうのでしょうか(待て)
いえ・・・・ほぼ出来上がってはいるのですが・・・・いくつかのシーンを・・・・。
どうしょうか・・・・どうまとめるか・・・・悩んでいたりしますので(汗)

>最終話とエピローグ、楽しみにお待ちしています。

ありがとうございます。
エピローグの最後のシーンは、実は1番最初に出来ていたりするのですが(笑)
なるべく早く、続きを書き上げられるように、努力致します。

>それでは、今日はこの辺で失礼します。

読んでくださいまして、ありがとうございます。
いつも、とても丁寧に、本当にありがとうございます。
11月に入り、寒さも本格的になってまいりました。
寒暖の差も激しく、風邪が流行っておりますので。
お体に、お気をつけて、お元気で。
では、失礼します。

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30873地下の亡者を代表して参上(笑)棒太郎 2004/11/8 10:10:17
記事番号30862へのコメント

こんにちは、猫楽者さん。

いよいよクライマックスですね。
しかし、あの人まで乱入してくるとは思いませんでした(笑)
妹の一大事に駆けつけてきた(と思いたい)のでしょうが、見事に更に場を混沌とさせているのは流石です。
それに実況中継のリポーター・・・・・・・・
どこかで見たような感じの人ですね(笑)
何、暇人丸出しのことをやっているのかと、小一時間問い詰めたい(笑)

結婚式の乱入場面は『カリオストロの城』を思い浮べながら、読んでいました。
ガウリイは五○衛門として、リナはやっぱり次○でしょうな。
なら、リナの黒魔法が対戦車ライフル?マグナムが効かない敵もイチコロですな(笑)

最後の山場に向けてラストスパートですね。
もし、時計塔みたいなところで闘うのならば、是非ゼルの空中平泳ぎを(笑)
それではこの辺で失礼します。

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30881コピーの10人衆の方にも、出てもらおうと考えていました(笑)猫楽者 E-mail 2004/11/9 02:20:52
記事番号30873へのコメント



>こんにちは、猫楽者さん。

こんばんは、棒太郎さん。
お元気ですか。猫楽者です。

読んでくださいまして、ありがとうございます。
お仕事が大変そうですが、どうかご無理をなさらずに。
お忙しいときに、丁寧な感想を、本当にありがとうございます。

>いよいよクライマックスですね。

はい。クライマックス・・・・なのですが・・・・・・。
あああああああああ・・・・まとまんない〜。と(汗)
頭を抱えております(笑)

>しかし、あの人まで乱入してくるとは思いませんでした(笑)
>妹の一大事に駆けつけてきた(と思いたい)のでしょうが、見事に更に場を混沌とさせているのは流石です。

はい。妹さんのことを聞き、急ぎ聖王都へと戻って来ました。
途中。いつものように(笑)。
道に迷ったりも、しましたが(第六話は、道に迷いつつも、聖王都に行く途中でした)
親切な方(笑)に、道を教えてもらって、王宮へとたどり着きました。

ほんとうは、コピーの10人衆(笑)を引き連れてのご登場・・・・だったのですが・・・・。
そのまま話を進めると・・・・王宮と聖王都が・・・・壊滅しかけてしまいまして(汗)
お一人での乱入となりました(笑)

>それに実況中継のリポーター・・・・・・・・
>どこかで見たような感じの人ですね(笑)
>何、暇人丸出しのことをやっているのかと、小一時間問い詰めたい(笑)

ええ〜〜っと(汗)
ぼかして書いた・・・・つもり・・・・だったのですが・・・・(笑)
エピローグにて。その辺の話も・・・・出てくる・・・・と思いますです(滝汗)

>結婚式の乱入場面は『カリオストロの城』を思い浮べながら、読んでいました。

ありがとございます。
そのシーンを思い浮かべて、読んでもらいたい。そう思っておりましたので。
とても嬉しいです。

>ガウリイは五○衛門として、リナはやっぱり次○でしょうな。
>なら、リナの黒魔法が対戦車ライフル?マグナムが効かない敵もイチコロですな(笑)

じつは・・・・そのキャストでの、お話も考えたりしておりました(笑)
 「どうやら年貢の納め時が来やがった」
 「・・・・おみず・・・・」
震える手で水を差し出すアメリアさんとのシーンを、書いてみたかったのですが(笑)
力及ばず、書けませんでした。

>最後の山場に向けてラストスパートですね。

はい。あと2話です。
エピローグの最後の場面は、1番最初に出来ていたりするのですが(笑)
そこに、たどりつくまでの部分で、今てこずっております。

>もし、時計塔みたいなところで闘うのならば、是非ゼルの空中平泳ぎを(笑)

あの場面ですね。
あの場面。好きなのですが・・・・空中・・・・の部分で。
どきっ。したりしております(汗)

>それではこの辺で失礼します。

読んでくださいまして、ありがとうございます。
いつも、とても丁寧にありがとうございます。
早いもので、もう11月になり、段々と寒くなってまいりましたね。
風邪も流行っているようですので。
お体に、お気をつけて。お元気で。
では、失礼します。

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30891『セイルーンの城』 (最終話)―――聖王都の光と影―――。猫楽者 E-mail 2004/11/12 00:38:58
記事番号30806へのコメント



こんばんは。猫楽者と申します。
読んでみようと思ってくださった心優しい方、ありがとうございます。
どうにか。最後まで、出来上がりました。

今日は、最終話〜エピローグまでを投稿させていただきます。
『セイルーンの城』 (最終話)―――聖王都の光と影―――。
             (エピローグ)―――星の海で―――。

寒くなってまいりましたね。
では、よろしくお願い致します。


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『セイルーンの城』 (最終話)―――聖王都の光と影―――。


   壁に掛かった絵画を吹き飛ばし。
飾られた鎧や彫刻をバラバラにしながら、通路を翔ける。はた迷惑な集団。
俺達の風の結界が、通り抜けた後の通路は・・・・・。
後始末をする連中が、思わず気の毒になるほどの、目も当てられないような状態と化していた。
  
   本宮の所々で、黒ずくめ達が待ち伏せしていた。
散発的な攻撃をする黒ずくめ達を、倒しながら、伯爵を追撃しつつ。
俺は、昨日の夜の、ギジンじいさんの言葉を思い出していた。

        13年前。
     国王の誕生祝いに、王宮へと出かけていった伯爵の家族が・・・・。
     行方不明になっての。

     主人たちが王宮へ行ったまま、戻らない。
     伯爵家の屋敷の者から、その知らせを聞いて。
     仕事でセイルーンを離れていた、ワシと伯爵は、急ぎ聖王都へ戻り。
     王宮に問い合わせたが・・・・返って来た答えは・・・・。
     王宮には来ていない。それだけじゃった。

     ワシも伯爵家も、人から狙われる覚えは、山ほどあるからの。
     そういう連中の仕業かと、手を尽くして探してみたが・・・・・。
     見つからなんだ・・・・。

     諦めきれなかったワシと、暗部の責任者となった伯爵は、密かに調査を続けての。
     時間はかかったが、少しずつ何があったのか、わかってきたんじゃ。
     クローディアたちは、間違いなく王宮へと入った。
     そして・・・・出てこなかった。
     いや・・・・どこかへと・・・・いってしまったのじゃよ。

     王宮のどこかに・・・・メギドの炎のような。
     危険な代物を封印している場所が、あるらしいのじゃ。
     あの日。
     その場所の何かを狙って、余計な手出しをした連中がおっての。
     王宮のどこかから・・・・“なにか”が解放され・・・・どこかへと・・・・消えていった・・・・。
     伯爵の妻、クローディア。
     子供・・・・ワシらは・・・・・アルと呼んでおった・・・・娘の、アルフィオーネ。
     ワシの末娘と孫・・・・そして・・・・。
     伯爵の両親を・・・・道づれにしての。

     今に至るまで・・・・どこに行ってしまったのかは・・・・・・・わからん・・・・。
     伯爵とワシが花を供えた・・・あの墓にはの・・・・誰も入っては・・・・おらんのじゃよ。

     沿岸諸国連合で暗殺された連中。
     そして、式への出席者たちは、何らかの形で、手出しをした奴らと関係のあった連中じゃろう。
     余計な手出しをさせた連中の中には、この国の高官や貴族もおってな。
     そいつらは、とっくの昔に冷たくなって墓の下じゃ。

     ・・・・伯爵は・・・・全てのケリをつけるつもりじゃろう・・・・。
     家族を失う・・・・原因となった・・・・王宮を・・・・。
     セイルーンの城を。
     跡形も無く・・・・消し去り・・・・。
     封印されている・・・・厄介な代物も・・・・まとめて始末する為にの・・・・。


 「ダイナスト・ブレス!? 」
びぎぃいぃぃん!?
リナの力ある言葉と共に。魔力の氷が黒ずくめ達を凍りつかせ、砕け散る。

 「ダム・プラス!? 」
ごがあぁぁん!?
続けて放ったリナの呪文で、通路の天井が砕け。
通路に立ちふさがった黒ずくめ数人が、崩れ落ちる瓦礫の下に消えて行った。
伯爵に、時間を与えるわけにはいかないが・・・・・・・。
リナは、なにかに追い立てられるかのように、強力な術を連打している。
なにやら危ない雰囲気全開のリナに、アメリアが、控えめに文句を言ったが・・・・・。
無言で微笑むリナの表情から、なにかを感じ取ったのか。
蒼い顔して、アメリアは、文句を言わなくなった。
 
   伯爵が、部屋へと入っていってから、わずかに遅れて。
俺達も部屋の前へとたどり着き、風の結界を解除し、部屋へと飛び込んだ。
伯爵は、テーブルの側に立ち、俺達のことを見つめている。
そのテーブルの上に置かれた。
黒い。いや、闇色をした小さなオーブ。
片手で握れるほどの大きさの、このオーブこそが。
メギドの炎、と呼ばれる魔道具だった。

 「エルメキア・ランス!? 」
リナの放った魔力の槍は。
ばしゅう!?
窓から部屋へと飛び込んで来た黒ずくめの、右手の剣の一振りで、吹き散らされていた。
その間に、伯爵の右手は、メギドの炎の上へと置かれていた。
その伯爵の姿に、走り出そうとしたガウリイと俺は、思わず動きを止める。

  ゆっくりと進もうとした、俺達の前に。
伯爵を守るように。10数匹の蛇モドキが現れた。
蛇モドキは、体の左右、両側の帯を震わせ。
ふわり。と、浮き上がり、滞空する。
大きさは、せいぜい俺の背丈くらいだが。
リナたちと再会したときに現れた、巨大な蛇モドキの同類だろう。
黒ずくめの男は、ただひとり。俺達と伯爵の間に立ちふさがる。
 「伯爵様。遅くなりました」
 「終わったか」
 「はい。全て御指示どうりに」
 「そうか」
俺達を警戒し、伯爵に背を向けたまま話す。
黒ずくめの言葉に、満足そうにうなづく伯爵。
 「伯爵!? 。今こそ正義の裁きを受けるとき・・・・」
 「黙れ!? 
   王家の人間が、正義などと・・・・」
アメリアの言葉を、黒ずくめが遮る。
 「よせ!? バード!? 」
 「しかし。伯爵様・・・・・」
 「もう良いのだ」
その黒ずくめの肩に、そっと左手を置き。
疲れたように力なく、首を振り、話す伯爵。
ため息をつき、伯爵は話を続ける。
 「バードよ。おまえは生き延びろ」
なにか言いかけた黒ずくめ・・・・バードを左手で制して。
 「これは、わたしの最後の命令だ。
   いいな。生き延びるのだぞ」
しばし、ためらっていたバードは、無言で伯爵に一礼し。
蛇モドキ共々、窓から外へと消えて行った。

 「どういう・・・・ことなんですか・・・・」
うつむき。震える声で呟いたアメリアは。
 「教えてください。なにが、どうなっているんですか・・・・」
俺の左手にすがりつき、俺を見上げながら、訴えかける。
 「アメリア。落ち着きなさいって」
 「そうだぞ。ゼルが、後で必ず話してくれるからさ」
リナとガウリイの言葉に。
ふう〜っ。
溜息をひとつつき。
 「ゼルガディスさん。約束ですよ。
   後で説明してくださいね」
笑顔を見せる、アメリアに。
俺は、無言で頷く。
それは、必ず生き残り。この事件のケリをつける。
・・・・・・・・その・・・・・・・・・・・“約束”。

 「伯爵。この街を消せば、止まったままの時が動くのか」
俺の言葉に、ふっ。と、一瞬、寂しげな表情を浮かべた伯爵は。
 「そうか。あのときギジン殿と一緒に居たのは、おまえか」
どこか懐かしそうに、そう呟いた。

 「沿岸諸国での暗殺は、伯爵。あんたが、やらせたんだな」
伯爵は、俺の言葉に、ゆっくりと頷き答えた。
 「この城で、まとめて始末したかったんだが・・・・・。
   用心深い連中は、わたしの誘いを断ったからな・・・・。
   この国の支配者となる・・・・わたしと手を組み・・・・。
   甘い汁を吸おうと聖王都へとやって来た。あさはかな連中は・・・・。
   バードが全員。始末した」
 「街の人たちと、主だった兵士を、街から遠ざけたのは。
   巻き込みたくなかったから、なんだろう」
 「・・・・邪魔者どもを、追い出しただけだ」

 「伯爵。ギジンじいさんから、伝言だ。
   『城に残っている人たちの家族に、同じ思いをさせるのか。
    あんな思いをするのは、ワシらだけで充分なハズだ』
   あんたに、そう伝えてくれ。と頼まれた」
溜息を、ひとつつき。伯爵は、疲れたような声で呟いた。
 「死にたくない者は逃げろ。
   夜明けとともに、聖王都は消滅する。
   2本の足で逃げるには、いささか時間が無いかも知れんが。
   魔道を使って、空を飛べば、まだ間に合うかも知れんぞ」
言葉を切り、アメリアを真っ直ぐに見つめて、伯爵は話を続けた。
 「光が輝けば輝くほど。闇もまた濃く。そして深くなる。
    アメリア。おまえの『正義』とやらで・・・・。
    この城の闇を祓(はら)ってみるが良い。
    生き延びられたらな・・・」

 「避けろ!? 」
ガウリイの叫び声を、かき消し。
轟音と共に蒼白い閃光が弾けた。

咄嗟にアメリアを抱き寄せながら、その場を飛び離れる。
リナを抱きしめ、後ろへと飛び下がったのだろう。
ガウリイたちも部屋の外。扉の死角へと退避していた。

 「嘘でしょ・・・・発動したの・・・・・」
呆然と呟くリナの、視線の先には。
蒼白い雷撃が吹き荒れる室内で、淡く明暗を繰り返す。闇色をしたオーブ。
先ほどの一撃で、天井が吹き飛び。大きな穴が開いていた。
その穴から見える、聖王都の夜空の。
星が。星座が。歪んでいる。

伯爵は、今の一撃で吹き飛んでしまったのだろう。
その姿が消えていた。

 「フリーズ・アロー」
リナの生み出した氷の槍は。闇色をしたオーブが生み出す、吹き荒れる雷撃に、次々に蒸発させられ。
1本としてメギドの炎に、届くことは無かった。
このままでは、メギドの炎に近づくことさえ出来ない。

 「アメリア。こ〜なったら、お城にちょぴっと被害でるけど。
   ドラグ・スレイブで、あれ壊すわよ」
そう言って、呪文を唱えだすリナ。
 「わわわわわ。止せリナ」
 「リナさん。街を壊滅させるつもりですか」
 「止めんか。あれの前に、ドラグ・スレイブで街が消し飛ぶぞ」
慌ててリナを止める。ガウリイ。アメリアと俺。
 「じゃあ。ラグナ・ブレードで叩っ斬る」
 「止めとけ。斬った瞬間、大爆発するかも知れんぞ」
 「どうにかしないと、もう城の人たちを避難させるような時間無いわよ」
俺に向かって、珍しく焦ったような声を出すリナ。


俺は、ゆっくりと剣を抜き。
部屋の入り口へと向き直る。

剣よ。
魔剣。妖刀と罵られ、人から忌み嫌われる。お前は。
化け物と怖れられる俺と、似ているのかも知れないな。
今一度だけで良い。
メギドの炎を始末するのに力を貸してくれ。

剣の柄を下に引き。現れる楕円形の黒縞瑪瑙(めのう)のメダル。

魔力が。
体の力が。
どんどん吸い取られてゆく。
視界が歪み。
目の前に広がる闇の中の。はるか彼方(かなた)に居る。
なにかが、笑っているようだ。
胸の傷の・・・・・痛みさえも・・・・遠のいて・・・・・・・。
俺の・・・・心に・・・・・・・・・闇が・・・・・・ひろ・・・・が・・・る・・・・。
 「ゼルガディスさん!? 」
アメリアの声が。遠のきかけた、俺の意識を。
ここに・・・・俺の居るべき場所へと、呼び戻す。

 『ゼル!? 』
片ひざを着いた俺を、リナとガウリイが左右から支え。
俺の目の前には、今にも泣き出しそうな顔をしたアメリア。

     泣くなよ。アメリア。
     もう1度。おまえの暖かな笑顔を、見せてくれないか。

剣から生まれ出た風が、俺と、アメリアたちを引き離し。
ふらつく体を、どうにか支え。立ち上がる。

     おまえは。おれが守る。

ヒョォォォォオオオオオオォォォォォォォォ・・・・・・・・・。
口笛のような甲高い音と共に、吹き荒れる風に、背中を押されるように。

     どんなことをしても。必ず守る。

ゆっくりと剣を上げ。

     だから。泣くなよ。

上段に構えた剣を振り下ろす。

     泣かないでくれ。アメリア。

風が、荒れ狂っていた魔力の雷を吹き散らし。
淡く輝くメギドの炎を、風の結界が包み込む。
俺は雷撃の代わりに、吹き荒れる風の中を、メギドの炎の側まで歩みより。
ゆっくりと剣を鞘に戻し、メギドの炎を両手で掴む。

リナたちが何か叫んでいるのだろうが、室内を吹き荒れる風のおかげで。
俺の耳に入ってこないのが、ありがたかった。
皆の。俺の仲間と呼べる連中の姿を、瞳に焼き付け、目を閉じる。

ゴオオオォォォォオオオオオオォォォォォォォォ・・・・・・・・・。
風の唸りが高まり。
俺の体が風に包まれかけたとき。
どんっ!?
俺の胸に飛び込んで来た奴がいる。
驚き目を開けた。その直後に、風に包まれた俺たちは。

ごおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉおおおおぉぉぉぉおおぉぉ〜〜〜〜〜。
唸りを上げた風に吹き上げられていた。
瞬きする間もなく、天井の穴から外へ飛ばされ。目まぐるしく揺れる視界に。
王宮が。聖王都の街並みが。どんどん小さくなり、遠ざかっていく。
風に引きはがされそうになる、アメリアの体を強く。強く抱く。
どうにか声を出せるようになったのは、既に聖王都が見えなくなってからだった。

 「降りろアメリア!? 。おまえまで巻き込まれ・・・・・」
 「嫌です!?
   もう独りで待つのは嫌です!? 」
ぎゅっ、と俺にしがみついたままのアメリア。
両手でアメリアを抱きしめ、左手にはメギドの炎を持ちながら、夜明けまじかの空を翔ける。
 「アメリア。すまんな。
   どこか安全な場所で降ろしてやりたいが、そんな時間は無いようだ」
遠い地平線の彼方(かなた)が、うすぼんやりと明るくなって来た。

風が俺達を運ぶ。
北の山を目指して。
その俺達の後を追うように。右斜め後ろの夜空が、ゆっくりと。
だが、確実に明るくなって来た。

カタート山の上空で、どうにかメギドの炎を放り出したとき。
星を。闇を追いやり。
朝日が世界を照らし出した。
 「空が・・・・・」
アメリアの声に上空を見上げると、空間が歪み。光り輝いている。

周りの空間が、白く輝く光に満たされ。
アメリアを、ぎゅっと抱きしめ・・・・・・そのまま・・・・何も分からなくなった。


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30892『セイルーンの城』 (エピローグ)―――星の海で―――。猫楽者 E-mail 2004/11/12 00:43:38
記事番号30806へのコメント



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『セイルーンの城』 (エピローグ)―――星の海で―――。


  目を開けると、魔法の明かりに照らされた。見慣れない木の天井が見えた。
左手を持ち上げると。俺の手と、手をつないだままの右手が見え。
その右手に沿って視線を動かすと・・・・・・・幸せいっぱい、という表情で眠っているアメリア。
しばらく寝顔に見とれていたら。
 「気がついたか」
声を掛けたのは、見た覚えのある男だった。
金髪の渋い中年男性。

 「あんたが助けてくれたのか。ミルガズィアさん」
 「一族の者たちが、蒼い流星が近づいてくる。と騒いでな。
   慌てて追いかけたのだ」
ベッドに身を起こそうとした俺を、そっと手で押しとどめ、話すミルガズィアさん。

 「あの光の発動直後に追いつき、墜落しかけていた2人を辛うじて助けられた。
   回復呪文をかけ、この漁師小屋を借りて寝かせたのだが・・・・・・。
   抱き合っているふたりを、離すのが大変だったぞ。
   人間よ。
   良かったら、なにがあったのか話してくれないか」

今の俺の顔を、リナやアイアイに見られないことを。
俺は、どこかの誰かに感謝しながら。
 「ああ。助けてくれた礼代わりに、話すことくらいはするさ」
そう言って、今回の騒動を最初から話し出した。


王宮へと忍び込んだ辺りまで、話した時に。小屋の扉が、勢い良く開き。
 「ゼル〜。元気そうね〜。
   ま〜仲良く♪ お手て♪ なんかつないじゃって♪〜」
 「アメリアが、手を離してくれないんでな。
   それより、よくここに居ると分かったな」
リナの言葉に苦笑しながら、聞いてみると。
 「ミルさんが、連絡をくれたのよ」

  そう言ってリナは、聖王都の状況を説明してくれた。
軟禁状態だったフィルさんは、ギジンじいさん達に助け出され。
中継施設を利用して、まず最初に国民への事情説明を行った。
全ては。式に紛れ込んだ暗殺者たちが、起こした事件とされ。
俺達は、暗殺者から、アメリアを守ったことになったようだ。
  次に、各国からの式への出席者が、どうなったかを。
それぞれの国へと報告しているらしい。
 「意外と各国の反応は、穏やからしいわよ。
   国でも持て余してたような連中が、多かったみたいね」
フィルさんは、これから王宮の大掃除を始めるらしい。
本当は、直ぐにアメリアに会いたいが。
大掃除が終わるまで、万が一のことを考えて。
アメリアは聖王都へは、戻らない方がいいだろう。
そう話していたらしい。

言葉を切ったリナは、笑みを浮かべて、話を続けた。
 「それと。アイアイから伝言よ。
   『後先考えないで無茶するのは、誰に似たのかしらね。
     あんまり彼女を泣かすんじゃないわよ。
     今度会う時には、“ゼル坊”の赤ちゃんを抱っこさせてね』
   ですって」
俺は、ちらり。とアメリアの顔を見るが・・・・。
まだ。すやすやと眠っていてくれた。

 「いつの間にか、あんたたちの恋物語。ってのが出来ちゃってるみたいで。
   吟遊詩人が、その歌を歌うと。
   ものすごく盛り上がって、どこでも黒山の人だかりですって」
勘弁してくれ。そう呟く俺に。
今度。その歌のメモリー・オーブを買って来てあげるから。
そう言って、楽しそうに笑っていたリナは。
 「あっ。もう一言あったわ。
   『式の様子は、結界中に中継されてたから。
     “ゼル坊”が花嫁さんを連れて逃げた。そのことを知らない人は、結界内にはいないわよ。
     それが、ど〜いうことか。“ゼル坊”でも、わかるでしょ』
     確かに伝えたわよ」
楽しそうに笑うリナの。その向こう側で。
アイアイが、満面の笑みを浮かべているような気がした。
まずい・・・・・ひじょうに・・・・まずい。
・・・・アメリアに迷惑が・・・・いや・・・・俺は別に・・・・それに・・・・。
あああああ・・・・そうじゃなくてだな・・・・。
ぶつぶつ呟いている俺のことを、リナとガウリイが笑いながら見ていた。


笑っていたガウリイが、ふと、天井を見上げ。
 「なあ・・・・リナ・・・・なんてったっけ・・・・・生ごみ? が来てるぞ」
 「生ごみ、じゃありません!? 。生ごみ、って言わないでください!? 」
現れ出たのは、一見人当たりが良さそうだが・・・・・。
なにを考えいるのか良くわからん・・・・・・わかりたくもない。
謎のニコ目神官モドキ。

 「おまえさん。神殿にもいたよな」
 「神殿に? 。何してたわけ? 」
ガウリイとリナの言葉に、いつもの笑顔を浮かべたまま、ゼロスは話し出した。
 「リナさんたちのご活躍を、特等席で眺めさせていただきました」
 「眺めてた・・・ね。
    まあ。あんたに余計な事されて、引っ掻き回されるよりは良いけどね」
 「酷いです〜。
    あんなに一生懸命、情報操作のお手伝いをしたのに〜」
わざとらしく、泣き崩れるマネをするゼロス。
 「情報操作ねえ・・・・・。
   なにしたんだか。さっさと話しなさいよ」
 「それがですねぇ。
   中継をなさるリポーターの方が、謎の腹痛を起こしたそうで。
   僕が、代役としてリポーターをやらせていただきました」
そうか。どこかで見たような奴だと思っていたが・・・・こいつだったのか。
 「実況中継。というのも面白いもんですね〜。
   中継の責任者の方からも。
   『あれは・・・王族の方の・・・・・結婚式の中継とは・・・思えなかった・・・・』
   そう、お褒めの言葉もいただきましたし」

どこから取り出したのか。椅子に腰掛け、ゼロスは話を続ける。
 「セイルーンでおもしろい・・・・いっ・・いえ・・・厄介なことが起こっているようでしたので。
   様子を見に行こうとしたんですが・・・・・・途中で。
   『別に道に迷ったわけじゃないんだけど。
     あなたに、聖王都まで案内させてあげても良いわよ』。
   高笑いしながらそう仰る、もの凄く個性的な方に、お会いしまして。
   それで聖王都の近くの町まで、ご一緒して。
   道を、お教えしたんですけど・・・・・」
ゼロスの台詞を聞き流していたらしい、リナの顔が、なぜか強張った。

 「神殿に乱入して来た、あの方のおかげで、予想以上に楽しませてもらいましたから・・・・。
   いやあ〜。情けは他人の為ならず、と言いますし。人助けはするもんですねぇ〜」
 「おまえかぁ〜〜〜!?
   おまえが全ての元凶かぁ〜〜〜!? 」
叫びつつゼロスの首を締め上げ、ガックンがっくん前後に揺さぶるリナ。
 「全ての元凶・・・・って、そんな人聞きの悪い・・・・」
前後にガクガク揺さぶられながら、涼しい顔で答えるゼロス。

 「で。今度は。何しに来たわけ」
ゼロスへの制裁は、後回しにすることにして。
どうにか落ち着きを取り戻したリナは、ジト目でゼロスに問い掛ける。
 「それは、もちろん・・・・・・秘密。じゃなくて、直ぐに説明させていただきますから。
   ガウリイさん・・・・その手にお持ちのメモリー・オーブ。お願いですから、しまってください」
 「あんたの説明が終わるまでは、そのままよ」
リナとガウリイの顔を、何か言いたげに見ていたゼロスは。
諦めたように溜息をつき、話し出した。
 「え〜僕は一応・・・・・説明に来たんですよ。
   ゼルガディスさんが、カタートに投げ捨てた例の物が、どうなったかを。
   リナさん達までやって来たので、事情を説明して、このまま帰っていただこう。というのが。
   上の方々の決定でして・・・・・お前が一番リナ殿たちの扱いには慣れているだろう。
   説明して来い、とのことです」

“扱い”の一言に、リナが何やらぶつぶつ呟いているのが、聞こえたのか。
ゼロスは慌てて、話を続けた。
 「例の物ですが、発動した直後に結界を張って封じ込めましたから。
   魔王様がいらっしゃったカタートの山頂の形が変わって、大きなクレーターが出来た程度で済みました。
   まあ・・・・例の物は・・・・マーフィンさんが、ちょっといじったら・・・・・あっさり壊れちゃいましたし」
リナの顔色を、うかがうように、しばし間を空けるゼロス。
 「ついでに言いますと。
   我々は、別に攻撃を受けた。とか、ケンカを売られたとは思ってませんから。
   所詮は、ただの物理攻撃。山の形が少々変わった程度ですしね。
   かえって、良い暇つぶしになりましたからね」
 「まあ。あんた達、魔族にとっちゃ、そうでしょうけど。
   今下手に、神族と事を構えたくない。ってのもあるんでしょう」

リナの言葉に、ゼロスは嬉しそうに頷く。
 「そうですね。それに実験も出来ましたしね。
   我々としては、例の物で魔王様の封印が解ける・・・まではいかなくても。
   封印が弱まってくれたらラッキー。程度に思って、どうなるか見ていたのですが・・・・・・。
   流石は水竜王の封印。ひびのひとつも入らなかったですね〜」
ひょい。と肩をすくめ、苦笑するゼロス。
 「封印は平気でも、山頂は蒸発しちゃいましたから・・・・・。
   『どわわわわわわわわわ〜』、とか言いながら。
   魔王様は氷の封印ごと、クレーターの底まで転がり落ちちゃいますし。
   思わず指差して笑っちゃいましたよ」
 「冷たいわよね〜」
 「笑ったのは僕だけではなく。獣王さまと海王さま、それに覇王さまも爆笑してましたよ」
なんだか・・・・魔王に少しだけ同情したくなった・・・・ような気もするな・・・・。


 「そろそろ話の続きを聞きたいのだが・・・・・」
すっかりと忘れ去られていたミルさんが、申し訳なさそうに呟き、俺は残りの話をした。

話を聞き終え、なぜかしばし固まっていたミルさんは、溜息混じりに呟いた。
 「人間よ。
   よく助かったものだ。
   助かったのは奇跡みたいなものだ。
   出来れば。その剣は二度と使わない方が良いだろう」

俺と手をつないだままのアメリアの手が、微かに震えた。
不意に、身を起こしたアメリアは。
俺の手を振り払い、小屋の外へと走っていってしまった。
 「アメリア」
慌ててアメリアの後を追ったが。
多少フラフラしながらも走る、アメリアに、なかなか追いつかなかった。

時間の感覚が無かったが、星と月の位置からすると、既に真夜中近い時刻のようだ。
どうにか砂浜で追いつき。アメリアの右肩に、左手を置くが。
アメリアは、向こうを向いたまま、うつむいている。

 「離してください」
 「無茶をするな。まだふらつく体で、どこへ行くんだ」
 「私は、ゼルガディスさんとは一緒には居られません」
胸が痛んだ・・・・それでも・・・・アメリア。おまえが無事で・・・・良かった・・・・。
 「そうだな。俺はこの体だし・・・・・・」
 「そうじゃありません。
   私・・・・・いつもゼルガディスさんに・・・・迷惑かけて・・・・・・」
 「気にするな。俺が勝手にやったことだ」
 「助かったのは奇跡みたいなものだ!? 。そう・・・・ミルガズィアさんが・・・・言ってました。
   もし・・・・・あのままゼルガディスさんが・・・・死んでしまったら・・・・・。
   そう思ったら・・・・・怖くて・・・・・・」
俺も怖かったさ。
アメリア。この手に抱きしめた、おまえの温もりが消えてしまうんじゃないか、と思ってな。

 「安心しろ。俺は、そう簡単にはくたばらん。
   約束したろ。会いに行く。とな」
そして、旅の目的を果たしたら、その時には・・・・・。
 「でも・・・・」
まだ何か話そうとした、アメリアの唇を、そっと右手でふさぎ。
 「アメリア。少し落ち着け。
   こんな綺麗な星空を見ないのか」
アメリアの隣に並び。
左手で、そっと。アメリアの肩を抱いて、自分でも意外なほどの優しい声で話していた。

           真夜中。きみとふたり。
           砂浜。波みのしらべ。
           見上げる空には、ほら。星のダイヤモンド。

夜空を見上げるアメリア。
 「わあ・・・・・・きれい・・・・・」
やっと笑ったアメリアの瞳が、星の光をキラキラと映している。

           I LOVE YOU TO NIGHT、ときが止まればいいね。
           今、心、きらめく。
           願いを叶えたい。すぐに。

 「ああ。きれいだな」
そう言いながら、俺は星ではなくアメリアを見ていた。

           いつまでも、ふたり、このまま。
           強く抱きしめ。FLY A WAY。

 「ゼルガディスさん。
   私、決めました。
   もう、王宮で待っているだけ。そんなのは嫌です。
   私は、ゼルガディスさんと一緒に行くことにしました」
元気を取り戻したアメリアは、俺には眩しいほど光り輝いて見えた。

 「行く先も決まっていないような旅だぞ」
 「かまいません」
 「危険な目にもあうし、いつまで掛かるのかも分からん」
 「どんな場所でも何があっても平気です。
   ゼルガディスさんが一緒なら」

          輝いてる君の瞳。僕の全て映すから。
          MY SONG FOR YOU。

俺の胸に飛び込んできたアメリアを、抱きしめながら。
俺は、もうほとんど負けを認めていた。

アメリアが目を閉じ、そっと俺を見上げる。

          JUST ONLY YOU。
          君だけを、愛しているのさ。

俺も目を閉じ、そっとアメリアへ顔を近づけ・・・・・・・・・・・・。


 「リナさん。もう少しつめてくださいよ。
   見えないじゃないですか」
 「押すんじゃないわよ。気付かれたら、ど〜すんのよ。
   あんたはアストラル・サイドからでも、覗いてればいいじゃないの」
・・・・・・・・・やっぱり様子を見に来ていたか。

 「なあ。やっぱり、こ〜いうシーンを覗き見するのは、まずくないか」
 「覗き見とは、あまり感心しないな」
 「そ〜言いながら興味津々みたいね〜。愉快なミルさんは」
 「まあ。人間のこういう行動を見る機会は、あまりないからな」
やれやれ。唯一の味方はガウリイの旦那だけか。

赤い顔して照れたような笑顔を浮かべたアメリアと、顔見合わせて苦笑しつつ、唱えた呪文を解き放つ。
レイ・ウィングの結界に包まれた、俺とアメリアは。
雲の上へと登って行き。
そこで、なにがあったのかは・・・・・・・・。
満天の星々だけが知っている。


                     ―――セイルーンの城―――完。


$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$

ここまで読んでくださった、心優しい方、ありがとうございます。
長かったですよね。
自分でも、ここまで長くなるとは、思っておりませんでした。

少しでも、ゼルガディスさんの冒険を楽しんでいただければ幸です。

挿入歌、と言いますか、イメージ・ソングとして使わせていただきましたのは。

 (第一話)―――再会はトラブルと共に―――。
        『マイ・ビューティフル・プレイス』。飯島真理 さん-TV版『超時空要塞マクロス』。

 (第四話)―――もたらされた、知らせ―――。
        『星のストレンジャー』。STRIXさん-アニメ映画『超人ロック』
        『RAINBOW BRIDGE』。STRIXさん&堀江美都子さん。アニメ映画『超人ロック』

 (第八話)―――王宮にて―――。
        『M』。プリンセス・プリンセスさん。

 (エピローグ)―――星の海で―――。
        『You're the only・・・』。小野正利さん。

こうして・・・・あらためて見てみますと・・・・古い曲・・・ばかりですね(汗)
ご存知じゃない方が・・・・多いのでしょうね・・・・。
マクロスは・・・・20年以上前(汗)・・・ですし。
超人ロックも・・・・約20年前・・・・他の2曲も・・・・。
既に・・・10年以上前に・・・・なるのですね・・・。

別の所でも書かせていただきましたが、ストーリや伯爵、影などを参考にさせていただきましたのは。
アニメ映画、ルパン3世・カリオストロの城。です。
見ていてワクワクして、見終わった後、素直に良かった〜面白かった。
そう思えるような名作です。

11月に入り。だんだんと寒くなってまいりました。
風邪も流行っているようですので。
お体にお気をつけて、お元気で。

ここまで、お付き合いくださいまして、本当にありがとうございました。
では、失礼します。

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30896完結おめでとうございます棒太郎 2004/11/12 19:23:24
記事番号30892へのコメント

こんばんは、猫楽者さん。
ついに完結ですね。お疲れ様です。
とはいえ、ほとんど予定通りに終えられたというのが、凄いです。
私が今書いている話は、どれぐらいの長さになるか、まったく見当付けてませんので。

セイルーンの王宮に封印されていたもの・・・・・・・・・・
なんかもう『戸口にあらわれたもの』とか、そんな感じのヤバイものしか思い浮かびませんね。
伯爵の家族はもう、不運だったとしか言いようがありませんね。
進んで地雷を踏みたがる馬鹿のせいで。

>「アメリア。すまんな。
> どこか安全な場所で降ろしてやりたいが、そんな時間は無いようだ」

ここでサイボ○グ009を思い出してしまいました。
「どこに落ちたい?」(だったと思いますが)
そして空には一筋の流れ星が・・・・・・・・・・・・・・これってある意味、バッドエンドですね。

ゼロスも愉快犯・確信犯ですね〜〜。
うちの黒子並ですね。

最後はラヴに終わるかと思ったら、やっぱりデバガメ集団がやってきましたね。
でも最後は愛の逃避行(笑)
末永くお幸せに。

これからインフルエンザとか流行ってくる季節ですので、お体に気をつけて頑張ってください。
それではこの辺で失礼します。

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30900ありがとうございました。猫楽者 E-mail 2004/11/13 03:22:16
記事番号30896へのコメント



>こんばんは、猫楽者さん。

こんばんは、棒太郎さん。
お元気ですか。猫楽者です。
読んでくださって、ありがとうございます。
とても丁寧な感想を、本当にありがとうございます。

>ついに完結ですね。お疲れ様です。
>とはいえ、ほとんど予定通りに終えられたというのが、凄いです。
>私が今書いている話は、どれぐらいの長さになるか、まったく見当付けてませんので。

ありがとうございます。
最後までお付き合いいただきまして、本当にありがとうございます。
予定よりも長くなってしまいました。
棒太郎さんのお書きになるお話、とても楽しく読ませていただいておりますので。
お書きになる作者の棒太郎さんは、とても大変だと思うのですが。
長くなってくれるのは、読者の自分としましては、とても嬉しいです♪

>セイルーンの王宮に封印されていたもの・・・・・・・・・・
>なんかもう『戸口にあらわれたもの』とか、そんな感じのヤバイものしか思い浮かびませんね。

老エフレイム(汗)・・・・・・怖かったですね(滝汗)
聖王都の巨大な六紡星の魔方陣は、封印の一部として使用されている。
そう思ったりもしたのですが・・・・・。
なにが封印されていたのでしょうか(汗)

>伯爵の家族はもう、不運だったとしか言いようがありませんね。

たまたま、あの日。あの場所に居てしまった・・・・不運ですね。
伯爵の娘さんは・・・・・ある場所を経由して・・・・・。
滅亡間近のレティディウス公国に、たどり着いていたりします。
そして、黒ずくめバードさんも、アルの30年ほど前のレティディウス公国へと。
たどり着いていたりします。

>進んで地雷を踏みたがる馬鹿のせいで。

危ない。と分かっていたのか・・・・知らずに手を出してしまったのかは、分かりませんが。
直接手出しした連中は、その場で全員、消えてしまいました。
背後で蠢いていた輩は、今回、伯爵たちに全員処分されてしまいました。

>>「アメリア。すまんな。
>> どこか安全な場所で降ろしてやりたいが、そんな時間は無いようだ」
>
>ここでサイボ○グ009を思い出してしまいました。
>「どこに落ちたい?」(だったと思いますが)
>そして空には一筋の流れ星が・・・・・・・・・・・・・・これってある意味、バッドエンドですね。

サイボー○009のTVシリーズの最終回でしたっけ?
002と009の会話でしたね。
自分も詳しくは無いのですが、聞いた話では、漫画の方は。
無事に何処かに着陸したような話になっているようですね。
イメージの元となったのは。
空中平泳ぎ(笑)をして、ルパンがクラリスを、ぎゅっと抱きしめるシーンと。
フルメタル・パニッ○という小説の、踊るベリー・メリー・クリスマ○のラスト近い所で。
相良軍○がテッサを空中で抱きしめるシーン・・・だったと思います。

>ゼロスも愉快犯・確信犯ですね〜〜。
>うちの黒子並ですね。

はい、ゼロスさんは。
リナさんに、あの御方の闇の刃で、叩き斬られない程度の範囲で。
楽しませてもらったようです。
燃える三眼。嘲笑う神(汗)の御方さえも。
黒子さんの用意なさった舞台に御出演なさりそうですから・・・・・。
スケールは、比べ物にならないくらい。黒子さんの方が大きいと思います。

>最後はラヴに終わるかと思ったら、やっぱりデバガメ集団がやってきましたね。
>でも最後は愛の逃避行(笑)
>末永くお幸せに。

なにしろ書いているのが、猫楽者ですから(笑)
そう簡単には、幸せになれません(笑)
これからゼルガディスさんとアメリアさんは、おふたりで旅をなさるのですが・・・・・。
いろいろなことが、起こって。大変だと思います。

>これからインフルエンザとか流行ってくる季節ですので、お体に気をつけて頑張ってください。
>それではこの辺で失礼します。

読んでくださいまして、ありがとうございます。
とても丁寧な感想を、本当にありがとうございます。

体調へのご配慮、ありがとうございます。
幸い、この頃、風邪は引かないで過ごしております。

段々と寒くなってまいりました。
風邪も流行っているようですので、お体にお気をつけて、お元気で。
では、失礼します。

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30897完結おめでとうございます&お疲れさまでした。エモーション E-mail 2004/11/12 22:48:21
記事番号30892へのコメント

猫楽者さん、こんばんは。

「セイルーンの城」無事完結、おめでとうございます。

伯爵の家族を奪った〃何か〃。
それをこの世から消し去るための手段に、伯爵が選んだのがメギドの炎……。
「限度つーもんを考えろ、こら」という感じですが、彼にとってはもう王族も王宮も、
そしてセイルーンという国そのものも、全部消し去りたい対象でしか、
なくなってしまっていたのですね。
でもそれ以上に、伯爵は失った家族のところへ行きたかっただけなんだと、そう感じました。

その後のゼルくん……病み上がりなのに、さらにまた使う……(汗)
手段がなかったとはいえ、やはり無茶しますね。リナのこと言えませんよ、ほんと。
また何となくですが、もしアメリアが飛び込んでいかなかったら、
ゼルは助からなかったのではないかという気がひしひしとします。

手を繋いだまま眠るアメリアとゼル。
「もう、絶対に離れない」という意思表示のようで、らぶらぶでしたね。
中継されていたので当然なのでしょうけれど、すでに吟遊詩人にが歌っている辺りが(笑)
これはもう後々まできっちり残りますね♪
もう十数年位すれば、定番の恋愛劇として上演されていそうです。
そしてゼロス。
ふと思ったのですが、頼まれた時すでにゼロスはあの女性の姿だった……んですよね、多分。
いきなり見た目が変わったら、いくら何でも他の人は驚くでしょうし。
違うと分かっていても、「女装してたのか」という考えが頭の中をぐるぐると駆けめぐってます。
中継の責任者の方の、微妙に誉めてないお誉めの言葉に笑いました。

カタートに落ちたメギドの炎。さすがに魔族の結界の前には威力も下がりますか。
そしてそれ以上に破壊力のある、マーフィンさんの「ちょっといじってみた」(笑)
……ある意味、今回一番最強だったのかもしれませんね、マーフィンさん……。
とどめは今回も最後の最後で不幸だった魔王様……。強く生きてください。(合掌)

ラスト、らぶらぶのゼルとアメリア。ゼルの台詞はもうプロポーズと受け取りました。
証人もいっぱいいるので(笑)、きっちりフィルさんにも報告がいくのでしょうね。
きっと喜んでいることでしょう。

無事に大団円で終わった「セイルーンの城」。
ゼルの一人称で語られていくお話と、アイアイさんやギジンさんといった、
新たなキャラクターに、楽しませていただきました。
ちょっとセイルーンに封じられている〃何か〃が気にはなりますが、それは
いつかまた、な別のお話になるのでしょうか。

まだまだお忙しいのだろうなと思いますが、次は誰が主役で、そしてどのような
お話になるのか、楽しみにお待ちしています。
それでは、この辺で失礼します。

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30901ありがとうございました。どうにか完結いたしました。猫楽者 E-mail 2004/11/13 03:29:16
記事番号30897へのコメント



>猫楽者さん、こんばんは。

こんばんは、エモーションさん。
お元気ですか。猫楽者です。
読んでくださいまして、ありがとうこざいます。
とても丁寧な感想をいただきまして、本当にありがとうございます。

>「セイルーンの城」無事完結、おめでとうございます。

ありがとうございます。
最後までお付き合いいただきまして、本当にありがとうございます。
予定よりも、少し長くなってしまいました。

>伯爵の家族を奪った〃何か〃。

時間と空間を飛び越えられるような『なにか』。
そんな存在が封印されていた。と考えております。
まだまだ。他にも様々なものが封印されて、いたりします(汗)

>それをこの世から消し去るための手段に、伯爵が選んだのがメギドの炎……。
>「限度つーもんを考えろ、こら」という感じですが、彼にとってはもう王族も王宮も、
>そしてセイルーンという国そのものも、全部消し去りたい対象でしか、
>なくなってしまっていたのですね。

仰るとおり。伯爵は、この街。そして王宮も全て消してしまうつもりでした。
伯爵なりの僅かな理性で、聖王都の人たちと騎士団、兵士たちを。
聖王都から遠ざけました。
王家の人間と、少しでも封印されたものに係りのありそうな人たちは。
街ごと消してしまうつもり・・・・でした。

>でもそれ以上に、伯爵は失った家族のところへ行きたかっただけなんだと、そう感じました。

凄いです。驚きました。
基本的にゼルガディスさんの一人称でしたので、書けませんでしたが。
伯爵が屋敷で、子供部屋に入って。
13年前のあの日のまま・・・・・ベッドの上に置かれた、ぬいぐるみや。
開かれたままの絵本。部屋のあちこちに出したままのおもちゃを見ながら。
なぜ。わたしも連れて行ってくれなかったんだ。
もうすぐ。行くから、待っていてくれ。
そう呟くシーンもあったりしました。

伯爵の娘さんは・・・・・ある場所を経由して・・・・・。
滅亡間近のレティディウス公国に、たどり着いていたりします。
そして、黒ずくめバードさんも、アルの30年ほど前のレティディウス公国へと。
たどり着いていたりします。
名前を変え、魔道士として生きていたバードさんは、アルと出会い。
奥さんと一緒に、アルを連れて公国から逃げ出しました。

>その後のゼルくん……病み上がりなのに、さらにまた使う……(汗)
>手段がなかったとはいえ、やはり無茶しますね。リナのこと言えませんよ、ほんと。

はい。また使ってしまいました(汗)。ゼルガディスさんとしましては。
アメリアさんを守る。その為には手段を選んでいる余裕がなかったのですが・・・・無茶しますね(汗)
メギドの炎に対抗する手段を・・・・なかなか思いつきませんで・・・・。
リナさんの氷の呪文で凍らせる。とか考えたのですが・・・・・・・。
室内は雷撃が吹き荒れてるから・・・・・凍らせられないじゃないか(汗)
そう思って・・・・・頭を抱えていたりしました(笑)

>また何となくですが、もしアメリアが飛び込んでいかなかったら、
>ゼルは助からなかったのではないかという気がひしひしとします。

このシーンは、当初。
ゼルガディスさん御1人で、風に飛ばされてしまい。
アメリアさんが、後を必死に追う。
そう考えていたのですが・・・・・。
書いていましたら、アメリアさんがゼルガディスさんの胸に飛び込んでしまい(汗)
一緒に空を翔けることに、なってしまいました。
結果オーライ、ですが。
自分でも、予想外のことでした(笑)

ゼルガディスさんは、アメリアさんが飛び込まなかったら・・・・・・。
もっと酷い状態になっていた、と思います。
当初の予定では、意識不明の重体(汗)には、なる予定でしたので・・・・。

>手を繋いだまま眠るアメリアとゼル。
>「もう、絶対に離れない」という意思表示のようで、らぶらぶでしたね。

はい。アメリアさんとゼルガディスさんの、離れない。
そんな思いの表れなのだと、思います。
今回は、ゼルガディスさんとアメリアさんに、いろいろな意味で。
酷い目に遭ってしまいましたから・・・・・最後くらいは・・・・。
幸せに・・・・そう思っていたのですが・・・・。

>中継されていたので当然なのでしょうけれど、すでに吟遊詩人にが歌っている辺りが(笑)
>これはもう後々まできっちり残りますね♪
>もう十数年位すれば、定番の恋愛劇として上演されていそうです。

後々にセイルーン王家の研究をなさる、歴史家の方々の貴重な資料(笑)となると良いのですが。
中継を記録しておいたメモリー・オーブと吟遊詩人の歌のメモリー・オーブ。
どちらもアメリアさんの大切な宝物。となるのでしょうね。
あと・・・・アイアイさんが密かに渡すであろう・・・・・。
赤ちゃんゼルガディスさん♪と、聖王都へ侵入するときの変装姿のメモリー・オーブ♪
後の方のふたつは、ゼルガディスさんに見つからないように、アメリアさんは秘蔵なさるのでしょうね(笑)

>そしてゼロス。
>ふと思ったのですが、頼まれた時すでにゼロスはあの女性の姿だった……んですよね、多分。
>いきなり見た目が変わったら、いくら何でも他の人は驚くでしょうし。
>違うと分かっていても、「女装してたのか」という考えが頭の中をぐるぐると駆けめぐってます。
>中継の責任者の方の、微妙に誉めてないお誉めの言葉に笑いました。

あっ(汗)
そお言えば・・・・どこで姿を変えたのか・・・考えておりませんでした(待て)
『女装』の件は、大正解です(笑)
ゼルガディスさんとガウリイさんが、きれいに着飾った(笑)のですから。
やはり、ゼロスさんも(笑)
そう思いまして、最初に真っ赤なチャイナ・ドレス姿になってもらおう。
そう考えていたのですが・・・・中継リポーターが、その姿は(汗)と思いまして。
服装の描写は、入れませんでした。

>カタートに落ちたメギドの炎。さすがに魔族の結界の前には威力も下がりますか。
>そしてそれ以上に破壊力のある、マーフィンさんの「ちょっといじってみた」(笑)
>……ある意味、今回一番最強だったのかもしれませんね、マーフィンさん……。
>とどめは今回も最後の最後で不幸だった魔王様……。強く生きてください。(合掌)

マーフィンさんは、機械や道具と、徹底的に相性が悪い(笑)
そう設定しておりまして。
仰るとおり。ある意味、ゼロスさんよりも『強い』、部分があったりします(笑)
今回の魔王様。
唯一の出番が、あの状態ですから・・・・・不幸ですね(笑)
きっと・・・・今頃は、クレーターが・・・・土砂で埋もれて・・・・。
カタートの山中に閉じ込められていたり・・・・するかもしれません(笑)

>ラスト、らぶらぶのゼルとアメリア。ゼルの台詞はもうプロポーズと受け取りました。
>証人もいっぱいいるので(笑)、きっちりフィルさんにも報告がいくのでしょうね。
>きっと喜んでいることでしょう。

はい。最後くらいは、おふたりにお幸せに・・・・と思ったのですが。
監視団の存在で・・・・一時中断となりましたが(笑)
リナさんたちから、フィルさんとアイアイさん。そしてギジンじいさんへ。
とても詳しい報告が、届くと思います(笑)

うまく書き込めなかったのですが。
フィルさんは、リナさんたちに。
アメリアさんのいつもの白い巫女の服と、旅に必要な道具。
そして、アメリアさんとゼルガディスさんへの手紙を届けてくれるように頼んでいたりします。
名目上は、ゼルガディスさんにアメリアさんの護衛を頼む。ということで。
アメリアのことを、頼む。と書いてあったりします。

>無事に大団円で終わった「セイルーンの城」。
>ゼルの一人称で語られていくお話と、アイアイさんやギジンさんといった、
>新たなキャラクターに、楽しませていただきました。

ありがとうございます。
ゼルガディスさん主役の始めてのお話、だったのですが。
シリアスな魔剣士さんを書くのは、難しかったです(汗)
アイアイさんとギジンじいさん。
当初は、もっと出番が少なかったのですが・・・・・。
どんどん増えてゆきました。
また機会がありましたら、このお二人には、ぜひ出てもらいたいです。

>ちょっとセイルーンに封じられている〃何か〃が気にはなりますが、それは
>いつかまた、な別のお話になるのでしょうか。

なにが封印されているのか。具他的な名称とか、内容が決まっておりませんので(汗)
はっきりとしてきましたら、書いてみたいです。

>まだまだお忙しいのだろうなと思いますが、次は誰が主役で、そしてどのような
>お話になるのか、楽しみにお待ちしています。
>それでは、この辺で失礼します。

読んでくださいまして、ありがとうございます。
とても丁寧な感想を、本当にありがとうございます。

次は・・・・書きかけているものが、幾つかあるのですが・・・・。
エリシエル=ヴルムグンさん主役のお話・・・・とか。
まだプロットも出来ていませんので・・・いつ書きあがるのかは・・・・わかりませんが(汗)

最後までお付き合いくださいまして、本当にありがとうございました。
早いもので、もう11月上旬が終わろうとしております。
ディズニー・ランドに大きなツリーが飾られましたし。
もう今年も、あとわずかですね。

お体にお気をつけて、お元気で。
では、失礼します。

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