◆−世界の果てまでX]\−夜宵吹雪 (2004/6/8 18:16:21) No.30177


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30177世界の果てまでX]\夜宵吹雪 E-mail 2004/6/8 18:16:21




     X]\   風吹く永久の楽園はすぐ傍に


「こ、ここが失われた楽園【ミッシング・ユートピア】?」
ガウリイが物珍しそうにきょろきょろと見回す。当然と言えば当然だろう。ここはリナの予想していた場所ではなかったのだ。
ガーヴやルーク、それにシェーラといった魔族の面々が集まるのだから、どうにも厳しい、厳格な寒々しい場所をイメージしていたのだ。そう、例えるなら極寒の地に聳え立つ強大な城。
しかしここは城らしきものなどは、まだ見えない。極寒の地と言うより気温は比較的暖かく、どちらかと言えば常夏だ。足元に広がるのは白い砂浜。透き通った青い海と、雲ひとつない空。遠くには白亜の建造物らしきものが見えた。
「進みましょうか。」
鉄仮面がそう言うと、一行が足を進めた。しばし足を進めると、そこには先ほどの砂浜から見えた、白い石柱が見えた。大理石らしき物質で建造されたそれは、さしたる大きさではなかったが人間が住むには十分な大きさだ。ちょっとした好奇心を刺激され、リナはその建物に入った。
「おっじゃましまーす・・・・。」
誰かいないのか。そんな期待を込めて足を踏み入れた。
「リナさーん・・・・、危ないですよ・・・。」
何だかんだ言いつつも、ゼロスもついてくる。
「とか言いながらついて来るんじゃない・・・・。ま、いいけど。・・・・誰かいませんかー?」
しかし声は反響せず、しーんとした沈黙だけがおりた。
中は暗くはなかった。外から光が差し込んでくるので、明るい。しかしおかしい。だれもいないのか?
「・・・・誰もいないのかしらね?」
「いないみたいですよ。」
ゼロスがそう言うのならそうなのだろう。リナは部屋をじっと見た。
すべて石でできている。ところどころに貝が張ってあったので、ここは漁村なのだろうかと思う。しかし、妙な違和感を覚えた。
「・・・・変ね。」
「・・・・ええ。」
ゼロスもうなずき、この違和感が何なのか考える。
「・・・生活感がない。」
ポツリとリナはそうもらした。
そう、そうなのだ。ここは人の気配、いや、それどころか人の住んでいた気配すらない。
「何年もほおって置かれた・・・・。」
「じゃないですよねぇ・・・・。」
ゼロスは棚においてあったコップを手にとって、指でその表面をぬぐった。彼の指にはホコリなどついていない。つまり時間の経過がないのだ。
「お二方!ちょっと!!」
ヴァースの声がして外に出た。
「ん?何?」
外には神妙な顔をした一同がいた。何か囲むようにそれを見ている。
「どしたの?」
「・・・・これ、ガウリイさんが見つけたんですけど。」
砂の地面に半分以上埋もれていたのは金属の塊だった。いや、塊ではない。塊と言うにはあまりにも整然とした、正方形だ。
「俺が適当に触ったら音がしたんだ。」
「んー?」
リナはこんこん、とそれをたたいた。だが何も起こらない。
「空耳じゃない・・・わよね」
ガウリイは耳がいい。五感は非常に優れていることは百も承知。そんな彼が聞き間違いを犯すなどありえない。
「ちょっと失礼。」
フィリアが金属の塊に手を伸ばした。そして、飛び出た部分を触ってみる。
ジジッジッ・・・・・
「な、何っ!?」
「あ・・・これ、やっぱり・・・・。」
フィリアが納得した顔になる。
「何ですか、それ?」
「・・・多分、機械です。」
「は?奇怪?」
スパーンっ!
「ちっがーう!そりゃアンタの頭の中身でしょーが!!」
「い、いえ機械、機械ですよ。ガウリイさん。」
フィリアが訂正すると、彼女は改めて話し始めた。
「リナさんとガウリイさんはご存知ですよね?結界の外は魔術が余り発達していないって。」
リナはうなずく。ガウリイは・・・・もちろんわからない。
「だから・・・銃とか大砲とか・・・何ていうんですか?勝手に物が動く・・・からくり仕掛けのものが発達したんです。」
「からくりってーと・・・神器のあれとか・・・・。」
今となってはいやな思い出の神器の隠された金庫。あれは本気で嫌だった。
「はい、機械は電で動く・・・人の手を借りずに動くからくりですね。あまり難しいことはできませんが・・・・これは・・・・・。」
「かなり改良されたものですね。」
鉄仮面がその機械を手に取る。
「ああ、なるほど・・・・確かにここならありえることですね・・・・・。」
「何が?」
「・・・機械と魔術の合成ですよ。」
「はあ?」
リナたちの頭にクエスチョンマークが浮かぶ。
「なるほど・・・機械とは魔術とは無関係の代物。そんなものと魔術を合成すれば・・・・。」
納得したヴァースに鉄仮面はうなずいた。
「ええ、人の手ですら・・・・世界を滅ぼしかねない兵器を生み出してしまいます。」
「人の手で・・・世界を滅ぼす!?」
フィリアが信じられないと両手を押さえた。
「・・・確かに、不可能じゃねえかもな。」
「ヴァル!?」
「聞けよ、フィリア。人間は強くも弱くもなれる。お前も良くわかってるだろ?だから・・・神にも魔にも傾きやすい。
 つーことはだ、力の扱いを間違えて世界を滅ぼすようなことをしてもおかしくはないだろ?」
妙に説得力のある言葉である。フィリアは反論しなかった。
「しかし・・・やはり解せませんね。彼女は機械の技術とやらを得ているのはわかりました。
 では今まで使わなかったのはなぜでしょう?」
「使えなかったんじゃないか?」
軽くガウリイがいう。
「・・・・使えなかった?」
「おお、ありえそうじゃん。」
「あのね、ガウリイ。そんな理由は・・・。」
ヴァースはしばしぶつぶつ言って、うれしそうな顔で言った。
「たまには良いこと言いますね!ガウリイさん!その可能性は高いっ。」
さらりと失礼なことを言うヴァースである。
「何でですかー?」
リュシカが聞くと嬉々としてヴァースは答えた。
「使えないのなら、何のために技術を持ってるのですか?」
「・・・・そりゃ、戦うための技術じゃないならそれ以外の・・・あ。」
「そうです。つまり戦いのために彼女は機械に関する技術を得たのではない。そういうことですね。」
ぱちぱちと鉄仮面は拍手した。
「いや、大した頭脳です。すばらしい。」
「・・・・そーゆーあんたは、あのシルヴァタイトが何企んでるかわかってんでしょ?」
「なっ、何でそうなるのでしょうか!?」
言葉遣いがややおかしい。図星らしい。リナはまくし立てるように攻撃ならぬ口撃を繰り出した。
「反応見れば丸分かりじゃない!大体、ここに来た理由もシルヴァタイト以外になんか理由があるの!?
 黙ってると・・・痛い目見るわよ。」
「ぼ、暴力反対っ!」
「暴力じゃないわ!ちゃんとした民主主義よ!!」
「む、無茶苦茶な屁理屈ですね!!」
「屁理屈も理屈の一種!言え!言うのよ!!」
「ひええええっ!」
押される鉄仮面。リナが圧倒的に有利である。ちなみに他の人たちはギャラリーに徹底することにした。
「シルヴァタイトが何を企んでるか言わないと・・・アメリア直伝!魔族もまたいでとおる正の賛歌を寝るときに耳元でささやくわよ!!」
「勘弁してください精神衛生上ひたすら悪いですやめてくださいお願いですから何でも言いますから。」
息継ぎなしに嫌がる鉄仮面。そこまで嫌か。
「じゃあ言いなさい!」
「とほほ・・・これ秘密にしとかないと後でどやされるのに・・・・。」
何やらぶつくさ言ってるがリナの耳には入ってこない。
「さ、どうぞ。」
「・・・・はい、じゃあ言いますけど。シルヴァタイトは刻の秒針を集めてます。」
「それは知ってるわ。ヴァースが見たのよね?」
「はい、そうです。」
「じゃあ言いますけど・・・・、刻の秒針っていうのは柱なんです。それぞれの世界の。」
「え?」
意味がわからずリナは聞き返した。
「私たちの世界はそれぞれ4本の柱、すなわち刻の秒針。数は全部で12本。つまり時―――刻を意味します。
 世界は柱によって支えられています、そうですね・・・・。
 水の上に4本柱を立て、その上に板をのせ安定させているといえばわかりやすいでしょう。」
「ちょ!じゃあ柱がなくなったら・・・・。」
鉄仮面は同意するようにうなずいた。
「1本なくなれば草木が死に、2本なくなれば海は枯れ、3本なくなれば生命が死に絶え、4本なくなれば・・・・混沌へと沈みます。」
「なっ、何でそんなものをシルヴァタイトは・・・・。」
「私も詳しいことはわかりません。ですが、これだけは言っておきましょう。
 すべての刻の秒針は莫大な力を秘めています。
 神も魔王も殺す力を・・・・そしてその力を使い、シルヴァタイトが何を企んでいるのかは私は知りません。
 ただ、私は刻の秒針を元の場所に戻したいだけ。それだけです。」
鉄仮面は、今まで見せた顔の中で最も真剣みを帯びた、鋭い印象の表情となった。
白銀の終焉、シルヴァタイトが何を望むのか、それは誰も知る由などなかった。

あとがき

どんな時だって、たった一人で
運命忘れて、生きてきたのに
突然の光の中、目が覚める
真夜中に

白亜:おひさしぶり・・・ってツリー落ちたら意味ない挨拶をしてみました。
   ボケ担当の白亜です。
鉄仮面:ツッコミ担当の謎の鉄化面です・・・って私達漫才師だったんですか!?
白亜:違う。
鉄仮面:ああ、そうですか・・・・・良かった。
白亜:さて、テーマ曲は吹雪曰く「櫻井さん声のクラウドォォ!!」のために借りたキングダムハーツのメインテーマの「光」
   「ファイナルリミックスがやりてぇ!まじはまった!好きだディズニー!!」とか叫んでたね。
鉄仮面:ええ。ビデオもあさってましたね・・・、それに新作が出るので狂喜乱舞してました。
白亜;ゲーマーだからね。
鉄仮面:それにテイルズシリーズが新たに出るみたいですし。
白亜:サイフに大打撃。さて、あとがきをしよう。
鉄仮面:はい。今回は私がちょっと刻の秒針について語りました。
白亜:柱・・・だっけ?
鉄仮面:はい。なくなると世界は混沌の海に沈みます。
白亜:具体的にはどんな仕組み?
鉄仮面:えーと。何ていうか・・・世界を支えている、イコールで世界の仕組みを所持しているというかなんと言うか・・・・。
白亜:伏線っぽい。
鉄仮面:何個伏線張ってんでしょうね?
白亜:(←数えてる)
鉄仮面:次回、敵地に乗り込んだ私達がどうなるのか。シルヴァタイトの目的、そして私は何者か?
    色々ありますが、少しずつ解明していきます。それでは次回で!!
白亜:(←まだ数えてる)


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