◆−チルドレン 第一章:八話−○かほ○ (2004/4/22 19:30:07) No.29869
 ┗チルドレン 第一章:九話−○かほ○ (2004/4/23 20:45:40) No.29879


トップに戻る
29869チルドレン 第一章:八話○かほ○ 2004/4/22 19:30:07




ひゅっ!
刀が空気を裂く。
ミナは反射的に一回も使ったこともない腰のショ−ト・ソ−ドに手を伸ばした。
がぎっ!
鈍い音を立て、刃と鞘に入れたまんまの剣が交わる。
「んぬぅっ!」
「へへっ、ド素人だな嬢ちゃん、鞘から剣を抜くこともできないなんて。」
ずず…。
盗賊その1に押されて、地を滑るミナ。
どんどんと後退していく。
「おとなしく金を出してくれるなら、助けてやってもいいぜ。」
薄ら笑いを浮かべながら言う男。
その間にも10センチくらい下がるミナ。
奥歯をギリ、と鳴らし、
「ヤだ!盗賊なんかの言うこと誰が聞くか!!」
「んだとぉ!?」
どんっ!
刃を交えたまま、木に押さえつけられるミナ。
男は、青筋を額に浮かべている。
“盗賊なんか”という言葉がよっぽど頭にきたらしい。
短気な奴だ。
まぁ、気長な盗賊ってのも嫌だが…。
「んむ!」
「へへ…、謝って金出すならまだ許してやってもいいぜ。」
再度言う男、だがさっきのような笑いは、もう顔にない。
本気でぶち切れたようだ。
ぎり…、と刃に力を込める男。
「さぁ…、謝ンな。」
「ヤだ!」
「っ!このくそガキ!腕を一本そぎ落としてやる!」
「なっ!」
大人げない!
そう叫ぼうとする前に、男は、刀をもう振り上げていた。
「ちょっ……!」
「くはは!一本腕がなくても生きていけるぜ!謝るのは腕を落としてからだ!」
びゅっ!
刀が空気を裂く。
振り下ろされた。
慌てて剣をかまえるが、軌道は違った。
刃と刃はすれ違い――…
ざぁっ…。
風が森の木々を揺らす。
肩の痛みは、ない。
反射的につぶった目をおそるおそる開いた。
ざあぁ……。
木々が大きく揺れる。


                          −続く−

トップに戻る
29879チルドレン 第一章:九話○かほ○ 2004/4/23 20:45:40
記事番号29869へのコメント

目の前は――黒。
真っ暗だった。
ざあぁ…。
風が吹く。
と。
ばさり。
視界の端に森が見えた。
「?」
視界は真っ暗。
風が吹くたびにちらりと見える森の風景。
これは―――
「エルワン!?」
ミナの思考を中断したのは、エルツの声だった。
先ほどのボケっとした様子はみじんもない。
と、次の瞬間、黒が動いた。
見る間に視界が広がっていく。
「あ…。」
黒は――マントだった。
目の前に人が立っていたのだ。
黒は、目の前からどんどんと遠ざかっていき、エルツの方へと向かう。
エルツは、心底驚いた顔をしている。
刹那、黒の姿がぶれた。
「!」
思わず、目を見開くミナ。

「ぎゃああぁああぁぁぁああああぁああぁあああああああ!!!!!!!」

次の瞬間、森に響いたその声は、エルツのものだった。
慌てて、視線をそちらに向けるミナ。
「!」
驚きに目を見開く。
そこにあったのは――
そこに広がっていた光景は――
「あぁっ!我が愛しの妹よ!会いたかったぞ〜〜〜!」
「うぎゃあぁああぁああ!放せぇ!ド変態!!」
エルツに抱きつき、頬ずりをする一人の青年と、それを必死で嫌がるエルツの姿だった。



「初めまして、エルワンです。」
にっこりと微笑みながら言う青年。
「エルツの兄です、どうぞよろしく。」
年の頃なら17ぐらい、黒い神官服をまとったショ−トカットの金髪の美形の青年。
金の瞳と綺麗な白い肌が、エルツとそっくりだった。
「あ、どうも…初めまして。」
右手を差し出されて、慌てて自分も差し出すミナ。
「エルツ、お兄さんいたんだね。」
振り向いて、エルツに話しかけるが、返事無し。
何故だかさっきの抱擁で、エルツは半分死にかけていた。
「何か…エルツ透けてるような…、大丈夫?」
こちらに背を向け横たわりながら、エルツは、静かに首を横に振ったのだった。
「あぁ!兄はこんなにも愛しているのに!」
「異常だ!!」
半分死にかけながらもつっこむエルツだった。

                             −続く−

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

お久しぶりのあとがきです!
いやぁ、照れちゃいますね!(は?)
もうはっきり言って、オリジ化してってるんですけどご心配なく!
次の次くらいにはルナさん登場ですから!
なんとかオリジ減らしていくつもりです。
出来るかどうかは疑問ですケド…;
では!
by:そろそろギャグが恋しくなってきたかほりさん。

inserted by FC2 system