◆−虚無の欠片外伝3・前書き−RIN (2004/1/12 00:10:53) No.28983
 ┣虚無の欠片外伝3−RIN (2004/1/12 00:12:23) No.28984
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 ┗虚無の欠片外伝5−RIN (2004/1/17 20:09:14) No.29042


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28983虚無の欠片外伝3・前書きRIN URL2004/1/12 00:10:53




 ―虚無の欠片・外伝・前書き―

 こんばんは、RINです。
 お待たせ致しました、お久し振りの『虚無の欠片』です。
 今回は外伝3になります。
 …2が終わった訳じゃ無いんですけど…一寸本編との関係上ストップさせて頂いて、こちらを先に書かせて頂きました。

 取り敢えず、今後の投稿予定としましては…
 …今後は『奇蹟の〜』を書いてから、次ぎに『ドキ!バレ!』を書いて、『虚無の欠片』本編の方は投稿小説2の方ですので、『奇蹟』や『ドキ!バレ!』と同時進行か、その次ぎ位になると思います。
 長らく連載を休止し申し訳ありませんでした<(_ _)>

                        ―それではまたの機会に―RIN―

  ―それではどうぞ本文をお読み下さいm(_ _)m


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28984虚無の欠片外伝3RIN URL2004/1/12 00:12:23
記事番号28983へのコメント



 虚無の欠片 ―外伝―


 …暗い夜道を駆けて行く…

 …最近イヤに気になる様になった…
 …夜中にリナがいないという事が…
 …以前(むかし)はそうでもなかったのに…
 …何時の頃からか…妙に気になる様になった…
 …あいつが夜中に抜け出すなんて昔から…
 …ただ盗賊いじめに行ってるだけなのに…
 …知っているのに…盗賊いじめがあいつの趣味だってコトは…
 …それなのに…
 
 …イヤに気になるんだ…
 …あいつが夜中にいないのが…


 ―暗い道程(みち)―


 夜中に何だか凄い音がして目が覚めた!
 ……リナの部屋に行ってみるとリナがいなかった……
 ……暫く考え……
 …大きく溜め息を一つ吐き…
 …またリナがいつもの悪い癖を出したな…
 …等と思いながら…
 …身支度を整えて宿を出て、リナがいるだろうと思われる爆音の発生源へとオレは急いだ!

 暗い夜道を…不安を押さえ…ひた走る…
 
 …一体何でこんなに気になるのか?
 …少し前まではそうでもなかったと思う…
 …たぶん……
 …でも…いまはとにかくあいつの顔を見たかった…
 …早くあいつの気配を感じたかった…
 …だからひたすら走った…必死で…

 …宿を出てから…どれ程走っただろう?
 …夢中で走っていたからと…
 …それとあいつの気配を探すのに気を取られすぎた為だろう…
 …すぐには気付かなかった…

 …夜道の中をオレと同じく走っているヤツがいることに…

 …そしてその気配が…オレの良く知った相手のモノであることに…

 …オレは気付けない程に…暗闇の中にいた…

                                  ―終わり―

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29020虚無の欠片外伝4RIN 2004/1/15 18:38:35
記事番号28983へのコメント



 虚無の欠片 ―外伝―


 「…神託?」
 リナさんの訝しげなその言葉にアメリアさんは言いました…
 「…ええ…その神託はある日突然…ある一定以上の能力(ちから)を持つ総ての巫女に下されました…」
 …アメリアさん…『…総ての巫女に神託が下される…』…それがどういう意味か…
 …知る訳無いですよね…人間ですし…

 …でも…リナさんのあの態度は…
 …あれは…リナさん…貴方は…
 …知っているんですか?
 『あの事を』…

 …だとしたら…貴方は一体…『何者』なんですか…

 …リナさん…


 「そうですね…じゃあ取り敢えず内容だけ…」
 …あっ!アメリアさんが『神託』の内容を話す様ですね…
 …どんな『内容』か気になりますし…
 …ちゃんと聞いておかないと…

  
 ―悪夢の王の欠片 世界(そら)のいましめより解き放たれし存在(もの)
  闇より暗き 夜より深き 金色の闇の王より混沌の海より分かたれしたゆたいし存在(もの)
  闇と光とその狭間にして 黄昏より昏き力導きし 暁よりも眩き力持ちし者の力受けし
  遙かなる混沌より導かれし力を掲げ 虚無の欠片を胸に抱きて 闇の欠片を内に得て 
  虚無の力を導きし時 覚醒(めざめ)の瞬間(とき)は訪れん―


 …ア…アメリアさん…
 …マジですか…それ…
 …その様子じゃ…
 …その『神託』の内容は…
 …イエ…僕だって完全には…と言うか…考えるのも苦しい状態ですが…
 …ああ…なんか…リナさんは解ってる…みたいですね…
 …流石というか…
 …でも…とにかくここはひとまず…
 …獣王様に急ぎご報告をっ!!


 ―獣神官の中間報告1―


 「獣王様!大変ですっ!!」
 酷く慌てた様子でゼロスが現れる…
 …珍しいこともあるものだ…
 …ウン?それに何かかなりダメージも受けている様だな…
 …それに中間報告にはまだ早いし…
 「…どうしたゼロス?そんなに慌てて、中間報告には早いし…ダメージも受けている…まさか…リナ=インバースに見つかって滅ぼされかけたのか?」
 キセルを指で弄びながら…ニヤリと口角を僅かに上げてそう問う。
 「…イ…イエ…まあリナさんには…割と最初からバレていたみたいで…多少物理攻撃を受けましたが…滅ぼされるには到りませんでした…怒ってはおられた様ですが…まあ…割とあっさりしておられますし…感情的な様で冷静な方ですからね…リナさんは…」
 「…ではどうしたのだ?」
 肩を竦めて言うゼロスの様子に、眉を寄せ更に問い掛ける…
 「…いえ…実はそれが…大変な事が…」
 ゼロスは冷や汗を垂らしながら…重々しく…声を顰めて語り始める…

 ―ゼロスは…一部始終を話す…『その夜に起こった事』を…
 …多大なダメージを受ける事覚悟の上で…
 …主にもダメージが及ぶであろう事も承知の上で…
 …それでも話さねばならないと…思うが故に…
 …其程に『コト』が重要であると解るが故に…

                                  ―続く―

 

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29042虚無の欠片外伝5RIN 2004/1/17 20:09:14
記事番号28983へのコメント



 虚無の欠片 ―外伝―


 ―ゼフィール王宮・本殿・内宮・最奥にその『門』はある…
 …『それ』はゼフィーリアの『至高』の『女王』『永遠の女王(エターナル・クイーン)』の『在る』という『宮殿』…ゼフィーリアでも『ある一族』の『ある特別な姉妹』にしか入る事が出来ないという…『黄金宮殿』へと到る為の…其処へと続く『ある回廊』へと続く大扉の手前に何故か在る『門』(…この『門』より先にはその『姉妹』以外は入れないと言われている…)の前に一人の女性がやって来るのを見て門番達(間違って誰かが入り込まない様に常時複数人いる)は一瞬訝しげに眉を寄せ、すぐにそれが『誰』なのか気付き、改めて身を正し礼を取る。
 
 …年齢は二十代前半位だろう…赤い華美でなく…しかし要所要所に小さく『赤の竜神』を表すだろうシンボルのあしらわれた…シンプルで所々にスリットが入っていて動き易さを重視して作られているだろうドレスを纏った、肩までの短い黒髪に…目元の所まで伸ばされた前髪で普段は見えないが…鋭く意志に溢れた紅い瞳を彼女は持っていた…

 「…こっ!これは!テミス様!一体!?」
 普段忙しいと言ってあまり『王城』にいない『王女』が、更に珍しくも…『王女』としての『正装』を纏って姿を現した事に古くからこの『門』の『門番』を勤める壮年の男性は驚きの声を上げる。
 「『女王(クイーン)』にお目通りする為に来たの!通るわよ!」
 苛烈な炎の様なその気に呑まれ門番達が何も言えず立ち尽くすその横を『王女』はすたすたと通り過ぎた…

 「…あの…あの方は…確か…」
 まだ年若い『門番』の一人が…おずおずとした様子で…口を開く…
 「…ああ…そう言えばお前は新前だったな…『あの方』にお会いするのは初めてか?」
 壮年の門番がそう彼に問い掛ける…
 「…イエ…僕も『一族』の端くれです、何度かは…それに…僕はあの店の常連ですし…魔道士協会では『彼女』とも同期でしたから…尤も…『彼女』はすぐに上に行ってしまったのですけれど…ハハ…」
 …自嘲の笑みを浮かべた後に…
 「…ただ…あの様な『あの方』は…」
 …息を吐いて言う…
 「…成る程差詰め『王女』としての『正装』をされた『あの方』を初めて見た…と言うところか…」
 「…はい…それで少し驚いてしまって…」
 「…そうか…だがな…『あのお姿』も『あの方』だ…そして『我々』の『王女』として『赤き秩序と月の王女』としてあられる時には…我々は決して気安く『あの方』の御名を呼ぶ事は許されないのだと言う事を覚えておく様に。…そしてこれは先程お前が口にした…『彼の妹御』にも言える事だ…『王城』特にこの『門』の前ではな…」

 …その言葉は酷く重々しかった…


 ―『女王』と『王女』の語らい―
  
 
 …その彼女が玉座の前で重々しく口を開いた…
 「…今日はお願いがあって参りました…」
 …悲痛な声で…
 「…尤も貴女様には既にお解りでしょうが…」
 …そう言うと僅かに俯いていた顔を上げ…
 「…あの子を…あの子をどうか…もう自由にしてあげて下さい…真実(ほんとう)の意味で…」
 「…あたしはあの子を自由にさせているわよ」
 凛として冷涼たる…まるで妙なる楽の音の様な高く澄んだ美しいこの世のモノとは思えない声が、天蓋から幾重にも下りる薄い幕の向こうにある、玉座からした…
 「…ですがっ!では何故あの様なっ!」
 彼女は玉座に在る『至高』の『女王』に声を荒げる…
 …彼女にしてみれば…これは珍しい…
 「…フフ…テミス…貴女は本当にあの子が絡むといつもの冷静さを失うのね…可愛いわね…フフ…でも…『あれ』はあたしでは無いのよ」
 楽しそうに笑みを浮かべて『女王』は告げる。
 「え?それはどういう……?」
 彼女はその瞳を見開き、キョトンとした様子で問い掛けかける…
 「…くす…でも勿論…あたしも承知のことよ…でもね…『誰』が『何故』『あれ』を下したのかは…内緒よ…教える訳にはいかないわ…」
 『女王』は楽しそうに微笑みながら彼女の言葉を遮って言う…
 「…それほど心配することは無いわよ…『あれ』はむしろ『あの子』を思っての事よ…強いて言うならばね…」
 くすくすと『女王』は微笑みながらそう続けた…

                                  ―終わり―


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