◆−剣狼伝〜魔人輪舞曲〜 最終章 1−棒太郎 (2003/12/8 23:33:15) No.28547
 ┣おさすがです、ダルフィン様。−エモーション (2003/12/9 21:50:19) No.28569
 ┃┗面目躍如−棒太郎 (2003/12/10 09:45:05) No.28575
 ┣剣狼伝〜魔人輪舞曲〜 最終章 2−棒太郎 (2003/12/10 12:19:37) No.28577
 ┃┗ジョ○フィーヌさんとタメはるかもしれませんね……(汗)−エモーション (2003/12/10 21:36:37) No.28592
 ┃ ┗知性を持った野獣、ってな感じですかね−棒太郎 (2003/12/11 22:28:27) No.28611
 ┣剣狼伝〜魔人輪舞曲〜 最終章 3−棒太郎 (2003/12/16 19:04:25) No.28656
 ┗剣狼伝〜魔人輪舞曲〜 最終章 4−棒太郎 (2003/12/16 20:14:37) No.28658
  ┣お疲れさまでした−エモーション (2003/12/16 22:51:54) No.28664
  ┃┗ありがとうございます−棒太郎 (2003/12/17 21:02:14) No.28672
  ┗完結おめでとうございます。−猫楽者 (2003/12/17 19:08:54) No.28670
   ┗ありがとうございます−棒太郎 (2003/12/17 21:26:13) No.28673


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28547剣狼伝〜魔人輪舞曲〜 最終章 1棒太郎 2003/12/8 23:33:15


こんばんは、棒太郎です。
長かったこの話もいよいよラストに入りました。
それでは、どうぞ。


*************************************

『剣狼伝〜魔人輪舞曲〜』 最終章 

  「悪魔を憐れむ歌」


「うぐ・・・・う・・・・・」
ロペティによって塞がれた唇の隙間から、コタロウの苦悶の声が漏れている。
その様子を見ながら、ロペティは嬉しそうに笑い、更に口付けを深くしていった。
そしてまた、リナの首を絞める”オルラックの手袋”もその力を増した。
「ぐ・・・う・・・・・」
しかし、苦悶の声を漏らしながらも渾身の力を振り絞って、コタロウはゆっくりと両手を挙げていった。
それがロペティの顔の位置まで来た時、裂帛の気合を込めて、突き出した人差し指をロペティの両耳の中へと一気に突き立てた。
「っ!?」
流石のロペティもこの攻撃に意表を衝かれた。
指はその根元まで突き入れられていた。
思わずロペティの唇が離れた。
その瞬間、最後の力を全身に振り絞り、コタロウは懐に潜り込み、まるで竜巻のように自分の体も一緒にロペティを脳天から背負い投げた。
ゴキャリッ!と鈍い音が響き、ロペティの体は地面に倒れ臥した。
「っ、ぷはぁっ!」
リナが大きく息を吸い込んだ。
リナの首を絞めていた”オルラックの手袋”も、ポトリと地面に落ちた。
「リナの・・・ねえ・・ちゃん・・・・・大丈夫・・・・?」
「まあ・・・・なんとかね・・・・・コタロウは?」
「こっちも・・・なんとか・・・・だけど・・・・・あの一撃で・・・限界だよ・・・・・・」
お互い何とか笑みを交す。
だが、
「うふ、ふふふ、うふふふふふふ―――」
突如、笑い声が響いた。
「!?」
「うふふ、いいわ・・・・・本当に・・・・・・本当に・・・・・・愉しいわ・・・・・」
呟くような、虚ろな声がしたかと思うと、ロペティがゆっくりと身を起こしていた。
その首は異様な角度に曲がり、髪も半ば乱れ、幽鬼を思わせるようだった。
体をギクシャクとさせながら、ゾンビのようにコタロウたちに向かって歩き出した。
「ウふ・・・・うフフふ・・・・・・・」


「レンマ殿、これにて終局です。」
リュウゼンは刃を返し、キリウに向かって言った。
「ぐ・・・」と呻き声を揚げるキリウに、リュウゼンは静かに見据え、刃を上げた。
「リュウゼン!待って!」
そのとき、二人の間にミヤリが割って入った。
「ミヤリ・・・・言ったはずだ。お前の父であろうが関係ない、とな。」
「それは・・・・・わかってる・・・・・・」
「ならば、どけ!!ミヤリッ!!」
リュウゼンの凄まじい怒号に、ミヤリは一瞬身を竦ませる。
しかし、彼女はその場を動かなかった。
「ミヤリ――――」
「わかってる・・・・・わかってるわ・・・・リュウゼン・・・・・・だから、父様を斬るなら私ごと斬って!!」
「なに―――」
流石のリュウゼンも一瞬絶句した。
「それが・・・・私の・・・貴方の運命を狂わせたことへの・・・・償い・・・・・・・」
「おい!馬鹿なことはやめろ!!」
デッドエンドと切り結んでいたガウリイが声を上げる。
「他人の心配をしている暇があるのか?」
「くっ!」
駆けつけようとするガウリイを阻むように、デッドエンドが襲い掛かった。
「・・・・・・・どけ、ミヤリ・・・・・これは私が望んで選んだ道だ。」
リュウゼンは呟くように言った。
しかし、ミヤリは首を横に振った。

「おやおや、これは面白いことになっておりますな。」

そう声がしたかと思うと、キリウの傍らにジゴマが立っていた。
「おぬし・・・・・・・・」
リュウゼンは、ジゴマを静かに睨みつけた。
「想い出をも躊躇い無くお斬りになるお方。相当只者じゃないとは思っておりましたが。しかし、契約でございましてね。ここで止めをいれさせるわけにはいきませんな。」
そう言うや、櫃から無数の手が姿を現し、キリウを櫃の中へ連れ込んだ。
リュウゼンの体が疾風の如く動き、シュッと銀光が閃いたが、いつの間にかジゴマの姿は消えていた。

「デッドエンド、あとの采配はまかせた。」

空から声が振ってきた。
ジゴマの言葉を聞き、デッドエンドはニィッと笑った。
「さて、では遊びはここまでにしようかい。」
そう言うと、手刀の形にした手がそれぞれ一本の剣となった。
そして両手が、鞭のようにしなやかに動いたと思うと、その太刀風がガウリイたちに向かって襲い掛かった。
「なにっ!?」
周りの木や地面に次々と斬撃の痕が刻まれる。
「ふふふ、太刀風を見えざる刃と化す”風魔”。切れ味は保障するぞ。」
あれならば、間合いの外からでも攻撃が可能であろう。
ガウリイとリュウゼンも剣を構える。
その背後にミヤリを庇っている。
「おぬしに構っている暇はない。」
「ならば、その腕に聞かせてみることだな。」
不可視の火花が激しく飛び散った。



「さて、いよいよクライマックスかね。」
ジゴマが愉しそうに呟いた。
「飛び入りやらなんやらで、ここまで舞台が盛り上がるとはねぇ。いや結構、結構――――」
そのとき、鈍い衝撃が胸に走った。
見ると、白い、陶磁器のような美しい手が胸から生えていた。
その先には赤く脈打つ心臓が握られていた。

「どうやらこれは本物のようね。」

綺麗な音色を奏でる楽器のような声が響いた。
ジゴマが首を後ろに向けると、櫃から蒼い髪をたなびかせ、ダルフィンが姿を現していた。
「ダルフィン様・・・・・・・抜け出てこられようとは・・・・・」
「虎穴に入らずんば、虎児を得ず―――だったかしら?まあ、危ない賭けでしたけど。」
ダルフィンがジゴマの背後に立った。彼女の片手は相変わらずジゴマの胸から生えたままだった。
「・・・・・・・いい夢を見させてもらったわ・・・・・・・・以前の私ならずっとあそこにいたでしょうが・・・・・・・・・魔族は成長がないと思い込んだのが敗因よ。」
グッと心臓を握る手が力を込めた。
「700年前、私が人間界を流離い、何を得たか・・・・・・・・思い知りなさい――――タイダルウェイブッ!!」
凄まじい水の牙がジゴマに襲い掛かった。
「ぬ・・おおおおおおっ!」
まるで渦潮や津波の如く、すべてを呑み込み砕かんとする。
「さあ、閉幕(カーテン・フォール)よ。」
その言葉とともに、巨大な水の力がジゴマの体を凄まじい勢いで破砕した。
”水”が去った後には、ズタズタになったジゴマの覆面だけが残っていた。
ダルフィンはそれを拾い上げたが、一瞥すると放り投げた。
覆面は細かな塵となって消滅した。


「マ、マスターッ!?」
今まさにぶつかり合わんとしていたとき、デッドエンドが信じられぬという声を上げた。
そのままガクガクと体が痙攣したように震えたかと思うと、ただの人形となり地面に倒れた。

「―――!?」
ゆっくりとリナとコタロウに近づいていたロペティが急に足を止めた。
驚愕に目を見開いたまま、崩れ落ちていった。
警戒しながらゆっくりとロペティに近づいて確かめてみると、もはやただの壊れた人形と化していた。



*************************************

さて、ついにジゴマも退場と相成りました。
それに伴い、人形たちも退場です。
さんざん舞台を荒らしてくれました、この人は。
それではまた次回。

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28569おさすがです、ダルフィン様。エモーション E-mail 2003/12/9 21:50:19
記事番号28547へのコメント

棒太郎様、こんばんは。

いよいよ、終局ですね。
ジゴマさんの意外な退場に驚きましたが、同時に、「『銀英伝』の
ヨブ・トリューニヒトと同じで、このような形以外では、けして退場しない、
いえ、できないキャラだったのでは?」とも思いました。
何にせよ、ダルフィン様……さすがです。

>しかし、苦悶の声を漏らしながらも渾身の力を振り絞って、コタロウはゆっくりと両手を挙げていった。
>それがロペティの顔の位置まで来た時、裂帛の気合を込めて、突き出した人差し指をロペティの両耳の中へと一気に突き立てた。
>「っ!?」
>流石のロペティもこの攻撃に意表を衝かれた。
>指はその根元まで突き入れられていた。
>思わずロペティの唇が離れた。
>その瞬間、最後の力を全身に振り絞り、コタロウは懐に潜り込み、まるで竜巻のように自分の体も一緒にロペティを脳天から背負い投げた。
>ゴキャリッ!と鈍い音が響き、ロペティの体は地面に倒れ臥した。

コタロウくん……必死の反撃ですね。
これが失敗したら、すべてが終わり、と言う気分だったのでしょうから、
渾身の力をこめていたでしょうし。
この攻撃には、さすがのロペティさんも反応しきれなかったのですね。

>「うふふ、いいわ・・・・・本当に・・・・・・本当に・・・・・・愉しいわ・・・・・」
>呟くような、虚ろな声がしたかと思うと、ロペティがゆっくりと身を起こしていた。
>その首は異様な角度に曲がり、髪も半ば乱れ、幽鬼を思わせるようだった。
>体をギクシャクとさせながら、ゾンビのようにコタロウたちに向かって歩き出した。

こ、これは……(汗)ビジュアル的に無茶苦茶怖いですね(滝汗)

>「わかってる・・・・・わかってるわ・・・・リュウゼン・・・・・・だから、父様を斬るなら私ごと斬って!!」
>「なに―――」
>流石のリュウゼンも一瞬絶句した。
>「それが・・・・私の・・・貴方の運命を狂わせたことへの・・・・償い・・・・・・・」

ミヤリさん……。もしかして、彼女はキリウさんがいてもいなくても、関係なく、
最初からこうするつもりだったのでしょうか。

>「・・・・・・・どけ、ミヤリ・・・・・これは私が望んで選んだ道だ。」
>リュウゼンは呟くように言った。
>しかし、ミヤリは首を横に振った。

互いに互いのことを思っているだけに、これは……辛いですね。

>そう言うや、櫃から無数の手が姿を現し、キリウを櫃の中へ連れ込んだ。
>リュウゼンの体が疾風の如く動き、シュッと銀光が閃いたが、いつの間にかジゴマの姿は消えていた。

契約ですか……。そしてキリウさんは、いったいどこへ連れて行かれたのでしょうか。

>「ふふふ、太刀風を見えざる刃と化す”風魔”。切れ味は保障するぞ。」
>あれならば、間合いの外からでも攻撃が可能であろう。
>ガウリイとリュウゼンも剣を構える。
>その背後にミヤリを庇っている。
>「おぬしに構っている暇はない。」
>「ならば、その腕に聞かせてみることだな。」
>不可視の火花が激しく飛び散った。

さすがにこの状況では、タッグ(?)を組みますね。ガウリイとリュウゼンさん。
そしてデッドエンドさんの剣技……。本当に相手をするのが大変です。これは……。

>そのとき、鈍い衝撃が胸に走った。
>見ると、白い、陶磁器のような美しい手が胸から生えていた。
>その先には赤く脈打つ心臓が握られていた。
>
>「どうやらこれは本物のようね。」
>
>綺麗な音色を奏でる楽器のような声が響いた。
>ジゴマが首を後ろに向けると、櫃から蒼い髪をたなびかせ、ダルフィンが姿を現していた。

復活のダルフィン様……。さすがと言いますか……。抜け出ると同時に隙をついて
攻撃したのですね。

>「・・・・・・・いい夢を見させてもらったわ・・・・・・・・以前の私ならずっとあそこにいたでしょうが・・・・・・・・・魔族は成長がないと思い込んだのが敗因よ。」

いい夢……。「夢・幻〜」のラストのようなものでしょうか。
……すみません、一瞬、「ある愛の光景」のような夢かも、とも思ってしまいました(汗)
……ジゴマさんと一緒に、滅ぼされてきます……(汗)

>「700年前、私が人間界を流離い、何を得たか・・・・・・・・思い知りなさい――――タイダルウェイブッ!!」
>凄まじい水の牙がジゴマに襲い掛かった。
>「ぬ・・おおおおおおっ!」
>まるで渦潮や津波の如く、すべてを呑み込み砕かんとする。
>「さあ、閉幕(カーテン・フォール)よ。」

デイルさんと出会い、ダルフィン様が得たもの……。時に弱点にもなるけれど、
自分を何よりも強くしてくれる、大切な大切な想い。
すべての出来事を、舞台の劇としてしか、見ていないジゴマさんには、
到底理解できないものかもしれませんね。

>「マ、マスターッ!?」
>今まさにぶつかり合わんとしていたとき、デッドエンドが信じられぬという声を上げた。
>そのままガクガクと体が痙攣したように震えたかと思うと、ただの人形となり地面に倒れた。
>
>「―――!?」
>ゆっくりとリナとコタロウに近づいていたロペティが急に足を止めた。
>驚愕に目を見開いたまま、崩れ落ちていった。
>警戒しながらゆっくりとロペティに近づいて確かめてみると、もはやただの壊れた人形と化していた。

ジゴマさんが倒され、ただの人形になった、デッドエンドさんとロペティさん。
強敵なだけにほっとする反面、どこか残念な気もしますね。

>さて、ついにジゴマも退場と相成りました。
>それに伴い、人形たちも退場です。
>さんざん舞台を荒らしてくれました、この人は。
>それではまた次回。

ジゴマさん。本当に正体不明なままで、でも何故か、またひょっこりと、
どこからか出てきそうな気もします。
……できれば、関わりあいにはなりたくない方ですが。
さて、本当にあとはラストへ向けて一直線! というところですね。
リカステさんや神殿のこと、そして皇国の方に釘刺し(笑)と、
リュウゼンさんとミヤリさんのこと。
どのような展開になるのか、続きを楽しみにしています。
それでは、今日はこの辺で失礼いたします。

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28575面目躍如棒太郎 2003/12/10 09:45:05
記事番号28569へのコメント


>棒太郎様、こんばんは。
>
>いよいよ、終局ですね。
>ジゴマさんの意外な退場に驚きましたが、同時に、「『銀英伝』の
>ヨブ・トリューニヒトと同じで、このような形以外では、けして退場しない、
>いえ、できないキャラだったのでは?」とも思いました。
>何にせよ、ダルフィン様……さすがです。

こんにちは、エモーションさん。
確かにジゴマは退場が難しいキャラでした。
こういう形でないとできませんね、ほんと。
でも止めを刺すならダルフィンで、とも思っていたので。



>>その瞬間、最後の力を全身に振り絞り、コタロウは懐に潜り込み、まるで竜巻のように自分の体も一緒にロペティを脳天から背負い投げた。
>>ゴキャリッ!と鈍い音が響き、ロペティの体は地面に倒れ臥した。
>
>コタロウくん……必死の反撃ですね。
>これが失敗したら、すべてが終わり、と言う気分だったのでしょうから、
>渾身の力をこめていたでしょうし。
>この攻撃には、さすがのロペティさんも反応しきれなかったのですね。

本当に全身全霊をこめた最後の反撃ですね。
これをしくじってしまえば、もう反撃する力も気力もないですから。

>>「うふふ、いいわ・・・・・本当に・・・・・・本当に・・・・・・愉しいわ・・・・・」
>>呟くような、虚ろな声がしたかと思うと、ロペティがゆっくりと身を起こしていた。
>>その首は異様な角度に曲がり、髪も半ば乱れ、幽鬼を思わせるようだった。
>>体をギクシャクとさせながら、ゾンビのようにコタロウたちに向かって歩き出した。
>
>こ、これは……(汗)ビジュアル的に無茶苦茶怖いですね(滝汗)

わたしは結構ビジュアルから文を起こしますので。雰囲気的には、ホラー映画です。

>>「わかってる・・・・・わかってるわ・・・・リュウゼン・・・・・・だから、父様を斬るなら私ごと斬って!!」
>>「なに―――」
>>流石のリュウゼンも一瞬絶句した。
>>「それが・・・・私の・・・貴方の運命を狂わせたことへの・・・・償い・・・・・・・」
>
>ミヤリさん……。もしかして、彼女はキリウさんがいてもいなくても、関係なく、
>最初からこうするつもりだったのでしょうか。

はい。彼女はリュウゼンに斬られるためにこの旅にでたようなものです。

>>「・・・・・・・どけ、ミヤリ・・・・・これは私が望んで選んだ道だ。」
>>リュウゼンは呟くように言った。
>>しかし、ミヤリは首を横に振った。
>
>互いに互いのことを思っているだけに、これは……辛いですね。

すれ違いですね。お互いの想いが想いなだけに、辛いものです。

>>そう言うや、櫃から無数の手が姿を現し、キリウを櫃の中へ連れ込んだ。
>>リュウゼンの体が疾風の如く動き、シュッと銀光が閃いたが、いつの間にかジゴマの姿は消えていた。
>
>契約ですか……。そしてキリウさんは、いったいどこへ連れて行かれたのでしょうか。

一応はキリウに力を貸していますから。それなりの体裁を整えようと。

>>「おぬしに構っている暇はない。」
>>「ならば、その腕に聞かせてみることだな。」
>>不可視の火花が激しく飛び散った。
>
>さすがにこの状況では、タッグ(?)を組みますね。ガウリイとリュウゼンさん。
>そしてデッドエンドさんの剣技……。本当に相手をするのが大変です。これは……。

そこらへんは一流の剣士ですから。瞬時に状況を判断する洞察力が鋭いんですね。

>>そのとき、鈍い衝撃が胸に走った。
>>見ると、白い、陶磁器のような美しい手が胸から生えていた。
>>その先には赤く脈打つ心臓が握られていた。
>>
>>「どうやらこれは本物のようね。」
>>
>>綺麗な音色を奏でる楽器のような声が響いた。
>>ジゴマが首を後ろに向けると、櫃から蒼い髪をたなびかせ、ダルフィンが姿を現していた。
>
>復活のダルフィン様……。さすがと言いますか……。抜け出ると同時に隙をついて
>攻撃したのですね。

相手の懐に飛び込んで、そこを崩す。半分自分からジゴマの技にかかっていったんです。そうでないとジゴマは一筋縄ではいきませんからね。

>>「・・・・・・・いい夢を見させてもらったわ・・・・・・・・以前の私ならずっとあそこにいたでしょうが・・・・・・・・・魔族は成長がないと思い込んだのが敗因よ。」
>
>いい夢……。「夢・幻〜」のラストのようなものでしょうか。
>……すみません、一瞬、「ある愛の光景」のような夢かも、とも思ってしまいました(汗)
>……ジゴマさんと一緒に、滅ぼされてきます……(汗)

まあ、700年前の続きみたいなものですね。毒が癒え、あそこで二人で慎ましく暮らしている―――といった感じの。
でも『ある愛の光景』でも面白いかも知れませんね(笑)

>>「700年前、私が人間界を流離い、何を得たか・・・・・・・・思い知りなさい――――タイダルウェイブッ!!」
>>凄まじい水の牙がジゴマに襲い掛かった。
>>「ぬ・・おおおおおおっ!」
>>まるで渦潮や津波の如く、すべてを呑み込み砕かんとする。
>>「さあ、閉幕(カーテン・フォール)よ。」
>
>デイルさんと出会い、ダルフィン様が得たもの……。時に弱点にもなるけれど、
>自分を何よりも強くしてくれる、大切な大切な想い。
>すべての出来事を、舞台の劇としてしか、見ていないジゴマさんには、
>到底理解できないものかもしれませんね。

時として、そうした想いは何倍もの力を与えてくれますからね。
ジゴマの場合、「そんなしちめんどくさいもの、持ち合わせちゃおりません。」とか言うでしょう。

>>「マ、マスターッ!?」
>>今まさにぶつかり合わんとしていたとき、デッドエンドが信じられぬという声を上げた。
>>そのままガクガクと体が痙攣したように震えたかと思うと、ただの人形となり地面に倒れた。
>>
>>「―――!?」
>>ゆっくりとリナとコタロウに近づいていたロペティが急に足を止めた。
>>驚愕に目を見開いたまま、崩れ落ちていった。
>>警戒しながらゆっくりとロペティに近づいて確かめてみると、もはやただの壊れた人形と化していた。
>
>ジゴマさんが倒され、ただの人形になった、デッドエンドさんとロペティさん。
>強敵なだけにほっとする反面、どこか残念な気もしますね。

完全に決着はついてないですからね。
まだまだ暴れてくれたでしょうが。

>>さて、ついにジゴマも退場と相成りました。
>>それに伴い、人形たちも退場です。
>>さんざん舞台を荒らしてくれました、この人は。
>>それではまた次回。
>
>ジゴマさん。本当に正体不明なままで、でも何故か、またひょっこりと、
>どこからか出てきそうな気もします。
>……できれば、関わりあいにはなりたくない方ですが。
>さて、本当にあとはラストへ向けて一直線! というところですね。
>リカステさんや神殿のこと、そして皇国の方に釘刺し(笑)と、
>リュウゼンさんとミヤリさんのこと。
>どのような展開になるのか、続きを楽しみにしています。
>それでは、今日はこの辺で失礼いたします。

ジゴマ・・・・・・またひょっこり出てくるでしょうね。
結構愉しいキャラだったので。
ナイアルラトホテップといい、ジゴマといい、なんか飄々として善悪別として愉しげな感じのキャラを書くのは楽しいですね。
わたしの願望がそこにあらわれているのかも知れない・・・・・・
もう、ラストが近づいてきましたね。
最終コーナーを曲がって、ゴールまでの直線に来たって感じです。
それでは。

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28577剣狼伝〜魔人輪舞曲〜 最終章 2棒太郎 2003/12/10 12:19:37
記事番号28547へのコメント

こんにちは、棒太郎です。
いよいよゴールまで直線ラストスパートに入りました。
話が一気に加速するかもしれませんが、よろしくお願いします。
それでは続きどうぞ。


*************************************

『剣狼伝〜魔人輪舞曲〜』 最終章 2


ジゴマがキリウをいずこかへと連れ去り、姿を消した後。
「父様は・・・・・どこへ・・・・?」
「・・・・・・場所はわかっている・・・・・・逃がさん・・・・・」
低く呟くと、カタナを納め、リュウゼンは疾風の如く駆け出した。
「リュウゼン!」
ミヤリが叫ぶ。
そのとき、ガウリイがミヤリを背負いあげた。
「ちょいと揺れるが、しっかり捕まってろよ。」
そう言い、ガウリイもリュウゼンのあとを追い、走り出した。


「ヴェルディオス、こっちよ。」
カトレアが城の裏手へと案内する。
二人が茂みに身を隠しながら、様子を覗おうとした時、
「あっ!?ヴェルさん!」
その声に振り向くと、そこにリナとコタロウがいた。
「お嬢さん!ガウリイさんとミヤリさんは?」
「それが―――」
ジゴマによって分断させられたことを話した。
「そうですか・・・・・」
「まあ、ガウリイのことだし、大丈夫でしょうけど―――」
そう言い、チラリとカトレアのほうを見る。
「ヴェルさんも隅に置けないわねぇ。何時の間に、この、この。」
「いや、これはその――――」
「そ、そんなことしてる場合じゃないでしょ?」
カトレアが頬を染めながら、二人に向かって諭す。
「そ、そうですよ、お嬢さん。リカステがここに捕まってるんです。どうにかして潜り込まないと・・・・・」
「なんならいいのがあるわよ。」
そう言って、懐から長煙管を取り出した。
「それは・・・・・・」
見覚えのある煙管に、ヴェルディオスは驚いた。
「なんか、これだけはちゃんと使えそうなのよ。」
煙管を咥え、大きく息を吸い込んで、紫煙をゆっくりと吐き出した。
すると紫煙はたちまち大きく広がり、城の周りを包んでいった。
見張りに立っていた兵士達は次々と倒れていった。
「これでしばらくは身動きできないわ。」
「身を持って体験済みだから、効果は保障するよ。」
コタロウが苦笑しながら言葉を継いだ。
「ほんといいの手に入れちゃった♪」


「くっ!キリウの奴め。どこに行きおった。」
城の一室でアングレカムが一人憤っていた。
「これでは、わしの計画も頓挫してしまう。」
「ふふふ・・・・そんなに不安ですかな・・・・・・」
そう声がしたかと思うと、致命傷ともいえる深手を負ったキリウがいた。
「キ、キリウ・・・・・・」
「別にこちらは・・・・貴方の・・思惑が・・・・・どうなろう・・・と・・関係・・・・・ないですが・・・・・ね・・・・・」
息を荒げながらも、ニヤリと笑う。
「な・・・・!?」
そのとき、
「そんなのどっちもぶっ潰してやるわよ!」
部屋の入り口に4人の男女が立っていた。
「く・・・・・」
それを認めるや、キリウは身を翻して別の部屋へと走っていった。
「待ちやがれっ!!」
それをヴェルディオスとカトレアが追っていった。
残ったリナたちは、アングレカムと向かい合っていった。
「お、お前達・・・・・何者だ!?」
「あたしはリナ=インバースよ。」
「イ、インバース!?まさか!?」
「そうよ。ベルベイン=インバースとファルネーゼ=グレス=インバースの孫娘よ。」
「お、おのれ!」
剣を取り出そうとしたアングレカムの腕を、コタロウが瞬時に捻り上げた。
「じいちゃんが言ったはずよね。『二度とくだらねぇ真似するんじゃねえ』って。」
「ヒィッ!」
アングレカムの脳裏に、あのときの恐怖が去来した。
たった一人でこの城の自分の部屋までやって来たあの鬼神のような男を。

『てめぇ、俺の女に変な真似してくれたな。ああ?』
背筋が凍りそうなドスの効いた声だった。
『いいか?ファルネーゼは二度とここにゃ戻らねえ。テメェのその腐った座を狙うなんてこともねぇんだよ。わかったら二度とくだらねぇ真似するんじゃねぇぞ。』
そう言って、『これが誓約書の代わりだ』と言って岩をも砕きそうな鉄拳を一発、顔面にお見舞いしたのだった。
この屈辱に、アングレカムは腕利きの暗殺者を何人も雇い、密かにベルベイン抹殺を目論んだ。
しかしある夜、ふと目が覚めると枕元に、彼が雇った暗殺者全員の首が並んでいた。
そして脇に地獄の悪魔を思わせるような笑みを浮かべたベルベインが立っていた。
『よお。なかなか面白いことしてくれたじゃねぇか。』
グイッとアングレカムの胸倉を掴み上げ、
『どうやら”話し合い”の誠意が足りなかったみてぇだな。』

そして翌朝―――
顔面をボコボコにされたアングレカムが、庭の花壇の一角に頭を出して埋められているのが発見された。
以来、ファルネーゼやベルベインに刺客が送り込まれることはなくなった。



「ヒッ!マ、待て―――」
「問答無用。」
そう言うや、リナはざっと腰を落として、
「脇を内へ締め・・・・・・・余分な力は抜いて・・・・・」
そして静かに構えながら、
「そして内角を抉りこむように・・・・・打つべし!!」
  
  ドキャッ!!!

見事なパンチが、アングレカムの顔面にヒットした。
そのまま、アングレカムは気を失って倒れた。
「じいちゃん直伝のパンチよ。ま、相手があたしだったってことに感謝してよ。」
じいちゃんだったら千倍の地獄を見せられて殺されてるわよ―――そう言って、ヴェルディオスたちの後を追った。



*************************************

最終章の2でしたが・・・・・・
今回は、ベルベインじーちゃんと皇国の因縁の内容がちらりと出てきました。
最初考えていたのが、余りにも酷すぎたので、結局アングレカムが受けた屈辱はこんな形になりました。
それにしても・・・・・じーちゃん強いなぁ(しみじみ)
それではまた次回。

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28592ジョ○フィーヌさんとタメはるかもしれませんね……(汗)エモーション E-mail 2003/12/10 21:36:37
記事番号28577へのコメント

棒太郎様、こんばんは。

今日も続きが♪ 
ベルベインじーちゃん……。本当に強いですね……(汗)
でも、このくらいの方じゃないと、このしつこすぎなアングレカムさんから、
ファルネーゼさんを守りきれなかったのだろうなと思うと、この2人の出会いも、
かなり運目的なものがありますね。
やはりこの2人の逸話は、アメリアが知ったら、大喜びで話を聞きに来そうです。


>「ヴェルディオス、こっちよ。」
>カトレアが城の裏手へと案内する。
>二人が茂みに身を隠しながら、様子を覗おうとした時、
>「あっ!?ヴェルさん!」
>その声に振り向くと、そこにリナとコタロウがいた。

リナとコタロウくんも、とりあえず目的地であるお城へ向かったのですね。

>「ヴェルさんも隅に置けないわねぇ。何時の間に、この、この。」
>「いや、これはその――――」

リナ、しっかりからかうことを忘れませんね(笑)
ヴェルディオスさんも、これは肯定しているようなものです(^.^)

>見覚えのある煙管に、ヴェルディオスは驚いた。
>「なんか、これだけはちゃんと使えそうなのよ。」
>煙管を咥え、大きく息を吸い込んで、紫煙をゆっくりと吐き出した。
>すると紫煙はたちまち大きく広がり、城の周りを包んでいった。
>見張りに立っていた兵士達は次々と倒れていった。
>「これでしばらくは身動きできないわ。」
>「身を持って体験済みだから、効果は保障するよ。」
>コタロウが苦笑しながら言葉を継いだ。
>「ほんといいの手に入れちゃった♪」

さすがリナ……。「転んでもタダで起きたら貧乏人」を実践してますね(汗)
ジゴマさんの人形達のアイテムは、物によっては、効果や使用者が特定されないのですね。

>「ふふふ・・・・そんなに不安ですかな・・・・・・」
>そう声がしたかと思うと、致命傷ともいえる深手を負ったキリウがいた。
>「キ、キリウ・・・・・・」
>「別にこちらは・・・・貴方の・・思惑が・・・・・どうなろう・・・と・・関係・・・・・ないですが・・・・・ね・・・・・」
>息を荒げながらも、ニヤリと笑う。

キリウさんはお城へ転送されていたのですか。
彼は最後の最後で、何かをする気なのでしょうか。

>『てめぇ、俺の女に変な真似してくれたな。ああ?』
>背筋が凍りそうなドスの効いた声だった。
>『いいか?ファルネーゼは二度とここにゃ戻らねえ。テメェのその腐った座を狙うなんてこともねぇんだよ。わかったら二度とくだらねぇ真似するんじゃねぇぞ。』

……最も問答無用で、誰にも文句の言えない理屈ですよね。
「俺の女にちょっかいだすな」って……。
反論できるのは、勝手に「俺の女」認定されて本人が否定しているときだけですし。

>しかしある夜、ふと目が覚めると枕元に、彼が雇った暗殺者全員の首が並んでいた。
>そして脇に地獄の悪魔を思わせるような笑みを浮かべたベルベインが立っていた。
>『よお。なかなか面白いことしてくれたじゃねぇか。』
>グイッとアングレカムの胸倉を掴み上げ、
>『どうやら”話し合い”の誠意が足りなかったみてぇだな。』

ほとんど心霊現象みたいです……ベルベインさん……(滝汗)
ジェフリーくんが絡んだときの、ジョセフィーヌさんと良い勝負のような
気がしてきました。

>そして翌朝―――
>顔面をボコボコにされたアングレカムが、庭の花壇の一角に頭を出して埋められているのが発見された。

……池に逆立ち状態で突っ込まれてるのもいいかも……。
……って、それは犬がミケ……じゃなくて「犬神家の一族」……。
それにしても……確か、当時よりパワーアップしているんですよね……
今のベルベインさんは……(汗)強いなあ……。

>見事なパンチが、アングレカムの顔面にヒットした。
>そのまま、アングレカムは気を失って倒れた。
>「じいちゃん直伝のパンチよ。ま、相手があたしだったってことに感謝してよ。」
>じいちゃんだったら千倍の地獄を見せられて殺されてるわよ―――そう言って、ヴェルディオスたちの後を追った。

リナのこの言葉が、家族が必死でベルベインさんを止めた理由なんでしょうーね……。
事情が事情とは言え、さすがに一国の王を殺したら、問題になるでしょうし、
ゼフィーリアもちょっと迷惑被るでしょうし……。

>最終章の2でしたが・・・・・・
>今回は、ベルベインじーちゃんと皇国の因縁の内容がちらりと出てきました。
>最初考えていたのが、余りにも酷すぎたので、結局アングレカムが受けた屈辱はこんな形になりました。
>それにしても・・・・・じーちゃん強いなぁ(しみじみ)
>それではまた次回。

本当に、今回は「ベルベインじーちゃん、強い!」の一言ですね。
最初に考えていたのって、一体どんなものだったのでしょう。
一瞬「13日の金曜日」風♪ 等と、死亡フラグしか立ってなさそうな映画ばかり、
連想してしまいました(汗)
次は、キリウさんと対決……とまではいかなくても、お話でしょうか。
リュウゼンさんやミヤリさんは、キリウさんと、どのような決着をつけるのでしょう。
できれば、みんな幸せになってほしいです。
それでは、続きを楽しみにしつつ、今日はこの辺で失礼いたします。

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28611知性を持った野獣、ってな感じですかね棒太郎 2003/12/11 22:28:27
記事番号28592へのコメント


>棒太郎様、こんばんは。
>
>今日も続きが♪ 
>ベルベインじーちゃん……。本当に強いですね……(汗)
>でも、このくらいの方じゃないと、このしつこすぎなアングレカムさんから、
>ファルネーゼさんを守りきれなかったのだろうなと思うと、この2人の出会いも、
>かなり運目的なものがありますね。
>やはりこの2人の逸話は、アメリアが知ったら、大喜びで話を聞きに来そうです。

こんばんは、エモーションさん。
じーちゃん、確かに強すぎです。
でも、刺客の手を止めさせようとするなら、やはりこのぐらいの押しの人物でないとできないですね。
この二人の逸話は、ヒロイックサーガ的ですが、ヒーローと言うにはベルベインはちょっと凶悪ですね。子供が泣きそうだ。


>>二人が茂みに身を隠しながら、様子を覗おうとした時、
>>「あっ!?ヴェルさん!」
>>その声に振り向くと、そこにリナとコタロウがいた。
>
>リナとコタロウくんも、とりあえず目的地であるお城へ向かったのですね。

ま、ガウリイならば、変なところに出てもそうそう、下手に迷わないと思ってそうしました。

>>「ヴェルさんも隅に置けないわねぇ。何時の間に、この、この。」
>>「いや、これはその――――」
>
>リナ、しっかりからかうことを忘れませんね(笑)
>ヴェルディオスさんも、これは肯定しているようなものです(^.^)

こういうことはいいネタですからね。
ここで否定したら隣の人が物凄い目で睨んでくるでしょう(笑)

>>「これでしばらくは身動きできないわ。」
>>「身を持って体験済みだから、効果は保障するよ。」
>>コタロウが苦笑しながら言葉を継いだ。
>>「ほんといいの手に入れちゃった♪」
>
>さすがリナ……。「転んでもタダで起きたら貧乏人」を実践してますね(汗)
>ジゴマさんの人形達のアイテムは、物によっては、効果や使用者が特定されないのですね。

ちょいと都合よすぎたかな、と思いましたが・・・・・・・
まあ、いいやということで。

>>「別にこちらは・・・・貴方の・・思惑が・・・・・どうなろう・・・と・・関係・・・・・ないですが・・・・・ね・・・・・」
>>息を荒げながらも、ニヤリと笑う。
>
>キリウさんはお城へ転送されていたのですか。
>彼は最後の最後で、何かをする気なのでしょうか。

まだ、そう簡単にはくたばらない気でいます。

>>『いいか?ファルネーゼは二度とここにゃ戻らねえ。テメェのその腐った座を狙うなんてこともねぇんだよ。わかったら二度とくだらねぇ真似するんじゃねぇぞ。』
>
>……最も問答無用で、誰にも文句の言えない理屈ですよね。
>「俺の女にちょっかいだすな」って……。
>反論できるのは、勝手に「俺の女」認定されて本人が否定しているときだけですし。

問答無用の物言いです。何か反論しようとしても凄まじいガンとばしで封殺します。
このとき、すでに結婚を済ませていますから。合法的に「俺の女」になってます。

>>しかしある夜、ふと目が覚めると枕元に、彼が雇った暗殺者全員の首が並んでいた。
>>そして脇に地獄の悪魔を思わせるような笑みを浮かべたベルベインが立っていた。
>>『よお。なかなか面白いことしてくれたじゃねぇか。』
>>グイッとアングレカムの胸倉を掴み上げ、
>>『どうやら”話し合い”の誠意が足りなかったみてぇだな。』
>
>ほとんど心霊現象みたいです……ベルベインさん……(滝汗)
>ジェフリーくんが絡んだときの、ジョセフィーヌさんと良い勝負のような
>気がしてきました。

ここらへん、ジゴマに通じそうなイヤンなユーモアです。

>>そして翌朝―――
>>顔面をボコボコにされたアングレカムが、庭の花壇の一角に頭を出して埋められているのが発見された。
>
>……池に逆立ち状態で突っ込まれてるのもいいかも……。
>……って、それは犬がミケ……じゃなくて「犬神家の一族」……。
>それにしても……確か、当時よりパワーアップしているんですよね……
>今のベルベインさんは……(汗)強いなあ……。

他にも、スッポンポンでバルコニーから吊るされてたりと、いろいろあったんですが。

>>「じいちゃん直伝のパンチよ。ま、相手があたしだったってことに感謝してよ。」
>>じいちゃんだったら千倍の地獄を見せられて殺されてるわよ―――そう言って、ヴェルディオスたちの後を追った。
>
>リナのこの言葉が、家族が必死でベルベインさんを止めた理由なんでしょうーね……。
>事情が事情とは言え、さすがに一国の王を殺したら、問題になるでしょうし、
>ゼフィーリアもちょっと迷惑被るでしょうし……。

じーちゃんが来たらまさに地獄絵図になってたでしょうね。
まあ、それだけファルネーゼにベタ惚れということです。


>>最終章の2でしたが・・・・・・
>>今回は、ベルベインじーちゃんと皇国の因縁の内容がちらりと出てきました。
>>最初考えていたのが、余りにも酷すぎたので、結局アングレカムが受けた屈辱はこんな形になりました。
>>それにしても・・・・・じーちゃん強いなぁ(しみじみ)
>>それではまた次回。
>
>本当に、今回は「ベルベインじーちゃん、強い!」の一言ですね。
>最初に考えていたのって、一体どんなものだったのでしょう。
>一瞬「13日の金曜日」風♪ 等と、死亡フラグしか立ってなさそうな映画ばかり、
>連想してしまいました(汗)
>次は、キリウさんと対決……とまではいかなくても、お話でしょうか。
>リュウゼンさんやミヤリさんは、キリウさんと、どのような決着をつけるのでしょう。
>できれば、みんな幸せになってほしいです。
>それでは、続きを楽しみにしつつ、今日はこの辺で失礼いたします。

最初に考えていたのはもう、ほとんどリンチ状態でした。(一言言うたびに一発殴ったり等)
あとはもうキリウだけですね。
ただ、ガウリイとリュウゼンの仕合がまだ預かりになってますので・・・・・
それでは。

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28656剣狼伝〜魔人輪舞曲〜 最終章 3棒太郎 2003/12/16 19:04:25
記事番号28547へのコメント

こんばんは、棒太郎です。
長かったこの話もいよいよ大詰めです。
それではどうぞ。


*************************************

『剣狼伝〜魔人輪舞曲〜』 最終章 3


静まり返った部屋の中。
中央に置かれた台の上に拘束されているリカステは、手足の枷をどうにかしようともぞもぞと動いていた。
先程から、表のほうが何やら騒がしくなっている。
(もしかしておにいさまたちが・・・・・)
そう思うと、無駄とは分かっていてもなんとか戒めを解こうとしていた。
そのとき部屋の扉が開き、誰かが中に入ってきた。
「!?」(誰!?)
淡い期待とともに、目を向ける。
しかしそこにいたのは、彼女の思っていた人物とは違っていた。
「ふ・・・ふふ・・・・・・・・」
よろめく体を支えつつ、リカステの側にやってきたのはキリウであった。
リュウゼンに負わされた傷のためか、顔色も蒼くなっていた。
「もはや・・・・・この肉体も・・・・終わる・・・・・」
そう呟くと、リカステに目を向けてニヤリと笑った。
「しばしの仮宿として、その生命エネルギーと肉体、貰い受けるぞ。」
キリウの手がリカステの喉を掴んだ。
体の内から何かが吸い出されるような、耐えられない感覚が襲ってきた。
「い、いやぁぁぁぁっ!!」
リカステの叫び声が部屋の中に響いた。
そのとき―――
「待ちやがれっ!!」
怒号とともに、剛拳が唸りをあげて襲い掛かった。
「くっ!」
キリウはなんとかそれをかわし、反対側の壁に体をもたれさせるように立った。
「リカステにゃ、指一本触れさせねぇぞ!」
ボキリ、と拳を鳴らして、ヴェルディオスが立っていた。
リカステの傍らには、カトレアがやって来た。
「おにいさま!おねえさま!」
リカステの歓喜の声があがる。
「く・・くく・・・・できるか・・・・?」
「へ・・・・・剣がないとなにもできない案山子と思ってるのか?」
そう言い、拳を握り締め2,3度軽くシャドーを行った。
「剣と徒手空拳、どっちも仕込まれてるんでな。」
武術はもともと戦場で生まれたものである。
徒手空拳技は、剣が折れ、矢が尽きてもなお敵に立ち向かうためのものである。
故に、両方を修得してはじめての「術」といえよう。
「ふ・・ふふふ・・・・」
それでもキリウはなお不敵な笑みを浮かべていた。
ザッと間合いを詰め、ヴェルディオスがその剛拳を振るおうとしたとき、
「ヴェルさん!ダメっ!!」
リナの叫び声が響いた。
「っ!?」
突然、ヴェルディオスの体がよろめいた。
その顔には、殴られたような痕があった。
「く・・・・・さすがに・・・いまの状態では・・・・・力が劣るか・・・・・」
ヴェルディオスたちは息を呑んだ。
キリウの瞳は金色に輝いていた。
「あんた・・・・・ミヤリさんと同じ・・・・・・」
リナが絶句する。
「お嬢さん・・・・・何です、あれは?」
「・・・・・あの眼光を浴びた者は、あいつに向けた敵意、殺意のある攻撃がみな、自分に返るそうよ・・・・・・」
「なんと・・・・・!?」
「ふふ・・・・・もう遅い・・・・・・お前達はもはやこの眼光を浴びた・・・・まな板の上の・・・・鯉よ・・・・・・・」
リナは唇を噛んだ。
あの瞳に有効な手立てが思い浮かばない。
「お前達の・・・・・生命エネルギーを・・・・・取り込めば・・・・・・・このような傷など・・・・・・」

「いえ、これですべて終わりです。」

「っ!?」
そう声がしたとき、突然キリウの胸から白刃が生えた。
「なっ!?」
それは、壁の向こう側から突き出されていた。
「秘剣 鎧通し」
ズッと刃が壁の向こうへと引っ込み、キリウは前へ倒れた。
床に倒れ臥したその体は、そのまま動くことは無かった。
そして、部屋の扉からリュウゼンが姿を現した。
構えるヴェルディオスたちに目もくれず、キリウのところまで行き、静かに見下ろしていた。
「終わったのか・・・・・?」
「ガウリイ!」
少し遅れて、ガウリイとミヤリがやって来た。
ミヤリはすべてを感じたらしく、複雑な表情で沈黙していた。
「・・・・・・・さて・・・・・」
やがてリュウゼンが振り返った。
「ガウリイ=ガブリエフ。預けていた仕合、果たすとしようか。」
「なっ!?」
リナたちが驚きの声を上げた。
ただ、ミヤリだけは静かに黙ったままだった。
「どうしてもやるのか・・・・・・?」
ガウリイが静かに声をかける。
「どうした?この場の全員を斬らねば、その気にはなれぬか?」
リュウゼンが薄く笑った。
「てめえっ!!」
「やめておけ、ヴェルディオス。今の状態のお前など1分とたたず斬れる。」
そう笑う、リュウゼンの前にガウリイが歩み出た。
「ガウリイッ!」
「リナ・・・・・すまんな。あいつの相手だけは俺がしなきゃならん。」
「なんでよ!そんな―――」
「あいつは・・・・・もうひとりの俺だからさ。」
そう言い、腰の剣を抜いた。
その瞬間から、空気が張り詰めた。
リナたちも声一つあげず、ただ黙って見ているほか無かった。
やがてリュウゼンの剣がゆっくりと上がっていった。

 祇園精舎の鐘の声  諸行無常の響きあり

あの呟きが聞こえてきた。
(こ、これは・・・・・!?)
ヴェルディオスは瞬時に直感した。
リュウゼンのこの剣の恐ろしさを。
だがそのとき、ガウリイの剣は逆に下りていった。
そしてダラリと地面に向かって下げられた。
構えなどでもない、ただそこに立っているだけの状態だった。
「っ!?」
そのとき、リュウゼンの剣が一瞬止まった。
リュウゼンの心の目にはガウリイの気配が見えなくなった。
ガウリイという個が消え、何もない状態、まるで曇りのない鏡のように澄み切ったものがあるだけだった。
その瞬間、まさに明鏡止水、無の境地といえるものだった。
それは本当に刹那のことであった。
(いまだっ!!)
ガウリイの直感がそう叫んだ時には、すでにガウリイの体は動いていた。
ガウリイの剣が、袈裟斬りにリュウゼンの体に吸い込まれた。
遅れてリュウゼンの剣もガウリイの体に向けられたが、それは肩を浅く斬ったのみだった。
「・・・・・・・・お見事。」
呟くようにそう言うと、リュウゼンはゆっくりと前へ倒れた。
ガウリイもガクリと膝を突いた。
体中にはびっしりと汗が浮かび、大きく肩で息をしていた。
(はぁ、はぁ・・・・・・もう一度やれったって・・・・・・できないな・・・・)
ガウリイにしても、どの瞬間を、どのように打ったかなど覚えていない。
あのとき、心のはからいをなにもかも捨て去り、自分の体――これまでともに鍛え上げてきた己自身の思うようにさせたのであった。
どちらが勝ってもおかしくはなかった―――ガウリイはそう思った。
今回はたまたま自分が勝っただけである。そこに倒れているのが自分であってもおかしくはなかった。
「ガウリイッ!」
リナが駆け寄ってきた。
「・・・・・・・・」
ミヤリも静かに側に来た。
「すまんな・・・・・・」
一言そう言った。
その言葉に、ミヤリは小さく首を振った。
「いいえ・・・・・・・修羅に与えてあげられる安息は・・・・”死”しか・・ありません・・・・・」
静かにそう言った。



窓の外の木々の枝の上から、ダルフィンは静かに部屋の光景を見ていた。
その視線の先にはミヤリの姿があった。
そして右手が見やりに向かって上げられた。
(あの技術は・・・・・・ひとつも世に残してはならない・・・・・・)
彼が命を賭して成そうとした思いを、汚すようなものはすべて抹消する。
ダルフィンの手に力が収束していく。
だが、力は放たれなかった。
やがて、ダルフィンは手を下げると背を向けた。
「今日は・・・・・・感傷的になりすぎてるようね・・・・・・・」
そう言うと、フッと姿を消した。



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28658剣狼伝〜魔人輪舞曲〜 最終章 4棒太郎 2003/12/16 20:14:37
記事番号28547へのコメント



「終わったか・・・・・・」
リカステの拘束を解き、ヴェルディオスが呟いた。
重い息を一つつく。
リナから聞いたミヤリとリュウゼンの過去のためであった。
ちらりとミヤリに目をやる。
リュウゼンの傍にじっと座っていた。
「ミヤリさん・・・・・・」
リナが声をかける。
「リナさん・・・・・すいません・・・・・でも大丈―――っ!?」
そのとき、振り向いたミヤリの口から突然鮮血が零れた。
「ぐ・・・あ・・・・・・ぐぅ・・・・」
その背中には一本の腕が突き刺さっていた。
「ちか・・・・ら・・・・・い・・・の・・ち・・・・・の・・・・・・」
それはキリウであった。
もはや死人同然の虚ろな瞳を向け、起き上がろうとしていた。
理性は感じられなかった。
本能が生命エネルギーを求めたのだろう。
「と、父様・・・・・・・」
ミヤリはまた鮮血を吐き、倒れた。
「くそっ!!」
ガウリイやヴェルディオスが駆け寄る。
「お・・ぐお・・・おおぉぉぉぉぉ!!」
キリウが吠える。
そして、ミヤリと駆け寄ったリナに襲い掛かろうとした。
「父様っ!!」
ミヤリの叫びとともに、金色の光が閃いた。
グアッ、と声を上げ、キリウの体から大きく鮮血が舞った。
まだ夜ではない。だが確かに、ミヤリの瞳は開いた。
だが、キリウはまだ倒れなかった。
「でやぁっ!!」
ガウリイの剣が、キリウに届こうとした瞬間、
ズブッと白刃が生えた。
「!?」
キリウの背後に、リュウゼンが立っていた。
刃を逆立て、キリウの体に突き刺していた。
そしてゆっくりと上へ切り上げていき、肩まで切り抜けた。
「ぐぁあっ!!」
断末魔の叫びを上げ、キリウは倒れた。
そしてリュウゼンの体も後ろへ倒れた。
その瞳に生気は無かった。いや、あの仕合ですでに事切れていたはずだった。
「ミヤリさん!」
悲痛な声があがった。
カトレアが治癒魔法をかけようとする。
だが、ミヤリの手がそれを制した。
「ありがとうございます・・・・・・でも・・・いいんです・・・・・・・もう、私の生命・・・・・・の火は・・・ほとんど・・尽きています・・・・・・・」
絶え絶えの声でそう言った。
「何を言ってるのよ!」
「これで・・・・これで・・・いいんです・・・・・・・・・・」
「ねえちゃん!」
コタロウが必死で声をあげる。
「ごめん・・ね・・・・・・コタロウ・・・・・・・こんな・・・・・こと・・に・・・付きあわせ・・・・・ちゃって・・・・・・・・・」
「そんなこと・・・・・そんなことないよ・・・・・」
「心・・・正しい・・・・戦士に・・なってね・・・・・・・・」
ミヤリは静かに笑った。
そしてリュウゼンの方を向き、弱々しく手を伸ばした。
「リュウ・・・・ゼン・・・・・・・・・・わた・・し・・・は・・・・・・・」
そしてゆっくりと手は下りていった。




赤い夕暮れの空が広がっていた。
誰もいない一本道を静かに風が通り過ぎていった。
その道の傍らの木の下で、一人の少女が泣いていた。

 えーん  えーん

でも、いくら泣いても誰も来はしない。
分かっていることだった。
「ひっく、ひっく。」
木の下に座り込み、ただ泣くほかなかった。
だが―――

「なにをやってるんだ、ミヤリ。」

目の前に一人の少年が立っていた。
「リュウ・・・・ゼン・・・・・・」
半ば呆然としたようにミヤリは呟いた。
「まったく・・・・・・こんなところまで一人で来て迷子になってるなんて。」
呆れたようにそう言うと、ミヤリを背中に背負いあげた。
「さ、行くぞ。」
そして一本道を、その彼方へ向かって歩き出した。
だが、どこへ行くのかなどわからない。
「うん・・・・・・・」
けれども、彼の背に身を預けながら、ミヤリは小さく呟いた。
二つの影はひとつになりながら、一本道をどこまでもどこまでも歩いていった。








「それでは、老先生、おかみさん、会長、副会長、若先生、お嬢さん、お世話になりました。」
リナの家の前で、ヴェルディオスが頭を下げた。
その横には、カトレアとリカステが立っていた。
「ヴェルディオスさんも気をつけて。お元気でね。」
ファルネーゼが優しく言葉をかけた。
ヴェルディオスはカトレアたちと一から神殿を建て直すために、神殿に戻るのであった。
「へ、ようやくおやっさんから逃げられるな、ヴェルディオス。よかった、よかった。」
火のついてない煙草をくゆらせながら、リナの父、レンドールがそう言うと、その頭にベルベインの拳骨が振ってきた。
「ま、頑張れや。ヴェルディオス。お前は負けんよ。それだけのものを俺は授けたからな。」
「老先生・・・・・・・」
ベルベインの言葉に、ヴェルディオスの目に涙が溜まる。
「いつでも、来てくださいね。」
「次は子供の顔でも見せに来いや。」
「い!?え、ええ、そ、それは・・・・・」
ベルベインの言葉に、ヴェルディオスの顔が赤くなる。
カトレアにいたっては、お湯が沸かせそうなほどだった。
「ヴェルディオス、これ餞別よ。」
そう言って、リナの母、フィルアが袋包みを渡した。
中を見ると100枚は下らないだろう数の金貨であった。
「か、会長!?こ、このようなもの―――」
「いいからとっときなさい。退職金よ。それに新婚は何かと要りようだし。」
その言葉に、また二人は顔を赤くする。
「コタロウも行くの?」
リナが、面白そうにその光景を見ているコタロウに声をかけた。
「あ、うん。ヴェルディオスにいちゃんたちの手伝いにね。それが落ち着いたらそのまま廻国修行に出るよ。」
ニカッと笑みを浮かべた。
その背には、一振りの剣が背負われていた。
それはリュウゼンのカタナであった。
「にいちゃんとねえちゃんの墓、ありがとうございました。」
ルナたちに礼を言って頭を下げた。
リュウゼンとミヤリは荼毘にふされ、その遺骨はゼフィーリアの墓地に静かに眠っている。
里へは帰さず、どこかに静かに葬りたいというコタロウの願いだった。
「それじゃあ、皆さんお元気で。」
ヴェルディオスたちは旅立て行った。
その姿が見えなくなるまで、途中何度も振り返ってはヴェルディオスたちは大きく手を振るっていた。
晴れ渡った晴天の中、風が優しく流れていった。



















「――――――さてさて、これにて物語はお仕舞い、お仕舞い。」
男の操っていた人形たちがぺこりと一礼した。
「お嬢ちゃんには、ちと難しかったかな?」
黒子装束に身を包んだ人形遣いが、感嘆の目で人形を見ていた少女に言った。
「ううん、大丈夫だよ。でもおじちゃん、すご〜〜い。」
少女の素直な感想に、男もにこやかな笑みを浮かべる。
「ニーヤ!」
そのとき、少女の名を呼ぶ声が聞こえてきた。
振り返ると、優しげな雰囲気の男性と美しい蒼髪の女性がいた。女性のお腹は大きく膨らんでいた。
「あ、おとうさん!おかあさん!」
少女――ニーヤは嬉しそうに声を上げた。
「おや?お母さんのお腹の中には赤ちゃんがいなさるんだねぇ。」
「うん!春には弟か妹が出来るの!」
「そうかい。それじゃうんと可愛がってあげるんだよ。」
男に手を振ると、ニーヤは二人のほうへと走っていった。
「あら?」
女性が男を見て、声を上げた。
「どうしたんだい?ダルフィン。」
「いえ、あの男の人・・・・・どこかで見たような・・・・・」
しかし、思い出せないのか小首をかしげる。
「気のせいかしらね。」
そう言うと、駆け寄ってきたニーヤの手をとった。

 からくり からくり  浮世の糸は

 天下を舞わして ひと舞わす

そう声がし、ニーヤが後ろを振り返ったときには、男の姿はどこにもなかった。
















「さてさて、これにて物語はお仕舞いにございます。また、次なる機会にお会い致したく。それでは皆様、またいずれ」


*************************************

ようやく終わりました・・・・・・・
最初のガウリイとリュウゼンの対決の場面を思い浮かべて、そこから書き始めたのですが・・・・・・
きちんと話練ってから取り掛からないといけませんね。
途中で、ジゴマやらダルフィンやら出てくるから、余計に膨らむし。
でも、取り敢えずは終了。
ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございました。
それでは。

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28664お疲れさまでしたエモーション E-mail 2003/12/16 22:51:54
記事番号28658へのコメント

棒太郎様、こんばんは。

無事完結、おめでとうございます。そして、お疲れさまでした。
2話同時投稿ですね。
リュウゼンさん、ミヤリさんは残念でしたが、最後の最後まで互いを
思い合っていたのだと感じました。
そしてラストシーン……。
これは現実の出来事だったのか、それともあの場で人形師が見せていた
劇でしかなかったのか、そう思わせる演出が良いなあ、と思いました。


>「しばしの仮宿として、その生命エネルギーと肉体、貰い受けるぞ。」
>キリウの手がリカステの喉を掴んだ。
>体の内から何かが吸い出されるような、耐えられない感覚が襲ってきた。

生命エネルギーと肉体って……(汗)
キリウさんも、エランギスさんのような真似が、できるような技術を
持っていたのでしょうか。
それとも、藤崎版「封神演義」の妲己みたいに、身体をそのまま乗っ取るような
ものでしょうか。

>キリウはなんとかそれをかわし、反対側の壁に体をもたれさせるように立った。
>「リカステにゃ、指一本触れさせねぇぞ!」
>ボキリ、と拳を鳴らして、ヴェルディオスが立っていた。

間一髪、で助けに来たヴェルディオスさん。間に合って良かったです。

>武術はもともと戦場で生まれたものである。
>徒手空拳技は、剣が折れ、矢が尽きてもなお敵に立ち向かうためのものである。
>故に、両方を修得してはじめての「術」といえよう。

……ベルベインさん……。本当に思いっきり仕込んだのですね……。(汗)

>「お嬢さん・・・・・何です、あれは?」
>「・・・・・あの眼光を浴びた者は、あいつに向けた敵意、殺意のある攻撃がみな、自分に返るそうよ・・・・・・」
>「なんと・・・・・!?」
>「ふふ・・・・・もう遅い・・・・・・お前達はもはやこの眼光を浴びた・・・・まな板の上の・・・・鯉よ・・・・・・・」
>リナは唇を噛んだ。
>あの瞳に有効な手立てが思い浮かばない。

普段より力が劣るとはいえ、これは本当に厄介ですよね。
……ふと、リカバリィをかけたら、どうなるかなと思いました。
あれ、重傷者に使うのは命取りのハズ……。

>そう声がしたとき、突然キリウの胸から白刃が生えた。
>「なっ!?」
>それは、壁の向こう側から突き出されていた。
>「秘剣 鎧通し」
>ズッと刃が壁の向こうへと引っ込み、キリウは前へ倒れた。
>床に倒れ臥したその体は、そのまま動くことは無かった。

さすがに、ケガのせいか、背後にまで気が回らなかったのでしょうね。
それにしても、ほんとに凄い腕です、リュウゼンさん。

>やがてリュウゼンが振り返った。
>「ガウリイ=ガブリエフ。預けていた仕合、果たすとしようか。」
>「なっ!?」
>リナたちが驚きの声を上げた。
>ただ、ミヤリだけは静かに黙ったままだった。

……切り替え早っ! それは……驚きますよね、誰でも。

>「リナ・・・・・すまんな。あいつの相手だけは俺がしなきゃならん。」
>「なんでよ!そんな―――」
>「あいつは・・・・・もうひとりの俺だからさ。」

ガウリイも覚悟を決めたのですね。こうなると……止められませんよね(汗)

> 祇園精舎の鐘の声  諸行無常の響きあり
>
>あの呟きが聞こえてきた。
>(こ、これは・・・・・!?)
>ヴェルディオスは瞬時に直感した。
>リュウゼンのこの剣の恐ろしさを。

さすがに剣士であるヴェルディオスさんには、嫌と言うほどこの剣が
どんなものか、分かってしまうのですね。

>そのとき、リュウゼンの剣が一瞬止まった。
>リュウゼンの心の目にはガウリイの気配が見えなくなった。
>ガウリイという個が消え、何もない状態、まるで曇りのない鏡のように澄み切ったものがあるだけだった。
>その瞬間、まさに明鏡止水、無の境地といえるものだった。

リュウゼンさんのこの奥義の剣と、同等な感じですね。
ガウリイ……無茶苦茶レベルアップしてますね……。

>ガウリイの直感がそう叫んだ時には、すでにガウリイの体は動いていた。
>ガウリイの剣が、袈裟斬りにリュウゼンの体に吸い込まれた。
>遅れてリュウゼンの剣もガウリイの体に向けられたが、それは肩を浅く斬ったのみだった。
>「・・・・・・・・お見事。」
>呟くようにそう言うと、リュウゼンはゆっくりと前へ倒れた。
>ガウリイもガクリと膝を突いた。
>体中にはびっしりと汗が浮かび、大きく肩で息をしていた。
>(はぁ、はぁ・・・・・・もう一度やれったって・・・・・・できないな・・・・)
>ガウリイにしても、どの瞬間を、どのように打ったかなど覚えていない。
>あのとき、心のはからいをなにもかも捨て去り、自分の体――これまでともに鍛え上げてきた己自身の思うようにさせたのであった。
>どちらが勝ってもおかしくはなかった―――ガウリイはそう思った。

……本当に……凄い剣です。まさに心技体、全てを鍛えて集中して、それでも
一生に一、二度出来れば上出来、というものでしょうか。
ガウリイは、リュウゼンさんとの戦いは、本当に実力以上の力を出す勢いで
あたったのですね。

>「いいえ・・・・・・・修羅に与えてあげられる安息は・・・・”死”しか・・ありません・・・・・」
>静かにそう言った。

リナは胸が潰れる思いでしたでしょうね。そしてミヤリさんも。
リュウゼンさんが修羅の道に入ったとき、いつかはこんな日が来るのだろうと、
覚悟していたのでしょうけれど、それでも、辛いですね。

>(あの技術は・・・・・・ひとつも世に残してはならない・・・・・・)
>彼が命を賭して成そうとした思いを、汚すようなものはすべて抹消する。
>ダルフィンの手に力が収束していく。
>だが、力は放たれなかった。

ダルフィン様……。普段なら、力を放っていたのでしょう。
でも、〃いい夢〃でデイルさんと再会した後では……例えあの技術を持っていても、
同時に技術の被害者でもあるミヤリさんを、消すことは出来なかったのですね。

>「ちか・・・・ら・・・・・い・・・の・・ち・・・・・の・・・・・・」
>それはキリウであった。
>もはや死人同然の虚ろな瞳を向け、起き上がろうとしていた。
>理性は感じられなかった。
>本能が生命エネルギーを求めたのだろう。

キリウさん……(滝汗)理性のあった時なら、それでも実の娘に手をかけてるのは、
多少躊躇したかもしれないでしょうに……。本当に、本能だけなんですね……。

>キリウの背後に、リュウゼンが立っていた。
>刃を逆立て、キリウの体に突き刺していた。
>そしてゆっくりと上へ切り上げていき、肩まで切り抜けた。
>「ぐぁあっ!!」
>断末魔の叫びを上げ、キリウは倒れた。
>そしてリュウゼンの体も後ろへ倒れた。
>その瞳に生気は無かった。いや、あの仕合ですでに事切れていたはずだった。

リュウゼンさん……。何て言いますか……とにかくミヤリさんを刺したキリウさんが
許せなかったのでしょうか。

>「リュウ・・・・ゼン・・・・・・」
>半ば呆然としたようにミヤリは呟いた。
>「まったく・・・・・・こんなところまで一人で来て迷子になってるなんて。」
>呆れたようにそう言うと、ミヤリを背中に背負いあげた。
>「さ、行くぞ。」
>そして一本道を、その彼方へ向かって歩き出した。
>だが、どこへ行くのかなどわからない。
>「うん・・・・・・・」
>けれども、彼の背に身を預けながら、ミヤリは小さく呟いた。
>二つの影はひとつになりながら、一本道をどこまでもどこまでも歩いていった。

ミヤリさんが見ていた夢……。ミヤリさんとリュウゼンさんは、やっと一緒に
いられるようになったのですね……。
悲しいけれど、でも二人はやっと、安息を得たのでしょうか。

>ヴェルディオスはカトレアたちと一から神殿を建て直すために、神殿に戻るのであった。

ヴェルディオスさんもまた、旅立つのですね。いろいろ困難もあるでしょうけれど、
カトレアさんとリカステさんたちと、切り抜けていってほしいです。

>「ま、頑張れや。ヴェルディオス。お前は負けんよ。それだけのものを俺は授けたからな。」
>「老先生・・・・・・・」
>ベルベインの言葉に、ヴェルディオスの目に涙が溜まる。
>「いつでも、来てくださいね。」
>「次は子供の顔でも見せに来いや。」
>「い!?え、ええ、そ、それは・・・・・」
>ベルベインの言葉に、ヴェルディオスの顔が赤くなる。
>カトレアにいたっては、お湯が沸かせそうなほどだった。

これはもう、言われますよね。ベルベインさんにとって、ヴェルディオスさんは、
本当に可愛い弟子だったのでしょうから。

>「か、会長!?こ、このようなもの―――」
>「いいからとっときなさい。退職金よ。それに新婚は何かと要りようだし。」
>その言葉に、また二人は顔を赤くする。

……もしかして、これもある意味、寿退社……? 何にせよ、お幸せに。

>「あ、うん。ヴェルディオスにいちゃんたちの手伝いにね。それが落ち着いたらそのまま廻国修行に出るよ。」
>ニカッと笑みを浮かべた。
>その背には、一振りの剣が背負われていた。
>それはリュウゼンのカタナであった。

コタロウくんも形見の刀とともに、悲しみを乗り越えていくのですね。
いつかまた、リナ達と再会出来る日が来ると良いですね。

>リュウゼンとミヤリは荼毘にふされ、その遺骨はゼフィーリアの墓地に静かに眠っている。
>里へは帰さず、どこかに静かに葬りたいというコタロウの願いだった。

コタロウくん……。里とは関係のない場所で、二人をそっと眠らせてあげたかったのですね。

>「――――――さてさて、これにて物語はお仕舞い、お仕舞い。」
>男の操っていた人形たちがぺこりと一礼した。
>「お嬢ちゃんには、ちと難しかったかな?」
>黒子装束に身を包んだ人形遣いが、感嘆の目で人形を見ていた少女に言った。

……やはり出た、と言う感じですね(^_^;) ジゴマさん……。
この方は本当に、いつどこにでてきてもおかしくないな、と思っていましたが、
人形劇をみているのがニーヤちゃん、というのには驚きました。

>振り返ると、優しげな雰囲気の男性と美しい蒼髪の女性がいた。女性のお腹は大きく膨らんでいた。
>「あ、おとうさん!おかあさん!」
>少女――ニーヤは嬉しそうに声を上げた。
>「おや?お母さんのお腹の中には赤ちゃんがいなさるんだねぇ。」
>「うん!春には弟か妹が出来るの!」

ダルフィン様……本当に、お幸せそうで……(ほろり)
何となく、この家族は「幸せ」の象徴のように思えます。

>「さてさて、これにて物語はお仕舞いにございます。また、次なる機会にお会い致したく。それでは皆様、またいずれ」

……ジゴマさん……。どこまでもどこまでも……不思議な方です。

>ようやく終わりました・・・・・・・
>最初のガウリイとリュウゼンの対決の場面を思い浮かべて、そこから書き始めたのですが・・・・・・
>きちんと話練ってから取り掛からないといけませんね。
>途中で、ジゴマやらダルフィンやら出てくるから、余計に膨らむし。
>でも、取り敢えずは終了。
>ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございました。
>それでは。

再び、お疲れさまでした。
本当に、最後は不思議な余韻を残していますね。上手いなあと思います。
こういう形は好きなのですが、どうも私には、なかなか出来ない手法なので。
また、トリックスターなジゴマさんが、とても良かったなと。関わると
厄介でしょうけれど(苦笑)

本当に、楽しませていただきました。
また、次ぎの作品を読ませていただけるのを、楽しみにしています。
それでは、2話分纏めて、なこともあり、長くなってしまいましたので、
この辺で失礼いたします。

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28672ありがとうございます棒太郎 2003/12/17 21:02:14
記事番号28664へのコメント


>棒太郎様、こんばんは。
>
>無事完結、おめでとうございます。そして、お疲れさまでした。
>2話同時投稿ですね。
>リュウゼンさん、ミヤリさんは残念でしたが、最後の最後まで互いを
>思い合っていたのだと感じました。
>そしてラストシーン……。
>これは現実の出来事だったのか、それともあの場で人形師が見せていた
>劇でしかなかったのか、そう思わせる演出が良いなあ、と思いました。

こんばんは、エモーションさん。
最後までお付き合いくださいまして、どうもありがとうございました。
リュウゼンは、書きはじめた時から剣に生き、剣に死すというキャラで行こうときめてましたので、ラストもああいった風になりました。
ミヤリに関しても、あのラストシーンが最初からありましたので。
そして最後のジゴマのシーン。
『夢、幻〜』のときもそうでしたが、ああいう演出は好きなので、今回もそうしました。

>>「しばしの仮宿として、その生命エネルギーと肉体、貰い受けるぞ。」
>>キリウの手がリカステの喉を掴んだ。
>>体の内から何かが吸い出されるような、耐えられない感覚が襲ってきた。
>
>生命エネルギーと肉体って……(汗)
>キリウさんも、エランギスさんのような真似が、できるような技術を
>持っていたのでしょうか。
>それとも、藤崎版「封神演義」の妲己みたいに、身体をそのまま乗っ取るような
>ものでしょうか。

両方ですね。
生命エネルギーを自分のエネルギーと出来ますし、ギディアスのときのように別の器に意識をインストールできます。

>>ボキリ、と拳を鳴らして、ヴェルディオスが立っていた。
>
>間一髪、で助けに来たヴェルディオスさん。間に合って良かったです。

精神が肉体を凌駕してる状態になってますので、体の疲労も関係なくなってます。

>>武術はもともと戦場で生まれたものである。
>>徒手空拳技は、剣が折れ、矢が尽きてもなお敵に立ち向かうためのものである。
>>故に、両方を修得してはじめての「術」といえよう。
>
>……ベルベインさん……。本当に思いっきり仕込んだのですね……。(汗)

はい、思いっきり仕込んでます。

>>「ふふ・・・・・もう遅い・・・・・・お前達はもはやこの眼光を浴びた・・・・まな板の上の・・・・鯉よ・・・・・・・」
>>リナは唇を噛んだ。
>>あの瞳に有効な手立てが思い浮かばない。
>
>普段より力が劣るとはいえ、これは本当に厄介ですよね。
>……ふと、リカバリィをかけたら、どうなるかなと思いました。
>あれ、重傷者に使うのは命取りのハズ……。

それは思いつきませませんでしたね。どうなるかな?

>>「秘剣 鎧通し」
>>ズッと刃が壁の向こうへと引っ込み、キリウは前へ倒れた。
>>床に倒れ臥したその体は、そのまま動くことは無かった。
>
>さすがに、ケガのせいか、背後にまで気が回らなかったのでしょうね。
>それにしても、ほんとに凄い腕です、リュウゼンさん。

怪我のせいもありますし、リュウゼンが気配を断っていたのもあります。

>>やがてリュウゼンが振り返った。
>>「ガウリイ=ガブリエフ。預けていた仕合、果たすとしようか。」
>>「なっ!?」
>>リナたちが驚きの声を上げた。
>>ただ、ミヤリだけは静かに黙ったままだった。
>
>……切り替え早っ! それは……驚きますよね、誰でも。

彼の中の修羅が戦いを求めたんですね。
仇とは別に、強者とは遣り合ってしまうんです。

>>「リナ・・・・・すまんな。あいつの相手だけは俺がしなきゃならん。」
>>「なんでよ!そんな―――」
>>「あいつは・・・・・もうひとりの俺だからさ。」
>
>ガウリイも覚悟を決めたのですね。こうなると……止められませんよね(汗)

もはや誰も口を挟めません。

>>(こ、これは・・・・・!?)
>>ヴェルディオスは瞬時に直感した。
>>リュウゼンのこの剣の恐ろしさを。
>
>さすがに剣士であるヴェルディオスさんには、嫌と言うほどこの剣が
>どんなものか、分かってしまうのですね。

ヴェルディオスも剣士として一流ですからね。
すぐさま察知しました。

>>ガウリイという個が消え、何もない状態、まるで曇りのない鏡のように澄み切ったものがあるだけだった。
>>その瞬間、まさに明鏡止水、無の境地といえるものだった。
>
>リュウゼンさんのこの奥義の剣と、同等な感じですね。
>ガウリイ……無茶苦茶レベルアップしてますね……。

形は違えど、その本質は同じものですので。
まだ極めたわけではないですが。

>>体中にはびっしりと汗が浮かび、大きく肩で息をしていた。
>>(はぁ、はぁ・・・・・・もう一度やれったって・・・・・・できないな・・・・)
>>ガウリイにしても、どの瞬間を、どのように打ったかなど覚えていない。
>>あのとき、心のはからいをなにもかも捨て去り、自分の体――これまでともに鍛え上げてきた己自身の思うようにさせたのであった。
>>どちらが勝ってもおかしくはなかった―――ガウリイはそう思った。
>
>……本当に……凄い剣です。まさに心技体、全てを鍛えて集中して、それでも
>一生に一、二度出来れば上出来、というものでしょうか。
>ガウリイは、リュウゼンさんとの戦いは、本当に実力以上の力を出す勢いで
>あたったのですね。

今のガウリイでもそうそう出せないものです。
いわゆる達人の域にまで行かないと無理です。

>>「いいえ・・・・・・・修羅に与えてあげられる安息は・・・・”死”しか・・ありません・・・・・」
>>静かにそう言った。
>
>リナは胸が潰れる思いでしたでしょうね。そしてミヤリさんも。
>リュウゼンさんが修羅の道に入ったとき、いつかはこんな日が来るのだろうと、
>覚悟していたのでしょうけれど、それでも、辛いですね。

覚悟はしていたけど、それでも心は辛い思いがあるでしょう。
頭では分かっていても・・・・・ってやつです。

>>ダルフィンの手に力が収束していく。
>>だが、力は放たれなかった。
>
>ダルフィン様……。普段なら、力を放っていたのでしょう。
>でも、〃いい夢〃でデイルさんと再会した後では……例えあの技術を持っていても、
>同時に技術の被害者でもあるミヤリさんを、消すことは出来なかったのですね。

リュウゼンとミヤリの姿に、あのときのことが重なったので、結局は力を放ちませんでした。

>>理性は感じられなかった。
>>本能が生命エネルギーを求めたのだろう。
>
>キリウさん……(滝汗)理性のあった時なら、それでも実の娘に手をかけてるのは、
>多少躊躇したかもしれないでしょうに……。本当に、本能だけなんですね……。

生存本能だけの状態ですね。

>>断末魔の叫びを上げ、キリウは倒れた。
>>そしてリュウゼンの体も後ろへ倒れた。
>>その瞳に生気は無かった。いや、あの仕合ですでに事切れていたはずだった。
>
>リュウゼンさん……。何て言いますか……とにかくミヤリさんを刺したキリウさんが
>許せなかったのでしょうか。

”ノスタルジア”でダルフィンや、リナに起こった人形の出来事のようなものですね。

>>そして一本道を、その彼方へ向かって歩き出した。
>>だが、どこへ行くのかなどわからない。
>>「うん・・・・・・・」
>>けれども、彼の背に身を預けながら、ミヤリは小さく呟いた。
>>二つの影はひとつになりながら、一本道をどこまでもどこまでも歩いていった。
>
>ミヤリさんが見ていた夢……。ミヤリさんとリュウゼンさんは、やっと一緒に
>いられるようになったのですね……。
>悲しいけれど、でも二人はやっと、安息を得たのでしょうか。

そうですね。
ようやく、安息を得られたのでしょうね。

>>ヴェルディオスはカトレアたちと一から神殿を建て直すために、神殿に戻るのであった。
>
>ヴェルディオスさんもまた、旅立つのですね。いろいろ困難もあるでしょうけれど、
>カトレアさんとリカステさんたちと、切り抜けていってほしいです。

彼もまた旅立って行きます。
けれど挫けることはないでしょう。

>>「ま、頑張れや。ヴェルディオス。お前は負けんよ。それだけのものを俺は授けたからな。」
>>「老先生・・・・・・・」
>>ベルベインの言葉に、ヴェルディオスの目に涙が溜まる。
>>「いつでも、来てくださいね。」
>>「次は子供の顔でも見せに来いや。」
>>「い!?え、ええ、そ、それは・・・・・」
>>ベルベインの言葉に、ヴェルディオスの顔が赤くなる。
>>カトレアにいたっては、お湯が沸かせそうなほどだった。
>
>これはもう、言われますよね。ベルベインさんにとって、ヴェルディオスさんは、
>本当に可愛い弟子だったのでしょうから。

長年に渡って教えてきた愛弟子ですから。
ヴェルディオスにとっても、いい師匠でした。

>>「か、会長!?こ、このようなもの―――」
>>「いいからとっときなさい。退職金よ。それに新婚は何かと要りようだし。」
>>その言葉に、また二人は顔を赤くする。
>
>……もしかして、これもある意味、寿退社……? 何にせよ、お幸せに。

そうですね。寿退社ですね、これは。

>>その背には、一振りの剣が背負われていた。
>>それはリュウゼンのカタナであった。
>
>コタロウくんも形見の刀とともに、悲しみを乗り越えていくのですね。
>いつかまた、リナ達と再会出来る日が来ると良いですね。

その後、コタロウは一流の武芸者として名を馳せるようになります。
またゼフィーリアに、二人の墓参りに訪れます。

>>リュウゼンとミヤリは荼毘にふされ、その遺骨はゼフィーリアの墓地に静かに眠っている。
>>里へは帰さず、どこかに静かに葬りたいというコタロウの願いだった。
>
>コタロウくん……。里とは関係のない場所で、二人をそっと眠らせてあげたかったのですね。

里もなにもかも関係なく、ただ静かに眠らせたいとの願いです。

>>「――――――さてさて、これにて物語はお仕舞い、お仕舞い。」
>>男の操っていた人形たちがぺこりと一礼した。
>>「お嬢ちゃんには、ちと難しかったかな?」
>>黒子装束に身を包んだ人形遣いが、感嘆の目で人形を見ていた少女に言った。
>
>……やはり出た、と言う感じですね(^_^;) ジゴマさん……。
>この方は本当に、いつどこにでてきてもおかしくないな、と思っていましたが、
>人形劇をみているのがニーヤちゃん、というのには驚きました。

やっぱり出ました、この男。
このラストは最初はニーヤは出てこなかったのですが、ダルフィンが出てきたことでこうなりました。

>>「おや?お母さんのお腹の中には赤ちゃんがいなさるんだねぇ。」
>>「うん!春には弟か妹が出来るの!」
>
>ダルフィン様……本当に、お幸せそうで……(ほろり)
>何となく、この家族は「幸せ」の象徴のように思えます。

このシーン、ダルフィン一家は出ては来なかったのですが、”ノスタルジア”のことがあまりにもだったので、お詫びの意味も兼ねて出演となりました。

>>「さてさて、これにて物語はお仕舞いにございます。また、次なる機会にお会い致したく。それでは皆様、またいずれ」
>
>……ジゴマさん……。どこまでもどこまでも……不思議な方です。

なんだかんだ言って、気に入ってるキャラです。はい。


>
>再び、お疲れさまでした。
>本当に、最後は不思議な余韻を残していますね。上手いなあと思います。
>こういう形は好きなのですが、どうも私には、なかなか出来ない手法なので。
>また、トリックスターなジゴマさんが、とても良かったなと。関わると
>厄介でしょうけれど(苦笑)
>
>本当に、楽しませていただきました。
>また、次ぎの作品を読ませていただけるのを、楽しみにしています。
>それでは、2話分纏めて、なこともあり、長くなってしまいましたので、
>この辺で失礼いたします。

こういう演出は好きなので、今回も用いました。
ジゴマを出した時に、こうしようと思いました。
ジゴマ、気に入っていただけてありがとうございます。
今回リナとガウリイだったので、次はゼルガディスとアメリアで行こうかなぁと思ってます。
上手く動かせるかわかりませんが・・・・・
それでは、どうもありがとうございました。

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28670完結おめでとうございます。猫楽者 E-mail 2003/12/17 19:08:54
記事番号28658へのコメント


こんばんは、棒太郎さん。
お久しぶりです。お元気ですか。猫楽者です。
『剣狼伝〜魔人輪舞曲〜』の完結おめでとうございます。
あまり感想の書き込みが出来ませんでした、ごめんなさい。

強敵が次々と登場して、どうなってしまうのだろう、と毎回ドキドキしながら読ませていただきました。

剣に生き、剣に倒れてしまったリュウゼンさん。
ミヤリさんを救う為に、こちら側に戻ってきてくれたのでしょうか。
ミヤリさんとリュウゼンさん、これからはずっと一緒に居られると良いですね。

リュウゼンさんの秘剣を、ギリギリの戦いでうち破ったガウリイさん。
>「あいつは・・・・・もうひとりの俺だからさ。」
リナさんと出会っていなかったら、そして、もしリナさんを失ってしまったら
ガウリイさんもリュウゼンさんのようになっていたかもしれないですね。
ガウリイさんは、剣士としてリュウゼンさんと戦いたいと思ったのでしょうか。

ヴェルディオスさんとカトレアさん、ベルベインさんの仰るとおりです。
今度リナさんたちと会うときには、ぜひ可愛いお子さんもご一緒に連れてきてあげてください。
カトレアさんに恋人さんはいらっしゃらないのでしょうか?
もしいらっしゃるとしたら、ヴェルディオスさんの反応が楽しみだったりします。

コタロウくんには辛い結末になってしまいましたね。
どうかコタロウくんが幸せになってくれますように。

ミリヤさんを倒すことをためらったダルフィンさま。
戦い倒れたリュウゼンさんと、残されたミリヤさんのお姿に
かってのデイルさんと御自分のことが、思い出されてしまったのでしょうか。

デイルさんとダルフィンさま、そしてニーヤちゃんのご家族。
生まれる赤ちゃんは双子で、リュウゼンさんとミリヤさんの生まれ変わり。
そうだと良いな、そう思ってしまいました。

この物語が本当にあったことか、ジゴマさんの操る人形劇だったのか。
どちらかわからない。
不思議な雰囲気を楽しませていただきました。

この物語で最大の謎の人物(?)ジゴマさん。
歴史と言いますか、この世界の移り変わりをずっと見ている。
そんな存在の方なのでしょうか。
そして、エランギスさんが叫びかけたお名前・・・・・・ドクター・メ●ィ●トさまのお師匠様のことを
思い出しました(汗)

お疲れさまでした。
戦闘シーン、緊迫した場面の連続。読ませていただいて、とても楽しかったです。
戦っている方々の動きと表情が頭に浮かぶような戦闘シーン。
自分には上手く書けないので、とても羨ましいです。
次のお話を読ませていただけるのを、とても楽しみにしております。

もうすぐクリスマス♪ そしてお正月♪ に冬休み♪ ですね。
すっかりと寒くなってまいりました、風邪も流行っているようですので
お体にお気を付けて、お元気で。
では、失礼します。

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28673ありがとうございます棒太郎 2003/12/17 21:26:13
記事番号28670へのコメント


>
>こんばんは、棒太郎さん。
>お久しぶりです。お元気ですか。猫楽者です。
>『剣狼伝〜魔人輪舞曲〜』の完結おめでとうございます。
>あまり感想の書き込みが出来ませんでした、ごめんなさい。

こんばんは、猫楽者さん。
そちらもお元気ですか?わたしはなんとか元気です。
感想、どうもありがとうございます。


>強敵が次々と登場して、どうなってしまうのだろう、と毎回ドキドキしながら読ませていただきました。

題に「魔人」と記してあるので、色々とキャラが登場しました。

>剣に生き、剣に倒れてしまったリュウゼンさん。
>ミヤリさんを救う為に、こちら側に戻ってきてくれたのでしょうか。
>ミヤリさんとリュウゼンさん、これからはずっと一緒に居られると良いですね。

ミヤリへの想いが、死した体を突き動かしたのでしょう。
リュウゼンというキャラは、剣に倒れるのが一番相応しいと思ったので、あのラストとなりました。

>リュウゼンさんの秘剣を、ギリギリの戦いでうち破ったガウリイさん。
>>「あいつは・・・・・もうひとりの俺だからさ。」
>リナさんと出会っていなかったら、そして、もしリナさんを失ってしまったら
>ガウリイさんもリュウゼンさんのようになっていたかもしれないですね。
>ガウリイさんは、剣士としてリュウゼンさんと戦いたいと思ったのでしょうか。

剣士として戦いたいとも思いましたし、それでしかもう彼は止まらないと思いましたので。
ガウリイとリュウゼン、合わせ鏡のようなものですね。

>ヴェルディオスさんとカトレアさん、ベルベインさんの仰るとおりです。
>今度リナさんたちと会うときには、ぜひ可愛いお子さんもご一緒に連れてきてあげてください。
>カトレアさんに恋人さんはいらっしゃらないのでしょうか?
>もしいらっしゃるとしたら、ヴェルディオスさんの反応が楽しみだったりします。

残念ながら、カトレアはヴェルディオス一筋ですので。
子供の顔を見せに来るのはそう遠くはないでしょう。

>コタロウくんには辛い結末になってしまいましたね。
>どうかコタロウくんが幸せになってくれますように。

辛い出来事ですが、コタロウの修行の一端にもなりました。
その後、彼はその名を知られる武芸者になります。

>ミリヤさんを倒すことをためらったダルフィンさま。
>戦い倒れたリュウゼンさんと、残されたミリヤさんのお姿に
>かってのデイルさんと御自分のことが、思い出されてしまったのでしょうか。

そうです。
彼女の心に、あのときの出来事が去来しましたので、ミヤリを滅消しませんでした。

>デイルさんとダルフィンさま、そしてニーヤちゃんのご家族。
>生まれる赤ちゃんは双子で、リュウゼンさんとミリヤさんの生まれ変わり。
>そうだと良いな、そう思ってしまいました。

生まれてくる赤ちゃん、最初はそうしようかなとも思ったんですが、それじゃ二人が結ばれないなと思って何も言いませんでした。
リュウゼンかミヤリかのどちらかで、大きくなってどこかで出会う、という感じに思ってます。

>この物語が本当にあったことか、ジゴマさんの操る人形劇だったのか。
>どちらかわからない。
>不思議な雰囲気を楽しませていただきました。

こういう演出、好きなもので。
『夢、幻〜』のときのように、今回もどっちだろうという感じにしました。

>この物語で最大の謎の人物(?)ジゴマさん。
>歴史と言いますか、この世界の移り変わりをずっと見ている。
>そんな存在の方なのでしょうか。
>そして、エランギスさんが叫びかけたお名前・・・・・・ドクター・メ●ィ●トさまのお師匠様のことを
>思い出しました(汗)

結局謎のままなジゴマです。
わたしもあんまりはっきりさせたくないという思いもあって、曖昧なままです。
でも、ファウストの名はわたしの作品の中では、ドクトルだけのものですので。

>お疲れさまでした。
>戦闘シーン、緊迫した場面の連続。読ませていただいて、とても楽しかったです。
>戦っている方々の動きと表情が頭に浮かぶような戦闘シーン。
>自分には上手く書けないので、とても羨ましいです。
>次のお話を読ませていただけるのを、とても楽しみにしております。

戦闘シーンが上手く描けているのなら良かったです。
アクション映画のように映像を思い浮べるのですが、それを文章に直すのがなかなか難しいです。
次の話は、ゼルガディスとアメリアを持ってこようかと思ってます。

>もうすぐクリスマス♪ そしてお正月♪ に冬休み♪ ですね。
>すっかりと寒くなってまいりました、風邪も流行っているようですので
>お体にお気を付けて、お元気で。
>では、失礼します。

早いもので、もうすぐ年末ですね。
でも、わたしの仕事、年末年始もありますんで・・・・・(泣)
普通に休みが欲しい・・・・・
それでは、どうもありがとうございました。

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