◆−新作開始−オロシ・ハイドラント (2003/5/7 14:06:10) No.25891
 ┣渇きの夜想曲:一部:吸血王ディルギア−オロシ・ハイドラント (2003/5/7 14:10:19) No.25892
 ┃┣死神の風に吹かれ−オロシ・ハイドラント (2003/5/7 14:17:40) No.25893
 ┃┣蒼き月は闇へといざなう−オロシ・ハイドラント (2003/5/8 17:30:08) No.25900
 ┃┣あるいは血の導きか−オロシ・ハイドラント (2003/5/9 17:09:30) No.25910
 ┃┣地上の月は雨に濡れる−オロシ・ハイドラント (2003/5/10 12:31:10) No.25921
 ┃┣Re:渇きの夜想曲:一部:吸血王ディルギア−オロシ・ハイドラント (2003/5/10 12:38:31) No.25922
 ┃┃┗タッ、タイトルが……−オロシ・ハイドラント (2003/5/10 12:39:35) No.25923
 ┃┗いざ悪夢よ終われ−オロシ・ハイドラント (2003/5/10 12:44:05) No.25925
 ┣ちなみに−オロシ・ハイドラント (2003/5/7 14:19:03) No.25894
 ┣今ひとたびの後書に誘われ−オロシ・ハイドラント (2003/5/10 12:45:55) No.25926
 ┣Re:新作開始−潮北 かずら (2003/5/11 00:17:44) No.25932
 ┃┗Re:なぜかいつの間にやら……−オロシ・ハイドラント (2003/5/12 18:39:09) No.25943
 ┣シリアスモード炸裂ですね−エモーション (2003/5/11 21:00:47) No.25938
 ┃┗Re:他にあるのか? シリアスディルルナ−オロシ・ハイドラント (2003/5/12 18:47:53) No.25944
 ┗続行決定。−オロシ・ハイドラント (2003/5/14 16:41:56) No.25958


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25891新作開始オロシ・ハイドラント URL2003/5/7 14:06:10


こんばんはラントです。
HP用長編もあるくせに新作を始めます。
一応、その中の第一部を書いてみます。
タイトルは吸血城ディルギアで、その名の通りの話。
好評ならば二部、三部といくかも知れません。

それでは開始です。

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25892渇きの夜想曲:一部:吸血王ディルギアオロシ・ハイドラント URL2003/5/7 14:10:19
記事番号25891へのコメント


 闇の刻限に魔は在った。
 沈黙に包まれ、恐ろしいほどの重圧を持つ。
「求むるものよ。……我が焔に焼かれるが良い」
 魔は言った。

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25893死神の風に吹かれオロシ・ハイドラント URL2003/5/7 14:17:40
記事番号25892へのコメント

 エイユウノツルギ
 ユリ科の一年草。
 原産地はゼフィーリア周辺。
 蒼白く美しい花を咲かせる。
 だが、血液と混ざると、自然治癒能力を逆流させ、死に至らしめる効果を持つ。
 別名シニガミソウ。

 そんな知識が鮮明に浮かび上がる。
 だがすでに何の意味も成しはしえない。
 全身を裂く草の音。
 疾風とともに冷たい痛みが身を焼いた。
 血が溢れ出し、さらにその傷は広がって、激痛の不協和音が全身を打つ。
(このままでは……)
 意思に反して体力は衰退の一途を辿る。
 押し寄せる絶望に抗い続けるのにも限界が見えて来た。
――助からない
 すでに恐ろしいほどに確信していた。
 トロルの血など役には立たない。
 さらに襲う衝撃によろめき、体勢が揺らぐ。
 不安定となった四足走行。
 暗い闇へと落ちていく。
 恐怖がいつまでも待ち構えていた。

 穏やかな風が身を揺らす。
 それでも冷気を強く孕んでいた。
 だが、震える体力さえもない。
「俺は……」
 うめき声、血の匂いを含んでいた。
 目蓋が激しく重い。
 痛覚も途切れようとしている。
「俺は……」
 だが魂を繋ぎ止めるのはその声。
 身体は必死でそれを塞ごうとする。
 だがそれでも諦めなかった。
「俺は……帰る」
 紡ぐと同時に睡魔に似た感情が降りる。
 それに耐えつつ両腕に力を入れ、
「……俺は……絶対に……帰る……からな……」
 そしてゆっくりと地を這った。
 歩むごとにその場は血溜まりと化した。
 闇がすべてを覆ったが、感覚までもごまかしは出来ない。
 自らの血の冷たさに、意識を呼び戻されて進み続ける。
 だがすぐに力尽きた。
 笑みが漏れる。
 限界を越えた肉体を讃え、精神を畏敬した笑み。
「……俺は死ぬのか」
 狂気じみてさえもいた。
 すでに命ありしものの声ではありえなかった。
「……死ぬんだろ」
 身体は沈黙。
 そして冷酷に重みを増す。
「そうか。俺は……死ぬのか」
 そして再び、感覚は途切れ始めた。
 すでに腕は動かなかった。
「ひゃははははははははははは」
 それでも笑い続ける。
「死にたくねえよ。絶対に嫌だからな」
 いつしかそれは涙混じり、
「死にたくねえよ。まだ死にたくねえよ」
 だが無情にも魂は切り離されようと……。
「死神め。俺の魂は絶対にやらねえぞ。俺は生きて帰るんだ。
……あいつのために……」
 だが風は吹いて、
「俺は……死なん……」
 その人狼から言葉は途切れた。


 ゼフィーリアはやや寒冷な気候を持ってはいるが人の住むには適した地だ。
 北方は雄大な山脈が連なり、その麓には豊かな森が広がっていた。
 その森の奥深くには恐ろしい悪魔が住むとも噂された。
 だが根拠なく木こりも年々増えてきている。
 そして物語はその森の闇より始まる。

 
 数月が経った。
 黄金色の月が淡く大地を照らす夜。
 草達は影とともに踊り、冷たい旋律を奏でる。 
 その他の音は切り離されて静寂が強く浸透していた。
 すべての眠る地上。
 だが不意に煌き。
 瞬く間に天の咆哮が轟いた。
 世界が揺らぐ。
 だがそれのみでは終わらずに雷鳴は大地を蹂躙した。
 蒼白い焔が草木を溶かす。
 一瞬にて寒風吹き荒れる夜は灼熱と化した。
 そしてその中で一つの骸も焼かれている。
 人狼の血液はすべて沸騰し、身も業火に焼き尽くされる。
 そして燃え尽き、焔も去った。
 ……だが閉ざされた魂までもを消し去ることは成しえなかった。
 意志のみにして骸は再生を始める。
 死神に触れられ汚れた魂は邪な肉体を形成していく。
 それは獣にもまた似たが、異質なりてなお、おぞましき。
 そしてそれでありつつも姿は美に包まれ、妬みを誘うほど。
 蒼白い肌は月明かりに照らされ、輝かしく映し出された。
 筋肉質でありながらも、女性的な魅力も放つ。
 だが本質的には男性であり、その狼に似た顔立ちが示す。
 再生せしものは吠えた。
――ウオオオオオオ
 それは歓喜の叫びであった。
 その日、ディルギアは黄泉還り、闇色の歯車は廻り始めた。


 
 後書
 ディルの口調、ちょっと違うような。
 ちなみに最初のところの(架空の)植物説明は適当です。

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25900蒼き月は闇へといざなうオロシ・ハイドラント URL2003/5/8 17:30:08
記事番号25892へのコメント

 満身創痍。
 ディルギアは荒い息を上げつつ、必死で森を歩いていた。
 草鳴りの音が何度も響く。クシャクシャと思考を犯すように……。
 ただ冷気を孕んだ夜風のみが心地良い。
 眩い光に苛まれた身体の傷を舐めるようだ。
 今もなお陽光の鋭さは鮮明に残っている。
 一度の死を得たあの激痛を凌ぐほどに……。
 その中で違った思考もあった。
 彼を死神へ導かんとしたもの達。
 
 あの日、ディルギアは住処のあるゼフィールを離れ、この森に来た。
 特にその理由はない。
 彼は人狼ならがも、飼い犬の身分であったが、主人は彼を束縛したりせず、自由な生活を送らせたがために、このような事態となったのだ。
 とはいえ、さして大きな事件ではない。
 何度も発生したことだ。
 しかし今度は明白に違っていた。
 狩人達に狙われ、命を奪われた。
 こうして復活したもののその、憎悪はけして死せない。

 ディルギアは夜陰に紛れ、森の出口を探し続けていた。
 住処へと帰るために、そして憎悪を晴らすがために……。
 しかし光明は見えず、森は深まるのみ。
 少なからず持つはずの帰省本能すら狂わせる何かがあるのだろうか。
 やがて樹も密集し始め、枝が身を擦り、微かな痛みを刻んでいくようになった。
 それでも掻き分け、ディルギアは森の奥へと進んでいった。

 蒼白い月光が大地を照らす。
 高き木々を見下ろす三日月は、魔性の微笑みを浮かべつつも顔は生娘に似てあどけない。
 煉獄を思わせる太陽とは異なり、その静かな眼差しは傷を癒していく。
 変貌した身体はむしろ好感が持てる。
 日中は紅蓮の焔に焼かれるが、冷たい夜には月が慈愛を与えてくれる。
 蒼い肌も美しいと思った。
 すでに数日が過ぎている。
 だが今もなお日光から逃れる術を見つけ出してはいない。
 どれほど隠れようが光の万軍は追撃して来る。
 森を抜けることは確かに目標なのだが、真に陽光の下に晒される恐怖も伴う。
 実際は葛藤の連続なのだ。
 確かに森は抜け出したい。
 そしてその叶わぬこともまた安堵。
 
 だが今宵、ディルギアはそれを発見した。
 深淵を思わせるように樹木は巨大。
 針に似て、地獄的でもある。冷たい地獄。
 彷徨うものならば絶望するであろう。
 迷えるものならば発狂するであろう。
 そうでなくとも恐怖するであろう。
 帰れぬ地。そう思わせた。
 だが彼は違う。
 そしてその闇の底には一つの建造物があった。
 それこそがディルギアを先の感情と別離させたのだ。
 崩れ掛けた城。巨城といえよう。
 気配を感じさせぬ冷徹な硝子とその奥の闇。それが上部には無数にある。
 屋根を黝(あおぐろ)く塗りたくられた三つの尖塔。
 中央のそれには薄くだが鐘が見取れる。鳴らぬ鐘。
 すべて月下に照らされ、死してもなお存在し続ける。
 崩れた部分もあり、けして過去の栄華をとどめてはいないが、超越的な美観は今も失われてはない。
 むしろそれは暗闇の中でなお活かされている。美しき闇。
 ディルギアは一通り見回した後、その血のように赤き瞳を、正面の扉へと向けた。
 木造だが黒き材木はそれが持つ素朴さなどとは掛け離れ、恐怖心を煽るのみのもの。
 それでもディルギアに同じ種を植えることは成しえなかった。
 平然と、歩き出す。
 いやその美と月光が彼の心を昂ぶらせ、どこか狂気じみた笑みを上げさせていた。
 
 ガタッ

 内部は荒れ果てていた。
 赤絨毯は諸処が破れ、正面の階段は半ばで崩れている。
 扉が剥がれ闇が覗く場所もあった。
 ディルギアの眼差しは暗闇をも見通していた。
 徘徊を始めた。
 回廊、食堂、中庭、倉庫、武器庫。
 様々な施設を見た。
 上への階段は見当たらなかった。
 気にはしなかったが……。
 また、歩くことに不思議と恐怖はなかった。
 さながら自らが主であるように……。
 そう闇を従えていた。
 城が空虚であることを聞き出していた。
 虚無という名の悪魔に打ち勝ったのだ。
 違う。戦いさえもおこなっておらぬ。
 闇に生きるディルギアにはすべての闇は僕であったのだ。
 
 彼の目を引いたのは地下室であった。
 否、地下室などと生易しいものではない。
 地下迷宮が広がっていた。
 果てしなく交わる数多の回廊。
 白石の壁に、時折微かな照明が灯っている。それは長き年月を生き続けた焔か?
 迷宮は彼に電撃を走らせた。
 琴線に触れたとでもいおうか。
 彼はその迷路を進んだ。
 迷いを恐れはしなかった。
 すでに尋常な身ではないと確信させる一つでもあった。
 一つの扉を捉えた。
 木製の扉を迷わず開く。
 ギィィィィィ……
 軋む音。暗鬼の叫び。
 闇が迸り、そしてやがて形を成した。
 正方形の狭い部屋であった。
 ただあるのは漆黒の棺。
 それが目に飛び込んで来た。
 一つの欲求に駆られた。
 そしてしばし葛藤した後、ディルギアは棺の蓋を半ばまで開け、入り込むとその腕で蓋を閉めた。
 真の闇。
 何も見えない。
 ディルギアは眠りについた。
 
 すると、夢を見た。
 闇の中に自分がいた。
 だがそのディルギアは飢えていた。渇いていた。
 そして何かを求めていた。
 目の前に広がるのは真紅の海。
 鮮烈で美しき命の水。
 ディルギアは求めた。
 激しく強く、それを求めた。
 帰省の意志も、憎悪さえもその中では儚すぎた。

◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆
せ、セリフないっす。
どうも手塚一郎氏みたいにやるとセリフ出せないです。
しかも手塚氏ほど雰囲気出しは上手くないし……。
なかなか難しいです。

後、ちなみにスラヴ辺りではワーウルフが死ぬとヴァンパイアになるという伝承か何かがあったっぽいようです。

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25910あるいは血の導きかオロシ・ハイドラント URL2003/5/9 17:09:30
記事番号25892へのコメント

 前書き
 ちなみにアニメ版です。
 アニメ版でもディルギアが飼われていたという設定の上での話です。
 これは小説だと出来ないネタです。鎖に繋がれてるし……
 ちなみにこの辺りから結構ヤバくなると思いますので注意。
 ……正直、投稿迷いました。
 にしても書いてると読む以上にヤバさを感じてしまう。

◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆

 微かな空気の揺れに、ディルギアは目覚めた。
 飛び込んでくるのは夜の闇。
 黝い空間に彼はいた。
(こ、ここは……)
 木製の床、木製の壁、素朴な雰囲気を持ちし小部屋。
 そしてそこには寝台が一つ。
 部屋と同じ材質で造られている。
 そしてそこには一人の少女が安堵に包まれ眠っていた。
 安らかな寝息は規則的でディルギアへと届いた。
 心が揺さぶられる。
 すると、ディルギアは自らの感覚が研ぎ澄まされていくのを感じた。
 喉の渇き。
 凄まじい欲求を持っていることに気付く。
 息が荒ぶる。
 理性が遠退いていこうとする。
 彼は必死で抗った。
 だがその悪魔は恐ろしく強力。
 ディルギアを支配し服従させるもの。
 障壁は徐々に削られていく。
 それでも彼は抵抗した。
「うう、ん」
 衝撃。
 胸部を貫かれた錯覚。
 それでも現実感のある痛み。
 少女は寝返りを打った。
 ディルギアはしばし呼吸を止める。
 ……しばらくして静寂と化した。
 だが安堵の瞬間が破裂。
(ぐっ!)
 欲求は再生した。
 渇いた喉。
 それはけして水では癒えぬ。
 すでに確信に至っている。
 望むものは……。
 
 燃える昏い欲望は彼の制止を今、打ち破り、歩ます。
 奴隷と化した彼を悪魔は嘲笑った。聴こえた。
 歯を食い縛り、身体を震わせる。
 しかしすでに理性など意味は成さぬ。
 その美しき容貌を近づけた。
 迷わず、沈めてゆく。
 すでに彼は一つと化していた。
 牙はその首元を捉えた。
 幼くともどこか興奮を煽る艶が照っていた。
 それにより、熱気が強まる。
(ハア、ハア、ハア)
 そして汗ばむ中、一気に、その牙で貫いた。
 柔らかなる感触。
 薄皮は剥がれ、血が滴る。
 それを舌で舐め回し、溜まった液を喉へ押し込んだ。
 甘美な響きが全身を伝い、ディルギアは恍惚の笑みを晒した。
 少女は違和感に身を捩る。
 だが痛みではない、熱く火照った身体に歓びは明らかに刻まれていた。
 ディルギアは少女を見詰めつつも咀嚼を続けた。
 少女の顔はやがて青ざめ、ディルギアはすべての血を吸い尽くした。
 満足感と昏い歓喜が全身を震わす。
 闇に吠えた。
 そして……夢から解き放たれる。

 闇色の棺の中でディルギアは目覚めた。
 蓋をずらし、起き上がる。
 目覚めは良好なものであった。
 空気の愛撫は心地良い。
 喉の渇きは癒えていた。
 身体に活力は漲っている。
 あれは夢にあらずかと、問うて見た。
 だが答えは風でなく、闇が披瀝した。
 気配。
 感じて見回すと、彼の脇、棺の脇に、正座し座る少女の姿。
 それも昨夜の夢に出でた少女。
 昨夜?
 夢?
 そして愕然とした。
 すべてが混濁し、真実は知れぬ。
 だが事実、彼は血を吸い、そして少女を呼び寄せた。
 少女を慎重に覗き込む。
 蒼白い肌。恐らくは自分も同じなのであろう。
 死と不死の香り。
 吸血鬼……。
 ディルギアの知る知識にはそれがあった。
 少女。
 そして……
(俺は……ヴァンパイアなのか……)
 晴れぬ疑問などすでに思考より外れ、
(俺は……俺は……)
 ……吸血鬼。夜の種族(ナイト・ブリード)。
 すでに陽光を浴びることは許されぬ。
 絶望。
 あの……輝かしき日々。
 渇望。
(ルナ……)
 ディルギアは住処の美女へ思いを馳せた。
 すでに叶わぬであろう再会。
 そしてそうなるならば……。
(死のう……。)
 彼は言った。
 それは重き意味を持っていた。
 だが術など知らぬ。
 陽光は嫌だ。
 けしてあれを浴びてはならぬ。
 ならばならば……。
 彼は再び少女を覗いた。
 歳は十四ほどであるが、そこには蠱惑(こわく)的な美が備わっていた。
 それも超絶の美。
 ディルギアの知る、美しき女性にも追随許すほどに……。
 彼は呼び掛けた。
「お前は……俺に従うはずだな」
 少女は声なく頷いた。
「ならば……」
 溜めた言葉を放ち出す。
「俺を……殺せ」

 ディルギアは歯噛みした。
 眼前には骸が一つ。
 それは少女のものでしかなかった。
 空気が揺れる。
 それが苛む。
――死ねかった
 そして、
――殺してしまった
 あまりに容易かった。
 抵抗の意思のみで少女は倒れ伏した。
 すでに生よりも不死よりも解き放たれし哀れな少女。
 ディルギアはしゃがみ込み、屍を掴むと、異様に軽いそれを持ち上げ、部屋の外へ捨てにいった。
 
 彼の壮絶な夜は続いた。
 常に敵意を持った意識。
 心に亀裂は何度も走る。
 それは世界に光が灯ろうとも、そして再び閉ざされようとも……。
 だがいつしか疲れ果て、そして喉が渇き。
 ディルギアは求めるように棺へ向かった。
 
 夢を見た。
 今度は二十ほどの美女の血を啜り、そして目覚めた。
 そして同じく、自分を殺すことを命じて、それを果たせぬ吸血鬼を殺し、迷宮に捨てる。
 そして意識が彼を深く責める。
 それは何度も続いた。
 死者は無惨に捨てられる。
 そして捨てられる範囲も広まった。
 やがて彼はいくつかの小部屋を見つけた。
 地下迷宮には単調だが複雑で数多の世界が広がっていた。
 墓地、牢獄、図書館、調理場。
 すべての位置を彼は把握した。
 墓地や牢獄には死体が置かれることもあった。
 そして狂気じみていた彼は、調理鍋に死体を放り込むこともあれば、時折調理もした。食指は動かなかった。
 様々なことがあったのだが、孤独な彼はすべて同じ情景と思っていた。
 だがそれは彼のみで……

 世間は恐怖に包まれていた。
 ここ最近になり毎夜、毎夜、失踪者が出た。
 すべて十歳から二十五歳までの女。
 誘拐などが考えられたが、現場に血が残されていたことからある噂が立った。
 そう・・・吸血鬼。

 それを知らぬ彼はやがて、女達を殺す理由を変貌させていった。
 地下迷宮の一画で目にしたのは……カガミ。
 希薄な明かりに照らされた小部屋の一面を占める他、何の変哲もないカガミであった。
 しかし、自らの全貌を間の辺りにして生まれたのは……
 他の誰もが美しい。
 自らも美を持つが、それはけして及ばない。
 そう嫉妬。
 異性であるが、すべて僕。
 その中で主は最も醜い。
 すでに死を望んだことなど忘れていた。
 ディルギアは吸血鬼たらんとしていた。
 すでにその快楽に身を溺れさせていたのだ。
 ゆえに何度も怒りを持って女達を殺した。
 誇りを汚されたことによって……。
 叩き潰し、切り刻み、首を裂き、ハラワタをえぐって……。
 悲鳴が地下から耐えなかった。
 そんな日々が続いていく。
 否、時間など概念にはなかった。
 
 ディルギアは棺へ入る。
 新たなる犠牲者を求めて……。
 そして眠りについた。
 
 だが今宵の犠牲者たるものは……

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25921地上の月は雨に濡れるオロシ・ハイドラント URL2003/5/10 12:31:10
記事番号25892へのコメント

 闇の中で彼は目覚めた。
 意識は即座に覚醒へ向かう。
 そして眼差しは捉えた。
 だが、それは……
(……ル、ルナ!?)
 寝台に安からな寝息を立て横たわる女。
 覗く顔は美麗で、それ以上に郷愁感を彼に与える。
――俺の飼い主。
 感慨が込み上げた。
――ついに帰って来た
 しかし、狂気の焔が燃え上がる。
 赤黒き、昏い欲望が……。
 高揚する心を抑え、愕然とし、落胆した。
――ついに、彼女までも……
 欲望がそれを成したのか?
 接近する足音は止まらない。
――彼女さえも彼の僕となるか?
 そして、
――殺してしまうのか……
 二重人格。
 そんな言葉がふと浮かんだ。
 だが現状は二つの意志の完全な対立。
 初めて血を吸った頃よりもなお激しき火花。
 だが葛藤しつつも確実に闇へ引き寄せられていく。
 止められない。止まらない。
 悪夢の光景。
 罪悪感に蝕まれ、しかし劣情は強まるばかり。
 必死でしがみ付くが、掴むものは藁に過ぎぬ。
 叫びを上げ掛けた。
――このまま叫ぶか?
 だが思いとどまった。
 恐怖が這いよりそれを阻止した。
 すでにその呼吸さえもが明白な距離。
 腕を伸ばせばその美貌に触れることも出来よう。
(……すまん)
 ディルギアは女へ向けて牙を翳した。
 ザァァァ……ドゥン!!
 だが暴風が窓を打ち付ける。
 衝撃が響き渡って……
「ううっ……」
 ディルギアは静かに飛び退いた。
 再び硝子が鳴る。
 心臓は激しく波打ち、脅えが浸透していた。
 それも過去からは考えられぬほど……。
 後悔……
――今さら?
(……すまん)
 だが願いもむなしく、
「……誰?」
 女の瞳が見開いた。
 慄き、さらに後退する。
 哀れな自らを想像しつつ……
 しかしそれさえも光に包まれた。
 眼前が白く染まり切る。
――終わりだ!
 「……誰なの?」
 女は目を凝らして闇を見詰めた。
 その紅蓮の眼差しはやがてディルギアを暴き出す。
 映ったのは異形。
 人の形をしておりながら、蒼ざめた体躯、貧相な衣服、そして狼じみた顔。
 ディルギアにはその視線は伝わっていた。痛々しいほどに……。
 言葉はしばし出でなかった。
 重苦しい。
 ディルギアは恐れつつ惑った。
――自分だと分かられるのが幸か?
 ……否か? 
 だがそんな無用な思考の内に、女は思い切ったように、
「……もしかして」
 心臓を貫く槍。
 激震し、凍りついた。
 極寒に震え、
「スポッ…………じゃなくて、ディル?」
 それを待った。予想通りの言葉を……。
 異形と化したディルギア。
 だが、それでも、
「……ディル、なのね」
 彼女の声は温もりを含んでいた。
 優しさ。
 氷解。
「…………」
 沈黙したが……頷いた。
「……やっぱり……」
 蒼白き吸血鬼へ向けて彼女は言った。
「ずっと……待ってた」
 しかし、欲望の焔は消えぬ。
 そしてなお激しく燃え上がり、全身を揺さぶった。
「グオオッ!!」
 叫び、必死で情を断ち切りに掛かる。
「ディル?」
 しかし、魔性の火は消しても生まれ、さらに勢いを増す。
「クソッ、クソッ……グオオオオオオオッ!!」
 血の欲求は収まることはなく、そして制御を失ったディルギアは……
 その爪を自らへ突き立て、全身全霊の力を込めて押し込んだ。
 激痛が走る。
 必死で堪え、さらに進む。
 肉に亀裂が走り、内部が覗く。
 苦悶に悲鳴さえも掻き消され痙攣した腕に力を込めることで精一杯。
 「どうしたの!」
 女が掴み掛かる。
 しかし動揺した腕など容易くディルギアは引き剥がし、狂えるままに突き飛ばした。
 ヴフッ!
「きゃっ!」
 寝台の周辺にまで女は突き飛ばされた。
 そしてディルギアはなお自虐を続ける。
 肉を裂き、やがて自らを滅ぼさんがために……。
 だがその中で、
「血……血ぃ……血だ……血……血ぃぃぃいいいいいいい」
 うめき、叫び、求めていた。
 のたうち回り、それでも傷つけることを止めぬ彼。
 暴れ回る。
 静寂の夜に……。
 呆然としていた女は口を開けた。
「……血が……欲しいの?」
 弱さ、脆さ、儚さ………それらを優しさに包み、狂気に支配されたディルギアへと……
 だが聞き入れる様子はない。
 むしろ勢いを増していた。
「血、血、血、血、血ぃ……血ぃいいいいいいいいいいいいいいいいい」
「……血なら上げるわよ」
 そして決心し、
「私の血を吸いなさい」
 強き言葉を発した。
 それは閃光に似て……
 即座に、ディルギアに浸透し、そして彼は愚行を止めた。
 立ち上がり、見詰める。
 女は真摯たる態度。
 だが、その瞳には涙。
 涙を浮かべ、その腕を差し出している。
「ルナ……」
 邪なる歓喜。
「……早く吸いなさい」
 しかしそれを嫌悪した。
「……無理だ」
「吸いなさい」
 細い腕には耐え難いほどの魅惑を感じる。
 だが犯せぬ聖域。
「無理だ。俺には無理だ!」
 悔やんだ。
 ……運命を。
――死ねば良かった
 よぎる思い。
「無理だ……それよりも俺を……殺してくれ……」
「……出来ない」
 望みも叶わぬ。
「……だったら……」
 ディルギアは言葉を絞り出す。
 それは凄まじき試練。
 絶対的に抗えぬ、欲望を前にして……。
 支えるのは一本の糸。
 切れれば腕へ噛み付くだろう。
 必死で引っ張り、切れぬよう緩め、その中で決意を固め、
「……待っててくれ!」
 告げた。
 沈黙。重い、言葉の残滓。
「……俺が……ヴァンパイアを止められるまで……待っててくれ!」
 ルナに言葉なくただ首で肯定した。
 ディルギアは去った。
 欲望を秘めつつ……
「……ディル」
 答えない。

◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆

後書的なもの。
こんばんはラントです。
今回、小説のそれと違うところを……。
すぐにお分かりと思いますが、スポットと言いかけたけどディルギアなのです。
理由は簡単、「ディル」と呼ばせたかった。
それだけっす。
またルナは……こんな感じ、かと。
にしてもルナって、某獅子丸の姉貴(うわっネタ分かる方少ないかなあ)を連想させるっていうかその逆。何となく……。

それでは読んでくださった勇気ある(?)方、大感謝の雨嵐、台風、竜巻、竜破斬です。

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25922Re:渇きの夜想曲:一部:吸血王ディルギアオロシ・ハイドラント URL2003/5/10 12:38:31
記事番号25892へのコメント

 夢から覚めたディルギアは足早に迷宮へ出た。
 そして歩んでいく。
 すでに地図は頭脳に刻み込まれている。
 迷うことなく一つの扉の前に辿り着いた。
 そして開く。
 淡い光が迸った。

 そこは図書館、とそう呼ぶに相応しきものであった。
 数多の蔵書。
 それは広い区画に並べられ、椅子や机などもあった。
 そして知識の囁きが四方八方から聴こえる。
 ディルギアは書物の探索をした。

 必死で読み耽る。
 燃え上がりそうになる心を必死で抑え、丹念に文字を追っていく。
 初めは辛いものであった。
 膨大な文字の羅列は、ディルギアを混乱させ、また憤慨させた。
 足場を失い、彷徨い、戻る。
 知の迷宮は、この世のどんな迷路よりもなお複雑であった。
 だが潜り続ける。
 精神力が疲弊しても、鞭打って読み続けた。

 飢えや渇きが襲って来る。
 それらが激しく襲い掛かる。
 しかしそれでも目を離さない。
 思考を巡らせ、文字を、文章を、頭に刻み続ける。
 何度も……何度も……
――負けてたまるか!
 欲望に耐え、迷宮の最下へと……。
 闇を進む。光を求めて……。
(ルナ……待ってろ)
 その呪文を繰り返して……。
 
 ディルギアの知識は膨れ上がった。
 書物を読むことにも随分と慣れ、苦痛は消えていった。
 だが、飢えと渇きを癒すことはなかった。
 暗黙の約束。
 彼は血を吸わぬことを密かに誓っていた。
 自らへ刻み込んだ。
 ゆえに眠ることもない。
 自らを戒め、知識のみをただ求めた……。
 果てしなく遠い。無限の彼方。
 ディルギアはそれでも挑み続けた。
 
 そしてやがて一つの書に出会った。
 それは「悪魔城の歴史」と書かれていた。
――もしや!
 ディルギアはそれを手に取った。
 山奥に築かれた巨城。
 その記述は確かに当てはまる。
――この城だ!
 そして読み進む。
 
 昔この地方は、古き国のさる伯爵家に統治されていた。
 その伯爵は成り上がりもので、野心は強かったが、情に厚く、寛容な人物でもあった。
 だが、その息子は邪悪な術に取り憑かれ、父の死後、森の奥へ城を建てさせた。
 そして邪術の研究を続けた。
 そしてその末に魔族を呼び出し、不死の契約を結んだ。
 魔族の雷鳴に撃たれ、伯爵となった息子は不死者として黄泉還った。
 だが、それは不死の契約などではなかった。
 契約の石を使用するそれと違い、完全なる不死。
 愚かな伯爵は吸血鬼へと変えられたのだ。
 それも劣情に支配された下等な吸血鬼へと……。
 魔族は血を吸わすことを補助した。
 そして近隣の街や村には多数の犠牲者が出た。
 そして伯爵により吸血鬼となったものはすべて伯爵の手で殺された。
 醜い嫉妬によって……。
 伯爵はこれを記したらしい。
 そして最後のページには……

(……力を貸してくれ)
 ディルギアは拳を握る。
(……ルナ)
 本を閉じ、そして図書館を出た。
 欲望が一気に込み上げて来た。

 棺の部屋へディルギアは帰った。
 静寂。
 空虚な部屋だ。
 それでも欲求は絶え間なくあり続けた。
 必死で堪えつつも、
「……出て…来い」
 うめき声で告げた。
 瞬間、世界は闇に包まれる。
 視界からも明かりは消え、濃厚な黒に染まりきった。
 やがてそれは収束される。
 一つとなり、冥い閃光を迸らせて……
「吾(われ)に何の用だ?」
 高圧的な声。
 美しき男であった。
 金色の長髪を戴く。そこには一房の闇が混じっていた。
 痩身ながらも白色の身体には、確かな魔力を秘めている。
 瞳は金色。魔性の色。
 また、濃紺のスーツを着、胸元を肌蹴させている。
 長身の男はさらに自己陶酔を思わせる仕草を取りつつ、
「……この魔族(デーモン)にして吸血鬼(ヴァンパイア)の王、闇に生き、滅びと快楽を」
「黙れ……ドラキュラ」
 しかし、その語りは彼に打ち消された。
「……ほう、吾が名を知るか?」
「当然だ」
 睨み続けた。
 その悪魔を……。
「それで……何を求むる? ……貴様の憎しみは美味かったからな。多少のことなら叶えてやるぞ」
 囁き。
 体内にあるのならば、その血を震わせるが如し。
 だが臆せずに、ディルギアは表情を引き締め、
「お前か……俺をこんな身体にしたのは!」
解き放った。怒りを込めて……。
 だが、ドラキュラは冷静を崩さず、
「不満か?」
 訊ね返した。
「元に……戻せ」
「……無理だな」
「無理だと!」
 叫ぶ。
 絶望が微かに沸き立った。
「そうだ。無理だ。……吾には元に戻す術はない」
「ふざ……けるな!」
 焔が燃える。ディルギアの内で……。
 欲望のそれとは違い……怒りと憎しみ。
「せいぜい異界黙示録にでも頼ることだな」
 それをドラキュラは嘲笑う。
 しかし、
「……そうか」
 感情に苛まれつつもディルギアも笑った。
「なら貴様など必要ない!!」
 そして、小さく呟き出す。

 ZIR WA N
(ゼーイラー・ウォウアリフ・ヌーン)

 ……ジ*ル*ワ*ン

「まっ、まさか……」
 そしてドラキュラは悟った。
――滅ぼす術があるがゆえ
「なっ、なぜ……貴様が神聖魔道を……」
 驚愕するドラキュラへ向けて、
「一応、神様と知り合いだからな」
(なあ……ルナ)
 そしてディルギアへ収束する聖なる力。
「伯爵の恨みの分もまとめて返してやる!」
 そして放たれようと……
「まっ、待て……約束しよう」
 だが愚かにも縋るドラキュラ。
 魔族の尊厳を傷つけようとも生を望みし哀れなるもの。
「そなたに……力をくれてやる。吾の力をすべて……な」
 誇りを捨てし悪魔へのディルギアの視線は……
「……本当だな」
 強き声。
 けして哀れみでも、慈悲でもあるまい。
 呪文は解けた。
 力……ただそれゆえに……。

 ディルギアは歓喜に笑う。
「ドラキュラよ……俺に従い、すべての叡智と力を与えるのだ」
「…………」
 悪魔は激痛に抗いつつも頷いた。

 そして物語は終幕へと……

◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆

 あとがき
 こんばんはラントです。
 ついにドラキュラさんが登場。
 魔族の誇り捨てまくり。よくもまあ。
 魔族にして吸血鬼の王……辺りは良いかと思ったんですけどねえ。百行も経たぬ間にディルギアの下僕決定。
 ちなみにゼーイラー・ウォウアリフ・ヌーンは多分「死者の呪いよ、解けよ。」といった意味です。(ウィザードリィのトゥルー・ワードの自己解釈から)
 ドラキュラはアンデッドではないですけども……。

 それでは……。

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25923タッ、タイトルが……オロシ・ハイドラント URL2003/5/10 12:39:35
記事番号25922へのコメント

ちなみにこれは

「我求むるは彼方の光」

というタイトルの予定でした。

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25925いざ悪夢よ終われオロシ・ハイドラント URL2003/5/10 12:44:05
記事番号25892へのコメント

 ディルギアは数多の知識と魔の力をドラキュラより得た。
 それは彼を、人智を越えしものへと至らせる。
 彼の力はもはや神や魔の域。
 そしてその知恵を駆使し、研究を重ねた。
 自身について判明したこと。
 ドラキュラの魔力は、解けはしない。
 理性を奪い、生物としての根本を歪め、異質のものへと変貌させる。狂える吸血鬼に……。
 そしてその中でディルギアがある程度の欲求に抗えたこと、それはトロルの血が残るゆえ。
 合成獣としてあったトロルのそれすらも変容させるには至らなかった。複雑な魔法であるがゆえか……。
 つまり、ディルギアは吸血鬼とトロルの合成獣。魔族の力を得た合成獣。
 そして、なお数多のものと融合すれば、ディルギアは意志を強められる。
 だが渇きを癒すことは出来ぬ。
 その術を探し続けた。
 魔力により欲求を誤魔化し、必死で思考を巡らせ、書物を読み耽る。

 ドラキュラなどは滅ぼした。
 すでに彼の魔力はその魔族を越えていた。
 すでに必要などなく捨てた。
 実にそれは哀れな姿であった。
 
 だが結果としてディルギアは術を探すことなく、肉体の限界に至り、黒き棺の中、永き夢へと旅立った。

 またディルギアの数多の著作の中、自らの運命を記した書があった。

 そして最後のページには……

 我は今も汝の友だ……
 ゆえに哀れなる汝にこの秘術を捧げよう……

 ディルギアの眠りを見守り続ける月(ルナ)がある。

――第一部:吸血王ディルギア

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――閉幕


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25894ちなみにオロシ・ハイドラント URL2003/5/7 14:19:03
記事番号25891へのコメント

吸血城が間違いで、吸血王が正しくです。

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25926今ひとたびの後書に誘われオロシ・ハイドラント URL2003/5/10 12:45:55
記事番号25891へのコメント



ついに終わりました。
三日で書き上げ、4日で直し終えた「吸血王ディルギア」
ここに完結致します。
短気ですなあ私。

さて、次回作。
もう主人公が誰か気付いたかたもいるのではないでしょうか。(まあ誰も読んでないという、いかにもありそうな場合を除き)
次回予定作「ゼルガディスと不死王ディルギア」
ちなみに書きたい話は他にもたくさんあるのでこの続きは、レスが二つ以上あるか、一つでも続ける意欲を起こさせてくださるようなレスがあれば、書きたいと思います。
それでは……

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25932Re:新作開始潮北 かずら 2003/5/11 00:17:44
記事番号25891へのコメント

こん○○わー。

それにしても早い……。吸血王ディルギア。この間始まったばかりだと思っていたのですが、もう完結ですか……。本当に早いですよ……。

この話のディルギア、なんかカッコイイです!
私の中には、『ディルギア=ギャグキャラ』っていう構図が既に定着してましたので、こんなにもカッコ良くシリアスに書かれると、読んでいるほうとしても、なんか妙に力が入ってしまいます。(^▽^)

この話、まだ続くんですよね。
でしたら、楽しみに続きを待ってますね。
ではまた……。

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25943Re:なぜかいつの間にやら……オロシ・ハイドラント URL2003/5/12 18:39:09
記事番号25932へのコメント

>こん○○わー。
○んばん○
>
>それにしても早い……。吸血王ディルギア。この間始まったばかりだと思っていたのですが、もう完結ですか……。本当に早いですよ……。
同感です。
第一話書いた時はまさかこんなにすぐ終わるとは……
>
>この話のディルギア、なんかカッコイイです!
ディルっぽくないですけども……
>私の中には、『ディルギア=ギャグキャラ』っていう構図が既に定着してましたので、こんなにもカッコ良くシリアスに書かれると、読んでいるほうとしても、なんか妙に力が入ってしまいます。(^▽^)
まあイメージ払拭っていうのも度々やってますし私。
>
>この話、まだ続くんですよね。
ええ。
>でしたら、楽しみに続きを待ってますね。
まあ細部を練り中なので少々遅れるかと思いますけど
>ではまた……。
どうもレスありがとうございました。
大変嬉しかったです。
それでは……

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25938シリアスモード炸裂ですねエモーション E-mail 2003/5/11 21:00:47
記事番号25891へのコメント

こんばんは。

一気に読ませていただきました。

ディルギアくんで吸血鬼のお話……。超ドシリアスでしたね。
どーもディルギアはギャグキャラのイメージが強いのですが。
「NEXT」後半辺りのアイキャッチで、完璧にただの大型犬と化して、
ルナの足下をニコニコしながら歩いている姿とか好きだったりします。

そういえば、以前もディルギアでシリアス書かれていましたよね。
確か、子犬になってしまう話で。あれも結構悲劇でしたよね。
ラストの子犬のディルギアを抱えているゼルが妙に記憶に残っています。

吸血鬼になってしまったことを厭うと同時に、生存本能(?)で
血を吸い続け、僕となった相手に自分を殺すように言う姿。切ないですね。
そして次第にどこか荒んでいくディルギアを、ある意味「正気」に戻したのはルナ。
ルナがディルギアにとって、かなり精神的に大きい存在なんだとよく分かります。
そして、ディルギアが戻ってくるのをルナもちゃんと待っているんだろうなあと。
元に戻れる日は来るのでしょうか。

第2部が書かれるのが楽しみです。

それでは、この辺で失礼いたします。

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25944Re:他にあるのか? シリアスディルルナオロシ・ハイドラント URL2003/5/12 18:47:53
記事番号25938へのコメント


>こんばんは。
こんばんは。
お久しぶりです。
>
>一気に読ませていただきました。
おおっ、どうもです。
>
>ディルギアくんで吸血鬼のお話……。超ドシリアスでしたね。
>どーもディルギアはギャグキャラのイメージが強いのですが。
>「NEXT」後半辺りのアイキャッチで、完璧にただの大型犬と化して、
>ルナの足下をニコニコしながら歩いている姿とか好きだったりします。
一応、イメージを覆すものを書こうと思いまして……
>
>そういえば、以前もディルギアでシリアス書かれていましたよね。
ええ。
あの話を本格的なものにしてみようと思いまして……
>確か、子犬になってしまう話で。あれも結構悲劇でしたよね。
>ラストの子犬のディルギアを抱えているゼルが妙に記憶に残っています。
まあ無理に悲劇にしたような感じでしたけども……。
>
>吸血鬼になってしまったことを厭うと同時に、生存本能(?)で
>血を吸い続け、僕となった相手に自分を殺すように言う姿。切ないですね。
この辺りは実はプロットを覆して即興でおこなってたりします。
>そして次第にどこか荒んでいくディルギアを、ある意味「正気」に戻したのはルナ。
まあ、随分とあそこから凄くなってます。
勉強家ディルギア君。
>ルナがディルギアにとって、かなり精神的に大きい存在なんだとよく分かります。
一話分しか出てないですけど、一応ディルルナのつもりなので……。
>そして、ディルギアが戻ってくるのをルナもちゃんと待っているんだろうなあと。
>元に戻れる日は来るのでしょうか。
まあ吸血鬼といえばバッドエンドのようなイメージがあるんですけども……実は最後は全く決まってないです。
>
>第2部が書かれるのが楽しみです。
大まかな部分は出来てますけど、細部がなかなか決まらないので少々遅れるかと思いますけど……。
>
>それでは、この辺で失礼いたします。
どうもありがとうございました。
大変感謝致します。

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25958続行決定。オロシ・ハイドラント URL2003/5/14 16:41:56
記事番号25891へのコメント

ラントです。

渇きの夜想曲の続行が決定。
ああ……闇龍王と、TRYが遅れるぅ。
まあ、別に良いけど私は。

そこで次回は……ミステリーを書いてみようと思いまして、
構想を練っていたのですけども、ついについに、プロットが完成。
まあネタを披瀝しないように、語りは控えておきますけれど、「本格推理もの」とか期待しないでくださいね。
……(少なくとも現在の)私なんぞが書けるわけないし。
スケールもミニマムすぎです。

それでは、開始はいつになるか分かりませんが、どうか一つ、よろしくお願い致します。




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