◆−D・S・ハイドラントさんへ  レス御礼−星空 (2002/11/24 15:50:14) No.23457
 ┗おつかい−星空 (2002/11/28 11:01:47) No.23508
  ┗おつかい(十六)−星空 (2002/11/30 22:21:11) No.23551


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23457D・S・ハイドラントさんへ  レス御礼星空 2002/11/24 15:50:14


遅くなってごめんなさい。星空です。
おつかい(十五)への、コメントありがとうございました。
次回も楽しみにしていますとのことですが、頑張って書こうと思います。
これからも、よろしくお願いします。
              
D・S・ハイドラントさんへ 
                    
                     星空

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23508おつかい星空 2002/11/28 11:01:47
記事番号23457へのコメント

こんばんは。星空です。
おつかいシリーズ、十五回目とあいなりました。
1回目からの話は、著者別に登録してあります。
さて、ここで、十六回目を始める前に、今まで出てきた、登場人物をまとめておきたいと思います。

レイシャス   
おつかいシリーズの主人公(一応)。
年の頃、十三、四の少年。同じ歳の子よりも、やや背が高い。
美少年と形容してもよいくらいの顔立ちをしている。
武術を習っているが、魔術は一切使えない。
どのくらい使えないかというと、呪文を丸暗記さえすれば使える、「ライティング」もできない。当然、魔道士協会の事についても、ほとんど知らない。
おつかい(四)で盗賊相手に槍を振り回して戦っていた。
馬にも乗れるのだから、馬術も習得しているといっても言い。
サイラーグ・シティの有名人、シルフィール=ネルス=ラーダの孫。
ただし、養子。
フラグーンから生まれたなどという話が、囁かれている。
彼を語る際には、のんびり、鈍い、鈍感、お人好し等の言葉がついて回る。

サイラーグ・シティの屋台のおじさん
レイシャスに北の方向を教えた。

レイシャスの家族  
おつかい(一)で、彼におつかいの依頼をし、その出発を見送った。
祖父、祖母(シルフィール)、母親(シルフィールの娘)、父親、姉、妹(呪いの方法、呪い返しのやり方などを書いた紙を入れた、黒い袋のお守りを渡した)の六人。
祖父と父親は、シティを襲った野良デーモンとの戦いを経験している。
おつかい(一)での登場以来、まったく出番が無くなっている。

ミンジェ  
レイシャスと旅している兄妹の長男。
二十歳前後か。背が高く痩せている。
緑色を基調とした服を纏っている。
背中に剣を背負っている。
肌の色は琥珀色で、短い黒髪を、緑の布で覆っている。
黒い眉の下に、切れ長の目、形よく配置された高い鼻と、薄い唇。
鼻の下と顎に髭を生やしているが、手入れをしているわけではないようだ。
魔法と剣術の両方を扱える。
(これは、三人の兄妹全員に共通している)
お酒に強いので、たくさん飲んでも、顔色が変わることが無い。
おつかい(三)で、追われている役で登場した。

ハイヤル
兄妹の次男。
ミンジェより二つ、三つ、年下。
兄より少し背が低いが、痩せてはいない。がっしりとした体つき。
青色を好み、服もその色を基調としている。
白い肌。顔は、彫りが深く、赤茶色の眉の下の目は、青く、大きい。
髪は、燃えるような長い赤毛。ゆるやかにカーブした髪を結ったりせず、そのままにしている。
お酒に弱く、泣き上戸。感極まって、泣きながら握手したことがある。
兄に自制される事が多い。
得意技は、遠くから石を飛ばすことで、これで、飛んでいる鳥を打ち落としたり、盗賊を気絶させた。

センジェ
兄妹の長女。
ハイヤルより、二つ年下。
ほっそりとした体つき。
深い緋色の服を着ている。
柔らかくしみ一つ無い白い肌。
卵型の顔。大きな目が特徴の美貌。
長い黒髪を後ろ頭に結って、翡翠の髪飾りで留めている。

ヘムラックの町の住民
盗賊団に襲われそうになったが、レイシャスとミンジェ三人の兄妹の活躍によって、一応は退けられた。
それに感謝して、四人を歓迎し、宴を催した。

吟遊詩人
「リナ=インバース武勇伝」を語って聞かせていた。
人目を引く派手な衣装に、竪琴を抱えている。

老紳士(ゼルガディス氏)
シルフィールと同じくらいの歳。
背が高く、しゃきっと背筋を伸ばしている。
黒を基調とした、地味だが趣味のいい服を着ている。
銀髪、碧眼のハンサムなご老人。
得物は、ステッキに仕込んだ剣。

神官長
レイシャスとミンジェたち三人の兄妹が泊まった寺院の長。
宗教儀式などを取り仕切っている。

身投げした男
ジェラルドが扱った事件の当事者。
遺言書と靴を崖に残して、海に身投げした。
身元は不明で、葬られた墓にも名は刻まれていない。

ラルゲフィア商店の主・ワイス
三十歳の壮年の男。ラルゲフィア商店の切り盛りをしている。

イルージャ
ワイスの妹。行方不明になった。

ジェラルド=イシュガルデ
老紳士より五つ年下。
元警備兵兼捜査官。今は退役している。
とある事件を担当した。
現役時代から愛用している、黒のコートを羽織り、北へと向かっている。
投げ技が得意。眠りの術「スリーピング」に耐性がある。

ゼロス
中肉中背。おかっぱ頭の「それは秘密です」が口癖の怪しい神官。
外見年齢は、二十歳そこそこだが、一千年を超える年を過ごしており、かの降魔戦争では、多くの黄金竜を一人で絶滅寸前にまで追いこんだ。
五大腹心を除くと、魔族のうちでも、一、二を争う実力者。
本性は、敵を貫く、黒い錐。
紅い球を嵌めた、杖を持っている。

馬車の御者
ジェラルドが北へ向かうのに利用した馬車の御者。
そこそこには魔法を扱える。
客であるジェラルドを脅して、金品を巻き上げようとしたが、逆にジェラルドに投げられてしまった。

大男
ミンジェたち兄妹が追われる出来事の始まりとなった男。
センジェにちょっかいを出し、袋叩きの目にあった。
彼女を人質に取り、残った二人の兄に、脅迫状を出した。
魔道士と黒ずくめの集団を雇い、倒そうとしたが、逆にやられてしまった。

金髪の美女
レイシャスが夢の中であった美女。
女神と見まごう、美貌と威厳をもっていた。
正体は分かっていないが、彼女は、レイシャスのことを知っていた。

リク
レイシャスが攫われた牢屋の中で出会った少女。
薄茶色の目をしている。
恐ろしい二人の男にめげず、突っ込んだり、注文したりした。

アズラと黒服の男女
妖艶な美女のアズラを主に戴いている黒服の男女の集団。
人間ではないことは確かで、彼らは血を飲むことを好んでいる。
皆、真紅の目に、美形ぞろいで、女は血に濡れたような、紅い、ふっくらとした唇をしている。
手下に、ケトと呼ばれる、ローブを着た男がいる。
アズラは、レイシャスの血を飲もうとしたが、ゼロスの挑発に怒った女が放った、魔力の塊から盾にされた事で目覚めた、金と青の目の、美貌の青年に、滅ぼされた。

青年
アズラと黒服の男女の集団を滅ぼした。
呪文詠唱無し、「眠れ」の一言で、彼らを塵と化した。
ゼロスは彼の事を知っているらしく、それによると、昔はもっと丁寧な口調で話していたらしい。

ジェイス
警備兵の隊長。
丸い目鼻に、ビヤ樽のような体型をしている。
汗をかきやすいのか、ポケットに、白いタオルを入れている。

エルノア・ウィリ・イオナ・ルクト・ワイス(ラルゲフィア商店の主とは別人)・タイス・テス・ジオ・ギア・シェイ・ルア・スイ・ジン
ジェイスの部下。
エルノア・ウィリは、ミンジェたち兄妹三人と行動。
イオナ・ルクトはゼルガディスの警護。
ワイス・タイスは、大男と黒ずくめたちの護送責任者。
テス・ジオ・ギア・シェイは。その手伝い。
ルア・スイ・ジンは現場調査をした。

キメラ
ゼルガディスを襲った、ヒトとも蝙蝠ともつかない奇妙な生物。
ゼルガディスがステッキに仕込んでおいた剣の一撃によって、倒された。

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23551おつかい(十六)星空 2002/11/30 22:21:11
記事番号23508へのコメント

         おつかい(十六)
白く美しい結晶である雪が、漆黒の夜空から、ちらちらと落ちてくる。
雪の降る夜は静からしい。なぜかというと、雪が音を吸いこむからと言われている。
だが、この町にあっては、それは、恐怖の惨劇をさらに引きたてるものでしかない。
ミンジェは、足元で倒れ伏している、ローブを着た死体を見て、溜め息をついた。
警備兵隊長ジェイス率いる二十名ほどの警備兵の後を追い始めてから、死体がごろごろ転がっている光景を見るばかりで、げんなりしていた。
どこかで爆発音が上がり、建物が炎上する。
静かな雪の夜のはずが、慌しい雰囲気に包まれたものになっていた。
ぴちゃり、と黒い革のブーツが、血で真紅に染まった雪を踏んだ。
同時に、ずらりと並んでいた家屋の一つが、盛大な音を立てて吹っ飛んだ。
警護を命ぜられた警備兵の一人エルノアと、センジェが、素早く風の結界を張ったお陰で、怪我は少なくてすんだが、美しい花を描いた看板が、結界にはじかれて、雪の上に落ちた。
ぐるるるる・・・・と唸り、大きな生物が、のっそりと姿を現した。
熊と虎をかけ合わせ、大きさを2倍にしたような生物で、嘴がついていた。
大きな紫紺の目を細め、嘴を開くと、青白い高温の炎を吐き出した。
二重の風の結界が一瞬揺れ、蒸せかえるような熱い空気が生み出された。
瓦礫の向かいに建っていた建造物が全て、またたくまに、溶けた。
路上の雪も溶け、瞬時にして濃い霧が生み出される。
結界を解くと、冬なのに、キメラが吐いた炎で、常夏の南国のように暖かくなっている。
冬服を着ている体から、どっと汗が流れ落ちた。
ハイヤルが初級の風の術で、強風を起こし、霧を払った。
視界が明瞭になったが、キメラはいなかった。
代わりに、大きな足跡が、どろどろに溶けた、赤い溶岩と化した路上に刻み込まれていた。
「さっき家屋を壊した時は、炎は出ていませんでしたから、それだけの、筋力を持っていると見ていいでしょうね。」
もう一人の警備兵、ウィリが言って、眉をひそめた。
「それと、溶岩の上を平然と歩ける、特殊な皮膚もな。」
ハイヤルは言った後、鼻をヒクヒクと動かして、「ハクション!!」とくしゃみをした。
「追跡するには、これの上を歩かなければならないとなると・・・・」
「おいおい。何も正直に、これの上を歩く必要は無いだろう。空を飛べばいいんだよ。空を。あるだろ、風系で、飛んで移動する術。」
「レビテーションか、レイ・ウイングで移動しろと?」
ミンジェが聞くと、ハイヤルは「そうそう。それだよ。」と頷いた。
改めてみると、赤く沸騰し溶けている路上は、広範囲に広がっている。
凄まじいまでの威力に、心底から恐ろしいと思った。
「その前に確認しなければならないことがある。エルノアさん、ウィリさん。お二人は、レビテーション、もしくはレイ・ウイングが使えますか?」
二人の警備兵は顔を見合わせ、次に、首を横に振った。
「攻撃系と治癒系で初級の術は使えますが、風系はちょっと・・・」
「わかりました。すみませんが、近くに寄ってもらえますか?」
五人は近くに集まった。
まず、レビテーションをセンジェが詠唱し、続けて、ミンジェとハイヤルが、風の結界を張る。
大きなシャボン玉のなかに入ったようなかたちで、ふわりと浮き上がった。
ある程度の高さに上げた後、センジェのコントロールで、大きなシャボン玉は、キメラの追跡を始めた。
「あんまり速くないんですね。」
「もともと、遅い術ですから。」
傍から見れば、何も無い空間に五人の男女が浮かび、しかも動いているという異様な風景だが、当事者の彼らにしてみれば、そのようなことは、どうでもいいことであった。
「派手に動いていますね。」
エルノアが、赤と金が交じり合った色に沸騰している、溶岩の道を見て、言った。
「分かりやすいな。」
キメラが通った後を、のろのろと追った。
こちらの世界の時間の基準に換算して、数十分後。
「いたぞ!!」
ハイヤルが、目敏く、青白い炎を吐き散らしながら、進みゆく異形の生物を発見し、叫んだ。
「センジェ。降ろしてくれ。」
「了解。」
ミンジェの指示の意を汲み取り、センジェは、先回りして、進行方向の先にある建物の影に降ろした。
結界を解き、ミンジェは、狭い路地から飛び出した。
眼前には、キメラがいた。
あまりの暑さに、空気が揺れ、陽炎が立ち昇っている。
キメラは、ちっぽけな人間が現れたことに少し驚いたが、どうでもいいことと、先ほどと同じように、炎を吐くために、嘴を開いた。
しかし、炎は出なかった。
ミンジェが放った術、神話に出てくる魔王の五大腹心の一人、覇王(ダイナスト)の力を借りた、「ダイナスト・ブラス」で、氷に閉じ込められ、砕け散った。
「これで、十匹目か・・・・」
「ところで、ここ。どこなんだよ?」
ハイヤルが、辺りをきょろきょろと見まわした。
センジェが、エルノアとウィリに顔を向けると、ウィリは困惑した顔で言った。
「・・・・たぶん、町の中央から少し外れたところだと思います。建物が壊れているので、詳しいことは分かりかねますが。」
「・・・・つまり、ジェイスさんたちと逸れてしまっていると。」
「すいません。」
「いえ。気になさらずに。」
暗い顔で息を吐き出す三人。
「とりあえず。戻りましょうか?」
センジェが提案したが、ミンジェと二人の警備兵は、疲れと暗い気持ちで黙り込んだ。ハイヤルは、ひくひくと鼻を動かし、「ひぐぢゅん!!」とまたくしゃみをした。

同じ頃、近くで、ゼルガディスと、警備兵のルクトは、かつてリュイナー亭であった、瓦礫の残骸の前で、呆然と突っ立っていた。
襲い来るキメラを手当たり次第薙ぎ倒し、疲れと共に、宿屋に着いたかと思ったら、残っているのは瓦礫だけだったという有り様である。
「ど、どうしましょうか?」
「どうしろというのだ・・・これは。」
そうなってるかもしれないと思っていたが、実際に目の当たりにすると、衝撃で何も言えなかった。
ゼルガディスは、宿屋に預けていた諸々の品の損失に。
ルクトは、町の観光の目玉が消えたことで、黙って、立っていた。
その二人の後ろから、キメラが近づいたが、ゼルガディスは振り返らず、剣で突き刺した。
「・・・・とりあえず。手当たり次第に、八つ当たりも兼ねてってことで、どうでしょうか?」
「賛成。」
かくして二人は、義務と正義と復讐に燃えた。
がっ、と手を組んだ二人の背後には、めらめらとどす黒い怒りの炎が立ち上った。

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