◆−おつかい(五)−星空 (2002/10/5 17:04:59) No.22453
 ┣Re:おつかい(五)−ドラマ・スライム (2002/10/5 17:28:09) No.22454
 ┣おつかい(六)−星空 (2002/10/6 14:39:52) No.22475
 ┃┗Re:おつかい(六)−ドラマ・スライム (2002/10/6 14:46:29) No.22476
 ┣おつかい(七)−星空 (2002/10/6 15:19:11) No.22477
 ┗おつかい(八)−星空 (2002/10/6 15:54:29) No.22478
  ┗Re:おつかい(八)−ドラマ・スライム (2002/10/6 18:42:46) No.22482


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22453おつかい(五)星空 2002/10/5 17:04:59
記事番号22291へのコメント

         おつかい(五)
森に迷い込んだが、盗賊団が通りかかるのを利用して脱出した、ミンジェ、ハイヤル、センジェ、レイシャスの四人。
彼らは、盗賊団に紛れ込み、頭が、とある街を襲撃する直前で、阻止し、感謝した街の人に門を開かれた。


「もう行ってしまわれるのですか。」
言って、名残惜しげに、「盗賊団を蹴散らした勇敢な少年」を街の長老は見た。
周りには、子ども達がいた。
「はい。残念ですが、しなければならない用事がありますので。」
レイシャスは、悲しそうな目で静かに言った。
メンバーのうち、年上の二人、ミンジェとハイヤルは、警備にあたった兵士や男たちの歓待を受けて、酒を飲んで、別れを惜しんでいる。
女性のセンジェは、「これ、着て頂戴」と豪商の夫人から、綺麗な服を贈られていた。センジェは断ろうとしたが、「どうしても」と半ば強制するような夫人の言葉に負けて、受け取っていた。
盗賊団を追い払ったあの後、四人は街の人たちの熱烈な歓迎を受けた。同時に、「また奴らが襲ってくるかもしれませぬので、どうか、留まってください。」と泣きつかれ、街に泊まった。
盗賊以外にも、妖魔がうろついていたりする物騒な世界である。
幸い、あの盗賊たちがまた襲ってくることは無く、無事に夜を過ごすことができた。
夜が明けると、避難していた女子ども、老人を呼び寄せた。
彼らは、四人の旅人が街を救ったと聞いて、「それなら、何か、御礼をしなければ」と四人のための宴が開かれた。
皆、夜を通しての盛大な宴に酔いしれた。
おかげで、街を出るのが二日遅くなったが、それでもかまわないと、レイシャスは思っていた。
「ところで、お聞きしたいことがあるのですが。」
「何ですか?」
「ここは地図ではどこにあるんでしょう?」
レイシャスは地図を広げた。
長老は目を細めて見ていたが、ある一点を指差して答えた。
「ここです。(ヘムラック)という名前があるでしょう?」
「はい。南のほうにあるんですね。」
「そうです。」
(南か・・・・)
そうすると、姉の忠告「寄り道厳禁」を破ったことになる。
姉の怒った時の表情を思い出して、ぶるっと身震いしたが、そのときはそのときと開き直った。
「そろそろ出発しましょう。」
主婦たちのおしゃべりからやっと開放された、センジェが声をかけた。
「そうですね。ミンジェさんとハイヤルさんは?」
「兄上たちは、向こうの酒場で飲んでいます。たぶん、もうすぐ終わると思いますけれども・・・」
ひときわ大きな声が上がった後、酒場の暖簾から大勢の人がぞろぞろと出てきた。
ミンジェはいつもと変わらないけれども、お酒に弱いハイヤルは、すでに出来上がっており、周りの人と、泣きながら握手していた。
「がんばれよ!!」
「旅の無事を祈っているぞ!!」
おいおい泣きながら、握手した手を離そうとしないハイヤルに「もうよさないか。ハイヤル。」とミンジェが辟易した表情で声をかけた。
それでも泣き止まない弟の襟を引っつかむと、無理やりに引き離すようにして、引きずり、馬に乗せた。
「それでは、お世話になりました。」
「うむ。我々も旅の無事を祈っておりますぞ。」
門が開き、街の人に見送られ、四人は旅立った。

街の人々との別れがまだ名残惜しいのか、泣き止んだが時々鼻をすするハイヤル。
鬱陶しそうにそれをちらりと見た後、ミンジェがレイシャスに声をかけた。
「で、何処へ行きましょうか?」
「そうですね。北へ行きましょうか。」
北へ。
のんびりと馬を進ませ、道を行く四人であった。

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22454Re:おつかい(五)ドラマ・スライム 2002/10/5 17:28:09
記事番号22453へのコメント

星空さんは No.22453「おつかい(五)」で書きました。
>
>         おつかい(五)
>森に迷い込んだが、盗賊団が通りかかるのを利用して脱出した、ミンジェ、ハイヤル、センジェ、レイシャスの四人。
そういえば運がいいですね。
それにしても樹海を抜ける道を知ってた盗賊ただ者ではないですね。
>彼らは、盗賊団に紛れ込み、頭が、とある街を襲撃する直前で、阻止し、感謝した街の人に門を開かれた。
そういえば僕のあらすじ書いてない・・・。
>
>
>「もう行ってしまわれるのですか。」
>言って、名残惜しげに、「盗賊団を蹴散らした勇敢な少年」を街の長老は見た。
>周りには、子ども達がいた。
>「はい。残念ですが、しなければならない用事がありますので。」
>レイシャスは、悲しそうな目で静かに言った。
>メンバーのうち、年上の二人、ミンジェとハイヤルは、警備にあたった兵士や男たちの歓待を受けて、酒を飲んで、別れを惜しんでいる。
>女性のセンジェは、「これ、着て頂戴」と豪商の夫人から、綺麗な服を贈られていた。センジェは断ろうとしたが、「どうしても」と半ば強制するような夫人の言葉に負けて、受け取っていた。
>盗賊団を追い払ったあの後、四人は街の人たちの熱烈な歓迎を受けた。同時に、「また奴らが襲ってくるかもしれませぬので、どうか、留まってください。」と泣きつかれ、街に泊まった。
>盗賊以外にも、妖魔がうろついていたりする物騒な世界である。
妖魔?
>幸い、あの盗賊たちがまた襲ってくることは無く、無事に夜を過ごすことができた。
>夜が明けると、避難していた女子ども、老人を呼び寄せた。
>彼らは、四人の旅人が街を救ったと聞いて、「それなら、何か、御礼をしなければ」と四人のための宴が開かれた。
>皆、夜を通しての盛大な宴に酔いしれた。
>おかげで、街を出るのが二日遅くなったが、それでもかまわないと、レイシャスは思っていた。
>「ところで、お聞きしたいことがあるのですが。」
>「何ですか?」
>「ここは地図ではどこにあるんでしょう?」
>レイシャスは地図を広げた。
>長老は目を細めて見ていたが、ある一点を指差して答えた。
>「ここです。(ヘムラック)という名前があるでしょう?」
>「はい。南のほうにあるんですね。」
>「そうです。」
>(南か・・・・)
>そうすると、姉の忠告「寄り道厳禁」を破ったことになる。
>姉の怒った時の表情を思い出して、ぶるっと身震いしたが、そのときはそのときと開き直った。
>「そろそろ出発しましょう。」
>主婦たちのおしゃべりからやっと開放された、センジェが声をかけた。
>「そうですね。ミンジェさんとハイヤルさんは?」
>「兄上たちは、向こうの酒場で飲んでいます。たぶん、もうすぐ終わると思いますけれども・・・」
>ひときわ大きな声が上がった後、酒場の暖簾から大勢の人がぞろぞろと出てきた。
>ミンジェはいつもと変わらないけれども、お酒に弱いハイヤルは、すでに出来上がっており、周りの人と、泣きながら握手していた。
>「がんばれよ!!」
>「旅の無事を祈っているぞ!!」
>おいおい泣きながら、握手した手を離そうとしないハイヤルに「もうよさないか。ハイヤル。」とミンジェが辟易した表情で声をかけた。
>それでも泣き止まない弟の襟を引っつかむと、無理やりに引き離すようにして、引きずり、馬に乗せた。
>「それでは、お世話になりました。」
>「うむ。我々も旅の無事を祈っておりますぞ。」
>門が開き、街の人に見送られ、四人は旅立った。
>
>街の人々との別れがまだ名残惜しいのか、泣き止んだが時々鼻をすするハイヤル。
>鬱陶しそうにそれをちらりと見た後、ミンジェがレイシャスに声をかけた。
>「で、何処へ行きましょうか?」
>「そうですね。北へ行きましょうか。」
>北へ。
>のんびりと馬を進ませ、道を行く四人であった。
ではこれからもがんばってください。
でもがんばりすぎると疲れがたまるので気をつけてください。
>

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22475おつかい(六)星空 2002/10/6 14:39:52
記事番号22453へのコメント

     おつかい(六)
盗賊団を追い払ったので、街の人に熱烈な歓迎を受けた、ミンジェ、ハイヤル、センジェ、レイシャスの四人。
街による歓迎の宴が開かれたので、二日停留することになった。
レイシャスは、長老に街の名前と位置を聞くと、(ヘムラック)という名で、南のほうにあるという。
街の人々に見送られて、四人は北へと旅立った。


ケルン連邦。
北のゼフィーリア王国、南のケルン連邦という言い方があるように、この国は、南にあった。
(ヘムラック)を出て、五日。
四人は、ケルン連邦の北にある街にやってきた。
基本的には集団行動をとってはいたが、目的がそれぞれ違うので、食事の時と馬に乗っている時以外は、ばらばらの行動をとっていた。
ミンジェ、ハイヤル、センジェの三人は、物見遊山のため、観光名所を見に行き、レイシャスは、商店街をぶらついていた。
「いらっしゃい!!いらっしゃい!!」
「安いよ!!安いよ!!」
「そこのお人、お土産にいかが?」
店の呼びかけから買い物にきた主婦のおしゃべりまで、さまざまな声に満ちた喧騒の中を、気ままに歩く。
中央に噴水がある、広場に出た。
そこには、飛んできた鳩にえさをやる人、屋台でジュースなどを買う人がいた。
「おじさん。ジュースを一つ。」
「あいよ。銅貨五枚だよ。」
果物を絞って作ったジュースが入ったカップを手に、屋台のおじさんの手に銅貨を五枚置く。
木の下に座り、ジュースをちびちび飲んでいると、ぽろろろん・・・と竪琴がかき鳴らされる音がした。
見ると、派手な色の服を着た吟遊詩人が、竪琴をかき鳴らし、噴水のほうへと向かって来ていた。
何事かと、数人の子供がぱらぱらと集まった。
「さて!!皆々様、お聞きあれ!!今日は、伝説の魔道士、「魔を滅ぼす者(デモン・スレイヤー)、紅蓮の戦女神、リナ=インバースの武勇伝をお話いたします!!」
「リナ=インバース」の名を耳にして、さらに、客が集まる。
子供たちは、伝説の美女にして最強の魔道士の話が聞けるので、期待に目を輝かせている。
「皆様もお聞きでしょうが、リナ=インバースは、幼いころから天才と呼ばれた魔道士でした・・・・・」
その後は、よくある「英雄叙事詩(ヒロイック・サーガ)」と似たような話が続く。
天才と褒め称えられたリナは、成長するにつれて、美貌の名高い少女となった。
少女はある日、「貴女は、世界を救わねばなりません」という御神託を聞いて、旅に出ることを決心する。
御神託の通りに旅を続けると、天才剣士のガウリイという美青年に出会う。
二人は協力して、魔を滅ぼそうと誓い合う。
敵である魔に協力していた、ゼルガディスという青年を、「説得」によって味方につける。
さらに旅を続けるうちに、「御神託を聞いて、貴女に会うために旅をしていた」という巫女、アメリアと出会い、仲間となる。
四人は、ラスボスの悪の魔王との戦いで対峙する。
四人の「正義の力」をもってしても、魔王を倒すことは難しく、ゼルガディスとアメリアは傷つき、倒れた。
残る二人、リナとガウリイは、「どうすればよいのか」と御神託を下した存在に祈った。
すると、「魔を倒す、最強の呪文」を授けられた。
これを発動させるには、四人の協力が不可欠だという。
四人は、力を振り絞り、「最強の呪文」を発動させた。
「魔を倒す」という言葉に間違いなく、魔王を倒したが、四人は力尽きて死んでしまった。
しかし、これによって、世界は救われたのだ・・・・という話であった。
他にも、「魔道士を率いて、魔と闘う雄雄しい戦女神」だとか「紅蓮をまとい、破壊することに快感を獲ていたが、改心し、魔を倒すことに尽力した」とかいうパターンもあったりする。
聴衆は、血湧き肉踊る勇ましい話に、手に汗を握り、かつて魔であった青年、ゼルガディスと、神に仕える清楚な巫女、アメリアとの悲恋に涙し、リナとガウリイの最期の笑顔に、感動した。
話が終わったころには、泣いていないものはおらず、詩人が帽子を差し出すと、次々に、銀貨や銅貨が投げ入れられた。
祖母との話で、「リナ=インバース」という女魔道士を少しは知っている、レイシャスから見れば、うそ臭い事この上なしであった。
「ありがとうございました。」と吟遊詩人は、ばらばらと散って、去って行く聴衆に頭を下げた。
頭を上げた時、苦笑し、こちらを見ている、一人の老紳士がいた。
首をかしげていると、老紳士は首を振って深いため息をついた。
老紳士は、くるりと向きを変えると、すたすたとどこかへ行ってしまった。
吟遊詩人は、何か悪い事をしたような気分になって、うろたえたが、竪琴を懐にしまうと、そそくさと広場を出ていった。
レイシャスは気になった。
屋台のおじさんに、聞いてみると、「ああ、あの旦那。あの趣味の好い格好からすると、いいとこの旦那に間違い無いね。いつもここに来るんだよ。吟遊詩人による「リナ=インバース物語」の話を聞くと嫌な顔をするんでね、そんなに嫌なら、聞かなければいいのにねえ。」と答えた。
レイシャスには心当たりがあった。
あの端正な顔、碧色の切れ長の目、艶やかな銀色の髪。
一度だけ、サイラーグに訪れたことがある。
大国セイルーン王国、アメリア王女の夫、学者として名高い王族、ゼルガディス=グレイワーズに似ていたからであった。

「ゼルガディス=グレイワーズに会った!?」
春の象徴、咲き誇るアムネジアの花の絵を描いた看板で有名な、「春歌亭(しゅんかてい)」。
味にうるさいグルメの客のリピーターが多いことで知られている食堂で、レイシャスから老紳士の話を聞いた、ハイヤルが素っ頓狂な声を上げた。
ミンジェは顔色を変えずに、弟の足を踏んづけた。
痛みのあまりに、じんわりと目に涙を浮かべるハイヤル。
一瞬他の客がこちらに視線を向けたが、センジェが誤魔化すような笑みを浮かべると、「気のせいかな」と思ったらしく、再び食事に取り掛かった。
「あの、それ、本当なのですか?大国セイルーンの王族に会ったと言うのは?」
センジェが興奮を押さえた口調で聞いた。
彼女は、セイルーンの王女、アメリアの夫の名高い美貌に憧れているのである。
「さあ、どうでしょうか。本人かどうか聞いていませんし。」
レイシャスは、よくは似ているが、本人とも言い切れないので、言葉も歯切れが悪い。
「私は、本人ではないと思う。大国の王族ともあろうお方が、公務でもない限りこんな辺鄙な街に来ることは無いだろう。」とミンジェが、白身魚のソースがけを食べながら、冷静に言った。
ハイヤルは痛みから復活したらしく、兄に文句をつけようとしたが、「お待たせいたしました。ビーフステーキでございます。」
ウエイターが分厚いステーキを運んできた。
「あ、ここに置いてください。」
喜んだハイヤルは、フォークとナイフを持った瞬間、兄に足を踏んづけられたことを、すっかり忘れ去ってしまった。
食事の間中、ミンジェとハイヤル、センジェは、街の観光名所について話をした。
レイシャスは相槌を打ち、時々、分からないところを聞いたりした。
食事が終わると、それぞれに部屋に引き上げて、眠りについた。
レイシャスは、あの老紳士は本物の王族なのかと悩んだが、そのうちに、深い眠りに入っていった。

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22476Re:おつかい(六)ドラマ・スライム 2002/10/6 14:46:29
記事番号22475へのコメント

星空さんは No.22475「おつかい(六)」で書きました。
>
>     おつかい(六)
>盗賊団を追い払ったので、街の人に熱烈な歓迎を受けた、ミンジェ、ハイヤル、センジェ、レイシャスの四人。
>街による歓迎の宴が開かれたので、二日停留することになった。
>レイシャスは、長老に街の名前と位置を聞くと、(ヘムラック)という名で、南のほうにあるという。
>街の人々に見送られて、四人は北へと旅立った。
>
>
>ケルン連邦。
>北のゼフィーリア王国、南のケルン連邦という言い方があるように、この国は、南にあった。
へえーーーーーー
>(ヘムラック)を出て、五日。
>四人は、ケルン連邦の北にある街にやってきた。
>基本的には集団行動をとってはいたが、目的がそれぞれ違うので、食事の時と馬に乗っている時以外は、ばらばらの行動をとっていた。
>ミンジェ、ハイヤル、センジェの三人は、物見遊山のため、観光名所を見に行き、レイシャスは、商店街をぶらついていた。
>「いらっしゃい!!いらっしゃい!!」
>「安いよ!!安いよ!!」
>「そこのお人、お土産にいかが?」
>店の呼びかけから買い物にきた主婦のおしゃべりまで、さまざまな声に満ちた喧騒の中を、気ままに歩く。
>中央に噴水がある、広場に出た。
>そこには、飛んできた鳩にえさをやる人、屋台でジュースなどを買う人がいた。
>「おじさん。ジュースを一つ。」
>「あいよ。銅貨五枚だよ。」
>果物を絞って作ったジュースが入ったカップを手に、屋台のおじさんの手に銅貨を五枚置く。
>木の下に座り、ジュースをちびちび飲んでいると、ぽろろろん・・・と竪琴がかき鳴らされる音がした。
>見ると、派手な色の服を着た吟遊詩人が、竪琴をかき鳴らし、噴水のほうへと向かって来ていた。
>何事かと、数人の子供がぱらぱらと集まった。
>「さて!!皆々様、お聞きあれ!!今日は、伝説の魔道士、「魔を滅ぼす者(デモン・スレイヤー)、紅蓮の戦女神、リナ=インバースの武勇伝をお話いたします!!」
どんな噂だろうか
>「リナ=インバース」の名を耳にして、さらに、客が集まる。
>子供たちは、伝説の美女にして最強の魔道士の話が聞けるので、期待に目を輝かせている。
>「皆様もお聞きでしょうが、リナ=インバースは、幼いころから天才と呼ばれた魔道士でした・・・・・」
>その後は、よくある「英雄叙事詩(ヒロイック・サーガ)」と似たような話が続く。
>天才と褒め称えられたリナは、成長するにつれて、美貌の名高い少女となった。
大嘘。
>少女はある日、「貴女は、世界を救わねばなりません」という御神託を聞いて、旅に出ることを決心する。
をひをひ。
>御神託の通りに旅を続けると、天才剣士のガウリイという美青年に出会う。
>二人は協力して、魔を滅ぼそうと誓い合う。
>敵である魔に協力していた、ゼルガディスという青年を、「説得」によって味方につける。
>さらに旅を続けるうちに、「御神託を聞いて、貴女に会うために旅をしていた」という巫女、アメリアと出会い、仲間となる。
>四人は、ラスボスの悪の魔王との戦いで対峙する。
>四人の「正義の力」をもってしても、魔王を倒すことは難しく、ゼルガディスとアメリアは傷つき、倒れた。
>残る二人、リナとガウリイは、「どうすればよいのか」と御神託を下した存在に祈った。
>すると、「魔を倒す、最強の呪文」を授けられた。
>これを発動させるには、四人の協力が不可欠だという。
>四人は、力を振り絞り、「最強の呪文」を発動させた。
>「魔を倒す」という言葉に間違いなく、魔王を倒したが、四人は力尽きて死んでしまった。
>しかし、これによって、世界は救われたのだ・・・・という話であった。
>他にも、「魔道士を率いて、魔と闘う雄雄しい戦女神」だとか「紅蓮をまとい、破壊することに快感を獲ていたが、改心し、魔を倒すことに尽力した」とかいうパターンもあったりする。
悪い噂ばかりでは無いんですね。(これをリナに聞かせばどうるだろうか)
>聴衆は、血湧き肉踊る勇ましい話に、手に汗を握り、かつて魔であった青年、ゼルガディスと、神に仕える清楚な巫女、アメリアとの悲恋に涙し、リナとガウリイの最期の笑顔に、感動した。
>話が終わったころには、泣いていないものはおらず、詩人が帽子を差し出すと、次々に、銀貨や銅貨が投げ入れられた。
>祖母との話で、「リナ=インバース」という女魔道士を少しは知っている、レイシャスから見れば、うそ臭い事この上なしであった。
>「ありがとうございました。」と吟遊詩人は、ばらばらと散って、去って行く聴衆に頭を下げた。
>頭を上げた時、苦笑し、こちらを見ている、一人の老紳士がいた。
>首をかしげていると、老紳士は首を振って深いため息をついた。
>老紳士は、くるりと向きを変えると、すたすたとどこかへ行ってしまった。
>吟遊詩人は、何か悪い事をしたような気分になって、うろたえたが、竪琴を懐にしまうと、そそくさと広場を出ていった。
>レイシャスは気になった。
>屋台のおじさんに、聞いてみると、「ああ、あの旦那。あの趣味の好い格好からすると、いいとこの旦那に間違い無いね。いつもここに来るんだよ。吟遊詩人による「リナ=インバース物語」の話を聞くと嫌な顔をするんでね、そんなに嫌なら、聞かなければいいのにねえ。」と答えた。
>レイシャスには心当たりがあった。
>あの端正な顔、碧色の切れ長の目、艶やかな銀色の髪。
>一度だけ、サイラーグに訪れたことがある。
>大国セイルーン王国、アメリア王女の夫、学者として名高い王族、ゼルガディス=グレイワーズに似ていたからであった。
>
>「ゼルガディス=グレイワーズに会った!?」
やはり肌は岩なのでしょうか
>春の象徴、咲き誇るアムネジアの花の絵を描いた看板で有名な、「春歌亭(しゅんかてい)」。
>味にうるさいグルメの客のリピーターが多いことで知られている食堂で、レイシャスから老紳士の話を聞いた、ハイヤルが素っ頓狂な声を上げた。
>ミンジェは顔色を変えずに、弟の足を踏んづけた。
>痛みのあまりに、じんわりと目に涙を浮かべるハイヤル。
>一瞬他の客がこちらに視線を向けたが、センジェが誤魔化すような笑みを浮かべると、「気のせいかな」と思ったらしく、再び食事に取り掛かった。
>「あの、それ、本当なのですか?大国セイルーンの王族に会ったと言うのは?」
>センジェが興奮を押さえた口調で聞いた。
>彼女は、セイルーンの王女、アメリアの夫の名高い美貌に憧れているのである。
>「さあ、どうでしょうか。本人かどうか聞いていませんし。」
>レイシャスは、よくは似ているが、本人とも言い切れないので、言葉も歯切れが悪い。
>「私は、本人ではないと思う。大国の王族ともあろうお方が、公務でもない限りこんな辺鄙な街に来ることは無いだろう。」とミンジェが、白身魚のソースがけを食べながら、冷静に言った。
>ハイヤルは痛みから復活したらしく、兄に文句をつけようとしたが、「お待たせいたしました。ビーフステーキでございます。」
>ウエイターが分厚いステーキを運んできた。
>「あ、ここに置いてください。」
>喜んだハイヤルは、フォークとナイフを持った瞬間、兄に足を踏んづけられたことを、すっかり忘れ去ってしまった。
>食事の間中、ミンジェとハイヤル、センジェは、街の観光名所について話をした。
>レイシャスは相槌を打ち、時々、分からないところを聞いたりした。
>食事が終わると、それぞれに部屋に引き上げて、眠りについた。
>レイシャスは、あの老紳士は本物の王族なのかと悩んだが、そのうちに、深い眠りに入っていった。
それでは〜

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22477おつかい(七)星空 2002/10/6 15:19:11
記事番号22453へのコメント

       おつかい(七)
ケルン連邦の北にある街にやって来た、ミンジェ、ハイヤル、センジェ、レイシャスの四人。
三人の兄妹は、観光名所を見に行ったが、レイシャスは、広場に行っていた。
そこで、「リナ=インバース」武勇伝を話す吟遊詩人が現れたが、話の内容は、彼女を少しだけは知っているレイシャスから見れば、嘘と言える物であった。
同じような思いをしていたらしく、一人の老紳士も苦笑していたが、レイシャスは彼を見て驚いた。
かつて、サイラーグ・シティを一度だけ訪ねてきた時に、知っていた顔、大国セイルーン王国の学者王族、ゼルガディス=グレイワーズに似ていたからであった。

わおーん、と何処かで犬が鳴いた。
真夜中である。
何処の家でも明かりを消して、住民は眠りについていた。
レイシャスも、「春歌亭」の一室でぐっすりと眠っていた。
ふかふかのベッドに、清潔なシーツ。
レイシャスは布団に包まっていたが、急に目を覚ました。
「喉が乾いた・・・」
むくっとベッドから身を起こすと、ゆっくりとドアを開け、ふらふらと廊下を歩いて、裏にある井戸に向かおうとした。
ハイヤルの部屋を通り過ぎると、があーっ、ごおーっと鼾が外まで響いていた。
「うるさいなぁ・・・もぉ」
続いてミンジェの部屋を通り過ぎる。
ここからは鼾は聞こえず、すーっ、すーっと安らかな寝息が聞こえた。
センジェの部屋も同じだが、寝返りでも打っているのか、ベッドがきしむ音がした。
いくつかの部屋を通り過ぎて、廊下が切れた。
ドアも何もなく、壁しかない。
「あれ?おかしいなぁ・・・」
レイシャスの頭の中では、ここに裏庭に通じるドアがあるはずだが、自分が寝ていた部屋が二階だということをすっかり忘れていた。
ドアがあるはずの壁を押したが、一向に開かないので、叩き始めた。
「うるさいぞ!!」と音に気づいたハイヤルが、ドアを勢いよく開いて、出てきたが、レイシャスを見て眉をひそめた。
「おい、どうしたんだ?」
とにかく止めさせようと、近づいて肩に手をかけたハイヤルは、レイシャスを抱えて、横に飛んだ。
先ほど二人がいた場所を、ステッキが通り過ぎた。
持ち主は、今日の昼、レイシャスが広場で見た老紳士である。しかし、暗いので、ハイヤルには相手の顔は見えない。
「何をする。」
姿は見えないが、気配で相手が何処にいるのかわかる。
相手の腕が油断なら無いと気づいた、ハイヤルが身構える。
老紳士は、「ライティング!!」と叫び、明かりを天井に放った。
煌煌と天井に光る球は、眠気の覚めたハイヤルと、眠っているレイシャス、老紳士三人の顔を照らし出した。
老紳士は二人の顔を見て、「失礼した」と一言詫びると、すぐに階段を駆け下りて外に出ていった。
「何だったんだ?さっきのは?」
ハイヤルが呟いた。腕の中で眠っているレイシャスに気づいて、「こいつが起きていたら、今日の昼に会った、あの老紳士か確認できたのになあ。」と思った。
ハイヤルはレイシャスを部屋に戻した。
その後、自分の部屋に戻ったが、また、何かあるかもしれないと緊張したまま寝たので、翌朝起きた時には、目は赤く、兄と妹、レイシャスから「どうしたんだ」と聞かれたが、誤魔化した。

「おい、また吟遊詩人が来ているぞ。」
ハイヤルが指差した先には、広場の噴水で竪琴をかき鳴らして、物語を披露する派手な服を着た男がいた。
レイシャスが、昨日の昼に見た男と違ったが、話は「リナ=インバース武勇伝」であった。
昨日と同じように客が来ていたが、あの老紳士はいなかった。
「いつも、同じ位の時間には、必ず来ていたんだけれどもねえ。風邪でも引いたのかな。」
屋台のおじさんは、四人にジュースを渡しながら、さびしそうに呟いた。
「そうですか。どうしたんでしょうね。」
レイシャスもしんみりとした口調で言った。
その後ろで、ハイヤルは、昨夜見た老紳士はいったい何者なのかと考え込んでいた。


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22478おつかい(八)星空 2002/10/6 15:54:29
記事番号22453へのコメント

           おつかい(八)
ケルン連邦の北にある街で、謎の老紳士に出会った、レイシャス。
その老紳士に襲撃されたハイヤルは、何者なのかと悩むが、四人はそのまま、北へと進むことにした。



「ひょんぎゅらぶるえっぽああああっ!?」
しょっぱなからわけのわからない悲鳴を上げているのは、レイシャス。
「んあああああっ!?そっくりいいいっ!?」
こちらはハイヤルだが、ミンジェに足を踏まれて、フラミンゴダンスを路上で踊っているところである。
センジェも驚いているが、ハイヤルと違い、悲鳴を上げることはしなかった。
一人冷静なのは、ミンジェだけという異常な状態。
四人は、村の人が後々までその功績を語り継ごうと、建立した像の前にいた。
像のモデルとなったのは、現代の五大賢者のうちの一人と名高い、赤法師。
表では聖人君子で通ってはいるが、裏では悪の大王として君臨した、レゾである。
「よく似ているな。まさか、レイシャス、君は、彼の身内なのかね?」
「いっ、いいえ、とんでもない!!違いますよ!!」
首をブンブン振って否定するレイシャス。
「そうか。それにしては、ぼろいな。」
ぼろいな、とミンジェが言ったのは銅像の損壊のひどさを指している。
以前はもっと大事にされていたそうだが、最近では、掘り尽くした銅を取るためにあちこち削られていたりする。
「嘆かわしい。人を救った聖者の像といえども、この有様だ。」
ゼルガディスがこれを知ったら、「同感」と言うだろう。
作者の勝手な考えだが、彼は祖父の裏の顔も知りぬいてはいるが、人を救ったことも無かったことにはしてほしくないと考えるのではないだろうか。
「で、どうするんだよ。銅像を見て驚きの舞を踊るために来たんじゃないだろ?」
「それもそうだな。」
彼ら四人がここにいるのは、ハイヤルが指摘した通り、驚きの舞を踊るためではなく、この先にある寺院を訪れるためである。
なぜかというと、宿が無いからである。
野宿になるのかと思っていたが、「寺院がある」という村人の一言で、喜んだ。
道しるべとなるのは、寺院の近くに立てられた銅像だと言うので、その通りに進んだら、銅像のモデルとなった人間に驚いたということである。
「あ、向こうに大きな建物がありますよ。あれが寺院でしょうか?」
「たぶんな。」
レイシャスが今まで見てきた寺院といえば、ギリシャにある神殿みたいな建物が多かったので、丸いドームがついた寺院は初めてなのである。
「さて、行きましょうか。」
四人は、寺院に向かって進んだ。

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22482Re:おつかい(八)ドラマ・スライム 2002/10/6 18:42:46
記事番号22478へのコメント

星空さんは No.22478「おつかい(八)」で書きました。
>
>           おつかい(八)
>ケルン連邦の北にある街で、謎の老紳士に出会った、レイシャス。
>その老紳士に襲撃されたハイヤルは、何者なのかと悩むが、四人はそのまま、北へと進むことにした。
>
>
>
>「ひょんぎゅらぶるえっぽああああっ!?」
>しょっぱなからわけのわからない悲鳴を上げているのは、レイシャス。
>「んあああああっ!?そっくりいいいっ!?」
>こちらはハイヤルだが、ミンジェに足を踏まれて、フラミンゴダンスを路上で踊っているところである。
>センジェも驚いているが、ハイヤルと違い、悲鳴を上げることはしなかった。
>一人冷静なのは、ミンジェだけという異常な状態。
>四人は、村の人が後々までその功績を語り継ごうと、建立した像の前にいた。
>像のモデルとなったのは、現代の五大賢者のうちの一人と名高い、赤法師。
>表では聖人君子で通ってはいるが、裏では悪の大王として君臨した、レゾである。
レゾ・・・。
>「よく似ているな。まさか、レイシャス、君は、彼の身内なのかね?」
>「いっ、いいえ、とんでもない!!違いますよ!!」
>首をブンブン振って否定するレイシャス。
>「そうか。それにしては、ぼろいな。」
>ぼろいな、とミンジェが言ったのは銅像の損壊のひどさを指している。
>以前はもっと大事にされていたそうだが、最近では、掘り尽くした銅を取るためにあちこち削られていたりする。
それも一種の救済?
>「嘆かわしい。人を救った聖者の像といえども、この有様だ。」
>ゼルガディスがこれを知ったら、「同感」と言うだろう。
>作者の勝手な考えだが、彼は祖父の裏の顔も知りぬいてはいるが、人を救ったことも無かったことにはしてほしくないと考えるのではないだろうか。
>「で、どうするんだよ。銅像を見て驚きの舞を踊るために来たんじゃないだろ?」
>「それもそうだな。」
>彼ら四人がここにいるのは、ハイヤルが指摘した通り、驚きの舞を踊るためではなく、この先にある寺院を訪れるためである。
>なぜかというと、宿が無いからである。
>野宿になるのかと思っていたが、「寺院がある」という村人の一言で、喜んだ。
>道しるべとなるのは、寺院の近くに立てられた銅像だと言うので、その通りに進んだら、銅像のモデルとなった人間に驚いたということである。
>「あ、向こうに大きな建物がありますよ。あれが寺院でしょうか?」
>「たぶんな。」
>レイシャスが今まで見てきた寺院といえば、ギリシャにある神殿みたいな建物が多かったので、丸いドームがついた寺院は初めてなのである。
>「さて、行きましょうか。」
>四人は、寺院に向かって進んだ。
では〜
>

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