◆−神様のお買い物 〜プロローグ〜−あんでぃ (2002/4/24 23:26:16) No.20659
 ┣神さまのお買い物 1−あんでぃ (2002/4/26 23:23:33) No.20671
 ┣神さまのお買い物 2−あんでぃ (2002/4/28 03:42:11) No.20681
 ┃┗どきわくっ☆−みてい (2002/4/28 15:36:50) No.20687
 ┃ ┗ご期待にそえるよう・・・・・・・・努力だけ(笑)←こら−あんでぃ (2002/4/28 21:55:21) No.20693
 ┗神さまのお買い物 3−あんでぃ (2002/5/3 14:51:58) No.20738
  ┗神さまのお買い物 4−あんでぃ (2002/5/6 21:33:47) No.20754


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20659神様のお買い物 〜プロローグ〜あんでぃ URL2002/4/24 23:26:16


お久しぶりです。って、はじめましての方が多いですよね、はじめましてですっ(ぺこり)投稿小説の2でお世話になっているあんでぃでございます。

 えー、何とか方向性が決まったので投稿させていただきます!ガウリナな感じです。ゼルとアメリアのバージョンがあるのですけど、登場人物を増やして収集できるかどうか自信がなくなってしまいまして(汗)←力不足。
 ・・・・・・・・・・・努力はしたいです←待て。


そんなこんなでプロローグ。楽しんでいただけたら幸いですっ(> <)

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■




どうして、私を見ない?

「大丈夫ですか?あああ、ここにも怪我してます!!」
「これくらいの怪我なんてどうって事ないさ。お前こそ一応女の子なんだ、大丈夫なのか?」
「一応って・・・・・・平気です♪こう見えても私って丈夫なんですから」

こんなにも愛しているのに

「だが、あんまり無理するなよ」
「でも、あんまり無理ないでくださいね」

お前は、私じゃない人間を見ている。

「そろそろ行かないと・・・・・」
「まだいいだろ?もう少しだけ・・・・・」
「それじゃあ、もう少し・・・・・そうしたら、また頑張りましょう」

私を見てくれ

「誰っ?!」

憎らしくて、愛しい・・・・・・

「どうした?」

ああ、哀れな。
あの者の正体も知らずに・・・・・・

「・・・・・・・なんだか、誰かに見られているような気がしたんです」
「・・・・・・・・気のせいだろ?」

お前を手に入れるそのためには、俺はなんでもしよう・・・・・・・・・






「君も僕と同じだね。でも僕は、彼だよ」




















【神さまのお買い物】




















「出ちゃったわね。セイルーン」
「ああ」
 アメリアは元気かしら?・・・・・いろんな意味で少し心配ね。まあゼルは男だし、身体が岩だから大丈夫だろうけど。

ちくちくちくちく

あたしはこれからどうしよう?
別に何をしてもいい、あたしは自由。
でも、自由って言うものは・・・・・実は動きを束縛する見えない枷。




――――何をしてもいいんだよ。
――――だったらまず何をすればいいの?
決められないのは、あたしの弱さ。



ちくちくちく・・・・・・・・ちくん



どこかを刺したみたいに、何故か痛い。
『目的の無い旅もたまには良いか。』
あんたはそう言ったわね。
それって保留ってこと?何も言ってくれないの?待ってるのに



ちくんちくんちくんちくんっ・・・・・



自由って言うのも辛い。でも、全く自由が無い人にとってはとっても贅沢な話。
罪悪感、不安感。
ああもういやだ。
・・・・・・・・開放感を味わうはずの今の時、何故負の感情が積もるの?
ふう。



ちくん、ちくん、ちくん、ちくん、ちくん、ちくん・・・・・・・



痛いってば。止まれ、止まれ
「リナー。手が止まってるぞー。ため息つく暇あるなら早く縫っちゃってくれー」
「・・・・・・・・・・・・なによ、やっぱりあんたが悪いんじゃない」
「なに?」
「なんでもないわよ、馬鹿」
八つ当たりをしてからいつの間にか止まっていた縫い物を再開する。



ちくちくちくちく



「そうよ、あたしが言っても別にいいのよね」
自由なんだから。
針を動かす手を止めて、青い布地を見つめて呟いた。
「何を?」
こんな気持ちになるのならいっそ言ってしまった方が良いかもしれない。言うも言わないも、自由よ。
不思議な顔をする相棒に顔を向け、あたしは口を開いて一瞬止まる。しばらく考えてから・・・・・ため息をつき、あたしは再び口を開いた。
「じゃあ言うわ・・・・・・・・な・ん・で、あたしがあんたの服を繕ってやらにゃいけないのよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!二十文字以内で完結に言って御覧なさい!!」
「お前さんの方が上手そうだから」


すぱぱぱぱぱ-――――――ん!!


その右手にはタオル地の可愛らしいクマさんのスリッパが握られていた。ふかふかもこもこで音が悪いんじゃない?と心配してくださったそこのあなた、中にちゃんと板を仕込んでたりするのでご心配なく。
ちなみにこれはどこの物かというと、セイルーンのアメリアの部屋からぱちくって来てしまってたりする。他にもうさぎさんのやら、ブタさんのやらいろいろあったので、良しとしようじゃないか。うん。
って、あたしは今それどころじゃないのだ。
「確かにっ あんたよりあたしの方が上手いでしょうねっ!!それは自信を持って言える!!」
「な?なら良いじゃないか、減るもんじゃなし」
「最近というか最初からというか・・・・・あんたは謙虚という気持ちを記憶と一緒にどこかに飛ばしてないかしら? ・・・・・・・それとももう一回叩かれたい?」
「いえ、すみません・・・・・天才美少女魔道士様」
「よろしい」
再びスリッパを構えたあたしにガウリイは慌てて謝罪する。
酷いもんよね。まったく。



酷いもんよね。まったく。ああ、やっぱり言えない。
待つしかできないなら、苦しまなくちゃダメなのね。きっと
――――――きっとこれは勇気が出せない自分への代償。



「・・・・ったく、そう思うんだったらしばらく黙っときなさい。あたしは忙しいの」
「忙しいのかぁ?」
「・・・・・・文句あんの?」



そうね、もうしばらくこれでも許してあげる。
いつか、遅いよ、馬鹿。って怒ってやるけどね。



「何にしても、早いところ終わらせて、旅続けましょ」
「そうだな。期待してるぞ、リナ。いいかげん寒いんだ」
「あい。ってねー・・・・あんたが代わりの服着ればいい話じゃないのよ」



結局、こいつはあたしに言わせる気なのかもね。
だったら、いつになるかなんて責任は持たないわ。知らないもんね、だ。



まあ、今は『自由』に行きましょ。
こうしてささやかに穏やかな時は流れていく―――――――――――――













「・・・・・・・どうして、こんなことするのでしょうね」

「少しはまわりを見なさいよ、みっともないわね」

「あなたは自分のことを神よりも偉いものだとでも思っているのですか?」

「相手を思うなら、相手を思いやる事を忘れちゃダメだろ?」

「私は神の落とし子。そしてここは私の、神の国。いかなるものであろうとも口出しは許さぬ!!」

「神の落とし子・・・・・神に捨てられた者ということですか?あなたは今度は何をして、今度は誰に見捨てられる気なのですか?」

「俺はあなたを殺すためにここに来た!!」

「なぜ、私だけを見なかった?そうすればこんな事には・・・・・・・」

「そんな事、考えなくても分かる。無理に決まっているだろう。馬鹿は何もかもが手遅れになる寸前にならないと分からないのか?」











神?

神の落とし子?


あなたは神の子供だというのか?

そうならば、神は要らない。

神は不要。


少なくとも、私にとっては。

私に必要なものは、私が望んでいるものは、そんな遠い存在じゃない。
それに、もっと早く気付いてくれればよかったのに・・・・・・・・






□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

ちなみに「天才美少女魔道士」なのか「美少女天才魔道士」なのか迷った私がいます(待て)
出来れば、早めに続きを出したいです・・・・・・(希望)

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20671神さまのお買い物 1あんでぃ URL2002/4/26 23:23:33
記事番号20659へのコメント

     ―――――――――そこは、漆黒に塗られた空間だった。


     ここはどこだろう?
     俺は誰なんだ?


     全くと言っていい程に状況を理解できなかった。彼は暫くの間そこで立ち尽くす。


     「目が覚めたかな?」


     突然かけられたその言葉のもとへ視線を走らせようとして・・・・・・・気付く。


     この場所に感覚というものが存在しない事を――――――――
     そして今の自分に実体が無いと言う事を―――――――――



     声のもとへ視線を走らせたつもりになると、なぜだかちゃんとそうできた気がした。
     そこにいたのはひとりの少年。
     彼はにこりと笑うと口を開いた。

     「はじめまして、僕は君のことをずっと待っていたんだ」
























『神さまのお買い物』




























 夕闇に残像を残す一対の鳶色の光。
森の中をすり抜ける細い影。しかしそれは時折よろけて、そのたびに必死に体勢を立て直す。何があっても、決して足は止まらない。
 もともとぼろぼろで、もともと質素なその服は、草や木の枝でトドメを刺さされ、見るも無残に切り裂かれ、彼のその骨ばった肌を晒していた。暗闇に映える鳶色の瞳は、限界をとっくに超えた疲労によって潤んでいたが、その中にある強い決意は変わらない。
「はぁっ、はぁっ、はぁっっ!!はぁっ・・・」
変わらないからこそ細い身体を懸命に動かして必死に逃げる。




逃げないと、誰も助けてくれないなら。
逃げて―――――全てはそれからだ。





『いたぞっ!!こっちだっ!!』
『早く捕まえろ!この事が他国にもれたら何を言われるか!!』
『そんな事知るかっ!!我々はいかなる国の干渉は受けんっ!!』
『"セレイブ"ごときが生意気な!!決して許さん!!』





俺は負けない。
良いところに生まれたら、ただそれだけであんた達は神さまよりも偉いのか?
あんた達に俺は絶対に負けない!!

頭が悪くたって、強くなくたって、良い家に生まれてなくたって。
俺たちは生きているんだ!!



彼はただ走った。





















 さらさらと流れる大きいとは言えない河のほとり。青い空、かすかに聞こえる鳥のさえずり。そんな良い天気の日にはゆっくり空を眺めていたいものであるが・・・・・・・そうは行かないのが世の常なのか。
くそぅ、何であたしがこんな目にっ。

ちくちくちくちく

「沿岸諸国連合にはいかなる国の干渉も受けない独立したひとつの国があるの。いわゆる永世中立国ってやつね」
「えせちゅうこく?」
「違うっ!!え・い・せ・い・ちゅ・う・り・つ・こ・く。わかった?」




永世中立国
いかなる国とも敵対せず、また友好条約をも結んだりしない。周囲と関わる事を避けることで平穏を手に入れる国の事だ。
まあ、生きるために必要最低限の貿易くらいならしているのかもしれないが、政治的な干渉は一切拒否する国のことである。




ちくちくちくちく

「連合の中にあるのにいかなる干渉も受けない?なんだそれ?というか意味がわからん」

ちくちく・・・・・・・って、こらマテ

 でも、まあ言われてみたら分かりにくい説明かもしれない。頭の寂しい――――決してハゲてるわけじゃない、念のため―――――相棒でもあるし、まあ無理ないことなのかもしれない。
「うーみゅ・・・・・・・」
一緒に旅をしている相棒に向かってできるだけ分かりやすいように説明をしようと言葉を選びながら、あたしは手に持った糸をくるくると巻いた。固く結んでから糸を歯でぶつりと切るとそれを相棒に渡す。
「うーん、確かに訳のわからない事だとは思うけど、簡単に言うと・・・・・沿岸諸国連合の中一つの国が一回崩壊して、もう一度その国が立ち上がったときに連合から独立して今の国ができたって事かしら?」
「うーん、ふーん?」
相棒は礼を言ってからあたしから受け取ったものを首に通し、分かったのか分かってないのか曖昧な返事をする。あたしは針をしまいながら分かったのかと問い返そうとするが、いつものことなのであえて気にしないことにする。
・・・・・・・自分でも分かりにくいかもって思ったし。
「・・・・・まあいいわ、その国に行くつもりはないしね。それより早く次の町に行っちゃいましょ。木の枝に引っかけて服を破っちゃうような人のせいで明るいうちに着くかわからないけ・ど・ね」
立ち上がりながら精一杯の嫌味を込めながらそう言って、ちらりと相棒を見たが、服を破ってしまったその相棒は慌ててあたしから視線を外した。

人が苦労して簡単に説明した事や破れた服を繕ってやった恩をちゃんと感じてるのか?こいつ・・・・

相棒に対して、さすがになにか言ってやろうと口を開きかけたその途端――――――――――
「うあ?!」


がささささささっ!!


「っ!!」
『!!』
 突然あたしたちの耳に流れ込んだのは平和なせせらぎとは無縁の小さな悲鳴、喧騒、破壊音。突然の殺気に身構えたところに姿を出したのは、あたしたちの目の前でぼろぼろになって倒れこんだ少年が一人――――――だけでは無かった。
 姿を現したのは少女とは対照的に綺麗な服を着た、しかし剣や槍など物騒な武器を持った複数の男たち。そして、そいつらはお世辞にも友好的な雰囲気ではなかった。
「何だ貴様らは!!邪魔をするな!!」
「邪魔をするなって・・・・・なぁ、リナ」
 豪華な男たちの言葉に頬をぽりぽりと掻きながら、相棒はあたしに向かって困ったように言ってきた。あたしはその言葉を無視して取り出しかけたスリッパを懐にしまいなおす。マントを外し、そのマントで今しがた倒れた少年をマントでくるむ。あたしが触れた瞬間に、びくりとこちらに向かって顔を上げた少年は、一つ一つは大きいとは言えないが、全身に広がるその傷による出血のせいか青褪めた顔をのぞかせる。
 彼に向かって小さく笑顔を向けると、ふらつく彼をそれでも何とか立ち上がらせて川のもとへ移動させる。そしてあたしは未だに荒い息をしている彼にゆっくりと水を飲ませてやった。ハンカチを水で濡らして顔についたを拭いてやりながら、さっきからぎゃーぎゃー五月蝿い男たちをちらりと見る。



 今この状況で、どちらが正しいだなんてわからない。でも、あたしは人間だから、やっぱり感情で動いてしまう。
彼を助けたいと思ったから助ける。きっと相棒もそうだ。



この格好からして礼金は期待できない。
また、厄介ごとに巻き込まれたかなぁ・・・・・・でも、放っておく訳には行かないだろう。

だって・・・・・・・なんか、このまま放っておくのは嫌だった。

それに、あたしは今『自由』なの。何をしようと勝手でしょう?
ねぇ?相棒さん。
「ガウリイ、とりあえずそのへん五月蝿いから黙らせて」
「ああ」
その一言の後、程なくしてあたりは静かな元の風景に戻った。足元に『なぜか』目を回している邪魔なものは転がっていたが。



























「さて、ここまで来れば大丈夫よね。一体何があったわけ?・・・・・・・・・あ、挨拶がまだだったわね。いきなりこんな事を聞くのは失礼だったわ。あたしはリナ=インバース、こっちはガウリイ=ガブリエフ。よろしく」
 あの場から離れ、とりあえずはあの男たちことを撒けただろう。
一息ついてから、あたしはできるだけ相手を刺激しないようにゆっくりとあたしのマントを羽織った少年に向かって言った。
「えと・・・・・・・助けてくれてありがとう」
しばらくして、ガウリイの服を借りた少年は苦笑を浮かべ、そうあたし達に礼を言った。
「ところで、ここはどですか?沿岸諸国の領地内?・・・・・・って、あ、いや・・・・・・助けてもらっていきなりこんな事を聞くのもなんだけど」
「?・・・・・・・ここは、セイルーンと沿岸諸国のちょうど境い目、ってところかしら?・・・・ところで、あいつらは何?それに、貴方の名前は?」
「いいんですか?事情を聞くなら巻き込みますよ?」
質問したあたしにぶかぶかの袖をまくりながらしれっと彼女は答えた。

『巻き込まれる』じゃなくって『巻き込む』か・・・・・・ってかさっきまで震えてた人間のセリフじゃないって。ならば、こちらも気を抜くわけには行かぬだろう。礼金・・・・とは行かなくとも、僅かでも謝礼の為に。

「大丈夫よ。聞いた後に考えてヤバそうだったら逃げるから」
「無理です」
あたしの『好奇心も満たされてさらに厄介事からさようなら☆計画』は彼のミもフタも無い一言であっさりと砕かれた。
「だって、きっと貴女はこの事件から離れられない」
「何故?」
「俺がそうだと、思ったから」
ガウリイの問いに彼はそれだけ答えた。
「・・・・・・・もしかして、カン?」
「ええ、獣の勘とでも言っておきます」
あたしは大きく溜息をついた。ガウリイみたいな奴だ、とのんきに考えながら。
「事件なんて知らないし。関わるか、関わらないか、そんなのはあたしが決めるわ」
その言葉に彼は何も言わずに頷いた。



何があるかなんて、あたしには分からないし。
この先何があるかなんていうのも、あたしは知ったことじゃないし。
今のあたしは『自由』なのだから。
あたしは、あたしがしたいままにする。



思わずふい、と目を逸らしたあたしに、彼はのんびりと笑顔で言った。
「改めて、助けてくださってありがとうございます。あ、自己紹介がまだでしたね。はじめまして、俺は永世中立国『エーグマティ』の"セレイブ"です。
僕は"セレイブ"ですから、名前はありません」
「名前が無い・・・・・・・?」
その言葉にあたしとガウリイは思わず顔を見合わせた。







 永世中立国『エーグマティ』
沿岸諸国連合から独立したひとつの国。いかなる国の干渉も受けない独自の文化を持つ国家。

永世中立国、そうこの国は世界的に中立という立場をとる。
どこの国にも関与せず、どこの国にも関与させない。

独自の文化。
 他の国から干渉がないために、周囲からはおかしい・・・・・もとい、変わっていると認識される文化さえも当然のように受け入れられる。
 それでごく普通に生活し続けている当の国民たちに恐らく疑問はないし、こちらから干渉できないためにそれを伝える術も無い。もちろんこのあたりは推測だが。



『何も変わらない』という名の平穏と引き換えに、時を止めた国。
―――――そう言い表せるかもしれない。










「俺はあの国の止まった時計を動かすために、あの国から逃げてきました」
彼は鳶色の瞳を隠すように伏せてそう言った――――――――








        涙で生まれた魔物は

        苦痛の霧を晴らせた?

        私は大きくなって

        剣や弓の在り処も分かるけれど








けれど、一人じゃ何もできないって事は
自分が一番、痛いほど分かるから。
だから、剣を、弓を、力を、探すんだ。






















「僕は、君をとても気に入っているんだよ」






■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□


ついに出してしまいました。一話です。一話ですよ。まだ四話までしか書き終えていない私が(笑)←待てってばコラ


このお話でも、歌詞を一部引用させて頂きました♪
鬼束ちひろさんの『LITTLE BERT RIFLE』です。
この曲ってあれですよね。神さまに反旗をひるがえす一歩手前の、天使たちって感じがしないですか?私のこの話のイメージはまさにそれですので♪途中まで。(爆弾発言)

ちなみに私、この曲が新曲のときに私はこの話を書き始めたわけです←え?
つまりは時間がかかりすぎってコトです←ええ?
オリキャラ(?)さんは今回正体を明かすべく重要な発言をしました(笑)ものすごくさりげない所なので探してみていただけたりすると嬉しいですvv


次回がいつになるのでしょうか私(汗)きっと応援いただけたら頑張れますvv←待て。
それでは、ここまでお付き合い頂きありがとうございます!!あんでぃでしたっっ

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20681神さまのお買い物 2あんでぃ URL2002/4/28 03:42:11
記事番号20659へのコメント

「なあ、心配するなよ。大丈夫だ」

ねぇ、行かないで。

「死んじまう訳じゃないんだ。いつか会えるさ」

駄目、きっと・・・・・・・・・・・・もう会えない。だから行かないで。

「どうして・・・・・・・・・?」

どうして私たちがこんな目に遭うの? 酷いよ。酷い。

「この国に生まれた俺たちの宿命だよ。この国を変えない限り。俺たちに自由はないんだ・・・・・・・・」































 神さまのお買い物 2



























「"セレイブ"である俺は奴隷、だから財産はもちろん名前も無いっす。
―――――だって名前なんて必要ないでしょう?奴隷を使う奴はダース単位で俺たちを買って、使えなくなったら捨てる。そいつらにとって俺たちは道具同然の消耗品なんだからな」
 彼はトマトのリゾットをぐるぐるとかき混ぜて少し口をつけた。あたしたちに状況を説明する為のものなのだが、自分の言葉によって自分の現実を再確認させられたのかもしれない、さっきからうつむいたままずっと顔を上げない。



 あれからあたしたちは沿岸諸国からできるだけ離れようと、セイルーンとの国境に入り近くの村に落ち着いた。そして奴隷であったという彼に治療(リカバリィ)をかけてみて、決して彼が嘘をついていないのだと確信した。全身にある大量の傷、痣・・・・・・古いものから新しいものまで無数にあった。


奴隷なんて・・・・・・また時代錯誤なモンを・・・・

あたしはたこさんウインナーをフォークで刺したり抜いたりしながら彼の顔をじっと見つめた。
「なあリナ、えーぐま・・・・・ってさっきお前さんが話してた・・・・・」
「へ?ああ・・・・・・それを言うなら『エーグマティ』でしょ。そうね、あたしがさっき話した沿岸諸国から独立した永世中立国のことよ」
 不意に話をふられてあたしは驚いてガウリイの顔を見た。極力冷静に答えたつもりだが、何も言わずに頭をぽんぽんと叩かれる。

「俺は大切なひとを助けたい。あいつに買われちゃったら、もう終わりなんだ・・・・・・・だから、出来るだけ早く――――!」
『?』
突然口を開いた彼女から出たセリフにあたしとガウリイは顔を見合わせた。
「いい、今のは忘れてください。・・・・・・・永世中立国、良く言えばどの国とも敵対しない平和主義。悪く言えば誰の言う事にも耳を貸さない頑固な駄々っ子ってところかな・・・・・・・・」
リゾットをくるくるとかき混ぜると彼は言った。
「俺はあの国を終わらせたい。大切なひとを取り返すために。だから『あいつら』から逃げてきた。
お願いです。・・・・・・・力を、貸してください」
鳶色の鋭い光があたしたちにぶつかった。














彼の言葉をまとめると、きっとこうなるのだろう。
 『エーグマティ』は独自の政治体制を持っているそうだ。厳しい身分差別に議会政治。もちろん議員達はみんな貴族――― "ノヴィスト" 。
 平民――――"コモネス"や差別対象である奴隷"セレイブ"に政治的干渉はできない。そして、議員たちを束ねる国で一番の資産家である"統領"に、彼の命の恩人が買われてしまった、と。















「早く、早く助けないと・・・・・・・・・」
 彼は悲しげに目を伏せた。その顔からは焦燥が隠せずに苦い表情を浮かべていた。あたしは彼にかけるべき言葉が見つからずに、ガウリイを仰ぎ見た。
こういう時には何と言ってあげたら良いのだろう・・・・・・・?
「・・・・・・でもそのためには、まずメシからだぞ」
「へ?」
何故メシ?
あたしと彼はガウリイの突然の言葉を理解できずに首をかしげた。少しの間呼吸を止めて考え込んでから、不意に彼の言いたかった事を理解する。
なんだ、そういうことね。
「そうよ!腹が減っては戦はできぬってね♪」
あたしとガウリイの言葉にしばし迷った様子を見せたが、やがて彼は笑顔で頷くとトマトリゾットの攻略にかかった。
「ほれ、お前さんもな。食欲がないなんて、らしくないぞ」
「もがっ」
 口に入れられたのは、先ほどからあたしが刺したり抜いたりというフォークからの攻撃を受け続けて、もはや原形をとどめていないたこさんウインナ―だった。本来食べ物を粗末にするのはこれ以上無いくらいに自分の考えと反しているのだが、食べようとフォークを刺してみてもどうしても口に運ぶ事ができなかったので、刺したり抜いたりと穴ぼこだらけになってしまったのだ。
「おっ、リナ変な顔だぞ〜」
「むぐぐぐぐぐぐぅ・・・・・・・・・・・・・・・」
 どうしても飲み込む事ができずに、タコさんウインナーが喉に詰まって苦しい思いをしているあたしを見て、犯人であるはずのガウリイは笑った。


・・・・・・・悔しいけど、食欲が無い自分なんてあたしだってらしくないと思う。だったらたっくさん食べてやりましょ♪
 ガウリイの皿から食べ物を奪って-――――酷く文句を言われたような気がするが、そんな事は気にしないことにする。――――彼が驚いているのも気にせずに食べて食べて食べまくった。



腹が減っては戦は出来ぬ。
―――――――これからに備えなくてはいけないのだ。あたしは。



・・・・・・・その後にガウリイにはちゃんとタバスコをたっぷりとかけた七面鳥の丸焼きでたこさんウインナーの事に対しての報復してたりするのは乙女の内緒である。

































人は神さまじゃない

人は決して神さまになれない、なってもいけない、それを望んでもいけない。



なぜなら神さまはみんなを見なくちゃいけないから。いかなる存在をも、見なければならないから。
公平にしなくてはいけないから。

―――――――例えそれが影に生きるものであろうとも。





そんなの、人間には無理でしょう?

神さまは、

神さまは・・・・・・・・・・・・







それに、別に人は神さまになれなくても良い。
偉くなくても良いんだ。





     Because
     God is watching you
     God is holding your grief
     GOd is watching all shadow
     (なぜなら 神は貴方を見ているから 神は貴方の悲しみを抱いて 全ての影を見ているから)



だから、寂しくないよ。









人は神さまになってはいけない

神さまになれるわけがない





私は神さまが欲しいんじゃない

欲しいのは――――――――――



気付いて。























「大切な人を守りたいんです・・・・・・・・・・・自由が、欲しいんです・・・・・・・・・」

「僕が望むのは静寂。何よりも愛している貴女に、その静寂を貰う事だよ。だから、僕に力を貸して――――――――」



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短かっ(汗)
えっと、すみませんキリが良かったのでつい(^ ^;


と言うわけで奴隷です。永世中立国です。今はスイスが永世中立国ですか?でもあの国は国民の投票で決定を下すちゃんとした民主国です。奴隷なんてもってのほかです。
他に良い表現が浮かばなくて『永世中立国』というフレーズを使用していますが、スイスが悪いとか、永世中立国が悪いとかでは決して無いです。平和な良い国です。スイスびば。
はい。『エーグマティ』も”セレイブ”も”コモネス”も”ノヴィスト”も全てあんでぃの創作です(汗)悪いのはあんでぃです。すみません(汗)

もちろんスレイヤーズ本編にもこんな国ありませぬ(汗)沿岸諸国連合の中に勝手に作ってしまいました(汗)しかも連合から独立してるし。
世界史の授業中に(待て)無い知恵しぼって考えた設定なので。ええ、それはもう授業そっちのけで(汗)


そして、またしても鬼束ちひろさんの「RITLLE BEAT RIFLE」が使われてます。
彼女の詞は奥深いっすね。大ファンですもうもうもう!!アルバム衝動買いですもん(笑)

えと、これからゆっくりと奴隷の彼(やなフレーズだな・笑)が実は本編で出てきているキャラだって事を明かしていこうと思います(笑)
ちなみに彼は決して吹き飛ばされている通行人Aとかではなく、普通にちゃんと出ていたあんでぃお気に入りの人(?)ですのでv 探してみていただけると幸いです♪
どこかにびみょーなヒントがありますのでっ


でわでわ、また次も読んでいただけると幸いです!
あんでぃでした!!

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20687どきわくっ☆みてい 2002/4/28 15:36:50
記事番号20681へのコメント

こんにちは!みていです。
最近すっかりご無沙汰でこちらにお邪魔もしてませんでした(爆)
そしたらあんでぃさんの連載みっけちゃったvわーいvv

タイトルと、「お裁縫(私は最初ひっかかりました)」でシリアス色はそうないのかなと思っていたら、何が何が、ぐいぐい引き込まれてますっ。
冒頭の会話(フラッシュロールっぽいですね)とか、設定とか、次どうなるんだろうってすごい楽しみにしてます。
そして名前の無い『彼』、いつか名前がもらえるといいなぁとちょっと個人的に(勝手に)思いつつ。

……めっちゃ少ないレスですいませんっ(汗)
続き本当に楽しみにしてますっ。
ではでは、みていでした。




『どきわくっ』って、今でも使うんでしょうか(ぼそっ)

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20693ご期待にそえるよう・・・・・・・・努力だけ(笑)←こらあんでぃ URL2002/4/28 21:55:21
記事番号20687へのコメント

みていさんこんにちは♪お久しぶりですっっ 最近はお忙しそうで、お体壊してらっしゃらないか心配ですっ
レスありがとうございます(> <)嬉しいです♪


>タイトルと、「お裁縫(私は最初ひっかかりました)」でシリアス色はそうないのかなと思っていたら、何が何が、ぐいぐい引き込まれてますっ。

わっはっはっは(こら)またしても無謀な道へ足を踏み込みました(人はそれを地雷と呼ぶんですね・・・・ふっ/泣)

このお話、実はびーぱらの第二部にあたる設定を入れてしまいました。だからびーぱらの続きも、頑張って入れた伏線もぱぁ(笑)
へへへへ、でもその辺は気にしちゃいけません(笑)なにより、あんでぃが気にしないと決めたので(こらってば)
ちなみにこれは第一部が以降、それでもってスレイヤーズTRY以前のお話になります。多分(笑)←自信なし



>そして名前の無い『彼』、いつか名前がもらえるといいなぁとちょっと個人的に(勝手に)思いつつ。

彼の名前は次回出てきます♪本名は違うのですけど、本名名乗らせたらばっちり正体バレバレなので(笑)いえ、ばれてもいいんですが(笑)
彼の正体は、ブラッドさんに相談した結果『ばれないほうがきっと良い』と結論を出しましたので♪ですから、ばれませんようにっっ(笑)

終わるかなぁ(笑)と、早くも心配になりつつ(笑)頑張りますので最期まで(字が・笑)お付き合い頂けると幸いです!!


本当に、レスありがとうございます!!今夜お会いできるようで♪楽しみにしておりますね!!
でわでわ、あんでぃでしたっっvv



>『どきわくっ』って、今でも使うんでしょうか(ぼそっ)

うーん、使いますよっ。多分(笑)

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20738神さまのお買い物 3あんでぃ URL2002/5/3 14:51:58
記事番号20659へのコメント

「・・・・・・・・・なあ、大丈夫だから。お前も頑張れ」

そう言って彼は私の手を離そうとした・・・・・・でも私は彼の腕をぎゅっと掴んで、それを拒んだ。

「嫌です・・・・・・どうしてですか?」

彼を困らせるって、分かってるんだ。・・・・・・・・・でも、嫌なんだ。

「俺たちはここで終わらない。な? きっと助けてやるから、待っていてくれ」

助けてくれなくていいから、今この手を離さないで――――――――――――





















【神さまのお買い物】





















「奴隷市場(ブラック・マーケット)って言ってね。奴隷を普通の買い物みたいに売り買いするんだ。これは半月に一回。真夜中に行われているよ」
さすがに奴隷として毎日重労働してきた事はある。名前のない彼―――――――ディッサはあたしたちに全く遅れることなく道を歩きながら『エーグマティ』について説明してくれる。

ディッサ――――――――ディシスィヴ。名前はなくても彼は仲間の間でそう呼ばれていたそうだ。

 短めの黝い髪の毛はゆるくウェーブがかかっていて、細身の身体。平均的な身長。そして美人。すっごく美人。世界で指折りと言っても差し支えない美貌だ。男だけど。
素材がいいのに奴隷なんて、すごくもったいないと思うのはあたしだけじゃないだろう。

うーん・・・・・・

「ん?」
ちらりとガウリイの方を見た瞬間に気付かれて、慌てて目を逸らす。
わざとらしいけど、びっくりしたんだからしょうがないでしょっ
「んー?」
「―――――――っ!!何なのよ!!」
わざわざかがんで覗き込んでくる顔を押しのけながら、あたしはぷいっとガウリイの反対を向いた。
・・・・・こっちが身長小さいからと思ってわざわざ屈んでくるのってムカつくわねっ!!
「・・・・・・・聞いてます?」
「あ、ごめん、聞いてなかった」
その言葉にディッサは情けない顔をする。・・・・・・・まるで捨てられた犬のようだ。
ふと思って、あたしはガウリイに向かって小さく言った。
「犬ね」
「犬だな」
「失礼な」
聞こえていたらしい。
「あー、もう!悪かったわよ!謝るわよ!!」
「・・・・・・・もしかして、謝ってるんですか?」
「ディッサ、言うな・・・・自分の命が惜しいなら」
なんとなく二人の頭上にスリッパを降らしておく。八つ当たりと人は呼ぶかも知れないが、それは大いなる誤解であるという事をこの場を借りて語っておこう。
「ははは・・・・。リナさんは、ぜっったいに奴隷になれませんね」
「大丈夫よ。ならないから」
「いやだから・・・・・・少しは懲りてくださいって」
むう。失礼な。
しかしこれ以上続けても不毛なだけなので、あたしは話題を変える事にした。決して自分が不利になったからではない。決してである。そこんとこ注意。
「それはともかくさ、あたし・・・・あなたがどうして国を崩壊させることを決心したのか聞いてないわ」
「・・・・・・・言ったでしょう?大切なひとを助けるためです。それにあんな国にいる限り、俺たちに自由はないんだから」

石を蹴って。
空に向かって拳を突き出す。その瞳にあるのは決心と、揺らぎ。

「それだけなのか?」
「それだけだけど、それだけじゃない・・・・・でもそれが何なのかわからない。何か大きな変化があるって、ただ漠然とそう思うんだ」
「そうか・・・・・」













赫い黄昏。
朱い暁。
身体を流れる紅い血。


みんなあかいけど、ちょっと違うわね。


でもそれは、全て違う色?
違うわ。そう見えるだけ。
きっと、もともとは同じ色だから。進むべき道が違っただけ。
進む道が違うことで、良くも悪くもなるならば―――――――

貴方は。そしてあたしは・・・・・・・

誤らないで、進むべき道を








「―――――――少しはまわりを見なさいよ、みっともないわね」
あたしの言葉にディッサは弾かれたようにこちらを見る。湿った目で。
「『エーグマティ』は存在する。それもあんたにとって最悪な形で。でも、あたしがいる。ガウリイがいる。少しはまわりを見なさい。
・・・・・・・何回も言わせないで。迷わずに自分のやりたいことだけを考えてなさい。この先に何があるかなんて、とりあえず今はどうでもいいのよ」
ディッサはきょとんと、しばらくあたしの方を見てたが、やがてくすりと笑う。
「良い事言うじゃないですか。見直しましたよ」
「悪いけどいつも良い事言ってるわよ。あたしは」
横でこっそり笑っているガウリイのおしりを蹴り上げた。






















「俺が逃げた時、『エーグマティ』からどれくらい離れちゃったんでしたっけ?」
「そうねー、あと半日くらいかしら? うーん。それまでは暇ねー」
 周りにあるもの全てが珍しかったらしく、先ほどからあたりをきょろきょろしていたディッサが少し飽きてきたらしい。困ったような問いかけをしてくる。同じく暇だったあたしはそれに同意した。
「そうですか・・・・・でも、暇なのも今のうちだけですし。本当はもっと急ぎたいですし」
「えー、やだー疲れたー」
ぶーぶーとディッサに文句を言ったりしながら暇つぶしをしていたのだが、不意にその足が止まる。
「でも、どうやらヒマじゃなくなったみたいだぞ」
「うーん。旅は順調に進みました・・・・・・って訳には行かないもんなのねぇ・・・・・あー、うざったい」
 ガウリイは言いながら剣を抜く。あたしも一応油断無く剣を抜きながらそれに答える。ふと思い出して、あたしたちが戦闘体制に入ったとたんに不安な面持ちになった彼に、つつつ・・・と近づきこっそりとクギを刺しておく。
「こういう時は自分が混乱する事が一番危険よ。適当にからかって逃げときなさい」
「あ、はい」
 緊張の面持ちをしていた彼は、あたしの言葉に軽く吹き出した。うん。この分ならばわりと落ち着いていてくれるかも知れない。あたしは彼ににっこりと笑いかけてから、白々しいまでの殺気が発せられる木々の中に向かって声を投げた。
「さて、こっちの準備はいいわよ。さっさと出てきたら?」
しばし迷うような仕草を見せた後に、仰々しく五、六人の男が出てくる。身なりもいいし、持っている武器も装飾の多い―――――しかし実戦的なもの。簡単に言ってしまえば男たちは全員、装備が無意味に高そうだという事だ。

この無意味にゴージャス格好は、貴族―――――?

「上院の方々がわざわざよくいらっしゃってくださいました」
ディッサはぺこりと、奴隷だったとは思えない優雅さで一礼すると、『上院』と言った者たちに極上の笑顔を見せた。鋭い鳶色の瞳はまっすぐと男たちに向けたままで。
「そんなに俺が必要ですか?でも残念だな、俺は俺のものだ。残念ながら渡す気は無い」
美人っていうのはけっこう肝が据わっているものらしい。そうでないなら彼がよほどの順応性があったということだろう。軽口を叩くと整った口を三日月形に吊り上げた。
目・・・・・・笑ってないし。
「・・・・・・はんっ ほざけ。"セレイブ"ごときが」
「身分だかなんだかにこだわってる限り、あんたもその程度の人間なんだと思うけど」
「なにぃ!!」
 あたしの言葉に男たちの殺気が一気に膨れ上がる。あたしが抱いている貴族のイメージといえば『ぬくぬくと何にもせずに暮らしていそうよね、要するにもやしっ子?』というものだったのだ。だから貴族なんて、前の奴らのようにたいした事無いんだろうな、と思ったのだ。
 しかし、この男たちの構えを見る限り、なかなかどうしてこいつらはそれなりの実力を持っているようだ。ガウリイもディッサとあたしのいる場所と男たちの一直線上に剣を構える。
「こいつらきっと、国のお抱えの騎士達です。上院って言葉も否定しなかったし。どちらにしてもまあ、貴族なんですけど」
ディッサがあたし達に聞こえるか聞こえないかの小さな声で囁いた。
なるほど。それならば、やっぱりそれなりの腕なのだろう。まあそれなりの腕を持っていても、実戦経験があるのかと聞けば甚だ疑問なのだが、なんにせよ一応油断はできない。
「あたしから離れないでね」
あたしはディッサにこっそり囁いて呪文を唱え始めた。
「炎の矢!」
まだまだ何やらうるさく喋ろうとする男たちに不意をついてあたしの呪文が男たちに降り注ぐ。
この呪文が、戦いの火蓋を切った。


ぼぼぼぼぼぼんっ!!


 あたしの放った炎の矢は、男たちにことごとく避けられていた。
もともと小手調べのつもりで放ったものだが、不意をついたのに避けるとは、とりあえずなかなかやるっ!!
『はああああああああああああっ!!』
 男たちが一斉にこちらに向かってくる。ディッサを守っている以上こちらは迂闊に動けない。よって相手を迎え撃つことになるのだが、もちろんそれも考慮のうちっ!!人間相手なら呪文でどうにでもなるっ!!
「爆裂陣っ!!」
囲まれても、何処から攻められてもいいように唱えた呪文だ。この呪文なら死角はあんまりないっ!!


どどどどどどんっ!!


「わああああああああああああああっ!」
円を描くようにして地面を這っていき、男たちをまとめて吹き飛ばす!かっこ悪いぞ男たち!!
そしてこの呪文の弱点は今のところただひとつ!!土煙がうざったいことっ!
しかしそれも動かなければ、どうにかなるものである。張り切ってあたしは声を張り上げた。
「それ行けガウリイ、頑張って!!応援してるわーんvv」
「オレ一人で行かせるかぁ? 酷いぞお前っ」
「大丈夫っ!!一応援護してあげるから。――――――魔風!!」
『ぶわっ!!ぐげほっっ』
土煙を舞っていた風で吹き飛ばしてあげながら、ガウリイの背中に後押しするべく呪文で追い風を立てた。呪文で柔らかくなった地面の土煙を余計に煽った気がするが、元から酷い煙だったしね。
うん。しかも声が複数だったって事は一応まだ動ける男たちもいたって事だし、だったら目くらましをして周りが見えなくした方が野生のカンを持つガウリイには有利である。うんうん。

頑張れー、ガウリイ♪

心の中で応援をしながらハンカチを口元に当てて安全な場所まで間合いを取ってそっとガウリイの活躍を見守った。




















「いやー、カッコよかったですね♪ガウリイさんv」
「うんうん、今までのベストスリーに入るカッコよさだったわよ♪ ガウリイvv」
「お前らさぁ・・・・・・絶対何があっても生き抜くタイプだよなぁ」
『だから、何があっても生きてるじゃない(んじゃないですか)』
「・・・・・・・・そうでした」
何故かむすっとしているガウリイに先ほどの戦闘の感想などを聞かせながら、あたしたちは進んだ。『エーグマティ』へ。
ディッサも一応、ふっきれたように見えるし、このまま順調に進めばいいと思う。



でも、何でただの奴隷であるディッサにこんなにたくさんの追手がくるのか?たかが奴隷一人に普通ここまでの追手は来ないだろう。
ならば彼は一体何者なんだろう?
そう思いながら、あたしはこっそりため息をついた。



どちらにしろ、ここまで関わってしまったのだ。
今更後戻りなんてできないし。
だったら、最後までとことんやってやるまでだ。

















「私はずっと望んでた。本当はずっと、望んじゃいけないって分かってたのに・・・・でも、望まずにはいられないんです・・・・・・・・・」

「僕は『備えあれば憂い無し』って言葉が好きなんだ。だって、僕にぴったりだと思わない?」


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

はっはっはっは(汗)何も言わないでください(^ ^;
とりあえず彼の名前が出ました。良かったー(笑)本名が明かされた時に皆さんがこぞって「・・・・・・・・誰?」って言うんでしょねぇ(笑)

ふふふふふ、哀れ(笑)

こんなんですが次回もどうかよろしくお願いいたします(> <)

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20754神さまのお買い物 4あんでぃ URL2002/5/6 21:33:47
記事番号20738へのコメント

「・・・・・・私たち、生まれなければよかったのかもね」

「・・・・それは、みんな一度は思う。でも、俺たちは生きてる。それにきっと、生きてることの大変さと辛さを一番よく知ってるんだよ、俺たちが」


じゃあ、もう貴方が生きていない場合はどうしたら良いの?
確かに、生きることはすごく辛いわ。

もう、嫌になるくらい。























【神さまのお買い物】
























「・・・・・・・まけないよ、こればっかりは」
乾いた風があたしの髪の毛を軽く揺らした、ような気がする。いや、実際には風など吹いていないのだろう。ただあたしのこの真剣な想いが、この意気込みがっ!!あたしの周りに見えない風を起こしたに違いない。
「いーえ、今にまけたくなるわ。あなたこそ・・・・・・覚悟はいい?」
「ふん。どんと来いっ!!」

あたしが負けるわけがない!!まけさせるわっ!!こればっかりは!!

「・・・・・・・・そこまで言うのなら仕方がない、後悔するなよっ!!」
「そっちこそ!!あとからやっぱりなしって言っても聞かないんだから!!」

視線がぶち当たる。そして火花が散った―――――――気がする。

『いざ、勝負っ!!』
「・・・・・・・・・・・・をい、リナ。」
あたしたちの真剣な勝負は、雰囲気は、ガウリイの無遠慮な一言によって打ち砕かれた。
「ガウリイ邪魔しないでっ!!これはとっても大事なことなんだから!!」
「なんだかなぁ・・・・・・で、何を買うんだ?」
「うん?これ」
問われて見せたのは、一冊の中古の魔道書だった。
「これが欲しかったのよねぇ♪」
言ってにっこりと微笑んだあたしをよそに、ディッサはそれをぱらっとめくりちらりと内容に目を通す。
「あれ?・・・・・・うーん。これ、知ってるかも」
「マジでっ?!」
ディッサの意外な言葉にあたしは思わず声をあげる。
「じゃあ、今回の依頼のお礼それでいいわ!よろしくね♪」
あたしはディッサの手を固く握り締めると、力強くそう言った。らっきー♪
「・・・・・・・・・それで結局、これは買わないのか?」
あたしとさっき値引き交渉ををしていたおっさんが、少し寂しそうに言った。
「いらない。」
「・・・・・・・・・」
「お前さん、それは酷いぞ・・・あそこまで値切っといて」
ガウリイの白い目があたしに突き刺さるが、そんな事を気にしていたら大物になれない。
「いい戦いだったと思うわ。またよろしく」
「・・・・・頼むからもう来ないでくれ」
何故かおっちゃんは泣きながらそう言った。






















「いきなりこんなに目立ってくれちゃいましたけど・・・・・・・・俺見つかったらシャレにならないんですけど」
 柔らかな波となってゆるやかに伸びていた黝い髪を短く切り、今はこぎれいな格好になっているディッサはガウリイの向こう側から顔を出して困ったように言った。
「大丈夫よ、だから普通の観光客装って買い物してたんじゃない。あなただってこの辺の人に顔知られてるわけじゃないんでしょ?」
あのぼろぼろの服から今の服に着替えてしまうだけで印象がここまで違う。もともとの出来が良いせいか、今の彼からは威厳というかなんというか、近寄りがたい雰囲気までもが漂う。
「うん、まぁ・・・・・・・」
歯切れの悪い返事を返しながら、怪しまれないようにさりげなくあたりに視線をやった。
 そう、ここはもう『エーグマティ』の国の中。首都とは隣にある街『スフォート』。ここは統領たちが住んでいるという場所で、ディッサにとって一番危険な場所なのである。
 彼は街のとあるはずれで立ち止まり、まるで何かを思い出すようにゆっくりと息を吸った。ゆっくりとこちらを向いて広く開いた空間の、一点を指差した。
「ここで、俺は拾われたんです」
「拾われた?」
あたしたちは再び顔を見合わせた。
「そう、俺はここで目を覚ましたときより前の記憶って、無いんですよ」

ありがちだけど・・・・・・・
ありがちだけれど、彼の顔からは嘘は欠片も感じられなかった。

「何ででしょうね。何も覚えていないのは・・・・・・・・・・・ただ目が覚めたら、彼女が――――キアーラがいた」
彼は相変わらず遠くを見つめたまま、ゆっくりと語りだした。






















     「大丈夫?!起きて、起きてくださいっ!!」
     ぺしぺしぺし、と頬を叩かれ、ゆっくりと目を開く。堪らなく体がだるく、億劫だった。
     「・・・・・・・・んむ?」
     目の前にいたのはひとりの女性。逆光でよく分からないが、ほっとしたような表情が伺える。
     「おはようございます。気分は?」
     にっこりと微笑んだ彼女は間違えなく美人であったが、日焼けしてなお青い顔は不健康に、腕が細く伸びていた。
     「・・・・・・あんまり」
     「まあ、そうでしょうね。ここで倒れているなんて尋常じゃないですもん。
     ・・・・・・あなた、よそものですね」
     そう言われ、自分はよそものなのかか、などとのんきに思いながら起き上がり――――――――そこでようやく気付く。
     「俺『よそもの』とか『ここのもの』とか以前に・・・・・・・・どこの人間なんだろう?」

     しばし、時が止まる。彼女の表情はそれが本音なのか、それとも冗談なのか、判断しかねるという感じであった。

     「・・・・・・・覚えていない?あなたの名前は?」
     「うーん。なんだろ」
     彼女は何故か彼の言葉から嘘は感じない。だがしかし・・・・・・・・
     「・・・・・・・・慌ててください、お願いですから」
     彼が記憶が無い事に全く危機感を感じていないせいだろうか、彼の代わりに彼女は驚き、慌てていた。





     「おいひい」
     「それはどうもありがとうございます」
     もぐもぐと一心に食べ物を口へ放り込みながら俺は言った。
     それに彼女――――――――――キアーラが冷めた表情ながらもそう返した。
     あれから彼は無い記憶を掘り起こそうと首を捻りつつも、彼女についてきたのだが・・・・・
     「あなたって、犬みたいですよね」
     「え゛・・・・・行儀悪い?」
     「いえ、そういう意味じゃないんですけど」
     キアーラはくすりと笑って首をふりながらそう応えたが、よくよく考えてみれば食事をしながら喋るの事が
     すでにいけないのではないのであろうかと俺は思い、姿勢を正す。

     その様子を見て、さらにキアーラは笑みを深めた。
     キアーラもこの無害そうな、そのうえ記憶が無い上に危機感も無いこの男を放っておく事が出来なかったのだ。
     彼女は溜息をついた。彼はまさに捨てられた犬のように今の状況を把握していない。

     (そのまま捨てておくなんて出来ません・・・・・・)

     「でもあなたも不運です。記憶が無い上に、よりによってこの国で行き倒れるだなんて」
     「何か不都合でもあるのか?」
     首を捻った。確か先ほどもよそ者がどうのと言っていたような気がする。
     「ここは、奴隷と貴族が行き交う国『エーグマティ』です。そしてあなたを拾った私はよりによって奴隷。
     ・・・・・・・・あなたは、不運としか言いようがありません」
     「・・・・・・奴隷」
     「そう、奴隷」
     キアーラのその言葉に、自分でも分かるほどに顔が歪んだ。なんてこった。
     「ごめん」
     「・・・・・・・・・・どうして謝るんですか」
     キアーラは顔を歪めた。礼は言われても良いとは思うが、少なくとも謝られる筋合いは無い。
     「奴隷なんだろ?俺、食べすぎだろ」
     貧しいのであろうという事は、彼女の姿を見れば分かる筈だったのだ。
     それなのに自分は遠慮も無く食事をしてしまっていたのだ。なんという事だろうか。
     そこまで考えて至極真面目に言ったつもりだったのだが・・・・・・・・・彼女は暫し固まった後―――――――

     堪えられないと言うように、おなかを抱えて笑い出した。




















「というわけで、倒れてた俺を助けてくれたのがキアーラです」
そこまで話してから、ディッサは振り向いた。
「そして、奴隷だった彼女が統領に買われてしまったって事ね?」
「ええ」
あたしの言葉にディッサはこくりと頷いた。うーみゅ。
「今のところ心当たりは統領の屋敷だけです。俺には国のことなんてよく分からないし・・・・・・」
「じゃあ、とりあえずその屋敷に行ってみるしかないんだな。場所は知ってるんだろう?」
ディッサは再びこくりと頷くと、街の北を指した。ひときわ高い白い屋根のまるで城のような屋敷。
「じゃあ、さくっと行きましょう!」
「はい!」
「おうっ」
あたしの言葉に二人は応えた。
人間は人間。生まれが違うとか、能力が違うとか、確かにそういう事であたしたちは己自身にランクをつける。それは人間がこうして生きていく限り消す事の出来ない困った性(さが)なのかもしれない。
でも、奴隷は違う。明らかに間違っている。
「ひとは自我を持っている生き物なんだ・・・・・・・!」
ディッサが低い声でそう言った。あたしは慌てて風の結界を張った。
「生まれとか、家柄とか・・・・・・・そうしたらお前らは神よりも偉いって言うのかよ!!!」
彼の悲痛な叫びは風の結界によって外は聞こえない。外に聞こえてはならない。
「俺は負けない、絶対に――――――――俺たちは生きてやる!」
「・・・・・・・・」
あたしは無言で結界を解いた。






















「彼の事、どう思う?」
「どうって・・・・・・お前さんはどうなんだ?」
この街に一軒しかない宿屋の一室。ガウリイの部屋に乗り込んだあたしは先ほどと同じように、防音のために風の結界を張ってあたしは部屋の主であるガウリイに問いかけた。
「うーん・・・・・・・」
スプリングのダメになったベッドをぎしぎし弾ませながらあたしはしばし悩む。


いきなり森の中から飛び出してきて、いきなり自分は奴隷だという。
ただの奴隷にあそこまで追われる必要がある?
――――――――答えは否。


「彼が嘘をついてるとは思ってないわ。なんて言ったらいいのか分からないけど・・・・・なんかおかしいような気がして、矛盾だらけな気がするの」
国のシステムだとか、そういうのはある程度聞いていたとおりだった。全てを聞いていない・・・・・断片的にしか状況がわからない今、どう動く事が一番正しいのか分からなかった。
それに、何故―――――――?
あたしは首を軽く振った。これはとりあえず保留にしてもいい疑問だろう。
「俺は別に気にならないぞ? 人間矛盾はつきものだしな。それに――――――」
「それに?」
「お前さんはこの事件から身を引けないんあるだろ?ならしょうがないじゃないか、やるしかないだろ?」
「・・・・・・・でも、それは彼のカンなんでしょ?」
そう、あたしは自由にこの件から身を引くことが出来る。別に身を引けない理由なんて―――――――――
「あ」
「どうした?」

そっか、そっかそっか・・・・・・・・そうだったんだ。
あたしは自嘲に満ちた笑みをガウリイに向けた。
―――――――身を引けない理由を悟ったのだ。

「そね、確かにあたしはこの件から身を引かないわ。でも――――――」
あたしはガウリイに人差し指を突きつけた。
「それはあたしの意思であって、ディッサがそう言ったからじゃない。そうしなくてはいけない状況に追い込まれたからじゃない。
―――――――それだけは、覚えておいて」
やけくそ気味に、にっと笑みながらあたしはそう言った。ガウリイはしばし考え込んでからに、と笑った。
「そうなのか」
「そうなのよ」
そうなんです。

「じゃあ、あたしはそろそろ寝るっ!!おやすみガウリイ!!」
あたしは立ち上がり、風の結界を解いてドアに向かって急いだ。
なんとなく一人になりたかったのだ。


・・・・・何で今まで気付かなかったんだか。


 ぺったんぺったんぺったんとスリッパの音を立てて、そう考えていくうちにそう広くない宿の端までやってきてしまった。肌寒い今の季節だが、その寒さも今は心地いい。ずるずると壁にもたれたまましゃがみこんだ。
そして、あまりの気持ちよさに不覚にも目を閉じかけたそのとき・・・・・突然肩を叩かれた。
「こんな所で寝たら、風邪引きますよ」

――――――――今、一番会いたくない人物だった。

「・・・・・・・・・・・・ディッサ」
「部屋に戻らないんですか?」
不思議そうにそう言ってくるディッサに、あたしは答えずそのかわりに立ち上がった。部屋に戻るという意思表示だ。
「ディッサ・・・・・・・」
「なんです?」
「あなた、あたしが知ってる人にそっくりだわ」
それだけ言うと、あたしは今度はおとなしく自分の部屋へ戻った。憂鬱な気分は拭えなかったが。


そうよ・・・・・そっくりじゃない、ディッサはあいつに――――――――


部屋に戻り、ベッドに勢いよく倒れこみ・・・・・・ふう、とあたしは大きく溜息をついた。
「・・・・・もうっ」
どうしてこんなにもやもやとした気分になるのか。あたしは思わず髪の毛を大きくかきまぜた。
「あー、髪の毛ぐしゃぐしゃ・・・・・」
もう一度深い溜息をつくと、マントを脱ぎ捨てた。そしてパジャマにも着替えずにそのまま睡魔に任せて倒れ込む。

こんこん。

ドアをノックされた事には気付いた。しかしそれは無視して、さかさまにベッドにもぐりこむ。足元にあったクッションは邪魔なので蹴り落とした。

こんこんこん。

「・・・・・・・・・うー」
今は誰にも会いたくなかった。だから相手が諦めてくれるのを待つ。足元に落ちた(落とした)クッションを拾い、頭にぱふんっと被せる。

こんこん、ごんごんごんごんっ!!

「だあぁぁぁぁぁぁぁ!!じゃかぁしい!!」
あたしはシーツとクッションをドアに向かって投げつけると、足音も大きくドアに歩く。
誰よこんな時間にっ!
勢いよくドアを開くとそこにいたのは白ずくめとその影に隠れた黒髪。
「あ」
思わず怒りも忘れ――――――――あたしの目は点になった。
「何でこんな所にいんの?」
分かれたばっかなのに。
「お前こそ、その頭・・・・・・・」
「あっ」
あたしは慌てて髪の毛を押さえ、問答無用でドアを閉めた。

























「自由が手に入っても・・・・・・・・これだけは手にはいらないのかもしれませんね・・・・・・・・」

「安心してよ、君自身は消えないから。それに余計なものを取り出しちゃうってオマケつき。悪い話じゃないでしょう?」



■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

こんばんは、あんでぃです。
えっとですね、ここまで読んでくださってありがとうございます(> <)

 いっぱいいっぱいになりつつありますこの話(汗)自分で考えたネタにえらい事になりつつあります(笑)←おひ
方向性が決まったとか言ってなかったかなぁ、私(汗)
あは、あははははははははははははははは(汗)
とりあえず、ディッサが「絶対に生きてやる」って言っていた事を覚えておいて頂けると後からむー、と思ったりしちゃうかもしれません(笑)

 この話は時間的にちょうど第一部完結直後に当たります。
フィブリゾを倒して、それからみんなでセイルーンまでアメリアを送り届けた(一応王女さまですから/笑)という事になってます。これ、勝手に決めちゃいました(おひ)
そして今回の話はさらにそれから2、3日経ったあたりだったりします。

 時間軸の説明は本文でわかるようにするかまたは最初に言いなさいって感じですな(汗)ごめんなさい書くの忘れてました(汗)すみません(> <)

ちなみに次はアメリアばーじょんだったりします。


次回も読んでくだされば幸いです!
でわ、あんでぃでした!

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