◆−虚像について−羅琴みつき (2002/2/15 18:19:24) No.20067
 ┣虚像 1−羅琴みつき (2002/2/15 18:23:12) No.20069
 ┣虚像 2−羅琴みつき (2002/2/15 22:18:06) No.20075
 ┃┗んちゃv −春祭あられ (2002/2/17 15:58:13) No.20105
 ┃ ┗リギさんらばv−羅琴みつき (2002/2/17 21:10:54) No.20109
 ┣虚像 3−羅琴みつき (2002/2/18 00:38:01) No.20115
 ┗虚像 4−羅琴みつき (2002/2/18 22:35:44) No.20137
  ┗ただいまちり紙不足警報発令中(謎)−ねんねこ (2002/2/20 11:42:51) No.20161
   ┗っどいつもこいつも!!(何だね君)−羅琴みつき (2002/2/21 22:37:31) No.20180


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20067虚像について羅琴みつき E-mail 2002/2/15 18:19:24


こんばんは。羅琴のみつきにござい。
何気に新作を初めてみたり。

いやっ!!石投げないで!!たしかに血継は終わってないし!スレキノ書いてないし!壊心外伝も書いてないし!詩も書きたいけど!!!
書きたくなってしまったのです。どおしてもっ!!許してください………!!


このお話、あたしには珍しく原作設定ものです。←異世界中心作家
仲良し四人組の旅の途中のお話ですねー。カップリングはないです。というかあたしはカップリングもの書いたことないですね。恋愛入れるの嫌いなもんでして(死)。

そして!愛すべきあたしのオリキャラ(そこまで言うか)!リギさんが登場します!彼(※)は出バリまくりですからね。いろんな所に。
ごめんなさい。外伝書く前にこっちで使っちゃって…。
書きたくなって以下同文。

もう1は書き終わったのですが、いかんせんあたしはいつも一発書きです。終わりもかすかにしか見えてません。それでもなかなかお気に入り(既に!?)なので、早めの更新を目指して頑張りたいと思いますので。
お読み頂けたら幸いですvv

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20069虚像 1羅琴みつき E-mail 2002/2/15 18:23:12
記事番号20067へのコメント


虚像 1



あたしたち――つまりあたしとガウリイとアメリア、ゼルガディスは、相変わらず4人で旅してて。
山に入ったら、お約束のように道に迷っていた。

「うがーーーーっ!!!なんなのよ!この山はっ!!」
完全に道に迷ってはや、数時間。
太陽を隠す、鬱蒼とした木々。変わらぬ景色と重くなる足に、あたしは頭を抱えて叫んでいた。
「うるさいぞ、リナ」
きっ。
とりあえず、ゼルを睨む。
「機嫌悪いなー。リナの奴」
「ガウリイ何か言った!?」
「何も言ってないです」
………ったく、どいつもこいつも。
この状況で大人しくしていられますかっての。
さっき浮遊術で近くの村を探そうとして、見渡す限りどこまでも山!の光景を見てから、あたしは機嫌が悪いのだ。
「ちょっとリナ」
さっきから大人しかったアメリアが声をあげる。
あたしは肩越しに振り向く。
アメリアはよどんだ空を仰いで、
「早くこの状況を何とかしないと。雨でも降り出しそうよ?」

そしてそれからしばらくして、強い雨が降り出した。





「もー!今日は厄日だわ!!」
頭を手で被い、雨を避けながら―ほとんど意味はないが―あたし達は走った。
でもこんな山の中に、そう都合良く雨宿りが出来る所なんて、あろうはずもなく。
「っとにかく!洞窟みたいなのでも良いからみつけないとぉ」
隣を走るアメリアも情けない―人のこと言えないけど―声をあげていた。
ゼルなんかは慣れているのか、気にしていないみたいだった。付き合いで一緒に走ってるだけなんだろうな。
ガウリイに関しては、もう何も考えていない。ただあたしたちについて走っているだけだ。
「走っている意味はないと思うぞ」
「気分の問題よ!!」
ゼルのもっともな意見に、あたしはヤケになって言い返す。
正直そろそろ走っても無駄なことには気付いているのだが。既に全身びしょ濡れだし……。
「おい、何か見えたぞ」
あたしとアメリアのすぐ前を走るガウリイが言った。
「あぁ!?………って、え!?」
慌てて前方に視線を走らせたが、特に何も……というか木しか見えない。
しかし。この男の目の良さは、常人のそれをはるかに越えている。あなどれたもんじゃない。
必死で目をこらして見たら、小さな点が大きくなるのがわかった。
ちゃんと家の形だとわかるまで、走ってしばらくかかったけど、それは結構な大きさで綺麗な〃屋敷〃だった。
「これで人がいなかったら、たまったもんじゃないな」
「その時は勝手に入って、勝手に使わせてもらうわ」
「お前なー…」




青い屋根に白い壁。ペンキも塗りたてのように綺麗に塗装されていたし、庭の華も手入れが行き届いて、あきらかに人の存在を知らせていた。
「こんな何もない山の中で…珍しいわね。まぁ、おかげであたしたちは助かったんだけど」
あたしは呟きながら、りんごろと呼び鈴を鳴らす。


………………………………………………。


「遅っ。」
「アメリアうるさいよ……?」
しばらく待ってみたが、中で物音がするわけでもなし。
あたしは昔旅の途中にあったことを思い出し、不気味なメイドが出てこないかと、心配になる。


   カチャ。
「どなたですか?」


けれど。
さらにしばらくしてから出てきたのは、決して不気味なメイドではなかった。
短くて黒っぽい髪に、色白の丸っこい、それでいて整った小さな顔立ち。白いシャツに黒いズボンを履いた、あたしよりもさらに背の低い、小柄な可愛い少女だった。
「あの……えっとね、あたしたち旅の途中で道に迷っちゃって………そしたら雨まで降ってきてさ、その…良かったら雨宿りさせて貰えないかなー……とか」
雰囲気的に初老のおじいさん―偏見で悪かったわね―とか出てくるとばかり思っていたあたしは、しどろもどろになって言った。
「………………」
少女は何やら考えている素振りを見せた。
今、親がいない―――とかそんなとこだろうか。
そして口を開く。
「見た所、魔道士さんのようですが…。強いですか?」
外見に似合わず、至極丁寧な口調で言った。
あたしは自分でも無意味に胸を張り、
「ふふん♪あたし、リナ=インバースって言うんだけど。合格かしら?」
「合格です」
別に驚いて欲しかったわけではないが、少女は特に美味しいリアクションにすることもなく、ただ言い放った。
それでも態度からして、あたしが偽物だとか思ってないあたりは、なかなか鋭い子なのかも。
ちら。
少女はあたしの隣と後ろの3人に視線をやった。『そっちはどうか?』ということなのだろうか。
何だか無機質な感じのする子である。決して無表情なわけではないのだけれど。
「俺、並以上の自信ならあるぜ!」
「正義の心は誰にも負けません!!!」
「ドラまたと旅が出来る程度だ」
視線の意味に気付いて、やや気になることを言った人もいたが、それぞれ応える。
「ちゃんと止めますし、平気でしょう。
 どうぞ。たいしたおもてなしは出来ませんが」
軽く微笑んで、少女はあたしたちを招き入れた。
「?」
何かよくわからないことを言っていたが、特に気にすることもなく、屋敷の中へお邪魔した。




この時既に。

あたし達は牙を向けられていたのかも、しれない。

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20075虚像 2羅琴みつき E-mail 2002/2/15 22:18:06
記事番号20067へのコメント


虚像 2




時間にしてやや早い夕方。
あたしたちは順番にお風呂を借りた。
すごく大きな浴室で、あたしとアメリアは一緒に入ったが、王族の彼女でさえ驚いているようだった。
「でも……あの子の顔に見覚えはなかったし………。王族か何かなら、どこかで会ってると思うんだけど」
アメリアはあたし同様、広い浴槽で、冷えた体を揉みほぐしながら呟いた。
「そういえば………まだ名前も聞いてなかったわね」
屋敷に入ってすぐに『寒いでしょうから』とお風呂にお湯を張ってくれたのだ。
「少し不思議な雰囲気があったけど、すっごく可愛い子だったわよねvvv」
珍しくハートマーク連発なアメリア。
たしかにあの子は可愛かった。そしてあたしより背が低いのが、気に入った!!
ただ年の問題だろって言われたらそれまでだけど、まだ聞いてないんだから、少しくらい夢見てもいいじゃない。
「ま、いろいろはあとで聞きましょ」
「そうね。それにガウリイさん達、寒いのに待たせてるんだから、はやく出ないと」



「おーい。出たよー」
「すっごい広くてびっくりしますよー」
あたしとアメリアは、体から湯気をたちのぼらせながら、リビングのソファに座っていた2人に声をかける。
「おう。じゃ、ゼル、俺達も入ろうぜ」
「ああ」
そうして入れ替わりに、少女の向かいに座る。
「暖まりましたか?」
少女は笑いながら問いかける。
「ええ。ありがと」
たしたちも笑顔でこたえた。
「あ、雨、もう止んだのね」
ふと、大きな窓の外を見たアメリアが言った。
そして少女の顔を見た。
訴えていることがわかったのか、くすりと笑っていった。
「いいですよ。泊まっていらっしゃって。どのみち、ここから最寄りの国まで随分かかりますから、今から発つのは、あまりおすすめできません」
くはあっ!!良い子だ!!!
『ありがとーv』



「ねえ、国まで随分かかるって話だけど、貴方はこの広いお屋敷に一人で暮らしてるわけなの?」
「この屋敷に人は一人しかいません」
あたしの問いに、少女は少し不自然な応え方をした。
次にアメリアが口を開く。
「聞くのが遅くなりましたけど、貴方、何て名前なんです?
 あ、私はアメリア=ウィル=テスラ=セイルーン。こちらはさっきも言ったけど、リナ=インバース」
そしてあたしの紹介までやってくれた。
「リギ、です。おかしな名前でしょう?」
少女――リギは〃名前〃を名乗った。
あたしもアメリアも、ファミリーネームを聞く、なんてことはしなかった。
「リギちゃんか〜。ちょっと言いにくいけど、変じゃないわよ」
あたしの言葉に、リギは苦笑した。


ごとっ。

がんっ!がんっ!!

がたん!!


『――――――!?』
突如。二階――だろうか、上の方から大きな物音がした。
「何?今の音!」
あたしは腰を浮かせてリギに聞いた。アメリアも似たような動作をしていた。
けれどリギはそのままで。
「さあ……。きっと、上は書斎ですから、本棚が倒れるか何かしたんでしょうね。
 よくあるんですよ。今みたいな物音。それか動物ですね」
静かな口調で言った。
本棚が倒れた?―――――――――何で?
もちろん地震なんてなかった。
動物にしては音が大きすぎる。第一、こんなに手入れされた屋敷に、ネズミや猫が入り込めるものなのか?
そもそも。2度目の音、『がんっ! がんっ!!』は、まるで何かを叩きつけるような―――

あたしはアメリアの方を見やる。
彼女も険しい顔をしていたが、あたしと目を合わせてからリギの方を一瞬見て、再びあたしの方を見ると、静かにソファに座り直す。
ついであたしも大人しく座った。



それから少しして、ガウリイとゼルもお風呂から出てきて、さっきの音は何だったのかと聞いて、リギは同じことを言って聞かせた。
浴室はここから少し離れているし、真下で聞いたわけじゃないガウリイ達は、半ば信用しているようだった。
あたしとアメリアも、そのあとリギ達といろいろ話すうち、別に大して気にはしなくなっていた。



夕飯―なかなか美味―もご馳走になった後、あたしたちはもう一度お風呂に入ることにした。
だってさっきはまだ明るい時間帯だったし、乙女は時と場合が許す限り、肌の手入れを欠かさないものなのである。
まあ、豪華な浴室が気に入っただけの話――というのは秘密で。
「ねえ、リギちゃんも一緒に入らない?」
「は?」
リギをえらく気に入ったらしいアメリアは彼女を誘った。
するとリギはバツの悪そうな顔をした。
「あの……。もし誤解しているのなら、すいませんが、ボク男ですよ?」

『はあーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!??』

次の瞬間、あたしとアメリアは同時に叫んだ。
まままマジですか!?
どう見ても聞いても女の子なんだけど!?
「おー。そうだったのか。なら俺達と入るか」
「いや、やめて!!」
「いや、やめてください!!」
ガウリイの言葉に間髪入れず、あたしとアメリアはつっこんだ。
「何でだよー」
不満そうなガウリイの声に、アメリアが応える。あたしも同感である。
「ビジュアル的に許せないんですー!!ガウリイさんやゼルガディスさんがリギちゃん……リギくんと一緒に入るくらいなら、あたしとリナが一緒に入ります!!」
「遠慮しておきます」
熱く語るアメリアに、リギは冷静に応えていた。
そして間をおかず続ける。
「みなさんのお部屋は3階の、階段を上がったすぐ横手に2人部屋を二部屋作ったんで、そちらを使ってください。
 では。ボクはもう寝ますから」
言うと足早に階段をのぼっていく。
ちちぃっ!逃げたか。
「俺ももう寝るぞ。くだらん言い合いには付き合いきれん」
ゼルも立ち上がる。
「そうね。何か馬鹿らしくなってきたわ」
そしてあたしも。そのあとに、アメリア、ガウリイと続く。






「しっかし……びっくりしたわねぇ、アメリア」
あたしとアメリアは部屋のベットに横になると、暗い中で少し話しをした。
「ええ。ちょっとショックだったわ」
「あんた気に入ってたもんね」
「でも可愛いから良いの。すごく良い性格してるし。やっぱちょっと不思議だけど」
「あー。そーですか」


     るがぁぁぁぅぅぅ……………


「何!?」
「何か……まるで獣の叫びみたいな………」
さっきの物音のように、どこからか、それは聞こえた。
あたしとアメリアは暗闇で顔を見合わせると、パジャマの上からマントだけを羽織った。
静かに廊下へ出た所で、ガウリイとゼルの2人と合流した。
未だ聞こえてくる雄叫びの発生地目指して、階段を降りて、右に曲がる。
突き当たりの窓からは月が出ていて、廊下に蒼白い光を生んでいた。

     ギ…………………………

奥の部屋のドアが、静かに開いた。
そして中から――――


何かが出てきた。


それは四つん這いになった人影だった。

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20105んちゃv 春祭あられ E-mail 2002/2/17 15:58:13
記事番号20075へのコメント

んちゃーっ♪春祭あられです☆
虚像読んじゃいましたv
可愛い男の子ですねぇ。リギ君。
リナもアメリアもほれ込むなんてーv

――――――――――――――――――って、ちょっとまてや。
リギ君って、リギ君って・・・・・・リギ?!
リギってあのリギですかい?!
今度は子供バージョンで読者の心鷲掴みですか?!
アダルトバージョン(?!)もなかなかのものだったけれど、ええ、ええっ?!

(混乱中)

ちょっと今ね、まともな状態じゃないからね、今回のレスはこの辺にしておきますわね。(みじかっ)
面白いよ、この話。
んもー、続きが楽しみ♪
じゃ、そーいうことで。
また会えることを祈って。
 春祭あられ
                          リギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギ

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20109リギさんらばv羅琴みつき E-mail 2002/2/17 21:10:54
記事番号20105へのコメント

春祭あられさんは No.20105「んちゃv 」で書きました。
>
>んちゃーっ♪春祭あられです☆
こんばんみ☆
あ、メール送り付けておきましたにょんっ。

>虚像読んじゃいましたv
ぎゃ―――――――――――――――!!!!!←何

>可愛い男の子ですねぇ。リギ君。
>リナもアメリアもほれ込むなんてーv
うふふふふふふ(怪)。

>――――――――――――――――――って、ちょっとまてや。
>リギ君って、リギ君って・・・・・・リギ?!
>リギってあのリギですかい?!
ビンゴッ!!!

>今度は子供バージョンで読者の心鷲掴みですか?!
>アダルトバージョン(?!)もなかなかのものだったけれど、ええ、ええっ?!
あ……アダルトバージョン!!?

リギさんはですね、あともう一人、壊心の時よりももう少し冷たいタイプがいるんですね。まあ、壊心は優しすぎですから、冷たいとも言えんのですが。
基本が虚像のリギさんですかねー。←複雑・リギワールド

>(混乱中)
リギワールドーーーーーー。

>ちょっと今ね、まともな状態じゃないからね、今回のレスはこの辺にしておきますわね。(みじかっ)
>面白いよ、この話。
>んもー、続きが楽しみ♪
ありがたうです!!
その言葉があるだけで!!
でもこのお話、実は結構暗くて重ーい話なのですね。ま、あたしの書く話ですから♪←もはや開き直り

>じゃ、そーいうことで。
>また会えることを祈って。
> 春祭あられ
では。
レスどうもでしたっ。

>                          リギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギ
ギリギリ(激違)。

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20115虚像 3羅琴みつき E-mail 2002/2/18 00:38:01
記事番号20067へのコメント

やっと本題に入ってきました。
でも結構、複線早い方なのかも……。もうちっとぐらい延ばして良かったですかね;

それにしても、リギさん…………性格かわったねえ………………←遠い目
まあ、いろんな所に出てるので、少しずつ変化を入れていきたいのです。壊心の彼はもう少し…というかかなりの優しいほのぼのさんでしたから。でも本家の彼は少ーし影があって、冷たい人でもあるのです。結局優しいんですが………(謎);





虚像 3







       止められない





            止められない――
       
                     ――魂の腐敗





      コレは



 

          朽ちた魂が存在する





                    証だから














「だっ………誰?誰なの!!?」
異様なその人影に、あたしは声を張り上げていた。
四つん這いになったその人影。月明かりを背にして、よくは見えないが、軽くウェーブがかった長い髪はわかった。
あとそれから。人影の口元で、牙が光ったのも。

   ぅがあぁぁあう……………ぁ…っ……………!!

人影が発する、獣のうなり。それはあたし達に対して、明らかな怒りを含んでいた。あたしは口の中で、小さく呪文を唱えた。
あたし達四人は、慎重に様子をうかがう。
だっ!!
人影は床を蹴り、大きくジャンプして、向かう先は―――
「アメリア!危ない!!」
「アメリア!!」
言いながら、とっさにアメリアの方に駆け寄るが、間に合わない!!
ガウリイかゼルか。どちらかの声も後ろから聞こえた。
「大丈夫よ!」
そう言ったアメリアの手には、何か呪文を唱えてあったのだろう、魔力の光が見えた。
腕を人影へと向け、
「えっ……………?」
何故か。
アメリアは、人影が目の前にまで迫った瞬間、呪文を中断してしまった。
何やってんのよ!!
がっっ!!
そのまま向かってきた人影に押し倒されるアメリア。
位置的に言うならあたしの目の前。
ようやくわかった。アメリアが呪文を中断したわけが。
まだ暗い中だが、〃人影〃について、もう少しわかったことがある。
それは。リギと同じくらいの小さな少女だった。丈の短い、白い着衣に膝上までの黒いスパッツを履いているようだった。
恐らくアメリアは、少女の姿を確認して、呪文を放つまでに至れなかったのだろう。

   がぁうっ!!

それでもその〃少女〃は咆吼と共に、アメリアへと牙をむく。
「ちょっ………!!」
いくら相手が子供だからって、それでもやられるわけにはいかないじゃない!!
「やめて」
あたしが攻撃しようとした瞬間、まだ若い声が後ろ―ガウリイ達よりもっと後ろから聞こえた。
声の主はたしかめるまでもない。リギだった。
何だか穏やかながらに、複雑な顔をしている。
しかし、今の台詞、あたしに対して攻撃をやめろ、と言っている風ではなかったが?
「やめて」
リギは暗い廊下を静かに、〃少女〃とアメリアの所まで歩いてきた。
どうやら〃少女〃を制止しているようだ。

   ぎぇうる………がづっつつつ!!!

だが〃少女〃は、アメリアを押し倒したまま離さず、顔を激しく振る。その様子は、まさしく〃獣〃のそれだった。
アメリアは顔を恐怖に歪める。
「やめなさい」
リギがさっきよりもきつい―それでもなお穏やかに―口調で言った。
「やめなさい」
さらにもう一度。
「やめなさい」
もう一度。
「やめなさい」
もう一度―――――――

   ……………ぁ………ぉぉぉ…………ぉ………………

「……………」
〃少女〃は静かにアメリアの体を離した。
そのすきにアメリアは飛び起きて、あたしたちの方に寄ってくる。
すぐにまた、〃少女〃はあたしたちを威嚇してきたが、リギの制止によって止められた。



「ご迷惑をおかけして、申し訳ありませんでした」
部屋の中に、〃少女〃を連れていってから、リギはあたしたち―特にアメリア―に謝った。
「……………………聞いてもいい?」
あたしは言った。
「………みなさんが眠くないのでしたら」
応えはみんな同じ。
布団に入った時間も早かった。
勿論、
「聞かせて欲しいわね」



明かりをつけて、明るくなったリビング。
中央のソファに、5人は座った。
そしてリギは話し出す。
「地元ではなかなかの商人だった両親がはやくに亡くなってから、ボク達はここに移り住んだんです。
 当時は何人かの使用人もいたので、生活に支障はありませんでした」
「ボク達ってのは何だ」
ゼルが問う。
「双子の妹がいたんです」
過去形。
リギはそうとだけ言った。
話の続きをはやく聞きたかったし、誰も深く追求しなかった。〃話の続き〃の中に関わっていると思ったし。
「ある日――ボクが10歳の時でした。妹が散歩へ森へ行ったきり、帰ってこなかったんです。かなり捜したのですが、どこにも見つかりませんでした。
 そうして、半年ほどたったとき、ボクが血臭で目を覚まして、下へ降りると、使用人たち全員、獣に喰い殺されていました」
「………………………」


「―――そう。
 行方不明になっていたボクの妹は、獣となって還ってきました」








あとがきょうこ(死)
………どこが本題に入っているんだろう;
い…いや……、次あたりでちゃんと!本題に入る予定ですので!!
言い忘れていましたが、実はこのお話、やはり作者があたしなだけあり、結構暗いし重いです。
そういうのが嫌いじゃー!!って方にはおすすめできなかったり;
ちなみに冒頭の詩(?)はリギさんの心情ですね。
そして次回も冒頭は同じです。
このお話は更新もはやくできそうです。

では、中途半端なとこですが、これにて。
みつきでした。

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20137虚像 4羅琴みつき E-mail 2002/2/18 22:35:44
記事番号20067へのコメント

そろそろ本気で暗いぜ!!
覚悟して、お進みください………




虚像 4







    止められない





        止められない――
       
                  ――魂の腐敗





        コレは



 

            朽ちた魂が存在する





                      証だから















「え……………?」
「獣って………」
「どういうことだ?」
「詳しく説明しろ」
状況が飲み込めず、それぞれが何かしら言葉を発した。
リギは軽く頷くと続けた。
「ボクの妹だった人間は、魔道士の団体に、実験材料にされたんですね」
そう言ったその顔は、
とても。―――とても穏やかだった。
自分の胸の辺りに触れて、
「ここを、ひどく凶暴な野獣と取り替えられたんですよ」

――――――――――!!!

「それって………」
「合成人間にされたってことか?」
誰かの呟き。
続きは確かに、ゼルガディスが、言った。
「合成人間………もし、それが貴方のことなら、」
「……………………!」
あちゃー…。
リギもなかなか鋭いことを言うもんである。
「〃アレ〃はきっと、そういう言い方は適当じゃないかと思います」
「どういう意味だ?」
ゼルはやはり気になるのか、あたしが言うよりも早く、質問をしていた。
「だって、アレに自我はありませんから。
 完全に、人間の形をした、獣になってしまったんです」
微妙に険しい顔をして、リギはハッキリと言った。
「自我がないって………でもリギくんの言うことは聞いてたみたいだけど…?」
「ボクの言うことだけは、何度か繰り返すと聞いてくれるんですけど、あれは体質的なもので……ただボクと相性が合うからってだけみたいなんですよ…。別に『双子の絆』だとか、そういう童話的なものじゃありません」
アメリアの問いに、リギは苦笑いしながら応えた。
あたしにはその姿が、とても痛々しく見えて、ならなかった。
「ところであんた何歳なの?」
10歳の時に妹がそうなったってことは………
「もうすぐ14です。ボク、童顔なのでもっと若くみられますがね」
たっ…たしかに!それでも若く見えてしまう…………!!
「4年近くもこんな生活送ってきたの!?」
「慣れれば苦にはなりませんよ」
そういうものなのだろうか………。
「あ、そういえば!」
唐突にガウリイが声をあげた。
今まで黙ってたのは、話についていけないからだと思っていたが。
「その子、使用人くっちまったんだろ?
 食事とかどうしてんだ?」
………………………!!!!!
ばっ……!!なんつー無神経な奴だ!!何でそういう〃いけない〃ことを平気で聞くかなあ!!?

あたしは叫ぶわけにもいかず、ただガウリイを睨み付けておいた。
するとリギは何喰わぬ顔をして、応えた。
「ああ、人肉も食べるみたいです。旅人を襲うので注意しているんですが……。アレは獣になったんですが、多分何か……魔道的な効果があったんですね。アレは………負の感情を糧としているんです」
―――負の感情!?
思わず思考が顔に出てしまった。
それを見てリギは察し、言う。
「あ、安心してください。『魔族』ってわけではないので。負の感情を糧に呼吸しているだけですよ。
 ボクの感情をあげてるんです」
「感情をあげてる!?」
「ええ」
こともなげに言い放つリギ。
すると座っていたソファから立ち上がり、あたしたちに背を向け、広いリビングで両手を軽く広げる。
「だからボクは、自身が正の感情に満たされないように、極力笑わないようにしてたりするわけです。元妹を、『アレ』呼ばわり……。人間扱いしないのも、無意識のうちに、負の感情が増えるからです」
くるりっ、とあたしたちの方を向き直ると、泣きそうなぐらい、悲しそうな顔をして、
「だって―――、
 ボクは哀しくても生きていけるけど、アレはそういうわけにはいきませんから」

がたっ。

ぎゅっ!!

「笑いなさい!」
音をたてて席をたつと、アメリアは思いっきりリギを抱きしめた。
硬く閉じた瞳からは、涙が溢れていた。
「それで表情も『穏やか』止まり!そんなんだから不思議に思われるのよ!」
涙声で。
叫ぶ。
「笑いなさい!!!」
きつい口調で―もはや命令だが―、もう一度言った。
リギは複雑な顔をして、瞳を閉じ、
「ありがとう、ございます――でも、言いましたよ?ボクは哀しくても生きていけるけど、アレはそういうわけにもいかないんです…………」

ぎゅっ。

アメリアはリギを抱きしめる手に力を入れ、涙と怒りに震える顔をあたしたちの方に向けた。
「みなさんっ!!私、絶対に許したくないです!!!」




「……………あたしもよ」

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20161ただいまちり紙不足警報発令中(謎)ねんねこ E-mail URL2002/2/20 11:42:51
記事番号20137へのコメント


 はじめまして!というべきでしょうか……(悩みどころ)
 以前チャットでお話したり、私のお話にレスしてくださりましたよね。覚えていらっしゃるでしょうか?あの時はありがとうございました(ぺこり)。
 なにはともあれ、こちらでははじめましてなのです。ねんねこと申しますです。以後お見知りおきをなのですvv

>そろそろ本気で暗いぜ!!
>覚悟して、お進みください………

 というわけで、覚悟を決めたので拝見させていただきました。
 …………(深呼吸中)
 リ・ギ・さぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!(泣)
 めちゃくちゃ悲しいですっ!薄幸の美少年ですかっ!ねんねこ的にこういうキャラに激弱いんですがっ!(待てない)

>「ボクの言うことだけは、何度か繰り返すと聞いてくれるんですけど、あれは体質的なもので……ただボクと相性が合うからってだけみたいなんですよ…。別に『双子の絆』だとか、そういう童話的なものじゃありません」

 現実はそううまくいかないってことなんですね(泣)
『姿は変わっても私たちは一緒よっ!』なんていうのはやはりきれい事にしか思えませんから……でも、やっぱり面と向かって言われるととても悲しいことなのです……(T_T)

 見た目は実年齢より若く見られているリギさんですが、精神年齢はとてつもなく高そうです。そこがまたツボなんですがv
 衝撃の事実を知った4人(特に暴走しそうな勢いの姫)がどういう行動に出るか、続きを楽しみにしておりますです。
 ビバ、行き当たりばったり。ねんねこもたいていそれ系で書いてますので(直す気もないらしい)頑張ってくださいませvv
 ではでは短いですが、この辺で。ねんねこでした♪


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20180っどいつもこいつも!!(何だね君)羅琴みつき E-mail 2002/2/21 22:37:31
記事番号20161へのコメント

ねんねこさんは No.20161「ただいまちり紙不足警報発令中(謎)」で書きました。
>
>
> はじめまして!というべきでしょうか……(悩みどころ)
> 以前チャットでお話したり、私のお話にレスしてくださりましたよね。覚えていらっしゃるでしょうか?あの時はありがとうございました(ぺこり)。
あああああああああこんばんは!!
勿論覚えていますとも!最近チャットは行ってませんけど……;
こちらこそ覚えていただいてて嬉しいですvv
あたしはやっぱり、相変わらずねんねこさんのツリーに圧倒されまくりで、なかなかレスが出来ないのですが、今度頑張りたいです(笑)。

> なにはともあれ、こちらでははじめましてなのです。ねんねこと申しますです。以後お見知りおきをなのですvv
こっ…こちらこそです(←かなり緊張)!

>>そろそろ本気で暗いぜ!!
>>覚悟して、お進みください………
>
> というわけで、覚悟を決めたので拝見させていただきました。
へい。

> …………(深呼吸中)
> リ・ギ・さぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!(泣)
> めちゃくちゃ悲しいですっ!薄幸の美少年ですかっ!ねんねこ的にこういうキャラに激弱いんですがっ!(待てない)
ぎゃゃゃゃゃゃゃゃゃぁぁぁぁああああああああああああ!!!!!(叫)
リギさんは個人的にかなり気に入っているので、そう言ってもらえるとすごく嬉しいですvv
嬉しすぎて舞い上がっております!ちり紙不足っ!!

>>「ボクの言うことだけは、何度か繰り返すと聞いてくれるんですけど、あれは体質的なもので……ただボクと相性が合うからってだけみたいなんですよ…。別に『双子の絆』だとか、そういう童話的なものじゃありません」
>
> 現実はそううまくいかないってことなんですね(泣)
ですね( ̄□ ̄)。
そんな感じに黄金の大道を玉砕(きぱ)。

>『姿は変わっても私たちは一緒よっ!』なんていうのはやはりきれい事にしか思えませんから……でも、やっぱり面と向かって言われるととても悲しいことなのです……(T_T)
そうですね……彼本人は、本当は繋がりを信じたいのかもしれません。
でも現実はやたらと厳しいのです( ̄∧ ̄)!!!←鬼

> 見た目は実年齢より若く見られているリギさんですが、精神年齢はとてつもなく高そうです。そこがまたツボなんですがv
真人間の平均寿命の半分は軽く超えます(微妙)。

> 衝撃の事実を知った4人(特に暴走しそうな勢いの姫)がどういう行動に出るか、続きを楽しみにしておりますです。
ありがとうございですvv続きはなるべくはやく書きたいんですが、テストがっっ!!あたしは未だにテスト前の緊張感に慣れないんですが、形だけでも、と頑張ってるふりです(やめい)。

> ビバ、行き当たりばったり。ねんねこもたいていそれ系で書いてますので(直す気もないらしい)頑張ってくださいませvv
ねんねこさんも行き当たりばったり多いのですかー。てか自分、一発書きしか書いたことないです(爆)。
こんなんですが、、一応頑張って行きたい(生きたいなぁ……)です。

> ではでは短いですが、この辺で。ねんねこでした♪
こちらこそ、たらたらした返事で;

ではでは。これにて。

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