◆−最初の朝−春祭あられ (2002/2/6 01:08:49) No.19945
 ┣Our School−春祭あられ (2002/2/6 01:31:34) No.19946
 ┣手紙の中の君−春祭あられ (2002/2/6 18:07:58) No.19948
 ┣ココロ−春祭あられ (2002/2/7 15:17:55) No.19961
 ┗告白−春祭あられ (2002/2/7 15:25:28) No.19962


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19945最初の朝春祭あられ E-mail 2002/2/6 01:08:49


あーらびっくり。
中二か、三の時に書いた掘り出し物が出てきました。
オリジナルですけど、出してみようかなー・・・なんて思ったり。
へぼいですけど、この先を読んでくれる方は、よろしければ最後まで宜しくお願いします。


            ◇◆◇◆◇◆◇


   僕がもし、君の前に現れなかったら・・・・・・
        そのまま忘れていた?


陽射しは斜めに窓から入り
風は流れ
時は流れ
僕の顔を風が撫でる

時計を見るともう、7時に近かった。

“君は僕のことを覚えているかい?”

寝起きに首を傾げてみた
少し茶色がかった長い髪が、パサリと音を立てて動く。
今日から新しい学校へ行く。――――――帰国子女だった。
ついこの間までアメリカにいた。
もう五日もたつというのに、時差ぼけは多少なりと残っている。
  つらい
それが正直な気持ち。
けれども、今日は幾分かその気持ちは軽い。

“僕は君のことを覚えている”

食パンをオーブントースターに入れて
――――――焼きあがるまで約五分。
壁に、ハンガーでつるしてある服を見た
セーラー服
赤いスカーフ
折り目の多いスカート
“制服”なんて物を初めて今日  着る
似合うかどうか分からない。
とりあえずそれを着た。

 チンッ

元気よく、オーブントースターが鳴いた
冷蔵庫から桃のジャムを取り出して、トースターにぬった
ついでに紅茶にも入れた。
 甘く   そしてほろ苦く
僕の今の気持ちにピッタリだった。


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19946Our School春祭あられ E-mail 2002/2/6 01:31:34
記事番号19945へのコメント

   君は僕の思い出のカケラ――――――君は?


「おはよう」
わざわざ君を待ち伏せして
僕は君に声をかけた

「君は・・・・・・?」

と君は言った。
長い髪を風になびかせて  僕は笑った。

「さあ、誰でしょう?」

「見かけない顔だね」

そう聞いてくる君の顔は、とても不思議そう。
だから僕は  君に背を向けた

「そのうち分かるよ?」

振り返りざまに、つけくわえて


             ・   ・   ・


飾り気のない空間
放射状に入る光の矢
規則正しく並ぶ
―――机
―――人
全ての視線が僕を貫く。

その中に  君はいる?

スーツを纏った女性が、僕をその空間の中に入れる。
転校生がきました  とその女性は言った。
もっと強い視線が僕の身体をくまなく貫く。
痛くはない  だから
にっこりと笑って見せた。

「アメリカからきた、中原雪子です。どうぞよろしく」

僕は横目で君を見た。
君の目は見開いている。

   驚いた?

僕は前から  このクラスに決まったときから
君がここにいることを 知っていたよ

ゆっこ  と君の口が動くのを  僕ははっきりと見た。


            ・   ・   ・


気がつけば君は僕の前にいた
「ゆっこ」
今度ははっきりと僕の名前を呼んだ。
  クスクスクス
だから僕は笑う。

「驚いた?」

驚いたよ、と君も笑った。
  笑って 笑って いたずらに

「8年・・・・・・ぶりだね?」
「8年と3ヶ月ぶりだよ」

僕は正確に時を計るから
心の中は  大きな砂時計

「じゃあ、紙面上だと2年10ヶ月と23日ぶりだ」
「僕は2年11ヶ月のつもりだけど?」
「ほら、日本とアメリカの差だ」

君の心の中も、大きな砂時計で出来ているの?

また後でね。バイバイ。  といって君が去る。

バイバイ  欧介

鐘がなって、休みの時間が閉ざされる。

バイバイ。また――――――後で。



               ◇◆◇◆◇◆◇


あー・・・・・・あとがきをまともに話す気力もないほど、今とっても眠いです。
というわけで、続きはまた今度。明日辺りにしようかと。
嗚呼、眠い。おやすみなさい。
 春祭あられ


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19948手紙の中の君春祭あられ E-mail 2002/2/6 18:07:58
記事番号19945へのコメント

「僕、欧介のこと忘れたくないよ」
   小さい瞳には涙があふれ
「大丈夫。僕は絶対に忘れないから」
   滲んだ姿の君を映す

   自信がないんだよ?

「じゃあ、お手紙出し合おう。そうすれば忘れないよ」
「うん、そうだね、そうしよう」

   涙一面の笑顔が映った


              ・   ・   ・


 おうすけへ
アメリカに今日つきました。新しいおうちはとても広いんだよ。
おうすけもこんどあそびに来てね。   雪子より


 ゆっこへ
おてがみありがとう。あのね、ぼく、そっちにはあそびにいけないんだよ。
とっても遠いからだよ。ごめんね。
そういえば、この間ね、たか明とゆうえん地にいったんだ。
とてもたのしかったよ。
こんど、ゆっこがかえってきたら、いっしょにいこうね。   欧介より


 欧介へ
お久しぶり。しばらく手紙を出さないでごめん。
ちょっと聞いてよ。
この間ケイトの家に遊びに行ったら、面白半分に髪を染められちゃった。
もう黒じゃないよ、これ。茶色だよ。
話し変わるけどさ、この間僕、テストで首席取ったんだよ。へっへーん。すごいでしょ。いっしょうけんめい勉強したからね。
君はどうだい?順調?
そろそろ冬だけど、かぜをひかないように。BYE!  YUKIKO


 ゆっこへ
親父が単身赴任で九州の方へいってしまった。何故か家ががらんとしててな。結構淋しいもんだぜ?
そっちの調子はどうよ?俺はまあ風邪は引かずにすんでるけど、頭のほうが・・・・・・
ま、おまえと作りが違うもんだからやばいところまできている。まったく、脳みそ分けて欲しいよ。
そう、何でこんな話しかっつーとな、明日から俺はテスト期間なんだ。
やばいの連発なんだよ。だから今回の手紙はここまでな。
手紙がもらえただけありがたいと思え。   欧介


 欧介へ
ごめん。諸々の事情で、手紙、当分出せそうにない。
出せるようになったら僕から出すから。
心配しないで。   雪子


            ・   ・   ・


それから2年と約11ヶ月。

君は手紙の中の僕を覚えてはいたけれど
僕自身のこと  覚えていてくれた?

   自信がないんだよ?

何年も前の言葉を  今また呟く


              ◇◆◇◆◇◆◇


あとがきっちょ。
意味不明。わけわかんない。もう昔の私のことなんか忘れたよ。何考えてたんだか。
誰も突っ込まないでプリーズ。

 春祭あられ


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19961ココロ春祭あられ E-mail 2002/2/7 15:17:55
記事番号19945へのコメント

   僕は  君の中にいる?

昼休み、僕はこう聞かれた。
「佐々君と知り合いなの?」
―――佐々
こんな呼び方、欧介には似合わないと思った。
「うん」
けれど  文句はいわなかった。
「彼さ、いいよね」
彼女はにっこりといった。
―――何が?
「勉強できるし、スポーツ万能。おまけに性格もいいときた。こんな人なかなかいないわよね」

   この人は、僕の知らない欧介を知っていた。

胸のずっとずっと内側が
少し痛い気がした


               ・   ・   ・


「欧介っ」
帰り  僕は教室で君を呼んだ

振り返る君は  僕の知っている君?
          知らない君?

「一緒に帰ってもいい?」

君は笑って肯いた  僕の知っている君。
僕も笑った     君の知っている僕。

   お互い  何処まで知っているんだろう

「ねえ」
「ん?」

入り組む街の片隅で

「僕、学校の欧介知らないよ」
「それは俺もだよ。学校の君を知らない」
「学校の君を知っている子がいた」
「・・・・・・そりゃ、知ってるだろうな」
「少し、痛かった」
「―――え?」
「ここが、痛かった」

僕は胸をさす
君は立ち止まった

「どうすればいい?」

君は答えない

「僕はどうすればいいの?」

僕は、不安で 不安で 不安で
朝は
ずっと覚えていた君に会えて
嬉しかったのに

風は僕の髪を揺らした

「一緒にいればいいよ」

君がやっと口を開いた。
それが嬉しかった。

「俺とずっと一緒にいればいい」

それから欧介は僕の手を引いた。
優しいけれど
力強く

「久しぶりにうちへおいでよ」

欧介はまた  笑って言った。


               ・   ・   ・


鳥がさえずり
木がざわめき
天使は歌声を響かせる

そこは昔のままあった。
君の  大きなおうち

「あらあら!ゆっこちゃんじゃない!いらっしゃい。日本に帰ってきたの?」

君のお母さんは朗らかに笑って
僕をむかいいれてくれた。

帰ってくるならいってくれれば・・・・・・
もっとおもてなしできたのにねぇ

そんな声が聞こえた気がした

欧介の部屋は二階にあった。
入ると、そこは空だった。
蒼い空が続いている。

空をイメージして  小物とか置いてあるんだ

君は照れくさそうに言った

綺麗に整理された部屋の片隅に
いろんな本の詰まった  本棚があった

君はどんな本を読むの?

その本を手に取ろうとして

「―――?!」

ふわりと、背中が温かくなった
トクン トクン と聞こえるリズム
前にまわされた君の腕
顔が  僕の耳元に

「好きだよ」

囁かれても
僕は振り返れない

「好きだよ」

君はもう一度囁いた

君は何処まで覚えているの?
最初は僕の顔を見ても分からなかったのに

僕は君の腕を掴んだ。
そして  気付いた。
本棚の一部分の置いてあるブリキの入れ物。
その中には、何枚も  何枚も  紙切れが
僕が君に書いた  約五年分の紙切れが
ずっと      ずっととってあった

「欧介」

君を呼ぶ

「僕も君が好きだよ?」

嘘なんかじゃなくて
八年も前からずっと

   僕は君が好き


               ◇◆◇◆◇◆◇


あとがき
穴があったら入りたい。

 春祭あられ


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19962告白春祭あられ E-mail 2002/2/7 15:25:28
記事番号19945へのコメント

   君は  いつまでも気楽で

再会してから
君はずっと俺のそばにいた
明るくて  まるで自分を道化のように  やさしくて

八年前と何も変わっちゃいない

「君は・・・・・・?」

君が目の前に現れたとき  本当は少し分かってた
それでも信じられなくて  聞いた
君は昔のように思わせぶりに

「そのうち分かるよ?」

といった。
本当はそのとき分かってたのに
君がいるはずないと拒否して  自分を我慢した

「少し、痛かった」
「ここが、痛かった」

そう君が言ってくれて  俺はやせ我慢を止めた

「好きだよ」

ずっと前から  ずっと  ずっと

「好きだよ」



                ◇◆◇◆◇◆◇


あとがき
・・・・・・・・・・・・。

 春祭あられ


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