◆−血の後継者 第11話 〜唱える項編〜−風林改め、羅琴みつき (2002/1/11 23:59:43) No.19501
 ┗血の後継者 第12話 〜廻転〜−羅琴みつき (2002/1/12 23:15:14) No.19509


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19501血の後継者 第11話 〜唱える項編〜風林改め、羅琴みつき E-mail 2002/1/11 23:59:43


こんばん。羅琴みつきです。
旧風林、とゆーわけで改名しました。ちなみにそのまま『らごと』です。変なのは承知ですが・・・;『羅』が使いたかったのです!!あたしを名字で呼ぶ方は、『らご』とかって呼んでくださいな。てか自分、さらに本名から離れてどうする(爆)。

投稿するたびにお久しぶりな血継ですが、実は一番気合い入れて書いている小説です。反動からか、暗さ加減も並大抵ではないですが。
このたび著者別ツリーをつくったので、奇特な方はそちらを読んでから・・・というより、悪魔出る、天使出る、悪魔が正義と設定が複雑なので、読んでからじゃないとさっぱりわかりません(断言!!)。
ではでは、おどろおどろしい人間模様が炸裂する、不吉ファンタジック・ストーリー第11話。れっつだうん(←キャッチフレーズ(爆))。



『血の後継者』
第11話
〜天使の休暇・唱える項編〜


「スィーフィード様。どうして突然Lさんと旅行に行ったんでしょうね」
アメリアは、テーブルの向かいに座ってコーヒーを飲んでいるゼルガディスに声をかける。
ちなみにアメリアの前に飲み物はない。
「知るか。」
ゼルガティスの返事は素っ気ない。
「というより、Lさんってスィーフィード様のこと嫌っているように見えていたんですけど」
喋り続けるアメリア。
「まぁ、お休みもらえて嬉しいですけどね。不正を成敗できて」
「ところでアメリア、」
この日初めて彼から彼女にはなしかける。
「何です?」
「何だって、その〃お休みの日〃に俺の家にいるんだ?」
「家が隣ですしー、あとそれから、一緒に不正へ正義の鉄槌を下しに街へ繰り出そうかと」
さも当然というように、アメリアはすらすらと言いのける。
「勝手に俺の一日の予定を決めるな・・・」
ゼルガディスは頭を抱えて呻いた。
「さあ、ゼルガディスさん!!コーヒーなんて飲んでないで、不正退治に行きましょう!!」
ばん!と音をたてて勢いよく、椅子から立ち上がるアメリア。
ゼルガディスは彼女の言葉に違和感を覚える。
「おい、アメリア。今日はやたら『不正』を連発しているが・・・。お前の敵は『悪』じゃなかったのか?まぁ、たいして意味に違いはないんだが」
「っ・・・・・・・」
ゼルガディスは、アメリアの表情が一瞬強ばり、眉をよせたのを見落とさなかった。
「・・・『悪』と、軽々しく口にしてはいけません」
静かに呟くと、アメリアはゆっくり椅子に座った。


実のところ。アメリアは例のことを、他人に話すな、とリナに言われている。
彼女が何を思ってそう言ったのか、アメリアにはわからない。
けれど、誰かに彼女達を理解してもらいたい。
それは。
もしかしたら。
偽善―――――なのかもしれない。
誰にも言わないことで、自分の地位を守っている気がした。自分は正義でありたい。黙っていることで、自分が汚染されていっているのではないか?汚れたくない。正義でありたい。
だから――――言うのか?


「ゼルガディスさん?正義って、何だと思いますか?」
とりあえず〃リナに〃言われたことは守って、言葉を選びながらアメリアは言う。
「考えたことがない。悪いが興味ないんでね」
今日のコーヒーは味が悪い。
アメリアは頬に手を当て、肘をつく。顔のラインが変わり、少し不機嫌そうにも見える。
「私・・・、視野が狭かったんですね」
今度は両手を膝の上にそっと添える。
「あるものの、前評判や一面に触れただけで、それを全て理解した気になっていたんです。それも悪い意味で。
 それはとても恐ろしいことです」
「そうだな」
アメリアの言葉に耳を傾けながら、ゼルガディスは味の悪いコーヒーをひとすすり。
そろそろ冷めかけてきている。
「本当に、正義って何でしょうね。私は正義の人でありたいと願うのに・・・当分叶いそうにないですよ」
アメリアは苦笑まじりに言った。
ゼルガディスはここまで真面目に話す彼女を久しぶりに見た。
「悪魔は悪であって悪ではない。天使は正義であって正義ではない。
 ゼルガディスさん、私が全てを理解するまで―できるかわかりませんが、それまで真実を話すことはできないです。
 でも、それでも、わかってください」
話せないが、わかれ。
自分の言っていることが、支離滅裂なのはわかっている。けれど、アメリアには、彼ならばわかってくれるのではないか、そう思うのだ。
返事を待たずにアメリアは先を続ける。
「正義―――それが何かはわかりませんけど、それが私にはわからないもので、儚くて、壮大なものであるからこそ、私は正義に惹かれ、なりたいと願うのかも・・・しれません・・・・・・」
アメリアは、微笑んだ。

気がつけば、アメリアの前には紅茶が置いてあった。
その向かいでは、ゼルガディスが湯気ののぼるコーヒーを飲んでいた。







あとがきゃー
一応、今回で、休暇編は終了!!ホントはコトコトトリオのマジ話を書こうと思っていたのですが、なんか軌道がそれそうで(死)・・・。次回からはまた意味深なことが始まるかと。
ここらへんが折り返し地点でしょうかね。まぁ、一発書きなので、どうなるかわかりませんが。

しかし、あたし・・・・・・どうしてこうなるんでしょうね(謎)。
でも今回はいつもほど暗くはなかったかもです。私的には。でもアメさんらしくなかったですよね。

では、これにて。
嗚呼ぁぁぁ・・・
さようなら、剣と魔法の世界・・・こんにちは、心理学(違)・・・

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19509血の後継者 第12話 〜廻転〜羅琴みつき E-mail 2002/1/12 23:15:14
記事番号19501へのコメント

『血の後継者』
第12話
〜廻転〜


「おかえりーっ」
あたしたちが塔に戻ると、ナイトメア――Lは、実ににこやかな笑顔で出迎えた。むろん、この笑顔が心の底からのものであるはずがない。何か企んでいる時の顔である。
「ただいまーー!!」
「てか、どこまで行ってきたんだよ」
ラミサを除いて、みな挨拶を返す気はないらしく、ルークはジト目で言った。
「ま、ちょっと地方までね」
ものすごいアバウトな返事が返ってきた。
でも、スィーフィードと行ったのなら、地方の仲間の所ではないんだろうな。
「それよりさ、いつまでも玄関につったってないで、荷物でも部屋に運びなさいよ。って、荷物なかったんだっけー♪」
自分で荷物を出す時間さえ、与えなかったくせに、よく言えた台詞である。彼女らしいが。
それでもあたしたちは、何も手ぶらなわけじゃない。
自室へ戻ろうとミリーナから、順番に正面の階段を上っていく。
あたしもヴァル兄の後に、Lの横を通り過ぎ――、
「感謝しなさいよね」
Lは小声であたしに囁いた。不敵な笑みを浮かべていた。
「あんたまさか……わざと……?」
敵わないな。
そう悟って、あたしは自室へ向かった。


「Lさん……ごめんなさい……‥‥」
「何のことよ?」
「いえ…。先に言っておいた方が……いいかと思いまして。
 多分……ごめんなさい」
レイファとLの、短いやりとり。
あたしには聞こえなかった。




「おかえりーっ」
アメリアとゼルガディスが塔に戻ると、スィーフィードは、実ににこやかな笑顔で出迎えた。
ナコトたちの姿はまだ見られない。
彼女はいつだって、心の底から笑う。それが黒の塔の主なる者に、嫌われる理由の一つでもあるのだが。
「天使アメリア、ただいま還りました!!」
アメリアは大きな声で返事をした。アメリアはスィーフィードの笑顔が大好きだった。
自分の亡き母に面影が似ているからだ。
そして彼女は、スィーフィードに忠誠を誓うのだ。

「ゼルちゃーんっ!!帰ったよーーー」

びくっ。
走る悪寒。
振り向くまでもない。
久々の登場を果たしたのは、
ロングヘアーのミコト!
ツインテールのナコト!
三つ編みおさげのハコト!
3人そろってコトコトトリオ。ちなみに姉妹じゃない。
「聞いて!あのね、休暇中に、街の方でコンクールあったでしょ?絵画の」
「あ……ああ……」
ナコトの―というより3人の迫力に押されて、ゼルガディスはこくこく顔を縦に振る。
そして続きをハコトが告げる。
「そんでね、あたしたち合作で出したらね、銅賞とったの!!」
「まあvすごい」
スィーフィードが感嘆の声をあげる。
「ありがと、スィーちゃん。もお、初めてだったんだ!賞もらったの。あ、佳作はあったかな?」
スィーフィードのことを、『スィーちゃん』などと言ってのけるあたり、彼女達は大物なのだ、とアメリアは時々、ひどく感心する。本当に時々だが。
「これもモデルのおかげだよね!これからもよろしく!!」
「嫌だ」
ゼルガディスはキッパリと言ったが、聞こえなかったふりをされた。
「今度、アメちゃんも描いてみたいなぁ」
「え゛っ!?」
ミコトに突然話をふられ、困惑するアメリア。
「え…遠慮します………」
一拍おいて言った。しかし、以下同文である。
「さあみんな、いつまでもそんなところで話し込んでないで。一度お部屋に戻ったら?」
結末を見ない会話に、スィーフィードが結末を持ってきてくれた。
そして誰からともなく、順番に正面の階段をのぼっていく。
最後にアメリアがスィーフィードの横を通り過ぎる際、足を止めて、
「スィーフィード様、リナさんを、ご存じですか?」
「えっと…。たしか、黒の塔にいた悪魔さんだったかしら?
 その子が何か?」
「いえ、別に。大したことではないんです」
内心、少し安心して、アメリアは階段を急ぎ足でのぼっていった。


がしゃんっ。
音―鉄の錫杖を落とした音であった―に気づいてスィーフィードが振り向くと、先日まで地方へ行っていた、天使が入り口に呆然と立っていた。
白の塔の、上級重要天使である。
「あら。還ったのね」
天使はスィーフィードに歩み寄る。
「リナですって……?リナを知っているんですか!?」
「?ええ。黒の塔の悪魔さんのことだけれど……。それが何か?」
「黒の塔!まさかそんな近くにいたなんて……」
この会話を聞いた者は、誰もいなかった。





あとがきゃ
かなり珍しく、連続投稿ができました。しかし何が廻転なんだか(死)。
これからしばらくは、小説中心に参りましょうか。
さて、最後に登場した、上級重要天使とは、一体誰でしょう?
まぁ、応えませんが(爆)。
そのうち正体が明かされます。レイファさんも。

そうそう、今日、キノの旅Xを買いました!
やっぱり良い〜vvみなさん、是非読んでーーー( ̄□ ̄)!!!
まぁ、でもあんまり知られていないんですかねぇ……悲しいなあ。
というわけで、具体的な感想は書きませんが、必読の価値があります!!!
あ、スレ版キノの旅をやる、と前に言いましたが、発動はもちっと後ですかね。とりあえずワルツを終わらせてから?

ではでは、しばらくは小説で行く決意を固めたみつきでした。でも詩のツリーをつくる可能性高し(爆)。

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