◆−血の後継者 第10話 〜懺悔編〜−風林みつき (2001/11/24 22:37:43) No.18454


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18454血の後継者 第10話 〜懺悔編〜風林みつき 2001/11/24 22:37:43


加筆したい点があったので、改めて新規投稿です。

著者別について、ちょいと貧そうな問題が・・・
それは、みなな時代のものどもをどう始末しようかという。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・だって!!!未完なんだもん!みなな時代の全部(結果的には)!!ダークも当番日誌も闇後も!!最後の2つは一応終わってますが、ダークの続編だから・・・。
どおしませう・・・いくらなんでも、未完の作品をツリーの頭にするわけにも・・・しかしダークは駄文なりに人生の初書き・・・(今読むとめちゃめちゃ恥ずかしいが)それに、ダークはやらんとしても、設定が複雑単純ですんで、自動的に続編である当番日誌と闇後は省かれるしなー・・・どーしたもんかー・・・。

あ、風林です。こんばんちゃー。
遂に血の後継者も10話目です。ジャストです。だから何だです。どーせお前の独りよがりだろうが、と言われてしまえばそれまでですが・・・。
今回はレイファ&ラミサのオリキャラコンビですな。
短いですけど、タイトル参照で、結構重要なこと言ってます。レイファが。謎解きはもうちょい後ですけれどね。この後天使のキャラ話に入っていきますしー。
おどろおどろしい人間模様が炸裂する、不吉ファンタジックストーリー第10話、れっつだうん。



『血の後継者』
第10話
〜懺悔編〜



その日、レイファは出かける支度をしていた。別にどこへ行くと決めているわけではないが、部屋の中にいるよりは良いだろう。探すのにも。
彼女はマンション・・・というよりアパートで一人暮らしをしている。
今日はいつものスーツではなく、黒いハイネックのセーターに、丈の長い茶色のスカート。やたらとレイファに、べりぃまっちんぐ。
出かける支度―――といっても、彼女は手に何も持っていない。
ドアノブに手を手をかけ、
ガチャ。
「おっはよ〜ん☆」
あけた所で、いきなり視界にラミサの姿が入った。やはり、私服の時の黒服もあまり似合わない。違和感があった。
相変わらず脳天気な声で、右手を垂直に挙げて挨拶をしてきた。
「・・・なっ、なんですか!」
いつも冷静なレイファもびっくりして、思わず声をあげた。けれどその実、ラミサが来たことにではなく、用事を邪魔されないかと、心配している気持ちの方が強かったりする。
「遊びにきたのー。ミリーナやリナ達の家知らないし、ルーちゃんミリーナ追っかけてて、ラミサと遊んでくれないんだもーん」
ラミサの家は、レイファの住んでいるアパートの、隣のアパートだったりする。
「あ・・・あの・・・ラミサ?悪いですけど・・・私・・・今日は用事があって・・・遊んでいるほど暇じゃないんですよ・・・」
言ったとたん、ラミサは顔をぶすっと膨らませ、だだをこねはじめる。
レイファ、いつもどおり、台詞に『・・・』が多いが、どうにかならんのだろうか。
「えーー!!やだやだ、遊ぶのー!つーまーんーなーいー!!!
 ―――そうだ!レイファの用事、ラミサが手伝ってあげるよ。はやく終わったら遊べるもん!レイファは何するの?」
「えっ、あっ、・・・・いえいえいえ!良いです!・・・もう、何でも!遊びましょう・・・!というか外歩きません?行きましょう!!」
ラミサはレイファのうろたえようにも気付かない。
レイファはラミサを手をとり、家に鍵をかけると、らせん階段を駆け下り、強引に外につれだした。そしてそのまま、あてもなく、無目的に歩き出す。
「かくれんぼしたかったんだけどなー・・・。まいーかっ。お散歩お散歩〜♪」
「街の方に・・・行きませんか?」
「え?いーけど・・・レイファって人の多い所、あんまり好きじゃないんじゃなかったっけ?自然好きだし」
ラミサは立ち止まり、首をかしげる。
レイファも数歩遅れて止まり、振り返ると、目線を軽く下げ、言った。
「人の多い所に・・・・・・行きたいんですよ」
レイファはラミサの反応も待たずに、再び歩き出す。
ラミサはまたまた首を傾げる。切なそうな、淋しそうなレイファの顔に。
そしてあわててついていく。


「わー!!久しぶりに来たよー。街の方っ。でもやっぱ悪魔、ラミサ達以外に見かけないね」
人通りの多い街道。ラミサは自分を白い目で見る平民や、天使に向かって、知ってか知らずか、無邪気に手をふりふり挨拶をする。挨拶を返す者はほとんどいない―いても顔が引きつっている―のだが。
「そりゃあ・・・そうでしょう・・・」
もう開き直っているのか、レイファはいつものように、ゆっくり・・・というかもはや、とろくさく喋る。
「ねー、レイファ、お腹すいたー。お昼食べようよー。ちょっと早いけどさ」
「良いですけど・・・お金持ってるんですか?」
ちなみにレイファはポケットに小銭があるだけだ。ラミサを満腹にさせるほどはない。
「持ってるよぉ!今日はねー、レイファをおごりたかぶるー」
ドンと胸を張り、ラミサは懐から金貨を数枚取り出した。露店の軽食程度なら、銅貨5枚ほどで足りると思うのだが。
「前までその日の生活にも困ってるぐらいだった・・・のに・・・どうしたんです?その金貨」
「おばーちゃんの保険金〜」
「ああ・・・」
聞き慣れない単語だが、納得。
そういえばこの前ラミサが休暇をナイトメアに頼んでいた。
レイファは、彼女は一人暮らしだと思っていたので少なからず驚いた。
「ラミサ・・・今、何人暮らし?」
「んっとね、1人だよ〜。おばーちゃんと2人で暮らしてたんだけどねー」
いつもかわりなく、明るく笑いながら喋るラミサ。レイファは珍しく顔をしかめた。どことなく怒っているようだった。
「・・・寂しく・・・ないんですか・・・・?」
「うんっ。
 だって、おばーちゃん毎晩逢いにくるんだもん。ラミサの守護霊になってくれたのー」
さらりと怖いことを言った気がした。
(そういえば・・・こーゆー子だった・・・)
レイファは胸中で呟いた。
「今度夜におばーちゃん連れてレイファの家、行くよ」
「来ないでください・・・」
もっと怖いことを言われた。


夕方。2人は丘というか崖というか・・・、街が見下ろせる時計台に来ていた。
結局―――レイファは一日中ラミサに連れ回された。少し一緒にいるだけですぐに解放されると思っていたのに。
途中、レイファがリナとヴァルの親がやっている骨董屋を見つけたが、ラミサが騒いだら迷惑になると思い、黙っておいた。
夕日が眩しい―――――――
ふと横を見やると、いつのまにかラミサは手すりに寄りかかって寝ていた。
口、半開き、よだれをたらしながら。
急に、
寂しくなった。
(今日も一日・・・、無駄にした・・・)
思いはするのだが、楽しんでいる自分がいる。
そんな自分を必死になって否定する。
夕日で顔が紅く染まる。

涙が頬を伝う。
レイファは紅い街を見渡し、静かに―――そっと―――瞳を閉じた―――




     お許しください  お許しください

     私はあなたを裏切ります

     けれど

     私はあなたのためを想って行動するのです

     あなたにとって最高の理想でも

     それは最低の理想です

     最悪の理想を遮るには 最悪の中で最高の選択を選ばなくては

     そう      これは

     忠誠という名の

     裏切り

     あなたへの愛故に

     私は反逆者になりましょう

     全ては愛するが故

     私はあなたを

     あなたを―――――――殺します

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