◆−僧侶連盟 10−むくぅ (2001/11/24 00:27:45) No.18386
 ┣Re:僧侶連盟 10・ふふふふふ♪−かお (2001/11/24 00:47:46) No.18387
 ┃┗あははははは(死)−むくぅ (2001/11/24 11:58:05) No.18409
 ┣ふっふふふ、あははは(←変)−たかこ (2001/11/24 14:05:35) No.18419
 ┃┗きょきょきょきょ……(さらに変)−むくぅ (2001/11/25 16:54:10) No.18496
 ┣僧侶連盟 11−むくぅ (2001/11/25 17:38:40) No.18498
 ┃┗Re:僧侶連盟 11・おお!?若い竜、馬鹿がいたのね!(笑)−かお (2001/11/26 01:00:30) No.18503
 ┃ ┗いたんですねえ。馬鹿(笑)−むくぅ (2001/11/26 22:43:35) No.18524
 ┗僧侶連盟 12−むくぅ (2001/11/28 16:20:16) NEW No.18541
  ┗Re:エル様、エル様(はあと)←こら(笑)−かお (2001/11/28 20:30:43) NEW No.18548
   ┗がんばれL様!−むくぅ (2001/11/29 17:43:47) NEW No.18560


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18386僧侶連盟 10むくぅ 2001/11/24 00:27:45


「……で、この『食事中の方に喧嘩売ってるぞ』的な展開はどういうこと?」
 むう。展開上しょうがないと。
「最初のほうはもうちょっと描写が細かかったらしいけど」
 書き足してくと際限ないんでやめました。
 あ、いきなりなのです。すいません。やっと十話。どこまで行くのか。『鮮血』より多くなるのか。よくわかりません。どうも。むくぅなのです(礼)
「でもマジでペース遅くない? 『鮮血』の方は三日とか二日とかで投稿してたじゃない」
 えぇ……前の方がかなりすらすらかけてました……
「ま、あたしの出番が多いからいいけど。無駄キャラ出さないでよね」
 それは無理なのです。もう出て……

(むくぅ、覇王氷河陣で木っ端微塵)

===================================

 セイルーン・シティを出、森の中をしばし走ったところで、ヴィリスたちは見つかった。
 ――といっても、レグルス盤の魔力波動を探ってきたので、探したわけでもないのだが。
 ともあれ、そこにいたのはなにやら哀しそうなゼロスと、不機嫌なヴィリスと――青年だった。
「ヘビッ!? お前今まで一体どこにいたんだよ!」
「それよりも、そちらの青年は――?」
 ヴィリスの叫びを半ば無視して夜さんは問う。彼女は問いに、不機嫌そうに押し黙った。見れば解るだろ、とでも言いたげである。
 空色の髪に明るい黄緑の瞳。白いマントの下に着た濃緑の神官服。一見すると、髪と目の色はともかく、普通の神官に見えるが――その冗談のような目と髪の色と、白い顔立ちには覚えがあった。
「あ、この前の『道化師』」
 ヴィリスが異様に不機嫌なのはそのせいか――なるほど、確かに、自分のことを意識不明の重体に陥らせた人間――もとい魔族が傍にいると言うのに、にこにこ笑っていろ、と言うのが無理と言うものである。
 『道化師』――いや今は道化師の姿をしてはいないが――とにかくその魔族は、殊更に顔をしかめた。
「――ピエロ魔族だの道化師だの、好き勝手な名前をつけないでくれるかナァ。僕にはグロゥっていうちゃんとした名前があるんダシ」
「なるほどグロゥ……って、はッ!? グロゥッ?!」
「なんか露骨に驚いてるけど……知ってるの? リナ?」
 アメリアの問いに、あたしはこくんと頷いた。
「前に魔族の覇王将軍(ジェネラル)を一人滅ぼしたことがあってね――そいつがシェーラ、なんて安直な名前してたもんだから、ちょっとからかってやって。それで、同僚にグロウだかグラウだかってのが居る、ってのは聞いたのよ。
 でも――まさか、安直ネーミング二号と会うことになるとは……ッ!」
「そーいう言い方やめてくれる!? 僕だってちょっとは気にしてるんだからッ!
 ……ま、安直な名前をした奴は、神官将軍ほとんどそうだケド……
 そうだヨ! 誰も突っ込まないケド、ゼロスだってそぉじゃないノ!」
「そう言えば……」
「あああッ! そんなこと言うならリナさんだって姉妹でルナさんとリナさんじゃないですかぁッ!」
「言うなァッ! このゴキブリ似神官ッ!」
「…………なぁ、不毛だからやめないか……?」

 ……………………………………

 とりあえずガウリイの台詞で、その果てしなしに不毛な会話は終わった。
 まさかガウリイにツッコまれるとは……あたしたちの顔に驚愕の色は濃い。
 まぁ、ンなあほらしいやりとりはともかく。
「――で、ゼロス様、どぉして、こんな人形ごときに脅迫されたわけ?」
「しょうがないじゃないですか。僕はヴィリシルアさんを殺すことができないんですから――」
 ジト目で言ってくる『道化師』――もといグロゥに、困ったように彼はぽりぽりと頬をかく。
 あたしは深くため息をついて、
「とにかく、まぁなんか引っかかる言葉を聞いたような気もするけど……案内してもらいましょーか」
「――ええ、いいですよ。その代わりこっちの指示にはちゃんと従って下さいね。
 じゃないと死にますから」
 ゼロスの言葉に、あたしたちは眉をひそめた。


 ……………はぁぁぁあぁぁ……………
 ゼルガディスは大きくため息をついた。
「……どーして、俺がこんなところで、黙々と書類を片付けねばならんのだ……?」
 その独白を聞きつけて、ハーリアは不思議そうな顔をする。
「何故――って……行きたくない、って自分で言ったでしょ?」
 ぐ、とゼルガディスは小さくうめいた。
「それはだな、その……よーするに……」
「アメリアさんと一緒にいたかっただけだと?」
「…………………」
 沈黙するゼルガディス。
 ――そうなのか。図星なのか。
 とはいえ――
「アメリアさんの頼みとはいえ、こんな膨大な書類を片付けろって言うのは哀しすぎるよ……」
「確かにな……」
 はぁ……
 今度のため息は、二人一緒に唱和した。
 居残り組は書類の始末――まぁ、命の駆け引きなんぞやらなくていいのだから、幸いといえば幸いといえるかもしれなかったが――
 なんにしても、面倒くさいのは事実である。
「僕たちが過労死したら、遺族にお金とか出るのかな」
「……俺は遺族なんかいないんだが」
「あぁ。僕にもいないや。よく考えれば」
 ・……はぁぁぁぁぁ……
 虚しい。虚しすぎる。
 そもそも、男二人でデスクワークやれというのも暗すぎる。
 が。
 その不満をぶつけるべき相手がいない――いることはいるのだが、その『彼女』に不満をぶつけるような根性がない――という事実は、かなりの重さで、二人の肩にのしかかっていた。
 アメリア=ウィル=テスラ=セイルーン。
 『彼女』は今、リナたちと一緒にセイルーン・シティの外にいる――


 ――ぐにょ。
 ぅ゛え゛ッ……!?
 足元の嫌な感触に、あたしは顔をしかめた。
 ぬらりと光る肉の壁が、目に大変優しくない。
 周りには、大人の男性の二の腕よりちょっとばかり太い、白い肉の触手がうごうごと動いている。
 まるで、あたしたち――獲物の隙を探っているかのように。
 そこはまさに、シルフィールが言ったとおり、生き物の臓器の中、といったところだった。
 ……あー、気持ち悪い。
 はっきりって、こんな場所五秒といたくはないが、どーやらさっきヴィリスの脅迫……もとい説得で、ゼロスが説明したところ、人間の魔力を片っ端から集めてたのはこのグロゥらしい――ということで、あたしは事件解決のために、ここに入らなくてはならないらしかった。
 グロゥの目的は覇王の回復、それも『人間の黒魔力(仮名)』でなければいけないそうである。
 だが――どーして覇王はこんなところにいるのか?
 さっきから説明を求めているのだが、『見れば解る』の一点張り。
 こればっかりは、脅迫――じゃない、説得しても無駄なようである。
「…・………………………それで。
 どーして、私はこの安直な名前と手をつないでないといけないんだあぁッ!?」
「何。その例え」
 険悪な表情と声音と目で言ったヴィリスに、同じような表情でグロゥが言う。
 ――だが、手をつないでいてはお互い恥ずかしがってるようにしか見えない。
 まぁ……この場合、双方本気で嫌がっているのだが――こればっかりはしょうがないだろう。
「だから、さっき言ったでショ? ゼロス様が人間たちに結界張って、僕が君に結界を張ル。竜族の二人は魔力を吸われる可能性がないから結界は張らなくてイイ――って」
「ンなこたぁさっきから解ってるッ! 私が言いたいのは!
 どーして私が貴様なんかと手なんぞつながなあかんのじゃ、ってことだよ!」
「……随分錯乱してるネェ……ま、一応説明してあげるケド――
 よーするに、僕の魔力じゃ君のことをカバーしきれないんだヨ。僕の魔力はゼロス様の四分の一、ゼロス様だって人間三人と君、って言うとちょっとキツいし。
 だから僕が妥協して、君と手をつないでるワケ」
「つないでるわけ……って……」
 はぁぁぁぁぁ……
 納得したのか、それとも周りの触手に魔力を吸われるのがさすがに嫌だったのか、ヴィリスは反論の言葉を途中で止めて、代わりに大きくため息をついた。
「そういえば……魔力を集めているのって、あんただけなの?」
「――覇王様の部下は、みんな魔力集めに行ってル。魔王様から直接出てる、人間を殺すな、なんて命令がなければもうちょっと楽なんだケドネ」
 詳しいが、口調はなにかそっけない――険悪、ともいえる口調である。
 しょうがないのかもしれない。彼らが――覇王が魔力を必要としているのは、恐らくあたしのせいなのだし、彼にとってはあたしは同僚――シェーラの仇である。
 ――魔族に、『仇を討つ』という感覚があるのかどうかは知らないが。
「人間を殺すな? なんで?」
「神族の動向が怖いからサ」
 少々不機嫌そうにグロゥは言った。
 ……しばし、沈黙が降りる。
「大丈夫ですか? 夜さん、辛そうなんですけど……」
「……大丈夫だと言いたいところだが……」
 アメリアと夜さんの会話に、あたしは振り返る――って、
 顔――真っ青なんですけど。夜さん。
「大丈夫じゃないでしょそれはっ! どぉ見ても!」
「だから大丈夫ではないと言っている」
「あああ……どーやら竜族のお二方にも結界を張らなきゃいけないみたいですねぇ――」
 ため息混じりにゼロスは言った。
「多分、ここの異質な魔力とにおいにあてられたんでしょう。ま、人間には嗅ぐことのできないほどの微弱なにおいなんですが……」
 なるほど、人並み外れた嗅覚が仇になったか。
 ちなみにフェイトは、夜さんのように気持ち悪い、とまではいかないようだが、なぜだか鼻をつまんでいる。
「……………………くさい」
 フェイトの短く単純な、だが確かな不満に、ゼロスは半ば頭を抱えた。魔力は感じとれぬまでも、臭いは敏感に感じ取ったらしい。
「ああああああ。解ってますって。今結界を張りますから……どっちにしろ僕が苦労することになるんですね……」
「もうちょっと経ったら楽ができると思うケド」
「――どういうことよ?」
「すぐ解ル」
 あたしの問いに、『人間なんかが質問するんじゃねえぞオラァッ!』とゆーあからさまに嫌そうな顔をしながらもグロゥが答える。
 その問いの答えは、すぐ返ってきた。
 ただし、グロゥが答えたわけではなく、通路の向こうから。
 ――前方に、全身真っ黒の女性が歩いている。
 黒い髪、こちらに背を向けてはいるので瞳の色はわからないが、服装は真っ黒、といっていい出で立ちである。
 このひとは――
「ノースト」
 グロゥの呼びかけに振り返る。瞳は黒い。美人ではあるのだが――
 なんというか……無意味に迫力があると言うか……
「グロゥ」
 そこまで言って、彼女はかすかに顔をしかめる。
「――ゼロスはともかく、その人間たちと竜二人は何だ?」
 あたしたちはともかく、夜さんとフェイトの正体を見抜くとは、それなりの魔族か。
「ああ。紹介するヨ。リナ=インバースとそのおまけ」
「ちょっとッ! おまけってどういうことよッ!」
「おまけ……リナのおまけ……」
 グロゥの説明に声を上げるアメリアと、呆然と呟くガウリイ。だが彼は無視して、
「それと人間の作り方真似した贋作人形と」
「待てコラ」
「あと最後に魔王竜二匹」
「せめて僕には一人って言って欲しかった……半分人間なんだし」
「待てフェイト。お前は異母兄弟が一匹二匹と数えられてもいいというのか」
 だがグロゥは無視。そればかりかノースト、と呼ばれた女性は頷いて、
「――なるほど」
「あんたも納得すなぁッ!」
 あたしのツッコミにも彼女は怯まない。というか……
 何か、無表情で無言で睨まれると怖いんですけど……
「――それで、このひとは……」
「ああ、これは覇王将軍(ジェネラル)のノースト。シェーラと同格だネ」
「あら? どこかで聞いたような……
 ――図書館だったかしら……」
「ダイナスト、でノースト――うーん、ちょっと凝ってるかも……」
 アメリアとフェイトが交互に呟くが、今はそんなことはどうでもいい。
「あんたも魔力を集めてたの?」
 つっぱねられるかとも思ったのだが、彼女は意外にもあっさりと頷いた。
 ……って、こっち睨んだまま頷くのはやめろっつーのっ! 怖いッ! 凄く怖いッ!
「あ、気にしない方がいいですよ。リナさん。この人、無意識に人を睨んじゃう癖があるんです」
「魔族がそういう癖つくっていいの?!」
 あたしのパニック寸前の必死の叫びに、ゼロスはただただ、困ったように首を傾げると、
「さぁ……僕にはわかりませんけど、覇王様の神官・将軍の方たちって、シェーラさんを除いて個性的な方々ばかりなんです」
「ちょっと、それって僕も入れてるワケ!?」
 全然自覚ナシ――まぁ、このノーストに比べればまともともいえないことはないだろうが――の台詞を呟くグロゥ。
 ノーストはこくりと頷くと、
「それほどでもない」
「誉め言葉じゃないって! なんも考えないで頷くのはやめてヨ!」
「そんなことはない」
「頼むから真顔で嘘つかないデッ!」
 ………何かあたし、頭が痛くなってきた……
 これが永遠に近い時を生きる、高位魔族の会話か……!?
「……とにかく、結界を張るのを手伝って欲しいんです。この方たち二人の分の」
「解った」
 これまたあっさり頷くと、ノーストは夜さんとフェイトの方を見る。
「――名前は?」
「ヨルムンガルドだ。こっちがフェイト――フェイト=フェイトだ」
 眉をひそめながらも、夜さんは説明した。
 ノーストは首を傾げて、
「――名前も苗字もフェイトなのか?」
「そうだけど――」
 答えるフェイトに、
「そうか。エフエフ」
「エフエフッ!?」
 とーとつな言葉に、フェイトが叫ぶ。
「イニシャルがエフとエフ。ということでエフエフ決定。そっちはヨル」
「いや、私の方は別に構わないが――」
 現にあたしも夜さんと呼んでるしなぁ……
 けど――エフエフ……って……
 ……………………
「――意外に呼びやすそうね」
「だなぁ」
「そうね」
「ですねぇ」
 あたしの言葉に、頷くガウリイ、アメリア、ゼロス。
「……って、ちょっと待ッ!?」
「と、ゆーわけで、フェイトのあだ名がエフエフで異存ない人ッ!」
 あたしの言葉に黙って手を上げる、フェイト以外全員。さっき何も言わなかったグロゥ、さらに身内であるはずの夜さんとヴィリスも、なぜか手を上げている。
「と言うわけで、エフエフ決定ッ!」
「ちょっと待ってマジでッ!?」
 フェイトが叫ぶ。その肩に、グロゥがぽむ、と手を置いて、
「言い忘れてたけど、ノーストは人に妙なあだ名つけるのが得意なんで気をつけてネ」
「遅いよッ! ……って言うか、気をつけろってどうやって……?」
 ツッコんでから呟くフェイト。いやエフエフ。
 ……お気の毒ではあるが、まぁ良しとする。
「ところでおまけその一」
「……俺か?」
 唐突な呼びかけに、ガウリイは思わず自分を指さす。ノーストはこくりと頷いて、
「そう。その金髪のでかい方」
「……俺はガウリイ=ガ……」
「ストオォォォォップッ!」
 あたしはガウリイの腕を引っつかみ、隅っこに連れてきてしゃがみこむと、声を潜めて、
「――ガウリイ、不用意に名前なんか言ったりしたら、よく解らんあだ名つけられかねないわよッ!
 フェイトのエフエフは確かに気の毒だったけど……」
「気の毒ってお前積極的に勧めて……」
「とにかく! ヘンなあだ名つけられたくなかったら、ガウリイで通しとかないといけないわッ!」
「……わかった」
 さすがに『ガウリイ=ガブリエフだからGGでじじい』とか、ひたすら泣きたくなるような名前を付けられるのは遠慮したいのか、ガウリイは素直に頷いて立ち上がると、
「俺の名前は、ガウリイだ」
「――? そうか。ガウリイ」
 これはあだ名をつけてもつまらないと思ったのか、首を傾げながらもノーストは頷いた。
「ガウリイ、お前、魔族の匂いがするぞ。少しだけど」
「……はぁ?」
 あたしは眉をひそめた。ガウリイと顔を見合わせる。
「――ああ――ノーストさん、この人、前、烈光の剣(ゴルンノヴァ)持ってたんですよ」
「そうか――」
 ゼロスの説明に、なるほど、とあたしは思った――ノースト、鼻がいいようである。
「それで、覇王はどこにいるわけ?」
「――正確には、この奥にいるのは覇王様じゃナイ」
「どういうこと?」
「……見れば、解るサ」
 あたしの問いに、グロゥは少し――答えにくそうに呟いた。
 ―― 一体……どーいうことなのだろぉか?


「……なぁ」
「何。人形」
 あまりにもそっけない返事に、ヴィリシルアは顔をしかめながらも、自分と手をつないでいる高位魔族に問い掛けた。
「あのノーストとかいう魔族、頭悪くないか?」
「悪いヨ」
「……………………………………」
「どうしたノ。人形」
 思わず沈黙した彼女に、グロゥは振り返らずに問う。
「………………いや、ンなにあっさり肯定されるとは思っていなかったとゆーかなんというか……」
「僕と――リナ=インバースたちが滅ぼした、覇王将軍(ジェネラル)シェーラが、覇王様の擁する四人の神官、将軍の中で『頭脳(ブレイン)』の役割を持ってたんダ」
 いきなり説明し始めるな。ついていけんぞ。
 心の中でツッコミながらも、彼女は理解しようと必死に聞き取って、それから眉をひそめる。
「後の二人は?」
「『力(パワー)』――僕とノースト、シェーラともう一人が組んでタ。結構上手く働いてたヨ。
 ――ま、シェーラが死んだ後は、『頭脳労働と実力が中度半端でもいいから、こんな風にはしないで欲しかった』って言うヤツが増えたけどネ。僕も含めテ。
 ディノとノーストの下についてる奴は特にひどかったナ」
 解るような気がする。グロゥも変だが、ノーストはさらに変だ。ディノという魔族も、ノーストと同じくらい変なのだろう。
「しかし……魔族の神官(プリースト)とか将軍(ジェネラル)ってのは、変人ばっかなのか――?」
「僕は少なくとも違うヨ」
 不機嫌そうに自覚ゼロな台詞を呟いたグロゥに、ヴィリシルアはあえて反論しなかった。
「……あと、私のこと人形人形いうの止めろよ」
「だって人形でショ?」
「気分の問題だ。私にはちゃんとヴィリシルアとゆー名がある」
「……そう。『人形』」
「……………………………」
 今度は一文字一文字、区切るようにはっきりと言われ、ヴィリシルアは沈黙した。
(……ああ、やっぱりこいつは腹立つな……)
 再確認しただけで、何ら新鮮味もない。おまけに新鮮味があったところで嬉しくない。
 とにかく、暗い道を、白い触手に囲まれながら、彼女たちはゆっくりと歩いてゆく――

===================================

 はいっ! というわけで、無駄キャラ第一弾、ノーストさんなのですッ!
「どうも。というか第一弾か。
 だが、私の性格はヨルにかなり似ているような気がするのだが。
 というより私が女という説は限りなく少ないような気がするのだが」
 (ぎくぎくっ!)あはははは。まぁ、そんなことはおいといて、なんだか今回はいよいよ大詰めって感じなのですね。
「自分で言うな。
 ――そういえば、いつだったか『フェイトにあだ名つけたかったから出した』という話を聞いたのだが」
 ………………………早めですが、逃げます。
「待て。おい」
 それではむくぅなのでしたぁぁぁぁぁぁぁッ! 逃走ッ!

 (むくぅ。数メートル飛んで逃げたところで爆砕)

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18387Re:僧侶連盟 10・ふふふふふ♪かお E-mail 2001/11/24 00:47:46
記事番号18386へのコメント

こんにちわ♪むくぅさん♪
うふふふふ♪続きが手てるぅ♪うふふふふ♪←パソ入力で壊れ気味・笑い
>「前に魔族の覇王将軍(ジェネラル)を一人滅ぼしたことがあってね――そいつがシェーラ、なんて安直な名前してたもんだから、ちょっとからかってやって。それで、同僚にグロウだかグラウだかってのが居る、ってのは聞いたのよ。
> でも――まさか、安直ネーミング二号と会うことになるとは……ッ!」
そうです、第二号(笑)
>「そーいう言い方やめてくれる!? 僕だってちょっとは気にしてるんだからッ!
> ……ま、安直な名前をした奴は、神官将軍ほとんどそうだケド……
> そうだヨ! 誰も突っ込まないケド、ゼロスだってそぉじゃないノ!」
ゼロスは、ゼラスが自分の一部分の名前を与えたのよ♪
覇王みたいに道具扱いでなくて♪
>「そう言えば……」
>「あああッ! そんなこと言うならリナさんだって姉妹でルナさんとリナさんじゃないですかぁッ!」
まあ、これは、作者の(笑)
> ………何かあたし、頭が痛くなってきた……
> これが永遠に近い時を生きる、高位魔族の会話か……!?
永遠だからともいう理由があるのかも(笑)
>「――正確には、この奥にいるのは覇王様じゃナイ」
>「どういうこと?」
>「……見れば、解るサ」
> あたしの問いに、グロゥは少し――答えにくそうに呟いた。
> ―― 一体……どーいうことなのだろぉか?
>
?じゃあ、誰だろ?ルークといっしよくたに滅んだはずのSの欠片とか?
それとか、実は、Sの欠片の人物が他にもいたとか?(笑)
あ゛あ゛!?続きがきになるのですぅ!!
> それではむくぅなのでしたぁぁぁぁぁぁぁッ! 逃走ッ!
>
> (むくぅ。数メートル飛んで逃げたところで爆砕)
では、ザオリク♪(ドラクエ4予約してるかお・笑)
んでもって、むくぅさんに、ルーラまで♪
ではでは、感想になってない、感想を迷惑でしょうが、受け取ってやってくださいな♪
byかお


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18409あははははは(死)むくぅ 2001/11/24 11:58:05
記事番号18387へのコメント

かおさんは No.18387「Re:僧侶連盟 10・ふふふふふ♪」で書きました。

>こんにちわ♪むくぅさん♪

 こんにちは♪ かおさん♪(毎度ながらうつってる)

>うふふふふ♪続きが手てるぅ♪うふふふふ♪←パソ入力で壊れ気味・笑い

 ああッ! そんなときは私の話を読んでさらにお壊れくださいのですッ!(待て)

>>「前に魔族の覇王将軍(ジェネラル)を一人滅ぼしたことがあってね――そいつがシェーラ、なんて安直な名前してたもんだから、ちょっとからかってやって。それで、同僚にグロウだかグラウだかってのが居る、ってのは聞いたのよ。
>> でも――まさか、安直ネーミング二号と会うことになるとは……ッ!」
>そうです、第二号(笑)

 三号、四号も出没予定。あ、三号はもう出没してますか(汗)

>>「そーいう言い方やめてくれる!? 僕だってちょっとは気にしてるんだからッ!
>> ……ま、安直な名前をした奴は、神官将軍ほとんどそうだケド……
>> そうだヨ! 誰も突っ込まないケド、ゼロスだってそぉじゃないノ!」
>ゼロスは、ゼラスが自分の一部分の名前を与えたのよ♪
>覇王みたいに道具扱いでなくて♪

 安直な名前は変わりません、ということで(汗)
 ゼロスゼラスで見分けがつきにくいことこの上ないのですぅぅぅう!?
 ……すいません。壊れてますのです。昼から。

>>「そう言えば……」
>>「あああッ! そんなこと言うならリナさんだって姉妹でルナさんとリナさんじゃないですかぁッ!」
>まあ、これは、作者の(笑)

 ええ、作者の(笑)

>> ………何かあたし、頭が痛くなってきた……
>> これが永遠に近い時を生きる、高位魔族の会話か……!?
>永遠だからともいう理由があるのかも(笑)

 痴呆症と書いてボケ、なのですねッ!?(違)
 エルフには若ボケがあったのですが、魔族にもそういうのがあるんでしょうか……?

>>「――正確には、この奥にいるのは覇王様じゃナイ」
>>「どういうこと?」
>>「……見れば、解るサ」
>> あたしの問いに、グロゥは少し――答えにくそうに呟いた。
>> ―― 一体……どーいうことなのだろぉか?
>>
>?じゃあ、誰だろ?ルークといっしよくたに滅んだはずのSの欠片とか?
>それとか、実は、Sの欠片の人物が他にもいたとか?(笑)
>あ゛あ゛!?続きがきになるのですぅ!!

 ああ。なにやらオリジナル設定目白押し。しかも気色悪いの多し(汗)
 悪い意味で期待を裏切りまくったりしたら……どうしましょう?(待て)

>> それではむくぅなのでしたぁぁぁぁぁぁぁッ! 逃走ッ!
>> (むくぅ。数メートル飛んで逃げたところで爆砕)
>では、ザオリク♪(ドラクエ4予約してるかお・笑)
>んでもって、むくぅさんに、ルーラまで♪
>ではでは、感想になってない、感想を迷惑でしょうが、受け取ってやってくださいな♪
>byかお

 ザオリク→メガンテ(ドラクエ4やりたいけどクリアできなさそうなのでやらないむくぅ←待て)
 ルーラ→実はバシルーラ(待て)→ルイーダの酒場……ってこれは3ですね(汗)
 それではろくなレス返しではありませんが、むくぅなのでした!
 しっかと感想は受け取りましたぞ! 迷惑じゃあありませんっ!
 それでは、むくぅなのでした!

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18419ふっふふふ、あははは(←変)たかこ 2001/11/24 14:05:35
記事番号18386へのコメント


こんにちは、むくぅさん。
なんか、笑えました、今回の。

>「前に魔族の覇王将軍(ジェネラル)を一人滅ぼしたことがあってね――そいつがシェーラ、なんて安直な名前してたもんだから、ちょっとからかってやって。それで、同僚にグロウだかグラウだかってのが居る、ってのは聞いたのよ。
> でも――まさか、安直ネーミング二号と会うことになるとは……ッ!」
やっぱ、そうきたか(笑)

>「そーいう言い方やめてくれる!? 僕だってちょっとは気にしてるんだからッ!
> ……ま、安直な名前をした奴は、神官将軍ほとんどそうだケド……
> そうだヨ! 誰も突っ込まないケド、ゼロスだってそぉじゃないノ!」
>「そう言えば……」
>「あああッ! そんなこと言うならリナさんだって姉妹でルナさんとリナさんじゃないですかぁッ!」
>「言うなァッ! このゴキブリ似神官ッ!」
>「…………なぁ、不毛だからやめないか……?」
ガウリイにつっこまれてるし・・・・・・(笑)
あはは、お、おかしぃ・・・・・・・(笑)

>「――名前は?」
>「ヨルムンガルドだ。こっちがフェイト――フェイト=フェイトだ」
> 眉をひそめながらも、夜さんは説明した。
> ノーストは首を傾げて、
>「――名前も苗字もフェイトなのか?」
>「そうだけど――」
> 答えるフェイトに、
>「そうか。エフエフ」
>「エフエフッ!?」
エフエフ!(笑)
な、ナイスなあだ名!!(笑)

> さすがに『ガウリイ=ガブリエフだからGGでじじい』とか、ひたすら泣きたくなるような名前を付けられるのは遠慮したいのか、ガウリイは素直に頷いて立ち上がると
GGでじじい!!(爆笑)
あ、あはは、お、おかしぃ・・・・・(笑)
なんか、ノースト好きかも、面白い!!
魔族って、魔族って、結構お茶目?

で、では、感想になってませんでしたが。
笑いすぎて痙攣起こしそうになってます(笑)
たかこ。





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18496きょきょきょきょ……(さらに変)むくぅ 2001/11/25 16:54:10
記事番号18419へのコメント

たかこさんは No.18419「ふっふふふ、あははは(←変)」で書きました。

>こんにちは、むくぅさん。
>なんか、笑えました、今回の。

 こんにちはたかこさんっ! 笑ってくださってどうもなのですッ!

>> でも――まさか、安直ネーミング二号と会うことになるとは……ッ!」
>やっぱ、そうきたか(笑)

 そうきました(笑)

>>「…………なぁ、不毛だからやめないか……?」
>ガウリイにつっこまれてるし・・・・・・(笑)
>あはは、お、おかしぃ・・・・・・・(笑)

 あははははは(汗)
 気づくとツッコミ役がガウリイになってました(汗)

>>「エフエフッ!?」
>エフエフ!(笑)
>な、ナイスなあだ名!!(笑)

 これは……もぉなんていうか、フェイトさんが出てきたときから考えてきたあだ名で……はじめからヴィリシルアさんにも『エフエフ』とか呼ばせるつもりだったのですが、シリアスシーンで決まらないというすばらしい事実が(待て)
 というわけで、フェイト改めエフエフさんをどうかよろしく(笑)

>GGでじじい!!(爆笑)
>あ、あはは、お、おかしぃ・・・・・(笑)
>なんか、ノースト好きかも、面白い!!
>魔族って、魔族って、結構お茶目?

 お茶目ですッ!
 というか、私の脳みそが腐ってるって言う説もなきにしもあらずなのですが(待て)

>で、では、感想になってませんでしたが。
>笑いすぎて痙攣起こしそうになってます(笑)
>たかこ。

 安心してください、次はおおむねシリアス――だと思います、多分(弱気)
 それでは逃げますッ! むくぅなのでしたぁぁぁぁっ!

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18498僧侶連盟 11むくぅ 2001/11/25 17:38:40
記事番号18386へのコメント

 しまったぁぁぁぁぁぁっ! と、いきなり叫びつつ、駆け足気味に11話ですっ! むくぅなのです!
「……それで、何が『しまった』なわけ?」
 今までの『僧侶連盟』って、話をはさんだとき以外は、『リナの一人称→三人称』って交互にやってきたわけなんですが。多分。
 それが、今回になってついに一人称が連続しちゃったんですね。しかも三人称激しく短いし。
「まぁ……あたしの出番が増えたってことで喜ぶべきなんでしょうけど……
 いらんオリジナル設定てんこもりで……ちゃんと収拾つくんでしょうね?」
 今のところは無理矢理つけようとしててついてません。でもついてないまま最後まで投稿します!(きっぱり)
「開き直るなぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」
 (ちゅどむ。)

===================================

 どのくらいあるいただろうか……
 いい加減、気持ち悪くなってきたあたしたちを待っていたのは、ちょっとしたホールぐらいの大きさをした場所だった。
 そして、その一番奥にあったのは――
 ……ッ!
「屍肉呪法(ラウグヌト・ルシャヴナ)……?!」
 あたしは思わず呟いた。
 そこにあるのは、内蔵をこねくり回したような大きな物体……うげ。
 ――失礼。
 とにかく、『それ』は、あたしの記憶に在る、魔族にしか使えぬその呪法の効果に酷似していた。
 永遠の命と引き換えに、永遠の苦痛と狂気がもたらされる魔法――かつて英断王として名高かったディルス=ルォン=ガイリアがかけられた呪文である。相違点といえば、肉のヘビがないことぐらいか……それを差し引いたとしても、気色悪いことこの上ない。
「く……ぅッ……」
 アメリアがうめいた。嘔吐感がこみ上げてきたのか、口元を押さえている。あたしもガウリイも、初めてではないので耐性はついている――それでも気持ち悪いのだから、彼女が感じた印象は相当のものだろう。
「……これが覇王様サ。本体じゃないけどネ」
「どういうことなのよッ! 一体……ッ!」
「二年前。覇王様は、あなたたちに負わされた傷によって弱体化されました――あなた方の言葉でいうと、『死んだ』といえますね」
 ゼロスはその物体を見ながら言った。『それ』の中央には、人間の顔ではなく、くぼみがそれと同じような位置にできていた――人の顔を模し損ねたもの……そんな感じだ。
「高位魔族は、ある程度弱体化すると、膨大な魔力の制御ができなくなってきます。僕のように、腕を切られただけで済めばまだいい、覇王様のように精神ダメージが大きければ、魔力の制御は余計に難しくなってくる――ゆえに、こういうドームを作って、魔力が制御できるようになるまで待つんです……到底見つけられない場所だったでしょう?」
「ええ――確かにね……」
 あたしは頷いた。この場所は、岩の向こうにあった――正確には、岩を通してここにつながっていたのだ――異界黙示録(クレアバイブル)への入り口と同じような仕組みのようだった。
「ですが、この状態だと、いつも魔族が蔑視している人間の、黒魔法用の魔力が必要になるんです」
「これが魔族の、弱点――だ」
 夜さんは肉塊を睨みつけた。ゼロスは頷く。
「ここで人間の魔力の供給を絶つか――もしくはここが攻撃されて消滅すれば、その魔族は膨大な魔力を制御しきれなくなり――暴走します。被害は少々出るでしょうが、神族にとってはさしたるものでもありません。
 神族がこれを知れば、絶対に実行するでしょうね――ま、僕たちにダメージを与えられればの話ですが――」
「高位魔族に太刀打ちできるような神族――すなわち竜王が姿を現せば、ある程度の高位魔族たちはつぶせるということだ……」
「被害……って、どのくらいよ?」
「近隣の人間の町が五つ六つ――
 ――言っただろう? 『神族にとっては』と」
 絶句しているあたしに、夜さんは忌々しげに言った。
「父は四年前、『これ』を見た。どの高位魔族のものだったか――そんなことはどうでもいい。
 これを知って――多分、仲間に言ってしまったのだろう。
 そして――魔王派の連中に殺された」
「なるほど……こんなものを見たがために殺された――ってか……」
 ヴィリスは親の敵――夜さんとエフエフ(決定)にとってはそんなようなもんだが――でも見るような視線で覇王の肉塊を睨んだ。
「ま、そんなわけで――僕らはこうやって、魔力を持ってきているわけサ」
 黒い光を放つモノを包んだシャボン玉のようなものを、グロゥは出現させ――『それ』に溶け込ませる。ノーストも同じようなことをした。
 ――魔力を『見れる』なんて知らなかった……
 どうやら、世界はまだまだ広い。
 ……………………こんな方面に広くあって欲しくないけど。
「これがなくなれば、覇王様は滅びル。たくさんの人間を道連れにネ」
「……お前らにとっては、後者はどうでもいいだろうがな」
 グロゥと手をつないだままのヴィリスが、不機嫌そうに呟いた。
 はぁぁぁぁ……
「とにかく、外に出……」
「ああぁぁあああぁあッ!」
 一つ大きくため息をつき、言いかけたあたしを遮って、聞こえたのは子供の甲高い声。
「ちょっと前に覇王様をボコったひとッ!」
「ボコ……」
 あたしが絶句しているうちに、その子供は狭い通路の中からこちらに出てきた。十歳前後の、草のような緑の髪に瞳の少年である。グロゥと同じような服装だが、マントは黒い。
 ――ここにいると言うことは、この子供も魔族?
 というか一瞬脳裏にフィブリゾがよぎったんですけど……子供だし。
「ねぇ、どうしてここにいるの? ねぇー。どーして?」
「ゼロスが脅迫されたから」
「……グロゥさん。正しいですけどやめてください……」
「ふーん……」
 納得するのか。やっぱり。
 ある程度予想していたあたしは、あまり驚かなかった。
「――で、この子供も魔族なんでしょう?」
 なるべく覇王(仮)に目をやらないようにしてのアメリアの問いに、
「うん。覇王神官(プリースト)ディノ。グロゥと同格の神官だよ♪」
「――ちなみにディノは冥王様と違ってこの性格が地なんでヨロシク」
「いやよろしく――って……」
 それでいーのか高位魔族。
 ……いいのかもしれない……
 降魔戦争で竜族を殺しまくったゼロスもこんな奴なのだし……
 …………………
 あたしの葛藤を知ってか知らずか――って、知らないだろうが――ディノも先程の魔族二人と同じことをして、くるりとこちらを向いた。
「ね、リナ=インバース」
「……なによ」
 子供にフルネームで、しかも呼び捨てで呼ばれるのはちょっと嫌な感じである。
 本当はこのディノとやらが、あたしの生きた歳を十倍してもまだ足りないほど長生きだとしても。
 少々憮然とした面持ちで問い返したあたしを見つめたまま――性格には見上げたまま、
「どーやって魔王様の欠片を二つも滅ぼしたの? ねぇ、どーやって?」
「……知らないの?」
 あたしの問いに、グロゥは沈痛な面持ちで、
「聞いてなかったんだト……」
「こいつはガウリイかぁぁぁッ!」
「………………をい」
 ガウリイの控えめなツッコミは無視しておく。
「あ――そう言えば、さっきから魔族たち、歩いてばっかりいるけど、なんでわざわざ空間移動しないわけ?」
「ここは妙に精神世界面がねじくれてるんで、そっちで移動した方が時間かかるんですよね」
 フェイトの問いに、ゼロスが答える。ま、それはともかく――
「さっさと出ましょう。覇王を滅ぼすために何万人も人間が死ぬような手段、使えやしないし」
「神族なら、あっさり使うだろうけどね」
 ため息混じりに言うアメリアに、あたしは頷いた――脳裏に、火竜王に仕えていた黄金竜たちの姿がよぎる。彼らは目的のためには手段を選ばない奴らだった。今は彼らは滅び、ただ一人―― 一匹を残すのみとなっているが……
「――覇王を死なせないために、人間の魔力が必要、か――何もセイルーンの中でやらなくても良かったじゃない」
「せっかく仕事するんだし、ついでにご飯をと思っテ」
「あんたなあぁあぁああぁあぁぁあぁぁッ!」
 思わず叫ぶあたし。拳を握り締めるアメリア。わざわざ騒ぎを起こすなと、憮然とした顔をするノースト。そして諦め半分のゼロス。
 ――ちなみにノーストに聞いたところ、他の町の人間からは少し魔力をもらうだけなので、倒れるとかどこかに行くとかはなかったとか……
「今度から絶対セイルーンの土を踏まないでッ!」
「飛んでたらイイってコト?」
「いいわけないでしょッ!?」
「でも土を踏んでいないヨ」
「そぉ言う問題じゃないわよッ!」
「そういう問題じゃないの?」
「違うわよッ!」
 ――アメリアとグロゥが不毛な会話を交わしている間に――
 あたしたちは、外に出て――そして異変に気づいた。


「あれは――ッ!」
 黄金竜と黒竜の群れ――自分たちに向けられる殺気にふと空を見上げると、見えたのはそれだった。
「……どうやら、尾けられたようですね、ディノ」
「そうみたい――」
 ゼロスの言葉に、緑の髪の少年――覇王神官ディノは、げんなりとした表情で頷いた。
「って言うか、これヤバいんじゃないの!?」
 あたしの声にゼロスはこくりっと頷くと、
「とてもやばいです」
「落ち着いた表情で言うなぁッ! あたしたちまで殺されちゃうじゃないッ!」
「大丈夫ダヨ。どうせ攻撃してきたら返り討ちにスルし。にしても――」
 グロゥは眉をひそめた。
「あれは水竜王のトコの黄金竜ダヨ。ミルガズィアがこんなコトするハズないんだケド……」
「――いや、あの中にはミルはいない」
「もうあだ名付け済みんだったんかい……って、そんなこと言ってる場合じゃなさそうだな」
 ノーストの台詞に一応ツッコんで、ヴィリスは空を見上げた。しばし考えた後、
「……よし、ヘビ、説得にゴー」
「お前がか?」
『……………………』
「二人とも冗談言ってる場合じゃないよ! あの中に長老さんがいないってことは――」
 フェイトの言葉に、全員がはっとなる。そこまで不真面目だった場のテンポが、警鐘を告げるように速まっていく。
「――グロゥさん! リナさんたちをカタートに送って下さいッ!」
「は?! 何で僕が……」
「ノーストさんとディノさんは、とりあえず戦力として残ってもらいます――あなたは『頭脳(ブレイン)』――でしょう?」
「……立派な肉体労働だと思う」
「あんたは立派な精神体(アストラル)でしょっ! いいからさっさとあたしたちを、『竜たちの峰(ドラゴンズ・ピーク)』まで運ぶのよ!」
「解ってるヨ」
 グロゥが皆を見渡して、面倒くさいな、と呟くと、その瞬間、視界が暗転した。


 はぁ……
 ついたため息はどちらのものか――もとい、既にどちらでも良くなっていただろうか。
 山積み、といってもよい書類を、ようやく半分片付けたところで、意識がほとんど薄れてきた。
 彼らの脳裏には、同じような疑問が渦巻いていることだろう。
 すなわち。
(ああ、どうして自分はこんなことをしているんだろう……?)
 今の自らの境遇を嘆きつつ、彼らは押し付けられた、といってもいい書類の山を、しこしこと地道に片付けつづける――


 目をあけて、その瞬間視界に飛び込んできたのは、血にまみれた黄金竜の姿だった。
 この竜は――!
「ミルガズィアさんッ!」
「リナ=インバースか……」
 少し、くぐもった声が漏れる。
 ――彼は次の瞬間に一声吠えて、人間形態を取った。
「無理をしなくても……ッ!」
「いや、大丈夫だ。傷は完治している。血の始末をどうしたものかと途方に暮れていた」
 金の髪の美形中年――それが、『竜たちの峰』に住まう竜たちの長老、ミルガズィアさんだった。
「ミルガズィアさん。お久しぶりです――他の竜たちは――」
「――ここにいるということは見たのだろう。リナ=インバース。手負いの覇王を滅ぼしに行った竜族たちの姿を……」
 あたしはこくんっ、と頷いた。ミルガズィアは後に控えたグロゥに目を向けて、
「お前は覇王神官(プリースト)の――」
「――グロゥダヨ。ゼロスに言われてこの人間たちをここに運んできたんダ」
「そうか――」
「このままだと、降魔戦争の再現になりかねません。止めに――行けますか?」
 あたしの問いに、ミルガズィアさんは首を振った。
 やはり――そうか――
「私が止めろと言ったところで無駄だろう。行ったのはみな、降魔戦争を知らぬ若い竜だ。反対した私を攻撃し、さっさと行ってしまった――あの戦いを知るものたちは、大体は残っているがな……」
「そう。それならちょっとは楽かナ――
 あ、僕はもう戻るヨ、リナ=インバース。ゼロスたちとはいえ、あれを全部相手にするのは骨が折れそうダカラ」
「殺すわけ?」
 アメリアの問いに、グロゥはふん、と馬鹿にしたように鼻を鳴らした。
「愚問だネ。無力化する、って行ったダロ。それこそ降魔戦争の再現ダ。魔王様の欠片が二つも滅ぼされ、カタートの魔王様は動けない――不利な状況でそんなことするワケナイ」
「確かにそうね――じゃ、気をつけてね」
「よりにもよって姫さんから、魔族に対するそんな言葉が聞けるなんてな」
「場合が場合です、しかたないでしょう」
 茶化すヴィリスに、アメリアは不機嫌そうに言い放った。グロゥはかすかに笑うと、虚空を渡り、消える。
「さて――あたしたちはどうしましょうか……?」
「待つしかないんじゃないか?」
「をを! ガウリイにしては上出来な提案ッ!」
「お前な……」
 ガウリイのツッコミは、もちろん無視する。
「ま――なんにしても、これから何が起こるのかは、ゼロスたち次第、ってことか――」
「だね――」
 ヴィリスのため息混じりの台詞に、フェイトが頷いた。
 あたしたちの視線の先には一様に、魔王がいると言う、カタートの山の一角があった――
 ………むろん、ガウリイを除いて、だが。

===================================

 はいっ! というわけで、安直ネーミング第四弾! 無駄キャラ第二段のディノさんなのです!
「どうも♪
 そういえば、僕とフェイトって性格と口調の区別がつかないんだよねぇ?」
 あ、それはディノさんのほうが幼げな口調ってことで一応の決着を。
「僕のほうが長生きなのに……ま、いいやぁ」
 それでは、これで穏便に11話を終わらせていただきますのです。
「ちょっと待って♪」
 (ぎくっ!)な、なんでせう……?
「実は、とある方から『むくぅをボコッとくように』って伝言をもらってるんだよね♪」
 とある方……ってもしかして、え……
「はいストップッ! あとね、『あたしの出番作らんかいッ!』だってさ♪」
 はぅあっ! やっぱりいぃぃぃぃいっ!?
「と、ゆーわけで、きっちり死んでもらうからねッ!」
 んなぁぁぁぁぁっ!? それでは逃げますッ!?
 むくぅなのでし(どごめぐきゃっ!)

 (なんだか最近吹っ飛ばされてばかりだなぁと思いつつ。むくぅ、一時混沌の海に帰還)

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18503Re:僧侶連盟 11・おお!?若い竜、馬鹿がいたのね!(笑)かお E-mail 2001/11/26 01:00:30
記事番号18498へのコメント

こんにちわ♪むくぅさん♪
>「被害……って、どのくらいよ?」
>「近隣の人間の町が五つ六つ――
> ――言っただろう? 『神族にとっては』と」
ある意味では、神族の方がひどい・・。
>「どーやって魔王様の欠片を二つも滅ぼしたの? ねぇ、どーやって?」
>「……知らないの?」
> あたしの問いに、グロゥは沈痛な面持ちで、
>「聞いてなかったんだト……」
>「こいつはガウリイかぁぁぁッ!」
まあ、似てるかも(笑)
でも、本当に、聞きたいのぉ(笑)エル様の力を使ったなんてぇ(笑)
> あたしたちの視線の先には一様に、魔王がいると言う、カタートの山の一角があった――
・・・なーんか、リナがしでかしそうな予感(はあと)
頑張れS(笑)←どーいう意味じゃい(笑)
> (なんだか最近吹っ飛ばされてばかりだなぁと思いつつ。むくぅ、一時混沌の海に帰還)
なぬ!?では、混沌の海であえますね♪←まて(汗)
(かお、ただいま、混沌の中から投稿中・爆!)
・・・・エル様にお仕置きされたのよぉ・・・。しくしくしく・・・。
んではでは、そーいうことで、
短いですが、感想をば。
会えたら一緒に脱出しましょう♪大丈夫、心強い(?)味方(なのか!?)
がいるので♪すみれちゃん、お願いしまぁす(はあと)
ではでは♪

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18524いたんですねえ。馬鹿(笑)むくぅ 2001/11/26 22:43:35
記事番号18503へのコメント

かおさんは No.18503「Re:僧侶連盟 11・おお!?若い竜、馬鹿がいたのね!(笑)」で書きました。

>こんにちわ♪むくぅさん♪

 こんばんわ♪ かおさん♪(ずれてる)

>> ――言っただろう? 『神族にとっては』と」
>ある意味では、神族の方がひどい・・。

 魔族びいきなのです(汗)

>>「こいつはガウリイかぁぁぁッ!」
>まあ、似てるかも(笑)

 うーん。いつの日かほんとーにガウリイのようになったらどうしましょう(汗)

>でも、本当に、聞きたいのぉ(笑)エル様の力を使ったなんてぇ(笑)

 聞きたいと思いますのです……ディノさんは純粋に『L様』を慕ってますから。
 あんな確かにいい人だけど乱暴な人のどこが好きなのかってああああああっ……(汗)

>> あたしたちの視線の先には一様に、魔王がいると言う、カタートの山の一角があった――
>・・・なーんか、リナがしでかしそうな予感(はあと)
>頑張れS(笑)←どーいう意味じゃい(笑)

 むぅ。おおむね脅威はリナよりL様の予定。おおっぴらにしゃべったりはしませんが、次の回では大活躍(多分)

>> (なんだか最近吹っ飛ばされてばかりだなぁと思いつつ。むくぅ、一時混沌の海に帰還)
>なぬ!?では、混沌の海であえますね♪←まて(汗)
>(かお、ただいま、混沌の中から投稿中・爆!)
>・・・・エル様にお仕置きされたのよぉ・・・。しくしくしく・・・。

 大丈夫なのですかっ!? よく生きてましたねぇ……(汗)

>んではでは、そーいうことで、
>短いですが、感想をば。
>会えたら一緒に脱出しましょう♪大丈夫、心強い(?)味方(なのか!?)
>がいるので♪すみれちゃん、お願いしまぁす(はあと)
>ではでは♪

 いえいえいいえっ! 短いなんてことはないのですっ!
 『姫様警報発令。近隣の方は非難(誤植にあらず)しましょう』
 ああッ! 待ってくださいすみれさんっ! 話せば解ッ……(わけない)
 (……消滅。まともなレス返しではないのですが、これにて終わりますのです。すいません。かおさん……)

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18541僧侶連盟 12むくぅ 2001/11/28 16:20:16
記事番号18386へのコメント

 どうも。最近壊れ気味のむくぅなのです。
 壊れ具合六十パーセント。壊れ具合がよく解るのがこの文章。なんなんでしょう。一体。
「あんた。一人でぶつぶつ何言ってんの? あたしの活躍はちゃんと入ってるでしょうね?」
 ……読めば解りますのです。
「ふっ。(胸を張り)あんたみたいなシロモノの駄文、あたしが読むわけないじゃない」
 ……しくしくしく。シロモノ……
「自分の頭の中を一回あらためて見ることね。シロモノ」
 それでは、12話。ご覧下さい……

===================================

「ゼロス!」
「グロゥさん、来ましたか――さて、と。あちらもまだ動かないようですが――」
 ゼロスが呟いたその瞬間――
 四人の高位魔族たちに、レーザー・ブレスの光の雨が降り注ぐ!
 ひゅうん――
 それらは全て、彼らに届く前に音も静かに消滅し、消えうせる。
 竜たちの群にかすかに揺らぐざわめきの声。
「――どーやら、僕が戻ってくるのを待ってたみたいだネ」
「どうせなら全員一気に――ということか――」
 グロゥとノーストが交互に呟く。
「あれ、殺しちゃだめなんだよね」
「はい、ダメです。殺さず無力化してくださいね」
 ディノの物騒だが無邪気な質問に、ゼロスが笑顔で答えた。
「さて、と――どう戦いますかねぇ……」
 ゼロスはため息をついた。消耗戦に持ち込まれればこちらが不利である。そうなれば、覇王の魔力を集めに、また三人が抜けることになるのだ。
「……無力化――か。
 簡単に言ってくれるよ……」
 と、ディノ。こちらもため息まじりである。
 ――はっきり言って、魔族はみな手加減が苦手である。弱すぎず、強すぎず、手加減して戦う――それのなんと難しいことか。
 だが――今『それ』をせざるをえない状態に陥っているのである。
「愚痴ってる場合じゃないケド――元はと言えばあの人間のせいなんだよネ……」
「今さら言ってもしょうがないが、な……」
『はぁ……』
 同時にため息。その間も光の雨は降り続いているが、全て彼らには届かない――高位魔族四人分の結界は、レーザー・ブレスなどでは破れない――だが……
「来たよ!」
 ゅんっ!
 ディノの警告の声を聞くまでもなく、風を切り裂き、こちらをぎんっ! と睨みつけ、竜がこちらに飛びきたる!
 恐らく、その数は何百匹単位だろう。いくら強力な結界といえど、この数で同時に突進をかけられれば、結界はかなり削られる。
「――まずは、これだけか」
 ノーストは静かに呟いて、虚空をなでるように腕を動かした。
 ――ふわりっ。
 黒い透き通った球体が竜たちを包み込み、空に浮かんだままになる。突進で破ろうとするものもいるが、今度はそんなもので破れるような結界ではない。先程レーザー・ブレスを防いだときと違い、限定範囲にのみ絞って結界を張ったことにより、結界の強度はかなり増している。
「で、あと何匹いる」
「さぁてネ、一万はいるヨ、きっと」
「……やる気が削がれるな……」
「最初(ハナ)っからこっちにはやる気なんてないよ」
 ディノがばさりっ、とマントを翻すと、竜がまた数百匹、忽然と消えうせる。
「どうしたんです? 今の竜たち」
 ゼロスの問いに、少年の姿をした存在(もの)は、嬉しそうに微笑むと、
「『外の世界』――結界の外に行ってもらったの。
 結界は弱いけど、破るのには一週間はかかるね。その間に魔力を集めれば、何とかなると思う」
「ナルホド――時間稼ぎすればいいのはこっちも同じってワケネ……」
「一日か一週間かの違いということですか……アイディア賞ですねぇ」
 感心した調子で言うグロゥとゼロスをノーストが睨みつける。
「それはいいからお前らも早く何かやれ。お客さんが退屈するぞ」
「……僕たちは隠し芸しに来てるわけじゃないですよ。ノーストさん」
「同じようなもんじゃないノ? ま、どっちにしても、早く終わらせないとね」
 言いながら、グロゥははぁ、とため息をついた。
(神族の動向が怖いから、人間を殺すナ? なにか――勘違いしていたのかもネ)
 人間の命など、神族にとっても単なる口実ということにしかならないのか……
 彼らの中にはあのように輝くものもいると言うのに。
「グロゥさんッ!」
 ゼロスの叫びに、我に返る。ゼロスがカバーし切れなかった竜族が、こちらにやってきていた。
「――チィッ!」
 どひゅ!
 同僚よりはかなり無様に防御すると、ディノの真似ではあるのだが、竜を――いわゆる『外の世界』に送らせてもらう。
「なにをやっている。グロゥ」
「ちょっと考え事してたダケだヨ!」
 ノーストの言葉にグロゥは不機嫌そうに答えた。
 そこまでは、魔族たちの圧倒的優位に見えた。竜族たちの攻撃は通じず、少なくだが、確実に数は減らされてゆく。
 だが、次の瞬間――
「――!?」
 魔族全員が、しまった、と心中で舌打ちした。黄金竜の一匹が気配を消し、岩壁の近くまでやってきていた。
 竜族たちは、ただ敵わぬ敵にむやみに突っ込んでいたわけではなかったのだ。
 たった一匹の別働隊。
 そして宙に浮く大軍全てが囮――
 初歩的な作戦だ。
 ――だが、稚拙ともいえるその策に、ものの見事に魔族たちは引っかかっていた。甘く見ていた――自分たちよりはるかに劣る竜族たちを。
 そして、黄金竜の口から、レーザー・ブレスが放たれる!
「しまっ……!」
 ゼロスが痛恨の叫びを上げかけて口を閉じ、黄金竜を捕獲して外の世界に送った。
 だが――遅かった。

 どぉぉおぉおぉぉん!

 ――閃光と爆発が巻き起こり、全ては白光に包まれた。
 灼かれるはずのない目を覆い、グロゥは歯軋りする。
 その光が治まるまでもなく、彼らはみな虚空を渡った。
 ――カタート山脈――『竜たちの峰(ドラゴンズ・ピーク)』へ。
 そして光が治まると――覇王の分離体は、跡形もなく焼き消えていた。


 ゅおぉおぉぉぉぉおぉぉぉぉぉおぉぉぉぉおぉぉぉおぉん……
 どこかで。
 ――どこかで、そんな声が聞こえたような気がした。
 闇の声――
 人にあらざる者の声が。
 そして。
「っ――!」
 次の瞬間、あたしはカタートの山を見て言葉を失った。
 激しく噴出す黒い闇。
 全てを包み込まんとする、深い負の感情――そして、こちらを圧倒する圧迫感(プレッシャー)。
 ――すぐに、その場にいる全員が事態を悟った。
「ゼロスたちが、失敗したってわけね……ッ!」
「まさか……あの連中はいかに変な奴らとは言えど、れっきとした高位魔族だぞ……言っちゃ悪いが、黄金竜なんぞに出し抜かれるとは――」
 ヴィリスが信じられない、という面持ちで呟いた。だがミルガズィアさんは首を振ると、
「……実際、出し抜かれている。こちらはこちらで対応を考えねばなるまい。覇王の滅びが確実となった今、魔族たちがこちらに力を貸すとも思えん。
 勝てないと解っているものに立ち向かって命を落とすなど、奴らはさらさらごめんだろう――ましてや、人間のためなどに」
「いいえ。僕らはあなたがたに協力します」
「――ゼロス」
 いつになく堅い顔で言うゼロス――虚空を渡ってきた彼は、まだ空に浮いていた。開かれた夜色の瞳は、まっすぐに黒い闇に向けられている。
「……北の魔王か」
「そういうコトだネ」
 ミルガズィアさんの言葉に、同じく、虚空を渡って現れたグロゥが頷く。
 ――なるほど。
 北の魔王――水竜王の封印により弱体化した今の魔王なら、覇王の暴走で滅びぬまでも、さらに力を失ってしまう――そうなれば、竜王たちは混乱した魔族たちを狙って攻撃できる――!
 ……それは別にいいのだが、それが多くの人間の死と引き換えとあってはそうもいかない。
 あたしは人間だから、魔族が全て滅びることより、人の命の方が大切である。
「けど――どうするわけ? リナ――」
 アメリアの問いに、あたしはまだ答える術を持たない。
 ――重破斬(ギガ・スレイブ)ならあるいは――アメリアはそうも思っているだろう。
 だが、ダメだ。その手はゼロスたちに止められる。そんなことをすれば、魔王ともども滅ぼしてしまうどころか、魔血玉(デモン・ブラッド)のない今では、呪文が暴走しかねない。
 なら、神滅斬(ラグナ・ブレード)?
 それもダメ。暴走する高位魔族に近づくなど、自殺行為に等しい。というかそもそも発動できない。根性でいけば何とか――なるわけもない。
 ならどうするか――どうしろというのか……!
「万事休す……って奴か――?」
「まだよ――きっと、何か方法が……!」
 ガウリイの言葉に、あたしは親指の爪を噛んだ。
「リナさん!」
「何よゼロス! 人が必死に考えてるってのに……」
「あの黒い闇の中に『核』があるはずです! それを狙ってください! そうすれば、あの周りの闇がある程度ですが呪文の余波を消してくれるはずです!」
「核ゥ!? ンなこと言ったって、どーやって見つけろってぇのよッ!」
 あたしはゼロスに怒鳴り返す――だが、それしか方法がないのなら……
「……イチかバチかは、もうやめにしようと思ってたんだけどね……
 しょうがない。ガウリイ! それっぽいの探して!」
 ここは人間の視力をはるかに上回るガウリイに見つけてもらうとしよう。
 人任せ、というなかれ。誰にでも向き不向き、というのはあるのである。
 彼はあたしの言葉にちょっと怯むと、
「え!? ――えーとだな……あそこに林檎の木がある!」
「アホかいッ!」
 べしぃいっ!
 あたしのスリッパのツッコミに、ガウリイはおでこをさすりつつ、
「冗談だって! 冗談!」
「何いってんのよ! この非常時に!」
「そうですよガウリイさん! 非常識です!」
「だから冗談だって――ほら、あそこに赤い玉があるだろ!? アレじゃないか?!」
 言って、黒い闇の中にぽつん、とある赤い点を指さした。
 あれ狙え……って……
 ここから見ると、針の穴より小さいんですけど……
「――だああぁぁぁ! もういいわっ! やってやろーじゃないッ!」
「やってやろーって、おい! もしかして!」
「しょうがないでしょ! 不完全版なら、じゅーぶんやれるはずよ!」
「制御できないかもしれないのよ!?」
「そのときはそのときよ!」
 あたしは半ばやけくそで言い放ち、意識を集中し始めた。
 唱える呪文は重破斬(ギガ・スレイブ)――もちろん、不完全版だが。
 万が一暴走した時に、覇王がとち狂って攻撃しかけてくれれば嬉しいのだが……
 ………えぇいっ! 考えていてもしょうがないッ!
 万が一――もとい、五に一というところだろう。確率は。
 だが、『彼女』が降臨したら、その時はその時である!
 あたしは一回深呼吸をして、さっさと終わらせるべく、早口で呪文を唱え始めた。

 ――闇よりもなお昏きもの
    夜よりもなお深きもの
    混沌の海にたゆとうし
    金色なりし闇の王
    我ここに 汝に願う
    我ここに 汝に誓う
    我が前に立ち塞がりし
    全ての愚かなるものに
    我と汝が力もて
    等しく滅びを与えんことを!

「――ギガ・スレイ――」
 あたしは魔法を途中で止めた――いや。


 ――


 世界から、音が消えていた。
 完全な、静寂。
 ――なによ――これ――
 思わず呟いた言葉は、自分の耳にすら聞こえない。


 そして。


 どこからか生まれでた金色の光が、辺りを包み込んでゆく。
 覇王の黒い闇も。
 カタート山脈も――それに連なる、竜たちの峰も。
 竜たちも。
 あたしたちすらも。
 全て――金色が包み込んでゆく。
 これは……
 あたしは声を出さずに呟いて、カタート山脈を見る。
 そこに見たような気がした。
 金の髪の美女を――


 そして。
 光が収まったその瞬間。
 風の音が静寂を打ち破り。
 黒い闇は、完全に消えうせていた。
 あとには、呆然とするあたしたちが残るばかり――

===================================

 ええええええええええっ?!
「うぁッ?! いきなり何叫んでんのさッ!?」
 あ。出番はあるけどセリフがいまいちない上に、性格がはっきり決まってないフェイトさん。
「人の神経逆なでするような真似しないでくれるッ!?
 ……それで、なに叫んでたわけ?」
 いや、実は、どーやらこのペースで逝くと(ある意味誤植ではない)、まぁぁぁた全十三話らしいのです。
「………何かに呪われてんじゃない? もしかして」
 むぅ。この前扉のところでつぶしてしまったやたらとデカイ蜘蛛とかに……
「……それは……呪われてると思う……」
 やっぱりそう思いますか。フェイトさんも。
「んむぅ……動物霊の呪いってのはあんまし信じないタチなんだけど……でもなんかそれっぽいし。
 と、言うわけで、蜘蛛の恨みを晴らしてみようっ! 僕虫嫌いだけどっ!」 あああっ!? そんなッ!? せっかくL様に吹っ飛ばされて混沌の海から帰還したのにっ!?
「……それでさっき死んでた時ぶつぶつ言ってたのか……
 なんか気持ち悪いからレーザー・ブレス!」
 そ、それでは逃走ッ!(吹っ飛ばされつつ)それでは、むくぅなのでしたッ!

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18548Re:エル様、エル様(はあと)←こら(笑)かお E-mail 2001/11/28 20:30:43
記事番号18541へのコメント

こんにちわ♪むくぅさん♪
わーい、エル様がぁ♪
ふふふふ♪
> 北の魔王――水竜王の封印により弱体化した今の魔王なら、覇王の暴走で滅びぬまでも、さらに力を失ってしまう――そうなれば、竜王たちは混乱した魔族たちを狙って攻撃できる――!
部下S・・・ふがいないよなぁ・・・。
> どこからか生まれでた金色の光が、辺りを包み込んでゆく。
> 覇王の黒い闇も。
> カタート山脈も――それに連なる、竜たちの峰も。
> 竜たちも。
> あたしたちすらも。
> 全て――金色が包み込んでゆく。
ええ!?エル様が降臨されたぁ(はあと)
> これは……
> あたしは声を出さずに呟いて、カタート山脈を見る。
> そこに見たような気がした。
> 金の髪の美女を――
ってことは、エル様、Sをどつきにきたのでしょうか(笑)←こら(汗)
> そして。
> 光が収まったその瞬間。
> 風の音が静寂を打ち破り。
> 黒い闇は、完全に消えうせていた。
> あとには、呆然とするあたしたちが残るばかり――
うふふふふ♪竜達の動揺が楽しみぃ♪←魔族かい!?(笑)
ふふふふ♪次が楽しみなのですぅ♪うふふふふ♪
> いや、実は、どーやらこのペースで逝くと(ある意味誤植ではない)、まぁぁぁた全十三話らしいのです。
いいじゃないですか♪十三話♪←こら(汗)
私なんか、五十話に突入しよーな、気配が(汗)
うふふふふ♪
ではでは、感想になってませんが、感想まで♪
byかお

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18560がんばれL様!むくぅ 2001/11/29 17:43:47
記事番号18548へのコメント

かおさんは No.18548「Re:エル様、エル様(はあと)←こら(笑)」で書きました。
>
>こんにちわ♪むくぅさん♪
>わーい、エル様がぁ♪
>ふふふふ♪

 こんにちは。かおさん……
 無理やり出しちゃいました……(汗)

>> 北の魔王――水竜王の封印により弱体化した今の魔王なら、覇王の暴走で滅びぬまでも、さらに力を失ってしまう――そうなれば、竜王たちは混乱した魔族たちを狙って攻撃できる――!
>部下S・・・ふがいないよなぁ・・・。

 ですねぃ……

>> 全て――金色が包み込んでゆく。
>ええ!?エル様が降臨されたぁ(はあと)

 降臨なのですっ!(汗)

>> そこに見たような気がした。
>> 金の髪の美女を――
>ってことは、エル様、Sをどつきにきたのでしょうか(笑)←こら(汗)

 理由は後程ってことで(笑)

>うふふふふ♪竜達の動揺が楽しみぃ♪←魔族かい!?(笑)
>ふふふふ♪次が楽しみなのですぅ♪うふふふふ♪

 あはははははは(汗)
 竜族、黄金竜はともかく、例の竜族たちはかなり被害を受けてますのです。
 まぁ、やっぱり後程ってことで(汗)

>> いや、実は、どーやらこのペースで逝くと(ある意味誤植ではない)、まぁぁぁた全十三話らしいのです。
>いいじゃないですか♪十三話♪←こら(汗)
>私なんか、五十話に突入しよーな、気配が(汗)
>うふふふふ♪
>ではでは、感想になってませんが、感想まで♪
>byかお

 五十話!? す、すごい……尊敬しますかおさんっ!
 十三話。なにやら不吉な数字だね(待て)……むぅ。やっぱり呪いなのでしょうか(待て)
 それでは、よくわからんレス返しですが、レス返しまで(待て)
 感想どうもありがとうございましたのですっ! それでは逃走ッ!

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