◆−血の後継者 第7話 〜悪魔の休暇・序章〜−風林みつき (2001/9/9 02:40:11) No.17005


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17005血の後継者 第7話 〜悪魔の休暇・序章〜風林みつき 2001/9/9 02:40:11


こんばんは、みつきですさね。久しぶりに血継の投稿をしますですさねよ。
最近は詩ばっかり、4連発でしたさね。またやるかな・・・?
やっぱり詩は良いですさね・・・vvv

・・・関係ない話をしましたけど、これからしばらく、血継は穏やかに参りますさね。前回『あれだけ』どろどろやっといて。
あー・・・ていうか、それよりもリナさんの暗すぎる過去話が書きたいー・・・。



『血の後継者』
第7話
〜悪魔の休暇・序章〜


「―んじゃ、これから一週間くらい?スィーフィードと旅行に行ってくるから♪
 この塔空にするから、あんたたちは出てってね♪」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?
一瞬。
こいつは何を言っているのだろうと思った。
イヤ、違う。
一瞬どころか、いつまでたっても何を言っているのかと思ったままだった。
朝っぱらから収集かけられて、みんなしてホールまで行けば、黒いドレスに黒い手袋、鍔の広い黒い帽子、ついでに馬鹿でかい茶色のトランクを持ったナイトメアが笑顔で告げたのだった。空いている手に、大きめの鍵―塔の鍵をちらつかせながら。
スィーフィードと旅行に行く?スィーフィード・・・これは白の塔の長のことを指しているのだろう。仲が良いとは思えなかったが・・・。
旅行・・・旅をするような所が何処にあるんだか。しかも、その間あたしたちに塔を出ろと?そんな必要がどこにっ!?鍵持ってるってことは、今すぐ出るの!?
そこまでを頭の中で整理すると、問題点だけが残った。
「ちょっと、あんたねぇ!!天使と旅行!?・・・イヤ、そこまでは、まだ良いわ。何であたしたちが出て行かなくちゃなんないのよ!」
とりあえず叫ぶ。
「そりゃ、あんた、このあたしがこの塔のマスターだからよ。マスターがいないのに、部下をのさばらしておくわけにはいかないじゃないの」
「のさばらしてって・・・いつ俺達、お前の部下になったんだ・・・」
まだ眠いからなのか、ルークはいつもより冷めた口調で呟いた。
ナイトメアは無視したが。
「ところで一週間くらいって、具体的には?はっきりさせないと、いつ塔に戻ればいいのか解らないんですけど」
「というより、何でスィーフィードと・・・?敵なんじゃあ?」
「どこ行くのー?ラミサたちにお土産はー?」
ミリーナ、ヴァル兄、ラミサの順に、次々とあたしも感じた疑問をナイトメアに投げかける。
「だぁーっ!!いっきに言わない!一人ずつ!順番に答えるから。
 まずミリーナね、うーん・・・具体的にって言われてもねぇ。スィフィードにも決めてっていわれたけど。リナが・・・っ!」
「へ?あたし?あたしが何よ」
「っんなんでもない、なんでもないのよ!そうね、きりがよく一週間にするわっ!!」
突如あがったあたしの名前。ナイトメアは、はっとして手を振り振り、慌てて言い訳をした。
「次ー、ヴァル!・・・・・・仕方ないじゃない。向こうがしつこく誘うんだから。都合良かったし。ったく!あの大ぼけ女!!自分の立場ってのが全然分かってないんだから!
 最後ラミサ。えっと・・・何だっけ?・・・ああ、行き先か。ちょっと海越えようと思ってね。港あるじゃない?村の方に。あそこから。昔はよく行ったもんだわー♪お土産は気が 向いたら 買ってきてあげるから」
『向いたら』を、えらく強調させる。期待しない方がいいということか。
そうか・・・港。そういえばあったな。忘れてたけど。
ここは地形が複雑というかなんというか・・・黒、白お互いの塔の後ろには延々と森が続くのに中間には港があるのだ。何故か。フェリー代がものすごく高いせいか、よっぽどの金持ちぐらいしか利用できないため、あまり目立たないのだが。海越えて何があるんだか。
「レイファは?」
「・・・・・・・・・はい?」
突然ナイトメアに名を呼ばれ、ゆっくり応えるレイファ。
今日初めて聞いたレイファの声は、いつもどおり、かすれてて、小さな声だった。
「いやー、あんただけ何も言わないから・・・いつものことだけど・・・。
 何かあたしに聞くことないのかなーと」
ナイトメアはレイファの性格が苦手らしく、いつもののペースを自分から崩して話す。
「・・・いえ、別に疑問は・・・ありませんから・・・」
ないのか、あんたっ!!
「それに・・・・・・わたしにもちょっと、やることがあるので」
「ふーん。じゃあ、一週間塔を出るのは好都合ってわけね」
「はい・・・」
なにゆえ、彼女の台詞には『・・・』が―とゆーより、沈黙が―欠かせないのか。
密かにレイファは、あたしの『夏の夜に絶対逢いたくない人ランキング』で常に1位だったりする。肌なんて『色白』とゆーより、『蒼白い』といった方が適当だったりするし。
「さて、話もまとまった所で、出てちょーだい。もう行くから」
まとまってねーし。
ナイトメアの方は、既に入り口のまで向かっていて、あたしたちもしぶしぶついていく。
「ちょちょ、ちょっと!今すぐっ!?荷物の準備も出来てないのにっ!?」
胸中のつっこみはあえて言わず、あたしはとりあえず、最優先事項を口にした。
「何よ、あんたたちは実家に帰ればいいんだから、一週間ぐらい、塔に置いてある荷物まで持って帰らなくてもいいでしょーがっ」
早く出ろとばかりに、入り口の大きな扉を開け放って言う。
・・・あたしが言いたいのは、そーゆーことじゃなくて!!
実家とやらに帰りたくないあたしは一週間、宿とかにいなくてはならないのだが、財布などはむろん、自室である。それでは一週間どうしろと?
「ほら、さっさと出る!」
頭の中では逆らわなきゃ、と解ってはいるのだが、気付けば外に出てしまっている。
ガチャリ
古典的な音を立て、鍵がかけられてしまった。『じゃーね♪』とだけ言って、歩き出すナイトメア。今、追いかけて説得すれば、間に合うかもしれない。けれど、何故かできなかった。
目眩がしそうな意識の中、
『ラミサねー、レイファの家行くー』
『それは・・・ちょっと・・・・・・』
と言って、ラミサが用事があると言っていたレイファを困らす声、
『なーなー、ミリーナぁ♪毎日家まで逢いに行くからなっv』
『結構です』
ふられるルークの声が聞こえた。

「ま、一週間もありゃ、リナも話し合いぐらい出来るでしょーに。ったく、あたし何やってんだか」

本気で無意味な声が聞こえても、ナイトメアの漏らした独り言は―――聞こえなかった。

ぽんっ。

ふいに、肩に力をかけられた。
「?」
少しだけ振り向けば、あたしの肩に手を置いたのは、ヴァル兄だった。
「しょうがないなぁ・・・」
言いつつも、その顔に浮かぶのは満面の笑み。
そして、
「観念しろっv」
「できるかああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」




あとがきゃー
何か、中途半端に終わりましたさねぇ・・・。
ホントは帰還編として、最後まで書くつもりだったのですが、いざ書いてみるとL様出発にかなりかかってしまったので、分けることになったのですさね。

ところで、前書きの時に言った、『リナさんの暗すぎる過去話』。あれ、本気なんですよねぇ・・・。しっかし・・・本気で暗いのです。最後決めてないくせに、暗いのは解ってますさね。結構前から考えてはいたのですが、怒られそうで・・・。今度新規で一緒くたに聞きますか。

では、1人であたしが納得した所で、さよーなりー。

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