◆−鮮血の紅−むくぅ(7/23-13:43)No.16268
 ┣鮮血の紅 2−むくぅ(7/27-11:53)No.16315
 ┃┗はじめましてですvv−白河綜(7/27-13:11)No.16318
 ┃ ┗はじめまして〜♪−むくぅ(7/27-18:49)No.16321
 ┣鮮血の紅 3−むくぅ(7/30-14:14)No.16334
 ┃┣……さらに出遅れましたっ!−のりぃ(7/31-11:47)No.16339
 ┃┃┗待ってましたぜ! 姐さん!(違)−むくぅ(7/31-15:23)No.16346
 ┃┗ああ、でてるし!!−白河綜(7/31-14:25)No.16344
 ┃ ┗Re:ああ、でてるし!!−むくぅ(7/31-15:28)No.16347
 ┣鮮血の紅 4−むくぅ(7/31-17:26)No.16351
 ┃┗よっし、今回は早め?−白河綜(8/2-14:01)No.16386
 ┃ ┗早めにお召し上がりください♪−むくぅ(8/2-15:23)No.16388
 ┣鮮血の紅 5−むくぅ(8/2-16:10)No.16392
 ┃┗姐御お届けに参りやしたっ!(激違)−のりぃ(8/2-21:16)No.16397
 ┃ ┗確かにお荷物承りました(さらに違)!−むくぅ(8/3-13:44)No.16402
 ┣鮮血の紅 6−むくぅ(8/4-12:54)No.16416
 ┣鮮血の紅 7−むくぅ(8/6-14:03)No.16451
 ┃┣Re:鮮血の紅 7−花姫(8/6-15:31)No.16452
 ┃┃┣訂正っ!−花姫(8/6-15:37)No.16453
 ┃┃┗感想どうもありがとうございます――と、お詫び−むくぅ(8/7-11:16)No.16468
 ┃┗うわぁ・・・−紫嵐(8/8-23:39)NEWNo.16496
 ┃ ┗どうもこんにちは♪−むくぅ(8/9-14:56)NEWNo.16502
 ┣鮮血の紅 8−むくぅ(8/10-11:07)NEWNo.16513
 ┃┗一番乗り…かな?−紫嵐(8/10-11:43)NEWNo.16515
 ┃ ┗恐らく落ちる前ぎりぎりレス(決死)−むくぅ(8/10-13:30)NEWNo.16520
 ┃  ┗逃げます・逃げます!−紫嵐(8/10-19:20)NEWNo.16523
 ┃   ┗ご丁寧にどうもありがとうございます――追跡っ!−むくぅ(8/10-21:18)NEWNo.16528
 ┗二週間ぐらい帰省してきます−むくぅ(8/10-21:21)NEWNo.16529


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16268鮮血の紅むくぅ 7/23-13:43

 ……どうもこんにちは、むくぅなのです。
 さっそくですが。予告なし新投稿しかもシリアスでシリーズ。
 すいません。殺してやってくださいのです。
「……まぁ……
 あんたを殺すとかグッドな考えはそれはそれで置いておいておくとして。
 あたしの出番はあるんでしょうね。とーぜん」
 リナさん――あー、ありますのです。オリキャラが何人出るか解らんのが玉にキズですが、今のところ五、六人は軽く出るような気が……
「なんっじゃそりゃあっ!? あんたのオリキャラを拝む物好きな人間がいるかっ!」
 でも書いちゃったものはしょうがないので投稿しますのです。読んでやってくださいのです(ぺこり)
「ほほぉおう。あたしを無視して進行かっ!? いー度胸じゃない!
 話の中では放てなかったあの呪文、ここでぶっ放してあげるわっ!」
 う゛っ!? うあやめてくださいリナさん! ここではちょっ……

(むくぅ、吹っ飛ぶ)

「ふっ。愚かなり。できそこない吸血鬼。
 あたしが放った術については読んでくださいという伝言よ。意地汚いわよね。
 じゃ、あたしの大! 活躍を、見てちょうだいね!」

======================================================

 『鮮血の紅』――ザ・スカーレット・オブ・ブラッド。
 よく言えば都市伝説、悪く――解りやすく言えば怪談。そんな話である。
 赤い瞳の女性が、夜に溶け込むような黒装束を纏い、標的をその名とは逆に、跡形もなく葬り去る――そういう噂だ。
 『目撃者はいない』やら『その姿を見たものは死んでしまう』とかいったお約束がつくと、『何で容姿が解るんだ』とゆーツッコミが出てくるのだが――まぁ、おおむね怪談というのはそういうものである。
 噂だけならばまだ良かった。最近『行方不明者』が多くいることに乗じてだれかが広めた悪ふざけの噂だ、ということになるからだ。
 しかし――
「夜に妙に人気の少ないところって在るじゃない。そういったところに明らかに攻撃呪文の跡としか思えないクレーターがあった、っていう事実があれば、話は別よ」
 あたしはそこまで言って、ポテトをぱくんっ、とほおばった。
 魔王シャブラニグドゥの二つ目の欠片――を滅ぼしてからもうすぐ二年……あたしたち四人は、何となく出会って、また一緒に旅をしていた。それで、何となく――というか、この町、アリド・シティは図書館が多く、資料の豊富なことで有名なため、ゼルガディスの案で立ち寄ったのだが。
 ――まぁそのせい――もとい、『おかげ』で、よく解らん得体の知れん依頼を引き受けることになったのだ。
 あたしは頬杖をつき、もう片方の手でフォークをもてあそびながら続けた。
「ま、実は魔族である、とか、はたまた人間に恨みをもったエルフで、絶世の美貌だとか――眉唾もんの噂もあるみたいだけどね」
 フォークを置いて、こくんっ、とオレンジ・ジュースを一口。
「――でも、これは通り魔とか妖怪とかじゃないわ。
 犠牲者――と思しき人たちは、皆とある宗教団体に関わってたみたいなのよ。
 ま、宗教ってのは名ばかりで、悪徳商売人とたいして変わんないみたいだけどね――」
「……それで――リナ。どうするの?」
 アメリアがうずたかく積まれた皿の間から、複雑そうな表情で声をかけてきた。
「うん。聞いたところ魔道士協会の評議長さん結構いいひとみたいで、依頼料が結構もらえるらしくて――」
「ってぇことは――自首するのか?」
 ぶぅっ。
 ガウリイの言葉に、あたしは思わず含みかけていたオレンジ・ジュースを吹き出した。
 ――げふっ! げふげほごふぅっ!
 激しく咳き込んで、あたしはガウリイをにらむ。
「あんったねぇええっ! 突然何言うのよっ!」
「じゃあ逃げるのっ!? リナ、友人として忠告するけど、それはいけないわっ! 逃げると罪が重くなるし、ガウリイさんのためにもならないし……」
 驚愕の声を上げたのはアメリアである。
 あたしは思わずかんっ! とオレンジ・ジュースの入ったコップを机に打ちつけた。
「あ・ん・た・ら・はぁぁぁぁぁぁっ! 特にアメリアッ! 最後のガウリイうんぬんってのは何なのよっ!
 ゼルも何か言ってや……っ」
 いると思っていたゼルガディスは、しかしテーブルにはついていなかった。
 あたしは立ち上がり、食堂を見回して、
「あ、あれ――ゼルガディスは?」
「ゼルガディスさんなら図書館にいったわよ。リナがテーブルについて、話し始めてすぐ」
「――ったく自分勝手なんだから……」
 テーブルに着きなおして髪をがしがし掻くあたしに、アメリアが真剣そのもの、といった顔で、
「それよりリナ。どうするの? やっぱり自首するわけ?」
「うっだぁぁぁぁぁっ!」
 がたぁんっ!
 あたしは思わず椅子蹴倒して、大声で叫んでいた。
「アメリアッ! いーかげんにしなさいっ! あたしは何もやってないっ!」
「えぇっ!? だって、赤い瞳で夜な夜な現れる殺人鬼って言ったらふつーリナを想像するわよっ! リナをよく知っている人も知らない人もっ!」
 う゛っ!?
 あたしは思わず言葉に詰まった。そもそも、あたしがこの話を魔道士協会から聞くことになったきっかけも、通りがかりの魔道士に言いがかりをつけられたからなのである。
 だが……
 あたしはジト目でアメリアを見ると、
「アメリア――なぁぁぁんで『あたしのことをよく知る人間』まであたしのことを犯人だと思うわけっ!?」
「普通思いますよ。ねぇガウリイさん」
 アメリアの言葉にこくこく頷くガウリイ。

 ……ぷちぃっ。

 頭の中で、そんな心地よい音が鳴った。
「っおぉぉぉおぉぉぉぉぉおっしっ! よっく言ったぁッ! そうまで言うならあんたらを犠牲者その一その二にしてあげるわっ!」
 あたしはびしびしぃっ! とアメリアとガウリイを順々に指さし叫ぶと、全速力で呪文を唱え始めた。もちろん唱える呪文は竜破斬(ドラグ・スレイブ)である。

 ――黄昏よりも暗きもの
    血の流れよりも赤きもの
    時の流れに埋もれし 偉大なる汝の名において――

「っどわあぁぁぁぁぁあっ! リナッ! 頼むから竜破斬(ドラグ・スレイブ)だけはやめてくれぇぇぇええっ!」
 ガウリイが腕を掴んだのに驚いて、あたしは思わず呪文を止めた。
 顔が熱くなり、心臓が跳ね上がるのを感じながら、あたしはガウリイを蹴り飛ばした。
「んっ、なっ……なにすんのよっ!」
 どがっ!
 ガウリイはまともに顔面蹴られて倒れた。
 ――ふーっ。ふーっ……
 あたしが息を整えるのを待って、アメリアは何か物を横に置くジェスチャーをする。
「まぁ冗談はこのくらいにして……
 リナ、結局その依頼受けるわけ?」
「…………爆裂陣(メガ・ブランド)」
 あたしが冷めた声で放った攻撃呪文によって、アメリアは沈黙した。


 ふぁぁぁぁ……
 図書館で調べ物をしながら、彼はふと、大きなあくびをした。
(……リナたちは――まだ昼飯を食っているんだろうな……)
 彼にしては珍しく早起きしたのがまずかった。眠気が今になってやってきたのである。
 図書館、と言っても、この町にはかなりの数の図書館があった。しかし――
(滞在する日数が決まっていないとはいえ――)
 彼は――ゼルガディス=グレイワーズは今日幾度目かのため息をついた。昨日と今日あわせて、まだここは二館目、これではまだまだかかりそうである。
 だが自分の身体を元に戻すヒントがあるかもしれないのだ。気は抜けない。
(とはいえ――)
 それでもやはり、数が多いことはたしかであった。
 ゼルガディスはまたため息をつくと、読みかけの本にまた目を通し始めた。
 日が天に昇っているのが、窓から見えた。
 彼は窓の方にはちらりとも目を向けなかったが。


 アリド・シティ魔道士協会。
 ここの魔道士協会はあまり大きくなく、ほとんど『ひっそりと』した感じで立っていた。立っている場所はそんなに悪くはないのだが、存在感があまりない。
 評議長室もあまり立派ではなく、机と椅子以外は本棚ぐらいしかないし、インテリアもなかった。質素――ともいえるが、ようは金がないのだろう。
 ま、絨毯は結構ふかふかだったが。
「君がリナ=インバースさんか……」
 評議長にしては少し若い、長い茶髪に白い布のようなものを絡ませた、人の良さそうな女顔の美青年である。かなり女顔。特徴と言えば真っ先に上がるのが女顔だ。初めて見たとき女性とあたしが信じて疑わなかったのだから絶対そうである。
 ――まぁ、声を聞けばすぐに男だとわかるが。
 動きやすそうなローブに身を包んでいて、物腰から察するに実戦経験もあるようだ。見た目どおりのカモになりそうな――もとい、とても人の良さそうな人物、というわけではないのだろう。
 あたしのことをちょっとした憧れの目で見ていた――とは本人の弁で、まぁ本当かどうかは定かではないが。
 というか、あたしの噂をどー聞いて憧れを抱くとゆーのだ?
 ……こほんっ。
 あたしが心の中で咳払いしたすぐあとに、彼はにっこりと微笑んだ。
「ああ、こんにちは。リナさん。僕はハーリア=フェリア。一応ここの評議長を務めさせてもらっているものだよ。
 君のことは色々なひとから聞いているよ。色んなところで色んな事件を解決してるみたいだね」
 にこにこと言ってくるフェリア評議長に、あたしは同じくにこやかな笑みを浮かべた。
「まぁそーいった話には触れないで欲しいですね。フェリア評議長」
「え? …………うん解った」
 あたしの笑みの奥に潜む真剣そうな眼差しに気づいたか、フェリア評議長はしばしの沈黙のあと素直に頷いてくれた。
「ああそうそう。リナさん、評議長って言っても同い年ぐらいらしいし、ハーリア、でいいよ」
「え? いや、はぁ――そうですか」
「敬語も使わなくたっていいって」
 相変らず笑みを浮かべたまま言ってくる彼に、あたしは思わず沈黙した。
 ――ずいぶんと柔らかい物腰――というか砕けまくった性格のひとである。
「評議長ともあろう方を呼び捨てすることはできません」
 あたしは馬鹿丁寧に言った。
「ですが――とりあえずフェリアさん、と呼ばせてもらいます」
「そうかぁ――」
 少し寂しそうな顔をして来る評議長――もとい、フェリアさん。
 ――うーん……
 何だかよく解らん性格のひとである。
 アメリアが、こそそっとあたしの耳元に口を寄せた。
「評議長さん、どーやらリナに好意持ってるみたいね♪」
「馬鹿なこと言うんじゃないの。下がってなさいっ」
 アメリアは妙な笑みを浮かべてあたしから離れた。
ガウリイは――
「――って寝るなぁぁぁぁぁぁあっ!」
 どがしぃっ!
 あたしは彼に蹴りを入れた。
「ぐげふっ!?」
 悲鳴を上げて床に転がる。しかしそこはガウリイ、すばやく身を起こすと、
「なにするんだっ! リナッ!」
「ぃやかましいっ! あんたが立ったまま寝るなんて器用な真似するのがいけないんでしょうがっ!」
「だからって蹴ることはないだろッ! 蹴ることはっ!」
「まぁまぁ二人とも、落ちついてくださいよ」
 アメリアになだめられて、よーやくあたしはフェリアさんが立場のなさそーな表情で突っ立っているのを発見した。
「う、く……ああすいません。それで――」
「ああ、依頼のことだね? 依頼料は昨日も言ったけど――これぐらいでどう?」
 彼の提示した金額は、かなりの額だった。安依頼料で評判な魔道士教会にしては破格である。まぁ、それだけ魔道士協会がこの事件に対して真剣だということなのだろう。
 ――たしかに、町の中で殺人事件が起こったという噂が立てば、魔道士協会の威信にも関わるし、町に訪れる人も少なくなる。それほど大きい町でもなく、ほとんど観光や図書館で収入を得ているアリド=シティにとっては、今回の事件は致命的だろうが。
 フェリアさんは、あたしが何も答えないのを了承と見てか、話を続ける。
「それで――依頼の内容だけどね。
 噂を鵜呑みにするわけじゃないんだけどさ。とりあえず、いなくなった、『鮮血の紅(ザ・スカーレット・オブ・ブラッド)』の犠牲者――っていうのかな。彼らに共通項があったのは事実なわけだし……
 それらしい動機を持った『紅い瞳の』人間をピックアップしてみたんだけどね」
「ちょ――ちょっと待ってくださいっ!」
「なんだい?」
 彼が不思議そうに言ってくるのに少し頭痛を感じながら、あたしは額に手を当てた。
「あのですねぇ……たった今『噂を鵜呑みにするわけじゃないんだけど』って言ったじゃあないですかッ!
 それだったら、どーして目撃証言が取れない上に本当かどうかも怪しい『紅い瞳』っていうのを採用するんですかッ!?」
 あたしの言葉に、彼はただ笑った。
「相手は魔族や妖怪じゃないよ。人間だ。
 だいたい魔族が宗教団体だけを中心的に、しかも隠れてこそこそと殺すかい? それだったら――物騒な言い方になるかもしれないけど、この町ごとふっ飛ばしちゃった方が手っ取り早いはずだし……となれば、目撃証言もあるかもしれない。
 そうなったら、容疑者を限定できた方がいいしね。
 ああ、デマかも知れない、って言うなら心配ないよ? ちゃんと目撃者が居たからね」
 そこまで言うと、彼はその笑みを苦笑に変える。
「――でもさ、これがまた……信用できない目撃者で。たぶん君の知ってるヤツだとは思うけど。そもそも『彼』の推薦だしね。君のことは。
 多分嘘は言わないから、ってことで採用したんだけどね」

………………………………………………沈黙。

「……え、えぇぇぇぇええっと……」
 あたしはふと――背中辺りにもぞもぞとした悪寒を感じた。
 彼の言ったことから、妙な人物――というよりシロモノ――を思い浮かべたのである。

 ・あたしの知っているヤツで。
 ・いまいち信用できない、と評議長自身がきっぱりと迷いナシに言うヤツで。
 ・彼、と言うことは少なくとも外見は男であり。
 ・多分嘘は言わなくて。
 ・さらに、評議長が意識的に『人』や『人間』と言う単語を避けたのだと仮定すると――

 ――正解は……
 アメリアの方をちらりっ、と見ると、彼女もまたなにか察したようで、少し青い顔をしていた。
 ……めちゃくちゃ嫌な予感がした、という顔である。
 あたしは震える唇をがっ、と押さえ、恐る恐る口を開いた。
「ふ、フェリアさん、その『目撃者』ってもしかして……」
「そう。『彼』さ。僕が『鮮血の紅(ザ・スカーレット・オブ・ブラッド)』が人間だって限定したのも、元はと言えば『彼』のおかげだしね」
「――確かに――もっともらしい意見では……」
 そこであたしは言葉を止めた。
 アメリアが、燃える瞳でフェリアさんの両肩にぽむっ! と手を乗っけたのだ。
「あなたっ! 人間としてもうちょっと誇りを持たないとっ!
 魔族の甘言にダマされちゃ駄目よッ! さぁあなたも正義と真実と愛の目で現実を見つめて――」
「アメリアー……なんだかそっちの方がちょっと新興宗教っぽいわよー……」
 あたしははたはたと手を振った。ガウリイは腕を組んで、何だか真剣そうな顔で、
「そうだぞ。アメリア。いくら魔族だからって、話し合えば分かり合えるかも知れないじゃないか」
 ……いや、あたしはそのセンも薄いと思うな……
「なぁぁぁぁぁにを甘っちょろいこと言ってんですかッ! ガウリイさんッ!」
 ガウリイのたわけまくった一言に、ばっ! とアメリアは身を翻す。
「魔族ってぇのはゴキブリ同然っ! 害虫同然のシロモノなんですよッ! あんなのを信じたが最後、痛い目見るのはいつも力なきもの、人間なんですっ!」
 あ、ちょっと格上がってる。前は害虫以下って言ってたのに。
 ……まぁ、『あいつ』のイメージは、確かにゴキブリほーふつとさせるもんがあったけど……
「アメリアさぁぁぁん……それはちょっと酷いですよぉう……」
「!?」
 突然ふってわいた声に、思わずあたしは虚空を見上げた。
 はたしてそこに彼は居た。
 黒い髪、黒を基調とした、どこにでもあるよーな神官服――二十歳前後の、いたってどこにでもいるような、ただし、普通よりは少しハンサムな、顔にあまり特徴のない神官(プリ―スト)。
「ゼロスさん」
 気の抜けた声でその名を呟いたのは、アリド・シティ魔道士協会、ハーリア=フェリア評議長その人だった。

=====================================================

 はい。のっけからオリキャラが出る予感。というか出てますのですね。ええ。
 ハーリア=フェリア評議長さんなのです。女顔の。
「女顔っていわないでよ」
 あ、こんにちは。
「君が呼び寄せたんでしょうが。眠いのに……」
 いやまぁ……はっはっは。
 とにかく、そういうことでオリキャラ一人目の、ハーリアさんでした。
「って――これだけっ!? ちょっと待ってよ! 僕ただでさえ出番少ない予定だってのに、ここでも出番こんだけっ!?」
 では、おなじみな感じになってきた逃走を開始しますのです。
「ちょっ……待てっ!」
 それでは皆さんまた次回で会えたら会いましょう! 私が話のオチを思いつくのかどうかが不安ですが、むくぅなのでした!
「ちょっとぉぉぉぉおっ!」

(むくぅ、夜の空を飛びつつ退場。そこにハーリアの攻撃呪文が炸裂する……)

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16315鮮血の紅 2むくぅ 7/27-11:53
記事番号16268へのコメント

 というわけで! 二話目をお送りしますっ! よかったら読んで下さいのです。

==============================================

 ……あ……
「あぁぁぁぁぁぁほぉぉぉおぉかぁあぁぁぁぁっ!」
 どげしぃっ!
 あたしの飛翔界(レイ・ウィング)での体当たりは、ものの見事に魔族・獣神官(プリースト)ゼロスにヒットした。
「にひゃぁっ!?」
 効かないのにも関わらず、いかにも痛そうに吹っ飛ばされて、彼は床に這った。すぐにむくりと起きあがり、
「何するんですか。リナさん」
「笑ってんじゃないわよッ! あんたっ! いまさらよくもノコノコと、あたしたちの前に現われたわねぇぇぇぇッ!」
 がくがくがくがく。
 あたしはゼロスの襟首ひっつかみ、盛大にふりまくった。
「あの、リナさん、苦し……」
「わけないでしょうがッ!」
 どんっ!
 あたしはゼロスを突き飛ばすと、つかつかとアメリアの後ろに回り、彼女の肩にぽんっと手を置いて、冷めた目で呟いた。
「――アメリア。生への賛歌攻撃ゴー」
「解ったわっ! ゼロスさん、覚悟しなさいっ! ――ああ人生って素晴らしいッ! 生まれてきてよかったわッ! 愛はすべてのものに等しくふりそそいでいるのよっ!」
「うくぅぅッ!?」
 あからさまに苦しそうな顔をするゼロス。むろんわざとだろうが。
 ……いやまぁ、効かないのは解っているのだが、こうでもしなければ気が済まなかったのである。
「えぇぇぇぇぇぇぇえっと……」
 またもや立場のなさそうな顔をしているフェリアさん。あたしは彼に目をやって、
「――あなたもどーゆー風にこいつと知り合ったのかは知らないけれど、悪いことは言わないわ。
 こいつには関わらない方がいいわね。色んな意味で」
「いやぁ……でも、とりあえずは信用できるでしょ?」
 なぜ照れる。評議長。
 まぁ確かに――こいつは今までのことから言っても嘘をついたことはない。
 嘘同然の誤誘導(ミスリード)はしまくるけど。
「ああ人生って……」
 どーやら繰り返し(リピート)部分にさしかかりはじめたらしいアメリアの曲をあたしは手で制し、うずくまるゼロスを見下ろした。
「効いてないんでしょゼロス――起きなさい」
 あたしは冷たい声で言う。ゼロスはむくりと起きあがった。相変わらずのにこにこ笑顔で、彼はぺこりっと一礼する。
「改めてお久しぶりです。リナさん」
 彼の上げた顔に向かってあたしは冷めた視線をぶつけると、
「で……どういうつもりなわけ。今回は」
「いえ、特に僕はなにも企んじゃあいませんよ」
 ゼロスは表情の読めないニコニコ顔で言う。これはヘタなポーカーフェイスよりタチが悪い。
「ってぇことは、獣王あたりから命令受けてるわけ? じゃあ獣王はなにを企んでいるのかしら?」
「それは――」
「あぁはいはい解ってるわよ。秘密でしょ秘密。ったくこのお役所仕事のくだらん秘密主義のゴキブリ神官……」
 あたしのことばに、ちょいちょいっとハーリアがゼロスの肩を叩いた。
「――何だか酷い言われようだけど」
「気にしてません。リナさんと一緒にいたらじきに慣れます」
 言いつつも、ちょっぴし顔がひくついてたりするところが中間管理職の苦労を感じさせる。いや、ンなもん感じたくないけど。
「ふぅん」
 フェリアさんは納得したようなしていないような顔になって、そのまま黙った。
 が、あたしは彼の方にも質問があった。
「まぁそのことはもういいわ。
 ――で、フェリアさんはどこでどういう風にゼロスと知り合ったんです?」
 この質問は、フェリアさんが魔族でないという可能性を考慮しての質問だ。
 冥王フィブリゾや覇王グラウシェラーは、以前人間に『化けて』あたしやガウリイと接触してきた。
 ならば、この『フェリア』と言う人間、今現在ちゃんと生きていて、そしてここにいるのが本物の『ハーリア=フェリア』なのか、というのは確認しておかなければならない。
 ――まぁ、あたしはこの手の誘導尋問はあまり好きじゃあないのだが。
 質問の意図を知ってか知らずか、彼はしばし考えて、
「あれはいつだったか――最近だよね。二ヶ月くらい前?
 その時にねぇ、盗賊追っ払って金品巻き上げたんだけど――いやまぁ、そのお金はみんな魔道士協会(ここ)とか――何だかよく解らないけど動物愛護団体とか植物愛護団体とかに寄付しちゃったけどね。
 でさ。その時に珍しい書物を見つけたんだ」
 へっ……?
「――まさか――」
 乾いた声を上げたのはアメリアだった。
 ――そう。この場合に出て来る『珍しい書物』と言えばほとんど限定されている。
 彼はそのアメリアの言葉につまったニュアンスを、感じ取ってかいないのか、こくんっ、と頷くと、
「そう。異界黙示録(クレアバイブル)の写本さ」
 異界黙示録――!
 言うまでもなくめちゃくちゃ珍しい書物である。以前オリジナルに触れたが――あまり情報を引き出せなかった。図書館が多くある――つまり書物が豊富なアリド・シティの魔道士協会の評議長がそう言い切ったのである。間違いなく本物、一体どんなことが書かれていたのか。
 あたしの中に走る期待感は、しかしフェリアさんの淡々とした言葉に一瞬にしてぶち砕かれた。
「でも、その噂をどこから聞きつけたのやら、手にいれたその日に焼かれちゃった」
 フェリアさんの視線の先にいるのは、むろん腐れ獣神官(プリ―スト)ゼロスだった。
「あんた……まだそんなことしてたのね……」
 ああ大事な発見をッ!
 何てことしやがる、ゼロスッ! てめぇっ! 許さんッ!
 あたしの険悪な瞳にもゴキブリ神官はひるまずに、
「だからぁ。それが、ヒマな時の僕の仕事なんですよ。
 僕本来の仕事、って言っても過言じゃあないんですから」
 ぴっ、と指を立てて言う。それを無視しているのかフェリアさんが淡々と続けた。
「解読する前だったから僕もさすがに怒って、弁償しろって言ってこのひとの腕掴んだら、その瞬間に空間渡っちゃったらしくて、ヘンなところに出た。
 後で聞いたけど、群狼島に報告に行ったらしいんだけど」
「ちょっと待ってよ。
 ゼロス、あんたの上司、もうそんなところにいる必要なんてないんじゃないの?」
 魔族の結界は解けたはずなのだから、維持する必要もないと思うのだが…… 
 あたしの言葉に、ゼロスは困ったようにぽりぽりと頬を掻くと、
「いえ……どうやら、千年いる内に獣王様のお気に入りになっちゃったらしいんですよね。その場所……」
「いやまぁ、あんな陰気くさいところを気に入った魔族の感性疑うのは後にして。
 で、よく理屈は知らないんだけど――後でみっちり問いつめようと思うけど、生身の人間に空間移動って結構こたえるらしくって、そのまま倒れちゃって……普通ならそのままほっとくらしかったんだけど、何だか親切に戻してくれたんだよね。それが最初だよ」
 何だかいやな出会いである。
 あたしはフェリアさんに同情した。
「うう。あなたも気の毒ね。こんな魔族のせいで……」
 冗談でナシに涙ぐむアメリアに、なぜか彼は照れたような笑みを浮かべると、
「いやぁ。まぁ彼の性格とか根性とかはおいといて、今まで歩んできた人生――って言うか今に至る自分のことを教えろってしつこくねだったのは僕だけどね。
 ほら、魔族に会うなんて滅多なことじゃないでしょ? 会ってもすぐ倒すか倒されるかしちゃうし、それに人間形態を取れる魔族もそういないだろうしさ。貴重な体験だと思ったんだよね」
 …………どーやらフェリアさん、かなり肝の座った人であるらしい。
 っていうか並の神経じゃできんぞ……高位魔族に今まで歩んできた人生(人じゃないけど)を語らせるなんて……
 フェリアさんは自分のしでかしたことのすごさに気づいてないのか、相変らずにこにこと、
「ま、それはともかく、ゼロスさんの話しはすっごくためになるよ。もちろん魔道士協会には秘密だけどね。
 リナさんたちもゼロスさんの話で色々教わったこともあるんじゃないかなぁ?」
 そう言えば――
 魔法と精神世界面(アストラル・サイド)の関係について享受してくれたのはゼロスだったっけ……すっかり忘れてたけど。
「確かに――あの時はゼロスを魔族と知らなかったけど、魔族もたまにはためになる話をするもんなのね……」
 あたしは腕を組んで重々しげに呟いた。
「リナさん……それちょっと酷いです……」
「やかましいわね。
 ――でも、ま、確かに、こいつは信用ならないけど逆にものすごく信用できるときもなきにしもあらずだし。
 その目撃証言とやら、聞かせてもらいましょうか?」
「ええ。いいですよ」
 ゼロスはこくんっ、と頷いて、
「あれは一週間ぐらい前でしたっけねぇ……
 確か、満月の綺麗な夜でした」
 満月は今から六日前で、これはフェリアさんに確認をとったところ、犠牲者が行方不明になった事が発覚した前日と重なるらしい。
 ゼロスは続けた。
「で、その日はよーやく昔語りを終えて、ハーリアから開放された頃だったんです。
 事細かに説明しましたからちょっと精神的にダメージ受けてまして、ちょっと曖昧なんですけど――
 どぉんっ、て小さな音が聞こえたから、不思議に思ってそっちの方に行ってみたら、すぐ近くの袋小路でクレーターが出来てて、そこに金髪に紅い瞳の綺麗な――まぁ女性男性は解らないんですが――ま、やたらとほっそりした体つきの人間が立っていて……黒装束を着てましたね。
 ぴっちりとしたのじゃなくてもう少しゆったりとした、ローブみたいなものでしたけど」
「ちょっと待て」
 珍しく話を聞いていたガウリイが、ゼロスの言葉を遮った。
「その――結構大きなクレーターが出来てたんだろ? で、クレーターができてるすぐ近くでゼロスは小さな音を聞いたんだよな?」
「そうですけど」
「おかしいじゃないか。そんな大きなクレーターできてたなら、かなりハデな音がするんじゃないか?」
「風の結界で消音してたんでしょ」
 あたしの簡単な説明に、ふぅんっ、とガウリイは納得したようなしていないような声で言った。このときゼロスがかすかに笑みを深くしたのだが、あたしはこのとき気にも留めなかった。
「で? その人はそのあとどうしたの?」
「僕に気づいたらなにか呟いてどこか行っちゃいました。多分まだ風の結界を張っていたんでしょうね。
 ちなみに顔は解りませんでしたよ。布を纏ってましたからね。目と髪がちょっとだけのぞいてました」
 ふぅ……む。
 話を聞き終えて、あたしは小さくうなった。
 とりあえず、こいつは嘘はつかない。確かな情報ではあるだろう。
 アメリアがだんっ! と地面を踏み鳴らした。絨毯だったのであまり大きな音はならなかったが。
「信じられないわ! ゼロスさん、あなた追おうとか思わなかったんですか!?」
「だって僕には関係ありませんし。
 次の日にいまいちヒマだったんでハーリアのところに行ったら、何だか行方不明者がいっぱいいる、クレーターがあったんで魔道士の犯行だと思われている、って話を聞いたんで、そのことを話したんです」
「なるほど――」
 あたしは納得した。どうやらお役所仕事――言われていないことは絶対にやらないし、言われたことでも真面目にやらない――は変わっていないようである。
 気になるのは、今日まで約五日、なぜ魔道士協会――ひいては、この有能そうな、というよりは腹黒そうなフェリアさんが行動を起こさなかったか、と言うことである。
 そのことを聞くと、フェリアさんは苦笑を浮かべた。
「副評議長二人が納得してくれなかったんだよ。こんな得体の知れない神官(プリースト)、信用できるのかって……」
「――ま、そりゃそうね」
「それに、ここの町は魔道士協会はそんなに影響力を持ってはいないし、警備隊と仲が悪くてね。警備隊やら領主(ロード)やらの許可を取るのにちょっと苦労したんだ。
 それで、何とか説得したのが三日前。調べるのに二日かかって、ここの生徒さんがそのことを聞いてなぜかリナさんにちょっかいかけて返り討ちにされたのが昨日の夜ってわけ。
 あははは。副評議長の二人も頑固だよねー」
 あんたのよーな評議長の方が変だと思うぞ……あたしは……
 あたしは朗らかに笑うフェリアさんを、思わずジト目で見つめた。
 まぁ――フェリアさんがもともとはこうではなくて、群狼島でゼロスが『魔族である』と認証せざる終えないなにかがあったか……またはゼロスの人(じゃないけど)生を聞いた際になにかあったのか。それはまぁ解らないが。
「容疑者って言っても、金髪の紅い瞳で、なおかつあの宗教団体に恨み抱くような人間、っていうとものすごく限定されるからね。
 限定されてないと二千人ばかり言っちゃうから、ゼロスさんの証言ってけっこう重要なんだよね。これが」
「ふむぅ――」
「っていうより一人しかいないんだけどね」
「うわ少なッ!」
 あたしは思わず叫んだ。
 ……まぁ、よく考えたら当たり前ではあるけど……
「で、今からそのひと――女性に会いにいって欲しいんだ。依頼内容はもちろん事件の解決。今動ける、事件解決に役立つような魔道士(ひと)がいないからね」
「はいっ! 解りましたッ! その女性を捕まえて、正義のなんたるかを教えればいいんですねッ!」
 早くも正義の魂に火をつけてその上から油突っ込んだような状態のアメリアに、フェリアさんはしかし首を横に振った。
「いやそうじゃなくて、証言を取るだけでいいんだ」
「なんでですッ!? どう考えてもそのひとが犯人じゃあないですかッ!」
「理由は四つほどある」
 フェリアさんは肩をすくめると、ぴっ、と指を三本立てた。一本をもう片方の手で折ると、
「まず一つは、ゼロスさんしか目撃してない、ってこと。これだけじゃちょっと信憑性にかけるよね。ゼロスさんは行きがかり同然の謎の神官って事になってるんだし――
 二つ、証拠がない。さっきも言ったとおりゼロスさんの目撃証言だけだからね。
 三つ、『彼女しか容疑者がいない』ってだけで、もしかしたら彼女じゃないかもしれない、ということ。
 四つ――これは僕の個人的な意見なんだけど――彼女は恨みや怒りに任せて人を殺すような馬鹿じゃないってこと。僕は彼女を知っているんだけど、自分が恨む人間を殺して、それで自分がお縄になって不幸になるような愚、彼女は絶対に犯さないよ」
 彼は机に腰掛けた。椅子に、ではなく机に、である。
「感情論じゃないの? それって」
 あたしの問いに、彼は肩をすくめてみせた。
「どうかな――ま、僕の知っている彼女だったら、その人の家に毎日不幸の手紙送るとか、その人ン家に押しかけてって死なない程度に痛めつけるとか、犯罪の証拠掴んで即刻役所に突き出すとかそうでなくてもねちねち脅すとか、そーゆー行為に及ぶはずさ」
「……どういう人間よ……そいつは……」
 あたしは頬からつぅっと汗をたらした。


 彼は、少なからず驚愕していた。
 あまり人付き合いのない彼でも、リナ=インバースやあのアメリア第二王女の名と顔は知っていた。
 ――なんでまるで正反対を絵に描いたような二人が共にいる……?
 それにあの男は――
 金の髪の男――ガウリイ=ガブリエフ。何年も前だったか――サイラーグを救った、とそのテの世界では有名な傭兵である。
 よく解らない組み合わせではあった。
 極悪非道、ドラゴンもまたいで通ると噂されるリナ=インバース。
 そのリナを即効で成敗しそうな伝承歌(サーガ)フリークのアメリア第二王女。
 そしてサイラーグを救った、という有名な傭兵。
 ちぐはぐといえばちぐはぐで、共通性などないに等しい。あのガウリイとか言う傭兵に至っては、サイラーグを救う前は悪名ばかりささやかれていたのである。まぁ、大方が妬みのたぐいである、ということは容易に想像できることではあったが。
(――あのひとたち、『あれ』の依頼を引き受けたのか――)
 彼は、不思議な表情で、考えた。
 ――もう一人、連れがいたはずだ。
 あの人に、会ってみよう。
 その人が、自分に、一番近しいような気がする。
 彼はそう思って、くるりっと方向転換し、そこで、びくんっ、と身をすくませた。
 ガウリイがこちらを見たのだ。
(気づかれた!?)
 ここで慌てても意味がない。彼はそのままの体勢で、ガウリイのことを見つめていた。
 彼はしばしこちらを見つめていたが、やがて興味を無くしたらしい、リナのほうを見てなにやら言っていた。
「――行こ」
 汗をびっしょりかいたが、彼は何とか身体を動かして、その場を立ち去った。

=============================================

 よし。二話目終わり。意味不明……それでは逃げます。撤収っ!

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16318はじめましてですvv白河綜 E-mail 7/27-13:11
記事番号16315へのコメント

 うふっふ、生への賛歌攻撃ーvv
 あ、失礼しました。始めはして、白河綜といいます。本当は1の時にコメントを書きたかったのですが…… むくぅさん、貴方のゼロス君は素敵すぎですvvファンになってもいいでしょうか!?(止めろ、迷惑だ)
 ああ、文章になってない……失礼しました。ごめんなさい……

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16321はじめまして〜♪むくぅ 7/27-18:49
記事番号16318へのコメント

白河綜さんは No.16318「はじめましてですvv」で書きました。

> うふっふ、生への賛歌攻撃ーvv
> あ、失礼しました。始めはして、白河綜といいます。本当は1の時にコメントを書きたかったのですが…… むくぅさん、貴方のゼロス君は素敵すぎですvvファンになってもいいでしょうか!?(止めろ、迷惑だ)

 どうもありがとうございますのです♪ 迷惑なんていえそんな! うちのわがままなゼロスさんにファンがついてくれるなんて! とっても嬉しいのです!

> ああ、文章になってない……失礼しました。ごめんなさい……

 感想どうもありがとうございます。とっても嬉しいのです! 失礼なんて思わないで下さいよ!
 それではこちらこそ意味不明ですいませんなのです。では!

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16334鮮血の紅 3むくぅ 7/30-14:14
記事番号16268へのコメント

 突然なのですが、気づいたこと。
 ――今回初登場のヴィリシルア。
 書いて終わって気がついた。

『これ(金髪紅瞳)、なんか色々かぶってる……?』

 ということに!
 すいませんすいませんすいませんっ! 決して悪気があったわけではありませんのです! ごめんなさい!
 ――これくらい謝れば――いい、かなぁ……(汗)
 まあとりあえず、三話目をどうぞ、ご覧くださいのですっ。

==============================================

 フェリアさんから聞くところによると、その彼女――ヴィリシルア=フェイトは、親友をその宗教団体に殺されたらしい。
 その宗教は魔王信仰だとか言うどっかで聞いたようなことやっていて、彼女の親友は、恋人をその宗教団体から抜けさせるために色々説得していたらしい。
 しかし――
 ある日、彼が自分の家で、恋人と一緒に冷たくなって横たわっていた。
 壁には血文字で『背約者には死を』とだけ書かれていたという。
 その第一発見者が、ほかでもない彼女だと言うのだ。
 アメリアなどは『そんなのけしからん。どーしてその宗教団を罪に問わないんだ』と激怒して、彼に正義の怒りをぶつけようとしていたが、フェリアさんの答えはいたって単純、彼女のことと同じように『証拠がない』だった。おそらく、のらりくらりとかわされて、逆に名誉毀損で訴えられることを恐れたのだろう。
 アメリアはいまいち納得していないようだったが。
 彼女の家は、さっきの魔道士協会に勝るとも劣らずひっそりと佇んでいた。
「何だか――不思議な雰囲気のする家だな……」
 ガウリイがぽつりっ、と呟いた。
 あたしもその意見にほぼ同感だった。
 白い家――何だか不思議――というよりは変な感じのする家だった。ここの家だけ、表通りで人通りの結構多いところに立っているのにもかかわらず――かなり静かだった。
 ちなみにアメリアはゼルガディスに事の次第を伝える為に図書館に行ってもらった。ここの町は図書館がやたらと多いが、ゼルガディスが持っている、アメリアがいつも着けていたアミュレットの片割れの魔力を探ればすぐ見つかるだろう。
 ちなみにゼロスは――フェリアさんとお茶するとか言っていたが。
 あたしはガウリイに目で促され、ドアをノックした。
「――どなたですか?」
 返ってきたのは、高く透き通るような女性の声だった。
「――すいません……魔道士協会の使いできました……」
 敬語を使っているにも関わらず、少しぶっきらぼうな声に、あたしは思わず声を潜めて呟く。
「魔道士協会……? ハーリアの使いか。解りました。すぐ開けます」
 言うとほぼ同時に、木の扉はかちゃりっと開いた。
 なるほど――
 ――あたしは……なぜか心の中で納得していた。
 流れるような金の髪。鋭い紅の瞳はそらすことなくまっすぐにこちらを見つめている。間違いなく、絶世の美貌がそこにはあった。白いTシャツとGパンといったラフな服装で、それがまた似合っている。年齢はあたしと同じか、一つから二つ上だろう――この姿が、年を取るのか、といった疑問が湧いてくることに、あたしは心中だけで苦笑した。
 彼女が犯人だとするならば――その姿を自在に変えられる魔族や、例外なしに美しい容姿をしたエルフの血筋のものだという噂が立ってもおかしくはないだろう。
「あたしは魔道士協会からの使いできました、リナといいます。
 よろしく」
 あたしの自己紹介に、彼女が無表情だったその顔をふっと和らげた。ほとんど苦笑に近い表情を浮かべながら、片手を差し出す。
「私は――ま、一応今回の殺人事件――だっけ? の、容疑者になってるヴィリシルア=フェイトってものだ。
 知ってるかもしれないけれどね」
 女性にしては妙にぶっきらぼうな口調でヴィリシルアは自己紹介をした。お世辞にも女らしいとはいえない彼女の物腰に、あたしも思わず苦笑を浮かべる。
「よろしく頼むわ。ヴィリシルアさん――ほら、ガウリイ。あんたも挨拶っ」
「――ガウリイ、です――これでいいのか? リナ?」
「あたしに聞いてどうすんのよ……」
 あきれた声を出すあたしに彼女は苦笑すると、ふと子供が何か妙案を思いついたような表情になる。
「リナに――ガウリイ?
 もしかしてあのリナ=インバースとガウリイ=ガブリエフ? そうか――あんたらが……」
「え?」
 言われてあたしは変な顔をした。
 自慢じゃないが、たしかにあたしは有名である。そのせいで一部の輩から『盗賊殺し』だのと不名誉な二つ名をつけられていたりするが――
 ガウリイはごくふつーの傭兵である――まぁ彼自身に傭兵だという自覚はとんとないが。
 とにかく、彼の名は今まであたしたちが関わった事件の関係者である人間(人間じゃない場合もあるけど……)を除けば、知っている人はあまり多くないはずなのである。
 彼は確かに腕の立つ傭兵だし、結構有名ではあると思うが――あたしたちをセットで知っている人間となると、笑えるほどにあまりいない。関わった奴と言えば魔族(しかもほとんど滅んでいたりする)やエルフ、竜などがほとんどで、関わった人間はかなり少ないのである。
 あたしの目での問いに気づいたか、ヴィリシルアは笑みを浮かべながら、
「ま、立ち話もなんだし、入りなよ――第一傭兵姿のにーちゃんにそこで立ってられると、注目されてしょうがない」
 見れば、きょとんっとしたガウリイに注目する人々(主に女性)の姿があった。
 あたしは妙に腹立たしくなって、
「お邪魔します――行くわよガウリイッ!」
 と、乱暴に彼の腕を引っ張った。


「――じゃあ、あなたはあくまでも、自分は犯人ではない、と?」
 ふかふかの白いソファーに腰掛けながら、あたしはお茶を一口こくんっ、と飲んだ。
 もちろん、ヴィリシルアに出されたものである。
 毒物が混入されているかも知れない、という危険性は考慮しなかった。あたしたちがここで行方不明になれば、真っ先に疑われるのは彼女だからである。そうなれば、証拠だのの問題もすっ飛びかねない。
 あ。おいし。
 あたしは声には出さなかったものの、正直にそう思った。
 ちょっと前知り合いに出された甘いハーブ茶とは、また趣の違う美味しさである。
 ヴィリシルアはあたしの問いに、テーブルに肘をつくと、
「ああ。私はやってないよ?
 第一、やる必要がないからね。私の情報収集能力は――自慢じゃないけど結構ある。犯罪の証拠をさっさと掴むさ。私だったらね」
「んで犯人たちをねちねち脅し、散々搾り取った挙句に役所に突き出す、と?」
 真顔で問うたあたしに彼女はジト目を向けた。
「……誰から聞いたンなこと――まぁ大体予想はつくけど。
 ま、そういうことだな。脅すうんぬんはともかく」
「ふぅ……ん。
 じゃ、質問を変えるわ。どうしてあたしのはともかく、ガウリイのフルネームまで知ってるわけ?」
「ああ。そのこと?
 あんたらのことは色んな奴から話は聞いているんだな。
 あ、そうそうミルガズィアのじいさんとか、メンフィスのお嬢ちゃんとかは元気かな? もう半年も会ってないけど」
「はい?」
 あたしは一瞬、彼女が何を言ったのか解らなかった。
 ――えぇぇぇっと。
「ミルガズィア? ああ、あのでっかいトカゲの偉い人かぁ――」
「うだぁぁぁぁぁぁぁっ! どぉしてあなたといいフェリアさんといい、妙なのと知り合いなわけっ!?」
 ガウリイの間の抜けまくった声をバックに聞きながら、あたしは思わず叫んでいた。
 一方、ヴィリシルアの方はにこにこしながら、ぴっと人差し指を立ててみせる。
「ハーリアの方はどうだか知らないが、私の家系には代々竜族やらエルフやらの血が結構混じってるらしくてさぁ。
 ばーちゃんの話では魔族と合成された奴とかもいるとかいないとか――よーするに、とんでもない家系なのさ」
 両の腕をばっ、と広げて、彼女は陽気に言った。
 ――いや『とんでもない』って……
 めちゃくちゃとんでもないぞそれ――あんた……
「ミルガズィアじいさんの話だと降魔戦争の頃からうちと竜族は結構交流があったらしいけど……ま、私には関係ないし。
 ああ言っとくけど、別にあの二人だけからあんたらのこと聞いたわけじゃないから♪ 他にも色々いるぞ? ワイザーのおっちゃんとかケレスの旦那とか、あの存在感薄いマイアスとか。アルス元将軍にも聞いたし……」
「うわ……マジで色んな人と知り合いなのね――妙に女ッ気ないけど」
「ほっといてくれよ。私と同じぐらいの女とは――解ると思うけど、反りが合わないのさ。向こうはやたらと話し掛けてくるが、こっちは相手の話していることがよく解らない。
 ま、代わりにこっちの話題も相手にとっちゃつまらないものらしい」
 なんだか妙に納得できることを言い訳がわりか呟いて、ヴィリシルアは肩をすくめ、椅子に寄りかかった。
 話が一段落したこともあって、あたしはぐぃっとお茶を飲み干し、カップを置きながら部屋の中を改めて見回した。
 彼女の家の中は、魔道士協会のあのやたらと質素な評議長室に比べれば、かなりマシな内装だった。
 まぁ、本が多いとかいった共通点はあったりしたが、彼女のあたしたちに対するもてなしも、フェリアさんよりはマシだった。彼はそういう待遇の仕方がよく解らないだけだったのかもしれないが。
 白い壁は外装と同じで、不思議な――静かな感じが漂っていた。彼女の性格なのか、飾りっ気なくすっきりとしていて、片付いている。
 壁はほとんどが本棚で占められていた。少ないスペースにかけられたコルクボードには、あたしたちが普段使っている文字のほか、色々な言葉で書き殴ってあるメモが溢れていた。竜、エルフ、ドワーフ、このあたしにすら読めない文字まで――もう何でもあり、といった感がある。彼女の交友関係の広さがうかがえた。どのくらい広いのかは聞く気がしないが。
 部屋の中央には木のテーブルと、今あたしたちの座っている白いソファーがある。ちなみに彼女が座っているのは壁際の机から運んできた椅子で、テーブルをはさむようにしてあたしたちは話をしていた。
「んー――じゃあ、そうね……前の満月の夜、あなたは何をしてた?」
「絵を描いていたよ」
 彼女はあっさりと答えた。
「――絵?」
「ああ。趣味でよく描いてるんだ。あの日描いてたのは確か――そこのだよ」
 と、ヴィリシルアは壁にかかった、夜の街並みが描かれた絵を指さした。
 改めて部屋を見回すと、たしかに結構絵がかかっていた。
 彼女が描いたものなのか、買ってきたものなのかは彼女の言葉や、その絵のタッチがほとんどみな同じことから考えれば明白だったが。
 ちなみに芸術品に結構詳しいあたしの目から見ても、かなり上手かった。
 大体の絵は、山や海――そう言った風景が描かれている。写生しに出かけたりしているのだろう。
「写生は得意なんだ。芸術なんてモノはあんまり解んないけど」
「ふぅん……一人で描いていたってことはつまり――証人はいないってことよね」
「そういうことになるな」
 彼女はまたあっさりと答える。あっさり過ぎて、逆に怪しい。
 ――まぁ、あたしには相手をそう言った印象で疑うような事はしないし、そういう風に疑ってかかっても、逆にこちらが疲れるだけである。相手は一応重要参考人、被害者の親友であったこと以外は、あまり事件とかかわりがない一般人なのだから。
 ……まぁ……動機があるだけでも十分だ、というような意見もあるにはあるが……
「じゃ、次の質問ね。
 ――あなたは親友を、今回の事件の被害者の関わっていた宗教団体に殺されたそうね」
 もちろん『殺した』という確証があるわけではないのだが、こう質問することで彼女がそのことに対してどのように考えているか、ということを掴むにはこう質問した方がいい。
「……まぁね、完全に『そう』だという確証はないが」
 少し不機嫌な表情で彼女は呟いた。
「そのことについて――どう思う?」
 あたしの問いに彼女はしばし考えると、
「誰が殺した、ってぇのはわからないけど、『殺したやつのことを』どう思ってるのか、って質問なら――やっぱ憎い、憎いね」
 言ってから彼女は軽く肩をすくめた。手に顎を乗っけて、空中で肘をつくような体勢になると、
「でも――そうだな。あれだ。誰が殺したか、ってのはわからんだろ? こっちだって持てる情報網全部駆使して探してる。見つかるのはおおよそ時間の問題。――そいつを殺したりはしないからご心配は無用さ。
 ちゃんとあんたらに突き出すよ」
「殺したのは邪教集団ではない、と思うのね?」
 あくまでそこをツッコむあたしに、彼女は頷いた。
「ああ。それらしいセリフは書いてあったようだけど、フィオロ――殺された私の友人だ――彼の、彼女――名を私は聞いていなかったんだが、彼女はフィオロの話だとあの宗教にかなりハマっていたらしくてね。だったら『背約者』なんて銘打たなくてもオッケーなわけだ。わざわざ自分たちがやりました、なんて世間に言いふらさなくてもいいだろ?」
「そりゃそうかもね――」
 ――それだけ推理力残ってれば冷静な判断もできるだろう。
 しかし――友人を殺されてそこまで冷静、というのはすごいかもしれない。
 窓から差し込む光が、赤みを帯びてきた。
 彼女の紅の瞳が、一瞬光を帯びたような気がして、あたしは眉をひそめた。それからソファに寄りかかって楽な体勢になると、ふっと微笑んだ。
「フェリアさんが、あなたが『人殺しなんて愚を犯すとは思えない』――って言った理由、解ったような気がするわ」
「そりゃどうも」
 彼女の返事が耳に届くと同時に、あたしは立ち上がった。
「そろそろ帰るわ。
 ――これからまた色々と迷惑かけるかもしれないけど――よろしくね。ヴィリシルアさん」
「ヴィリスでいいよ。その方が覚えやすいだろ?」
「……じゃあヴィリス。また会いましょう」
「じゃあな。リナ」
 あたしは身を翻して、彼女の家から出ようと――
「あ。おい! 忘れモノだよ」
「へ?」
 あたしが振り返ると、彼女はソファーに寄りかかって寝こけているガウリイを指さしていた。
 こっ……
「こぉぉぉぉおおぉぉおの腐れ味噌ガウリイッ! 人様ン家で寝るんじゃないわよっ!」 
 がすぅっ!
 全速力で舞い戻り、あたしの放った右ストレートは、ガウリイの顔面を見事に捕らえていた。
 一瞬気絶したあと、意識を取り戻して彼は首を振った。
「ッ――ああ、リナ――話し終わったのか?」
「ええ。帰るわよガウリイ」
 鼻にあたしの拳の跡を作って目を覚ましたガウリイの問いに、あたしはこくんっと頷いた。
「何だか妙に鼻が痛いんだが」
「気のせいでしょ」
 あたしの言葉に首を傾げながらもガウリイは立ち上がった。
 視線を転じれば、苦笑をかみ殺しているヴィリスの姿があった。

=============================================

 ――と言うわけで初登場のキーキャラ。ヴィリシルア=フェイトさんなのです。
「キーキャラ……?
 まぁいいか。なにがどういうわけかは知らないけど、ヴィリシルアです。よろしく」
 妙に丁寧なのですねぇ……点数稼ぎなのですか?
「ンなわけないだろ。ちなみにどうでもいいけどお前その喋り方ウザいから何とかしろよ」
 ……………………まぁ、そういうわけでなぜかいつのまにかこの人は画家になってます。上手いです。きっと。
「なんだそのきっとって。おい」
 で、美人です。恐らく。
「だからなんなんだよ! その『恐らく』ってっ!? おいこらぁっ!」
 (ごきぃっ!) みょぐっ!? ちょっ! ヴィリスさん!?
「腐れ吸血鬼が私を気安く愛称で呼ぶなぁぁぁぁっ!」
 (べきこきぴき――などという生々しい音)なんだかヤバい状況なので、逃げさせていただきましとうございます! ではっ! 頑張って逃走ッ! ひゃあああ!
「うわこら逃げんなッ! 待ちやがれぇぇぇぇぇっ!」

(むくぅ、逃げる)

「……っち。逃げ足だけは速いでやんの。
 まあいいか。とりあえず、次回も見てくれたら嬉しいな。
 では、また次に会うときまで」
 また会いましょう……私が生きてたら。それではっ!

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16339……さらに出遅れましたっ!のりぃ E-mail 7/31-11:47
記事番号16334へのコメント

すいませんっ!むくぅさんっ!なにやらもう遅れるのが習慣になっているような気がっ!?
言い訳をさせていただきますとですね、ざっとこの1週間から2週間ほど、延々とテスト&レポート期間だったのですね。
で、その間、チャットには出てたり文自体ははきっちり読まさせていただいたりなどしていたのですが、自分の文章書くのとレスをつけるのはめちゃめちゃに遅れまくった、と(汗)
いやもう、真っ当に文章が書ける自信が喪失しまくっていたので。
……って、今現在書いてても真っ当な文章になっていないような気がしますが……
……ごめんなさい。あまりツッコまないでください(滝汗)

まあ、今現在もそんなに時間があるわけじゃないのでレス短くなるのですが。
今回の小説、スレ長編っぽくて面白かったです。
具体的にいうと、アメリアが小説版だったのがちょっとうれしかったり♪(マテ)
あと、オリキャラ(2のラスト入れて今のところ3人?)が、楽しかったです。
ちなみに読んでて楽しかったのはフェリアさんだったりするという(笑)
なぜってゼラスやゼロスとものすごい漫才会話を繰り広げてくれそうだから(爆)
あ、でもヴィリスさんも好きですよ?何か本編では落ち着いてるのに後書きで乱暴になる金髪美女というのが某L様みたいで(←そっちかいっ!)
オリキャラたちそれぞれがきっちりスレ世界の住人でいいと思いました♪

では真っ当な文章には本っ気でなってませんが、このあたりで逃げますっ!
ではっ!のりぃでした〜っ!撤収ぅぅぅっ!

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16346待ってましたぜ! 姐さん!(違)むくぅ 7/31-15:23
記事番号16339へのコメント

のりぃさんは No.16339「……さらに出遅れましたっ!」で書きました。

>すいませんっ!むくぅさんっ!なにやらもう遅れるのが習慣になっているような気がっ!?

 上のタイトルはともかく、今回もコメントしてくれるなんてっ!? 嘘ッ!? とか意味もなく驚愕しつつむくぅなのです。どうもこんにちはのりぃさん、いつもいつも感想をどうもありがとうございますなのです(礼)
 
>言い訳をさせていただきますとですね、ざっとこの1週間から2週間ほど、延々とテスト&レポート期間だったのですね。

 うぉっ!? 大変なのですっ! レポートは……かなり……うう(汗)

>で、その間、チャットには出てたり文自体ははきっちり読まさせていただいたりなどしていたのですが、自分の文章書くのとレスをつけるのはめちゃめちゃに遅れまくった、と(汗)

 私はチャットに一、二回出させていただきましたが、自分トロくてみなさまの会話を撹乱させるだけだったので、断念しましたのです(大汗)

>いやもう、真っ当に文章が書ける自信が喪失しまくっていたので。
>……って、今現在書いてても真っ当な文章になっていないような気がしますが……
>……ごめんなさい。あまりツッコまないでください(滝汗)

 ンなことは決してないですっ! 私的にはのりぃさんに『素晴らしい文章と笑いを提供してくれてありがとう』とゆー感謝の気持ちをぶつけまくりたい所存だったりするのですよ(迷惑)っ!?

>まあ、今現在もそんなに時間があるわけじゃないのでレス短くなるのですが。


 いえいえいえいえ! 私の小説なんかに時間割いて下さってありがとうございますのですっ!

>今回の小説、スレ長編っぽくて面白かったです。

 今書いていると、本気で長さがスレ長編クラスになりそうです。
 今の心中は『こんないっぱい書くのは初めてなのです……ああちゃんと収拾がつくんだろうか……』という感じなのです。
 ……収拾つかない可能性大(こら)

>具体的にいうと、アメリアが小説版だったのがちょっとうれしかったり♪(マテ)

 アメリア。口調がむずかしい! リナにはこうなんかタメ口を使っているのに、ガウリイとゼルガディスにはタメ口ところどころ交えた敬語。苦労してます……(汗々)

>あと、オリキャラ(2のラスト入れて今のところ3人?)が、楽しかったです。
>ちなみに読んでて楽しかったのはフェリアさんだったりするという(笑)
>なぜってゼラスやゼロスとものすごい漫才会話を繰り広げてくれそうだから(爆)

 ゼラスさんと漫才!

「久しぶりだな人間よ。かわりないか?」
「え? それはもう変わりないですよ。あなた方魔族みたいに姿かわったら怖いですし」
「………………………」

 という感じなのでしょうか……? ヤバい。小ネタだ。また長くなってしまったのです(汗)

>あ、でもヴィリスさんも好きですよ?何か本編では落ち着いてるのに後書きで乱暴になる金髪美女というのが某L様みたいで(←そっちかいっ!)
>オリキャラたちそれぞれがきっちりスレ世界の住人でいいと思いました♪

 某L様はとりあえず置いておいて(汗)
 どうもありがとうございますのです。スレ世界に馴染むかどうか不安なこの二人。このまま馴染みきってくれるのか……

>ではっ!のりぃでした〜っ!撤収ぅぅぅっ!

 ではなんかヘンなな感じになってますが、むくぅなのでしたっ! やはりこのあたりで逃げさせていただきたいと思います!
 それでは逃走っ!

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16344ああ、でてるし!!白河綜 E-mail 7/31-14:25
記事番号16334へのコメント

 こんにちは、ちょっち出遅れた白河です。
 ああ、何かシリアスだ、かっこいいぞ。(←読み終わった瞬間の感想です)
 むくぅさんのオリキャラ、皆いい味出してますよね、今回の画家さんも好きv 前回の評議長さんもすきv でも、やっぱりゼロス君が好きvv

 ……ごめんなさい、暑さで頭がやられてます……

 今回の感想も短くてすいません。次も頑張ってくださいね。
 次こそ、レスで感想を書くぞっ!!

 白河綜でした。おそまつ。

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16347Re:ああ、でてるし!!むくぅ 7/31-15:28
記事番号16344へのコメント

白河綜さんは No.16344「ああ、でてるし!!」で書きました。

> こんにちは、ちょっち出遅れた白河です。

 どうもこんにちは。なんだか感想たくさんもらってすっごく嬉しいむくぅなのです。

> ああ、何かシリアスだ、かっこいいぞ。(←読み終わった瞬間の感想です)

 ああ。シリアスって言ってもらえた。嬉しいのです。

> むくぅさんのオリキャラ、皆いい味出してますよね、今回の画家さんも好きv 前回の評議長さんもすきv でも、やっぱりゼロス君が好きvv

 評議長さん……画家さんヴィリスはともかくとして、評議長のハーリアは……出番があるのか不安なこの頃なのです。
 ゼロス。ゼロス大人気!? 愛されてる! すごい(驚愕)!

> ……ごめんなさい、暑さで頭がやられてます……

 ごめんなさい。こっちも頭が年中やられてます……

> 今回の感想も短くてすいません。次も頑張ってくださいね。
> 次こそ、レスで感想を書くぞっ!!

> 白河綜でした。おそまつ。

 どうも感想ありがとうございました。むくぅなのでした! 逃走!

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16351鮮血の紅 4むくぅ 7/31-17:26
記事番号16268へのコメント
 どうもこんにちはッ! 最近大暴走中のむくぅなのですっ!
 今回はわけわかりません! 短いです! 大丈夫なんでしょうか!?
「なに暴れてんのよ!」
(どがすべぐげぅあ!)ッ!? ちょっ! 今のなにした音なのです!?
「気にしちゃあダメよ。って――
 ちょっとっ!? 今回あたし出番ないじゃないっ!」
 あ。本当だ……でも次にはいっぱい出番がありますから大丈夫なのですよ。
「主人公なのに皆勤賞じゃないなんてどういうことよっ!」
 ――えーと。無視して本編入りましょう。ではどうぞ。
「…………火炎球(ファイヤー・ボール)」
 のわへぃぃぃいいいぃいいいいいいいっ!?

=======================================================

「ゼルガディスさん」
 自分を呼ぶ、聞き覚えのある少女の声が聞こえて、彼は目を覚ました。
 ――どうやら、読み物をしている間に寝てしまったようである。
「アメリアか……」
「はい。
 ――ゼルガディスさん、相変わらず熱心ですよね。こんな数の本を読むなんて」
 彼から移したアメリアの視線の先には、数十冊の本の山ができていた。
「……全部読むわけじゃない。知っているところはみんな飛ばし読みするしな」
「それでも読むんでしょう? すごいですよね。こんなに頑張れて」
「身体を元に戻すためさ――そのためなら、俺は――」
「何だってする、ですか?」
 先に言われて、ゼルガディスはちょっと顔をしかめた。だがそういう顔をするのは大人げないような気がして、彼は頬杖をついてアメリアから視線をそらした。
「――まぁな……」
 視線をそらしたまま彼が頷くと、アメリアは自分も椅子に腰掛けて、頬杖をついた。
「そういえば――リナたちはどうした? 一緒じゃないのか?」
「リナさんたちは魔道士協会から依頼を受けて、ヴィリシルアさん、って人のところに事情聴取に行ってます。
 あたしはリナさんにゼルガディスさんに伝言するように言われたんです。そのアミュレットの魔力を頼りにして、やっと見つけました」
 一瞬、ゼルガディスの瞳が鋭くなる。身構えるようにして、彼は口を開いた。
「……『お前は誰だ』?」
 その言葉に、アメリアは訝しげな顔をした。
「どうしたんです? ゼルガディスさ……」
「あのアミュレットは、会ったすぐ後にあいつに返してある。
 アメリアがその魔力をたどって俺を見つけ出すことなんかできない――
 もう一度聞く。お前は誰だ?」
 言われたアメリアは、しばしきょとんっとした顔をすると、ぱちぱちと拍手した。
「すごいね――こんなに早くばれるなんて思わなかったよ。『ゼルガディスさん』」
 アメリアとは違う、少年の声が、『アメリアの口』をついてでた。自分の名を呼ぶところだけアメリアの声だったことが腹立たしくて、彼は顔をゆがめた。
「――アメリアをどうした?」
「あのひとなら今頃、あなたを探して色んな図書館探し回ってるよ。
 リナ=インバースにあの子が伝言を頼まれた、っていうのは本当だよ。魔道士協会の前で言付けされてるのをこの目で見たからね」
 ぐにゃりっ、と『アメリア』の輪郭がゆがんだ。次の瞬間現れたのは、黒髪に青い瞳の、色の白い美しい少年だった。剣士が着る服に鎧をつけていない――印象としてはそんな服装である。少年といっても年は十七、八ほどだろうか。
 ――これは。
「やはり――魔族か」
「さぁ――それはどうだろうね」
 ゼルガディスの呟きに、少年はにっこりと微笑んだ。少し、哀しげな微笑。
 その笑みのせいか――彼から一瞬理性が吹き飛んだ。
「ッ――その姿をやめろ! 何で俺の昔の姿を知っているっ!?」
 叫んでゼルガディスはばっ、と横に手を振った。辺りに人気がないことを見ると、恐らく結界が張られているのだろう。
 彼の厳しい声にも怯まずに、少年は言う。微笑すらも引っ込めて、完全な無表情だった。
「ゼルガディスさん、残念ながらこれはあなたの昔の姿じゃ――キメラになる前の姿じゃあ『ない』んだ」
「だったらなんだというんだ! その姿は――」
 ゼルガディスの問いに、少年は本当に――本当に腹立たしいほどゆっくりとした動作で、自分の胸に手を当てた。
「これは、あなたのもしかしたら在り得たかもしれない過去――もしかしたらあなたは――今に至るまでに人間に戻れていたかもしれない――そういう在り得たかもしれない過去――ま、そういった厄介なシロモノだよ」
 突拍子もない台詞と、おかしな表現に、彼は思わずあきれた。
「自分で言うなよ――おまけにその顔でそんな高い声で喋るな気色の悪い……」
「うるさいなぁ。僕は地声が高いんだからしょうがないでしょうが」
「魔族に地声なんぞあるのか?」
「――さぁ? ま、それはともかく――ひとつ、聞きたいことがある」
 下唇をかんで、彼はゼルガディスをじっと見た。
「あなたは合成獣だよね――あなたは、自分をそういう風にしたヤツを、どう思う?」
 ゼルガディスはその問いに肩をすくめた。
「……さぁな……
 どちらにしろ、そいつはもうやつは死んじまったからな――恨む気にもなれん、といえば嘘になるが、憎い、というとまた違う気がするな……」
 どうせ、過去の出来事だ。
(……そう、だよな……)
 過去の出来事だ。自分の身体を除けば、当時の全ては、何も残ってなどいない。
 いつのまにか遠くを見つめる眼差しになっていたことに気づいて、彼は慌てて少年に意識を戻した。
 ――少年は、じっと、何か考えるように、うつむいていた。
 やがて顔を上げると、
「そう――だね。ねぇ、もう一つ聞いていい?」
「どうぞ」
 ほとんど投げやりになって、彼は言った。
「……自分の大切なひとが殺されたら、あなたはどうする」
 意外なことばだった。
 ゼルガディスは、しばし考えると、やがて顔を上げた。
「……殺したやつを、殺すかもしれないな」
「知れない……?」
「ああ。俺は大切なものを失う気は、さらさらないんでね」
 ことばに、少年は悲しげに微笑んだ。その視線の中に、羨望が混じっていることに気がついて、ゼルガディスは訝しげな顔をする。
「あ」
 少年はいきなり呟くと、恐らく意味のない動作なのだろうが――虚空を見上げた。何もないところを見つめる瞳は、どことなく残念そうだった。
「……そろそろあのひと来そうだね――もう限界かな」
 ゆらり。
 少年の姿が揺らいだ。
「待――て……?」
 言いかけて、ぐらりと足元が揺らいだ。視界がぐにゃりっ、とゆがむ。
「――ッ……」
 たまらずに机に手をついて、がくりっと膝をつくと、そこに少年の声が降りかかってきた。
「ああ――そうそう、僕の名前まだ言ってなかったよね。
 僕の名前はそう、――って言うんだ――それじゃ、またね」
 哀しげな声のまま、少年は言った。
 名前は、――残念ながら聞き取ることができなかった。
 そして――気配がすぅいっ、と消えた。ゆらゆらと揺れる視界。気持ちが――悪い。
『――さん』
 おまけに幻聴まで聞こえてきたようだった。
 意識が――遠のく――
『――スさん、ゼルガディスさんっ! ゼルガディスさんったらっ!』
 声ばかりが、どんどん大きくなって――
「ゼルガディスさんったらっ! 起きてくださいよっ! ――もうっ! なんで起きてくれないのよ!」
「――っ!」
 ごんっ。
 声が初めてはっきり聞こえて、思わず起き上がると、そこは図書館だった。
 自分のことを迷惑そうに見る司書や、他の利用者の視線が痛くて、彼は思わず苦笑いをし、それから我に返った。
「――夢?」
 呟いて、そんなはずは無いと頭の中で否定する。だが――寝汗までかいていて、彼は顔をしかめた。あの妙に現実的(リアル)な夢を見ていたときは、背中に冷気すら感じていたからだ。
(にしても――なにか頭にぶつかったか?)
 疑問に思い頭をめぐらせると、額に小さな刺し傷と引っかき傷をたくさん作ったアメリアの姿があった。
「ひどいじゃないっ! ゼルガディスさんっ! いきなり起きるなんてっ!」
 と、どうやら今度は本物らしいセイルーンの姫君は、怒り心頭のご様子だった。当然の事ながら、彼は慌てた。
 アメリアはこう見えて結構頑固者で、前ちょっと喧嘩したとき『もうゼルガディスさんとは口利かないんだからッ!』等と言って本当に一週間ほど口を聞いてくれなかったことがあった。あの時は結局ゼルガディスが謝り倒して一応の決着を見たのだが、そのことでガウリイには同情され、あのリナからは男として情けない、と馬鹿にされた。
「すまんッ! ――治癒(リカバリィ)は――お前が唱えた方が早いか?」
「ゼルガディスさんがやってください! それが相手を傷つけたものの誠意ってものよ!」
 アメリアの言葉に、彼は慌てて治癒の呪文を唱え始めた。手をかざし、淡い光がアメリアの額を包む。
 …………気まずい。
 何か喋って場の雰囲気を和ませなければ、と思った。――が、元来彼は口下手で、そんな場を和ませるような一言がぽこぽこ沸くようなキャラではない。
「……そう言えば、リナから何か言付けか? 俺の事を随分探し回っていたようだが」
 散々考えた挙句でた台詞は、そんなものだった。
 言ってからしまったと思った。これは夢であの自分の『在り得たかもしれない過去』とやらの姿をした魔族が言っていた事だ。どうやらまだ寝ぼけているらしい。
 アメリアはしばしきょとんっ、とした顔をして、
「――ゼルガディスさん、どうして解ったんですか?」
「え?」
 ゼルガディスは、夢の中と同じく、背中がひんやりと冷える思いがした。
 いや……夢じゃ――なかったのか?
「ねぇ、どうして解ったんです? どうして解ったんですかっ!?」
 しつこく聞いてくるアメリアに苦笑して、ゼルガディスはぽんっ、と彼女の頭に手を置いて、最も無難な答えを言うことにした。アメリアが思わず騙されるような答えを。
「決まっているだろ? ――お前のことだからさ」
「え? へ? あ……」
 見る見るうちに赤くなっていくアメリアの顔。ぽんぽんっ、と頭を叩いてやって彼は立ち上がった。
「――え? えええええ? あ……ゼルガディスさんっ! どこに行くんですッ!?」
 真っ赤のままの姫君を振り返ると、ゼルガディスは机の山積みになった本を叩く。
「片付けるのさ――もう閉館だ」
「あ、手伝いますよ! 私も」
「ああ。よろしく頼む」
 窓から差し込む日の光は、紅い光もほとんど消えうせて、青い闇が辺りを支配し始めていた。

======================================================

 というわけで、今回子供に馬鹿にされるわ気持ち悪くなるわアメリアさんの顔を自分の髪で刺すわととてもついてないゼルガディスさんなのです。
「ってお前が不幸にしとるんだろうがっ! 責任とれっ! 責任っ!」
 はっはっはー。そんなこといってもしょうがないのです。
 次回次々回かなりじれったい展開ですよね。これ。急展開のことは急展開ですけど(と、書いてある5、6を見る。ちなみに7ぐらいまでは書いてある)。
「まぁな――で、いつ終わるんだ?」
 ・………………………………
「いつ終わるんだ?」
 それでは皆さんさようならっ! いつ終わるか解らないなんてことはありません! おそらく大丈夫ですっ! それではにげますっ! また会う日までっ!
「おいこらまてっ!?」
 それでは、巨大魚に乗りつつ食われつつ、むくぅなのでした! ではっ!

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16386よっし、今回は早め?白河綜 E-mail 8/2-14:01
記事番号16351へのコメント

むくぅさんは No.16351「鮮血の紅 4」で書きました。
> どうもこんにちはッ! 最近大暴走中のむくぅなのですっ!
 こんにちは、むくぅさん、お仕事が早いです!! もう出来てる!!
> 今回はわけわかりません! 短いです! 大丈夫なんでしょうか!?
 よゆーです。短くないですよ!
>「なに暴れてんのよ!」
>(どがすべぐげぅあ!)ッ!? ちょっ! 今のなにした音なのです!?
>「気にしちゃあダメよ。って――
> ちょっとっ!? 今回あたし出番ないじゃないっ!」
> あ。本当だ……でも次にはいっぱい出番がありますから大丈夫なのですよ。
>「主人公なのに皆勤賞じゃないなんてどういうことよっ!」
> ――えーと。無視して本編入りましょう。ではどうぞ。
>「…………火炎球(ファイヤー・ボール)」
> のわへぃぃぃいいいぃいいいいいいいっ!?
>
>=======================================================
>
>「ゼルガディスさん」
> 自分を呼ぶ、聞き覚えのある少女の声が聞こえて、彼は目を覚ました。
> ――どうやら、読み物をしている間に寝てしまったようである。
>「アメリアか……」
>「はい。
> ――ゼルガディスさん、相変わらず熱心ですよね。こんな数の本を読むなんて」
> 彼から移したアメリアの視線の先には、数十冊の本の山ができていた。
>「……全部読むわけじゃない。知っているところはみんな飛ばし読みするしな」
>「それでも読むんでしょう? すごいですよね。こんなに頑張れて」
>「身体を元に戻すためさ――そのためなら、俺は――」
>「何だってする、ですか?」
> 先に言われて、ゼルガディスはちょっと顔をしかめた。だがそういう顔をするのは大人げないような気がして、彼は頬杖をついてアメリアから視線をそらした。
>「――まぁな……」
> 視線をそらしたまま彼が頷くと、アメリアは自分も椅子に腰掛けて、頬杖をついた。
>「そういえば――リナたちはどうした? 一緒じゃないのか?」
>「リナさんたちは魔道士協会から依頼を受けて、ヴィリシルアさん、って人のところに事情聴取に行ってます。
> あたしはリナさんにゼルガディスさんに伝言するように言われたんです。そのアミュレットの魔力を頼りにして、やっと見つけました」
> 一瞬、ゼルガディスの瞳が鋭くなる。身構えるようにして、彼は口を開いた。
 ああ、やっぱり彼はお茶目さんなだけでは無いのですね……(オイ)
>「……『お前は誰だ』?」
> その言葉に、アメリアは訝しげな顔をした。
>「どうしたんです? ゼルガディスさ……」
>「あのアミュレットは、会ったすぐ後にあいつに返してある。
> アメリアがその魔力をたどって俺を見つけ出すことなんかできない――
> もう一度聞く。お前は誰だ?」
> 言われたアメリアは、しばしきょとんっとした顔をすると、ぱちぱちと拍手した。
>「すごいね――こんなに早くばれるなんて思わなかったよ。『ゼルガディスさん』」
> アメリアとは違う、少年の声が、『アメリアの口』をついてでた。自分の名を呼ぶところだけアメリアの声だったことが腹立たしくて、彼は顔をゆがめた。
>「――アメリアをどうした?」
>「あのひとなら今頃、あなたを探して色んな図書館探し回ってるよ。
> リナ=インバースにあの子が伝言を頼まれた、っていうのは本当だよ。魔道士協会の前で言付けされてるのをこの目で見たからね」
> ぐにゃりっ、と『アメリア』の輪郭がゆがんだ。
 イヤー!! アメリアの顔がー!!
 次の瞬間現れたのは、黒髪に青い瞳の、色の白い美しい少年だった。剣士が着る服に鎧をつけていない――印象としてはそんな服装である。少年といっても年は十七、八ほどだろうか。
> ――これは。
>「やはり――魔族か」
 美形……てことは、高位魔族ってことですよね。
>「さぁ――それはどうだろうね」
> ゼルガディスの呟きに、少年はにっこりと微笑んだ。少し、哀しげな微笑。
> その笑みのせいか――彼から一瞬理性が吹き飛んだ。
>「ッ――その姿をやめろ! 何で俺の昔の姿を知っているっ!?」
 ええ!?
> 叫んでゼルガディスはばっ、と横に手を振った。辺りに人気がないことを見ると、恐らく結界が張られているのだろう。
> 彼の厳しい声にも怯まずに、少年は言う。微笑すらも引っ込めて、完全な無表情だった。
>「ゼルガディスさん、残念ながらこれはあなたの昔の姿じゃ――キメラになる前の姿じゃあ『ない』んだ」
>「だったらなんだというんだ! その姿は――」
> ゼルガディスの問いに、少年は本当に――本当に腹立たしいほどゆっくりとした動作で、自分の胸に手を当てた。
>「これは、あなたのもしかしたら在り得たかもしれない過去――もしかしたらあなたは――今に至るまでに人間に戻れていたかもしれない――そういう在り得たかもしれない過去――ま、そういった厄介なシロモノだよ」
> 突拍子もない台詞と、おかしな表現に、彼は思わずあきれた。
>「自分で言うなよ――おまけにその顔でそんな高い声で喋るな気色の悪い……」
>「うるさいなぁ。僕は地声が高いんだからしょうがないでしょうが」
>「魔族に地声なんぞあるのか?」
>「――さぁ? ま、それはともかく――ひとつ、聞きたいことがある」
> 下唇をかんで、彼はゼルガディスをじっと見た。
>「あなたは合成獣だよね――あなたは、自分をそういう風にしたヤツを、どう思う?」
> ゼルガディスはその問いに肩をすくめた。
>「……さぁな……
> どちらにしろ、そいつはもうやつは死んじまったからな――恨む気にもなれん、といえば嘘になるが、憎い、というとまた違う気がするな……」
 複雑ですね。
> どうせ、過去の出来事だ。
>(……そう、だよな……)
> 過去の出来事だ。自分の身体を除けば、当時の全ては、何も残ってなどいない。
> いつのまにか遠くを見つめる眼差しになっていたことに気づいて、彼は慌てて少年に意識を戻した。
> ――少年は、じっと、何か考えるように、うつむいていた。
> やがて顔を上げると、
>「そう――だね。ねぇ、もう一つ聞いていい?」
>「どうぞ」
> ほとんど投げやりになって、彼は言った。
>「……自分の大切なひとが殺されたら、あなたはどうする」
> 意外なことばだった。
> ゼルガディスは、しばし考えると、やがて顔を上げた。
>「……殺したやつを、殺すかもしれないな」
>「知れない……?」
>「ああ。俺は大切なものを失う気は、さらさらないんでね」
 うぉ! そ、それはもちろんアメリアの事ですよね!? ゼルだいた〜ん!!(興奮気味)
> ことばに、少年は悲しげに微笑んだ。その視線の中に、羨望が混じっていることに気がついて、ゼルガディスは訝しげな顔をする。
>「あ」
> 少年はいきなり呟くと、恐らく意味のない動作なのだろうが――虚空を見上げた。何もないところを見つめる瞳は、どことなく残念そうだった。
>「……そろそろあのひと来そうだね――もう限界かな」
> ゆらり。
> 少年の姿が揺らいだ。
>「待――て……?」
> 言いかけて、ぐらりと足元が揺らいだ。視界がぐにゃりっ、とゆがむ。
>「――ッ……」
> たまらずに机に手をついて、がくりっと膝をつくと、そこに少年の声が降りかかってきた。
>「ああ――そうそう、僕の名前まだ言ってなかったよね。
> 僕の名前はそう、――って言うんだ――それじゃ、またね」
> 哀しげな声のまま、少年は言った。
> 名前は、――残念ながら聞き取ることができなかった。
 うう、名前が気になります〜!!
> そして――気配がすぅいっ、と消えた。ゆらゆらと揺れる視界。気持ちが――悪い。
>『――さん』
> おまけに幻聴まで聞こえてきたようだった。
> 意識が――遠のく――
>『――スさん、ゼルガディスさんっ! ゼルガディスさんったらっ!』
> 声ばかりが、どんどん大きくなって――
>「ゼルガディスさんったらっ! 起きてくださいよっ! ――もうっ! なんで起きてくれないのよ!」
>「――っ!」
> ごんっ。
> 声が初めてはっきり聞こえて、思わず起き上がると、そこは図書館だった。
> 自分のことを迷惑そうに見る司書や、他の利用者の視線が痛くて、彼は思わず苦笑いをし、それから我に返った。
>「――夢?」
> 呟いて、そんなはずは無いと頭の中で否定する。だが――寝汗までかいていて、彼は顔をしかめた。あの妙に現実的(リアル)な夢を見ていたときは、背中に冷気すら感じていたからだ。
>(にしても――なにか頭にぶつかったか?)
> 疑問に思い頭をめぐらせると、額に小さな刺し傷と引っかき傷をたくさん作ったアメリアの姿があった。
>「ひどいじゃないっ! ゼルガディスさんっ! いきなり起きるなんてっ!」
 うんうん、ゼルに頭突きされたら痛いよね、大丈夫か、アメリア……
> と、どうやら今度は本物らしいセイルーンの姫君は、怒り心頭のご様子だった。当然の事ながら、彼は慌てた。
> アメリアはこう見えて結構頑固者で、前ちょっと喧嘩したとき『もうゼルガディスさんとは口利かないんだからッ!』等と言って本当に一週間ほど口を聞いてくれなかったことがあった。あの時は結局ゼルガディスが謝り倒して一応の決着を見たのだが、そのことでガウリイには同情され、あのリナからは男として情けない、と馬鹿にされた。
>「すまんッ! ――治癒(リカバリィ)は――お前が唱えた方が早いか?」
>「ゼルガディスさんがやってください! それが相手を傷つけたものの誠意ってものよ!」
> アメリアの言葉に、彼は慌てて治癒の呪文を唱え始めた。手をかざし、淡い光がアメリアの額を包む。
> …………気まずい。
> 何か喋って場の雰囲気を和ませなければ、と思った。――が、元来彼は口下手で、そんな場を和ませるような一言がぽこぽこ沸くようなキャラではない。
>「……そう言えば、リナから何か言付けか? 俺の事を随分探し回っていたようだが」
> 散々考えた挙句でた台詞は、そんなものだった。
> 言ってからしまったと思った。これは夢であの自分の『在り得たかもしれない過去』とやらの姿をした魔族が言っていた事だ。どうやらまだ寝ぼけているらしい。
> アメリアはしばしきょとんっ、とした顔をして、
>「――ゼルガディスさん、どうして解ったんですか?」
>「え?」
> ゼルガディスは、夢の中と同じく、背中がひんやりと冷える思いがした。
> いや……夢じゃ――なかったのか?
>「ねぇ、どうして解ったんです? どうして解ったんですかっ!?」
> しつこく聞いてくるアメリアに苦笑して、ゼルガディスはぽんっ、と彼女の頭に手を置いて、最も無難な答えを言うことにした。アメリアが思わず騙されるような答えを。
>「決まっているだろ? ――お前のことだからさ」
 ゼルガディス男前度4割り増しな台詞(やめろっつーに)
>「え? へ? あ……」
> 見る見るうちに赤くなっていくアメリアの顔。ぽんぽんっ、と頭を叩いてやって彼は立ち上がった。
>「――え? えええええ? あ……ゼルガディスさんっ! どこに行くんですッ!?」
> 真っ赤のままの姫君を振り返ると、ゼルガディスは机の山積みになった本を叩く。
>「片付けるのさ――もう閉館だ」
>「あ、手伝いますよ! 私も」
>「ああ。よろしく頼む」
> 窓から差し込む日の光は、紅い光もほとんど消えうせて、青い闇が辺りを支配し始めていた。
>
>======================================================
>
> というわけで、今回子供に馬鹿にされるわ気持ち悪くなるわアメリアさんの顔を自分の髪で刺すわととてもついてないゼルガディスさんなのです。
>「ってお前が不幸にしとるんだろうがっ! 責任とれっ! 責任っ!」
> はっはっはー。そんなこといってもしょうがないのです。
> 次回次々回かなりじれったい展開ですよね。これ。急展開のことは急展開ですけど(と、書いてある5、6を見る。ちなみに7ぐらいまでは書いてある)。
>「まぁな――で、いつ終わるんだ?」
> ・………………………………
>「いつ終わるんだ?」
> それでは皆さんさようならっ! いつ終わるか解らないなんてことはありません! おそらく大丈夫ですっ! それではにげますっ! また会う日までっ!
>「おいこらまてっ!?」
> それでは、巨大魚に乗りつつ食われつつ、むくぅなのでした! ではっ!
 うう、おもしろいっす!! 今回出てきた謎の魔族君(?)も素敵だぁ〜!! 何か、暗い過去とかありそうだしv アメリアともラブラブだしv
 続きが楽しみですvv
 ではでは! 白河綜でしたvv

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16388早めにお召し上がりください♪むくぅ 8/2-15:23
記事番号16386へのコメント

白河綜さんは No.16386「よっし、今回は早め?」で書きました。

どうもこんにちはなのです白河綜さんっ! 最近タイトルでも悪乗りしてきたむくぅなのです! 前回はタイトルそのままですいませんっ!

>> 一瞬、ゼルガディスの瞳が鋭くなる。身構えるようにして、彼は口を開いた。
> ああ、やっぱり彼はお茶目さんなだけでは無いのですね……(オイ)

 お茶目さん。ゼルガディスさん――現在できているのを読み返してみると、一番セリフが……(汗)

>> ぐにゃりっ、と『アメリア』の輪郭がゆがんだ。
> イヤー!! アメリアの顔がー!!

 ぐにゃり。ぐにゃくにゃ。くにょろ(意味不明)
 ――すいませんすいませんすいませんっ!

>> 次の瞬間現れたのは、黒髪に青い瞳の、色の白い美しい少年だった。剣士が着る服に鎧をつけていない――印象としてはそんな服装である。少年といっても年は十七、八ほどだろうか。
>> ――これは。
>>「やはり――魔族か」
> 美形……てことは、高位魔族ってことですよね。

 今のところ魔族なのかそうでないのかは教えられません!
 ――こういうとバラしたも同然っぽいのですねぇ……

>>「あなたは合成獣だよね――あなたは、自分をそういう風にしたヤツを、どう思う?」
>> ゼルガディスはその問いに肩をすくめた。
>>「……さぁな……
>> どちらにしろ、そいつはもうやつは死んじまったからな――恨む気にもなれん、といえば嘘になるが、憎い、というとまた違う気がするな……」
> 複雑ですね。

 複雑です。私の、レゾさんに対するゼルさんの思いはこんな風な感じです。

>>「……殺したやつを、殺すかもしれないな」
>>「知れない……?」
>>「ああ。俺は大切なものを失う気は、さらさらないんでね」
> うぉ! そ、それはもちろんアメリアの事ですよね!? ゼルだいた〜ん!!(興奮気味)

 ゼルガディスさんは今回出番が多いこともあり、いつになくアメリアさんにらぶらぶ全快モード(汗) しまった……

>>「ああ――そうそう、僕の名前まだ言ってなかったよね。
>> 僕の名前はそう、――って言うんだ――それじゃ、またね」
>> 哀しげな声のまま、少年は言った。
>> 名前は、――残念ながら聞き取ることができなかった。
> うう、名前が気になります〜!!

 ううっ! 今の段階でバラすとかなりヤバいことになるのです。頑張ってください。そのうち解ります。多分次ぐらいに(汗)

>>(にしても――なにか頭にぶつかったか?)
>> 疑問に思い頭をめぐらせると、額に小さな刺し傷と引っかき傷をたくさん作ったアメリアの姿があった。
>>「ひどいじゃないっ! ゼルガディスさんっ! いきなり起きるなんてっ!」
> うんうん、ゼルに頭突きされたら痛いよね、大丈夫か、アメリア……

 大丈夫でしょう。アメリアさんは超合金なみの固さを誇ります。これくらいのダメージは屁でもありません(ロボットの説明みたいだ……)!

>>「決まっているだろ? ――お前のことだからさ」
> ゼルガディス男前度4割り増しな台詞(やめろっつーに)

 今回のゼルガディスさんのセリフで実は一番気に入っていたりするセリフ。何となく思いつきなのですが(笑)

> うう、おもしろいっす!! 今回出てきた謎の魔族君(?)も素敵だぁ〜!! 何か、暗い過去とかありそうだしv アメリアともラブラブだしv
> 続きが楽しみですvv

 どうもありがとうございますのです! 魔族君(仮)を気に入ってくれてどうもありがとうなのです!

> ではでは! 白河綜でしたvv

 では! むくぅなのでした!

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16392鮮血の紅 5むくぅ 8/2-16:10
記事番号16268へのコメント

 ちょっとペースアップなのですか? というわけで鮮血の紅 5をお送りいたしたいと……
「火炎球(ファイヤー・ボール)ッ!」
 (ちゅどぉぉおおんっ!)

 …………………

 ――なっ。
 一体何するのですリナさんッ!
「ぅやかましいッ! 前回読み返してから自分の心臓に腕もぐりこませつつよく考えて見ろッ! あたしの出番はどこ行ったッ!?」
 ……あ……ああ。その件なら今回はたくさんありますので大丈夫なのです。
 ――ね?
「…………」
 リナさん……?
「――と汝が力もて、等しく滅びを与えんことを!」
 え゛っ!?
「竜破斬(ドラグ・スレイブ)っ!」


 ……………………
「ふっ。どーやらもう動かなくなったみたいね。あたしのことコケにした報いよ。
 というわけで今回はあたしの出番もあるみたいだから、これくらいで許してあげましょうか」

(リナ、去っていく)

=======================================================

 アメリアに頼んだ言付け、というのは、『今後のことについてのミーティングをアメリアとあたしの部屋でやるから、図書館が閉館してからででもいいから早く戻って来い』――というものだった。むろん、ゼルガディスが図書館が閉館してから館長に追い出されるまで粘るぐらいな性格だ、とゆーことを考慮しての伝言である。
 そのあたしの伝言がちょっと逆効果だったか、アメリアとゼルガディスが宿に戻ってきたのは、もう辺りを夜――とまでは行かないが、空が暗い真っ青な色になった頃だった。
「アメリア、ゼル。遅かったじゃない。図書館で居眠りでもしてたわけ?」
 あたしの言葉は図星だったらしく、彼はひどく照れた。
「あー……まぁそういうことだな」
 ゼルガディスがそれで話を終わらせようと咳払いをしたが、アメリアがンなもん察するはずもなく、
「ひどいんだからゼルガディスさんったら。耳元で叫んでもなかなか起きてくれないし、起きたら起きたで髪があたしの額に刺さったしっ!」
 そのときのゼルガディスの慌てまくった顔が容易に想像できて、あたしは苦笑した。ゼルガディスはそのあたしに一瞬険悪な視線を向けると、こほんっ、と咳払いをした。
「――それで、なにか依頼を引き受けたようだが……?」
「あれ? アメリアから聞かなかったの?」
「聞いたは聞いたが主観的過ぎていまいち容量を得ん。お前が話してくれ……」
 ――確かに、あの時納得していなくて理不尽な怒りを抱えていたアメリアのことだ、道すがらゼルガディスに自分の正義の心を話しまくったとしても何ら不思議ではない。
「解ったわ」
 再度顔に浮かびかけた苦笑をかみ殺して、あたしは頷いた。
 さて――どこから話したものか――

 …………………………………

「いい――もう解った――」
 あたしがそう言われて話を止めたのは、辺りがもう真っ暗闇に閉ざされたときだった。事情を知っているガウリイに至っては、もうぐーすか寝こけている。
 そんなに話したかね。あたしは。
「リナ、話しすぎよ――」
「どこがよ? まだヴィリスの家に事情聴取に行くところすら言ってないのに……」
「いいっ! もう事情はわかった!」
 ゼルガディスの声で、あたしとアメリアは思わず沈黙した。あたしは怒りの表情でゼルガディスをにらみつけ、アメリアは泣きそうな表情になる。
「……う゛」
 あたしの顔かアメリアの涙か、どちらかにそんなうめき声をあげながら、ゼルガディスは硬直した。――多分アメリアのほうだろーな。あたしのにらみで怯むよーなタマじゃないもん。
「ま、まぁそれはともかく、だ。これから一体どうするんだ? 俺としてはこのまま別行動をとらせてもらいたいんだがな。まだ回っていない図書館はたくさん残ってるんだ」
「なぁぁぁぁぁにを言ってるんですかゼルガディスさんっ!」
 毎度のことながらアメリアは、ばんっ! と近くにあった机をわざわざ叩いてたちあがった。
「悪人を裁くのは正義の味方の使命ッ! 例え殺された人々が悪人だったとしても、その人たちが街中で殺されたなんて町の治安に関わるわ! さぁゼルガディスさんも正義の心に火をつけて……」
「そんなものはない、と前にも言ったはずだ」
 ゼルガディスはきっぱりと言う。
 ――確かに……あたしもンなもんに火、付けたくないな……
 あたしはこほんっ、とひとつ咳払いをすると、肩をすくめた。
「ま、ゼルがそー言うんだったらしゃーないでしょ。
 アメリア。ンな冷たいヒトはほっといてこっちでこれからやること話し合いましょ」
「はい」
 アメリアはゼルガディスの方をかすかに名残惜しげに見つめてから、あたしの方に向き直った。ガウリイは眠ったままだが、彼が起きていたところでどうなるとも思えない。
「……で、ヴィリシルア、とかってヒトはどうだった? 正義の心構えの一つや二つ、言ってやれた?」
「んー。ちょっと話をした程度だからはっきりしたことは言えないけど――あたしも評議長さんと意見は同じ、ね。
 ヴィリシルア――ヴィリスが人を殺すような人間であるか否か、っていうのはよく解んないけど、少なくとも今回の事件の犯人は彼女じゃあない気がするわ――いわゆる直感、ってやつね」
「ふぅん……」
 アメリアは納得したのか否かいまいち判別のつかないような声音と顔でそう呟くと、先ほど机を立ってからずっと浮いていた腰をおろした。
「――待て」
 ゼルガディスが不機嫌な声を上げた。腰を浮かせ、部屋のすみっこで座り込んで話し込んでいたあたしとアメリアをのぞきこんでいる。
「なに? 事件の話聞く気になったの?」
 あたしの言葉に、ゼルガディスは反応しなかった。
 ――って、無視かい……
「その女の名――ヴィリシルア――ヴィリシルア=フェイトで間違いないのか?」
「え? ――ええそうよ。ゼル。聞き覚えある名前なわけ?」
 あたしが頷くと、ゼルガディスは少し考えるようなそぶりを見せ、やがてゆっくりと――やたらと重々しげに――口を開いた。
「……その女。元暗殺者(アサッシン)だ。恐らくな」
 ――!?
 ぴくんっとアメリアが顔を上げた。あたしももちろん、信じられないような顔でゼルガディスを見た。
 元暗殺者……ヴィリスが!?
「本当――それ?」
「ああ。恐らく。
 使用する武器は手元にあるものなら何でも、という非常識なやつでな。そっちの手の話じゃあ、一時期お前――リナより話題性の高かった人間でもある。
 ズーマと同等――あるいはそれ以上の戦闘能力を持っているとも言われていた。俺が足を洗う頃――あんたに会ってから恐らくすぐ、だな。そのころに突然ぱったりと噂がなくなった。
 ――まさか、この町にいるとはな……」
 彼は興味深そうな瞳になる。なんだか尖った耳がときおりぴくんっ、とか動いているのは、言わない方がいいかもしれない。
「あたしより知名度の高い時期があった、ってことね――でもあたし、そんなヤツの話聞いたことないわ……」
「ひょこっと現れてさんざ有名になった挙句、すぐにひっこんだからな。頻繁にそういう情報を聞いているやつじゃないと聞いたこともなかっただろうな」
「じゃ、やっぱりそのひとが犯人なんじゃない! 大変! 新たな犠牲者が出る前に今すぐ彼女を止めなくソゃいけないわ!」
 アメリアが声を荒げて立ち上がる。今から成敗しに行きかねない勢いだ。あたしはしばし考える。
「……彼女が暗殺者だった、っていうのは――なんだかあっさり信じられるような気がするわね」
 よく考えたら彼女は――室内だったこともあるだろうが、足音一つ立てなかったし、気配も妙に希薄だった。――まぁ、竜族やらと仲の良いという彼女が暗殺者稼業を営んでいた、というのはちょっと変かもしれないが。
「――でも――それでも、それだからこそ彼女が今回の犯人であるとは思えないわ。
 彼女が暗殺者だった、っていうのなら私怨で人間を殺す、というのはよけいに似合わない気がするもの」
「確かに。相手がどんなヤツだろうと金をもらえば殺す、という感じだったからな。あの噂じゃ。
 私情を出さず感情もない機械人形のようなヤツ、というイメージがおおよそ浸透していた。私怨で殺し、というのはヴィリシルアの名には合わない」
「そうなの――なら、違うのかもしれないわね」
 あたしとゼルのことばに、アメリアは座りなおした。ゼルガディスもそれに合わせ床に座り込む。
「――ん?」
 それを待っていたかのように、眠っていたはずのガウリイが声を上げた。
「――殺気がする……」
「なんだと?」
「え?」
 彼の言葉に、ゼルとアメリアが疑問の声を上げた。あたしは彼のほうに身を乗り出すと、
「――どこから?」
「宿の――外だ! 移動してる。こっちに向けられた殺気じゃないが、確かに殺気だ!」
 あたしはそれを聞くなり飛翔界(レイ・ウイング)を唱え出す。窓を開け、ガウリイの手を掴んでゼルガディスとアメリアを振り返って一つ頷くと、あたしは窓から飛び出した。
「飛翔界(レイ・ウイング)!」
 『力あることば』を解き放ち、あたしとガウリイは空に舞う。
「ガウリイ! どっち!?」
 彼の指示に従って、あたしは術を制御する。ついでにアメリアたちへの目印代わりに『明り(ライティング)』を闇に浮かばせる。術の制御が難しくなってくるが、戦力を分散させるよりはましだろう。
 そして――


「やっ! やめろ! 助けてくれ!」
 彼の耳にはろくに届かぬその悲鳴は、そのままそいつの最期の声となった。彼はそいつに――必死の形相で命乞いをするその男に、端整な顔立ちで、ぞっとする笑みを浮かべると、
「火炎球(ファイヤー・ボール)」
 男の周りに張った風の結界の中――つまり密閉された空間で、火炎球(ファイヤー・ボール)が炸裂した。叩きつけられた火の激しさに石畳が吹っ飛び、剥き出しになった土の地面を抉る。炎が少年の姿をライトアップするように映し出した。金の髪、白い端整な顔立ち――そして、燃え盛る炎を見つめる、赤い瞳。
 炎のおさまった後には、そいつは――跡形もなく燃え尽きていた。それを見届けると少年は風の結界を解き、満足げに笑った。
 そして身を翻して――
「待て」
 暗闇から聞こえる声に、少年は不機嫌そうに顔をゆがめた。
「――僕を止めにきたの?」
「それだけ分かっていれば上出来だ。もうやめろ、と言ったのは何度目だと思う? そいつらは――」
「――ッ!」
 声が次の句をつむぐ前に、彼はばっ! と身を翻して空に舞う。声は緊張した声で、少年に向かって叫んだ。


「待て! 『フェイト』!!」
 それは偶然にも、リナの耳には届かなかった。

=======================================================

 ……はい。というわけで魔族君(仮)の名前解禁なのです。
 フェイト。読めば解るとおり容姿はヴィリシルアと似た少年。声の正体は言わずもがなでしょう……思わせぶりなのです。
 なのでそれをちょっとは和らげようとご本人にきていただいております。フェイトさんです(ぱふぱふぱふっ――というラッパの音)
「……今の、何?」
 気にしないでください。効果音なのです。
「君もどんどん性格変わっていくようなないような……まぁいいけど。
 とりあえず今回のことで僕が魔族じゃないってことは解ってくれたと思うけど。あのひと僕の気配からわかんなかったのかな……」
 ゼルガディスさんの中では夢ですから。
「ふぅん――ま、いいけど。
 というわけで。伝統に倣って君を吹っ飛ばしてみましょうか!」
 えっ!? ちょっとぉっ!? 言葉には気をつけてたのにっ!
「問答無用っ! 火炎球(ファイヤー・ボール)っ!」
 わわわっ!?
「ちっ! 外したっ!」
 というわけで、今回も逃げます! それでは失礼しますっ!
 ではオートジャイロに乗りつつ……(たんっ!)
「ふっ。そーゆー逃げ方をすると必ず撃たれるって決まってるのに(言いつつ銃をいずこかにしまう)。
 というわけで、次回も読んでねー♪」
 で……でわ、改めて逃げますのです! 死にかけつつオートジャイロにつかまって、むくぅなのでした! ぐふっ。

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16397姐御お届けに参りやしたっ!(激違)のりぃ E-mail 8/2-21:16
記事番号16392へのコメント

こんばんわ〜……って、なにやらとんでもないタイトルですな〜……
今回はちょっとタイトルがチャットなのりぃです。(謎)
ちなみに、「姐さん」は却下したかったりするのです(爆)
もう既にものすごい姐さんがいますから。書き殴り(汗)
しかしまあ……昔も姐御呼ばわりされたし……
やっぱ姐御なのか。自分。(をい)
……とかまあ訳のわかんないこと言ってないで、真面目にレス書きます。怒らないでください。(こら)

>「ぅやかましいッ! 前回読み返してから自分の心臓に腕もぐりこませつつよく考えて見ろッ! あたしの出番はどこ行ったッ!?」

……いや、リナさん。コワいっす。それ。

>「聞いたは聞いたが主観的過ぎていまいち容量を得ん。お前が話してくれ……」

>「いい――もう解った――」
> あたしがそう言われて話を止めたのは、辺りがもう真っ暗闇に閉ざされたときだった。事情を知っているガウリイに至っては、もうぐーすか寝こけている。
> そんなに話したかね。あたしは。

……結局、まともに情報が入らないのね。ゼルガディス君。(笑)
ガウリイに聞くなんて論外だし(笑)

> 元暗殺者……ヴィリスが!?
>「本当――それ?」
>「ああ。恐らく。
> 使用する武器は手元にあるものなら何でも、という非常識なやつでな。そっちの手の話じゃあ、一時期お前――リナより話題性の高かった人間でもある。
> ズーマと同等――あるいはそれ以上の戦闘能力を持っているとも言われていた。

なぬっ!?ヴィリスさん、暗殺者だったんですか!?
しかも手元にあるものなんでも武器にするってことは……
そこらにあるような卒業論文の束で殺人事件を起こしてエイプリルを悩ませるんですね!?(激違)
……って、そこらにないぞ。卒論なんて(そっちかいっ!)
しかし手元にあるものなんでも凶器になるって……
考えようによっちゃあ、あの家、立派に危険地帯ですな(をい)

>「やっ! やめろ! 助けてくれ!」
> 彼の耳にはろくに届かぬその悲鳴は、そのままそいつの最期の声となった。彼はそいつに――必死の形相で命乞いをするその男に、端整な顔立ちで、ぞっとする笑みを浮かべると、
>「火炎球(ファイヤー・ボール)」
> 男の周りに張った風の結界の中――つまり密閉された空間で、火炎球(ファイヤー・ボール)が炸裂した。叩きつけられた火の激しさに石畳が吹っ飛び、剥き出しになった土の地面を抉る。炎が少年の姿をライトアップするように映し出した。金の髪、白い端整な顔立ち――そして、燃え盛る炎を見つめる、赤い瞳。
> 炎のおさまった後には、そいつは――跡形もなく燃え尽きていた。それを見届けると少年は風の結界を解き、満足げに笑った。
> そして身を翻して――
>「待て」
> 暗闇から聞こえる声に、少年は不機嫌そうに顔をゆがめた。
>「――僕を止めにきたの?」
>「それだけ分かっていれば上出来だ。もうやめろ、と言ったのは何度目だと思う? そいつらは――」
>「――ッ!」
> 声が次の句をつむぐ前に、彼はばっ! と身を翻して空に舞う。声は緊張した声で、少年に向かって叫んだ。
>
>
>「待て! 『フェイト』!!」
> それは偶然にも、リナの耳には届かなかった。

名前がわかったから一つ謎が解けたはずなのに、謎ががしがし増えまくっているように思えるのは私の気のせいでしょうか……?
風の結界って、(決壊って出るなよ……)ファイアーボールが中に入るのは防げたはずだし。
熱は防げないはずだけど。
毎回毎回結界張ってるんだから、ファイアーボールに接近されすぎてから被害者がかけた、というわけでもなさそうだし。
ゼルの夢の中に出てきた理由もわからないし。
むむぅ。謎満載ですねぇ(をい)

> ……はい。というわけで魔族君(仮)の名前解禁なのです。
> フェイト。読めば解るとおり容姿はヴィリシルアと似た少年。声の正体は言わずもがなでしょう……思わせぶりなのです。

確かに似てますね……
フェイトさんっ!実はあなたっ!
ヴィリスさんと同じ暗殺者村から家出して飛び出てきた暗殺者見習ですねっ!?(違う違う)

> なのでそれをちょっとは和らげようとご本人にきていただいております。フェイトさんです(ぱふぱふぱふっ――というラッパの音)
>「……今の、何?」
> 気にしないでください。効果音なのです。
>「君もどんどん性格変わっていくようなないような……まぁいいけど。

何をおっしゃいますフェイトさん。
人間と言うのは年取るにしたがって性格が変わっていくものなんです。そりゃあもうがしがしと(マテ)

> とりあえず今回のことで僕が魔族じゃないってことは解ってくれたと思うけど。あのひと僕の気配からわかんなかったのかな……」
> ゼルガディスさんの中では夢ですから。

って言うか、どうやって夢の中に入ってきたのかって……
まさかフェイトさんっ!ゼルが枕にしてた古文書にこっそり自分の写真をはさんでっ!?(だから違うって)

>「ふぅん――ま、いいけど。
> というわけで。伝統に倣って君を吹っ飛ばしてみましょうか!」
> えっ!? ちょっとぉっ!? 言葉には気をつけてたのにっ!
>「問答無用っ! 火炎球(ファイヤー・ボール)っ!」
> わわわっ!?
>「ちっ! 外したっ!」
> というわけで、今回も逃げます! それでは失礼しますっ!
> ではオートジャイロに乗りつつ……(たんっ!)
>「ふっ。そーゆー逃げ方をすると必ず撃たれるって決まってるのに(言いつつ銃をいずこかにしまう)。
> というわけで、次回も読んでねー♪」
> で……でわ、改めて逃げますのです! 死にかけつつオートジャイロにつかまって、むくぅなのでした! ぐふっ。

ああっ!むくぅさんがなにやらピンチにっ!?
向こうで一生懸命救急箱からマキロン取り出してみたり(だから)

う〜みゅ。今回はどうやら、レス制覇(今命名)、無理っぽいです。
何でって、なにやら執筆ペースが速いから♪
4にレス書こうと思いつつ、用事があったんで後回しにしたらもう5が出てた、という(をい)
執筆ペース……って言うか小説……自分はもう既に忘却の彼方ですが(こら)
ではなにやらペースの速さに、身をつまされて思わず逃げつつのりぃでした〜

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16402確かにお荷物承りました(さらに違)!むくぅ 8/3-13:44
記事番号16397へのコメント

のりぃさんは No.16397「姐御お届けに参りやしたっ!(激違)」で書きました。

>こんばんわ〜……って、なにやらとんでもないタイトルですな〜……

 はい。こっちも飛んでもないタイトルなのです……
 姉御!? 姉御……? 姉御にはなれませんのです。私は。どうも、むくぅなのです♪

>今回はちょっとタイトルがチャットなのりぃです。(謎)
>ちなみに、「姐さん」は却下したかったりするのです(爆)
>もう既にものすごい姐さんがいますから。書き殴り(汗)

 あのヒトですね……しまった、殴られるかも知れない……(汗)

>しかしまあ……昔も姐御呼ばわりされたし……
>やっぱ姐御なのか。自分。(をい)

 なのです♪ 姉御〜(やめんかい)♪

>……とかまあ訳のわかんないこと言ってないで、真面目にレス書きます。怒らないでください。(こら)

 怒りませんとも。じゅーぶん笑かしていただきましたのです。

>>「ぅやかましいッ! 前回読み返してから自分の心臓に腕もぐりこませつつよく考えて見ろッ! あたしの出番はどこ行ったッ!?」

>……いや、リナさん。コワいっす。それ。

 悪乗り台詞多いのですねぇ……特にまえがきあとがきは……(汗)

>>「聞いたは聞いたが主観的過ぎていまいち容量を得ん。お前が話してくれ……」
>
>>「いい――もう解った――」
>> あたしがそう言われて話を止めたのは、辺りがもう真っ暗闇に閉ざされたときだった。事情を知っているガウリイに至っては、もうぐーすか寝こけている。
>> そんなに話したかね。あたしは。

>……結局、まともに情報が入らないのね。ゼルガディス君。(笑)
>ガウリイに聞くなんて論外だし(笑)

 まともな情報を誰か……というゼルガディスさんの嘆きがぷんぷん(!?)としますのですね♪

>なぬっ!?ヴィリスさん、暗殺者だったんですか!?
>しかも手元にあるものなんでも武器にするってことは……
>そこらにあるような卒業論文の束で殺人事件を起こしてエイプリルを悩ませるんですね!?(激違)
>……って、そこらにないぞ。卒論なんて(そっちかいっ!)

 エイプリル戦線復帰(違) 卒論は私はまだ見たことがありません! どうしましょう!?

>しかし手元にあるものなんでも凶器になるって……
>考えようによっちゃあ、あの家、立派に危険地帯ですな(をい)

 筆、絵の具、ソファーとか……自分が描いた絵とか……
 しまった。ヴィリスがキワモノに(汗) ソファー武器にする暗殺者なんてイヤ過ぎる……

>名前がわかったから一つ謎が解けたはずなのに、謎ががしがし増えまくっているように思えるのは私の気のせいでしょうか……?
>風の結界って、(決壊って出るなよ……)ファイアーボールが中に入るのは防げたはずだし。
>熱は防げないはずだけど。
>毎回毎回結界張ってるんだから、ファイアーボールに接近されすぎてから被害者がかけた、というわけでもなさそうだし。

 はい。すいません、説明不足なのでしたね(汗)
 風(どーしても風邪とでる……)の結界の外から火炎球をかけたのではなく、風の結界の『中』に火炎球をかけたとゆー……ああよくわからない! えーと……とりあえずアニメ版無印の対ヌンサ戦を見てください(汗)

>ゼルの夢の中に出てきた理由もわからないし。
>むむぅ。謎満載ですねぇ(をい)

 それはきっと後ほどわかります。全部の謎が解けるかどうかは不明ですが(汗)

>> ……はい。というわけで魔族君(仮)の名前解禁なのです。
>> フェイト。読めば解るとおり容姿はヴィリシルアと似た少年。声の正体は言わずもがなでしょう……思わせぶりなのです。

>確かに似てますね……
>フェイトさんっ!実はあなたっ!
>ヴィリスさんと同じ暗殺者村から家出して飛び出てきた暗殺者見習ですねっ!?(違う違う)

 暗殺者村ッ!? ということは某元暗殺者広報課長の手のものだったのですね(お前が言うな)!
 ううむ。みょーな出生の秘密が明かされましたのですね……(かなり違う)

>> なのでそれをちょっとは和らげようとご本人にきていただいております。フェイトさんです(ぱふぱふぱふっ――というラッパの音)
>>「……今の、何?」
>> 気にしないでください。効果音なのです。
>>「君もどんどん性格変わっていくようなないような……まぁいいけど。

>何をおっしゃいますフェイトさん。
>人間と言うのは年取るにしたがって性格が変わっていくものなんです。そりゃあもうがしがしと(マテ)

 私も小学三年生頃とはかなり性格が……(当たり前だ)

>> とりあえず今回のことで僕が魔族じゃないってことは解ってくれたと思うけど。あのひと僕の気配からわかんなかったのかな……」
>> ゼルガディスさんの中では夢ですから。

>って言うか、どうやって夢の中に入ってきたのかって……
>まさかフェイトさんっ!ゼルが枕にしてた古文書にこっそり自分の写真をはさんでっ!?(だから違うって)

 ををっ! その手があったか(違うって言ってるだろーが)ッ!

>ああっ!むくぅさんがなにやらピンチにっ!?
>向こうで一生懸命救急箱からマキロン取り出してみたり(だから)

 マキロンはしみますのですねッ! 痛っ!

>う〜みゅ。今回はどうやら、レス制覇(今命名)、無理っぽいです。
>何でって、なにやら執筆ペースが速いから♪
>4にレス書こうと思いつつ、用事があったんで後回しにしたらもう5が出てた、という(をい)
>執筆ペース……って言うか小説……自分はもう既に忘却の彼方ですが(こら)
>ではなにやらペースの速さに、身をつまされて思わず逃げつつのりぃでした〜

 執筆ペース早いとか言われちゃった♪ とか喜びつつも、実はムラがあるだけだったりするむくぅなのでしたー。
 弁解するのが怖い小心者なので逃げますのですっ! ではではっ!

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16416鮮血の紅 6むくぅ 8/4-12:54
記事番号16268へのコメント

 皆さんどうもこんにちは! むくぅなのです! またお会いできて嬉しいのです♪
「まぁさすがに十二時間で怪我を治すことは無理だったわね」
 前回のネタを引きずってますがそれはともかく!
 今回も引き続きリナさん出番なのです!
「やほー♪ ――でも、今回の話一貫して戦闘シーンないわねー。
 一回位はあるのよね?」
 たぶん。
 ――でもこれ相変わらず私の首締め付けてますのです。
 では、どうぞごらんください。

=====================================================

 それは、あたしたちを呼び寄せるに十分な光だった。
 攻撃呪文の――恐らく火炎球(ファイヤー・ボール)の輝き。上空からならほとんどかすかな光、といっても良かったが、民家の明りとは明らかに違うそれは、あたしの目に焼きついた。
「あそこだ! リナ!」
「わかったわ!」
 殺気が消えうせる。炎が消える。
 その前にあたしはその場所に向かって一直線に突っ込んだ!
 そして、あたしと入れ違い様に上空に逃げていく少年と、抉れた地面、暗がりからなにやら叫ぶ金の髪の女性が目に映る。
「ヴィリス!?」
 あたしは思わず叫び、術をといてその場に着地した。
「リナか――いいところに来た――と言いたいところだが、一足違いだったな」
「……今のが『鮮血の紅(ザ・スカーレット・オブ・ブラッド)』……?」
「噂ではそういう名で呼ばれているらしいな」
 白地に青チェックのパジャマ姿のヴィリシルア=フェイトさんは、空を見上げてそう言った。
 …………うーん。素晴らしくハズしてる気がするぞ。その格好は。
「追わなくていいのか? あれ」
「もうどうせ見失っちゃったわよ……あんたがいなきゃそのまま追ってたかもしれないけど」
「そりゃ悪かったね」
 あたしのことばにヴィリスは笑う。そこに、ゼルガディスとアメリアが到着した。彼らは飛翔界(レイ・ウイング)が使えないため浮遊(レビテーション)で来たのだ。
「リナ、その人がヴィリシルアさん?」
 ヴィリスのパジャマ姿にちょっと脱力しかけているのか、はたまた彼女の独特の雰囲気に呑まれたか、アメリアが敵意なく問う。ゼルガディスは彼女をなるべく見ないようにしていた。
 ……やはりパジャマが気になるのかもしれない。パジャマが。
 あたしは頷くと、金髪の少年が消えていった虚空を見上げた。
「金髪に、紅い瞳――ゼロスが見たのもあの子ってことよね?」
『ゼロス?』
 ヴィリスとゼルの声がハモった。ゼルガディスは嫌な単語を聞いた、とあからさまに顔をしかめ、ヴィリスは恐らく誰だそれ、といったニュアンスを含めて。あいつが関わっているのか? とか言うセリフは幸い聞かなかった。いくらなんでも魔族とまで交流持っているとは思いたくない。
「――ええ。ゼロスよ。魔族。獣王配下の――獣神官(プリ―スト)」
「ああ! あいつか!」
 ヴィリスがぽんっ、と手を打った。
 …………そのセリフは聞きたくなかったぁぁぁぁ!
 あたしは頭を抱えた。ゼルガディスは目を点にしている。
 しばし立った後、彼女はふっと笑う。
「――って――
 冗談だよ。冗談。知らないって。獣神官が何かも知んないし」
「って冗談かいっ!? ていうかあんたが言うと冗談に聞こえないのよ……」
 彼女のぱたぱたっ、と手を振っての軽いことばに、あたしは思わず脱力して呟き、ゼルガディスはなんだかおおげさにコケていた。
「なんか……想像していた人物像とだいぶ違うんだが――」
「……わたしも……」
 ゼルとアメリアが複雑な表情で呟く。その気持ちは解らんでもない。
「あんた、私のこと一体どーゆー風に説明したんだ?」
「彼女の名を出したらこの――顔隠した怪しいにーちゃんが知ってたのよ」
 あたしはゼルを指していった。そう。彼はここに来たすぐ後、すばやく顔を隠していたのである。
 それを聞いたヴィリスは――
「をを。マジか? すごいな、あんた物知りなんだ」
 と、拍手。思わず肩を落とすゼルガディス。ヴィリスは親しげにぽんぽんっと彼の肩を叩くと、
「名前は?」
「――ゼルガディス。ゼルガディス=グレイワーズだ」
 その名を聞いたとたん、ぽんっ、と彼女の表情が変わった。感嘆したような表情に。
「ゼルガディス? あの、赤法師レゾの孫の?」
「ああ」
 ぶすっとした面持ちでゼルガディスは言った。
 ヴィリス――あんた博識すぎ。
 あたしは密かに彼女に裏手ツッコミをやっていた。無意識のうちに、だが。
 ちなみにガウリイはしっかりと寝ている。言うまでもなく。
「そうか。あんたなら知っていそうだな――確かに。
 でも私の人物像をどういう風に想像してたんだ?」
「冷徹な機械人形だって」
 ぶっ!
 あたしのことばに、ゼルガディスが吹いた。恨めしそうにこちらを見てくる彼の視線に、あたしは笑顔で答える。
……本当にそーいったでしょーが……
「……………」
 さすがに機嫌を損ねたか、無言のジト目で睨むヴィリスに、ゼルは慌てる。弁解しようもなく、ただ乾いた笑いをあげるのみである。――これこれ、情けないぞ。
「――まぁ、別にいいけどな」
 彼女は肩をすくめ、ゼルガディスから視線をはずすと、また少年の去った虚空を見つめる。しつこいようだが、場の雰囲気にあまりにパジャマが似合っていない。
「いずれにせよ、また犠牲者が一人ってことね……」
 アメリアは抉れた地面を見る。眉を寄せて、その場で黙祷を捧げた。死んだのは邪教集団の人間だが、死んでしまえば――魂に価値の違いはない。
「そう言えばヴィリス。今の子に見覚えは?」
 あたしの思い出したようなことばに、ヴィリスは下唇をかむ。しばし考えてから、彼女は首を振った。
「……いや、ないな」
 ぅや?
 反応に違和感を覚えたが、まぁ気にしてもしょうがないだろう。あたしはガウリイを小突いて起こすと、他の三人を見回して、
「じゃ、あたしたちはこれで宿に戻って、明日になったらフェリアさんに報告。オーケー?」
「今から行かないの!? 魔道士協会総動員して探せば、見つかるかもしれないじゃない!」
「いいえ。今魔道士協会に行っても誰もいないわ。あたしたちはフェリアさんの家解んないし。
 ならさっさと戻ってお風呂入ってご飯食べて寝ましょ」
「飯か!?」
 ガウリイがぱっと目を覚ます。――野郎。また寝ていやがったな。
「そ。ごはんよ。じゃ、ヴィリス。あなたも『目撃者』として魔道士協会に来てくれるわよね?」
 頷くヴィリスに、あたしは笑むと、くるりっときびすを返した。
 ――にしても――
 いや。
 あたしはぶんぶん首を振った。ここで考えても仕方のないことだ。
 一瞬だけ見えた、少年のその顔がヴィリスと瓜二つだったなどと……
「また――嫌な事件にならなきゃいいけれど……」
 呟いて、あたしは宿に向かって歩き出した。


 ――ふぅっ……
 リナたちの姿が見えなくなって、彼女はそこではじめて、疲れたように息を吐いた。
 どうやら『あれ』の顔は見られなかったようである――あの顔を見て、自分の方にリナたちの意識が動く、というのは喜ばしい事態ではない。
(――全部自分で抱え込むってことがいかに馬鹿なことかは解ってるんだ。
 だが……あいつを魔道士協会に突き出すわけにはいかないからな――)
 『あれ』がつかまれば、ハーリアがどう反応するかは目に見えている。
 こちらで止めなければ、意味がない。
 ヴィリスは心中だけで呟くと、自分の家に向かって歩き出した。
「……夜のお散歩ですか? ――自分が犯人と思われていると言うのに、のんきですねぇ」
 家の上から聞こえた声に、ヴィリスは視線を移す。
 黒い神官が、その家の屋根の家に腰掛けて、にっこりとこちらに微笑みかけていた。彼女はそれを興味なさげに見ると、
「……一体何の用だよ。私は疲れたんだ。帰ったらすぐ寝る。お前の相手してる暇なんぞない」
「僕の名前」
「あ?」
 彼女は神官に聞き返す。思いもよらぬことばだった。彼は今まで、どんなに聞いても名前を教えてはくれなかったからだ。
「僕の名前、ゼロスって言うんです」
 神官――ゼロスの表情は、暗がりにまぎれて見えない。
 ――どうせいつも通り笑っているのだろうが。
 彼女はほぅ、とのどの奥から声を漏らす。
「――で?
 お前が魔族だなんて最初っから気づいてたさ。今頃それを明かしても意味ないぞ」
 ことばに、ゼロスは屋根の上で立ち上がった。
「あなたの『弟』、ですよね? この事件の犯人は」
「……………」
 ぴくりっ、とヴィリスの表情が動く。が、すぐに無表情に戻る。
「ああ。そうだよ。調べが早いな」
 すぐに認めた。そしてゼロスに背を向け、家に帰ろうと足を踏み出す。
「弟――だというんですね。あくまでも」
「――!」
 ざわりっ。
 ヴィリスが振り返ると同時、いきなり、殺気が辺りに渦巻いた。気の弱い人間なら、この場に来ただけで気絶するかもしれない。そんな雰囲気がその場に渦巻く。
「……なにが言いたい」
 ぞっとするような声音で、彼女は呟いた。リナたちの前では、決してこんな声では喋らないだろう。
「いえ――ただ、あの少年をハーリアと会わせたら――どうなるでしょうか」
「あいつをハーリアに殺させるつもりか!?」
 ゼロスはヴィリスのその声に満足そうに微笑むと、ふわりっと屋根の上から降りた。すたすたと彼女の前にやってくると、にっこりと笑う。
「――なるほど。あなたは『弟』さんのことになると、冷静さを欠くようですねぇ――
 それだったんですね。あなたがあの少年を魔道士協会に突き出さない理由は」
 ヴィリスは答えない。ただゼロスをにらんでいる。
「――それでは、僕はこのへんで帰りますよ。これ以上ここにいたら――あなたに殺されそうだ」
「うるさい!」
 いつのまにか手にもっていたナイフを、ゼロスに向かって投げつける。刺さると同時に神官の身体がぐにゃりとゆがみ、虚空に溶け消えた。
 からんっ。
 乾いた音とともに、ナイフが石畳に落ちる。
「…………」
 彼女はぎゅっ、と拳を握り締めた。地に落ちたナイフにはもう目もくれず、じっと、黒き神官のいた虚空をにらみつける。
「魔族の思い通りなんぞ、なってたまるか……!」
 ヴィリスは憎悪と怒りをこめた口調で、そう呟いた。

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 今回はめでたく悪役っぽいのを記念(?)して、『獣王〜』では目立っていたゼロスさんをお呼びしております!
「どうも♪ っていうか今回僕出番少なすぎですよ!」
 まぁ設定的にはあのあとだし、けっこうダメージ残ってるんじゃないかなぁ、と思うのです。
「そりゃそーですけど……前回はいじめられたし、今回は悪役(ヨゴレ)ですか? もしかして」
 いえ、敵対はしません。今回は好き勝手動くだけでしょ?
「まぁ……(ネタバレにつき割愛)のためですから」
 と言うわけで、次回も五体満足で会えるのか解りませんが、むくぅなのでした!
「五体満足じゃなくなりたいんですか? いいですよ? ご要望にお応えしましょう!」
 え゛っ!? ちょっと待ってくださいのです! それはかなりイヤ過ぎ……
 すいません! 逃げますッ! それではむくぅなのでした!
「あっ! ちょっと待ちなさい! 大体あなたは作者のくせに出張りすぎなんですっ! 裏方に回っていればいいものをっ!」
 待てって言われて待つのは多分魔族ぐらいなのですっ! それでは皆さんまた会いましょうッ! んにょわひぃぃぃいいっ!

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16451鮮血の紅 7むくぅ 8/6-14:03
記事番号16268へのコメント

 今日も少し短いのです――それでわ第七話いきますのです。

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 翌日、魔道士協会を訪れたあたしたち――あたし、アメリア、ガウリイ、そしてゼルガディスの四人は、評議長室に来た瞬間に険悪な雰囲気にぶち当たった。
 一人はヴィリス。こちらはこの前のようなラフな格好でも、むろん昨晩のようなパジャマでもなく、黒装束に身を包んでいた。こう見ると、普通の人間が見ても暗殺者か魔道士にしか見えない。
 そしてもう一人は、見たことのない、二十歳前後の男――である。痩せた身体に、白いローブを纏っている。全体的に色の薄い――と言うか闇が色褪せたような感じの男で、髪は灰色。瞳だけが、意思を彼の強い意思を表すかのような深い黒だ。
 一方的にヴィリスが男のことを険悪な目で、雰囲気で――殺気すら飛ばしてにらみつけているが、男の方はそれを平然と受け止めている――というか、半ば無視しているようだった。
「ヴィリス。おはよう――誰? このひと」
 あたしはその雰囲気に呑まれないよう、さりげなくヴィリスに話しかけた。ヴィリスはこちらに初めて気がついたようで、少し驚いたような表情をする。
「あ――ああ。おはよう。リナ」
 すこし固い笑みを浮かべると、片手をあげて挨拶した。男は、ちらりっとこちらを見やる。
「初めて会うな。リナ=インバース」
 かすかに口元に笑みを浮かべて言った男の声は、思いのほか威厳――というか、こー言っちゃあなんだが、なんか爺むささに満ちていた。
 ――あたしの第六感……とかゆーたいそうなもんでもないが、ともかくあたしのカンは、この男の正体を告げていた。
 乾いた声で、あたしは呟く。
「……竜――ね。あなた」
 男の顔に、驚きと感嘆の色が浮かんだ。彼は頷くと、
「そうだ。よくわかったな。
 私の名は、魔王竜(デイモス・ドラゴン)の、ヨルムンガルドだ。呼びにくければ夜、と呼んでくれ」
 なんてことだ。
 ゼロス――魔族の絡んでいる気配、そして元有名な暗殺者のヴィリシルア――そしてしまいには、魔王竜まで出馬もとい出竜してくるとは!?
 何なんだ一体。この町わ。
 というより、こんな連中がうろうろしてる上のこんな時期にこの町にくるとは――あたしって、相当ついてないんじゃないだろーか。
「……魔王竜?」
 疑問の声を上げたのは、アメリアだ。
 彼女はじーっと、疑わしげな表情で、ヨルムンガルド――夜さんの姿を上から下まで見る。
「どう見ても人間にしか見えないわよ。それは変身呪文で何とかなるとしても、魔王竜って――本当にこの人がそうなら失礼かもしれないけど、知能はそんなに高くないはずよ」
「お前らが通常術で呼び出す魔王竜は、いずれも年若い、というよりはほとんど赤子といってもいい、生まれて数日から一週間程度しか経っていないものだ。
 年を取れば、我々魔王竜とてそれ相応の術を用いる。
 私たちが黄金竜より実力が勝っている、ということは、より高度な術を操る、ということだろう?」
「なるほど……」
 アメリアが納得の声を上げた。あたしは無表情なヴィリスのほうに視線を移し、
「――で、なんでさっきあんな険悪な空気振りまいてたわけ? あんた」
 ヴィリスは不機嫌そうな顔に戻って、
「こいつは私の従兄だ。と言っても、もう百年は生きているそうだけどな」

 ……………………沈黙。

『従兄ぉッ!?』
 むろん、ガウリイ含めあたしたち全員が驚愕の声を上げたのは言うまでもない。
「ちょっ……嘘ッ!? じょーだんでしょヴィリシルア! だったら何でミルガズィアさんと仲がよかったりしてんのよ!」
「言わなかったか? 確か昨日言ったはずだけど」
「昨日――?」
 あたしは眉を寄せ、顔をうつむかせて瞳を閉じる。記憶を探って――
「あ。」
 ――私の家系には代々竜族やらエルフやらの血が結構混じってるらしくてさぁ――
    ばーちゃんの話では魔族と合成された奴とかもいるとかいないとか――よーするに、とんでもない家系なのさ――
 確かにヴィリスはそう言っていた。昨日の夜のことですっかり忘れていた……
 ん…………?
 あたしはばっ! と顔を上げる。
「――って、ちょっと待てぃッ! ってことはンな家系の人間が暗殺稼業なんてやってたんかい!?」
「ああ。まぁね。小遣い稼ぎってやつ。こづかい。私の親は放任主義だったからなぁ」
 あたしは頭痛に頭を抱えた。子供に暗殺者やらせるっつーのは、一体どこの国の放任主義なのだろうか。
 ヴィリスはあたしの内心の葛藤に気づいているだろうに、それをあえて無視して夜さんを睨みなおすと、
「ちなみに私はハーリアに面会を求めてきたんだが、今ちょっと会えないらしくてな、代わりにこのヘビが評議長の仕事をしているらしい。
 こいつ石頭なんだ。会わせろって言っても会わせてくれないんだぞ!」
 連鎖するように、夜さんも仏頂面を作ると、
「ヘビ言うな。いくら長い名だからとかお前が馬鹿だからといって覚えられんほどでもないだろう。
 それに――会わせられぬものは会わせられん。ハーリアは今は誰にも会えぬ。私が話を聞こう」
 ……ん?
 あたしは夜さんに詰め寄った。
「ちょっと待って。どーして会えないわけ? フェリアさんは昨日は元気そうだったし、彼はあたしたちの依頼人よ?
 あたしたちにも会わせることができないってのはどーいうこと?」
「……ヤツが風邪ひいてまで仕事しようとする人間だと思うか? 今頃家のベッドで寝てるだろうな」
「あの男ぉぉぉおッ! どこまでヒトのことおちょくりゃ気が済むんだぁぁぁぁっ!」
 ヴィリスが突然爆発したように、髪をかきむしって叫んだ。
 ……なるほど。評議長にあるまじき体たらくと言えるが、フェリアさんならやりかねない。
 魔道士協会が警備隊と仲の悪かったことがわかるような気がする。アリド・シティの警備隊は真面目なことで有名なのだ。
「だが、それにしても先ほどのは苛立ちすぎだ。ヴィリシルア。
 ……一体、なにがあった?」
 確かに、昨日の夕方、はじめてあったときに感じた、ヴィリス特有の余裕、というものが欠けているような気がする。神経の糸が張りきっていて切れそうだ。
 ともあれ、彼の問いに、ヴィリスは不機嫌な顔のまま、
「……昨日の晩、リナたちと別れたあと、魔族に、会った。それだけだ」
「ゼロスのヤツか」
 ゼルガディスがこれまた不機嫌そうに言う。彼女は頷いた。
 ――しばし、沈黙が落ちる。
「して、お前らはなんの用で来たのだ? 例の事件のことだ、ということは疑いようもないが」
 夜さんは、ちらりっとヴィリスに意味ありげな視線を送った。
「昨日、犯人を目撃したわ。――犠牲者が、また一人増えた、ってことね」
 ――そう言えば、ヴィリスは昨晩、何故あそこにいたのだろう。
 あの時は、気にも留めなかったが――
 夜さんはそれを聞いて眉を寄せた。
「これで、四人――だ。ヴィリス。どうする。これでもまだ、黙っているつもりか。あいつ大事さに、みすみす人を殺させていいのか?」
「黙れ」
 殺気。
 冷たい、刃のような――静かな殺気だ。魔族の瘴気のような感じとはまた違う、密やかな殺気。
 ヴィリスから、それが、夜さんに向けて溢れ出す。
「――私に任せると、お前も、親族の者たちもみなそのことばに同意した。今さら撤回するなど言わせない」
 声がすこし震えている。もう後がない、といった、追い詰められたものの声だった。
 どうしてそんなに動揺している?
 ヴィリスはもしかして、あたしたちに対してまだ何か隠し事でもしているのか?
 ――ごず。
 なんかそーゆー感じの鈍い音が、あたしの思考をストップさせた。
 顔を上げると、夜さんが、ヴィリスの頭を思いっきり殴りつけていた。
 うぁ――今のはかなり痛そうだったな……音が。
「いっ……てぇぇええっ!? なにするんだよ! このヘビッ!」
 悲鳴を上げる彼女に、夜さんは冷ややかな視線を向ける。
「お前は少し、頭を冷やす必要がある。よく考えろ」
「…………………………」
 ヴィリスは答えなかった。
 代わりに、踵を返して評議長室から出て行った。ばたんっ、と扉の閉まる音が、重苦しい沈黙の落ちる部屋に響く。
 彼は眉を寄せ、しばし扉を見つめていたが、あたしたちの方を向いて、
「すまない。恥かしいところをお見せした」
「なに言っているの! 女性の頭を殴りつけるなんて! そんなの最低だわっ!」
「……解った。解ったから黙ってろ。ちょっと」
 ここぞとばかりに叫んだアメリアを、ゼルガディスが引き寄せた。
 ちなみにガウリイはゆーまでもなく、寝ている。
 今回が頭脳労働ばっかりだからといって、食って寝てるばかりだと太るぞ! 絶対!
 夜さんはアメリアがしぶしぶながらも黙ったのを見ると、再度、あたしの方に向き直った。
「――失礼なことを言うようだが、今日は――もう帰っていただきたい。話は、聞いた」
「解りました。――また、何かあったら、来ます」
 あたしは言って、ヴィリスのあとを追うように評議長室を出て行った。

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 というわけで、今回最後のオリキャラ、ヴィリスさんの従兄ヨルムンガルドさんなのです!
「よろしく」
 では最後のオリキャラの顔見せも終わったことなのですし、これであとがきを……
「早いな。ネタ切れか?」
 おおむね。そんな感じです。――ああ話しづらいこの人。
 ついでに言うと名前の由来は言わずもがななのです。
「ちなみに夜、と言う渾名は?」
 キーボード打つのがめんどいからなのです。
「手抜きだな」
 う゛っ。
 ……………
 と、とにかくっ! 今回のあとがきはこれにて終わりです! では竜化した夜さんに乗りつつ、逃走!

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16452Re:鮮血の紅 7花姫 8/6-15:31
記事番号16451へのコメント

はじめまして!花姫です。
すごいですねー。かっこいいです。
オリキャラさんもいいキャラしてますし。
ハーリアさんとか特に。(笑)
続き、楽しみに待ってますv

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16453訂正っ!花姫 8/6-15:37
記事番号16452へのコメント

すいませんっ!!ハーリアって誰だよ!?
正しくはフェリアさんです・・・。(汗)
どうしてまちがえたのか私にも不明です・・・。
本ッ当にすみませんでしたっ!!

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16468感想どうもありがとうございます――と、お詫びむくぅ 8/7-11:16
記事番号16452へのコメント

花姫さんは No.16452「Re:鮮血の紅 7」で書きました。
>
>はじめまして!花姫です。

 はじめましてー。むくぅなのです。

>すごいですねー。かっこいいです。
>オリキャラさんもいいキャラしてますし。
>ハーリアさんとか特に。(笑)
>続き、楽しみに待ってますv

>すいませんっ!!ハーリアって誰だよ!?
>正しくはフェリアさんです・・・。(汗)
>どうしてまちがえたのか私にも不明です・・・。
>本ッ当にすみませんでしたっ!!

 こちらこそすいませんっ! フェリア評議長のフルネームはハーリア=フェリアで、リナは『フェリアさん』と読んでましたのです――んで、ヴィリスは『ハーリア』とか呼んでるのです……
 うわややこしい! すいませんのです花姫さんっ!
 それではごまかし混じりに逃げます! それではっ!

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16496うわぁ・・・紫嵐 8/8-23:39
記事番号16451へのコメント

どうもこんばんわ、むくぅさん。紫嵐と申します。
俺の初投稿小説、『光の継承権』を読んでいただだいた上にレスまで書いてくださってどうも有り難うございました。
『鮮血の紅』、1〜7まで一気に読ませていただきました。
なんと言っても素晴らしいですね。
キャラにボコされながらも小説を書く、むくぅさん。
なんというか……う〜ん…けなげ(?)ですねぇ……

………じゃなくて、素晴らしいのは小説の方なんですけど、むくぅさんってキャラをきちんと掴んでますよね。…俺が未熟なだけかもしれませんけど……
これからも、鮮血の紅を書いてください。
応援してます。
では、さようなら!            紫嵐
P.S  前々感想になっていなくてすみません………(T_T)


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16502どうもこんにちは♪むくぅ 8/9-14:56
記事番号16496へのコメント

紫嵐さんは No.16496「うわぁ・・・」で書きました。

>どうもこんばんわ、むくぅさん。紫嵐と申します。

 こちらはどうもこんにちは、紫嵐さん、むくぅと申しますのです♪ 感想どうもありがとうございます♪

>俺の初投稿小説、『光の継承権』を読んでいただだいた上にレスまで書いてくださってどうも有り難うございました。

 こちらこそ、どうもありがとうございますのです。

>『鮮血の紅』、1〜7まで一気に読ませていただきました。
>なんと言っても素晴らしいですね。
>キャラにボコされながらも小説を書く、むくぅさん。
>なんというか……う〜ん…けなげ(?)ですねぇ……

「墓穴掘ってるからよ。ねぇ?」
 ――と、リナさんのお言葉でした。最近足が速くなったかな……(嘘)?

>………じゃなくて、素晴らしいのは小説の方なんですけど、むくぅさんってキャラをきちんと掴んでますよね。…俺が未熟なだけかもしれませんけど……

 いやそんなことはないのですっ! 紫嵐さんが未熟なんてことはありませんっ
 あの『光の〜』はすごかったのです。
 逆に、私が未熟じゃないかと言うと……かなり未熟なのです(汗)キャラを掴んでるの意味もわからない私なのですし。

>これからも、鮮血の紅を書いてください。
>応援してます。

 ありがとうございます♪

>では、さようなら!            紫嵐
>P.S  全然感想になっていなくてすみません………(T_T)

 いえ、立派な感想どうもありがとうございますのです♪ 次書かれた時も感想書かせていただきますので、どうかよろしくお願いしますのです。
 では、むくぅなのでした。 逃走ッ!

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16513鮮血の紅 8むくぅ 8/10-11:07
記事番号16268へのコメント

 どうもこんにちはなのです。現在呪術師の森計画実行中のむくぅなのです。
「っていうと、前半読んだだけじゃ犯人解らんって言うあれね」
 私の場合、『ネタに詰まったからてきとーに人のせいにしちゃえ♪』でも可なのです。
「……つまったの?」
 あうッ!? ジト目で殴らないでくださいのですっ! で、では、どーぞ本編読んでくださいのですっ!

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「……フィオロ……?」
 呆然と、彼は彼女の名を紡いだ。
 血に濡れた部屋。そのひときわ大きい血だまりの中に倒れている、二人の男女。――女性の方は、彼の『姉』も、そして彼自身も、見知った相手だった。
「一体――なに……が」
「フェイト――お前、家で待ってな。私は、ハーリアと警備隊呼んでくるから」
 放心したように――実際呆然として突っ立っている自分の肩に、乗っていた姉の手が、離れた。
「――行かないでよっ! 姉さ……ッ!」
「いいから黙って家に戻っていてくれ! お前にだって解るだろう!
 フィオロはもう死んでる!」
 ――もう、死んでる……
「イヤだよ! 嘘だっ――
 ――何で、何でこんなこと、に……ッ!」
「…………………」
 声を震わせている彼に、もう姉は答えない。
 顔をうつむかせて泣き出してしまった自分にも、姉の気配が遠ざかっていったのは解った。
「――待ッ……て、よぉ……」
 ふらふらと彼は出口に向かって歩を進める。が、血にすべり、前のめりに転倒した。
 ――どうして、こんなことに……?
 立ち上がって、部屋を見回す。壁に、血で書いた字があった。雑で下手な字――いや、走り書きなのか。
「背約者には、――死を」
 声に出して読み上げると、彼はそのままふらふらとその場を離れ、家に向かった。夜だったから、誰にも自分のことは見なかっただろうが――それでも、誰かが自分を見ているような気がした。
 背約者――その単語からふらっと思いついたのは、フィオロの恋人――やはりフィオロの横で冷たくなっていた――がはまっていたという宗教団のことだった。
「……………………」
 家の扉の前に突っ立って、それでも家の中には入ることができなかった――


「なぁ、あの犯人の男の子、ヴィス――だっけ……に、似てたぞ」
 作戦会議を昨日と同じく、今度は男衆の部屋でやっていたのだが、ガウリイが思い出したようにぽつりっ、とそう言った。
「ヴィリス、よ。いや、あだ名じゃないんだったらヴィリシルア。どー考えてもガウリイには覚えられない名前よ」
「お前なぁ……」
「それはともかく」
 呆れと怒りが半分ずつになったような顔と声で言うガウリイに、あたしはこほんっ、と咳払いをする。
「あたしも顔が見えたけど、あんたあたしにしがみついてたじゃない、しかも一瞬すれ違っただけなのに見えたわけ?」
「ああ。確かにヴィ……ヴィ……えーと、あの女の人にそっくりだった」
「ヴィリスだってば」
 あたしは呆れ顔で言うと、昨夜一瞬だけ見えた少年の姿を思い出す。
 ――金髪の髪、白い顔に一瞬だけ見えた紅い煌き――少なくとも顔立ちはヴィリスに似ていた。
「ガウリイの旦那の言うことが本当だとしたら、――いや、そうでなくても、犯人はヴィリシルアに――いや、ヨルムンガルドにも近しいものだな。絶対」
 ゼルガディスにあたしは頷く。
「そうね――確かに、あの二人のやりとり聞いてれば、誰でも犯人がヴィリスと夜さんに近い人間――あるいは竜だってわかるわよ」
「――確かに、そうね」
 アメリアが天井を見つめながら呟く。
「……もしかしたら兄弟とか」
「いずれにせよ、次にあの子に会えば、戦闘になることは必至。
 ヴィリスのことを考えるなら、生きたまま捕まえなければならないわ」
「難しい要求だな――だが、やってみるしかない――か」
 顎に手をあてて、ゼルガディスは言う。あたしは頷くと、
「そうね――じゃ、あたしもう寝るわ。明日はフェリアさんの家に行くわよ。夜さんに住所教えてもらったし」
「ああ。おやすみリナ」
「おやすみ、ガウリイ、ゼル」
「おやすみなさいゼルガディスさん」
「――ん」
 もう寝ようと布団に包まったゼルガディスに、あたしとアメリアは苦笑を浮かべながらも、自分たちの部屋に向かった。


 ――お前は少し、頭を冷やす必要がある。よく考えろ。
 ヨルムンガルドの声が、耳に痛かった。
 目を開けると、真っ白い自分の部屋の天井が、飛び込んでくる。
(うるさいよ……知ったような口ばっかり聞いて……)
 いや――実際知っているのか。
 ヴィリシルアは苦笑した。
(私があいつを守らなければならないって――知ってんだろうがよ……お前も)
 ベッドから起き上がると、ヴィリシルアは顔にまとわりついてくる髪をはらう。
 ――朝が鬱陶しい、といつも思う。
 だが、朝がこなければ、何も始まらないと言うことも解っている。
「――フェイト。絶対――大丈夫だからな。
 お前の母に誓って」
 呟いて、ヴィリシルアはカーテンを開ける。朝の日差しが目にしみた。
(そう、この手にかけた、お前の母に――誓って)


 フェリアさんはおーむね元気そうだった。
 一日寝たら治るような風邪だったらしい。まだ少し熱があるとのことだったが、彼はあたしたちを快く家に迎え入れてくれた。
 あたしとガウリイが訪問者である。ゼルは図書館、アメリアはヴィリシルアに会いに行っている。
 アメリアが一番不安要素であることは言うまでもない。
 フェリアさんはあたしたちに席をすすめると、自分も椅子に座る。前かがみになって指を組むと、
「――で、質問って?」
 あたしはぴっ、と二本、指を立ててみせる。
「あたしがこれからあなたに聞く質問は――二つ。
 一つ目は、フェリアさん――、あなたはヴィリシルアが元暗殺者であることを――知っていましたか?」
「ああ、知ってるよ。知ってる上で犯人じゃない――と思った。
 それで――誰が言ったの? ヴィリシルアが?」
「あたしたちの仲間です。
 それで――二つ目は、ヴィリス――ヴィリシルアの家族のことです。母親とか父親とか――兄弟とか。
 一人暮らしのようだけど、聞いたことありません?」
「ヴィリスの――家族?」
 フェリアさんはしばし考えると、
「……………なんでそんなこと聞くの?」
 あたしは、知っている知らないのどちらでもない回答に、ずっこけそうになるのを必死でこらえ、
「――犯人が、彼女でないにしても、彼女の身内である可能性があるからです」
「なるほど。
 がっかりさせるかもしれないけど、僕はヨルムンガルド以外の『生きた』ヴィリシルアの身内を知らないな。
 僕の前任――四年前に急逝した女性が、彼女の母親だ――って話は聞いたけど……
 彼女はちなみに、二年くらい前にふらりっとこの町にやってきたんだ。旅に出てたってヴィリスは言ってたなぁ――」
「父親は?」
「魔王竜――その人――竜も、四年前に死んでるみたい。
 ――あとは確か弟がいたはずだけど、こっちは行方不明――これが四年前」
 フェリアさんは言って、組んだ指を解く。
「四年前―― 一体、なにがあったんです?」
 あたしの四年前と言えば――ちょうどレゾ――魔王シャブラニグドゥの欠片の一つと戦った頃である。
 その頃と重なっているのが、あたしには偶然とは――いまいち思えなかった。
「魔道実験の暴走……って感じかな。
 合成獣(キメラ)が暴走したらしい。
 そこに勤めていた僕の両親も死んだよ――竜がいたのに、どうしてあんなことになったのかわからないけど」
「す、すいませんっ! ――聞いちゃいけないことだったみたいで……」
「そんなことないよ」
 謝るあたしに彼はにっこりと笑いかける。
「もう昔のことだしね。おまけに二人とも研究熱心な親で、小さい頃から僕は知り合いのうちに預けられてたし。
 で、その合成獣(キメラ)がどうなったのかが問題なんだよね。わかんないんだ。これが。
 たった四年前のことなのに、記録は何も残っていないんだよ」
「なるほど――」
「その行方不明の弟ってのが犯人じゃないのか?」
「その可能性も高いけど……ってガウリイ! あんたちゃんと話聞いてたの!?」
 驚愕の声をあげるあたしに、不思議そうな顔をするフェリアさん――まぁ、彼は知らないのだから無理もない。が、今回は寝てばかりだったガウリイが、驚くべきことである。
「お前なぁ……俺だってたまには話聞くぞ」
「普通はいっつも話聞くもんなの。ふつーは。
 ――とにかく、あたしたちもヴィリスの家に行くことにします」
「僕もついてくよ。僕もどーやら今回の事件には無関係じゃないみたいだし」
 言いながらフェリアさんは立ち上がる。
「ええ。それじゃ行きましょーかっ! ガウリイッ!」
「おうっ!」


 リナの憂慮は正しかった。アメリアはヴィリシルアの家に行く道中、かなり心中で暴走していた。
(大体、悪の知り合いはみんな悪人だし、ヴィリシルアさんは元暗殺者なのよ!? ――リナもゼルガディスさんもそんな人に遠慮することないのよ。問いつめるぐらいいくらでもしないと)
 正義の心に身を任せ、ヴィリシルアの家のドアを、彼女はいささか乱暴にノックした。
「魔道士協会の使いできましたアメリアです! ヴィリシルアさん、開けてください!」
「――借金の取り立てかい? お姫さま。怒鳴らなくても今開けるよ」
 ごん。
 内側から勢いよく開いたドアは、アメリアの顔面を直撃し、彼女はなす術もなく仰向けに転倒した。
(絶対この人悪だわッ!)
 受身も取れずに地面は後頭部を直撃し、ぐるぐると回転する視界の中、アメリアはひそかに確信していた。
「……おや」
 どうやらヴィリシルアは、ドアノブを回したあと蹴り開けたらしい。それでなくては、こんな凶悪的なスピードでぶつからなかったはずである。
「何するんですかぁあぁぁああッ!」
 だるまのように勢いよく起き上がったアメリアに、ヴィリシルアは不機嫌そうに顔を歪めた。
「今開けるって言ったじゃないの。警戒しなかったあんたが悪い。
 人のせいにするのは悪じゃないのかな?」
「う゛ッ!」
 前者か後者か、あるいはその両方にか、彼女はうめくと、ずささっと音を立てて後退する。
「と、とにかく家に入れてください。聞きたいことが会って来たんですっ!」
「元気だなぁ……」
 ヴィリシルアはアメリアを眠そうに見ると、
「いいよ。入りな。断る理由なんて、こっちにはないから」
 彼女について入っていくと、ひんやりとした空気が辺りを包んだ。
(――涼しい――ってダメじゃないっ! アメリアしっかりするのよ、悪に気を許すなんて、そんなの間違ってるわッ!)
 拳を握り締めつつ心の中で叫ぶと、瞳に力を入れて部屋の中を隅々まで見渡す。ヴィリシルアにソファに座るよう言われたときも、彼女がお茶を入れてくると言ったときも、警戒心は少しも緩まない。お茶を受け取って、毒を警戒して飲まないアメリアにヴィリシルアは苦笑したが、アメリアは気がつかなかった。
「で、何を聞きに来たのかな? お姫さま」
「――そのお姫さまと言うのをやめて下さ――って、なんで私が王女だってことを知ってるんですかあっ!」
 ばんっ! がたんっ!
 アメリアは机に両手を叩きつけ、椅子を蹴倒して立ち上がる。が、ヴィリシルアは全く怯まずに、
「あんた有名だから」
 その言葉に、彼女はぐっ、と言葉に詰まった。有名――どういう風に有名なのかは、聞く気があまりしない。愛らしく美しいセイルーンの姫君――絶対にそんな噂ではないはずだ。
「正義オタク――伝承歌(サーガ)フリークで、おまけに、かわいらしい見かけとは裏腹に、非常識に頑丈。暗殺者(アサッシン)はよほどの自信がない限り、セイルーンの第二王女、アメリアには近づくな、手を出すな――とまぁ、こんなところだな」
「うう。言わないで欲しかったのにぃ……」
 アメリアは頭を抱える。ヴィリシルアはにやりと笑って、お茶を一口飲む。
「でも全部本当だし……で、聞きたいことって?」
「あ、そうでした! 犯人とあなたが具体的にどういう関係なのか教えてほしいと――」
 ぴくっ、と、ヴィリスが手を止めた。
「――リナに言われたのか」
「ッ――え、ええ」
 ヴィリシルアの、たったそれだけの呟きに気圧されて、アメリアは彼女の顔を見る。なにか考えるように時々揺らめくヴィリシルアの瞳は、沼の水面を見たときのように、底が見えない。
 ――しばし、沈黙がその場を支配する。
「あの……ヴィリシルア――さん?」
 アメリアが、もう茶も冷めようと言う頃になってようやく口を開く。ヴィリシルアはふぅっ、とため息をつくと、
「…………犯人と私の関係だがな。
 私はあいつの『守護者』だ、とだけ言っておこう。
 ――質問はそれだけか? それなら――もう帰ってくれ。頼む」
 その言葉に――命令でも、強制されたわけでもないその言葉に――
「……解りました。また、何か会ったら、来ます」
 アメリアは、逆らいがたいものを感じて、ゆっくりと立ち上がる。
 ――とんとんっ。
 ノックの音がしたのは、このときだった。
「――リナ――?」
 アメリアが呟いてドアの方に顔を向けると、肩に手が置かれた。
「ヴィリシルアさ――」
 振り向いて、真剣そのもの――といった彼女の瞳に、思わずアメリアは息を呑む。それだけの迫力と、悲痛さが、ヴィリシルアの瞳には同居していた。
 ゆっくりと、ためらいがちに、ヴィリシルアは口を開く。
「お姫様――出ないで。できれば私の話を聞いて欲しい。
 そのあとでよかったら――この事件から、手を、引いてくれないか――」


「――いない。のかな……」
 ノックしてみてしばらくして、フェリアさんは眉を寄せてぽつりっと呟く。
「そんなはずは――アメリアがきているはずなのに……」
 あたしが呟くと同時に、かちゃりっ、とドアが開く。
「――アメリア?」
 申しわけなさそうな顔で家の中に立っている彼女に、あたしは眉を寄せて、聞く。
「ヴィリシルアさんは――、裏口から、外に――
 ごめん、リナ……わたし、あの人を見たら、追いかけるのが気の毒になって……」
「――どういうこと? ヴィリスに何を聞かされたの?」
 あたしの問いに、アメリアは後ろ手にドアを閉め、寄りかかる。
「話はあとよ。やっぱりヴィリシルアさんをほっておいちゃあだめだわ。
 追わなくちゃ……事情は、走りながら説明するわ」
 言って、アメリアは先導して走り出した。
 あたしは彼女の横で走りながら、アメリアの横顔をうかがう。
「……一体、どういうこと? アメリアっ」
「ヴィリシルアさんはあるひと――今回の事件の『犯人』の守護者(ガーディアン)として作られたの……
 彼女は『金色の魔王(ロード・オブ・ナイトメア)』が人間を作ったときの技を模した、邪法の産物なのよ」
 アメリアは走りながら、時々息を整えて、ヴィリシルアについての話を語り始めた――

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 すいません。キャラが説明口調だったりしたりするのは私のせいです。
 ごめんなさい許してください。
「僕に謝られても困るんですけど……」
 いやまぁ。そういうことで、ゼロスさんも困っていることですし、あとがき終わります。
「(終わらせてたまりますか)――今回色々考えて思わせぶりみたいですねぇ。僕が蚊帳の外なのが気に入りませんが」
 いえ。キャラが勝手に動きまくって、気がついたらヴィリシルアさんが全部の事情をアメリアに話しちゃってました。
「……あのですねぇ」
 でもこれはあくまで『ヴィリシルア側からの』情報ですので、全部が本当だとは限りませんのです。
「なるほど」
 それを推理して読むのも面白いかな、と思いますのです。
「あとがきで本編フォローしてどうするんですか。あなた。
 ――でも、僕の出番かなり少ないそうですねぇ。まったくこの吸血鬼さんは♪」
 うわっ! 怖ッ!
 というわけで逃げますっ! それでは混沌の海に沈んでない限りまた会いましょうッ! むくぅなのでしたっ!

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16515一番乗り…かな?紫嵐 8/10-11:43
記事番号16513へのコメント

いやあ、相変わらず素晴らしい小説でした。
『鮮血の紅』。よくこんなに長い長編を書けますよねぇ……感心しちゃいます。
ネタに詰まった…って言っていましたが、本当に詰まっていたんですね…
前書きにああ言っているっていうことは……
あ、『貴方は今幸せですか?』のレス有難うございました。
短くて感想文になっていませんが、これにて。
では、またむくぅさんに習って、逃走!
                   紫嵐

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16520恐らく落ちる前ぎりぎりレス(決死)むくぅ 8/10-13:30
記事番号16515へのコメント

紫嵐さんは No.16515「一番乗り…かな?」で書きました。

>いやあ、相変わらず素晴らしい小説でした。

 どうもありがとうございます紫嵐さん。むくぅなのです。ところで紫嵐さん。読み方、『しらん』でいいのですか? ――って関係なくてすいません。気になったものなのですから。

>『鮮血の紅』。よくこんなに長い長編を書けますよねぇ……感心しちゃいます。

 単に長いだけですので感心しないで下さい(汗)

>ネタに詰まった…って言っていましたが、本当に詰まっていたんですね…
>前書きにああ言っているっていうことは……

 つまってました。――そのことについての裏話は一番最後にしたいなぁとか思っていますので、是非最後まで読んでください(宣伝)

>あ、『貴方は今幸せですか?』のレス有難うございました。

 どういたしまして♪ すごく良かったのです。

>短くて感想文になっていませんが、これにて。

 いえ、私の駄文に感想入れてくださり、どうもありがとうございましたのです。

>では、またむくぅさんに習って、逃走!
                   紫嵐

 それでは、今度は紫嵐さんを追いかけるべく――だっしゅなのですっ!
 むくぅなのでしたっ!

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16523逃げます・逃げます!紫嵐 8/10-19:20
記事番号16520へのコメント

こんにちは…もとい、こんばんわ、むくぅさん。確かにもうすぐ落ちますね。むくぅさんにこれを読んでいただけるかが心配です。
ちなみに、俺の『紫嵐』は、『しらん』で、読み方はあっていますよv
絶対に最後まで『紅の鮮血』読ませて頂きます!頑張って書いてください。
あ、むくぅさんが見えた。では、また逃走!
              紫嵐

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16528ご丁寧にどうもありがとうございます――追跡っ!むくぅ 8/10-21:18
記事番号16523へのコメント

紫嵐さんは No.16523「逃げます・逃げます!」で書きました。

>こんにちは…もとい、こんばんわ、むくぅさん。確かにもうすぐ落ちますね。むくぅさんにこれを読んでいただけるかが心配です。

 こちらもこんばんわ。むくぅなのです。大丈夫です。ちゃんと読みましたのです。

>ちなみに、俺の『紫嵐』は、『しらん』で、読み方はあっていますよv

 ありがとうございます。しらん、なのですね。

>絶対に最後まで『紅の鮮血』読ませて頂きます!頑張って書いてください。

 またまたどうもありがとうございますっ! がんばりますのですっ!

>あ、むくぅさんが見えた。では、また逃走!
>              紫嵐

 あっ! 紫嵐さんが見えたけどまた見えなくなった!? すぴーどアップなのですっ! それではむくぅなのでしたっ!

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16529二週間ぐらい帰省してきますむくぅ 8/10-21:21
記事番号16268へのコメント

 ↑と言うわけで、当然書き殴りには出ません。更新もストップしちゃいますのです(汗)
 短すぎですが、これだけです。
 では、行ってきますのです――逃走!

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