◆−獣王様の暇つぶし−むくぅ(6/18-21:15)No.16003
 ┣初めましてvv−あごん(6/18-21:54)No.16007
 ┃┗感想ありがとうございますっ!−むくぅ(6/19-13:47)No.16019
 ┣獣王様の暇つぶし 2−むくぅ(6/21-20:40)No.16045
 ┃┗ブギーさんだ〜あああっ!(絶叫)−のりぃ(6/21-23:20)No.16048
 ┃ ┗さぁ戦場調停士(でしたっけ?)に会いに行こうっ!−むくぅ(6/22-12:15)No.16060
 ┣獣王様の暇つぶし 3 −むくぅ(6/22-22:52)No.16075
 ┃┗はっ!早いっ!(追いつけてない)−のりぃ(6/23-15:40)No.16084
 ┃ ┗でもコメントは遅いのです……(コラ)−むくぅ(6/25-17:06)No.16109
 ┗獣王様の暇つぶし 4−むくぅ(6/29-13:35)NEWNo.16162
  ┗はうううううっ!(←読んでない)−のりぃ(7/1-19:39)NEWNo.16185
   ┣間違えた〜ぁぁぁっ!−のりぃ(7/1-19:53)NEWNo.16186
   ┗かったぁぁぁぁぁ!(←何が?)−むくぅ(7/2-13:25)NEWNo.16194


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16003獣王様の暇つぶしむくぅ 6/18-21:15


 ……うーん。
 昔の恥を今晒せ、ということで書くネタもないので何となく昔のを送りますのです――なんていうか文面が神坂様を中途半端に真似してて恥ずかしい……ま・いっかV
 というわけでというかなんというか、獣神官の憂鬱――獣王の暇つぶしを探せ! をご覧下さい。

==================================================

 久しぶりに呼び出され、彼はなにごとかと思いながらも、いつもどおりのほほん、と群狼島へと向かった。
 黒い髪に、黒を基調とした神官服。黒い神官(プリースト)、と言っても差し支えはないが、その肌は不釣合いなほどに白かった。そして、その顔には、にこやかな笑みが浮かんでいた……つまるところ、一言で言って腹黒そうな男である。食えない奴、とも言えるかもしれないが。
 群狼島――今はもういる必要などないその場所は、千年の間に彼の主の――創造主のお気に入りとなってしまったらしく、大抵はそこにいた。呼び出しがあったのもここである。
 ……呼び出しと言うと……あのグレた中学生が弱いものいじめをするような感じがあるが、まーそこはしょうがないだろう。
「……獣王様。獣神官(プリースト)ゼロス、馳せ参じましたー」
 間延びした声で、彼は――獣神官ゼロスは言った。どこを向いているのかいまいちよくわからないが、おそらく彼の視線の先には、黄金の髪を短くまとめた、一見しただけなら普通の女性がいた。服装はただの旅人風だが――彼は知っていた。
 この女性が、自分にとって――絶対者であることを。
 ――逆らえずとも、たまには……おそらく百年に一度ほどは反論を聞き入れてくれることも。
「遅い」
 目つきがキツいわけでもないのに……どことなく鋭い感じのする彼女の――その目で睨まれて、彼は――おそらく人間だったら冷や汗を垂らしているだろう気分に陥った。
「……す、すいませんっ!」
 彼は一瞬の沈黙の後、素直に謝った。彼女に――獣王(グレーター・ビースト)ゼラス・メタリオムにヘタに逆らっては、ただ単にわが身を危うくするだけなのだと、彼は知っていた。
「それで、今回の命は――いったいなんですか?」
 ゼロスの問いに、獣王は一瞬口を開きかけ――すぐ閉じた。なにか言うのを戸惑っているかのような、そんな印象を受けて、ふと彼は不安になった。
「……いったいなんなんです?」
 彼はもう一度、獣王に問いかけた。彼女は口を軽く開き――
 その単純明快な命を舌の上に乗せた。
「ヒマなんでひまつぶしの方法を考えてこい」
「は――ぁ?」
 彼は眉を寄せた……いや、確かに群狼島に延っ々と居続けるのはヒマでヒマでしょうがないだろうが……
「ひ・ま・つ・ぶ・し」
 彼女はもう一度、『わからないのか?』と言ったニュアンスをこめてか、ゆっくりと呟いた。
「は……ぁ」
 彼は曖昧に頷いた。いや、確かにわからないでもないが。
 わざわざ部下に頼むなよ。ンなこと。
 彼はかなりツッコミ入れたかったが、彼女に逆らうのはくれぐれもマズい。
 だが……
「――あの……で、具体的にどのよーな……」
「お前にこれをやろう」
 と、何だか昔にあったゲームの某王様みたいなことを言って、一つのパスポート略して『パス』を取り出す。
「……これは?」
「異界専用パスポートだ」
「――は?」
 ゼロスはうろたえっぱなしだ。ンなもんあったんかい。で、これをどーしろって? ――などと、某女魔道士ならそんなツッコミを絶対入れるだろうセリフ集が頭の中でくり返しくり返し、しかもエコーがかって聞こえてくる――
「これを使って、他の世界の『ひまつぶし』の方法を考えてくるがいい」
 いや『くるがいい』とか言われても……こっちが困るんですけど……
 確かに、そうは思った。色々気になる事もツッコミどころもありまくった。
 だが。
「……わ、わかりました……」
 そう頷くことしかできないのが、悲しい中間管理職の性である。上のひとには逆らえない。
 魔族――獣神官(プリースト)ゼロスの宿命だった。


 ――命令に頷いたはいいものの、具体的になにをしたらいーのだろうか、はっきり言って皆目わからなかった。
 とりあえずセルリアン・シティの外れで途方に暮れていると、彼に声をかけるものが一人。
「あら。ゼロス? どーしたのよ。こんなとこで」
 少女の声。
 ――そしてゼロス自身が知っている声。
「う゛っ……」
 ふりむきたくない。なんだか事態が死ヌほどややこしくなるような気がする。すごいする。
 だが――迷っている間に、声の主の方が、彼の前に回り込んだ。
 栗色の髪を腰あたりにまで長く伸ばした、何と言うか――魔族であるゼロスにとって、傍にいるだけで疲れそうな雰囲気を持つ少女――である。小柄な身体とは不釣合いなほどに大きい――その頭と同じ程度の大きさほどあるショルダー・ガード。それからは黒いマントが地に付かんばかりに伸びていて、腰には短剣を差していた。
 その瞳には、自分が映っている。明らかに、すでに疲れて途方に暮れている、自分。
 そういった事実をなんだか悲しい気持ちで受け入れながら、ゼロスはため息をついた。
「――リナさんこそ、どうしてここにいるんです?」
 とりあえず、そう問い返すことしかできない。彼女――リナ=インバースの問いに自分が答えてから、などという案ははっきり言って問題外だった。『異界にひまつぶしの方法を探しに行く』なんぞと軽はずみにこの少女に言おうものならば、力の限り馬鹿にされる。なぜか確信できた。
 ――しかもそのあと、『自分も連れて行け』などとめちゃなことを言い出すだろう。
「あたしの質問にあんたが答えるのが先だと思うけど?」
 こんな時に限ってなぜか鋭い。――あるいはリナも他人には言えないような理由でここに来ているのか……それは彼にはわかりようもないが。
「……どうしてそう思われるんです?
 どちらが先に言っても、別にそう差し支えないと僕は思いますが?」
 このセリフは、かえってリナに不信感を与える結果になってしまったらしい――半眼でこちらを見つめて、彼女は微かに口の端を吊り上げた。
「……どうして……ねぇ……ふん……」
 わざとらしい動作で笑って見せる。これはひっかけだと瞬時にゼロスは判断した。こういうのにヘタにひっかかった日には、それこそどうなるかわからない。
「ええ。どうしてですか?」
 笑顔で言ってやった。少女は表情を変えないが、内心舌打ちしていることだろう。そういう性格なのだ。彼女は。
 リナはしばらく笑みを浮かべたままこちらを見つめていたが、やがてすっ、とこちらを指差した。
「どうしてって決まってるでしょっ!
 あんたみたいなのがいる町には、果てしなく不幸が襲うからよ!
 理由を聞いてからさっさととんずらして、この先の町村四つほどに言いふらしまくるに決まってんじゃないっ!」
 自信たっぷりに、果てしなく無茶なことを言ってのける。ゼロスは一瞬肩をがくんっ、とコケさせた。
「……あのですねえ……ひとを貧乏神か疫病神のように言わないで下さいよぉ……」
「事実じゃない」
 きっぱりと言う。――こういうところが、彼を疲れさせる原因になるのだ――人間はそれを――あるいは美徳であると言うかもしれないが。負の感情を喰らう魔族にとっては、それは単なる疲労増幅の源に過ぎない――いや、『過ぎない』ではなく、実際やっかいなものではあった。
「……僕は魔族ですよ。神じゃない――ありえない」
「そうね。気を悪くしたかしら?」
 その方がいい、とでも言うかのように、少女は言いきって見せた。彼はリナにはわからないように、小さくふっ、と息を吐いた。
「……ガウリイさんはどうしたんですか?」
「足元見てみなさい」
「え?」
 言われて、ゼロスは言われたとおり足元を見る。
 そこには――まぁ伝承歌(サーガ)の好きな人間(彼とこの少女の知り合いに残念ながら一人いた)なら、餓鬼とでも称したかもしれない――そんな物体が倒れていた。ほとんどミイラと化しているような気が激しくしたが、おそらく死んではいないだろう。
 金髪(ブロンド)を長く伸ばした――いやその今はミイラ化しているが、いつもは美形の男――剣の腕も人間の中では超一流だが、頭が――と言うか記憶力が、はっきり言って悪い。悪すぎる青年だった。
「が、ガウリイさん……ですよね?」
「そーよ」
「……どーしたんです? こんな――その、変わり果てた姿になってしまわれて……」
「いやぁ。最近野宿続きでさぁ。ちょっとごはんが乏しくて――で――」
「こうなってしまわれた――と」
「あははははははv
 いや、でもあたしのせいじゃあないわけだし――」
「でも――この周辺、どういうルートでこの町にきても、一日単位で一つ二つは町や村があったような気がするんですけど……」
 ひきききききっ!
 彼の呟きに、音すら立ててリナは硬直した。
 ――そして、しばし経ってから気まずげにぽりぽりと頬をかくと、
「この周辺――あたしが過去訪れて『二度と関わりあいになりたくない』ってゆー町が軒並み並んでたのよッ!
 ……かく言うここもその一つなんだけど……ガウリイの胃袋に限界がきて……」
 尻すぼみに呟いて、彼女ちらりっ、と自分の『自称保護者』の方に目を向けた。
「……なるほど」
 なんだか理解できるようなできないような微妙な感じではあるが、とりあえずはわかったことにしておいた。追求すると今度は少女の方が怒り出す。
「……とりあえず、リナさんが行く町行く町に不幸を振りまいているのはわかりました」
「……あたしもとりあえず、あんたがいつもいつもいらんこと言いなのはわかったわよ」
 どうやら怒らせてしまったらしい。自分が意図してやったのかどうかはともかくとして、事実をうやむやにするのには成功したようだ。
 逃げるのは今だ。
 彼はわざとらしそうにぽんっ、と手を打つ。
「ああ、そうでしたそうでした!
 僕ちょっと急ぎの用事があるんで――失礼……し……」
 がしっ、と腕をつかまれてゼロスは硬直した。リナはこの上もないような、いわゆる至上の笑み――そう、例えれば、獲物が我が手にかかった瞬間の肉食獣の笑みだ――を浮かべながら、首を少し傾げて呟いた。
 声だけは、異様に冷めていた。
「――どこに行く気?
 話は――まだ終わってないわよ」
 おそらくこういう時に神に祈るのだろう。
 ――人間という、生き物は。
 ゼロスは――はっきりとそう確信した。
「とりあえず、あたしを怒らせたおわびってことで、どっかでごはん食べましょ。
 もちろん――あんたのおごりでね」
 ひたすらムチャなことを言いまくり、笑みは浮かべたそのままに、笑みを消し、脂汗を大量に額に浮かべたゼロスをひっぱって、リナは手近な食堂へと足を踏み入れた。
 ――もちろん、ミイラとなったガウリイも連れて。
 そして。


 どがしゃぁぁぁぁあっ!
 入ったその瞬間、あたしは思わずコケていた。
「やぁ、久しぶりだね。リナくん」
「――お知り合いですか?」
 眉をかすかに寄せてゼロスが言ってきた。あたしはやはりかすかにこくんっ、と一つ頷いて、ゆっくりと立ちあがる。
 ゼロスとあたしの先にいるは、金髪の無表情知的美人女性。
 あたしは、彼女のことを知っていた。
 ――そして。彼女が実質馬鹿野郎であることも。
「え、ええ。ひさしぶりね。エイプリル――」
「その節はどうもありがとう。おかげで助かったよ」
「んっんっんっ。そのことについては過去のイヤな思い出がよみがえるから、触れないで欲しいんだけどね……」
 あたしは笑みを険悪にしつつ、エイプリルと同じテーブルに座り、ゼロスの方をチラッと見やった。
 あたしがコケた時のまま、困った顔でうずくまっている彼に向かって、
「――ちゃんとおごってよね。ほらほら、席について」
 と、彼に親切に席を進める。彼は一瞬外を見やったが、あたしの視線が突き刺さるのを感じたのか、快く席についてくれた。
「あ――の、そちらの方は?」
「話そらそうってったって無駄よ。でも、ま、いーでしょ」
「――私も、彼と――そちらのミイラの名を知りたいのだが」
 エイプリルが席に突っ伏して座っている――というより持たれかかっているガウリイを気持ち悪そうに見やりながら言った。
 あたしはちっちっち、と指を振った。
「いいわ、あとで紹介しといたげる。
 でも――その前に……」
 言って、あたしはその手をそのまま高々と頭上に持ち上げる。それを不思議そうに見るゼロスとエイプリル。
 そして。
 あたしは声をきっぱりはりあげた!
「おばちゃーんっ!このスペシャルセットっての五人前ねーっ!」
「あいよっ!」
 どごうぅっ! どがっ!
 横でにぶい音がした。ちらりと見ると二人がテーブルに頭を打ちつけている。
 そして。
 ガウリイはいつのまにか復活して、満面の微笑みで料理を待つ準備を終えていた。
 すなわち――
 あたしとのごはん争奪戦にそなえて!
「ふっ……ガウリイっ!
 共に旅するあたしの保護者とはいえ、容赦はしないわよッ!」
 びしぃっ!とガウリイを差して、あたしは宣戦布告をした。ガウリイは不敵な笑みを浮かべると、
「おうっ!望むところだぜっ!俺は――」
 と――ここで彼はメニューのイラストを指し示す。
 その指の先にはっ!
 ぷりてぃなぴこぴこタコさんウインナーのお姿がッ!
「このタコさんウインナーは俺がいただくっ!」
「ふっ! あたしだってこのタコさんウインナーは、すべてもらってみせるわっ!」
「あのー……リナくん?」
「リナ……さん?」
 横でエイプリルとゼロスがなにやら寂しそうな面持ちで呟いていたりするが、それはむろん無視。
 それよりっ!
「んっん。早くこないかなーすぺしぁるせっとぉー♪」
 そう、あたしには。
 スペシャルセットを待つ義務――いや、使命があるのだっ!
 むろん――きたるべき戦いにそなえ、フォークとナイフは手元に置いてある。
 このフォークとナイフでっ!
 完膚なきまでにガウリイからタコさんウインナーを奪い取ってみせる!
 もちろん。 
 あたしの心の中はこの時すでにタコさんウインナーで占められており、ゼロスの目的を聞き出すことを忘れているのは――
 言うまでもないことだった。


「んー。タコさんウインナー五つあるうち三個は食べれたけど、あとはガウリイに持ってかれちゃったー……
 ふっ、あたしもまだまだねー」
 口直しのホット・ミルクをひとくちこくんっ、と飲み下し、リナは次の料理を頼もうと、メニューに目を通していた。
 ――逃げるなら、今だった。
 だが。
 この女――エイプリル=ランドマークとか言ったか――の目が気になった(リナたちが我を忘れて食べている間に自己紹介しあった)。
 探偵だというし、もちろん、食堂の人間の目も気になるのだが、今はランチ・タイムだ、客とウエイターも含め、こちらにいちいち注意を向けている人間など一人もいないだろう。
 しかし、エイプリルはどうだろう? もしかしたら失踪事件だと騒ぎ始めるかもしれないし、もしかしたら自分を魔族だと見ぬいてしまうかもしれないのだ。
 …………一つ断っておく。
 ゼロスは、彼女のことを『有能な探偵』だと想定して考えているのであって、彼女が犬も食わない大馬鹿野郎であるなど見ぬけるはずもない。それがふつーである。
「……困りましたね――」
「何が困ったんだね?」
「いえ、何でもありません」
 耳ざとくこちらの呟きを聞きつけるエイプリルに、笑顔で答える。が、彼は内心焦っていた。
 このままでは、リナ=インバースに理由を聞き出されてしまうかもしれない。
 それは――いくらなんでも困る。
「あー……ま、もういいでしょ。
 ――で、ゼロス」
 じろりっ、とリナはこちらを見つめた。いや、睨んだ。
 びくぅっ!
 ゼロスは思わず身をすくませる。リナはそしてにんまりと笑う。
「ここのおかんじょー、お願いね♪」
「……………は?」
 彼は思わず目を点にしていた。そういえばそういう話だったようにも思える。そう、確かに。
「エイプリル、ゼロスとワリカンしなさいね」
「ちょっ……わ、私もかっ!? リナくんっ!?」
「じゃ、お願いね、店の外で待ってるわよ」
 と、エイプリルのツッコミ無視し、ガウリイ引き連れてすたすたと店の外に出て行ってしまう。
「た……助かった……?」
「何も助かってないぞっ! だいたい私はリナくんのことをおごるなど一言も言ってないし、それに……」
 エイプリルの声をどこか上の空で聞きながら、ゼロスはぼけぇっ、と勘定しに歩いていった。


 ……別に忘れていたワケではない。
 だが、あいつに一時の喜びを与えてやるのでも、いーではないのかと思ったり。
 …………そう、決して別にゼロスの目的聞き出すのを忘れていたわけでは、断じてないのであるっ!
 ――きっぱりとそうなのだっ!
 誰が信じようが誰が信じなかろうがどうでもいいが、そうだったらそうなんであるっ!
「リナ、どうした?」
「……何でもない」
 あたしはガウリイの声に適当に答えつつ、ふっと軽くため息をついた。
「今度は、なにを企んでるのかしらね……」
「ゼロスか――」
 ガウリイは顔を真顔にする。こういう時は顔がきりっ、としているのだが……
 あたしはかすかに頷いた。
「……あいつ、ルークのこと、謝りもしないで、やんなっちゃうわ。生粋の魔族って奴?
 あいつ……なにもなかったように……笑っててさ、なにっ!?
 なんなのよあれはっ!」
「さぁな、だが……今度はなに企んでいるのか――ロクでもないことは確かだけど」
 言ってため息一つつく。むろん、面倒くさいから、ではない。
 イヤなのだ。
 彼も、あたしも。
 もう――あんな目にあうのは――あんなことは――ごめんなのだ。
「けど、あいつがなに考えてんのかはともかく、問題は――それを聞き出せるかどうか、よね……」
 そう――問題はそれなのだった。
 過去、あいつから『はっきりと』目的を聞かされたことがない。
 ――嘘は、つかない。
 ただ、はっきりといわず、あたしたちが出す答えを間違った方向へと導く――
 そーゆー奴である。
「でも、今回は絶対に聞きだしてみせる。 そう。絶対ね」
「なにが、絶対なんです?」
 びっくぅっ!
 あたしは思わず心臓をはねさせていた。
「――ゼロス。あんた、心臓に悪いわよ」
「いえそんな。リナさんたちが悪巧みされているようでしたから――つい、ね」
「あんたほどじゃないわよ」
 あたしはこれ以上もないほど低い声で、呟いた。
 おそらく、彼の頭の中に『ルーク』という存在は、もうないだろう。
 滅びた王など、彼にとっては覚えるに値しない存在なのだから。
 それが――
 あたしには、むしょうに悔しかった。
「リナさん、どうしました?」
「ちょっと、ね。 そうそう――
 あんたの目的、教えてもらおうかしら……そろそろ、気持ちの整理もついたんじゃないの?」
「え゛――お、覚えてらしたんですかっ!?」
「当たり前でしょっ!?」
 あたしは叫んだ。
 忘れたと思っとったんかい。このばか神官は。
「さぁっ! きりきり吐いてもらいましょうかっ!
 あんたがなにを企んでるのかを、ねっ!」
「それは――」
 言って彼は人差し指を口の前に持ってくる。あたしはびしぃっ! とゼロスを差して、
「言っとくけどっ! 秘密ってのはナシよっ!
 今回のは――なにがなんでも教えてもらうんだからねっ!」
「でも秘密です。
 教えられませんってば」
「教えてもらうわよ」
 あたしは、静かにゼロスをみすえて言った。
「あたしは――誰にも傷ついて欲しくない。
 ルークみたいなひとをもう見たくない――それだけよ」
 あたしの言葉を聞き終えて、ゼロスは困ったようにあたしを見返してくるのみ。
 エイプリルはと言えば、話が見えずきょろきょろとあたしとガウリイとゼロスを、不思議そうな顔で見まわしている。
 やがて――
 ゼロスは、大きく大きく――ため息をついた。
「……まったくあなたってひとは……しょうがないんですから……」
 言って、彼は苦笑した。
 そう。まったくしょうがない。
 あたしも――心の中だけで苦笑した。
 いつものあたしなら、これ以上追及することを諦めて、せめて完全に言い尽くすまで彼に付いて回るなりしたろう。
 だが――今回はあの事件の――ルークのことの直後だったこともあって、すこしムキになっていたのだ。
 が、口をついて出た言葉は、思っていたこととははっきり言ってまるで逆だった。
「……しょーがないもなにもないわよっ!
 さぁっ! 教えてもらいましょうかっ!」
「しょうがないですねぇ……」
 彼はため息をついて、あたしになにもかも、話してくれた。
 そして。
 彼の話が終わったあとで。
 あたしは迷わず、彼を指差し、力いっぱい大笑いしていた。


「ってワケで、あたしとガウリイも連れてきなさいよね」
 ひときしり大笑いしまくったあとで。
 彼女は、ゼロスが最初思った通りのセリフを笑顔で呟いた。
「いや、その――えっと……」
 慌て慌てて出たセリフはそれだけだった。
「んっふっふ。もしかして♪ あたしを連れてきたくない、なんて言うんじゃないでしょーね?」
「――それは当然の反応だと思うけど」
「ガウリイ、るさいわよ、黙ってなさい」
 リナはガウリイのほうを向き、きっ! と睨んで黙らせた。
 そして。
 エイプリル=ランドマークは一人、なにやら思案顔でぷつぷつ呟いている。
「ふぅ……む、なるほど……
 つまりそちらのゼロスくんは魔族――ということでおおむねまちがいはないのだね?」
「だからそうだって言ってるじゃない」
 『魔族』という単語に反応して、びびくっ!と通行人の一人か二人が立ち止まるが、すぐにまた歩き始める。
「……で、ひまつぶし……」
「そーいうもんなのよ。こいつは」
 リナは異様に冷めた目で言った。ゼロスは立場なさそうな顔で、
「あの……そぉきっぱり言われると僕――ちょっと立場ないんですが……」
「いいじゃない。今に始まったことじゃないでしょ。ンなこと」
「…………」
 思わず黙る。
「よしっ! わかったっ!」
 エイプリルはぱちんっ!と指を鳴らす。
「その異世界への旅ッ!
 この、エイプリル=ランドマークもご一緒しよう!」
『なにぃいいぃいぃぃいいっ!?』
 声を見事にハモらせて。
 ゼロスとリナは叫んでいた。
「ちょちょちょちょっと待ってくださいッ! それは僕も獣王様に怒られるっていうかなんていうかっ!
 リナさんたちは知ってる人間(ひと)だからともかく――」
 と、そこでちらりっ、とリナとガウリイに視線を巡らせ、またエイプリルの方を向く。
「……あなたは完全な部外者です――
 少し――ご遠慮していただきたいんですよねぇ……」
「ふっ。真理の探求を怠らないのが探偵と言うものなのだよ。ゼロスくん」
 ちちちっ、と指を振りつつ、いきなり全然かみあってないセリフを吐くエイプリル。ゼロスは思わず邪悪な笑みをおさえ、きょとん、とした顔つきになった。
「つまり――そこに遠慮など不要ッ! というわけで連れて行きたまえッ!」
「いや、たまえって……」
 ンなこと言われても困るんですけど……
 ゼロスが呟くのを遮って。
「んー……わかったわ。いいわよ。エイプリル――行きましょう」
「えええええええええええええええっ!?」
 リナの言葉に、驚いた声を上げたのはゼロスだけだった。
「いいじゃないか、ゼロス。別に減るもんじゃあないんだし」
「減る減らないの問題じゃあないですよぉッ!」
 ――と言うか、そもそもリナたちはもとより、エイプリルは『すぺしゃる』キャラである。説得は全く無駄。夢の果てである。
「……はぁ……
 しかたありません……いいですよ」
 ひたすら大きなため息一つして、ゼロスはきっぱりあきらめた。
「よぉっしっ!じゃあ異世界に、れっつごーっ!」
 振り上げたリナの拳がふわりと霞む。
 異界への扉は、今――開かれた。
 ――が。
 その理由がひまつぶしじゃあ、カッコも何もあったもんじゃあないのだった。
                                            ――つづく……の、か?
==================================================
 ああっ! すいませんすいませんすいませんなのでえぇぇぇえすっ! これは私が中一の頃に血迷って書いたものなのでして。
 その頃は『書き殴り』があるのなんて知らなくて、何となく自己満足で書いていただけのシロモノで――(汗)
 ……なんだかこの頃から芸風が変わってないというか全く進歩がないどころか退化しまくってるというか――
 最近はとある人の影響受けてときどき『にょ』とか呟いてたりして――なのですし。
 話は戻りますがこの話書いてたときは『スレキャラが色んな作品に乱入したら面白いよナ…』とかありがちなこと考えていて……続きは――あるのでしょうか――
 よしゃっ! 恒例となったところでよぉぉぉおいどんっ! れっつすたーと地の果てまで逃げますのでぃぃいっすっ! むくぅでしたぁっ!

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16007初めましてvvあごん E-mail 6/18-21:54
記事番号16003へのコメント

初めまして、こんばんわぁvあごんという者です。

獣王様のひまつぶし、タイトルだけで「何事っ!?」と惹かれてしまいましたv

中を読んで更に「何事っ!?」でしたが(笑)。

エイプリル、大好きなんですよ〜〜vv
彼女こそ探偵の中の探偵だ、と秘かに思ってたりします(笑)。

獣王様もナイスでしたしvv

短いですが、この辺で失礼しますね(汗)。
続きを楽しみにお待ちしておりますvv
ではでは、あごんでしたv




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16019感想ありがとうございますっ!むくぅ 6/19-13:47
記事番号16007へのコメント

あごんさんは No.16007「初めましてvv」で書きました。

>初めまして、こんばんわぁvあごんという者です。

 こちらはこんにちは♪ はじめまして。むくぅというものなのです。あなたの作品は二つ三つしかよんでません、すいません……少々お時間おば。今読んできます。

>獣王様のひまつぶし、タイトルだけで「何事っ!?」と惹かれてしまいましたv

 苦し紛れにつけたインスタントタイトル……ああっ! なんだか好評っV

>中を読んで更に「何事っ!?」でしたが(笑)。

 自分も読み返してみて「何事ッ!?」でした……(汗々)

>エイプリル、大好きなんですよ〜〜vv
>彼女こそ探偵の中の探偵だ、と秘かに思ってたりします(笑)。

 あぉうっ。(だめ)探偵の中の(だめ)探偵、エイプリル。
 彼女、素晴らしい推理かましてくれましたからね。私は文庫で読んだんですが、もう一発で彼女の虜(色んな意味で)になってしまったのです……

>獣王様もナイスでしたしvv

 ちょーしいい美人ねーちゃんにするか厳かで威厳はあるがわがままな美女にするか――迷ったけど十五巻の影響が出てましたですからね。にゅわにゅわと。

>短いですが、この辺で失礼しますね(汗)。

 いえっ! 感想どうもありがとうございますなのですっ!

>続きを楽しみにお待ちしておりますvv
>ではでは、あごんでしたv

 続きは……ぐぶ……頑張ってみますが首は長くしないで下さい。期待できません(汗)
 では、むくぅなのでしたっ!

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16045獣王様の暇つぶし 2むくぅ 6/21-20:40
記事番号16003へのコメント

 何を血迷ったのか……連載はじめ……

 『異世界を旅する』といっても、ゲーム、マンガ、小説、アニメ、そしてオリジ――と節操なしになる予定なのです。さぁがんばって暇つぶしの方法を発見しましょうなのですっ!
 ちなみに今日は獣王さまに逆らえない中間管理職、獣神官(プリ―スト)ゼロスどのに来ていただいているのです。
 (方向を転換)と、ゆーわけでゼロスどの。道中リナの暴走やらガウリイのボケやらエイプリルの的の外れた素晴らしすぎる推理を止めるのに思う存分苦労してくださいなのです。
「ああああっ! あなたのせいですよあなたのっ! リナさんたちが関わってまともに仕事が遂行できたためしなんかほとんど――いえ全くないんですからっ!」
 当たり前なのです。二回くらいしかリナどのたちが貴公の仕事に関わったことはないのです。それに貴公がセルリアン・シティなどに行くから悪いのです。
「そんなくどい喋り方しなくてもわかってますっ! ――で、今回はどこに行くわけですか?」
 ――ではでは、よろしかったら読んでみてくださいね皆さんV
「あッ! ちょっとっ! 話を聞きなさいッ!」
 登場人物のことばを無視して話に入る……これぞ一度やってみたかった作者の特権なのです。
 前ふりが長くなりましたが、どうぞ読んでくださいなのでぐげふ(ゼロスの錫杖で殴られたらしい)。

====================================================== 

 霞みがかった視界。
 白い――霧。
 そこに浮かんでくる。ぼやけた映像(ヴィジョン)。
 これ――は……
 ……の――てき……
 音がした。
 いや――それは――声だったのかもしれない。
 いずれにしても――
 なにも――見えない――
 ただ――奇妙な浮遊感が自分を包むのみ。
 ――てき――
 音はやまない。
 断続的に、さながら水に浮かんでは消えて行く泡のように。
 何度も何度も、あたしの耳に音は届いた。
 ――うるさい――
 自分も音を紡ごうと、あたしは口を開く。
 ごぽりッ――
 そこであたしは気づいた。
 自分が――水の中にいることに。
 そして白い霧と思っていたのが、無数の小さな泡だったと言うことに。
 ――あたしは浮かびあがろうと、激しくもがいた。
 そして――


 視界は唐突に開けた。
「っとと!」
 あたしは二、三歩たたらを踏み、なんとか転ばず立ち止まる。
 ここは――?
 思ったが早いか。
 目の前に――土の地面が見えた。
「――ぐべっ!」
 激しく地面と激突して、あたしはヘンな声を上げた。
 ……どうやらまだ寝ぼけていたようである。
 寝ぼけて?
 あたしはいきなり出てきた単語に、きょとんっ、とした顔をする。
 ――それならば、今のは白昼夢だろうか。
 あたしは地に手をついて起きあがりぶんぶんと顔を振った。
 立ちあがって周りを見ると、目の前に噴水があった。
 視線を転じれば、まばらに木々が立っている。
 公園――だろうか――
 空を見ると、どんよりと曇っていた。
 辺りは――今度は間違いなく霧がかかっていて、白く薄暗い。
「――これが――異界とやらなわけね」
 あたしは呟いた。
 そうだ。
 やっと思い出した。あのゼロスの話を。
 獣王の『ひまつぶし』の方法を探しに、あたしはゼロスにくっついてむりやり異世界に連れてきてもらったのである。
「――で、その肝心のゼロスはどこなわけ? ゼロス? ガウリイッ! ――ええと、エイプリルッ! 返事しなさい!」
 …………………………
「ちょっと! 本気で誰もいないわけッ?!」
 あたしの問いに、無人の公園は沈黙を持って答えた。
「……どう言うこと――もしかしてまたあのゼロスに担がれた……?」
 呟いてみて、あたしは自分でその考えを否定する。
 ゼロスは嘘だけは絶対につかない。彼は『獣王のひまつぶしの方法を探しに異界にいく。それ以外に目的は全くないし企んでもいない』ときっぱり言ったのである。
「だったら――ここは……どこ?」
「ここは世界と世界の狭間だよ」
「――!?」
 あたしの問いに答えた、唐突に響いた聞いたことのない声に、あたしは辺りを見回した。
「……誰――?」
「僕は――まぁ死神、とでも名乗っておけばいいのかな」
 すぐ隣で聞こえた芝居がかった口調に、あたしは顔をしかめた。
 視線を転ずると、黒ずくめに黒い円筒形の帽子をかぶった、顔の位置はあたしと同じぐらいの、人間の形をした存在(モノ)が立っていた。
「死神?」
「噂では――そう言うことになっている。普通の人はそう思っている。
 それなら僕は死神だ――違うかい?」
 中性的な、芝居がかった声。
 ――あたしは、だんだんいらいらしてきた。この喋り方が癪に障る、と言うのもあるが、ガウリイたちの姿が見えないことがなにより気にかかった。
 とりあえずあたしは、この芝居がかった『それ』の話に乗ってやることにした。
「あんたがどう思ってるのかが重要なんじゃないの?」
「――そうかもしれないね――だったら僕は――自動的に浮かびあがっては消えてゆく――泡――だ」
 その黒ずくめの言葉に、あたしは顔をしかめた。
 ――さっきの夢を、思い出したのである。
「君はどうやらまだすることがあるらしいね。僕はここで出番を待っているんだが――
 ――ああほら。君を呼んでいる声がするよ。早く行かないと――ここから出られなくなってしまう」
 言って、『それ』は空を振り仰いだ。あたしもつられて――空を見る。
 ――な。りな――リナ――
 声がする。
 声が――
「あんたは……?」
 あたしはふりかえり、『それ』に向かって問いかけた。
 聞いておかなければ。
 覚えておかなければならないような気がした。
 この黒ずくめを。
「あんたの名前は――?」
 問われて『それ』は、なんとも――よくわからない表情をした。
 笑っているような、悲しんでいるような――そんな――顔を。
「――僕は――ブギー・ポップだ」
「不気味な泡(ブギー・ポップ)……?」
「そう、僕は――ブギー・ポップだ」
 あたしがその『世界と世界の狭間』で耳にした言葉は――
 それが最後となった。


「リナッ!起きろよッ!」
 ――っ!
 ごち。
 ――今の音は、がばりっ!と勢いよく起きあがったあたしの額と、あたしの顔を覗き込むようにして叫んでいたガウリイの顎が激突した音である。
 …………あー痛。
 白い壁が見えた。天井も白い。あたしの寝ているベッドの横にもう一つベッドがあって、どうやら宿屋のようなところらしい。少し豪華だが。
「リナ――起きたのか」
 ほっとしたように。
 優しい笑みを浮かべて、ガウリイが言う。
 ――ほっとしたのは――あたしの方も同じだった。
「ガウリイ……」
「ああ、リナさん、起きたんですか」
「リナくん、この私さえ大丈夫だったと言うのに、気絶するとはどういうことだね?」
 呟きに、間髪いれず聞こえたゼロスとエイプリルの声に、あたしはむらむら怒りがこみ上げてくるのを感じた。
「――出てけえぇぇぇぇぇぇぇえッ!」
 立ちあがりざまにあたしの放った蹴りに、見事にゼロスとエイプリルは沈黙した。


 世界を移動する、と行っても、自分たち魔族にとっては、感覚は空間を渡るそれとほとんど同等のものだった。
 だから、完全な人間であるはずのガウリイやエイプリルが何ともなかったのにも関わらず、意思力の操作(コントロール)にも長け、今、恐らく最も魔力の高い人間であり、さらに『あのお方』に接触した唯一の人間でもあるリナ=インバースがショックで気絶した時には――かなり驚いた。
 ……いや、逆に『だからこそ』とも言えるのかもしれない。
 魔力と繋がりの大きい彼女であるからこそ、初めての感覚に敏感に反応してしまった――と言うのはあるかもしれないのだ。
 にしても――
 彼女が目を覚ました気配を察してきてみれば――叫びとともに蹴られる始末である。
「これじゃ――酷い仕打ちですよ……」
「確かにそうだねゼロスくん」
 ゼロスのぼやきに反応して、エイプリルはこくんっ、と頷いた。
 ここはとあるホテルの廊下である。
 彼らはリナに追い出され、ここでぼーっとつったっているのだ。
 部屋の割り当てはリナとエイプリル、ガウリイとゼロスが、それぞれ同室になっている。
 この世界の通貨は、世界に来たと同時に手元にあった袋に入っていた。その他にも色々――歯ブラシセットやその世界に関する事典など――が入っていたりしたが。
「にしても――よくわからない世界だね。ここは」
 エイプリルが呟いた。
「文明は相当に進んでいるようだが、魔道がない――君の話だと、精神世界面(アストラル・サイド)は私たちの世界とほぼ同質のようじゃないか」
「ええ。確かに――」
 彼女の言葉に中途半端に同意して、ゼロスは鞄にしまってあった事典を取り出した。
「……この世界では――神が魔を滅ぼしてしまったんです。人間が――いえ、神と魔以外のすべての生物が生まれる前に」
 事典はすべて白紙である――ただ、彼の望んだ知識が精神世界面(アストラル・サイド)を介して流れ込んでくるのだ。
 ――神もまた、やがて自ら混沌の海に還っていった。魔を滅ぼしたならば、神の存在意義はなくなる。
 ゆえに。
 神は滅んだのだ。
 自ら――望んで。
 そして、虫が生まれ獣が生まれ――人間が生まれた。
 神と魔が滅んだゆえに、人間は魔を知らず――魔と異なった文明を築いた。
 それが――その結果が――この世界、というわけだった。
「まぁこんなところですね。
 でも人間、自分より大きな存在――自分たちより偉い存在がないと不安になってしまうもんです。
 だから――自分たちで『神』を作り上げた。自分たちが崇め、奉るためにね」
 しかしそれは人間の作った存在(もの)。虚構のもの。
 だから『神』はたくさん生まれた。
 そしてやはり、『神』が強く自分たちを庇護する存在であるためには――
「それに敵対するもの――魔族が必要だった、というわけだね?」
 実は死ヌほど珍しいと思われる、エイプリルのなかなか的を得た言葉に、ゼロスはこくりっ、と頷いた。
「そうです。
 ――まぁ、地方によって妖怪とか悪魔とか――色々呼び名が違うようですけどね。
 ときどき、異界を介してひょっこり伝わってくる映像と、実在の人物を結び付けたりして、吸血鬼(ヴァンパイア)やらの伝承ができたりするみたいですけど」
 ゼロスはぱたんっ、と事典を閉じた。
「興味深いのは――ずいぶん前に起こったことですが――『魔女狩り』ですね」
「魔女狩り?」
「ええ。異界を介し伝わってくるのは映像だけではありませんから。
 それでやはり、魔に気づき魔道を扱い始めた女たちは――魔族や悪魔の使いとして徹底的に狩られた。こいつは魔女だ、そいつも魔女だって言ったらすぐその人が魔女だ、ってことになって、とばっちりくって死んだひともたくさんいるみたいですけどね」
 ゼロスは壁に寄りかかり、ぺたんっ、と床に腰を下ろした。
 人間という生き物はどこまで愚かなのだろう。彼はくつくつと笑う。
 エイプリルの『好奇心』、という感情が伝わってきた。
「……そーゆー歴史を持った世界に、いいひまつぶしの方法があるのかはわかりませんけど――ま、気楽にやりましょうか」
 なんだかまぬけなセリフをゼロスは呟いた。
 ――『ひまつぶし』という単語は、かくもシリアスをぶち壊しにする代物なのである。


 ……?
 あたしは顔をしかめた。
 ――部屋の端に位置する、黒い箱。
 黒いつるつるとした表面を別の素材が縁取りしていて、右下の辺りにくぼみがついている。
「なに? これ」
「俺にわかるわけないじゃないか」
 そーいえばそうだ。
 あたしはとりあえず、そこのくぼみをぽちぃっ、とおして……
 ……ざーっ。
 白と黒の砂嵐が突然つるつるとした部分に浮かぶ!
『うををををををっ!?』
 あたしとガウリイは思わずハモって叫び声を上げた。
「どうしたんです?」
 あたしの怒りがまだ収まっていないと思ったか、ゼロスがそろそろとおそるおそる扉の間から顔を出した。
「ぜろすっ! なにこれ!?」
「――あー……それ、テレビですよ」
「って、なんだっ?!」
 ガウリイが目をきらきらとさせてゼロスに問いかけた。ゼロスはぽりょぽりょと頬を掻くと、別のくぼみをぽちっと押す。
 ぱっ。
 ををっ!?
 砂嵐が森に映る。
「これは――まぁようするに、僕らの世界の隔幻話(ヴィジョン)みたいなものです。それを映し出す魔道士はいませんけどね」
「ほほぉぉぉう」
 エイプリルが興味深そうにずいっと『てれび』の前にくる。
 ぽち。
 ぱっ。
 画面は切り替わって、今度はよくわからん鉄の棒の前で漫才やってるおっちゃん二人。
 ぷつぅっ。
 最初にあたしが押したスイッチを押すと、画面はまた黒く染まった。
「すごいなー。この『テレビ』って」
「こっちの世界ってよっぽど頭いー人がいんのねー。こんなもん考えつくなんて」
「そうでもないと思いますけどね……」
 ゼロスが意味ありげに言った。
「どういうことよ?」
「いやまぁ――それはともかく、そろそろ外に出ませんか? 外はまだ昼です」
 あ。たしかに。
 あたしは窓の外を見て空の色を確認した。
 っていうか高いぞ――建物――人、豆粒みたいだし。
 ゼロスを振り返り、あたしは頷いた。
「そーね。
 じゃ、さっそく出発島しょーかっ!」
「ああちょっと待ってください。忘れてました」
 あたしは勢いあまってコケた。床は絨毯だったのでそんなに痛くなかったが。
「ッ――なによ」
「リナさんや僕らの格好はこの世界じゃヘンなので、着替えてください」
「あ、そーなの? わかったわ」
 ゼロスがごそごそと鞄の中から服を二着取り出してあたしとエイプリルに手渡した。
 あたしの服は絵の具をぶちまけたような絵が描いてあるの半袖のシャツと、蒼いGパン。
 エイプリルの方は――あえて言うなら蒼いタキシード、と言ったところだろう。
「じゃあ僕たちはあちらの部屋で着替えてきますので」
 言ってゼロスはすたすたと部屋から出て言った。
 …………………
「ガウリイ」
「ん?」
「……『ん?』じゃなくて――
 あんたも出てかんかあぁぁぁぁぁぁあいッ!」
 どかぁぁぁあっ!
 あたしの鉄拳はガウリイの鳩尾にヒットした。


「――うーん、アトラスシティに増して人がいるわね……」
「だなぁ」
 リナの言葉に、ガウリイがなにも考えていないような相づちを返した。
 ――そう、確かに人は多かった。
 どこから沸いてくるのやら、わらわらと、やたらと人間は昼の町を闊歩していた。
 ちなみにゼロスの服は背広、ガウリイの服は蒼いトレーナーとカーキ色の綿パンである。
「やはり魔族や魔物がいないと人は増えるものなのだね。ゼロスくん」
 エイプリルはこちらの世界にきてからやたらと自分に話しかけてくるようになった。
 こちらの世界のことを一番よく知っているのが自分――ゼロスであることはは明白だったし、なによりリナとガウリイでコンビができあがっていた、と言うのは大きいだろう。
「まぁ、人口が爆発的に増えたのはここ五十年間、ってところですね。
 それ以前はこの国も結構荒れてたようです」
 彼の答えは彼女に聞こえたかどうか。
 なにしろ見渡す限り人の海。
 様々な感情が、魔族であるゼロスには感じられた。
 ――疲れている。
 みな、とても疲れているような――そんな感情が流れてくる。
 まあ――
「……こんな世界にいたら、疲れもするでしょうけどねぇ……」
 自分ですら聞き取れない呟き。
 それは――かすかな嘲りのこめられた――
「――っ!」
 前方を歩くリナが、急に立ち止まった。
「あれは……」
 一瞬、すべてが静寂に包まれたような気がした。
 人の海にはあまりにも不似合いな、浮いている存在が――
 そこにはいた。
 黒い――黒ずくめの『それ』は、一瞬こちらに視線を向けた。
 違う――
 『こちらに』ではない。
 あの黒ずくめは、確かに――リナを見ていた。
「ブギー・ポップ……!」
 彼女は小さく呟く。
 黒ずくめがふいっと視線を逸らし、己に集まる視線をものともせずに走り去った。
「――追うわよ!」
 リナが短く叫び、答えを待たずに走り出す。他の皆もそれに続く。
「どういうことだッ!? リナッ!」
「知らないわよッ! あれは――でもあれは、夢に出てきた……っ!」
 ガウリイの問いに、リナはそう返した。
「それは……夢ではないでしょうね――」
 ゼロスは走りながら――恐らく誰にも聞こえなかったであろう呟きをもらした。


 『君たちはこの世界にとって異物でしかない』


 どのくらい――走ったか。
 いつの間に、人気のない場所に出た。
昼なのに――先ほどの人込みの中で感じた日の光は、確かに夏の暑さが感じられたのに――それなのに――なぜか寒気がした。
 あたしはあの夢の中に――あの世界と世界の狭間に――また落ち込んでしまったのかと、後ろを振り返る。
「ずいぶん寒いな――夏じゃなかったのか?」
 よかった。いる。
 思わず安堵の息をつく。
「ガウリイ。さっきの奴の気配、探れない?」
 あたしのことばに、ガウリイは首を横に振った。
「――見失った……?」
「そうでもないよ」
 突然声が聞こえた。
 ――上から。
 振り仰ぐまでもない。
 声には聞き覚えがあった。
 あたしは声を知覚した瞬間、瞬時に殺気を感じ取り、真上に向けてあたしは呪文をを解き放つ!
「魔風(ディム・ウィン)ッ!」
 風を起こすこの魔法、傘を持った子どもが何とか飛ばされる程度のシロモノだが、落ちてきた人間の落下地点を変えるのには十分!
 ひゅごぅっ!
 とんっ。
 空切る風の音に次ぎ、乾いた地面に軽い音が響いた。
「……あんた――」
「君の名を聞いてなかったと思ってね」
 淡々とした口調。
 夢の中と変わらない。男だか女だかわからない声音。
 黒ずくめ――円筒形の帽子。
 それはさながら、あたしの夢より現れた魔物のごとく。
 なにひとつ。
 夢と変わらない、その姿。
「……ブギー・ポップ……」
 夢より現(うつつ)に浮かび出た、それはまさしく――不気味な泡――
「――そうだね――」
 『それ』はそう答えた。
「あたしは――リナよ。リナ=インバース」
 胸に手を当て目を逸らさずに。
 あたしは『それ』にきっぱりと名乗る。
 彼――彼女かも知れないが――の表情は変わらない。
 まるでよくできた人形ね……
「……君たちは――この世界の敵だ」
「……敵……?」
 ――てき――
 蘇る、声。
 手でかいた、水の感覚さえもが、はっきりと蘇る。
 せかいのてき。
 そう、か――
 あの声は――そう言っていたのか――
「そう――敵は――排除せねばならない」
 ッ――!?
 風を切る音。
 『それ』の声に呼応するように、妙に静かな。
 死を呼ぶ音。
「させません」
 ばぢぃっ!
 途端、耳障りな音とともに、音が途切れる!
 防御結界か!
 さっきの声からして、どーやら結界を張ったのはゼロスらしい。
 …………………忘れてた…………………
 そーいやいたんだっけ……エイプリルとゼロス……
 ちなみにエイプリルと言えば、いきなし襲ってきた『それ』に興味津々らしく、もしかしたら気づいてないのかもしんないが、『それ』の鋭い殺気をものともせず、じーっ、と黒ずくめくんを見つめている。
 結界の外を見ると、はじかれたのは細くて金属の糸。魔力はこもっていないものの、人間の肉ぐらいあっさり切り裂くシロモノで、ゼロスが防御結界はっていなければ、そのゼロス以外は全員肉塊になっていたところである。
 いや。あんまし想像したくないけど。
 ――とりあえず、感謝っ!
「サンキュー。ゼロス。
 ――で、そっちッ!あんた、なんのつもりよッ!」
「言ったとおり――の意味でしょうね。多分」
 あたしの問いにゼロスは呟く。ををっ。もとの世界にいたときより当社比で二十倍ぐらい真面目だぞッ!
「ってどーいう意味よ。このゼロスはいざ知らず、あたしたちはなぁぁぁんにも企んじゃあいないわよ!この世界の敵ってどう言うことよっ!?」
 最初の一言以外はかなりの大声で『それ』に向ける。
「魔法のことじゃあないかな?あれが往来で使われたら、かなりの死者が出る」
「ンなのあたしたちの世界だって同じでしょ」
 エイプリルのことばにあたしは即答した。
 とはいえなぜ――
「古来より――異界より渡ってくるものなどあまりいません。
 そして、稀に異界より来るものがあったとしても、その殆どは災いを運んできた……
 リナさんたちがそのなによりの証人です。彼らは悪意を持っていなかったとしても、かなりの死者が出ました――」
 ゼロスは、黒ずくめとはまた違った淡々さ――と言うのもおかしな表現かもしれないが、まぁそんな感じで説明した。
 あたしの脳裏に、とある事件が去来する。
 闇を撒くもの――ダーク・スター。
 そう。確かに彼らは――災いを運んできた。それが『仕方のなかった』ことだとしても。
 ヘタをすれば世界すら滅びかねなかったのである。
「……なるほど――あたしたちがもしかしたらそーゆーヤツかもしんないから、一応殺しとこうってことね……」
 冗談ではない。
 何年か前の魔竜王の一件――その時感じた理不尽な怒りをぶり返したような気分にあたしはなった。
 あたしは念のためで殺されたくなんぞない!
「っだぁぁぁぁもぉっ!世界の敵ってなによッ!?誰が決めたってのよッ!
 あたしたちはンなモンに勝手に決定されたくなんぞないッ!
 そんな汚名――問答無用で返品しちゃるわ!」
 叫んで――あたしは走る。
 『それ』に向かって。
 べぢぃぃいっ!
「ぐぺっ!」
 あたしはまともに鼻を『なにか』にぶつけ、そのままずるずると地面に倒れた。
 …………………そ。
 そぉぉおだったぁぁぁぁぁっ!結界張られてたんだったぁぁぁぁぁッ!
 ゼロスッ!どーしてくれる!赤っ恥だろーがッ!?
 あたしはゼロスを恨めしげに睨んだ。
 彼はあたしの視線に気づいたか、にこっ、と笑う。
 『気づかないあなたが悪いんでしょ?』と言っているようにあたしには感じられた。
 いやっ!
 あたしが感じなくとも絶対そぉ言っとるッ!あたしが決めた今決めた!
 ぅおのれゼロスッ!もしかしたら命の恩人かもしれないが、感謝のことば述べたあたしが馬鹿だった!


 ゼロスは心中で、かなり笑いをこらえていた。
 むろん、リナが彼の張った結界に思いっきり顔をぶつけたせいである。
 リナの怒りの感情が、真っ向から自分に向けられているのが感じられた。
 彼は、彼女に向かってこの上ないほどにこやかな笑みを浮かべたのだった。


 あたしの怒りがようやく沈静化したころ、ゼロスがあたしのすぐ横に来た。
「合図して下さい。それと同時に結界解きますから」
 呟きに、あたしは小さく頷いた。
「――リナ。剣、使っていいか?」
「いや――殺しちゃだめ。剣は――なるべく使わないで」
 あたしはガウリイのことばに眉を寄せて呟く。
 少なくとも黒ずくめのやろうとしていることは――あたしたちの抹殺だが、彼にも確固たる信念っぽいものがあるわけである。黙って殺されてやるつもりはないが、かといって相手を殺す必要性があるとは思えなかった。
「……エイプリル」
「え?――なんだね?リナくん」
 突然話を振られて驚いたのか、ぱちくりっ、と彼女は瞬きをする。
「あなた眠り(スリーピング)使える?」
「ああ――一応は使えるが」
「ならあたしが合図したらそれ使って」
 あたしは答えを待たずにゼロスに目配せした。
 しゅぅ……ん。
 かすかな音だったが、結界が解かれたのはわかる。
 今度こそ、あたしは立ったまま動かない黒ずくめに向かい、走り出した。
 ゅんっ!
 金属の糸が動く。
 触れるすべてを切り刻まんと、黒き死神の意思に従って。
 しかし!
 ネタがばれればただの動く糸!ならばそんなものは怖くない!
 ばちぃっ!
 うねり来る金属の糸は、すべて風の結界に阻まれた。
 ――もう、そろそろか。
 たんっ!
 あたしは軽くステップして黒ずくめの真横に回る。
 同時に『それ』の視線もあたしに移る。
 淡々とした、黒い瞳があたしを映す。
 そして。
「エイプリルッ!」
「――眠り(スリーピング)!」
 あたしの合図とともに。
 お約束と言うかなんと言うか、エイプリルの眠りの呪文はあたしまでも眠りにつかせたのだった。 
 馬鹿らしすぎて抗う気も起きずに。
 あたしは、かすかに笑って睡魔に身を委ねた。
 どこかで、金属の糸が地に落ちる音が聞こえたような気がした。


 あたしが起きてまず目に映ったのは、あまり心配そうでないガウリイの顔だった。
 たぶん、寝てるだけだとわかっているからだろう。
 それはそうと――
「エイプリルー♪
 よくもあたしもいっしょくたに眠らせてくれたわねーV」
「う゛っ!お、起きたのかリナくん!」
 エイプリルの声。起きあがって周りを見ると、先ほどと場所は変わっておらず、あたしはガウリイの腕の中にいた。
 そして彼女は、あたしのすぐ真横に立っていた。
「とーぜんでしょーが!
 ――まぁそれは置いといて、あの黒ずくめは?」
 あたしの問いにエイプリルは視線を移す。
 そこには。
 やっぱりと言うかなんと言うか、ぐるぐるぽてりと縛り倒され、黒いマントを取られた、あたしと同じぐらいの少女の姿があった
「――あたしが起きたってことは、そろそろ起きるころね。
 ゼロスは?」
「この場はリナくんに任せるそうだ。彼はどーやら聞き込みに行ったようだね」
「ひまつぶしのこと聞きに?」
 あたしの問いに、黙ってエイプリルは頷いた。
「……ひまつぶし?」
 きょとんっ、としたような声。
 黒ずくめ――いや、少女の声である。
「そ。ひまつぶし、よ。
 ――くだらないでしょ?これがあたしたちの――というよりあのゼロスの目的よ。あたしたちはその連れ」
「なんだ――それならそうと早く言ってくれれば――」
「問答無用で攻撃しかけてきたのはどこの誰よッ!」
「――そんなことは問題じゃない」
 あたしの言葉にひるまず、少女は言った。
「……その前に、この縄をほどいてくれないかな?」
 あたしは彼女を蹴り飛ばした。


「休日?うーん、まぁ色々あるけど、ほとんどはドライブしに行ってるよ」
                                          ――二十代、男性。

「え?ヒマな時なにしてるかってぇー?爪のお手入れとかぁ、それから――(以下かなり長く続くのでカット)」
                                          ――十代、女性。

「ヒマな時ですか?もちろんヒマさえあればあの人のところに行って、いつも遠くから見守ってますよ……ふふふふふ」
                                          ――三十代、男性。

 ――最後のはなんと言うか――俗に言うストーカーという奴ではないだろうか。
 いや、むろん彼に他人のことがとやかく言えるはずもないのだが、最近はそういったものを規制する法律もできたわけだし、自粛してほしいものである。
 ともあれ――彼の王が気に召すようなモノが――かれこれ百人程度に聞いたが――このリストの中にあるとは思えなかった。
(リナさんたちは――上手く彼女に説明できてますかねぇ……)
 人ごみの中、ゼロスは先を思いやり、はぁぁっと深くため息をついた。


「……じゃあ僕はこれでもう行くよ。世界の敵が君たちじゃないことがわかったからね」
 白い顔面に足跡をつけた彼女は、黒いマントを羽織って言った。
「え?あたしたちじゃない――って、他にもいるの?」
 あたしはきょとんっ、と呟いた。
 てっきりあたしたちだけだと思っていたのだが。
「誰だって世界の敵になりうる可能性はある。
 ――それに、僕は滅多に外に出ないからね。なにか――世界の敵が出てくるようなことがなければね。
 それじゃ」
「あ。ああっ!ちょっと待って!」
 あたしは彼女を引きとめる。
 ――たまには、ゼロスの仕事を引き受けてやってもいいかもしれない。
「あなた、ヒマな時なにしてる?」
 問いに、彼女はしばし考えて、
「……口笛の練習を」
 と言った。
 そして去った。
 あたしは――
 あの堅苦しそうな獣王が、必死に口笛の練習している様を思い浮かべて。
 思いっきり笑ったのだった。

======================================================

 ――えぇぇぇっと、すいません。むくぅなのです。
「なんでところどころこんなにシリアスなわけ? むやみやたらと長いし」
 ああ、リナさんすいませんなのです。
 いやぁ――ブギー・ポップではシリアス以外あんまし考えられなかったのです。だってブギー・ポップのキャラじゃないし。
「――その割には彼女のキャラぶっ壊していたよーな気もするけど。
 それにあたしとかの性格って前回とかなり違わない?」
 あー。それは私が頑張った証なのです。
 あなたたちの性格については――一年間のブランク、と言うことで勘弁して欲しいのです。
 エイプリルとガウリイの出番少ない……のです。すいませんごめんなさいきっと次回は絶対に。
「……こんなの読んでくれる人なんているわけ?」
 ぐさ。
「今の音なに?」
 心に爪楊枝が三本ほど刺さった音です。
「――爪楊枝?」
 そう。食後のお供に爪楊枝。まるで痒いところに手が届くような最高の発明だと思いませんか?
「……本編でギャグできなかったからってここですんじゃないわよ」
 ――すいませんごめんなさい。
 それと――あの、リナたちがこれから行く世界を募集したいのです。思いつきませんので。
 私が知らなければ採用できない場合もありますが……
「あんたの知識じゃ知っているものの方が少ないわね」
 う……ま、まぁだから、一応作品のあらすじとか、キャラの名とかはいれてもらえるととても嬉しいのです。
 それでは。
「あ、そうそう。あんた最近終わりにはかならず逃げるのよね?」
 ええ。最初からそうですが。
「じゃあ今日は追っかけるヤツ作った方がいいわね」
 ……………………え゛?
「水母召(ゼラス・ゴート)っ♪
 さぁ存分に逃げてね自称蝙蝠さんV」
 のわひゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!(ダッシュ)
 それではむくぅなのでしたッ!リナさんこのクラゲやたらと狂暴……ぬわひうぃぃいぃいいッ!?(死)

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16048ブギーさんだ〜あああっ!(絶叫)のりぃ E-mail 6/21-23:20
記事番号16045へのコメント

どうもこんばんはのりぃですっ!
まさかまさか、ブギーの世界にリナたちが遊びに(違う)来てしまうとわ!?
いや思わず布団の上でひっくり返ってしまいましたよ私は(ていうか布団の上にノトパ置くな自分)。

ブギーのキャラもよく出ていてナイスだったと思います。

>「なんだ――それならそうと早く言ってくれれば――」
>「問答無用で攻撃しかけてきたのはどこの誰よッ!」
>「――そんなことは問題じゃない」
> あたしの言葉にひるまず、少女は言った。
>「……その前に、この縄をほどいてくれないかな?」
> あたしは彼女を蹴り飛ばした。

(核爆)
ここ一番ウケました。
やっぱりブギーさんでも縛られてるときは顔面に蹴り入るんですねぇ。
ちょっとお茶目♪

>
>「……じゃあ僕はこれでもう行くよ。世界の敵が君たちじゃないことがわかったからね」
> 白い顔面に足跡をつけた彼女は、黒いマントを羽織って言った。

ここも結構ウケましたが。色が対照的で(笑)。

>「え?あたしたちじゃない――って、他にもいるの?」
> あたしはきょとんっ、と呟いた。
> てっきりあたしたちだけだと思っていたのだが。
>「誰だって世界の敵になりうる可能性はある。
> ――それに、僕は滅多に外に出ないからね。なにか――世界の敵が出てくるようなことがなければね。
> それじゃ」
>「あ。ああっ!ちょっと待って!」
> あたしは彼女を引きとめる。
> ――たまには、ゼロスの仕事を引き受けてやってもいいかもしれない。
>「あなた、ヒマな時なにしてる?」
> 問いに、彼女はしばし考えて、
>「……口笛の練習を」
> と言った。

口笛の練習ぅぅぅぅっ!
――爆笑中につきしばしお待ちください――
これもウケました。そーか口笛は暇なとき練習して習得した技だったのか。

> それと――あの、リナたちがこれから行く世界を募集したいのです。思いつきませんので。
> 私が知らなければ採用できない場合もありますが……
>「あんたの知識じゃ知っているものの方が少ないわね」
> う……ま、まぁだから、一応作品のあらすじとか、キャラの名とかはいれてもらえるととても嬉しいのです。

うぅむ。
どういった本を普段読んでらっしゃるのかわかりませんからね……
富士見や電撃系がお好きですか?(わかるかな)
私はよく田中芳樹さんの小説を読んでいるんですけどねぇ。
田中芳樹さんの作品でよければ、今現在徳間デュアルでリニューアルして売ってる(実は10年以上前に発売されている)銀河英雄伝説がお勧めですが……
一応解説しておきましょう。SFです(見りゃわかる)。
民主主義と独裁政治の争い……なのですが(いや結末は言わないでおきますけどね)、どう考えても独裁制の方が暮らしやすそうなのです。
つまり、「腐敗しきった民主主義と清潔な独裁政治との戦い」ということになるわけですね。後半部では。
ゼロスがものすごく大喜びで解説してくれると思いますが(こら)。
まあ、それでもすごく面白い小説ですよ。キャラがそれぞれに可愛いですし。
熱烈なファンも結構います。スレファンの中でも年齢層が高い人は読んでいる人がいますね(文法違うし)。
……このまんまキャラ説明まで書いてくとものすごい分量になりそうですね。
確かメインキャラだけでも相当な分量になるので。長いですから。あの作品は。歴史物っぽいし。
まあ読んでる人ならわかるし、読んでないならわからないですからこの辺にしときましょうか。延々説明続けても読んでないと書けないでしょうから(ちょっと待て。何であんなに長く説明した!?)

後は……同じ上遠野浩平さんの作品なら「殺竜事件」などのシリーズ、
富士見などで探すなら……何でしょうねぇ……妖魔夜行(確か今は名前が違うけど)とか、「ダブルブリッド」あたりでしょうか?
「妖魔夜行」なら「殺戮のミレニアム」でどうですか?ここでもでてきた、「人が作り上げた神」に人が殺戮される、というストーリーだったと思います。立ち読みだけですが(こらこらっ!)。買うのがちょいと怖かったので(涙)
「ダブルブリッド」なら相川虎司君とガウリイなら多分会話が成り立つんじゃないかと(笑)ちなみに、「ちょっと乱暴で破天荒で、口数が多くて子供みたいで、肉食でよく笑って怒ってたまにおかしな言動もあるけど、基本的にはいい子」です(引用)

……しかし、これこんだけ長く書いてむくぅさんが読んでなかったらただの迷惑レスですね(汗)
その場合は……どうもすいません(謝るんかいっ!)
いや好きな本の事となると1時間でも話し続けるという特技があるもんで(汗)
まあ、私の場合、読むのも書くのも暗めが多いんですよ。神坂さんの方が例外なんですね。だからここに述べてあるのは、ゼロスが大喜びしそうなのばっかりな気もします。特に殺竜事件なんかつれてったら、暇つぶしの旅そこで終わっちゃうでしょうね(をい)

まあそんなこんなで長くなってしまいましたが、のりぃでした。
これからも頑張って暇つぶしの旅続けてくださいっ!毎回レスつけるかはわかりませんが、見えるよう見えないように追いかけさせていただきますっ!
それではのりぃでしたっ!さ〜、追っかけるぞ〜♪

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16060さぁ戦場調停士(でしたっけ?)に会いに行こうっ!むくぅ 6/22-12:15
記事番号16048へのコメント

のりぃさんは No.16048「ブギーさんだ〜あああっ!(絶叫)」で書きました。

>どうもこんばんはのりぃですっ!

 どうもこちらはこんにちは。むくぅなのです。どうもありがとぉございます感想ッ!

>まさかまさか、ブギーの世界にリナたちが遊びに(違う)来てしまうとわ!?

 任務失敗したら問答無用で制裁されそうなゼロス以外は多分遊びの感覚なのでしょうね♪

>ブギーのキャラもよく出ていてナイスだったと思います。

 誉め言葉 狂喜乱舞で 顔にやけ。五七五川柳(汗)

>>「なんだ――それならそうと早く言ってくれれば――」
>>「問答無用で攻撃しかけてきたのはどこの誰よッ!」
>>「――そんなことは問題じゃない」
>> あたしの言葉にひるまず、少女は言った。
>>「……その前に、この縄をほどいてくれないかな?」
>> あたしは彼女を蹴り飛ばした。

>(核爆)
>ここ一番ウケました。
>やっぱりブギーさんでも縛られてるときは顔面に蹴り入るんですねぇ。
>ちょっとお茶目♪

 よかったうけてくれてるぅッ!
 悪乗りとかシリアスとかオチなしだったりとか欠点ありまくりだったのでよかったのです……

>>「あなた、ヒマな時なにしてる?」
>> 問いに、彼女はしばし考えて、
>>「……口笛の練習を」
>> と言った。

>口笛の練習ぅぅぅぅっ!
>――爆笑中につきしばしお待ちください――
>これもウケました。そーか口笛は暇なとき練習して習得した技だったのか。

 私はそう思ってますのです♪

>> それと――あの、リナたちがこれから行く世界を募集したいのです。思いつきませんので。
>> 私が知らなければ採用できない場合もありますが……
>>「あんたの知識じゃ知っているものの方が少ないわね」
>> う……ま、まぁだから、一応作品のあらすじとか、キャラの名とかはいれてもらえるととても嬉しいのです。

>うぅむ。
>どういった本を普段読んでらっしゃるのかわかりませんからね……
>富士見や電撃系がお好きですか?(わかるかな)
>私はよく田中芳樹さんの小説を読んでいるんですけどねぇ。
>田中芳樹さんの作品でよければ、今現在徳間デュアルでリニューアルして売ってる(実は10年以上前に発売されている)銀河英雄伝説がお勧めですが……
>一応解説しておきましょう。SFです(見りゃわかる)。
>民主主義と独裁政治の争い……なのですが(いや結末は言わないでおきますけどね)、どう考えても独裁制の方が暮らしやすそうなのです。
>つまり、「腐敗しきった民主主義と清潔な独裁政治との戦い」ということになるわけですね。後半部では。
>ゼロスがものすごく大喜びで解説してくれると思いますが(こら)。

 すいません読んでませんできれば今すぐ走って買ってきますのです。

>後は……同じ上遠野浩平さんの作品なら「殺竜事件」などのシリーズ、

 それは読みました。次の話の紫骸城事件も。

>富士見などで探すなら……何でしょうねぇ……妖魔夜行(確か今は名前が違うけど)とか、「ダブルブリッド」あたりでしょうか?

 あうあう……(大打撃)読んでないっ! どうしましょうやっぱりリナさんのゆうとおりだったぁぁあぁっ!(汗)
 
>「妖魔夜行」なら「殺戮のミレニアム」でどうですか?ここでもでてきた、「人が作り上げた神」に人が殺戮される、というストーリーだったと思います。立ち読みだけですが(こらこらっ!)。買うのがちょいと怖かったので(涙)
>「ダブルブリッド」なら相川虎司君とガウリイなら多分会話が成り立つんじゃないかと(笑)ちなみに、「ちょっと乱暴で破天荒で、口数が多くて子供みたいで、肉食でよく笑って怒ってたまにおかしな言動もあるけど、基本的にはいい子」です(引用)

>……しかし、これこんだけ長く書いてむくぅさんが読んでなかったらただの迷惑レスですね(汗)
>その場合は……どうもすいません(謝るんかいっ!)
>いや好きな本の事となると1時間でも話し続けるという特技があるもんで(汗)

 私もよく友人に話したりして迷惑がられてたりします。同志♪

>まあ、私の場合、読むのも書くのも暗めが多いんですよ。神坂さんの方が例外なんですね。だからここに述べてあるのは、ゼロスが大喜びしそうなのばっかりな気もします。特に殺竜事件なんかつれてったら、暇つぶしの旅そこで終わっちゃうでしょうね(をい)

 ED――ゼロスと仲悪くなりそうですねぇ……
 (想像中)
 よし。次はここ連れてきましょう。決定ッ!(すな)

>まあそんなこんなで長くなってしまいましたが、のりぃでした。
>これからも頑張って暇つぶしの旅続けてくださいっ!毎回レスつけるかはわかりませんが、見えるよう見えないように追いかけさせていただきますっ!
>それではのりぃでしたっ!さ〜、追っかけるぞ〜♪

 ああっ!見えるッ!四キロほど後方にのりぃさんの姿が見えるぅぅううッ!
 それではっ!むくぅなのでしたッ!

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16075獣王様の暇つぶし 3 むくぅ 6/22-22:52
記事番号16003へのコメント

 ……うーん。この前のレスで魅惑の作詞者(意味不明)のりぃさんのレスに『次は殺竜事件だーい♪』とかっていったものの……あんなぶっそーなとこでギャグできるんだろーか……
 と、三十秒ほど考えたあげく。

 ま、キャラに存分に壊れてもらえればいっかV

 とゆーとんでもない結果になり。
 結局書いてる今日この頃なのです。
 ポイントは、この世界の竜 VS ゼロス。果たしてどっちが強いのか!?
 冗談ですごめんなさいすいません。ていうかなんでこんなとこにいるんですかミスター使いッパゼロスさん。
「なんですかその使いッパって。全くリナさんといいあなたといいひとをパシリ呼ばわりして――
 まぁそれはともかく、僕が背後にいることに気づいてよかったですねぇ……気づいてなかったら今度は錫杖で刺してましたよ」
 ………………
 そ、それは錫杖ですか?
「ええ。そうですよ」
 どう見てもあなたの黒円錐、体の一部にしか見えんのですが。
「やーだなぁ♪気のせいですよ?気のせい」
 そんな妙なアクセントで言っても今回あなたの出番少ないと言うことは決定なのですが。
「…………まぁこれを振り下ろす前に話は聞いておきましょう。
 どうしてですか?」
 不気味な笑顔なのですね。まさに魔族。
 ……いやまぁ。首に突きつけないで下さい。むずむずしますから。
 とにかく、私は今回ガウリイを目立たせるつもりでいるんで。あなた三人称の視点今回脱落なのです。一、二回はあるかもしれませんが(この時点ではまだ書いてない)。
「何ですってっ!?あなた、魔族こよなく愛してる♪とか(読みまくれ大辞典『むくぅ』参照)っていってたのは嘘だったんですね!?」
 愛してますとも。ただ単に出番が少なくなるだけなので……

 (この世にあらざる力発動中)

「――ふぅ。やれやれ。では、今回僕目立たないらしいですけど――前回も目立ってなかった気がしますが、とりあえず、こんな吸血鬼(ヴァンパイア)に根性なくてなれなかった蝙蝠もどきの小説でよければお読みください」

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 今回は自分たちの元の落ち着いた服装に戻れ、自分の剣――斬妖剣(ブラスト・ソード)が手元に戻ったことが彼をなんとなく落ち着かせていた。
 あの黒ずくめ――が出てきた世界では誰も帯剣していなかったし、真剣を持ち歩くのはなんとか――という法律で、だめだと決まっているのだという。なぜだかそう言ったことを前にも――確か女性の警備隊員に言われたような気がしたが……生憎彼は覚えていなかった。
(うん。俺の剣だ)
 腰に差した剣の感触を確かめて、彼は――ガウリイ=ガブリエフは誰ともなしに頷いた。
 どこまでも広がるかと思える荒野。
 そこに、彼ら一行は立っていた。
 ゼロスがこの世界について、歴史や、今の状況について――なぜだかものすごく楽しそうに話しているのを聞き流しながら――彼は剣を握ったりはなしたりしていた。


 うーん……けっこーためになる――ような気がしないでもない。
 この世界は七海連合、とゆー大きな組織があって、それが色々なところで起きる戦地を調停したりしているらしい。他は色々な国があったりするそうだが、そこらへんは重要じゃない、とゆーことであまりよく聞けなかった。
 ……なんというか――現実味のない話である。
 というよりも、別の世界の話、と言うのも……いきなりやって来たあたしたちにしてみれば、本の世界に迷い込んだような感覚なのである。現実味がなくてもしょうがない。
 それがたとえ、この世界で起こっている真実なのだとしても。
「この世界は物騒ですからね。死んでも僕責任とれませんから、そこのところよろしくお願いします」
「ち、ちょっとちょっとっ!ちゃんと護衛してちょーだいよねッ!この世界について知識もってんの、あんただけなんだからッ!」
 なにが悲しくて知り合い一人いない異界で死ななければならないのだッ!
 あたしははっきりってごめんである。
 エイプリルは殺しても死にはしないような人間だし、ガウリイは脳みそ入っているべき位置はみんな骨っぽいし、ゼロスに至ってはこの世界の『魔道』は彼に通用しないだろうが、あたしはか弱いのだ!
 ……ツッコミ厳禁だからね。
 と――あたしが一人漫才やってる間にも、ゼロスは一、二歩先に進んで、くるりと振り返った。
「まぁ一応結界は張っておきますよ。ここらヘンは特に物騒ですからね」
「どーしてそんなところにわざわざ来るんだ?安全なところに行けばよかったじゃないか」
「さっき言ったでしょう?」
 訝しげなガウリイの問いに、ゼロスはぴっ、と人差し指を立てた。
 いつもとは違う、少々得意げ――に見えなくもない笑顔で。
「ここには、竜がいるからですよ」
 ――竜。
 そう。竜である。
 ここには――竜がいるのだ。
「竜って、あのドラゴンか?」
「あれとはまた種類が違うんです。全然違いますよ。彼らは相手の精神世界面(アストラル・サイド)が――ある程度ですが、読める。
 それに姿形も違うようですしね」
 ガウリイの問いに、ゼロスは首を横に振り、言った。
「世界に――たった六匹しかいない――ってぇことだったわね。確か」
「ええ。そうです」
 ゼロスはその『竜』に会えることが楽しみでしょうがないのだろうか、とてもなんだかうきうきしているように見えた。
 なぜだかはわからない。
 ――その『竜』の負の感情でも食ってみたいんだろーか?
 あたしにはあいにく、その程度の発想しか浮かばなかった。
 それはともかく。
 『竜』というのはあたしたちの世界の竜(ドラゴン)とは完全に別個の存在で、何千年と生きる、という寿命の長さは変わっていないようだが、人間を圧倒する、と言うその度合いが違うらしい。
 それに、『竜』が減ったり増えたりしない、ということも、彼らをあたかも神聖なものとして見る理由の一つではあるだろう。
 台風、大地震、津波、干魃――などなど、魔族ですら引き起こすには多量のエネルギーを要するその現象を、その『竜』はあっさりと起こす。
 それでも、彼らはなにもせず、ただそこにあるだけなのだ。
 ――ゼロスはなぜ、そんな彼に会いたいのだろう。
「だが、このように広い荒野のどこかにいる『竜』など探せるのかね?」
「え?」
 ゼロスはエイプリルの問いに、きょとんっ、とした顔になる。
「僕、竜に会うなんて言いました?」
 ずべしゃぁぁぁぁぁっ!
 あたしとエイプリルはその場でコケた。エイプリルは地面と激しくキスして、あたしは後頭部を強打した。
 頭をさすりながら起きあがったあたしに向かって、ゼロスは首を傾げて、
「僕、言ってませんよね?」
「いや、そりゃ言ってないけどッ!ふつーさっき見たいな言い方されたら『竜に会いに来たんだな』って思うわよッ!
 ――そりゃ、ガウリイみたいな察し悪すぎな人間ならともかく……」
「ともかく――って……おまえ……」
 あたしのことばにガウリイはただただ汗した。
「それはともかくッ!じゃあなんでこんなとこ来たわけッ!?」
「だから――竜がいるからですよ。
 竜がいるから、ここは人間が入ってこれない。竜は人間が来たことなんてだいたい気にもとめないでしょうから、ここは最も安全であり、危険な場所なんです」
「だが、人間がいないのではひまつぶしの方法も見つけられないのではないのかね」
 …………………
 エイプリルの史上稀に見るまともな発言により、ゼロスは海よりも深く沈黙した。
 やがて、ゼロスはぽんっ、と手を打つ。
「……そーいえば……」
「っだぁぁぁぁぁぁぁぁっ!なに考えてんのよこのゴッキー神官(プリースト)ッ!」
 みりっ!
 あたしの右ストレートは、見事にゼロスの顔面にヒットした。


 しゅぅんっ。
 ゼロスが細心の注意を払って行った人間三人を伴う空間移動は、そんな音を立てて実行された。
 生身の人間をむりくり精神世界面(アストラル・サイド)通って『生きたまま』移動させるわけだから、ゼロスとしてはかなり精神すり減らしたことだろう。
 まったくもってごくろーさん、である。
「で、ここはどこなわけ?」
「ここですか?確かカッタータ、とか言う国らしいですが――じゃ、リナさんたちは適当に時間つぶしててください。僕は色々聞き込みしてきますので」
 ゼロスはそういうとさっさと行ってしまった。
 あたしたちの護衛はどーなる?
「……ま、あたしたちもとりあえず名物料理とか食べに行きましょうか!」
「そーだな」
「うむ」
 あたしのことばにガウリイとエイプリルはそれぞれ頷いた。
 通貨はどーする、と言うツッコミは無用ッ!ゼロスから受け取ったお金でじゅーぶんッ!
「どんな珍しい料理があるのかしらねッ♪」
 あたしが呟いたその瞬間!
 どんっ!
 と言う音とともに、ガウリイがバランス崩し、あたしを巻き込み転倒する!
『どぉぉおぉおっ!?』
 声をハモらせ悲鳴を上げながら、あたしとガウリイは地面に転がった。
「……ったた……く、こ、こらぁぁぁっ!早くどきなさいッ!」
「うぅ……」
 ガウリイが頭を押さえて起きあがる。どーやら石畳に額をぶつけたようだった。怪我はしていないが、あたしは尻餅をついたせいで腰の辺りがかなり痛い。
「す、すいません、大丈夫ですか!?こらマークウィッスル!君も謝れ!」
「すいません」
 ひどく慌てて詫びる男の声と、どことなく棒読みの声――こちらも男の声だった。
「はぁ……」
 あたしはぽりぽりと頬を掻きながら立ちあがる。
 謝ってきた男はすこし長い茶髪の、端正な顔立ちをした騎士風の、二十歳前後の青年。
 棒読み失礼声の方は、銀髪で、顔の上半分をヘンなデザインの仮面で覆った貴族風の男だった。
「すいませんね。こいつは好奇心旺盛で、よそ見しながら歩いていたものですから……」
「よそ見しながら走っていた、です。正確には」
「……威張れたことじゃないと思うけど……ていうかよけー危ないし……」
 あたしはジト目で、自信たっぷりに言い放った仮面男を見る。たしかさっき騎士の方がマークウィッスルとか言っていたか。
「まぁそりゃそうですね。でもそれは歩いていようと走っていようと、そっちのひとにぶつかったでしょうが」
 と、マークウィッスルはガウリイの方を目で指した。
「……危険度は走ってる方が高いし。
 というか……あんたの方が背が小さいしやたらと痩せてんのになんでガウリイが倒れてあんた立ってんのよ……」
「いやぁ」
 なぜ照れる。ガウリイ。
「そもそも、あなたたちはどうしてそう急いでいたのだね?」
 エイプリルが探偵口調で問いかけた。マークウィッスルはにっこりと――いやさっきから笑っているのだが――微笑むと、
「知り合いに会いにきたんですよ」
「こいつが早く会いたいと言って聞かんのです」
 騎士の方が疲れた調子で言った。仮面男は視線を騎士に移すと、
「じゃあヒース。君はレーゼさんに会いたくないのかい?」
「い、いやそんなことはないが……俺は――」
「そういえば、レーゼさんとはあのあと一度も会わなかったのかい?」
 言われてヒース――は黙った。
 ――内輪で漫才始められても困るんだけど……
「お前は俺を馬鹿にしているのか――?あのあとは仕事が会ったから――会うヒマなんてなかったのはわかってるだろう」
 しばしの沈黙の後、彼はそう呟いた。
「いやいや。僕はただ君がレーゼさんをどう思っているのか聞きたいだけさ」
 妙なニュアンス込められているような気がするぞ。それは。
 あたしは胸中でマークウィッスルというややこしい名前の男にツッコんだ。
 よーするに、このヒースという騎士は『レーゼ』という名の女性に好意を抱いているらしい。
 それで、こっちの仮面男がそれをネタにからかって面白がっているのだろう。
 ともあれ、そのことばにヒースは不機嫌な顔で黙りこくって、険悪な瞳で――敵意は混ざっていなかったが、それでも険悪な瞳でマークウィッスルを睨んだ。
「あ、そう――じゃあ、あたしたちはこれで――」
 あたしは言いながらすたすた歩き始めていた。こんな連中に関わるのははっきり言ってイヤだ。こっちがむやみに疲れるだけである。人様は彼らのことを――主に仮面男の方を――『変人』と呼ぶのだ。
「ああ、ちょっと待ってください」
「なによ?」
 あたしが振り返ると、仮面男はぴっ、と人差し指を立ててこう言った。
「どうせ僕らも昼食は外で摂るつもりでいたんです――
 一緒に昼食でもいかがです?奢りますよ」
 我ながら単純と言えるかもしれないが――
 『奢る』の一言に、あたしはこっくりと首を縦に振ったのだった。


 聞いたところによると、騎士のほうはヒースロゥ=クリストフ、仮面男のほうはエドワース=シーズワークス=マークウィッスルというガウリイに非情なまでに長い名らしい。
 まぁ、自分の記憶力の悪さを考慮したわけではないだろうがその――えど――なんとかは、自分のことを『ED』――で、エドと呼ぶように、と言ってくれた。
 ヒースロゥのほうはとくに何も言わなかった。
 リナとエイプリルはその名を聞いて、なぜか驚いているようだった。
「じゃああなたが『風の騎士』なわけ?」
 ……これも、どこかで聞いたような気がする
 リナのことばに彼は苦笑して、
「まぁ、そう呼ばれることもありますね」
 と、照れくさそうに言った。
「有名な奴なのか?」
 と、いつものようにガウリイはリナにこそっ、と耳打ちした。
 どがっ!
「あんたねぇっ!さっきゼロスが説明してたでしょうがッ!風の騎士って言えば七海連合に所属する騎士で――あんたの頭には理解できそうもないから簡単に言うと英雄よッ!え・い・ゆ・うっ!意味わかるッ!?」
「……なんとなく」
「あーもーあんたはぁぁぁッ!」
 リナは自分に、青すじ立てつつ蹴りを入れ、なんだか説明したあげく一人で苦悩していた。
 ……リナが苦悩している理由はなんとなくわからなくもないが、彼に気になるのは自分たちがこの世界の二人にどう映っているのか、と言うことだった。
 ちらりっ、とガウリイは二人のほうに視線を向ける。ヒースのほうはぼーぜんと事を見守っているし、EDのほうはにこにこと、茶を飲みながらこちらを見ていた。
「ところで、あなたたちは?」
「あたしたち?あたしはリナよ。リナ=インバース」
 リナは素直に本名を名乗った。ガウリイも別にそれでいいと思う。別にナンパされたわけでもなし、見たところ風の騎士の名を語る『悪人(バカ)』でもないだろうし、万が一そうだったとしても、今ここで自分たちが名乗ってヤバいことになる、という事態にはならないだろう。
「……リナ=インバース?」
「どうした?マークウィッスル――彼女の名に心当たりがあるのか?」
 そんなはずはない。
 自分たちはついさっきこの世界にやってきたのである。
 リナは確かに有名だ。有名ではあるのだが、それはあくまでヒースたちの世界ではなく、ガウリイたちの世界でのことである。
 ヒースの問いにEDは顎に手を当ててぶつぶつと呟く。
「いや……そんなはずはない――なにかの偶然だろう……もし彼女がその『リナ=インバース』だとしたら彼女は――『異世界の人間だと言うことになってしまう』」
 ――ッ!?
 がたんっ!
 リナとエイプリルが音を立てて椅子から立ち上がった。
 どういうことだ?
 ガウリイはリナに目で問い掛けた。リナは黙って首を横に振る。
「――この世界は異世界について――なにか調べているのか?」
 我に返ってテーブルにつきなおしたエイプリルがEDにそう問うた。
「ええ。まぁ一部の人間は、ですがね。それにしてもレーゼさんは遅い……」
「え?」
 全然話が関係ないほうに飛んだのが、そこにいる全員にわかった。
 ガウリイにも、それはわかる。
「どうしたんです?リナさん。ほら。席につきなおしたらどうですか?料理はまだ来ちゃいません」
「…………」
 リナは黙って席に着きなおす。
 先ほどの――打ち解けてはいないがあくまでも友好的だった表情とは打って変わって、EDという得体の知れない男の疑念に満ち溢れた瞳に、リナはなっていた。
 EDは笑う。リナの表情の変化に気がついていないのか――
 それとも、気がついた上でのこの反応か。
 判断しがたいところではあったが――
「それに、他の人たちの紹介も終わっていない」
「あ……そう――ね。
 ま、あんたをみっちり問い詰めるのはまたあとでにして」
「あとで問い詰めるんですか……?」
 ヒースがなんとなく汗をかいて呟いた。リナはそちらににっこり微笑み、
「じゃあ紹介続けるわね。そっちのが頭ン中からっぽ男こと剣士のガウリイ。腕のほどはあたしと比べ物にならないほど、ってとこね」
「……からっぽ……って……」
 ガウリイはなんとなく反論もできず、とりあえずうめいておく。リナの自信たっぷりな口調に、EDはほぅっ、と感心したようなしていないような声を出す。
「ヒース、彼は剣士らしい。一度君と手合わせしてみたらどうかな?」
「おいおい。冗談はよせよ」
「……ガウリイ=ガブリエフだ。よろしくな――えーと、ヒーロ?」
 とりあえず、ボケておいた。いや、本当に忘れていたのだが。
「ヒース、です。ガウリイさん」
 彼は苦笑してそう言った。リナは今度は無表情にエイプリルを目で指すと、
「で、そっちのがのーみその代わりにブルーベリージャム詰まってるエイプリル。紫の脳細胞と呼ばれる、著名な探偵になりたがってる人よ」
「エイプリル=ランドマークだ。よろしく頼む」
 ――ブルーベリージャム……?
 彼女はリナの暴言が耳に入っていないのか、普通に自己紹介した。
「探偵?」
 EDが楽しそうに言う。リナは全く表情を変えず無表情で、
「彼女の推理力に期待するならミミズが言葉を喋る可能性の方が期待できるわよ」
「……ミミズ……」
 エイプリルがうめく。
 どうやら先ほどのことばは耳に入っていなかったらしい。
 むろんガウリイには昔リナがエイプリルに『のーみそブルーベリージャムと言うのは思考がやわらかいと言うことだ』とか屁理屈こねまわし、彼女がすっかりそれを誉めことばだと信じているとは思いもよらない。
「――で、もう一人連れがいるんだけど――そいつはどっか行ってるわ」
「うむ。ひまつぶしの方法探しにね」
「……ひまつぶし?」
 リナとエイプリルのことばに、ヒースが訝しげな声を上げる。リナはぱたぱたと手を振ると、
「あーあー。気にしないでいいのよ。どーせそのまんまくだんない理由だし」
「いや、だがひまつぶしって……」
 あくまでもこだわるヒースに、EDが視線を向ける。
「まぁいいじゃないかヒース。今僕らがするべきなのは、いつまでたっても待ち合わせのこの場所にこないレーゼさんの身になにかあったんじゃないかと憂いだりすることとか、この人たちの連れがもう一人いるというのなら椅子をもう一つ持ってこなければならないとか、そういったことだろう?」
「……まぁな」
 まだ気になるのか、ヒースは眉間に眉を寄せながら頷いた。
 ――ん?
 そこでガウリイは気づいた。見知ったものの気配に。
 ――あいつ、もうきたのか。
 リナはそんなガウリイの様子も気に留めず、
「ああ、別にいいのよそんなの。あいつ、八ヶ月どころか何千年断食したところで死なないんだから。
 ――まぁ、人間が食べるようなものを食べなくても、ってことだけど」
「本当のことですけど、ちょっとひどいですよ。リナさん」
 ゼロスの姿は、突然降ってわいた。
 気づくと、リナの横に立っていたのである。ヒースは突然現れた男に驚いて、目をぱちくりさせた。EDもまた、きょとんっ、とする。
「いつからそこにいたわけ?ゼロス」
「そちらの方が頷いた辺りから――というより、仮面の方が『憂いだりすることとか』と言った辺りからですね」
 リナの問いに、ヒースとEDを順々に指してゼロスは言った。
「なぁ、その男はなんだ?」
 ヒースのことばに、リナは『ああ』と呟くと、
「そう言えば紹介してなかったわね。こちらは獣神官(プリ―スト)ゼロス。単なる怪しい神官で、獣王の下僕よ」
「げぼく……」
 ヒースがまたもやなにか引っかかったらしく、呟いた。
 リナは気にせずゼロスをジト目で見やると、
「ゼロス。往来で空間移動は止めなさいよね」
「ひどいなぁ。ついさっきひとのことを便利な乗り物扱いしたのはリナさんですよ?あれ、結構疲れるんですからね」
「そーいやそうだったかもね」
 リナはゼロスのことばに冷たく言った。EDが好奇心旺盛そうな表情――いや、表情はわからないのだが、少なくともそう言った雰囲気で、
「空間移動?」
 と言った。
「空間を移動することよ。文字通り」
「いやそんなことじゃなくて、一体どう言った原理で?」
 こうなるとEDは止められないだろう――そんな雰囲気がする。恐らくリナと同じで、知りたいことは徹底的に突き詰めるタイプなのだ。
「――あんたが聞いたあたしに関する話教えてくれたら、あたしの方も教えるわ」
「わかった。それでいいよ」
 EDは即答した。
 自分の好奇心に正直で、それだったら相手を思いやる気持ちも忘れるのだろう。
 ――リナに関する話、と言うのはある程度予想できていた。


「ぬぁんですってえぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
 EDの話を聞き終えて、あたしは絶叫した。
「なぁにが悲しゅうて、異界に来てまで盗賊殺しだのドラまただの、ンな不名誉なこと言われなくちゃなんないのよッ!」
「そんなことをいわれても――これはあくまで異界から流れてきた情報ですからね」
 EDは困ったような口調で言いながらも、口元は笑っていた。
「――ところで」
 さっきから眉間にしわ寄せっぱなしの風の騎士ヒースロゥ=クリストフが、やはり眉を寄せて呟いた。
「盗賊殺し、と言うのはわからないでもないが――ドラまた、と言うのはなんなんだ?」
 真剣である。真剣そのものの口調だから――タチが悪い。
「う゛……そ、それは……」
「おいリナ。どうしたんだ?忘れたのか?」
 うっ!
 いっつも余計なことばっか覚えてるガウリイっ!やめろっ!言うなっ!
 あたしの内心の制止は届くはずもなく、ガウリイはぴっ、と人差し指を立てた。
「俺は覚えてるぞ。確か『ドラゴンもまたいで通る』だろ?」
「うむ。たしかにそうだ」
「ええ。リナさんにぴったりなことばですよね。最近では下級魔族もリナさんを怖がって怖がって――」
 ガウリイのどあほな発言に、エイプリルとゼロスが同意する。
「っこらぁぁぁぁぁぁっ!なぁに同意してんのよっ!とくにぜろすっ!それほんとなわけっ!?」
 あたしの問いにゼロスは頷いた。
「ええ。本当ですよ。最近じゃ中級魔族にもいますからね。リナさんを怖がってる魔族」
「……あ。
 あたしは天災かぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
 一瞬絶句したあとに響いたあたしの絶叫は、目を点にしているヒースと、笑いをこらえているEDの耳には――
 どーやら、届かなかったようだった。


「遅いな」
 さっきから幾度目かのヒースの呟きは、さっきから食事を必死に(としかいいようがなかった)食べているリナたちの耳には届かないようだった。
「あーっ!これあたしのよガウリイッ!」
「誰がいつ決めたんだよっ!食っちまえばこっちのもんだ。ってぃっ!」
「あぁぁぁぁぁぁっ!あたしのおさかなさんっ!くっ!こっちだってっ!てぃっ!とぉっ!」
 ……と、まぁこんな具合である。
 ゼロスは肘を突き、その手の上に顎を乗っけて、エイプリルの方を見やった。彼女は彼女でマイペースに食事を続けている――どうやら、もう慣れたらしい。
 というよりは――リナに険悪な笑みを浮かべさせるほどの人物である。彼女もまた、まともな人間ではないのだろう。
「……あの、ED――さん?」
「なんですか?」
 EDもリナたちの食事風景にこれと言って感想を言わず、ただ自分はマイペースに茶を飲んでいる。こちらも――並の神経ではないらしい。
「あなたは、暇なときなにをしていらっしゃいます?」
 こんなときでもそんなくだらない仕事を忘れないのは素晴らしいと言うべきか――まぁ、彼にとっては死活問題である。どんなにくだらないこととて、真剣にもなるだろう。
「最近暇なんかありゃしませんよ」
「なるほど。よくわかりました。ありがとうございます」
 ゼロスは上の空で礼を言った。彼もそう思う。最近暇がない。
 ――獣王様が直々に働けば――暇もなくなるんじゃないでしょうか――ねぇ。
 そんなことを考えて、彼はその考えを即否定した。そんなことを彼の王の前で言ったものならば、即滅ぼされても――滅ぼされなくても殺されても文句は言えない。
「にしても――あなたたちの待ち人はこないようですね。EDさん」
「遅すぎます。もうかなり時間がたっている」
 EDが口の端を下げた。
「――レーゼさんは――少なくとも約束をたがえるような人ではない……」
 風の騎士が来た料理に手もつけずに言った。
「店を間違えたんじゃないですか?」
「彼女に限ってそんなことはない」
 妙に力強く言う。――かなり彼女のことを信用しているようだった。
(恋は盲目――ってやつでしょうかね……)
 ゼロスはぼーっ、とそんなことを考えた。彼がやたらと落ち着きをなくしていることや、リナからこっそり聞いた話から、なんとなくそう思った。
「……なら――誘拐、とか」
「レーゼさんならそんな連中返り討ちにしちゃいます。というより彼女さらって得するような人間いませんし」
 これを言ったのはEDだった。――この男は――ついさっき聞いたのだが戦地調停士らしい。ゼロスにはどうにも、彼がそれほどの権力を持った人間だとは――そう言った権力のたぐいを欲しがる人間だとは思えなかったが。
「……じゃあ。あなたたちが店間違えたんじゃないですか……?」
『あ。』
 半ば伝説的な存在である風の騎士と、そして世界に約二十人ほどしかいないという七海連合の戦地調停士は、同時に声を上げた。
「午後の鐘が鳴る頃に……貝殻亭……」
「ここは三日月亭だぞ……」

 ………………沈黙。

「し、しまったぁぁぁぁっ!」
「すいませんっ!ここの代金はあなたたちが支払っておいてくださいっ!後日っ!後日必ずお払いしますっ!」
 と――
 一方的に叫んで、EDとヒース――二人は去っていったのだった。
「あー……」
 ゼロスは何か言うのもむなしくて、とりあえず、そううめいたのだった。


 後日。
 どこからどーやってあたしたちのことを探り当てたのか、三日月亭で払った代金よりちょっと多くお金を貰い。
 よく考えたらどーすんだ異界の金なんて。とゆー事実に一同は気づいたのだった。
 そして、ゼロスはそれから四日ほどEDに質問攻めにされ、ノイローゼになったそうである。
 で、レーゼさん――レーゼ=リスカッセさんとも会ったのだが、彼女はけっこう頭のいいひとで、やはりヒースに好意をもっているらしかった――お互い鈍いため、よくわかっていないようだったが。
 で、じれったい二人のことをお茶菓子代わりにして、あたしとEDは色々話し合ったのだった。

 ――追記:ガウリイとヒースロゥ=クリストフは、一度木刀で手合わせしたところ腕はなんとほぼ互角で、彼らもいい友達になれたようである。

======================================================

 だれかっ!誰か私にオチをくださいっ!
「なにパニクってるんだ?」
 あ・目立たせるぞとか言ったけどあんまし目立ってなかったガウリイさん。
「――なんで三人称俺の視点だったのに目立ってないんだ?」
 だってあなたリナばっか見てるから。
「う゛――でも、リナの一人称の方が多かったぞ」
 ――う゛ッ……
 すいません。
 私も書いてて、『ガウリイ目だってねぇ。もちっと目立ってくれ』とか『こんなのヒースじゃねぇっ!』とか『ちがうっ!EDはもっと頭いいんだいッ!』とか、ひたすら自分の表現力のなさかみ締めましたのですからね。
「で、次は?」
 ………あぅ………
 次はエイプリル目だたせるぞ、と思ってるのです。
 でもそしたら必然的に推理モノの世界に行かなければならなくなるのです。
 ――しかし。
「しかし?」
 この殺竜事件の世界って、よく考えたら推理小説だったのですよね。
「忘れてたのかっ!?」
 ファンタジー気質が強すぎて――どうにもこうにも。
 ――まぁ、次ぎがんばればいいか♪
「で、次ぎ書き終わった後もそういうわけだな」
 ………………ひ、ひどいよガウリイさん。あなたはスレキャラのなかで少なくとも一番性格ましな人と思ってたのに。
「――そうなのか?」
 私の見解ではゼルガディスの次ぐらいに。
「一番じゃないじゃないか」
 あぅ……ま、いいか。
 ああっ!ごめんっ!というわけでこれ書きながらにぃげぇろぉおぉおっ!

(むくぅ、退場)

「にしても――このあとがきと最初のゼロスとの漫才みたいなの、本編の半分は言ってないか……?」
 ガウリイさん、それは言わない約束なのです(もどってきた)。
 それでは。むくぅなのでした。再度逃げるのです。ではっ!

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16084はっ!早いっ!(追いつけてない)のりぃ E-mail 6/23-15:40
記事番号16075へのコメント

どうもこんにちは〜。
先日あなたを魅惑してしまったのりぃなのです〜(違)
しかし早いですね〜、投稿スピード。
思わずわが身を省みて穴掘ってますよ。私は。

んでは前回と同じでウケたシーン書かせていただきます〜

> エイプリルは殺しても死にはしないような人間だし、ガウリイは脳みそ入っているべき位置はみんな骨っぽいし、ゼロスに至ってはこの世界の『魔道』は彼に通用しないだろうが、あたしはか弱いのだ!

えええええっ!ガウリイってば骨なの!?
私はてっきりエイプリルにあわせて今回の中身はマーマレードだと(激違)

> ……ツッコミ厳禁だからね。

入れちった。ゴメンねリナちゃん♪(さらに違う)

> ――ゼロスはなぜ、そんな彼に会いたいのだろう。
>「だが、このように広い荒野のどこかにいる『竜』など探せるのかね?」
>「え?」
> ゼロスはエイプリルの問いに、きょとんっ、とした顔になる。
>「僕、竜に会うなんて言いました?」
> ずべしゃぁぁぁぁぁっ!

ずるずるずるずる。

> あたしとエイプリルはその場でコケた。エイプリルは地面と激しくキスして、あたしは後頭部を強打した。

ふっ。
私なんか布団の上からずれてしまいましたよ(威張るな)
しかしここのハズしかた……むくぅさん、ナイスですっ!

>「だが、人間がいないのではひまつぶしの方法も見つけられないのではないのかね」
> …………………
> エイプリルの史上稀に見るまともな発言により、ゼロスは海よりも深く沈黙した。
> やがて、ゼロスはぽんっ、と手を打つ。
>「……そーいえば……」
>「っだぁぁぁぁぁぁぁぁっ!なに考えてんのよこのゴッキー神官(プリースト)ッ!」
> みりっ!
> あたしの右ストレートは、見事にゼロスの顔面にヒットした。

ゼロスっ!ひょっとして風邪でも引いてないか!?(んなバカな)
エイプリルにまともにツッコミを入れられるとは……食い逃げ以来の恥じだぞっ!(ひどい)

>「すいませんね。こいつは好奇心旺盛で、よそ見しながら歩いていたものですから……」
>「よそ見しながら走っていた、です。正確には」
>「……威張れたことじゃないと思うけど……ていうかよけー危ないし……」

悪びれないのがED君なのです(断言)

>「……危険度は走ってる方が高いし。
> というか……あんたの方が背が小さいしやたらと痩せてんのになんでガウリイが倒れてあんた立ってんのよ……」
>「いやぁ」
> なぜ照れる。ガウリイ。

リナもろともガウリイ将棋倒しをやるとは……
ED君、実はこっそり体鍛えてたか!?(だから違うっつーに)

>「ああ、ちょっと待ってください」
>「なによ?」
> あたしが振り返ると、仮面男はぴっ、と人差し指を立ててこう言った。
>「どうせ僕らも昼食は外で摂るつもりでいたんです――
> 一緒に昼食でもいかがです?奢りますよ」
> 我ながら単純と言えるかもしれないが――
> 『奢る』の一言に、あたしはこっくりと首を縦に振ったのだった。

どの世界に行ってもリナはリナですねぇ。

>「ぬぁんですってえぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
> EDの話を聞き終えて、あたしは絶叫した。
>「なぁにが悲しゅうて、異界に来てまで盗賊殺しだのドラまただの、ンな不名誉なこと言われなくちゃなんないのよッ!」

悪事千里を走りまくるっ!(悪事か?)

> さっきから眉間にしわ寄せっぱなしの風の騎士ヒースロゥ=クリストフが、やはり眉を寄せて呟いた。
>「盗賊殺し、と言うのはわからないでもないが――ドラまた、と言うのはなんなんだ?」
> 真剣である。真剣そのものの口調だから――タチが悪い。

まあふつーはわからんな。ましてこの世界の竜はとにかく人間を超えまくった存在だし。

>「う゛……そ、それは……」
>「おいリナ。どうしたんだ?忘れたのか?」
> うっ!
> いっつも余計なことばっか覚えてるガウリイっ!やめろっ!言うなっ!

いやそれでこそガウリイっ!(断言)

> あたしの内心の制止は届くはずもなく、ガウリイはぴっ、と人差し指を立てた。
>「俺は覚えてるぞ。確か『ドラゴンもまたいで通る』だろ?」
>「うむ。たしかにそうだ」
>「ええ。リナさんにぴったりなことばですよね。最近では下級魔族もリナさんを怖がって怖がって――」
> ガウリイのどあほな発言に、エイプリルとゼロスが同意する。
>「っこらぁぁぁぁぁぁっ!なぁに同意してんのよっ!とくにぜろすっ!それほんとなわけっ!?」
> あたしの問いにゼロスは頷いた。
>「ええ。本当ですよ。最近じゃ中級魔族にもいますからね。リナさんを怖がってる魔族」
>「……あ。
> あたしは天災かぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
> 一瞬絶句したあとに響いたあたしの絶叫は、目を点にしているヒースと、笑いをこらえているEDの耳には――
> どーやら、届かなかったようだった。

まあ確かに目が点になるだろうけど……
それよりよく笑ってられんな、ED。
つい先日まで竜を殺す方法散々探しまくってたとゆーのに……

>「……あの、ED――さん?」
>「なんですか?」
> EDもリナたちの食事風景にこれと言って感想を言わず、ただ自分はマイペースに茶を飲んでいる。こちらも――並の神経ではないらしい。
>「あなたは、暇なときなにをしていらっしゃいます?」
> こんなときでもそんなくだらない仕事を忘れないのは素晴らしいと言うべきか――まぁ、彼にとっては死活問題である。どんなにくだらないこととて、真剣にもなるだろう。
>「最近暇なんかありゃしませんよ」
>「なるほど。よくわかりました。ありがとうございます」
> ゼロスは上の空で礼を言った。彼もそう思う。最近暇がない。
> ――獣王様が直々に働けば――暇もなくなるんじゃないでしょうか――ねぇ。
> そんなことを考えて、彼はその考えを即否定した。そんなことを彼の王の前で言ったものならば、即滅ぼされても――滅ぼされなくても殺されても文句は言えない。

ううみゅ。結構まともに話してるし。
絶対お互いにっこにっこしながら舌戦を繰り広げると思ったけど……
でも忙しくて暇がないって言うのは共通項だったわけね。なるほどなるほど(こくこく←頷き)

>「……じゃあ。あなたたちが店間違えたんじゃないですか……?」
>『あ。』
> 半ば伝説的な存在である風の騎士と、そして世界に約二十人ほどしかいないという七海連合の戦地調停士は、同時に声を上げた。
>「午後の鐘が鳴る頃に……貝殻亭……」
>「ここは三日月亭だぞ……」
>
> ………………沈黙。
>
>「し、しまったぁぁぁぁっ!」
>「すいませんっ!ここの代金はあなたたちが支払っておいてくださいっ!後日っ!後日必ずお払いしますっ!」
> と――
> 一方的に叫んで、EDとヒース――二人は去っていったのだった。
>「あー……」
> ゼロスは何か言うのもむなしくて、とりあえず、そううめいたのだった。

をいをいをいをいっ!
いーのかそれで!?ちょいと英雄どの!?戦地調停士どの!?
EDなんか曲がりなりにも「歴史の流れを捻じ曲げる」とまで言われたとゆーのに(汗)

> 後日。
> どこからどーやってあたしたちのことを探り当てたのか、三日月亭で払った代金よりちょっと多くお金を貰い。
> よく考えたらどーすんだ異界の金なんて。とゆー事実に一同は気づいたのだった。

そーいや「日帰りクエスト」でも似たよーなオチありましたねぇ。
……はっ!知らなかったらどうしようっ!これは神坂さんの作品ですけど。

> そして、ゼロスはそれから四日ほどEDに質問攻めにされ、ノイローゼになったそうである。

「秘密です♪」で通じない相手にあったのは多分初体験ではないでしょうか(笑)

> で、レーゼさん――レーゼ=リスカッセさんとも会ったのだが、彼女はけっこう頭のいいひとで、やはりヒースに好意をもっているらしかった――お互い鈍いため、よくわかっていないようだったが。
> で、じれったい二人のことをお茶菓子代わりにして、あたしとEDは色々話し合ったのだった。

「さかな」とはならないこの二人。ED君お茶好きだし(笑)

> ――追記:ガウリイとヒースロゥ=クリストフは、一度木刀で手合わせしたところ腕はなんとほぼ互角で、彼らもいい友達になれたようである。

ほほう。互角ですか。けど会話が合うとは思えないけど……
でもEDとつるんでるくらいだからズレたやつの相手は慣れてるんですね。ヒースは。

>======================================================
>
> だれかっ!誰か私にオチをくださいっ!

オチ?結構いろいろあったじゃないですか。
それでも足りないとしたら……
ミラロフィーダの怪しい踊りを見て
「これは邪神崇拝の儀式に違いないっ!」
何ぞと言ったエイプリルが、リナにスリッパではたかれた上ミラルに冷たく
「ナイン(無駄)」
って言われるとか?
んで、
「このスリッパは魔法を使ってないから奇跡だっ!」
とか言ってEDとリナが売買交渉に入る、とか(笑)
多分EDならどんなに高くても買いますよ。スレ世界の物品。
この場で買えば、もれなく使用説明もついてきますしお買い得♪(商売すなっ!)

> 次はエイプリル目だたせるぞ、と思ってるのです。
> でもそしたら必然的に推理モノの世界に行かなければならなくなるのです。
> ――しかし。
>「しかし?」
> この殺竜事件の世界って、よく考えたら推理小説だったのですよね。
>「忘れてたのかっ!?」
> ファンタジー気質が強すぎて――どうにもこうにも。

私も忘れてましたけど(爆)

> ――まぁ、次ぎがんばればいいか♪
>「で、次ぎ書き終わった後もそういうわけだな」
> ………………ひ、ひどいよガウリイさん。あなたはスレキャラのなかで少なくとも一番性格ましな人と思ってたのに。
>「――そうなのか?」
> 私の見解ではゼルガディスの次ぐらいに。
>「一番じゃないじゃないか」
> あぅ……ま、いいか。
> ああっ!ごめんっ!というわけでこれ書きながらにぃげぇろぉおぉおっ!
>
>(むくぅ、退場)
>
>「にしても――このあとがきと最初のゼロスとの漫才みたいなの、本編の半分は言ってないか……?」
> ガウリイさん、それは言わない約束なのです(もどってきた)。
> それでは。むくぅなのでした。再度逃げるのです。ではっ!

じゃあ次は推理物ですね♪
またわくわくしながら追っかけさせていただきます♪だって早いんですから。

……あ、前回のレスについて訂正いたします。
「妖魔夜行」はスニーカー文庫より、
「ダブルブリッド」は電撃文庫よりの出版です。

後追加していいですか?
前回のレスで田中芳樹先生の作品を紹介しましたが、
この人の別の作品、「薬師寺涼子の怪奇事件簿」はスレイヤーズに結構影響を受けていると思われます。いやのりぃの独断ですが(汗)
なぜかと言うと、まず御本人がどこかで「アニメを見ていて思いついた」とおっしゃっていらした事。
それに、薬師寺涼子本人に「ドラよけお涼(ドラキュラもよけて通る)」なんぞという異名がついていたり、彼女自身「あたしに逆らうやつに人権などない!」「正義とはあたしが勝つ事よ!」などなど、トンデモな台詞を昂然と放つからなのですっ!(爆)
推理物……といっていいのかどうかはわからない作品ですが、面白いのは確かです。でも多分読んでらっしゃらないでしょうね……ううみゅ。またいらん事書いてしまった。ごめんなさい。

またなんかひたすら長いレスになってしまいましたが、今回この辺で失礼しますっ!
ではのりぃでした〜っ!さ〜、今回は見えないように電柱の影から追跡♪

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16109でもコメントは遅いのです……(コラ)むくぅ 6/25-17:06
記事番号16084へのコメント

のりぃさんは No.16084「はっ!早いっ!(追いつけてない)」で書きました。

>どうもこんにちは〜。
>先日あなたを魅惑してしまったのりぃなのです〜(違)
>しかし早いですね〜、投稿スピード。
>思わずわが身を省みて穴掘ってますよ。私は。

 はい……魅惑されました。むくぅなのです。
 ……って言われてるそばから送ってないっ!
 波のありまくる私の投稿に付き合ってくださってどうもありがとうございます。

>> エイプリルは殺しても死にはしないような人間だし、ガウリイは脳みそ入っているべき位置はみんな骨っぽいし、ゼロスに至ってはこの世界の『魔道』は彼に通用しないだろうが、あたしはか弱いのだ!

>えええええっ!ガウリイってば骨なの!?
>私はてっきりエイプリルにあわせて今回の中身はマーマレードだと(激違)

 ええ。マーマレードが固形化して骨になっているのです(大嘘)

>> ……ツッコミ厳禁だからね。

>入れちった。ゴメンねリナちゃん♪(さらに違う)

 入れられてます。どうしますリナさん(コラ)?

>>「僕、竜に会うなんて言いました?」
>> ずべしゃぁぁぁぁぁっ!

>ずるずるずるずる。

 ずるべた。ぐちょ(!?)

>> あたしとエイプリルはその場でコケた。エイプリルは地面と激しくキスして、あたしは後頭部を強打した。

>ふっ。
>私なんか布団の上からずれてしまいましたよ(威張るな)
>しかしここのハズしかた……むくぅさん、ナイスですっ!

 ハズせるところはハズしてしまえっ!が座右の銘ですから(違)
 どのくらいハズすかというとハズしすぎて逆にひかれるくらいです(ダメダメだろが)っ!

>>「だが、人間がいないのではひまつぶしの方法も見つけられないのではないのかね」
>> …………………
>> エイプリルの史上稀に見るまともな発言により、ゼロスは海よりも深く沈黙した。
>> やがて、ゼロスはぽんっ、と手を打つ。
>>「……そーいえば……」
>>「っだぁぁぁぁぁぁぁぁっ!なに考えてんのよこのゴッキー神官(プリースト)ッ!」
>> みりっ!
>> あたしの右ストレートは、見事にゼロスの顔面にヒットした。

>ゼロスっ!ひょっとして風邪でも引いてないか!?(んなバカな)
>エイプリルにまともにツッコミを入れられるとは……食い逃げ以来の恥じだぞっ!(ひどい)

 私としてはストレスのために精神的にぐらぐらしててボケかますのかと……(違)

>>「すいませんね。こいつは好奇心旺盛で、よそ見しながら歩いていたものですから……」
>>「よそ見しながら走っていた、です。正確には」
>>「……威張れたことじゃないと思うけど……ていうかよけー危ないし……」

>悪びれないのがED君なのです(断言)

 悪びれるEDくんは想像できませんのです。

>>「……危険度は走ってる方が高いし。
>> というか……あんたの方が背が小さいしやたらと痩せてんのになんでガウリイが倒れてあんた立ってんのよ……」
>>「いやぁ」
>> なぜ照れる。ガウリイ。

>リナもろともガウリイ将棋倒しをやるとは……
>ED君、実はこっそり体鍛えてたか!?(だから違うっつーに)

 EDくんは『こっそり』で覚えてる特技がたくさんあるのですよっ!きっと(違う)!

>>「ああ、ちょっと待ってください」
>>「なによ?」
>> あたしが振り返ると、仮面男はぴっ、と人差し指を立ててこう言った。
>>「どうせ僕らも昼食は外で摂るつもりでいたんです――
>> 一緒に昼食でもいかがです?奢りますよ」
>> 我ながら単純と言えるかもしれないが――
>> 『奢る』の一言に、あたしはこっくりと首を縦に振ったのだった。

>どの世界に行ってもリナはリナですねぇ。

 リナですよ……リナです。リナじゃなきゃリナじゃないですから(意味不明)

>>「ぬぁんですってえぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
>> EDの話を聞き終えて、あたしは絶叫した。
>>「なぁにが悲しゅうて、異界に来てまで盗賊殺しだのドラまただの、ンな不名誉なこと言われなくちゃなんないのよッ!」

>悪事千里を走りまくるっ!(悪事か?)

 悪事です。きっと。本人に自覚がないだけで(げしぃっ)。

>> さっきから眉間にしわ寄せっぱなしの風の騎士ヒースロゥ=クリストフが、やはり眉を寄せて呟いた。
>>「盗賊殺し、と言うのはわからないでもないが――ドラまた、と言うのはなんなんだ?」
>> 真剣である。真剣そのものの口調だから――タチが悪い。

>まあふつーはわからんな。ましてこの世界の竜はとにかく人間を超えまくった存在だし。

 いっそのことこの世界の竜とリナどっちが強いのか勝負……無理ですね。ごめんなさい(後ろで見ていたリナの視線が怖かったらしい)。

>>「う゛……そ、それは……」
>>「おいリナ。どうしたんだ?忘れたのか?」
>> うっ!
>> いっつも余計なことばっか覚えてるガウリイっ!やめろっ!言うなっ!

>いやそれでこそガウリイっ!(断言)

 そうでなくてはガウリイではないのですっ!がんばれガウリイッ!負けるなガウリイッ!(なぜ)

>>「……あ。
>> あたしは天災かぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
>> 一瞬絶句したあとに響いたあたしの絶叫は、目を点にしているヒースと、笑いをこらえているEDの耳には――
>> どーやら、届かなかったようだった。

>まあ確かに目が点になるだろうけど……
>それよりよく笑ってられんな、ED。
>つい先日まで竜を殺す方法散々探しまくってたとゆーのに……

 それはそれ。これはこれ。頭がやわらかすぎなEDくんなのです。

>>「……あの、ED――さん?」
>>「なんですか?」
>> EDもリナたちの食事風景にこれと言って感想を言わず、ただ自分はマイペースに茶を飲んでいる。こちらも――並の神経ではないらしい。
>>「あなたは、暇なときなにをしていらっしゃいます?」
>> こんなときでもそんなくだらない仕事を忘れないのは素晴らしいと言うべきか――まぁ、彼にとっては死活問題である。どんなにくだらないこととて、真剣にもなるだろう。
>>「最近暇なんかありゃしませんよ」
>>「なるほど。よくわかりました。ありがとうございます」
>> ゼロスは上の空で礼を言った。彼もそう思う。最近暇がない。
>> ――獣王様が直々に働けば――暇もなくなるんじゃないでしょうか――ねぇ。
>> そんなことを考えて、彼はその考えを即否定した。そんなことを彼の王の前で言ったものならば、即滅ぼされても――滅ぼされなくても殺されても文句は言えない。

>ううみゅ。結構まともに話してるし。
>絶対お互いにっこにっこしながら舌戦を繰り広げると思ったけど……
>でも忙しくて暇がないって言うのは共通項だったわけね。なるほどなるほど(こくこく←頷き)

 そのうち苦労度が高いゼロスの方に静かな殺意っぽいものが芽生えることでしょう!そのときに二人の本当の戦いははじまるのですっ!(凄違)

>>「し、しまったぁぁぁぁっ!」
>>「すいませんっ!ここの代金はあなたたちが支払っておいてくださいっ!後日っ!後日必ずお払いしますっ!」
>> と――
>> 一方的に叫んで、EDとヒース――二人は去っていったのだった。
>>「あー……」
>> ゼロスは何か言うのもむなしくて、とりあえず、そううめいたのだった。

>をいをいをいをいっ!
>いーのかそれで!?ちょいと英雄どの!?戦地調停士どの!?
>EDなんか曲がりなりにも「歴史の流れを捻じ曲げる」とまで言われたとゆーのに(汗)

 いいのですっ!それが二人なのですからっ!……きっとたぶんおそらく(弱気)

>> 後日。
>> どこからどーやってあたしたちのことを探り当てたのか、三日月亭で払った代金よりちょっと多くお金を貰い。
>> よく考えたらどーすんだ異界の金なんて。とゆー事実に一同は気づいたのだった。

>そーいや「日帰りクエスト」でも似たよーなオチありましたねぇ。
>……はっ!知らなかったらどうしようっ!これは神坂さんの作品ですけど。

 知ってます知ってます知ってますのでぇぇすっ!
 神坂さんの作品は読んでますからね。ほとんど。
 今OPハンター(知っておりますでしょうか……?)のハードカバー探し回ってるところです。
 文庫は持ってるんですけど――あとがきがせめて立ち読みしたいっ!ので。

>> そして、ゼロスはそれから四日ほどEDに質問攻めにされ、ノイローゼになったそうである。

>「秘密です♪」で通じない相手にあったのは多分初体験ではないでしょうか(笑)

「それは秘密です」
「そんなこと言うことないでしょう。そもそも世の中における秘密とは――(以下略)というわけで教えて下さい」
「……」
 とかゆー会話がっ!? この辺りからゼロス殺気立ち始めてるはずです!

>> で、レーゼさん――レーゼ=リスカッセさんとも会ったのだが、彼女はけっこう頭のいいひとで、やはりヒースに好意をもっているらしかった――お互い鈍いため、よくわかっていないようだったが。
>> で、じれったい二人のことをお茶菓子代わりにして、あたしとEDは色々話し合ったのだった。

>「さかな」とはならないこの二人。ED君お茶好きだし(笑)

 酒の肴に……ガウリイに飲ませてみようかなぁ……手におえなくなりそうなのですけれど。次の日何も覚えてないだろうし。

>> ――追記:ガウリイとヒースロゥ=クリストフは、一度木刀で手合わせしたところ腕はなんとほぼ互角で、彼らもいい友達になれたようである。

>ほほう。互角ですか。けど会話が合うとは思えないけど……
>でもEDとつるんでるくらいだからズレたやつの相手は慣れてるんですね。ヒースは。

 ずれてる度合いは恐らくガウリイがEDより上。ヒースは結局世話好きなんでしょうねぇ……

>> だれかっ!誰か私にオチをくださいっ!

>オチ?結構いろいろあったじゃないですか。
>それでも足りないとしたら……
>ミラロフィーダの怪しい踊りを見て
>「これは邪神崇拝の儀式に違いないっ!」
>何ぞと言ったエイプリルが、リナにスリッパではたかれた上ミラルに冷たく
>「ナイン(無駄)」
>って言われるとか?
>んで、
>「このスリッパは魔法を使ってないから奇跡だっ!」
>とか言ってEDとリナが売買交渉に入る、とか(笑)
>多分EDならどんなに高くても買いますよ。スレ世界の物品。
>この場で買えば、もれなく使用説明もついてきますしお買い得♪(商売すなっ!)

 スリッパ……
 (大爆笑)
 げほっ!ごほっ!ふぅ……
 ……スリッパをなにやら便利そうに扱ったりするEDくん。
 あ・EDくんとリナたちの世界の竜とかエルフって趣味が合うのかもしれないですね。ギャグのセンスはどうだかわからないですが……

>> 次はエイプリル目だたせるぞ、と思ってるのです。
>> でもそしたら必然的に推理モノの世界に行かなければならなくなるのです。
>> ――しかし。
>>「しかし?」
>> この殺竜事件の世界って、よく考えたら推理小説だったのですよね。
>>「忘れてたのかっ!?」
>> ファンタジー気質が強すぎて――どうにもこうにも。

>私も忘れてましたけど(爆)

 笑ってごまかしましょう。すいませんと謝りましょう。EDくんとかに。

>> それでは。むくぅなのでした。再度逃げるのです。ではっ!

>じゃあ次は推理物ですね♪
>またわくわくしながら追っかけさせていただきます♪だって早いんですから。

 あぅ(汗汗)すいませぬぅぅぅっ!レス遅い上になんか投稿スピード減速してますっ!

>……あ、前回のレスについて訂正いたします。
>「妖魔夜行」はスニーカー文庫より、
>「ダブルブリッド」は電撃文庫よりの出版です。

 ふみゅ。
 
>後追加していいですか?
>前回のレスで田中芳樹先生の作品を紹介しましたが、
>この人の別の作品、「薬師寺涼子の怪奇事件簿」はスレイヤーズに結構影響を受けていると思われます。いやのりぃの独断ですが(汗)
>なぜかと言うと、まず御本人がどこかで「アニメを見ていて思いついた」とおっしゃっていらした事。
>それに、薬師寺涼子本人に「ドラよけお涼(ドラキュラもよけて通る)」なんぞという異名がついていたり、彼女自身「あたしに逆らうやつに人権などない!」「正義とはあたしが勝つ事よ!」などなど、トンデモな台詞を昂然と放つからなのですっ!(爆)
>推理物……といっていいのかどうかはわからない作品ですが、面白いのは確かです。でも多分読んでらっしゃらないでしょうね……ううみゅ。またいらん事書いてしまった。ごめんなさい。

 あおぅっ!この前のレスに上げてくださった本……むくぅの手に負えそうにないのです。申しわけありませんっ!
 ああそういえば、京極堂シリーズ、って知ってますでしょうか?知らない人が多かったら――どーしよう。まぁがんばります。
 あの薄暗くどんよりとした作風壊しにタダでさえ壊れている魅力な三十男(!?)たちのキャラ壊し、そして知らない人にもわかりやすく……ああ、無理かもしれないのです。

>またなんかひたすら長いレスになってしまいましたが、今回この辺で失礼しますっ!
>ではのりぃでした〜っ!さ〜、今回は見えないように電柱の影から追跡♪

 うっ!?電柱の影……!?
 ではこちらは潜水で泳いで逃げれば……
 とか考えて、サメに食われかけの、むくぅなのでした。ではでは。

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16162獣王様の暇つぶし 4むくぅ 6/29-13:35
記事番号16003へのコメント

 ……はい。最近調子に乗ってるむくぅなのです。
 いつのまに三つに増えた!?ううっ!これもみんな上遠野センセのせいだ!ここはスレページなのにッ!
「なに暴れてんですか――って、たしか前回ガウリイさんも後書きで同じようなことを……」
 ああゼロスさん……あなたも最近人格崩壊(人じゃないけど)起こしかけてるし……だいたい前々回のブギーはともかく、殺竜事件読んでた人ってどれくらいいるんだろーか……?
 っていうかそもそもエイプリルぜんっぜん目立ってないし……おまけにタイトル長いし。
 それになにより今回突入させるつもりの世界は、果たしてどのくらい知ってる人がいるのだろーか!?という問題があるのですッ!
 まぁそれについては『私の趣味爆発させてるだけなんだからいっかV』とかゆー一応の解決を見たのですが。
「知りませんよそんなの。タイトル長いのはあなたのせいだし。だいたい僕の性格壊れてきてんのだってあなたのせいでしょうが」
 そのうちあなたがタメ口になりそうで怖くて怖くてたまらないのです……
「なりません。なったらそれは絶対僕じゃありません。認めません!」
 だって最近人のこと暴力制裁してるし――もぉなんていうか第二Lサマ化街道爆進中って感じだし……
「なんて恐れ多いこというんですか!あなたはっ!」
 ……まえがきに一発流星落とすのもまた一興かな。と。
「僕を巻き込まないで下さいよっ!」
 じゃあ来ないで下さいなのです。
「あなたが呼んでるんですよっ!?僕をッ!」
 読んだ覚えなんてないのです。――獣王サマに言われて出てきたんじゃないですか?
「………………」

 (死刑、執行中)

「……ふっ。蝙蝠もどきの分際で僕の図星をつくとは百年早いです」
 うううううう――やっぱりLサマ化し始めてるのです……
 ……そ、それではむくぅの小説――とも呼べないよーな駄文なのですが、お読みくださいのです。今回は三人称を――そーですね。エイプリルにしましょうか。
「今回も僕じゃないんですね……」

=======================================================

 エイプリルははっきり言ってこの異界の旅に飽きてきていた。
 なぜか――は、彼女にはわかりきっていた。
 すなわち――
 謎がないッ!と、ゆーことである。
 というか前回の世界の歴史の話とゼロスの思わせぶりな発言で、絶対今回はまともにスリリングな事件が起こるッ!と期待していたのにも関わらず、結局なにも起きなかったことが彼女は癪だった。
 それタチの悪い野次馬のセリフじゃねーか、とかゆーまともな意見は少なくとも彼女の頭の中には存在しない。
「……まちがっている――まちがっているぞ……」
 彼女は誰ともなしに呟き続ける。これでもじゅーぶんアブない人間に見えるが、それも置いておく。彼女は気にするよーな人間ではない。
 ちなみに、今回は彼女はいつもどおりの探偵ルックだった。リナたちは前々回の世界で着ていたような服を着ていた。ゼロスは背広ではなく手品師のような格好をしていたが。
「むぅ――今回は私の知的探求心を刺激するよーな事件は起こってくれるのだろうか……?」
 簡単に言うと『私の野次馬心を満たすよーな面白いことは起こらないだろーか』とゆー意味ではあるのだが、それに彼女は気づいていない。
「今回もおいしーもの食べられるといいわね♪ガウリイ」
 リナはうきうきしながら言った。ガウリイはきょろきょろと辺りに視線を動かすと、
「飯屋とかあるのかなー……」
 と呟いた。
「んー……たしかにここらヘンは人気ないけど――ま、いちおー探してみましょーか。
 ――ゼロス。あんたはどーする?」
「ご一緒します」
「あ、そ」
 リナは言ってすたすたと歩いていった。他の三人もそれに続く。
 やたらとのぼりにくい坂を登り、着いたのはのれんがかかった小さな屋だった。
「――そば屋」
「そばってなによ」
 ゼロスの呟きにリナが問う。
「この国の料理です。つゆに入った麺――ですね。おおむねは」
「麺、ね。じゃあここ入ってみましょうか!」


 っ――くっ、ここがっ――くそっ……
「あぁぁぁもぉ!食べにくいったらありゃしないっ!」
 あたしは初めて扱う『ハシ』なるものに混乱していた。
 この二本の棒でどーやって食えとゆーのだっ!
 とゆーよりゼロスはともかくとしてガウリイがハシを扱えたのは驚きである。
 エイプリルはあたしと同じで苦戦していたが。
 食べ終わったのはあたしが一番最後だった。
 ――食もあまり進まず、五人前ほどしか食べられなかったことにあたしは後悔した。


 蕎麦屋の隣りは古本屋だった。
「きょう――ごくどう――京極堂です」
 ゼロスが通訳した。この国の言語はリナたちのそれとずれている。前回も前々回もそうではあったのだが、あの時は文字を読む機会など無かったのだ。
 言葉が通じたのは――ゼロスに説明してもらったはもらったのだが良くわからない理由だった。
 ゼロスが言うには、
「精神世界面(アストラル・サイド)は『イメージ』で成り立っています。その存在の心、精神――などですね。で、話は変わりますが世界を移行することによって世界の『ズレ』が生じます。世界は少しでも『ズレ』を元に戻そうとあなたたちを一時的に世界の『存在』として『容認』するわけです。
 それで、真っ先に影響を受けるのが『言語』というものだった――つまりあなたたちはこの世界のどの国の人間のどの国の言葉とも言葉が通じる――という理屈になりますね」
 ――と言うことだった。
 彼女は魔道士ではあるのだが、はっきり言ってそう言った風な理屈はよくわからない。リナ辺りなら大雑把どころか正確に理解できているのかもしれないが。
「――なんの店?」
「古本屋です」
 リナの言葉にゼロスは即答した。ちなみにガウリイはといえば、『キョウゴクドウ』という単語を繰り返し口の中で呟いている。
 ところで――彼女は、と言うよりは彼女たちの世界の人間は、古本屋というものが少ない。
 文献を扱うところ、と言うのはむろんあるが、そういう『ところ』というのはほとんど図書館である。普通の民間人が読むような『本』と言うのは英雄伝(ヒロイック・サーガ)や『おとぎ話』がほとんどだし、彼女とて魔道士になる前はそういうものしか読んだことが無かった。
 そう言ったものは普通本屋、と言うものではなく行商や露店で手に入れるし、読まなくなれば他人にあげたり捨てたり、それとも本棚でほこりをかぶっていたり――少なくとも『売ろう』と思う人間はいないだろう。
「面白そうね――入ってみましょうか。通訳お願いねV ゼロス」
「――いちいち音読してたら僕の声枯れますよ……?」
「魔族が声枯れるわけないでしょーが」
 そんなことを前方を歩く二人が言いながら、エイプリルたちは古本屋――『京極堂』に足を踏み入れた。


 ――後で聞いたことなのだが、この店が開いている、と言うのはめったには無いことらしい。
 別に主人が怠け者、と言うわけではない。
 彼は、ただ本を読むのが好きなだけだったのである。
「――本だらけね」
 店の中に入った最初の感想はそれだった。
 本で溢れているが、整理整頓されていない、と言うことも無く、本棚は整っている。
「すごいな……」
 エイプリルも少しキツめの目を見開いて言う。
 そして。
 少々陰気なその『古本屋』の奥の方に座って――本を読んでいたのは、世界が滅んだかのごとき仏頂面の男だった。
 陰気な古本屋の仏頂面の店主。
 彼は夜道で会ったら全速力で逃げ出したくなることうけあいの、丹精ではあるがかなり凶悪な顔をしていた。黒い髪は少し、伸びている。
 ――ちなみに、断っておくが『彼』はどちらかと言えば魔道士系の、おおよそ肉体労働などには向いていない類の男だった。怖い、と言う種類は――例えるなら怪談やら幽霊やらのそれである。
 あたしたちが入ってきたことに気づかないでもあるまいに、彼は顔も上げずに本を読んでいた。
 ――無愛想な店主。
 しょうがないので、あたしたちは勝手に本を見ることにした。
 ――と言っても、ゼロスに小声で訳してもらう、ということがあちこちで行われていたから、本が読みにくい状況ではあっただろうが。
 そして。
「おおっ! 客だぞ客ッ! 古本屋に客がいる!」
 ――聞くからに傍若無人なその声は、それほど広くもない古本屋に響き渡った。
 店主はそこでようやっと顔を上げる。仏頂面は変わってはいないが、多分――彼は嫌そうな顔をしたのだろう。
「榎さんか――」
 そこで彼ははぁっ、とため息をつくと、
「すいませんがね、お客さん。こちらは知り合いがきたもので、店を閉めなければならない」
「いいじゃないか京極堂ッ! 珍しい客を追い払うこともあるまいに! なんなら僕も客になって本を立ち読みしていこうか?」
 さっきの声である。
 そちらの方を見ると、茶髪に茶色の瞳の、色白の男が立っていた。あたしは変人など見飽きているから、彼がとりわけへんな男だとも思えなかったが。
常識で考えれば――かなりの変人である。知人の店に来た途端、この騒ぎである。
 にしても、京極堂って――店と同じ苗字か?
「それは遠慮してもらいます――あんたが本を読むと――本が破かれそうだ」
 店主は――京極堂は――嫌そうに言う。不機嫌と言うことでもないのだろうから、別に嫌、と言うわけでもないのだろうが、表情は仏頂面のままだった。
「それより今回は何か用ですか?」
「亀だ!」
 エノさん――とか呼ばれていたか? その男が京極堂に答えて叫んだ。
「亀だ亀。千姫がいなくなったんダッ! あの馬鹿親父はまた亀をなくしたのだ!」
「千姫が? またですか?」
 また、と言うと前回もいなくなって――探し当てた、と言うことだろうか? それはかなりの名探偵ぶりだが。
 ――探偵。
 あたしは少し嫌な予感がしてエイプリルを見た。
 偶然入った店で事件の知らせ――そんなに大した事件でもないのだが――を聞いて、運命的なことを感じたと思われる。彼女はものすごく嬉しそうな顔をした。
「事件だ! 事件だよリナ君! これは紫の脳細胞たるこの私に事件を解明しろと――そういうわけだと思わないかい!?」
 と、先ほどのエノさんにも勝るとも劣らず大きな声で言った。
「良ければ話をお聞かせ願いませんかお二方!」
 ――ああああ。まあぁぁぁぁた面倒なことになりそうである。
 あたしは頭を抱えた。
 ゼロスはいつのまにかどこかへ消えていた。
 ――関わって仕事が遂行できなくなるのはごめんだ――と言うことか。
「あたしだってそんなのは同じだってのっ! 連れてくんならあたしも連れて行けえぇぇぇぇっ!」
 今現在あたしの精一杯の絶叫は――
 エイプリルやエノさんの耳には届かなかったらしい。
 唯一声が届いたと思われる店主は、うるさい、とばかりに顔をかすかにしかめたのだった。


「こちらが榎木津礼二郎で、僕は中禅寺秋彦、と言います」
 座敷に来て、彼らはとりあえずそう自己紹介した。
「じゃあ中禅寺さん。よくわかりませんけどあたしたちはこれで」
「ちょっと待ってください。僕に代わってこの馬鹿らしい失踪事件を解いてくれるんじゃあなかったんですか?」
 こら。さりげなしに足掴むな。中禅寺。
 あたしはジト目で彼を見ると、
「じゃあ中禅寺さんは見ず知らずの赤の他人に、そんな馬鹿らしい事件を押し付けるんですか?」
「ええ」
 即答である。
 何考えとんじゃ! この痩せぎすおやぢっ!
 あたしはそんな心中を極力押さえながら、にこやかな笑みを浮かべた。
「あはははは。でもあたしはヤなんで。
 任せるならこのエイプリルにしてください。まぁ彼女に任せたら一生事件は解決しないと思いますがその辺は自業自得ですよね」
「リナ君なにげにそれは失礼なんじゃあないのかな?」
 あたしのことばにエイプリルがさりげなくツッコんだ。
 やかましい。
 あたしははっきり言って町のどこぞに消えたとゆー亀探せ、とゆー気の遠くなるようなばかげたことをするのはごめんである。
 そんなわけで、あたしはエイプリルを無視して話を続ける。
「それに前回いなくなったときはあなたたちで見つかったんでしょう? それだったら今回も見つかるんじゃあありませんか?」
「前回はかなりの偶然で見つけましたからね」
 中禅寺は仏頂面でとぼけて言う。
 ――くっ! どーあってもややこしい仕事を自分がやるつもりなしか!
 それだったらあたしにも考えとゆーものがある!
「榎木津さんはどうなんです? やっぱり見ず知らずのあたしたちより中禅寺さんのほうが信用に足ると思いますよねぇ?」
 必殺! 相手をおだてて依頼人に納得させる作戦!
 面倒な仕事回避するときに役立つ技である。
 が――
 榎木津は、黙ってあたしをにらんでいた。
 いや――あたしの後ろを見ているのか。
「なんだ? その男は……」
 あたしは怪訝な顔をした。
 まさか幽霊がついているということもあるまいに、あたしの後ろになにが見えるとゆーのだ?
「なんだそれ? 仮面か?」
「亀ん?」
 中禅寺が妙なアクセントで発音した。
 仮面――の男。
 EDのことか?
 ちょっと待て! なぜこの男にはそれが『視える』のだ!?
 あたしは慌てた。
「ちょっと待ッ! なんで見え――」
「仮面の男!? EDくんのことかね? それは」
「ED? 誰だっけ、それ」
 あたしとエイプリルがまともに驚いた声を上げるのを後目に、ガウリイが間の抜けた声を上げる――のはいつものことだが。
「江戸?」
 今度は榎木津がへんな言葉を呟いた。
「なかなか珍客のようだな」
 中禅寺がぽつりっ、と呟いた。
「そう言えば、あなたたちの名を聞いていませんでしたね――それに、住んでいる国も」
 ――あ。
 あたしは今にいたって、そのことに気づいた。
「そーいえばそーね。
 あたしはリナよ。リナ=インバース。故郷(くに)はゼフィーリア――って言ってもわかんないか」
 かすかに苦笑する。ここは別の世界だ。わかるはずもない。
「ゼフィーリア?」
 思ったとおり、中禅寺が眉の皺を増やした。
「あははは。気にしないで」
「私はエイプリル=ランドマークだ」
 エイプリルがあたしの話をごまかすように自己紹介をした。中禅寺が一瞬そちらに気をそらす。
 今だッ!
「――で、このにーちゃんがガウリイ=ガブリエフ。のーみそなし骨だらけ記憶力皆無のひとよ。思う存分哀れんで」
 あたしの言葉にガウリイがコケて畳に頭をぶつけた。
 まぁ――ここまでぼろくそいわれては無理もないだろうが。
「あ、あのなぁっ!」
 思ったとおり、起き上がったとたん不機嫌な声を上げる彼に、
「本当のことでしょ」
 とあたしは冷たい言葉を返した。
「で、カメ――」
「あははははは。じゃあお互いの紹介も済んだことですし、あたしたちはこれで」
 立ち上がりかけた瞬間、中禅寺の奥さんと思われる女性が、
「お茶菓子、いりませんか?」
『いります!』
 あたしとガウリイはハモって言った。
 助かった♪ このお茶は少し渋くて口になれぬ味で戸惑っていたのである。甘いお菓子は大歓迎だった。
「じゃあカメの件はどうします?」
 はっ! しまった! 煙に巻いて去るつもりが……
 慌てて奥さんの方を見やると、奥さんはただにこにことあたしとガウリイの皿に茶菓子を配っていた。
 ――はめられた。
 あたしは確信した。
「ん?」
 鈴の音?
 いや、それにしてはちょっと大きい。
「電話だ」
 中禅寺が立って、部屋の外に消えた。
 しばらくたって、中禅寺が戻ってくると、ちょっとつまらなそうな顔を彼はしていた。
「――千姫が見つかったそうだよ。家にいたらしいね」
「なんだそうか! やはりあの馬鹿親父は早とちりでボーっとしているからそういう勘違いをするんだな! 全く!」
 榎木津が笑った。
 あたしは――はっきり言ってほっとしていた。ガウリイは顔色を変えずに、エイプリルはあからさまに残念そうな顔をしていた。
「じゃ、お茶飲み直しましょうか」
「帰るんじゃなかったんですか?」
 ――理由わかってるくせに、いやはや、果てしなくいやみな店主である。
 あたしはぴっ、と指を一つ立て、
「気が変わったのよ」
 といった。


 そのあとリナたちはいろんなことを話し合った。
 中禅寺のうんちくを聞き流しながら。
 ゼロスはどうしたのだろうか、と思う。
 しかし、それよりも。
「次の世界では――なにか事件があるだろうか……」
 多分、無いと思う。
 エイプリルはため息をついた。
 ゼロスは――どうしただろうか?


 ――ちなみに、その頃ゼロスは。
 比較的人通りの多い駅前で聞き込みをして、あまりに話を聞いてくれる人が少ないため途方にくれていたという。
「ああ――帰りたくないです――」

=======================================================

 今回はギャグないのですね。つまんないし。短いし。オチないし――
「駄作、と言う奴だね。謎も無かったし」
 おや。エイプリルさんなのですね。
「謎はどうしたんだね。謎は」
 謎――と言うと、最初のブギーの世界でエイプリルがきてた服装とか――?
「いや。そーいうんじゃなくて――」
 あれは警察官の服装ですよ。エイプリルにはそれが似合うかなぁ、とか思いましたのです。 
 あ、そうじゃなかったらあなたがこの話に出ていること自体疑問ですか? それだったらしょうがないのです。
「(がしぃっ! とむくぅの襟首引っつかみ)そうでもなくてっ! 私の知的好奇心を満たすような謎は無いのかねっ! 殺人事件とか!」
 私には謎なんてかんがえられませぇぇぇぇぇぇん! ちょっとやめてください! 息が息がぁぁぁぁぁッ!

(むくぅ、ばっ! とエイプリルを振りほどいて逃走。追うエイプリル、途中で見失う)

 はぁっ! はぁっ! よかった――振り切ったか……
 んではっ! むくぅなのでした! 引き続き逃げますっ!
「この話はスレファンだけでなく京極ファンも敵に回しそうだね」
 余計なお世話――ってエイプリルさぁぁぁぁぁぁんッ!?

(むくぅ逃走。エイプリル、いつまでも追いつづける)

 では、むくぅなのでしたぁぁぁぁぁ!

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16185はうううううっ!(←読んでない)のりぃ E-mail 7/1-19:39
記事番号16162へのコメント

読んでないですっ!このシリーズっ!くくぅっ!負けたぁぁぁっ!(何に?)
……と、いきなしはじめで絶叫してしまいましたのりぃです。
ううみゅ。全部カバーしてやろうと思ったのに……
実はレスが遅れたのはそのせいなのです。「ああっ!読んでないっ!くっ、こうなったら図書館(自転車片道30分)まで行ってあさっちゃるっ!」と固い決意を決めたにもかかわらず……
行けなかったのです(こら)
やはり往復1時間+予想居座り時間1時間、なおかつ5時まで、という条件は厳しかったので……
で、読んでないのにレスを付ける、なんぞという暴挙にでたしだい。
……だって後1日待って読んで来たらもう既にツリーが沈んでそうな気がひしひしと……

> というか前回の世界の歴史の話とゼロスの思わせぶりな発言で、絶対今回はまともにスリリングな事件が起こるッ!と期待していたのにも関わらず、結局なにも起きなかったことが彼女は癪だった。
> それタチの悪い野次馬のセリフじゃねーか、とかゆーまともな意見は少なくとも彼女の頭の中には存在しない。

探偵と言うのは関係ない事件に立ち入って警部さんに迷惑がられるもの♪って相場決まってますし(違)

>「……まちがっている――まちがっているぞ……」
> 彼女は誰ともなしに呟き続ける。これでもじゅーぶんアブない人間に見えるが、それも置いておく。彼女は気にするよーな人間ではない。
> ちなみに、今回は彼女はいつもどおりの探偵ルックだった。リナたちは前々回の世界で着ていたような服を着ていた。ゼロスは背広ではなく手品師のような格好をしていたが。

手品師?と聞くとなぜか金田一の高遠さんが浮かぶ私(汗)
ゼロスと組めば最強の犯罪コンビ結成ですね。(ゼロスの犯罪暦=食い逃げ1件♪)

>「むぅ――今回は私の知的探求心を刺激するよーな事件は起こってくれるのだろうか……?」
> 簡単に言うと『私の野次馬心を満たすよーな面白いことは起こらないだろーか』とゆー意味ではあるのだが、それに彼女は気づいていない。

ガウリイあたりは簡単にだまされそーな気もしますが。

>「んー……たしかにここらヘンは人気ないけど――ま、いちおー探してみましょーか。

……ってゼロス。なんでわざわざ人気の無いところに来るかな?あんたの仕事は聞き込み調査でしょ〜が(やや違)
……さては前回のダメージがまだ回復しきってないな。

> っ――くっ、ここがっ――くそっ……
>「あぁぁぁもぉ!食べにくいったらありゃしないっ!」
> あたしは初めて扱う『ハシ』なるものに混乱していた。
> この二本の棒でどーやって食えとゆーのだっ!
> とゆーよりゼロスはともかくとしてガウリイがハシを扱えたのは驚きである。
> エイプリルはあたしと同じで苦戦していたが。
> 食べ終わったのはあたしが一番最後だった。
> ――食もあまり進まず、五人前ほどしか食べられなかったことにあたしは後悔した。

あ、そっか。苦手なのが同じでもリナの方が食べる量が少ないんだ。納得納得。
ガウリイが箸を使えたのは……食い意地と野生のカンで一発♪

> 少々陰気なその『古本屋』の奥の方に座って――本を読んでいたのは、世界が滅んだかのごとき仏頂面の男だった。
> 陰気な古本屋の仏頂面の店主。
> 彼は夜道で会ったら全速力で逃げ出したくなることうけあいの、丹精ではあるがかなり凶悪な顔をしていた。黒い髪は少し、伸びている。
> ――ちなみに、断っておくが『彼』はどちらかと言えば魔道士系の、おおよそ肉体労働などには向いていない類の男だった。怖い、と言う種類は――例えるなら怪談やら幽霊やらのそれである。
> あたしたちが入ってきたことに気づかないでもあるまいに、彼は顔も上げずに本を読んでいた。

あうあうあうあう。この辺はもう読んでないと言う弱みがひしひしと……

> ――無愛想な店主。
> しょうがないので、あたしたちは勝手に本を見ることにした。
> ――と言っても、ゼロスに小声で訳してもらう、ということがあちこちで行われていたから、本が読みにくい状況ではあっただろうが。

読ませる本にもよりますね。ていうかゼロスが素直に翻訳してるかどうかもまた疑問。

> そして。
>「おおっ! 客だぞ客ッ! 古本屋に客がいる!」
> ――聞くからに傍若無人なその声は、それほど広くもない古本屋に響き渡った。
> 店主はそこでようやっと顔を上げる。仏頂面は変わってはいないが、多分――彼は嫌そうな顔をしたのだろう。
>「榎さんか――」
> そこで彼ははぁっ、とため息をつくと、
>「すいませんがね、お客さん。こちらは知り合いがきたもので、店を閉めなければならない」
>「いいじゃないか京極堂ッ! 珍しい客を追い払うこともあるまいに! なんなら僕も客になって本を立ち読みしていこうか?」
> さっきの声である。
> そちらの方を見ると、茶髪に茶色の瞳の、色白の男が立っていた。あたしは変人など見飽きているから、彼がとりわけへんな男だとも思えなかったが。

まあ、変人レベルなら絶対スレ世界の方が上でしょうねぇ。

> 常識で考えれば――かなりの変人である。知人の店に来た途端、この騒ぎである。

おおっ!?リナにまだ常識が残ってるっ!?
……すいませんすいません言い過ぎました(言ってから怖くなったらしい)

>「亀だ亀。千姫がいなくなったんダッ! あの馬鹿親父はまた亀をなくしたのだ!」
>「千姫が? またですか?」
> また、と言うと前回もいなくなって――探し当てた、と言うことだろうか? それはかなりの名探偵ぶりだが。

いなくなったハムスターが掃除中に掃除機に詰まった、という話なら……

> ――探偵。
> あたしは少し嫌な予感がしてエイプリルを見た。
> 偶然入った店で事件の知らせ――そんなに大した事件でもないのだが――を聞いて、運命的なことを感じたと思われる。彼女はものすごく嬉しそうな顔をした。
>「事件だ! 事件だよリナ君! これは紫の脳細胞たるこの私に事件を解明しろと――そういうわけだと思わないかい!?」

運命の女神もそこまで気まぐれじゃないだろうに。って言うか解明できるのか?

>「良ければ話をお聞かせ願いませんかお二方!」
> ――ああああ。まあぁぁぁぁた面倒なことになりそうである。
> あたしは頭を抱えた。
> ゼロスはいつのまにかどこかへ消えていた。
> ――関わって仕事が遂行できなくなるのはごめんだ――と言うことか。
>「あたしだってそんなのは同じだってのっ! 連れてくんならあたしも連れて行けえぇぇぇぇっ!」
> 今現在あたしの精一杯の絶叫は――
> エイプリルやエノさんの耳には届かなかったらしい。
> 唯一声が届いたと思われる店主は、うるさい、とばかりに顔をかすかにしかめたのだった。

ガウリイは……どーせ話聞いてないか。

>「こちらが榎木津礼二郎で、僕は中禅寺秋彦、と言います」
> 座敷に来て、彼らはとりあえずそう自己紹介した。

覚えられんのか?スレ世界より確実に名前長いぞ。
……まあガウリイにとっちゃあ一緒かも知れんが(笑)

>「じゃあ中禅寺さん。よくわかりませんけどあたしたちはこれで」
>「ちょっと待ってください。僕に代わってこの馬鹿らしい失踪事件を解いてくれるんじゃあなかったんですか?」
> こら。さりげなしに足掴むな。中禅寺。
> あたしはジト目で彼を見ると、
>「じゃあ中禅寺さんは見ず知らずの赤の他人に、そんな馬鹿らしい事件を押し付けるんですか?」
>「ええ」
> 即答である。
> 何考えとんじゃ! この痩せぎすおやぢっ!
> あたしはそんな心中を極力押さえながら、にこやかな笑みを浮かべた。
>「あはははは。でもあたしはヤなんで。
> 任せるならこのエイプリルにしてください。まぁ彼女に任せたら一生事件は解決しないと思いますがその辺は自業自得ですよね」

うむ。しかし、そーだからリナに話が回るんじゃ?

>「リナ君なにげにそれは失礼なんじゃあないのかな?」
> あたしのことばにエイプリルがさりげなくツッコんだ。
> やかましい。

事実だし。

> あたしははっきり言って町のどこぞに消えたとゆー亀探せ、とゆー気の遠くなるようなばかげたことをするのはごめんである。

亀だからなぁ……そこらで石の振りしてるかもだし(をい)

> 榎木津は、黙ってあたしをにらんでいた。
> いや――あたしの後ろを見ているのか。
>「なんだ? その男は……」
> あたしは怪訝な顔をした。
> まさか幽霊がついているということもあるまいに、あたしの後ろになにが見えるとゆーのだ?
>「なんだそれ? 仮面か?」
>「亀ん?」
> 中禅寺が妙なアクセントで発音した。
> 仮面――の男。
> EDのことか?
> ちょっと待て! なぜこの男にはそれが『視える』のだ!?

って言うか何でいるんだ!?ンなやつが!?
まさかEDくんっ!別の世界見たさにとっ憑いてきたかっ!(待てっ!)

> あたしは慌てた。
>「ちょっと待ッ! なんで見え――」
>「仮面の男!? EDくんのことかね? それは」
>「ED? 誰だっけ、それ」

ってことは心霊現象じゃなくてやっぱりいるんだな!?
すまんEDくんっ!迷わず成仏してくれっ!(激違)

> あたしとエイプリルがまともに驚いた声を上げるのを後目に、ガウリイが間の抜けた声を上げる――のはいつものことだが。
>「江戸?」
> 今度は榎木津がへんな言葉を呟いた。
>「なかなか珍客のようだな」
> 中禅寺がぽつりっ、と呟いた。

そりゃあもう。なにせ別の世界からまぎれてますから(笑)

> 今だッ!
>「――で、このにーちゃんがガウリイ=ガブリエフ。のーみそなし骨だらけ記憶力皆無のひとよ。思う存分哀れんで」
> あたしの言葉にガウリイがコケて畳に頭をぶつけた。

よく畳にめり込まずに済みましたね〜。えらいえらい(不真面目)

>「あ、あのなぁっ!」
> 思ったとおり、起き上がったとたん不機嫌な声を上げる彼に、
>「本当のことでしょ」
> とあたしは冷たい言葉を返した。
>「で、カメ――」
>「あははははは。じゃあお互いの紹介も済んだことですし、あたしたちはこれで」
> 立ち上がりかけた瞬間、中禅寺の奥さんと思われる女性が、
>「お茶菓子、いりませんか?」
>『いります!』
> あたしとガウリイはハモって言った。
> 助かった♪ このお茶は少し渋くて口になれぬ味で戸惑っていたのである。甘いお菓子は大歓迎だった。
>「じゃあカメの件はどうします?」
> はっ! しまった! 煙に巻いて去るつもりが……
> 慌てて奥さんの方を見やると、奥さんはただにこにことあたしとガウリイの皿に茶菓子を配っていた。
> ――はめられた。
> あたしは確信した。

な〜いす奥さんっ!
しかし読んでないのがほんとにイタいぞ。頑張ろ(だから何を?)

>「ん?」
> 鈴の音?
> いや、それにしてはちょっと大きい。
>「電話だ」
> 中禅寺が立って、部屋の外に消えた。

そーいや電話はないもんな。レグルス盤はどういう仕組みになってるんだろ?
着メロとかいじれるようになれば大ヒット間違い無しなのに(だから売るな。前回も今回も)

> しばらくたって、中禅寺が戻ってくると、ちょっとつまらなそうな顔を彼はしていた。
>「――千姫が見つかったそうだよ。家にいたらしいね」
>「なんだそうか! やはりあの馬鹿親父は早とちりでボーっとしているからそういう勘違いをするんだな! 全く!」
> 榎木津が笑った。
> あたしは――はっきり言ってほっとしていた。ガウリイは顔色を変えずに、エイプリルはあからさまに残念そうな顔をしていた。
>「じゃ、お茶飲み直しましょうか」
>「帰るんじゃなかったんですか?」
> ――理由わかってるくせに、いやはや、果てしなくいやみな店主である。
> あたしはぴっ、と指を一つ立て、
>「気が変わったのよ」
> といった。
>
>
> そのあとリナたちはいろんなことを話し合った。
> 中禅寺のうんちくを聞き流しながら。
> ゼロスはどうしたのだろうか、と思う。
> しかし、それよりも。
>「次の世界では――なにか事件があるだろうか……」
> 多分、無いと思う。
> エイプリルはため息をついた。
> ゼロスは――どうしただろうか?
>
>
> ――ちなみに、その頃ゼロスは。
> 比較的人通りの多い駅前で聞き込みをして、あまりに話を聞いてくれる人が少ないため途方にくれていたという。
>「ああ――帰りたくないです――」

ていうかそろそろ本気でやらんと元の世界に戻ってから獣王様お仕置きコースもれなく一命……違う一名ご招待だぞ。ゼロス。(意味不明)
ま、世間の風はサラリーマンには冷たいものって相場が決まっているのだよ。

>=======================================================
>
> 今回はギャグないのですね。つまんないし。短いし。オチないし――
>「駄作、と言う奴だね。謎も無かったし」
> おや。エイプリルさんなのですね。
>「謎はどうしたんだね。謎は」
> 謎――と言うと、最初のブギーの世界でエイプリルがきてた服装とか――?
>「いや。そーいうんじゃなくて――」
> あれは警察官の服装ですよ。エイプリルにはそれが似合うかなぁ、とか思いましたのです。 

ほほう。全然気がつきませんでした(トロい)

> あ、そうじゃなかったらあなたがこの話に出ていること自体疑問ですか? それだったらしょうがないのです。
>「(がしぃっ! とむくぅの襟首引っつかみ)そうでもなくてっ! 私の知的好奇心を満たすような謎は無いのかねっ! 殺人事件とか!」
> 私には謎なんてかんがえられませぇぇぇぇぇぇん! ちょっとやめてください! 息が息がぁぁぁぁぁッ!
>(むくぅ、ばっ! とエイプリルを振りほどいて逃走。追うエイプリル、途中で見失う)
>
> はぁっ! はぁっ! よかった――振り切ったか……
> んではっ! むくぅなのでした! 引き続き逃げますっ!
>「この話はスレファンだけでなく京極ファンも敵に回しそうだね」
> 余計なお世話――ってエイプリルさぁぁぁぁぁぁんッ!?
>
>(むくぅ逃走。エイプリル、いつまでも追いつづける)

あれ!?エイプリルってば意外に根性あるのかな?
絶対に途中ですっ転んで「むっ!これは犯人の周到なわなっ!」とか言ってると思ったのに(あ。ひどい)

> では、むくぅなのでしたぁぁぁぁぁ!

ううむ。やっぱりレスがつけづらいです(涙)
なんか気が付けばこっちのレスもかなり意味不明のような気が……
むくぅさんから逃げるべきかやっぱり追うべきか……
よしっ!いったん逃げて姿をくらましつつ後からこっそり尾行に決定っ!(こら)
と、ゆーわけでいったん逃げつつ人ごみにまぎれてこそこそ追跡しつつ、のりぃでした〜♪

……すいません。次作はなるべく読みます(っておい)

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16186間違えた〜ぁぁぁっ!のりぃ E-mail 7/1-19:53
記事番号16185へのコメント

ごめんなさいむくぅさんっ!前回のレス、目いっぱい大逆転なミスがありましたぁぁっ!
結構頭の方のこの文章。

>
>あ、そっか。苦手なのが同じでもリナの方が食べる量が少ないんだ。納得納得。
>ガウリイが箸を使えたのは……食い意地と野生のカンで一発♪
>

全然違うわぁぁぁっ!「リナの方が食べる量が多い」と書くつもりでした。
ううううう。やっぱり自転車全速でこぎ終わってすぐは頭に酸素が回らない(汗)
修正用伝言板でお願いしようかとも思いましたが、レスだし遠慮しておきました。
と、ゆーわけでしたっ!では逃げますっ!いやこれは逃げざるを得ないでしょうさすがにっ!
というわけで、今日も今日とて迷惑街道驀進中ののりぃでしたっ!撤収ぅぅぅぅっ!

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16194かったぁぁぁぁぁ!(←何が?)むくぅ 7/2-13:25
記事番号16185へのコメント

のりぃさんは No.16185「はうううううっ!(←読んでない)」で書きました。

>読んでないですっ!このシリーズっ!くくぅっ!負けたぁぁぁっ!(何に?)

 くくぅっ!勝ったぁあぁぁぁぁぁ!まさに私の初勝利ッ!多分読んだ本の数の総数では負けてるっぽいですがっ!

>……と、いきなしはじめで絶叫してしまいましたのりぃです。

 はい。私もいきなり絶叫しましたのです。むくぅなのです。

>ううみゅ。全部カバーしてやろうと思ったのに……
>実はレスが遅れたのはそのせいなのです。「ああっ!読んでないっ!くっ、こうなったら図書館(自転車片道30分)まで行ってあさっちゃるっ!」と固い決意を決めたにもかかわらず……
>行けなかったのです(こら)

 ここでずりっとこけました。

>やはり往復1時間+予想居座り時間1時間、なおかつ5時まで、という条件は厳しかったので……
>で、読んでないのにレスを付ける、なんぞという暴挙にでたしだい。
>……だって後1日待って読んで来たらもう既にツリーが沈んでそうな気がひしひしと……

 私もこのレスつけた瞬間に落ちそうな気がひしひしと……(確実)
 のでちょっと手短に。

>> というか前回の世界の歴史の話とゼロスの思わせぶりな発言で、絶対今回はまともにスリリングな事件が起こるッ!と期待していたのにも関わらず、結局なにも起きなかったことが彼女は癪だった。
>> それタチの悪い野次馬のセリフじゃねーか、とかゆーまともな意見は少なくとも彼女の頭の中には存在しない。

>探偵と言うのは関係ない事件に立ち入って警部さんに迷惑がられるもの♪って相場決まってますし(違)

 この小説の主人公なんて一度警察に誤認逮捕されてますよ!っていうか何気に今回の小説には出てきませんけど(主人公出さない不届きモノ)!

>>「……まちがっている――まちがっているぞ……」
>> 彼女は誰ともなしに呟き続ける。これでもじゅーぶんアブない人間に見えるが、それも置いておく。彼女は気にするよーな人間ではない。
>> ちなみに、今回は彼女はいつもどおりの探偵ルックだった。リナたちは前々回の世界で着ていたような服を着ていた。ゼロスは背広ではなく手品師のような格好をしていたが。

>手品師?と聞くとなぜか金田一の高遠さんが浮かぶ私(汗)
>ゼロスと組めば最強の犯罪コンビ結成ですね。(ゼロスの犯罪暦=食い逃げ1件♪)

 しまったぁぁぁぁぁぁ!金田一は観てないッ!くっ!今回は三対一(!?)でこちらの負けのようですねッ(何が)!

>……ってゼロス。なんでわざわざ人気の無いところに来るかな?あんたの仕事は聞き込み調査でしょ〜が(やや違)
>……さては前回のダメージがまだ回復しきってないな。

 大当たりです。ノイローゼになったゼロスくんは人通りの多いところはあえて避けたい、と言う気持ちが働きまくって自動的に……(以下略) 

>ガウリイが箸を使えたのは……食い意地と野生のカンで一発♪

 野生のカン4、食い意地6ほどでいかがでしょう(何が)?

>> 少々陰気なその『古本屋』の奥の方に座って――本を読んでいたのは、世界が滅んだかのごとき仏頂面の男だった。
>> 陰気な古本屋の仏頂面の店主。
>> 彼は夜道で会ったら全速力で逃げ出したくなることうけあいの、丹精ではあるがかなり凶悪な顔をしていた。黒い髪は少し、伸びている。
>> ――ちなみに、断っておくが『彼』はどちらかと言えば魔道士系の、おおよそ肉体労働などには向いていない類の男だった。怖い、と言う種類は――例えるなら怪談やら幽霊やらのそれである。
>> あたしたちが入ってきたことに気づかないでもあるまいに、彼は顔も上げずに本を読んでいた。

>あうあうあうあう。この辺はもう読んでないと言う弱みがひしひしと……

 このシリーズは読んでいただきたいです。怖いです。犯人がほとんど死に絶えてるところらへんが……

>> ――無愛想な店主。
>> しょうがないので、あたしたちは勝手に本を見ることにした。
>> ――と言っても、ゼロスに小声で訳してもらう、ということがあちこちで行われていたから、本が読みにくい状況ではあっただろうが。

>読ませる本にもよりますね。ていうかゼロスが素直に翻訳してるかどうかもまた疑問。

 はっ!とゆーことはっ!
 『豆腐百珍』とか書いてあっても『ナタデココレシピ』とか訳してたりするんでしょうかッ!?

>> そちらの方を見ると、茶髪に茶色の瞳の、色白の男が立っていた。あたしは変人など見飽きているから、彼がとりわけへんな男だとも思えなかったが。

>まあ、変人レベルなら絶対スレ世界の方が上でしょうねぇ。

 上です。スレ世界は常識はありません。私はこのシリーズは最近読んだので、みんながよってたかって変人変人言うのに、
『あのおっさん吟遊詩人のほうがよっぽど……』とか思ってましたし。

>> 常識で考えれば――かなりの変人である。知人の店に来た途端、この騒ぎである。

>おおっ!?リナにまだ常識が残ってるっ!?
>……すいませんすいません言い過ぎました(言ってから怖くなったらしい)

 大丈夫です。このレスはリナさんに隠れて読んでますから!思うぞんぶ……(ごづっ!)

>>「亀だ亀。千姫がいなくなったんダッ! あの馬鹿親父はまた亀をなくしたのだ!」
>>「千姫が? またですか?」
>> また、と言うと前回もいなくなって――探し当てた、と言うことだろうか? それはかなりの名探偵ぶりだが。

>いなくなったハムスターが掃除中に掃除機に詰まった、という話なら……

 ――ふぅ。良かった火炎球ですんで。ちなみにこれ。亀が瓶(カメ)の中に入っていたんです(本当)

>>「事件だ! 事件だよリナ君! これは紫の脳細胞たるこの私に事件を解明しろと――そういうわけだと思わないかい!?」

>運命の女神もそこまで気まぐれじゃないだろうに。って言うか解明できるのか?

 できる率がかぎりなく0に近いです。並み居る名探偵の推理もこのヒトの前ではおーよそ無意味なんですからねぇ……

>> 今現在あたしの精一杯の絶叫は――
>> エイプリルやエノさんの耳には届かなかったらしい。
>> 唯一声が届いたと思われる店主は、うるさい、とばかりに顔をかすかにしかめたのだった。

>ガウリイは……どーせ話聞いてないか。

 聞いてないでしょうなぁ……

>>「こちらが榎木津礼二郎で、僕は中禅寺秋彦、と言います」
>> 座敷に来て、彼らはとりあえずそう自己紹介した。

>覚えられんのか?スレ世界より確実に名前長いぞ。
>……まあガウリイにとっちゃあ一緒かも知れんが(笑)

 リナは榎さんで覚えて、中禅寺秋彦は根性で覚えました。
 エイプリルは何となく覚えて。ガウリイは聞いてませんでした。

>>「リナ君なにげにそれは失礼なんじゃあないのかな?」
>> あたしのことばにエイプリルがさりげなくツッコんだ。
>> やかましい。

>事実だし。

 ええ。事実です。事実は小説よりも木なり(誤に非ず)

>> あたしははっきり言って町のどこぞに消えたとゆー亀探せ、とゆー気の遠くなるようなばかげたことをするのはごめんである。

>亀だからなぁ……そこらで石の振りしてるかもだし(をい)

 どこぞで火吹きながら飛んでるかもしれないし――(ガ○ラか)

>>「なんだそれ? 仮面か?」
>>「亀ん?」
>> 中禅寺が妙なアクセントで発音した。
>> 仮面――の男。
>> EDのことか?
>> ちょっと待て! なぜこの男にはそれが『視える』のだ!?

>って言うか何でいるんだ!?ンなやつが!?
>まさかEDくんっ!別の世界見たさにとっ憑いてきたかっ!(待てっ!)

 記憶が覗ける――とゆー能力なのです。推理小説なのに何気にファンタジーが入ってますよ。妖怪なのですから。

>> あたしは慌てた。
>>「ちょっと待ッ! なんで見え――」
>>「仮面の男!? EDくんのことかね? それは」
>>「ED? 誰だっけ、それ」

>ってことは心霊現象じゃなくてやっぱりいるんだな!?
>すまんEDくんっ!迷わず成仏してくれっ!(激違)

 とゆーことは神主である中禅寺氏に頼んでみてはっ!?(だから違うって)

>>「なかなか珍客のようだな」
>> 中禅寺がぽつりっ、と呟いた。

>そりゃあもう。なにせ別の世界からまぎれてますから(笑)

 珍客の中の珍客です。リナとかガウリイとかエイプリルとかは。

>>「――で、このにーちゃんがガウリイ=ガブリエフ。のーみそなし骨だらけ記憶力皆無のひとよ。思う存分哀れんで」
>> あたしの言葉にガウリイがコケて畳に頭をぶつけた。

>よく畳にめり込まずに済みましたね〜。えらいえらい(不真面目)

 聞いたところによると、めり込みはしなかったけどしっかり跡はついたよーで。

>> 慌てて奥さんの方を見やると、奥さんはただにこにことあたしとガウリイの皿に茶菓子を配っていた。
>> ――はめられた。
>> あたしは確信した。

>な〜いす奥さんっ!
>しかし読んでないのがほんとにイタいぞ。頑張ろ(だから何を?)

 思う存分がんばってください。あの辞書とも見まごう分厚い本!あれは悪夢ですッ!私は怯みまくりましたのですっ!

>>「ん?」
>> 鈴の音?
>> いや、それにしてはちょっと大きい。
>>「電話だ」
>> 中禅寺が立って、部屋の外に消えた。

>そーいや電話はないもんな。レグルス盤はどういう仕組みになってるんだろ?
>着メロとかいじれるようになれば大ヒット間違い無しなのに(だから売るな。前回も今回も)

 大ヒット間違いなし(笑)
 売りましょう。金貨二百枚は軽く越えるかも知れませんが。

>> ――ちなみに、その頃ゼロスは。
>> 比較的人通りの多い駅前で聞き込みをして、あまりに話を聞いてくれる人が少ないため途方にくれていたという。
>>「ああ――帰りたくないです――」

>ていうかそろそろ本気でやらんと元の世界に戻ってから獣王様お仕置きコースもれなく一命……違う一名ご招待だぞ。ゼロス。(意味不明)
>ま、世間の風はサラリーマンには冷たいものって相場が決まっているのだよ。

「お仕置きコース――ああっ!嫌ですよ僕帰りたくないですよっ!?」
 ゼロスさんそこでパニくらないで下さいのです。まったく中間管理職は切羽詰るとすぐパニくるんだから――
「あなたのせいでしょうがぁぁぁぁぁっ!」

>> あれは警察官の服装ですよ。エイプリルにはそれが似合うかなぁ、とか思いましたのです。 

>ほほう。全然気がつきませんでした(トロい)

 私の描写がひたすらわかりにくいだけですので大丈夫です。むしろ大丈夫じゃないのは私の方なのです。

>>(むくぅ逃走。エイプリル、いつまでも追いつづける)

>あれ!?エイプリルってば意外に根性あるのかな?
>絶対に途中ですっ転んで「むっ!これは犯人の周到なわなっ!」とか言ってると思ったのに(あ。ひどい)

 エイプリルさんに聞いてみたところ、『君ごときに罠など考えられるはずがない』そーです。あってるかもしれないけど――いやあってるけどッ!ひどいですエイプリルさん!

>> では、むくぅなのでしたぁぁぁぁぁ!

>ううむ。やっぱりレスがつけづらいです(涙)
>なんか気が付けばこっちのレスもかなり意味不明のような気が……
>むくぅさんから逃げるべきかやっぱり追うべきか……
>よしっ!いったん逃げて姿をくらましつつ後からこっそり尾行に決定っ!(こら)
>と、ゆーわけでいったん逃げつつ人ごみにまぎれてこそこそ追跡しつつ、のりぃでした〜♪

 人ごみに注意――と、って、あれ?ここどこなのですか?
 あれ、あそこに立て札が――
『滅びの砂漠』
 ………………

>……すいません。次作はなるべく読みます(っておい)

 すいません。次で終わりだったりします……(どがめぎぐしゃ)っ!
 ではっ!むくぅなのでしたッ!

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