◆−こそっ…と((((((((((((((((((((( ・)φ−みてい(2/23-14:28)No.13850
 ┣LegendMaster1 「昔語り」−みてい(2/23-17:11)No.13851
 ┃┗故郷は本当にあったんだ!−ゆえ(2/24-01:32)No.13860
 ┃ ┗…いぃ−みてい(2/24-08:59)No.13865
 ┣LegendMaster2 「伝承歌」−みてい(2/24-10:35)No.13871
 ┃┣お邪魔しましす−toto(2/24-11:17)No.13872
 ┃┃┗いーへお構いなくv−みてい(2/24-12:10)No.13873
 ┃┣歌ってゴー♪−ゆえ(2/24-16:23)No.13881
 ┃┗ガウリィの故郷は海じゃなかったのか(をい)!!(>o<)−キト(2/24-20:33)No.13885
 ┃ ┗「正義の仲良し4人組☆」大好評!&ゆえさんとキトさんへのレスです。−みてい(2/24-22:05)No.13891
 ┣LegendMaster3 「望郷歌」−みてい(2/25-10:29)No.13906
 ┣LegendMaster4 「哀歌」−みてい(2/26-00:40)No.13928
 ┃┣さぁ、貴方も入会しませんか?−あごん(2/26-14:22)No.13932
 ┃┣入会希望↑−ゆえ(2/26-17:45)No.13933
 ┃┃┗入会受付はこちら(嘘)&あごんさんとゆえさんへのレスです♪−みてい(2/27-09:09)No.13946
 ┃┗ランディさん受付は?−toto(2/27-10:45)No.13950
 ┃ ┗サイン会ならそのうち…(未定)−みてい(2/27-11:22)No.13952
 ┣LegendMaster5 「布告文」−みてい(2/27-19:24)No.13959
 ┃┗イカしたあいつにメロメロモード♪−あごん(2/28-00:10)No.13970
 ┃ ┗イカしたあの子にあいらぶげっちゅv−みてい(2/28-12:45)No.13975
 ┗LegendMaster6 「逆夢語り」−みてい(3/1-19:19)NEWNo.13989
  ┣ガウリィはフライドポテト好き−toto(3/2-11:32)NEWNo.13995
  ┃┗ハンバーガーのピクルスは嫌いかも…彼。−みてい(3/2-12:10)NEWNo.13996
  ┣ガウリイもある○る会員になればきっと・・・・・−あんでぃ(3/2-13:26)NEWNo.13998
  ┃┗リナぁ、この赤い野菜って何て名前なんだぁ?(むぐむぐ)−みてい(3/2-15:41)NEWNo.14000
  ┗ご一緒にポテトはいかがですかぁ♪−ゆえ(3/2-23:49)NEWNo.14013
   ┗一万円入りまぁすっ☆−みてい(3/3-00:37)NEWNo.14015


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13850こそっ…と((((((((((((((((((((( ・)φみてい 2/23-14:28


ども、こんにちは。みていでございます。
またまたまたの投稿です。
今回は、ガウリイの故郷での話です。

時間軸としては、原作本編最終巻後に設定してます。
この辺の話は、何処をとっても元が無い(資料が無い)のに加え、多くの方が推測をされてる「謎」とされてる部分でもあるので、みていが扱うにはかーなーり、無謀ではある気がしますが、こんな考えもあるかというおっきな広ぉい心で読んでいただけると嬉しいです。
まだ最初と終わりしか見えてないのですが、おそらく8話くらいではないかと思います。

 『LegendMaster』はみていの造語です。本文中にそれを意味する言葉が出てきます。
 話上、重い部分も出てきちゃいますが、みていはバッドエンディングは好きではないのですv
 今のトコ、仲良し4人組が揃うことだけは決定しています。

では、長い前置きになりましたが、是非最後までご贔屓の程よろしくお願いします。
 

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13851LegendMaster1 「昔語り」みてい 2/23-17:11
記事番号13850へのコメント

こんにちは、みていでございます。
…待ってました?待ってませんでした?どきどき。
前作「Familiar」の続きです。一応独立してても大丈夫なように進めてくつもりですが、先にそちらを読んでいただけたら多少はわかりいいと思います。

ではでは、第一話、どうぞおつきあいください。
********************************************************************

【昔語り】

―――その者、金色をまとい
―――闇を秘め
―――魔を宿さず
―――死する大地に再び光を燈さん
                   〔聖王都図書館開架文書冒頭より抜粋〕
***************************

(リナ、オレのばーちゃんに会ってくれないか)
 ゼフィーリアで過ごしていたある日の夜。
 唐突にガウリイはそう言い出した。
(ガウリイのおばあさんに会いに行くわ)
 …唐突じゃなかったのかもしれない。彼も待っていたのかもしれない。
 あたしたちの、自分の相手にとっての立場に変革を起こす機会を。
 なーんて、結局は変わんないのにね。
 …………変わったかも。

「変わんないのよっ!!」

「何がだぁ?」
 ぱちりと焚き火がはぜる。
「派手な寝言だなぁ。怖い夢でも見たかー?」
 顔をめぐらすと二つの青い目とぶつかった。
「ち、違うわよっ」
 本気でそんなこと思ってないのはその表情からわかる。
 あたしをおちょくって楽しんでいる。
 子ども扱いするんじゃないわよっ!と言おうと思って、留まる。
 いつだったか、そう言ったら……………その。
 だああああああっ。
 …ふっ。教えてあげないわっ。
「ぶははっ。お前さん、顔色が愉快だぞ」
「てい。」
 めぎゅ。
 ガウリイは顔が愉快になった。

 あたしの家から出発して、もう二週間が経つ。
 地図と本人の申告によると、彼の実家はゼフィーリア王都とセイルーン王都とで正三角形が描ける位置にある。
 旅慣れたあたしにとっては遠い距離ではないが、近い距離でもない。
 が、日々の疲れを癒すのに宿のふかふかベッドで過ごすか地面で過ごすかではだいぶ気分が違ってくる。
 もちろん、あたしはふかふかお布団が大好きである。…アレの心配もしなくていいし。
 それがどうしてこうやって野宿してるかって言うと。
 …ガウリイが難色を示したのである。
 それも実家へ近付くほどに。
 体力的な問題もあるから三日に一度は泊まることにしている。
 言っとくけど。
 あたしだけ宿に泊まるなんて真似、しないからね。
 一度だけ、ガウリイがすまなそうに漏らした。
(逢いたい人もいるけど、顔を合わせたくない奴もいるんだ)
 彼はあまり露骨に人に嫌悪感を出さない。そのガウリイが会いたくない人って、誰なんだろう?
「ねぇ、ガウリイ。寝てる?」
「……寝てる」
「……………寝てる人は『寝てる』って言わないのよ?」
「こいつはうっかりだ」
「言葉は正しく使いなさい。あんたの場合はうっかりじゃなくて忘れてたんでしょ」
 目を閉じてひじを枕に転がっていたガウリイは片目だけ開けると苦笑いした。
―――やっぱり、違う。
 どう表現したらいいかわかんないけど、違う。
 あたしはそっと彼の傍に寄る。
 今日だってお食事バトル繰り広げたし、デザート制覇したし。
 野良デーモンさくっとやっつけたし。
 いつもどおりくらげだし、こうして隣にいるし。
 吹っ飛ぶ盗賊さんを憐憫の目で見てるし。
 男のくせにキレイな顔してるし、枝毛無いし…
 …おのれ本当に無いでやんの。

 ぱちばちっ

 をっ!?
 薪がちょっと派手な音をたてた。
 思わず金糸から手を離してしまったが、あの音にもガウリイは目を閉じたまま、身じろぎもしない。
 定期的に聞こえる息遣いから寝入っていることが知れた。
 ふ〜みゅ……
 しゃらり
 ガウリイの隣に腰を落ち着け、指で引っ掛けて首元から銀の鎖を引き出す。
 その鎖を滑るように手元へ下りてくる指輪。
 目の前で揺らめく炎と同じ煌きと色を併せ持つ石がくるくると軌跡を描いた。
 つられて、石を挟んで一周するように彫られた文字が気まぐれな光を見せる。
 あたしはしばらくその光を見ていた。
 彫られた文字は、あたしには読めない。
 …一人、読めるらしい人はいたんだけど……聞かなかった。
 何としても訊きだしてやるわっ!と某王女の如く拳を握り締めたものの、まだ訊けてないのが現状だったりする。
 それに最近気がついたけど、どーっかで似たようなのを見てる。
 気がついちゃったものだから、自分で解読して「どうっ!」と胸を張ってみたくなったってのも現状だったりするんだな。これが。
「どこでだったのかなぁ…」

 ひゅごぉうっっ
「リナッ!」

「ひえっ?」
 何かが風を切るような音が耳に入ったと思った刹那、ついさっきまで眠っていたガウリイがあたしを引き倒した。
 きききききぅと耳障りな音とともに近くにあった木の幹が凍りつく。
 それを確認したときにはあたしはすでに戦闘態勢を整えていた。
 ガウリイもしかり。
 あたしは呪文を唱え、発動させる。
「『光明(ライティング)』!GO!!」
 生み出された光はあたしの命に応じ、かなり早いスピードでさーっと前へ飛んでいく。
 氷の呪文の飛んできた方向へ。
「…見えた!レッサーデーモン5体と誰かが格闘してる!」
 光の飛んでいった真正面より少し右に逸れたところをガウリイが示す。
「おっけー、行くわよガウリイっ」
「おうっ」
******************
 どがばきっ
 ごずんっ
 ぺきょ。
 ずず…ん……っ
「な、なんかさ。リナ」
 所在無さげに頬をこりこりするガウリイ。
「ミもフタも無いってこーゆーの言うのよね。きっと」
 戦意などすーっかり喪失してしまった。現状を見て。
 ぼごむっ
 ぎしゃあああああああっ
 レッサーデーモンが咆哮をあげる。
 ―――ここ最近、ある事情から野良デーモンやら日向ぼっこするゾンビやらおもむろに人の前に出てきて包帯を解くマミーやらが異常発生していた。
 これまで以上の凶暴性を湛えて。
 原因はすでに無くなってしまってるんだけど、その余波はまたこうして残っている。…だいぶ収まってはきたけれど。
 そこで発生現場から最も近い騎士団が派遣され、討伐にあたっている。こんなふうに。
「どうしてわかってくれないんですかっ!」
 陣頭指揮を取っている少女――いや、童顔の娘は一旦距離をとるとずびしぃっとデーモンたちを指差した。
 …デーモンに正義の心説いてどうすんの。
「早く心を入れ替えることですっ!人様に迷惑をかけてはおてんと様の下を歩ける生活が来ませんよっ!」
 ……あんのか、入れ替えるよーなココロが。
 それよりも、デーモンが太陽の下清々しく歩いてる世界なんてあたし想像したくないや。
「仕方ありませんっ『霊王結魔弾(ヴィス・ファランク)』正義ばーじょんっ!」
 一瞬、彼女の周りを矢印やらAやらBやらが点滅したような気がした。
「平和主義者クラーッシュっ!!!」
 華麗にフィニッシュを決め、「正義は必ず勝つのですっv」と何処へともなくピースサインをする。
「…久し振りね、アメリア」
「よっ」
「リナさんっ!?ガウリイさんっ!!」
 正義オタクの聖王都第二王女はおっきい目をさらにまん丸にさせた。
*************************
「『治療(リカバリィ)』」
 手元に淡い光が灯り、傷をみるみる塞いでいく。
「そう、アメリアは対デーモンの対策を指揮していたの」
「はい。平時であれば王宮にて入る情報から指令を出してたんですけど…」
「自分だけ安全地帯にいるのが嫌になった?」
 わざと冗談めかして訊くと。
「…それも、あります。でも今回は別の任務もあって、こうやって出てきました」
「…訊いてもいいかしら、その任務」
「リナさんたちにならいいですよっ。無関係じゃないですし…」

 あたしは治療呪文を途切れさせないようにしながらアメリアの話に耳を傾けた。
 アメリアもせこせこと移動しながら話を続けてくれる。
「つまり、『光の剣の戦士』の故郷へ行って、聖木が残ってないか、あれば分けてもらえないか頼みに行くのね」
「はい」
「よくガウリイの故郷なんてわかったわね。どうやって調べたのよ?」
「その、…ですね。ゼルガディスさんが…」
「ゼルが?」
「旅先から情報を送ってくれたんです」
 何故か頬を赤く染めてもぢもぢするアメリア。
 …情報以外に何か書いてあったんじゃないだろか。
 むくむくとイタズラ心がもたげるが、この場は抑える。
 んっふっふ、いつか聞いてあげるからね。
「ふぅん…」
 ぱきっ
「「誰(ですっ)!」」
「オレ、オレ」
 枝を踏む音に反応すると、すぐにのほほんとした声が返ってきた。
「なぁんだガウリイさん」
「もうこのあたりに野良デーモンはいないみたいだ。向こうにあった気配も消えた」
 それから一つあるけど害は無さそうだと付け加えた。
「そ。ご苦労様」
 ついでに拾ってきたのだろう。両手に抱えた枝を下ろし、数本を火の中に放り込む。
 ばぢっと火の粉をあげてはぜる枝。
「あの、ガウリイさん」
「んー?」
「ご実家に、ありますか?『神聖樹(フラグーン)』」

                                  /続/
**********************************************************************
ほほほほほほっ(壊れ気味)
ちょっと暗いですか?シリアス含んでますね。ふはは(やっぱ壊れ気味)

改めまして。
アメリアの登場は原案では考えてなかったのですが、入れて考えてみたら驚くほどに話がまとまりましたvいやぁ、あるもんですねこういうことってvv感謝感謝vvv
まだ序盤なのであまり書けないのですが、今何が一番困ってるかって、オリキャラ3人の名前(爆)あぁセンス無ぇなぁ(泣)

そんなこんなではありますが、ぜひおつきあいお願いいたします。
みていでございました。

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13860故郷は本当にあったんだ!ゆえ E-mail 2/24-01:32
記事番号13851へのコメント

こんにちは、ゆえですっ!

前作になかなかレスが付けられなくて、一人叫んでいると、なんともう続きがっ!!
ああっ生きててよかったよぉ〜〜。(←すみませんやかましくて)

タイトルはすみません変で・・・・・さっきまでラ○ュタみていたものですから・・・・

みていさんの描くガウリイの故郷が楽しみです。
しかも既にアメリアが絡んできて、しかも「神聖樹」までも。
うみゅみゅみゅ。
気になることだらけで、またもや目が離せませんっ!
私はみていさんのガウリイがとても好きです。
ほどほどにクラゲで、それでもちゃーんとかっこいい♪
私のはどうも美化されすぎな気が・・・・妄想の固まりなもので・・・・・・

続き、楽しみにしていますっ!
ところでタイトルなのですが・・・・・どう読んだらいいのでしょう・・・・すみません。英語がまったく苦手なものでして・・・・・・・・・

それではっ!

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13865…いぃみてい 2/24-08:59
記事番号13860へのコメント


>こんにちは、ゆえですっ!
おはようございます、みていです!
>前作になかなかレスが付けられなくて、一人叫んでいると、なんともう続きがっ!!
よろしければ感想つけてくださいね。皆様の書かれる感想にずいぶん助けられています。
>ああっ生きててよかったよぉ〜〜。(←すみませんやかましくて)
いやぁ、とっとと書かないと話の内容忘れられてしまいそうだったので…
というか、みていが忘れそう。張った伏線忘れたりとか。
>タイトルはすみません変で・・・・・さっきまでラ○ュタみていたものですから・・・・
みていも観ていました。というか観ちゃいました。
本当は別のことしようと思ったんですが、あのバイタリティ溢れるおばちゃん一味を見たくなり…

>気になることだらけで、またもや目が離せませんっ!
>私はみていさんのガウリイがとても好きです。
>ほどほどにクラゲで、それでもちゃーんとかっこいい♪
>私のはどうも美化されすぎな気が・・・・妄想の固まりなもので・・・・・・
いえ、ゆえさまの書かれるガウリイみてい好きですvv
>続き、楽しみにしていますっ!
>ところでタイトルなのですが・・・・・どう読んだらいいのでしょう・・・・すみません。英語がまったく苦手なものでして・・・・・・・・・
『LegendMaster』は、レジェンドマスターと読んでください。
なんかゲームの名前みたいですが、韻が気に入ってます。
>
>それではっ!
コメントありがとうございました。今後もおつきあいくださいね。
以上みていでございました。多謝v

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13871LegendMaster2 「伝承歌」みてい 2/24-10:35
記事番号13850へのコメント

ども、みていです。

細かいところはさておき、まずは第2話をどうぞ。
一話よりは重くない…かも。
*********************************************************************

【伝承歌】

―――街に厄災降りかかりしとき
―――伝説の勇者が甦り
―――再び清らかなる地へ導かん
―――信じよ 汝の主を
                     〔『とある僧侶の手帳』より抜粋〕
**********************************

「『神聖樹(フラグーン)』はまだ、ありますか?」

 ひょんなところで出会ったアメリアは、そうガウリイに問うた。
 まっすぐ彼を見据えて。
 ―――『神聖樹(フラグーン)』。
 かつては魔道都市の名を欲しいままにしたサイラーグのシンボルであった聖木。
 その大きさから知らない人は森と勘違いする。
 はるか昔、この街を救った『光の剣の戦士』が竜族より貰い受けた苗を街の中心に植えた。
 倒されてもなお瘴気を放ち続ける魔獣の骸を吸収・浄化し、街が闇へ沈まぬように。
 魔道士内では結構有名な話だ。
 そしてここにいるガウリイこそが『光の剣の戦士』の末裔であり、『光の剣』も所持していたのだが。
 詳しい話は長くなるから避けるけど、『光の剣』は無くなり、現在彼は別の剣を得物にしている。
「ありますか…?」
 先の騒動で世界には今までにないほどの瘴気がはびこり、変化に敏感な種族にはすでに影響が出ている。
 現状況を少しでも早く打開できないかと考え出されたのが『神聖樹(フラグーン)』だった。
 白魔術都市の王女として、何より平和を願う者として、アメリアはここまでやって来たのだろうか。

「…ある、はずだ」

 瞑目していたガウリイの口が動く。
「そんな顔しなくても大丈夫だぜアメリア。ほれ、いつも元気なアメリアはどこ行った?」
 言ってにぱっと笑うガウリイ。
「本当ですかっ!?本当ですねっ!!」
 安心してガウリイの首をがっくんがっくんさせるアメリアの表情がやっと綻ぶ。
「良かったぁ…」
 うっすら涙浮かべて感激しているのはこっちも見ていて嬉しくなってくるんだけど。
 アメリアが手を離した途端、「ほげ〜…」とおめめぐるぐるになったガウリイが後ろにぶっ倒れた。合掌。
「ああっガウリイさんどうしたんですかっ?」
 …あんたのせーよ。あんたの。

「で、どうしようか」
「はい?」
「ガウリイの話だとあと一日もせず到着出来るけど。…この人たち、そのままにしとけないでしょ」
「…そうでした」
 忘れてたんかい。
 焚き火の周りにはあたしとアメリア、まだ復活してこないガウリイ。
 それにアメリアを警護していた騎士団の面々が転がって…もとい、寝ている。
 ついさっき野良デーモンに襲われたとき負傷したらしい。彼らはあたしとアメリアの呪文で治療済みだ。
 彼らが弱かったわけじゃない。相手が強かったのである(あたしたちは油断しなきゃ問題無いけど)。
 自力で歩けそうな者もいるが、安静を必要とする者もいる。
「それにね、アメリア。あんた一人じゃないでしょ?」
「ひ、一人じゃないって、て、その」
 おー、動揺しとる動揺しとる。
 これは面白ひ。
「さっきガウリイが言ってたでしょ。向こうにあった気配も消えたって。デーモンが突然消えるわけないんだから誰かが倒したと考えるのが妥当でしょ。こんな夜の道をのこのこ歩くような物好きはそうそういないんだから、誰かと行動してる可能性が高い。あたしたちは他に連れはいないから考えられるのはあんたの連れ。反論は?」
「うっ…」
 頬を一筋の汗が流れるアメリア。
「で、でも」
「なぁにv」
「いえ、続けてください…」
 ふっ。勝った。
「さらに、デーモンを一人で引き受けて倒せる人物であり、この旅に同行することを許される人物つまりアメリアもしくはフィルさんの信頼を得ている人物!この地への情報を送った人物!!さらに加えて今のあんたの恋するオトメのような反応!!!
 ということでゼルガディスと一緒なんでしょ?」
「そのとおりですぅ…」
 ガウリイが後から付け加えた「害の無い存在」。
 彼が言ったときのいたずらっ子のような目からそうじゃないかぁと思ったけど、やっぱしそうだったか。
 頬に両手をあててもじもじするアメリア。
「にしてもゼル遅いわねぇ。迷ったかしら」
「夜ですからね。無闇に目立つのも得策じゃありませんし」
 あっちが動いている以上、こっちが動くのは良くない。
 …動けないか。怪我人いるし。
 でもただ待つってのもな〜。
 ………………………。
 そ・う・だv
「アメリアぁ」
「な、何ですかリナさん」
「歌いなさい」
「へっ」
 きょとんとした表情のアメリアだったが、すぐ意味が飲み込めたのかすっくと立ち上がった。
 目立つじゃんという投書しようとしたあんた、甘いわよ。
 目立って襲撃されてもその頃には戦力揃っちゃってるわ。
 …後にして思えばあたしこそ甘かったんだけど。

♪さ〜あ集え(ちゃんちゃん)
 正義の仲良し4人組☆
 今日も元気に1・2・3
 悪を退治て1・2・3
 愛と正義と友情をぉ
 ぼ〜くらの味方だ
 正義の仲良し4人組☆
             〔作詞・作曲/アメリア=ウィル=テスラ=セイルーン〕

「「やめんかぁぁぁぁぁいっ!!」」
 二人の声がハモる。
 一人は無論あたし。
 そしてもう一人。
「その歌を歌うなとあれほど……って、何故お前達がここにいる?」
 待ち人来たる、ゼルガディス=グレイワーズだ。
 彼の気性のこと、アメリアが愛の賛歌でも歌えば飛んでくると思ったのに、まさかこうなるとは。
 結果オーライって言えばそれまでなんだけど、…くそぅ納得出来んぞ。
 対してフルコーラス歌えて満足なアメリアはにっこにこだ。
「おかえりなさい、ゼルガディスさんっ」
「ああ今戻った。…怪我無いようだな」
「はいっ!」
 わーお、お熱いなぁ。
「それで、リナ、ガウリイ。お前達何故ここにいるんだ?」
「そりゃあ、里帰り(どきっぱし)」
「ガウリイのか?」
「そうよっ」
 ちょっぴし照れるが、他に言いようもないっと開き直る。
 アメリアがきらきらおめめになってるが、無視!
「…なあゼル、お前さんはどうやってオレの実家を知ったんだ?」
 いつの間にか復活したガウリイが質問する。
「何も難しいことはない。伝承を整理しただけだ」
「伝承を整理って、あんたそれすっごく膨大な量よっ!?」
 あたしは正直面食らった。
 伝承と一口に言うのは簡単だが、おばぁちゃんの知恵袋みたいな話からしょーもない小噺、伝説・迷信などなどそれこそ半端じゃない数がある。
 中には同じ内容を扱いながら視点が違うことによってまったく逆の話になってたり、伝え伝えられてくうちに脚色や削除された部分もあって別の話のようになってしまったものもある。
「長年旅していたおかげで情報を仕入れる機会には恵まれていてな。具体性を辿っていったらこのあたりということになったのさ」
 だいぶ端折られた説明ではあるが、理屈はわかった。
 おそらく伝承と伝承の共通点を繋ぎ合わせていったんだろう。気の遠くなりそうな作業だ。
「…そうか」
 低い声でうめくガウリイ。
「納得できたの?」
「いやぁ、よくわからん」

 ちゅどぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおむっ

「おい、旦那…」
 思わず自爆したあたしとアメリア。
 あ、ゼル脱力してるし。
 …気持ちはよっくわかるけど。
「珍しく鋭いとこ突いてくるなと思ったのに、わからんなんてあっけらかんと答えるなぁっ!」
「そんなこと言われてもぉ」
 このくらげ頭、長々と説明してやると無敵の超訳してこっちを脱力させるくせに、省略したり自分で考えないといけないような部分があると途端に理解するの放棄するんだから…。
「ゼルガディスさん元気だしてください。相手はガウリイさんなんですから」
 フォローになってないぞ、アメリア。
「いやぁ」
 おまいも照れるなっ。
「要するに、『光の剣』やそれを持つ『戦士』の話を辿ってきたんだ」
「なぁんだ、そういうことならそう言ってくれればすぐわかったのにv」
「……………。」
 今度こそゼルは完全に沈没した。
 あんたも苦労が絶えないわね。
*****************
「で、どうしよっか」
 さっきも言った気もするが。
「幸い緊急を要するような負傷者はいませんし、朝になるのを待って行動するのがいいと思います」
「右に同じだ。一日で着くのなら夜に動く危険を冒す必要も無い」
「そうね。ガウリイもそれでいい?」
「構わんぞ」
 全員一致により明日とるべき行動は決まった。
 そうなれば。
 今とるべき行動は。
「「おやすみ(なさい)っ」」
 ストレス解消以外の夜更かしはお肌の大敵。
 あたしは布団代わりのマントを地面に敷くところんっと横になった。
 アメリアはゼルのマントを敷布団に、自分のマントは着けたままうつ伏せに転がった。
 ………………無いモノはしょうがないか。
 なんだか昔に戻った感じすらするくすぐったさがあたしを眠りへ導く。心地よいまどろみがあたしを包みゆく。

 ―――だから知らなかったのだ。
 ―――ガウリイがゼルに頼みごとをしてたことなど。

****************
「見えたぞ」
「「「見えないって」」」

「見えたぞ」
「なんだか普通の村ですね」
「どんなだと思ってたんだ、アメリア」
「こう、正義の勇者の銅像とかがででんっと」

「ここだ」
 村の景色が一望出来る小高い丘にその家は建っていた。
「村の責任者も兼ねている。ここで話せば何とかなるはずだ」
「ありがとうございますっガウリイさんっ!」
 じゃあ行きましょうと手を引くアメリアをガウリイは拒んだ。
「悪いが先に行っててくれないか。オレはリナと行きたいところがある」
 怪訝そうな表情を浮かべる彼女。
「でも、ガウリイさんの家ってここで…」
「アメリア」
 さらに言葉を連ねようとしたアメリアを諌めたのはゼルだった。
「せっかく二人で行動したいって言ってるのにそれを邪魔したら野暮だろう」
 なあ?とあたしとガウリイを交互に見るゼル。
 …うひゃあ、顔が赤くなるっ
「俺は馬に蹴られたくないぞ」
 駄目押しの一言にアメリアが何故か照れまくる。
「じゃあわたしとゼルガディスさんは先にお家に伺ってますね。ごゆっくり〜♪」
「んじゃ、そーゆーことで。行こうぜリナ」
 ぶんぶか手を振るアメリアに見送られ、あたしはガウリイの後ろをついて行く。

「ねぇ、何処行くの?」
「ばーちゃんとこ。ほら見えた」
 ガウリイにつれて来られたのは大きな木の下。
 緑の芝生に白い石が整然と並べられている。
「来たぜ、ばーちゃん」
 ガウリイが立ち止まったのは一番奥の区画。
 真っ白の墓石の前。
「突然留守にして悪かった。でもようやく見つけたんだ」
 木の葉がさやさやと揺れる。
「どうも、リナ、です…」
 こっそり表情を窺えば。
 ガウリイはあのときに匹敵するくらいとっても嬉しそうな顔をしていた。
「リナ、リナ=インバースよ。初めまして」
 そう宣誓して石の前にしゃがみこむ。
 一番上に名前。
「いい名前ね」
「だろう?」
 その下にその者がその者として存在した期間。
 そして…
「あれ、これって…」
 一番下に彫られている文字。
 あたしは知っている。
 無意識に手で触れていた。
 …間違い無い。指輪に彫られている文字と同じだ。
 ガウリイがあたしに贈ってくれたのと同じ文字。
「ね、これって」
 何て読むの。という科白は突然響いた声にかき消された。

「ガウリイ!!」

                                 /続/
********************************************************************
さ〜あ集えっ♪
ということで第2話でございました。謎放出放題ですな。
ゼルも登場させました。彼もキィパーソンになる予定です。

ではでは、今後もあたたかいおつきあいを。
某AMラジオを聴きながらのみていでございました。多謝。







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13872お邪魔しましすtoto 2/24-11:17
記事番号13871へのコメント

はじめましてtotoと申します。みていさんのお話はかなり読ませていただいていました。ただ、レスのタイミングが…みていさんのところテンポのよいレス・タイトルが並んでいるので…怖じ気づいていたのです。(小心)今回のお話は「ガウリィ」の真実?に迫るのでしょうか?私はガウリィが好きなのですが、彼のことがよく分かりません。原作を読んでもさっぱりです。だから、故郷にて、「クラゲの生誕の謎」、「クラゲ成長過程」などが明かされたら嬉しいです。でも今回私が感動したのは二カ所の歌です。とてもコントラスト激しく心に残りました。

>―――街に厄災降りかかりしとき
>―――伝説の勇者が甦り
>―――再び清らかなる地へ導かん
>―――信じよ 汝の主を
                     〔『とある僧侶の手帳』より抜粋〕

>♪さ〜あ集え(ちゃんちゃん)
> 正義の仲良し4人組☆
> 今日も元気に1・2・3
> 悪を退治て1・2・3
> 愛と正義と友情をぉ
> ぼ〜くらの味方だ
> 正義の仲良し4人組☆
>             〔作詞・作曲/アメリア=ウィル=テスラ=>

そして、意味もなく興奮したのはこのやりとりです。ゼルアメの小型爆弾にうっとりです。
>「おかえりなさい、ゼルガディスさんっ」
>「ああ今戻った。…怪我無いようだな」
>「はいっ!」
> わーお、お熱いなぁ。

綺麗で、テンポも良い文章、ほんと読みやすいです。
続き期待しています。


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13873いーへお構いなくvみてい 2/24-12:10
記事番号13872へのコメント

>はじめましてtotoと申します。
コメントありがとうございます。みていです。

>みていさんのお話はかなり読ませていただいていました。ただ、レスのタイミングが…みていさんのところテンポのよいレス・タイトルが並んでいるので…怖じ気づいていたのです。(小心)
みていは気分屋さんなので一度にアップすることが多いです。が、気にせずどんどん飛び込んできてください。あなたのコメントで話の内容が変わります(?)。
>今回のお話は「ガウリィ」の真実?に迫るのでしょうか?私はガウリィが好きなのですが、彼のことがよく分かりません。原作を読んでもさっぱりです。だから、故郷にて、「クラゲの生誕の謎」、「クラゲ成長過程」などが明かされたら嬉しいです。
原作が一貫してリナ視点であっただけに、一番身近にいながら一番謎が多いのもガウリイじゃないかと思ってます。それだけに難しいです。
ので、こんなのもありかもっていうくらいの気持ちで読んでくださいね(願)

>綺麗で、テンポも良い文章、ほんと読みやすいです。
>続き期待しています。
そんなこと書かれるとマジ照れます。精進しますわぁ。

ではでは、ありがとうございました。多謝。

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13881歌ってゴー♪ゆえ E-mail 2/24-16:23
記事番号13871へのコメント

こんにちは、ゆえです。
さっそく続きがっ♪ああ、いい日です〜〜♪


>【伝承歌】
>
>―――街に厄災降りかかりしとき
>―――伝説の勇者が甦り
>―――再び清らかなる地へ導かん
>―――信じよ 汝の主を
>                     〔『とある僧侶の手帳』より抜粋〕

「とある僧侶」ってあの人じゃぁないですよね・・・


> アメリアが手を離した途端、「ほげ〜…」とおめめぐるぐるになったガウリイが後ろにぶっ倒れた。合掌。
>「ああっガウリイさんどうしたんですかっ?」
> …あんたのせーよ。あんたの。

アメリア強いぞ〜(笑)


>♪さ〜あ集え(ちゃんちゃん)
> 正義の仲良し4人組☆
> 今日も元気に1・2・3
> 悪を退治て1・2・3
> 愛と正義と友情をぉ
> ぼ〜くらの味方だ
> 正義の仲良し4人組☆
>             〔作詞・作曲/アメリア=ウィル=テスラ=セイルーン〕
>
>「「やめんかぁぁぁぁぁいっ!!」」
> 二人の声がハモる。
> 一人は無論あたし。
> そしてもう一人。
>「その歌を歌うなとあれほど……って、何故お前達がここにいる?」
> 待ち人来たる、ゼルガディス=グレイワーズだ。
> 彼の気性のこと、アメリアが愛の賛歌でも歌えば飛んでくると思ったのに、まさかこうなるとは。


呼べばといいますか、歌えば出てくるゼルガディス(笑)なんだかんだいっても、しっかりとアメリアの保護者といいますか、お守りしてますね〜。
しかし彼は遠くでもこの歌が聞こえてるんですなぁ。


> あたしは布団代わりのマントを地面に敷くところんっと横になった。
> アメリアはゼルのマントを敷布団に、自分のマントは着けたままうつ伏せに転がった。
> ………………無いモノはしょうがないか。
> なんだか昔に戻った感じすらするくすぐったさがあたしを眠りへ導く。心地よいまどろみがあたしを包みゆく。

ここのリナが妙にかわいいと言いますか、乙女ですね♪



>「見えたぞ」
>「なんだか普通の村ですね」
>「どんなだと思ってたんだ、アメリア」
>「こう、正義の勇者の銅像とかがででんっと」

実にアメリアらしい見解です・・・・・・。びしっと指さして正義のポーズで立ってる像なんかが在るんでしょうか・・・・・



> 一番下に彫られている文字。
> あたしは知っている。
> 無意識に手で触れていた。
> …間違い無い。指輪に彫られている文字と同じだ。
> ガウリイがあたしに贈ってくれたのと同じ文字。

おおっ指輪の文字の謎が明かされるのですかっ!!
なんとばぁちゃんのお墓と関係があるとは・・・・まさか戒名とかっ(←埋めましょう。こんな奴)



>さ〜あ集えっ♪

集いました♪

>ということで第2話でございました。謎放出放題ですな。
>ゼルも登場させました。彼もキィパーソンになる予定です。

リナが寝ている間に交わされたガウリイとゼルの会話がすっごい気になります。
なんの頼み事をしていたのでしょうか〜〜。
ラストで名前を呼んでいた人物も気になります。もしや・・・・・・うむむむむ。
次回が待たれます♪


>ではでは、今後もあたたかいおつきあいを。
>某AMラジオを聴きながらのみていでございました。多謝。

どこまでもおつき合いいたします♪


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13885ガウリィの故郷は海じゃなかったのか(をい)!!(>o<)キト E-mail 2/24-20:33
記事番号13871へのコメント

>ども、みていです。
レス付けるのははじめてです〜。
書こうと思ってたんですけど、自分の物語書くのに忙しくって・・・・(>_<;)
ともかく、書きます。

>「アメリアぁ」
>「な、何ですかリナさん」
>「歌いなさい」
>「へっ」
これであたしは『I WISH』を思い浮かべちゃった・・・・(笑)
アメリアが歌詞知るはずないのにね・・・・(汗)

>♪さ〜あ集え(ちゃんちゃん)
> 正義の仲良し4人組☆
> 今日も元気に1・2・3
> 悪を退治て1・2・3
> 愛と正義と友情をぉ
> ぼ〜くらの味方だ
> 正義の仲良し4人組☆
>             〔作詞・作曲/アメリア=ウィル=テスラ=セイルーン〕
ぐへうっ!!!!(吐血/むせる)
・・・ぐっ、アハハハ!!
すごいぞアメリア!面白いぞアメリア!!
もっと歌おう!!(おひ)

>「その歌を歌うなとあれほど……って、何故お前達がここにいる?」
> 待ち人来たる、ゼルガディス=グレイワーズだ。
ってゆーか、歌われた事があるのか。その歌を・・・・(-_-;)

> 彼の気性のこと、アメリアが愛の賛歌でも歌えば飛んでくると思ったのに、まさかこうなるとは。
きしょう・・・・。
ツッコミの血が騒ぐのでは?(爆笑)


>ではでは、今後もあたたかいおつきあいを。
>某AMラジオを聴きながらのみていでございました。多謝。
わかりました、レスをがんばって付ける様にいたします。
MIDIを聞きながらのkitoでした。

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13891「正義の仲良し4人組☆」大好評!&ゆえさんとキトさんへのレスです。みてい 2/24-22:05
記事番号13885へのコメント

こんばんは、みていでございます。
ゆえさん、キトさん、コメントありがとうございますっv

>>♪さ〜あ集え(ちゃんちゃん)
>> 正義の仲良し4人組☆
>> 今日も元気に1・2・3
>> 悪を退治て1・2・3
>> 愛と正義と友情をぉ
>> ぼ〜くらの味方だ
>> 正義の仲良し4人組☆
>>             〔作詞・作曲/アメリア=ウィル=テスラ=セイルーン〕
>>「その歌を歌うなとあれほど……って、何故お前達がここにいる?」
>> 待ち人来たる、ゼルガディス=グレイワーズだ。
>ってゆーか、歌われた事があるのか。その歌を・・・・(-_-;)
答え:
 あります。
 それも道中何かにつけてお歌いになられ、騎士団員はふと口をつくくらいにインプットされ、某旅ガラスは羞恥に顔を紫にします。
 近隣の村では子どもが何処からともなく覚えてきた曲に親が頭をひねるというほほえましい現象も確認されてます。

☆ゆえさん
 指輪の文字ですが、戒名じゃないっすよ〜。(と穴の底へ向かって叫ぶ)
☆キトさん
 初レスありがとうございました。
 …血は大切に。吐き出したら回収しましょう。

ではでは、はなはだ短くはございますが、まずはこれにて…(ちょんちょんちょんちょんちょん/拍子木の音)

以上みていでした。多謝vv

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13906LegendMaster3 「望郷歌」みてい 2/25-10:29
記事番号13850へのコメント
はいはいどもどものみていでございます。
第3話です。シリアスとギャグが同居してます。

ではでは、おつきあいください。
*********************************************************************

【望郷歌】

―――鳥が自由など誰が決めた
―――まして道に咲く花が健気でか弱いだなど

―――んなもんワシが決めることじゃないわい
                     〔ポムじじいの人生白書/帯より〕
*******************

「ガウリイ!!」

 かけた声はあたしのものでなく。
 背後の彼の気が半瞬乱れた。
「ガウリイ、本当にガウリイかっ?」
 その人は、自分の走る速さすらもどかしそうにこっちへ向かってくる。
 次第に見えてくる、容姿。
 金茶の髪、眼鏡の奥の瞳は茶、学者風の男性。
 あたしは自然と立ち上がってガウリイの隣にいた。
「うわっ…とっ」
 普段から快活に動き回る性分でないのだろう、小さな段差に蹴躓き、前のめりにバランスを崩す。
 コケたら痛いぞっ。 
 
 とさっ

 地面と仲良くする前に受け止めたのはガウリイで。
 しばし、驚いた表情で硬直する二人。
 一人は己の行動に。
 一人は今の状況に。
 がばっ
「は、ははっ。やはりガウリイか!久し振りだ!!」
 一足早く復活したその人は、自分を受け止めたガウリイを確かめるように腕とか肩とかぺたぺた触って。
 …誰よ、この人。
 名乗りもせずにべたべたと。
 不躾にぢーっと観察する。
 美形よね。
 悪そうな人では無さそうだけど。
 ガウリイより頭一つ小さい。
「ね、ガウリイ。こちら誰?」
 まだ固まってる彼の金の髪を引っ張ると。
「あ、ああ。紹介する。オレの…兄だ」
「あにっ?」
 今、頭の中で漢字変換できなかったぞ。
 言われてみれば、似てるかも…。
「これは失礼。私はランディ、ランディ=ガブリエフだ」
 一歩下がって会釈してくるランディさんにあたしも会釈で返す。
 一見気さくな人に見えるわね。
 見える、に留めておくのはその仕草には人の上に立つ者独特の雰囲気がしなくもないから。
 なんだか戸惑ったようなガウリイの表情も気になる。
「ここ数年はまったく情報が入らなかったからな。話を聞いたときにはまさかと思って飛んできた。よもやセイルーンの御王女とともに行動しているとは」
 ずり下がった眼鏡を直し、本当に嬉しそうに再会を喜んでいるランディさん。
「えっと、リナ=インバースさんでしたね」
「は、はいっ」
 突然話を振られ、不覚にもどもってしまった。
 なんで名前知ってんだという問いが過ぎるがすぐアメリアあたりが話したんだろうと結論が追いつく。
「弟が世話になった。感謝する」
「あら、そう簡単にあたしを信用していいの?あたしの悪名聞いてない?」
 自分で言っててちょっと悲しいものがあるが、別に通り一遍の言葉が欲しいわけじゃない。
 この人の人となりをちょっと探る…と言ったら聞こえが悪いけど、気になることは確かめておきたいし。
「噂と真実が一致しないのは貴女が最もご存知じゃありませんか」
 返答はいかにも心外な表情、最後に苦笑いだった。
 適当なこと言ってあたしをあしらおうとしてるわけじゃないらしい。
「言い直してもいいかな」
 ランディさんはあたしにあらためて視線を合わせると、言った。
「弟が世話になる。申し分けないが腹括ってくれ」
 ―――驚いた。
 今の科白、前半はわずかな違いだけど、意味は全然違う。
 さっきのは、今「まで」の礼。
 だけど後のは今「から」の頼み。
 あたしを認めてくれての科白だ。

「ふ、ふふん。後悔したって返さないわよ」
「あーそりゃ無い。ガウリイが離れるわけないんだから」

 ぼばばばばばばっ
 …最近顔の赤くなる癖でもついたか…。あう。
 でもやっと、確信出来た。
 この人――ランディさんは悪人じゃない。
「お、おい。ランディ」
「何だ弟。兄上と呼べ」
「昔からそんなふうに呼んだこと一度も無かっただろう…」
「「ををっ!?ガウリイが昔のことを覚えてるぅっ!?」」
「…オレって…」
 あたしとランディさん二人のユニゾンにだくだくと涙を流すガウリイ。
「で、何か言いたいんじゃなかったのか」
 をっ?
「おう、そうそう」
 ををっ!?
 …こいつらやっぱ兄弟だわ。
 いきなりの立ち直りに遅れず復活してるし。
 ガウリイの戸惑ったような表情もすっかり消えてるし、もう警戒してないみたいね。
 ……………………?
 どうして警戒しなきゃいけないのよ。
 緊張するならまだしも、警戒っておかしくない?
「―――な、リナ」
 うっさいなぁ。今考えごとしてんだからじっとしてなさいガウリイ。
「リーナ、リナリナ♪」
「うるっさいてのよっ!あたしはネコかっ!
……………………………………………………ひゃああああっ」
「どわあっ」
「おわっ」
 端から見たらすっごく変だろう。
 でも驚いちゃったモンはしょうがないじゃない。
 似た顔が二人してあたしの顔覗き込んでたら驚くなってのが無理よ。そーよ、あっちが悪いのよ。
 そういうことにしよう。うみゅ。
「リナ〜、帰ってこーい」
「ガウリイ、すまんが私は先に戻らせてもらう」
「すまん。オレたちもすぐに行く」
 あれ?ランディさんいないや。
 視線を上げると道の向こうを誰かと一緒に走っていくランディさんの姿がちらと見えた。
「リナ、戻るぞ」
 あたしの手を引いて歩き出すガウリイ。
「自分で歩けるわよ」
「…そうか」
 手を離し、あたしの前を歩くガウリイの表情には隠し切れない緊張の色。
 まるで戦闘へ向かう前みたいに。
「ガウリイ?」
「……一波乱起こるかもしれん。リナ」
 鋭い視線を前に向けたまま、ガウリイはそう呟いた。
****************
 戻ってきたあたしたちを迎えたのは、紅茶をすするアメリアとゼルガディスだった。
「あ、おかえりなさい。早かったですね」
「ただいま…あんたたち、何してんの?」
「卓球しているように見えるか」
「ンなわけないでしょ」
「あの、ガウリイさんは…」
 アメリアがおずおずと訊いてくる。
「よくわかんないけど、一緒に待ってろってランディさんが連れてった」
 埒の無い説明だがそれしか知らないと言うととりあえず納得したようだ。
 ややあって扉が開いてガウリイが来たのかと思ったが、入ってきたお手伝いさん(金持ちなのね)が紅茶を持ってきてくれただけだった。
 …飲むわよ。紅茶に罪は無いし。
 またしばらくは紅茶をすする音とお茶請けの菓子を摘む音しかせずに過ぎて。
「ねえ、あんたたちなんか機嫌悪くない?」
 しびれを切らしたあたしが訊いたのは紅茶もお菓子さんもすっかり無くなった頃だった。
「「悪い。(即答)」」
「悪いって…。何かランディさんに言われたの?」
「いえ、あの人はいい人です」
「ゼル?」
「ランディ氏に対して好意を持つのはやぶさかじゃない」
 そうよね。とりあえず訊いてみただけだし。
 窓に背を向けているものの、初めて来る家でフードもマスクも外している彼を見るだけでもそれはわかる。
「じゃあ、何?」
「…あの、もしかしたらわたしまずいことしたんでしょうか…?」
 質問に返されたのは新たなる質問。
 いや、質問にはなっているが、アメリアの中では答えが固まってしまってるらしい。
「アメリア、何があったの」
「実は」

 こんこん こんこん

 ノックがされる。音でわかる。ガウリイだ。
「どうぞ、入んなさいよ」
「待たせたな」
 ガウリイが姿を見せる。
 ただし首から上だけ。
「ガウリイさん、あのっ」
 立ち上がって何か言おうとしたアメリアを留め、
「場所移動しよう。ついて来てくれないか」

 ぞろぞろと四人して家の中を移動中。
 これはこれで間抜けかも。
 …にしても広い。構造自体は複雑じゃないけど同じような部屋が並んでる。
 ガウリイあんた、よく迷わないでいられたわね。
 先頭を歩く彼は左右を見て確かめながら……………?
 …………。
「おいガウリイ。まさかと思うが迷ってないだろうな」
 するとそいつはぽりぽり頭掻いて、
「いやぁ」

 すぱぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ
 ばしいいいいいいいいいいいいいいいいんっ

「ほっ、星が…」
 頭を抱えしゃがみこむくらげ。
 ああ久し振りの感触☆ぢゃなくて。
「あんたねっ自分の家で迷ってどうすんのっ!」
 びしぃっと指すその手にはリナちゃん愛用スリッパ。
「もしやと思ったがやはりそうか…」
 悟ったように呟くゼルのその手にはハリセン。
「しょーがねーじゃねえかっ。オレがいない間に目印にしてたたぬきの置物が無くなったんだっ」
 今あたしたち(くらげ除く)の頭上では酒瓶持ったたぬきが踊ったと思われる。
「見覚えのある場所もあるから記憶を辿って」
「あんたのお兄さんも認めるくらげの記憶力なんかアテにしてないで人間ぶっちぎった勘に頼ったら?」
 言い訳を一蹴、皮肉も一発。

「…着いた(感涙)」
「着いたわね(脱力)」
「着いたな(呆然)」
「着きましたねっ(感動)」

 あたしたちがようやくたどり着いたのは一つの扉の前。
 渡り廊下を経て、さっきまでいた客室からは一番遠いんじゃないだろうか。
「ここは?」
「オレの部屋」
「鍵付いてないぞ。無用心だな」
 ゼルの言うとおり、扉には錠穴とか閂とかが付いていない。
「付いてるぜ。お〜い、開けてくれー」
 きぃんっ
 結界が切れるような音。
 かちゃ
「ほら開いた。入れよ」
 後で聞いたところ、何度も鍵を無くすくらげ頭の弟を見かね、ランディさんが部屋の主の声で開くように施錠の魔法をかけたとのこと。
「お邪魔します」
「ほいほい」
「「「…………………」」」
 あたしたちはそれぞれ別の観点から驚愕していた。
 片や、彼の部屋に魔道書が置いてあったことに。
 片や、童話の『開け○ま』をその目で見たことに。
 そして、部屋の隅に無造作に置かれた肖像画に。
「どした?」
 途端、あたしとゼルは顔を見合わせてじゃんけんぽんっ。
「ふっ」
「うきぃぃぃぃぃぃぃぃっ」
 おのれこの天才魔道士リナ=インバースがじゃんけんで後れを取るなどぉうっ。
「この魔道書は、旦那のものか?」
「何を言うんだゼル、オレがこんな難しいの読むわけないじゃないか。はっはっは」
 よく見れば、あたしも読んだことのある魔道書もあるけど、読んだことの無いのもある。
 …読みたい。読ませろ。読むぞ。
「ばーちゃんやランディ、それにもう一人が置き場が無いってオレの部屋に置いていったのさ。たまに内緒で枕にしてたけど」
 知識の塊に対してこの罰アタリっとスリッパを構えたが、「読んでもいいぞ。なんなら持ってくか?」の申し出にあたしもゼルも即座に頷いた。
「じゃーさガウリイ。あの肖像画は、誰の?」
 あたしの質問に少し困ったように視線を逸らし――違う、真っ直ぐ肖像画を見つめた。
「あれは親父が描いた、オレとばーちゃんの絵さ」
 ま、まずいこと訊いちゃったかな。
 うろたえたあたしに気づいたガウリイはあたしの髪をくしゃっと一回かき回して優しい笑顔をくれた。

「あの、ガウリイさん…」

「アメリア?」
 部屋に入ってから黙っていたアメリアが思いつめた目をしている。
「気にしなくていいぞ、アメリア。少し時期の早まっただけのことだ」
 皆を座るように促すとガウリイは一つ、溜め息を吐いた。
「そうだアメリア、ゼル。あたしたちがいない間に何があったか教えてくれない?」
 なかなか話し出さないガウリイに視線で問い、それから二人に声をかけた。
 同じ話を聞くでも、その前に情報があるか無いかでは理解度が全然違う。
「…えっとですね。わたしとゼルガディスさんがランディさんにお願いして、騎士団の者についても神聖樹(フラグーン)についても一応の承諾をしてもらえたんです。一応ってのは聖木の方は他の者にも確認を取らなければって意味ですけど。
その後リナさんとガウリイさんの話になって、今来ているって言ったらあの部屋で待っていてくれるように言い置いて行かれちゃいました」
「問題はその後だ。突然中年の男が訪ねてきてガウリイが来ているのは本当かと大声でまくしたてた。応対に出たシャルレ…さっきのメイドだが、肯定すると何と言ったと思う?」
 話しているうちに当時の怒りまで思い出してきたのか、彼の声の中に剣呑なものが混じる。
 むかむかする。
 同時に嫌な汗が背中に伝う。
「光の剣はどこだ、無くしてなどいないだろうな。あれは一族の家宝だ。勝手に持ち出されていい迷惑しているんだ、まったく。だったかな」
「一字一句、間違いありません。ゼルガディスさん」
 感情も、抑揚すら抹消した声で伝えるゼルに硬い声で答えるアメリア。
「…何なのよそれ。それじゃあ戻ってほしかったのがガウリイじゃなくて、光の剣だっていうの?」
 こらえようの無い怒りが押し寄せる。
 涙出そうだ。
 平静の声を出すことに極力努めて、気持ちも落ち着かせようと試みる。
「それでわたし、あまりにも頭に来て、光の剣は無くなった、残念ですねって言っちゃったんです」
 よく言ったアメリアっ!
 この科白を喉まで出かかって食い止めたあたしは、本当に危機一髪だったとすぐ知ることになった。
「そうしたら、その人真っ青になって出て行って、そのすぐ後をシャルレさんも出て行ったんですけど…。その後ものすごく嫌な感じがして、わたし言っちゃいけないこと言っちゃったって気がついて…」
 揺れる瞳で瞑目しているガウリイを窺い見るアメリア。

「わかった」

 返された声にびくっと身体を竦ませるアメリア。
 氷の刃。
 それ以外表現しようのない声でゆっくり目を目を開けるガウリイ。
 反射的にあたしもゼルも背筋が凍った。
 ガウリイのこんな声、滅多に聞かない。初めてかもしれない。
「ごめんなさい…」
 拳を震わせ、大粒の涙をぼろぼろこぼすアメリア。
「そーいう意味じゃない。泣かないでくれよ、アメリア」
 一旦目を閉じ、再び開いたその蒼き石にはもう冷たい光は無くて。
 かぶりを振るアメリアに手を伸ばすガウリイ。
 その手が触れるとまた身体を竦ませた。
「ほりゃ♪」
 とすん。
 軽い音がして泣きじゃくる彼女はゼルの胸に倒れこむ。
「…ふえ?」
「大丈夫」
 引き寄せ赤子にするように背中をさすられるアメリアの頭を一なでして、染み込むような一言を彼は降らせた。
 アメリアの嗚咽が大きくなる。
 その背を守るようにゼルは手を動かし続ける。

「リナ」

 二人から少し離れたところに座ったガウリイはあたしを招き寄せる。
 あたしはガウリイの隣に座る。
「たぶんこの後、親族会議がある。今日になるか、明日になるかわからん」
 ―――『光の剣』『光の剣の戦士』。
 そのネームバリューは計り知れず、様々な文献、資料、吟遊詩人のネタにまでされる有名度トップレベルの伝説の剣。
 その一族ともあれば勇者の末裔だのなんだのと囃し立てられ。
 手に入れた名誉と地位を守らんがため、自己中心的かつ保身的な考えを持つ者も現れ。
 親類、家族関係無く血生臭い争いが起こりうる。
 ―――で、だから何よ?
 あたしには家宝とか代々伝えられてきたものなんて無い。
 あるのはあたしが自分で学び研究し身に付けたこの知識と力と身体だけ。
 だからこそ昔の栄光とやらにすがってる奴らが許せない。

 どんどんっ
「ガウリイ…さん、申し訳ありませんが客間の方まできていただけませんか」

 弾かれたように身構える。
 扉の向こうで響く、明らかに焦っているシャルレの声。
「…集まっているのか」
「はい、ほとんどお見えになってます」
 青の双眸が、刹那に震えた。
「今行く」
 扉の外から気配が消える。
 ガウリイは立ち上がり、あたしを見てほんの僅か、躊躇った。
「来てくれ」
 当然じゃない。
 躊躇する様子を見せたのも束の間、あたしの最高の相棒はまっすぐ左手を差し出した。
 …利き手じゃないのは、これから争いへ飛び込むから。
「アメリアは…」
「行きます」
 彼女はもう、泣いていなかった。
 すっと立ち上がり、正面からガウリイを見返す。
「わたしの不注意で起こしたことです。起きてしまったことに代わりはありません。せめて、最後まで立ち会わせてください」
「俺も行こう」
 あたしが知る限り、過去二回のお家騒動に巻き込まれたアメリア。
 数々の偶然が重なってしまったとはいえ、自分の発言が招いてしまったことに対して責任を感じているのだろう。

「そうか」

 呟いてガウリイは扉を開ける。
 行こう、とかいう言葉じゃなく、一言「そうか」と呟いて。
 あたしたちも言わない。
 同行するのは、自分自身の意志。
 
 廊下に出て見上げれば、冴え冴えとした満月が何もかもを青く染めている。
 好きな景色だけど、今はいやに冷たい風景に見えた。

 ガウリイを傷つける奴らが許せない。
 こんな目をさせるなんて絶対許せない。
 一発ぶちのめしてやんなきゃ気がすまないっ!!

                                  /続/
*********************************************************************
いやぁ、長くなった上に後半どシリアスですな〜。
皆様、あまりの急展開にひっくり返ってませんか?

またもアメリア泣かしちゃったし。みていの書いた話で彼女が泣いてないのって、ほどんど無いなぁ。今にゼルに刺されそうっす。

出てきたオリキャラ1と1,5のランディさんとシャルレさん。彼女に小数点が付いているのは、…急遽登場させたからです。せっかくなので(謎)女性の方にv
登場予定のメイン(名のある)オリキャラはあと2人ですが、アメリアを泣かしリナとゼルの怒りを買ったあの中年男は、おそらく無事じゃ済まないでしょうvあと一人は今は内緒っす。

ではでは、次回はちょっと浮上させようかなと画策中のみていでございました。
最後までどうぞご贔屓に。多謝。












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13928LegendMaster4 「哀歌」みてい 2/26-00:40
記事番号13850へのコメント

こんばんはのみていです。
前回ラストがえらく重くなってしまったのでどうにかしようと試みましたが、さらに落下してる気が…。
シリアスになると途端に筆(手)の動きが悪くなります。

ではでは、第4話、どうぞ。
*********************************************************************


【哀歌】


―――存在だけで死を意味した
―――光を撒きながらその足元に骸を転がし
―――緋に染まりながら表情も変えず
―――まさに血路を歩む
                            〔某業界での常識〕
***********************
「…………………………はぁっ」
 溜め息吐くと幸せが逃げる。
 誰かがンなこと言ってた気もするけど。
 そんなんで逃げる幸せなんてあたし持ち合わせてない。
 幸せか、なんて当人がわかってりゃいーのよっ。

 むかむかむかむかむかむかっ

 ―――あれからどうなったかというと。
 客間には六人の男がいて、ランディさんを上座にして座っていた。
 ゼルとアメリアの視線から上座の一番近くに座っている男が件の奴だとわかる。
 客間に入る前、中の状況を外で待っていたシャルレさんが説明してくれた。
『神聖樹(フラグーン)』を分配することについて、全員一致ではないこと。『光の剣』については、表面上は平静を保っていること。
「アメリア様、かつてはサイラーグのシンボルであった『神聖樹(フラグーン)』をよその地にいくつも分配するというのは…」
 親族の一人がそう切り出すと彼女は持参してきた書状を見せ、
「このとおり、この計画にはセイルーン第一王位継承者フィリオネル=エル=ディ=セイルーン及びわたしアメリア=ウィル=テスラ=セイルーン両名、さらにサイラーグ前神官長の娘であり復興後はその任に就くシルフィール=ネルス=ラーダが承認し代表となっています。そのような懸念は無用です」
 栄誉、権威、名声。
 それを打ち崩すのは更に上の地位の言葉。
 納得は出来ないが、受諾はする。
「こうは考えられないか各々方。世界の非常時に『光の剣の一族』が再び平和を取り戻すため聖木を託した。どうだいい話じゃないか?」
 それを聞いた親族が途端に訳知り顔になり、快諾すると口々に言い出した。
「では聖木『神聖樹(フラグーン)』の苗をアメリア様にお渡しします。いいですね」
 ランディさんは周りの気分が盛り上がっているうちに決を採り、採択してしまった。
 さっきから思っていたが、ランディさんは本当に口がうまい。
 もちろん正論でどこも変でないし筋が通っている。それに相手の心理をうまく突いて話をいい方へと運んでいく。
 今のだってそうだ。
『神聖樹(フラグーン)』は自分達の一族の功績であり、現実に残っていた象徴だ。それが各地にあったのでは伝説がぼやけてしまう。
 しかしランディさんはそれを逆手に取り、解釈の仕方を変えて差し出した。
 あたしたちがこの部屋に入ってからも、どうしてものときだけあたしたちが口を挟んでほとんどランディさんが進めている。
 余程こういう場を踏んでいるのだろう。あたしも自信あった方だけど、その交渉術には感心するばかりだ。
「では、各々方が最も気にしている内容へ移るとしよう」
 ―――こっから先は思い出すのも腹立たしいんだけど。
 ひとつ、『光の剣』紛失に対するガウリイの責。
 ひとつ、今後の継承者問題。
 ひとつ、現在ガウリイが持っている斬妖剣(ブラスト・ソード)の所有。
「我々は『光の剣』は失ったが、新たなる伝説の剣を手に入れたというわけか」
 斬妖剣の存在を知ると、それを既に己の手中に入れたような発言をする男。
 あたしにケンカを売った、あの男である。
 どうやらこの男――ジャイルが親族の中でランディさんの次に強い力を持っているらしい。
 他の二人はその腰巾着、残りのうち二人はあるならもらっとこうかなという流動的な立場を見せ、最後の一人はランディさんの側に立っていた。
「オレはこの剣を手放すつもりは無い」
 ガウリイが冷徹に言い放つ。
「ふざけるな!勝手に我らの家宝を持ち出しただけでも許し難いのにこれ以上の狼藉を許すと思うのか!!」
「そうだ、その剣はおまえにはふさわしくない!」
 あの『光の剣』が本当は魔族だったなんて伝えてやる義理も無いが、言ったところで信用しないだろう。

「ならばその『ふさわしい条件』とやらを教えていただけないですか。ジャイル殿」

 決して大きい声ではなかったのに、一言だけで場に静けさが広がる。
「まさか、愛と平和のためとは申しませんね?剣を握ることが綺麗事で済まぬことくらいジャイル殿とてご存知のはず。
 …お聞かせ願います」
 表情は穏やかなのに、目が笑っていないランディさん。
 ジャイルはすっかり呑まれていた。
 ―――ここで意見が無ければ会は終焉を迎えたのに。
 黙っていればいいものを腰巾着Aが横からしゃしゃりでる。
「い、いえ、ありますぞ!ジャイル殿」
「申せ!」
「裏切らないことですよ」
「何?」
 ゼルがマスクの下からくぐもった声を出す。

「ガウリイ殿。『金色』と呼ばれた傭兵をご存知か」

 たしか父ちゃんもガウリイのことそんなふうに一度だけ呼んだ。
「いるのですよ。そう呼ばれた男が」
 答えようとするのに被るようにして腰巾着Aが強調する。
「『金色』はかつての英雄と同じくサイラーグを救った、という話もありますが、我々にしてみればそれも眉唾…」
「何だって言うのよ。もったいつけてないでとっとと言いなさいよっ!」
 限界だった。
 誰にも、ゼルやアメリアにも見えないようにほんのちょっとだけあたしのマントに触れさせていたガウリイの手が小さく震える。
 凍える。

「それはやめてもらいましょう。一族の恥をやんごとなき地位のお方の耳に入れるおつもりか」

 窮地を救ってくれたのはまたもランディさんだった。
 あたしは、こっそり、息を吐いた。
「わ、わかりましたよ。しかしそちらにおられる方々、お気をつけなさい。いつその剣を向けられるかも知れませんよ」
******************
 思い出したらまた腹立ってきたっ!
 ジャイルのやつ、この村出るまでに一回はぎったんぎったんにしてやるっ!!!
 あの腰巾着Aもげちょげちょに決定v
「………………はぁ」
 とりあえず閉会になり。
 部屋まで戻ってきたアメリアは、一粒だけ涙をこぼした。
 今は、ゼルと二人であの部屋にいる。
(アメリアなら大丈夫。ゼルがいるしな)
 そう言って小さな笑みを浮かべたガウリイは、しばらく一人になりたいと家を出て行って。
 追いかけようとも思ったけど、待ってることにした。
 必ず、帰ってくるから。
 渡り廊下で後ろへ倒れると、視線が中庭から空へ移る。
 
 ――――――… ――…

 不意に風に乗って響く笛の音があたしの耳をくすぐった。
 どこでだろう。家の中?
 柔らかくって、透き通った音。
 でも、どっかで聴いたことあるような…それもごく最近。
 う〜みゅみゅみゅ…?
「あっ!!」
 思わず叫んで慌てて周りを見渡す。
 アメリアの『正義の仲良し4人組☆』!
 …あの子、笛なんて吹けたっけ?
 音を拾いながら演奏しているのか、途切れ途切れだ。
 しかぁしっ!
 ハズいっ!
 そんなどっかの極寒ギャグかます種族が大笑いしそうな題名の曲高らかに吹くなぁあっ!!
 …止めねば。
 あたしはスリッパ握り締め音を頼りに移動する。
 やがてあたしの高性能の聴覚が発信源を探り当てた。
 木の陰に隠れ、唇をぺろっと舐めて。
「やめんかあああああああっ」
 さぁリナ選手、渾身一発スリッパ振りかぶってっ(溜めてぇ♪)下ろしたあっ!!

「のぉおおっ!?」
「ひええっ!?」

 あ、あぶねかった〜。
 あと一瞬遅ければスリッパの餌食になっていたのはランディさんだった。
 驚きのあまり顔のデッサンが狂っている。
「いや〜、強烈な挨拶で」
「すみません〜」
「出来れば殴られそうになった原因を教えてほしいんですけどね♪」
「うっ(汗)」
「さあさあ(楽)」
 にこにこと攻めるランディさんに不承不承教えると。
「ぶっ」
 つい吹き出し、口を押さえて堪えているが、…肩が震えてる。
 だから教えたくなかったのよっ。
「失礼した。私としても誤解を招くことをしてしまったからね」
 ようやく笑いを納めたのは、あたしがいー加減呆れて空飛ぶ鳥さんを数え始めたところだった。
 笑い上戸なのかな。
「どうしてあの曲を…?」
「いえね。近所の子どもが歌っているのを聞いて。歌詞は忘れてしまったのですがとても耳に残ったのでちょっとやってみようかと」
「笛、なんですね」
 彼の手元には白に金の装飾の入った横笛。
 上品な細工物だ。
「これしか取り得がないのでね」
 照れくさそうだけど、誇りを持った目で。
 ランディさんはそう言って頭を掻いた。
「あの、…お聞きしたいのですけど」
「何ですか。私に答えられることなら何でもいいですが」
 私に答えられるなら、と予防線を自然に張るあたりがあの会を仕切ったランディさんらしい。
「ランディさんは、その。『金色』について知ってるんですか」
 沈黙をもって肯定に代えるランディさん。
「どう、思われましたか」
 ガウリイを示す、その単語。
 あの腰巾着の言い方は癇に障る。
「おかしなことを訊かれる」
「おかしなことって」
 反論しようとしたあたしが見たのは木漏れ日みたいな笑顔で。
「『金色』がガウリイだと知ったときは、ただ嬉しかった。生きていてくれたとわかったのだから」
 その他の何がありますか、とあたしに無言で問うて。
 ランディさんは笛を構えた。
 そこから流れる旋律は、静かで、悲しげで。
 一度口から離し、構え直して再度奏でる。
「………」
 同じ旋律なのに、元気で明るくて。アメリアが歌っていたあのままに。
「同じ旋律でも、表現の仕方でこんなに違う。噂も同じことだ…っと、これは繰り返しになるな」
 あたしに不器用なウィンクを一つ。
 その姿がガウリイに重なって。
「いつも…これまでもあんなだったのですか?」
 自分のことしか考えぬ輩の保身と利潤を求めるだけの集会。
 あんな環境に彼は置かれていたのだろうか。

「…肯定も、否定もしきれないってのが辛いところだ」

 癖なのだろうか、顎に軽く手を当て。
 ようやく貰えた答えがそれだった。

「リナさん。『それ』が『これから』に必要ですか?」
 
 ランディさんからの質問は。
 あたしがずっと考え続けていることと同じ。
「私、道楽で吟遊詩人のマネゴトしてましてねv」
「へっ」
 吟遊詩人。
 自作の詩を曲に乗せ、旅から旅へ伝え行く職業。
 別名、詩人音楽家。
 でも旅から旅って…?
「ですから、マネゴトですよ。そのことを利用してアメリア様には失礼な真似をしてしまいました」
 権威を振りかざすようなお方ではないでしょう、と付け加えて。
 この僅かな間に、アメリアの性格まで見抜いたのだろうか。
「私はこの地を離れません。時折ここを訪ねる吟遊詩人に歌い継いでもらいます」
「はぁ…」
「そのときにその人が知っている詩を教えてもらうのだが…あまりの違いに大笑いしたよ」
 口頭や聞きかじりで広がる吟遊詩人の詩。
 本に纏められるものもあるけど、ほとんどは消える運命を辿り、ほんの僅かな名作だけが後世に伝えられる。
 ときに歴史の隠れた真実を突く、吟遊詩人の詩。
「歴史と真実と本質ってのは、微妙なバランスをとっている。最近特にそう思うようになった。難しいですね。どこで折り合いをつけましょう?」
「つけましょう…って」
 ランディさんは何が言いたいのだろう。
「例えば『盗賊殺し(ロバーズ・キラー)』と異名をとる魔道士がとあるアジトを景気良く吹っ飛ばしたとします。
 ある職業からは『運が悪かった』と哀れられ、またある職業からは『イメージが悪くなる』と嘆かれ、巷を新たな噂が流れます」
 …何よその例えは。
「しかしそれが、さらなる悲劇を生まないためのやむを得ない選択だとしたら。二つに一つの究極の選択の結果だとしたら」
 ………………。
「魔道士の心中はさておき、吹っ飛ばした真実だけは残ります」
 …この人は、どこまで知っているのだろう。
 あたしの髪を、風が凪いで、過ぎた。
「ああ、私もう一つ自慢できる取り得がありましたよ」
「?」
 訝しげな顔のあたしの前でランディさんは笛で自分の目を指し。
「本質を見抜く『目』です。この道楽してると自然と身についてね」
「…どのくらい?」
 あたしの問いに彼は顎に手を当てるとちらっとあたしを見て笑った。
「リナさんがガウリイを信頼するのと同じくらいv」
 ばばばばばばばばばばばっ
***********************
 世界が茜に染まる頃。
「おかえりなさいっ☆」
 途中で合流したガウリイと部屋に戻って見たものは。
「ほらほら、すっごいですねっ」
 割れないシャボン玉にまみれるアメリアの姿。
 彼女のちょっと向こうでは同じくシャボン玉にまみれたゼルが転がっている。
「いやぁ、よくもまぁ…」
 ガウリイが呆れるのも無理はない。
 帰ってきたら自分の部屋がシャボン玉だらけなのだ。
 大きいのから小さいのからいくつあるのか判らないが、足で蹴散らし手で場所を作ってから座る。
「ちょっとゼル。せっかく戻ってきたんだからおかえりくらいいたらどうなの」
 こっちを向こうともせずただどた〜っと伸びている物体にクレームをつけると、その手が力無くひらひらし、ぱたっと落ちた。
「おいまさか、コレ全部ゼルがやったのかぁっ?」
 言いながらゼルの傍に落ちていた何かを拾い上げるガウリイ。
「チューブ?」
「わたしじゃ膨らまなかったので…お願いしましたv」
 シャボン玉振り撒き笑顔のアメリア。
「リナの家の近所には無かったか?チューブの中に入ってるゼリーみたいなのをストローに付けてな、ぷ〜っと膨らますんだ。これがなかなかに肺活量いるから大変なんだぞ」
 なるほど。
 ゼルがへばってるのは酸欠のなれの果てなのね。
 アメリアにせがまれて断りきれなかったのだろう。
「で、この布団は何?」
 シャボン玉が解決したのでもっと気になっていたこと――部屋中に敷き詰められた布団――に焦点をあてる。
「みんなで一緒に寝ましょ」
「寝ましょって」
「修学旅行みたいでいいじゃないですかっ」
 何よ修学旅行って…。
 ま、いっか。たまには。
 それにしても、アメリア。元気ね…?
「なー、明日。ヒマかぁ?」
 既に布団を確保し枕を抱えるようにして肩から上を起こしているガウリイ。
「ヒマって…何かあったっけ?」

「じゃあさ。ピクニック行こうぜ♪」
「「「ピクニックぅっ?」」」

 同音意義のリアクション。
 あたしは、彼が言い出した意図がわからず。
 ゼルはたぶん出歩くことへの懸念。
 アメリアは…間違い無く喜んでるわね。きらきらおめめだし。
「いけませんっ。これはすぐ寝て明日に備えねばっ。おやすみなさぁいっ」
 ぱふっとうつ伏せに布団を頭から被り肉まんのような形になるアメリアの布団。
 横の気配に見てみれば、すでに睡眠モードのガウリイ。
 相次いで二人が寝てしまい、明日の行動は決まってしまった。
 そう言えば、昨日から寝てないような気が…。
「ゼル。あんたも寝るの?」
「いや」
 すでに眠っていると思ったゼルは意外にしっかりした声で答えてきた。
「そう」
 窓から差し込む光が茜から群青へと移りゆく。
 あたしは寝ている二人の妨げにならないよう影にしながら呪文を唱え、明かりを打ち上げた。
「お前は寝ないのか」
「なんとなくね」
 横になってとりあえず身体は休めるものの、目は返って冴えてきてしまう。
 一度にいろんなことが起こりすぎて、整理してる余裕が無かったしなー。
 ランディさんが言いたかったことって、何だろう。
 わかったような、わかんないような。
「ちょっとゼル」
「何だ。俺は今考えごとをしてるんだ」
「あら奇遇ねあたしもよ。つ・き・あ・い・な・さ・い?」
 あたしの誠意ある説得に快く承諾してくれるゼル。
 ランディさんとの会話を(一部省略したけど)説明すると、「ふむ…」と腕を組んだまましばし黙り込んだ。
 仰向けの体勢だと彼を見上げることになり首が痛くなってきたのでうつ伏せへと切り替える。
「…答えは自分で見つけるもんだろう?リナ=インバース」
「やっぱそうなるかぁ」
 わかっていた。
 知っていた。
 でも誰かに言ってほしかった。
「必要なカードは用意される。もしかしたらとんでもないジョーカーが隠れているかもしれんがな」
「めくるか否か…違うわね。手にするかどうかは、あたし次第?」
 頷かず。返答せず。目を逸らさず。
 あたしの質問に答えて。
「一つ、これは俺のおせっかいだが」
 こほんと咳払いを一つ。

「ガウリイの旦那は事が起こる前にカードをすべて並べようとしていた。それだけは間違うな」

「…ほんとにおせっかいね」
「ほっとけ」
 ガウリイが寝返りをうつ。
 金糸が布団から流れる。
「ゼル。あんたの鞄にアレ入ってない?」
「あれじゃわからん」
「ほらぁ」
 あたしは指でそれを示す。
 ゼルはにやっと笑って頷くと鞄を探り出した。
*************
「ゼル、あんたが考えてたのって、何?」
 手元は作業中v
「おまえが考えてるのとおそらく同じだ」
 あたしの手元をチラッと見てすぐに魔道書に目を戻す。
「へえ、卵焼きにはしょうゆかソースかどっちがいいか考えてたの?」
「…………………」

                                 /続/
********************************************************************
気分沈んじゃった人、いませんか?(心配)

補足ですけど、ガウリイの実家は古き良き日本家屋をイメージしてください。構造だけですが。それで、だいたい10畳くらいの部屋一面になるほどシャボン玉作ったゼルガディス。酸欠になるだろそりゃ。ところでこのシャボン玉(風船)皆様ご存知ですか?よくお子様向けに売ってますが、みていはじゃりっこの頃は膨らませられませんでした。
それにしてもランディ語ります。語るわりには口調が安定しません。…使い分けてるつもりなんですが。彼の場合は特に(泣)ガウリイを牧師か神官にした感じがイメージに近いかも…。彼のイメージは淡い紫(藤色)です。

次回は明るく行くぞっ!と彼方へ誓うみていでございました。
こんな作者と話ですが、どうぞ見捨てずおつきあいください。多謝。

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13932さぁ、貴方も入会しませんか?あごん E-mail 2/26-14:22
記事番号13928へのコメント

こんにちは〜。あごんとゆー者ですっ!
読みましたぁっ!れじぇんどますたぁ・ふぉー!

ガウリイがかっこいいですっ!
私ガウリイ信教に入会してるんですけど。
御本尊であるガウリイがかっこいいと、それだけで向こう一週間はお腹いっぱいになれるのですvv
でも、ちと切ないよーな・・・。
まさしく「哀歌」に相応しいですねぇ。

ランディさんも気になります。
さすがはガウリイの兄上。
おとぼけしつつも、ちゃんと締める。
うーん。藤色のイメージですか。
そんなイメージしますよねv

あと、風船。
私も昔よくやりましたよ〜。
名前なんでしたっけ?
あ、私はちゃんと膨らませられました(笑)。

次回はピクニックですね!
まー。みてい様のことですから、何か意味深なピクニックである可能性が高い気が(笑)。
ではでは!続きをお待ちしております!!

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13933入会希望↑ゆえ E-mail 2/26-17:45
記事番号13928へのコメント

>気分沈んじゃった人、いませんか?(心配)

沈むといいますより・・・・・すみません。サンドパック変わりのうさちゃんぬいぐるみ用意してもいいですか?
(げすっ!ぼふっ!どきゃっ!)・・・・・・・・・・ふぅ、すっきりしました。
思わず手流弾をあのぼんくら親族どもに投げつけたい衝動に駆られたものですから・・・・後でリナが成敗してくれることを節に希望しつつ。

おくればせながらどうも、ゆえです。
のっけから妙に挑戦的ですみませんっ!でもど〜してもあのおっさん達にはムカっとしてしまいまして。
私ですらそうなのですから、リナはもっとですよね・・・・それにガウリイも。ううう。


>補足ですけど、ガウリイの実家は古き良き日本家屋をイメージしてください。構造だけですが。それで、だいたい10畳くらいの部屋一面になるほどシャボン玉作ったゼルガディス。酸欠になるだろそりゃ。ところでこのシャボン玉(風船)皆様ご存知ですか?よくお子様向けに売ってますが、みていはじゃりっこの頃は膨らませられませんでした。

私もガウリイの家って旧家のお屋敷というイメージがあります。しかしその部屋いっぱいにバルーン膨らませたゼル・・・・・大したもんです。
私も好きでよくやっていました。私らは『バルーン』とよんでましたが。
膨らませるのは私も苦手でした。



>それにしてもランディ語ります。語るわりには口調が安定しません。…使い分けてるつもりなんですが。彼の場合は特に(泣)ガウリイを牧師か神官にした感じがイメージに近いかも…。彼のイメージは淡い紫(藤色)です。

いいですよねぇランディさん♪私もファンクラブ作っちゃいます。
体育会系ガウリイとは対照的に学者肌的な感じのする方ですね。藤色というのも頷けます。
なによりランディさんにあれだけ語らせることのできるみてい様、拝んでいいですか?御利益ください・・・・・・


>次回は明るく行くぞっ!と彼方へ誓うみていでございました。
>こんな作者と話ですが、どうぞ見捨てずおつきあいください。多謝。

毎回感情移入しまくって読ませていただいてます。(上の状態のように)
ピクニックですね、今度は。きっとなにか意味があっての事だと思いますが・・・・
ガウリイがさりげにクラゲにシリアスなのに、もうクラクラです。
次回、楽しみにしておりますっ!

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13946入会受付はこちら(嘘)&あごんさんとゆえさんへのレスです♪みてい 2/27-09:09
記事番号13933へのコメント

ども、おはようございます。
みていでございます。ここ数日の温度差で体温調節失敗し、なんだかだっるいっす。

では、レス返しです。

☆あごんさん
>でも、ちと切ないよーな・・・。
>まさしく「哀歌」に相応しいですねぇ。
切ないですね〜。焦ってます。書いた本人が。
副題は、難しいっす。皆様綺麗なタイトル付けられるので、どきどきしてます。
>ランディさんも気になります。
>さすがはガウリイの兄上。
>おとぼけしつつも、ちゃんと締める。
>うーん。藤色のイメージですか。
>そんなイメージしますよねv
ありがとうございますっ。みていはメインキャラにはだいたいカラーをつけてます。…ちなみに某神官は濃紫です。青光りしそうなほどの濃い紫。

☆ゆえさん
>思わず手流弾をあのぼんくら親族どもに投げつけたい衝動に駆られたものですから・・・・後でリナが成敗してくれることを節に希望しつつ。
ええ、もっちろん。します(断言)つーか、させずに終わらせてくれないでしょう。
>のっけから妙に挑戦的ですみませんっ!でもど〜してもあのおっさん達にはムカっとしてしまいまして。
>私ですらそうなのですから、リナはもっとですよね・・・・それにガウリイも。ううう。
みていもあのシーンは書いてて非常にムカついたところです。でもその方が後腐れなくシメれますね♪
>なによりランディさんにあれだけ語らせることのできるみてい様、拝んでいいですか?御利益ください・・・・・・
どんなご利益(厄)が届くかわかりませんよ。ふふふふふふふふ…
あ、うさぎのサンドバックの変わりにジャイルの髪入りわら人形どうぞ…(不気味)
>次回はピクニックですね!
>まー。みてい様のことですから、何か意味深なピクニックである可能性が高い気が(笑)。
○○に鏡を見せると滝のような汗がたらぁりたらり。
うっ。みてい。意表なんか突けませんよ。あの4人でふつーのピクニックになるとは思えませんが…。ううっ。

ではでは、コメントありがとうございました。精進させてもらいます。
以上、みていでございました。次回もおつきあいください。多謝vv



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13950ランディさん受付は?toto 2/27-10:45
記事番号13928へのコメント

こんにちわtotoと申します。
ランディさん素敵ですねえ。もっと見たいです。ほう。沈着冷静で、音楽の才能まであるなんて。でも、アメリアの名曲を奏でちゃったのですね。シクシク。
>「やめんかあああああああっ」
> さぁリナ選手、渾身一発スリッパ振りかぶってっ(溜めてぇ♪)下ろしたあっ!!
しかもおいたわしい目に…
> 彼の手元には白に金の装飾の入った横笛。
> 上品な細工物だ。
まあ、洗練されたご趣味。
> あたしに不器用なウィンクを一つ。
> その姿がガウリイに重なって。
ここは、ちょっと切ないく良い感じ。以上、まとまり悪い感想で済みません。とにかくランディさんのご活躍に期待します。死んだりしませんよねえ(ドキドキ)
頑張って下さい。待ってます。


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13952サイン会ならそのうち…(未定)みてい 2/27-11:22
記事番号13950へのコメント

>こんにちわtotoと申します。
こんにちは、みていです。

>ランディさん素敵ですねえ。もっと見たいです。ほう。沈着冷静で、音楽の才能まであるなんて。でも、アメリアの名曲を奏でちゃったのですね。シクシク。
耳にしたものはとりあえず音にしてみようとする方なので。下手すると近所のおばちゃんの世間話まで音にします。
>> 彼の手元には白に金の装飾の入った横笛。
>> 上品な細工物だ。
>まあ、洗練されたご趣味。
市で見つけた掘り出し物です。横笛にしては長いですが、剣のように腰に挿して歩くことが多いです。
>> あたしに不器用なウィンクを一つ。
>> その姿がガウリイに重なって。
>ここは、ちょっと切ないく良い感じ。以上、まとまり悪い感想で済みません。とにかくランディさんのご活躍に期待します。死んだりしませんよねえ(ドキドキ)
その選択肢すらありませんでした。ご安心をv
>頑張って下さい。待ってます。
気張らしていただきます。とっとと次あげますのでお待ちください。
ありがとうございました。

ではでは、みていでございました。多謝vv

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13959LegendMaster5 「布告文」みてい 2/27-19:24
記事番号13850へのコメント

どもです。みていでございます。
もう5話まできたんですね。あと3話で終わるのか?終わらん気がひしひしと。

では、第5話、おつきあいください。
「あ〜書きやすかった」というみていの独り言とともに…
********************************************************************

【布告文】

―――喧嘩するなら相手を選べ
―――場を見極める目を作れ
―――身の程知らずに用は無い
                      〔『教訓カレンダー』より抜粋〕
*****************

 こっこっこっこっこっこ…

「……?」
 こっこっこっこっこっこっこっこっこっこ…
「…こっこっこ…?」

 こっこっこっ  コケーッコッコッコッコッコッコッコッ

「ああああ、うっさいうっさいうっさいうっさいうっさいぃぃぃっ!」
 がばあっ
「お前の方がずっと煩いぞ」
「やかまし。」
 ゼルのつっこみに枕で応え、あたしは朝日差し込む窓を開けた。
 無遠慮に刺す日光が目に痛みを呼ぶ。
「朝ですかぁ…?」
 寝ぼけ眼をこすりこすり寄ってくるのはアメリア。

「まあ、おはようございます。もうお目覚めですか?」

 窓の向こう、つまり庭でニワトリを追いかけていたシャルレさんが微笑む。
「こんなのどかな起こされ方されたの初めてなもんで…」
 ニワトリさんの雄叫びで目が覚めるなんてこと、あたしの今までの生活では考えられなかったことだ。
 …とげとげハンマーなら階下から飛んできたけど。直に。
「これは大変失礼を。すぐ静かにさせますので…」
「どうするんですかぁ?」
 首だけ窓から覗かせるアメリアと、興味をそそられたのかその後ろにいるゼルが頷く。

「「「ををををををっ!」」」

 目の前で繰り広げられる光景。
 シャルレさんは軽やかな動きでニワトリさんの隣に立つとさっと目に手で覆いをする。
 すると驚いたことにあんなにくそやかましかったニワトリさんの声がみるみる小さくなり、ぱたっと転がってしまった。
 次々にニワトリさんを眠らせていくシャルレさん。
「お騒がせいたしました」
 そう言ってお辞儀をする彼女の足元にはぽてぽて眠るニワトリさんが、ひの、ふの、みの…たくさん。
「すっごい!」
 ぱちぱちぱち。
「それ、起こすときはどうするんだ?」
 ゼルの問いにシャルレさんはにっこり笑って。
 ふぅっv
 ごっ!? こっこっこ↑こっこっこ↓…
「耳に息を吹きかけます」
 すぐに押さえ込んで一瞬起きたニワトリさんは速攻静かになった。
「お見事(です)っ」
「大したものだな」
 ぱちぱちぱちぱちぱちぱちっ。
「皆様、朝食の用意が出来ておりますが、客間へとお越しになりますか?こちらへお運びしましょうか?」
「どうする?」
「行きましょうっ!」
「ランディ氏はどうしてる?」
「まもなく起こしますが」
「じゃあそっち行くわ。おいしい朝ゴハンよろしくv」
「賜りました」
 シャルレさんがニワトリを大八車に乗せて去っていくとあたしはガウリイを蹴り起こした。
 ぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷっv

「おやガウリイ。しばらく見ぬうちに宗旨変えしたのか」
「「「ぶっ」」」
 客間へやってきたランディさんは開口一番そう言った。
「シャルレ。きみの使っているピンクのルージュを彼に貸してはもらえまいか。とても似合うと思うが」
「「「あ〜っはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ」」」
「…覚えてろよ…」
 ガウリイがじと目で睨むが。
「あはは…くらげ頭じゃ無理よv」
「違いますよ、縦ロール頭ですよ…ぷふふ」
「「「ぶあ〜っはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ」」」
「似合ってるぞ、ガウリイ…くくく」
「なあ、シャルレ」
「やめてくださいね」
「しくしく…」
 ガウリイが動くたびにその豪奢な金の髪が揺れる。
 それがまた笑いを誘う。
 昨日ゼルから紐を拝借したあたしは、寝ているガウリイの髪を少しずつまとめてみつあみにした。
 今朝気がついた彼が慌ててほどいたら、変なふうに緩んで縦ロールになってしまったという…ぷぷぷ。
 ちなみに、昨日のシャボン玉を持っていたのもゼルだ。
 …いったい何が入ってるんだろう。あのカバンの中。
「お待たせいたしました。どうぞお召し上がりください」
 並べられたお食事に。
 いただきますの言葉もそこそこに。
 あたしたちはがっついた(まぁお下品♪)。
 そう言えば寝ちゃって晩ゴハン食べてなかったのよ。
「今日はどうする予定なんだ?ガウリイ」
 あたしたちのお食事風景に驚きもせず、さらに自分の分はきっちり確保しているランディさん。
「ピクニックv(むぐむぐ)」
「ほぉ、それはいい」
「ちょっと、それあたしのナポリタンよっ」
「わたしのシーザーサラダ返してくださいぃっ」
「コーヒーのお代わりもらえるか」
「はい」
 シャルレさんも全然動じてないし。
「この時期は何かと虫が多い。気に留めおけ」
 彼のその科白にあたしたちは一旦手を休め。

「さ〜んきゅv」

 と笑った。
***********************
 シャルレさんの用意してくれたお弁当入りバスケット片手にてこてこと。
 向かうはいそいそピクニック。
 目的地は…目的地は…
「どこに向かってるのよ?」
 いつぞやの再現になりそうな気が無きにしも非ずだったが、隣を歩くガウリイに訊いてみる。
 ちなみに今の彼の髪型はゆるく一本のみつあみにしてある(あたしがしたのよっ)。…ぴよんぴよんと後れ毛が気になるけど。
「お?ほら、あそこに見えてる木まで行くんだ。いい眺めだぞ〜」
 意外なことにちゃんとした答えが返ってきた。
 言われるままに指差された方向を見ると、もこっとした木がわかった。
 ここって分類は『村』だけどけっこう広いのよね。
 ちょっとそこまでって距離がゼフィーリアとはかなり違う。
「大きな木ですね」
 アメリアもわくわくしながらゼルの隣を歩いている。

「大っきな木ですね〜」
 同じ文でもその声には驚きが混じっている。
 彼女がそう言うのも無理はなく。
 辿り着いたその木はあたしたち四人が手を繋いでぎりぎり届くか届かないかの太い幹を構えていた。
「ガウリイ、この木、まさか」
 落ちていた葉をしげしげと見つめ、木を仰ぐゼルガディス。

「『神聖樹(フラグーン)』だ。アメリアは初めて見るか?」

 幹を軽く撫でながらどこか遠い目をして答えるガウリイ。
 そう言えばこの葉とか見覚えがある。
「いえ、以前に一度だけ見たことがありますっ。でも、何ていうか、その…」
「ふつーに成長してりゃ、こんなもんさ」
 ガウリイは微妙な表情をして木から手を離す。
 かつてサイラーグにあった『神聖樹(フラグーン)』は、森と見まごうばかりに大きかった。
 それだけサイラーグに巣食った魔獣の瘴気は濃かったということだろう。
「花も実もつけないから食えない木だが、不思議と嫌いじゃなかったな」
 そーゆー基準で好き嫌いを決めるのか、おまいは。
「あの、それじゃどうやって増えるんですか?」
 アメリアの疑問は当然のことで。
 花と実がつかない、要するに種の出来ない『神聖樹(フラグーン)』。
 サイラーグの木が無い以上、この木に繁殖能力が無いとなると苗を得ることが出来ない。
 アメリアの願いは聞き届けられなくなる。
「それは」
 ふつり。ガウリイが言葉を切った。
 彼がこういう行動に出るのは決まっている。
 ―――来たのだ。
 あたしたちは無言で互いを確認しあう。
「あ〜あ、あたしおなか空いちゃったのになぁ」
「しっかり空腹な方がメシはうまいぞ」
「運動になりますかぁ?」
「させてもらおうじゃないか」

「『影縛り(シャドウ・スナップ)』!」
 かかかかっ
「『地精道(ベフィス・ブリング)』!」
 ばべこっ

 本人は忍び寄ってきたつもりだろうが、んなもんあたしたちに通じるわけない。
 ゼルは振り返りざまナイフを放ち、四人を足止めする。
 間抜けな悲鳴とともにあたしの呪文に見事にハマった雑魚がどこどこ落とし穴に嵌まる。

「出でよっ!」

 アメリアの『力ある言葉』に応じ、落ちていた枝葉が巨大なハンマーを形作る。
 ごんっ げんっ ばこっ
「はぐっ」
「ぐへっ」
 巨大ハンマーが穴から出てこようとした雑魚をもぐらたたきの要領で脳天から殴り倒す。
「いいですかっ!己の私欲のみを追及しようとするのは愚の骨頂!天に代わってわたしたち正義の仲良し4人組が成敗しますっ!!」
 高いところでいつもの如く口上を述べるアメリア。
 …その恥ずかしいネーミングはやめてとか、どーして土じゃなくて枝葉使ったのとか、聖木に足掛けていーのかな〜とかつっこみたいところはたくさんあるんだけど…。
「チィっ」
 魔道士っ!
『光明(ライティング)』を唱えてゼルの呪文を無効化する気だっ。
 この程度のやつらなら動こうと動いてなかろうと大して問題は無いが、ちょろちょろされるのはひじょーに目障りだ。
 急ぎ、呪文を詠唱する。
 魔道士の手元で光が収束し始める。

 ――ゅっ
「ぎゃああああああっ」

 風を切る音とともに魔道士が口を押さえ悶絶する。
 ガウリイが指弾を飛ばし、奴の口から頬にかけ貫いたようだ。
 ひええ、いたそ(他人事)。
 とにかく、あの魔道士はもう使い物にならない。
「『氷窟蔦(ヴァン・レイル)』っ!」
 ぴしぴしぴしぴしぃっ
 扇状に広がった氷のツタが逃げ送れた者を絡めとる。
「こんなに強いなんて聞いてないぞっ?」
 雑魚の一人が舌打ちとともに漏らす。
 …へぇ?
 考えてみれば、ガウリイはあの会ではっきりと『渡さない』と断言したのだ。
 それに対しランディさんは否定しなかった。
 つまり今ガウリイに剣を向けるということは、この地の権力者に喧嘩を売ったのと同じことになる。
 直接手が下せないから金でごろつきを雇ったか!
 ならばどこかに結果を知らせるための人間が隠れているはず。
 よぉっし♪
 あたしは『神聖樹(フラグーン)』の影へ回り、わざと大きな声を出す。

「みんな下がって!炎の呪文で一気に片をつけてやるわっ!!」

 あたしのねらいに気づき、三人が大仰な動きで後ろへ下がる。
 敵はおののき、うろたえる。
「やめろっ!『神聖樹(フラグーン)』を燃やす気かっ!」
 ―――見つけた!
 あたし達から最も離れたところ、小屋の影に男の姿。
「待ちなさいっ!」
 アメリアの声に慌て身を翻す男。
 まずい、この角度じゃ魔法が当たらないっ!!
 と、剣を鞘に納めたガウリイが一歩出る。
 風を穿つ音。
 キン。剣を納める唾鳴りの音。
 地面にかまいたちが通ったような痕。
 一瞬遅れて小屋の近くの大ぶりの木の枝が傾いで。
「うわああああっ」
 目の前に落ちてきた枝に進路を邪魔され、情けなく尻餅をつく男。
「残念だったな」
 酷薄な笑みを浮かべ男のその首元に切っ先を突きつけるゼルガディス。
 男はがっくりと肩を落とす。
 忘れようにも忘れられないその顔―――腰巾着B。
**************

「アメリアぁ」
「何ですか?」

 あたしが彼女に声をかけたのはやられ雑魚を川に流してバスケットの中身をすっかり空にし、ガウリイとゼルが魚釣りに出かけてしばらく経った頃。
 あの会で全然有能なところ(あるの?)を見せられなかった腰巾着Bは、ガウリイから斬妖剣(ブラスト・ソード)を奪うことで名誉挽回しようとしたのだ。
 後に武勇伝を語るためにその場で結末を見たかったのだろうが、自らの身の置き方を誤るあたり、やはり小物である。
 …この件についてはジャイルは係わってないと断言出来る。
 あの小物があたしたちの殺気をぶつけられて証言を偽れるわけがない。
 ―――ジャイルはまだ、出方を窺っている。

「あんた、元気ね」
「当然ですっ」

 握り拳を高く掲げ、大きな胸を強調して(ちっ)断言するアメリア。
 昨日部屋に戻ってから感じていたが、ごくたまに表情に影の差すことはあっても、明らかに表情が明るくなってきている。
 カラ元気かとも最初は思ったが、あたしの決して浅くない付き合いでの経験が本当に回復していると告げている。

「どうして…?」

 触れたくない部分に自ら触れてしまったアメリア。
 そのことに気づいたとき、彼女はこちらが苦しくなるほど狼狽し、落ち込んだ。
 それが、どうして…?

「ゼルガディスさんがいるからですv」

 をい。
 きっぱしと言い切ったアメリアはちょこんとあたしの正面に座る。
「それに、リナさんも、ガウリイさんも、父さんもいます」
 花が咲くように。
 ほにゃっと頬を染めて。
「わたしには、傍にいてくれる人がいます。居場所があります。だから、落ち込んでも正義の炎で復活できるんですっ」
 あ…。
「リナさんも、でしょ?」
 正義の炎はともかく。
 あたしの顔をを覗き込んで囁いたアメリアの瞳は真っ直ぐあたしを見つめてきて。
 ―――その光があたしにも差し込んだ、気がした。
 …ガウリイも?
 ガウリイも、あたしを『居場所』と感じてくれてる?
 あの場所へ赴く前、あたしに真っ直ぐ手を差し出したガウリイ。
 弱さを、あたしだけに見せたガウリイ。
 ……ガウリイ、も?

「お〜いぃ!」

 声に我に返ると、川辺から上がってくるガウリイとゼル。
「やっほー、ゼルガディスさぁんっ」
「お魚さんは〜っ?」
 ロープで括った釣果を高々と持ち上げるガウリイと小さく手を振りながらも羞恥に顔を隠すゼル。

「どわぁっ」

 ぼっちゃ〜〜〜んっ

 顔の傍でばたばたしたお魚さんに驚いたのかバランスを崩し頭から川へダイブするガウリイ。
 すぐ顔を上げた彼は川の中でじたばたする。
 …ゼル、助けてやんないし。よっぽど水嫌いなのね。
「なぁにやってんのよ」
 川から上がり、ようやくあたしたちのとこに来たガウリイを冷やかすと。
「リナ、やってv」
 目の前に差し出されるピンクのリボン。
 くりっと背中を見せたガウリイの髪が水に濡れて光を放つ。
「やってって」
「さっき川に落ちたときにほどけちゃってさ。逃げないように一生懸命捕まえたから、やってv」
 どうもさっきもがいてたのは流されたリボンを捕まえるためだったらしい。
「リナぁ」
「しょーがないわねっ。感謝なさいっ」
「おうっ」
 水の垂れる髪を軽く絞って結わえる。
 また痕がつくと思うけど、…いっか。本人がやれって言ったんだし。
「お熱いですね〜」
「まったくだ」
 うっさいぞ、そこのらぶらぶカップル。
***************
 家に戻ったあたしたちは。
「なんだガウリイ。川に帰ってたのか?」
 というランディさんの発言に腹が痛くなるほど大爆笑させられた。

 ―――そーいえば。
 あの腰巾着B。
 小屋の近くに頭だけ出して埋めたままにして帰ってきちゃったけど。

 まいっかぁ、腰巾着Bだし♪

                                  /続/
*********************************************************************
はい、第5話でございました。
けっこう雰囲気が上昇しました。こういう雰囲気のが書きやすいです、ずっと。

何しに出てきたんでしょうね、腰巾着B。答え、リナたちにノされるため。
ニワトリの話は、みていが某番組で観て大笑いしたネタです。皆様もぜひお試しをv

それでは、またおつきあいください。
みていでございました。多謝v

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13970イカしたあいつにメロメロモード♪あごん E-mail 2/28-00:10
記事番号13959へのコメント

こんばんは!あごんです!!
いやあ!相変わらずの素敵な文章にメロメロモードです!

シャルレさんのニワトリの技!一発でわかりましたよ(笑)!!!
伊○家の食卓ですね!!!
私も見てます〜〜〜!!

あと、三つ編みガウリイが可愛いです(愛)。
「やって」ってあんた(笑)!!
母性本能直撃じゃあないですかぁぁぁ(錯乱気味)!

アメリアの言葉もじ〜んと来ました。
仲間って素敵ですねぇ、って感じです。

フラグーンの謎とか色々これからありそうですが、期待してお待ちしております!
ランディさんとシャルレさんが好きです(笑)。
この二人が恋人って話はないのでしょうか?どきどき。

ではでは相変わらずのテンションだけやたら高い感想ですが(泣)。
あごんでした!

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13975イカしたあの子にあいらぶげっちゅvみてい 2/28-12:45
記事番号13970へのコメント

>こんばんは!あごんです!!
ども、みていです!!
>いやあ!相変わらずの素敵な文章にメロメロモードです!
照れまする。
>シャルレさんのニワトリの技!一発でわかりましたよ(笑)!!!
>伊○家の食卓ですね!!!
>私も見てます〜〜〜!!
ちなみに、「吠えてる犬に愛してるよ〜というと黙る」ってのはウソですね。
>あと、三つ編みガウリイが可愛いです(愛)。
>「やって」ってあんた(笑)!!
>母性本能直撃じゃあないですかぁぁぁ(錯乱気味)!
最初自分でやろうとしてたのが、あまりにももたくさしてるんでリナが「貸しなさいっ」てあっという間に結わえてくれたのが発端vv
>アメリアの言葉もじ〜んと来ました。
>仲間って素敵ですねぇ、って感じです。
アメリアを出すと決めた時から言わせちゃろうと思った科白の一つです。
>フラグーンの謎とか色々これからありそうですが、期待してお待ちしております!
張った伏線を全部消化できるのかと内心焦っております。
>ランディさんとシャルレさんが好きです(笑)。
>この二人が恋人って話はないのでしょうか?どきどき。
みていの隠された意図に気がついていただけて嬉しいですっ。
話のどこかにシャルレの兄が出ています。本編で触れるかわかりませんが…。
>ではでは相変わらずのテンションだけやたら高い感想ですが(泣)。
>あごんでした!
ありがとうございます!とっても喜んでおりますvv

ではでは、どーやってあの親族をとっちめてやろうか考察中のみていでした。多謝。

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13989LegendMaster6 「逆夢語り」みてい 3/1-19:19
記事番号13850へのコメント

みていでございます。
第6話ですかー。今回のちっちゃいポイントは、シャルレさんの行動…(違)。
へぼい戦闘シーンがまたまた出てきます。もうちょっとうまく表現したく精進中。

では、第6話、おつきあいください。
********************************************************************

【逆夢語り】

―――青き瞳の翼よ
―――汝を休める止まり木はあるか
―――雨に濡れてはおらぬか
―――巣にはもはや戻らぬか
―――汝を癒す花はあるか
                             〔譚詩〕
***************
 背中があったかい。
 青々とした草が心地よい音楽を奏でる。
 木漏れ日があたしの視界に小さな光の競演を降らす。
 それは強すぎず、でも輪郭ははっきりしていて。
 ついそのうちの一つに指を乗せ、軌跡をなぞってみたくなる。
 光は逃れるように指先から外れ、枠をあっさりと駆け下りていく。
「いい天気だなぁ」
 背もたれがしゃべる。
「そーねー」
「……………ふわぁ」
「寝てもいいけど、動かないでねv」
「…う〜ん…」
 僅かに背もたれ、もといガウリイが左に傾く。
 少し身体が沈み込んだ。
 寝たのかな?
 あたしはそっと身体をずらして不自然な体勢にならないようにもたれ直す。
 風が吹いて、また木漏れ日が落ちてきた。
 あたしは魔道書をめくる。
 直射だと本を読むには眩しすぎるけど、ここ『神聖樹(フラグーン)』の下ならちょうどいい光量になる。
 ―――どしてこういう状況になってるかというと。
 腰巾着Bの襲撃から一日、敵の出方がわかんない以上こっちは動きようがないので各自別行動(ただし、フォローの出来る位置にいること)をしようかって話になって。
 ゼルはガウリイの部屋で魔道書を読みふけり、アメリアは騎士団のためにあてがわれた部屋で今後の予定を調整して伝令を出すための書状を書いている。
 アメリアのいる部屋は家の中でも中央部に近い位置なので何事か起こる可能性はほとんど無いが、万が一のときはすぐゼルが出られるようにレグルス板で連絡を取り合っている。
 あたしはどうしてここにいるかは、あたしがここに来たかったし、ガウリイも嫌がらなかったから。
 そこでガウリイに数冊の魔道書を持たせ、あたしはレグルス板を持っててくてくやってきた。
 …いい天気だし、『神聖樹(フラグーン)』からの一望はとっても綺麗でココロ洗われるよな気もするけど、やっぱ手持ち無沙汰だし。
 ……照れるじゃないの。なんでかって言われたら困るけど。
 最初は二人して『神聖樹(フラグーン)』にもたれてたんだけど、聖木でも木は木だし背中が痛くなってきてもぞもぞしてたら。
 ―――こーなった。
 別に深い意味は無いのよっ。
 ただ、傍にいた方がフォローしやすいかな〜なんて。
 何で言い訳じみてくんのよっおかしいわねっっ!
 ぱらり。
 環境がいいからか、いつも以上に頭に内容が入ってくる。
 普通魔道書ってのは自分の知識を全部書き込もうとするあまり、みみっちゃい小っちゃい字でびっしり書き込まれ、本人にしかわかんないような略号があり、内容の順番もあったもんじゃない。
 この書もたしかに字は小さいんだけど、こんなのメじゃないようなのをあたしはよく読むし、何より内容が順を追っているのが嬉しい。…ときどきびっくりするような超訳があるけど。
 ぱらり。
 ちょっとクセのある字がよく似ている。
「…………………。」
 やれやれ。
「気づいてるな?」
 背中から聞こえるのは疑問形の確認。
 周囲に目をめぐらす。
 『神聖樹(フラグーン)』、右に川、少し離れたところに雑木林。
 その手前に小屋。
「何人?」
「小屋の影に二人、林の中に八人。おそらく傭兵崩れだ」
 一気に近付いてくる気配。
 足場は悪いわけじゃないけど…先の戦闘時にちょっとでこぼこにしてしまった。
「!」
 あたしは立ち上がり、駆け出そうとして手元の魔道書に目をやった。
 あたしにとって魔道書は軽いものではない。片手が塞がっていては印を結べない魔法もある。
 ガウリイに渡すわけにもいかない。彼の得物は両手剣だ。
 かといってここに置いていって踏まれでもしたら…!

「貸せ」

 言うが早いかガウリイは魔道書を麻袋に放り込む。
「よっ」
「ちょっ…!?」
 彼は袋に入った魔道書をこともあろうに放り投げた!
 魔道書は『神聖樹(フラグーン)』の枝のどっかにひっかかったのか落ちてこない。
「場所はわかってる、後で取りにくればいい」
 なんだか納得できないものはあるが、この場で考えてても何にもならないし時間も待ってくれないので駆け出した。
 方向は、川。
 ここってけっこう岩がごろごろしてるのね。
 走りながら呪文が切れないよう詠唱し、放つ、放つ、放つ。
「ゼルたち、どうする?」
 すっかり準備ができてからのほほんとガウリイが訊いてくる。
「いーんじゃない。あとで言えばっ『魔風(ディム・ウィン)』っ」
 傭兵の一人がどこにそんなに隠し持ってたのかと思うほど放ってきたナイフを魔法で吹き飛ばす。
「でぇいっ」
 風を追う形でガウリイが相手に切り伏せる。
 前のときみたく統率も何もなく有象無象にかかってくるなら一まとめに吹っ飛ばす手が使えるのだが、今のようにそれぞれが連携してしかも拡散していると個々に潰していくしかない。
「ジャイルの差し金かっ!」
 あっさり依頼人を明かすとは思えないけど。
「知らねぇなっ。こちとら『金色』を殺りにきただけさぁっ!」
 ガウリイを見てねちっこい笑いを浮かべる悪役A。
 あらためて見ると、敵のほとんどがガウリイを狙っている。あたしはついでらしい。
 …ついでだとぅっ?
 ぴしっ
 ガウリイが気づいてあたしの近くへ走ってくる。
 彼の手が肩に触れたのを確認してあたしは呪文を解放した。

「『翔風界(レイ・ウィング)』!」

 すぐさま上昇し川から離れる。
 高度を維持し、下を見下ろすと。

 ばきばきばきばきばきっ
 どばぁぁぁぁぁぁああっ
 ざざざざぁぁぁぁぁぁぁあああっっ

 悲鳴をあげるヒマもあればこそ。
 突然の鉄砲水に流され、誰一人の例外無く押し流されてく悪役たち。
 ふ・ん。
「戻るか」
「そね」
 しばし川を見ていたガウリイが呟く。
 その視線の先で巨大な氷が割れる。
 …実は川へ走ってきたとき。
 あたしは川面に出ている岩をめがけて何回も魔法を放った。
 呪文は、『氷結弾(フリーズ・ブリット)』。
 氷は重なり、大きくなり、やがて川を塞ぐ堰となる。
 しかぁしっ、途中に堰が出来てようとざばざばざばざば水は流れてきて、結果下の脆い(あえて脆くしておいた)堰なぞあっさり押し流した。
 本当のところ、突然でも何でもなかったのである。
******************
 窓の向こうで梟がその見た目に似合わぬ俊敏さを披露する時間帯。
 まんじりとした時間が過ぎる。
 あたしたちは客間で顔を突き合わせてはいるものの、なんとなく話したい気分ではない。
 原因は、昼間の襲撃。
 あたしの報告を聞いたアメリアはぶーたれ、ランディさんは眉間に一本皺が入った。
 今はゼルガディス待ちである。

 こんこん

「ゼルガディスさんがお戻りになりました」
 シャルレさんの横から部屋に入ってきたゼルは邪魔くさそうにマスクとフードを取ると、どかっとソファーに腰掛けた。
「どうでした…?」
 テーブルに手を乗せ、身をのり出して訪ねるアメリア。
「どうもこうもない」
 ゼルは一つ大きく息を吐き。
「今のところこの街だけに限られているようだが、ここに『金色』がいるという噂が流れていた」
 あたしの話を聞いてすぐ、ゼルは情報の出所を確かめに行った。
 悪役Aが情報を手に入れたのが誰かに頼まれたのではなく、噂で聞いたとしたら。
 あいつのような奴がまたやってくる。
 名を揚げる、ただそれだけのために。
 ―――それほどまでに、『金色』の名は意味のあるものなのだろうか。
「許せませんっ!誰ですか、そんな卑怯な真似をするのはっ!!」
「…誰なの?」
 アメリアとあたしの声が重なった。
「俺が何の収穫も無しにおめおめ帰ってくると思うか?」
 その問いに、ゼルがにやっと笑った。
「何かわかったのっ!?」
 ばんっとテーブルに手を付く。
 そのとき紅茶がちょっと跳ねてシャルレさんの笑顔が濃くなったり付いた手が思ったより痛かったことはこの際どーでもいい。
「噂の流れ始めたのは昨日のことだ。その期間の短さが幸いしたな。おかげで最初に流した奴まで遡れた」
「誰ですかっ!もったいつけてないで教えてくださいっ!!」
 ゼルは諌めるように軽く手を掲げる。
「あのキツネ男の従者さ」

「「あの腰巾着A!!」」

 またも声がハモるあたしとアメリア。
 …って、あんたもそんな判別の仕方してたの…?
「その噂、一日でどのくらいまで広がる?」
 問うガウリイにそちらを見ると。
 ちらちらと青白い炎すら見えそうなほど静かに怒っている彼がいた。
 しかも眉間の皺二本に増えたランディさんと並ぶと異様な迫力がある。
「あっ!」
 言ってアメリアが口に手をあてる。
 その姿を見て、あたしも一つの可能性に気が付く。
 もし、噂がこのまま広がるなら。今回のような『身の程知らず』が何度となくやってくることになったら。
 ガウリイは、村にいられなくなる。
 彼のことだ。そうなる前に身を隠すかもしれない。

「その心配は無用だ」

 重くなりかけた空気で口を開いたのはランディさん。
 自然と彼に視線が集中する。
「リナさん。リナさんが世にも珍しい財宝の在りかを知ったら、どうしますか?」
「独り占めする(即答)」
 …そうか。
「そういうことです」
 何度も頷くランディさん。
 アメリアも、ゼルも納得の表情をした、その中で。
「どういうことだ?」

 すぱぁぁぁぁぁぁぁぁんっ
 ばしぃぃぃぃぃんっ
 ご。

「ぐげ」
「相変わらずの生ぬっくい頭だな、ガウリイ」
 あたしのスリッパと、ゼルのハリセンと。
 そしてランディさんの横笛がくらげ頭をどつく。
「生ぬっくい…なまぬっくい…」
 アメリア、変なところでツボにはまったらしい。
「だぁかぁらぁっ!いくら大量のフライドポテトもらってもたくさん人呼んだら自分の分が減るでしょう!?」
「それはヤだ(即答)」
「噂も同じことよっ!!」
「おおっ♪」
 ぽんと手を打つくらげガウリイ。
 よーやく納得したかい。
「それでも流れた噂は止められん。そこで、もう一つ噂を流さないか?」
 気を取り直したランディさんが提案してくる。
「どんな?何のですか?」
「手を出す気にもならなくなるような噂だ」
「今流れていたのは居場所だけだ。尾びれ背びれがついて…」
 何であたしを見るっ。
「破壊の大魔王と連れ立ってるというのもあったが…」
 ゼルの科白に一斉にあたしに視線が集まる。
「だあああああああっ!そうやってまた無闇に人の印象悪くするうっ!!」
「そうするか」
 こら待テ、勝手にまとめるな。
「『彼』にはあのリナ=インバースがついている。何より効くんじゃないか?」
「嘘は言ってませんよね。ガウリイさんの隣にはリナさんがいますし」
 待たんか、勝手に進めるな。
 反論しようと立ち上がったあたしは。
*************
「わかりますか、リナさん」
「わかるような、わかんないような…」
 ―――丸め込まれてしまった。
 ランディさんの「ストレス解消しませんか?」に。
「リナ、あの山の頂上の横に見える…」
「やっぱしよくわかんない」
 月明かりがあるとはいえ、場所をもともとわかっているランディさんとエルフもびっくりの視力を備えるガウリイはさておき、ゼルたちもよくわからないようである。
「ガウリイ、見えてるなら指してやれ」
 ゼルの言葉に応えて一方向に向け腕が伸ばされる。
 今いるのは家の外。つまり村で一番高い場所。道中で引っかかって誤発してしまうことはない。
「ほんっとうに、いいのね?」
「村と人命に被害が無ければ、構わない」
 よぉっし!!
 めでたくランディさんのお墨付きももらったことだし。
「ガウリイ、そのままにしててよ」
「おう」
 あたしは呪文の詠唱を始める。
 笑みが零れる。
 ゼルとアメリアがサングラスを着用する。

―――黄昏よりも昏きもの
   血の流れより紅きもの
   時の流れに埋もれし
   偉大な汝の名において―――

 両の手の間で光が収束する。
 傍らで方向を示すガウリイの顔が光に揺れる。
 ―――ふと、あの二人の顔が思い浮かぶ。
 あたし、気に入らない運命はひん曲げる主義なのよっ!!

―――等しく滅びを与えんことを―――

「『竜破斬(ドラグ・スレイブ)』!!」
 
 腕を突き出す。
 紅き筋が真っ直ぐ伸びて。

 ごどおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ

「こりゃあ派手だ」
 半分呆れたように呟くゼル。
「悪が一つ滅びたのですっ!」
 お得意のびしっと彼方を指差すポーズをとるアメリア。
「どうなってる?」
「一階だけ残ってる」
 冷静に状況確認をするランディさんに、それに応えるガウリイ。
「派手にって言われたからいいのよ(断言)」
 あ〜。少しはすっきりした。
 あたしが狙った(指すように言った)のは無意味やたらと高さを誇っていた腰巾着Aの家の尖塔の、さらに高さを強調する避雷針。
 あの『竜破斬』には少しアレンジを施して、破壊力を抑えて光と音を強調するようにした。よく観察していれば、破壊力として具現化した部分を内に取り巻くように光が広がったのがわかるはずだ。
 遠くから見れば、通常の『竜破斬』が発動されたとしか思わないだろうけど。
「生きてる…な」
 ガウリイが呟く。
 さっきこっそり探りに行ったとき、腰巾着Aの家にはそいつしかいなかったので、今半壊した家の前で腰を抜かしてる奴がいるということは、…そういうことである。
************
「ジャイルは噛んでないのか?」
 部屋に戻ってきてしばし。
 シャルレさんが紅茶を一人一人に出し終えて、部屋を辞した後。
 ううっ。なんであたしだけ紅茶半分しか入ってないんだろう…。
「…無いな」
 ゼルの問いにランディさんは少し間を空けて、しかし言い切った。
 ―――ちなみに「家が突然壊れた!」と陳情申し述べに転がり込んできた腰巾着Aは、あたしたちの笑顔とランディさんの「それで、どうしたんですか」でキツネ顔をさらに引きつらせてコケつまろびつ逃げ帰った。
「ジャイルという男は、自分に対し絶大な自信を持とうとする男だ。己の誇りが高いゆえに、他人に委ねるという真似はすまい」
「自分で、ですか?」
「しかし、そのための準備には恐ろしく周到だ。自分のための花道を確保した上で、その道を悠々と歩く厚顔さも持ち合わせている」
 その科白にガウリイの眉が少しつり上がる。

「リナ」

 あたしに声をかけ、立ち上がるガウリイ。
「危険です!囮になるつもりですかっ!?」
 振り返った彼はぱたぱたと手を振る。
「そりゃ違うぞ。雨が降りそうなんでな、『神聖樹(フラグーン)』に置いてきちまった本取ってくる」
 あたしの肩が引き寄せられる。
「ほんとに雨ですかぁ?…あ、曇ってる」
「いつの間に」
 窓を仰ぐアメリアとゼル。
「山が近い所為か、このあたりの天候は変わりやすいからな」
 ランディさんの助言。
「ほれ、なんかあったらえ〜っと、何だっけ、リナ。その、丸いヤツ」
「レグルス板」
「そうその…板で呼ぶからさ」
「そうですかぁ?気をつけてくださいね?」
 その顔に『心配』を貼り付けたアメリアと、何も言わないけど真剣な目で見てくるゼル。
「行ってこい」
 そのとき、ほんの僅か、ランディさんの目が細められた。
「んじゃ、行こうぜ、リナ」
 あたしは自分から部屋を出た。
************
 翔風界でかっとばしてきて、あたしたちは何度も足を運んだ木の下に立つ。
 短刀の先に明かりを燈し、ガウリイに抱えられて『神聖樹(フラグーン)』をよじ登る。
 すると、視界が、開けた。
「ここって…?」
 どのくらいの高さかはわからないが、そこから先は幹が無かった。
 かといって木の天辺でもない。
 あたしたちが今立つ空間を取り囲むように枝が茂っている。
 空間の広さは、ガウリイが少し身を屈めて立ってられる程広い。
 足元に落ちている魔道書を拾う。
 その下に、何か平らなものが刺さっていた痕。
 響く、ガウリイの隠しようもなく、いや隠そうとしない沈んだ声。

「昔、『光の剣』を保管していた場所だ」

                                 /続/
*********************************************************************
またシリアスってる。でももうちょっと続きます。早くほのぼのまで行こう(希望)

語句の解説をちょっと。
『譚詩』は吟遊詩人によって謡われた自由形式の小叙事詩のことです。

ではでは、残り数話になりましたが、最後までおつきあいください。
みていでございました。多謝。




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13995ガウリィはフライドポテト好きtoto 3/2-11:32
記事番号13989へのコメント

こんにちわtotoです。お元気ですか?感想などまた書かせていただきます。
> 背もたれがしゃべる。
> 僅かに背もたれ、もといガウリイが左に傾く。
> あたしはそっと身体をずらして不自然な体勢にならないようにもたれ直す。
まあ、素敵なシチュエーションですね。みていさんのガウリナ度の進行状況はどんなものなのでしょう??(本筋から離れますが)いい感じですねえ。
>「こりゃあ派手だ」
> 半分呆れたように呟くゼル。
>「悪が一つ滅びたのですっ!」
> お得意のびしっと彼方を指差すポーズをとるアメリア。
相変わらずの活躍ぶりがいいですねえ…特にみていさんのアメリア名曲といい絶品です。さらにガウリィ、フライドポテトの例えかなり納得しました。あと詩の使い方が凄く上手ですねえ。続きが楽しみです、では、とりとめない感想ですが、失礼します。



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13996ハンバーガーのピクルスは嫌いかも…彼。みてい 3/2-12:10
記事番号13995へのコメント

>こんにちわtotoです。お元気ですか?感想などまた書かせていただきます。
ありがとうございます、totoさん。
みていは元気です。落としちゃいかんもん落としちゃってちょっとだいぶ白くなってますが…

>> 背もたれがしゃべる。
>> 僅かに背もたれ、もといガウリイが左に傾く。
>> あたしはそっと身体をずらして不自然な体勢にならないようにもたれ直す。
>まあ、素敵なシチュエーションですね。みていさんのガウリナ度の進行状況はどんなものなのでしょう??(本筋から離れますが)いい感じですねえ。
ふふふv次の話で少し進行状況が見えます。
>>「こりゃあ派手だ」
>> 半分呆れたように呟くゼル。
>>「悪が一つ滅びたのですっ!」
>> お得意のびしっと彼方を指差すポーズをとるアメリア。
>相変わらずの活躍ぶりがいいですねえ…特にみていさんのアメリア名曲といい絶品です。
アメリアは書きやすいです。リナ以上かも知れないです。リナは肝心なところで照れが入りますので。
ゼルは…というか今回一番たくさんカードを持っているのが彼です。当事者ゆえに動けない他の面子をこっそり(おおっぴらにも)サポートしてます。
>さらにガウリィ、フライドポテトの例えかなり納得しました。
一番書きにくい…というか主役のはずなのに全然出てこない彼。しゃべればどつかれてるし…。
何故フライドポテトになったかというと、…浮かんだとしか。はっはっは。
>あと詩の使い方が凄く上手ですねえ。
あ、ありがとうございますぅぅっ(感涙)あの詩にも伏線があります。お暇があれば想像してみてくださいv

>続きが楽しみです、では、とりとめない感想ですが、失礼します。
ありがとうございました。
レス返ししている間に次の話がまとまることがよくあるみていにとって、コメントいただけるのは嬉しいと同時にありがたいことです。
次の話もぜひおつきあいください。

ではでは、みていでございました。多謝。


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13998ガウリイもある○る会員になればきっと・・・・・あんでぃ E-mail 3/2-13:26
記事番号13989へのコメント


こんにちはー!あんでぃです。
今日はなんと学校が短縮日課?!嬉しいな♪
やっとたくさんレスできるんですから(試験前に人間のセリフではない)


totoさんへのレスレスのタイトルでピクルスは嫌いかもと言っておりましたので、そういえばガウリイ君、ピーマン嫌いだったなあ・・・・・と思いまして。
そしてこの前あるあ○大辞典で、ピーマンの事を語っていたので。
ガウリイ君!○るある会員になればきっとピーマン嫌いが治るよー!!赤ピーマンが健康に良いんだってよー!!


>またシリアスってる。でももうちょっと続きます。早くほのぼのまで行こう(希望)


腰巾着A可哀想・・・・(笑)名前も無いのに(私がわからないだけかも)家を吹き飛ばされ・・・・まあそんなもんですかな♪
光の剣はあんな所に保管されていたんですね。ううむ、あそこにあるなんて誰も分かりませんよな!!ガウリイ君は一体何のためにリナちゃんをここに連れてきたのか?!
しかし、フラグーンには魔を吸収して養分にする力があるはず・・・・・光の剣、いんや烈光の剣(ゴルンノヴァ)は異界の魔族だからそこに置いておいたら干からびてしまうのでは?


>ではでは、残り数話になりましたが、最後までおつきあいください。
>みていでございました。多謝。


レスはこの先できるだけがんばろうと思います!!
最後は一体どうなってしまうのか!!ドキドキ♪


ガウリイ君さりげなくリナちゃんを連れ出すのに肩を抱いちゃったりしてv
ほのぼのモード全開な私v
楽しみに待っております!!
それでは、あんでぃでした!


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14000リナぁ、この赤い野菜って何て名前なんだぁ?(むぐむぐ)みてい 3/2-15:41
記事番号13998へのコメント

>こんにちはー!あんでぃです。
>今日はなんと学校が短縮日課?!嬉しいな♪
>やっとたくさんレスできるんですから(試験前に人間のセリフではない)
こんにちは、みていですっ!
短縮日課ってのはやけにわくわくしますね。そのあとに襲い来る現実にはふたをして…

>ガウリイ君!○るある会員になればきっとピーマン嫌いが治るよー!!赤ピーマンが健康に良いんだってよー!!
緑のピーマンはすでに味とか匂いとかインプットされちゃってるので無理だと思うのですが、赤やら黄色のなら、名前を伏せておけば以外に食べちゃうかもしれません(笑)

>腰巾着A可哀想・・・・(笑)名前も無いのに(私がわからないだけかも)家を吹き飛ばされ・・・・まあそんなもんですかな♪
そんなもんです♪
>光の剣はあんな所に保管されていたんですね。ううむ、あそこにあるなんて誰も分かりませんよな!!ガウリイ君は一体何のためにリナちゃんをここに連れてきたのか?!
次回、謎とき編。あらゆる邪魔さえ入らなければ(重要)
>しかし、フラグーンには魔を吸収して養分にする力があるはず・・・・・光の剣、いんや烈光の剣(ゴルンノヴァ)は異界の魔族だからそこに置いておいたら干からびてしまうのでは?
ん〜、まぁ、へりくつといいましょうか、種明かしも次回か次々回にあります(すでに8回終了を諦めている)。

>レスはこの先できるだけがんばろうと思います!!
>最後は一体どうなってしまうのか!!ドキドキ♪
最後はハッピーエンドです。みていの書く物ですので。最後だけはもう出来てます(間は…?)

>ガウリイ君さりげなくリナちゃんを連れ出すのに肩を抱いちゃったりしてv
>ほのぼのモード全開な私v
>楽しみに待っております!!
>それでは、あんでぃでした!
ありがとうございました!あと数話になりましたが最後まで是非おつきあいください。

ではでは、みていでございました。多謝vv

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14013ご一緒にポテトはいかがですかぁ♪ゆえ E-mail 3/2-23:49
記事番号13989へのコメント

こんにちは、ゆえです。

何名か吹っ飛ばされて結構すっきりさわやかな思いを感じつつ、さらに添えられたほのぼのシーンのセットに満腹しております。

あとシャルレさんの行動。見事です(笑)
紅茶をこぼされるぐらいなら最初からさっ引くあのプロ根性には頭が下がります。
前回のニワトリさんおねんねの技といい、さすがはガウリイの実家のお手伝いさんです(笑)
次回の彼女に注目していたいと思います♪(ちょっと違う)


ポテトのたとえ話ですが、実は一度目には分からなかったりします、私。ガウリイにもわかったってぇのに・・・・・・(ホントにファンかお前は)
でもちぁあんと2度目には納得できました。なるほど。
毎回みていさまの話は奥深くってさすがです〜。

いよいよフラグーンと光の剣の話ですね。
私もちょっとそんな関係の話なんぞ書いていたりするので興味津々です。
参考にすべく、しっかりメモを片手に読ませて頂きます。(それっていいのか・・・・?)

ちょっと夢でゆるゆるウェイブのガウリイを見て幸せだったゆえでした♪

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14015一万円入りまぁすっ☆みてい 3/3-00:37
記事番号14013へのコメント

>こんにちは、ゆえです。
みていでする。

>あとシャルレさんの行動。見事です(笑)
>紅茶をこぼされるぐらいなら最初からさっ引くあのプロ根性には頭が下がります。
>前回のニワトリさんおねんねの技といい、さすがはガウリイの実家のお手伝いさんです(笑)
>次回の彼女に注目していたいと思います♪(ちょっと違う)
次回にシャルレさんが出てくる可能性はめっちゃ低いのですが…。
彼女はガブリエフ本家、つまりランディさん(ガウリイもですな)の家の掃除・洗濯やらを全部一人で引き受けております。
ちなみに、ガウリイ帰省前はランディさんはシャルレさんと二人暮らしでした。

>ポテトのたとえ話ですが、実は一度目には分からなかったりします、私。ガウリイにもわかったってぇのに・・・・・・(ホントにファンかお前は)
>でもちぁあんと2度目には納得できました。なるほど。
>毎回みていさまの話は奥深くってさすがです〜。
いやぁなんつーか、奥深いというよりわかりにくいのでは…。
要するに「ライバルは少なければ少ないほど自分が『彼』を倒す機会が増える」ていうのを説明つけたかったんですけど…。とにかく、某噂が流れた以降は、『身の程知らず』が現れなくなるってことを押さえていただければいいです。

>いよいよフラグーンと光の剣の話ですね。
>私もちょっとそんな関係の話なんぞ書いていたりするので興味津々です。
>参考にすべく、しっかりメモを片手に読ませて頂きます。(それっていいのか・・・・?)
参考になりますかどうか(汗)
>ちょっと夢でゆるゆるウェイブのガウリイを見て幸せだったゆえでした♪
ガウリイ現在、修羅場ってます。どーやって彼に「説明」させようかとみていも修羅場ってます。

レスありがとうございました。
またおつきあいください。みていでございました。多謝。

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