◆−天空歌集 19−ゆえ(12/11-23:51)No.12658
 ┣CAROLだあ♪−桐生あきや(12/12-00:32)No.12659
 ┣天空歌集 20−ゆえ(12/15-02:25)No.12723
 ┃┗急転直下!!?−あごん(12/15-23:43)No.12728
 ┃ ┗暗中模索・・・・・あれ?−ゆえ(12/16-07:53)No.12729
 ┗天空歌集 21−ゆえ(12/16-16:10)No.12739
  ┗くらくらです−桐生あきや(12/16-23:23)NEWNo.12742


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12658天空歌集 19ゆえ 12/11-23:51


暫くPC停止命令がでて、なかなか思うように話がかけません。しくしく。
これも魔族の陰謀なのかと思いましたが、自業自得の自爆でした。

話もややこしさが渦巻いてますが、19をお送りします。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

天空歌集 19


    愚かなる生き物たちを
    闇に囲まれた 廃墟に導きたまえ

    夢はうず高く 塵のように積もり
    愛は色あせて 瓦礫に朽ち果て
    終わることない destruction 邪悪なるエナジー
    無慈悲な夜の desperation 絶望のカーニバル



「リナさん、セフィルさんの力をどう思いますか?」

アノールを出て3日後、近くの街に今晩の宿を取り、食堂の片隅でゼロスが思わせぶりに聞いてきた。
一番隅っこにあるテーブルだから、他の客にはあたし達の話は聞こえないだろう。
でも、このテーブルには関係者全員が座って食事をしている。もちろん当人のセフィルもいる。
「ゼロスさんっ!」
アメリアが小声で抗議する。
そりゃそーだ、本人目の前にしてあんたの力がどーだコーダなんて話は言いたくもないし聞かせたくもない。
ましてや彼女はつい先日、同胞であるはずの者達からその力の為に酷い侮辱と迫害を受け、生まれ故郷を追われて来たのだから。
ゼルもガウリイも同様でゼロスに目線でそれ以上なにも言うなと訴えている。
しかし当人の反応は正反対で、
「別に気にしなくていいよ。て、言うより聞きたいかなーって、リナさんとゼロスさんの話。」
とか言ってぱくっと大好物だというハンバーグを一口食べる。
「さすがは灰色(グレイ)エルフですね。」
ゼロスはそんなセフィルの態度に満足そうに答える。
「そりゃどーも。」
セフィルは嫌な顔せず一言呟くとそのままハンバーグに集中していた。
「何よその灰色(グレイ)エルフってのは。セフィルはハーフエルフでしょーもん。」
「僕たち魔族では皆さんがいうハーフエルフの事をそう呼んでいるんですよ。まあ正確には全部の方に当てはまる訳ではないですが。中にはダークエルフなんて方々もいらっしゃいますからねー。いやーなかなかこれで分類がややこしいんですよ。あっはっはっはっ。」
「『あっはっはっ』じゃぁないっ!意味がぜんっぜんわかんないわよっ!」
あたしに怒鳴られたゼロスはうーんと困ったような顔をして(もちろんホントは困ってない)ちらりとセフィルを見た。
「・・・ん?ああ、わたしには構わずどーぞ。その辺の事はゼロスさんのほーが詳しいでしょーし。わたしは今はこっちが大事だし♪」
ぱたぱたと手を振りながらセフィルは食後のデザートにとゼロスが注文したアイスクリームに手をつける。
ゼロスはそのセリフに満足と言った感じだが・・・・・・いいのかそれでセフィル・・・・・・

「はいはい、アイスクリームは僕のおごりですから。それでは僕から説明しましょう。と、その前にリナさん、先ほどの質問にお答え願いませんか?」
「魔族のあんたのおごりって妙に不気味だけど・・・・・・・・まあいっか。質問の答えだっけ。」
セフィルは嬉しそうにアイスクリームを頬張るとうーんと呻りながら美味しそーに食べている。こっちのやりとりなどお構いなしの様に。
「―――確かに変わってると思うわ。エルフの村で聞いた限りでもこの子の力はかなり特殊みたいだし。魔力容量があたし達人間より大きいのは解ってるけどそれを差し引いても彼女の魔力というか、あの『呪歌』の力は凄い―――精霊に直接干渉しての天候操作や魔力の増幅、呪文習得の早さなんかも。大した物よ。」

最初はセフィルに頼まれて教えていた攻撃呪文、精霊魔術に関してはほぼ完璧に使いこなせる域まで達していた。
もちろんあたしが使えないものは彼女もまだ使えないが、時々ある戦いの中で1,2度繰り出しただけの術や黒魔術も何時の間にか覚えていた程だ。あの理解力と感の良さ、吸収の早さにはあたしも舌を巻いた。
ゼルやアメリアの術を見れば《崩霊裂 ラ・ティルト》も使える様になるんじゃないだろーか。
・・・・・・・・・まあノーコンの方は置いておくとして・・・・・

「おっしゃる通り、セフィルさんの持つ魔力はエルフの方々が持つものと違いますし、人間の物とは無論違います。
 なによりハーフエルフと呼ばれるセフィルさんと同じ立場の方達とも違うのですよ。セフィルさんの魔力は異質なんですよ。―――――闇と光の狭間を持つもの―――― それが灰色(グレイ)エルフ―――」
「ストップ。」
ゼロスの話を途中で遮ったのはゼルだった。
ゼルの視線に促され周りを見れば、客は少ないがあたし達の話が気になるのかちらちらとこっちを伺う客が見える。
これ以上の話はここではやめておいた方がいいだろう―――
「続きは部屋にいってからね。」



並んで取ったそれぞれの部屋の真ん中、つまりあたしの部屋に全員が移動するとゼロスは話を続けた。
「ええっと、セフィルさんの持つ魔力が異質だと言うところまでお話しましたね。」
こほんっと軽く咳払いすると、何時の間に手にしていたのかあの魔道書を片手にゼロスは、
「僕がわざわざここに来たのもその辺が理由です。僕が獣王様から受けた命令はただ一つ、この本を読み、理解できる者を探し出せという物でした。ですから、僕はこの本を人間の手の届く所に置き、暫く様子を伺っていた所、持っていったのが他ならぬリナさんだったんですよ。」
「そーそー。盗賊どもから巻き上げたんだよな。」
頷くガウリイをスリッパで叩いてから、
「その本って一体なんなのよ。」
疑問に思っていた事を素直に口にした。
「この本ですか?残念ながらリナさん達が考えた様な物では在りませんよ。」
からかうようにいうゼロス。
「『異界黙示録』の写本じゃないのか。」
ゼルが食ってかかるように言う。
「違いますよ。これは古(いにしえ)のエルフが書き残した物。古代エルヴァン文字で書かれていたでしょう。それに他のエルフが書き足したものです。そしてこの本を解読し理解できたのはセフィルさんだけ――――そうですよね。」
ベッドの上で黙ったままガウリイの横に座っていたセフィルがこくんと頷いた。
「セフィルさん、古代エルヴァン文字はどなたかに教えて貰ったものですか?」
ゼロスに聞かれ、首を横に傾けて何やら考えてからセフィルは答えた。
「うーん・・・・そーいや誰にも教わってないなぁ・・・・・でも、文字の存在は他のエルフも知ってるはずだよ。ほら、アノールでわたしが結界解いちゃったミナス・ティリスにそれと同じ文字が書かれていたから。でも意味まで知ってるって話は聞かなかったしなぁ・・・・・やっぱり私しか読めて無いってことなのかな。」
呑気に話してるけど、それってえらい大変なことじゃないのか・・・・・・
ゼロスは話を続ける。
「昨日セフィルさんを手伝って本の解読を終わらせました。そしてセフィルさんはこの本に書かれていること全てを記憶し、理解して頂きました。」
何時の間に魔族なんかとンなとこやってたんだ・・・・・・
「セフィルさんっ、このゼロスさんがどんな人か解ってるんですか?!」
アメリアがびしっとゼロスを指さしながら、
「魔族ですよ、魔族!生きとし生けるものの天敵!しかもその中でも獣王直属の獣神官!高位魔族なんですよ!!」
アメリアが言いたくなる気持ちも解らなくもない。
セフィルのゼロスに対する態度がまったく普通でなんもわかって無いんじゃないかと思うし。
言われたセフィルはゼロスを見て、アメリアをキョトンとした顔で見て、
「だから?」
「『だから』って?!」

「あ、怒ったらごめん。でもわたしはあんまり・・・・・その・・・・・なんて言ったらいいのかな・・・・・・別に嫌いとか拒絶するような存在じゃないから・・・・・・魔族って。」

をいをい。
「それこそ灰色(グレイ)エルフという証ですね。」
ゼロスは言うと、ふわりっと空に浮かんだ。
「ちょっとゼロス?!」
「僕が受けた命令はここまでですので。灰色(グレイ)エルフの存在の確認と、知識の伝達。それ以上は僕の役目では在りませんから。それでは―――――」
『ちょっとまてぇぇぇぇぇぇぃ!』
虚空に消えて精神世界へと戻ろうとしたゼロスを同時に呼び止めたのはあたしとセフィル。
「なんでしょう?」
『アイスクリーム代』
二人同時に右手をゼロスに出した。
「・・・・・・・・・・・つ、つけといて下さい♪」
頬に一筋の冷や汗を流したままゼロスは消えていった。
てーーーっいっ!アイスクリーム代踏み倒されたわっっ!
「・・・・・・・リナさん突っ込むポイントが違いますよ・・・・・」
「・・・・・そんな所は似なくていいぞセフィル・・・・・」
脱力しきったアメリアとガウリイがぽそりっと呟いた。



「ゼロスに聞いても埒が空かないなら本人に聞くしかないな。」
ゼルはそう前置きしてから、セフィルの方を向いた。
「あの本、ゼロスは『異界黙示録』の写本では無いといったが本当なのか。」
「その『くれあばいぶる』ってのをわたしは知らないんだけども・・・・・・。」
「じゃあその本の内容はゼロスと解読したのだろう。何が書かれていたんだ。」
「・・・・・・・ええっとそれは・・・・・・」
ゼルに詰め寄られたセフィルは助けを求めるようにガウリイの方を見た。
「そんな責め立てて聞かなくても良いだろう。セフィルが悪者みたいじゃないか。」
そんなセフィルにガウリイが助け船を出した。
「誰もそんな事は言ってないっ。オレはただ真実が知りたいだけだ!」
「だから怒鳴るなって。」
「うるさいっ!ゼロスの存在をそいつは認めたんだぞ?!だったら―――」

「ストーーーーーーーップっ!!」

・・・・・・・・・・ったく。
「あんた達がケンカしてどーすんのよっ!ゼル!少し落ち着きなさい。ガウリイも黙ってて。じゃなかったら問答無用で呪文食らわすわよ!」

あたしの一喝でその場はしーんと静まりかえった。
「・・・・・・すまん、言い過ぎた。」
「・・・・・・いや、オレの方もだ。」
お互いに冷や汗流しながら謝った。

「さてと、」
そういって今度はあたしがセフィルの前に椅子を持ってきて座り込んだ。
「セフィル、あなたが魔族に対してどう考えてるかは今は聞かない。とりあえず答えられる範囲で質問に答えて、いい?」
ゼルとガウリイの言い合いをおろおろとした表情で不安そうに聞いていたセフィルもどうにか落ち着いてきた。
正面にすわったあたしの言葉に少し戸惑いながらも、セフィルは頷いた。
「ゼロスに何を言われたの?」
あのゼロスがなんの意味もなくセフィルに協力して解読を手伝うわけがない。
それに消える間際にあいつは『知識の伝達』も目的だと言っていた。
それならセフィルに対して何か吹き込んで言ったに違いない。

「・・・・・・全てを本来在るべき姿に戻して、そして・・・・・わたしの中に眠っているものを呼び起こせって・・・・・・」

セフィルの言葉にあたしは硬直した。
眠れる者を呼び起こせ―――?それってまさか―――――
「・・・・まさか・・・・・それ・・・・・・ううん・・・・そんなはずは・・・・・だってあれは人間の心に封印されているもので・・・・・」
「・・・・しかし、セフィルは半分は人だぞ。」
声を震わせながらいうアメリアにゼルが事実を述べる。
「・・・・・・・・・・・どういう意味なんだ?」
やはりというか、事態を飲み込めていないガウリイがあたしに聞いてくる。
しかしここで説明出来るわけはないし・・・・・なによりまだ推論でしかないこの想像を告げる勇気は・・・・あたしには無い。
ガウリイの問いを無視する様にあたしは呼吸を整えてから、セフィルへ話しかけた。
「・・・・・ゼロスはその眠っている者のこと何かいってた?」
「・・・・・ううん、別に何も。・・・・・ねぇ、みんなどうかしたの?」
自分を見る目が変わったことにセフィルが不安を募らせていた。
「・・・・あ、何でもない。ちょっと驚いただけだから。」
あわてて言い繕ってみたけど、そんなもので誤魔化せるわけもない。
「・・・・・・・ねぇどうしたの・・・・・?やっぱりわたしがハーフエルフとか灰色(グレイ)エルフだから?ねぇ?違うの?」
違う、そんなことは関係ない――そう一言いってあげて安心させて上げたいのに・・・・・言葉が続かない。
みるみるセフィルの瞳が潤んでくる。不安と絶望の表情と共に。

「違うよ。」

声はセフィルのすぐ横にいたガウリイからだった。
「みんなちょっとお前さんの話に驚いただけさ。セフィルが何だろうとそれは関係ないことだよ、な。」
ぽふぽふっとセフィルの頭を叩く。
「だから、心配しなくていい。――――オレの事、信じられないか?」
真っ直ぐにセフィルの目を見ながらガウリイは優しく微笑み、髪を撫でた。
「・・・・・うん。」
ガウリイの言葉で安心したのかセフィルもにっこりと笑った。
「・・・・・・セフィル・・・・・その、ごめん。そんなつもりじゃなかったんだけど・・・・」
結果的には彼女を不安に陥れたのは事実、あたしは素直に謝った。
ゼルとアメリアも同じくセフィルに謝ると、
「そうですよ。ゼロスさんの事です、きっと私達をからかって楽しんでいるに違い在りませんっ!」
となにやら勝手に自分で結論を出してるアメリア。
でも今はそっちの方がありがたい。
「いいよっ、そんなみんなして謝ってもらわなくてもっ!その、わたしも気にしすぎたからっ。」
すこし赤くなってぱたぱたと両手を顔の前で交差させるセフィル。
「話をキチンとしなかったわたしも悪いから。わたしが知ってることはちゃんと話す――――。」
さっきまでの子供っぽい表情から一転して、真摯な面もちであたし達をみた。

「スナガが探している『鍵』は4つの《精霊の石》の事で、一つは《ヴェルヤ》、エルフの言葉で《風 シルフ》という意味があって、わたしが持っていた『ルーンオーブ』のこと。
 もう一つは《ネンヤ》と言って《水 ウンディーネ》の意味−−−−リナさんが今持っている『ルーンリング』がそれなの。」

「・・・・・・・って、これがそうなのっ?!」
あたしは持っていた『ルーンリング』を取り出してまじまじとのぞき込んだ。
銀色のリングに白い石がはめられたこの指輪、そーいやこれもエルフの結界の中にあったっけ・・・・・
「そうすると、残りはあと2つ、『火』と『地』ということになるな。」
ゼルが指輪を見ながら呟いた。
「そう、4大元素を司る精霊だから、残りは《火 イフリート》の《ナルヤ》、《地 ベフィモス》の《メネルヤ》なんだけど・・・・・・」
そう言うとセフィルはあの本を持ってきて、テーブルの上に置いた。

「これが《メネルヤ》らいしの。」
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・本だよな。」

呆然と置かれた本を見下ろす中、ガウリイが持ち上げて確かめても当たり前だがただの魔道書。
「・・・・・・これで間違いないの?」
あたしが自信なさげに聞くとセフィルは、ひょいっと肩をすくめて、
「そー書いてあるから間違いないけど、わたしもちょっと驚いた。」
「ゼロスさんも、『本来在るべき姿に戻せ』って言ってましたよね。もしかしてこの事じゃないんですか?」
アメリアが言う。
「となるとこの本は仮の形と言うことなのか。」
エルフの魔道技術は人間にはとうてい及ばない所があるけど、ここまでとは・・・・・
「よくわからんが、戻るんなら戻してみたらどーだ?」
「そんな簡単に戻るものなのか?」
ガウリイとゼルの言葉にセフィルは少し瞳を閉じて考えると、
「戻す方法は解ってるけど・・・・・そうしたらもうこの本は読めないことになるけど、いいの?」
あたしに言う。
「内容はセフィルが覚えてるならそれでいいし、何より『本来の形』に戻さなきゃ効力が出ないのならしょーがないじゃない。」
「・・・・・・・・・・・わかった。それじゃあ戻すけど、ここじゃ出来ないから外に行かないと。」
物質そのものを変化させる術ともなれば、そーほいほいと使うわけにもいかないか。
戻すのは明日ということで、この日はこれで解散となった。



やっと一人になったあたしはベッドに寝そべったまま天井を見上げていた。
セフィルは今晩はアメリアと同室。
「・・・・・・・・アイス代払う気になったの?」
天井を見上げたままの格好であたしはそいつに向かって話した。
「いやぁ、ばれてましたか。」
ゆらりと空間を渡り、ゼロスが姿を現す。
「あんたがあたしに何か言いたそうだったからね。そろそろ出でくる頃だと思ってさ。」
ベッドから上半身だけを起こし、そのままの体勢で話を続けた。
「んで、あたしに何の話があるのよ。」
「話といいますか、忠告ですね。」
「忠告?」
「『鍵』を早めに全部そろえた方がいいですよ。そうじゃないとあなた方人間は困ることになると思いますし、僕たちも少々動かないといけない事になりますから。」
魔族が動く程のことって・・・・・・
「セフィルさん本来に目覚めて貰わないと、いろいろとやっかいなんですよ。」
「まさか『鍵』ってセフィルに眠る者を目覚めさせるものなの・・・・・・!」
紫紺の瞳が開く。
「『鍵』が使えない場合は別の方法を取らざる追えませんからね。」
嫌な考えだけしか浮かんでこない。
背中を冷たいものが流れていく。
「別の方法って・・・・・・」

「彼女の支えになっているものを外せばいいんですよ。――――――――大切な人とか。」

にやりっとゼロスが口を緩ませると、すうっと姿は再び虚空へと消え去った。
セフィルが今一番支えにしている人・・・・・・・・

「・・・・・・・・・・・・・・ガウリイを殺すってこと・・・・・・」

夜はあたしに闇を突きつけた。


    この世界落ちてしまえば
    信じることなど もう二度と出来はしない

    恋を歌うもの 月に呪われて
    風を愛すもの 嵐にさらわれ
    支配するのは destruction 憎しみがエナジー
    汚れた夜の desperation 美しきカー二バル

    Welcome to carnival, destruction
    We’re the ones to rule the world
    Sing and dance and pray for us, desperation
    You can never see the end


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

なんとか19話をお送りできました。
今回はゼロスにがんばって話をひっぱって貰う予定が・・・・あり?
一応「鍵」の件についてはなんとかフォロー入れられたのに、今度は「灰色エルフ」ときたもんです。
この設定は私独自の考えで設定したものです。黒と白を混ぜたら灰色というなんとも単純な公式ですが。

今回の歌詞はTM NETORKの「CAROL」というアルバムの1曲です。もともとこのアルバム自体がロックミュージカルであり、ファンタジーな世界なので、そのうちこれをスレの話にすり替えられないかと画策だけはしています。
曲名のサブタイトルが(Devil's Carnival)というまんまなんですか・・・・

次はとうとう大台の20話です。PC戒厳令をかいくぐりなんとか続けたいと思います。


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12659CAROLだあ♪桐生あきや 12/12-00:32
記事番号12658へのコメント


 こっちの方はツリー落ちが激しいですね……(ちょっとびっくり)。
 私の方はどこまで他の方々のものを圧迫すれば気が済むのかって話なんですけど(笑)。
 どうも、桐生です。

>話もややこしさが渦巻いてますが、19をお送りします。
 謎が謎を呼んで、すごいドキドキしています。
 ゼロスがほんとに食わせ物って感じで、ああ魔族だわ……(意味不明)。
 セフィルは一体何なんでしょう。ますますこの子が心配になってきました(^^;
 しかし魔族に対する考えがリナたちとここまで食い違っているとは思いませんでした。うーん。
 ゆえさんってば伏線はるのホント上手いですねー。見習わなくては(^^)

>なんとか19話をお送りできました。
 おつかれさまです〜。

>今回はゼロスにがんばって話をひっぱって貰う予定が・・・・あり?
>一応「鍵」の件についてはなんとかフォロー入れられたのに、今度は「灰色エルフ」ときたもんです。
>この設定は私独自の考えで設定したものです。黒と白を混ぜたら灰色というなんとも単純な公式ですが。

>今回の歌詞はTM NETORKの「CAROL」というアルバムの1曲です。もともとこのアルバム自体がロックミュージカルであり、ファンタジーな世界なので、そのうちこれをスレの話にすり替えられないかと画策だけはしています。
>曲名のサブタイトルが(Devil's Carnival)というまんまなんですか・・・・
 「CAROL」は木根さんの小説の方だけ読んだことがあります。良いですよねv

>次はとうとう大台の20話です。PC戒厳令をかいくぐりなんとか続けたいと思います。
 無理せず、どうかがんばってくださいね。
 楽しみに待ってます。
 それでは。

 桐生あきや 拝

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12723天空歌集 20ゆえ 12/15-02:25
記事番号12658へのコメント

無事にPC戒厳令も解除されました。
どうにか20話を書くことができました。なんだかますます支離滅裂になってるよ・・・・・・・
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天空歌集 20


  街の姿を見透かす彼女の琥珀の瞳。
  全ては土へと還るべく累々と横たわり、巨木は黒く焼け焦げ、ここにはもう何もない。
  谷間を駆け抜け、倒れた者達を踏み越え走る彼の目に映るのは、街を覆う深い闇。

  風を切り裂いて、届くその声は−−−−目覚めよ鳥たち、ねぐらをいでて

  夜明けの街にひそやかに、笛の音が流れ出す。
  眠る人々の屋根に 降り注ぐ流れ星。

   ――子供達、さあ時間だ――――娘よもう嘆くな
    ――つま先まで石になる――――その前に旅立とう



まるで呪文の様な言葉の羅列、そして白銀の髪を風に靡かせた琥珀色の瞳をした少女。
オレはその光景をただ眺めているだけ。
言いようもなくこみあげてくる懐かしさと、虚しさと。
まるでこれは夢ではなく、現実なのかと思うほどリアルな夢だった。
最近変な夢を見るようになってはいたが、今日見たような夢はここ数日からだ。
あの何か言いたげに見つめてくる琥珀の瞳―――。
どこかで見たことがある気がするんだが、どうしても思い出せない。
ベッドから起きだし、窓を開ける。
もうすぐ夜明けだ。
「・・・・・・・・・思い出せたら・・・・オレはどうすればいい・・・・?。」
まだ明け切らぬ空を見上げながら、オレは夢の中の少女に語りかけた。




あたし達はアノールから北にある村、イシルに向かう途中だ。
今回の件に魔族の影がはっきりとした今、その全貌を確かめるのに誰も躊躇はしていなかった――あたし以外は。
一方セフィルは、いつもと変わりなくガウリイの横に並んで歩いている。
《メネルヤ》は石に戻すより、そのまま本の形でいた方が敵の目を誤魔化せるというゼルの提案でそのままだ。
一体今度は自分の周りで何が起きようとしているのか。
延々と考えるより行動するしかないと自分に言い聞かせ最後の《精霊の石》――火精の石《ナルヤ》があるというイシルに向かっていた。
セフィルの説明だとあと1日ぐらいで目的地には着くらしい。
手前の街で宿をとることにした。


「・・・・・・・・・・あのさ、ガウリイ・・・・・」
珍しく言いよどんだあたしにガウリイは剣の手入れをしている手を止め、振り向いた。
「何だ?」
話があるからとガウリイの部屋に押し掛けたあたしは話すべきなのかどうかまだ迷っていた。
「・・・・・・・・セフィルの事、どう思ってる・・・・・・?」
テーブルにうつ伏せになるようにして顔だけ上げてそう呟いた。
「どう思うって・・・・・・・好きだよ、セフィル。」
「好き・・・・って・・・・?!」
「そんなに驚くなよ。リナに対する『好き』とは意味が違うさ、セフィルのは。」
「・・・・・・・あ・・・・・そうなんだ・・・・・」
思わず立ち上がってしまったあたしをみてガウリイはくすっと笑った。
「なんだヤキモチか?」
「ばっ、バカっ!そんなんじゃ無いわよっ!」
真っ赤になって否定しても説得力ないけど・・・・あたしはストンっとまた椅子に座った。
「リナはどうなんだ?」
「・・・・・・・・わかんない。」
反対にガウリイに聞かれ、あたしはどう答えていいか分からず、俯きながら答えた。
と、頭にガウリイの手が置かれ、ゆっくりと髪を撫で始めた。
「なにを不安がっているんだ?」
図星だった。
不安で不安でたまらない―――――ガウリイを失うことが。
ゼロスの言葉にあったセフィルの存在。
彼女に対して『鍵』を使うのが本当に正しいことなのか。
もし、セフィルに『鍵』を使ってしまったらどうなるのか。
もし、セフィルに『鍵』を使わなかったらどうなってしまうのか。
その先に何があるのか。
嫌な想像だけが重くのしかかる。
あたしって・・・・・こんなに弱かったっけ・・・・・・・・・

「なあ、リナ。ゼロスに何を言われたかは知らないが、不安な事があるなら吐き出しちまえよ―――オレには、さ。」

あたしは一度、世界の存在と彼の存在を天秤に掛けた。
そして今度はガウリイとセフィルを天秤にかけようというのか、あたしは。
けど、優しくて、大きくて、包み込むようなこの手を、この瞳を、存在を手放すことなんて出来るのだろうか。
そんな事は・・・・・・・もう出来ない。――――――何があっても。

「リナ、本当にどうしたんだ?さっきから黙り込んだままで・・・・・・」
一言も口を聞かないあたしをガウリイが心配そうにのぞき込んでくる。
このまま不安を吐き出してしまえるならどんなに楽だろう。
でもあたしはガウリイに何も話さなかった―――ううん、話せなかった。
ただ、髪を撫でるガウリイの胸に体を預け、聞こえてくる心音だけに気持ちを集中させる。

   とくん とくん とくん

大丈夫――きっと何もかもうまくいく。
呪文の様に自分自身に言い聞かせる。

「・・・・・ガウリイ・・・・・・大丈夫、だよね・・・・?」
たった一言だけ。
なんにも説明も、話もしないあたしの呟きにガウリイは何も聞かず、
「ああ、大丈夫―――だから安心していいよ。」
あたしの一番欲しかった言葉をくれた。




北の方角にあるイシルの村に着いたとき、そこは既に火の手が上がっていた。

「・・・・・・・・・酷い・・・」

誰ともなく呟いた言葉通り、家々は破壊され、住人のエルフ達は傷つき倒れてる者や、事切れた者もいた。
あたしたちはその場をゼルとアメリアに任せて、一路塔の在る場所へと急いだ。
村の一番奥、森の木々に隠れるように《ネンヤ》の封印されたミナス・イシルが建っていた。
結界は解かれたらしく、あっさりと塔の入り口まで来ると、あたし達は最上階へと駆け上がった。
そこには赤く輝く石のついた首飾りを手にしたスナガの姿があった。

「・・・・・・・やはり来たか。」

虚ろな視線は真っ直ぐにセフィルに注がれる。
「貴方が言った通り、わたしは何も知らず、何も知らなかった。でも今は違う―――わたしは知ったもの。
 そしてあなたが私と同じ、ハーフエルフ・・・・ううん、灰色エルフだということも。」
セフィルを中心に左右にあたしとガウリイが展開する。


「ほう・・・・・・・オレの事を知ったか。だからといて既に手遅れだ。―――――この場に今、全ての石が揃った。それはすなわち『鍵』が揃ったという事。
 我が手には風の《ウェルヤ》とこの火の《ネンヤ》、そしてお前が持つ水の《ナルヤ》と地の《メネルヤ》――――この4つの精霊の力により、我はこの地に復讐するのだ!
 ―――門を開き、異界の扉より力を得て、カタートに繋がれし魔王の戒めを解き放たん!!」


虚ろだった目をぎらつかせ、スナガは揚々と両手を掲げた。
とんでも無いことを考えていた、こいつは。
まさかカタートに水竜王によって氷漬けにされた魔王シャブラニグドゥの復活を目論んでいたなんて―――!!
冗談ではない。
出来る出来ないは後にしても、んなことやらせる訳にはいかない。

「誰があんたなんかに石を渡すなんていったのよ。あんたはここで倒す――――絶対に。」
じりっとあたしはスナガとの距離を図りながら呪文の詠唱を始めていた。
ガウリイも同じくじりじりと間合いを詰めていく。
セフィルはスナガを見上げたまま、じっと立っている。

ざっ!

スナガとガウリイが同時に動いた。
ぎゅぎゅぎゅぎゅんっっ!!
二つの銀光が閃き、数回交わるとお互い後ろへと下がった。
その瞬間を逃さずあたしは呪文を解き放つ!!!

「覇王氷河裂(ダイナスト・ブレス)!!」

覇王の力を借りた魔力の氷が瞬時に敵を凍らせて破壊するこの術。
しかしスナガへと向けたはずの術はその目前に貼られた結界によって防がれた。―――もう一人の敵によって。

「・・・・・・・・余計な世話だぞ、ヴォロンディル。」

面白く為さそうにスナガは虚空より現れた男へ言った。
「良いではないか。儂が防がねば、お主は術で消されていたぞ。」
にやりと笑うヴィロンディルはすこし小太りの役人風の姿。
こいつがもう一人いたと言う奴・・・・・・中級魔族か。
「お初にお目にかかるな、リナ=インバース。そしてお主がグレイエルフの小娘か。」
ヴィロンディルはあたしとセフィルを見ながらそう言った。
スナガがゆらりと前に歩み出る。
「―――挨拶なんぞどうでもいい―――あの女の持つ指輪と小娘の石をさっさと奪ってこい。」
「せかすな、今やるところだ。さて、石を渡して貰おうか。」
「はいそーですかって聞くと思う?」
あたしとセフィルはヴィロンディルと対峙する。
ガウリイはスナガとにらみ合っている。
数的には2対3だか、魔力の点からたら敵の方が上待っているかも。

「あなたに『鍵』が使えるとおもうの?」
セフィルがからかうようにヴィロンディルに話しかける。
「そうよの。お主なら確実だろうが、儂に手を貸す気はないだろうて。」
「―――無いよ。」
「ならば同じ別の者を使うしかあるまい。それに『鍵』はほれ、既に一つは我が手にあるしの。」

『・・・・・・・・・へっ・・・・?』

あたしとセフィルはヴィロンディルの手にしていた指輪を見て絶句した。
「なあに、お前さんの術を防いだ時に、空間をいじってな。だが、《メネルヤ》の方は見つけられなんだ。」
「その小娘が持っているはずだ。探せ。―――――オレは先に戻る。」
「しかたがないのう。《ヴェルヤ》の方だけでもやって置いてくれぬか。」
「・・・・・・承知した。」
そう言い残すとスナガはヴィロンディルを残し、空間を渡り虚空へ姿を消した。


「さて、準備も整ったことだし、行かせて貰おうかの。」
ヴィロンディルの言葉が皮切りとなり、あたしとガウリイも動いた。
まずはガウリイが切り込む。しかし相手は中級魔族。なかなか切り込ましてくれない。
あたしの術が完成したのを見計らってガウリイが退き、術をぶち込む。
しかし、これも寸での所で交わされていく。
セフィルも術を繰り出すが決まらない。
塔の最上階で、何時しかあたしは一番端の所まで追い込まれていた。
「さて、後がないぞリナ=インバースよ。」
「だからどうだって言うのよ、ヴィロンディルさん?」
「こうするのさ。」
ヴィロンディルが右手を上げた瞬間、魔力の光弾があたしの足下へと炸裂し、足場が崩れた。
そのままだったら塔の下まで真っ逆さま。
だけどあたしを魔道士だと忘れてないかい。
崩れ落ちる足場を見ながらあたしは冷静に呪文を詠唱する。
その時、今まで落ち着いていたセフィルの表情が険しくなり叫んだ。
「リナさん!だめぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」
落ちていくあたしに駆け寄るセフィルの声に構わずあたしは術を解き放った。

「浮遊(レビテーション)!」

『力ある言葉』により、風の術であたしの体は空に舞い、停止する―――――はずだった。

「リナ!!!」

――――落ちている。下へと。
まさかっ術が発動しなかったの?!

「リナっっ!!!」

ガウリイの呼ぶ声が聞こえてくる。

「リナぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっっ!!!!」

―――――――――え?

次の瞬間、あたしはガウリイに抱きしめられていた――――そして―――


ずざざざざさっっっ!!!
ばきっ!べきっ!ぼきぼき!ざあっ!

どすっ――――!!



何が起こったのかわからなかった。
気が付くとあたしは塔の下に広がる森の中に倒れていた。
体を起こし体に絡みつく腕の先を見て、体中の血が引いていくのがわかった。
うそ。
うそでしょ。

「・・・・・・・・・・・ガ・・・・・・ガウリイ・・・・・・・?」
横たわる体は動かず、代わりに周りには血が流れている。

「ガウリイ!ガウリイ!」

信じられなかった。
塔から落ちる時、ガウリイは飛び出してきて、あたしを捕まえると自分の体を盾にしたのだ。
いくら途中に木があるからといっても、あの高さから落ちたら只ではすまない―――
必死でパニックになりそうな自分を押さえ込んで、あたしは『治療 リカバリィ』を唱えていた。
でも、この術では・・・・・・・・・・助けられない。

助けて助けて、誰か助けて。
お願いだからガウリイを助けて、連れていかないで。
あたしからガウリイを取り上げないで。

涙が後から後からあふれ出してくる。
「・・・・・・・・・お願い・・・・やだ・・・ガウリイ・・・・・・・っ!」





「リナさんっ!!ガウリイ!!」

あたしには天の声に聞こえた。

「大丈夫?!だからダメだっていったのに・・・・・・・・・・・・・・ガウリイ!!」

駆け寄ったセフィルはあたしが抱きかかえたガウリイを見て一瞬硬直していた。
どうやって塔を降りてきたのかわからないが、セフィルはゆっくりとガウリイの側へと近づいた。
「・・・・・・・・・・・・ガウリイが・・・・・・ガウリイが・・・・・・・」
あたしはそう言うのが精一杯だった。
セフィルは黙ったままガウリイの体に触れ、何かを呟いた。

「・・・・・・・・・・・・・さない・・・・・・」

その時、セフィルを見たあたしは目を見張った。

―――瞳の色が、真紅から琥珀色へと変化していたのだ



琥珀の瞳を輝かせ、セフィルはゆっくりと『呪歌』を紡ぎだした。
ガウリイの体を、白くほのかな光が包み込み、次第に傷口が消えていき血も止まっている。
微かに聞こえたセフィルの言葉。
―――ユルサナイ―――
それは魔族に対してなのか、それともあたしに対してなのか。
あたしはそんな事を考えながら、地面に座り込んだままセフィルの唄を聞いていた。


――――願わくば―――

願わくば、我が前に横たわりし彼の者に祝福を
願わくば、我が前の愚かなるもの達へ粛正を
汝が力強き御名によって 我が望みが成就されんことを
真昼と夜 光と闇 永劫と刹那をたゆたいし狭間にて 
我は汝にのみぞ笛を吹きたもう
さすれば我は捧げん
汝へと天空の唄を
汝への海原の唄を
金色を纏いし根元なる海に――――


セフィルの周りに魔力が集まっていた。
その力はうねりとなって、周囲の木々をざわめかす。

「――――――お主のその力――――その唄――――まさか、ティヌゥヴィエルかっっ!!」
闇より現れたヴィロンディルは空に浮かんだまま、眼下のセフィルを凝視していた。
「・・・・・・・・・・・・ゆるさない・・・・・・・・・・」
ゆっくりとセフィルは琥珀の瞳を上へと向ける。



「・・・・・・・・・・・くっ・・・・・・・・・あっ・・・・・」
「ガウリイ!?気が付いたの!」
「・・・・・・・・だめ・・・・・・・・だ・・・・・・・・リナ・・・・・セフィルを・・・・・・・彼女を・・・・・・・止めろ・・・・・・」
「何?!どうしたの?!」
まだ完全に傷の癒えてない体を無理矢理起こしてガウリイはセフィルの方を見ていた。
あたしはあわててその体を支えた。
「・・・・・・このままだと・・・・・・・まずいんだ・・・・・・・・・」
「何がまずいの!?ねぇガウリイ!」
「・・・・・・・・・彼女が・・・・・・目を覚ます・・・・・・・・」
その刹那、

ずんっ!

「おや、ガウリイさんもどうやらお目覚めの様ですね。」
虚空からの黒い錐がヴィロンディルを貫くと同時に声だけが聞こえてきた。
「ゼロス!」
「僕は直接手を下せないので、後はよろしくお願いしますねセフィルさん―――いいえ、ティヌゥヴェエルさん。
 ヴィロンディルさん、少々出過ぎた行動でしたね。それでは僕はこの辺で―――」
「・・・・・・・・・・おのれっゼロスっっ!!・・・・・・・・・・・」
ずるりとヴィロンディルの体の一部が消滅し、表情に苦渋の色が浮かぶ。

セフィルは唄い続けたまま、両手を前でクロスさせてから印を結び、両手を高く掲げた。


「我が元に集いし力よ 虚空を切り裂き 闇と光を従えて 愚かなる者へ粛正を」

セフィルの言葉と共に両手から放たれた光の渦は天へと延び−−−その合間の魔族ヴィロンディルを滅ぼした。



森にはあたしとガウリイ、そして空を見上げたままのセフィルだけになっていた。


=======================================

長くなってしまいました。
話の内容もかなり濃いめになりましたが・・・・・・いかがでしょうか???
冒頭の文は谷山浩子さんの曲『笛吹き』の歌詞を多少アレンジして使わせて頂きました。
「笛吹き」=唄を歌うこと、唄歌いだと思っていただければ・・・・・・・(本文でフォロー仕切れなかった)

リナちゃんは妙に弱きだし・・・・

さて、どうなりますか。






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12728急転直下!!?あごん E-mail 12/15-23:43
記事番号12723へのコメント

うわああああああああっ!!
あわわわわっうぼろげぅどぅわぁぁあああ!

はっ!
す・・・すいませんっ!
思わず取り乱してしまいました。
こんばんわ、あごんとゆーものです。

謎が謎呼ぶ急展開の様相を示して参りましたねっ!
セフィルがっ!
リナがっ!
ガウリイがっ!
なんか舌噛みそうな名前になってるしっ!
なんか可哀相で見てられないしっ!
なんか血ィだくだく流してるしっ!

ううっ!
くぉらぁぁっ!オカッパ!!
何を企んでいやがってやがるんでぇい(興奮の余り日本語が乱れておりますが御了承下さい)!!

ああっ!本当に続きが楽しみですぅ!
めっさ気になりまくってやがります(やっぱりまだ日本語がおかしい)。

それにしてもその文才が羨ましいです。
分けて下さい。
↑どうやら重度のスランプらしい(トホホ)。

いつもの事ながら礼も恥も欠いた感想で申し訳御座いません。
ではでは、あごんでした。

P.S 曲のリクエストとかしちゃ駄目ですか?
    小田和正の「ラブ・ストーリーは突然に」を挿入して欲しいです。
    ♪君の為に翼になる 
     君を守り続ける
     柔らかく君を包む
     あの風になる
    とか、ガウリナにもガウ→セフィにも合うと思ったもので。
    あと、小田のファンなので(苦笑)。
    ・・・いえ。無視しちゃって下さい(トホホ)。

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12729暗中模索・・・・・あれ?ゆえ 12/16-07:53
記事番号12728へのコメント

>うわああああああああっ!!
>あわわわわっうぼろげぅどぅわぁぁあああ!

どぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっも♪(おいっ)


>なんか舌噛みそうな名前になってるしっ!
>なんか可哀相で見てられないしっ!
>なんか血ィだくだく流してるしっ!

いや〜名前、打ち込むのも大変ですわ(笑)これも「指輪物語」から頂きまして。
だって意味が「小夜啼鳥」って意味だとかで・・・・・でもこの字が読めないオバカな私・・・・・
しかし、私の話って出血が多いですね。血があまってるんなら献血にいけってぐらいで(私はいってる。あ、関係ないですな・・・・・)



>ううっ!
>くぉらぁぁっ!オカッパ!!
>何を企んでいやがってやがるんでぇい(興奮の余り日本語が乱れておりますが御了承下さい)!!

ゼロスくん魔族魔族してますな。まだまだ働いてもらわにゃいかんので、このまま魔族街道突っ走って貰います。(って元々魔族だって)


>それにしてもその文才が羨ましいです。
>分けて下さい。
>↑どうやら重度のスランプらしい(トホホ)。

こんな脳味噌発酵前に溶けだしてる私なんぞ・・・・・
スランプなんですか〜?次回作指折り数えてお待ちしてます♪


>いつもの事ながら礼も恥も欠いた感想で申し訳御座いません。

毎回感想ありがとうございます。
これがあるかややっていけるといっても過言ではありまんっ。


>P.S 曲のリクエストとかしちゃ駄目ですか?
>    小田和正の「ラブ・ストーリーは突然に」を挿入して欲しいです。
>    ♪君の為に翼になる 
>     君を守り続ける
>     柔らかく君を包む
>     あの風になる
>    とか、ガウリナにもガウ→セフィにも合うと思ったもので。
>    あと、小田のファンなので(苦笑)。
>    ・・・いえ。無視しちゃって下さい(トホホ)。

「ラブストーリーは突然に」私も好きな曲ですし、個人的になにかと思い入れといいますか、因縁のある曲ですな。
ガウリナな曲だとは私も思ってました。
リクエストにお答えするべくがんばります。ちょうど話にも良さそうな場面もありますし。
どうも私は「翼」とか「風」なんかのフレーズが好きみたいで。話も「風」が絡んでますし。

入れて欲しい曲のリクエスト受付ます・・・・って、自分の首締めてるよーな気もしますが、あらすじにあいそうなら入れて行きます、というかかなりネタ切れ気味・・・・
ポイントの曲は決まってるんですけどね。

次回からすこし過去話が入ります。かなーり昔のまたまたオリジナル設定・・・。ほほほほ(^^;)

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12739天空歌集 21ゆえ 12/16-16:10
記事番号12658へのコメント

天空歌集 21

    風さらう みなもえと たゆとうて 導かれる
    まにまに 浮かぶしらべ 響きわたれ 永久(とわ)に

    ゆらぎゆらぎ ふるえて 果てなき天(そら)へ
    時を越え 行き交いて かそけき 浮き世へ
    今つどへ ともよ 大地へ
 
   忘れし 唄を歌い 失いし 思いを持て
   再びまみえるまで 深く深く 眠れ
   時は流れゆく


イシルの森にセフィルの唄がこだまする。
稟としたその響きは、この地で消えていった全ての命に送られる鎮魂歌なのか―――――

独り、ミナス・イシルの上に立ち、歌う彼女は何を思うのだろう。
あたしは遠くに聞こえる歌に静かに耳を傾けていた。
イシルの村は壊滅的なダメージを受けたが、それでも生き残ったエルフ達はあたし達を何も言わず迎え入れてくれた。
かろうじて残った集会場の一画に怪我を負ったガウリイを休ませて、その横であたしは塔で起こったことをゼルとアメリア、そしてイシルの村長さんに話していた。
あたしを庇い、一時期は瀕死の重傷だったガウリイの傷は、あの時のセフィルとアメリアの治療呪文によって回復へ向かっている。
ガウリイは眠っている。
おおよその話を終えると、プラムトさんは何を言う出もなくただ一つ息を吐き、
「あの塔にはそんな石が封印されていたのですか・・・・・・・しかし同族とはいえ、アノールの方々のなさりようは我々もいささか行き過ぎだと思います・・・・・・・もっと早い段階で交流をもち考えを改めていただけるように働きかけを行うべきでした。―――そうすればこの様な悲劇も起こらなかったでしょう・・・・・・・」
と、思いを呟いた。

スナガの正体がハーフエルフだという事実に、ゼルとアメリアも驚いていた。
が、同時にそれによりスナガの行動理由を決定づけるものとなった。
アノールの村でのハーフエルフへの接し方からいっても間違いないだろう。
目的はエルフ達に対する復讐。
いや、人間を含むこの地上に住まう全ての生きとし生けるものに対してなのかもしれない―――自分の存在を否定した全てのものに。
そうでも無ければ、カタートの魔王を解き放つなんて考えもしないだろうから。
しかし、仮にも水竜王の封印、魔族や魔王本人でさえ解けないあの氷を精霊魔法なんかで破ることができるとは思えないし・・・・・
あの言葉通り、異界からの力を使えば出来るのか・・・・・
でもどうやって異界なんて所から力を得るのか。それとも何かを召還するのだろうか?
ますます解らなくなってきた。
でも解ったこともある。
それはセフィルに眠る者が、あたし達が懸念していた者ではなく、どうやら『ティヌゥヴィエル』と呼ばれる人物だということ。
魔王の欠片なんかじゃなくってよかった・・・・・・・・・心底ほっとした。
けどそれは、また新たな疑問として残るんだけども。
セフィルと灰色エルフと『ティヌゥヴィエル』という名前、そして《精霊の石》。
全ては一つの線でつながっているとは想像できるが、スナガのセルフと同様いまいち解らない。

・・・・・・・・・・・・・・本人に聞くしかないか・・・・・・・・・・・

未だ響いてくる歌を複雑な思いで聞いた。





「セフィル。」

歌い終えたのか、そのまま遠くを見つめていた彼女に声を掛けた。
ゆっくりと振り向いた瞳は、いつもの真紅の瞳。
でも振り向いた一瞬、その表情が子供のあどけなさではなく、稟とした大人の気配がした。

「リナさん・・・・・・・・・・・・・。」

言うセフィルの姿は、最初の時と同じ6歳ほどの少女の姿。
金色の髪、白い肌、真紅の瞳。
ではあの時みた琥珀の瞳はいったい何だったんだろう・・・・・・・・・?

「・・・・・・・ガウリイ・・・・・・・・・・は・・・・・・・?」
おそるおそるといった感じでセフィルが聞いてくる。
「あなたとアメリアの治療呪文でほぼ回復してる。今は村で眠ってるわ。」
「・・・・・・・・そっか・・・・・・・・よかった。」
ほっとして安心したのかセフィルにやっと笑顔が戻った。
「どうしてあの時、『レビテーション』を使うのを止めたの?」
あたしはそのまま率直に疑問をぶつけた。
「ゼル達も突然精霊魔術が使えなくなったって言っていた。特に風精霊に関するものは全く発動しないのよ。
一体これはどういう意味なのかしら?」
「リナさん、この場所にいて何か変だと思わない?」
セフィルは崩れてあたしが落ちた場所をみて言う。

「何もかも変よ。スナガの正体、ゼロスのセリフ、《精霊の石》と『鍵』の関係、魔族を倒した時のあんたの力と瞳の色に、ヴォロンディルとかいう魔族が言った『ティヌゥヴィエル』の名前と灰色エルフの事――――――何もかもが謎で全てが変よ。」

「それもだけど・・・・・・そーじゃなくて、ここって塔の一番てっぺん、高い所でしょ?」
「それがどーしたってのよ。」
「在るべきはずのものが無いとは感じない?」

言われてあたしは改めて辺りを見渡す。
中央には《ナルヤ》が置かれていた台座、壁にはあの古代エルヴァン文字、壊れた壁の瓦礫と埃。
崩れて開いた壁を背に建っているセフィルの髪は風に・・・・・・動いてない。
おかしい、変だ。この高さなら必ずといってあるはずの風がまったく無いではないか。

「まさか、風が吹いてないってこと・・・・・・?」
あたしの答えにセフィルは頷くと、
「風は等しく吹き、どこにでも何時でもあるもの。なのにその風を全く感じない・・・・・・ううん、居ないのよ風の精霊シルフが。」
台座まで歩き、その上を手でなぞりながら話す。

「精霊は神でも魔でもない、別の存在。人々の身近に居ながら、けれど決して触れることの出来ない存在。
―――今から千年前、降魔戦争によってこの地は魔族の結界に閉ざされ、他の神々の力の及ばない所となった。
故に神の力を借りる神聖魔法は途絶え、魔族の結界だから無論その力を源とする黒魔法は使えた・・・・・・・・・でも同時に精霊魔法も使えるでしょ?それって精霊が神でも魔でもない、まったく別格のものだという理由にならないかな。」

精霊はその存在は神に近いものだとただ漠然と思っていた。
でも言われてみれば、その通りだ。精霊魔法は魔族の神封じの結界にはまったく影響を受けていない。
前々から感じてはいたが、セフィルの魔に対する考えには驚かされる。

「でもそれが、今回の事とどう関係があるのよ。」

「大ありなんですよ。」

返事は別の所からやって来た。
「やっぱり出たわね、ゼロス。」
セフィルの横に相変わらずの笑顔のまま、ゼロスは現れた。
「どうやら、不完全な形でも強引に結界を張ったみたいですね、スナガさんは。いやはや困ったお人ですねぇ。」
やれやれと両手を肩まで上げて言うゼロス。
「いい加減に説明して欲しいんだけど、あんたの目的と今の状況。セフィルを使って何をする気なの?」
「そう言われましても、僕は命令の通り動いてるだけで・・・・・・まあ僕個人が興味半分で調べていたことが、僕に命令が来た理由でもあるんですが。」
「あんたのお役所仕事はどうでもいいから。で、何よ興味半分で調べていたことって。」
「なかなか面白いですよ。何せガウリイさんが持っていた光の剣―――『烈光の剣 ゴルンノヴァ』の事ですから。」

異界より来たりし、『闇を撒くもの』魔王ダークスターの5つの武器――『烈光の剣 ゴルンノヴァ』
言うまでもなくガウリイの家が代々家宝として継承してきた、伝説の『光の剣』だ。
でもなんでいきなりそんな物がここで出てくるっ!
大体なんでそんな事をゼロスが調べてたんだか・・・・・ホントに興味本位なんだろうなぁ・・・・・・

「調べて行くうちに、面白い事実が解りまして。で、獣王様にご報告したところ、今回の命令となった訳です。」
「だからどーして、それがセフィルの一件と精霊に関わるのよっ!」
「まあまあ、そんなに急かさないでくださいよ、今から説明しますから。
――――僕が気になったのは、異界の魔王の武器なんてものをこの地に呼び寄せたのが誰だったのか―――
―――なのですが、それが他ならぬセフィルさんの前世―――――グレイエルフのティヌゥヴィエルさんです。」




わたしはゼロスの話にはあんなり興味はなかった・・・・・・・・・というより、知っていたから。
生まれ変わりだとか、輪廻転生が自分に降りかかるもんだとは思いも寄らなかった。
自分の中に眠れる前世の記憶―――ううん、もう1人の存在があるなんて。
昔から変わってるとは言われてきたけど、その理由がこれなのか・・・・・・
母さんか歌っていたからと思われていたけど、本当はわたしは誰に言われるでもなく、『呪歌』の意味も知っていたし、
その旋律と歌詞も前から知っていた。
魔族のことに関しても、それは神と同様に世界に在るべきもので、精霊は狭間にあるわたしに一番近い存在だと理解していた。
理解はしていても、それが真実なのかどうかは解らなかったし、確かめようもなかった。
停滞したままの時が流れているその場所から解き放たれない限り、手に入れることが出来なかった真実と自由。

そんな時、ガウリイと出会い、リナさんと旅をした。
いろんな人に出会って、たくさんの歌を聞いた。
恋を歌うもの、風を歌うもの、自然を描くもの、愛を誓うもの、別れを悲しむもの、憎しみを叫ぶもの、悲恋を嘆くもの。
そのどれもが今まで居た世界とは違って、生命力に溢れた世界だった。
出会いと別れを繰り返しながら、人々はそれぞれの時をそれぞれの場所で生きていく。
闇と光とその狭間の存在。
そんな当たり前とも思える事と実感したとき、初めてあの考えが真実なんだとわかった。

手に入れた真実は、今までの世界を壊し動き出した。
でも・・・・・・わたしは自由を手に入れたのだろうか?


全てはもう1人のわたしが教えてくれる。

闇と光を繋ぐのは、曖昧で不確かな存在だと。


そしてこうも囁く。

狭間に生きる自分を繋ぐのは、唯一自分に向けられたあの温もりと眼差し。
だからその全てを守る為に自分は歌い、その歌をあの人が気に入ってくれたから。
変わるもの、変わらぬもの、全てを等しく受け入れる力―――――金色の母より混沌の力を授かったと。


もう1人の私が囁く。

―――わたしはあなた、あなたはわたし、まじりあいひとつになったとき、すべてがはじまり、すべてがおわる―――

だから受け入れろっていうの?
わたしがわたしじゃ無くなるのに?

『好きだよ』とガウリイにいった。
大好きだと思ったから。
でも、そんな気持ちも遠い日の記憶からだとしたら・・・・・・・わたしの想いはどうなるんだろう・・・・・・


琥珀色が呼びかける。
――――おいで今すぐ私と、地平線の彼方へ

台座に刻み込まれた文字をなぞりながら、わたしは私が溶けていくような気がした。




ゼロスは語る、遠い昔の真実を。

「降魔戦争の時、僕たち魔族は水竜王を滅ぼすぺく、戦いの下準備をやっていました。まあ、その辺の事情はリナさんもご存じでしょう。」
まるで聞かせるのが楽しいのかゼロスはあたしを嬉しそうに見ている。
「そんな頃、人間達の中に1人のエルフの少女がいました。そのエルフは唄を歌い、呪文を奏でることによって魔力を最大限に
引き出すことができる極めて希な存在でした。どうやら彼女は知っていたみたいですね――――
―――――神と魔、光と闇、全ては相反したものであり、また同じなのだと。」

それは混沌の海、『金色の魔王 ロード・オブ・ナイトメア』の存在と意味を正確に理解していたということ


「エルフという種族のもつ魔力と、その知識故に、僕たち魔族は神族側の力が大きくなることを恐れたのですが、
以外なことに彼女は神族側の戦力には加わらなかったんですね。
ただ1人、事の成り行きを見ているだけで。彼女は時折自分を襲ってくる魔族以外は倒そうはしなかったんですが・・・・・・・・
―――――ある時彼女は出会ったんです。」





夢を見ていた。
またあの夢だ。

街を見下ろしている琥珀の瞳の少女。
その横で俺は同じく街を見下ろしていた。
魔に滅ぼされた街は命の息づかいなど感じられず、あの巨木さえもその姿を黒い塊へと変貌させていた。
彼女は何も言わない。
ただ「寂しいね」という呟き以外は。
そんな彼女を俺は抱きしめる。
ずっと、この腕の中の温もりが永遠に続くことを願って。

光が溢れていた。
闇が広がっていた。
彼女が何者かなんて関係なかった。
ただそこにいてくれればよかった。
守りたいと想った。
側にいたいと願った。

願いとは裏腹に、描き出す線は七つの頂点を持つ光の円をかたちづくる。
聞こえてくるのは彼女の歌。
中心に立ち、光の渦の中彼女は一振りの剣を差し出すと微笑みだけを残し、金色の中へと溶けていった。

彼女が好きだったあの巨木。
緑生い茂る枝に絡まるようにいつもそこで歌っていた。
彼女の歌が好きだった。
彼女の存在が好きだった。
彼女の琥珀の瞳が好きだった。

彼女はよく言っていた。
純粋なる願いはいつか叶うんだと。

もう一度、君の歌を聞きたいんだ―――ティヌゥヴィエル





「・・・・・・・・・・・・誰に?」
あたしは呻くようにゼロスに訊ねた。
「人間の剣士にです。名を―――」

「――ガブリエル。黄金の髪に赤い瞳の、勇敢なる風の戦士―――私が信頼し、愛した只唯一の人――」

台座に腰掛けてそう告げた彼女の手には琥珀色の石、そして―――――その瞳も同じ色をしていた。

「それが《メネルヤ》ですか。僕も初めて見ましたよ。」
ゼロスは彼女の手にしていた石をみてそう言った。
「・・・・・・・・・ちょっと・・・・・セフィル・・・・・・・?」
あたしは戸惑っていた。
今までの話と、告げられた名前、そしてあまりにも違いすぎるセフィルの雰囲気―――おそらくは奥底に眠っていたはずの彼女。
『鍵』は4つ揃わなくても、彼女は目覚めたんだ。

「―――セフィルとは現世での器が持つ名―――――我は過去よりの記憶を司る狭間を彷徨う者―――
――――母より授かりし唄を紡ぐ者――――即ち我は『笛を吹くもの』、グレイエルフを名乗る存在――我が名はティヌゥヴィエル――」


   街の姿を見透かす
   彼の琥珀の瞳
   巨木は黒く焼け焦げ
   ここにはもう何もない

   夜ごとの夢に現れ
   僕を呼ぶよ 笛吹き
   おいで今すぐ わたしと
   地平線の彼方へ

=========================================

また説明と解説の話になっちゃいました・・・・・・
とにかくセフィルの正体をそろそろはっきりさせないとと思いましたが・・・・・解っていただけだでしょうか?
なんだか独りよがりになりすぎたかなぁと反省はしてるんですが・・・・・・難しいですねぇ・・・・ほんと文をかくって。
今回はリナとガウリイとセフィルの3人称なんてわかりにくい構成ですし。
ああっ脳が落ちてるしっ。
私の文といいますか、話の内容がわかり難いですよね。含みが多すぎるなとは思ってるのですが・・・・・「話がみえてこんっ!」と思われる方、どうぞ苦情申告してやってくださいませ。

最初の歌詞は林原めぐみさんのアルバムの曲で「まつりうた」、ブルーシードの紅葉のテーマなんですが・・・・勝手にレクイエムにしてしまいました。ううっファンの方すみませんっ!でも、ほら、祈りのテーマだし・・・・・・・(←言い訳がましい)
あと最後の方のは20話にも出てきました谷山さんの「笛吹き」の原詩です。ほんとうは彼女じゃなくて彼なんですよ。都合上かえまして。
インチキしてます(笑)

あと、さあ出てきたぞ『ガブリエル』くん(笑)赤目は彼でした。しかし、なんて単純明快な命名・・・・・・・・・・ここまで行くとガウリイとセフィルの関係がわかった方も・・・・・居ますよね。

というわけで、次回、22は前世のお話です。

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12742くらくらです桐生あきや 12/16-23:23
記事番号12739へのコメント


 こんばんわ、桐生です。
 まつりうた、私も大好きです〜! カラオケに入ってたときはちょっとびっくりでしたけど(笑)
 何かもう、ゆえさんの深みのある話運びと設定にくらくらです。
 L様に関する記述が、すごく好きで……。桐生は、L様の存在とその設定自体がかなり気に入ってるクチです。神坂先生ってやっぱりすごいですねぇ……。
 次回は前世のお話なんですねっ。だとすると、リナはお休みなのでしょうか。
 セフィルとガウリイの関係(笑)に目が離せません。ああ、どうなっちゃうんだろう(ドキドキ)、すごく楽しみで気になります。
 短くてすいません。
 それでは。 

 桐生あきや 拝

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