◆−I long for your love(後編の12)−あごん(12/7-01:06)No.12566
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12566I long for your love(後編の12)あごん E-mail 12/7-01:06


「テリュースが・・・生きて、いる?」
 あたしの言葉に呆然と呟くハワードさん。
 こくりっとあたしは力強く頷いた。
「おそらくは・・・ですが」
 ハワードさんは、どさり、とソファにもたれかかるようにして座ると、眉間に指を当てあたし達にも椅子を勧めた。
 あたいとガウリイもまた、無言で向かい側のソファに座る。
「・・・聞きましょう」
 ため息と共に吐き出された言葉は、重く気怠げなものだった。
 う〜む。
 どこから話せばいいものやら。
「犯人は多分テリーを合わせても、三人ないし四人といったところでしょう」
「・・・でしょうな」
「おそらく内部分裂とまではいかないまでも、テリーの処遇に対しての意見の対立があったはずです」
「・・・・・・・」
 ハワードさんはもう返事もなく、ただ首を縦に振るのみだった。
 あたしはそれにかまわず話を続ける。
「大抵の場合、意見は二つに分かれるものです」
 ハワードさんの後ろにある窓の向こうは、随分と明るくなっている。
 春の日差しはまだ感じられない景色だった。
「そして、この二つの意見とは両極端な場合が多いものです」
 まあ、だからこその意見の対立なのだが。
「ここでまず、一つ目の手紙です」
「・・・犯行の容認及び、村との離別」
 ハワードさんが低く言葉を継ぐ。
「・・・ですね。そして二つ目は・・・」
「犯行の否認、そして村への帰還を示唆」
「その通りです。ここから推理するのは簡単だわ」
 次にあたしの言葉に反応したのはガウリイだった。
「要するに、生かすか殺すかの意見の対立ってことか」
「正解よ、ガウリイ」
 言ってあたしはガウリイを振り仰ぐ。

「さて、ここで手紙を書いた時期なんですが。残念ながら特定できません。どちらの手紙が先に書かれたのかもわからないわ。まあ、少なくとも一昨晩から今朝なのは間違いないんですけど」
「お前、その辺りは言わなくてもわかるぞ?」
「あんたの為に言ったのよ」
 眉を寄せるガウリイに、あたしはぴしゃりと言い放つ。 
「どちらが先にせよ、時間的には変わりはないはずです」
「・・・つまり、死んでいる人間を生きているように見せる必要は犯人には無い。生きているように見せる・・・まぁ、片方の意見だとしても・・・そうするからにはテリュースは生きている可能性が高い、ということですかな?」
 下をうつむいたままではあったが、ハワードさんが言う。
 頭の回転の速い人である。
「しかし、こう言ってはなんですが、その・・・」
 ハワードさんがしどろもどろに言葉を繋ぐ。
 あたしはハワードさんの言いたい事を瞬時に理解した。
 この先はハワードさんに言わせるべきではない。
「第一の手紙が後に書かれた場合の事ですね?」
 そう。
 先ほどの理論からいくと、この場合は、生きている(帰還する可能性の強い)人間を死んで(帰還の可能性の弱い、いや否定する)人間に見せる必要も犯人には無い、という結論にも達するのだ。
 力無く頷く・・・というよりも一層うなだれたというべきかもしれないが・・・なハワードさんをあたしは見つめる。
「その前に、この問題を片付けましょう」
 ぴっとあたしは人指し指を立てた。
「なぜ、犯人は今、手紙を書かせたのか、を」

 そうなのだ。
 何故、今。
 何故犯人は、テリーに手紙を書かせたのか。
 現場の混乱を呼ぶ為か?
 いや、違う。
 それならば、もっとうまい方法もあったはずだ。
 例えば、誘拐に見立てる。
 似たようなものだが、脅迫の手紙を送る。
 もし、このような手紙が見つかれば、間違いなくあたし達は動きを封じられるだろう。
 そして、捜査はいよいよ混乱するはずだ。
「テリーに命が惜しければ、調査を中止しろ」
 と言われれば、あたし達は勿論中止するだろう。
 話を戻そう。
 この二通の手紙には相違点もあるが、共通点もある。
 たったひとつだけ。
 一時的であれ、永久的であれ、テリーが村から離れることだ。

「これがどういう意味かわかりますか?」
 あたしの質問に首を横に振るガウリイと。
 顎に手を当て、考え込むふうなハワードさん。
 ハワードさんの顔がふ、と上がる。
 気付いたようである。
「・・・テリーの捜索の中止を?」
 その通り。
 あたしはこくりと頷いた。
「あたし達が動き始め、犯人は慌てたんでしょーね。事件そのものではなく、テリーから目を逸らせることを第一に考えてしまったんです」
 まぁ、テリーが見つかることによって、自分達の犯行だということもわかるわけだから、結果的には事件からも目を逸らせるとでも思ったのだろう。
 だが甘い。
 とどのつまりは、その場しのぎのものにしか成り得ていない。
 目的をテリーに絞りすぎだ。
「さて、ここでまた戻ります。さっきの話ですけど」
「わかりました。そういう事ですね、リナさん」
 ハワードさんは納得顔であたしの言葉を遮る。
「・・・・わからん」
 平然と自分の頭の悪さを紹介するガウリイ。
 ・・・あのなぁ・・・。
「あ〜〜、つまり。何も考えずにその場の雰囲気で結婚した奴に、それからの詳しい人生設計なんて立てらんないでしょ?」
「・・・・なんだよ、その例えは」
「身近なカンジで説明してんのよ!よーするに、無計画な奴にどーやって何かひとつでも具体的な計画が遂行できんのよ、ってゆーハナシ」
「・・・なんとなくわかった」
 釈然としない様子ではあったが、まあ、ガウリイなら「なんとなく」でもわかればじゅーぶんっ!
 さて、と。
 あたしは深呼吸をひとつする。
 こらからが本題であり、核心でもある。

「テリーの生存率の高さについて合点はいったみたいですね」
 ハワードさんが「ええ」と言いながら、頷いた。
「では、早速、他の犯人についてですが」
「・・・はい」
「実はすでに、目星をつけています」



はい!お久しぶりです!あごんです!
いや、妙な短編は書いてましたが(ダメだよお前)。
次回は犯人当てです(爆)!
いや、モロバレですけどねぇ(笑)。
なるべく早く上げるつもりです!
お待ち頂ければ幸いです!
あごんでした!!

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12575I long for your love(後編の13)あごん E-mail 12/7-19:24
記事番号12566へのコメント

 あたしの言葉に動揺を示したのはガウリイだけだった。
「犯人に目星って・・・お前!わかったのか!?犯人が!?」
「だからそう言ってんじゃない。同じことを二度も言うのは嫌いなのよ、あたしは」
 ガウリイをちらりとも見ずにあたしは冷たくそう言った。
 視線は常にハワードさんに向かっていた。
 目の前のこの村長は、ひどく落ち着いた眼差しであたしを見返している。
 動揺の片鱗も見られない瞳だった。
「・・・気付いて、いたんですね?ハワードさんも」
 これは質問ではない。
 確認の言葉であるのは言うまでもないだろう。
「薄々は、ですが」
 やはり落ち着いた口調であった。
「いつからです・・・?」
「・・・ひょっとして、と思ったのはテリュースが犯人と聞いた時ですな。確信に近いものを得たのは先ほどですが」
「なるほど」
 それきり黙りこくってしまったあたし達を、ガウリイが交互に見つめる。
 質問をしたいが、その時機を図りかねているのだろう。
 静寂がこの部屋を完全に支配した。
 どーも堪え性がないのか、ガウリイがその居心地の悪さに耐えられず、おそるおそる口を開いた。
「なぁ、おれにもわかるよーに言ってくれよ、リナ」
 しょーがない奴。
 あたしはガウリイの方を向き直り、その鼻先に指をつきつける。
「質問よ、ガウリイ。あんたがもし犯罪を企てるとして、よ?そのパートナーにはあたしとハワードさんのどっちを選ぶ?」
「ほぇ?」
 やや面食らったのか、目を丸くしてガウリイが間の抜けた声を出す。
「どっち?」
「ん〜〜。そりゃあやっぱ、リナだろーな」
「なんで?」
「なんでって・・・。ん〜〜。リナの方が安心するし」
「そーゆーことよ」
「なにが?」
 ・・・ニブい奴である。ほんとーにっ!
 あたしは髪をがしがしと掻きながら、ガウリイを睨み付ける。
「ワルイことをすんのに、人間ってのは安心・・・いえ、信頼できる相棒を探すものなの」
「・・・それはわかる」
「例えばそれは、肉親であったり、親友であったり、よ」
「・・・・・・・」
 あたしの言葉に、ガウリイは腕組みしながら考え込んだ。
 しばしの沈黙がまたしてもこの部屋に充満した。
「・・・ディーンと・・・?」
「そ。そんでおそらくジョイスもね」
 あたしはこっくりとガウリイに頷いた。

「でもさ〜、親友ってだけで犯人呼ばわりは乱暴じゃあないか?」
 困惑顔でガウリイが言う。
「それだけじゃあないから言ってんのよ」
 それに対し呆れ顔で答えるあたし。
「証拠があるとか?」
「・・・何も考えないで喋るクセ、直した方がいーわよ」
 ため息と共にあたしはガウリイを軽く睨み付けた。
「証拠があるなら捕まえてるでしょーが」
「じゃあ、他になんの根拠があるんだよ?」
 ヌルいゼリー並みの脳味噌のガウリイに、どこまでわかるやら。
 とにかく、聞かれたからには答えてやろーじゃない。
 あたしは再度、ガウリイの鼻先に指をつきつけたのだった。



こんにちは、あごんです。
なんだか中途半端ですが。
とゆーか、説明臭くてすいません。
いや、実際説明なんですが(トホホ)。
次回はもうちょっと具体的な根拠を掘り出して行くつもりです。
そろそろ、アクロバティックなコトをさせたいんですが。
ではでは、お待ち頂ければ幸いです。
あごんでした。

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12602Re:こんちゃ〜!みい E-mail 12/9-20:07
記事番号12575へのコメント

あごんさんは No.12575「I long for your love(後編の13)」で書きました。
今までの読みましたよ〜!
> あたしの言葉に動揺を示したのはガウリイだけだった。
>「犯人に目星って・・・お前!わかったのか!?犯人が!?」
>「だからそう言ってんじゃない。同じことを二度も言うのは嫌いなのよ、あたしは」
> ガウリイをちらりとも見ずにあたしは冷たくそう言った。
あう。ひどいにょリナちん。
> 視線は常にハワードさんに向かっていた。
> 目の前のこの村長は、ひどく落ち着いた眼差しであたしを見返している。
> 動揺の片鱗も見られない瞳だった。
>「・・・気付いて、いたんですね?ハワードさんも」
> これは質問ではない。
> 確認の言葉であるのは言うまでもないだろう。
ってことは、やっぱりあの2人なのね…?
>「薄々は、ですが」
> やはり落ち着いた口調であった。
>「いつからです・・・?」
>「・・・ひょっとして、と思ったのはテリュースが犯人と聞いた時ですな。確信に近いものを得たのは先ほどですが」
>「なるほど」
> それきり黙りこくってしまったあたし達を、ガウリイが交互に見つめる。
> 質問をしたいが、その時機を図りかねているのだろう。
> 静寂がこの部屋を完全に支配した。
かわいそうだなーガウリイ。一人だけ脳みそクラゲで。あとの2人は頭イイし。
> どーも堪え性がないのか、ガウリイがその居心地の悪さに耐えられず、おそるおそる口を開いた。
いや、こーゆーの、けっこー辛いぞ?
>「なぁ、おれにもわかるよーに言ってくれよ、リナ」
> しょーがない奴。
> あたしはガウリイの方を向き直り、その鼻先に指をつきつける。
>「質問よ、ガウリイ。あんたがもし犯罪を企てるとして、よ?そのパートナーにはあたしとハワードさんのどっちを選ぶ?」
>「ほぇ?」
> やや面食らったのか、目を丸くしてガウリイが間の抜けた声を出す。
うーにゅ。私だったらハワードさんかなぁ?捕まりにくいだろうし。(←天の邪鬼!)
>「どっち?」
>「ん〜〜。そりゃあやっぱ、リナだろーな」
>「なんで?」
>「なんでって・・・。ん〜〜。リナの方が安心するし」
>「そーゆーことよ」
>「なにが?」
> ・・・ニブい奴である。ほんとーにっ!
いや、わかるけどぉ。。。ま、相手はクラゲだし、ね?
(をひ。お前の方がけっこーキツイ事言ってないか?)
> あたしは髪をがしがしと掻きながら、ガウリイを睨み付ける。
>「ワルイことをすんのに、人間ってのは安心・・・いえ、信頼できる相棒を探すものなの」
>「・・・それはわかる」
>「例えばそれは、肉親であったり、親友であったり、よ」
>「・・・・・・・」
> あたしの言葉に、ガウリイは腕組みしながら考え込んだ。
> しばしの沈黙がまたしてもこの部屋に充満した。
>「・・・ディーンと・・・?」
>「そ。そんでおそらくジョイスもね」
> あたしはこっくりとガウリイに頷いた。
やっぱりあの2人だ〜!当たった当たった〜!!!
>「でもさ〜、親友ってだけで犯人呼ばわりは乱暴じゃあないか?」
> 困惑顔でガウリイが言う。
>「それだけじゃあないから言ってんのよ」
> それに対し呆れ顔で答えるあたし。
>「証拠があるとか?」
あるにょ?
>「・・・何も考えないで喋るクセ、直した方がいーわよ」
> ため息と共にあたしはガウリイを軽く睨み付けた。
>「証拠があるなら捕まえてるでしょーが」
はい。。。
>「じゃあ、他になんの根拠があるんだよ?」
> ヌルいゼリー並みの脳味噌のガウリイに、どこまでわかるやら。
> とにかく、聞かれたからには答えてやろーじゃない。
> あたしは再度、ガウリイの鼻先に指をつきつけたのだった。
うにゅう。続きが気になる〜!
>こんにちは、あごんです。
あらためてこんちゃ!みいっす!
>なんだか中途半端ですが。
>とゆーか、説明臭くてすいません。
>いや、実際説明なんですが(トホホ)。
いやいや、推理モノはそうなるんじゃない?
>次回はもうちょっと具体的な根拠を掘り出して行くつもりです。
>そろそろ、アクロバティックなコトをさせたいんですが。
次回はガウリイも活躍できるんでしょうか?
>ではでは、お待ち頂ければ幸いです。
>あごんでした。
おもしろかったです!次回が楽しみですぅ!では!みいでした〜!!!

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